説明

建設機械の油液タンク構造

【課題】滑止め板を油液タンクから容易に取り外し又は油液タンクに取り付けることができ、油液タンク上面と同じ大きさの滑止め板を含めて種々の大きさの滑止め板を用いることができる建設機械の油液タンク構造の提供。
【解決手段】燃料を貯蔵する燃料タンク11と、この燃料タンク11の上部にボルト13を介して取付られ、足場を形成する滑止め板12と、ボルト13のねじ部13Aに螺合する袋ナット13aとを備え、滑止め板12はボルト13のねじ部13Aを通す貫通孔16を有し、ボルト13の頭部13Bを燃料タンク11の上面に固着して、ねじ部13Aを上方に向けて設け、ねじ部13Aに滑止め板12の貫通孔16を通した状態で、ボルト13のねじ部13Aに袋ナット13aを螺合させて成り、滑止め板12にはボルト13の頭部13Bを収容可能な凹部15aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油液タンクを備えた油圧ショベル等の建設機械に備えられ、油液タンクの上部に設けられて足場を形成する滑止め板を有する建設機械の油液タンク構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械、例えば油圧ショベルは、履帯等を有して走行する走行体と、走行体の上方に旋回フレームを介して連結されて左右方向に旋回する旋回体と、この旋回体の前方に設けられ、各アクチュエータを有して掘削等の作業を行うフロント作業機とを備えている。
【0003】
また、油圧ショベルの旋回体は油圧ポンプを駆動するエンジンの燃料又は作動油を貯蔵する油液タンクを有しており、この油液タンクの上部には足場を形成する滑止め板がねじ部を有するボルトを介して取付られている。作業者は、この滑止め板上に上って油液タンクの上部に設けられた給油口から燃料を補給したり、あるいは旋回体内の各種装置のメンテナンス等の作業を行っている。
【0004】
このような油液タンクの上部に滑止め板を有する油液タンク構造を備えた建設機械の一例として、燃料タンク、すなわち油液タンクの上面部よりも下側となる油液タンクの側壁部の位置に複数のねじ座を設け、滑止め板に油液タンクの側壁部に向けて下向きに屈曲されてねじ座にボルトを用いて固定される複数の屈曲板部を設ける構成とした従来の建設機械が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−262620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この特許文献1に開示された従来の建設機械では、油液タンクの上面部よりも下側となる油液タンクの側壁部の位置に設けられた複数のねじ座に、滑止め板に設けられた複数の屈曲板部をボルトで固定しているので、滑止め板の大きさが油液タンク上面の大きさに制約される。すなわち、油液タンク上面の大きさと同じ大きさの滑止め板を用意しなければならない。このため、油液タンク上面の大きさと異なる大きさの滑止め板を用いることができない問題がある。
【0007】
また、特許文献1に開示された従来の建設機械では、ねじ座を含めて油液タンクの側壁部を外側から覆う化粧カバーを油液タンクに設け、さらに締結ねじを化粧カバー内に外部から挿入するため化粧カバーのねじ座と対応する位置に開口を設けた構成をしている。そのため、雨水や泥がこの開口に流入し易くなっており、この雨水で取り付けた締結ねじが錆びる問題がある。また、化粧カバーの開口に流入した泥がねじ座上に溜まって、すなわち偏在して固まることがある。このように泥がねじ座上に固まったときには、固まった泥をこの開口から取り除くことが難しくなるので、ボルトをねじ座から取り外し又はねじ座に取り付けることができず、滑止め板を油液タンクから取り外し又は油液タンクに取り付けることが困難となる問題がある。
