説明

廃棄物埋立設備、およびこの設備を用いた廃棄物埋立方法

【課題】廃棄物埋立用の凹所内に対し、車両の出入りを可能とさせる傾斜道路を形成する場合において、凹所の容積が上記傾斜道路によって無用に狭められるということを防止し、廃棄物による埋立用として凹所の全体を、より有効に利用できるようにする。
【解決手段】廃棄物埋立設備において、上方に向かって開口し廃棄物2により埋め立て可能とされる凹所3が地面4に形成される。凹所3の開口縁部16から凹所3の内底面9に向かって走行面15が下傾する車両13走行用の傾斜道路14が凹所3の一部分12に形成される。傾斜道路14が、凹所3の内底面9上に除去可能に積み上げられた複数の軽量ブロック24により形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面に形成された凹所内に廃棄物が廃棄されて、上記凹所内が廃棄物で埋め立てられるようにした廃棄物埋立設備、およびこの設備を用いた廃棄物埋立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記廃棄物埋立設備には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、上方に向かって開口し廃棄物により埋め立て可能とされる凹所が地面に形成され、上記凹所の開口縁部からこの凹所の内底面に向かって走行面が下傾する車両走行用の傾斜道路が上記凹所の一部分に形成されている。
【0003】
上記廃棄物埋立設備に廃棄処分される廃棄物は、地面上から上記凹所内に対し上記傾斜道路の走行面を通って出入りする車両により、上記凹所内に搬送される。この凹所内に搬送された廃棄物は、地面上から上記凹所内に対し出入りするブルドーザやローラなど重機により敷き均され、かつ、押し固められる。このようにして、廃棄物による凹所の埋立作業が進められる。
【0004】
以下、上記凹所が満杯になるまで、上記埋立作業が繰り返されて、上記凹所が廃棄物により埋め立てられる。これにより、廃棄物埋立設備において廃棄物が廃棄処分される。
【特許文献1】登録実用新案公報第3040303号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の技術では、傾斜道路は上記凹所の内側面である法面の一部により形成されている。ここで、上記傾斜道路の走行面は車両走行用のものであって、この車両の走行が円滑にできるようにするため、上記内底面に対する走行面の傾斜角はある程度小さくさせてやる必要がある。
【0006】
しかし、上記凹所の深さが所定寸法とされた状態で、上記のように走行面の傾斜角を小さくすると、その分、上記傾斜道路の体積が大きくなる。このため、この傾斜道路により、上記凹所の容積が狭められて廃棄物の埋立用の容積が無用に狭くなり、つまり、廃棄物の埋立用として上記凹所を有効には利用できないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、廃棄物埋立用の凹所内に対し、車両の出入りを可能とさせる傾斜道路を形成する場合において、上記凹所の容積が上記傾斜道路によって無用に狭められるということを防止し、廃棄物による埋立用として上記凹所の全体を、より有効に利用できるようにすることである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、前記した凹所の有効利用を可能にさせるための作業が容易にできるようにすることである。
【0009】
請求項1の発明は、上方に向かって開口し廃棄物2により埋め立て可能とされる凹所3が地面4に形成され、上記凹所3の開口縁部16からこの凹所3の内底面9に向かって走行面15が下傾する車両13走行用の傾斜道路14が上記凹所3の一部分12に形成された廃棄物埋立設備において、
上記傾斜道路14が、上記凹所3の内底面9上に除去可能に積み上げられた複数の軽量ブロック24により形成されたことを特徴とする廃棄物埋立設備である。
【0010】
請求項2の発明は、上記凹所3の内側面10のうち、一部内側面19とほぼ平行に延びるよう上記凹所3の内底面9から上方に向かって突出する仕切壁20が設けられ、上記一部内側面19と仕切壁20との間に形成され、上方に向かって開口する空間21に上記軽量ブロック24が除去可能に充填されると共に積み上げられて、上記傾斜道路14が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の廃棄物埋立設備である。
