説明

廃薄型テレビのリサイクル方法およびそのためのシステム

【課題】廃薄型テレビのリサイクルにおける移送方法と再資源化システムを提供する。
【解決手段】廃薄型テレビを、消費者から回収する販売店や廃家電品の集積場所において、同じ廃薄型テレビの構成部材であることを表示するラベル(たとえばリサイクル券)を少なくともスタンドと表示部を含む本体に添付した後に、それぞれの部材に分離して、それぞれの部材ごとに容器に分別収納して搬送することにより、パネルガラスや蛍光管が割れる可能性を少なくする。さらに、分離したスタンドと本体を収納する容器に同じラベルを付けることにより、リサイクル処理が適正に行える。また、リサイクル工場において、この容器のラベルを確認後、廃薄型テレビ表面の本体とスタンドのラベルを複数識別後、解体作業を開始することとなり、廃薄型テレビが適正に再資源化処理されていることがトレースできる廃薄型テレビのリサイクルシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃薄型テレビをリサイクルする方法に適用され、特に廃薄型テレビをリサイクル工場へ安全に搬送し、当該工場で廃薄型テレビの再資源化の適正処理が実施されていることを裏付けする廃薄型テレビのリサイクル方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会における生産・消費活動全般について一般廃棄物や産業廃棄物が増加し、不法投棄や埋立地逼迫など地球環境問題が注目を集め、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済システムから資源循環型経済システムへの転換が社会的に重要な課題となっている。
【0003】
このような状況を受けて、たとえば2001年4月には家電リサイクル法が施行され、エアコン、テレビ、冷蔵庫(冷凍庫)、洗濯機の家電4品目のリサイクルが義務付けられ、それぞれの再商品化率については、エアコン60%以上、テレビ55%以上、冷蔵庫(冷凍庫)50%以上、洗濯機50%以上の法定基準値が定められている。
【0004】
これら家電4品目においては、関係者の鋭意努力のもと、法律施行当初に比べリサイクルが格段に進んでいる。現在、家電4品目に使用されている鉄、銅、アルミなどの金属はもとより、プラスチックについてもリサイクルが拡大しつつある。また、テレビにおいては、CRT(Cathode Ray Tube)のガラスを切断して電子銃や蛍光体を除去した後、ガラスカレットとして元のCRT用ガラスに再生使用するリサイクル技術が既に実用化されている。
【0005】
ところで、近年、薄型テレビが急速に普及しているため、環境との共存が期待される循環型社会の形成の中、廃薄型テレビについてもリサイクルし、資源を有効に利用することが要望されている。
【0006】
さらに、薄型テレビがリサイクル対象品目として追加される見込みとなってきたため、解体を容易にすることを目的として、液晶テレビにおいては、バックライト(蛍光管)とインバータ基板、ランプ支持枠などをユニット化したバックライト(蛍光管)構造が、たとえば特開2004−342550号公報(特許文献1)に提案されている。
【0007】
他にも、液晶パネルガラスのリサイクル方法として、パネルガラスを破砕して、非鉄精錬の珪石代替材料として利用する方法が特開2001−305502号公報(特許文献2)に提案されている。
【0008】
さらに、製品の一部に解体方法や使用材料の情報をバーコードで表示して、リサイクル工場の解体工程入口でバーコードを読み取り、表示内容に従い解体作業を添加する方法が特開平6−168253号公報に記載されている。
【0009】
また、上述した特許文献1〜3のいずれにも、廃薄型テレビをリサイクル工場に安全に輸送して再資源化するという記載はない。
【特許文献1】特開2004−342550号公報
【特許文献2】特開2001−305502号公報
【特許文献3】特開平6−168253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
薄型テレビは、省電力・省資源に貢献できる表示装置であるので、今後、高度情報化社会の進展に伴って、急激に生産量が増大するとともに、その表示面積も大型化することが予測される。これに伴って、今後、廃棄される薄型テレビも、数・量ともに急激に増大すると予想される。
【0011】
現在、薄型テレビの適正な処理方法が確立されておらず、CRT(Cathode Ray Tube)その他の家電製品や部品と比較して技術確立などが遅れているのが実情である。したがって、廃薄型テレビの増加に備えた処理方法の確立が早急に要求される。
【0012】
