説明

建築部材を判別するための部材形成方法

【課題】建築部材、特に塗装を行う建築部材の判別のためのマーキング作業の時間短縮とコスト低減ができる方法を提供する。

【解決手段】部材の端部に塗装をする工程と、下地塗装部6に、マスキングシート2、表面に情報記載部を有する部材判別情報シート3、部材判別情報シート3の裏面を保護する台紙4からなる建築部材判別シート1を貼付する工程と、部材全体を塗装する工程と、前記建築部材判別シート1のマスキングシート2を剥離する工程を含む建築部材の判別部材形成方法によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装後の建築部材を判別するための部材形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築部材を判別するため、特に塗装を施した建築部材を判別するために、建築部材の全体を塗装する前に、部材情報を記載する情報記載部に塗装を行い、予め文字が刻み込まれたテンプレートを用いて、前記部材情報に必要な文字をスプレー等の吹き付けにより情報記載部に転記し、前記部材情報が建築部材全体に塗装した後でも可視可能にするために、マスキングテープを前記部材情報を覆うように貼付し、前記建築部材塗装後、前記マスキングテープを剥離して、前記部材情報を可視することにより、前記建築部材の判別を行っていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記方法では、各工程で時間がかかることにより、塗装作業全体に多大な時間がかかるという問題があった。
また、近年、鉄の価格が高騰しているにも関わらず、マーキングのために予め文字が刻み込まれたテンプレートを用意しなければならず、コストが上昇するといった問題があった。
【0004】
本発明は、建築部材、特に塗装を行う建築部材の判別のためのマーキング作業の時間短縮とコスト低減を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、建築部材を判別するためのシートであって、透過性を有する低粘着性シートと表面に情報記載部を有する部材情報判別シートからなり、前記部材情報判別シートの表面側に前記低粘着性シートが剥離自在に貼付されていることを特徴とする建築部材判別シートにより解決される。
【0006】
特に、前記低粘着性シートの平面形状が前記部材情報判別シートの平面形状より大きいことが好ましい。
【0007】
また、塗装後の建築部材を判別するための部材の形成方法であって、建築部材の端部に塗装をする工程と、前記塗装部に、透過性を有する低粘着性シートが表面に情報記載部を有する部材判別情報シートの前記表面側に剥離自在に貼付されている建築部材判別シートを貼付する工程と、建築部材全体を塗装する工程と、前記部材全体塗装後、前記建築部材判別シートの前記低粘着性シートを剥離する工程とからなる建築部材の判別部材形成方法によっても解決される。
【0008】
この方法によれば、透過性を有する低粘着シートが表面に情報記載部を有する部材判別情報シートの前記表面側に剥離自在に貼付されている建築部材判別シートを用いて、建築部材塗装後、前記低粘着性シートを剥離するだけで、部材判別情報が可視可能になされているので、スプレーによりテンプレートの文字を吹き付けることにより、建築部材に部材判別情報を転記する必要がなくなるので、テンプレート、スプレーを用いることがなくなり、コストの低減が図れる。
【0009】
また、前記部材判別情報を転記する時間を省くことができ、さらに、前記部材判別情報を覆うようにマスキングシートを貼付するという無駄な作業をする必要がなくなり、作業時間の短縮が図れる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は以上のとおりであるから、建築部材の判別のためのマーキング作業の時間短縮とコスト低減をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1乃至図3は、本発明の実施形態を示し、図1は、建築判別シート1の外観図であり、建築部材判別シート1は、略長方形であり、上から透過性を有する低粘着性のマスキングシート2、表面に情報記載部を有する部材判別情報シート3、部材判別情報シート3の裏面の接着部を覆う台紙4で構成されており、マスキングシート2の平面形状が部材判別情報シート3の平面形状より大きく設計されている。なお、前記部材情報とは、工事現場名、製品名、位置方向など、建築するのに必要な情報が記載されており、作成者が適宜変更可能なものとなっている。
【0013】
図2(イ)〜(ニ)は、建築部材判別シート1を用いて、H型鋼5の判別を行うためのマーキング作業の手順を示す図であり、これに基づいてマーキング作業の手順を説明する。まず、(イ)〜(ロ)に示すように、H型鋼5のフランジの長手方向の上端部に建築部材シート1を貼付する下地として塗装を行い、下地塗装部を形成し、下地塗装部6に台紙4を剥離した建築部材判別シート1を貼付する。
その後、(ハ)〜(ニ)に示すように、H型鋼5全体を塗装し(建築部材判別シート1を含む。)、全体の塗装終了後、建築部材判別シート1のマスキングシート2を剥離し、建築部材情報が可視可能な状態になる。
【0014】
上記の手順のように、建築部材判別シート1を貼付し、マスキングシート2を剥離することで、部材情報を可視できるようになされているので、作業時間を短縮でき、しかもコスト的にも有利にすることができる。
【0015】
また、図3は、図2(ハ)のA−A断面図であり、H型鋼5に建築部材判別シート1を貼付し、全体塗装をした状態を示す。
図3からわかるように、マスキングシート2の平面形状が部材判別情報シート3の平面形状より大きく設計されているため、全体塗装を行った後でも、マスキングシート2の側端部が剥離代として、塗装ラインの外側に突出するので、容易に剥離することができる。
【0016】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、建築部材をH型鋼としているが、建築に用いる部材であれば何でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態である建築判別シートの全体を示す斜視図である。
【図2】(イ)〜(ニ)は、本発明の実施形態の工程を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態の建築部材を全体塗装した後を示す断面側面図である。
【符号の説明】
【0018】
1・・・建築部材判別シート
2・・・マスキングシート
3・・・部材判別情報シート
4・・・台紙
5・・・H型鋼
6・・・下地塗装部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築部材を判別するためのシートであって、
透過性を有する低粘着性シートと表面に情報記載部を有する部材情報判別シートからなり、
前記部材情報判別シートの表面側に前記低粘着性シートが剥離自在に貼付されていることを特徴とする建築部材判別シート。
【請求項2】
前記低粘着性シートの平面形状が前記部材情報判別シートの平面形状より大きいことを特徴とする請求項1記載の建築部材判別 シート。
【請求項3】
塗装後の建築部材を判別するための部材の形成方法であって、
建築部材の端部に塗装をする工程と、
前記塗装部に、透過性を有する低粘着性シートが表面に情報記載部を有する部材判別情報シートの前記表面側に剥離自在に貼付されている建築部材判別シートを貼付する工程と、
建築部材全体を塗装する工程と、
前記部材全体塗装後、前記建築部材判別シートの前記低粘着性シートを剥離する工程とからなる建築部材の判別部材形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−221706(P2009−221706A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65898(P2008−65898)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】