説明

建設機械

【課題】 車体に搭載される機器類の配置、設計は変更することなく、燃料の給油に用いる長尺な吸込ホースを格納できるようにする。
【解決手段】 タンクカバー24を構成する上面部24Cの内面24C1には、ホース支持具28A,28B,28Cを設け、このホース支持具28A,28B,28Cに燃料の給油作業に用いる吸込ホース14を支持する。これにより、タンクカバー24を閉じた状態では、吸込ホース14を上面部24Cの内面24C1に沿わせつつ、この吸込ホース14を内面24C1と作動油タンク11、燃料タンク12との間に設けたホース格納空間27に格納することができる。従って、小型の油圧ショベル1でも既存のスペースを利用して吸込ホース14を格納することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に関し、特に、燃料タンクに燃料を補給するための燃料ポンプ、吸込ホースを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例である油圧ショベルは、下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより構成されている。また、上部旋回体は、支持構造体を形成する旋回フレームと、該旋回フレームの左前側に設けられオペレータが搭乗するキャブと、前記旋回フレームの後側に搭載されたエンジン、油圧ポンプと、前記旋回フレームの右前側に搭載された作動油タンク、燃料タンクとにより大略構成されている。
【0003】
ここで、油圧ショベルに燃料を補給する場合には、自動車が走行可能な場合においては給油車を使用し、その給油ホースを燃料タンクに接続して燃料を補給する。しかし、給油車が走行できるような作業現場は少なく、多くの場合、燃料が貯えられているドラム缶等の容器と可搬式の燃料ポンプを作業現場に持ち運び、容器にセットした燃料ポンプの給油ホースから燃料タンクに給油している。この場合、補給用の容器と一緒に燃料ポンプも運ばなくてはならず面倒である。
【0004】
そこで、油圧ショベルには、容器から燃料タンクに燃料を注入する燃料ポンプと、該燃料ポンプの吸込口に接続して設けられ前記容器内の燃料を前記燃料ポンプに向けて吸込む長尺な吸込ホースとを予め搭載したものがある。この従来技術の油圧ショベルとしては、旋回フレーム上に収納ケースを配置し、該収納ケース内に燃料ポンプと吸込ホースを収容したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方、他の従来技術の油圧ショベルには、燃料タンクに隣接して吸込ホースの格納室を設け、この格納室にトグロ状に巻回した吸込ホースを格納する構成としたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−266377号公報
【特許文献2】特開2009−196499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、油圧ショベルには、ミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルがあり、例えば小型の油圧ショベルは、狭い作業現場でも作業できるように、旋回動作する上部旋回体の後端部が下部走行体の車幅内に収まるように構成されている、所謂、後方小旋回型と呼ばれるものが知られている。従って、上部旋回体を構成する旋回フレーム上には、キャブ、エンジン、油圧ポンプ、熱交換器、作動油タンク、燃料タンク等の機器類が隙間なく配置されることになる。
【0008】
特許文献1による油圧ショベルは、収納ケースに燃料ポンプと吸込ホースを収める構成としているから、この給油用のユニットを配設するための専用の設置スペースを旋回フレーム上に確保する必要がある。しかし、上述した小型の油圧ショベルでは、旋回フレーム上に新たな設置スペースを確保するのは困難であり、給油用のユニットを設けることができない。
【0009】
特許文献2による油圧ショベルでは、吸込ホースをトグロ状に巻回して収容する構成としているから、トグロ状に重なった吸込ホースを収めるためのスペースが必要になってしまう。これにより、トグロ状に巻回した吸込ホースは、小型の油圧ショベルの上部旋回体には格納することができないという問題がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、車体に搭載される機器類の配置、設計は変更することなく、燃料の給油に用いる長尺な吸込ホースを格納できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による建設機械は、油圧ポンプを駆動するためのエンジンを搭載した自走可能な車体と、該車体に設けられ前記油圧ポンプに供給するための作動油を貯える作動油タンクと、該作動油タンクと隣接して前記車体に設けられ前記エンジンに供給するための燃料を貯える燃料タンクと、前記作動油タンクおよび/または該燃料タンクの近傍に設けられ補給用の燃料が貯えられている容器から前記燃料タンクに燃料を注入する燃料ポンプと、基端側が該燃料ポンプの吸込口に接続して設けられ先端側が吸込口となって前記容器内の燃料を前記燃料ポンプに向けて吸込む長尺な吸込ホースと、前記作動油タンクと燃料タンクの上側を開閉可能に覆って設けられたタンクカバーとにより構成している。
