弁置換の間にファスナを送出する装置及び方法
ファスナ送出器具は、ループを画定する弛緩状態のそれぞれのファスナの尖叉を解放可能に係合させる対の機構を含むベルトを含んでいる。当該器具は、ベルトからファスナを受け入れる装填室と、装填室の内部でファスナの動きを制限する保持部材と、装填室に連通している放出軌道と、アクチュエータを含むハンドルと、アクチュエータと連結されるタング及び押し部材と、を含んでいる。アクチュエータの作動は、ファスナを弛緩状態からU字型の拘束状態へ変形させるためにタングを進め、ファスナを装填室から放出軌道の下方へ導くために押し部材を進める。当該器具は、ファスナを放出軌道から完全に放出するために引き金を含む。ファスナは、例えば組織輪の中で人工心臓弁又はその構成要素を周囲組織の中へ固定するために使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、装置を組織又は他の装置に締結する装置及び方法に関し、より厳密には、心臓弁置換、他の補綴具の配置、又は、創傷閉鎖、吻合、ヘルニアの修復及び動脈瘤修復のための移植処置のような一般外科手術及び血管手術での身体臓器の修復の間にファスナを送出する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工心臓弁は、患者の欠陥があるヒト弁を置き換えるために使用されてきた。人工弁は、概略的には、弁部材に取り付けられる及び/又は弁部材の周囲で伸長する縫合輪又は縫合カフを含む。縫合輪は、針及び縫合糸が貫通できる生体適合性織物及び/又は他の材料で作られる。縫合輪は、単一要素の人工弁の一部であり、又は複数要素で構成される人工弁アッセンブリの一部である。
【0003】
標準的な大動脈弁置換処置では、大動脈が切開され、繊維性組織層又は組織輪を含む場合もある所望の配置部位を残しながら、欠陥がある弁尖は除去される。縫合糸搬送針は、繊維性組織又は組織輪の中の所望の配置部位を貫通して導かれ、一連の縫合を形成する。縫合糸の自由端は、胸腔から外へ伸長され、間隔を空けて患者の身体上に置かれる。
【0004】
針及び縫合糸は、その後、個別に縫合輪の中を通して縫い進められ、標準的には、縫合輪の中を通して12から20(12−20)の縫合糸を送出する。縫合糸が縫合輪を通って導かれると、縫合糸は、引き抜かれるように教示され、縫合輪は、縫合糸の上を滑動する又は配置部位組織の付近の場所へ「投下」される。縫合輪は、その後、縫合糸の糸結びで適所に固定される。多くの場合、医師は、縫合糸毎に3個から10個の結び目を使用するので、この処置では多くの時間が費やされる。
【0005】
縫合輪が、複数の構成要素を有する補綴具の弁部材から分離している場合、弁部材は、配置部位へ案内され、縫合輪に固定される。縫合糸は、縫合輪を生物質量に固定するためだけではなく、弁部材を縫合輪に(ひいては組織輪に)固定するために、結び付けられる。
【0006】
心臓弁置換処置の間、患者には、患者の酸素レベルを下げる可能性、及び/又は非生理学的血流力学をもたらす可能性がある心肺バイパス(CPB)が施される。患者がCPB状態にある時間が長ければ長いほど、長期的又は永続的にさえなってしまうような健康被害の危険性が増す。現行の縫合技法では、CPBの期間が延長され、その結果、患者に起因する健康の危険性が増える。更に、縫合によって作られる固定力は、同じ医師であっても縫合毎にかなり異なる。
【0007】
輪の縫合は、更に、弁開口部に固定するに当たって単調で時間のかかるものとなる。複数の構成要素心臓弁を取り付けるために、例えば単一の構成要素を生体内の別の構成要素に縫い込む必要があるので、結果的には複雑で時間のかかる過程になる。処置の複雑さは、更に、より多くの誤りの生じる機会を呈し、且つ患者に長期間に亘って心肺バイパスを使用する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、装置を組織及び/又は他の装置に締結する装置及び方法に、より厳密には、心臓弁置換の間にファスナを送出する装置及び方法に着眼している。例えば、装置及び方法は、補綴具を周囲組織に固定するために、又は1つの補綴具を別の補綴具に又は補綴具の一部を配位補綴具に固定するために、1又は2以上のファスナを配備する段階を含んでもよい。
【0009】
1つの実施形態によれば、弛緩状態のそれぞれのファスナの尖叉を解放可能に係合させる対の機構を含むベルトと、弛緩状態のベルトからファスナを受け入れる装填室と、装填室の内部でファスナの動きを制限する解放可能な保持部材と、装填室に連通している放出軌道と、アクチュエータを含むハンドルと、アクチュエータと連結されるタング及び押し部材と、を含んでいるファスナ送出器具が提供されており、アクチュエータの作動が、タングを進めてファスナを弛緩状態から拘束状態へ変形させるように尖叉に係合させ、押し部材を進めてファスナを装填室から下方に放出軌道へ進める。
【0010】
別の実施形態によれば、アクチュエータを含むハウジングと、ハウジングから伸長し、複数のファスナを搬送するカートリッジアッセンブリであって、当該カートリッジアッセンブリは、弛緩状態のそれぞれのファスナの尖叉を解放可能に係合させる対になった機構を含むベルトを備えており、それぞれのファスナは、弛緩状態の尖叉の間でループを画定しているカートリッジアッセンブリと、弛緩状態のベルトからファスナを連続的に受け入れる装填室と、装填室の内部で受け取られるファスナの動きを制限する保持部材と、装填室と連通している放出軌道と、アクチュエータと連結されるタング及び押し部材と、を含んでいるファスナ送出器具が提供され。1つの実施形態では、アクチュエータの作動が、タングを進めて装填室内部に受入れられたファスナを弛緩状態からU字型拘束状態へ変形させるように尖叉に係合させ、押し部材を進めてファスナを装填室から下方に放出軌道へ進め、更にベルトを進めて装填室内部に別のファスナを送出する。
【0011】
更に別の実施形態によれば、アクチュエータを含むハウジングと、ハウジングから伸長し、遠位先端部で終端する細長いシャフトであって、当該シャフトは、弛緩状態のそれぞれのファスナの尖叉を解放可能に係合させる対になった機構を含むベルトアッセンブリをその中に備えており、それぞれのファスナは弛緩状態の尖叉の間でループを画定している細長いシャフトと、弛緩状態にあるベルトからファスナを連続的に受け入れる遠位先端部の装填室と、装填室内部で受け取られるファスナの動きを制限する保持部材と、装填室に連通している放出軌道と、アクチュエータと連結されるタング及び押し部材と、を含んでいるファスナ送出器具が、提供されている。1つの実施形態では、アクチュエータの作動が、タングを進めて装填室内部に受入れられたファスナを弛緩状態からU字型拘束状態へ変形させるように尖叉に係合させ、且つ押し部材を進めてファスナを装填室から下方に放出軌道へ進める。アクチュエータは、ベルトを進めて他の作動段階の前又は後に装填室内部のファスナを送出してもよい。
【0012】
更に別の実施形態によれば、複数のファスナを搬送するベルトアッセンブリを含む器具を使用してファスナを送出する方法が提供されており、当該方法は、第1のファスナをベルトアッセンブリから保持部材に送出するためにベルトアッセンブリを進める段階であって、ファスナは一対の尖叉を備えている段階と、ファスナを弛緩状態から拘束状態へ変形するために抑制されたファスナに対して送出器具のタングを進める段階と、ファスナが拘束状態にありながら、保持部材からファスナを解放する段階と、送出器具内部で拘束状態のファスナを遠位方向に進める段階と、送出器具からファスナを放出する段階と、第2のファスナをベルトアッセンブリから保持部材へ送出するためにベルトアッセンブリを進める段階と、を含んでいる。
【0013】
更に別の実施形態によれば、弛緩状態の複数の尖叉を有するファスナを受け入れる装填室を含むファスナ送出器具が提供されている。当該器具は、装填室内部でファスナの動きを制限する解放可能なピン又は他の保持部材を更に含んでいる。放出軌道は装填室と連結されている。レバーと、レバーと連結されるタング及び押し部材と、を含むハンドルが提供されている。レバーの動きは、ファスナを弛緩状態から拘束状態へ変形するように尖叉に係合させるためにタングを進める。レバーの動きは、ファスナを装填室から下方に放出軌道へ更に進める。引き金は、ファスナを器具から放出するために押し下げられる。1つの実施形態では、ファスナは、弛緩状態で重なり合っている尖叉を含んでおり、尖叉は、拘束状態で引き離され、その結果、尖叉は、解放されると弛緩状態に戻るために付勢される。
【0014】
別の実施形態では、その中にファスナを有するファスナ送出器具を使用してファスナを送出する方法が提供されており、ファスナは、弛緩状態の一対の尖叉を含んでいる。ファスナは、解放可能な保持部材を使用してファスナ送出器具に固定される。ファスナが解放可能な保持部材で固定されている状態で、タングは、ファスナを弛緩状態から拘束状態へ変形させるようにファスナ送出器具の中で進められる。保持部材は解放され、ファスナは、押し部材を使用してファスナ送出器具の内部において拘束状態で遠位方向に進められる。ファスナは、アクチュエータを押し下げることでファスナ送出器具から放出される。
【0015】
更に別の実施形態では、弛緩状態の複数の尖叉を有する少なくとも1つのファスナを受け入れる装填室であって、当該装填室は、ファスナが装填される解放ピンを含んでいる装填室を含むファスナ送出器具が提供されている。当該器具は、装填室に連通している放出軌道と、タング及び押し部材と連結されるレバーと、を更に含んでいる。タングは、ファスナを弛緩状態から拘束状態へ変形させるようにファスナの複数の尖叉と係合可能である。押し部材も、ファスナを器具の遠位先端部へ平行移動させるようにファスナの近位端部(例えばループ部分)と係合可能である。ファスナは、その後引き金又は他のアクチュエータを押し下げることで放出される。
【0016】
更に別の実施形態では、複数のファスナが装填される中継区域又は区分を含むファスナ送出器具が提供されている。ファスナは個別に又はカートリッジの中に入って装填される。複数のファスナが器具に装填されるので、使用者は、放出の合間に再装填する必要なしに複数のファスナを連続的に放出又は「射出」することが可能になっている。
【0017】
本発明の他の態様及び特徴は、添付の図面と併せて以下の説明を考察頂ければ明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ファスナ送出器具の装填室の中へ装填されたファスナを包含するカートリッジを含むファスナ送出器具の例示的な実施形態の側面図である。
【図2(a)】図1で示すファスナ送出器具の遠位端部の側方断面図であり、装填室の中へ(矢印A)装填されるファスナを示している。
【図2(b)】図2(a)で示すファスナ送出器具の遠位先端部の上方断面図である。
【図3(a)】図1で示すファスナ送出器具の遠位端部の側方断面図であり、カートリッジリテーナの遠位方向(矢印B)への最初の前進を示している。
【図3(b)】図3(a)で示すファスナ送出器具の遠位先端部の上方断面図である。
【図4(a)】図1で示すファスナ送出器具の遠位先端部の側方断面図であり、カートリッジリテーナの完全に前進した状態を示している。図4(a)で分かるように、ファスナの尖叉は、カートリッジリテーナ及び連結されたスプレッダの前進に因り、共により近づいている。
【図4(b)】図4(a)で示すファスナ送出器具の遠位端部の上方断面図であり、タングの遠位方向への最初の前進を示している。
【図5(a)】図1で示すファスナ送出器具の遠位先端部の側方断面図であり、進められ、ファスナのループに入っているタングを示している。
【図5(b)】図5(a)で示すファスナ送出器具の遠位先端部の上方断面図であり、ファスナのループに入っているタングを示している。
【図6(a)】図1で示すファスナ送出器具の遠位先端部の側方断面図であり、ファスナの拘束形状(即ち、U字型形状)への変形状態を示している。タングの遠位方向への前進は、ファスナの尖叉を外側に広げ、U字型形状を形成している。
【図6(b)】図6(a)で示すファスナ送出器具の遠位先端部の上方断面図である。
【図7(a)】図1で示すファスナ送出器具の遠位先端部の側方断面図であり、押し部材の前進を介したファスナの遠位方向への移動を示している。タングも、ファスナと共に遠位方向に移動し、U字型形状を維持することに役立っている。
【図7(b)】図7(a)で示すファスナ送出器具の遠位先端部の上方断面図であり、ファスナ送出器具の最遠位端部を幾らか超えて突出するファスナの尖叉を示している。
【図8】(a)は、明瞭にする目的でハンドル及びレバーを除去した状態の図1のファスナ送出器具の部分トップダウン平面図であり、空であり、ファスナを包含しているカートリッジを受け入れる準備ができている装填室を示し、(b)は線A−Aに沿う図8(a)のファスナ送出器具の側方断面図である。
【図9】(a)は明瞭にする目的でハンドル及びレバーを除去した状態の図1のファスナ送出器具の部分トップダウン平面図であり、ファスナ送出器具の装填室に装填されているファスナを示し、(b)は線B−Bに沿う図9(a)のファスナ送出器具の側方断面図である。
【図10】(a)は明瞭にする目的でハンドル及びレバーを除去した状態の図1のファスナ送出器具の部分のトップダウン平面図であり、ファスナの2つの尖叉を互いに近づくように引き寄せるスプレッダを介してファスナを固定するために遠位方向に進められたカートリッジリテーナを示し、(b)は線C−Cに沿う図10(a)のファスナ送出器具の側方断面図である。
【図11】(a)は明瞭にする目的でハンドル及びレバーを除去した状態の図1のファスナ送出器具の部分トップダウン平面図であり、ファスナのループ部分の中へ嵌るために遠位方向に進められたタングを示し、(b)は線D−Dに沿う図11(a)のファスナ送出器具の側方断面図である。
