説明

建設機械

【課題】エンジンルーム前方であってキャビンと左右反対側に機器スペースが設けられる機械において、この機器スペースに、燃料タンク、作動油タンク、コントロールバルブ、ペール缶等の置き台を、無理のない合理的な配置で設置する。
【解決手段】燃料タンク41、作動油タンク42、コントロールバルブ43のうち、相対的にコントロールバルブ43が最も前方に位置し、その後方に燃料、作動油両タンク41,42を、作動油タンク42を内側にしてアッパーフレーム幅方向に並置する。両タンク41,42は、コントロールバルブ43に対して相対的に燃料タンク41が接近、作動油タンク42が離間し、作動油タンク42の前方にリターン配管用の配管スペース48が確保される状態で設置するとともに、この配管スペース48のさらに前方に置き台51を設置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は上部旋回体のアッパーフレームにおける燃料タンク、作動油タンク、コントロールバルブ等のレイアウトを改良したショベル等の建設機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ショベルを例にとって背景技術を説明する。
【0003】
ショベルは、図5に示すように、クローラ式の下部走行体1上に上部旋回体2が旋回自在に搭載され、この上部旋回体2に作業アタッチメント3が装着されて構成される。
【0004】
作業アタッチメント3は、ブーム4、アーム5、バケット6と、これらを作動させる油圧アクチュエータとしての油圧シリンダ7,8,9とを備え、これら油圧シリンダ7〜9を含めた複数の油圧アクチュエータが、油圧ポンプからコントロールバルブ(いずれも図示省略)を介して供給される圧油(作動油)によって駆動される。
【0005】
上部旋回体2は、基台としてのアッパーフレーム10を備え、このアッパーフレーム10の前部左右片側(通常は図示のように左側。以下、この場合で説明する)にキャビン11、後端部にカウンタウェイト12がそれぞれ設置されるとともに、キャビン11よりも後方でカウンタウェイト12の前方にエンジンルーム13が形成され、このエンジンルーム13に動力源としてのエンジン14が設置される。
【0006】
なお、この明細書においては、キャビン11の位置を左側前部とし、これを基準に機械全体及び各部についての「前後」「左右」の方向性をいうものとする。
【0007】
また、図及び説明の簡略化のために本発明と直接関係のないアッパーフレーム各部の構成、機器配置、配管に関する細かな図示、説明を省略する。
【0008】
図6はアッパーフレーム10の構成と、このアッパーフレーム10に対する従来の機器レイアウトを模式的に示す。
【0009】
アッパーフレーム10の幅方向の中間部に、アッパーフレーム全体の補強部材と作業アタッチメント3の取付部材とを兼ねる左右一対の縦板15,16が前後方向のほぼ全長に亘って設けられるとともに、アッパーフレーム後部に、左右方向に延びる左、中央、右の各仕切板17,18,19が縦板15,16と直交して設けられる。
【0010】
この各仕切板17〜19、カウンタウェイト12及び図示しない側面、上面の各ガード部材によってエンジンルーム13が形成され、このエンジンルーム13内においてエンジン14の左右片側(図では左側の場合を例示する)に、エンジン14によって駆動される油圧ポンプ20が設けられる。
【0011】
また、エンジンルーム13よりも前方でかつキャビン11よりも右側に、図示しないガード部材で覆われる機器スペースS1が形成され、エンジン14の燃料を貯留する燃料タンク21と、作動油供給源としての作動油タンク22がこの機器スペースS1に前後に並設される。
【0012】
さらに、キャビン11の下方に、油圧アクチュエータの作動を制御するコントロールバルブ(多連弁)23が設置される(特許文献1参照)。
【0013】
なお、「機器スペースS1」は、機器を設置可能なスペースという意味で、エンジンルーム前方の空間のうちキャビン11よりも右側の空間全体を指すが、図6に示す公知技術では、そのうち右縦板16よりも右側の空間を実質的な機器スペースS1として使用している。
【0014】
また、機器スペースS1における作動油タンク22の後方には、エアクリーナ等の他の機器類が設置される。
【0015】
