説明

建物、火災検知システム、データセンタ、および火災検知の方法

【課題】外気を取り入れた空調システムを備える建物で、火災を検知する。
【解決手段】外壁に設けられ、外気を導入する第1の開閉部と、火災の発生を検知する検知部と、検知部が火災の発生を1次検知したことに応じて、第1の開閉部を閉じる制御部と、検知部が火災の発生を2次検知したことに応じて、火災の発生を判断する判断部と、を備える建物を提供する。検知部は、複数の検知器を有し、複数の検知器のうち少なくとも1つは、他の検知器よりも感度が高く、火災の発生を1次検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物、火災検知システム、データセンタ、および火災検知の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内に火災を検知する火災検知器を備え、火災の発生を検知していた。このような火災検知器には、火災を第1検知した後に検知感度を高感度に切り換え、第2検知したことに応じて火災の発生を判断させて、誤検出を防ぐものがあった(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2005−275709公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、外気を取り入れた空調システムを備える建物の場合、室内を換気した状態になることが多く、煙を感知することが困難になる。また、粉塵等による誤検出の可能性が高くなることが考えられ、正確な火災の検出が困難であった。また、不活性ガス等を用いた消火の場合、室内を換気した状態では風の影響等で消火が困難になる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、外壁に設けられ、外気を導入する第1の開閉部と、火災の発生を検知する検知部と、検知部が火災の発生を1次検知したことに応じて、第1の開閉部を閉じる制御部と、検知部が火災の発生を2次検知したことに応じて、火災の発生を判断する判断部と、を備える建物を提供する。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本実施形態に係る建物100の斜視図を示す。
【図2】図1におけるA−A'断面の構成例を示す。
【図3】図2におけるB−B'断面の構成例を示す。
【図4】図2におけるC−C'断面の構成例を示す。
【図5】本実施形態に係る建物100の制御部510および判断部540の構成例を、外気測定部520およびメインルーム測定部530と共に示す。
【図6】本実施形態に係る建物100の動作フローの一例を示す。
【図7】本実施形態に係るコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。以下、図面を参照して、実施形態について説明するが、図面の記載において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して重複する説明を省く場合がある。なお、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合がある。また、説明の都合上、図面相互間においても互いの寸法の関係又は比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0008】
図1は、本実施形態に係る建物100の斜視図を示す。建物100は、外気を取り入れた空調システムを備え、建物100内で発生した火災を検知する。建物100は、火災を一次検知した場合に、外気の導入を遮断して循環運転した後に、火災を2次検知したか否かで火災の発生を判断する。本実施例において、建物100は、熱を発生するサーバを備えるデータセンタの例を説明する。建物100は、第1の開閉部110と、チムニー120とを備える。
【0009】
第1の開閉部110は、建物100の外壁に設けられ、外気を導入する。第1の開閉部110は、外部に対する開口面積を変更可能な開口部を有する風量調節ダンパであってよい。また、第1の開閉部110は、モータで位置および/または角度を可変させて開口面積を変更する羽を有し、当該モータに電気信号を送信することで外気の導入量を電気信号で調節するモーターダンパであってよい。
【0010】
第1の開閉部110は、第1の開閉部110の開閉状態を送信する送信部を有してよい。送信部は、少なくとも第1の開閉部110が全閉の状態になった場合に、当該状態を送信してよい。例えば、送信部は、モーターダンパが有するアクチュエータに含まれてよく、当該アクチュエータがモーターダンパを全閉の状態に移動させたことに応じて、全閉の状態を送信してよい。これに代えて、送信部は、少なくとも第1の開閉部110が全開の状態になった場合に、当該状態を送信してもよい。これに代えて、第1の開閉部110は、第1の開閉部110の開閉状態を検出する検出部を更に有し、送信部は、検出部の検出結果を送信してもよい。