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、滑止め板を油液タンクから容易に取り外し又は油液タンクに取り付けることができ、油液タンク上面と同じ大きさの滑止め板を含めて種々の大きさの滑止め板を用いることができる建設機械の油液タンク構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の建設機械の油液タンク構造は、燃料又は作動油を貯蔵する油液タンクと、この油液タンクの上部にボルトを介して取付られ、足場を形成する滑止め板とを備えた建設機械の油液タンク構造において、前記ボルトのねじ部に螺合するナットを備え、前記滑止め板は前記ボルトの前記ねじ部を通す貫通孔を有し、前記ボルトの頭部を前記油液タンクの上面に固着して、前記ねじ部を上方に向けて設け、前記ねじ部に前記滑止め板の前記貫通孔を通した状態で、前記ボルトの前記ねじ部に前記ナットを螺合させて成り、前記滑止め板、又は前記油液タンクの上面には前記ボルトの頭部を収容可能な凹部が設けられていることを特徴としている。
【0010】
このように構成した本発明は、ねじ部を上方に向けてボルトの頭部を油液タンクの上面に固着し、ボルトのねじ部に滑止め板の貫通孔を通した状態で、ボルトのねじ部にナットを螺合させるようにしているので、滑止め板の貫通孔によって油液タンクの上面のうちボルトの位置にそのまま滑止め板を取り付けることができる。これにより、滑止め板の大きさが油液タンク上面の大きさに制約を受けないので、油液タンク上面と同じ大きさの滑止め板を含めて種々の大きさの滑止め板を用いることができる。
【0011】
また、ボルトのねじ部に螺合するナットは滑止め板の面上よりも上側に位置しており、このナットの上方を開放空間に保つことができ、仮にナットを含む滑止め板部分に雨水や泥が流れ込んだとしても、これらの雨水や泥は分散し、ナットの周縁部に偏在することを抑えることができる。さらに、このナットとボルトのねじ部を十分に締付けることにより、滑止め板の貫通孔をナットによって塞ぐことができ、従って滑止め板の貫通孔に雨水や泥が流入することを抑えることができる。これらのことにより、雨水でボルトやナットが錆びたり、あるいは泥がボルト又はナットに固着して固まることを抑えることができるので、ナットをボルトから容易に取り外し又はボルトに取り付けることができる。従って、滑止め板を油液タンクに取り付けた後に長期間経過した場合であっても滑止め板を油液タンクから容易に取り外し又は油液タンクに取り付けることができる。
【0012】
さらに、滑止め板又は油液タンクの上面にはボルトの頭部を収容可能な凹部が設けられており、この凹部にボルトの頭部を収容することにより、滑止め板の取り付け高さを低くすることができ、しかも滑止め板を油液タンクに当接させることができるため、それらの間に土砂が入り込むことを防止でき、清掃の手間を省くことができる。
【0013】
また、本発明に係る建設機械の油液タンク構造は、前記発明において、前記ナットは袋ナットから成ることを特徴としている。このように構成すると、袋ナットとボルトのねじ部を締付けることによって袋ナットが上方からボルトのねじ部と滑止め板の貫通孔を覆うので、袋ナットとボルトとの間に雨水や泥が流入することを抑えることができる。そのため、袋ナットの雌ねじ部やボルトのねじ部が錆びたり、あるいは袋ナットとボルトとの間で泥が固まることによって袋ナットとボルトのねじ部の締まりが悪くなることを抑えることができ、袋ナットをボルトから容易に取り外し又はボルトに取り付けることができる。
【0014】
また、袋ナットをボルトに螺合することによって袋ナットがボルトのねじ部を覆うので、ボルトのねじ部に土砂等が噛みこんだり、締結部分に錆などが発生したりすることを防止することができる。
【0015】
また、本発明に係る建設機械の油液タンク構造は、前記発明において、前記滑止め板が複数の凸部を有し、これら凸部の高さを前記袋ナットの高さと同等以上に設定したことを特徴としている。このように構成すると、ボルトに螺合した袋ナットが滑止め板の凸部よりも突出しないので、作業者がこの滑止め板上の袋ナットに足を引っ掛けることを防止することができ、作業者の滑止め板上のスムーズな移動を確保することができる。また、滑止め板の凸部でボルトに螺合した袋ナットが目立たなくなるので、意匠性を向上させることができる。
【0016】