【0012】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記タンクカバーを閉じた状態で前記各タンクと前記タンクカバーの内面との間には、前記タンクカバーの内面に沿ってホース格納空間を設け、前記タンクカバーの内面には、前記吸込ホースを支持するホース支持具を設け、前記ホース支持具に前記吸込ホースを支持することにより、前記吸込ホースを前記タンクカバーの内面に沿わせつつ前記ホース格納空間に格納する構成としたことにある。
【0013】
請求項2の発明は、前記タンクカバーは、前記内面を凹陥させることで外向きに突出した凸湾曲面状に形成し、前記ホース格納空間は、前記タンクカバーの内面と前記各タンクとの間に形成された空間部としたことにある。
【0014】
請求項3の発明は、前記タンクカバーの内面には、前記吸込ホースに設けられた前記吸込口を収容するための吸込口収容ケースを設ける構成としたことにある。
【0015】
請求項4の発明は、前記車体は、左,右両側に履帯を有する下部走行体と、該下部走行体に旋回可能に設けられ旋回フレームの後側に前記エンジンが搭載されると共に左,右方向の一側の前側位置にキャブが設けられた上部旋回体とを備え、前記作動油タンクと燃料タンクは、前記キャブと反対側に位置して前記旋回フレームの前側に設け、前記タンクカバーは、その前端に回動支持部材が設けられ、前記タンクカバーは、該回動支持部材を介して前記旋回フレームの前部位置に回動可能に取付けられ、前,後方向に開閉する構成としたことにある。
【0016】
なお、前記タンクカバーは、樹脂材料を用いて形成し、前記タンクカバーの内面には、前記ホース支持具をねじ止めするためのねじ座を一体形成する構成としてもよい。また、前記タンクカバーは、金属材料を用いて形成し、前記タンクカバーの内面には、前記ホース支持具を溶接手段またはねじ部材を用いて取付ける構成としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、タンクカバーの内面には、吸込ホースを支持するホース支持具を設ける構成としている。従って、燃料の給油作業を行う場合には、タンクカバーを開き、ホース支持具に支持された吸込ホースを取出して伸ばし、その先端側の吸込口を車体の周囲に配置されたドラム缶等の容器に挿入し、この状態で燃料ポンプを駆動することにより、容器内の燃料を吸込ホースから吸込み、燃料タンクに注入することができる。
【0018】
一方、燃料の注入作業が終了したら、吸込ホースの吸込口を容器から引き抜き、該吸込ホースをタンクカバーの内面で円弧状に湾曲させつつ、ホース支持具に係合させる。これにより、吸込ホースは、タンクカバーの内面に沿わせて取付けることができる。この状態で、タンクカバーを閉じたときには、作動油タンク、燃料タンクと前記タンクカバーの内面との間に形成されるホース格納空間を利用し、このホース格納空間に吸込ホースを格納することができる。
【0019】
この結果、吸込ホースを格納しているホース格納空間は、作動油タンク、燃料タンクとタンクカバーの内面との間に設けられた既存のスペースであるから、新たに専用の設置スペースを設ける必要がない。また、周囲の機器類を設計変更する必要もない。これにより、新たに設置スペースを設けることが困難な小型の建設機械にも、燃料ポンプと吸込ホースを簡単に設けることができ、燃料の給油作業を容易に行うことができる。
【0020】
しかも、吸込ホースを取付けたタンクカバーは開くことができるから、該タンクカバーを開いた状態では、吸込ホースの周囲に、当該吸込ホースを取付けたり、取外したりするための十分な作業スペースを確保することができ、給油作業の作業性を向上することができる。
【0021】
さらに、タンクカバーの内面にホース支持具を設けているから、ホース支持具に吸込ホースを係合させることによりタンクカバーに取付けることができる。ホース支持具から吸込ホースを取外すこともできる。この場合、ホース支持具に吸込ホースを係合させているだけであるから、工具や結束具等を用いることなく、吸込ホースを容易に脱着することができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、タンクカバーは、内面を凹陥させることで外向きに突出した凸湾曲面状に形成しているから、立体的な構造によりタンクカバーの強度を高めることができる。タンクカバーの内面を凹陥形状としたことにより、このタンクカバーの内面と各タンクとの間に形成される空間部を利用してホース格納空間を形成することができる。
【0023】
請求項3の発明によれば、タンクカバーの内面には吸込口収容ケースを設けているから、吸込ホースを格納するときには、該吸込ホースの先端側に設けた吸込口を吸込口収容ケース内に収容することができる。これにより、吸込口をがたつかないように安定的に保持することができる。また、吸込口から燃料が垂れ落ちることがあっても、この燃料を吸込口収容ケース内に収容することができ、周囲を清浄に保つことができる。
【0024】
請求項4の発明によれば、作動油タンクと燃料タンクを覆うタンクカバーは、回動支持部材を支点として前側に開くことにより、作動油タンク、燃料タンク、燃料ポンプおよび吸込ホースを広く露出させることができ、給油作業時の作業性を向上することができる。また、設置スペースの少ない小型の旋回式建設機械にも給油用の燃料ポンプと吸込ホースを設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用される小型の油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】図1の油圧ショベルを拡大して示す平面図である。
【図3】タンクカバーを開いた状態の油圧ショベルを図2と同様位置から見た平面図である。
【図4】吸込ホースにより容器内の燃料を補給している油圧ショベルを、カウンタウエイトと外装カバーの一部を破断した状態で図2と同様位置から見た平面図である。
