説明

建設機械

【課題】 キャブの支持構造を簡素化できる建設機械を提供すること。
【解決手段】 建設機械は、車体フレーム11と、車体フレーム11に搭載されたマウント装置110と、マウント装置110上に連結ピン150を介して回動自在に連結されたキャブとを備え、車体フレーム11には、連結ピン150が挿通される挿通孔143を有したストッパ140が設けられ、ストッパ140の挿通孔143と連結ピン150との間には、連結ピン150の径方向への所定以上の変位量を規制する隙間144が形成され、連結ピン150は、軸線方向に沿って移動自在に設けられ、連結ピン150の外周には、該連結ピン150の移動に伴って隙間144に対して挿抜される隙間埋め部材200が一体に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に係り、例えばダンプトラック等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設機械としてのダンプトラックにおいて、車体フレームとキャブとの間にキャブの振動を吸収、減衰させるマウント装置を介装し、このマウント装置に対してキャブを上下に回動可能(チルト可能)に搭載することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
マウント装置は、車体フレーム側に取り付けられて内部に粘性流体が封入されたカップと、カップの上部側を塞ぐクッションラバーおよび可動軸とを備えた液体封入式の構成であり、キャブが該可動軸の上部のブラケットに対して連結ピンを介して連結されることで、この連結ピンが水平な回動軸として機能する。
【0003】
このようなダンプトラックでは、キャブの振幅によって連結ピンが大きく動いてしまうと、可動軸も大きく変位し、この変位を許容できずにマウント装置が損傷してしまう。従って、車体フレーム側には、連結ピンの両端が挿通される一対のストッパ片が立設されており、ストッパ片の挿通孔と連結ピンとの隙間以上に変位しないように連結ピンの動きを規制し、マウント装置の損傷を防いでいる。
【0004】
また、例えば油圧機器等のメンテナンス時にキャブをチルトアップさせる際には、ストッパ片の挿通孔と連結ピンとの隙間に筒状の隙間埋め部材を押し込み、隙間を無くした状態にして連結ピンが傾かないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−61807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このようなダンプトラックでは、キャブのチルト操作時に、ダンプトラックのメンテナンスを行うサービスマンが隙間埋め部材をわざわざ用意する必要があり、煩雑である。
一方、特許文献1には、そのような隙間埋め部材の他に、ストッパ片にスライド自在に取り付けられた隙間埋め部材が開示されている。このような構造では、チルト操作時に隙間埋め部材をスライドさせながら連結ピンに挿通するとともに、最終的に挿通孔との隙間に押し込むのであるが、構造が複雑である。
【0007】
また、隙間埋め部材が隙間に押し込まれるにしたがって、連結ピンがストッパ片から突出してくるので、隙間埋め部材自体をハンマーでたたきにくくなり、スライドさせにくくなる。または、隙間埋め部材をたたきこむための専用治具が必要となる。
さらに、キャブのチルト操作時には、隙間埋め部材を連結ピンの一端側から隙間に挿入し、キャブを取り外す等のように連結ピンを抜く際には、連結ピンの他端側から連結ピンを抜く作業を行うことになる。つまり、マウント装置の両側に作業スペースが必要となる。しかし、マウント装置周辺には、燃料タンクや配管など各種機器を配置するため、十分な作業スペースを確保することは困難である。
【0008】
本発明の目的は、キャブの支持構造を簡素化できる建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る建設機械は、車体フレームと、車体フレームに搭載されたマウント装置と、前記マウント装置上に連結ピンを介して回動(チルトアップ、チルトダウン)自在に連結されたキャブとを備え、前記車体フレームには、前記連結ピンが挿通される挿通孔を有したストッパが設けられ、前記ストッパの挿通孔と前記連結ピンとの間には、前記連結ピンの径方向への所定以上の変位量を規制する隙間が形成され、前記連結ピンは、軸線方向に沿って移動自在に設けられ、前記連結ピンの外周には、該連結ピンの移動に伴って前記隙間に対して挿抜される隙間埋め部材が一体に設けられていることを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る建設機械では