また、本発明に係る建設機械の油液タンク構造は、前記発明において、前記滑止め板は前記油液タンクの上面から側面に沿うL字型形状を有し、前記滑止め板と前記油液タンクの側面とを固着したことを特徴としている。このように構成すると、油液タンクの上面において滑止め板をナットとボルトで固定していることに加えて、油液タンクの側面においても滑止め板を固着しているので、滑止め板を油液タンクに強固に取り付けることができ、安定した構造を実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の建設機械の油液タンク構造は、ボルトのねじ部に螺合するナットを備え、滑止め板がボルトのねじ部を通す貫通孔を有している。そして、ボルトの頭部を油液タンクの上面に固着して、ねじ部を上方に向けて設け、ねじ部に滑止め板の貫通孔を通した状態で、ねじ部にナットを螺合させて成っているので、油液タンクの上面のうちボルトの位置にそのまま滑止め板を取り付けることができ、油液タンク上面と同じ大きさの滑止め板を含めて種々の大きさの滑止め板を用いることができる。さらに、本発明の建設機械の油液タンク構造は、滑止め板、又は油液タンクの上面にはボルトの頭部を収容可能な凹部が設けられており、この凹部にボルトの頭部を収容することにより、滑止め板の取り付け高さを低くすることができる。このように、滑止め板の大きさが油液タンク上面の大きさに制約を受けることがないので、滑止め板の形状寸法を変更しなくても異なる大きさの油液タンクに用いることができ、しかも作業者がこの滑止め板上のナットに足を引っ掛け難くなり、滑止め板の汎用性及び安全性を向上させることができる。
【0018】
また、ボルトのねじ部に螺合するナットは滑止め板の面上よりも上側に位置しており、このナットの上方を開放空間に保つことができ、仮にナットを含む滑止め板部分に雨水や泥が流れ込んだとしても、これらの雨水や泥は分散し、ナットの周縁部に偏在することを抑えることができる。さらに、このナットとボルトのねじ部を十分に締付けることにより、滑止め板の貫通孔をナットで塞ぐことができ、従って滑止め板の貫通孔に雨水や泥が流入することを抑えることができる。これらのことにより、雨水でボルトやナットが錆びたり、あるいは泥がボルトやナットに固着して締まりが悪くなることを抑えることができるので、滑止め板を油液タンクから容易に取り外し又は油液タンクに取り付けることができる。このように、この滑止め板の取り外し、取り付け作業の能率を従来に比べて向上させることができ、ナットや滑止め板の交換等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る油液タンク構造の第1実施形態が適用される建設機械の一例として挙げた油圧ショベルを示す側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の全体を示す側面図である。
【図3】図2のA部を拡大して示す図であり、(a)図は滑止め板を燃料タンクに取り付ける前の状態を示す側面図、(b)図は滑止め板を燃料タンクに取り付けた後の状態を示す側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態の全体を示す側面図である。
【図5】図4のA部を拡大して示す図であり、(a)図は滑止め板を燃料タンクに取り付ける前の状態を示す側面図、(b)図は滑止め板を燃料タンクに取り付けた後の状態を示す側面図である。
【図6】本発明の第3実施形態の全体を示す側面図である。
【図7】図5のB図を拡大して示す側面図である。
【図8】図5のC部を拡大して示す図であり、(a)図は滑止め板を燃料タンクに取り付ける前の状態を示す側面図、(b)図は滑止め板を燃料タンクに取り付けた後の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る建設機械の油液タンク構造を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0021】
[第1実施形態]
本発明に係る建設機械の油液タンク構造の第1実施形態は、例えば図1に示すように油圧ショベル1に備えられる。この油圧ショベル1は、走行体2と、この走行体2の上側に配置され、旋回フレーム3aを有する旋回体3と、この旋回体3の前方に取り付けられて上下方向に回動するフロント作業機4とを備えている。また、旋回体3は、前方に位置するキャブ7と、後方に配置されたカウンタウェイト6と、これらキャブ7及びカウンタウェイト6の間にエンジンルーム5とを備えている。そして、この旋回体3には、図示されていないがキャブ7とエンジンルーム5との間に本発明の第1実施形態が備えられている。
【0022】