一方、アッパーフレーム前端部の右側、すなわち機器スペースS1の前方であって機械外側に置き台24が設けられ、グリース入りのペール缶や工具箱、資材、機器等、とくに出し入れ可能なもの(以下、「ペール缶等」という)がこの置き台24に設置される。
【0016】
図6中、25は油圧ポンプ20と作動油タンク22とを結ぶサクション配管である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2001−279712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記のように従来は、置き台24を機械外側に設けてペール缶等を置いているため、盗難や汚損のおそれがあった。
【0019】
このため、機械不使用時には、施錠可能な機械内(たとえばキャビン内)にペール缶等を移動させているが、これが余分な手間となり、移し忘れるおそれもあった。
【0020】
ところで、機器スペースS1は、通常、開閉式のパネルによって開閉及び施錠できるように構成されるため、ここに置き台24を移設できれば好都合である。
【0021】
一方、コントロールバルブ23についても、配索やメンテナンスの点で不利なキャビン下から機器スペースS1に移動させることが考えられる。
【0022】
この場合、置き台24及びコントロールバルブ23は、ともに機器スペースS1の最前部に配置するのが望ましい。
【0023】
何故なら、置き台24はペール缶等を容易に出し入れできるように外部からアクセスし易い場所にあることが望ましく、コントロールバルブ23は、機械前方にある作業アタッチメント用油圧アクチュエータに接続されるアクチュエータ配管をできるだけ短くするのが望ましいからである。
【0024】
ところが、図6に示すように燃料タンク21の後方に作動油タンク22を配置した従来の機器レイアウトのままコントロールバルブ23を機器スペースS1の最前部に設置した場合、コントロールバルブ23と作動油タンク22との間に燃料タンク21が位置するため、これが障害となってコントロールバルブ23と作動油タンク22を結ぶリターン配管(撓性のホース)の配索が困難となる。
【0025】
この点の回避策として、両タンク21,22の位置を前後入れ替えること、つまり作動油タンク22を燃料タンク21よりも前方に配置することが考えられる。
【0026】
しかし、このレイアウトとすると、第1に、サクション配管25が長くなってしまう。
【0027】
第2に、作動油タンク22とコントロールバルブ23(正確には両者のリターンポート)が近づき過ぎることから、リターン配管の曲げ部分が前方に大きく張り出してタンク前方のスペースを塞いでしまう。
【0028】
このため、機器スペースS1の前部に置き台24とコントロールバルブ23をともに設けることは実際上困難となっていた。
【0029】
そこで本発明は、エンジンルーム前方であってキャビンと左右反対側に機器スペースが設けられる機械において、この機器スペースに、燃料タンク、作動油タンク、コントロールバルブ、ペール缶等の置き台を、無理のない合理的な配置で設置することができる建設機械を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記課題を解決する手段として、本発明においては、下部走行体と、この下部走行体上に旋回自在に搭載された上部旋回体と、この上部旋回体の前部に装着された作業アタッチメントとから成り、上記上部旋回体を構成するアッパーフレームの前部左右片側にキャビンが設置される一方、後部にエンジンルームが設けられ、このエンジンルームにエンジンが左右方向に設置されるとともに、このエンジンの左右片側に油圧ポンプが設けられ、かつ、上記エンジンルームの前方であって上記キャビンと左右反対側に機器スペースが設けられる建設機械において、次の(A)(B)(C)の要件をすべて満足するものである。
【0031】
(A) 上記エンジンの燃料を貯留する燃料タンクと、上記油圧ポンプに対する作動油供給源である作動油タンクと、上記作業アタッチメントの油圧アクチュエータを含む複数の油圧アクチュエータの作動を制御するコントロールバルブのうち、上記コントロールバルブを相対的に最も前方に配置し、このコントロールバルブの後方に上記燃料タンクと作動油タンクを、上記作動油タンクを内側にして上記アッパーフレームの幅方向に並置したこと。
【0032】