【図12】(a)は明瞭にする目的でハンドル及びレバーを除去した状態の図1のファスナ送出器具の部分トップダウン平面図であり、ファスナをU字型形状に変形するタングの追加的な遠位方向変位を示し、(b)は線E−Eに沿う図12(a)のファスナ送出器具の側方断面図である。
【図13】(a)は明瞭にする目的でハンドル及びレバーを除去した状態の図1のファスナ送出器具の部分トップダウン平面図であり、ファスナが遠位方向に進められたことで、2つの尖叉は、ファスナ送出器具の放出軌道の最遠位端部を幾らか超えて突出することになっていることを示し、(b)は線F−Fに沿う図13(a)のファスナ送出器具の側方断面図である。
【図14】(a)は明瞭にする目的でハンドル及びレバーを除去した状態の図1のファスナ送出器具の部分トップダウン平面図であり、U字型形状で、ファスナ送出器具の放出軌道からファスナが放出されていることを示し、(b)は線G−Gに沿う図14(a)のファスナ送出器具の側方断面図である。
【図15(a)】ファスナ送出器具の実施形態の側面図であり、装置の装填室の中へ装填されているカートリッジを示している。
【図15(b)】図15(a)で示すファスナ送出器具の側面図であり、カートリッジを覆うように遠位方向(図15(b)の矢印を参照)に進められるカートリッジリテーナを示している。
【図15(c)】図15(a)で示すファスナ送出器具の側面図であり、レバーの作動によってカートリッジからファスナ送出器具の遠位先端部まで移動されるファスナを示している。
【図15(d)】図15(a)で示すファスナ送出器具の側面図であり、レバーの追加的作動による放出ばねの圧縮を示している。
【図15(e)】図15(a)で示すファスナ送出器具の側面図であり、完全に装填されており、ファスナを配備する準備ができているファスナ送出器具を示している。
【図16】図16(a)及び図16(b)はファスナ送出器具用の細長い遠位先端部の例示的な形状を示している、それぞれ、上面図及び側面図である。
【図17(a)】患者の身体の断面図であり、例示的なファスナによって組織体環内部に固定された人工弁を示している。
【図17(b)】患者の身体の断面図であり、ファスナを人工弁の一部の中を通して周囲組織の中に送出しているファスナ送出器具を示している。
【図17(c)】人工弁の外周周りに配備された複数のファスナを示している放射線写真である。
【図18】複数のファスナを収納するファスナ送出器具の代替的な実施形態である。
【図19】(a)及び(b)は、ファスナ送出器具の別の実施形態の側面図であり、非装填及び装填位置にある器具のハンドルに付いたレバーを示している。
【図20】(a)及び(b)は、ハンドルの内部構成要素を示すためにカバーを除去した状態の、図19(a)及び図19(b)のそれぞれの器具の側面図である。
【図21(a)】図19(a)及び図19(b)の器具の前端部の斜視図である。
【図21】(b)及び(c)は、図21(a)で示す器具の前端部の側方断面図であり、左側及び右側をそれぞれ示している。
【図22】空気圧式アクチュエータを含むファスナ送出器具の代替的な実施形態の斜視図である。
【図23】(a)から(c)は、図22の器具の側面図及び上面図である。
【図24】(a)及び(b)は、その中でファスナを搬送しているカートリッジアッセンブリを示すためにカバーを除去している図22の器具の上面図である。
【図25】(a)及び(b)は、ラッチ作動を阻止するためにロックアウトされている及びラッチ作動を可能にするために係合している射出ボタンをそれぞれ示している、図24(a)及び図24(b)の器具の詳細部である。
【図26】(a)及び(b)は、カバーが前端部を覆って取り付けられている及び除去されているそれぞれの状態の、図22の器具の前端部の詳細部であり、前端部内部で搬送されているファスナを示している。
【図27】(a)から(c)は、図22の器具の前端部の追加的な詳細部である。
【図28】(a)及び(b)は、図19(a)から図21(c)又は図22から図27(c)のファスナ送出器具に設けられる遠位端部の斜視図である。
【図28(c)】図28(a)の遠位端部の詳細部であり、ベルトで搬送される複数のファスナを示している。
【図29】(a)及び(b)は、それぞれは、図28(a)から図28(c)で示す遠位端部に取り付けられるベルトアッセンブリの側面図及び斜視図である。
【図29(c)】図29(a)のベルトアッセンブリの詳細部である。
【図30】図29(a)から図29(c)のベルトアッセンブリに含まれる一対のベルトの例示的な実施形態の上面図である。
【図31】(a)及び(b)は、それぞれは、ベルトアッセンブリに含まれるベルトの別の例示的な実施形態の側面図及び斜視図であり、ベルトアッセンブリによって搬送されるファスナの脚部を受け入れるクリップ機構の代替的な実施形態を示している。
【図31(c)】線31(c)―31(c)に沿う、図31(a)のベルトを通る断面図である。
【図32】複数のファスナを搬送している図31(a)から図31(c)の実施形態に類似した一対のベルトの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面中、図1は、第1の実施形態のファスナ送出器具2を示している。ファスナ送出器具2は、1又は2以上のファスナ6(下記でより詳細に説明する)が、放出される遠位先端部4又はくちばし状部と、ファスナ6を配置及び/又は送出する間、使用者によって把持される近位端部8と、を含んでいる。器具2の遠位先端部4及び近位端部8は、細長いシャフト9によって隔てられている。ファスナ6は、ファスナ送出器具2の中へ装填されるカートリッジ7の内部に格納される。ファスナ送出器具2は、レバー12又は1つ又は複数のファスナ6を配備するために使用される他のアクチュエータを有する近位方向に位置付けられたハンドル10を更に含んでいる。ハンドル10は、使用者が、ファスナ送出器具2を所定の位置へと容易に操作することができるように人間工学的な形状をしている。ハンドル10は、好適なことに、例えばファスナ6を器具2の遠位先端部4から放出するために使用される押し下げボタンなどのばね付勢式引き金14を含んでいる。
【0020】
シャフト9の軸方向に沿って移動可能であるカートリッジリテーナ16が、シャフト9に設けられている。下記でより十分に説明するように、カートリッジリテーナ16は、ファスナ6のその後の配備工程の間カートリッジ7を保持する又は他の方法で固定するために使用することができる。更に、カートリッジリテーナ16は、ファスナ6を部分的に拘束した又は伸張した状態に変形することができる。
【0021】
図2(a)及び図2(b)は、ファスナ送出器具2の遠位端部を示している。図2(a)で最も分かり易く示すように、ファスナ6は、例えば親状態すなわち弛緩状態で、カートリッジ7の中に予め装填されてもよい。弛緩状態では、ファスナ6は、互いに対して角度を成している一対の重なり合った尖叉6(a)、6(b)(図2(b)で最も分かり易く示す)を含んでいる。ファスナ6は、例えば尖叉6(a)、6(b)の端部によって画定されるループ部分6(c)を更に含んでいる。例示的な実施形態では、ファスナ6は、ニッケルチタン合金(ニチノール)のような弾性又は超弾性材料から形成されるのがよい。器具2を使用して送出されるファスナの例示的な実施形態に関する追加的な情報は、同時係属出願の2003年10月8日出願の第10/681,700号及び2004年12月3日出願の第11/004,445号で開示されており、同出願の開示全体をそのまま参考文献としてここに援用する。
【0022】
ファスナ6は、カートリッジ7の溝7(a)又はスロットに固定又は他の方法で保持される。ファスナ6を包含するカートリッジ7は、シャフト9の遠位端部に位置する装填室18の中へ(図2(a)の矢印Aの方向で)挿入されるのがよい。この装填過程の間、ファスナ6のループ部分6(c)は、ピン又は他の保持部材20の真上で下ろされるのがよい。保持部材20は、係合状態(図2(b)で示す)及び非係合状態(下記でより詳細に説明する)の間を移行できる。保持部材20は、ばね22又は他の付勢機構によって係合状態で付勢されるのがよい。保持部材20は、ファスナ6を弛緩した親状態から拘束状態(例えば、U字型形状)に移行する過程の間、ファスナ6を器具2の内部で固定するのが有利である。
【0023】
更に図2(a)及び図2(b)を参照すると、器具2の遠位先端部4は、放出軌道23を含んでいる。放出軌道23は、装填室18に接続される又は他の方法で連通している。ファスナ6の配備の間、尖叉6(a)、6(b)は、U字型形状になるように強いられ、ファスナ6は、装填室18から放出軌道23の中へ進められる(下記でより詳細に説明する)。
【0024】
図3(a)及び図3(b)は、ファスナ6を配備する段階を含む次の工程を示している。図3(a)及び図3(b)で分かるように、カートリッジリテーナ16は、遠位方向に(図3(a)では矢印Bで示す)進めることができる。1つの実施形態では、カートリッジリテーナ16は、例えばうね16(a)の上で指を押し下げることによって手動で進めることができる。或いは、カートリッジリテーナ16は、例えばハンドル10の動作を介して、更に自動的に進めることができる。カートリッジリテーナ16は、ファスナ6の尖叉6(a)、6(b)と係合できるスプレッダ24に連結される。スプレッダ24は、ファスナ尖叉6(a)、6(b)を受け入れることのできるスロット又は溝を含むのがよい。カートリッジリテーナ16が図3(a)及び図3(b)に示す位置から図4(a)及び図4(b)に示す位置まで移動することで、スプレッダ24も遠位方向に動かされる。スプレッダ24はファスナ6の尖叉6(a)、6(b)に接触し、ファスナ6を部分的な拘束状態(図4(b)で最も分かり易く示す)に変形する。
【0025】
図5(a)及び図5(b)は、図5(b)で示す矢印Cの方向に進んでいるタング26を示している。図2(a)及び図3(a)で最も分かり易く示すように、タング26は、1又は2以上の歯26(a)を含んでいる。タング26は、矢印Cの方向に進められ、1又は2以上の歯26(a)は、ファスナ6(c)のループ6(c)の中に嵌る。図5(a)及び図5(b)は、ファスナループ6(c)の中の歯26(a)を示している。タング26は、ファスナ6を部分的な拘束状態から全体的な拘束状態(即ち、U字型形状)へ移行させるために、図6(a)及び図6(b)で示すような遠位方向に更に進められる。U字型形状は、例えば保持部材20を使用するなどしてファスナ6の近位端部又はループ部分6(c)を保持しながら、タング26の歯26(a)を使用してファスナ6の尖叉6(a)、6(b)を強制的に引き離すことによって獲得される。
【0026】
図7(a)及び図7(b)は、放出軌道23を通って進められるファスナ6を示している。ファスナ6が、U字型形状であると見なされると、保持部材20は、係合状態から非係合状態へ動かされる。図7(a)は、非係合状態の保持部材20を示している。非係合状態の保持部材20では、ファスナ6は、放出軌道23を遠位方向に下方へ自由に動くことができる。1つの実施形態では、保持部材20は、保持部材20の上に位置するカム構造20(a)が押し部材30(図7(a)参照)と相互作用することによって、係合状態から非係合状態まで動かされる。例えば、係合状態では、保持部材20のカム構造20(a)は、押し部材30の対応する溝30(a)の中に置かれる。押し部材30が遠位方向に進められると、カム構造20(a)は、溝30(a)から外へ押し出され、保持部材20を強制的に非係合状態にする。
【0027】
更に図7(a)及び図7(b)を参照すると、押し部材30は、ファスナ6の近位端部と接触し、ファスナ6を下方に放出軌道23に押す又は進める。1つの実施形態では、押し部材30は、ファスナ6が図7(a)及び図7(b)で示す放出軌道23の中の或る位置に達するまでファスナ6を進め続ける。この位置では、ファスナ6は、尖叉6(a)、6(b)が器具2の最遠位端部から幾らか突出するように位置決めされる。
【0028】
この構成は、医師又は他の使用者が、最適な挿入場所を求めて組織の区域を調べることを可能にする。例えば、医師は、石灰化又は血小板が蓄積しており、ファスナ6の配置には適していない可能性のある組織の区域を調べることができる。その際、医師は、代わりに、石灰化した位置付近の別のより好ましい可能性のある位置に動かすことができる。好ましい位置に達すると、ファスナ6は、例えば引き金14を押し下げることで(例えば、図15(e)で示す)器具2から完全に放出される。
【0029】
図8(a)及び図8(b)は、明瞭にする目的でハンドル10及びレバー12を除去したファスナ送出器具2の一部の上面部及び側面図をそれぞれ示している。図8(a)及び図8(b)では、装置の装填室18は、空であり、カートリッジリテーナ16は、近位方向に引き出されているので、ファスナ6を器具2の中へ搬入する別のカートリッジ7の装填が可能になっている。図9(a)及び図9(b)は、1つのファスナ6を装填したファスナ送出器具2(カートリッジ7は、単に明瞭にする目的で表示せず)を示している。図9(a)で示すように、ファスナ6は、弛緩又は親状態にある。次に、図10(a)及び図10(b)を参照すると、カートリッジリテーナ16は、その後、スプレッダ24の内部でファスナ6を部分的に拘束するために遠位方向に進められる(図10(a)で示す)。
【0030】
図11(a)及び図11(b)を参照すると、ハンドル10のレバー12を追加的に押し下げることで、タング26を進め、その結果、歯26(a)がファスナのループ部分6(c)の中へ嵌っている(図11(b)で最も分かり易く示す)。タング26は、ハンドルのレバー12が押し下げられると遠位方向に移動される引き金アッセンブリ32に固定して連結されている。引き金アッセンブリ32は、作動レバー12に連結される前進機構34に対して付勢される。レバー12の作動は、前進機構34を遠位方向に変位させる。この遠位変位は、ばね36を介して引き金アッセンブリ32へ伝えられる。ばね36は、実質的に堅固であるので、圧縮段階(下記で詳細に検討する)の前に、前進機構34及び引き金アッセンブリ32の間で剛性リンク機構としての機能を果たすことになる。圧縮段階前の前進機構34及び引き金アッセンブリ32(及び連結されたタング26)の移動は、図11(a)、図11(b)、図12(a)及び図12(b)で最もよく分かり易く示されている。
