説明

建築製品における使用のためのワックスエマルジョン

水と、パラフィン系炭化水素と、ポリビニルアルコールと、合成オレフィンワックス成分を含むワックス成分とを含む、水性ワックスエマルジョン。合成オレフィンワックス成分は、(i)合成ノルマルα−オレフィンワックス、(ii)酸化によって及び/又は蒸留若しくはストリッピングによる精製によって変性された炭素原子約20個以上の炭素鎖長の合成オレフィンワックス、並びに(iii)それらの組合せからなる群から選択することができる。かかるエマルジョンは、硬化性石膏組成物及び耐水性壁板に有用である。水性モンタン系ワックスエマルジョンに使用されるモンタンワックス代替物も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、米国特許法§119(e)の下、2008年11月7日に出願された米国仮特許出願第61/112,468号の利益を主張し、この仮特許出願の全開示は本明細書において参照として援用される。
【0002】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、モンタンワックスの使用を必要とせずに、建築材料用に優れた耐湿性を与えるワックスエマルジョンを含む。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
合成及び天然ワックスは、多くの産業で使用される。かかるワックスエマルジョンは、建材産業内の製品、特に防水用石膏壁板及び配向性ストランドボードに使用されることが知られている。建材産業で使用される天然ワックスの中でも、特に耐水性石膏壁板の場合には、モンタンワックスが普及している。モンタンワックスは亜炭ワックスであり、炭素約24から30個の鎖長を有する長鎖アルキル酸及びアルキルエステルで形成された化学成分を含む。さらに、天然モンタンは、樹脂酸、ポリテルペン、並びに幾らかのアルコール、ケトン及び他の炭化水素を含み、「純粋な」ワックスではない。鹸化可能なワックスであるモンタンの鹸化価は約92であり、その融点は約80℃である。モンタンワックスは、極めて有効であるが、その欠点は、それが必ずしも十分に純粋ではなく、天然ワックスとして調合にやや一貫性を欠く傾向にあり、より重要なことには、主にドイツで生産され、自然源からの限られた供給量でしか入手できず、したがって、より高価になりつつあり、十分な供給を得ることがかかるワックスエマルジョンの製造者の課題になりつつあることである。
【0004】
特許文献1は、融点約40℃から80℃のパラフィン炭化水素、パラフィン炭化水素100部当たり約1から200重量部のモンタンワックス、及びパラフィン炭化水素100部当たり約1から50重量部のポリビニルアルコールを含む、耐水性石膏組成物及びしたがってワックスエマルジョンを記載している。耐水性壁板用ワックスエマルジョンにおけるモンタンワックスの使用は、モンタンワックスの使用に付随する他の欠点を考慮しても、極めて有効であり、優れた性能を提供する。
【0005】
モンタンワックスに加えて、他の天然由来のワックスも種々の産業に使用されることが知られており、原油から加工後に誘導される石油ワックスが挙げられる。石油ワックスとしては、巨視的結晶性ワックス、微結晶性ワックス、ワセリン及びパラフィンワックスが挙げられる。パラフィンワックスも石油から誘導される天然ワックスであり、炭素原子20〜30個の平均鎖長を有する直鎖アルカンで主に形成される。
【0006】
建材以外でも、天然に存在するワックスに加えて、種々の公知の合成ワックスが存在し、低分子量、すなわち分子量約10,000未満の合成ポリエチレンワックス、ワックス様の諸性質を有するポリエチレンなどが挙げられる。かかるワックスは、分子量の制御に適した条件下でのエチレンの直接重合によって形成することができる。分子量約2,000〜4,000の範囲のポリエチレンはワックスであり、約4,000〜12,000の範囲のときにワックス樹脂になる。
【0007】
Fischer−Tropschワックスは、特別な重合合成、具体的にはFischer−Tropsch合成によって製造されるポリメチレンワックスである(高圧、高温及び特別な触媒の下での一酸化炭素の重合で炭化水素を生成し、続いて蒸留して生成物を分離して、液体燃料及びワックスにする)。かかるワックス(微結晶性炭化水素ワックス、ポリエチレン及びポリメチレンタイプ)は、例えば(30以下の酸価及び25以上の鹸化価を与える)空気酸化によって、化学的に変性することができ、又は無水マレイン酸若しくはカルボン酸を用いて変性することができる。かかる変性ワックスは、水中でより容易に乳化され、鹸化又はエステル化することができる。別の公知の合成ワックスは、重合α−オレフィンである。これらは、ワックス様性質を有する炭素原子20個以上の高級α−オレフィンで形成されたワックスである。これらの材料は、極めて分枝しており、広範な分子量分布を有し、融点は約54℃から75℃であり、分子量は約2,600から2,800である。したがって、ワックスは、任意の化学変性の使用及びタイプを含めて、基本材料の性質、並びに重合又は合成プロセス、及び生成する化学構造に応じて様々である。
【0008】
