説明

建設機械のアッパーフレーム

【課題】支持ブラケットの構造や配置を工夫することで、梁板が板厚方向に変形してしまうのを抑える。
【解決手段】エンジン用ブラケット40は、車両幅方向に間隔をあけて配置された一対のエンジン用支持脚板41と、一対のエンジン用支持脚板41に跨るようにその上端部に接合されたエンジン用台座板42とを備える。キャブ用ブラケット50は、キャブ用支持脚板51と、キャブ用支持脚板51の上端部に接合されて水平方向に張り出したキャブ用台座板52とを備える。梁板23の車両後側の面には、一対のエンジン用支持脚板41の側縁部が接合される。梁板23の車両前側の面で且つその板面側から見て一対のエンジン用支持脚板41の間には、キャブ用支持脚板51の側縁部が接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のアッパーフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、下部走行体と、下部走行体上に搭載された上部旋回体とを備えた建設機械が知られている(例えば、特許文献1参照)。上部旋回体は、車体フレームとしてのアッパーフレームを備えている。アッパーフレームは、底板と、底板に立設されて車両前後方向に延びる一対の縦板と、縦板同士を連結する梁板とを備えている。アッパーフレームには、エンジンやキャブ等を搭載するための支持ブラケットが設けられている。
【0003】
ここで、支持ブラケットは、部品点数や溶接量を低減することによるコストダウンや軽量化を考慮すると、1枚の支持脚板の上端部に、水平方向に張り出させた台座板を溶接させることで、断面T字型のブラケット構造とするのが一般的である。
【0004】
また、支持ブラケットは、強度部材としての梁板に対して支持ブラケットの支持脚板を溶接することで、強度や剛性を確保するようにしている。例えば、梁板の車両前側の面にキャブ用ブラケットを溶接する一方、梁板の車両後側の面にエンジン用ブラケットを溶接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−057795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、支持ブラケットを、梁板の車両前後方向の両面にそれぞれ溶接させると、エンジンやキャブを搭載したときの負荷によって梁板が変形してしまうという問題がある。
【0007】
具体的に、キャブ用の支持脚板とエンジン用の支持脚板とが互いに車両幅方向にオフセットした位置に溶接されていた場合には、エンジンやキャブを搭載したときの負荷によって支持脚板が変形し、この変形に伴って梁板が板厚方向にねじれてしまう。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、支持ブラケットの構造や配置を工夫することで、梁板が板厚方向に変形してしまうのを抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、底板と、該底板に立設されて車両前後方向に延びる一対の縦板と、該底板に立設されて該縦板同士を連結する梁板と、第1及び第2機器を搭載するための第1及び第2支持ブラケットとを備えた建設機械のアッパーフレームを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、第1の発明は、前記第1支持ブラケットは、前記梁板に沿って該梁板の上端よりも上方に延び且つ車両幅方向に間隔をあけて配置された一対の第1支持脚板と、該一対の第1支持脚板に跨るようにその上端部に接合された第1台座板とを備え、
前記第2支持ブラケットは、前記梁板に沿って該梁板の上端よりも上方に延びる第2支持脚板と、該第2支持脚板の上端部に接合されて水平方向に張り出した第2台座板とを備え、
前記一対の第1支持脚板の側縁部は、前記梁板の一方の面に接合され、
前記第2支持脚板の側縁部は、前記梁板の他方の面で且つその板面側から見て前記一対の第1支持脚板の間に接合されていることを特徴とするものである。
【0011】