【0011】
請求項3の発明は、地面4に沿った一方向Aに上記凹所3が複数並ぶよう形成され、平面視(図3)で、これら凹所3内のそれぞれ上記一方向Aにおける各一部分12に上記傾斜道路14が形成可能とされ、上記一方向Aに向かって移動し、上記各凹所3のうちの一つの凹所3をその上方から選択的に施蓋可能とする上屋31が設けられた廃棄物埋立設備において、
上記上屋31の移動により、この上屋31が、上記一つの凹所3(A)の上記一部分12を除く他部分33と、この凹所3(A)に隣接する他の凹所3(B)の上記一部分12とを一体的にその上方から施蓋可能としたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の廃棄物埋立設備である。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3に記載の廃棄物埋立設備を用いた廃棄物埋立方法であって、
上記一つの凹所3(A)を上記上屋31が施蓋した状態で、上記凹所3(A)の上記一部分12に形成された傾斜道路14を解体し、この傾斜道路14を形成していた各軽量ブロック24を上記凹所3(A)の他部分33に仮置きし(図3中、二点鎖線)、
上記状態から、上記一つの凹所3(A)の他部分33と、この凹所3(A)に隣接する他の凹所3(B)の上記一部分12とを上記上屋31により一体的に施蓋させ(図3中、二点鎖線)、
上記一つの凹所3(A)の他部分33に仮置きした上記各軽量ブロック24を用いて上記他の凹所3(B)の上記一部分12に傾斜道路14を形成するようにしたことを特徴とする廃棄物埋立方法である。
【0013】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0014】
本発明による効果は、次の如くである。
【0015】
請求項1の発明は、上方に向かって開口し廃棄物により埋め立て可能とされる凹所が地面に形成され、上記凹所の開口縁部からこの凹所の内底面に向かって走行面が下傾する車両走行用の傾斜道路が上記凹所の一部分に形成された廃棄物埋立設備において、
上記傾斜道路が、上記凹所の内底面上に除去可能に積み上げられた複数の軽量ブロックにより形成されている。
【0016】
ここで、基本的には、上記傾斜道路を利用する車両により廃棄物を凹所内に搬送することによって、この凹所の埋立作業は円滑にできる。そして、上記したように傾斜道路は軽量ブロックにより形成されている。このため、上記埋立作業の途中において、上記傾斜道路を解体し除去することは容易にできる。よって、上記傾斜道路の除去により生じる空間は、廃棄物により埋め立て可能とされる。
【0017】
即ち、廃棄物埋立用の凹所内に対し、車両の出入りを可能とさせる傾斜道路を形成する場合において、上記凹所の容積が上記傾斜道路によって無用に狭められるということが防止され、廃棄物による埋立用として、上記凹所の全体がより有効に利用可能とされる。
【0018】
請求項2の発明は、上記凹所の内側面のうち、一部内側面とほぼ平行に延びるよう上記凹所の内底面から上方に向かって突出する仕切壁が設けられ、上記一部内側面と仕切壁との間に形成され、上方に向かって開口する空間に上記軽量ブロックが除去可能に充填されると共に積み上げられて、上記傾斜道路が形成されている。
【0019】
このため、上記凹所内に傾斜道路を形成しようとして、上記空間に各軽量ブロックを設置する際、上記各軽量ブロックが不意に崩れるということは、上記一部内側面と仕切壁とによって防止される。また、上記傾斜道路を解体して各軽量ブロックを上記空間から除去する際、この空間の周りに埋め立てられた廃棄物が上記空間内に向かって不意に崩れるということも、上記一部内側面と仕切壁とによって防止される。よって、上記凹所内への傾斜道路の設置やこの傾斜道路の解体除去の作業が容易にできる。つまり、前記した凹所の有効利用を可能にさせるための作業は容易にできる。
【0020】
また、上記したように、空間の形成のために上記凹所の内側面のうちの一部内側面を利用している。このため、上記空間を用いての傾斜道路の設置や解体除去の作業は、簡単な構成により達成でき、かつ、より容易にできる。
【0021】
