説明

建築物の模型

【課題】 建築物の一部又は全部の窓の近傍に、複数の照明手段を配置することで見る者の注意を引き、光と色彩の調和と変化によって、建築物をリアルに表現できる建築物の模型を提供することを目的とする。
【解決手段】 複数の窓12,12・・を有する建築物の立体的な模型1であり、前記窓12,12・・の一部又は全部に色彩手段13,13・・を構成すると共に、窓12,12・・の近傍に複数の照明手段29,29・・を配置し、前記照明手段29,29・・の照明をコントロールする制御装置4を構成した建築物の模型。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンション、アパートなどの高層の集合住宅あるいはオフィスビルなどの建築物の模型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より家屋等の模型において、室内に照明装置を配したものがあった。たとえば特許文献1の発明では、透明な卓上ミニハウスの内部に電源配線、照明灯等を設けている。しかし、この発明は発電システムを学習するための教材であり、部屋あるいは室内の装飾用の照明手段ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−280033号公報
【0004】
前記特許文献1記載の発明は、住宅展示場などで使用される展示用ではないため、建物を明るく見せる効果もなく、模型をリアルに展示することができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点を解決するもので、建築物の一部又は全部の窓の近傍に、複数の照明手段を配置することで見る者の注意を引き、光と色彩の調和と変化によって、建築物をリアルに表現できる建築物の模型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨とするところは、複数の窓を有する建築物の立体的な模型であり、前記窓の一部又は全部に色彩手段を構成すると共に、窓の近傍に複数の照明手段を配置し、前記照明手段の照明をコントロールする制御装置を構成した建築物の模型である。
【0007】
また、本発明の要旨とするところは、前記照明手段を、前記制御装置によって一定時間をおいて順次点灯又は消灯させるようにした建築物の模型である。
【0008】
また、本発明の要旨とするところは、前記照明手段をLEDとし、前記色彩手段を窓に貼付した有色フイルムとし、かつ窓の内側に人の図形を描いた補助板を配置した建築物の模型である。
【0009】
また、本発明の要旨とするところは、前記照明手段の点灯と同期して、所定の香りを放出する芳香発生装置と所定の音楽を流す音響装置を備えた建築物の模型である。
【0010】
また、本発明の要旨とするところは、建築物の周囲に、プロジェクタとスクリーンを配置し、このスクリーンに、前記プロジェクタによって自然の風景あるいは建築予定地の風景の映像を投影する建築物の模型である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明は、建築物の模型の内部に窓に対応した複数の照明手段を配置し、この照明手段を制御装置でコントロールすることで、窓に映る照明の色彩に変化を持たせ建築物を美麗に表現でき、かつ何種類もの光が各部屋ごとに灯され、あたかも中に人がいて電気をつけたように見え、模型が現実の住宅やオフィスビルと同じようにリアルに表現される。そのため見る者の注意を引き、同時に当該住宅に住みたくなるため購買意欲や賃借を望む気持ちが高まり、またオフィスビルでも購買意欲や賃借を望む気持ちが高まるのである。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記照明手段を、前記制御装置によって一定時間をおいて順次点灯又は消灯させることで、点灯又は消灯を任意の時間間隔に設定できるため、建築物の窓に映る照明に変化を持たせることができるため、模型がよりリアルになる。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記照明手段をLEDを用いたため、少ない電力で安定した照明を得ることができる。さらに窓に有色フイルムを貼付することで、色彩手段の取り付けや変更が簡単に行え、有効に窓の色彩に変化を加えることができる。
また、人の図形を描いた補助板を用いることにより、窓に人影を投影して室内に居住する人を表現することができ、よりリアルな建築物の模型を提供できる。
【0014】
