建設機械
【課題】 複数本の油圧ホースの破損や外周面の摩耗を防止する。
【解決手段】 複数本の筒状袋体35を互いに結合して一体化したホースプロテクタ34を形成し、制御弁装置31と作業装置4の各シリンダ4D,4E,4Fとの間を接続する油圧管路32のうち、スイングポスト13のホース収容空間18内に配置される油圧ホース32Bを、ホースプロテクタ34の各筒状袋体35によって個別に覆う構成とする。これにより、スイングポスト13の揺動に応じて各油圧ホース32Bがスイングポスト13のホース収容空間18内で移動したとしても、各油圧ホース32B同士が擦れることがないので油圧ホース32Bの外周面が摩耗、損傷することがなく、各油圧ホース32Bの耐久性を高めることができる。
【解決手段】 複数本の筒状袋体35を互いに結合して一体化したホースプロテクタ34を形成し、制御弁装置31と作業装置4の各シリンダ4D,4E,4Fとの間を接続する油圧管路32のうち、スイングポスト13のホース収容空間18内に配置される油圧ホース32Bを、ホースプロテクタ34の各筒状袋体35によって個別に覆う構成とする。これにより、スイングポスト13の揺動に応じて各油圧ホース32Bがスイングポスト13のホース収容空間18内で移動したとしても、各油圧ホース32B同士が擦れることがないので油圧ホース32Bの外周面が摩耗、損傷することがなく、各油圧ホース32Bの耐久性を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械に関し、特に油圧ホースを保護するホースプロテクタを備える建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例である油圧ショベルは、下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成されている。
【0003】
また、例えば側溝等の掘削作業に好適に用いられる油圧ショベルとして、作業装置が上部旋回体に対して左,右方向に揺動可能となったスイング式の油圧ショベルがある。このスイング式の油圧ショベルは、上部旋回体を構成する旋回フレームに、スイングシリンダによって左,右方向に揺動されるスイングポストが設けられ、該スイングポストに作業装置が俯仰動可能に取り付けられる構成となっている。また、上部旋回体側に配設された制御弁装置と作業装置に設けられたアクチュエータとの間を接続する油圧管路は、上部旋回体からスイングポストを経由して作業装置へと延び、少なくともスイングポストを経由する部位は複数本の油圧ホースによって構成されている。
【0004】
このようなスイング式の油圧ショベルでは、スイングポストが左,右に揺動すると共に各油圧ホースも揺動するため、油圧ホースが他部材と接触して損傷する場合があり、これを防止するために複数本の油圧ホース束ねてホースプロテクタ(被覆体)に収容する構成としている。(例えば、特許文献1)。
【0005】
また、他の従来技術では、締付けバンドにて複数本の油圧ホースを束ねることも提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭63−14661号公報
【特許文献2】実開平7−35557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した特許文献1による油圧ホースのホースプロテクタは、該ホースプロテクタ内に複数本の油圧ホースを束ねて収容しているので、スイングポストの揺動に伴い油圧ホース同士が擦れて油圧ホースの外表面が摩耗してしまうという問題がある。
【0008】
そこで、油圧ホースを1本ずつホースプロテクタにより保護し、締付けバンドにて油圧ホースを保護する方法が考えられる。しかし、この場合には、スイングポストの揺動に伴って徐々に締付けバンドがずれることにより締付けバンドの固定位置が変化してしまい、油圧ホースが意図しない動きをするという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、スイングポスト周囲に配置された複数本の油圧ホースを一纏めに束ねると共に、各油圧ホースを保護することができる建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による建設機械は、下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に俯仰動可能に設けられ複数のアクチュエータによって駆動される作業装置とからなり、前記上部旋回体は、旋回フレームと、該旋回フレームの前端側に設けられ前記作業装置を左,右方向に揺動可能に支持するスイングポストと、前記上部旋回体に設けられ前記各アクチュエータに対する圧油の給排を制御する制御弁装置と、該制御弁装置と前記各アクチュエータとの間を前記スイングポストを経由して接続する複数本の油圧管路とを備え、前記各油圧管路は、少なくとも前記スイングポストを経由する部位を可撓性を有する油圧ホースを用いて形成し、該各油圧ホースの外周側には、該油圧ホースを覆って保護するホースプロテクタを設けている。
【0011】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記ホースプロテクタは、前記各油圧ホースを1本ずつ独立して覆う複数本の筒状袋体を有し、該各筒状袋体の隣り同士を互いに結合することにより一体的に形成したことにある。
【0012】
請求項2の発明は、前記ホースプロテクタは、少なくとも前記各筒状袋体を長手方向の一部分で結合し、当該筒状袋体を一体的に束ねる結合部と、前記各筒状袋体同士を分離させた非結合部とにより構成したことにある。
【0013】
請求項3の発明は、前記各筒状袋体は樹脂製の布により形成し、隣り合う筒状袋体同士は縫合により結合する構成としたことにある。
【0014】
請求項4の発明は、前記上部旋回体には、前記スイングポストへと延びる前記各油圧ホースの途中部位を固定する旋回体側ホース固定具を設け、前記スイングポストには、前記作業装置へと延びる前記各油圧ホースを固定するスイングポスト側ホース固定具を設け、
前記ホースプロテクタは、前記旋回体側ホース固定具と前記スイングポスト側ホース固定具との間で前記各油圧ホースの外周側を覆う構成としたことにある。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、各油圧ホースは、1本ずつ独立して筒状袋体に覆われ、該筒状袋体の隣り同士を互いに結合しているので、スイングポストが左,右方向に揺動した場合でも、隣り合う油圧ホースの外表面同士が直接的に擦れることがない。この結果、各油圧ホースが摩耗したり破損するのを抑えることができ、その耐久性を高めることができる。一方、各筒状袋体は、隣り同士が結合されているので、これら各筒状袋体によって被覆された複数本の油圧ホースを一体的に束ねることができ、油圧ホース全体の剛性を高めることができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、ホースプロテクタの長手方向において筒状袋体同士を一体的に束ねた結合部と分離させた非結合部とを設けているので、スイングポスト周囲の狭隘なスペースに結合部を設けて油圧ホースを束ねることができる。加えて、複数本の油圧ホースを一体的に束ねたことにより束ねられた油圧ホース全体の剛性が増すので、各油圧ホースの意図しない動きを抑え、各油圧ホースの動作を安定させることができる。また、非結合部においては、各油圧ホースが他の油圧ホースに拘束されることがないので、各油圧ホースは、独立して保護されつつスイングポストの揺動等に応じて自由に移動することができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、筒状袋体は樹脂製の布で形成したので、油圧ホースが屈曲して筒状袋体に密着したとしても、油圧ホースの外表面と筒状袋体との間で大きな摩擦が生じることがなく、油圧ホースを円滑に屈曲させることができる。一方、筒状袋体同士を縫合により結合しているので、安価かつ容易にホースプロテクタを製造することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、旋回側ホース固定具とスイングポスト側ホース固定具との間で、各油圧ホースをホースプロテクタによって覆っているので、スイングポストの左,右方向への揺動に伴う油圧ホースの挙動に対しての保護を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】上部旋回体を外装カバー、運転席等を取り外した状態で示す平面図である。