第1の発明では、第1支持ブラケットは、一対の第1支持脚板と、第1台座板とを備える。一対の第1支持脚板は、梁板に沿って梁板の上端よりも上方に延び且つ車両幅方向に間隔をあけて配置される。第1台座板は、一対の第1支持脚板に跨るようにその上端部に接合される。第2支持ブラケットは、第2支持脚板と、第2台座板とを備える。第2支持脚板は、梁板に沿って梁板の上端よりも上方に延びる。第2台座板は、第2支持脚板の上端部に接合されて水平方向に張り出している。梁板の一方の面には、一対の第1支持脚板の側縁部が接合される。梁板の他方の面で且つその板面側から見て一対の第1支持脚板の間には、第2支持脚板の側縁部が接合される。
【0012】
このような構成とすれば、第1及び第2支持ブラケットの構造や配置を工夫することで、第1及び第2機器を搭載したときの負荷によって梁板が板厚方向に変形してしまうのを抑えることができる。
【0013】
具体的に、第1支持脚板と第2支持脚板とが互いに車両幅方向にオフセットした位置に溶接されていた場合には、第1及び第2機器を搭載したときの負荷によって第1及び第2支持脚板が変形し、この変形に伴って梁板が板厚方向にねじれてしまう。
【0014】
これに対し、本発明では、梁板の板面側から見て、一対の第1支持脚の間に第2支持脚板を配設するようにしたから、第2機器を搭載したときの負荷によって第2支持脚板が変形しようとしても、その変形が一対の第1支持脚板によって阻止され、梁板が板厚方向にねじれて変形するのを抑えることができる。
【0015】
さらに、梁板の一方の面に第1支持ブラケットを接合させ、他方の面に第2支持ブラケットを接合させたから、第1及び第2支持ブラケットを梁板の片方の面にのみ接合させた場合に比べて、梁板の板厚方向の撓みを抑えることができる。
【0016】
具体的に、第1及び第2支持ブラケットは、第1及び第2機器を搭載したときの負荷によって車両前後方向にそれぞれ倒れ込むこととなる。つまり、梁板は板厚方向の両側から互いに引っ張られた状態となるので、梁板が板厚方向に撓むのを抑えることができる。
【0017】
なお、第1及び第2機器を1つの支持ブラケットで支持する構成とすれば、上述したような梁板の変形を抑えることができる。しかしながら、1つの支持ブラケットで第1及び第2機器を支持した場合には、建設機械の運転作業や走行に伴う負荷変動によって支持ブラケットが共振してしまう。そのため、本発明のように、第1及び第2機器をそれぞれ独立した第1及び第2支持ブラケットで支持する構成とするのが好ましい。
【0018】
第2の発明は、第1の発明において、
前記梁板に沿って該梁板の上端よりも上方に延びる第3支持脚板を有し、第3機器を搭載するための第3支持ブラケットを備え、
前記第3支持脚板は、前記梁板の他方の面で且つその板面側から見て前記一対の第1支持脚板よりも車両幅方向の外側位置に接合されていることを特徴とするものである。
【0019】
第2の発明では、第3機器を搭載するための第3支持ブラケットを備える。第3支持ブラケットは、梁板に沿って梁板の上端よりも上方に延びる第3支持脚板を有する。梁板の他方の面で且つその板面側から見て一対の第1支持脚板よりも車両幅方向の外側位置には、第3支持脚板が接合される。
【0020】
このような構成とすれば、梁板の板面側から見て、一対の第1支持脚板よりも車両幅方向の外側位置に第3支持脚板を配設するようにしたから、第3機器を搭載したときの負荷によって第3支持脚板が変形しようとしても、その変形が一対の第1支持脚板によって阻止され、梁板が板厚方向にねじれて変形するのを抑えることができる。
【0021】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、
少なくとも前記第2支持脚板は、その下縁部が前記底板の上面に接合されていることを特徴とするものである。
【0022】
第3の発明では、底板の上面には、少なくとも第2支持脚板の下縁部が接合される。このような構成とすれば、第2機器を搭載したときの負荷によって第2支持脚板が梁板の他方側に倒れ込もうとしても、第2支持脚板の下縁部が底板によって受け止められることとなり、梁板が板厚方向に撓むのを抑えることができる。
【0023】
第4の発明は、第1乃至第3の発明のうち何れか1つにおいて、
前記第1支持ブラケットは、前記一対の第1支持脚板の間に配設され且つその両端部が該第1支持脚板に接合された第1補強板を備えたことを特徴とするものである。
【0024】
第4の発明では、第1支持ブラケットは、第1補強板を備える。第1補強板は、一対の第1支持脚板の間に配設され且つその両端部が第1支持脚板に接合される。このような構成とすれば、第1支持ブラケットの強度や剛性を高めることができる。
