説明

建設機械のアッパーフレーム

【課題】センターセクション20とその左右両側に連結されたデッキ部21,22とを備えた、油圧ショベル200のアッパーフレーム10において、アッパーフレーム10の強度を十分に確保しつつ、デッキ部21,22に搭載された機器(コントロールバルブ50等)からの油圧ホース配管151の配索性を向上させる。
【解決手段】左右のサイドフレーム26,27とセンターセクション20とを連結するための第1右張出しビーム42を、コントロールバルブ50の台座部となる台座用ビーム42として利用するとともに、この台座用ビーム42を左右方向から見て断面L字に形成し、さらには、台座用ビーム42と縦板25との連結強度を確保するために、この台座用ビーム42の垂直板部171のセンターセクション側の端部に補強用横リブ179を設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
建設機械のアッパーフレームに関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、作業機が取付けられるセンターセクションと、該センターセクションの左右両側に設けられるデッキ部とを備えたいわゆるデッキ構造のアッパーフレームが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものでは、左右のデッキ部はそれぞれ、前後方向に延びるサイドフレームと、該サイドフレームをセンターセクションに連結する連結部材とを有している。右デッキ部には、油圧ポンプや作動油タンク及びコントロールバルブ等の機器類が配設され、他方のデッキ部には運転室を形成するキャブが配設されている。
【0004】
右デッキ部の連結部材は、コントロールバルブの台座部として利用される前後一対のサイドビームを含んでいる。この一対のサイドビームはそれぞれ、下側に開放する断面コ字状に形成されている。両サイドビームの上面には両者に跨る台座板が設置されており、この台座板にはコントロールバルブが固定されている。
【0005】
上記センターセクションは、底板と、該底板に立設されて前後方向に延びる左右一対の縦板とを有している。上記縦板には通常、例えば特許文献2(特に図4)に見られるように貫通孔が形成されており、上記デッキ部に配設された機器類の電気配線や油圧ホース配管は、この貫通孔を通って一旦左右の縦板の間の空間に導かれた後、センターセクションに搭載された作業機やエンジンへと導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−193949号公報
【特許文献2】特許第4740088号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に示すアッパーフレームを有する建設機械では、コントロールバルブの周囲に固定配管(特許文献1では油圧ポンプの曲げ配管)や作動油タンクが所狭しと配置されており、このため、コントロールバルブの周囲に油圧ホースを配索するためのスペースを確保し難いという問題がある。特に、重量が13t以下の小型の建設機械では、大型の建設機械に比べて、デッキ部の左右幅及び前後長さが短くなるため、この問題が顕著になる。
【0008】
また、従来のアッパーフレームでは、縦板に油圧ホース配管等を挿通するための貫通孔を形成する必要があるため、縦板の強度が低下し、延いては、アッパーフレーム全体の強度低下を招くという問題がある。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、デッキ構造を有するアッパーフレームに対して、その構成に工夫を凝らすことで、アッパーフレームの強度を十分に確保しつつ、デッキ部に搭載された機器から延びる電気配線及び油圧ホース配管の配索性を向上させようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明では、左右のサイドフレームとセンターセクションとを連結するための連結ビームを、機器の台座部となる台座用ビームとして利用し、該台座用ビームを左右方向から見て断面L字に形成すると共に、この断面L字状の台座用ビームの垂直板部のセンターセクション側の端部に補強用横リブを設けるようにした。
【0011】
具体的には、請求項1の発明では、底板と底板に立設されて前後方向に延びる左右の縦板とを有するセンターセクションと、センターセクションの左右両側に設けられ、前後方向に延びる左右のサイドフレームと、左右の縦板の側面からそれぞれ上記センターセクションの左右方向の外方側に突出して、上記左右のサイドフレームに連結される左右の連結部材と、を備えた建設機械のアッパーフレームを対象とする。
【0012】
そして、上記左右の連結部材のうち少なくとも一方は、上記建設機械の機器の台座部として利用される台座用ビームを含み、上記台座用ビームは、上記底板に対して平行に配設され且つ左右方向に延びる機器載置用の水平板部と、上記水平板部の前端縁又は後端縁に沿って下方に延びる垂直板部とを有していて、左右方向から見た断面がL字状に形成されており、上記台座用ビームの垂直板部は、その左右方向のセンターセクション側の端部が縦板に連結され、該センターセクション側とは反対側の端部がサイドフレームに連結されている一方、上記水平板部は、その左右方向のセンターセクション側の端部が縦板に対して非連結とされ、該センターセクション側とは反対側の端部がサイドフレームに連結されており、上記垂直板部の左右方向のセンターセクション側の端部には、該垂直板部の側面と縦板の側面とを連結する補強用横リブが設けられているものとする。
【0013】
この構成によれば、台座用ビームを左右方向から見て断面L字状に形成したことで、台座用ビームの下側の空間を、台座部に設置された機器からの電気配線や油圧ホース配管の配索スペースとして利用することができる。
【0014】
この油圧ホース配管や電気配線は通常、センターセクションを経由して各種のアクチュエータ等に接続されるが、これらのホース配管等をセンターセクション内へと導くために、例えば、縦板の高さを極力低く設定してこの縦板の上側を跨ぐようにホース配管等を配索することが考えられる。