(B) 上記燃料タンクと上記作動油タンクは、上記コントロールバルブに対して相対的に燃料タンクが接近、作動油タンクが離間し、上記作動油タンクの前方に、上記作動油タンクと上記コントロールバルブとを結ぶリターン配管用の配管スペースを形成すること。
【0033】
(C) 上記配管スペース及び上記リターン配管のさらに前方に置き台設置空間を形成し、この置き台設置空間に、ペール缶等が置かれる置き台を設置したこと。
【0034】
このように、燃料タンク、作動油タンク、コントロールバルブの三者を、相対的にコントロールバルブが最前方に位置し、その後方で作動油タンクを内側にして両タンクがアッパーフレーム幅方向に並ぶレイアウトで機器スペースに配置することを基本として、要件(B)のように作動油タンク前方にリターン配管用の配管スペースを形成する(作動油タンクとコントロールバルブとの間に適度の距離を置く)ことにより、リターン配管の前方への張り出しを抑えて、要件(C)のようにリターン配管の前方に置き台設置空間を確保することが可能となる。
【0035】
これにより、作動油タンクの前方に置き台を設置し、機器スペース内にペール缶等を置くことができる。
【0036】
また、このレイアウトによると、燃料タンク、作動油タンク、コントロールバルブの位置関係において作動油タンクを最も後方、つまりエンジンルーム寄りに設置することで油圧ポンプに近付けることができるため、同タンクと油圧ポンプとを結ぶサクション配管を短縮する点でも有利となる。
【0037】
本発明において、上記置き台を上記機器スペースの前端部に、上記作動油タンクを上記機器スペースにおけるアッパーフレーム幅方向の最も内側にそれぞれ設置するのが望ましい(請求項2,3)。
【0038】
このように、置き台を機器スペースの前端部に設置することにより、ペール缶のように外部から出し入れできることが必要なものの保管に最適となる。
【0039】
また、作動油タンクを機器スペースにおけるアッパーフレーム幅方向の最も内側に配置することで、油圧ポンプが機器スペースと左右反対側に設置されるレイアウトをとる機械において、サクション配管をできるだけ短くすることができる。
【0040】
この場合、上記コントロールバルブの前方に、上記作業アタッチメント用の油圧アクチュエータを含む複数の油圧アクチュエータと上記コントロールバルブとを結ぶアクチュエータ配管用の配管スペースを、上記置き台設置空間に対しアッパーフレーム幅方向に隣接して形成するとともに、上記置き台を、置き台下方に上記アクチュエータ配管用の配管スペースに通じる配索空間が形成される状態で設けるのが望ましい(請求項3)。
【0041】
このように、置き台によって置き台設置空間を上下に区画し、コントロールバルブ前方の配管スペースに通じる配索空間を置き台下方に形成することにより、コントロールバルブにつながる配管(ホース)の曲げスペースを確保し、エルボを用いないでホースのみで同配管を構成することができる。
【0042】
これにより、アクチュエータ配管の配管構成を簡略化し、配管コストを安くできるとともに、エルボの省略によって圧損を低減することができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によると、エンジンルーム前方であってキャビンと左右反対側に機器スペースが設けられる機械において、この機器スペースに、燃料タンク、作動油タンク、コントロールバルブ、ペール缶等の置き台を、無理のない合理的な配置で設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態における上部旋回体のアッパーフレームに対する機器配置を模式的に示す平面図である。
【図2】図1のII−II線拡大断面図である。
【図3】図1のIII−III線拡大断面図である。
【図4】実施形態に係る上部旋回体全体の概略斜視図である。
【図5】本発明の適用対象であるショベルの概略側面図である。
【図6】従来のアッパーフレームに対する機器配置を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の実施形態を図1〜図4によって説明する。
【0046】
実施形態は、背景技術の説明に合わせてショベルを適用対象としている。
【0047】
実施形態に係るショベルにおいて、機械の基本構成、すなわち、