【図3】図2中のスイングポスト、ホースプロテクタ、油圧ホース等をスイングポストが正面に位置した状態で示す要部拡大の平面図である。
【図4】図2中のスイングポスト、ホースプロテクタ、油圧ホース等をスイングポストが右側に揺動した状態で示す要部拡大の平面図である。
【図5】図2中のスイングポスト、ホースプロテクタ、油圧ホース等をスイングポストが左側に揺動した状態で示す要部拡大の平面図である。
【図6】スイングポストを単体で示す斜視図である。
【図7】油圧ホースにホースプロテクタを装着した状態を示す要部拡大の斜視図である。
【図8】ホースプロテクタの各筒状袋体、油圧ホースを図7中の矢視VIII−VIII方向からみた断面図である。
【図9】ホースプロテクタの各筒状袋体、油圧ホースを図7中の矢視IX−IX方向からみた断面図である。
【図10】ホースプロテクタの各筒状袋体、油圧ホースを図7中の矢視X−X方向からみた断面図である。
【図11】本発明の実施の形態によるホースプロテクタを示す斜視図である。
【図12】ホースプロテクタを構成する各筒状袋体の結合状態を示す図11中の矢視XII−XII方向からみた断面図である。
【図13】第1の変形例におけるホースプロテクタの製造過程の第1段階を示す斜視図である。
【図14】第1の変形例におけるホースプロテクタの製造過程の第2段階を示す斜視図である。
【図15】第1の変形例におけるホースプロテクタを示す斜視図である。
【図16】第2の変形例におけるホースプロテクタを示す斜視図である。
【図17】第2の変形例におけるホースプロテクタを構成する各筒状袋体の結合状態を示す図16中の矢視XVII-XVII方向からみた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図17を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
図中、1は本実施の形態が適用される小型の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能な装軌式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に設けられた掘削作業等を行う作業装置4とにより大略構成されている。
【0022】
ここで、作業装置4は、後述のスイングポスト13に俯仰動可能に取付けられたブーム4Aと、該ブーム4Aの先端部に俯仰動可能に取付けられたアーム4Bと、該アーム4Bの先端部に回動可能に取付けられたバケット4Cとによって大略構成されている。また、スイングポスト13とブーム4Aとの間にはブームシリンダ4Dが設けられ、ブーム4Aとアーム4Bとの間にはアームシリンダ4Eが設けられ、アーム4Bとバケット4Cとの間にはバケットシリンダ4Fが設けられている。また、ブーム4Aの背面には後述する作業装置側管路32Cが固定して設けられている。
【0023】
5は上部旋回体3のベースを構成する旋回フレームで、該旋回フレーム5は、図2に示す如く上方からみて略円形状をなし、後述のセンタフレーム6と、左,右のサイドフレーム11,12とにより大略構成されている。
【0024】
6は左,右方向の中央部に位置して前,後方向に延びるセンタフレームで、該センタフレーム6は、後述の底板7、左縦板8、右縦板9、上板10等によって構成されている。
【0025】
7はセンタフレーム6の底板で、該底板7は厚肉な鋼板等により前,後方向に延びる平板状に形成されている。そして、底板7の前端側は三角形状をなし、該底板7の前端側には後述の連結ピン22が挿嵌されるボス部(図示せず)が設けられている。
【0026】
8は底板7の左端側に立設された左縦板、9は左縦板8と対面して底板7の右端側に立設された右縦板を示している。これら左縦板8と右縦板9は、左,右方向で対面しつつ、底板7上を前,後方向に延びている。また、左縦板8と右縦板9とは、互いの間隔が後方から前方に向けて徐々に小さくなるように、上方からみてハ字状に配置されている。
【0027】
10は底板7と上,下方向で対面するように左,右の縦板8,9の前部側に設けられた上板で、該上板10は、ほぼ三角形の平板状に形成され、左,右の縦板8,9の上端側に溶接等によって固着されている。そして、上板10の前端側には、連結ピン22が挿嵌される段付き円筒状のボス部(図示せず)が設けられている。
【0028】
ここで、上述の底板7、左縦板8、右縦板9、上板10は、旋回フレーム5の強度を高める強度部材を構成している。これにより、旋回フレーム5によって作業装置4を確実に支持することができる構成となっている。
【0029】
11はセンタフレーム6の左側に配設された左サイドフレームで、該左サイドフレーム11は、例えば長方形の断面形状を有する角筒体を円弧状に折曲げることにより形成されている。そして、左サイドフレーム11は、その先端部が底板7の上面と左縦板8の外側面とに接合され、前,後方向の中間部が左縦板8から左側方に張出した張出ビーム(図示せず)に接合され、後端部は後述するカウンタウエイト25の近傍まで延びている。
【0030】
12はセンタフレーム6の右側に配設された右サイドフレームで、該右サイドフレーム12は、例えば長方形の断面形状を有する角筒体を円弧状に折曲げることにより形成されている。そして、右サイドフレーム12は、その先端部が底板7の上面と右縦板9の外側面とに接合され、前,後方向の中間部が右縦板9から右側方に張出した張出ビーム(図示せず)に接合され、後端部は後述するカウンタウエイト25の近傍まで延びている。
【0031】
13は後述の連結ピン22を用いて旋回フレーム5の前端側に揺動可能に設けられたスイングポストで、該スイングポスト13は、例えば鋳造等により一体形成され、作業装置4を左,右方向に揺動可能に支持するものである。そして、スイングポスト13は、底板7と上板10の前端部を上,下方向から挟むようにコ字状に屈曲して形成され上,下方向に延びた後面板14と、該後面板14の左,右両側に互いに対向した状態で前方に突出して設けられた左側面板15,右側面板16と、右側面板16から右側方に突出して設けられたシリンダブラケット17とによって大略構成されている。
【0032】
ここで、後面板14の上,下方向の両端側には後方に向けて水平に延びる上面部14A,底面部14Bが設けられ、これら上面部14A,底面部14Bには、底板7のボス部(図示せず)及び上板10のボス部(図示せず)と同軸となるように、連結ピン22が挿嵌されるピン挿嵌穴14A1,14B1が形成されている。
【0033】
また、左側面板15の上端側には、作業装置4を構成するブーム4Aの基端側がピン結合されるブーム用ボス15Aが外向きに突設され、左側面板15の下端側には、作業装置4を構成するブームシリンダ4Dの基端側がピン結合されるブームシリンダ用ボス15Bが内向きに突設され、左側面板15の内側面には、後述のホースクランプ20を取り付けるためのねじ座15Cが固着されている。
【0034】
一方、右側面板16には、左側面板15と同様に、ブーム用ボス16Aが外向きに突設され、ブームシリンダ用ボス16Bが内向きに突設され、右側面板16の内側面には、上述のねじ座15Cと対応する位置にねじ座16Cが固着されている。
【0035】
18はスイングポスト13に設けられたホース収容空間で、該ホース収容空間18は、後面板14と左,右の側板15,16とによって囲まれた空間により構成されている。そして、ホース収容空間18は、後述の油圧ホース32Bを収容するもので、図3ないし図5に示すように、スイングポスト13が左,右方向に揺動して油圧ホース32Bが弛んだときに、この油圧ホース32Bの弛みを許すだけのスペースをもって形成されている。
【0036】