、前記連結ピンは、前記マウント装置に設けられたマウント側ブラケットに回動自在に取り付けられ、前記連結ピンには、該連結ピンの軸線方向に対して直交する方向に延出した支持レバーが固定され、前記マウント側ブラケットには、前記支持レバーとの対向面間に位置し、かつ前記支持レバーの先端側が固定されるボス部が設けられ、前記ボス部としては、前記ブラケットからの距離が異なる2種類が並設されていることを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る建設機械では、前記支持レバーには、厚さ方向に貫通する抜きタップが設けられ、前記2種類のボス部のうちの一方のボス部には、前記支持レバーが、前記抜きタップに螺入可能な固定ボルトによって固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1発明によれば、軸線方向に移動自在な連結ピンに隙間埋め部材が一体に設けられているため、キャブを回動させる際に、連結ピン周りの隙間を埋める場合、連結ピンをその軸線に沿って移動させればよく、隙間埋め部材を別途用意したり、隙間埋め部材を単独でスライド可能な構造にしたりする必要がなくて、構造を簡素化できる。また、連結ピン自体をハンマーでたたけばよく、この作業が容易になる。さらに、隙間埋め部材を隙間に挿入する作業と連結ピンを抜く作業とを連結ピンの同じ一端側から行うことができるため、作業スペースはマウント装置の一端側にのみ設ければよくなる。
【0013】
第2発明によれば、連結ピンに固定された支持レバーがボス部に固定されることにより、連結ピンの回動や抜けが防止されるが、この際、ボス部としては長さの異なる2種類を設けておくことにより、一方のボス部に対しては、隙間埋め部材が隙間から抜けている状態で支持レバーを固定しておき、他方のボス部に対しては、隙間埋め部材が隙間に挿入されている状態で支持レバーを固定しておくことができ、キャブがチルトダウンおよびチルトアップのいずれの状態にあるときでも、連結ピンの回動や抜けを確実に防止できる。
【0014】
第3発明によれば、連結ピンを移動前の位置に戻すには、他方のボス部に対して支持レバーを固定していた固定ボルトを抜きタップに螺合し、螺入操作すればよい。よって、固定ボルトとは別に、抜きタップに螺合させる操作用のボルトを別途用意するといった煩雑さを解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るダンプトラックを示す側面図。
【図2】キャブを回動させたときの状態を示す図。
【図3】リア側支持構造を示す部分拡大図。
【図4】リア側支持構造の構成を示す断面図。
【図5】キャブを回動させるときのリア側支持構造の状態を示す図で、(A)は図3の矢視Aから見た図、(B)は(A)の矢視Bから見た図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示す建設機械としてのダンプトラック1は、前方(図1中左方向)に位置する前部車体10と、後方(図1中右方向)に位置する後部車体20とを備えている。
前部車体10は車体フレームとしてのフロントフレーム11によって支持されており、フロントフレーム11の最も前方にはボンネット12が開閉可能に取り付けられている。
後部車体20はリアフレーム21によって支持されている。リアフレーム21はフロントフレーム11に対して屈折及び揺動自在に連結されている。
【0017】
フロントフレーム11とリアフレーム21との間には、左右一対のステアリングシリンダ13,13が架け渡されている。各ステアリングシリンダ13,13をそれぞれ伸縮させることにより、フロントフレーム11に対してリアフレーム21を屈折させることができ、ステアリング操作が可能となる。
リアフレーム21の上方には、例えば、土砂等の積載物を積載するベッセル22が設けられている。ベッセル22の前部の左右両側(図1中紙面手前側と奥側)とリアフレーム21との間には、一対のリフトシリンダ23,23が設けられている。ベッセル22はその後部下側を回動中心として、リアフレーム21に対して回動可能に取り付けられている。ベッセル22はリフトシリンダ23,23が伸縮することにより回動する。
【0018】
フロントフレーム11にはキャブ30が搭載されている。キャブ30は、ダンプトラック1が転倒時にオペレータの安全を確保すべく、安全な構造を備えたROPS(Roll Over Protective System)キャブである。キャブ30は、後述する1対のリア側支持構造100B,100Bを介してフロントフレーム11に固定支持された状態で、図2に示す矢印TU(チルトアップ)方向および矢印TD(チルトダウン)方向に回動可能となっている。