【0011】
ここで、建物100は、第1の開閉部110の外側に、通気部をさらに備えてよい。通気部は、外部からの雨、異物、または生物等の侵入を防ぎつつ、外気を建物100内に通す。通気部は、通気口に羽板を平行に取りつけたルーバーでよい。また、通気部は、ルーバーが固定されたガラリであってもよい。通気部は、建物100の壁面の一部に備わってよく、これに代えて、壁面の全面に備わってよい。
【0012】
チムニー120は、建物100内部のメインルーム210からの排気を外部へと排出する。チムニー120は、建物100内部の温度差によって発生する重力換気(煙突効果)を利用して、建物100内部の排気を外部へと排出してよい。また、チムニー120は、メインルーム210よりも高い位置に備わり、建物100の外部で風が吹いた場合に、チムニー120周辺部の圧力が低くなる現象を利用して、チムニー120よりも低い位置に備わるメインルーム210との間に生じる圧力差によりメインルーム210の排気を外部へと排出してもよい。
【0013】
また、チムニー120は、建物100内部に備わるファン等の送風機からの送風によって、建物100内部の排気を外部へと排出してもよい。チムニー120は、建物100の屋上に備わってよい。これに代えて、チムニー120は、建物100の外壁に備わってよい。
【0014】
チムニー120は、通気部122有し、当該通気部122を介してメインルーム210からの排気を外部へと排出する。通気部122は、建物100の外部から雨、異物、または生物等の侵入を防ぎつつ、建物100内部からの排気を外部へと排出する。
【0015】
図2は、図1におけるA−A'断面の構成例を示す。ここでA−A'断面は、建物100内部のメインルーム210を地面に対して水平方向に切断する面である。建物100は、メインルーム210と、外気導入ルーム220と、空調ルーム230と、ダクトルーム250と、検知部260と、放出部270と、分離部280とを備える。
【0016】
メインルーム210は、熱を発生する機器が設けられる。メインルーム210は、建物100内に複数備わってよい。例えば、建物100は2階以上の建物であって、メインルーム210は、それぞれの階に備わってよい。本実施例において、メインルーム210は、建物100内の1階および2階に備わる例を説明する。メインルーム210は、熱を発生する機器であるサーバ200と、排気部240とを有する。
【0017】
サーバ200は、CPU、メモリ、および/またはハードディスクドライブ等を有し、コンピュータとして動作してよい。また、サーバ200は、二次記憶装置として動作するストレージであってよい。サーバ200は、羽を回転させて風を発生させる送風機と、サーバ200が発生した熱を当該送風機が発生する風と共に外部へ出力する排気口とを有し、自身を空冷させてよい。サーバ200は、予め定められたサイズの筐体で形成され、予め定められたサイズの筐体を収容するサーバラック内に、複数収容されてよい。
【0018】
サーバ200は、高さと幅等が規格化されたラックマウント型サーバ、または、ブレードサーバであってよい。サーバ200は、ネットワークに接続され、建物100内部または建物100外部の他のサーバ200と相互にデータを送受信して、データの保管および提供、アプリケーション・ソフトウエア等を実行する。
【0019】
排気部240は、サーバ200が発生した熱と共にメインルーム210内の空気を排気する。排気部240は、メインルーム210からメインルーム210の上階まで、垂直方向に空気が通過できる吹き抜けであってよい。排気部240は、メインルーム210内のサーバ200によって暖められた空気が温度差によって上昇するので、メインルーム210内の空気をメインルーム210の上階へと排気することができる。また、排気部240は、送風機を有して、メインルーム210内の空気を上階へと強制的に排気してもよい。
【0020】
排気部240は、サーバ200と隣接されてメインルーム210に備わってよい。また、サーバ200が熱を外部へ放出する排気口またはファン等を有する場合、排気部240は、当該排気口またはファン等と近接して備わってよい。また、この場合、当該排気口またはファン等が排気部240側を向くように、サーバ200は設置されてよい。即ち、排気部240は、サーバ200がメインルーム210から吸い込んだ空気を排気口またはファン等によって内部で発生した熱と共に排出される空気を排気する。
【0021】
排気部240は、複数のサーバ200と隣接して備わってよく、メインルーム210に複数備わってよい。図中の例において、排気部240は、メインルーム210に2つ備わる。
【0022】