請求項3の発明は、地面に沿った一方向に上記凹所が複数並ぶよう形成され、平面視で、これら凹所内のそれぞれ上記一方向における各一部分に上記傾斜道路が形成可能とされ、上記一方向に向かって移動し、上記各凹所のうちの一つの凹所をその上方から選択的に施蓋可能とする上屋が設けられた廃棄物埋立設備において、
上記上屋の移動により、この上屋が、上記一つの凹所の上記一部分を除く他部分と、この凹所に隣接する他の凹所の上記一部分とを一体的にその上方から施蓋可能としている。
【0022】
このため、次の作用効果が生じる。即ち、上記一つの凹所を上記上屋が施蓋した状態で、上記一つの凹所の一部分に形成された傾斜道路を解体し、この傾斜道路を形成していた上記各軽量ブロックを上記凹所の他部分に仮置きしたとする。そして、この状態から、上記凹所の他部分と、この凹所に隣接する他の凹所の上記一部分とを上記上屋により一体的にその上方から施蓋させる。すると、上記一つの凹所の他部分に仮置きした上記各軽量ブロックを用いて上記他の凹所の上記一部分に新たに傾斜道路を形成することは、上記上屋により雨水や風を避けながら容易にできる。よって、この点でも前記した凹所の有効利用を可能にさせるための作業が容易にできる。
【0023】
請求項4の発明は、請求項3に記載の廃棄物埋立設備を用いた廃棄物埋立方法であって、上記請求項3と同様の効果が生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の廃棄物埋立設備に関し、廃棄物埋立用の凹所内に対し、車両の出入りを可能とさせる傾斜道路を形成する場合において、上記凹所の容積が上記傾斜道路によって無用に狭められるということを防止し、廃棄物による埋立用として上記凹所の全体を有効に利用できるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
【0025】
即ち、廃棄物埋立設備において、上方に向かって開口し廃棄物により埋め立て可能とされる凹所が地面に形成され、上記凹所の開口縁部からこの凹所の内底面に向かって走行面が下傾する車両走行用の傾斜道路が上記凹所の一部分に形成されている。上記傾斜道路が、上記凹所の内底面上に除去可能に積み上げられた複数の軽量ブロックにより形成されている。
【実施例】
【0026】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0027】
図において、符号1は、産業廃棄物などの廃棄物2が廃棄されて埋め立て可能とされる廃棄物埋立設備である。また、説明の便宜上、矢印Frの方向を前方とし、下記する左右とは上記前方に向かっての方向をいうものとする。
【0028】
上記廃棄物埋立設備1において、上方に向かって開口し、廃棄物2により埋め立てられる複数(3つ)の凹所3が地面4に形成されている。上記各凹所3は、互いに同形同大であって、前後に長い直方体形状をなしている。また、これら各凹所3は、地面4に沿った左右方向での一方向Aで、第1〜第3凹所3(A)〜3(C)の順序、かつ、等ピッチで並設されている。これら凹所3をその上方から覆って上記凹所3内への雨水の浸入や風の影響を防止する施蓋装置7が設けられている。
【0029】
上記各凹所3の内底面9は、平面視(図3)で、それぞれ前後に長い平坦な長方形状とされている。また、これら各凹所3の内側面10はほぼ垂直に平坦に延び、凹所3の各部における深さは互いにほぼ同じとされている。
【0030】
平面視(図3)で、上記各凹所3内のそれぞれ上記一方向Aにおける一端部である一部分12に、車両13の走行用の傾斜道路14が形成可能とされる。この傾斜道路14の上面である車両13の走行面15は、上記各凹所3の後端部の開口縁部16から上記凹所3の内底面9に向かうと共に、直線的に前下方に向って傾斜している。具体的には、上記開口縁部16は地面4上に形成され、上記走行面15の下端は、上記凹所3の内底面9の前後方向の中途部に位置している。
【0031】
上記各凹所3の内側面10のうち、これら各凹所3の上記一部分12における一部内側面19とほぼ平行に延びるよう上記各凹所3の内底面9から上方に向かって突出するコンクリート製の仕切壁20が設けられている。この仕切壁20の上端縁は上記走行面15とほぼ同じ高さで、直線的に前下方に向かって傾斜している。上記一部内側面19、仕切壁20、およびこれら19,20の間に挟まれた内底面9の部分の間には上方に向かって開口する空間21が形成されている。
【0032】