多くの薄型テレビは、表示部を含む本体と、当該本体を支えるスタンドとから構成されている。スタンドは、金属、樹脂成形品などからで構成されているが、本体は金属、樹脂成形品の他にパネルガラス、プリント基板、液晶材料、蛍光管などの部材・部品から構成されている。これら本体を構成する部材・部品は、回収することにより、環境負荷低減、安全性向上が図れる部材・部品が多いにも関わらず、廃棄される薄型テレビを消費者からリサイクル工場まで安全かつ効率的に搬送して、再資源化処理を行なうシステムについては、未だ提案されていない。
【0013】
たとえば、スタンドが付いたままで廃棄される薄型テレビを消費者からリサイクル工場まで運送する場合、以下のような危険性と効率の低さがある。
【0014】
(1)廃薄型テレビの重心は、ほぼ表示部の中心と高い位置にあるので、搬送時の振動で揺れやすい。その結果、他の廃薄型テレビと接触して、パネルガラスを破損する可能性が高い。
【0015】
(2)廃薄型テレビを取り出す時に、スタンドが他の廃薄型テレビの一部に引っ掛かり、他の廃薄型テレビを落下させ、パネルガラスを破損する可能性が高い。
【0016】
(3)図8に示すように、標準的な容器34(横2157mm×縦1720mm×高さ1641mm)に、たとえば37インチ廃液晶テレビ1(スタンドと本体とが一体となった状態での寸法:横933mm×縦304mm×高さ729mm)を2mm厚さの仕切り板33の間に整然と収納すると、1層目では横方向に2台(=2157/(933+2))、縦方向に5台(=1720/(304+2))(図8(a)を参照)、高さ方向には、2層(=1641/(729+2))収納され(図8(b)を参照)、容器34には合計20台(=2×5×2)しか廃薄型テレビが収納できない。
【0017】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、安全かつ多量に廃薄型テレビをリサイクル工場まで搬送する方法、ならびに、廃薄型テレビの再資源化処理が適正に行なえるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、表示部を含む本体と、該本体を支えるスタンドとから構成される廃薄型テレビをリサイクルする方法であって、廃薄型テレビをリサイクル工場に搬送する前に、家電販売店および廃家電品の集積場所から選ばれる少なくともいずれかにおいて、該廃薄型テレビを本体とスタンドとに分離する工程を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法は、廃薄型テレビをリサイクル工場に搬送する前に、廃薄型テレビを構成する本体およびスタンドに同一製品を構成する部材であったことを示す標識を添付する工程を含むことが、好ましい。
【0020】
また本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法は、搬送された廃薄型テレビの本体とスタンドに添付された標識を識別後、解体作業を開始することが、好ましい。
【0021】
本発明はまた、上述した本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法に用いられる廃薄型テレビのリサイクルシステムであって、搬送された廃薄型テレビの本体とスタンドとに添付された標識を検知する検知手段と、検知手段により取得した同一製品を構成する本体とスタンドの標識を識別する手段とを備える廃薄型テレビのリサイクルシステムについても提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法によれば、パネルガラスや蛍光管といった部材から構成された本体を容器に整然と収納し、安定よく搬送するとともに、リサイクル工場で廃薄型テレビを取り出すときに引っ掛からずに取り出すことができるため、パネルガラスや蛍光管を破損しないように搬送できる。その結果、パネルガラス中の液晶材料の飛散、蛍光管中の水銀の飛散といった危険性を低くできるとともに、廃薄型テレビの搬送時や解体時に、パネルガラスや蛍光管ガラスの破片に触って怪我をすることも少なくできるという効果を奏する。
【0023】
さらに、図5および図6に示すように、スタンドを外した状態の上述した37インチ廃薄型テレビを容器31,32(横2157mm×縦1720mm×高さ1641mm)に2mm厚さの仕切り板33の間に整然と収納すると、本体のみ(寸法:横933mm×縦118mm×高さ662mm)を容器31に収納する場合は、図5(a),(b)に示すように、横に2台(=2157/933+2)、縦に14台(=1720/(118+2))、高さ方向に2台(=1641/(662+2))の合計56台(=2×14×2)収納され、スタンド付きの廃薄型テレビの収納台数(20台)の倍以上を収納することができる。