(i) クローラ式の下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、この上部旋回体に作業アタッチメントが装着されて構成されてショベルが構成され、
(ii) 作業アタッチメントは、ブーム、アーム、バケットと、これらを作動させる油圧アクチュエータとしての油圧シリンダとを備え、これら油圧シリンダを含めた複数の油圧アクチュエータが、油圧ポンプからコントロールバルブを介して供給される圧油(作動油)によって駆動される
点は、図5,6に示す従来技術と同じである。
【0048】
また、実施形態において、次の点も図6に示す従来技術と同じである。
【0049】
(iii) 上部旋回体の基台としてのアッパーフレーム30の前部左右片側(以下、左側の場合で説明する)にキャビン31、後端部にカウンタウェイト32(いずれも図4のみに示す)がそれぞれ設置される点。
【0050】
(iv) キャビン31よりも後方でカウンタウェイト32の前方にエンジンルーム33が形成され、このエンジンルーム33に動力源としてのエンジン34が設置される点。
【0051】
(v) アッパーフレーム30の幅方向の中間部に、アッパーフレーム全体の補強部材と作業アタッチメント3の取付部材とを兼ねる左右一対の縦板35,36が前後方向のほぼ全長に亘って設けられるとともに、アッパーフレーム後部に、左右方向に延びる左、中央、右の各仕切板37,38,39が縦板35,36と直交して設けられ、この各仕切板37〜39、カウンタウェイト32及び図示しない側面、上面の各ガード部材によってエンジンルーム33が形成される点。
【0052】
(vi) このエンジンルーム33内において、エンジン34の左右片側(左側の場合で説明する)に、エンジン34によって駆動される油圧ポンプ40が設けられる点。
【0053】
(vii) エンジンルーム33の右側前方、すなわち右仕切板39の前方に機器スペースS2(図1のみに符号を付している)が形成され、この機器スペースS2に、エンジン34の燃料を貯留する燃料タンク41と作動油供給源としての作動油タンク42が設置される点。
【0054】
図1,2中、44は油圧ポンプ40と作動油タンク42とを結ぶサクション配管である。
【0055】
このショベルにおいては、油圧アクチュエータの作動を制御するコントロールバルブ(多連弁)43が機器スペースS2に設置されている。
【0056】
各図中、45は作動油タンク42とコントロールバルブ43とを結ぶリターン配管、46はコントロールバルブ43と作業アタッチメント用を含む複数の油圧アクチュエータとを結ぶアクチュエータ配管である。
【0057】
燃料タンク41、作動油タンク42、コントロールバルブ43の三者は、相対的にコントロールバルブ43が最も前方に位置し、このコントロールバルブ43の後方に燃料、作動油両タンク41,42が作動油タンク42を内側にしてかつ前後にずれた状態でアッパーフレーム幅方向に並置されている。
【0058】
詳述すると、コントロールバルブ43は、機器スペースS2の前部に、前方にアクチュエータ配管用の配管スペース47(図1,2に符号を付している。以下、第1配管スペースという)が形成される状態で設置されている。
【0059】
燃料タンク41は、このコントロールバルブ43の後方に、同バルブ43に接近して(少しの隙間が形成される状態、または隙間無しで接する状態で)設置されている。
【0060】
作動油タンク42は、前面が燃料タンク41の前面よりも後方に位置するように燃料タンク41に対し後方にずれた位置であって、キャビン31の右側面に近接する位置で右縦板36上に乗る状態で設けられている。
【0061】
作動油タンク42には、図1,2に示すように後部の底面であって右縦板36よりも左側にサクションポート42a、前端部の前面であって右縦板36よりも上方にリターンポート42bがそれぞれ設けられ、サクションポート42aと油圧ポンプ40の吸い込みポート40aの間にサクション配管44、リターンポート42bとコントロールバルブ43のタンクポート43aとの間にリターン配管45がそれぞれ接続されている。
【0062】
なお、サクションポート42aをタンク後端面に、リターンポート42bをタンク前部の底面にそれぞれ設けてもよい。
【0063】
上記作動油タンク42の燃料タンク41に対する後方への位置ずれによって同タンク前方にリターン配管用の配管スペース48(図1,2,4に符号を付している。以下、第2配管スペースという)が形成され、リターン配管45が、この第2配管スペース48を通って作動油タンク42とコントロールバルブ43の各前面間に跨る平面視L字形の屈折経路で配索されている。