外気導入ルーム220は、第1の開閉部110から導入した外気と、メインルーム210の排気部240から排気された空気とを混合する。外気導入ルーム220は、建物100の外壁とメインルーム210との間に備わり、建物100内に複数備わってよい。外気導入ルーム220は、第1排気導入部226を有する。
【0023】
第1排気導入部226は、メインルーム210からの排気を外気導入ルーム220に導入する。第1排気導入部226は、第1の開閉部110と同様に、導入量が変更可能な風量調節ダンパまたはモーターダンパであってよい。
【0024】
図中の例において、外気導入ルーム220は、空調ルーム230およびダクトルーム250に隣接して建物100に備わり、混合した混合気を空調ルーム230へ導入する。外気導入ルーム220は、2つの排気部240を挟んだ2つが建物100内に備わる。
【0025】
空調ルーム230は、外気導入ルーム220および/またはダクトルーム250から導入された空気を、メインルーム210に送風する。空調ルーム230は、混合気導入部224と、冷却部232と、送風部234と、第2排気導入部238とを有する。
【0026】
混合気導入部224は、外気導入ルーム220から導入される空気を空調ルーム230に導入する。混合気導入部224は、第1の開閉部110と同様に、風量調節ダンパまたはモーターダンパであってよい。
【0027】
冷却部232は、外気導入ルーム220から導入する空気を冷却してメインルーム210に供給する。冷却部232は、冷媒を循環させるコイルを有し、導入する空気を当該コイルに通過させて冷却する冷却装置でよい。ここで、冷却部232は、冷媒として水またはフロン類等を用いてよい。
【0028】
送風部234は、冷却部232を介して導入した空気をメインルーム210に対して送風する。送風部234は、羽を回転させて送風する送風機でよい。また、送風部234は、回転速度を調節して送風量を制御できる送風機であってよい。
【0029】
第2排気導入部238は、ダクトルーム250から導入される空気を通し、メインルーム210から空調ルーム230へと排気を導入する。第2排気導入部238は、第1の開閉部110と同様に、導入量を変更可能な風量調節ダンパまたはモーターダンパであってよい。
【0030】
ダクトルーム250は、メインルーム210からの排気を通し、外気導入ルーム220との間で第1排気導入部226を介して空気を受け渡し、第2排気導入部238を介して空調ルーム230へと空気を供給する。建物100が複数階の建物の場合、ダクトルーム250は、各階毎に備わり、それぞれのダクトルーム250は垂直方向に開口を有し、垂直方向に空気が通過できる吹き抜けであってよい。
【0031】
また、ダクトルーム250は、グレーチングを有してもよい。一例として、ダクトルーム250は、図中の点線部にグレーチングを設ける。ダクトルーム250は、排気部240からの排気を上階から下階へと送り込むファンが設置されていてもよい。
【0032】
検知部260は、火災の発生を検知する。検知部260は、煙を検知する煙検知器でよく、これに代えて、熱または炎を検知する火災検知器でよい。検知部260は、外部からの制御信号に応じて、検知感度を切り換えてよい。検知部260は、建物100内に複数設けられてよい。
【0033】
検知部260は、複数の検知器を有し、複数の検知器のうち少なくとも1つは、他の検知器よりも感度が高く、火災の発生を1次検知する。ここで、複数の検知器のうち、1次検知しない検知器は、1次検知する検知器に比べて検知感度が低く、火災の発生を2次検知する。これに代えて、検知部260は、火災の発生を1次検知した後に、外部の信号によって検知感度を1次検知した感度よりも低く設定され、火災の発生を2次検知してよい。
【0034】
放出部270は、火災発生が判断された場合に、第1の開閉部110を閉じた状態で不活性ガスを放出する。放出部270は、二酸化炭素、窒素、および/またはアルゴン等の不活性ガスを放出して、建物100内に発生した火災を消火する。
【0035】
分離部280は、メインルーム210内に1以上設けられ、メインルーム210内の空間を2以上に分離する。ここで、検知部260および放出部270は、分離部280によって複数に分離されたメインルーム210のそれぞれに備わってよい。分離部280は、火災が発生した場合に閉じられ、火災の延焼または有毒ガスを阻止する防火シャッターでよい。
【0036】
図3は、図2におけるB−B'断面の構成例を示す。ここでB−B'断面は、建物100内部の外気導入ルーム220、ダクトルーム250、メインルーム210、および排気部240を、地面に対して垂直方向に切断する面である。
【0037】