【図5】タンクカバーと吸込ホースを図2中の矢示V−V方向で破断した上部旋回体を示す要部拡大の正面図である。
【図6】図3中の上部旋回体の右側部分を拡大して示す平面図である。
【図7】タンクカバーを開いた状態を左前側から見た要部拡大の斜視図である。
【図8】タンクカバーを開いた状態を左後側から見た要部拡大の斜視図である。
【図9】開いたタンクカバーの内面に吸込ホースを取付けた状態を燃料ポンプ等と一緒に示す拡大斜視図である。
【図10】タンクカバーの内面から吸込ホースを取外した状態を図9と同様位置から見た拡大斜視図である。
【図11】タンクカバーに対する吸込ホースの取付状態を図9中の矢示XI−XI方向から見た拡大断面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態によるタンクカバーの内面に吸込ホースを取付けた状態を図9と同様位置から見た拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態に適用される建設機械の代表例として小型の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0027】
図1ないし図11は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、1は第1の実施の形態に適用される建設機械としてのキャブ仕様の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、左,右に履帯を有する自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に俯仰動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置4とにより大略構成されている。
【0028】
上部旋回体3は、旋回動作したときに周囲の障害物に衝突しないように、図2に示すように、上側からみてほぼ円形状に形成されている。上部旋回体3は、図3、図4に示すように、後述の旋回フレーム5、エンジン6、カウンタウエイト9、キャブ10、作動油タンク11、燃料タンク12、燃料ポンプ13、吸込ホース14、外装カバー16等により構成されている。
【0029】
5は上部旋回体3の支持構造体を構成する旋回フレームである。この旋回フレーム5は、図4、図7等に示す如く、左,右方向の中間部を前,後方向に延びた平板状の底板5Aと、該底板5Aの上面側に左,右方向に離間して略V字状に立設された左縦板5B,右縦板5Cとを備え、該各縦板5B,5Cの前端部には、作業装置4を支持する支持ブラケット5Dが設けられている。
【0030】
旋回フレーム5には、前記底板5Aの左側に位置する左サイドフレーム(図示せず)と、前記底板5Aの右側に位置する右サイドフレーム5Eとが設けられている。ここで、右サイドフレーム5Eは、前部に位置して左,右方向に延びた直線状の前フレーム部5E1と、該前フレーム部5E1の右端から後側に延びた円弧状の右フレーム部5E2とにより構成されている。
【0031】
6は旋回フレーム5の後側に搭載されたエンジン(図4参照)で、該エンジン6は、左,右方向に延在する横置き状態に配置されている。エンジン6の左側には、該エンジン6によって駆動されることにより後述の作動油タンク11から供給される作動油を圧油として吐出する油圧ポンプ7が設けられている。一方、エンジン6の右側には、ラジエータ、オイルクーラ等からなる熱交換器8が配設されている。
【0032】
9はエンジン6の後側に位置して旋回フレーム5の後端部に取付けられたカウンタウエイトである。このカウンタウエイト9は、作業装置4との重量バランスをとるもので、後向きに突出した凸湾曲状に形成されている。
【0033】
10は旋回フレーム5上の左,右方向の一側となる左側に設けられたキャブで、該キャブ10は、油圧ショベル1を操作するオペレータの居住空間を形成するものである。キャブ10内には、フロア部材上に運転席が設けられ、この運転席の周囲に走行用の操作装置、作業用の操作装置(いずれも図示せず)等が配設されている。
【0034】
11はキャブ10と左,右方向の反対側となる旋回フレーム5の右側に位置して設けられた作動油タンクである。この作動油タンク11は、内部に油圧ポンプ7に供給する作動油を貯えるものである。作動油タンク11は、油圧ポンプ7に向け効率よく作動油を供給できるように内部に圧力を作用させているため、例えば鋼板、樹脂材料等を用いて前,後方向および上,下方向に長尺な直方体状のボックス構造体として高強度に形成されている。
【0035】
即ち、作動油タンク11は、図6ないし図8に示す如く、前面板11A、後面板11B、左側面板11C、右側面板11D、上面板11E、下面板11Fによりほぼ直方体状の容器として形成されている。前面板11Aと上面板11Eとの間の角隅位置は、運転席に着座したオペレータからの右前方の視界を広げるための傾斜面11Gとなっている。この傾斜面11Gによって後述する外装カバー16のタンクカバー24を前下がりの凸湾曲面状に形成することができる。
【0036】
12は作動油タンク11の右側に隣接して旋回フレーム5上に搭載された燃料タンクである。この燃料タンク12は、内部にエンジン7に供給する燃料を貯えるものであり、例えば樹脂材料を用いた成型加工、鋼板を用いた溶接加工等により略直方体状の密閉容器として形成されている。また、燃料タンク12の前側は、上側に突出して突出部12Aとなり、該突出部12Aの上面側には、キャップ12Bが着脱可能に螺着されている。また、突出部12Aの前側には液面計12Cが設けられ、該液面計12Cは、給油時に満タンに近いことを知らせるもので、例えば透明なチューブ等により形成されている。
