説明

廃棄物処分場における埋立補助装置

【課題】地盤に形成され、上方に向かって開口する凹形状の廃棄物用埋立域と、埋立域の縁部の法面に敷設される遮水シートとを備えた廃棄物処分場において、遮水シートに熱膨張による弛みが生じることに因り遮水シートが早期に損傷する、ということを防止して、遮水シートの寿命の向上を達成する。
【解決手段】廃棄物処分場は、地盤3に形成され、上方に向かって開口する凹形状の廃棄物2用埋立域4と、埋立域4の縁部の法面5に敷設される遮水シート7とを備える。遮水シート7の内側に圧縮空気24を送り込んで、遮水シート7を外方に膨出可能とさせる送風装置25を設ける。埋立域4に廃棄物2を投入する際、遮水シート7を膨出させて、遮水シート7の弛み7bを除去可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤に形成され、上方に向かって開口する凹形状の廃棄物用埋立域と、この埋立域の縁部の法面に敷設される遮水シートとを備えた廃棄物処分場における埋立補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記廃棄物処分場には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、上記廃棄物処分場は、地盤に形成され、上方に向かって開口する凹形状の廃棄物用埋立域と、この埋立域の縁部の法面と中央部側の底面との全体にわたり敷設される遮水シートと、上記埋立域の外縁部に上記遮水シートの外縁部を固定する固定具とを備えている。
【0003】
そして、上記遮水シートにより形成された凹所内に廃棄物が次々と投入されて、上記埋立域の埋立てが行われることにより、上記廃棄物が最終処分される。
【特許文献1】特許第3033402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記遮水シートは、通常、樹脂製であって、その熱膨張係数は2.0×10−4/℃程度である。つまり、50℃の温度上昇により、1%程度の大きい弛みが生じることとなる。
【0005】
このため、例えば、廃棄物処分場の建設において、上記埋立域への遮水シートの敷設を冬期に行い、その後、夏季に達した場合には、その季節変化による温度上昇に伴い上記遮水シートには大きい弛みが生じがちとなる。
【0006】
ここで、上記埋立域の縁部の法面は、上記埋立域の外縁部を形成する法面肩部と、この法面肩部から上記埋立域の底面に向かって斜め下方に延びる法面傾斜面部とを備えている。このため、上記法面に敷設された遮水シートに上記した弛みが生じるとき、上記遮水シートの各部の自重により、上記法面傾斜面部の下部側に位置する遮水シートの下部に上記弛みが集中的に大きく生じがちとなる。
【0007】
そして、上記したように、法面に敷設された遮水シートの下部に弛みが生じた状態で、この遮水シートにより形成された凹所内に廃棄物を投入すると、この廃棄物からの荷重が上記弛みに与えられる。すると、この弛みに与えられた荷重により、上記法面の上部側に位置する遮水シートの上部が下方に引張されて、この上部に大きい引張応力が生じがちとなる。この結果、この遮水シートが早期に損傷するという寿命上の問題点を生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、地盤に形成され、上方に向かって開口する凹形状の廃棄物用埋立域と、この埋立域の縁部の法面に敷設される遮水シートとを備えた廃棄物処分場において、上記遮水シートに熱膨張による弛みが生じることに因りこの遮水シートが早期に損傷する、ということを防止して、この遮水シートの寿命の向上を達成することである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、廃棄物処分場における埋立補助装置の構成を、より簡単にできるようにすることである。
【0010】
請求項1の発明は、地盤3に形成され、上方に向かって開口する凹形状の廃棄物2用埋立域4と、この埋立域4の縁部の法面5に敷設される遮水シート7とを備えた廃棄物処分場において、
上記遮水シート7の内側に圧縮空気24を送り込んで、この遮水シート7を外方に膨出可能とさせる送風装置25を設け、上記埋立域4に廃棄物2を投入する際、上記遮水シート7を膨出させて、この遮水シート7の弛み7bを除去可能にしたことを特徴とする廃棄物処分場における埋立補助装置である。
【0011】
請求項2の発明は、上記地盤3内の水を廃棄物処分場1の外部に排水する排水パイプ16を設けた廃棄物処分場において、
上記排水パイプ16を通し上記圧縮空気24を上記遮水シート7の内側に送り込むようにしたことを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処分場における埋立補助装置である。
【0012】