19は左側面板15と後面板14とが交わる角隅部に形成されたホース挿通孔で、該ホース挿通孔19は、後述の上部旋回体3に設けられた旋回体側ホース固定具33から延びる油圧ホース32Bをホース収容空間18内に挿通するためのものである。これにより、スイングポスト13の揺動時に、各油圧ホース32Bが、スイングポスト13の左側面板15と後面板14とが交わる角隅部に接触するのを抑えることができる構成となっている。
【0037】
20はスイングポスト13のホース収容空間18内に設けられたスイングポスト側ホース固定具としてのホースクランプで、該ホースクランプ20は、例えば半円弧状をなす複数の溝が形成された2個のクランプ分割体20A,20Bにより構成されている。そして、ホースクランプ20は、各油圧ホース32Bをクランプ分割体20A,20Bによって挟み込むことにより、これら各油圧ホース32Bを結束した状態で、スイングポスト13の各側面板15,16に固着したねじ座15C,16Cにボルトを用いて固定されるものである。
【0038】
21はスイングポスト13のホース収容空間18内に設けられたホース保護カバーで、該ホース保護カバー21は、例えば薄肉な鋼板等を折曲げることにより形成され、スイングポスト13の後面板14と対面しつつ上,下方向に延びている。
【0039】
そして、ホース保護カバー21は、スイングポスト13の後面板14等にボルトを用いて取り付けられることにより、ホース収容空間18内に収容された油圧ホース32Bを覆い、掘削作業時にスイングポスト13のホース収容空間18内に飛込んでくる土砂等から、油圧ホース32Bを保護するものである。
【0040】
22は旋回フレーム5とスイングポスト13との間を揺動可能に連結する連結ピンで、該連結ピン22は上,下方向に延びる1本のピンにより構成され、スイングポスト13を構成する後面板14の各ピン挿通孔14A1,14B1と、旋回フレーム5を構成する底板7のボス部と、上板10のボス部(図示せず)とに挿嵌されている。これにより、スイングポスト13は、連結ピン22を支点として左,右方向に揺動可能となっている。
【0041】
23は旋回フレーム5とスイングポスト13との間に設けられたスイングシリンダで、該スイングシリンダ23は、右縦板9の外側面に沿って前,後方向に延び、ボトム側が右縦板9等にピン結合され、ロッド側がスイングポスト13のシリンダブラケット17にピン結合されている。従って、スイングシリンダ23を伸縮させることにより、スイングポスト13は、作業装置4と共に連結ピン22を中心として左,右方向に揺動する構成となっている。
【0042】
24はセンタフレーム6を構成する左,右の縦板8,9間に位置して底板7の中央部に配設された旋回モータで、該旋回モータ24は、後述の油圧ポンプ27から給排される圧油によって駆動され、下部走行体2上で旋回フレーム5を旋回させるものである。
【0043】
25は旋回フレーム5の後端部に取付けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト25は、左サイドフレーム11と右サイドフレーム12とに滑らかに連続する円弧状に形成され、作業装置4との重量バランスをとるものである。
【0044】
26はカウンタウエイト25の前側に位置して旋回フレーム5上に搭載されたエンジンで、該エンジン26は、左,右方向に延在する横置き状態に配設されている。そして、エンジン26の左側には、該エンジン26によって駆動される油圧ポンプ27が配設され、エンジン26の右側には、該エンジン26の冷却水を冷却するラジエータ28等が配設されている。
【0045】
29はラジエータ28の前側に位置して旋回フレーム5上に搭載された作動油タンクで、該作動油タンク29は、旋回フレーム5を構成する右縦板9の右側(外側)に配置され、作業装置4の各シリンダ4D,4E,4F、スイングシリンダ23、旋回モータ24、走行モータ(図示せず)等のアクチュエータに給排される作動油を貯留するものである。
【0046】
30は作動油タンク29の前側に位置して旋回フレーム5上に搭載された燃料タンクで、該燃料タンク30は、旋回フレーム5を構成する右縦板9の右側(外側)に配置され、エンジン26に供給される燃料を貯留するものである。
【0047】
31は旋回フレーム5の前部左側に配設された制御弁装置で、該制御弁装置31は、左縦板8の左側面(外側面)に沿って前,後方向に並設された複数個の方向制御弁の集合体として構成されている。
【0048】
ここで、制御弁装置31の流入口は、油圧ポンプ27の吐出口に油圧ホース等(いずれも図示せず)を介して接続され、制御弁装置31を構成する各方向制御弁の吐出口には、後述する油圧管路32の基端側が接続されている。そして、制御弁装置31は、作業装置4の各シリンダ4D,4E,4F、スイングシリンダ23、旋回モータ24、走行モータ(図示せず)等のアクチュエータに対する圧油の供給と排出を切換え、これらの動作を制御するものである。
【0049】
32は制御弁装置31からスイングポスト13を経由して作業装置4の各シリンダ4D,4E,4Fに向けて延びる複数本の油圧管路を示している。この油圧管路32は、ブームシリンダ4Dに対して圧油を給排する2本の油圧管路と、アームシリンダ4Eに対して圧油を給排する2本の油圧管路と、バケットシリンダ4Fに対して圧油を給排する2本の油圧管路の他に、例えば削岩機等の付属の油圧機器(図示せず)に対して圧油を給排する2本の油圧管路を加えた合計8本の油圧管路によって構成されている。
【0050】
ここで、各油圧管路32は、鋼管等を用いて形成され、基端側が制御弁装置31に接続されると共に先端側が後述する旋回体側ホース固定具33に接続された旋回体側管路32Aと、基端側が旋回体側ホース固定具33を介して旋回体側管路32Aの先端側に接続されると共に先端側がスイングポスト13のホース収容空間18を経由してブーム4Aの背面側に導出された可撓性を有する油圧ホース32Bと、鋼管等を用いて形成され、基端側が油圧ホース32Bの先端側に接続されると共に先端側が作業装置4の各シリンダ4D,4E,4Fに接続される作業装置側管路32C(図1参照)とにより構成されている。
【0051】
33は制御弁装置31の前側に位置して旋回フレーム5の前端側に設けられた旋回体側ホース固定具で、該旋回体側ホース固定具33は、略L型に折曲げられた鋼板等からなり、例えば左縦板8の外側面に溶接等によって固着されている。そして、旋回体側ホース固定具33には、例えば軸方向の両端側が雄ねじ部となった8個の管継手が固着して設けられ、管継手の一端側に旋回体側管路32Aの先端側を螺着し、他端側に油圧ホース32Bの基端側を螺着することにより、これら旋回体側管路32Aと油圧ホース32Bとの間が接続される構成となっている。
【0052】
次に各油圧ホース32Bを保護するために本実施の形態で用いられるホースプロテクタについて、図7ないし図12を参照しつつ説明する。
【0053】
34は油圧管路32を構成する各油圧ホース32Bを外周側から覆って保護するホースプロテクタを示している。このホースプロテクタ34は、樹脂製の布により形成され、旋回体側ホース固定具33とホースクランプ20との間に配置された各油圧ホース32Bの外周側を覆うことにより、各油圧ホース32Bがスイングポスト13等と接触したり、互いに擦れることにより、各油圧ホース32Bの外周面が損傷することを防止するものである。
【0054】
まず、ホースプロテクタ34は、8本の筒状袋体35を部分的に結合した一体物として構成され、該各筒状袋体35は、その内部に1本の油圧ホース32Bを収容できる空間を設けた略円筒状として形成されている。
【0055】
この場合、図11および図12に示すように各筒状袋体35は、1枚の方形状の布の両端を重ね合わせて糸36で縫合することにより、内部に油圧ホース32Bを1本収容することができる筒状に形成されている。そして、8本の筒状袋体35の長さ方向の一端側を2列×4列に配列した状態で、各筒状袋体35同士が接する部位を糸37で縫合して結合する。一方、8本の筒状袋体35の長さ方向の他端側は、互いに結合することなく自由端として分離させる。
【0056】