建材分野では、特許文献2は、中質繊維板(MDF)製造用組成物を対象とする。この組成物は、配向性ストランドボード及びMDFに使用される、表面張力を低下させ、寸法安定性を改善する成分を有する。表面張力剤(surface tension agent)は、炭素2から6個のフッ素化炭化水素化合物、又はアルキルフェノールのアルコキシラート、又はアルキル化アセチレンジオールである。これらの材料は、モンタンワックスと別のワックスの組合せ、鹸化用水酸化アンモニウム、水及びポリビニルアルコールを含む組成物に与えられる。非鹸化性ワックスは、パラフィン及び(石油由来の)スケールワックス又はスラックワックスを含めて、この組成物に使用することができる。使用することができる鹸化可能なワックスとしては、モンタン、石油ワックス、及び種々の天然ワックスが挙げられる。
【0009】
特許文献3は、防水性石膏ボード用エマルジョンにおけるアルキルフェノールの使用を開示している。アルキルフェノールは、24〜34炭素鎖長のフェノラート化環を有する長鎖炭化水素鎖である。この出願公開は、リグノスルホン酸及び硫酸マグネシウムの使用を記載している。ワックス成分は、パラフィンとモンタンの組合せとすることができる。前記特許は、同じ発明者の先行の特許文献4と同様に、組成物が、デンプンを使用せずに安定であるとしている。組成物に使用されるワックスは、融点約120°F(48.9℃)から150°F(65.6℃)で、低揮発性で、36以上の炭素鎖長を有する高分子量の種々の商業的に公知のワックスとすることができる。炭化水素ワックス成分は、石膏スラリーの分野で公知のワックスを含む。
【0010】
特許文献5は、炭化水素ワックス、ポリオレフィン−無水マレイン酸グラフトポリマー並びにポリビニルアルコール及び/又はアセタートを有する石膏製品用水性エマルジョンを記載している。マレイン酸変性材料は、FLOZOL(登録商標)として知られる。炭化水素ワックスは、パラフィン若しくはポリエチレンワックス、マレイン酸変性炭化水素ワックス、又はそれらの組合せとすることができる。ワックスは、合成ワックスエステル又は酸ワックスとすることもできる。ポリオレフィン−無水マレイン酸グラフトコポリマーは、50〜500炭素鎖グラフトコポリマーであり、ワックスエマルジョンに与えたときに、最終石膏製品のはっ水性を改善すると記載されている。
【0011】
特許文献6は、エマルジョンでなく、石膏と直接混合される種々のワックス懸濁水を記載している。ワックスを記述する際に、懸濁液は、ポリエチレンワックス、マレイン酸変性炭化水素及び別のワックス、並びにワックスの組合せを含むことができる。
【0012】
特許文献7は、プラスチック加工用、具体的にはPVC用の潤滑剤としての、建材分野以外の用途におけるポリオレフィンワックスの使用を記載している。ワックスは、極性様式で変性された(酸化された)、又は極性試薬でこすられた、種々のα−オレフィンのホモポリマー及びコポリマーとして記述されている。それらは、単独で、又は別のワックス、例えば、モンタンワックス、脂肪酸誘導体若しくはパラフィンと組み合わせて、使用することができる。
【0013】
特許文献8は、エマルジョンにおけるトリグリセリドの使用を記載しており、従来技術がFischer Tropsch及びポリエチレンワックスなどの石油ワックス及び合成ワックスを利用することを記述している。これらのワックスは、特許文献8の発明に類似した目的で使用され、結果はまちまちである。
【0014】
種々のタイプのα−オレフィン及び別のオレフィン合成ワックスは、化学変性ワックス同様、広範なカテゴリーのワックス内で公知であり、耐水性壁板分野以外の種々の用途で使用されてきた。それらは多種多様であり、含有量及び化学構造が異なる。上述したように、耐水性壁板製品は、一般に、調合物中でパラフィン又はモンタンを単独で、又は互いに組み合わせて、又は上記例示的な特許文献で上述した別のパラフィン若しくは合成ワックスと組み合わせて、使用する。種々のワックス及びワックス代替物が、建材分野でワックスエマルジョン全般に、特にある場合にはモンタンワックスの使用の適切な代替物を見いだす目的で、使用され、試みられてきたが、現在まで採用されたワックスは、ノルマルα−オレフィン(normal α−olefin)も酸化α−オレフィンワックスも含まない。
【0015】
耐水性石膏組成物及び配向性ストランドボードなどの建材に使用されるワックスエマルジョンの継続的な開発が当分野では必要であり、モンタンワックスと同じ防水性及びモンタンワックスの所望のワックスエマルジョン特性を維持しながら、供給が限られ、その自然源に起因するばらつきがあり得るモンタンワックスの費用のかかる使用を代替するものを見いだすことが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第5,437,722号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0181035号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0245931号明細書
【特許文献4】米国特許第6,663,707号明細書
【特許文献5】米国特許第6,890,976号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2004/0083928号明細書