上記一方向Aで並設された第1〜第3凹所3(A)〜3(C)のうち、第1凹所3(A)における上記空間21に上記傾斜道路14が形成されている。この傾斜道路14は、所定形状をなした複数の軽量ブロック24により主構成されている。これら各軽量ブロック24は、上記空間21内に除去可能に充填されると共に、上記内底面9に千鳥状に安定して積み上げられている。上記各軽量ブロック24は、例えば、高さ×幅×長さ=0.5×1.0×2.0mであり、かつ、10〜15kg/1個であって、人により持ち運び可能な直方体形状の発泡スチロールなど樹脂(EPS)製とされている。また、各軽量ブロック24は、耐水性も有している。
【0033】
上記のように積み上げられた軽量ブロック24の上面には、側面視(図1)で、直角三角形状の複数の上面ブロック25が列設されている。これら上面ブロック25の上面は全体的に平滑とされ、前下方に向かって傾斜している。これら各上面ブロック25は上記軽量ブロック24と同じ樹脂製とされている。なお、上記上面ブロック25は上記軽量ブロック24よりも強度を大きくする点で、鉄筋コンクリート成形品としてもよく、また、上面ブロック25に代えて土砂を用いてもよい。
【0034】
また、上記各上面ブロック25の上面に複数枚の鉄板製の表面板26が列状に敷設されて、上記走行面15が形成される。上記各表面板26は締結具により互いに連結されている。これにより、上記走行面15を走行する車両13の荷重が上記軽量ブロック24や上面ブロック25の一部に集中することが防止される。
【0035】
上記傾斜道路14の形成は、地面4上におけるクレーンや、このクレーンにより上記凹所3の内底面9上に降ろされたバックホー、ブルドーザ、ローラなど各種重機により行われる。
【0036】
前記施蓋装置7は、上記各凹所3の前、後端部の開口縁部16にそれぞれ設置され、上記一方向Aに向かって互いに平行に延びる一対のレール29,29と、これらレール29,29上を転動する車輪30により上記一方向Aに往復移動可能とされるテント製の上屋31とを備えている。この上屋31の後面には車両13の出入口32が形成されている。そして、上記上屋31は、上記各凹所3のうちいずれか一つを、選択的にその上方から全体的に施蓋可能とする。
【0037】
図例では、上記上屋31の棟は前後方向に延びているが、この上屋31の強度上の理由などにより、その棟を上記一方向Aに延びるようにしてもよい。また、図例では、この上屋31は車輪30を有する可動式としたが、コロなどにより移動可能としてもよく、その動力は電動機や油圧シリンダを用いることができる。また、上記レール29に代え、上記上屋31を着脱可能に支持する基礎を地面4に設け、かつ、上屋31を、その解体、組立が重機を用いることなどにより、容易にできる構造としてもよい。このようにすれば、この上屋31は、その解体、組立の繰り返しにより、上記一方向Aの所望位置に向けて往復移動可能にされると共に、基礎上の所望位置に設置可能とされる。
【0038】
また、図3中、二点鎖線で示すように、上記上屋31は、上記一方向Aへの移動により、上記各凹所3のうち、ある一つの凹所3(A)の上記一部分12を除く他部分33と、この凹所3(A)に隣接する他の凹所3(B)の上記一部分12とを一体的にその上方から施蓋可能とする。
【0039】
上記廃棄物埋立設備1に廃棄処分される廃棄物2は、まず、地面4上から第1凹所3(A)内に対し、上記傾斜道路14の走行面15を通って出入りする車両13により、上記第1凹所3(A)内に搬送される。この場合、上記施蓋装置7の上屋31は、上記第1凹所3(A)をその上方から施蓋している。この第1凹所3(A)内に搬送された廃棄物2は、地面4上から上記第1凹所3(A)内に対し出入りするブルドーザやローラなど重機により敷き均され、かつ、押し固められる。このようにして、廃棄物2による第1凹所3(A)の埋立作業が進められる。
【0040】
上記埋立作業の途中において、上記第1凹所3(A)を埋め立てた廃棄物2を用いることにより、この第1凹所3(A)の上記一部分12以外の他部分33に、上記傾斜道路14とほぼ同構成の他の傾斜道路34が形成される。そして、この他の傾斜道路34を利用することにより、更に上記埋立作業が進められる。
【0041】