フロントフレーム11の下部側方には左右一対の前輪41が、リアフレーム21の下部側方には左右一対の中輪42および後輪43が、それぞれ取り付けられている。
【0019】
図2に示すように、ボンネット12およびキャブ30の下側に位置する空間には、例えば、エンジン、トルクコンバータ、トランスミッション、油圧ポンプ等の各種装置14が配置されている。キャブ30とフロントフレーム11の間には、フロント側支持構造100Aとリア側支持構造100Bとが設けられている。
【0020】
フロント側支持構造100Aは、詳細な図示を省略するが、後述するリア側支持構造100Bのうち、後述する隙間埋め部材200が設けられていない連結ピンを有し、かつ連結ピンが挿抜自在な構造である。そして、このような連結ピンを抜き取ることで、キャブ30の前方側でのマウント装置による支持状態を解除することが可能である。
オペレータは、ボンネット12を開け、さらに、フロント側支持構造100Aから連結ピンを外して支持状態を解除し、例えば油圧シリンダやクレーン等の操作用動力を用いることにより、キャブ30を矢印TU方向に回動させて各種装置14の点検や整備を行う。
【0021】
次に、リア側支持構造100Bについて説明する。なお、リア側支持構造100Bの詳細な構造の符号については、図3において、片方のリア側支持構造100Bについてのみ符号を付する。
リア側支持構造100Bは、マウント装置110と、マウント側ブラケット120と、キャブ側ブラケット130と、ストッパ140と、連結ピン150と、支持レバー160とを備えている。
【0022】
図3ないし図5に示すように、マウント装置110は、キャブ30を支持する装置であり、フロントフレーム11にボルト51を用いて搭載されている。マウント装置110は、内部に粘性流体であるシリコンオイルが封入された液体封入式のマウント装置であり、可動軸111、カップ112、およびクッションラバー113を備える。
可動軸111は円柱状とされ、鉛直に立設されている。可動軸111の外周には、クッションラバー113が一体に形成されている。カップ112は可動軸111およびクッションラバー113によって液密状態に塞がれている。
キャブ30に振動が発生した場合、可動軸111の変位によりシリコンオイルが攪拌され、この際の粘性抵抗により振動が減衰される。
【0023】
マウント側ブラケット120は、底部121および側部122により略J字状に形成される。
底部121は、ボルト114によってマウント装置110の可動軸111に固定される。
側部122は、底部121の左右(図4中左右方向)両端からそれぞれ上方に突出して一体形成されており、一方の側部122Aは、他方の側部122Bよりも長く突出して形成されている。側部122の互いに対向する位置には、連結ピン150が取り付けられる取付孔123が設けられ、取付孔123の外周には、内側に突出したボス部124が設けられている。
【0024】
キャブ側ブラケット130は、キャブ30の後側のフレームに溶接等の固着手段を用いて固定されたベース部131と、ベース部131の下端に取り付けられた円筒状の取付部132とで構成されている。
取付部132の取付孔133には、その両端から挿入された金属製のブッシュ134を介して連結ピン150が取り付けられており、ブッシュ134回りでキャブ側ブラケット130を回動させることにより、キャブ30をチルトアップ、チルトダウンさせることが可能である。なお、図5(B)では、ベース部131および取付部132については図示されていない。
また、取付部132の所定位置には、内部にグリース等の潤滑油を供給するための給脂ニップル300が設けられている(図3参照)。そして、図4に示すように、ブッシュ134とボス部124との間には、シム170が挿入されている。
【0025】
以上の各ブラケット120、130によれば、それぞれの取付孔123,133は、中心が同軸線上に位置するようにして設けられている。そして、取付孔123の内径寸法およびブッシュ134の内径寸法は、連結ピン150の大径部150Aの外径寸法と略等しく、ブッシュ134の外径寸法は、取付孔133の内径寸法とほぼ等しいことから、キャブ30は、キャブ側ブラケット130、連結ピン150、およびマウント側ブラケット120を介して、ほぼ隙間なくマウント装置110に支持されることになる。
【0026】
ストッパ140は、フロントフレーム11にボルト52により固定されるベース部141と、ベース部141に間隔を空けて立設された一対の側部142とで構成され、これらの側部142の間において、ベース部141の中央に設けられた開口部を利用してマウント装置110が配置されている。各側部142の互いの対向位置には挿通孔143が設けられている。挿通孔143もまた、その中心は前記取付孔123,133と同軸線上にあり、各挿通孔143内には、連結ピン150の両端側が位置している。挿通孔143の内径寸法は、大径部150Aの外径寸法よりも所定値(2×t)だけ大きい。