【特許文献7】米国特許第7,192,909号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2006/0196391号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、水と、パラフィン系炭化水素と、合成オレフィンワックス成分を含むワックス成分とを含み、合成オレフィンワックス成分が、(i)合成ノルマルα−オレフィンワックス、(ii)酸化によって及び/又は蒸留若しくはストリッピングによる精製によって変性された炭素原子約20個以上の炭素鎖長の合成オレフィンワックス、並びに(iii)それらの組合せからなる群から選択される、水性ワックスエマルジョンを含む。合成オレフィンワックス成分は、少なくとも28、より好ましくは少なくとも30の炭素鎖長を有する合成オレフィンワックス(ii)とすることができる。合成オレフィンワックス成分は、合成オレフィンワックス(ii)とすることもでき、(a)約28から約54個の炭素の炭素鎖を有するオレフィン、(b)アルデヒド、ケトン、カルボン酸及びカルボン酸エステルから選択される1種以上の成分、並びに(c)約65から約108の二量体炭素鎖長を有するように約28から約54の炭素鎖長を有するオレフィンから調製される二量体の1種以上の混合物を含む。
【0018】
一実施形態においては、ワックス成分は、合成オレフィンワックス成分とブレンドされたモンタンワックスを更に含むことができ、又は合成オレフィンワックス成分と以下の成分、すなわち天然若しくは合成カルナウバワックス、ヤシワックス、Fischer−Tropschワックス、高分子アルケン及び酸化ポリエチレンワックスの1種以上とのブレンドとして存在することができる。別の一実施形態においては、合成オレフィンワックス成分は、ワックス成分の約1パーセントから約100パーセント、好ましくはワックス成分の約20パーセントから約80パーセント、より好ましくはワックス成分の約30パーセントから約70パーセント、最も好ましくはワックス成分の約40パーセントから約60パーセントである。更なる実施形態においては、エマルジョンは鹸化剤を含むことができる。鹸化剤は、水酸化カリウムなどのアルカリ金属とすることができる。エマルジョンは、分散剤と界面活性剤の少なくとも一方を含むこともできる。かかる分散剤は、好ましくは硫黄又は硫黄含有基を含み、例えばリグノスルホナートとすることができる。本明細書の好ましい実施形態においては、パラフィン系炭化水素は、融点約40℃から約80℃のパラフィンワックスである。
【0019】
更なる実施形態においては、エマルジョンは、例えばポリビニルアルコールなどの安定剤を更に含む。安定剤は、前記パラフィン炭化水素100部当たり約1重量部から約20重量部の量で存在することができる。さらに、ポリビニルアルコールは、好ましくは約97%から約100%加水分解されているポリビニルアルコールである。
【0020】
本発明は、耐水性石膏製品の形成に適した硬化性石膏組成物であって、a)石膏100重量部と、b)i)水、ii)パラフィン系炭化水素、及びiii)合成オレフィンワックス成分を含むワックス成分を含む、石膏100重量部当たり約0.5重量部から約20重量部のエマルジョン固形分の水性エマルジョンとを含み、ワックス成分が、パラフィン系炭化水素100部当たり約1重量部から約200重量部の量で存在する、硬化性石膏組成物も含む。合成オレフィンワックス成分は、上述のとおりとすることができる。一実施形態においては、エマルジョンはポリビニルアルコールを更に含む。ポリビニルアルコールは、前記パラフィン炭化水素100部当たり約1重量部から約50重量部の量で存在することができる。本明細書の好ましい実施形態においては、ポリビニルアルコールは、約97%から約100%加水分解されているポリビニルアルコールとすることができる。
【0021】
本発明は、上記石膏組成物のタイプの硬化組成物を含む耐水性石膏ボードを更に含む。更なる一実施形態においては、ボードは、1対のライナー間に挟まれたコアを有することができ、コアは、上記石膏組成物のタイプの硬化組成物を含む。
【0022】
本発明は、耐水性石膏ボードを製造する方法であって、a)i)石膏100重量部と、ii)a.水、b.パラフィン系炭化水素、及びc.前記パラフィン系炭化水素100部当たり約1重量部から約200重量部の量の合成オレフィンワックス成分を含むワックス成分を含む、石膏100重量部当たり約0.5重量部から約20重量部のエマルジョン固形分の水性エマルジョンとの混合物を形成すること、b)混合物を構造体に形成すること、及びc)石膏を水和させながら構造体を乾燥させて石膏壁板を形成することを含む、方法を更に含む。合成オレフィンワックス成分は、上述のとおりとすることができる。一実施形態においては、構造体は組立品とすることができ、前記方法は、第1のライナー上に1層の混合物を配置すること、第2のライナーを該層上に第1のライナーに対向して配置して、該層がその間に挟まれた第1及び第2のライナーの組立品を形成することを更に含むことができる。本発明の別の一実施形態においては、エマルジョンはポリビニルアルコールを更に含む。ポリビニルアルコールは、前記パラフィン炭化水素100部当たり約1重量部から約50重量部の量で存在することができる。
【0023】