これにより、ホースプロテクタ34の長さ方向の一端側は、隣り合う筒状袋体35同士が結合された結合部34Aとなり、ホースプロテクタ34の長さ方向の他端側は、各筒状袋体35が互いに独立して変位できるように分離された非結合部34Bとなっている。そして、図8に示すように、ホースプロテクタ34の結合部34Aにおける各筒状袋体35の配列は、旋回体側ホース固定具33で接続される旋回体側管路32Aと油圧ホース32Bとの配列に合致しており、油圧ホース32Bの基端側を被覆する各筒状袋体35は、結合部34Aとして結束されている。一方、油圧ホース32Bの先端側を被覆する各筒状袋体35は、非結合部34Bとして互いに分離され、図10に示すように、ホースクランプ20にクランプされる各油圧ホース32Bの配列に対応して横一列に並ぶ構成となっている。
【0057】
このように、ホースプロテクタ34は、各筒状袋体35によって油圧ホース32Bを1本ずつ独立して被覆することにより、各油圧ホース32B同士の摩擦を抑えて保護すると共に、各油圧ホース32Bのばらつきを抑制する構成となっている。
【0058】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、作業装置4を用いて側溝掘り作業を行なう場合の動作と、このときの油圧ホース32Bの動きについて説明する。
【0059】
まず、作業装置4を左側に移動させて側溝掘り作業を行なうときには、スイングシリンダ23によってスイングポスト13を右側に揺動させると共に、上部旋回体3を作業装置4の揺動方向とは反対側に旋回させることにより、作業装置4を左側に平行移動させ、該作業装置4を用いて側溝掘り作業を行なう。
【0060】
一方、作業装置4を右側に移動させて側溝掘り作業を行なうときには、スイングシリンダ23によってスイングポスト13を左側に揺動させると共に、上部旋回体3を作業装置4の揺動方向とは反対側に旋回させることにより、作業装置4を右側に平行移動させ、該作業装置4を用いて側溝掘り作業を行なう。
【0061】
ここで、スイングポスト13を左,右に揺動させたときには、各油圧ホース32Bは、図3ないし図5に示すように挙動する。この時、各油圧ホース32Bは、他部材に接触したり各油圧ホース32B同士が擦れて損傷するおそれがある。しかし、本実施の形態においては、各油圧ホース32Bは1本ずつ独立して筒状袋体35に覆われ、該筒状袋体35の隣り同士を互いに結合しているので、スイングポスト13が左,右方向に揺動した場合でも、隣り合う油圧ホース32Bの外表面同士が直接的に擦れることがない。この結果、各油圧ホース32Bが摩耗したり破損するのを抑えることができ、その耐久性を高めることができる。
【0062】
一方、各筒状袋体35は、隣り同士が結合されているので、これら各筒状袋体35によって被覆された複数本の油圧ホース32Bを一体的に束ねることができる。加えて、ホースプロテクタ34には各筒状袋体35同士を束ねた結合部34Aと各筒状袋体35同士を分離させた非結合部34Bとを有している。これにより、各油圧ホース32Bは、スイングポスト13周囲の狭隘なスペースに結合部34Aを設けて油圧ホース32Bを束ねることができる。加えて、複数本の油圧ホース32Bを一体的に束ねたことにより、束ねられた油圧ホース32B全体の剛性が増すので、各油圧ホース32Bの意図しない動きを抑え、各油圧ホースの動作を安定させることができる。また、非結合部34Bにおいては、各油圧ホース32Bが他の油圧ホース32Bに拘束されることがないので、各油圧ホース32Bは、独立して保護されつつスイングポスト13の揺動等に応じて自由に移動することができる。
【0063】
次に図13ないし図15は、ホースプロテクタの第1の変形例を示している。この第1の変形例によるホースプロテクタ41は、複数の筒状袋体42を長手方向の全長に亘って結合したものである。
【0064】
図13の状態は、ホースプロテクタ41の製造過程の第1段階を示すもので、1枚の方形状の布の両端を重ね合わせて長手方向に縫合したものである。この状態で、ホースプロテクタ41は、大径の略円筒状の袋体41′として形成されている。
【0065】
図14の状態は、製造過程の第2段階を示すもので、大径円筒状の袋体41′の一端側から油圧ホース32Bを収容できる筒状袋体42の直径Dに対応する位置を、長手方向の全長に亘って糸43で縫合する。この作業を順次繰り返すことにより、図15に示すように複数の筒状袋体42が長手方向の全長に亘って結合されたホースプロテクタ41を形成することができる。このホースプロテクタ41においては、1枚の布から各筒状袋体42を分割して形成しているので、別個に筒状袋体を製造してから各筒状袋体を結合するのに比べて製造過程を減らすことができ、効率よくホースプロテクタ41を製造することができる。
【0066】
次に図16および図17はホースプロテクタの第2の変形例を示している。この第2の変形例によるホースプロテクタ51は、複数の筒状袋体52を環状に結合して一体化させたものである。
【0067】
ここで、ホースプロテクタ51を構成する各筒状袋体52は、径方向の一端側を円弧部52Aとし他端側を先鋭部52Bとした雫状の断面形状を有し、該各筒状袋体52の内部には、油圧ホース32Bを収容できる構成となっている。そして、各筒状袋体52を先鋭部52Bを中心として環状に並べた状態で、これら各筒状袋体52の各先鋭部52Bを糸53により縫合し、各筒状袋体52の長さ方向の一端側を結合したものである。このホースプロテクタ51においては、各筒状袋体52の先鋭部52Bを中心として各筒状袋体52を隣接させ、当該先鋭部52Bを1本の糸53で縫合しているので、隣接した各筒状袋体52同士を一纏めに結合させることができ、効率よくホースプロテクタ51を製造することができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、制御弁装置31と作業装置4のアクチュエータとの間を8本の油圧管路32によって接続し、これら各油圧管路32を構成する8本の油圧ホース32Bをホースプロテクタ34によって覆う場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば6本、あるいは10本以上の油圧ホースをホースプロテクタで覆う構成としてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 作業装置
5 旋回フレーム
13 スイングポスト
20 ホースクランプ(スイングポスト側ホース固定具)
31 制御弁装置
32 油圧管路
32A 旋回体側管路
32B 油圧ホース
32C 作業装置側管路
33 旋回体側ホース固定具
34,41,51 ホースプロテクタ
34A 結合部
34B 非結合部
35,42,52 筒状袋体
36,37,43,53 糸
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械に関し、特に油圧ホースを保護するホースプロテクタを備える建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例である油圧ショベルは、下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成されている。
【0003】
また、例えば側溝等の掘削作業に好適に用いられる油圧ショベルとして、作業装置が上部旋回体に対して左,右方向に揺動可能となったスイング式の油圧ショベルがある。このスイング式の油圧ショベルは、上部旋回体を構成する旋回フレームに、スイングシリンダによって左,右方向に揺動されるスイングポストが設けられ、該スイングポストに作業装置が俯仰動可能に取り付けられる構成となっている。また、上部旋回体側に配設された制御弁装置と作業装置に設けられたアクチュエータとの間を接続する油圧管路は、上部旋回体からスイングポストを経由して作業装置へと延び、少なくともスイングポストを経由する部位は複数本の油圧ホースによって構成されている。
【0004】
このようなスイング式の油圧ショベルでは、スイングポストが左,右に揺動すると共に各油圧ホースも揺動するため、油圧ホースが他部材と接触して損傷する場合があり、これを防止するために複数本の油圧ホース束ねてホースプロテクタ(被覆体)に収容する構成としている。(例えば、特許文献1)。
【0005】
また、他の従来技術では、締付けバンドにて複数本の油圧ホースを束ねることも提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭63−14661号公報