【0015】
そうした場合、縦板の高さが水平板部の高さ位置よりも低くなって、水平板部のセンターセクション側の端部と縦板とを連結できない場合が生じ、台座用ビームと縦板との連結強度が低下するという問題がある。
【0016】
これに対して、本発明では、垂直板部のセンターセクション側の端部に補強用横リブを設けることにより、補強用横リブを設けない場合に比べて、垂直板部と縦板との連結強度を高めるようにした。これにより、縦板の高さを極力低くとってその上側に電気配線及びホース配管の通過スペースを確保しつつ、台座用ビームと縦板との連結強度を十分に確保することができる。
【0017】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記各縦板は、上記左右のサイドフレームの間に位置する縦板本体部と、該縦板本体部の前端部から前側に延びて上記各デッキ部のサイドフレームの前端部よりも前側に突出するとともに、上記作業機装着部が設けられる突出部と、を有し、上記縦板本体部の上記底板を基準とした高さをH1とし、上記左右のサイドフレームの上記底板を基準とした高さをH2とし、上記水平板部の上記底板からの高さをHsとしたときに、H1<Hs<H2の関係を満たしており、上記台座用ビームの垂直板部は、その左右方向のセンターセクション側の端部が縦板本体部に連結され、該センターセクション側とは反対側の端部がサイドフレームに連結されている一方、上記水平板部は、その左右方向のセンターセクション側の端部が縦板本体部に対して非連結とされ、該センターセクション側とは反対側の端部がサイドフレームに連結されているものとする。
【0018】
この構成によれば、縦板の前端部を左右のサイドフレームよりも前側に突出させて、該突出部に作業機装着部を設けるようにしたことで、上下方向に比較的大きな寸法を必要とする縦板の作業機装着部を、左右のデッキ部よりも前側に位置させることができる。しかも、縦板本体部の高さH1は、左右のサイドフレームの高さH2よりも低く設定されているため、アッパーフレームの上面部から主要骨格部材である縦板が上方に突出することもない。よって、左右のデッキ部とその間に位置する部分とに跨る領域全体を、キャブや機器類の搭載領域として利用することができる。したがって、キャブが縦板と干渉することもないので、キャブの幅を縦板による制約を受けずに自由に設定することができる。
【0019】
また、キャブは通常、アッパーフレームに対して左右のサイドフレームの上面と同じ高さ位置か又はそれよりもやや高い位置で支持されるが、上述の如く、縦板本体部の高さをサイドフレーム高さよりも低く設定したことで、縦板の上端縁とキャブの下面との間に、電気配線や油圧配管を挿通するための隙間空間を確保することができる。
【0020】
ここで、これら電気配線や油圧配管の配索性を向上させるためには、縦板本体部の高さを極力低く設定して上記隙間空間を上下方向に広くとることが好ましい。そうした場合、縦板本体部の高さが台座用ビームの水平板部の高さ位置よりも低くなり、水平板部のセンターセクション側の端部を縦板(縦板本体部)に連結できない場合がある。この結果、台座用ビームと縦板との連結強度が低下して、台座用ビームによる機器の支持強度が低下するとと共に、センターセクションに対するデッキ部全体の連結強度が低下するという問題が生じる。
【0021】
これに対して、本発明では、台座用ビームの垂直板部のセンターセクション側の端部に補強用横リブを設けるようにしたことで、このように水平板部を縦板に連結できない場合であっても、台座用ビームと縦板との連結強度を十分に確保することができる。よって、台座用ビームの強度を十分に確保しながら、台座用ビーム設置された機器の電気配線や油圧ホース配管の配索性を向上させることができる。
【0022】
尚、本明細書において、「高さ」というときは、特に断らない限り、底板を基準とした高さを意味するものとする。
【0023】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、上記垂直板部の左右方向のセンターセクション側の端部における上端縁には、下側に凹む切欠部が形成され、上記補強用横リブの左右方向の幅は、上記切欠部の左右方向の幅よりも大きいものとする。
【0024】
この構成によれば、垂直板部の上記縦板との連結部側の端部に切欠部を形成するようにしたことで、機器の配線や配管類とが垂直板部の端部に干渉するのを回避することができる。また、上記補強用横リブの幅をこの切欠部の幅よりも大きくとったことで、切欠部を設けることによる台座用ビームの強度低下を抑制することができる。
【0025】
請求項4の発明では、上記水平板部は、上記サイドフレームとの連結部側からセンターセクション側に向かうにしたがって前後方向の幅が狭くなるように形成されているものとする。
【0026】
この構成によれば、台座用ビームの機器設置面積を十分に確保しながら、機器からの電気配線や油圧ホース配管の配索性を向上させることができる。
【0027】
すなわち、台座用ビームに設置された機器の電気配線や油圧ホース配管の大部分は、一旦センターセクションへと導かれた後に、作業機やエンジンに向けて配索される。このため、台座用ビームのセンターセクション側の端部近傍では、台座用ビームに設置された機器からセンターセクションへと向かう多数の配線及び配管が密集する。このため、台座用ビームのセンターセクション側では、これらの配線及び配管を配索するためのスペースをサイドフレーム側に比べて広くとる必要がある。
【0028】
これに対して、本請求項4の発明では、水平板部の前後方向の幅を、サイドフレーム側からセンターセクション側に向かうにしたがって狭くなるように設定した。これにより、水平板部のセンターセクション側ほど、水平板部の上面側から該水平板部の下側空間へのアクセスを容易化して、配線及び配管の配索スペース(配索自由度)を拡大することができる。
【0029】
請求項5の発明では、請求項1乃至4のいずれか一つの発明において、上記台座用ビームは、上記水平板部の下面から下方に延びると共に上記垂直板部の側面に連結された補強用縦リブをさらに備えているものとする。