図2、図3に示すように、本発明の第1実施形態は、油液タンク、例えば図示しない油圧ポンプを駆動するエンジンの燃料を貯蔵する燃料タンク11と、この燃料タンク11の上部に取り付けられ、ねじ部13A及び頭部13Bから成るボルト13と、このボルト13を介して取付られ、足場を形成する滑止め板12と、ボルト13のねじ部13Aに螺合するナット、すなわち袋ナット13aとを備えている。この滑止め板12は、ボルト13のねじ部13Aを通す貫通孔16と、ボルト13の頭部13Bを収容可能な凹部15aと、図3の(b)図に示すように袋ナット13aの高さと同等以上の高さに設定した複数の凸部15とを有している。
【0023】
なお、凹部15aは、上方に向けて突出して形成されて、その内側にボルト13の頭部13Bを収容する空間が設けられるものであり、頭部13Bを収容することで滑止め板12が燃料タンク11の上面と当接可能になっている。
【0024】
そして、本発明の第1実施形態は、ねじ部13Aを上方に向けてボルト13の頭部13Bを燃料タンク11の上面に、例えば溶接で固着し、ボルト13のねじ部13Aに滑止め板12の貫通孔16を通した状態で、ボルト13のねじ部13Aに袋ナット13aを螺合させて成っている。なお、本発明の第1実施形態では、滑止め板12は例えば燃料タンク11の上面の形状寸法よりも小さい形状寸法を有する長方形の板であり、ボルト13は、図2に示すA部、すなわち滑止め板12の各角部に位置するように燃料タンク11に設けられている。
【0025】
このように構成した本発明の第1実施形態によれば、ねじ部13Aを上方に向けてボルト13の頭部13Bを燃料タンク11の上面に溶接で固着し、ボルト13のねじ部13Aに滑止め板12の貫通孔16を通した状態で、ボルト13のねじ部13Aに袋ナット13aを螺合させるようにしているので、滑止め板12の貫通孔16によって滑止め板12が燃料タンク11の上面の形状寸法よりも小さい形状寸法を有する長方形の板であっても燃料タンク11の上面のうちボルト13の位置にそのまま滑止め板12を取り付けることができる。これにより、燃料タンク11上面と同じ大きさの滑止め板を含めて種々の大きさの滑止め板を用いることができる。このように、滑止め板12の大きさが燃料タンク11上面の大きさに制約されることがないので、滑止め板12の形状寸法を変更しなくても異なる大きさの燃料タンクに用いることができ、汎用性が高い。
【0026】
さらに、滑止め板12にはボルト13の頭部13Bを収容可能な凹部15aが設けられており、この凹部15aにボルト13の頭部13Bを収容することにより、滑止め板12の取り付け高さを低くすることができ、しかも滑止め板12を燃料タンク11の上面と当接させることができる。これにより、凸部15以外に滑止め板12と燃料タンク11の上面との間に隙間が形成されないために、それらの間に土砂が浸入しにくくなり、また作業者がこの滑止め板12上に載る度に滑止め板12が撓んで燃料タンク11の上面に接触することがなく、その接触により塗装面を損傷させたり、衝突音を発生させることがない。そのため、清掃作業が不要となり、タンクの損傷を防ぎ、作業者に違和感を与えることがない。
【0027】
また、ボルト13のねじ部13Aに螺合する袋ナット13aは滑止め板12の面上よりも上側に位置しており、この袋ナット13aの上方を開放空間に保つことができ、仮に袋ナット13aを含む滑止め板12部分に雨水や泥が流れ込んだとしても、これらの雨水や泥は分散し、袋ナット13aの周縁部に偏在することを抑えることができる。さらに、この袋ナット13aとボルト13のねじ部13Aを十分に締付けることにより、滑止め板12の貫通孔16を袋ナット13aによって塞ぐことができ、従って滑止め板12の貫通孔16に雨水や泥が流入することを抑えることができる。
【0028】
これらのことにより、雨水でボルト13や袋ナット13aが錆びたり、あるいは泥がボルト13又は袋ナット13aに固着して固まることを抑えることができるので、袋ナット13aをボルト13から容易に取り外し又はボルト13に取り付けることができる。従って、滑止め板12を燃料タンク11に取り付けた後に長期間経過した場合であっても滑止め板12を燃料タンク11から容易に取り外し又は燃料タンク11に取り付けることができる。このように、この滑止め板12の取り外し、取り付け作業の能率を向上させることができ、袋ナット13aや滑止め板12の交換等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0029】