【0037】
ここで、作動油タンク11と燃料タンク12との配置関係について述べると、作動油タンク11と燃料タンク12とは隣接した状態で、上部旋回体3の車体幅方向(左,右方向)に並べて配設されている。この場合、作動油タンク11はキャブ10に近付けて設けられ、燃料タンク12は上部旋回体3の外周側に設けられている。
【0038】
13は燃料タンク12の近傍となる作動油タンク11の前側に配設された燃料ポンプ(図7、図9参照)を示している。この燃料ポンプ13は、作動油タンク11と燃料タンク12のいずれからみても近接した位置に配置されている。燃料ポンプ13は、図4に示すように、後述する補給用の容器31から燃料タンク12に燃料を注入するもので、例えばプランジャポンプ、ギヤポンプ、トロコイドポンプ、ベーンポンプ等により構成されている。また、燃料ポンプ13は、取付ブラケット13Aを介して旋回フレーム5に固定され、スイッチ13Bにより運転、停止することができる。そして、燃料ポンプ13の吸込口には後述の吸込ホース14が接続され、吐出口(いずれも図示せず)には吐出ホース15が接続されている。
【0039】
14は燃料ポンプ13に接続された吸込ホースで、該吸込ホース14は、容器31内の燃料を燃料ポンプ13に向けて吸込むものである。吸込ホース14は、長尺なゴム製、樹脂製等の可撓性のホースからなり、基端側が燃料ポンプ13の吸込口に接続されている。一方、吸込ホース14の先端部は、図10に示すように、燃料を吸込むための円筒状の吸込口14Aとなり、該吸込口14A内には、異物の吸込みを防止するストレーナと、吸込ホース14内に残留した燃料の流出(逆流)を防止するチェック弁(いずれも図示せず)が内蔵されている。
【0040】
吸込ホース14は、図4に示すように、油圧ショベル1の周囲に配置された燃料の容器31まで届くように、十分に長尺に形成されている。このように吸込ホース14は長尺に形成されているが、図8、図9に示す如く、後述するタンクカバー24を構成する上面部24Cの内面24C1に沿わせ、大きく湾曲させて配置することにより、後述のホース格納空間27を利用して格納することができる。
【0041】
15は燃料ポンプ13に接続された吐出ホースで、該吐出ホース15は、基端側が燃料ポンプ13の吐出口に接続されている。吐出ホース15は、上側に延びた先端側が燃料タンク12の突出部12A上に接続されている。
【0042】
16はキャブ10の右側から後側に亘って設けられた外装カバーで、該外装カバー16は、エンジン6、油圧ポンプ7、熱交換器8、作動油タンク11、燃料タンク12等の機器類を覆うものである。また、外装カバー16は、図1ないし図4に示すように、エンジン6、油圧ポンプ7、熱交換器8等の上側に設けられた平板状の上面カバー17と、油圧ポンプ7の左側を覆うように該上面カバー17の左部と旋回フレーム5との間に設けられたポンプカバー18と、熱交換器8の右側を覆うように前記上面カバー17の右部と旋回フレーム5との間に設けられた熱交換器カバー19と、前記エンジン6の後側を覆うようにカウンタウエイト7に設けられたエンジンカバー20と、図5、図6に示すように、前記作動油タンク11と燃料タンク12の前方のうち、下側部分を前側から覆うように右サイドフレーム5Eの前フレーム部5E1上に立設された前面カバー21と、該前面カバー21と熱交換器カバー19との間に位置して燃料タンク12の右側を覆うように設けられ、右サイドフレーム5Eの右フレーム部5E2に沿って円弧状に湾曲した側面カバー22と、後述のタンクカバー24とにより大略構成されている。
【0043】
次に、外装カバー16の右前側部分を構成し、作動油タンク11と燃料タンク12の上側を覆うタンクカバー24に関する構成について説明する。
【0044】
23はタンクカバー24を開閉可能に支持するために設けられた回動支持部材である。この回動支持部材23は、タンクカバー24の前端に設けられ、該タンクカバー24を旋回フレーム5の右前部位置に回動可能に取付けるヒンジ部材として形成されている。これにより、タンクカバー24は、回動支持部材23を支点として前,後方向に開閉することができる。回動支持部材23は、図9に示すように、旋回フレーム5側に取付けられるフレーム側ヒンジ23Aと、該フレーム側ヒンジ23Aの上部に左,右方向を軸線として回動可能に取付けられたカバー側ヒンジ23Bとにより構成されている。カバー側ヒンジ23Bには、タンクカバー24の前面部24Aがボルト26を用いて取付けられている。
【0045】
24はキャブ10の右側に位置して旋回フレーム5上に設けられたタンクカバーを示している。このタンクカバー24は、作動油タンク11と燃料タンク12の上側を覆うものである。タンクカバー24は、燃料の給油時以外のときに、給油用の吸込ホース14を取付けておくための支持部材も兼ねている。さらに、タンクカバー24は、例えば樹脂材料を用いた射出成形等の加工手段を用いて形成され、強度を高めるために複数の曲面が組合わされている。タンクカバー24は、外装カバー16の上面カバー17から前側に向け下向きに湾曲して延びて形成されている。
【0046】
タンクカバー24は、図5に示すように、該タンクカバー24を閉じた状態で、前面カバー21の上側に連続するように形成された前面部24Aと、図1に示すように、側面カバー22の上側に連続するように形成された右側面部24Bと、図2に示すように、前記前面部24Aの上部から右側面部24Bに沿って後側に延びた上面部24Cとにより大略構成されている。これらの前面部24A、右側面部24B、上面部24Cは、それぞれ外向きに突出する凸湾曲面状に形成されている。