【0030】
この構成によれば、機器が載置される水平板部の下面を、垂直板部の側面に連結された補強用縦リブによって支えることができる。したがって、台座用ビームによる機器の支持強度をさらに向上させることができる。
【0031】
請求項6の発明では、請求項1乃至5のいずれか一つの発明において、上記台座用ビームは、上記水平板部のサイドフレームとの連結部側の端部における上記垂直板部が位置する側とは反対側の端縁から下方に延びる垂直片部をさらに備え、上記垂直片部はサイドフレームに連結されているものとする。
【0032】
この構成によれば、上記台座用ビームを、サイドフレームとの連結部側の端部において、左右方向から見て下側に開放する断面コ字状に形成することができる。そして、このコ字状断面全体がサイドフレームに連結されるため、台座用ビームとサイドフレームとの連結強度を可及的に向上させることができる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明の建設機械のアッパーフレームによると、左右のサイドフレームとセンターセクションとを連結するための連結ビームを、機器の台座部となる台座用ビームとして利用し、この台座用ビームを左右方向から見て断面L字に形成すると共に、該断面L字状の台座用ビームの垂直板部のセンターセクション側の端部に補強用横リブを設けるようにした。これにより、台座用ビームと縦板との連結強度を十分に確保しつつ、機器からの電気配線及び油圧ホース配管の配索性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係るアッパーフレームを有する建設機械としての油圧ショベルを示す概略側面図である。
【図2】アッパーフレームを示す、左側の後方且つ上方から見た斜視図である。
【図3】アッパーフレームにコントロールバルブを取付けた状態を示す、上側から見た平面図である。
【図4】アッパーフレームを示す、左側の下方から見た斜視図である。
【図5】アッパーフレームを示す、左側から見た側面図である。
【図6】アッパーフレームを示す、右側から見た側面図である。
【図7】アッパーフレームを示す、前側の上方から見た斜視図である。
【図8】図3のVIII-VIII線断面を示す概略図である。
【図9】アッパーフレームに燃料タンク、作動油タンク、及びコントロールバルブを取付けた状態を示す、前側の上方から見た斜視図である。
【図10】第1右張出しビームを拡大して示す、左側の上方から見た斜視図である。
【図11】第1右張出しビームを拡大して示す、左側の前方から見た斜視図である。
【図12】第1右張出しビームを拡大して示す、前側の右方且つ上方から見た斜視図である。
【図13】(a)は図12のA−A線断面図であり、(b)は図12のB−B線断面図であり、(c)は図12のC−C線断面図であり、(d)は図12のD−D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0036】
<全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係るアッパーフレーム10を有する建設機械100を示し、この建設機械100は、本実施形態では油圧ショベル200とされている。尚、以下の説明では、特に断らない限り、「前側」、「後側」、「左側」、及び「右側」はそれぞれ、油圧ショベル200の運転席から見て、前側、後側、左側、及び右側を意味する。
【0037】
油圧ショベル200は、クローラ式の下部走行体1と下部走行体1上に旋回可能に支持された上部旋回体2とを有している。上部旋回体2の前端部には、掘削作業等を行う作業機3が起伏可能に設けられている。この作業機3は、基端部がアッパーフレーム10に回動可能に取り付けられたブーム4と、ブーム4の先端側に回動可能に取り付けられたアーム5と、アーム5の先端側に回動可能に取り付けられたバケット6とを有している、ブーム4、アーム5、及びバケット6は、それぞれ、油圧シリンダである、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9により駆動される。
【0038】
上部旋回体2は、その骨格ベースとなるアッパーフレーム10と、アッパーフレーム10の中央部の前端部に取り付けられる上記作業機3と、アッパーフレーム10の後端側に取り付けられ、作業機との重量バランスをとるカウンタウェイト11と、アッパーフレーム10におけるカウンタウェイト11の前側に設けられたエンジン及び油圧ポンプ(図示省略)と、アッパーフレーム10の前部左側に配設されたキャブ12とを有している。
【0039】
上記アッパーフレーム10は、図2〜図4に示すように、ショベル200の幅方向(左右方向)の中央部に位置するセンターセクション20と、このセンターセクション20の左右両側に連結された左右のデッキ部21,22とからなるデッキ構造を有している。センターセクション20は、底板28と底板28に立設されて略前後方向に延びる左右の縦板24,25とを有している。作業機3は、後述するように、センターセクション20の前端部に取り付けられる。
【0040】
<左右のデッキ部の詳細構成>
上記左右のデッキ部21,22の前端は前後方向の同じ位置にある一方、センターセクション20の前端は、左右のデッキ部21,22の前端よりも前側に位置している。左デッキ部21、右デッキ部22はそれぞれ、前後方向に延びる断面D字状を有する左サイドフレーム26、右サイドフレーム27と、各サイドフレーム26,27をセンターセクション20に連結する左連結部材30、右連結部材40とを有している。
【0041】
右連結部材40は、右縦板25の前部から右側(センターセクション20の左右方向の外側)に向かって延びて右サイドフレーム27の前端部に連結される断面D字状を有する右前枠41と、右縦板25の後端部から右側に向かって延びて右サイドフレーム27の後端部に連結される平板状の右後枠44と、右縦板25の前後方向の中間部から右側に向かって延びる第1及び第2右張り出しビーム42,43とを含んでいる。
【0042】
