説明

廃家電品の破砕装置

【目的】 廃家電品の構成部材の再利用或いは、無害化処理を行なうため、破砕し解砕し分離し、回収しやすくなる。
【構成】 廃家電品を150mm角程度に粗破砕機で粗破砕し、次いで、金属に付着したプラスチック、また金属同志のからみつきなどを解砕する衝撃破砕機を備え、この後、分散された発泡ウレタンを気流選別し、残った部材を、50mm角程度に細破砕し、各構成部材毎に分散し易くし、次工程へ排する装置である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、廃家電品の処理に於いて、廃家電品の構成材料別に選別し、その後の処理に便なる様に破砕し、各成分毎に分散させると共に寸法を減じ、揃える技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、廃家電品は単純に圧縮して各部材の寸法を減じさせて、家電品の占める、空間容積を減少させ、埋立てに要する空間を節約して処理するものであった。また一部には、磁選機等により鉄片等を回収し、上記空間節約と資源回収を計っている例もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記したような、単純に破砕し空間容積を減じさせて埋立ててしまう処理法では、廃家電品に含まれる種々の金属類(鉄・アルミニウム・銅・ステンレス鋼等)、プラスチック類(PE・PVC・ABS・PP・PS等)、ガラス、木材、油類等の中で、再生利用可能な資源を回収せずに捨て去ったり、また一部発泡プラスチック中に含まれる有害物(例、フロン)を排出してしまう問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、廃家電品の破砕において、廃家電品を粗破砕する手段と、前記粗破砕手段により粗破砕された部材を衝撃破砕する手段と、前記粗破砕手段と衝撃破砕する手段の間に粗破砕された部材を移動させる手段と、前記衝撃破砕する手段により衝撃破砕された部材を細破砕する手段と、前記衝撃破砕する手段と前記細破砕する手段の間に、前記衝撃破砕された部材を移動させる手段とを備えたことを特徴とするものであり、更には衝撃破砕する手段により衝撃破砕された発泡合成樹脂を、気流により選別する気流選別手段を備えたことを特徴とするものである。
【0005】
【作用】廃家電品は、まずカッター幅50〜200mmの刃を周上に4〜8枚備えたディスクを交互に装着した粗破砕機により粗破砕(粗切断)される。ここで、各部材はその原形を破壊されて100〜300mm程度に破砕される。しかし未だ金属同志又はプラスチック類は一部結合しているので、次に衝撃式破砕機等により、一部結合した金属やプラスチック類を完全に互に分離させる。金属とプラスチック類を分離することにより、廃家電品構成物の中で、最も重量当り容積が大きい冷蔵庫の断熱用の発泡ウレタンを、気流選別により分離できる。この発泡ウレタンは発泡剤にフロン11を使用しているものが多く、近年のオゾン層破壊の原因とも指摘されており、本発明では気流選別機により、後工程にて回収無害化に便ならしめるものである。また破砕を粗破砕に留めているのは、発泡ウレタンを破砕して、フロン11の放出が促進させることを抑制し、且つ破砕処理能力(容積に依存する)の制約を回避することが出来る為である。フロンガスの放出を最小限におさえ、しかも気流選別できる大きさとしては150〜200mm角程度が望ましい。気流選別により発泡ウレタンを除去された後、粗破砕片は未だ100〜300mmの寸法を保持しており、以降の金属やプラスチック類の選別には大きすぎ、又金属相互のからみつきも一部存在して選別効率を低下させる恐れがある。この為、最後に細破砕(切断)機を設け、金属とプラスチック類を20〜80mm角に破砕し、またガラス類は更に微小片に破砕する。望ましい大きさは回収後の処理を考慮したら、50mm角程度がよい。以上の処理により、発泡ウレタンはフロン11回収無害化の工程に搬送し、またその他の成分(金属類,プラスチック類,木片等)は以降の選別に便なる寸法まで、破砕して搬出する。
【0006】
