説明

建設機械における燃料回路

【課題】エンジン9に設けた燃料ポンプ14と燃料噴射ポンプ16とのあいだの燃料供給用配管12a、12bに、燃料フィルタ15をエンジン9とは別置きするようにして前組み付けし、該前組み込みしたものを機体に組み込むにあたり、配管に捻りがあっても無理なく組み込めるようにする。
【解決手段】燃料フィルタ15と各ポンプとのあいだを接続する燃料供給用配管12a、12bの配管途中に、360°自在回転可能なスイベルジョイント17、18を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械における燃料回路の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械は、原動機(駆動源)としてエンジン(ディーゼルエンジン)が搭載されるが、今日、斯かる原動機からの排気ガス中の大気汚染物質の排出規制(エミッションコントロール)が強化されており、このため、燃料の高い清浄度が求められている。そこで燃料フィルタについても、クリーンなエンジン組立工場でエンジンと配管接続するようにして燃料フィルタの清浄度を保つようにすることが試みられているが、この場合に、燃料フィルタについての整備性やアクセス性の観点から、燃料フィルタは、エンジンに直接マウントせず、エンジンから離間した別場所(別置き)にマウント(リモートマウント)するようにしたものが知られている(例えば特許文献1、2)。
【特許文献1】特開2002−89391号公報
【特許文献2】特開2002−371936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで前記燃料フィルタをエンジンに対してリモートマウントする場合、燃料フィルタは、エンジンにそれぞれ設けられる燃料ポンプと燃料噴射ポンプとを接続するための燃料供給用配管の配管途中に設けられる。そしてこの状態で、機体に対してエンジンと燃料フィルタとを各別に組み付ける場合に、燃料フィルタの高い清浄度を保つためエンジンと燃料フィルタとを予め燃料供給用配管で連結したものを機体に組み付けることになるが、エンジンと燃料フィルタとが正確な取付け姿勢で連結されていないことがあり、この場合、燃料供給用配管を無理に捻る状態での組み付けが強いられることがあり、場合によっては配管から燃料フィルタを一旦切り離してからの組み付けとならざるを得ないことがあって作業性が劣るばかりでなく、配管から切り離した場合には燃料フィルタの清浄度が低下する惧れがあるという問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、エンジンと、該エンジン駆動のための燃料が供給される燃料タンクと、エンジンに付設され、燃料タンク内の燃料をエンジンに供給するための燃料ポンプと、エンジンに供給された燃料をエンジン内で燃焼するため噴射する燃料噴射ポンプと、燃料タンク内の燃料を燃料ポンプから燃料噴射ポンプにまで供給するための燃料供給用配管とを備えた建設機械において、前記燃料を濾過して清浄化するための燃料フィルタを、燃料供給用配管の燃料ポンプと燃料噴射ポンプとの間にエンジンとは別置きにして設けるにあたり、燃料供給用配管の燃料ポンプから燃料フィルタに至るまでの配管中、および燃料フィルタから燃料噴射ポンプに至るまでの配管中に、燃料供給用配管を回転できる自在回転式管継手を設けたことを特徴とする建設機械における燃料回路である。
請求項2の発明は、自在回転式管継手は、配管の軸心線に対して軸回り方向の自在回転ができるものであることを特徴とする請求項1記載の建設機械における燃料回路である。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明とすることで、燃料フィルタをエンジンに対して別置きにして燃料フィルタの高い整備性やアクセス性を確保しながら、燃料供給用配管を用いてエンジンに対して燃料フィルタが前接続されたものについて、配管を無理に捻ることなく機体に簡単に組込むことができる。
請求項2の発明とすることで、配管の360度の自在回転ができることになって、組み付け性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図面において、1は油圧ショベルであって、該油圧ショベル1は、クローラ式の下部走行体2、該下部走行体2に旋回自在に支持される上部旋回体3、該上部旋回体3に装着されるフロントアタッチメント4等から構成されているが、前記上部旋回体3には、キャブ5が左側に配され、燃料タンク6、作動油タンク7等が収納されたタンク室8が右側に配されている。さらに、上部旋回体3の後部には、油圧ショベル1の動力源であるエンジン9が収容されるエンジンルーム10が配され、該エンジンルーム10の後部にカウンタウエイト11が設けられている。