【0031】
次に、図12(a)及び図12(b)を参照すると、ファスナ6は、次に、タング26を遠位方向に進めることによって、例えば、器具2のハンドル10を部分的に押し下げることによって、完全に拘束された状態(即ち、U字型形状)に変形される。タング26の歯26(a)は、ファスナ6をU字型形状の中へ導くためにファスナ6の尖叉6(a)、6(b)の間で進むのがよい。この段階では、ファスナ6は、保持部材20によって依然として保持されるのがよい。
【0032】
図13(a)及び図13(b)は、押し部材30に固定して連結されるクランプ38に当接及び押圧している引き金アッセンブリ32を示している。クランプ38の遠位方向の動きは、器具2の内部で押し部材30の対応する遠位方向の動きを引き起こす。押し部材30は、その後、遠位方向に進み、その結果保持部材20のカム20(a)は、押し部材の溝30(a)から出て、それによって保持部材20を解放位置に動かす。ハンドル12の追加的な前進は、ファスナ6を器具の放出軌道23へ下方に押す。この配備段階の間、タング26及び押し部材30の両方は、揃って遠位方向に動く。ファスナ6の前進は、尖叉6(a)、6(b)が器具2の最遠位端部を超えて突出するその時に停止する(図13(a)及び図13(b)で示す)。
【0033】
図14(a)及び図14(b)は、ファスナ6の器具2からの放出を示している。ばね36が完全に圧縮され、作動レバー12が図15(e)に示す位置になった後、引き金14を押し下げる(図14(b)では矢印Dで図示)と、押し部材30を遠位方向に迅速に移動させ、ファスナ6を放出軌道23から完全に放出する。図14(a)で最も分かり易く示すように、ファスナ6は、U字型形状で隣接する組織(図示せず)の中へ放出される。
【0034】
図8から図14で示すように、器具2は、ファスナ6が器具2から放出された後、機械式リンク機構(例えば、タング26、押し部材30及び関連付けられた引き金アッセンブリ32及び前進機構34)を復元するために有用な、近位方向に位置する復元ばね40を更に含む。
【0035】
図15(a)から図15(e)は、ファスナ送出器具2を使用してファスナ6を送出するために用いられる例示的な方法の様々な段階を示している。図15(a)は、装填されたファスナ6を器具2の装填室18に搬入するカートリッジ7を示している。図15(b)は、遠位方向(図15(b)の矢印の方向)に動かされるカートリッジリテーナ16を示している。カートリッジリテーナ16のこの動きは、部分的に拘束された状態のファスナ6を設置するために、スプレッダ24(図15で図示せず)を進める。図15(c)は、部分的に押し下げられているハンドル10を示している。この段階で、タング26の歯26(a)は、ファスナ6のループ部分の中へ嵌り、上述のようにファスナ6をU字型形状へ変形させるために、更に遠位方向に進む。ハンドル10の追加的な動きは、ファスナ6を器具2の装填室18から遠位先端部4の放出軌道23へ移動させる。
【0036】
図15(d)は、同じく上述のように、作動レバー12が図15(d)に示す矢印Aの方向に動くことでばね36を圧縮させる、圧縮又は負荷駆動段階を示している。図15(e)は、完全に装填された状態の器具2を示している。ファスナ6は、尖叉6(a)、6(b)が放出軌道23から遠位方向に突出している状態の器具2の遠位先端部4に配置されている。ばね仕掛け引き金14は、その後、ファスナ6を器具2から完全に放出するために押し下げられる。
【0037】
図16(a)及び図16(b)は、器具2の細長い遠位先端部又はくちばし状部4に使用される代替的な形状A、B及びCを示している。器具2は、送出過程を円滑にするために様々な長さの遠位先端部4を含むのがよい。例えば先端部4は、約10及び400ミリメータ(10−400mm)の間、又は約5及び50ミリメータ(5−50mm)の間の長さを有するのがよい。
【0038】
先端部4は、器具2と一体化して形成されるのがよい。或いは、先端部4は、取り外し可能及び/又は交換可能であってもよい。この代替案では、先端部4及び/又は器具2は、個々の先端部4を器具2に取り外し可能に取り付けるために1又は2以上の戻り止め又は他のコネクタ(図示せず)を含むのがよい。更に、図16(b)で最も分かり易く示すように、細長い遠位先端部又はくちばし状部4は、使用者の視野を大きくする及び/又は他の方法でファスナの送出を円滑にするために、様々な幾何学又は側断面、例えば折り曲げ部、湾曲部を含むのがよい。従って、先端部4及び/又は器具2は、処置の間に遭遇する特定の解剖学的な想起されるものを考慮したうえで選択される。
【0039】
例えば、図16(b)に示す先端部Aは、細長い遠位先端部4が実質的に直線状の又は平たい輪郭を有する形状を図示している。先端部Bは、遠位先端部4の中間部分が、器具2の平面から折り曲げられた又は湾曲した別の形状を図示している。折り曲げ又は湾曲形状は、周囲組織90の表面に対して概ね直角又は垂直なファスナ6を送出するのに特に有用であるのがよい。先端部Cは、遠位先端部4が器具2の長手方向に対して角度を成している別の形状を図示している。
【0040】
次に、図17(a)から図17(c)を参照すると、ここで説明する実施形態の何れかである器具2は、例えば心臓弁置換処置の間に1又は2以上のファスナ6を送出するために使用される。例えば器具2は、複数のファスナ6を縫合カフ又は輪51(図17(b)参照)及び/又は人工心臓弁アッセンブリ50の他の構成要素の中を通して周辺組織の中へ送出するために使用される。或いは、器具2は、例えば他の装置を組織又は別の装置に固定するために、又は組織構造をまとめて固定する目的で1又は2以上のファスナ6を送出するために使用されるものであることが解る。
【0041】
図17(a)で示すように、人工弁50は、例えば、縫合カフ51を含むのがよいガスケット部材52及び弁部材又は「クラウン」53を含んでいるような、フレーム及び複数の葉状部(簡潔にするために図示せず)を含んでいるような、複数の構成要素補綴具である。器具2を使用して植え込まれる、及び/又は他の方法で取り付けられる単一の又は複数の構成要素人工心臓弁アッセンブリの例示的実施形態は、米国特許第6,371,983号及び第10/327,821号として出願された米国公開第2004/0122516号、第10/646,639号として出願された米国公開第2005/0043760号、第10/765,725号として出願された米国公開第2005/0165479号、第11/069,081号として出願された米国公開第2006/0195184号、第11/420,720号として出願された米国公開第2007/0016285号、第11/742,390号として出願された米国公開第2007/0260305号及び第11/742,424号として出願された米国公開第2008/0033543号に開示されており、同出願の開示全体をそのまま参考文献としてここに援用する。
【0042】
最初に、ガスケット部材52は、例えば別個の器具(図示せず)を使用して生物学的体環90の中へ進められ、所望の位置、例えば自然弁尖が除去された部位で維持されるのがよい。器具2(ファスナ6を装填した)の遠位先端部4は、先端部4が縫合カフ51に対して実質的に垂直である状態で縫合カフ51に当たるように位置付けられるのがよい。器具2は、例えばレバー12及び/又は引き金14を作動させることによって、ファスナ6を縫合カフ51の中を通して下層組織へ送出するように作動されるのがよい。オプションとして、更に下記で説明するように、器具2は、例えばファスナ6が縫合カフ51及び/又は組織に対して適切に並置されることを確実にする目的で、器具2によって縫合カフ51及び/又は下層組織に対して十分な力が掛けられない場合にはファスナ6の送出を阻止する、安全ロックアウト機構を含んでもよい。
【0043】
ファスナ6が遠位先端部4から放出されると、ファスナ6の尖叉は、少なくとも部分的に組織の内部を再横断でき、これによってファスナ6のループの中で縫合カフ51及び下層組織の一部分を捕捉する。複数のファスナ6が、人工弁50を周囲組織90に取り付けるために縫合カフ51の外周周りに連続的に送出される。
【0044】
図17(a)は、完全配備状態の2つの例示的なファスナ6を示している。図17(a)で示すように、縫合カフ51及び下層組織を穿通した後、ファスナ6は、親又は非拘束状態(ファスナ6の尖叉が少なくとも部分的に重なり合っている)に戻るために付勢される。この点において、人工弁50は、周囲組織90に動かないように固定される。
【0045】
図17(c)は、放射線装置(図示せず)からの例示的な画像又は「放射線写真」を示しており、人工弁50の外周周りに配備された複数のファスナ6を図示している。縫合カフ51(図17(c)では仮想線で示す)は実質的に放射線透過性であり、従って放射線写真では可視的ではないが、ファスナ6及びガスケット部材52の一部は、少なくとも部分的に放射線不透過性であるので、放射線写真で見ることができる。
【0046】
オプションとして、ファスナ6は、例えば弁50を除去する又は特定のファスナを再配置することが望ましい場合などでは、組織90及び/又は人工弁50から取り外し可能であるのがよい。例えばファスナ6が不正確な方向に向いている場合又はファスナ6が組織90の中に十分に深く穿刺していない場合には、器具2からファスナ6が放出された後でファスナを除去するために、例えばプライヤー状器具(図示せず)を使用してもよい。医師は、プライヤー状器具を使用して、少なくとも部分的に露出したままになっているファスナ6のループ部分6(c)を把持するのがよい。ファスナ6は、その後ファスナ6の尖叉を送出部位から取り外すために引っ張られる又は他の方法で近位方向に引き込まれるのがよい。オプションとして、器具が、除去を円滑にするためにファスナ6の尖叉を少なくとも部分的に開くために回転されるのがよい。交換ファスナ6は、上述の方法と同様に、器具2の中へ装填される及び/又は他の方法で送出部位へ送出される。
【0047】
代替的な実施形態では、送出前に同時に又は連続的に複数のファスナ6を器具2の中へ装填することが可能な器具が提供されるのがよい。器具2は、連続するファスナ6を装填するために体腔から除去される必要がなく、これはファスナ6の送出を迅速化できるので、そのような器具2が望ましい。図18は、器具2の実施形態を示しており、準備区域又は区分42に装填された複数のファスナ6を示している。ファスナ6は、器具2の遠位先端部4に向かって遠位方向に連続的に進められる。器具2は1つのカートリッジを器具2に装填するだけで複数のファスナ6を装填できるように、複数のファスナ6を収容するカートリッジ(図示せず)が提供される。
【0048】
次に、図19(a)から図21(c)を参照すると、前述の実施形態と同様に、1又は2以上のファスナ(図示せず)を送出するために使用されるファスナ送出器具102の別の実施形態を示している。器具102は、標準的には、前述の実施形態と同様に、図19(a)から図20(b)で示すレバー112及び引き金114を含むハンドル110と、遠位先端部104で終端となる細長いシャフト109と、を含んでいる。図21(a)から図21(c)で示すように、器具102は、前述の実施形態と同様に、1又は2以上の内部構成要素、例えば細長いシャフト109の内部に保持部材(図示せず)、スプレッダ(図示せず)、タング126、押し部材(図示せず)、及び/又は放出軌道123及び/又は遠位先端部104を含むのがよい。更に、器具102は、下記で更に説明するように、カートリッジ、軌道及び/又は複数のファスナを搬送することができる他の搬送要素(図示せず)を含む。
【0049】
オプションとして、器具102は、取り外し可能に互いに連結し合う2つの別個のサブアッセンブリを含むのがよい。例えば、図21(a)から図21(c)は、ハンドル110から分離でき、更に搬送ハウジング103の作動構成要素をレバー102及び引き金104と連結するためにハンドル110の中へ挿入される搬送ハウジング103を示している。搬送ハウジング103及びハンドル110は、搬送ハウジング103を、例えばレバー112及び引き金114が器具102を作動させることができる適切な方向で、ハンドル110に固定するために1又は2以上の協働コネクタを含むのがよい。例えば、図20(a)で示すように、搬送ハウジング103は、搬送ハウジング103をハンドル110に固定するためにハンドル110の対応するスロット119bで受入れられる1又は2以上のツメ119aを含むのがよい。コネクタは、例えばその中の全てのファスナが送出された後に、搬送ハウジング103をハンドル110から取り外すことを可能にし、その後必要に応じて新しい搬送ハウジング(図示せず)が、追加のファスナを送出するためにハンドル110に連結される。或いは、搬送ハウジング103及びハンドル110は、実質的には永続的に互いに取り付けられたままでもよい。
【0050】
搬送ハウジング103の構成要素は、本明細書の他の部分で説明する実施形態と同様にレバー112及び/又は引き金114の1又は2以上と連結される。例えばレバー112は、図15(a)から図15(e)を参照しながら表示及び説明した、レバー12と概ね同様に構成され、引き金114は、同じく表示及び説明した引き金14と概ね同様に構成される。
【0051】
図19(a)及び図20(a)では、レバー112は、例えば図15(c)で示すレバー12の位置と同じような非装填位置にある。図19(b)及び図20(b)では、レバー112は、例えば細長いシャフト109内部のカートリッジ又は他の搬送要素(図示せず)からファスナを装填するために押し下げられている。例えばレバー112を作動させると、図9(a)から図13(b)で示す順序と同様に、ファスナをカートリッジ、軌道又は他の搬送要素から取り除き、ファスナを弛緩から拘束形状へ変形させ、更にファスナの尖叉が遠位先端部104から露出する(図示せず)ようにファスナを進める。