上記埋立作業の進行により、上記第1凹所3(A)の他部分33の一部が廃棄物2によってある程度埋め立てられたとき、重機や人力作業により上記傾斜道路14が解体されて、上記空間21内から各軽量ブロック24と表面板26とが除去される。これら24,26は上記他部分33の一部を埋め立てた廃棄物2上に仮置きされる(図3中、二点鎖線)。そして、上記解体により開放された上記空間21と、上記他の傾斜道路34の周りやこの他の傾斜道路34の上方の各空間がこの他の傾斜道路34を利用して、順次、廃棄物2により埋め立てられる。
【0042】
次に、図3中、二点鎖線で示すように、上記上屋31の一方向Aへの移動により、上記第1凹所3(A)の他部分33と、この第1凹所3(A)に隣接する第2凹所3(B)の一部分12とが一体的にその上方から上記上屋31により施蓋される。この状態で、前記と同様に、各種重機により、上記第1凹所3(A)の他部分33の一部における廃棄物2上の各軽量ブロック24と表面板26とを、上記第2凹所3(B)の上記一部分12における上記空間21に充填して、上記傾斜道路14を形成する。
【0043】
以下、上記各凹所3が満杯になるまで、上記埋立作業が繰り返されて、上記各凹所3が廃棄物2により埋め立てられる。これにより、廃棄物埋立設備1において廃棄物2が廃棄処分される。
【0044】
上記構成によれば、傾斜道路14が、凹所3の内底面9上に除去可能に積み上げられた複数の軽量ブロック24により形成されている。
【0045】
ここで、基本的には、上記傾斜道路14を利用する車両13により廃棄物2を凹所3内に搬送することによって、この凹所3の埋立作業は円滑にできる。そして、上記したように傾斜道路14は軽量ブロック24により形成されている。このため、上記埋立作業の途中において、上記傾斜道路14を解体し除去することは容易にできる。よって、上記傾斜道路14の除去により生じる空間21は、廃棄物2により埋め立て可能とされる。
【0046】
即ち、廃棄物2埋立用の凹所3内に対し、車両13の出入りを可能とさせる傾斜道路14を形成する場合において、上記凹所3の容積が上記傾斜道路14によって無用に狭められるということが防止され、廃棄物2による埋立用として、上記凹所3の全体がより有効に利用可能とされる。
【0047】
また、前記したように、凹所3の内側面10のうち、一部内側面19とほぼ平行に延びるよう上記凹所3の内底面9から上方に向かって突出する仕切壁20が設けられ、上記一部内側面19と仕切壁20との間に形成され、上方に向かって開口する空間21に上記軽量ブロック24が除去可能に充填されると共に積み上げられて、上記傾斜道路14が形成されている。
【0048】
このため、上記凹所3内に傾斜道路14を形成しようとして、上記空間21に各軽量ブロック24を設置する際、上記各軽量ブロック24が不意に崩れるということは、上記一部内側面19と仕切壁20とによって防止される。また、上記傾斜道路14を解体して各軽量ブロック24を上記空間21から除去する際、この空間21の周りに埋め立てられた廃棄物2が上記空間21内に向かって不意に崩れるということも、上記一部内側面19と仕切壁20とによって防止される。よって、上記凹所3内への傾斜道路14の設置やこの傾斜道路14の解体除去の作業は容易にできる。つまり、前記した凹所3の有効利用を可能にさせるための作業が容易にできる。
【0049】
また、上記したように、空間21の形成のために上記凹所3の内側面10のうちの一部内側面19を利用している。このため、上記空間21を用いての傾斜道路14の設置や解体除去の作業は、簡単な構成により達成でき、かつ、より容易にできる。
【0050】
また、前記したように、地面4に沿った一方向Aに上記凹所3が複数並ぶよう形成され、平面視(図3)で、これら凹所3内のそれぞれ上記一方向Aにおける各一部分12に上記傾斜道路14が形成可能とされ、上記一方向Aに向かって移動し、上記各凹所3のうちの一つの凹所3をその上方から選択的に施蓋可能とする上屋31が設けられた廃棄物埋立設備において、
上記上屋31の移動により、この上屋31が、上記一つの凹所3(A)の上記一部分12を除く他部分33と、この凹所3(A)に隣接する他の凹所3(B)の上記一部分12とを一体的にその上方から施蓋可能としている。
【0051】