【0047】
ここで、上面部24Cの内面24C1は、図5に示す如く、タンクカバー24を閉じた状態で、作動油タンク11、燃料タンク12から離れる方向に凹陥するように湾曲している。これにより、上面部24Cの内面24C1と各タンク11,12との間に形成される後述のホース格納空間27を上,下方向に大きく(厚く)することができる。
【0048】
上面部24Cの内面24C1には、図10等に示すように、1個または複数個、例えば3個のねじ座24D,24E,24Fが一体的に形成されている。各ねじ座24D,24E,24Fには、例えばタンクカバー24を射出成形するときにナット(図示せず)が埋め込まれており、後述のホース支持具28A,28B,28Cを取付けるためのボルト26を螺着することができる。ねじ座24Dは、前,後方向の中間部の左側寄り位置に設けられ、ねじ座24Eは、後部の左,右方向の中間位置に設けられ、ねじ座24Fは、前,後方向の中間部の右側寄り位置に設けられている。これにより、3個のねじ座24D,24E,24Fに取付けられるホース支持具28A,28B,28Cを略正三角形を形成するように配置することができる。
【0049】
タンクカバー24の内側には、前面部24Aと上面部24Cの前部との間に亘って補強板25が設けられている。この補強板25は、例えば略長方形状の金属板からなり、その下側がボルト26を用いてタンクカバー24の前面部24Aに、回動支持部材23のカバー側ヒンジ23Bと一緒に取付けられている。一方、補強板25の上側は、ボルト26を用いてタンクカバー24の上面部24Cに取付けられている。
【0050】
図5に示すように、タンクカバー24を閉じた状態では、該タンクカバー24は、前面部24Aによって作動油タンク11、燃料タンク12の前方のうち、上側部分を前側から覆い、右側面部24Bによって各タンク11,12の右側方のうち、上側部分を覆う。さらに、上面部24Cによって各タンク11,12を上側から覆うようになっている。この状態では、前面部24A、上面部24Cが作動油タンク11、燃料タンク12と離間しているから、前面部24A、上面部24Cと作動油タンク11、燃料タンク12との間の空間部を利用して後述のホース格納空間27が形成されている。
【0051】
一方、図8に示すように、タンクカバー24を開いた状態では、該タンクカバー24は、その内側部分を大きく露出させることができるから、タンクカバー24に支持された吸込ホース14を容易に取外すことができ、また取付けることができる。
【0052】
27はタンクカバー24を閉じた状態で作動油タンク11、燃料タンク12とタンクカバー24を構成する上面部24Cの内面24C1との間に設けられたホース格納空間(図5参照)である。このホース格納空間27は、上面部24Cの内面24C1の凹円弧形状に沿って形成されている。
【0053】
ここで、ホース格納空間27は、タンクカバー24を閉じたときに、該タンクカバー24が作動油タンク11、燃料タンク12に衝突しないように、該各タンク11,12とタンクカバー24との間に設けられた既存の空間部である。ホース格納空間27は、走行時や作業時にタンクカバー24が各タンク11,12に衝突して破損しないように、空間の上,下方向、前,後方向等に十分な寸法をもって形成されている。しかも、ホース格納空間27は、タンクカバー24を凸湾曲面状に形成したことにより、内側の凹湾曲形状を利用し、空間の上,下方向に拡大することができる。このように、ホース格納空間27は、吸込ホース14を格納するのに十分な大きさの空間部とすることができるから、吸込ホース14を格納するために、専用の設置スペースを設ける必要がなく、周囲の機器類を設計変更する必要もない。
【0054】
28A,28B,28Cはタンクカバー24の上面部24Cの内面24C1に設けられた3個のホース支持具(図10参照)を示している。これらのホース支持具28A,28B,28Cは、図9に示すように、上面部24Cの内面24C1に吸込ホース14を支持するもので、短冊状の板体の先端側を折曲げることによりJ字状に形成されている。ホース支持具28Aは、内面24C1の前,後方向の中間部の左側寄り位置に設けられたねじ座24Dにボルト29を介して取付けられている。ホース支持具28Bは、内面24C1の後部の左,右方向の中間位置に設けられたねじ座24Eにボルト29を介して取付けられている。ホース支持具28Cは、内面24C1の前,後方向の中間部の右側寄り位置に設けられたねじ座24Fにボルト29を介して取付けられている。
【0055】
さらに、ホース支持具28Aとホース支持具28Cは、左,右方向に対向するように配置され、U字状に湾曲させた吸込ホース14を左,右方向の両側から支持することができる。ホース支持具28Bは、吸込ホース14をU字状に湾曲させたときの先端部位を引掛けることにより、この先端部をがたつかないように安定的に支持することができる。これにより、ホース支持具28A,28B,28Cは、上面部24Cの内面24C1の全体を大きく使って、長尺な吸込ホース14をU字状(円弧状)に湾曲させて収めることができる。そして、ホース支持具28A,28B,28Cに支持された吸込ホース14は、図5に示すように、タンクカバー24を閉じることにより、上面部24Cの内面24C1に沿わせつつホース格納空間27に格納することができる。
【0056】