【実施例】本発明の実施例を図1に基づいて説明する。本設備に投入される廃家電品はシュート1を通り、粗破砕機2に達する。粗破砕機2は、2本の軸に各々幅150mmのカッター付のディスクが交互に装着されており、カッター刃の先端は対向軸の面との間に、0.1〜0.5mmの隙間を保ち、噛み込んだ製品を切断する。対向するカッター刃との相互の隙間も同様に0.1〜0.5mm程度で、同じく切断機能を維持する。またカッター刃は、直径500mmのディスク周上に8ヶ装着され、このディスクの周上の刃の装着間隔で切断長さが規定される。この場合は約300mm程度となり、切断片としては150mm幅×約300mm長程度の寸法になり、一般廃家電品の原形破壊と分離に適切な寸法である。粗破砕された部材は、破砕機2の後のシュートa7を通過し、衝撃破砕機3に至る。衝撃破砕機3は直径1000mm、幅1500mmのディスクの周上にヒンジで6〜16本が取付けられたハンマーを有し、このディスクが回転することにより、そのハンマーが粗破砕された部材に衝撃力を与えるものである。粗破砕された部材は、この時点では金属及びプラスチック類、断熱発泡ウレタン材等は相互に付着からみついている為、この衝撃破砕機3により適度な衝撃力を加え、特に断熱用発泡ウレタン材を分離させる。周速が5〜20m/sが適度な衝撃力を発生するが、本実施例では10m/sの周速とした。衝撃破砕機3を通過した製品は、シュートb8を経過して、気流選別機4に達する。気流選別機4は、下部の空気流入口9(一般には、設備開口が多く必須ではない)より導入された気流により、発泡ウレタンをダクト11より排出させる。発泡ウレタンは、見掛比重が0.02程度と非常に小さく、分離は比較的容易である。この時の風速は10m/sに設定して分離した。残った部材は、気流選別機4を通過して細破砕機5に至る。細破砕機5は50〜150mm幅×約300mm長の製品を、20〜80mm角程度まで細破砕するもので、基本構造は粗破砕機2と同じく、2本の軸にカッター付のディスクを交互に装着したものであるが、ディスク寸法が約30〜60mm幅で、カッター刃間隔が約100mm程度に設定したものである。本実施例ではディスク寸法を40mm幅とし、周上に16枚のカッタを装着した直径400mmのディスクにより細破砕して平均約50mm角程度に細破砕した。全体的に小型化されているが、処理能力に大きな影響をおよぼす発泡ウレタン材が除去された後では十分処理能力を維持する。細破砕された排出物12は、シュートc10を通過してコンベヤ6にて次工程へ搬出される。排出物12の成分は、原料より容積の大きな割合を占める発泡ウレタンが除去され、平均寸法が50mm角程度に揃えられ、後工程による選別、分離に、適度な形状となる。なお、本実施例では投入部にシュート1を用いたが、ホッパーでもよく、また各装置間のつなぎはシュート7,8,10を使用したが、部材を移動できる手段、例えばベルトコンベヤ、ケースコンベヤなどであっても十分その役割を果たす事はいうまでもない。更に、気流選別機、細破砕機5との間に、目開き25〜100mmのスクリーンを備えた篩式選別機を設置すると、スクリーンを通過した部材は、そのまま次の選別工程へ搬送し、残った部材のみを細破砕機5に通せば、細破砕機5の負荷を軽減できると共に、ガラス片等が微細化される過剰破砕を防止することができる。更には、スクリーンを通過した部材を粗破砕機2へ戻してやることにより細破砕機5を省略することも可能である。
【0007】
【発明の効果】本発明により、廃家電品の構成部材がそれぞれ細断され、後処理で選別分離しやすくなり、またフロンガスを含んだ発泡ウレタンは、細破砕せずに最小限のフロンガス放出で無害化工程へ排出させ、地球環境を守ことができ、更に他の有効構成部材は、回収再利用がしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による1実施例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 受入シュート
2 粗破砕機
3 衝撃破砕機
4 気流選別機
5 細破砕機
6 搬出コンベヤ
7 排出シュートa
8 排出シュートb
9 空気流入口
10 排出シュートc
11 ダクト
12 排出物

【特許請求の範囲】
【請求項1】 廃家電品の破砕において、前記廃家電品を粗破砕する手段と、前記粗破砕手段により粗破砕された部材を衝撃破砕する手段と、前記粗破砕手段と衝撃破砕する手段の間に粗破砕された部材を移動させる手段と、前記衝撃破砕する手段により衝撃破砕された部材を細破砕する手段と、前記衝撃破砕する手段と前記細破砕する手段の間に、前記衝撃破砕された部材を移動させる手段とを備えたことを特徴とする廃家電品の破砕解砕装置。
【請求項2】 請求項1において、衝撃破砕する手段により衝撃破砕された、発泡合成樹脂を気流により選別する気流選別手段を備えたことを特徴とする廃家電品の破砕装置。

【図1】
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