【0064】
第2配管スペース48は、作動油タンク42とコントロールバルブ43との間の距離(正確には両者のポート42b,43a間の前後方向距離)を適度に保って、リターン配管(ホース)43を、前方への張り出しが最小限(0またはこれに近い僅かな量)となるほぼ直角に折り曲げることができる前後方向長さをもって形成されている。
【0065】
このように、作動油タンク前方に、リターン配管45の曲げ部分の前方への張り出し量を抑える第2配管スペース48を確保することにより、このリターン配管45の前方(機器スペースS2の左側最前部)に置き台設置空間49(図2のみに符号を付している)が、第1配管スペース47と左右に隣接して形成されている。
【0066】
この置き台設置空間49には、ペール缶等50が載置される置き台51が高さ方向の中間下部寄りの位置に設けられ、この置き台51の下方に、第1配管スペース47に通じる配索空間52(図2,3参照)が形成されている。
【0067】
このように、機器スペースS2の最前部に第1配管スペース47と配索空間52が正面から見てL字形に連続して形成され、アクチュエータ配管46がこの連続空間を通る経路で配索される。
【0068】
なお、図では、上記連続空間からアッパーフレーム前端のアタッチメント取付部53を通ってアタッチメントに向かう作業アタッチメント用油圧アクチュエータの配管のみを示している。
【0069】
また、機器スペースS2の前部(コントロールバルブ43、第1及び第2両配管スペース47,48、置き台設置空間49、置き台51、配索空間52)は、図示しないガード部材によって上面、側面、前面が覆われ、このうち少なくとも前面は開閉式または着脱式のガード部材によって開閉自在に構成される。
【0070】
なお、機器スペースS2における作動油タンク42の右側の上部に、エンジン34に対する吸気濾過用のエアクリーナ54(図1に二点鎖線で示す)が設置される。
【0071】
また、図示しないがこのエアクリーナ54の下方空間にバッテリが設置されるとともに、外気をエアクリーナ54に導入する吸気ボックスが、エアクリーナ上方に残された空間にエアクリーナ54と近接して設置される。
【0072】
このショベルによると、燃料タンク41、作動油タンク42、コントロールバルブ43の三者を、相対的にコントロールバルブ43が最前方に位置し、その後方で作動油タンク42を内側にして両タンク41,42がアッパーフレーム幅方向に並ぶレイアウトで機器スペースS2に配置し、これを基本として、作動油タンク42の前方にリターン配管用の配管スペース48を形成する(作動油タンク42とコントロールバルブ43との間に適度の距離を置く)ことにより、リターン配管45の曲げ部分の前方への張り出しを抑えて、リターン配管45の前方に置き台設置空間49を確保することが可能となる。
【0073】
これにより、作動油タンク42の前方に置き台51を設置し、機器スペースS2内にペール缶等50を置くことができる。
【0074】
また、このレイアウトによると、燃料タンク41、作動油タンク42、コントロールバルブ43の位置関係において作動油タンク42を相対的に最も後方、つまりエンジンルーム寄りに設置することで油圧ポンプ40に近付けることができるため、同タンク42と油圧ポンプ40とを結ぶサクション配管44を短縮する点でも有利となる。
【0075】
この場合、置き台51を、機器スペースS2におけるアッパーフレーム幅方向の最も内側かつ前端部に設置したから、ペール缶のように外部から出し入れできることが必要なものの保管に最適となる。
【0076】
また、作動油タンク42を機器スペースS2におけるアッパーフレーム幅方向の最も内側に配置したから、図示のように油圧ポンプ40が機器スペースS2と左右反対側に設置されるレイアウトをとる機械において、サクション配管44をできるだけ短くすることができる。
【0077】
このため、配管コストを大幅に安くできるとともに、ポンプ負圧性能を改善することができる。
【0078】
さらに、作動油タンク41を右縦板36上に設置し、この右縦板36よりも左側でタンク底面にサクションポート42aを設けているため、右縦板36に穴を明けてサクション配管44を通す必要がなく、穴加工を含めた配索作業が容易となる。