【0052】
図20(a)及び20(b)で最も分かり易く示すように、レバー112は、レバー112を装填位置に維持するために、ハンドル104内部のばね又は他の受け金具113aと係合できるラッチ113bを含む。従って、レバー112が作動された後、レバー112は、例えば図13(a)及び図13(b)で示す構成と同様に、ファスナの先端部を露出させた状態でロックされる。これは、使用者が、例えばファスナを送出する適切な目標位置を試験する及び/又は他の方法で特定する目的で、ファスナを送出する前に器具102を操作することを容易にする。
【0053】
レバー112は、例えばファスナを装填室へ装填する、ファスナを弛緩形状からU字型形状へ変形させる及び/又はファスナを下方に放出軌道123に進めるために、ラチェット棒112cを介して器具102の作動構成要素に順番に連結される1又は2以上のラチェット車112a、112bに連結される。例えば、図21(b)で示すように、レバー112は、車112a及びラチェット棒112cを介して駆動板116に連結され、当該駆動板は、レバーが作動すると遠位方向に進められる。駆動板116は、器具102の作動構成要素に連結されるアームを包含する複数のスロット116aから116cを含んでいる。例えば、下記で更に説明するように、スロット116aは、アーム117aを受け、当該アームは、前進アーム192に連結され、当該前進アームは、ベルトアッセンブリ又は他の軌道(図示せず)を進めるために使用される。
【0054】
スロット116bは、押し部材(図示せず)に連結されるアーム117bを摺動自在に受け、スロット116cは、スプレッダ(図示せず)に連結されるアーム117cを受ける。別のスロット(図示せず)は、タング(図示せず)に連結されるアーム(同じく図示せず)を受ける駆動板116上に設けられる。レバー112が作動されると、駆動板116は、搬送要素アッセンブリ103の内部で遠位方向に向けられ、それによって、カムがアームをスロット116aから116cの垂直部分から出し、その水平部分へ嵌めるまでアームを遠位方向に向ける。一連のスロット116aから116c及びアーム117は、前述の実施形態で説明した一連のものと同様に機能するのがよい。
【0055】
レバー112が作動し、使用者が、ファスナを送出することを決定すれば、引き金114は、本明細書の他の部分で説明するように、引き金14と同様に作動するのがよい。例えば、レバー112が作動すると、ばね(図示せず)は、図13(a)から図14(b)で示すばね36と同様に、圧縮され、位置エネルギーを蓄える。レバー112が、完全に作動すると、ロック121は、解放されたばねからのエネルギーを回避するために係合する。引き金114が作動すると、ロック121は解放され、ばねは、上述の押し部材30の作動と同様に、ファスナを器具102から放出するために迅速に押し部材(図示せず)を進める。更に、引き金114の作動は、例えば別のファスナの装填及び送出に備えて器具102を「リセット」することができる。例えば、引き金114が作動すると、ラッチ113cは、ばね113をラッチ113bから解放するためにカム114と係合し、それによってレバー112は最初の位置に戻ることができるようになる。
【0056】
オプションとして、器具102の前端部は、例えば細長いシャフト109及び/又は遠位先端部104を覆うカバー又は他のハウジング(図示せず)を含むのがよい。カバーは、所望の審美的な仕上がりを器具102に提供し、及び/又は内側の構成要素を保護するのがよい。更に、カバーは、下記で更に説明するように、例えばカートリッジ又は他の搬送要素(図21(a)から図21(c)では図示せず)を除去する及び/又は器具102の中へ装填するために、細長いシャフト109の内部へのアクセスを提供するのがよい。従って、器具102は、それぞれのファスナを再装填する必要なしに器具102を使用して複数のファスナを連続的に送出させることができる。例えば細長いシャフト109のカバー又はハウジングは、ベルトアッセンブリ又は他のカートリッジ(図示していないが、複数のファスナを搬送する)を器具102に装填することを可能にするために開く又は他の方法で除去することができる。或いは、カバーは、それぞれのファスナを細長いシャフト109のベルト又は他の軌道(図示せず)に装填することを可能にするために開くことができる。別の代替案には、カバーは取り外し可能ではない場合があり、この代替案では、器具102は、器具102を用いて送出される複数のファスナが最初から装填されているベルトアッセンブリ又は軌道を含むのがよい。収容していたファスナが使い果たされると、器具102は、廃棄され、又は再装填のために製造業者に戻される。
【0057】
次に図22から図27(c)を参照すると、ハンドル210、細長いシャフト209及び遠位先端部204(内部に作動構成要素を含む)を含んでいる器具202の別の実施形態が示されており、当該実施形態は、ここで説明する他の実施形態と同様の構成要素を含むのがよい。前述の実施形態とは異なり、器具202は、例えば器具202を使用して1又は2以上のファスナを連続的に装填及び/又は射出するために器具202を作動させる空気シリンダ213を含んでいる。図23(a)から図23(c)は、例えば、ファスナを器具202から送出するために空気シリンダ213を作動させるために使用されるハンドル210上の引き金、射出ボタン又は他のアクチュエータ212を含む器具202の追加的な詳細部を示している。射出ボタン212は、引き金212が作動するとファスナを完全に送出する。或いは、射出ボタン212(又は図示していない別個のアクチュエータ)は、前述の実施形態と同様に、例えば最初の作動でファスナを装填及び部分的に露出させ、その後、最終の作動でファスナを放つ2段階式送出を可能にする。
【0058】
例えば、圧縮空気、二酸化炭素又は他の流体ライン(図示せず)は、少なくとも部分的に器具202を作動させるために空気シリンダ213のコネクタ213aに連結される。流体ラインは、ペダル、弁、又は流体を空気シリンダ213まで送出するために開かれる他のアクチュエータを含むのがよい。この働きは、レバー112と同様に、器具212にカートリッジ又は軌道からファスナを装填させ、器具を変形させ、ファスナを下方に放出軌道223に進めさせる。使用者がファスナを送出する準備が整うと、射出ボタン212は、ファスナを放出するために押し下げられる。使用者は、その後、送出される次のファスナを装填するために流体ラインを再び開くことができる。ファスナを装填するために任意の空気圧式又は油圧式のシステムを使用することができることが解る。或いは、流体ラインは、使用者が流体ラインを作動させる必要なしにファスナを自動的に装填できる。別の代替案では、作動される又は自動的にファスナを装填する内蔵式圧縮流体装置を、器具202のハンドル210に設けてもよい。
【0059】
次に図24(a)から図25(b)を参照すると、前述の器具102と同様に、器具202は、再利用可能な部分、即ちハンドル210と、使い捨て可能な部分、即ち器具202によって送出される複数のファスナ(図示せず)を提供するためにハンドル210に装填される搬送ハウジング207と、を含んでもよい。例えば、図24(a)及び図24(b)で示すように、ハンドル210は、例えば射出ボタン212を空気シリンダ213に連結するハンドル210の内部作動構成要素を含むハウジング270を覆うカバー260を含んでいる。ハウジング270は、例えば図24(a)で示す第1の又は「ロックアウト」位置及び図24(b)で示す第2の又は「作動」位置の間で、カバー260の内部で軸方向に移動可動である。図24(a)及び図24(b)で示すように、ばね268は、ハウジング270をロックアウト位置に付勢するためにハウジング266及びカバー260の間に設けられるが、下記で更に説明するように、カートリッジハウジング207がハンドル210に装填されると、又は器具202の遠位先端部204が目標送出部位に十分な力で押しつけられると、付勢に打ち勝つことができる。
【0060】
搬送ハウジング207は、例えば駆動板(図示せず)又は他の作動構成要素を含む近位ハウジング208と、細長いシャフト209と、放出軌道223、保持部材、スプレッダ、タング及び/又は押し部材(全て図示せず)を含む器具202の遠位先端部204と、を含んでおり、これらは、前述の実施形態と概ね同様に作動する。カバー260は、搬送ハウジング207が搬送ハウジング207の作動構成要素をハンドル210に連結するために挿入される空気シリンダ213の反対側に開いた端部を含むのがよい。或いは、細長いシャフト209及び遠位先端部204は、ハンドル210の一部であるのよく、ベルトアッセンブリ又は他のカートリッジアッセンブリ(図示せず)は、細長いシャフト209及び/又は近位ハウジング208に直接的に装填されるのがよい。
【0061】
ハンドル210は、搬送ハウジング207がハンドル210に適切に装填される及び/又は他の方法で連結されることを確実にする機構を含むのがよい。例えば、図25(a)及び図25(b)は、旋回軸側端部262a及び射出ボタン214の下にある自由端部262bを含むレバーアーム262を示している。搬送ハウジング207がハンドル210で適切に受けられる(又は遠位先端部204が目標送出部位に押し当てられる)前に、レバーアーム262の自由端部262bは、図25(a)で示すように、ハウジング270の上のハブ264に当接する。従って、この位置では、レバーアーム262を内側に向けることができないので、射出ボタン212を押し下げることができない。搬送ハウジング207がハウジング270に装填される、即ち図24(b)の矢印「L」の方向に挿入される際に、ハウジング270は、ばね268の付勢に逆らって軸方向に移動され、その結果、ハブ264をレバーアーム262の自由端部262bの下から近位方向に導く。搬送ハウジング207がハンドル210に適切に座ると、レバーアーム262の自由端部262bは、図25(b)に示すように、ラッチ272上に載ることになる。
【0062】
射出ボタン212が次に押し下げられると、レバーアーム262は、自由端部262bがラッチ272に接触及び押圧するまで内向きに旋回し、ファスナを器具202から送出することを可能にする。従って、ラッチ272が適切に係合されなくても、射出ボタン212は、ロックアウトされ、例えばファスナがその中で動くこと及び/又は器具202から送出されることを阻止するなどし、及び/又はそうでなければ、空気シリンダ213の不慮の作動が原因で器具202への損傷及び/又は使用者への傷害が発生する恐れがある。
【0063】
或いは、搬送ハウジング207が、適切にハンドル210の上に着座した後、器具202は、最初に、図24(a)で示すロックアウト位置に付勢されてもよい。遠位先端部204が、目標送出部位に押し当てられる際、搬送ハウジング207は、図24(b)に示すように、レバーアーム262の自由端部262bをラッチ272の上に位置付けるために、ばね268の付勢に逆らって移動される。ばね268の強度は、ラッチ272が作動されることを可能にするために、所定の最小力が必要とされるように設定される。従って、作動に必要な力は、ファスナ6を目標送出部位に確実に送出するのに十分に並置された状態で、遠位先端部204が目標送出部位、例えば縫合カフ51(図17(b)参照)に押圧されることを確実にする。
【0064】
図22に戻ると、搬送ハウジング207及びハンドル210は、搬送ハウジング207をハウジング270に固定する、及び/又はカバー210に対して作動位置にあるハウジング270を固定する協働コネクタ(図示せず)を含むのがよい。例えば、搬送ハウジング207及びハンドル210は、前述の実施形態と同様にツメ219a及びスロット219bを含むのがよい。搬送ハウジング207がハンドル210に接続される時、ハンドル210の内部作動構成要素は、搬送ハウジング207の細長いシャフト209内部の作動構成要素と連結される。搬送ハウジング207内部のファスナが使い果たされる又は他方で搬送ハウジング207を除去することが所望される場合、ハンドル210をロックアウト位置に戻すこと及び/又は搬送ハウジング207を除去及び/又は他の方法で交換することを可能にすることで、コネクタは解放される。
【0065】
次に図26(a)から図28(c)を参照すると、器具202の細長いシャフト209をより詳細に示している。標準的には、細長いシャフト209は、複数のファスナ6を器具202の遠位先端部204の装填室218に搬送するベルトアッセンブリ280を含んでいる。図26(a)は、ベルトアッセンブリ280(及び他の内部構成要素)を覆って取り付けられているカバー274を備えた細長いシャフト209を示しており、一方、図26(b)は、ベルトアッセンブリ280を露出するためにカバー274が除去されている状態を示している。図22、図27(b)及び図27(c)で最も分かり易く示すように、細長いシャフト209は、硬質の細長い基部又は搬送ハウジング207の第1の端部(ハウジング270で受けられる)から遠位先端部204まで伸長するチャネル209bを画定するシャーシ209aを含んでいる。放出軌道223は、例えば「C」字型断面を有する一対の間隔のあいたレールを含んでおり、送出する間ファスナ6を案内するために装填室218から伸長している。図28(c)で最も分かり易く示すように、保持ピン220は、下記で更に説明するように、ベルトアッセンブリ280から連続的にファスナ6を1つずつ受けるために装填室218に設けられている。前述の実施形態と概ね同様に作動するスプレッダ、タング及び押し部材(図示せず)が、更に、細長いシャフト209及び/又は遠位先端部204の内部に設けられている。
【0066】
