説明

建設機械のフィルタ装置

【課題】フィルタの清掃作業の省力化を図った建設機械のフィルタ装置を提供する。
【解決手段】冷却風により冷却される熱交換装置24の冷却風上流側を覆うフィルタ36と、フィルタ36をエンジン室17内で変位可能に支持する支持機構と、エンジン室17内のフィルタ36の配設位置に対して冷却風上流側に配設されると共にフィルタ36から落下する粉塵70を捕集するトレー37とを有する。また前記支持機構を、フィルタ36を保持すると共に回転軸38aが設けられたフレーム38と、回転軸38aを軸承する軸承ブラケット41Aと、ロック状態においてフレーム38の変位を規制すると共にロック解除状態においてフレーム38を変位可能とするロック機構42Aとを有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械のフィルタ装置に係り、特にフィルタに対してメンテナンスが必要な建設機械のフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に油圧ショベル等の建設機械では、エンジンを冷却するための熱交換機を有している。この熱交換機は、エンジンにより駆動される冷却ファンにより生成される冷却風により冷却される。また熱交換機の冷却風の吸い込み側にはフィルタが設けられており、熱交換機に設けられた冷却フィンが目詰まりすることを防止している。
【0003】
ところで建設機械は、粉塵が多く舞う稼働環境で使用される場合が多い。このため、熱交換機を覆うフィルタも目詰まりが頻繁に発生し、フィルタに詰まった粉塵の除去を行う必要がある。従来では、このフィルタに詰まった粉塵の除去を行うには、熱交換機からフィルタを取り外し、建設機械の機体外部でフィルタから粉塵を除去することが行われていた(特許文献1参照)。
【0004】
図6は、従来のフィルタに詰まった粉塵を除去する作業を説明するため図である。フィルタ100は、通常は熱交換機101の冷却風の吸い込み側に取り付けられている。同図に示す例では、フィルタ100は熱交換機101に設けられたフック102にスライド装着されると共に、上部を蝶ボルト107を用いて熱交換機101に固定する構造となっている。
【0005】
よって、フィルタ100に詰まった粉塵の除去を行うには、蝶ボルト107を取り外し、フィルタ100をフック102に沿って上方にスライドさせることにより熱交換機101から取り外し、続いてエンジン室103からフィルタ100を機体外部に取り出し、機体外部において粉塵を除去する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−052689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のフィルタ装置は、フィルタ100に詰まった粉塵の除去を行うためにはフィルタ100を熱交換機101から取り外す必要がある。このため従来のフィルタ装置では、この取り外しの際にフィルタ100が振動してしまい、図7に示すようにフィルタ100に付着した粉塵105がエンジン室103内に落下してしまうという問題点があった。
【0008】
このため、従来ではフィルタ100の清掃と共に、エンジン室103に落下した粉塵105の清掃処理を行う必要があり、その作業が面倒であった。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、フィルタの清掃作業の省力化を図った建設機械のフィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、第1の観点からは、
冷却風により冷却される熱交換装置の冷却風上流側を覆うフィルタと、
前記フィルタをエンジン室内で変位可能に支持する支持機構と、
前記エンジン室内に配設され、前記変位により前記フィルタから落下する粉塵を捕集するトレーと、
を有することを特徴とする建設機械のフィルタ装置により解決することができる。
【発明の効果】
【0011】
開示の建設機械のフィルタ装置によれば、フィルタに詰まった粉塵はフィルタをエンジン室内で変位させることによりトレーに落下して捕集される。このため捕集された粉塵は、単にトレーのみをエンジン室から取り出し廃棄できるため、フィルタの清掃作業の省力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態であるフィルタ装置を搭載した建設機械を示す側面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態であるフィルタ装置を搭載した建設機械のエンジン室の断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態であるフィルタ装置の斜視図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態であるフィルタ装置の分解斜視図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態であるフィルタ装置の分解斜視図である。