また、本発明の第1実施形態は、滑止め板12を袋ナット13aで燃料タンク11の上面に固定することにより、袋ナット13aが上方からボルト13のねじ部13Aと滑止め板12の貫通孔16を覆うので、袋ナット13aと螺子13との間に雨水や泥が流入することを抑えることができる。そのため、袋ナット13aの雌ねじ部やボルト13のねじ部13Aが錆びたり、あるいは袋ナット13aとボルト13との間で泥が固まることによって袋ナット13aとボルト13のねじ部13Aの締まりが悪くなることを抑えることができ、袋ナット13aをボルト13から容易に取り外し又はボルト13に取り付けることができる。これにより、滑止め板12の取り外し、取り付け作業の能率をより向上させることができる。
【0030】
また、本発明の第1実施形態は、滑止め板12が複数の凸部15を有していることにより、作業者がこれらの凸部15上に足を掛けることができるので、作業者が作業中に良好な足場を確保することができる。これにより、例えば滑止め板12上に雨や泥が付着している場合でも作業者が滑止め板12上で滑ることを防ぐことができ、安全性を高めることができる。
【0031】
また、本発明の第1実施形態は、図3の(b)図に示すように滑止め板12の複数の凸部15の高さを袋ナット13aの高さと同等以上に設定することにより、ボルト13に螺合した袋ナット13aが滑止め板12の凸部15よりも突出しないので、作業者がこの滑止め板12上の袋ナット13aの頭部に足を引っ掛けることを防止することができ、作業者の滑止め板12上のスムーズな移動を確保することができる。また、滑止め板12の凸部15でボルト13に螺合した袋ナット13aが目立たなくなるので、意匠性を向上させることができる。
【0032】
なお、本発明の第1実施形態は、ボルト13の頭部13Bを燃料タンク11の上面に溶接で固着しており、燃料タンク11にボルト13を取り付ける穴等を設ける必要がないので、燃料タンク11から燃料が漏れる懸念がない。
【0033】
[第2実施形態]
図4は本発明の第2実施形態の全体を示す側面図、図5は図4のA部を拡大して示す図であり、(a)図は滑止め板を燃料タンクに取り付ける前の状態を示す側面図、(b)図は滑止め板を燃料タンクに取り付けた後の状態を示す側面図である。
【0034】
図4、図5に示すように、本発明の第2実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、燃料タンク11aが上面にボルト13の頭部13Bを収容可能な凹部17を有し、この凹部17にねじ部13Aを上方に向けてボルト13を例えば溶接で固着したことであり、その他の構成は第1実施形態と同じである。この場合、第1実施形態の滑止め板12の代わりに、第1実施形態において設けられた凹部15aを有しない滑止め板12aを用いている。
【0035】
このように構成した本発明の第2実施形態は、燃料タンク11aの上面の凹部17にねじ部13Aを上方に向けてボルト13を溶接で固着することにより、図5の(b)図に示すようにこの燃料タンク11aの凹部17にボルト13の頭部13Bを収容することができるので、上述した第1実施の形態と同様、滑止め板12aを燃料タンク11の上面と当接させることができ、これにより、凸部15以外に滑止め板12aと燃料タンク11の上面との間に隙間が形成されることがなく、上述の第1実施の形態と同様の作用効果を得ることができ、さらに凸部15の突出量を大きくしなくても袋ナット13aが滑止め板12aの面上、特に凸部15から突出することを抑えることができる。
【0036】
[第3実施形態]
図6は本発明の第3実施形態の全体を示す側面図、図7は図5のB図を拡大して示す側面図、図8は図5のC部を拡大して示す図であり、(a)図は滑止め板を燃料タンクに取り付ける前の状態を示す側面図、(b)図は滑止め板を燃料タンクに取り付けた後の状態を示す側面図である。
【0037】
図6〜8に示すように、本発明の第3実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、滑止め板12bが燃料タンク11の上面から側面に沿うL字型形状を有し、滑止め板12bと燃料タンク11の側面とを、例えばねじ部13Aを有するボルト13及びナット13bを介して固着したことであり、その他の構成は第1実施形態と同じである。具体的には、燃料タンク11の側面にナット13bが例えば溶接で固着されており、また滑止め板12bは、ナット13bの貫通孔の位置にナット13bに螺合するボルト13のねじ部13Aを通す貫通孔16aを有している。そして、滑止め板12bの貫通孔16aにボルト13のねじ部13Aを通してナット13bに螺合させることにより、滑止め板12bを燃料タンク11の側面に固着している。