請求項3の発明は、上記遮水シート7が上、下層シート11,12を備えて袋形状とされ、これら上、下層シート11,12の間の空間14に上記圧縮空気24を送り込むようにしたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の廃棄物処分場における埋立補助装置である。
【0013】
請求項4の発明は、上記法面5の上部と、この法面の上部に対面する上記遮水シート7の外縁部7aとの間に、上記圧縮空気24の注入によって膨張可能なチューブ36を介設したことを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処分場における埋立補助装置である。
【0014】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0015】
本発明による効果は、次の如くである。
【0016】
請求項1の発明は、地盤に形成され、上方に向かって開口する凹形状の廃棄物用埋立域と、この埋立域の縁部の法面に敷設される遮水シートとを備えた廃棄物処分場において、
上記遮水シートの内側に圧縮空気を送り込んで、この遮水シートを外方に膨出可能とさせる送風装置を設け、上記埋立域に廃棄物を投入する際、上記遮水シートを膨出させて、この遮水シートの弛みを除去可能にしている。
【0017】
ここで、上記法面に敷設された遮水シートが熱膨張して弛みが生じるとき、この遮水シートの各部の自重により、上記法面の下部側に位置する遮水シートの下部に上記弛みが集中的に大きく生じがちとなる。
【0018】
そこで、上記のように遮水シートに弛みが生じた場合において、上記埋立域に廃棄物を投入する際には、上記送風装置により上記遮水シートの内側に圧縮空気を送り込んで、上記遮水シートを外方に膨出させ、上記弛みを除去する。
【0019】
そして、上記のように弛みを除去した状態で、上記埋立域に廃棄物を投入してやれば、投入された廃棄物が弛みに荷重を与えて上記法面の上部側に位置する遮水シートの上部を下方に引張し、この上部に大きい引張応力を生じさせる、ということは防止される。よって、上記遮水シートが早期に損傷することが防止されて、遮水シートの寿命の向上が達成される。
【0020】
請求項2の発明は、上記地盤内の水を廃棄物処分場の外部に排水する排水パイプを設けた廃棄物処分場において、
上記排水パイプを通し上記圧縮空気を上記遮水シートの内側に送り込むようにしている。
【0021】
このため、上記遮水シートの内側に上記圧縮空気を送り込むために、排水パイプが利用された分、上記埋立て補助装置の構成を、より簡単にできる。
【0022】
請求項3の発明は、上記遮水シートが上、下層シートを備えて袋形状とされ、これら上、下層シートの間の空間に上記圧縮空気を送り込むようにしている。
【0023】
ここで、上記上、下層シートの間の空間は密閉状とされるものである。このため、上記遮水シートを外方に膨出させるための圧縮空気は、上記空間の外部への無用な漏出が防止されて、上記圧縮空気の量を必要最小限に近づけることができる。よって、その分、上記送風装置の送風機の容量を、より小さくできて、埋立て補助装置の構成を更に簡単にできる。
【0024】
請求項4の発明は、上記法面の上部と、この法面の上部に対面する上記遮水シートの外縁部との間に、上記圧縮空気の注入によって膨張可能なチューブを介設している。
【0025】
つまり、上記埋立域に廃棄物を投入する場合には、上記送風装置により、上記遮水シートの内側である上記チューブに圧縮空気を送り込んで膨張させる。すると、この膨張したチューブにより、上記遮水シートが外方に膨出させられ、上記弛みが除去される。
【0026】
ここで、上記チューブ内の空間は密閉状であると共に、その容積は小さいものである。このため、上記圧縮空気の量は少量で足りる。よって、その分、上記送風装置の送風機の容量を、更に小さくできて、埋立て補助装置の構成を更に簡単にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の廃棄物処分場における埋立補助装置に関し、地盤に形成され、上方に向かって開口する凹形状の廃棄物用埋立域と、この埋立域の縁部の法面に敷設される遮水シートとを備えた廃棄物処分場において、上記遮水シートに熱膨張による弛みが生じることに因りこの遮水シートが早期に損傷する、ということを防止して、この遮水シートの寿命の向上を達成する、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
【0028】
即ち、廃棄物処分場は、地盤に形成され、上方に向かって開口する凹形状の廃棄物用埋立域と、この埋立域の縁部の法面に敷設される遮水シートとを備える。上記遮水シートの内側に圧縮空気を送り込んで、この遮水シートを外方に膨出可能とさせる送風装置を設け、上記埋立域に廃棄物を投入する際、上記遮水シートを膨出させて、この遮水シートの弛みを除去可能にしている。
【実施例1】
【0029】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例1を添付の図1,2に従って説明する。