【図6】図6は、従来の一例であるフィルタ装置を説明するための斜視図である。
【図7】図7は、従来のフィルタ装置で発生する問題点を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0014】
図1は本発明の第1実施形態である排気装置を設けた建設機械を示している。本実施形態では、建設機械として小旋回タイプの小型油圧ショベル1を例に挙げて説明する。この小旋回タイプの小型油圧ショベル1は、キャブ8に対しエンジン室17のY2方向の延出量が小さく設定されている。
【0015】
小型油圧ショベル1は、大略すると自走可能なクローラ式の下部走行体2と、この下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより略構成されている。また、上部旋回体3の前部側には作業アタッチメント4が設けられている。
【0016】
この作業アタッチメント4は、ブーム6、アーム9、及びバケット10等を有している。ブーム6は、後述の旋回フレーム5に俯仰動可能に取り付けられている。アーム9は、ブーム6の先端側に回動可能に取り付けられている。また、バケット10は、アーム9の先端側に回動可能に取り付けられている。
【0017】
ブームシリンダ12は、旋回フレーム5とロアブーム6との間に配設されている。このブームシリンダ12により、ブーム6は旋回フレーム5に対して俯仰動する。アームシリンダ13は、ブーム6とアーム9との間に配設されている。このアームシリンダ13により、アーム9はブーム6に対して回動動作する。更にバケットシリンダ14は、バケット10とアーム9との間に配設されている。このバケットシリンダ14により、バケット10はアーム9に対して回動する。
【0018】
上部旋回体3は、下部走行体2上に旋回機構16を介して旋回自在に設置されている。この上部旋回体3には、図1に加え図2に示すように、旋回フレーム5、キャブ8、カウンタウエイト15、エンジンフード17a、外装カバー18、エンジン20、マフラ30等が配設されている。
【0019】
キャブ8は旋回フレーム5上に設けられており、その内部には運転席(図示せず)が設けられている。オペレータはキャブ8内の運転席に着座し、小型油圧ショベル1の運転操作を行う。
【0020】
カウンタウエイト15は、作業アタッチメント4との重量バランスをとる機能を奏する。またエンジンフード17a、外装カバー18は、エンジン20、熱交換機24、ポンプ27、フィルタ装置35A等を覆うものである。
【0021】
次に、エンジン室17内の構成について説明する。
【0022】
図2は、エンジン室17の内部構成を示す概略構成図である。同図に示されるように、カウンタウエイト15、エンジンフード17a、外装カバー18に囲まれたエンジン室17内には、エンジン20、冷却ファン23、熱交換装置24、ポンプ27、及びフィルタ装置35A等が配設されている。
【0023】
エンジン20は、旋回フレーム5に配設されたエンジン取付座21の上部に、マウント22を介して支持されている。マウント22は防振マウントであり、エンジン20で発生する振動が旋回フレーム5に伝達されるのを防止している。
【0024】
エンジン20のX1方向側(図中左側)には、冷却ファン23が配設されている。また、冷却ファン23のX1方向側には、熱交換装置24が配設されている。
【0025】
冷却ファン23は、エンジン20により回転駆動される。冷却ファン23が回転駆動されることより、外気が冷却風としてエンジン室17に取り込まれる。熱交換装置24は、このエンジン室17に取り込まれたた冷却風により冷却される。
【0026】
冷却風は、図2において右側に向け流れる。よって、図中矢印X1方向側が冷却風上流側となり、図中矢印X2方向が冷却風下流側となる。
【0027】
熱交換装置24は、エンジン20内を流れる冷却水を冷却するラジエータ、ブームシリンダ12、アームシリンダ13、バケットシリンダ14等の油圧機器の作動油の放熱をするためのオイルクーラ及びエンジンに供給される過給空気を冷却するためのインタークーラが並設されたラジエータユニット24Aと、図示しない燃料タンクに戻る余剰燃料を冷却する燃料クーラ24Bと、エアコン用のコンデンサ24Cとを有し、これらラジエータユニット24A、燃料クーラ24B、コンデンサ24Cを取り囲む矩形枠状の枠体24Dとで構成されている。燃料クーラ24B及びコンデンサ24Cは、ラジエータユニット24Aの冷却風上流側に配設されている。枠体24Dは、燃料クーラ24B、燃料クーラ24B、コンデンサ24Cの冷却風上流側に開口部24Eを有している。
【0028】
エンジン室17内の熱交換装置24の冷却風上流側には、バッテリー46及び電装品47が床面59上に配設されている。外装カバー18の熱交換装置24の冷却風上流側には隔壁58が形成されている。熱交換装置24の枠体24Dは、隔壁58とシール等を介して気密に接した構成とされている。