ここで、ホース支持具28A,28B,28Cによる吸込ホース14の支持方法は、吸込ホース14をU字状に湾曲させたときの弾性力を利用したものであるから、結束具等の部品を必要とせず、簡単な作業で吸込ホース14を取付け、取外しすることができる。しかも、ホース支持具28A,28B,28Cに吸込ホース14を取付けるときには、吸込ホース14をU字状に湾曲させるだけであるから、トグロ状に巻回させる手間もなく、巻き癖によって伸ばし難くなることもない。
【0057】
30はタンクカバー24の内面に位置する補強板25に設けられた吸込口収容ケースで、該吸込口収容ケース30は、ホース支持具28A,28B,28Cに吸込ホース14を取付けたときに、吸込ホース14の先端側に設けられた吸込口14Aを収容するものである。吸込口収容ケース30は、図9等に示すように、有底の円筒状に形成され、補強板25にボルト26を用いて取付けられている。
【0058】
吸込口収容ケース30は、自由端となった吸込ホース14の吸込口14Aを収容することにより、走行時や作業時に吸込ホース14の先端側が暴れないように固定することができる。また、有底状の吸込口収容ケース30は、吸込ホース14内から僅かに漏れ出る残留燃料を、周囲に飛散しないように受止めることができる。
【0059】
32は燃料タンク12の後部上側に位置して作動油タンク11の右側に設けられたバッテリを示している。
【0060】
第1の実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0061】
まず、オペレータは、キャブ10に搭乗して走行用の操作装置を操作することにより、下部走行体2によって油圧ショベル1を前進または後退させることができる。一方、作業用の操作装置を操作することにより、作業装置4を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0062】
次に、燃料タンク12に燃料を補給する場合の作業について説明する。この場合には、図4に示すように、補給用の燃料が貯えられている容器31を運搬し、例えば油圧ショベル1の側方に配置する。また、油圧ショベル1では、外装カバー16を構成するタンクカバー24を開いて作動油タンク11、燃料タンク12、燃料ポンプ13、吸込ホース14等を露出させる。このときに、吸込ホース14は、図9に示すように、タンクカバー24を構成する上面部24Cの内面24C1に沿わせるようにホース支持具28A,28B,28Cに支持されている。また、先端側の吸込口14Aは、吸込口収容ケース30に収容されている。
【0063】
そこで、作業者は、図10に示すように、吸込口収容ケース30から吸込ホース14の先端側の吸込口14Aを引抜き、吸込ホース14を変形させてホース支持具28A,28B,28Cから取外す。このときに、弾性力を利用して支持している吸込ホース14は、別途工具等を用いることなく、吸込口収容ケース30、ホース支持具28A,28B,28Cから簡単に取出すことができる。
【0064】
取出した吸込ホース14は、容器31に向けて側方に引張ることにより簡単に伸ばすことができる。そして、図4に示すように、先端の吸込口14Aを補給用の容器31のホース挿入口31Aに挿入する。この吸込ホース14の取扱いでは、吸込ホース14をU字状に湾曲させているだけであるから、巻き癖が付き難く、容易に取扱うことができる。
【0065】
次に、吸込ホース14の吸込口14Aを容器31内に挿入したら、スイッチ13Bを操作して燃料ポンプ13を駆動することにより、容器31内の燃料を吸込ホース14から吸込み、吐出ホース15を介して燃料タンク12に注入することができる。
【0066】
一方、燃料タンク12への燃料の補給が終了したら、吸込ホース14の長さ方向のほぼ中間部をU字状に湾曲させ、ホース支持具28A,28B,28Cに引掛けることにより、吸込ホース14を上面部24Cの内面24C1に沿わせて配置することができる。さらに、吸込ホース14の吸込口14Aを吸込口収容ケース30内に挿入することにより、吸込ホース14の先端部が暴れないように固定することができる。また、吸込ホース14内から僅かに漏れ出る残留燃料を受止めることができる。
【0067】
吸込ホース14を上面部24Cの内面24C1に沿わせて配置し、吸込口14Aを吸込口収容ケース30内に収容したら、タンクカバー24を閉じることにより、吸込ホース14をタンクカバー24の内面に沿わせつつホース格納空間27に格納することができる。
【0068】
かくして、第1の実施の形態によれば、タンクカバー24を構成する上面部24Cの内面24C1には、吸込ホース14を支持するホース支持具28A,28B,28Cを設けることにより、タンクカバー24を閉じた状態では、吸込ホース14を上面部24Cの内面24C1に沿わせつつ、該内面24C1と作動油タンク11、燃料タンク12との間に設けたホース格納空間27に格納することができる。
【0069】
従って、燃料の給油作業を行う場合には、タンクカバー24を開き、ホース支持具28A,28B,28Cに支持された吸込ホース14を取出して伸ばし、その先端側の吸込口14Aを油圧ショベル1の周囲に配置した容器31に挿入し、この状態で燃料ポンプ13を駆動することにより、容器31内の燃料を吸込ホース14から吸込み、吐出ホース15を介して燃料タンク12に注入することができる。
【0070】
一方、燃料の注入作業が終了したら、吸込ホース14の吸込口14Aを容器31から引き抜き、該吸込ホース14をタンクカバー24を構成する上面部24Cの内面24C1でU字状に湾曲させつつ、ホース支持具28A,28B,28Cに係合させる。これにより、吸込ホース14は、上面部24Cの内面24C1に沿わせて取付けることができる。この状態で、タンクカバー24を閉じることにより、既存のホース格納空間27を利用し、このホース格納空間27に吸込ホース14を格納することができる。