排気部240は、メインルーム210に設けられたサーバ200によって暖められた空気を、メインルーム210の上方へと排気する。チムニー120は、メインルーム210よりも上方で排気部240と接続されて、メインルーム210からの排気を、排気量を変更可能な出力部330を介して外部へと排出する。出力部330は、第1の開閉部110と同様に、風量調節ダンパまたはモーターダンパであってよい。
【0038】
出力部330は、通気部122と分離して備わってよく、これにより、建物100の外部で発生する風の影響を通気部122を介して受けるので、当該風の影響を直接受けることを防止する。また、出力部330は、風の影響を防ぐ目的で、シャッター等を更に有してもよい。
【0039】
また、排気部240は、メインルーム210に設けられたサーバ200によって暖められた空気を、ダクトルーム250を介して外気導入ルーム220へと通す。外気導入ルーム220は、サーバ200によって暖められた空気と、第1の開閉部110から導入される外気とを混合する。
【0040】
ここで、排気部240は、メインルーム210からの排気を加湿する加湿部320を有してよい。加湿部320は、内部に収容されている水分を空気中に放出して加湿する加湿器でよい。加湿部320は、加湿した空気を、ダクトルーム250を介して空調ルーム230へと供給する。ここで、加湿部320は、加湿した空気を、ダクトルーム250内に区画して設けられたダクトを介して空調ルーム230へと供給してよい。
【0041】
また、排気部240は、鋼材等を格子状に組んだグレーチングを有してよい。排気部240は、このグレーチングを各階の床材として用いてよく、これによって、上階へ空気を通しつつ、通路として利用することができる。一例として、排気部240は、図中の点線部にグレーチングを設ける。
【0042】
図4は、図2におけるC−C'断面の構成例を示す。ここでC−C'断面は、建物100内部のメインルーム210、外気導入ルーム220、排気部240、および空調ルーム230を、地面に対して垂直方向に切断する面である。排気部240は、メインルーム210に設けられたサーバ200によって暖められた空気を、ダクトルーム250を介して空調ルーム230へと通す。
【0043】
空調ルーム230は、メインルーム210からの排気を、外気導入ルーム220から冷却部232を介して空調ルーム230へと導入してよい。また、空調ルーム230は、メインルーム210からの排気を、ダクトルーム250から第2排気導入部238を介して空調ルーム230へと導入してもよい。
【0044】
また、空調ルーム230は、第1の開閉部110からの外気を、外気導入ルーム220から冷却部232を介して空調ルーム230へと導入してよい。また、第1の開閉部110からの外気を、ダクトルーム250から第2排気導入部238を介して空調ルーム230へと導入してもよい。
【0045】
以上の本実施例の建物100は、メインルーム210に設けられたサーバ200によって暖められた空気を、排気部240を介して全部または一部をチムニー120より排気する。また、建物100は、残りの空気を、ダクトルーム250に移動させて、外気導入ルーム220を介して空調ルーム230へ導入し、送風部234によってメインルーム210へ循環させる。ここで、建物100は、第1の開閉部110から導入した外気とメインルーム210の排気とを、外気導入ルーム220で混合する。
【0046】
また、建物100は、ダクトルーム250から、空調ルーム230へ導入させてメインルーム210へと循環させてもよい。ここで、建物100は、第1の開閉部110から導入した外気とメインルーム210の排気とを、ダクトルーム250で混合する。このように、建物100は、外気を取り入れてメインルーム210内の温度および湿度を調整する。
【0047】
本実施例における、混合気導入部224、第1排気導入部226、第2排気導入部238、および分離部280は、建物100の内壁に設けられた、建物100内の空間を閉じる第2の開閉部である。これらの第2の開閉部によって閉じられる空間のそれぞれに、検知部260および放出部270がそれぞれ設けられてよい。
【0048】
第2の開閉部は、火災発生を判断したことに応じて、第2の開閉部を閉じる。この場合、放出部270は、第2の開閉部を閉じた状態で不活性ガスを放出してよい。これによって、建物100は、第2の開閉部によって閉じられる空間毎に火災を検知し、かつ、閉空間にして効率的に消火することができる。
【0049】
また、本実施例の建物100は、第1の開閉部110、混合気導入部224、および第1排気導入部226によって二重に区画された空間を介して外気を導入し、出力部330が直接外部からの風の影響を受けないので、建物外部で風が発生しても消火すべき区画への影響を防止することができる。したがって、建物100は、不活性ガスによる消火を有効に実行することができる。また、建物100は、当該区画の不活性ガスによる消火を有効とする状態を維持することができる。