更に図29(a)から図29(c)を参照すると、ベルトアッセンブリ280は、標準的には、フレーム282及びフレーム282に対して移動可能な一対のベルト284を含んでいる。フレーム282は、(例えば図27(b)及び図27(c)で示すように、ハウジング270に最も近い)シャーシ209aの内部に配置される第1の端部282a、及び遠位先端部204及び/又は装填室218に隣接して配置される第2の端部282bを含んでいる。フレーム282が使用時には実質的に動かないように、フレーム282は、例えば1又は2以上の協働コネクタ(図示せず)を使用する、接着剤、締まり嵌めなどで固着するなどして、シャーシ209aのチャネル209bの内部で実質的には固定されるのがよい。
【0067】
各ベルト284は、フレーム282の第1及び第2の端部282a、282bのハブ(図示せず)の周りで受けられる無端ベルト又はループであるのがよい。従って、ベルト284は、自由に動くことができるので、例えば、ベルト284の上面は、装填室218に向かって遠位方向に向くことができ、同時にベルト284の下面は、装填室218から離れる近位方向に向く。ハブは、ベルト284の動きを円滑にするために車又は車軸(図示せず)の他の機構を含むのがよい。或いは、各ベルト及び/又はフレーム284のハブは、例えば滑らかな被覆又は材料を含むなど、ベルト284及びハブの間の摩擦を最小に抑える材料から形成されるので、ベルト284は、ハブの周囲で容易に滑動する。
【0068】
例示的な実施形態では、各ベルト284は、フレーム282の端部282a、282bの周りで湾曲する十分な可撓性を有し、且つ例えば接着剤、音波溶接、嵌め合わせコネクタ(図示せず)などを用いて接着することで帯又はループを作り出すために細長い片の端部が互いに結合するような十分な長さを有する、例えば金属、ポリマー及び/又は複合材料などの実質的に非弾性材料の細長い一片から作られる。或いは、分かれているベルト284ではなく、フレーム282の幅に亘って伸張する単一のベルト(図示せず)が提供される。別の代替案では、ベルトは、装填室218の下方でフレーム282によって支持されている軌道に固定される第1の端部と、フレーム282の第1の端部282aに隣接する軌道に固定される第2の端部と、を有する1つ又は2つの細長い片(図示せず)から作られるのがよい。
【0069】
それぞれのベルト284は、ベルトアッセンブリ280に装填されたファスナ6の一部を受け入れる機構、例えばベルトアッセンブリ280に沿ってファスナ6を器具202の装填室218まで解放可能な状態で搬送する機構などを含んでいる。例えば、図29(c)で最も分かり易く示すように、各ベルト284は、それぞれのファスナ6の尖叉6(a)、6(b)を受け入れる複数のフック286を含んでいる。フック286は、例えば射出成形、機械加工などによってベルト材料に直接的に形成される、又はベルト284から分離しており、例えば接着剤、音波溶接、協働コネクタ(図示せず)などによる固着によって取り付けられるのがよい。フック286は、その中で尖叉6(a)、6(b)を受け入れるのに適した大きさの凹部を画定し、例えばフック286は、凹部の周囲少なくとも約180度(180°)まで伸張している。フック286は、ループ部分6(c)が保持ピン220付近で受け取られる時、例えばベルトアッセンブリ280の第1のファスナ6が装填室218の中へ進められる時、尖叉6(a)、6(b)が凹部から解放されるのに十分な可撓性を有している。更に、放出軌道223は、ファスナ6をベルト284から保持ピン220まで案内する傾斜した近位縁部を含む。
【0070】
ベルト284は、ハンドル210に連結されたアクチュエータによって進められる。例えば図27(b)、図27(c)、図28(b)及び図28(c)で示すように、横木290は、ベルト284の間に取り付けられ、例えばこれによってベルト284の動きをまとめて連動させることができる。更に、横木290は、個々のファスナ6が、フック286のそれぞれの対によって解放可能に確実に捕捉されるように、フック286を隣り合う対の状態に維持される。押し棒292は、例えば器具202の各作動によってベルト284を進めるなどの目的で、横木290と連結される。例えば、押し棒292は、最初に、例えばループ部分6(c)が保持ピン220で受け取られるように(図28(c)参照)、第1のファスナ6を装填室218に誘導するために進められる。射出ボタン212(又は器具102のレバー112)が作動すると、前述の実施形態と同様に、ファスナ6は、U字型形状に変形され、放出軌道223(又は123)に下方に進められる。ファスナ6が放出軌道223(又は123)から押し出されると、押し棒292は、次のファスナ6を装填室218に及び/又は保持ピン220に送出するのに十分に進められる。
【0071】
或いは、押し棒は、ファスナとファスナの間で後退及び前進される。例えば図21(b)及び図21(c)で示すように、前進アーム192が、器具102の内部、例えば図21(b)及び図21(c)の搬送ハウジング103内部又は図22の近位ハウジング208内部に設けられる。前進アーム192は、押し棒292がファスナを進めるために連結される軌道194の要素に接触する先端部192aを含んでいる。例えば図21(c)で示すように、先端部192aは、前進時、軌道194の凹部194aの丸みを帯びた縁部と接触し、後退時、凹部194aの上を近位方向に滑動する。従って、レバー102が最初に押し下げられると、前進アーム192は、ベルト上のファスナ間隔に対応する所定の距離だけ進められ、先端部192aは、軌道194を進めるために瞬時に隣接する凹部194aと係合する。次に、軌道194は押し棒292を進め、当該押し棒は、例えば図27(a)から図27(c)で示すようにベルト284を進める。レバー112は、その後、ファスナを変形させ、放出軌道123に下方に進める。前進アーム192は、レバー112を押した後又は引き金114を作動させた後直ちに後退し、それによって先端部192aを軌道194の次の凹部194aに隣接する位置に引き戻すことになる。このようにして、押し棒及びベルト284を進めながら、軌道194を漸進的に進めることができる。
【0072】
従って、ベルトアッセンブリは、ハンドル又は器具202に関して上で述べた搬送ハウジング207のような他のアクチュエータに連結される使い捨て(又は再使用可能な)アッセンブリに設けることができる。或いは、ベルトアッセンブリは、再装填することができない器具内部に設けることができる。例えば、搬送ハウジング103が器具102から取り外し可能でない場合、ファスナが全て送出された後、器具102全体を廃棄又は再使用(例えば器具102を、器具102を殺菌し、新しいファスナに再装填する製造業者に返すことによって)することができる。別の代替案では、シャーシ又は細長いシャフトは、ベルトアッセンブリを交換することができる又は個々のファスナをベルトアッセンブリに装填することができるように、除去又は他の方法で開放されるカバーを含む。この代替案では、ベルトアッセンブリのフレーム及び/又は細長いシャフトは、ベルトアッセンブリを細長いシャフトの内部に取り外し可能に固定するために1又は2以上のコネクタを含む。その他の点では、この代替案の動作は、本明細書に記載する他の実施形態と同様に進行する。
【0073】
次に図30を参照すると、本明細書に記載する何れかの実施形態のベルトアッセンブリ(図示せず)にも設けられる一対のベルト384の別の実施形態を示している。示すように、各ベルト384は、前述のベルト284と同様に、フレームのハブの周りに巻き付けられる1つの細長い片状になっている。各ベルト384は、その下側でファスナ6の尖叉6(a)、6(b)を受け入れるために折り曲げられた機構386a、386bを含んでいる。例えば、各ベルト384は、尖叉6(a)、6(b)の真上及び/又は周囲で受け取られるために持ち上げられる部分的なループ又は「J」フック386aを含む。「J」フック386aは、その下で尖叉6(a)、6(b)の中間部分を受け入れるために互いに最も近いベルト384の縁部に沿って配置される。各ベルト384は、例えば互いに離れた側のベルト384の縁部に沿って、尖叉6(a)、6(b)の先端部を受け入れるためにスロット又は穴を備えたツメ386bを更に含む。各ベルト384は、例えばレーザー切断、型打ち成形、機械的切断などによって薄いフィルムから形成されるので、機構386a、386bは、それぞれのベルト384と一体化したフィルムで直接的に形成される。各ベルト384に必要とされる何らかの他の機構、例えばベルトアッセンブリのフレームの周囲にベルト384を巻き付けた後、ベルト384の端部をまとめて結合するための穴又はスロットなども、フィルムで直接的に形成される。
【0074】
次に図31(a)から図31(c)を参照すると、本明細書の他の部分で説明する実施形態の何れかで使われるベルトアッセンブリに設けられるベルト484の別の実施形態が示されている。示すように、ベルト484は、前述の実施形態と同様に、ベルトアッセンブリのフレームの周囲に移動可能に取り付けられるのに十分な可撓性を有する、例えば金属、プラスチック又は複合材料などから作られる帯485を含んでいる。例えば、帯485は、機構486a、486bを受け入れるために間隔をあけて配置された開口部487をその中に含むように、レーザー切断、型打ち、機械的切断、鋳造で成形される。機構486a、486bは、例えばプラスチック、金属又は複合材料から形成されるクリップであり、当該クリップは、例えばそれぞれの穴487の中で帯485に取り付けることができる。例えばクリップ486aは、穴487に挿入され、例えば熱ステーク、接着剤、音波溶接、プレス嵌めなどでその中に固定される。(ベルト484においてクリップ486aの代わりに使用される)クリップ486bは、クリップ486aと同様に穴487の中へ嵌め込まれる又は固定される。
【0075】
図32で示すように、一対のベルト484は、前述の実施形態と同様に、例えば複数のファスナ6を搬送するベルトアッセンブリ(図示せず)に設けられる。クリップ486a、486bは、例えばクリップ486a、486bの凹部又はスロットの内部でファスナ6のそれぞれの尖叉6(a)、6(b)を受け入れるために対になって一列に並べられる。水平方向に伸長するフック286の凹部とは異なり、クリップ486a、486bのスロットは、実質的には垂直方向に、即ち帯485から上向きに離れる方向に伸長する。その他の点では、クリップ486a、486b及びフック286は、互いに同様に使用される。
【0076】
本明細書で説明するいかなる機構も、例えば送出器具の標準的な操作の間ファスナが緩むことを阻止するなどの目的で、ベルトアッセンブリによって搬送されるファスナを実質的に確実に保持しなければならないものと理解頂けるであろう。しかしながら、当該機構は、ファスナが装填室に送出される時に、例えば器具を詰まらせる恐れがなく、ファスナがベルトアッセンブリから容易に解放されることを可能にしなければならない。更に、ファスナと接するベルトアッセンブリの材料は、例えばベルトアッセンブリによって搬送される間、ファスナを損傷する危険性を減らすために非金属であることが望ましい。例えばベルトそれ自体及び/又は尖叉を捕捉する機構など、ファスナと接する構成要素を例えばPEEK ClassixなどのPEEKから作ることが望ましい。これはベルトの引っ掻き傷又はその他の方法でファスナに何らかの表面の傷を作り出す危険性を減らすことができる。
【0077】
本発明の実施形態を提示及び説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変更を施すことは可能である。従って本発明は、この後に続く特許請求の範囲及びその等価物を除いて、制限されてはならないものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、装置を組織又は他の装置に締結する装置及び方法に関し、より厳密には、心臓弁置換、他の補綴具の配置、又は、創傷閉鎖、吻合、ヘルニアの修復及び動脈瘤修復のための移植処置のような一般外科手術及び血管手術での身体臓器の修復の間にファスナを送出する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工心臓弁は、患者の欠陥があるヒト弁を置き換えるために使用されてきた。人工弁は、概略的には、弁部材に取り付けられる及び/又は弁部材の周囲で伸長する縫合輪又は縫合カフを含む。縫合輪は、針及び縫合糸が貫通できる生体適合性織物及び/又は他の材料で作られる。縫合輪は、単一要素の人工弁の一部であり、又は複数要素で構成される人工弁アッセンブリの一部である。
【0003】
標準的な大動脈弁置換処置では、大動脈が切開され、繊維性組織層又は組織輪を含む場合もある所望の配置部位を残しながら、欠陥がある弁尖は除去される。縫合糸搬送針は、繊維性組織又は組織輪の中の所望の配置部位を貫通して導かれ、一連の縫合を形成する。縫合糸の自由端は、胸腔から外へ伸長され、間隔を空けて患者の身体上に置かれる。
【0004】
針及び縫合糸は、その後、個別に縫合輪の中を通して縫い進められ、標準的には、縫合輪の中を通して12から20(12−20)の縫合糸を送出する。縫合糸が縫合輪を通って導かれると、縫合糸は、引き抜かれるように教示され、縫合輪は、縫合糸の上を滑動する又は配置部位組織の付近の場所へ「投下」される。縫合輪は、その後、縫合糸の糸結びで適所に固定される。多くの場合、医師は、縫合糸毎に3個から10個の結び目を使用するので、この処置では多くの時間が費やされる。
【0005】
縫合輪が、複数の構成要素を有する補綴具の弁部材から分離している場合、弁部材は、配置部位へ案内され、縫合輪に固定される。縫合糸は、縫合輪を生物質量に固定するためだけではなく、弁部材を縫合輪に(ひいては組織輪に)固定するために、結び付けられる。
【0006】
心臓弁置換処置の間、患者には、患者の酸素レベルを下げる可能性、及び/又は非生理学的血流力学をもたらす可能性がある心肺バイパス(CPB)が施される。患者がCPB状態にある時間が長ければ長いほど、長期的又は永続的にさえなってしまうような健康被害の危険性が増す。現行の縫合技法では、CPBの期間が延長され、その結果、患者に起因する健康の危険性が増える。更に、縫合によって作られる固定力は、同じ医師であっても縫合毎にかなり異なる。