【0025】
第5の発明は、第1乃至第4の発明のうち何れか1つにおいて、
前記第2支持ブラケットは、基端部が前記梁板の他方の面に接合される一方、先端部が前記第2台座板の下面に接合され、該基端部から水平方向に張り出した後で屈曲して該先端部まで延びるとともに、その側縁部が前記第2支持脚板の板面に接合された第2補強板を備え、
前記第2補強板の基端部の一部は、前記梁板の板面側から見て前記第1支持脚板に重なり合っていることを特徴とするものである。
【0026】
第5の発明では、第2支持ブラケットは、第2補強板を備える。第2補強板の基端部は、梁板の他方の面に接合される。第2補強板の先端部は、第2台座板の下面に接合される。第2補強板は、基端部から水平方向に張り出した後で屈曲して先端部まで延びている。第2補強板の側縁部は、第2支持脚板の板面に接合される。第2補強板の基端部の一部は、梁板の板面側から見て第1支持脚板に重なり合う。
【0027】
このような構成とすれば、第2支持脚板の板面に第2補強板の側縁部を接合させるとともに、第2補強板の基端部を梁板の板面に接合させたから、第2支持脚板の板厚方向に加わった負荷を、第2補強板を介して梁板で受け止めることができる。これにより、第2支持脚板が板厚方向に振動したり変形してしまうことを抑えることができる。また、第2補強板の基端部の一部が、梁板の板面側から見て第1支持脚板に重なり合っているから、第2支持ブラケットの剛性をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、梁板の板面側から見て、一対の第1支持脚の間に第2支持脚板を配設するようにしたから、第2機器を搭載したときの負荷によって第2支持脚板が変形しようとしても、その変形が一対の第1支持脚板によって阻止され、梁板が板厚方向にねじれて変形するのを抑えることができる。
【0029】
さらに、梁板の一方の面に第1支持ブラケットを接合させ、他方の面に第2支持ブラケットを接合させたから、第1及び第2支持ブラケットを梁板の一方の面にのみ接合させた場合に比べて、梁板の板厚方向の撓みを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る建設機械の全体構成を示す側面図である。
【図2】アッパーフレームの構成を示す平面図である。
【図3】各支持ブラケット周辺の構成を示す斜視図である。
【図4】各支持ブラケットの構成を示す斜視図である。
【図5】各支持ブラケットの配置を示す側面図である。
【図6】各支持ブラケットの配置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0032】
図1は、本発明の実施形態に係る建設機械の全体構成を示す側面図、図2はアッパーフレームの構成を示す平面図である。図1及び図2に示すように、この建設機械10は、クローラ式の下部走行体1の上に、旋回可能な上部旋回体2が搭載された油圧ショベルである。
【0033】
上部旋回体2は、車体フレームとしてのアッパーフレーム20と、アッパーフレーム20の前端側に設けられて土砂等の掘削作業を行うアタッチメント4と、キャブ5と、機械室6と、アッパーフレーム20の後端側に設けられてアタッチメント4との重量バランスを取るためのカウンターウエイト7とを備えている。
【0034】
なお、本実施形態では、図1において、図面左側のアタッチメント4が配置された側を車両前側、紙面手前側のキャブ5が配置された側を車両左側とし、以下の説明では前後左右等の方向は特に言及しない限り、これに従うものとする。
【0035】
アタッチメント4は、上部旋回体2の左右幅方向の中間であって、アッパーフレーム20の前方に位置している。アタッチメント4は、基端側がアッパーフレーム20に設けられた一対の縦板22に回動可能に取り付けられたブーム11と、ブーム11の先端側に回動可能に取り付けられたアーム12と、アーム12の先端側に回動可能に取り付けられたバケット13とを備えている。これらブーム11等は、油圧制御された油圧シリンダ14の伸縮動作に連動して変位する。
【0036】
キャブ5は、アッパーフレーム20の左前部に位置している。キャブ5は、周囲が矩形箱形のカバーで覆われた運転室である。キャブ5の内部には、オペレータが着座するシートが設置されていて、その周囲に、操作装置や表示装置等の運転操作に関連した電気機器類が設置されている。