【0027】
図4に示すように、連結ピン150は、略円柱形状に形成されており、水平方向(図4中左右方向)の長さがW1である大径部150Aと、水平方向の長さがW2である小径部150Bとを備える。
大径部150Aの左右両端は、それぞれストッパ140の側部142の外側に突出している。大径部150Aの外周面と挿通孔143の内周面との間には、径方向の寸法がtである環状の隙間144が形成されている。この隙間144が存在することにより、連結ピン150は、径方向(図4中の上下方向)にそれぞれ寸法tだけ変位可能であり、換言すれば、ストッパ140により所定の変位量であるt以上の変位量が規制されている。
【0028】
一方、連結ピン150の小径部150Bには、連結ピン150の軸線方向に対して直交する方向に延出した支持レバー160が基端側の支持孔161を介して挿通され、支持レバー160が連結ピン150の小径部150Bに対して片持ち状に溶接等により一体に固定されている。
連結ピン150において、大径部150Aの外周であって小径部150B側の端部には、略円筒形状の隙間埋め部材200が溶接等により小径部150B及び支持レバー160に固定されている。よって、連結ピン150と支持レバー160と隙間埋め部材200とは一体となって1つの部品を構成する。隙間埋め部材200の外径寸法は、ストッパ140の側部142に設けられた挿通孔143の内径寸法に略等しい。このような隙間埋め部材200は、側部142の外方に位置している。
他方、マウント側ブラケット120の側部122Aにおいて、支持レバー160の先端側と対向する面には、支持レバー160側に向けて水平に突出したボス部162が設けられている。ボス部162としては、長さの長いボス部162A、および長さの短いボス部162Bの2種類が存在し、これらが並設されている(図5参照)。
【0029】
図4では、支持レバー160の先端が長さの長いボス部162Aに固定ボルト163にて固定されている。図5では、連結ピン150が支持レバー160ごと軸線方向に移動し、かつ長さの短いボス部162B側に回動しており、移動した位置で支持レバー160が固定ボルト163によって該ボス部162Bに固定されている。支持レバー160が各ボス部162A,162Bに固定されている間は、連結ピン150が回動したり、軸線方向に移動したりすることはなく、連結ピン150の抜けが防止される。そして特に、支持レバー160が短いボス部162Bに固定された状態では、隙間埋め部材200がストッパ140の側部142に設けられた挿通孔143に押し込められることになる。
【0030】
支持レバー160には、固定ボルト163と同一のネジ径の抜きタップ165が設けられており、この抜きタップ165に固定ボルト163を螺合させてその先端を側部142に当接させ、さらに螺入操作することで支持レバー160ごと連結ピン150を元の位置に戻し、隙間埋め部材200を挿通孔143から抜くことができる。
【0031】
次に、キャブ30がチルトダウンしている状態から、チルトアップ方向に回動させるときの動作について説明する。
図1に示すように、キャブ30がチルトダウンしている状態では、支持レバー160は図4に示す位置にあり、連結ピン150に取り付けられた隙間埋め部材200は挿通孔143から所定距離離れている。
【0032】
キャブ30をチルトアップ方向に回動させるときには、図4に示す状態において、長いボス部162Aから固定ボルト163を外し、支持レバー160を連結ピン150と共に回動させてその先端を短いボス部162Bに位置させる。この状態から、ハンマーで支持レバー160の基端側である連結ピン150の小径部150Bの端部(図4中右端部)を叩く。こうすることで、連結ピン150を支持レバー160および隙間埋め部材200ごと図4中左方向(車体外側方向)に移動し、隙間埋め部材200を挿通孔143に押し込み、隙間144を埋める。この作業により、連結ピン150、支持レバー160、および隙間埋め部材200は、図5に2点鎖線で示す位置から実線で示す位置となる。そして、支持レバー160を固定ボルト163にてボス部162Bに固定する。図3の車体右側に配置されたリア側支持構造100Bと同様に、図3の車体左側に配置されたリア側支持構造100Bでも、隙間埋め部材200によって隙間144を埋めることにより、キャブ30の回動軸心が左右で一致し、キャブ30の回動軸がぶれることがなくなる。
【0033】