【0024】
一方、37インチ廃薄型テレビのスタンドのみ(寸法:横633mm×縦304mm×高さ250mm)を容器32に収納する場合は、図6(a),(b)のように、横に3台(=2157/(633+2))、縦に5台(=1720/(304+2))、高さ方向に6台(=1641/(250+2))の90台(=3×5×6)収納可能となるが、容器31には本体が56台収納されるので、容器32にも、56台分のスタンドを収納することとする。
【0025】
すなわち、スタンド付きのまま廃薄型テレビを搬送するよりも、2つの容器で16台多く廃薄型テレビを輸送することが可能となる。
【0026】
また本発明の廃薄型テレビのリサイクルシステムによれば、(1)1台の廃薄型テレビを構成していた本体とスタンドに同一標識を添付し、(2)同一標識が添付された本体とスタンドとを分別して、それぞれの容器に収納した後、容器に同一標識を添付し、(3)リサイクル工場において、容器に添付された標識を確認し、本体とスタンドに添付された標識を検知し、本体とスタンドに添付された同一標識を識別した時点で初めて、再商品化率などのデータ処理を開始するように構成することによって、リサイクル処理が適正に実施されていることを裏付けることができるシステムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法の説明に先立ち、本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法に供される廃薄型テレビ1の構造についてまずは説明する。なお、同じく薄型テレビに分類されるプラズマテレビの場合、液晶テレビとはパネル構造が異なるが、主要な構成部品については同様であるため、説明を省略する。
【0028】
図1および図2には、薄型テレビに分類される液晶テレビを例に挙げて示している。薄型テレビは、図1の斜視図に示すように、表示部を含む本体2と、当該本体2を支えるスタンド3とから構成され、本体2とスタンド3とは、通常、締結ねじなどの締結部品で締結されている。
【0029】
さらに、図2の液晶テレビの分解斜視図に示されるように、本体2は、通常、後キャビネット4と前キャビネット5とをねじなどで締結することで形成された箱体で実現される。この後キャビネット4と前キャビネット5との間には、液晶表示装置駆動用のプリント基板6と液晶モジュール7が配されている。さらに、この液晶モジュール7は、金属製のバックライトシャーシ8と、樹脂製の液晶モジュール前カバー9との間に、映像を明るく見えやすくする蛍光管10と、蛍光管10の光を有効にパネルガラス側に反射させる目的で設けられたポリエステル製反射板11、蛍光管10の光を均一に面発光するようアクリル板の表面に特殊な加工を施した導光板12、導光板12を通過した光をさらに広げるポリカーボネート製の拡散板13、拡散板13によって拡げられた光を均一にするアクリル、ポリエステルなどで形成されたプリズム板14、光の振動をある方向に制限する反射偏光板15などの光学系部材と、2枚のガラスとの間に封じ込めた液晶材料に電圧をかけることにより映像が表示される液晶パネルガラス16などから構成されている。
【0030】
本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法には、たとえば上述したような構造を備える薄型テレビの廃棄物(廃薄型テレビ)を適用する。以下、本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法における各ステップについて、図1および図2に示した例の薄型テレビ1を適用する場合を例に挙げて詳細に説明する。
【0031】
図3は、本発明の好ましい一例の廃薄型テレビのリサイクル方法を模式的に示すフローチャートである。図3には、本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法が、〔A〕廃薄型テレビを回収する工程(ステップS1)と、〔B〕回収された廃薄型テレビの本体およびスタンドに標識を添付する工程(ステップS2)と、〔C〕廃薄型テレビの本体とスタンドとを分離する工程(ステップS3)と、〔D〕分離された本体とスタンドとを分別し別個の容器に収納する工程(ステップS4)と、〔E〕本体とスタンドとを分別して収納した各容器に同一番号を示す標識を添付する工程(ステップS5)と、〔F〕本体およびスタンドを分別して収納した容器をリサイクル工場に搬送する工程(ステップS6)と、〔G〕リサイクル工場において容器に施された標識を確認する工程(ステップS7)と、〔H〕本体およびスタンドに施された標識を検知する工程(ステップS8)と、〔I〕リサイクル工場において本体およびスタンドを解体する工程(ステップS9)とを含む場合を示している。