【0030】
図1,2において、符号1は廃棄物2を埋立てて最終処分するための廃棄物処分場である。この廃棄物処分場1は、地盤3に形成され、上方に向かって開口する凹形状の廃棄物2用埋立域4と、この埋立域4の縁部の内面を形成する法面5と中央部側の内面を形成する底面6との全体にわたり連続的に敷設される遮水シート7と、上記埋立域4の外縁部に上記遮水シート7の外縁部7aを固定する固定具8とを備えている。
【0031】
そして、上記遮水シート7により形成された凹所9内に廃棄物2が次々と投入されて、埋立てが行われることにより、上記廃棄物2が最終処分可能とされる。
【0032】
上記法面5は、上記埋立域4の外縁部に位置して、ほぼ水平に延びる法面肩部5aと、この法面肩部5aから上記埋立域4の底面6に向かって斜め下方に延びる法面傾斜面部5bとを備えている。
【0033】
上記遮水シート7は、上下方向で互いに対面する上、下層シート11,12を備えて袋形状とされた多数の遮水ユニット13を備えている。そして、これら遮水ユニット13は上記埋立域4の内面(法面5、底面6)に沿って連続的に敷設されている。上記各遮水ユニット13の内部の空間14は密閉状空間とされ、互いに並設される両遮水ユニット13同士の間は熱溶着などにより強固に、かつ、密に閉じられている。
【0034】
上記上、下層シート11,12は、熱可塑性の高密度ポリエチレン(HDPE)、もしくは塩化ビニール(PVC)、その他、EPDM、TPO、TPU、FPA、アスファルトシートなどの樹脂製であり、厚さはほぼ1.5mm以上で、通常はほぼ3mmとされている。また、上記各樹脂の熱膨張係数(×10−4/℃)は、概ね次の如くである。HDPE=1.9、PVC=1.8、EPDM=1.6、TPO=2.1、TPU=1.6、FPA=1.0、アスファルトシート=1.4である。
【0035】
また、図示しないが、一般的に、上記上、下層シート11,12を上下から挟むように上、下保護シートが設けられると共に、上記上、下層シート11,12の間に中間保護シートが介設される。上記各保護シートは、それぞれポリエステル樹脂の不織布製とされ、厚さはほぼ10mmとされる。
【0036】
上記法面肩部5aには、この法面肩部5aに沿うよう凹溝15が形成されている。この凹溝15の内面に沿うようこの凹溝15に上記遮水シート7の外縁部7aが嵌め込まれ、この遮水シート7の外縁部7aは断面がU字形状とされている。そして、この遮水シート7の外縁部7aの内部にコンクリートが打設され、これが上記固定具8とされる。
【0037】
また、図示しないが、上記遮水シート7の外縁部7aを形成している上、下層シート11,12の両端縁部は、その断面が袋形状となるよう強固に接合される。もしくは、上記上、下層シート11,12の両端縁部の間にアスファルトマスチックといわれる遮水材が熱溶融状態で注入され、その後固化されて、上記両端縁部が互いに強固に一体化される。
【0038】
上記埋立域4の底面6を形成する地盤3の内部に埋入され、この地盤3内に生じる水を廃棄物処分場1の外部に排水する排水パイプ16が設けられている。また、遮水シート7の凹所9に生じた水を廃棄物処分場1の外部に排水する他の排水パイプ17が設けられている。また、上記遮水シート7の凹所9で廃棄物2から生じるガス19を廃棄物処分場1の外部に排気するガス抜きパイプ20が設けられている。
【0039】
上記排水パイプ16と、廃棄物2に埋入される上記ガス抜きパイプ20の各管壁の各部分にはその内外を連通させて水やガスを通過させる小孔が多数形成されている。また、これら小孔の目詰まりを防止するために、上記各パイプ16,20を全体的に覆う砂、小石等で構成された通水、通気性被覆材21が設けられている。
【0040】
上記遮水シート7の凹所9に廃棄物2を投入して、埋立てを行う場合に、この埋立てを補助する埋立て補助装置23が設けられている。この埋立て補助装置23は、上記遮水シート7の内側に圧縮空気24を送り込んで、この遮水シート7を外方に膨出(図1中一点鎖線)可能とさせる送風装置25を備えている。この送風装置25は、送風機26と、この送風機26から吐出される圧縮空気24を上記遮水シート7の内側であるこの遮水シート7と法面5との間の空間27などに送り込む送風パイプ28と、図示しないが、上記空間27内の圧縮空気24の圧力が所定圧以下に維持されるよう上記圧縮空気24の圧力を調整する調圧弁(リリーフ弁)とを備えている。
【0041】
また、上記送風パイプ28は、上記送風機26の吐出口から上記空間27に直接連通する第1パイプ30と、上記吐出口から上記排水パイプ16に連通し、この排水パイプ16を利用して上記空間27に連通する第2パイプ31と、上記吐出口から上記ガス抜きパイプ20に連通する第3パイプ32とを備えている。
【0042】
また、上記第1〜第3パイプ30〜32にはそれぞれバルブ33が取り付けられている。そして、これらバルブ33のうち、少なくともいずれか1つのバルブ33を開弁させれば、開弁したバルブ33と、これに連通するパイプとを通し、圧縮空気24が上記空間27やガス抜きパイプ20に対し選択的に送り込まれる。