パラフィン系炭化水素、ワックス成分、水及びポリビニルアルコールを含む、水性モンタン系ワックスエマルジョンに使用されるモンタンワックス代替物であって、ワックス成分がモンタンワックス代替物を含み、モンタンワックス代替物が、(i)合成ノルマルα−オレフィンワックス、(ii)酸化によって及び/又は蒸留若しくはストリッピングによる精製によって変性された炭素原子約20個以上の炭素鎖長の合成オレフィンワックス、並びに(iii)それらの組合せからなる群から選択される合成オレフィンワックス成分を含む、モンタンワックス代替物も本発明の範囲内である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本出願人らは、適切なモンタンワックス代替物を十分に研究した後、驚くべきことに、代替物などが、建材分野用にこれまで採用されなかった合成オレフィンワックス成分を含むことができ、建材用ワックスエマルジョン中で並外れて良好に作用して、良好な耐水性、より優れた供給能力、及びコスト削減をもたらすことを見いだした。したがって、かかる合成オレフィンワックス成分は、優れたモンタンワックス代替物であり得る。
【0025】
かかる材料としては、ノルマルα−オレフィンワックスなどの合成α−オレフィンワックス、及び/又は上記合成オレフィンワックスを好ましくは含む、合成オレフィンワックス成分が挙げられる。この一般的カテゴリー内の有用な材料は、例えば、Chevron−Phillips Chemical Company LP、The Woodlands、TXからModified 30+ HA Waxの名称で供給され、入手可能である(CAS No.1003863−31−7、製品番号0001103509及び0001103513)。耐水性石膏壁板などの建材用のかかるワックスエマルジョンの別の好ましい材料は、オイルなどの炭化水素調合物の好ましい流動点降下剤としてChevronの米国特許出願公開第2007/0095723号A1に記載されている。この特許は、幾つかのタイプの考えられる流動点降下剤を記載しており、本明細書での使用に注目される合成オレフィンワックスは、エチレンオリゴマー化から、高沸点ワックス(Fischer Tropschワックス)のクラッキングからオレフィン系列として形成されるもの、及びパラフィンとオレフィンの混合物、並びにノルマルα−オレフィンワックス及び酸化ワックスである。
【0026】
合成オレフィンワックス、より具体的には、約28から約54個の炭素の鎖長を有するオレフィンと、不飽和型と飽和型の一方又は両方の以下の材料の1種以上:アルデヒド、ケトン、カルボン酸及びエステルと、約65から約108の二量体炭素鎖長を有するように約28から約54の炭素鎖長を有するオレフィンから調製される二量体との混合物で形成されるものが、最も好ましい。
【0027】
かかる流動点降下剤合成オレフィンワックス、ノルマルα−オレフィンワックス及び酸化ワックスを記載した2007/0095723の開示を参照により本明細書の関連部分に援用する。炭素数が20を超えるChevron α−オレフィンの誘導体は、Chevronによって流動点降下剤としての使用が示されている。Chevronは、かかるワックス画分も化学的に変性可能であることも示している。Chevronのクラスの合成オレフィンの中でも、少なくとも約20の炭素鎖長のα−オレフィンが好ましく、約26から約28以上のものがより好ましく、当分野では流動点降下剤として使用することができる30+鎖長のもの、及び炭素約26個以上のα−オレフィン合成材料が、化学変性後のかかる材料を含めて、最も好ましい。上記のかかる材料のすべてが「合成オレフィンワックス成分」の範囲内であり、この用語を本明細書では使用する。
【0028】
本明細書の合成オレフィンワックス成分に単独で又はその種々の組合せで使用される合成ノルマルα−オレフィンワックス及び合成オレフィンワックスは、好ましくは炭素原子少なくとも約20、より好ましくは少なくとも約26、最も好ましくは少なくとも約30個以上の炭素鎖長であり、やはり好ましくは、酸化によって、及び/又は種々のストリッピング技術、蒸留技術などの当分野で公知の若しくは今後開発される種々の技術によって分子量分布を狭くしてワックスを精製することによって、より好ましくは酸化及び精製によって、変性される。より好ましくは、それらは、上述したように、オレフィン、飽和及び不飽和ケトン、アルデヒド、カルボン酸及び/又はエステル、並びにオレフィン二量体の混合物から形成される合成オレフィンワックスとすることができる。
【0029】
かかる化合物を有する好ましい材料は、モンタンワックスに基づく、建築材料分野で既に使用されているものと性質が同じ又は類似したワックスエマルジョン内に含まれ、これらの材料は、モンタンワックスの、又は別のモンタンワックス代替物の、機能的代替物として使用することができる。
【0030】
本明細書の調合物を使用して水性エマルジョンを調製する際には、本発明の水性エマルジョンは、好ましくは、パラフィン系炭化水素、合成オレフィンワックス成分及び水を含む。(好ましくは、少なくとも98%加水分解されている)ポリビニルアルコールなどの安定剤、及びエマルジョンの安定化を助ける公知の若しくは今後開発される別の有用な材料、レオロジー剤、増粘剤、相溶化剤、着色剤、充填剤、防腐剤、鹸化剤、分散剤、界面活性剤などを含めて、エマルジョンの形成を助ける乳化剤を含めて異なる目的でエマルジョンに従来使用されているものなどの他の添加剤を用意することができる。
【0031】
パラフィン系ワックスは、合成オレフィンワックス及び生成するワックスエマルジョンと相溶して機能する任意の適切なパラフィンベースのワックスとすることができ、好ましくは、その諸性質が耐水性壁板製造に好都合である融点約40℃から約80℃のものであるが、配向性ストランドボード用などの別の建材用途では、別のパラフィンワックスを使用することもできる。
【0032】