【0037】
機械室6は、上部旋回体2の右前部から後部にわたって位置している。機械室6の内部には、燃料タンク15、作動油タンク16、エンジン17等が密集した状態で設置されている。
【0038】
カウンターウエイト7は、アタッチメント4との間で前後のバランスを保つように、アッパーフレーム20の後部に設置されている。この機種の場合、カウンターウエイト7は、機械室6の後部カバーを兼ねている。
【0039】
アッパーフレーム20は、構造的に強度や剛性が強化された支持部材であり、平面視で略矩形形状の外観を有している。アッパーフレーム20は、底板21と、左右一対の縦板22と、縦板22同士を連結する梁板23と、一対の縦板22よりも左右方向の両外方にそれぞれ立設して前後方向に延びる一対の側枠24と、底板21の前端部に立設して左右方向に延びる前枠25と、縦板22と側枠24とを連結する側枠連結板26とを備えている。
【0040】
底板21は、アッパーフレーム20の底面を構成し、その板面が略水平方向に拡がるように配設された肉厚な金属板で構成されている。
【0041】
縦板22は、肉厚な金属板で構成され、底板21から立設させた状態で底板21の上面に溶接されている。左右一対の縦板22は、左右方向に離間し且つ前後方向に延びるように配置されている。縦板22の前端部分は、前枠25よりも前方に突出し、アタッチメント4を支持する支持部22aを構成している。
【0042】
梁板23は、一対の縦板22の間に配設された肉厚な金属板で構成されている。梁板23は、底板21から立設させた状態で底板21の上面に溶接されている。梁板23の左右両端部は、縦板22の板面に溶接されている。これにより、一対の縦板22同士が梁板23によって連結されている。梁板23は、車両前後方向に間隔をあけて4枚配設されている。
【0043】
側枠24は、その前端部が前枠25に接合されている。右側の縦板22と側枠24との間には、金属板を折り曲げて形成された燃料タンク用ブラケット30が配設されている。燃料タンク用ブラケット30の左右両端部は、縦板22の板面と側枠24の板面とにそれぞれ溶接されている。これにより、右側の縦板22と側枠24とが燃料タンク用ブラケット30によって連結されている。燃料タンク用ブラケット30は、車両前後方向に並ぶように配設されている。燃料タンク用ブラケット30には、燃料タンク15が搭載されている。
【0044】
左側の縦板22と側枠24との間には、肉厚の金属板で構成された側枠連結板26が配設されている。側枠連結板26の左右両端部は、縦板22の板面と側枠24の板面とにそれぞれ溶接されている。これにより、左側の縦板22と側枠24とが側枠連結板26によって連結されている。側枠連結板26は、車両前後方向に並ぶように配設されている。また、アッパーフレーム20の右側後部にも側枠連結板26が配設され、右側の縦板22と側枠24とが側枠連結板26によって連結されている。
【0045】
アッパーフレーム20には、機器を搭載するための支持ブラケットが配設されている。具体的には、第1機器としてのエンジン17を搭載するためのエンジン用ブラケット40(第1支持ブラケット)と、第2機器としてのキャブ5を搭載するためのキャブ用ブラケット50(第2支持ブラケット)と、第3機器としての作動油タンク16を搭載するための作動油タンク用ブラケット60(第3支持ブラケット)とが配設されている。
【0046】
エンジン用ブラケット40は、車両前後方向に並ぶ4枚の梁板23のうち前側から数えて3枚目及び4枚目の梁板23と、左側の縦板22とにそれぞれ溶接されている。キャブ用ブラケット50は、前枠25と、3枚目の梁板23と、左側の側枠24とにそれぞれ溶接されている。作動油タンク用ブラケット60は、2枚目及び3枚目の梁板23にそれぞれ溶接されている。
【0047】
図3〜図6に示すように、3枚目の梁板23の車両後側の面に溶接されたエンジン用ブラケット40は、一対のエンジン用支持脚板41と、エンジン用台座板42と、エンジン用補強板43とを備えている。
【0048】
一対のエンジン用支持脚板41は、車両幅方向に間隔をあけて配置され、底板21から立設させた状態で底板21の上面に溶接されている。エンジン用支持脚板41は、梁板23に沿って梁板23の上端よりも上方に延びている。エンジン用支持脚板41の前側の側縁部は、梁板23の後側の面に溶接されている。