【0050】
本実施例の建物100は、建物100内に制御部510および判断部540を設け、メインルーム210内の温度および湿度を調整すると共に、建物100内の火災発生を検知する。これに代えて、建物100は、建物100の外部に制御部510および/または判断部540を設け、有線または無線で電気信号をやりとりしてよい。
【0051】
図5は、本実施形態に係る建物100の制御部510および判断部540の構成例を、外気測定部520およびメインルーム測定部530と共に示す。制御部510は、第1の開閉部110、混合気導入部224、第1排気導入部226、第2排気導入部238、および出力部330の空気の導入量または排気量を制御する。また、制御部510は、冷却部232の冷却量、送風部234の送風量、および加湿部320の加湿量を制御してよい。
【0052】
制御部510は、検知部260が火災の発生を1次検知したことに応じて、第1の開閉部110および出力部330を閉じる。制御部510は、判断部540が火災の発生を判断した場合、放出部270から不活性ガスを出力させる。ここで制御部510は、第2の開閉部を閉じてから不活性ガスを出力させてよい。
【0053】
制御部510は、各部に電気信号を送信して、外気導入量または排気の導入量を調節してよい。また、制御部510は、外気測定部520およびメインルーム測定部530から外気およびメインルーム210のそれぞれの温度および湿度の測定結果を受信して、外気導入量または排気の導入量を調節する。
【0054】
外気測定部520は、建物100の外部に備わり、外気の温度および湿度を測定する。ここで外気測定部520は、外気の絶対湿度を測定してよい。外気測定部520は、測定結果を建物100に送信する。メインルーム測定部530は、メインルーム210の内部に備わり、メインルーム210の温度および湿度を測定する。メインルーム測定部530は、メインルーム210の絶対湿度を測定してよい。
【0055】
ここで、メインルーム測定部530は、サーバ200の近辺に設置される場合、サーバ200の排気口側ではなく、空気を吸い込む側の温度および湿度を測定する。メインルーム測定部530は、測定結果を建物100に送信する。
【0056】
判断部540は、検知部260が火災の発生を2次検知したことに応じて、火災の発生を判断する。判断部540は、判断した火災発生を、制御部510に通知する。また、判断部540は、第1の開閉部110および出力部330を閉じた後、予め定められた期間内に検知部260が火災の発生を2次検知しない場合に、1次検知が誤検出であると判断して制御部510に通知する。制御部510は、誤検出を通知されたことに応じて、第1の開閉部110を開ける。
【0057】
図6は、本実施形態に係る建物100の動作フローの一例を示す。検知部260は、建物100内の火災の発生を1次検知する(S600)。建物100は、火災の発生を1次検知するまで、第1の開閉部110および第2の開閉部を外気に応じて開閉して、メインルーム210の温度および湿度を調整する。
【0058】
制御部510は、検知部260が火災の発生を1次検知したことに応じて、第1の開閉部110および出力部330を閉じる(S610)。ここで、制御部510は、火災の発生を1次検知したことに応じて、第1の開閉部110を開け、第1の開閉部110が全開になったことを第1の開閉部110の送信部より受け取ってから、第1の開閉部110を閉じてよい。
【0059】
このように、制御部510は、第1の開閉部110を一旦全開にしてから閉じることにより、第1の開閉部110が動作していることを確認してから閉じることができる。また、例えば、第1の開閉部110が建物100に複数備わる場合、複数の第1の開閉部110のそれぞれに開閉状態を検出する検出部を備えて、それぞれの開閉状態を確認する複雑な制御無しに、制御部510は、第1の開閉部110の動作を確認しつつ閉じることができる。
【0060】
また、制御部510は、第1の開閉部110および出力部330を閉じてから、混合気導入部224、第1排気導入部226、および第2排気導入部238を開け、送風部234を用いて空調ルーム230の空気をメインルーム210に送風する。
【0061】
これによって、制御部510は、建物100内の空気を、メインルーム210から排気部240を介してダクトルーム250に送り、空調ルーム230を介してメインルーム210へと循環させる(S620)。検知部260は、制御部510が建物100内の空気を循環させている期間に、火災の発生を2次検知する(S630)。ここで、検知部260は、制御部510が建物100内の空気を予め定められた一定の期間循環させた後に、2次検知してもよい。
【0062】