請求項4記載の発明は、照明手段の点灯と同期して、所定の香りを放出する芳香発生装置と所定の音楽を流す音響装置を備えたため、単に照明の効果だけでなく、それに伴って提供される香りと音楽によって、模型を見る者を心地よい気分にさせ、建築物の印象を良くし、さらには購買意欲や賃借を望む気持ちを高めることができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、建築物の周囲に配置したスクリーンに、季節感を表わす自然の風景や建築予定地の風景の映像を投影することで、当該建築物の現在の状況あるいは季節の移り変わりが擬似体験でき、同時に建築部の経時的な光の変化も表わせるため、見る者にとって建築物の環境がよりリアルに理解でき、購買意欲や賃借を望む気持ちを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1の模型と基台の全体斜視図
【図2】実施形態1の模型と基台の縦断面の模式図
【図3】壁と枠体の関係を示す模式図
【図4】壁と枠体の関係を示す一部切欠平面断面図
【図5】補助板の一部切欠正面図と壁と枠体の関係を示す一部切欠側面図
【図6】実施形態2の模型と基台の縦断面の模式図
【図7】実施形態3の全体斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に説明する本発明の各実施形態では、建築物として集合住宅であるマンションの模型について説明するが、本発明はこれに限定されずオフィスビルなどの建築物の模型も含まれるものである。
【0018】
本発明の実施形態1を説明する。
図1に示すように、マンションの模型1は一定の高さを有する基台2の上に固定していて、周囲には樹木3,3・・などの点景を配置している。模型1、基台2の大きさ、形状、色彩などは任意に決定できる。
【0019】
図3に示すように、模型1の表面の壁11を穿設して複数の窓12,12・・を構成し、この全部の窓12に壁11の内側からフイルム13を貼付してある。フイルム13は透明あるいは任意の色彩を有している。前記窓12の大きさや形状、あるいは壁11の形状、凹凸なども任意に決定できる。
【0020】
図2は、模型1の内部を示す模式図であり、壁11の内側全面にわたって、9個の枠体20が固定されていることを示している。
【0021】
この枠体20は、図3、図4に示すように、所定の大きさの上板21と下板22及び側板23、24を組み合わせて構成する。
この枠体20の内部を、2枚の縦の仕切り板25と3枚の横の仕切り板26によって仕切り、12個のスペース27,27・・を構成する。この各スペース27内に、それぞれ1個ずつ照明手段としてのLED29を取り付ける。これらのLED29は、それぞれ異なった発色をする。
【0022】
前記枠体20には、補助板30を取り付ける。図5(A)に示すように、補助板30は透明のアクリル製の長尺板であり、前記側板23と同一の長さであり、表面に人の図形31を黒色で一定間隔に表示してある。この補助板30を、図5(B)に示すように、前記枠体20の上板21の長孔21aと横板26の窓側に穿設した長孔26aに貫通させて窓12に面して取り付ける。
【0023】
このように構成した枠体20を、図3に示すように壁11の内側全面に固定して図2の状態とする。このとき、窓12からLED29の照明が見えるように設定する。
この枠体20やスペース27あるいはLED29の個数や大きさなどは、窓12の数や大きさ、形状あるいは壁11の形状などに基づいて決定する。
したがって、各スペース27は、各窓12の大きさと同一とは限らず、かつ窓12の位置に対応しているとは限らないため、1個のLED29が複数の窓12を照明することもある。
【0024】
前記すべてのLED29は並列に連結されていて、前記制御装置4によって電線(図示せず)で結合され、点灯時期や照度等をコントロールされる。
【0025】
前記模型1を固定した基台2の内部には、制御装置4及び人感センサ8を設けてなり、制御装置4及び人感センサ8の電源である電池5が内蔵されている。また、この電池5はLED29の電源も兼ねる。また、電源は通常の商用電源を使用することもできる。
【0026】
次に実施形態1の作用を説明する。
基台2内部の制御装置4を作動させてLED29を点灯する。この場合、各々のLED29は、制御装置4内のタイマーによって、一定時間の間隔をおいて下部から上部に向かって順次点灯させ、その逆の順序で消灯させるようにする。
【0027】
前記の方法のほかに、基台2内の人感センサ8によって、模型を見る者が近づくとLED29が点灯する構成にすることもできる。
【0028】
これによって、模型1は、時間の経過とともに下層階から上層階に向かって各窓12から順次LED29の照明が漏れてくる上に、窓12に貼付したフイルム13の効果で各窓12の色彩が異なるため、マンションの各部屋が順次点灯されてくるように見え、現実の マンションと同様なリアルな感じを与える。