本明細書のエマルジョンを調製する際には、モンタンワックス代替物に基づくが、エマルジョンのワックス成分は、任意に選択されるモンタンワックスを、又は天然カルナウバワックス、ヤシワックス、Fischer−Tropschワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、高分子アルケン及びその誘導体、(例えば米国特許出願公開第2006−0035112号A1に記載のように耐水性石膏壁板を調製するために耐水性ワックス調合代替物としての使用が公知である、触媒作用又は別の添加剤を含む及び含まない)シロキサン、漂白若しくは精製モンタン及び合成カルナウバワックスなどを含めて、本明細書の実施例に記載のものなどの別の適切なモンタンワックス代替物を、合成オレフィンワックス成分とのブレンドとして、含むことができる。かかるブレンドは、調合物がモンタン100%でない限り、合成オレフィンワックス成分と別の代替モンタンワックス又はモンタンワックス約99:1から約1:99、より好ましくは約80:20から約20:80、更により好ましくは約70:30から約30:70、最も好ましくは60:40から40:60とすることができる。合成オレフィンワックス成分(又は合成オレフィンワックスとモンタンワックス若しくは別のモンタンワックス代替物とのブレンド)は、好ましくは、パラフィン系炭化水素100部当たり約1重量部から約200重量部、好ましくは約1重量部から約50重量部の総量で調合物に含まれる。
【0033】
好ましい実施形態においては、安定剤がエマルジョンに供給される。好ましくは、安定剤は、ポリビニルアルコール又は類似の材料、好ましくはポリ酢酸ビニルの加水分解によって調製されるポリビニルアルコールであり、好ましくは、実質的に完全又は十分に加水分解されているポリビニルアルコールである。最も好ましくは、少なくとも約90%加水分解されているポリビニルアルコール、より好ましくは97%から100%加水分解されているポリビニルアルコールである。最も好ましくは、使用されるポリビニルアルコールは、約60℃から約95℃の高温で水溶性であるが、冷水に不溶である。ポリビニルアルコールは、パラフィン系ワックス100部当たり約1重量部から約50、好ましくは約1重量部から約20重量部の量で存在することができる。ポリビニルアルコールは、耐水性を高めることができる。
【0034】
水性エマルジョンを調製するのに使用される水は、一般に、エマルジョンの約35重量%から約80重量%、好ましくは約50重量%から約65重量%の量で使用される。
【0035】
本発明のエマルジョンに使用される適切な乳化剤としては、アルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤、並びに鹸化脂肪酸などの陰イオン界面活性剤が挙げられ、使用する場合には、エマルジョンの約0.1重量%から約5重量%の量で存在することができる。ワックスエマルジョンに有用であり、調合物に対して有害作用を持たない、他の一般的に知られた乳化剤又は今後開発される乳化剤を使用することができる。
【0036】
本発明のエマルジョン用の適切な鹸化剤としては、アルカリ金属、好ましくは水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、硫酸マグネシウム、水酸化ナトリウム又は類似の材料、最も好ましくは水酸化カリウムが挙げられる。鹸化剤は、エマルジョンの約5重量%以下、好ましくは約2重量%以下、最も好ましくは約0.01重量%から約1重量%の量で存在することができる。ワックスエマルジョンに有用であることが知られている公知の若しくは今後開発される他の鹸化剤も使用することができる。
【0037】
当分野で公知のタイプの分散剤又は界面活性剤を使用することができる。好ましい分散剤としては、スルホン酸(R−S(=O)−OH)及びその塩など、化合物中に硫黄又は硫黄含有基(単数又は複数)を有するものが挙げられるが、それだけに限定されない。式中、R基は、ヒドロキシル、カルボキシル又は別の有用な結合基を用いて別の官能性を持たせることができる。リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、これらの酸のスルホン酸塩、これらの材料の誘導体化又は官能化バージョンなどのより高分子量のスルホン酸化合物が好ましい。さらに、硫酸マグネシウム;七モリブデン酸アンモニウム/デンプンの組合せ;非イオン界面活性剤、イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤及びその混合物;アルキル第四級アンモニウムモンモリロナイトクレイなど、ワックスエマルジョン用の当分野で公知の他の分散剤、並びに他の公知の分散剤を使用することができる。調合物成分と相溶し、一緒に十分作用するのであれば、類似の材料を本発明で使用することもできる。
【0038】
分散剤及び/又は界面活性剤は、好ましくは、ワックスエマルジョンの約0.01重量パーセントから約2重量パーセント、好ましくはワックスエマルジョンの約0.1パーセントから約2重量パーセントの量で存在する。
【0039】
水性エマルジョンの一製造方法においては、パラフィン系炭化水素及び合成オレフィンワックス成分(又は別のブレンドワックス)は各々溶融状態に加熱され、次いで一緒にブレンドされる。次いで、乳化剤、安定剤及び他の成分を含むポリビニルアルコールの高温水溶液をワックスの高温ブレンドと一緒にコロイドミルに通すことができ、生成するエマルジョンを冷却する。