【0071】
この結果、吸込ホース14を格納しているホース格納空間27は、作動油タンク11、燃料タンク12とタンクカバー24の内面との間に設けられた既存のスペースであるから、新たに専用の設置スペースを設ける必要がない。また、周囲の機器類、例えば作動油タンク11、燃料タンク12等を設計変更する必要もない。これにより、スペースを設けることが困難な小型の油圧ショベル1にも、燃料ポンプ13と吸込ホース14を簡単に設けることができ、作業現場では燃料の給油作業を容易に行うことができる。
【0072】
しかも、吸込ホース14を取付けているタンクカバー24は開くことができるから、該タンクカバー24を開いた状態では、吸込ホース14の周囲に、当該吸込ホース14を取付けたり、取外したりするための十分な作業スペースを確保することができ、給油作業の作業性を向上することができる。
【0073】
また、タンクカバー24を構成する上面部24Cの内面24C1に設けたホース支持具28A,28B,28Cは、吸込ホース14を弾性変形させるだけで、該吸込ホース14を容易に係合させることができ、吸込ホース14を容易に取外すこともできる。これにより、工具や結束具等を用いることなく、吸込ホース14を容易に脱着することができる。
【0074】
一方、タンクカバー24は、上面部24Cの内面24C1を凹陥させることで外向きに突出した凸湾曲面状に形成しているから、立体的な構造によりタンクカバー24の強度を高めることができる。この上、上面部24Cの内面24C1を凹陥形状としたことにより、この上面部24Cの内面24C1と各タンク11,12との間に形成された空間部を利用してホース格納空間27を形成することができる。
【0075】
タンクカバー24の内面には吸込口収容ケース30を設けているから、吸込ホース14を格納するときには、該吸込ホース14の吸込口14Aを吸込口収容ケース30内に収容することができる。これにより、吸込口14Aをがたつかないように安定的に保持することができる。また、吸込口14Aから燃料が垂れ落ちることがあっても、この燃料を吸込口収容ケース30内に収容することができ、周囲を清浄に保つことができる。
【0076】
さらに、タンクカバー24は、樹脂材料を用いて形成しているから、例えば射出成形するときにナットを埋め込むことにより、ホース支持具28A,28B,28Cを取付けるためのねじ座24D,24E,24Fを容易に設けることができる。
【0077】
次に、図12は本発明の第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、タンクカバーを金属材料を用いて形成し、各ホース支持具を溶接手段を用いてタンクカバーの内面に取付ける構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0078】
41は第1の実施の形態によるタンクカバー24に代えて設けられた第2の実施の形態によるタンクカバーを示している。このタンクカバー41は、例えば金属材料からなる板体をプレス成形、溶接加工等を用いて形成され、強度を高めるために複数の曲面が組合わされている。タンクカバー41は、外装カバー16の上面カバー17から前側に向け下向きに湾曲して延びた湾曲面部として形成されている。
【0079】
タンクカバー41は、前面部41A、右側面部41B、上面部41Cからなり、これらの前面部41A、右側面部41B、上面部41Cは、それぞれ外向きに突出する凸湾曲面状に形成されている。
【0080】
ここで、上面部41Cの内面41C1は、第1の実施の形態による上面部24Cの内面24C1と同様に、タンクカバー41を閉じた状態で、作動油タンク11、燃料タンク12から離れる方向に凹陥するように湾曲している。これにより、上面部41Cの内面41C1と各タンク11,12との間に形成されるホース格納空間27を上,下方向に大きくすることができる。上面部41Cの内面41C1には、後述する3個のホース支持具44A,44B,44Cが溶接手段等を用いて取付けられている。
【0081】
タンクカバー41の内側には、前面部41Aと上面部41Cの前部との間に亘って補強板42が設けられている。この補強板42は、例えば略長方形状の金属板からなり、その下側がボルト43を用いてタンクカバー41の前面部41Aに、回動支持部材23のカバー側ヒンジ23Bと一緒に取付けられている。一方、補強板42の上側は、ボルト43を用いてタンクカバー41の上面部41Cに取付けられている。補強板42は、溶接手段を用いて取付ける構成としてもよい。
【0082】
44A,44B,44Cはタンクカバー41の上面部41Cの内面41C1に設けられた1個または複数個、例えば3個のホース支持具を示している。これらのホース支持具44A,44B,44Cは、上面部41Cの内面41C1に吸込ホース14を支持するもので、短冊状の金属板の先端側を折曲げることによりL字状に形成されている。ホース支持具44Aは、内面41C1の前,後方向の中間部の左側寄り位置に設けられ、ホース支持具44Bは、内面41C1の後部の左,右方向の中間位置に設けられ、ホース支持具44Cは、内面41C1の前,後方向の中間部の右側寄り位置に設けられている。これらのホース支持具44A,44B,44Cは、溶接手段を用いて取付けられている。
【0083】