【0079】
また、置き台設置空間49に置き台51を、置き台下方にアクチュエータ配管用の第1配管スペース47に通じる配索空間52が形成される状態で設けたから、アクチュエータ配管46を曲げるために必要十分なスペースをこの配索空間52によって確保することができる。
【0080】
これにより、アクチュエータ配管46を、エルボを用いないでホースのみで構成することができるため、配管構成を簡略化し、配管コストを安くできるとともに、エルボの省略によって圧損を低減することができる。
【0081】
ところで、上記実施形態では、作動油タンク42を右縦板36上に設置したが、図6に示す従来技術と同様に、作動油タンク42を右縦板36よりも右側に配置する構成をとってもよい。
【0082】
また、本発明は、実施形態とは逆にキャビン31が右前部、機器スペースS2が左前部にそれぞれ配置されるとともに、油圧ポンプ40がエンジン34の右側に配置されるショベルにも適用することができる。
【0083】
また、ショベルに限らず、ショベルと同様の機械構成と機器配置をとる他の建設機械にも適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
30 アッパーフレーム
33 エンジンルーム
34 エンジン
40 油圧ポンプ
S2 機器スペース
41 燃料タンク
42 作動油タンク
43 コントロールバルブ
44 サクション配管
45 リターン配管
46 アクチュエータ配管
47 アクチュエータ配管用の配管スペース
48 リターン配管用の配管スペース
49 置き台設置空間
50 ペール缶等
51 置き台
52 配索空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、この下部走行体上に旋回自在に搭載された上部旋回体と、この上部旋回体の前部に装着された作業アタッチメントとから成り、上記上部旋回体を構成するアッパーフレームの前部左右片側にキャビンが設置される一方、後部にエンジンルームが設けられ、このエンジンルームにエンジンが左右方向に設置されるとともに、このエンジンの左右片側に油圧ポンプが設けられ、かつ、上記エンジンルームの前方であって上記キャビンと左右反対側に機器スペースが設けられる建設機械において、次の(A)(B)(C)の要件をすべて満足することを特徴とする建設機械。
(A) 上記エンジンの燃料を貯留する燃料タンクと、上記油圧ポンプに対する作動油供給源である作動油タンクと、上記作業アタッチメントの油圧アクチュエータを含む複数の油圧アクチュエータの作動を制御するコントロールバルブのうち、上記コントロールバルブを相対的に最も前方に配置し、このコントロールバルブの後方に上記燃料タンクと作動油タンクを、上記作動油タンクを内側にして上記アッパーフレームの幅方向に並置したこと。
(B) 上記燃料タンクと上記作動油タンクは、上記コントロールバルブに対して相対的に燃料タンクが接近、作動油タンクが離間し、上記作動油タンクの前方に、上記作動油タンクと上記コントロールバルブとを結ぶリターン配管用の配管スペースを形成すること。
(C) 上記配管スペース及び上記リターン配管のさらに前方に置き台設置空間を形成し、この置き台設置空間に、ペール缶等が置かれる置き台を設置したこと。
【請求項2】
上記置き台を上記機器スペースの前端部に、上記作動油タンクを上記機器スペースにおけるアッパーフレーム幅方向の最も内側にそれぞれ設置したことを特徴とする請求項1記載の建設機械。
【請求項3】
上記コントロールバルブの前方に、上記作業アタッチメント用の油圧アクチュエータを含む複数の油圧アクチュエータと上記コントロールバルブとを結ぶアクチュエータ配管用の配管スペースを、上記置き台設置空間に対しアッパーフレーム幅方向に隣接して形成するとともに、上記置き台を、置き台下方に上記アクチュエータ配管用の配管スペースに通じる配索空間が形成される状態で設けたことを特徴とする請求項2記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−64255(P2013−64255A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202976(P2011−202976)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】