【特許文献2】実開平7−35557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した特許文献1による油圧ホースのホースプロテクタは、該ホースプロテクタ内に複数本の油圧ホースを束ねて収容しているので、スイングポストの揺動に伴い油圧ホース同士が擦れて油圧ホースの外表面が摩耗してしまうという問題がある。
【0008】
そこで、油圧ホースを1本ずつホースプロテクタにより保護し、締付けバンドにて油圧ホースを保護する方法が考えられる。しかし、この場合には、スイングポストの揺動に伴って徐々に締付けバンドがずれることにより締付けバンドの固定位置が変化してしまい、油圧ホースが意図しない動きをするという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、スイングポスト周囲に配置された複数本の油圧ホースを一纏めに束ねると共に、各油圧ホースを保護することができる建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による建設機械は、下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に俯仰動可能に設けられ複数のアクチュエータによって駆動される作業装置とからなり、前記上部旋回体は、旋回フレームと、該旋回フレームの前端側に設けられ前記作業装置を左,右方向に揺動可能に支持するスイングポストと、前記上部旋回体に設けられ前記各アクチュエータに対する圧油の給排を制御する制御弁装置と、該制御弁装置と前記各アクチュエータとの間を前記スイングポストを経由して接続する複数本の油圧管路とを備え、前記各油圧管路は、少なくとも前記スイングポストを経由する部位を可撓性を有する油圧ホースを用いて形成し、該各油圧ホースの外周側には、該油圧ホースを覆って保護するホースプロテクタを設けている。
【0011】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記ホースプロテクタは、前記各油圧ホースを1本ずつ独立して覆う複数本の筒状袋体を有し、該各筒状袋体の隣り同士を互いに結合することにより一体的に形成したことにある。
【0012】
請求項2の発明は、前記ホースプロテクタは、少なくとも前記各筒状袋体を長手方向の一部分で結合し、当該筒状袋体を一体的に束ねる結合部と、前記各筒状袋体同士を分離させた非結合部とにより構成したことにある。
【0013】
請求項3の発明は、前記各筒状袋体は樹脂製の布により形成し、隣り合う筒状袋体同士は縫合により結合する構成としたことにある。
【0014】
請求項4の発明は、前記上部旋回体には、前記スイングポストへと延びる前記各油圧ホースの途中部位を固定する旋回体側ホース固定具を設け、前記スイングポストには、前記作業装置へと延びる前記各油圧ホースを固定するスイングポスト側ホース固定具を設け、
前記ホースプロテクタは、前記旋回体側ホース固定具と前記スイングポスト側ホース固定具との間で前記各油圧ホースの外周側を覆う構成としたことにある。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、各油圧ホースは、1本ずつ独立して筒状袋体に覆われ、該筒状袋体の隣り同士を互いに結合しているので、スイングポストが左,右方向に揺動した場合でも、隣り合う油圧ホースの外表面同士が直接的に擦れることがない。この結果、各油圧ホースが摩耗したり破損するのを抑えることができ、その耐久性を高めることができる。一方、各筒状袋体は、隣り同士が結合されているので、これら各筒状袋体によって被覆された複数本の油圧ホースを一体的に束ねることができ、油圧ホース全体の剛性を高めることができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、ホースプロテクタの長手方向において筒状袋体同士を一体的に束ねた結合部と分離させた非結合部とを設けているので、スイングポスト周囲の狭隘なスペースに結合部を設けて油圧ホースを束ねることができる。加えて、複数本の油圧ホースを一体的に束ねたことにより束ねられた油圧ホース全体の剛性が増すので、各油圧ホースの意図しない動きを抑え、各油圧ホースの動作を安定させることができる。また、非結合部においては、各油圧ホースが他の油圧ホースに拘束されることがないので、各油圧ホースは、独立して保護されつつスイングポストの揺動等に応じて自由に移動することができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、筒状袋体は樹脂製の布で形成したので、油圧ホースが屈曲して筒状袋体に密着したとしても、油圧ホースの外表面と筒状袋体との間で大きな摩擦が生じることがなく、油圧ホースを円滑に屈曲させることができる。一方、筒状袋体同士を縫合により結合しているので、安価かつ容易にホースプロテクタを製造することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、旋回側ホース固定具とスイングポスト側ホース固定具との間で、各油圧ホースをホースプロテクタによって覆っているので、スイングポストの左,右方向への揺動に伴う油圧ホースの挙動に対しての保護を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】上部旋回体を外装カバー、運転席等を取り外した状態で示す平面図である。
【図3】図2中のスイングポスト、ホースプロテクタ、油圧ホース等をスイングポストが正面に位置した状態で示す要部拡大の平面図である。
【図4】図2中のスイングポスト、ホースプロテクタ、油圧ホース等をスイングポストが右側に揺動した状態で示す要部拡大の平面図である。
【図5】図2中のスイングポスト、ホースプロテクタ、油圧ホース等をスイングポストが左側に揺動した状態で示す要部拡大の平面図である。
【図6】スイングポストを単体で示す斜視図である。
【図7】油圧ホースにホースプロテクタを装着した状態を示す要部拡大の斜視図である。
【図8】ホースプロテクタの各筒状袋体、油圧ホースを図7中の矢視VIII−VIII方向からみた断面図である。
【図9】ホースプロテクタの各筒状袋体、油圧ホースを図7中の矢視IX−IX方向からみた断面図である。
【図10】ホースプロテクタの各筒状袋体、油圧ホースを図7中の矢視X−X方向からみた断面図である。
【図11】本発明の実施の形態によるホースプロテクタを示す斜視図である。
【図12】ホースプロテクタを構成する各筒状袋体の結合状態を示す図11中の矢視XII−XII方向からみた断面図である。
【図13】第1の変形例におけるホースプロテクタの製造過程の第1段階を示す斜視図である。
【図14】第1の変形例におけるホースプロテクタの製造過程の第2段階を示す斜視図である。
【図15】第1の変形例におけるホースプロテクタを示す斜視図である。
【図16】第2の変形例におけるホースプロテクタを示す斜視図である。
【図17】第2の変形例におけるホースプロテクタを構成する各筒状袋体の結合状態を示す図16中の矢視XVII-XVII方向からみた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図17を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
図中、1は本実施の形態が適用される小型の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能な装軌式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に設けられた掘削作業等を行う作業装置4とにより大略構成されている。
【0022】
ここで、作業装置4は、後述のスイングポスト13に俯仰動可能に取付けられたブーム4Aと、該ブーム4Aの先端部に俯仰動可能に取付けられたアーム4Bと、該アーム4Bの先端部に回動可能に取付けられたバケット4Cとによって大略構成されている。また、スイングポスト13とブーム4Aとの間にはブームシリンダ4Dが設けられ、ブーム4Aとアーム4Bとの間にはアームシリンダ4Eが設けられ、アーム4Bとバケット4Cとの間にはバケットシリンダ4Fが設けられている。また、ブーム4Aの背面には後述する作業装置側管路32Cが固定して設けられている。