【0040】
あるいは、ホモジナイザーをコロイドミルの代わりに使用することができる。かかるホモジナイザーは、乳及び他の製品をホモジナイズするのに使用される装置と同じ一般タイプの装置とすることができる。かかる方法においては、ワックス成分と乳化成分の混合物を高圧(典型的には約1500psiから約3500psi)で供給して、ワックスを乳化し、コロイドミルの使用に典型的に付随するよりも小さい粒径とする。当分野で公知の又は開発され得る、別の製造方法及び装置タイプ及びエマルジョン調製手順を使用できることがこの開示に基づいて当業者に理解されるであろう。本発明のエマルジョンは、エマルジョンの乳化成分が貯蔵時に分離した場合、撹拌によって容易に作り直すこともできる。
【0041】
このエマルジョンを使用して石膏壁板を調製する際には、石膏材料の水性スラリーを調製する。本発明の水性エマルジョンを、石膏100部当たり約0.5重量部から約20重量部のエマルジョン固形分となる割合でスラリーに添加し、スラリーと混合する。かかる組成物は、石膏製造分野における従来の石膏調合要件に従って変わり得る。発泡剤、分散剤、硬化促進物質などの他の成分をスラリーに含めることができる。
【0042】
かかる硬化性石膏調合物から壁板を調製する際に、石膏スラリーと本発明のエマルジョンの混合物を壁板ライナーの第1のシートに塗布して、その上に石膏混合物の層を形成することができる。次いで、ライナーの第2のシートを堆積層の上に配置して、壁板組立品の様式で、又は第1と第2のシートが対向し向かい合った関係にあり、その間に石膏混合物の層を有する様式で、構造体を形成することができる。あるいは、プレス−イン−プレイス(press−in−place)成形及び類似の技術を含む製造方法を使用して、石膏スラリーをライナーのない壁板構造体に直接調製することができる。したがって、本明細書の石膏壁板という表記は、ライナーで被覆された壁板に限定されない。しかし、例えば外面に標準ライナーの代わりにガラスマットを用いて製造される壁板など、硬化性石膏調合物を含む壁板を作る任意の製造技術が、本明細書に記載の本発明の範囲内であることを理解すべきである。
【0043】
次いで、生成した構造体又は組立品をオーブン乾燥などによって乾燥させて、石膏の水和に不要な過剰の水を除去して、石膏壁板を完成させることができる。ライナーを使用する場合、ライナーは紙で形成することができ、繊維ガラス又は有機繊維マットも含むことができる。以下、本願を以下の非限定的実施例に関連して記述する。
【実施例】
【0044】
モンタンワックスの種々の考えられる代替物の中で、表1に示す標準の商業的モンタンワックス調合物を使用して、比較試験を実施した。表2に、種々の発明実施例1〜4をモンタンワックス対照と比較して結果を示す。表3に、他の比較上のモンタンワックス代替物候補、及び付随する結果を示す。
【0045】
【表1】

これらの実施例では、種々の判定基準及び諸性質、具体的には(2時間浸漬試験により71°Fで測定した)吸水%、(4番フォードカップを使用して秒単位で測定した)スラリー粘度、調合物粘度(標準Brookfield粘度)、pH及び(分析計を使用して測定し、体積平均をとった)粒径を評価した。調合物の固形分は、約38から約42重量パーセントの標準目標範囲に維持された。さらに、エマルジョン及び起泡安定性を種々の試料について観察した。試料をモンタンの代替物候補又は良好な代替物として、耐水性石膏壁板に使用するための評価判定基準(吸水は重要な判定基準と考えられ、好ましい吸収率は約6%吸水以下、最も好ましくは約5%以下である。)に関して、並びにコスト的な有効性及び他の産業上の使用因子の判定基準に関して、評価した。
【0046】
Chevron Phillipsから得た種々の合成オレフィンワックスの試料評価後、本発明の実施例で使用する幾つかの好ましい試料を選択した。好ましい材料としては、(発明実施例1及び2で使用した)Chevron Phillips H1413−86−5及び(発明実施例3で使用した)Chevron Phillips H1413−91Aが挙げられた。これらの実施例を下記表2に示す。
【0047】
【表2】

表2に示し本明細書に記述した発明代替物を見いだす前にモンタン代替物候補を評価するために、出願人は、カルナウバワックス(Carnauba T−3及びT−4)、Sasol製Fischer Tropschワックス(A1及びA28)、精製モンタンワックス(漂白ワックス)(Clariant(登録商標)EMS、ESL及びSワックス)、ヤシワックス(HP5401−C、HP5601−A)及び酸化ヤシワックス(HPX OX−50)を含めて、別のモンタン代替物候補のかなりの試験も対照調合物と比較して実施した。比較代替物候補の大部分は、モンタンワックスと組み合わせて適度に作用したが、モンタンを完全に置換する要求を満たさなかった。これらの材料の一部は、性能が不十分であった(ヤシワックス)。さらに、一部は吸水に関して十分であったが、コスト的に法外な代替物(カルナウバワックス)、及び/又は供給が不十分若しくは入手困難(漂白モンタン−良好であるが、それでもモンタンから精製される)であることが判明し、これらは、製造の点で実行可能な代替物ではなかった。同様に、Sasol Fischer Tropschワックスは、十分機能するように見えたが、入手が限られ、加工が困難であった。モンタン代替物候補の比較試験の実施例を下記表3に示す。
【0048】
【表3】