本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法は、廃薄型テレビの本体とスタンドとを分離する工程(ステップS3)と、リサイクル工場に搬送する工程(ステップS6)と、リサイクル工場において本体およびスタンドを解体する工程(ステップS9)とを少なくとも含んでいればよく、図3に示す例のフローチャートに示した手順に限定されるものではないが、図3に示す例のフローチャートにて好適に実施することができる。なお、上述したステップS3,S6、S9を含んでいるのであれば、本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法は、図3に示すフローチャートにおけるステップが一部省略されていてもよいし、図3に示されていない工程が必要により付加されていてもよい。また図4〜図7は、図3に示すフローチャートに沿った本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法について段階的に示す斜視図である。以下、図4〜図7を参照しつつ、図3に示す各工程について説明する。
【0032】
〔A〕廃薄型テレビを回収する工程
まず、廃薄型テレビ1を回収する(ステップS1)。廃薄型テレビ1の回収は、具体的には、消費者が廃薄型テレビ1を家電販売店および廃家電品の集積場所から選ばれる少なくともいずれかに持ち込むことによって実現される。
【0033】
〔B〕廃薄型テレビの本体およびスタンドに標識を添付する工程
次に、図4(a)に示されるように、家電販売店および廃家電品の集積場所から選ばれる少なくともいずれかに回収された廃薄型テレビ1を構成する本体2およびスタンド3に標識を施す(ステップS2)。当該工程は、具体的には、回収された廃薄型テレビ1の本体2およびスタンドに、同一製品を構成する部材であったことを示す標識を添付する(ラベル21,22を本体2およびスタンド3にそれぞれ貼付する)ことで実現できる。ラベル21,22としては、再資源化処理が適正に実施されていることを裏付けできるという理由から、リサイクル券を好適に用いることができる。このようなステップを含むことで、本体2およびスタンド3を解体する際に、本体2およびスタンド3の標識が揃ったことを識別してから解体することが可能となり、廃薄型テレビの再資源化処理が確実に実施されたことが確認できる。なお、このステップS2を含むステップS1〜S5は、すべて消費者が廃薄型テレビ1を持ち込んだ家電販売店および廃家電品の集積場所から選ばれる少なくともいずれかにて行なう。
【0034】
〔C〕廃薄型テレビの本体とスタンドとを分離する工程
次に、図4(b)に示されるように、家電販売店および廃家電費の集積場所から選ばれる少なくともいずれかにおいて、廃薄型テレビ1を本体2とスタンド3とに分離する(ステップS3)。上述したように、廃薄型テレビ1は、通常、締結ねじなどの締結部品で締結されているため、この締結部品を外し、廃薄型テレビ1からスタンド3を取り外すことで、本体2とスタンド3とを分離することができる。なお、図4(b)には図示を省略しているが、本体2およびスタンド3には上述したラベル21,22が貼付されている。ここで、当該ステップS3は、上述した本体2およびスタンド3に標識を添付する工程(ステップS2)の前に行なっても勿論よく、この場合には、当該工程にて分離した後の本体2およびスタンド3にそれぞれラベル21,22を貼付するようにする。
【0035】
〔D〕本体とスタンドとを分別し収納する工程
次に、図5、図6に示すように、分離された本体2およびスタンド3をそれぞれ分別し、容器31,32にそれぞれ収納する(ステップS4)。なお、当該工程において、本体2を容器31に収納する場合には、本体2を概ね鉛直方向に立てた状態で収納する(図5(b)の例)、2台の廃薄型テレビの本体のパネルが向き合うように積み重ねて収納する、本体1つ1つに対応した棚に収納する、などの方法が考えられるが、パネルガラスが割れないのであれば、これらに限定されるものではない。また、サイズが異なる廃薄型テレビを収納する場合も、同様に廃薄型テレビからスタンドを外して、本体とスタンドを別々の容器に収納し、リサイクル工場に搬送するようにすることで、同様の効果が期待される。一方、スタンドには割れやすい部材はないため、特に収納方法を限定する必要はない。
【0036】
〔E〕各容器に同一番号を示す標識を添付する工程