例えば、第1の開閉部110が開いている状態で検知部260が1次検知する場合、外気に含まれる粉塵等を煙として誤検出する場合がある。そこで、制御部510は、上記手順のように、1次検知の後に第1の開閉部を閉め、建物100内の空気を循環してから2次検知する。これによって、制御部510は、誤検出する可能性がある粉塵を分散させてから、検知部260に2次検知させるので、検知部260は、当該2次検知において火災を正確に検知することができる。
【0063】
また、建物100は、建物100内の空気に含まれる粉塵を低減させるフィルター部をさらに有してよい。フィルター部は、1次検知の後に建物100内の空気を循環させると、循環させる空気に含まれる粉塵を除去する。これによって、火災の誤検出の原因となる粉塵を除去できるので、検知部260は、火災の2次検知を正確に実行することができる。ここで、フィルター部は、加湿部320に含まれてよく、これに代えて、建物100内に複数設けられてよい。
【0064】
判断部540は、制御部510が第1の開閉部110を閉じた後、予め定められた期間内に検知部260が火災の発生を2次検知しない場合に、1次検知は誤検出であると判断して制御部510に通知する。制御部510は、誤検出の通知を受け取ると、建物100内の空気を予め定められた一定の期間更に循環させる(S640)。
【0065】
即ち、制御部510は、火災の発生と判断せずに第1の開閉部110を再び開けるのに先立って、予め定められた期間フィルター部を介して建物100内の空気を循環させる。これによって、建物100は、フィルター部が誤検出の原因となる粉塵等を除去してから、1次検知のステップに戻ることができ、誤検出を繰り返す可能性を低減することができる。
【0066】
次に制御部510は、第1の開閉部110を開ける(S650)。建物100は、一次検知のステップS600から第1の開閉部を開けるステップ(S650)までを検知部260が火災の発生を2次検知するまで繰り返す。
【0067】
検知部260が火災の発生を2次検知したことに応じて、判断部540は、火災が発生したと判断して、制御部510に通知する。制御部510は、判断部540が火災発生を判断したことに応じて、第2の開閉部を閉じる(S660)。制御部510は、第1の開閉部110、出力部330、および第2の開閉部を閉じた状態で、放出部270より不活性ガスを放出させる(S670)。
【0068】
ここで、制御部510は、火災の発生を2次検知した検知部260を含む閉じた空間にある放出部270から、不活性ガスを放出させてよい。これによって、制御部510は、火災が発生し、かつ、第2の開閉部で閉じられた空間だけに不活性ガスを放出させることができ、効率的な消火を実行できる。
【0069】
以上の本実施例によれば、外気を取り入れた空調システムを備える建物においても、誤検出を低減させて、火災を検出することができる。また、本実施例の建物100は、火災の発生を1次検知した後に、粉塵等の影響を取り除いて1次検知よりも正確な2次検知を実行するので、2次検知する検知部260よりも1次検知する検知部260の感度を高くしてよい。また、建物100は、第1の開閉部110、第2の開閉部、および通気部122を備えることで、建物100外部の風の影響を抑制することができ、不活性ガスによる消火を有効に実行させることができる。
【0070】
検知部260の感度を高くすると、粉塵等による誤検出の確率が高くなるが、本実施例の建物100は、1次検知の後に密閉状態で2次検知を実行して火災の発生を判断するので、1次検知の誤作動を回避することができる。また、建物100は、1次検知する検知部260の感度を高くすることで、火災を早期発見することができる。
【0071】
以上の本実施例において、検知部260を火災検出器として説明したが、これに代えて、検知部260は、建物100内の粉塵の量を検出するパーティクルカウンタ部を含んでよい。当該パーティクルカウンタ部は、検出した粉塵の量が予め定められた値よりも多いいことに応じて、火災の発生を2次検知する。
【0072】
例えば、火災発生を1次検知した場合、制御部510は、第1の開閉部を閉じて建物100内の空気を循環させる。ここで1次検知が粉塵による誤検出の場合、空気の循環によってフィルター部が誤検出の原因となる粉塵等を除去する。したがって、パーティクルカウンタ部は、検出した粉塵の量が予め定められた値よりも少ないことに応じて、1次検知が誤検知であると判断することができ、また、検出した粉塵の量が予め定められた値よりも多いいことに応じて、火災の発生を2次検知することができる。このように、検知部260は、建物100内の粉塵の量を直接測定するので、1次検知が粉塵によるものか否かを判断することができ、火災の誤検出を低減させることができる。
【0073】
また、以上の本実施例において、制御部510は、第1の開閉部110の動作を確認しつつ閉じることを説明した。このように、制御部510は、第1の開閉部110の動作を確認する機能を有するので、当該動作の確認機能を火災の発生の場合以外に実行してもよい。