【0029】
また、床面59から延設されるデッキ部60において、バッテリー46及び電装品47の上部位置には開口部61が形成されている。この開口部61は、後述するトレー37により気密に閉塞される。
【0030】
よって、トレー37が開口部61に装着された状態において、エンジン室17はエンジン20及び熱交換装置24等が収納された第1空間部55と、熱交換装置24の冷却風上流側に形成される第2空間部56に画成される。
【0031】
そして、冷却ファン23により生成される冷却風は、フィルタ装置35Aと熱交換装置24のみを通過し、第2空間部56から第1空間部55に向け流れる構成となる。
【0032】
ポンプ27は、エンジン20の冷却ファン23が配設された側と反対側(冷却風下流側)に配設されている。ポンプ27は作業アタッチメント4を駆動するブームシリンダ12、アームシリンダ13、バケットシリンダ14等の油圧源である。このポンプ27もエンジン20により駆動される。
【0033】
エンジン20から排出された排気ガスは、排気マニホールド28及び排気管29を介してマフラ30に導入される。マフラ30は、エンジン20のX2方向側の上部位置に固定ブラケット33を介して固定されている。排出ガスの排気騒音は、マフラ30内に形成された複数の部屋内で膨張及び圧縮を繰り返し進行することにより消音される。
【0034】
また、消音装置30の排気端部にはテールパイプ31が設けられている。消音装置30で消音処理が行われた排気ガスはテールパイプ31から機体外部に排出される。
【0035】
次に、主に図3及び図4を用いて、フィルタ装置35Aについて説明する。
【0036】
フィルタ装置35Aは、フィルタ36、支持機構、及びトレー37を有した構成とされている。このフィルタ装置35Aは、熱交換装置24の開口部24Eの冷却風上流側を覆うよう配設される。
【0037】
フィルタ36は、支持機構により熱交換装置24の枠体24Dに変位可能に支持される。この支持機構は、フレーム38、軸承ブラケット41A、及びロック機構42Aを有した構成とされている。
【0038】
フレーム38は、図4に示すように矩形枠状の形状を有している。また、フレーム38は、熱交換装置24の枠体24Dにシール等を介して気密に接する。このフレーム38の内部に装着されることにより、フィルタ36はフレーム38に保持される。この保持状態において、フィルタ36は外周をフレーム38に囲繞された状態となり、フィルタ36とフレーム38は一体化する。更に、フレーム38の下方両側位置には回転軸38aが配設され、上方の一側方位置にはネジ軸38bが配設されている。
【0039】
軸承ブラケット41Aは、熱交換装置24の下部に配設されている。この軸承ブラケット41Aは、フレーム38に設けられた回転軸38aを軸承する軸孔が形成されている。よって、回転軸38aが軸承ブラケット41Aに軸承されることにより、フィルタ36(フレーム38)は、熱交換装置24に対して変位可能な構成となる。具体的には、フィルタ36は熱交換装置24に対し、軸承ブラケット41Aが回転軸38aを軸承する位置を中心として揺動可能な構成となる。
【0040】
ロック機構42Aは、ネジ軸38b、ロック用ブラケット43A、及びロックノブ44を有した構成とされている。前記のようにネジ軸38bは、フレーム38の上方の一側方位置(図中、Y2側位置)に配設されている。
【0041】
ロック用ブラケット43Aは弓状に湾曲した板状部材であり、熱交換装置24に固定されている。また、ロック用ブラケット43Aにはガイド穴43aが形成されている。ロックノブ44は操作者により把持されるものであり、前記のネジ軸38bと螺合するよう構成されている。フレーム38に設けられたネジ軸38bはロック用ブラケット43Aに形成されたガイド穴43aに挿入され、その上でネジ軸38bにロックノブ44が螺着される。
【0042】
前記のように、フレーム38(フィルタ36)は回転軸38aが軸承ブラケット41Aに軸承される位置を中心して揺動する。この際、ネジ軸38bも変位するが、ガイド穴43aの形状はこのネジ軸38bの変位する軌跡と対応した形状とされている。従って、ロック用ブラケット43Aはネジ軸38bのガイド部材として機能し、フレーム38(フィルタ36)が揺動する際、ネジ軸38bはガイド穴43aにガイドされて変位する。
【0043】
ロックノブ44は、フレーム38に設けられたネジ軸38bに螺着脱可能に取り付けられる。このロックノブ44をネジ軸38bに締め付けることにより、ロック用ブラケット43Aはフレーム38とロックノブ44との間に締結され、よってフィルタ36(フレーム38)はその変位が規制(ロック)されロック状態となる。また、ロックノブ44を緩めることによりロック解除され、フィルタ36(フレーム38)は軸承ブラケット41Aを中心として揺動可能な状態となる。
【0044】