合成オレフィンワックスの形の本発明代替物モンタンワックスを用いて作製されたワックスエマルジョンに関して、かかる調合物は、対照試料と同等以上に機能し、独特のモンタンワックス代替物に基づく優れたワックスエマルジョンとして役立つ、安価で加工しやすいワックス調合物を与える。
【0049】
その広範な発明概念から逸脱することなく、上記実施形態に変更を加えることができることは当業者によって認識されるであろう。したがって、本発明は、開示した特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の精神及び範囲内で変形形態を網羅するように意図されることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、
パラフィン系炭化水素、及び
合成オレフィンワックス成分を含むワックス成分
を含み、
該合成オレフィンワックス成分が、(i)合成ノルマルα−オレフィンワックス、(ii)酸化によって及び/又は蒸留若しくはストリッピングによる精製によって変性された炭素原子約20個以上の炭素鎖長の合成オレフィンワックス、並びに(iii)それらの組合せからなる群から選択される、水性ワックスエマルジョン。
【請求項2】
前記合成オレフィンワックス成分が、前記合成オレフィンワックス(ii)であり、少なくとも28の炭素鎖長を有する、請求項1に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項3】
前記合成オレフィンワックス成分が、前記合成オレフィンワックス(ii)であり、少なくとも30の炭素鎖長を有する、請求項2に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項4】
前記合成オレフィンワックス成分が前記合成オレフィンワックス(ii)であり、(a)約28から約54個の炭素の炭素鎖を有するオレフィン、(b)アルデヒド、ケトン、カルボン酸及びカルボン酸エステルから選択される1種以上の成分、並びに(c)約65から約108の二量体炭素鎖長を有するように約28から約54の炭素鎖長を有するオレフィンから調製される二量体の1種以上の混合物を含む、請求項1に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項5】
前記ワックス成分が、前記合成オレフィンワックス成分とブレンドされたモンタンワックスを更に含む、請求項1に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項6】
前記ワックス成分が、前記合成オレフィンワックス成分と、天然又は合成カルナウバワックス、ヤシワックス、Fischer−Tropschワックス、高分子アルケン及び酸化ポリエチレンワックスの1種以上とのブレンドである、請求項1に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項7】
前記合成オレフィンワックス成分が、前記ワックス成分の約1パーセントから約100パーセントである、請求項1に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項8】
前記合成オレフィンワックス成分が、前記ワックス成分の約20パーセントから約80パーセントである、請求項7に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項9】
前記合成オレフィンワックス成分が、前記ワックス成分の約30パーセントから約70パーセントである、請求項8に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項10】
前記合成オレフィンワックス成分が、前記ワックス成分の約40パーセントから約60パーセントである、請求項9に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項11】
安定剤を更に含む、請求項1に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項12】
前記安定剤がポリビニルアルコールである、請求項11に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項13】
前記ポリビニルアルコールが、前記パラフィン炭化水素100部当たり約1重量部から約20重量部の量で存在する、請求項12に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項14】
前記ポリビニルアルコールが約97%から約100%加水分解されているポリビニルアルコールである、請求項13に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項15】
鹸化剤を更に含む、請求項1に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項16】
前記鹸化剤がアルカリ金属である、請求項15に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項17】
前記アルカリ金属が水酸化カリウムである、請求項16に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項18】
分散剤と界面活性剤の少なくとも一方を更に含む、請求項1に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項19】