【0043】
上記送風装置25により上記遮水シート7の内側である空間27に圧縮空気24を送り込めば、図1中一点鎖線で示すように上記遮水シート7がその外方に膨出可能とされている。
【0044】
ここで、上記法面5に敷設された遮水シート7が熱膨張して弛み7bが生じるとき、この遮水シート7の各部の自重により、上記法面傾斜面部5bの下部側に位置する遮水シート7の下部に上記弛み7bが集中的に大きく生じがちとなる。
【0045】
そこで、上記のように遮水シート7に弛み7bが生じた場合において、上記埋立域4に廃棄物2を投入する際には、上記送風装置25により上記遮水シート7の内側である空間27に圧縮空気24を送り込んで、図1中一点鎖線で示すように上記遮水シート7を外方に膨出させ、上記弛み7bを除去する。
【0046】
そして、上記のように弛み7bを除去した状態で、上記埋立域4に廃棄物2を投入してやれば(図1,2中二点鎖線)、投入された廃棄物2が弛み7bに荷重Lを与えて上記法面5の上部側に位置する遮水シート7の上部を下方に引張し、この上部に大きい引張応力を生じさせる、ということは防止される。よって、上記遮水シート7が早期に損傷することが防止されて、遮水シート7の寿命の向上が達成される。
【0047】
また、上記遮水シート7の上部に生じる引張応力が小さく抑制される分、上記遮水シート7の外縁部7aを上記埋立域4の外縁部(法面肩部5a)に固定する固定具8をより小型かつ軽量にでき、つまり、廃棄物処分場1の構成を、より簡単にできる。
【0048】
ここで、上記廃棄物処分場1における遮水シート7は極めて面積が広いものである。このため、この遮水シート7のいずれかの部位に貫通傷が生じているとしても、これを目視で発見することは極めて困難である。
【0049】
しかし、上記したように、遮水シート7を外方に膨出させて弛み7bを除去しようとして、上記空間27に圧縮空気24を送り込むとき、仮に、上記遮水シート7に貫通傷が生じているとすると、この貫通傷を通し上記圧縮空気24の少なくとも一部分は外部に排出される。
【0050】
このため、上記したように遮水シート7を膨出させる際、第1に、この遮水シート7に所望の膨出状態が得られるなくなることから、上記貫通傷が発生していることが感知される。また、第2に、上記貫通傷の発生位置は、上記した圧縮空気24の排出に伴う水煙、塵埃飛散の発生や、石けん水を用いたことによる泡の発生により検知される。よって、上記した遮水シート7の膨出による弛み7bの除去作業時に、上記貫通傷の発見と、その閉塞のための補修とを容易かつ確実にすることができて、埋立域4への廃棄物2の埋立作業上極めて有益である。
【0051】
なお、上記埋立域4への廃棄物2の投入を中断や中止する場合には、上記送風装置25を停止させればよい。
【0052】
また、前記したように、地盤3内の水を廃棄物処分場1の外部に排水する排水パイプ16を設けた廃棄物処分場において、
上記排水パイプ16と被覆材21とを通し上記圧縮空気24を上記遮水シート7の内側である空間27に送り込むようにしている。
【0053】
このため、上記遮水シート7の内側に上記圧縮空気24を送り込むために、排水パイプ16が利用された分、上記埋立て補助装置23の構成を、より簡単にできる。
【0054】
一方、上記埋立域4への廃棄物2の投入により、遮水シート7の凹所9内には水を含む廃棄物2が貯留されることとなる。そして、この場合、上記廃棄物2には嫌気性生物が発生して無用なガスが生じがちとなる。そこで、上記ガス抜きパイプ20と第3パイプ32との利用により、上記遮水シート7の凹所9内の廃棄物2に圧縮空気24が送り込み可能とされている。そして、この圧縮空気24の送り込みによれば、上記廃棄物2の酸素濃度が向上して、好気性生物が発生し、上記した無用なガスの発生が防止される。
【0055】
なお、以上は図示の例によるが、上記送風機26から延出する第1パイプ30は、一旦地盤3に埋入し、その延出端をこの地盤3側から上記空間27に開口させてもよい。
【0056】
以下の図3,4は、実施例2,3を示している。これら実施例2,3は、前記実施例1と構成、作用効果において多くの点で共通している。そこで、これら共通するものについては、図面に共通の符号を付してその重複した説明を省略し、異なる点につき主に説明する。また、これら実施例における各部分の構成を、本発明の目的、作用効果に照らして種々組み合せてもよい。
【実施例2】
【0057】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例2を添付の図3に従って説明する。
【0058】
図3において、遮水シート7が上、下層シート11,12を備えて袋形状とされ、遮水シート7の内側であるこれら上、下層シート11,12の間の空間14に上記圧縮空気24が送り込まれることとされている。
【0059】