【0074】
例えば、制御部510は、予め定められた時間が経過したことに応じて、第1の開閉部110を全開および/または全閉状態にして、当該状態を第1の開閉部110の送信部より受け取ってよい。これによって、制御部510は、予め第1の開閉部110の開閉動作を定期的に確認することができ、火災が発生した場合により確実な動作を実行させることができる。
【0075】
図7は、本実施形態に係るコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。本実施形態に係るコンピュータ1900は、ホスト・コントローラ2082により相互に接続されるCPU2000、RAM2020、グラフィック・コントローラ2075、および表示装置2080を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ2084によりホスト・コントローラ2082に接続される通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、およびDVDドライブ2060を有する入出力部と、入出力コントローラ2084に接続されるROM2010、フレキシブルディスク・ドライブ2050、および入出力チップ2070を有するレガシー入出力部と、を備える。
【0076】
プログラムは、コンピュータ1900にインストールされ、コンピュータ1900を制御部510および判断部540として機能させる。これによって、コンピュータ1900は、制御部510および判断部540の機能を実施することができる。
【0077】
プログラムに記述された情報処理は、コンピュータ1900に読込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である制御部510として機能する。そして、この具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ1900の使用目的に応じた情報の演算または加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の制御部510および判断部540が構築される。
【0078】
また、CPU2000は、RAM2020から読み出したデータに対して、プログラムの命令列により指定された、本実施形態中に記載した各種の演算、情報の加工、条件判断、情報の検索・置換等を含む各種の処理を実行する。
【0079】
以上に示したプログラムまたはモジュールは、外部の記録媒体に格納されてもよい。記録媒体としては、フレキシブルディスク2090、DVD−ROM2095の他に、DVDまたはCD等の光学記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスクまたはRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムをコンピュータ1900に提供してもよい。
【0080】
以上、コンピュータ1900のハードウェア構成について説明したが、建物100は、複数のコンピュータ1900を備え、当該複数のコンピュータ1900によって分散して制御してもよい。例えば、プログラムの一部は、複数のコンピュータ1900のそれぞれにインストールされ、複数のコンピュータ1900を制御部510として機能させる。これに代えて、建物100は、シーケンス制御専用の複数の制御装置を備え、制御プログラムの一部を複数の制御装置のそれぞれにインストールして、複数の制御装置を制御部510として機能させるPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)、またはDDC(ダイレクト・デジタル・コントローラ)等によって分散して制御してよい。
【0081】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0082】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0083】
100 建物、110 第1の開閉部、120 チムニー、122 通気部、200 サーバ、210 メインルーム、220 外気導入ルーム、224 混合気導入部、226 第1排気導入部、230 空調ルーム、232 冷却部、234 送風部、238 第2排気導入部、240 排気部、250 ダクトルーム、260 検知部、270 放出部、280 分離部、320 加湿部、330 出力部、510 制御部、520 外気測定部、530 メインルーム測定部、540 判断部、1900 コンピュータ、2000 CPU、2010 ROM、2020 RAM、2030 通信インターフェイス、2040 ハードディスクドライブ、2050 フレキシブルディスク・ドライブ、2060 DVDドライブ、2070 入出力チップ、2075 グラフィック・コントローラ、2080 表示装置、2082 ホスト・コントローラ、2084 入出力コントローラ、2090 フレキシブルディスク、2095 DVD−ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁に設けられ、外気を導入する第1の開閉部と、