この2つの右張り出しビーム42,43は、前後方向に間隔を空けて配設されており、上記ショベル200の機器類を配置するための台座部として利用される。本実施形態では、第1及び第2右張出しビーム42,43は、両ビーム42,43間に跨って配設される燃料タンク36の台座部として利用される(図9参照)。また、第1右張出しビーム42は、燃料タンク36の前側に配設されたコントロールバルブ50の台座部としても利用される。燃料タンク36の後方斜め左側には作動油タンク37が配設されている。この作動油タンク37は、センターセクション20に設けられた後述の作動油タンク支持部94により支持されている。
【0043】
左連結部材30は、左縦板24の前部から左側(センターセクション20の左右方向の外側)に向かって延びて左サイドフレーム26の前端部に連結される断面D字状を有する左前枠31と、左縦板24の後端部から左側に向かって延びて左サイドフレーム26の後端部に連結される平板状の左後枠35と、左縦板24の前後方向の中間部から左側に向かって延びる第1〜第3左張り出しビーム32〜34とを含んでいる。3つ左張出しビーム32〜34は、前後方向に互いに間隔を空けて配設されている。第1〜第3左張出しビーム32〜34は、いずれも底板28に対して垂直で且つ左右方向に延びる板状ビームである。前から2番目の第2左張出しビーム33と3番目の第3左張出しビーム34の左側端部には、後述するキャブ支持部95が設けられている。
【0044】
<センターセクションの詳細構成>
上記センターセクション20は、上述の如く、底板28と左右の縦板24,25とを有している。底板28は厚肉の鋼板で形成されており、左右の縦板24,25は底板28に対して溶接等により接合されている。
【0045】
底板28は、図4に示すように、前後方向に長い略矩形板状の底板本体51と、底板本体51の前端部の右側寄りの部分から前方に延出する延出部52とを有している。延出部52は、略矩形板状に形成されていて、その根元部分は後側(底板本体51側)に向かうにしたがって左右方向に拡幅している。これにより、底板本体51と延出部52との境界部における曲げ剛性の向上を図っている。
【0046】
底板本体51の前端部の下面には、旋回ベアリングを固定するための環状のベアリング固定部61が形成されている。ベアリング固定部61には、旋回ベアリングの外輪を固定するための複数の螺子孔62が形成されている。底板本体51の前端部におけるベアリング固定部61に内接する位置には、旋回用モータを取り付けるためのモータ取付孔63が形成されている。旋回用モータにはピニオンギヤが回転一体に取付けられ、このピニオンギヤがベアリングの内輪に設けられた内周ギヤに噛合しながら回転することで、アッパーフレーム10が下部走行体1に対して旋回動作する。尚、図4中の符合64は、スイベルジョイントを取付けるための取付孔である。
【0047】
底板本体51における上記ベアリング固定部61の前端部の真上近傍には、左右方向に延びるビーム板65が立設されている。ビーム板65の上端部は、後述する背板70の下面に溶接接合され、ビーム板65の下端部は、底板28の上面に溶接接合されている。また、ビーム板65の左右両端縁はそれぞれ、左右の縦板24,25に溶接接合されている。
【0048】
左右の縦板24,25は、左右のサイドフレーム26,27の間に位置する縦板本体部24b,25bと、各縦板本体部24b,25bの前端部からそれぞれ前側に延びて、左右のサイドフレーム26,27の前端部(左右のデッキ部21,22)よりも前側に突出する突出縦板部24a,25aとを有している。本実施形態では、左右の縦板24,25はそれぞれ一枚板で形成されているが、例えば、縦板本体部24b,25bと突出縦板部24a,25aとを溶接接合して形成するようにしてもよい。
【0049】
図5及び図6に示すように、左右の縦板24,25の突出縦板部24a,25aは、側面視において、上方に向かって略台形状に隆起している。この左右の突出縦板部24a,25aの上端縁はそれぞれ、側面視において、縦板本体部24b,25bの上端縁に連続的に繋がっている。左右の突出縦板部24a,25aの上端縁は、縦板本体部24b,25bの前端部から前方斜め上側に延びた後、前側に向かって水平に延び、その後、前方斜め下側に延びて突出縦板部24a,25aの前端縁に至る。
【0050】
左右の突出縦板部24a,25aの間には、作業機3のブーム4及びブームシリンダ7を取り付けるための作業機装着板71が設けられている。作業機3は、この作業機装着板71を介して左右の突出縦板部24a,25bに固定される。そうして、この左右の突出縦板部24a,25aが、作業機3を装着するための作業機装着部を構成している。
【0051】
作業機装着板71の左右両端縁はそれぞれ、この左右の突出縦板部24a,25aに溶接して固定されている。作業機装着板71は、左右の突出縦板部24a,25aの前端縁に沿って底板28に対して垂直に延びる垂直板部72と、該垂直板部72の上端部から後方斜め上側に延びる傾斜板部73とを有している。
【0052】
垂直板部72には、左右方向に並ぶ一対のシリンダブラケット板74が立設されている。各シリンダブラケット板74には、左右方向に貫通する貫通孔75が形成されている。上記ブームシリンダ7の基端部は、この貫通孔75に嵌合支持されたシリンダ支持ピン(図示省略)により回動可能に支持される。傾斜板部73には、左右方向に並ぶ三角板状の一対のブームブラケット板78が立設されている。各ブームブラケット板78は、左右の縦板24,25の突出縦板部24a,25aに対して厚さ方向(左右方向)に重合して接合されている。突出縦板部24a,25a及びブームブラケット板78には、左右方向に貫通する貫通孔79が形成されている。上記ブーム4の基端部は、この貫通孔79に嵌合支持されたブーム支持ピン(図示省略)により回動可能に支持される。
【0053】
図3に戻って、左右の突出縦板部24a,25aは底板28の延出部52に立設されている。両突出縦板部24a,25aは、前後方向に延びるとともに、左右方向に互いに間隔を空けて平行に配置されている。
【0054】