【0007】
輪の縫合は、更に、弁開口部に固定するに当たって単調で時間のかかるものとなる。複数の構成要素心臓弁を取り付けるために、例えば単一の構成要素を生体内の別の構成要素に縫い込む必要があるので、結果的には複雑で時間のかかる過程になる。処置の複雑さは、更に、より多くの誤りの生じる機会を呈し、且つ患者に長期間に亘って心肺バイパスを使用する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、装置を組織及び/又は他の装置に締結する装置及び方法に、より厳密には、心臓弁置換の間にファスナを送出する装置及び方法に着眼している。例えば、装置及び方法は、補綴具を周囲組織に固定するために、又は1つの補綴具を別の補綴具に又は補綴具の一部を配位補綴具に固定するために、1又は2以上のファスナを配備する段階を含んでもよい。
【0009】
1つの実施形態によれば、弛緩状態のそれぞれのファスナの尖叉を解放可能に係合させる対の機構を含むベルトと、弛緩状態のベルトからファスナを受け入れる装填室と、装填室の内部でファスナの動きを制限する解放可能な保持部材と、装填室に連通している放出軌道と、アクチュエータを含むハンドルと、アクチュエータと連結されるタング及び押し部材と、を含んでいるファスナ送出器具が提供されており、アクチュエータの作動が、タングを進めてファスナを弛緩状態から拘束状態へ変形させるように尖叉に係合させ、押し部材を進めてファスナを装填室から下方に放出軌道へ進める。
【0010】
別の実施形態によれば、アクチュエータを含むハウジングと、ハウジングから伸長し、複数のファスナを搬送するカートリッジアッセンブリであって、当該カートリッジアッセンブリは、弛緩状態のそれぞれのファスナの尖叉を解放可能に係合させる対になった機構を含むベルトを備えており、それぞれのファスナは、弛緩状態の尖叉の間でループを画定しているカートリッジアッセンブリと、弛緩状態のベルトからファスナを連続的に受け入れる装填室と、装填室の内部で受け取られるファスナの動きを制限する保持部材と、装填室と連通している放出軌道と、アクチュエータと連結されるタング及び押し部材と、を含んでいるファスナ送出器具が提供され。1つの実施形態では、アクチュエータの作動が、タングを進めて装填室内部に受入れられたファスナを弛緩状態からU字型拘束状態へ変形させるように尖叉に係合させ、押し部材を進めてファスナを装填室から下方に放出軌道へ進め、更にベルトを進めて装填室内部に別のファスナを送出する。
【0011】
更に別の実施形態によれば、アクチュエータを含むハウジングと、ハウジングから伸長し、遠位先端部で終端する細長いシャフトであって、当該シャフトは、弛緩状態のそれぞれのファスナの尖叉を解放可能に係合させる対になった機構を含むベルトアッセンブリをその中に備えており、それぞれのファスナは弛緩状態の尖叉の間でループを画定している細長いシャフトと、弛緩状態にあるベルトからファスナを連続的に受け入れる遠位先端部の装填室と、装填室内部で受け取られるファスナの動きを制限する保持部材と、装填室に連通している放出軌道と、アクチュエータと連結されるタング及び押し部材と、を含んでいるファスナ送出器具が、提供されている。1つの実施形態では、アクチュエータの作動が、タングを進めて装填室内部に受入れられたファスナを弛緩状態からU字型拘束状態へ変形させるように尖叉に係合させ、且つ押し部材を進めてファスナを装填室から下方に放出軌道へ進める。アクチュエータは、ベルトを進めて他の作動段階の前又は後に装填室内部のファスナを送出してもよい。
【0012】
更に別の実施形態によれば、複数のファスナを搬送するベルトアッセンブリを含む器具を使用してファスナを送出する方法が提供されており、当該方法は、第1のファスナをベルトアッセンブリから保持部材に送出するためにベルトアッセンブリを進める段階であって、ファスナは一対の尖叉を備えている段階と、ファスナを弛緩状態から拘束状態へ変形するために抑制されたファスナに対して送出器具のタングを進める段階と、ファスナが拘束状態にありながら、保持部材からファスナを解放する段階と、送出器具内部で拘束状態のファスナを遠位方向に進める段階と、送出器具からファスナを放出する段階と、第2のファスナをベルトアッセンブリから保持部材へ送出するためにベルトアッセンブリを進める段階と、を含んでいる。
【0013】
更に別の実施形態によれば、弛緩状態の複数の尖叉を有するファスナを受け入れる装填室を含むファスナ送出器具が提供されている。当該器具は、装填室内部でファスナの動きを制限する解放可能なピン又は他の保持部材を更に含んでいる。放出軌道は装填室と連結されている。レバーと、レバーと連結されるタング及び押し部材と、を含むハンドルが提供されている。レバーの動きは、ファスナを弛緩状態から拘束状態へ変形するように尖叉に係合させるためにタングを進める。レバーの動きは、ファスナを装填室から下方に放出軌道へ更に進める。引き金は、ファスナを器具から放出するために押し下げられる。1つの実施形態では、ファスナは、弛緩状態で重なり合っている尖叉を含んでおり、尖叉は、拘束状態で引き離され、その結果、尖叉は、解放されると弛緩状態に戻るために付勢される。
【0014】
別の実施形態では、その中にファスナを有するファスナ送出器具を使用してファスナを送出する方法が提供されており、ファスナは、弛緩状態の一対の尖叉を含んでいる。ファスナは、解放可能な保持部材を使用してファスナ送出器具に固定される。ファスナが解放可能な保持部材で固定されている状態で、タングは、ファスナを弛緩状態から拘束状態へ変形させるようにファスナ送出器具の中で進められる。保持部材は解放され、ファスナは、押し部材を使用してファスナ送出器具の内部において拘束状態で遠位方向に進められる。ファスナは、アクチュエータを押し下げることでファスナ送出器具から放出される。
【0015】
更に別の実施形態では、弛緩状態の複数の尖叉を有する少なくとも1つのファスナを受け入れる装填室であって、当該装填室は、ファスナが装填される解放ピンを含んでいる装填室を含むファスナ送出器具が提供されている。当該器具は、装填室に連通している放出軌道と、タング及び押し部材と連結されるレバーと、を更に含んでいる。タングは、ファスナを弛緩状態から拘束状態へ変形させるようにファスナの複数の尖叉と係合可能である。押し部材も、ファスナを器具の遠位先端部へ平行移動させるようにファスナの近位端部(例えばループ部分)と係合可能である。ファスナは、その後引き金又は他のアクチュエータを押し下げることで放出される。
【0016】
更に別の実施形態では、複数のファスナが装填される中継区域又は区分を含むファスナ送出器具が提供されている。ファスナは個別に又はカートリッジの中に入って装填される。複数のファスナが器具に装填されるので、使用者は、放出の合間に再装填する必要なしに複数のファスナを連続的に放出又は「射出」することが可能になっている。
【0017】
本発明の他の態様及び特徴は、添付の図面と併せて以下の説明を考察頂ければ明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ファスナ送出器具の装填室の中へ装填されたファスナを包含するカートリッジを含むファスナ送出器具の例示的な実施形態の側面図である。
【図2(a)】図1で示すファスナ送出器具の遠位端部の側方断面図であり、装填室の中へ(矢印A)装填されるファスナを示している。
【図2(b)】図2(a)で示すファスナ送出器具の遠位先端部の上方断面図である。
【図3(a)】図1で示すファスナ送出器具の遠位端部の側方断面図であり、カートリッジリテーナの遠位方向(矢印B)への最初の前進を示している。
【図3(b)】図3(a)で示すファスナ送出器具の遠位先端部の上方断面図である。
【図4(a)】図1で示すファスナ送出器具の遠位先端部の側方断面図であり、カートリッジリテーナの完全に前進した状態を示している。図4(a)で分かるように、ファスナの尖叉は、カートリッジリテーナ及び連結されたスプレッダの前進に因り、共により近づいている。
【図4(b)】図4(a)で示すファスナ送出器具の遠位端部の上方断面図であり、タングの遠位方向への最初の前進を示している。
【図5(a)】図1で示すファスナ送出器具の遠位先端部の側方断面図であり、進められ、ファスナのループに入っているタングを示している。
【図5(b)】図5(a)で示すファスナ送出器具の遠位先端部の上方断面図であり、ファスナのループに入っているタングを示している。
【図6(a)】図1で示すファスナ送出器具の遠位先端部の側方断面図であり、ファスナの拘束形状(即ち、U字型形状)への変形状態を示している。タングの遠位方向への前進は、ファスナの尖叉を外側に広げ、U字型形状を形成している。
【図6(b)】図6(a)で示すファスナ送出器具の遠位先端部の上方断面図である。
【図7(a)】図1で示すファスナ送出器具の遠位先端部の側方断面図であり、押し部材の前進を介したファスナの遠位方向への移動を示している。タングも、ファスナと共に遠位方向に移動し、U字型形状を維持することに役立っている。
【図7(b)】図7(a)で示すファスナ送出器具の遠位先端部の上方断面図であり、ファスナ送出器具の最遠位端部を幾らか超えて突出するファスナの尖叉を示している。
【図8】(a)は、明瞭にする目的でハンドル及びレバーを除去した状態の図1のファスナ送出器具の部分トップダウン平面図であり、空であり、ファスナを包含しているカートリッジを受け入れる準備ができている装填室を示し、(b)は線A−Aに沿う図8(a)のファスナ送出器具の側方断面図である。
【図9】(a)は明瞭にする目的でハンドル及びレバーを除去した状態の図1のファスナ送出器具の部分トップダウン平面図であり、ファスナ送出器具の装填室に装填されているファスナを示し、(b)は線B−Bに沿う図9(a)のファスナ送出器具の側方断面図である。
【図10】(a)は明瞭にする目的でハンドル及びレバーを除去した状態の図1のファスナ送出器具の部分のトップダウン平面図であり、ファスナの2つの尖叉を互いに近づくように引き寄せるスプレッダを介してファスナを固定するために遠位方向に進められたカートリッジリテーナを示し、(b)は線C−Cに沿う図10(a)のファスナ送出器具の側方断面図である。
【図11】(a)は明瞭にする目的でハンドル及びレバーを除去した状態の図1のファスナ送出器具の部分トップダウン平面図であり、ファスナのループ部分の中へ嵌るために遠位方向に進められたタングを示し、(b)は線D−Dに沿う図11(a)のファスナ送出器具の側方断面図である。
【図12】(a)は明瞭にする目的でハンドル及びレバーを除去した状態の図1のファスナ送出器具の部分トップダウン平面図であり、ファスナをU字型形状に変形するタングの追加的な遠位方向変位を示し、(b)は線E−Eに沿う図12(a)のファスナ送出器具の側方断面図である。
【図13】(a)は明瞭にする目的でハンドル及びレバーを除去した状態の図1のファスナ送出器具の部分トップダウン平面図であり、ファスナが遠位方向に進められたことで、2つの尖叉は、ファスナ送出器具の放出軌道の最遠位端部を幾らか超えて突出することになっていることを示し、(b)は線F−Fに沿う図13(a)のファスナ送出器具の側方断面図である。
【図14】(a)は明瞭にする目的でハンドル及びレバーを除去した状態の図1のファスナ送出器具の部分トップダウン平面図であり、U字型形状で、ファスナ送出器具の放出軌道からファスナが放出されていることを示し、(b)は線G−Gに沿う図14(a)のファスナ送出器具の側方断面図である。
【図15(a)】ファスナ送出器具の実施形態の側面図であり、装置の装填室の中へ装填されているカートリッジを示している。
【図15(b)】図15(a)で示すファスナ送出器具の側面図であり、カートリッジを覆うように遠位方向(図15(b)の矢印を参照)に進められるカートリッジリテーナを示している。
【図15(c)】図15(a)で示すファスナ送出器具の側面図であり、レバーの作動によってカートリッジからファスナ送出器具の遠位先端部まで移動されるファスナを示している。
【図15(d)】図15(a)で示すファスナ送出器具の側面図であり、レバーの追加的作動による放出ばねの圧縮を示している。
【図15(e)】図15(a)で示すファスナ送出器具の側面図であり、完全に装填されており、ファスナを配備する準備ができているファスナ送出器具を示している。
【図16】図16(a)及び図16(b)はファスナ送出器具用の細長い遠位先端部の例示的な形状を示している、それぞれ、上面図及び側面図である。
【図17(a)】患者の身体の断面図であり、例示的なファスナによって組織体環内部に固定された人工弁を示している。
【図17(b)】患者の身体の断面図であり、ファスナを人工弁の一部の中を通して周囲組織の中に送出しているファスナ送出器具を示している。
【図17(c)】人工弁の外周周りに配備された複数のファスナを示している放射線写真である。
【図18】複数のファスナを収納するファスナ送出器具の代替的な実施形態である。
【図19】(a)及び(b)は、ファスナ送出器具の別の実施形態の側面図であり、非装填及び装填位置にある器具のハンドルに付いたレバーを示している。
【図20】(a)及び(b)は、ハンドルの内部構成要素を示すためにカバーを除去した状態の、図19(a)及び図19(b)のそれぞれの器具の側面図である。
【図21(a)】図19(a)及び図19(b)の器具の前端部の斜視図である。
【図21】(b)及び(c)は、図21(a)で示す器具の前端部の側方断面図であり、左側及び右側をそれぞれ示している。
【図22】空気圧式アクチュエータを含むファスナ送出器具の代替的な実施形態の斜視図である。
【図23】(a)から(c)は、図22の器具の側面図及び上面図である。
【図24】(a)及び(b)は、その中でファスナを搬送しているカートリッジアッセンブリを示すためにカバーを除去している図22の器具の上面図である。