隙間埋め部材200が隙間144内に挿入された状態で、キャブ30に図2の矢印TU方向の力を加え、連結ピン150を回動軸としてキャブ30をチルトアップさせる。
なお、キャブ30をチルトアップ状態からチルトダウン状態になるように回動させるときも、チルトアップさせる場合と同様に、隙間埋め部材200を隙間144内に挿入した状態で行う。
そして、連結ピン150を元の位置に戻す場合には、固定ボルト163を抜きタップ165に螺入して支持レバー160および隙間埋め部材200ごと戻し、隙間144から隙間埋め部材200を抜く。元の位置に戻った支持レバー160を固定ボルト163にてボス部162Aに固定する。
【0034】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、建設機械として、フロントフレーム11とリアフレーム21とで車体フレームが構成されるアーティキュレート型のダンプトラック1について説明したが、単一の車体フレームを備えたリジット型のダンプトラックや、油圧ショベル、ブルドーザ等の他の建設機械であってもよい。
【0035】
また、前記実施形態では、マウント装置110として液体封入式のマウント装置について説明したが、ゴムやバネ等を用いた他の形式のマウント装置であってもよい。
さらに、液体封入式のマウント装置であっても、可動軸の下端に円板状のダンピングプレートを設け、ダンピングプレートとカップの底面との間に前記可動軸を上方に付勢するコイルバネを設けた構造のマウント装置を採用してもよい。このマウント装置では、ダンピングプレートの外周にフランジ部が形成されており、振動発生時にはフランジ部とこれに対向するカップの内壁との隙間空間を粘性流体が移動するのであるが、この時の流体の抵抗により振動を効率的に減衰できる。また、該マウント装置では、クッションラバーについても、可動軸回りにゴム筒体および金属筒体を径方向に交互に積層させた構造が採用されており、可動軸が傾く方向への振動を確実に吸収・減衰可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、ダンプトラックの他、チルト可能なキャブを有する他の建設機械に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1…建設機械であるダンプトラック、11…車体フレームであるフロントフレーム、30…キャブ、110…マウント装置、120…マウント側ブラケット、140…ストッパ、143…挿通孔、144…隙間、150…連結ピン、160…支持レバー、162,162A,162B…ボス部、163…固定ボルト、165…抜きタップ、200…隙間埋め部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
車体フレームに搭載されたマウント装置と、
前記マウント装置上に連結ピンを介して回動自在に連結されたキャブとを備え、
前記車体フレームには、前記連結ピンが挿通される挿通孔を有したストッパが設けられ、
前記ストッパの挿通孔と前記連結ピンとの間には、前記連結ピンの径方向への所定以上の変位量を規制する隙間が形成され、
前記連結ピンは、軸線方向に沿って移動自在に設けられ、
前記連結ピンの外周には、該連結ピンの移動に伴って前記隙間に対して挿抜される隙間埋め部材が一体に設けられている
ことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械において、
前記連結ピンは、前記マウント装置に設けられたマウント側ブラケットに回動自在に取り付けられ、
前記連結ピンには、該連結ピンの軸線方向に対して直交する方向に延出した支持レバーが固定され、
前記マウント側ブラケットには、前記支持レバーとの対向面間に位置し、かつ前記支持レバーの先端側が固定されるボス部が設けられ、
前記ボス部としては、前記マウント側ブラケットからの距離が異なる2種類が並設されている
ことを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項2に記載の建設機械において、
前記支持レバーには、厚さ方向に貫通する抜きタップが設けられ、
前記2種類のボス部のうちの一方のボス部には、前記支持レバーが、前記抜きタップに螺入可能な固定ボルトによって固定される
ことを特徴とする建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−144074(P2012−144074A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1981(P2011−1981)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)