左右の縦板24,25の縦板本体部24b,25bは底板本体51に立設されている。左縦板24の縦板本体部24bは、平面視において、底板本体51の後端から前側に向かって直線状に延びる直線部24fと、該直線部24fの前端部から前方斜め右側に延びて、左縦板24の突出縦板部24aの後端に接続される傾斜部24gとを有している。同様に、右縦板25の縦板本体部25bは、平面視において、底板本体51の後端から前側に向かって直線状に延びる直線部25fと、該直線部25fの前端部から前方斜め左側に緩やかに傾斜して、右縦板25の突出縦板部25aの後端に接続される傾斜部25gとを有している。左右の縦板24,25は、上述のように傾斜部24g,25gを有しているが、全体として見ると前後方向に延びている。
【0055】
上記左右の縦板本体部24b,25bの後端部同士は、底板28の上面に立設されて左右方向に延びる平板状の中央後枠93によって連結されている。また、左右の縦板本体部24b,25bの前後方向の中間部同士は、底板28の上面に立設された第1及び第2連結板91,92によって互いに連結されている。連結板91,92は、前後方向に互い所定間隔を空けて配設されている。第1及び第2連結板91,92の右側端部にはぞれぞれ、作動油タンク150を支持するための作動油タンク支持部94が設けられている。また、第2連結板92における作動油タンク支持部94の左側には、後述するキャブ支持部95が設けられている。
【0056】
図5及び図6に示すように、左右の縦板本体部24b,25bの高さは、その後側寄りの部分の方が前側寄りの部分に比べて全体的に低くなっている。そして、各縦板本体部24b,25bの高さは、前後方向の全体に亘ってサイドフレーム26,27の高さよりも低くなっている。換言すると、左右の縦板本体部24b,25bの上端縁は、側面視において、前後方向のどの位置においてもサイドフレーム26,27の上端面よりも下側に位置している。尚、本実施形態では、左右のサイドフレーム26,27の高さは等しい。また、本明細書において、「高さ」というときは、特に断らない限り、底板28の上面を基準とした高さを意味している。
【0057】
上記左右の縦板24,25の突出縦板部24a,25aと縦板本体部24b,25bとの境界部には、その上側を覆うように背板70が設けられている。背板70は、左右の縦板24,25同士に跨って配設されるとともに、各縦板24,25に対して溶接接合されている(図2及び図3参照)。背板70は、平面視において後方側に向かって左右に拡幅する末広がり状に形成されている。背板70は、平面視において、後方側が左右に広がる略Y字状に形成されているとも言える。詳しくは、背板70は、左右の突出縦板部24a,25aの後端同士に跨って配設され、後側に向かって下側に傾斜する本体傾斜部82と、該本体傾斜部82の下端部から分岐して左側の縦板本体部24bに沿って延びる左分岐部83と、右側の縦板本体部25bに沿って延びる右分岐部84とを有している。上記本体傾斜部82には、デッキ部21,22に搭載されたコントロールバルブ50に接続された油圧ホース配管151を作業機3の各シリンダ7〜9へと導くための貫通孔82fが形成されている。また、背板70の左右の分岐部83,84は、左右の縦板24,25の上側を覆うようにして各縦板24,25に対して断面I字状に溶接されている。
【0058】
<キャブ支持部の構成>
図7に示すように、上記キャブ12は、床板12a(図8参照)を有する縦長の箱状体として形成されている。キャブ12内には、図示しないが、オペレータが着座する運転席や操作レバー等が配設されている。上記アッパーフレーム10には、キャブ12の床板12aを支持するためのキャブ支持部95が左デッキ部21に3カ所、センターセクション20に2カ所、合計5カ所設けられている。
【0059】
詳しくは、左デッキ部21に設けられる3つのキャブ支持部95a〜95cは、左サイドフレーム26の左右方向の内側(センターセクション側)の側面に固定されている(図2参照)。この3つのキャブ支持部95a〜95cはそれぞれ、前後方向に互いに所定間隔を空けて配置されている。前から1番目の支持部95aと最後尾の支持部95cとは、上記キャブ12の床板12aに当接するブロック板状の台座部101a、101cと、左サイドフレーム26の内側側面から上方に延びて各台座部101a、101cを支持する脚部102a、102cとを有している。真ん中の支持部95bは、キャブ12の床板12aから突出するボス座(図示省略)に当接する台座部101bを有しており、この台座部101bは第2左張出しビーム33の左端部に固定されている。
【0060】
センターセクション20に設けられる2つのキャブ支持部95d,95eは前後方向に互いに所定間隔を空けて配置されている。このうち前側のキャブ支持部95dは、上記背板70の上面に固定されている。該キャブ支持部95dは、左右方向から見てコ字型に形成された脚部102dと、該脚部102dの上面に固定された台座部101dとを有している。また、後側のキャブ支持部95eは、上記左右の縦板本体部24b,25bの間に設けられた第2連結板92に固定されている。該キャブ支持部95eは、正方形状の台座部101eと、第2連結板92の前側面から前方斜め上側に延びて該台座部101eの下面に連結される脚板102eとを有している。2つのキャブ支持部95d,95eの台座部101d,101eは、キャブ12の床板12aに当接する。
【0061】
上記キャブ12は、上記5つのキャブ支持部95a〜95eの台座部101a〜101eにボルトで固定される。5つの台座部101a〜101eのうちキャブ12の床板12aに当接する4つの台座部101a、101c、101d及び101eの座面は、左右のサイドフレーム26,27の上面よりもやや上側に位置している。この座面の延長面P1と左右の縦板24,25の上端縁との間には、右デッキ部22に搭載された機器(例えばコントロールバルブ50等)からセンターセクション20内へと延びる油圧ホースや電気配線を挿通可能な隙間空間S1が形成されている。
【0062】
<油圧ショベルの搭載機器の支持構造>
次に、油圧ショベル200に搭載される機器である燃料タンク36、作動油タンク37及びコントロールバルブ50の支持構造について説明する。