また、補助板30に描かれた人の図形31が窓12に人影として映るとさらに臨場感がでてきて、何種類もの光が各部屋ごとに灯され、あたかも中に人がいて電気をつけたように見え、模型が現実の住宅と同じようにリアルに感じられる。
【0029】
従って本実施形態の模型1によれば、模型1の表わす当該マンションの外観を正確に表現するだけでなく、実際に居住した場合も想定できるため、見る者にとって当該マンションに住みたくなる気持ちを起こさせ購買意欲も起こさせるのである。
【0030】
また、電源である電池5が基台2の内部に収納されているため、基台2と模型1を持ち運べ、移動が便利であるという効果がある。
【0031】
本発明の実施形態2を説明する。
本実施形態は、図6に示すもので、前記実施形態1に加えて、基台2の内部に芳香発生装置6とスピーカーを内蔵した音響装置7を備えたものである。この芳香発生装置6と音響装置7は基台2の内部の任意の位置あるいは基台2の上部に置くこともできる。そして、芳香発生装置6と音響装置7及び人感センサ8は、前記制御装置4によってコントロールされていて、電池5を電源としている。
【0032】
この構成によれば、前記LED29の点灯と同期して芳香発生装置6を作動させ所定の香りを孔部6aより放出し、同様に音響装置7を作動させ所定の音楽を流すことができる。
また、前記人感センサ8によって、人が模型1に近づくと芳香発生装置6と音響装置7が自動的に作動するように設定することもできる。
【0033】
本実施形態では、模型1に表現された当該マンションの雰囲気を照明だけでなく香りと音楽によって表現でき、見る者の購買意欲を高めることができる。また、前記芳香発生装置6と音響装置7は、前記以外の任意の時間帯に作動するようにコントロールすることもできる。
【0034】
本発明の実施形態3を説明する。
本実施形態は、図7に示すもので、前記各実施形態のマンションの模型1の周囲に、プロジェクタ50とスクリーン51を配置したものである。
このスクリーン51は、基台2上で模型1の後部あるいは周囲に立設させて、基台2上のプロジェクタ50によって、季節感を表わす風景、例えば春は桜の花が咲き、冬は雪が降っている風景の映像52を、あるいは建築予定地の風景、例えば隣接した地域を人が歩いていたり、車が走ってる場面の映像を投影して、当該マンションの実際の状況を正確に表現して、見る者に正確に伝えることが可能となるのである。
【0035】
これによって当該マンションを見る者は、実際に住んだ場合の住宅の環境をいながらにして体感することができ、さらに購買意欲が高まるのである。
【符号の説明】
【0036】
1 建築物の模型
2 基台
3 樹木
4 制御装置
5 電池
6 芳香発生装置
7 音響装置
8 人感センサ
11 壁
12 窓
13 フイルム(色彩手段)
20 枠体
27 スペース
29 LED(照明手段)
30 補助板
31 人の図形
50 プロジェクタ
51 スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の窓を有する建築物の立体的な模型であり、前記窓の一部又は全部に色彩手段を構成すると共に、窓の近傍に複数の照明手段を配置し、前記照明手段の照明をコントロールする制御装置を構成したことを特徴とする建築物の模型。
【請求項2】
前記照明手段を、前記制御装置によって一定時間をおいて順次点灯又は消灯させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の建築物の模型。
【請求項3】
前記照明手段をLEDとし、前記色彩手段を窓に貼付した有色フイルムとし、かつ窓の内側に人の図形を描いた補助板を配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の建築物の模型。
【請求項4】
前記照明手段の点灯と同期して、所定の香りを放出する芳香発生装置と所定の音楽を流す音響装置を備えたことを特徴とする請求項1、2、3記載の建築物の模型。
【請求項5】
建築物の周囲に、プロジェクタとスクリーンを配置し、このスクリーンに、前記プロジェクタによって自然の風景あるいは建築予定地の風景の映像を投影することを特徴とする請求項1、2、3、4記載の建築物の模型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−83388(P2012−83388A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226951(P2010−226951)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(310020965)
【Fターム(参考)】