【0038】
このように構成した本発明の第3実施形態は、滑止め板12bをボルト13及び袋ナット13aを介して燃料タンク11の上面に固着することに加えて、さらに滑止め板12bをボルト13及びナット13bを介して燃料タンク11の側面に固着していることにより、ボルト13のねじ部13Aに係る負担を軽減することができ、特に燃料タンク11の上面と平行な力の負担を軽減することができるので、ボルト13のねじ部13Aが折れる等の損傷を抑えると共に、滑止め板12bを燃料タンク11に強固に取り付けることができる。これにより、安定した構造を実現することができ、耐久性を向上させることができる。
【0039】
なお、本発明の第3実施形態では、滑止め板12bを燃料タンク11の側面にボルト13及びナット13bを介して固着した場合について説明したが、この場合に限らず滑止め板12bをボルト13及び袋ナット13aを介して燃料タンク11の上面に取り付けたのと同様にしても良い。すなわち、ボルト13の頭部13Bを燃料タンク11の側面に例えば溶接で固着し、ボルト13のねじ部13Aに滑止め板12bの貫通孔16aを通した状態で、ボルト13のねじ部13Aに袋ナット13aを螺合させても良い。
【0040】
また、上述した第1〜3実施形態は、滑止め板12,12a,12bを燃料タンク11、11aに1つ取り付けた場合について説明したが、大きさの異なる複数の滑止め板を燃料タンク11,11aに取り付けてもよい。このように構成すると、例えば燃料タンクの上面に給油口等があって燃料タンクの上面全体に取り付けられない場合においても滑止め板の大きさを小さくして必要な部分に複数取り付けることにより、足場を十分に確保することができるので、利便性が良い。
【0041】
また、上述した第1〜3実施形態は、油液タンクが燃料タンク11,11aから成っているが、油液タンクが作動油タンクから成る構成にしても良い。
【符号の説明】
【0042】
1 油圧ショベル
2 走行体
3 旋回体
3a 旋回フレーム
4 フロント作業機
5 エンジンルーム
6 カウンタウェイト
7 キャブ
11,11a 燃料タンク(油液タンク)
12,12a,12b 滑止め板
13 ボルト
13a 袋ナット(ナット)
13A ねじ部
13B 頭部
13b ナット
15 凸部
15a,17 凹部
16,16a 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料又は作動油を貯蔵する油液タンクと、この油液タンクの上部にボルトを介して取付られ、足場を形成する滑止め板とを備えた建設機械の油液タンク構造において、
前記ボルトのねじ部に螺合するナットを備え、
前記滑止め板は前記ボルトの前記ねじ部を通す貫通孔を有し、
前記ボルトの頭部を前記油液タンクの上面に固着して、前記ねじ部を上方に向けて設け、前記ねじ部に前記滑止め板の前記貫通孔を通した状態で、前記ボルトの前記ねじ部に前記ナットを螺合させて成り、
前記滑止め板、又は前記油液タンクの上面には前記ボルトの頭部を収容可能な凹部が設けられていることを特徴とする建設機械の油液タンク構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械の油液タンク構造において、
前記ナットは袋ナットから成ることを特徴とする建設機械の油液タンク構造。
【請求項3】
請求項2に記載の建設機械の油液タンク構造において、
前記滑止め板が複数の凸部を有し、これら凸部の高さを前記袋ナットの高さと同等以上に設定したことを特徴とする建設機械の油液タンク構造。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の建設機械の油液タンク構造において、
前記滑止め板は前記油液タンクの上面から側面に沿うL字型形状を有し、
前記滑止め板と前記油液タンクの側面とを固着したことを特徴とする建設機械の油液タンク構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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