ここで、上記上、下層シート11,12の間の空間14は密閉状とされるものである。このため、上記遮水シート7を外方に膨出させるための圧縮空気24は、上記空間14の外部への無用な漏出が防止されて、上記圧縮空気24の量を必要最小限に近づけることができる。よって、その分、上記送風装置25の送風機26の容量を、より小さくできて、埋立て補助装置23の構成を更に簡単にできる。
【0060】
なお、上記の場合、送風装置25の送風パイプ28を上記各遮水ユニット13の空間14にそれぞれ個別に連結して、バルブを用いることにより、これら空間14に圧縮空気24を個別に選択的に送り込み可能としてもよい。
【0061】
このようにすれば、上記遮水シート7における所望の部位の遮水ユニット13を選択的に膨出させることができる。よって、その分、上記送風装置25の送風機26の容量を、更に小さくできて、埋立て補助装置23の構成を更に簡単にできる。
【実施例3】
【0062】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例3を添付の図4に従って説明する。
【0063】
図4において、法面5の上部である法面肩部5aと、この法面肩部5aに対面する上記遮水シート7の外縁部7aとの間に、上記圧縮空気24の注入によって膨張可能なチューブ36が介設されている。
【0064】
そして、上記埋立域4に廃棄物2を投入する場合には、上記送風装置25により、上記遮水シート7の内側である上記チューブ36に圧縮空気24を送り込んで膨張させる。すると、この膨張したチューブ36により、図4中一点鎖線で示すように上記遮水シート7が外方に膨出させられ、上記弛み7bが除去される。
【0065】
ここで、上記チューブ36内の空間は密閉状であると共に、その容積は小さいものである。このため、上記圧縮空気24の量は少量で足りる。よって、その分、上記送風装置25の送風機26の容量を、更に小さくできて、埋立て補助装置23の構成を更に簡単にできる。
【0066】
なお、以上は図示の例によるが、上記法面5の法面傾斜面部5bの上端部と上記遮水シート7の外縁部7aとの間に上記チューブ36を介設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例1を示し、図2の部分拡大断面図である。
【図2】実施例1を示し、廃棄物処分場の側面断面図である。
【図3】実施例2を示し、図1に相当する図である。
【図4】実施例3を示し、図1に相当する図である。
【符号の説明】
【0068】
1 廃棄物処分場
2 廃棄物
3 地盤
4 埋立域
5 法面
5a 法面肩部
5b 法面傾斜面部
6 底面
7 遮水シート
7a 外縁部
7b 弛み
8 固定具
9 凹所
11 上層シート
12 下層シート
13 遮水ユニット
14 空間
16 排水パイプ
17 他の排水パイプ
19 ガス
20 ガス抜きパイプ
23 埋立て補助装置
24 圧縮空気
25 送風装置
26 送風機
27 空間
28 送風パイプ
36 チューブ
L 荷重

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に形成され、上方に向かって開口する凹形状の廃棄物用埋立域と、この埋立域の縁部の法面に敷設される遮水シートとを備えた廃棄物処分場において、
上記遮水シートの内側に圧縮空気を送り込んで、この遮水シートを外方に膨出可能とさせる送風装置を設け、上記埋立域に廃棄物を投入する際、上記遮水シートを膨出させて、この遮水シートの弛みを除去可能にしたことを特徴とする廃棄物処分場における埋立補助装置。
【請求項2】
上記地盤内の水を廃棄物処分場の外部に排水する排水パイプを設けた廃棄物処分場において、
上記排水パイプを通し上記圧縮空気を上記遮水シートの内側に送り込むようにしたことを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処分場における埋立補助装置。
【請求項3】
上記遮水シートが上、下層シートを備えて袋形状とされ、これら上、下層シートの間の空間に上記圧縮空気を送り込むようにしたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の廃棄物処分場における埋立補助装置。
【請求項4】
上記法面の上部と、この法面の上部に対面する上記遮水シートの外縁部との間に、上記圧縮空気の注入によって膨張可能なチューブを介設したことを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処分場における埋立補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−125413(P2010−125413A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304459(P2008−304459)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】