【0049】
エンジン用台座板42は、一対のエンジン用支持脚板41に跨るようにその上端部に溶接され、梁板23よりも上方に位置している。これにより、梁板23に溶接されたエンジン用ブラケット40は、その断面が門型となっている。
【0050】
エンジン用補強板43は、車両前側に向かって斜め下方に傾斜した状態で一対のエンジン用支持脚板41の間に配設され、その両端部がエンジン用支持脚板41に溶接されている。
【0051】
3枚目の梁板23の車両前側の面に溶接されたキャブ用ブラケット50は、キャブ用支持脚板51と、キャブ用台座板52と、キャブ用補強板53とを備えている。
【0052】
キャブ用支持脚板51は、底板21から立設させた状態で底板21の上面に溶接されている。キャブ用支持脚板51は、梁板23に沿って梁板23の上端よりも上方に延びている。キャブ用支持脚板51の後側の側縁部は、梁板23の板面側から見て一対のエンジン用支持脚板41の間に配設され、梁板23の板面に溶接されている。キャブ用支持脚板51の上部は、車両前側に向かって斜め上方に傾斜しながら延びている。
【0053】
キャブ用台座板52は、キャブ用支持脚板51の上端部に溶接されて水平方向に張り出し、梁板23よりも上方に位置している。これにより、梁板23に溶接されたキャブ用ブラケット50は、断面T字型となっている。
【0054】
このような構成とすれば、キャブ5を搭載したときの負荷によってキャブ用支持脚板51が変形しようとしても、その変形が一対のエンジン用支持脚板41によって阻止される。これにより、梁板23が板厚方向にねじれて変形するのを抑えることができる。
【0055】
さらに、梁板23の車両後側の面にエンジン用ブラケット40を溶接させ、梁板23の車両前側の面にキャブ用ブラケット50を溶接させたから、梁板23は板厚方向の両側から互いに引っ張られた状態となる。そのため、エンジン用ブラケット40及びキャブ用ブラケット50を梁板23の片方の面にのみ溶接させた場合に比べて、梁板23の板厚方向の撓みを抑えることができる。
【0056】
なお、断面T字型としたキャブ用ブラケット50では、建設機械10の運転作業や走行に伴う負荷変動によってキャブ用支持脚板51の板厚方向に負荷が加わることで、キャブ用支持脚板51が振動したり変形してしまうという問題がある。そこで、本実施形態では、キャブ用支持脚板51の板厚方向の振動や変形を抑えるための補強リブとしてキャブ用補強板53を取り付けている。
【0057】
キャブ用補強板53の基端部は、その一部が梁板23の板面側から見てエンジン用支持脚板41に重なり合うように、梁板23の板面の上端寄りの位置に溶接されている。キャブ用補強板53の先端部は、キャブ用台座板52の下面に溶接されている。キャブ用補強板53は、基端部から水平方向に張り出した後で屈曲して先端部まで延びている。具体的に、キャブ用補強板53は、側面視でキャブ用支持脚板51の板幅の略中央位置に沿って延びている。つまり、キャブ用補強板53の上部もキャブ用支持脚板51の上部と同様に、車両前側に向かって斜め上方に傾斜しながら延びている。キャブ用補強板53の右側の側縁部は、キャブ用支持脚板51の板面に溶接されている。
【0058】
3枚目の梁板23の車両前側の面に溶接された作動油タンク用ブラケット60は、作動油タンク用支持脚板61と、作動油タンク用台座板62と、作動油タンク用補強板63とを備えている。
【0059】
作動油タンク用支持脚板61は、梁板23に沿って梁板23の上端よりも上方に延びている。作動油タンク用支持脚板61は、その板面を梁板23に当接させた状態で梁板23に溶接されている。ここで、作動油タンク用支持脚板61は、その左端縁が梁板23の板面側から見てエンジン用支持脚板41よりも車両幅方向の外側位置に配置されている。
【0060】
作動油タンク用台座板62は、作動油タンク用支持脚板61の上端部を屈曲させて形成され、水平方向に張り出し、梁板23よりも上方に位置している。
【0061】
作動油タンク用補強板63は、作動油タンク用支持脚板61の下端部から作動油タンク用台座板62の下面に向かって延び、補強リブとして機能する。
【0062】
《その他の実施形態》
前記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0063】