【0023】
5は上部旋回体3のベースを構成する旋回フレームで、該旋回フレーム5は、図2に示す如く上方からみて略円形状をなし、後述のセンタフレーム6と、左,右のサイドフレーム11,12とにより大略構成されている。
【0024】
6は左,右方向の中央部に位置して前,後方向に延びるセンタフレームで、該センタフレーム6は、後述の底板7、左縦板8、右縦板9、上板10等によって構成されている。
【0025】
7はセンタフレーム6の底板で、該底板7は厚肉な鋼板等により前,後方向に延びる平板状に形成されている。そして、底板7の前端側は三角形状をなし、該底板7の前端側には後述の連結ピン22が挿嵌されるボス部(図示せず)が設けられている。
【0026】
8は底板7の左端側に立設された左縦板、9は左縦板8と対面して底板7の右端側に立設された右縦板を示している。これら左縦板8と右縦板9は、左,右方向で対面しつつ、底板7上を前,後方向に延びている。また、左縦板8と右縦板9とは、互いの間隔が後方から前方に向けて徐々に小さくなるように、上方からみてハ字状に配置されている。
【0027】
10は底板7と上,下方向で対面するように左,右の縦板8,9の前部側に設けられた上板で、該上板10は、ほぼ三角形の平板状に形成され、左,右の縦板8,9の上端側に溶接等によって固着されている。そして、上板10の前端側には、連結ピン22が挿嵌される段付き円筒状のボス部(図示せず)が設けられている。
【0028】
ここで、上述の底板7、左縦板8、右縦板9、上板10は、旋回フレーム5の強度を高める強度部材を構成している。これにより、旋回フレーム5によって作業装置4を確実に支持することができる構成となっている。
【0029】
11はセンタフレーム6の左側に配設された左サイドフレームで、該左サイドフレーム11は、例えば長方形の断面形状を有する角筒体を円弧状に折曲げることにより形成されている。そして、左サイドフレーム11は、その先端部が底板7の上面と左縦板8の外側面とに接合され、前,後方向の中間部が左縦板8から左側方に張出した張出ビーム(図示せず)に接合され、後端部は後述するカウンタウエイト25の近傍まで延びている。
【0030】
12はセンタフレーム6の右側に配設された右サイドフレームで、該右サイドフレーム12は、例えば長方形の断面形状を有する角筒体を円弧状に折曲げることにより形成されている。そして、右サイドフレーム12は、その先端部が底板7の上面と右縦板9の外側面とに接合され、前,後方向の中間部が右縦板9から右側方に張出した張出ビーム(図示せず)に接合され、後端部は後述するカウンタウエイト25の近傍まで延びている。
【0031】
13は後述の連結ピン22を用いて旋回フレーム5の前端側に揺動可能に設けられたスイングポストで、該スイングポスト13は、例えば鋳造等により一体形成され、作業装置4を左,右方向に揺動可能に支持するものである。そして、スイングポスト13は、底板7と上板10の前端部を上,下方向から挟むようにコ字状に屈曲して形成され上,下方向に延びた後面板14と、該後面板14の左,右両側に互いに対向した状態で前方に突出して設けられた左側面板15,右側面板16と、右側面板16から右側方に突出して設けられたシリンダブラケット17とによって大略構成されている。
【0032】
ここで、後面板14の上,下方向の両端側には後方に向けて水平に延びる上面部14A,底面部14Bが設けられ、これら上面部14A,底面部14Bには、底板7のボス部(図示せず)及び上板10のボス部(図示せず)と同軸となるように、連結ピン22が挿嵌されるピン挿嵌穴14A1,14B1が形成されている。
【0033】
また、左側面板15の上端側には、作業装置4を構成するブーム4Aの基端側がピン結合されるブーム用ボス15Aが外向きに突設され、左側面板15の下端側には、作業装置4を構成するブームシリンダ4Dの基端側がピン結合されるブームシリンダ用ボス15Bが内向きに突設され、左側面板15の内側面には、後述のホースクランプ20を取り付けるためのねじ座15Cが固着されている。
【0034】
一方、右側面板16には、左側面板15と同様に、ブーム用ボス16Aが外向きに突設され、ブームシリンダ用ボス16Bが内向きに突設され、右側面板16の内側面には、上述のねじ座15Cと対応する位置にねじ座16Cが固着されている。
【0035】
18はスイングポスト13に設けられたホース収容空間で、該ホース収容空間18は、後面板14と左,右の側板15,16とによって囲まれた空間により構成されている。そして、ホース収容空間18は、後述の油圧ホース32Bを収容するもので、図3ないし図5に示すように、スイングポスト13が左,右方向に揺動して油圧ホース32Bが弛んだときに、この油圧ホース32Bの弛みを許すだけのスペースをもって形成されている。
【0036】
19は左側面板15と後面板14とが交わる角隅部に形成されたホース挿通孔で、該ホース挿通孔19は、後述の上部旋回体3に設けられた旋回体側ホース固定具33から延びる油圧ホース32Bをホース収容空間18内に挿通するためのものである。これにより、スイングポスト13の揺動時に、各油圧ホース32Bが、スイングポスト13の左側面板15と後面板14とが交わる角隅部に接触するのを抑えることができる構成となっている。
【0037】
20はスイングポスト13のホース収容空間18内に設けられたスイングポスト側ホース固定具としてのホースクランプで、該ホースクランプ20は、例えば半円弧状をなす複数の溝が形成された2個のクランプ分割体20A,20Bにより構成されている。そして、ホースクランプ20は、各油圧ホース32Bをクランプ分割体20A,20Bによって挟み込むことにより、これら各油圧ホース32Bを結束した状態で、スイングポスト13の各側面板15,16に固着したねじ座15C,16Cにボルトを用いて固定されるものである。
【0038】
21はスイングポスト13のホース収容空間18内に設けられたホース保護カバーで、該ホース保護カバー21は、例えば薄肉な鋼板等を折曲げることにより形成され、スイングポスト13の後面板14と対面しつつ上,下方向に延びている。
【0039】
そして、ホース保護カバー21は、スイングポスト13の後面板14等にボルトを用いて取り付けられることにより、ホース収容空間18内に収容された油圧ホース32Bを覆い、掘削作業時にスイングポスト13のホース収容空間18内に飛込んでくる土砂等から、油圧ホース32Bを保護するものである。
【0040】
22は旋回フレーム5とスイングポスト13との間を揺動可能に連結する連結ピンで、該連結ピン22は上,下方向に延びる1本のピンにより構成され、スイングポスト13を構成する後面板14の各ピン挿通孔14A1,14B1と、旋回フレーム5を構成する底板7のボス部と、上板10のボス部(図示せず)とに挿嵌されている。これにより、スイングポスト13は、連結ピン22を支点として左,右方向に揺動可能となっている。
【0041】
23は旋回フレーム5とスイングポスト13との間に設けられたスイングシリンダで、該スイングシリンダ23は、右縦板9の外側面に沿って前,後方向に延び、ボトム側が右縦板9等にピン結合され、ロッド側がスイングポスト13のシリンダブラケット17にピン結合されている。従って、スイングシリンダ23を伸縮させることにより、スイングポスト13は、作業装置4と共に連結ピン22を中心として左,右方向に揺動する構成となっている。
【0042】
24はセンタフレーム6を構成する左,右の縦板8,9間に位置して底板7の中央部に配設された旋回モータで、該旋回モータ24は、後述の油圧ポンプ27から給排される圧油によって駆動され、下部走行体2上で旋回フレーム5を旋回させるものである。
【0043】
25は旋回フレーム5の後端部に取付けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト25は、左サイドフレーム11と右サイドフレーム12とに滑らかに連続する円弧状に形成され、作業装置4との重量バランスをとるものである。
【0044】