【図25】(a)及び(b)は、ラッチ作動を阻止するためにロックアウトされている及びラッチ作動を可能にするために係合している射出ボタンをそれぞれ示している、図24(a)及び図24(b)の器具の詳細部である。
【図26】(a)及び(b)は、カバーが前端部を覆って取り付けられている及び除去されているそれぞれの状態の、図22の器具の前端部の詳細部であり、前端部内部で搬送されているファスナを示している。
【図27】(a)から(c)は、図22の器具の前端部の追加的な詳細部である。
【図28】(a)及び(b)は、図19(a)から図21(c)又は図22から図27(c)のファスナ送出器具に設けられる遠位端部の斜視図である。
【図28(c)】図28(a)の遠位端部の詳細部であり、ベルトで搬送される複数のファスナを示している。
【図29】(a)及び(b)は、それぞれは、図28(a)から図28(c)で示す遠位端部に取り付けられるベルトアッセンブリの側面図及び斜視図である。
【図29(c)】図29(a)のベルトアッセンブリの詳細部である。
【図30】図29(a)から図29(c)のベルトアッセンブリに含まれる一対のベルトの例示的な実施形態の上面図である。
【図31】(a)及び(b)は、それぞれは、ベルトアッセンブリに含まれるベルトの別の例示的な実施形態の側面図及び斜視図であり、ベルトアッセンブリによって搬送されるファスナの脚部を受け入れるクリップ機構の代替的な実施形態を示している。
【図31(c)】線31(c)―31(c)に沿う、図31(a)のベルトを通る断面図である。
【図32】複数のファスナを搬送している図31(a)から図31(c)の実施形態に類似した一対のベルトの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面中、図1は、第1の実施形態のファスナ送出器具2を示している。ファスナ送出器具2は、1又は2以上のファスナ6(下記でより詳細に説明する)が、放出される遠位先端部4又はくちばし状部と、ファスナ6を配置及び/又は送出する間、使用者によって把持される近位端部8と、を含んでいる。器具2の遠位先端部4及び近位端部8は、細長いシャフト9によって隔てられている。ファスナ6は、ファスナ送出器具2の中へ装填されるカートリッジ7の内部に格納される。ファスナ送出器具2は、レバー12又は1つ又は複数のファスナ6を配備するために使用される他のアクチュエータを有する近位方向に位置付けられたハンドル10を更に含んでいる。ハンドル10は、使用者が、ファスナ送出器具2を所定の位置へと容易に操作することができるように人間工学的な形状をしている。ハンドル10は、好適なことに、例えばファスナ6を器具2の遠位先端部4から放出するために使用される押し下げボタンなどのばね付勢式引き金14を含んでいる。
【0020】
シャフト9の軸方向に沿って移動可能であるカートリッジリテーナ16が、シャフト9に設けられている。下記でより十分に説明するように、カートリッジリテーナ16は、ファスナ6のその後の配備工程の間カートリッジ7を保持する又は他の方法で固定するために使用することができる。更に、カートリッジリテーナ16は、ファスナ6を部分的に拘束した又は伸張した状態に変形することができる。
【0021】
図2(a)及び図2(b)は、ファスナ送出器具2の遠位端部を示している。図2(a)で最も分かり易く示すように、ファスナ6は、例えば親状態すなわち弛緩状態で、カートリッジ7の中に予め装填されてもよい。弛緩状態では、ファスナ6は、互いに対して角度を成している一対の重なり合った尖叉6(a)、6(b)(図2(b)で最も分かり易く示す)を含んでいる。ファスナ6は、例えば尖叉6(a)、6(b)の端部によって画定されるループ部分6(c)を更に含んでいる。例示的な実施形態では、ファスナ6は、ニッケルチタン合金(ニチノール)のような弾性又は超弾性材料から形成されるのがよい。器具2を使用して送出されるファスナの例示的な実施形態に関する追加的な情報は、同時係属出願の2003年10月8日出願の第10/681,700号及び2004年12月3日出願の第11/004,445号で開示されており、同出願の開示全体をそのまま参考文献としてここに援用する。
【0022】
ファスナ6は、カートリッジ7の溝7(a)又はスロットに固定又は他の方法で保持される。ファスナ6を包含するカートリッジ7は、シャフト9の遠位端部に位置する装填室18の中へ(図2(a)の矢印Aの方向で)挿入されるのがよい。この装填過程の間、ファスナ6のループ部分6(c)は、ピン又は他の保持部材20の真上で下ろされるのがよい。保持部材20は、係合状態(図2(b)で示す)及び非係合状態(下記でより詳細に説明する)の間を移行できる。保持部材20は、ばね22又は他の付勢機構によって係合状態で付勢されるのがよい。保持部材20は、ファスナ6を弛緩した親状態から拘束状態(例えば、U字型形状)に移行する過程の間、ファスナ6を器具2の内部で固定するのが有利である。
【0023】
更に図2(a)及び図2(b)を参照すると、器具2の遠位先端部4は、放出軌道23を含んでいる。放出軌道23は、装填室18に接続される又は他の方法で連通している。ファスナ6の配備の間、尖叉6(a)、6(b)は、U字型形状になるように強いられ、ファスナ6は、装填室18から放出軌道23の中へ進められる(下記でより詳細に説明する)。
【0024】
図3(a)及び図3(b)は、ファスナ6を配備する段階を含む次の工程を示している。図3(a)及び図3(b)で分かるように、カートリッジリテーナ16は、遠位方向に(図3(a)では矢印Bで示す)進めることができる。1つの実施形態では、カートリッジリテーナ16は、例えばうね16(a)の上で指を押し下げることによって手動で進めることができる。或いは、カートリッジリテーナ16は、例えばハンドル10の動作を介して、更に自動的に進めることができる。カートリッジリテーナ16は、ファスナ6の尖叉6(a)、6(b)と係合できるスプレッダ24に連結される。スプレッダ24は、ファスナ尖叉6(a)、6(b)を受け入れることのできるスロット又は溝を含むのがよい。カートリッジリテーナ16が図3(a)及び図3(b)に示す位置から図4(a)及び図4(b)に示す位置まで移動することで、スプレッダ24も遠位方向に動かされる。スプレッダ24はファスナ6の尖叉6(a)、6(b)に接触し、ファスナ6を部分的な拘束状態(図4(b)で最も分かり易く示す)に変形する。
【0025】
図5(a)及び図5(b)は、図5(b)で示す矢印Cの方向に進んでいるタング26を示している。図2(a)及び図3(a)で最も分かり易く示すように、タング26は、1又は2以上の歯26(a)を含んでいる。タング26は、矢印Cの方向に進められ、1又は2以上の歯26(a)は、ファスナ6(c)のループ6(c)の中に嵌る。図5(a)及び図5(b)は、ファスナループ6(c)の中の歯26(a)を示している。タング26は、ファスナ6を部分的な拘束状態から全体的な拘束状態(即ち、U字型形状)へ移行させるために、図6(a)及び図6(b)で示すような遠位方向に更に進められる。U字型形状は、例えば保持部材20を使用するなどしてファスナ6の近位端部又はループ部分6(c)を保持しながら、タング26の歯26(a)を使用してファスナ6の尖叉6(a)、6(b)を強制的に引き離すことによって獲得される。
【0026】
図7(a)及び図7(b)は、放出軌道23を通って進められるファスナ6を示している。ファスナ6が、U字型形状であると見なされると、保持部材20は、係合状態から非係合状態へ動かされる。図7(a)は、非係合状態の保持部材20を示している。非係合状態の保持部材20では、ファスナ6は、放出軌道23を遠位方向に下方へ自由に動くことができる。1つの実施形態では、保持部材20は、保持部材20の上に位置するカム構造20(a)が押し部材30(図7(a)参照)と相互作用することによって、係合状態から非係合状態まで動かされる。例えば、係合状態では、保持部材20のカム構造20(a)は、押し部材30の対応する溝30(a)の中に置かれる。押し部材30が遠位方向に進められると、カム構造20(a)は、溝30(a)から外へ押し出され、保持部材20を強制的に非係合状態にする。
【0027】
更に図7(a)及び図7(b)を参照すると、押し部材30は、ファスナ6の近位端部と接触し、ファスナ6を下方に放出軌道23に押す又は進める。1つの実施形態では、押し部材30は、ファスナ6が図7(a)及び図7(b)で示す放出軌道23の中の或る位置に達するまでファスナ6を進め続ける。この位置では、ファスナ6は、尖叉6(a)、6(b)が器具2の最遠位端部から幾らか突出するように位置決めされる。
【0028】
この構成は、医師又は他の使用者が、最適な挿入場所を求めて組織の区域を調べることを可能にする。例えば、医師は、石灰化又は血小板が蓄積しており、ファスナ6の配置には適していない可能性のある組織の区域を調べることができる。その際、医師は、代わりに、石灰化した位置付近の別のより好ましい可能性のある位置に動かすことができる。好ましい位置に達すると、ファスナ6は、例えば引き金14を押し下げることで(例えば、図15(e)で示す)器具2から完全に放出される。
【0029】
図8(a)及び図8(b)は、明瞭にする目的でハンドル10及びレバー12を除去したファスナ送出器具2の一部の上面部及び側面図をそれぞれ示している。図8(a)及び図8(b)では、装置の装填室18は、空であり、カートリッジリテーナ16は、近位方向に引き出されているので、ファスナ6を器具2の中へ搬入する別のカートリッジ7の装填が可能になっている。図9(a)及び図9(b)は、1つのファスナ6を装填したファスナ送出器具2(カートリッジ7は、単に明瞭にする目的で表示せず)を示している。図9(a)で示すように、ファスナ6は、弛緩又は親状態にある。次に、図10(a)及び図10(b)を参照すると、カートリッジリテーナ16は、その後、スプレッダ24の内部でファスナ6を部分的に拘束するために遠位方向に進められる(図10(a)で示す)。
【0030】
図11(a)及び図11(b)を参照すると、ハンドル10のレバー12を追加的に押し下げることで、タング26を進め、その結果、歯26(a)がファスナのループ部分6(c)の中へ嵌っている(図11(b)で最も分かり易く示す)。タング26は、ハンドルのレバー12が押し下げられると遠位方向に移動される引き金アッセンブリ32に固定して連結されている。引き金アッセンブリ32は、作動レバー12に連結される前進機構34に対して付勢される。レバー12の作動は、前進機構34を遠位方向に変位させる。この遠位変位は、ばね36を介して引き金アッセンブリ32へ伝えられる。ばね36は、実質的に堅固であるので、圧縮段階(下記で詳細に検討する)の前に、前進機構34及び引き金アッセンブリ32の間で剛性リンク機構としての機能を果たすことになる。圧縮段階前の前進機構34及び引き金アッセンブリ32(及び連結されたタング26)の移動は、図11(a)、図11(b)、図12(a)及び図12(b)で最もよく分かり易く示されている。
【0031】
次に、図12(a)及び図12(b)を参照すると、ファスナ6は、次に、タング26を遠位方向に進めることによって、例えば、器具2のハンドル10を部分的に押し下げることによって、完全に拘束された状態(即ち、U字型形状)に変形される。タング26の歯26(a)は、ファスナ6をU字型形状の中へ導くためにファスナ6の尖叉6(a)、6(b)の間で進むのがよい。この段階では、ファスナ6は、保持部材20によって依然として保持されるのがよい。
【0032】
図13(a)及び図13(b)は、押し部材30に固定して連結されるクランプ38に当接及び押圧している引き金アッセンブリ32を示している。クランプ38の遠位方向の動きは、器具2の内部で押し部材30の対応する遠位方向の動きを引き起こす。押し部材30は、その後、遠位方向に進み、その結果保持部材20のカム20(a)は、押し部材の溝30(a)から出て、それによって保持部材20を解放位置に動かす。ハンドル12の追加的な前進は、ファスナ6を器具の放出軌道23へ下方に押す。この配備段階の間、タング26及び押し部材30の両方は、揃って遠位方向に動く。ファスナ6の前進は、尖叉6(a)、6(b)が器具2の最遠位端部を超えて突出するその時に停止する(図13(a)及び図13(b)で示す)。
【0033】
図14(a)及び図14(b)は、ファスナ6の器具2からの放出を示している。ばね36が完全に圧縮され、作動レバー12が図15(e)に示す位置になった後、引き金14を押し下げる(図14(b)では矢印Dで図示)と、押し部材30を遠位方向に迅速に移動させ、ファスナ6を放出軌道23から完全に放出する。図14(a)で最も分かり易く示すように、ファスナ6は、U字型形状で隣接する組織(図示せず)の中へ放出される。
【0034】
図8から図14で示すように、器具2は、ファスナ6が器具2から放出された後、機械式リンク機構(例えば、タング26、押し部材30及び関連付けられた引き金アッセンブリ32及び前進機構34)を復元するために有用な、近位方向に位置する復元ばね40を更に含む。
【0035】
図15(a)から図15(e)は、ファスナ送出器具2を使用してファスナ6を送出するために用いられる例示的な方法の様々な段階を示している。図15(a)は、装填されたファスナ6を器具2の装填室18に搬入するカートリッジ7を示している。図15(b)は、遠位方向(図15(b)の矢印の方向)に動かされるカートリッジリテーナ16を示している。カートリッジリテーナ16のこの動きは、部分的に拘束された状態のファスナ6を設置するために、スプレッダ24(図15で図示せず)を進める。図15(c)は、部分的に押し下げられているハンドル10を示している。この段階で、タング26の歯26(a)は、ファスナ6のループ部分の中へ嵌り、上述のようにファスナ6をU字型形状へ変形させるために、更に遠位方向に進む。ハンドル10の追加的な動きは、ファスナ6を器具2の装填室18から遠位先端部4の放出軌道23へ移動させる。
【0036】