前記実施形態では、梁板23の車両後側の面にエンジン用ブラケット40を溶接する一方、梁板23の車両前側の面にキャブ用ブラケット50及び作動油タンク用ブラケット60を溶接した形態について説明したが、特にこの形態に限定するものではない。例えば、梁板23の車両後側の面にエンジン用ブラケット40を溶接する一方、梁板23の車両前側の面にキャブ用ブラケット50のみを溶接した形態であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、本発明は、支持ブラケットの構造や配置を工夫することで、梁板が板厚方向に変形してしまうのを抑えることができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0065】
5 キャブ(第2機器)
10 建設機械
16 作動油タンク(第3機器)
17 エンジン(第1機器)
20 アッパーフレーム
21 底板
22 縦板
23 梁板
40 エンジン用ブラケット(第1支持ブラケット)
41 エンジン用支持脚板(第1支持脚板)
42 エンジン用台座板(第1台座板)
43 エンジン用補強板(第1補強板)
50 キャブ用ブラケット(第2支持ブラケット)
51 キャブ用支持脚板(第2支持脚板)
52 キャブ用台座板(第2台座板)
53 キャブ用補強板(第2補強板)
60 作動油タンク用ブラケット(第3支持ブラケット)
61 作動油タンク用支持脚板(第3支持脚板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、該底板に立設されて車両前後方向に延びる一対の縦板と、該底板に立設されて該縦板同士を連結する梁板と、第1及び第2機器を搭載するための第1及び第2支持ブラケットとを備えた建設機械のアッパーフレームであって、
前記第1支持ブラケットは、前記梁板に沿って該梁板の上端よりも上方に延び且つ車両幅方向に間隔をあけて配置された一対の第1支持脚板と、該一対の第1支持脚板に跨るようにその上端部に接合された第1台座板とを備え、
前記第2支持ブラケットは、前記梁板に沿って該梁板の上端よりも上方に延びる第2支持脚板と、該第2支持脚板の上端部に接合されて水平方向に張り出した第2台座板とを備え、
前記一対の第1支持脚板の側縁部は、前記梁板の一方の面に接合され、
前記第2支持脚板の側縁部は、前記梁板の他方の面で且つその板面側から見て前記一対の第1支持脚板の間に接合されていることを特徴とする建設機械のアッパーフレーム。
【請求項2】
請求項1において、
前記梁板に沿って該梁板の上端よりも上方に延びる第3支持脚板を有し、第3機器を搭載するための第3支持ブラケットを備え、
前記第3支持脚板は、前記梁板の他方の面で且つその板面側から見て前記一対の第1支持脚板よりも車両幅方向の外側位置に接合されていることを特徴とする建設機械のアッパーフレーム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
少なくとも前記第2支持脚板は、その下縁部が前記底板の上面に接合されていることを特徴とする建設機械のアッパーフレーム。
【請求項4】
請求項1乃至3のうち何れか1つにおいて、
前記第1支持ブラケットは、前記一対の第1支持脚板の間に配設され且つその両端部が該第1支持脚板に接合された第1補強板を備えたことを特徴とする建設機械のアッパーフレーム。
【請求項5】
請求項1乃至4のうち何れか1つにおいて、
前記第2支持ブラケットは、基端部が前記梁板の他方の面に接合される一方、先端部が前記第2台座板の下面に接合され、該基端部から水平方向に張り出した後で屈曲して該先端部まで延びるとともに、その側縁部が前記第2支持脚板の板面に接合された第2補強板を備え、
前記第2補強板の基端部の一部は、前記梁板の板面側から見て前記第1支持脚板に重なり合っていることを特徴とする建設機械のアッパーフレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−87462(P2013−87462A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227630(P2011−227630)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】