26はカウンタウエイト25の前側に位置して旋回フレーム5上に搭載されたエンジンで、該エンジン26は、左,右方向に延在する横置き状態に配設されている。そして、エンジン26の左側には、該エンジン26によって駆動される油圧ポンプ27が配設され、エンジン26の右側には、該エンジン26の冷却水を冷却するラジエータ28等が配設されている。
【0045】
29はラジエータ28の前側に位置して旋回フレーム5上に搭載された作動油タンクで、該作動油タンク29は、旋回フレーム5を構成する右縦板9の右側(外側)に配置され、作業装置4の各シリンダ4D,4E,4F、スイングシリンダ23、旋回モータ24、走行モータ(図示せず)等のアクチュエータに給排される作動油を貯留するものである。
【0046】
30は作動油タンク29の前側に位置して旋回フレーム5上に搭載された燃料タンクで、該燃料タンク30は、旋回フレーム5を構成する右縦板9の右側(外側)に配置され、エンジン26に供給される燃料を貯留するものである。
【0047】
31は旋回フレーム5の前部左側に配設された制御弁装置で、該制御弁装置31は、左縦板8の左側面(外側面)に沿って前,後方向に並設された複数個の方向制御弁の集合体として構成されている。
【0048】
ここで、制御弁装置31の流入口は、油圧ポンプ27の吐出口に油圧ホース等(いずれも図示せず)を介して接続され、制御弁装置31を構成する各方向制御弁の吐出口には、後述する油圧管路32の基端側が接続されている。そして、制御弁装置31は、作業装置4の各シリンダ4D,4E,4F、スイングシリンダ23、旋回モータ24、走行モータ(図示せず)等のアクチュエータに対する圧油の供給と排出を切換え、これらの動作を制御するものである。
【0049】
32は制御弁装置31からスイングポスト13を経由して作業装置4の各シリンダ4D,4E,4Fに向けて延びる複数本の油圧管路を示している。この油圧管路32は、ブームシリンダ4Dに対して圧油を給排する2本の油圧管路と、アームシリンダ4Eに対して圧油を給排する2本の油圧管路と、バケットシリンダ4Fに対して圧油を給排する2本の油圧管路の他に、例えば削岩機等の付属の油圧機器(図示せず)に対して圧油を給排する2本の油圧管路を加えた合計8本の油圧管路によって構成されている。
【0050】
ここで、各油圧管路32は、鋼管等を用いて形成され、基端側が制御弁装置31に接続されると共に先端側が後述する旋回体側ホース固定具33に接続された旋回体側管路32Aと、基端側が旋回体側ホース固定具33を介して旋回体側管路32Aの先端側に接続されると共に先端側がスイングポスト13のホース収容空間18を経由してブーム4Aの背面側に導出された可撓性を有する油圧ホース32Bと、鋼管等を用いて形成され、基端側が油圧ホース32Bの先端側に接続されると共に先端側が作業装置4の各シリンダ4D,4E,4Fに接続される作業装置側管路32C(図1参照)とにより構成されている。
【0051】
33は制御弁装置31の前側に位置して旋回フレーム5の前端側に設けられた旋回体側ホース固定具で、該旋回体側ホース固定具33は、略L型に折曲げられた鋼板等からなり、例えば左縦板8の外側面に溶接等によって固着されている。そして、旋回体側ホース固定具33には、例えば軸方向の両端側が雄ねじ部となった8個の管継手が固着して設けられ、管継手の一端側に旋回体側管路32Aの先端側を螺着し、他端側に油圧ホース32Bの基端側を螺着することにより、これら旋回体側管路32Aと油圧ホース32Bとの間が接続される構成となっている。
【0052】
次に各油圧ホース32Bを保護するために本実施の形態で用いられるホースプロテクタについて、図7ないし図12を参照しつつ説明する。
【0053】
34は油圧管路32を構成する各油圧ホース32Bを外周側から覆って保護するホースプロテクタを示している。このホースプロテクタ34は、樹脂製の布により形成され、旋回体側ホース固定具33とホースクランプ20との間に配置された各油圧ホース32Bの外周側を覆うことにより、各油圧ホース32Bがスイングポスト13等と接触したり、互いに擦れることにより、各油圧ホース32Bの外周面が損傷することを防止するものである。
【0054】
まず、ホースプロテクタ34は、8本の筒状袋体35を部分的に結合した一体物として構成され、該各筒状袋体35は、その内部に1本の油圧ホース32Bを収容できる空間を設けた略円筒状として形成されている。
【0055】
この場合、図11および図12に示すように各筒状袋体35は、1枚の方形状の布の両端を重ね合わせて糸36で縫合することにより、内部に油圧ホース32Bを1本収容することができる筒状に形成されている。そして、8本の筒状袋体35の長さ方向の一端側を2列×4列に配列した状態で、各筒状袋体35同士が接する部位を糸37で縫合して結合する。一方、8本の筒状袋体35の長さ方向の他端側は、互いに結合することなく自由端として分離させる。
【0056】
これにより、ホースプロテクタ34の長さ方向の一端側は、隣り合う筒状袋体35同士が結合された結合部34Aとなり、ホースプロテクタ34の長さ方向の他端側は、各筒状袋体35が互いに独立して変位できるように分離された非結合部34Bとなっている。そして、図8に示すように、ホースプロテクタ34の結合部34Aにおける各筒状袋体35の配列は、旋回体側ホース固定具33で接続される旋回体側管路32Aと油圧ホース32Bとの配列に合致しており、油圧ホース32Bの基端側を被覆する各筒状袋体35は、結合部34Aとして結束されている。一方、油圧ホース32Bの先端側を被覆する各筒状袋体35は、非結合部34Bとして互いに分離され、図10に示すように、ホースクランプ20にクランプされる各油圧ホース32Bの配列に対応して横一列に並ぶ構成となっている。
【0057】
このように、ホースプロテクタ34は、各筒状袋体35によって油圧ホース32Bを1本ずつ独立して被覆することにより、各油圧ホース32B同士の摩擦を抑えて保護すると共に、各油圧ホース32Bのばらつきを抑制する構成となっている。
【0058】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、作業装置4を用いて側溝掘り作業を行なう場合の動作と、このときの油圧ホース32Bの動きについて説明する。
【0059】
まず、作業装置4を左側に移動させて側溝掘り作業を行なうときには、スイングシリンダ23によってスイングポスト13を右側に揺動させると共に、上部旋回体3を作業装置4の揺動方向とは反対側に旋回させることにより、作業装置4を左側に平行移動させ、該作業装置4を用いて側溝掘り作業を行なう。
【0060】
一方、作業装置4を右側に移動させて側溝掘り作業を行なうときには、スイングシリンダ23によってスイングポスト13を左側に揺動させると共に、上部旋回体3を作業装置4の揺動方向とは反対側に旋回させることにより、作業装置4を右側に平行移動させ、該作業装置4を用いて側溝掘り作業を行なう。
【0061】
ここで、スイングポスト13を左,右に揺動させたときには、各油圧ホース32Bは、図3ないし図5に示すように挙動する。この時、各油圧ホース32Bは、他部材に接触したり各油圧ホース32B同士が擦れて損傷するおそれがある。しかし、本実施の形態においては、各油圧ホース32Bは1本ずつ独立して筒状袋体35に覆われ、該筒状袋体35の隣り同士を互いに結合しているので、スイングポスト13が左,右方向に揺動した場合でも、隣り合う油圧ホース32Bの外表面同士が直接的に擦れることがない。この結果、各油圧ホース32Bが摩耗したり破損するのを抑えることができ、その耐久性を高めることができる。
【0062】
一方、各筒状袋体35は、隣り同士が結合されているので、これら各筒状袋体35によって被覆された複数本の油圧ホース32Bを一体的に束ねることができる。加えて、ホースプロテクタ34には各筒状袋体35同士を束ねた結合部34Aと各筒状袋体35同士を分離させた非結合部34Bとを有している。これにより、各油圧ホース32Bは、スイングポスト13周囲の狭隘なスペースに結合部34Aを設けて油圧ホース32Bを束ねることができる。加えて、複数本の油圧ホース32Bを一体的に束ねたことにより、束ねられた油圧ホース32B全体の剛性が増すので、各油圧ホース32Bの意図しない動きを抑え、各油圧ホースの動作を安定させることができる。また、非結合部34Bにおいては、各油圧ホース32Bが他の油圧ホース32Bに拘束されることがないので、各油圧ホース32Bは、独立して保護されつつスイングポスト13の揺動等に応じて自由に移動することができる。