このため、次の作用効果が生じる。即ち、上記一つの凹所3(A)を上記上屋31が施蓋した状態で、上記一つの凹所3(A)の一部分12に形成された傾斜道路14を解体し、この傾斜道路14を形成していた上記各軽量ブロック24を上記凹所3(A)の他部分33に仮置きしたとする。そして、この状態から、上記凹所3(A)の他部分33と、この凹所3(A)に隣接する他の凹所3(B)の上記一部分12とを上記上屋31により一体的にその上方から施蓋させる。すると、上記一つの凹所3(A)の他部分33に仮置きした上記各軽量ブロック24を用いて上記他の凹所3(B)の上記一部分12に新たに傾斜道路14を形成することは、上記上屋31により雨水や風を避けながら容易にできる。よって、この点でも、前記した凹所3の有効利用を可能にさせるための作業が容易にできる。
【0052】
なお、以上は図示の例によるが、凹所3は平面視で矩形に限定されるものではなく、また、各凹所3は互いに形状が相違していてもよい。また、上記一方向Aは、湾曲していてもよい。また、上記クレーンによる吊り上げを容易にするため、上記軽量ブロック24や上面ブロック25にフックなどを取り付けておいてもよい。
【0053】
また、上記傾斜道路14は、平面視で、L字形状やコの字形状に屈曲していてもよい。また、上記空間21は、互いに離れて対面する一対の仕切壁20,20により形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】廃棄物埋立設備の側面断面図である。
【図2】廃棄物埋立設備の斜視図である。
【図3】廃棄物埋立設備の平面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 廃棄物埋立設備
2 廃棄物
3 凹所
4 地面
7 施蓋装置
9 内底面
10 内側面
12 一部分
13 車両
14 傾斜道路
15 走行面
16 開口縁部
19 一部内側面
20 仕切壁
21 空間
24 軽量ブロック
25 上面ブロック
31 上屋
33 他部分
34 他の傾斜道路
A 一方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に向かって開口し廃棄物により埋め立て可能とされる凹所が地面に形成され、上記凹所の開口縁部からこの凹所の内底面に向かって走行面が下傾する車両走行用の傾斜道路が上記凹所の一部分に形成された廃棄物埋立設備において、
上記傾斜道路が、上記凹所の内底面上に除去可能に積み上げられた複数の軽量ブロックにより形成されたことを特徴とする廃棄物埋立設備。
【請求項2】
上記凹所の内側面のうち、一部内側面とほぼ平行に延びるよう上記凹所の内底面から上方に向かって突出する仕切壁が設けられ、上記一部内側面と仕切壁との間に形成され、上方に向かって開口する空間に上記軽量ブロックが除去可能に充填されると共に積み上げられて、上記傾斜道路が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の廃棄物埋立設備。
【請求項3】
地面に沿った一方向に上記凹所が複数並ぶよう形成され、平面視で、これら凹所内のそれぞれ上記一方向における各一部分に上記傾斜道路が形成可能とされ、上記一方向に向かって移動し、上記各凹所のうちの一つの凹所をその上方から選択的に施蓋可能とする上屋が設けられた廃棄物埋立設備において、
上記上屋の移動により、この上屋が、上記一つの凹所の上記一部分を除く他部分と、この凹所に隣接する他の凹所の上記一部分とを一体的にその上方から施蓋可能としたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の廃棄物埋立設備。
【請求項4】
請求項3に記載の廃棄物埋立設備を用いた廃棄物埋立方法であって、
上記一つの凹所を上記上屋が施蓋した状態で、上記凹所の上記一部分に形成された傾斜道路を解体し、この傾斜道路を形成していた各軽量ブロックを上記凹所の他部分に仮置きし、
上記状態から、上記一つの凹所の他部分と、この凹所に隣接する他の凹所の上記一部分とを上記上屋により一体的に施蓋させ、
上記一つの凹所の他部分に仮置きした上記各軽量ブロックを用いて上記他の凹所の上記一部分に傾斜道路を形成するようにしたことを特徴とする廃棄物埋立方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−279504(P2009−279504A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133227(P2008−133227)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】