火災の発生を検知する検知部と、
前記検知部が火災の発生を1次検知したことに応じて、前記第1の開閉部を閉じる制御部と、
前記検知部が火災の発生を2次検知したことに応じて、火災の発生を判断する判断部と、
を備える建物。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の開閉部を閉じてから予め定められた期間経過した後に、前記判断部に火災の発生を判断させる請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記検知部は、煙を検知する煙検知器である請求項1または2に記載の建物。
【請求項4】
前記検知部は、複数の検知器を有し、前記複数の検知器のうち少なくとも1つは、他の検知器よりも感度が高く、火災の発生を1次検知する請求項1から3のいずれか1項に記載の建物。
【請求項5】
前記判断部が火災発生を判断した場合、前記第1の開閉部を閉じた状態で不活性ガスを放出する放出部を更に備える請求項1から4のいずれか1項に記載の建物。
【請求項6】
前記建物は、
前記検知部を含む前記建物内の空間を閉じる第2の開閉部と、
前記第2の開閉部が設けられた内壁と、
を備え、
前記判断部が火災発生を判断したことに応じて、前記第2の開閉部を閉じる請求項1から5のいずれか1項に記載の建物。
【請求項7】
前記制御部が前記第1の開閉部を閉じた後、予め定められた期間内に前記検知部が火災の発生を2次検知しない場合に、前記判断部は、前記第1の開閉部を開ける請求項1から6のいずれか1項に記載の建物。
【請求項8】
前記建物内の空気に含まれる粉塵を低減させるフィルター部をさらに有し、
前記制御部は、火災の発生と判断せずに前記第1の開閉部を再び開けるのに先立って、予め定められた期間前記フィルター部を介して前記建物内の空気を循環させる請求項7に記載の建物。
【請求項9】
前記第1の開閉部は、前記第1の開閉部の開閉状態を送信する送信部を有する請求項1から8のいずれか1項に記載の建物。
【請求項10】
前記制御部は、火災の発生を1次検知したことに応じて、前記第1の開閉部を開け、前記第1の開閉部が全開になったことを前記送信部より受け取ってから、前記第1の開閉部を閉じる請求項9に記載の建物。
【請求項11】
前記検知部は、前記建物内の粉塵の量を検出するパーティクルカウンタ部を含み、
前記パーティクルカウンタ部は、検出した粉塵の量が予め定められた値よりも多いことに応じて、火災の発生を2次検知する請求項1から10のいずれか1項に記載の建物。
【請求項12】
熱を発生する機器が設けられるメインルームと、外壁に設けられ、外気を導入する第1の開閉部と、を備える建物の火災検知システムであって、
火災の発生を検知する検知部と、
前記検知部が火災の発生を1次検知したことに応じて前記第1の開閉部を閉じる制御部と、
前記検知部が火災の発生を2次検知したことに応じて火災の発生を判断する判断部と、
を備える火災検知システム。
【請求項13】
サーバと、
前記サーバが設けられたメインルームと、
外壁に設けられ、前記メインルームに外気を導入する第1の開閉部と、
火災の発生を検知する検知部と、
前記検知部が火災の発生を1次検知したことに応じて、前記第1の開閉部を閉じる制御部と、
前記検知部が火災の発生を2次検知したことに応じて、火災の発生を判断する判断部と、
を備えるデータセンタ。
【請求項14】
外壁に設けられ、外気を導入する第1の開閉部を備える建物の火災検知の方法であって、
火災の発生を検知する検知段階と、
火災の発生を1次検知したことに応じて、前記第1の開閉部を閉じる制御段階と、
火災の発生を2次検知したことに応じて、火災の発生を判断する判断段階と、
を備える火災検知の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−54630(P2013−54630A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193673(P2011−193673)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(592108089)株式会社日本設計 (7)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】