【0007】
前記燃料タンク6には、エンジン9への燃料供給用配管12とエンジン9からの燃料戻り用配管13とが接続されているが、燃料供給用配管12は、エンジン9に付設した燃料ポンプ14を経由して燃料フィルタ15に至り、該燃料フィルタ15で清浄化された燃料をエンジン9に供給するように配管されている。そしてエンジン9に供給された燃料は、エンジン9に設けた燃料噴射ポンプ16で噴射されて燃焼することになるが、燃焼されない余剰の燃料は、燃料戻り配管13を経由してエンジン9から燃料タンク6に戻るようになっている。
【0008】
前記燃料フィルタ15は、エンジンルーム10とは別室となるよう左右に配したクーリングパッケージ前室8aまたはポンプ室8b(本実施の形態ではポンプ室)に配設されるようになっており、そこで図2に示すように燃料ポンプ14から燃料フィルタ15に至る燃料供給用配管12aと、燃料フィルタ15から燃料噴射ポンプ16に至る燃料供給用配管12bとには、自在回転ができるスイベルジョイント(自在回転式管継手)17、18が配管途中にそれぞれ設けられている。
ここで使用されているスイベルジョイント17、18は、配管の軸心線Xに対して軸回り方向の360度の自在回転ができるものが採用されている。
【0009】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、燃料フィルタ15は、エンジン9にそれぞれ設けられる燃料ポンプ14及び燃料噴射ポンプ16に燃料供給用配管12a、12bを介して接続する前組付けをした状態で、機体に対してエンジン9とは別置きして整備性、アクセス性の優れた配設ができるものであるが、この場合に、機体組み込みするとき燃料供給用配管12a、12bを捻らなければならない場合、前記燃料供給用配管12a、12bにはスイベルジョイント17、18がそれぞれ設けられていて、配管の捻りに応じて自在回転することになり、この結果、配管の無理な捻り作業をすることがなく、容易に組み付けることができる。
【0010】
しかもこのものでは、スイベルジョイント17、18が360度の捻りに対応できるものであるため、組み付け作業が一段と容易になる。
【0011】
尚、本発明を実施するにあたり、スイベルジョイントとしては、配管途中に設けるものに限定されず、燃料フィルタやポンプに直結するようにして設けてももちろん良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A)(B)は油圧ショベルの側面図、平面図である。
【図2】燃料回路の概略図である。
【図3】スイベルジョイントの一部断面図である。
【符号の説明】
【0013】
1 油圧ショベル
6 燃料タンク
9 エンジン
12 燃料供給用配管
14 燃料ポンプ
15 燃料フィルタ
16 燃料噴射ポンプ
17、18 スイベルジョイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、該エンジン駆動のための燃料が供給される燃料タンクと、エンジンに付設され、燃料タンク内の燃料をエンジンに供給するための燃料ポンプと、エンジンに供給された燃料をエンジン内で燃焼するため噴射する燃料噴射ポンプと、燃料タンク内の燃料を燃料ポンプ、燃料噴射ポンプにまで供給するための燃料供給用配管とを備えた建設機械において、前記燃料を濾過して清浄化するための燃料フィルタを、燃料供給用配管の燃料ポンプと燃料噴射ポンプとの間にエンジンとは別置きにして設けるにあたり、燃料供給用配管の燃料ポンプから燃料フィルタに至るまでの配管中、および燃料フィルタから燃料噴射ポンプに至るまでの配管中に、燃料供給用配管を回転できる自在回転式管継手を設けたことを特徴とする建設機械における燃料回路。
【請求項2】
自在回転式管継手は、配管の軸心線に対して軸回り方向の自在回転ができるものであることを特徴とする請求項1記載の建設機械における燃料回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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