【0063】
上記作動油タンク37は、図9に示すように、縦長の矩形箱状に形成されていて、上記センターセクション20に設けられた前後一対の作動油タンク支持部94に跨って配設されている。
【0064】
上記燃料タンク36は、横長の矩形箱状に形成されていて、上述の如く右デッキ部22に設けられた第1及び第2右張出しビーム42,43に跨って配設されている。燃料タンク36の前端部及び後端部はそれぞれ、固定ボルト185(図9では前端部の固定ボルトのみを示す)により各右張出しビーム42,43に固定されている。
【0065】
燃料タンク36の前側には、コントロールバルブ50が配設されている。コントロールバルブ50は、第1右張出しビーム42の上面に固定用ブラケット160を介して固定されている。固定用ブラケット160は、第1右張出しビーム42の上面に固定された台形状の固定板161と、固定板161の後端縁に沿って上方に延びるバルブ取付け板162とを有している。
【0066】
図10〜図13に示すように、第1右張出しビーム42は、底板28に対して平行に配設され且つ左右方向に延びる機器載置用の水平板部170と、水平板部170の後端縁に沿って下方に延びる垂直板部171とを有している。第1右張出しビーム42は、その左右方向の両端部を除く中間部において左右方向から見た断面が略L字状になるように形成されている。
【0067】
第1右張出しビーム42の垂直板部171は、左側端部が右縦板25の右側側面に溶接接合され、右側端部が右サイドフレーム27の左側側面に溶接接合されている。また、垂直板部171の下端部と右前枠41とは、床板45を介して連結されている。
【0068】
垂直板部171の左側端部には下側に凹む切欠部172が形成されている。垂直板部171の上端縁は、右サイドフレーム27の左側側面から左側に水平に延びる水平辺部173と、該水平辺部173の左側端部から左側に向かうに従って高さが低くなる円弧状辺部174とで構成されている(図12参照)。円弧状辺部174は上記切欠部172の下端縁を形成している。
【0069】
第1右張出しビーム42の水平板部170は、その左側端部が右縦板25に対して非連結とされている一方、右側端部が右サイドフレーム27に溶接接合されている。水平板部170の底板28からの高さをHsとし、右縦板25における第1右張出しビーム42が連結される部分の高さをH1とし、右サイドフレーム27の高さをH2としたとき、H1<Hs<H2の関係を満たしている。水平板部170は、平面視において、左側から右側に向かうにしたがって前後方向の幅が増加する台形状に形成されている。すなわち、水平板部170の後端縁は左右方向に直線状に延びている一方、水平板部170の前端縁は、右サイドフレーム27の側面から左側に向かって直線状に延びる直線状辺部175と、該直線状辺部175の左側端部から左側に向かって後側に傾斜して延びる傾斜辺部176とを有している。
【0070】
水平板部170の下面は、左右方向に並ぶ2つの三角板状の補強用縦リブ177,178により垂直板部171の前側側面に連結支持されている。両補強用縦リブ177,178は、水平板部170の下面における左右方向の両端部に溶接されている。右側の補強用縦リブ178の高さ及び前後幅は、左側の補強用縦リブ177に比べてが大きい。垂直板部171の下端部における補強用縦リブ178の左側には貫通孔186が形成されている。作動油タンク37からの油圧ホース配管は、この貫通孔186を通ってコントロールバルブ50へと導かれる。
【0071】
水平板部170の前端縁における右側端部には、垂直板部171に対面して下方へと延びる垂直片部180が接続されている。この垂直片部180を設けることにより、第1右張出しビーム42の右サイドフレーム27との連結部(右側端部)における断面は、下側に開放するコ字状断面となる(図13(a)参照)。
【0072】
垂直板部171の前側側面と右縦板25の右側側面とは補強用横リブ179によって連結されている。補強用横リブ179は、水平板部170に対して平行に配設された三角形状の板材で構成されている。補強用横リブ179は、水平板部170よりも下側で且つ垂直板部171の切欠部172の下側近傍に配設されている。この補強用横リブ179の左右方向の幅w1は、切欠部172の左右方向の幅w2よりも大きい。
【0073】
<まとめ>
以上の如く上記実施形態では、アッパーフレーム10の右デッキ部22とセンターセクション20とを連結する右連結部材40は、コントロールバルブ50の台座部として利用される第1右張出しビーム42(台座用ビーム)を含んでいる。そして、この第1右張出しビーム42は、底板28に対して平行に配設され且つ左右方向に延びる機器載置用の水平板部170と、水平板部170の後端縁に沿って下方に延びる垂直板部171とを有していて、左右方向から見た断面がL字状に形成されている。上記第1右張出しビーム42の垂直板部171は、そのセンターセクション側の端部(左側端部)が縦板本体部25bに連結され、そのセンターセクション側とは反対側の端部(右側端部)が右サイドフレーム27に連結されている一方、上記水平板部170は、そのセンターセクション側の端部(左側端部)が縦板本体部25bに対して非連結とされ、センターセクション側とは反対側の端部(右側端部)が右サイドフレーム27に連結されている。垂直板部171のセンターセクション側の端部(左側端部)と右縦板25とは、水平板部170よりも下側に配設され且つ該水平板部170に対して平行に延びる補強用横リブ179によって連結されている。
【0074】
この構成によれば、第1右張出しビーム42を左右方向から見て断面L字状に形成したことで、第1右張出しビーム42の下側空間190を、第1右張出しビーム42の上面に設置されたコントロールバルブ50からの油圧ホース配管の配索スペースとして利用することができる(図9参照)。
【0075】