次に、同じく図5(b)、図6(b)に示すように、本体2およびスタンド3を分別・収納した容器31,32に同一番号を示す標識を添付する(ステップS5)。当該工程は、具体的には、各容器31,32に同じ廃薄型テレビ1の本体2、スタンド3をそれぞれ収納していることを示す同一番号が記載されたラベル41,42を、容器31,32にそれぞれ添付することで実現できる。このような工程を含むことにより、リサイクル工場にて、容器のラベル41,42を確認するだけで、容器内に収納されている本体、スタンドが同じ廃薄型テレビの構成部品であることを確認することができるようになる。
【0037】
〔F〕リサイクル工場に搬送する工程
次に、本体、スタンドを分別収納した容器31,32を、販売店または廃家電品の集積場所から、リサイクル工場へと搬送する(ステップS6)。図3に示すステップS7〜S9は、いずれもリサイクル工場にて行なわれることになる。
【0038】
〔G〕容器に施された標識を確認する工程
次に、リサイクル工場に搬送されてきた、本体2およびスタンド3をそれぞれ収納した容器31,32に添付された標識を確認する(ステップS7)。具体的には、ステップS5で容器31,32に添付された番号が記載されたラベル41,42を確認する。上述したように、ラベル41,42には、同一番号が記載されているため、搬送されてきた容器31,32内に収納された本体2、スタンド3が同一の廃薄型テレビ1の構成部品であることを容易に確認できる。これによって、図7に示すようにリサイクル工場における解体工程では、同じ番号が記載されたラベル41,42を添付した容器31,32から解体作業台51,52に本体2とスタンド3を載置し、廃薄型テレビ1の解体作業を行なうことができる。
【0039】
〔H〕本体およびスタンドに施された標識を検知する工程
次に、解体作業台51,52にそれぞれ載置された本体2およびスタンド3に施された標識を検知する(ステップS8)。当該工程は、具体的には、図7に示されるように、解体作業台51,52に載置された本体2、スタンド3にそれぞれ貼付されたラベル21,22(好適にはリサイクル券)を、読み取り機61,62を用いて読み取ることで検知する。読み取り機61,62としては、従来公知の適宜の読み取り機、たとえばバーコードリーダーが挙げられる。
【0040】
当該工程において、読み取り機61,62で読み取られた情報は、解体に供される廃薄型テレビの解体情報として、たとえばパーソナルコンピュータ71に転送される。パーソナルコンピュータ71には、読み取り機61,62から転送された情報に基づいて、たとえば廃薄型テレビの再商品化率などのデータ処理を行なうことが可能なプログラムが格納されている。パーソナルコンピュータ71によるデータ処理は、廃薄型テレビの1つのラベルからの情報が転送された時点では、当該情報はパーソナルコンピュータ71内で保留され、ラベル21,22の2つのラベル情報が揃った時点で、データ処理が開始されるように実現されることが好ましい。このようにすることで、再資源化処理されるまでの廃薄型テレビのリサイクルトレースが確認できるとともに、再商品化率などのデータ処理が確実に行なえる。
【0041】
〔I〕本体およびスタンドを解体する工程
最後に、解体作業台51,52にそれぞれ載置され、ラベル21,22が揃った本体2およびスタンド3をそれぞれ解体する(ステップS9)。本体2およびスタンド3の解体は、たとえばドライバーやラジオペンチなど従来公知の適宜の工具を用い、行なうことができる。
【0042】
上述したような本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法により、(1)搬送中の廃薄型テレビ同士の接触でのパネルガラスの破損や蛍光管が破損するといった危険性を低減できる、(2)廃薄型テレビを容器から取り出す際に、スタンドなどを他の廃薄型テレビに引っ掛け、落とすことによるパネルガラスの破損や蛍光管が破損するといった危険性を低減できる、(3)パネルガラスや蛍光管の破損を低減できることで、搬送、解体作業に関わる人の労働環境確保ばかりでなく、搬送・解体作業周辺への環境負荷を抑えることができる、(4)廃薄型テレビが適正に再資源化処理されていることが確認できるとともに、リサイクルデータ処理が確実に行なえるという効果も期待される。
【0043】
また本発明は、上述してきた本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法に用いられるシステムであって、搬送された廃薄型テレビの本体とスタンドとに添付された標識を検知する検知手段と、検知手段により取得した同一製品を構成する本体とスタンドの標識を識別する手段とを備える、廃薄型テレビのリサイクルシステムについても提供する。このような本発明の廃薄型テレビのリサイクルシステムは、たとえば図7に示したような構成で実現され、本発明の廃薄型テレビのリサイクル法に適用することで、廃薄型テレビが適正に再資源化処理されていることが好適にトレースできるという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0044】