前記分散剤が硫黄又は硫黄含有基を含む、請求項18に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項20】
前記分散剤がリグノスルホナートである、請求項19に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項21】
前記パラフィン系炭化水素が融点約40℃から約80℃のパラフィンワックスである、請求項1に記載の水性ワックスエマルジョン。
【請求項22】
耐水性石膏製品の形成に適した硬化性石膏組成物であって、
a)石膏100重量部と、
b)i)水、
ii)パラフィン系炭化水素、及び
iii)合成オレフィンワックス成分を含むワックス成分
を含む、石膏100重量部当たり約0.5重量部から約20重量部のエマルジョン固形分の水性エマルジョンと
を含み、前記ワックス成分が、前記パラフィン系炭化水素100部当たり約1重量部から約200重量部の量で存在する、硬化性石膏組成物。
【請求項23】
前記合成オレフィンワックス成分が、(i)合成ノルマルα−オレフィンワックス、(ii)酸化によって及び/又は蒸留若しくはストリッピングによる精製によって変性された炭素原子約20個以上の炭素鎖長の合成オレフィンワックス、並びに(iii)それらの組合せからなる群から選択される、請求項22に記載の硬化性石膏組成物。
【請求項24】
前記合成オレフィンワックス成分が前記合成オレフィンワックス(ii)であり、少なくとも30の炭素鎖長を有する、請求項23に記載の硬化性石膏組成物。
【請求項25】
安定剤を更に含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
前記安定剤が、前記パラフィン炭化水素100部当たり約1重量部から約50重量部の量のポリビニルアルコールである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記ポリビニルアルコールが約97%から約100%加水分解されているポリビニルアルコールである、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
1対のライナー間に挟まれたコアを有する耐水性石膏ボードであって、該コアが請求項22に記載の硬化組成物を含む、耐水性石膏ボード。
【請求項29】
耐水性石膏ボードを製造する方法であって、
a)i)石膏100重量部と、
ii)a.水、
b.パラフィン系炭化水素、及び
c.前記パラフィン系炭化水素100部当たり約1重量部から約200重量部の量の合成オレフィンワックス成分を含むワックス成分
を含む、該石膏100重量部当たり約0.5重量部から約20重量部のエマルジョン固形分の水性エマルジョンと
の混合物を形成する工程、
b)該混合物を構造体に形成する工程、及び
c)該石膏を水和させながら該構造体を乾燥させて石膏壁板を形成する工程
を含む、方法。
【請求項30】
前記混合物中の前記合成オレフィンワックス成分が、(i)合成ノルマルα−オレフィンワックス、(ii)酸化によって及び/又は蒸留若しくはストリッピングによる精製によって変性された炭素原子約20個以上の炭素鎖長の合成オレフィンワックス、並びに(iii)それらの組合せからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記構造体が組立品であり、そして、前記方法が、第1のライナー上に1層の前記混合物を配置する工程、第2のライナーを該層上に該第1のライナーに対向して配置して、該層がその間に挟まれた該第1及び該第2のライナーの該組立品を形成する工程を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記混合物が、前記パラフィン炭化水素100部当たり約1重量部から約50重量部の量のポリビニルアルコールを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
パラフィン系炭化水素、ワックス成分、水及びポリビニルアルコールを含む、水性モンタン系ワックスエマルジョンに使用されるモンタンワックス代替物であって、該ワックス成分が、該エマルジョン中の該ワックス成分の約1部から約100パーセントの量の該モンタンワックス代替物を含み、該モンタンワックス代替物が、(i)合成ノルマルα−オレフィンワックス、(ii)酸化によって及び/又は蒸留若しくはストリッピングによる精製によって変性された炭素原子約20個以上の炭素鎖長の合成オレフィンワックス、並びに(iii)それらの組合せからなる群から選択される合成オレフィンワックス成分を含む、モンタンワックス代替物。

【公表番号】特表2012−508156(P2012−508156A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535721(P2011−535721)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/063723
【国際公開番号】WO2010/054309
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(511110430)ヘンリー カンパニー エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】