さらに、ホース支持具44Aとホース支持具44Cは、左,右方向に対向するように配置され、U字状に湾曲させた吸込ホース14を左,右方向の両側から支持することができる。ホース支持具44Bは、吸込ホース14をU字状に湾曲させたときの先端部位を引掛けることにより、この先端部を安定的に支持することができる。これにより、ホース支持具44A,44B,44Cは、上面部41Cの内面41C1の全体を大きく使って、長尺な吸込ホース14をU字状(円弧状)に湾曲させて収めることができる。そして、ホース支持具44A,44B,44Cに支持された吸込ホース14は、タンクカバー41を閉じることにより、上面部41Cの内面41C1に沿わせつつホース格納空間27に格納することができる。
【0084】
45はタンクカバー41の内面に位置する補強板42に設けられた吸込口収容ケースである。この吸込口収容ケース45は、第1の実施の形態による吸込口収容ケース30と同様に、吸込ホース14の先端側に設けられた吸込口14Aを収容するものである。
【0085】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態では、タンクカバー41とホース支持具44A,44B,44Cとを金属材料を用いて形成しているから、ねじ座(ナット)、ボルト等を用いることなく、溶接手段を用いて簡単に取付けることができる。
【0086】
なお、第1の実施の形態では、タンクカバー24に3個のホース支持具28A,28B,28Cを設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、ホース支持具を1個、2個または4個以上設ける構成としてもよい。この構成は、第2の実施の形態にも同様に適用できるものである。
【0087】
また、第1の実施の形態では、タンクカバー24は前側に設けた回動支持部材23によって前方向に開く構成とした。しかし、本発明はこれに限るものではなく、タンクカバー24を後方向、左方向または右方向に開く構成としてもよい。この構成は、第2の実施の形態にも同様に適用できるものである。
【0088】
さらに、各実施の形態では、建設機械としてクローラ式の下部走行体2を備えたキャブ仕様の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えたキャブ仕様の油圧ショベルに適用してもよい。また、キャノピ仕様の油圧ショベルに適用してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
5 旋回フレーム
6 エンジン
7 油圧ポンプ
10 キャブ
11 作動油タンク
12 燃料タンク
13 燃料ポンプ
14 吸込ホース
14A 吸込口
16 外装カバー
24,41 タンクカバー
24A,41A 前面部
24B,41B 右側面部
24C,41C 上面部
24C1,41C1 内面
27 ホース格納空間
28A,28B,28C,44A,44B,44C ホース支持具
30,45 吸込口収容ケース
31 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧ポンプを駆動するためのエンジンを搭載した自走可能な車体と、該車体に設けられ前記油圧ポンプに供給するための作動油を貯える作動油タンクと、該作動油タンクと隣接して前記車体に設けられ前記エンジンに供給するための燃料を貯える燃料タンクと、前記作動油タンクおよび/または該燃料タンクの近傍に設けられ補給用の燃料が貯えられている容器から前記燃料タンクに燃料を注入する燃料ポンプと、基端側が該燃料ポンプの吸込口に接続して設けられ先端側が吸込口となって前記容器内の燃料を前記燃料ポンプに向けて吸込む長尺な吸込ホースと、前記作動油タンクと燃料タンクの上側を開閉可能に覆って設けられたタンクカバーとにより構成してなる建設機械において、
前記タンクカバーを閉じた状態で前記各タンクと前記タンクカバーの内面との間には、前記タンクカバーの内面に沿ってホース格納空間を設け、
前記タンクカバーの内面には、前記吸込ホースを支持するホース支持具を設け、
前記ホース支持具に前記吸込ホースを支持することにより、前記吸込ホースを前記タンクカバーの内面に沿わせつつ前記ホース格納空間に格納する構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記タンクカバーは、前記内面を凹陥させることで外向きに突出した凸湾曲面状に形成し、
前記ホース格納空間は、前記タンクカバーの内面と前記各タンクとの間に形成された空間部である請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記タンクカバーの内面には、前記吸込ホースに設けられた前記吸込口を収容するための吸込口収容ケースを設ける構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記車体は、左,右両側に履帯を有する下部走行体と、該下部走行体に旋回可能に設けられ旋回フレームの後側に前記エンジンが搭載されると共に左,右方向の一側の前側位置にキャブが設けられた上部旋回体とを備え、
前記作動油タンクと燃料タンクは、前記キャブと反対側に位置して前記旋回フレームの前側に設け、
前記タンクカバーは、その前端に回動支持部材が設けられ、前記タンクカバーは、該回動支持部材を介して前記旋回フレームの前部位置に回動可能に取付けられ、前,後方向に開閉する構成としてなる請求項1,2または3に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−79547(P2013−79547A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220939(P2011−220939)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】