上述した本発明のリサイクル方法、システムを採用することにより、パネルガラスや蛍光管が破損することを少なくして、パネルガラス中の液晶材料、蛍光管中の水銀などの環境負荷物質の漏出を防ぐことができ、かつ、搬送作業者、解体作業者の作業安全性を工場できる。
【0045】
また、部品、容器に同じ標識を施し、これを検知・識別することで、廃薄型テレビが適正に再資源化処理されていることが確認できる廃薄型テレビのリサイクルシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法に供される典型的な一例の廃薄型テレビ1を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示す廃薄型テレビ1の分解斜視図である。
【図3】本発明の好ましい一例の廃薄型テレビのリサイクル方法を模式的に示すフローチャートである。
【図4】図3に示すフローチャートに沿った本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法について段階的に示す斜視図であり、図4(a)はステップS2、図4(b)はステップS3を示している。
【図5】図3に示すフローチャートに沿った本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法について段階的に示す斜視図であり、図5(a)はステップS4(本体)、図5(b)はステップS5(本体)を示している。
【図6】図3に示すフローチャートに沿った本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法について段階的に示す斜視図であり、図6(a)はステップS4(スタンド)、図6(b)はステップS5(スタンド)を示している。
【図7】図3に示すフローチャートに沿った本発明の廃薄型テレビのリサイクル方法について段階的に示す斜視図であり、ステップS8を示している。
【図8】従来のスタンドと本体一体型の廃薄型テレビの容器への収納方法を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 廃薄型テレビ、2 本体、3 スタンド、4 後キャビネット、5 前キャビネット、6 プリント基板、7 液晶モジュール、8 バックライトシャーシ、9 液晶モジュール前カバー、10 蛍光管、11 反射板、12 導光板、13 拡散板、14 プリズム板、15 反射偏光板、16 液晶パネルガラス、21,22 ラベル、31,32 容器、33 仕切り板、34 容器、41,42 ラベル、51,52 解体作業台、61,62 読み取り機、71 パーソナルコンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を含む本体と、該本体を支えるスタンドとから構成される廃薄型テレビをリサイクルする方法であって、
廃薄型テレビをリサイクル工場に搬送する前に、家電販売店および廃家電品の集積場所から選ばれる少なくともいずれかにおいて、該廃薄型テレビを本体とスタンドとに分離する工程を含む、廃薄型テレビのリサイクル方法。
【請求項2】
廃薄型テレビをリサイクル工場に搬送する前に、廃薄型テレビを構成する本体およびスタンドに同一製品を構成する部材であったことを示す標識を添付する工程を含む、請求項1に記載の廃薄型テレビのリサイクル方法。
【請求項3】
搬送された廃薄型テレビの本体とスタンドに添付された標識を識別後、解体作業を開始する、請求項2に記載の廃薄型テレビのリサイクル方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の廃薄型テレビのリサイクル方法に用いられる廃薄型テレビのリサイクルシステムであって、
搬送された廃薄型テレビの本体とスタンドとに添付された標識を検知する検知手段と、検知手段により取得した同一製品を構成する本体とスタンドの標識を識別する手段とを備える、廃薄型テレビのリサイクルシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−302265(P2008−302265A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149417(P2007−149417)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】