ここで、上記実施形態では、縦板本体部25bの高さH1は、左右のサイドフレーム26,27の高さH2よりも小さく設定されている。したがって、アッパーフレーム10の上面部から主要骨格部材である縦板24,25が上方に突出することもない。よって、図7に示すように、左右のデッキ部21,22とその間に位置する部分とに跨る領域R1全体を、キャブ12や機器類(コントロールバルブ50等)の搭載領域として利用することができる。したがって、キャブ12が縦板24,25と干渉することもないので、キャブ12の幅Wcを縦板24,25による制約を受けずに自由に設定することができる。
【0076】
また、各縦板24,25の縦板本体部24b,25bの高さH1が左右のサイドフレーム26,27の高さよりも低いため、左右のサイドフレーム26,27よりもやや高い位置に支持されたキャブ12と縦板本体部24b,25bとの間に、デッキ部21,22に搭載された機器類の電気配線や油圧ホース配管151を挿通するための挿通空間S1(図8参照)を確保することができる。よって、縦板24,25に配線用の貫通孔を形成するようにした従来のアッパーフレーム10に比べて、油圧ショベル200の組み立てに際して、配線類、配管類の配索作業を容易に行うことができる。特に、左デッキ部21に搭載されたコントロールバルブ50から延びる多数の油圧ホース配管151を、右縦板25とキャブ12との間の隙間空間S1を通じて、センターセクション20の後端部に搭載された油圧ポンプや前端部に装着された作業機3に向けて容易に配索することができる。
【0077】
この油圧ホース配管151の配索性を向上させるためには、縦板本体部25bの高さH1を極力低く設定して上記隙間空間S1を上下方向に広くとることが好ましい。発明者らは、このような考え方に基づいて、縦板本体部25bの高さをセンターセクション20の必要強度を確保できる範囲で可能な限り低く設定した。この結果、上記実施形態では、縦板本体部25bの高さH1が第1右張出しビーム42の水平板部170の高さ位置Hsよりも低くなって、水平板部170の左側端部を右縦板25に対して連結できないフレーム構造になっている。
【0078】
このようなフレーム構造では、水平板部170の左側端部が右縦板25に対して非連結とされるため、第1右張出しビーム42と右縦板25(縦板本体部25b)との連結強度が低下する虞がある。これに対して、上記実施形態では、水平板部170の左側端部を右縦板25に連結しない代わりに、垂直板部171の左側端部に補強用横リブ179を設けて、この補強用横リブ179により垂直板部171と右縦板25との連結強度を向上させるようにした。これにより、第1右張出しビーム42と右縦板25との連結強度を十分に確保しながら、電気配線及び油圧ホース配管151の配索性を向上させることができる。
【0079】
また、上記実施形態では、第1右張出しビーム42の垂直板部171の左側端部(右縦板25との連結部側の端部)における上端縁には、下側に凹む切欠部172が形成されている。
【0080】
これにより、コントロールバルブ50からの油圧ホース配管151が密集する第1右張出しビーム42の左側端部近傍において、油圧ホース配管151と垂直板部171の上端縁とが干渉するのを防止することができる。
【0081】
また、上記実施形態では、上記補強用横リブ179の左右方向の幅w1は、切欠部172の左右方向の幅w2よりも大きく設定されているため、垂直板部171に切欠部172を設けることによる第1右張出しビーム42の強度低下を抑制することができる。
【0082】
また、上記実施形態では、第1右張出しビーム42の水平板部170は、右サイドフレーム27との連結部側からセンターセクション側に向かうにしたがって(右側から左側に向かうにしたがって)、前後方向の幅が狭くなるように形成されている。
【0083】
これにより、多数の油圧ホース配管151が密集するセンターセクション側ほど、水平板部170の上面側から水平板部170の下側空間190へのアクセスを容易化して、油圧ホース配管151の配索スペース(配索自由度)を拡大することができる。
【0084】
また、上記実施形態では、上記第1右張出しビーム42は、上記水平板部170の下面から下方に延びると共に垂直板部171の前側側面に連結された補強用縦リブ177,178を有している。
【0085】
これにより、第1右張出しビーム42によるコントロールバルブ50及び燃料タンク36の支持強度をさらに向上させることができる。
【0086】
また、上記実施形態では、第1右張出しビーム42は、上記水平板部170の右サイドフレーム27との連結部側の端部(右側端部)における垂直板部171が位置する側とは反対側の端縁(前端縁)から下方に延びる垂直片部180をさらに備えている。
【0087】
これにより、第1右張出しビーム42を、右サイドフレーム27との連結部側(右側)の端部において、左右方向から見て下側に開放する断面コ字状に形成することができる(図13(a)〜(c)参照)。そして、このコ字状断面全体が右サイドフレーム27に溶接接合されるため、第1右張出しビーム42と右サイドフレーム27との連結強度を可及的に向上させることができる。
(他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。
【0088】
すなわち、上記実施形態では、第1右張出しビーム42の垂直板部171は、水平板部170の後端縁に沿って立設されているが、これに限ったものではなく、水平板部170の前端縁に沿って立設されていてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、各キャブ支持部95の座面は、左右のサイドフレーム26,27の上面よりもやや上側に位置しているが、これに限ったものではなく、左右のサイドフレーム26,27の上面と同じ高さに位置していてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、キャブ12をアッパーフレーム10の前部左側に配設するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、アッパーフレーム10の後部左側や前部右側に配設するようにしてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、主な機器類である燃料タンク、作動油タンク、及びコントロールバルブ50を右デッキ部22に搭載するようにしているが、この機器類の配置構成は一例であり、例えば、これらの機器類を左デッキ部21に搭載するようにしてもよいし、燃料タンクのみを左デッキ部21に搭載する等してもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、建設機械100は油圧ショベルとされているが、これに限ったものではなく、例えば、電気モータと油圧モータとを併用するハイブリッドショベル等であってもよいことはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、建設機械のアッパーフレームに有用であり、特に油圧ショベルのアッパーフレームに有用である。