トレー37は、エンジン室17内のフィルタ36の配設位置に対して冷却風上流側に配設される。また、トレー37はデッキ部60に形成された開口部61を覆うように配設され、開口部61をシール等を介して気密に閉塞すると共に熱交換装置24の枠体24Dの下部にもシール等を介して気密に接する。このトレー37は、第2空間部56の底部を広く覆う形状とされおり、後述するようにフィルタ36から落下する粉塵を捕集する機能を奏する。なお、トレー37を合成樹脂等の弾性素材で形成することにより、トレー37自体にシール等の機能を持たせてもよい。
【0045】
また、エンジン室17のフィルタ装置35Aと対向する位置には、図1及び図3に示すようにドア19が配設されている。トレー37は、このドア19から機体外部に取り出し可能な構成とされている(図3参照)。
【0046】
次に、上記構成とされたフィルタ装置35Aにおいて、フィルタ36に粉塵が詰まったときの清掃処理について説明する。
【0047】
小型油圧ショベル1の稼動時においては、フィルタ36はロック機構42Aにより熱交換装置24と平行な状態にロックされている(図2に実線で示す状態)。従って、小型油圧ショベル1の稼動に際し、フィルタ36が変位してしまうようなことはなく、フィルタ36は冷却風に含まれる粉塵を確実に捕集する。
【0048】
フィルタ36の清掃処理を行うには、先ず作業者は外装カバー18のドア19を開ける。フィルタ装置35Aは、このドア19と対向する位置に設けられている。よって、ドア19を開くことにより、フィルタ装置35Aを操作することが可能となる。
【0049】
ドア19を開くと、続いて作業者はロック機構42Aを構成するロックノブ44を緩める操作を行う。ロックノブ44が緩められることによりロック解除状態となり、フィルタ36(フレーム38)は、軸承ブラケット41Aを中心として揺動可能な状態となる。
【0050】
続いて、作業者はロックノブ44を把持した状態で、フィルタ36(フレーム38)を軸承ブラケット41Aを中心として、図3に矢印Aで示すように揺動させる。
【0051】
この際、ロックノブ44が取り付けられたネジ軸38bはロック用ブラケット43Aのガイド穴43aに係合している。また、ガイド穴43aの形状はネジ軸38bの移動軌跡に対応している。よって、作業者はロックノブ44をロック用ブラケット43Aにガイドされた状態で操作できるため、フィルタ36(フレーム38)を揺動させる作業を容易に行うことができる。
【0052】
上記のようにロックノブ44を操作することによりフィルタ36は振動され、これによりフィルタ36に付着していた粉塵70(図3参照)は落下する。トレー37は、フィルタ36から落下する粉塵70を捕集できるよう、第2空間部56の底面を広く覆う形状とされている。よって、トレー37はフィルタ36から落下する粉塵70を確実に捕集することができる。
【0053】
フィルタ36に付着していた粉塵70が落下し、フィルタ36の目詰まりが解消すると、作業者はフィルタ36(フレーム38)を熱交換装置24と平行となる既定の装着位置まで移動させ、続いてロックノブ44をネジ軸38bに締め付ける。これにより、フィルタ36は再びロック状態となり、熱交換装置24への粉塵の侵入を防止する位置に固定される。
【0054】
次に作業者は、粉塵70が落下したトレー37から粉塵70を機体外に取り除き、廃棄する処理を行う。粉塵70の廃棄が終了すると、作業者はドア19を閉めることにより、一連の清掃処理を終了する。なお、ドア19が開かれることにより外装カバー18に形成された開口部からトレー37そのものを機体外部に取り出し、粉塵70を廃棄する処理を行ってもよい。この場合には、粉塵70の廃棄が終了すると、作業者はトレー37を第2空間部56の下部の開口部61に装着し、続いてドア19を閉めることにより、一連の清掃処理が終了する。
【0055】
上記のように本実施形態に係るフィルタ装置35Aは、エンジン室17内でフィルタ36を変位(揺動)させることによりフィルタ36に付着した粉塵70をトレー37に落下させ、この粉塵70が落下したトレー37をエンジン室17から取り出し廃棄するだけで、フィルタ36の目詰まりを解消することができる。
【0056】
また、エンジン室17内でフィルタ36から粉塵70を落下させても、粉塵70はトレー37内に落下し、エンジン室17内の他の部位に落下することはない。このため、従来必要であったエンジン室17内の清掃処理を不要することができる。よって、本実施形態に係るフィルタ装置35Aによれば、フィルタ36の清掃処理の容易化及び省力化を図ることができる。
【0057】
図5は、本発明の第2実施形態であるフィルタ装置35Bを示している。
【0058】
なお、図5において、図1乃至図4を用いて説明した第1実施形態であるフィルタ装置35Aと対応する構成については同一符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0059】