【0063】
次に図13ないし図15は、ホースプロテクタの第1の変形例を示している。この第1の変形例によるホースプロテクタ41は、複数の筒状袋体42を長手方向の全長に亘って結合したものである。
【0064】
図13の状態は、ホースプロテクタ41の製造過程の第1段階を示すもので、1枚の方形状の布の両端を重ね合わせて長手方向に縫合したものである。この状態で、ホースプロテクタ41は、大径の略円筒状の袋体41′として形成されている。
【0065】
図14の状態は、製造過程の第2段階を示すもので、大径円筒状の袋体41′の一端側から油圧ホース32Bを収容できる筒状袋体42の直径Dに対応する位置を、長手方向の全長に亘って糸43で縫合する。この作業を順次繰り返すことにより、図15に示すように複数の筒状袋体42が長手方向の全長に亘って結合されたホースプロテクタ41を形成することができる。このホースプロテクタ41においては、1枚の布から各筒状袋体42を分割して形成しているので、別個に筒状袋体を製造してから各筒状袋体を結合するのに比べて製造過程を減らすことができ、効率よくホースプロテクタ41を製造することができる。
【0066】
次に図16および図17はホースプロテクタの第2の変形例を示している。この第2の変形例によるホースプロテクタ51は、複数の筒状袋体52を環状に結合して一体化させたものである。
【0067】
ここで、ホースプロテクタ51を構成する各筒状袋体52は、径方向の一端側を円弧部52Aとし他端側を先鋭部52Bとした雫状の断面形状を有し、該各筒状袋体52の内部には、油圧ホース32Bを収容できる構成となっている。そして、各筒状袋体52を先鋭部52Bを中心として環状に並べた状態で、これら各筒状袋体52の各先鋭部52Bを糸53により縫合し、各筒状袋体52の長さ方向の一端側を結合したものである。このホースプロテクタ51においては、各筒状袋体52の先鋭部52Bを中心として各筒状袋体52を隣接させ、当該先鋭部52Bを1本の糸53で縫合しているので、隣接した各筒状袋体52同士を一纏めに結合させることができ、効率よくホースプロテクタ51を製造することができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、制御弁装置31と作業装置4のアクチュエータとの間を8本の油圧管路32によって接続し、これら各油圧管路32を構成する8本の油圧ホース32Bをホースプロテクタ34によって覆う場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば6本、あるいは10本以上の油圧ホースをホースプロテクタで覆う構成としてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 作業装置
5 旋回フレーム
13 スイングポスト
20 ホースクランプ(スイングポスト側ホース固定具)
31 制御弁装置
32 油圧管路
32A 旋回体側管路
32B 油圧ホース
32C 作業装置側管路
33 旋回体側ホース固定具
34,41,51 ホースプロテクタ
34A 結合部
34B 非結合部
35,42,52 筒状袋体
36,37,43,53 糸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に俯仰動可能に設けられ複数のアクチュエータによって駆動される作業装置とからなり、
前記上部旋回体は、旋回フレームと、該旋回フレームの前端側に設けられ前記作業装置を左,右方向に揺動可能に支持するスイングポストと、前記上部旋回体に設けられ前記各アクチュエータに対する圧油の給排を制御する制御弁装置と、該制御弁装置と前記各アクチュエータとの間を前記スイングポストを経由して接続する複数本の油圧管路とを備え、 前記各油圧管路は、少なくとも前記スイングポストを経由する部位を可撓性を有する油圧ホースを用いて形成し、該各油圧ホースの外周側には、該油圧ホースを覆って保護するホースプロテクタを設ける構成としてなる建設機械において、
前記ホースプロテクタは、前記各油圧ホースを1本ずつ独立して覆う複数本の筒状袋体を有し、該各筒状袋体の隣り同士を互いに結合することにより一体的に形成したことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記ホースプロテクタは、少なくとも前記各筒状袋体を長手方向の一部分で結合し、当該筒状袋体を一体的に束ねる結合部と、前記各筒状袋体同士を分離させた非結合部とにより構成してなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記各筒状袋体は樹脂製の布により形成し、隣り合う筒状袋体同士は縫合により結合する構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記上部旋回体には、前記スイングポストへと延びる前記各油圧ホースの途中部位を固定する旋回体側ホース固定具を設け、
前記スイングポストには、前記作業装置へと延びる前記各油圧ホースを固定するスイングポスト側ホース固定具を設け、
前記ホースプロテクタは、前記旋回体側ホース固定具と前記スイングポスト側ホース固定具との間で前記各油圧ホースの外周側を覆う構成としてなる請求項1、2または3に記載の建設機械。
【請求項1】
下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に俯仰動可能に設けられ複数のアクチュエータによって駆動される作業装置とからなり、
前記上部旋回体は、旋回フレームと、該旋回フレームの前端側に設けられ前記作業装置を左,右方向に揺動可能に支持するスイングポストと、前記上部旋回体に設けられ前記各アクチュエータに対する圧油の給排を制御する制御弁装置と、該制御弁装置と前記各アクチュエータとの間を前記スイングポストを経由して接続する複数本の油圧管路とを備え、 前記各油圧管路は、少なくとも前記スイングポストを経由する部位を可撓性を有する油圧ホースを用いて形成し、該各油圧ホースの外周側には、該油圧ホースを覆って保護するホースプロテクタを設ける構成としてなる建設機械において、
前記ホースプロテクタは、前記各油圧ホースを1本ずつ独立して覆う複数本の筒状袋体を有し、該各筒状袋体の隣り同士を互いに結合することにより一体的に形成したことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記ホースプロテクタは、少なくとも前記各筒状袋体を長手方向の一部分で結合し、当該筒状袋体を一体的に束ねる結合部と、前記各筒状袋体同士を分離させた非結合部とにより構成してなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記各筒状袋体は樹脂製の布により形成し、隣り合う筒状袋体同士は縫合により結合する構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記上部旋回体には、前記スイングポストへと延びる前記各油圧ホースの途中部位を固定する旋回体側ホース固定具を設け、
前記スイングポストには、前記作業装置へと延びる前記各油圧ホースを固定するスイングポスト側ホース固定具を設け、
前記ホースプロテクタは、前記旋回体側ホース固定具と前記スイングポスト側ホース固定具との間で前記各油圧ホースの外周側を覆う構成としてなる請求項1、2または3に記載の建設機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−23944(P2013−23944A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160883(P2011−160883)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
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