【符号の説明】
【0094】
H1 縦板本体部の高さ
H2 サイドフレームの高さ
Hs 水平板部の底板からの高さ
w1 補強用横リブの幅
w2 切欠部の幅
3 作業機
10 アッパーフレーム
12 キャブ
20 センターセクション
21 左デッキ部
22 右デッキ部
24 左縦板
24a 突出縦板部
24b 縦板本体部
25 右縦板
25a 突出縦板部
25b 縦板本体部
26 左サイドフレーム
27 右サイドフレーム
28 底板
30 左連結部材
36 燃料タンク
37 作動油タンク
40 右連結部材
42 第1右張出しビーム(台座用ビーム)
50 コントロールバルブ(機器)
100 建設機械
151 油圧ホース配管
170 水平板部
171 垂直板部
172 切欠部
177 補強用縦リブ
178 補強用縦リブ
179 補強用横リブ
180 垂直片部
190 下側空間
200 油圧ショベル(建設機械)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と底板に立設されて前後方向に延びる左右の縦板とを有するセンターセクションと、センターセクションの左右両側に設けられ、前後方向に延びる左右のサイドフレームと、左右の縦板の側面からそれぞれ上記センターセクションの左右方向の外方側に突出して、上記左右のサイドフレームに連結される左右の連結部材と、を備えた建設機械のアッパーフレームであって、
上記左右の連結部材のうち少なくとも一方は、上記建設機械の機器の台座部として利用される台座用ビームを含み、
上記台座用ビームは、上記底板に対して平行に配設され且つ左右方向に延びる機器載置用の水平板部と、上記水平板部の前端縁又は後端縁に沿って下方に延びる垂直板部とを有していて、左右方向から見た断面が略L字状に形成されており、
上記台座用ビームの垂直板部は、その左右方向のセンターセクション側の端部が縦板に連結され、該センターセクション側とは反対側の端部がサイドフレームに連結されている一方、
上記水平板部は、その左右方向のセンターセクション側の端部が縦板に対して非連結とされ、該センターセクション側とは反対側の端部がサイドフレームに連結されており、
上記垂直板部の左右方向のセンターセクション側の端部には、該垂直板部の側面と縦板の側面とを連結する補強用横リブが設けられていることを特徴とする建設機械のアッパーフレーム。
【請求項2】
請求項1記載の建設機械のアッパーフレームにおいて、
上記各縦板は、上記左右のサイドフレームの間に位置する縦板本体部と、該縦板本体部の前端部から前側に延びて上記各デッキ部のサイドフレームの前端部よりも前側に突出するとともに、上記作業機装着部が設けられる突出部と、を有し、
上記縦板本体部の上記底板を基準とした高さをH1とし、上記左右のサイドフレームの上記底板を基準とした高さをH2とし、上記水平板部の上記底板からの高さをHsとしたときに、
H1<Hs<H2の関係を満たしており、
上記台座用ビームの垂直板部は、その左右方向のセンターセクション側の端部が縦板本体部に連結され、該センターセクション側とは反対側の端部がサイドフレームに連結されている一方、
上記水平板部は、その左右方向のセンターセクション側の端部が縦板本体部に対して非連結とされ、該センターセクション側とは反対側の端部がサイドフレームに連結されていることを特徴とする建設機械のアッパーフレーム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の建設機械のアッパーフレームにおいて、
上記垂直板部の左右方向のセンターセクション側の端部における上端縁には、下側に凹む切欠部が形成され、
上記補強用横リブの左右方向の幅は、上記切欠部の左右方向の幅よりも大きいことを特徴とする建設機械のアッパーフレーム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の建設機械のアッパーフレームにおいて、
上記水平板部は、上記サイドフレームとの連結部側からセンターセクション側に向かうにしたがって前後方向の幅が狭くなるように形成されていることを特徴とする建設機械のアッパーフレーム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建設機械のアッパーフレームにおいて、
上記台座用ビームは、
上記水平板部の下面から下方に延びると共に上記垂直板部の側面に連結された補強用縦リブをさらに備えていることを特徴とする建設機械のアッパーフレーム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の建設機械のアッパーフレームにおいて、
上記台座用ビームは、
上記水平板部のサイドフレームとの連結部側の端部における上記垂直板部が位置する側とは反対側の端縁から下方に延びる垂直片部をさらに備え、
上記垂直片部はサイドフレームに連結されていることを特徴とする建設機械のアッパーフレーム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−83091(P2013−83091A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223709(P2011−223709)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)