前記した第1実施形態に係るフィルタ装置35Aでは、フィルタ36を保持するフレーム38の下部両側位置に回転軸38aを設けた構成とした。このため、フィルタ装置35Aでは、図中矢印X1,X2で示す方向を回転軸としてフィルタ36(フレーム38)は揺動する構成とされていた。
【0060】
これに対して本実施形態に係るフィルタ装置35Bは、フレーム38の側方上下端位置に回転軸38aを設けたことを特徴とするものである。この構成とすることにより、フィルタ36(フレーム38)は、図中矢印Z1,Z2で示す方向を回転軸として揺動する構成となる。即ち、フィルタ36(フレーム38)は、軸承ブラケット41Bを中心として図中矢印Bで示す方向に揺動することとなる。
【0061】
また、ロック機構42Bは、フィルタ36の揺動に伴いネジ軸38bが進入する溝部51が形成されたロック用ブラケット43Bと、ネジ軸38bに取り付けられたロックノブ44とにより構成されている。よって、小型油圧ショベル1の稼動時には、ネジ軸38bを溝部51内に挿入させた状態でロックノブ44を締め付ける。これにより、フィルタ36はロック状態となり、熱交換装置24への粉塵の侵入を防止する位置に固定される。
【0062】
更に、フィルタ装置35Bは、熱交換装置24の前方(図中Y1方向)に延出する上下一対のストッパ50が形成されている。このストッパ50の先端部は内側に向けて折曲されている。よって、フィルタ36が所定角度揺動した時点で、フィルタ36(フレーム38)はストッパ50と当接する構成とされている。このストッパ50を設けることにより、フィルタ36(フレーム38)の必要以上の揺動を規制することができる。
【0063】
本実施形態に係るフィルタ装置35Bにおいても、作業者がロックノブ44を把持してフィルタ36(フレーム38)を矢印B方向に揺動させることにより、フィルタ36に付着している粉塵を図示しないトレー37に落下させることができる。よって、上記構成とされた第2実施形態に係るフィルタ装置35Bにおいても、前記した第1実施形態に係るフィルタ装置35Aと同様の作用効果を実現することができる。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【0065】
具体的には、上記した実施形態では本願発明を小型油圧ショベル1に適用した例について説明したが、本願発明はフィルタを有する各種建設機械についても適用可能なものである。
【符号の説明】
【0066】
1 小型油圧ショベル
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 アタッチメント
5 旋回フレーム
6 ロアブーム
7 アッパーアーム
8 キャブ
9 アーム
15 カウンタウエイト
16 旋回機構
17 エンジン室
17a エンジンフード
18 外装カバー
19 ドア
20 エンジン
23 冷却ファン
24 熱交換装置
24A ラジエータユニット
24B 燃料クーラ
24C エアコンデンサ
24D 枠体
24E 開口部
30 消音装置
35A,35B フィルタ装置
36 フィルタ
37 トレー
38 フレーム
38a 回転軸
38b ネジ軸
40A,40B 支持機構
41A,41B 軸承ブラケット
42A,42B ロック機構
43A,43B ロック用ブラケット
44 ロックノブ
45 ガイド穴
46 バッテリー
47 電装品
48 空間部
50 ストッパ
55 第1空間部
56 第2空間部
59 床面
60 デッキ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却風により冷却される熱交換装置の冷却風上流側を覆うフィルタと、
前記フィルタをエンジン室内で変位可能に支持する支持機構と、
前記エンジン室内に配設され、前記変位により前記フィルタから落下する粉塵を捕集するトレーと、
を有することを特徴とする建設機械のフィルタ装置。
【請求項2】
前記支持機構は、
前記フィルタを保持すると共に回転軸が設けられたフレームと、
前記回転軸を軸承する軸承部材と、
ロック状態において前記フレームの変位を規制し、ロック解除状態において前記フレームを変位可能とするロック機構と、
を有することを特徴とする請求項1記載の建設機械のフィルタ装置。
【請求項3】
前記トレーは、
前記フィルタの冷却風上流側に配設された機器の上部を覆うよう構成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の建設機械のフィルタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−83106(P2013−83106A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224192(P2011−224192)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【Fターム(参考)】