図15(d)は、同じく上述のように、作動レバー12が図15(d)に示す矢印Aの方向に動くことでばね36を圧縮させる、圧縮又は負荷駆動段階を示している。図15(e)は、完全に装填された状態の器具2を示している。ファスナ6は、尖叉6(a)、6(b)が放出軌道23から遠位方向に突出している状態の器具2の遠位先端部4に配置されている。ばね仕掛け引き金14は、その後、ファスナ6を器具2から完全に放出するために押し下げられる。
【0037】
図16(a)及び図16(b)は、器具2の細長い遠位先端部又はくちばし状部4に使用される代替的な形状A、B及びCを示している。器具2は、送出過程を円滑にするために様々な長さの遠位先端部4を含むのがよい。例えば先端部4は、約10及び400ミリメータ(10−400mm)の間、又は約5及び50ミリメータ(5−50mm)の間の長さを有するのがよい。
【0038】
先端部4は、器具2と一体化して形成されるのがよい。或いは、先端部4は、取り外し可能及び/又は交換可能であってもよい。この代替案では、先端部4及び/又は器具2は、個々の先端部4を器具2に取り外し可能に取り付けるために1又は2以上の戻り止め又は他のコネクタ(図示せず)を含むのがよい。更に、図16(b)で最も分かり易く示すように、細長い遠位先端部又はくちばし状部4は、使用者の視野を大きくする及び/又は他の方法でファスナの送出を円滑にするために、様々な幾何学又は側断面、例えば折り曲げ部、湾曲部を含むのがよい。従って、先端部4及び/又は器具2は、処置の間に遭遇する特定の解剖学的な想起されるものを考慮したうえで選択される。
【0039】
例えば、図16(b)に示す先端部Aは、細長い遠位先端部4が実質的に直線状の又は平たい輪郭を有する形状を図示している。先端部Bは、遠位先端部4の中間部分が、器具2の平面から折り曲げられた又は湾曲した別の形状を図示している。折り曲げ又は湾曲形状は、周囲組織90の表面に対して概ね直角又は垂直なファスナ6を送出するのに特に有用であるのがよい。先端部Cは、遠位先端部4が器具2の長手方向に対して角度を成している別の形状を図示している。
【0040】
次に、図17(a)から図17(c)を参照すると、ここで説明する実施形態の何れかである器具2は、例えば心臓弁置換処置の間に1又は2以上のファスナ6を送出するために使用される。例えば器具2は、複数のファスナ6を縫合カフ又は輪51(図17(b)参照)及び/又は人工心臓弁アッセンブリ50の他の構成要素の中を通して周辺組織の中へ送出するために使用される。或いは、器具2は、例えば他の装置を組織又は別の装置に固定するために、又は組織構造をまとめて固定する目的で1又は2以上のファスナ6を送出するために使用されるものであることが解る。
【0041】
図17(a)で示すように、人工弁50は、例えば、縫合カフ51を含むのがよいガスケット部材52及び弁部材又は「クラウン」53を含んでいるような、フレーム及び複数の葉状部(簡潔にするために図示せず)を含んでいるような、複数の構成要素補綴具である。器具2を使用して植え込まれる、及び/又は他の方法で取り付けられる単一の又は複数の構成要素人工心臓弁アッセンブリの例示的実施形態は、米国特許第6,371,983号及び第10/327,821号として出願された米国公開第2004/0122516号、第10/646,639号として出願された米国公開第2005/0043760号、第10/765,725号として出願された米国公開第2005/0165479号、第11/069,081号として出願された米国公開第2006/0195184号、第11/420,720号として出願された米国公開第2007/0016285号、第11/742,390号として出願された米国公開第2007/0260305号及び第11/742,424号として出願された米国公開第2008/0033543号に開示されており、同出願の開示全体をそのまま参考文献としてここに援用する。
【0042】
最初に、ガスケット部材52は、例えば別個の器具(図示せず)を使用して生物学的体環90の中へ進められ、所望の位置、例えば自然弁尖が除去された部位で維持されるのがよい。器具2(ファスナ6を装填した)の遠位先端部4は、先端部4が縫合カフ51に対して実質的に垂直である状態で縫合カフ51に当たるように位置付けられるのがよい。器具2は、例えばレバー12及び/又は引き金14を作動させることによって、ファスナ6を縫合カフ51の中を通して下層組織へ送出するように作動されるのがよい。オプションとして、更に下記で説明するように、器具2は、例えばファスナ6が縫合カフ51及び/又は組織に対して適切に並置されることを確実にする目的で、器具2によって縫合カフ51及び/又は下層組織に対して十分な力が掛けられない場合にはファスナ6の送出を阻止する、安全ロックアウト機構を含んでもよい。
【0043】
ファスナ6が遠位先端部4から放出されると、ファスナ6の尖叉は、少なくとも部分的に組織の内部を再横断でき、これによってファスナ6のループの中で縫合カフ51及び下層組織の一部分を捕捉する。複数のファスナ6が、人工弁50を周囲組織90に取り付けるために縫合カフ51の外周周りに連続的に送出される。
【0044】
図17(a)は、完全配備状態の2つの例示的なファスナ6を示している。図17(a)で示すように、縫合カフ51及び下層組織を穿通した後、ファスナ6は、親又は非拘束状態(ファスナ6の尖叉が少なくとも部分的に重なり合っている)に戻るために付勢される。この点において、人工弁50は、周囲組織90に動かないように固定される。
【0045】
図17(c)は、放射線装置(図示せず)からの例示的な画像又は「放射線写真」を示しており、人工弁50の外周周りに配備された複数のファスナ6を図示している。縫合カフ51(図17(c)では仮想線で示す)は実質的に放射線透過性であり、従って放射線写真では可視的ではないが、ファスナ6及びガスケット部材52の一部は、少なくとも部分的に放射線不透過性であるので、放射線写真で見ることができる。
【0046】
オプションとして、ファスナ6は、例えば弁50を除去する又は特定のファスナを再配置することが望ましい場合などでは、組織90及び/又は人工弁50から取り外し可能であるのがよい。例えばファスナ6が不正確な方向に向いている場合又はファスナ6が組織90の中に十分に深く穿刺していない場合には、器具2からファスナ6が放出された後でファスナを除去するために、例えばプライヤー状器具(図示せず)を使用してもよい。医師は、プライヤー状器具を使用して、少なくとも部分的に露出したままになっているファスナ6のループ部分6(c)を把持するのがよい。ファスナ6は、その後ファスナ6の尖叉を送出部位から取り外すために引っ張られる又は他の方法で近位方向に引き込まれるのがよい。オプションとして、器具が、除去を円滑にするためにファスナ6の尖叉を少なくとも部分的に開くために回転されるのがよい。交換ファスナ6は、上述の方法と同様に、器具2の中へ装填される及び/又は他の方法で送出部位へ送出される。
【0047】
代替的な実施形態では、送出前に同時に又は連続的に複数のファスナ6を器具2の中へ装填することが可能な器具が提供されるのがよい。器具2は、連続するファスナ6を装填するために体腔から除去される必要がなく、これはファスナ6の送出を迅速化できるので、そのような器具2が望ましい。図18は、器具2の実施形態を示しており、準備区域又は区分42に装填された複数のファスナ6を示している。ファスナ6は、器具2の遠位先端部4に向かって遠位方向に連続的に進められる。器具2は1つのカートリッジを器具2に装填するだけで複数のファスナ6を装填できるように、複数のファスナ6を収容するカートリッジ(図示せず)が提供される。
【0048】
次に、図19(a)から図21(c)を参照すると、前述の実施形態と同様に、1又は2以上のファスナ(図示せず)を送出するために使用されるファスナ送出器具102の別の実施形態を示している。器具102は、標準的には、前述の実施形態と同様に、図19(a)から図20(b)で示すレバー112及び引き金114を含むハンドル110と、遠位先端部104で終端となる細長いシャフト109と、を含んでいる。図21(a)から図21(c)で示すように、器具102は、前述の実施形態と同様に、1又は2以上の内部構成要素、例えば細長いシャフト109の内部に保持部材(図示せず)、スプレッダ(図示せず)、タング126、押し部材(図示せず)、及び/又は放出軌道123及び/又は遠位先端部104を含むのがよい。更に、器具102は、下記で更に説明するように、カートリッジ、軌道及び/又は複数のファスナを搬送することができる他の搬送要素(図示せず)を含む。
【0049】
オプションとして、器具102は、取り外し可能に互いに連結し合う2つの別個のサブアッセンブリを含むのがよい。例えば、図21(a)から図21(c)は、ハンドル110から分離でき、更に搬送ハウジング103の作動構成要素をレバー102及び引き金104と連結するためにハンドル110の中へ挿入される搬送ハウジング103を示している。搬送ハウジング103及びハンドル110は、搬送ハウジング103を、例えばレバー112及び引き金114が器具102を作動させることができる適切な方向で、ハンドル110に固定するために1又は2以上の協働コネクタを含むのがよい。例えば、図20(a)で示すように、搬送ハウジング103は、搬送ハウジング103をハンドル110に固定するためにハンドル110の対応するスロット119bで受入れられる1又は2以上のツメ119aを含むのがよい。コネクタは、例えばその中の全てのファスナが送出された後に、搬送ハウジング103をハンドル110から取り外すことを可能にし、その後必要に応じて新しい搬送ハウジング(図示せず)が、追加のファスナを送出するためにハンドル110に連結される。或いは、搬送ハウジング103及びハンドル110は、実質的には永続的に互いに取り付けられたままでもよい。
【0050】
搬送ハウジング103の構成要素は、本明細書の他の部分で説明する実施形態と同様にレバー112及び/又は引き金114の1又は2以上と連結される。例えばレバー112は、図15(a)から図15(e)を参照しながら表示及び説明した、レバー12と概ね同様に構成され、引き金114は、同じく表示及び説明した引き金14と概ね同様に構成される。
【0051】
図19(a)及び図20(a)では、レバー112は、例えば図15(c)で示すレバー12の位置と同じような非装填位置にある。図19(b)及び図20(b)では、レバー112は、例えば細長いシャフト109内部のカートリッジ又は他の搬送要素(図示せず)からファスナを装填するために押し下げられている。例えばレバー112を作動させると、図9(a)から図13(b)で示す順序と同様に、ファスナをカートリッジ、軌道又は他の搬送要素から取り除き、ファスナを弛緩から拘束形状へ変形させ、更にファスナの尖叉が遠位先端部104から露出する(図示せず)ようにファスナを進める。
【0052】
図20(a)及び20(b)で最も分かり易く示すように、レバー112は、レバー112を装填位置に維持するために、ハンドル104内部のばね又は他の受け金具113aと係合できるラッチ113bを含む。従って、レバー112が作動された後、レバー112は、例えば図13(a)及び図13(b)で示す構成と同様に、ファスナの先端部を露出させた状態でロックされる。これは、使用者が、例えばファスナを送出する適切な目標位置を試験する及び/又は他の方法で特定する目的で、ファスナを送出する前に器具102を操作することを容易にする。
【0053】
レバー112は、例えばファスナを装填室へ装填する、ファスナを弛緩形状からU字型形状へ変形させる及び/又はファスナを下方に放出軌道123に進めるために、ラチェット棒112cを介して器具102の作動構成要素に順番に連結される1又は2以上のラチェット車112a、112bに連結される。例えば、図21(b)で示すように、レバー112は、車112a及びラチェット棒112cを介して駆動板116に連結され、当該駆動板は、レバーが作動すると遠位方向に進められる。駆動板116は、器具102の作動構成要素に連結されるアームを包含する複数のスロット116aから116cを含んでいる。例えば、下記で更に説明するように、スロット116aは、アーム117aを受け、当該アームは、前進アーム192に連結され、当該前進アームは、ベルトアッセンブリ又は他の軌道(図示せず)を進めるために使用される。
【0054】
スロット116bは、押し部材(図示せず)に連結されるアーム117bを摺動自在に受け、スロット116cは、スプレッダ(図示せず)に連結されるアーム117cを受ける。別のスロット(図示せず)は、タング(図示せず)に連結されるアーム(同じく図示せず)を受ける駆動板116上に設けられる。レバー112が作動されると、駆動板116は、搬送要素アッセンブリ103の内部で遠位方向に向けられ、それによって、カムがアームをスロット116aから116cの垂直部分から出し、その水平部分へ嵌めるまでアームを遠位方向に向ける。一連のスロット116aから116c及びアーム117は、前述の実施形態で説明した一連のものと同様に機能するのがよい。
【0055】
レバー112が作動し、使用者が、ファスナを送出することを決定すれば、引き金114は、本明細書の他の部分で説明するように、引き金14と同様に作動するのがよい。例えば、レバー112が作動すると、ばね(図示せず)は、図13(a)から図14(b)で示すばね36と同様に、圧縮され、位置エネルギーを蓄える。レバー112が、完全に作動すると、ロック121は、解放されたばねからのエネルギーを回避するために係合する。引き金114が作動すると、ロック121は解放され、ばねは、上述の押し部材30の作動と同様に、ファスナを器具102から放出するために迅速に押し部材(図示せず)を進める。更に、引き金114の作動は、例えば別のファスナの装填及び送出に備えて器具102を「リセット」することができる。例えば、引き金114が作動すると、ラッチ113cは、ばね113をラッチ113bから解放するためにカム114と係合し、それによってレバー112は最初の位置に戻ることができるようになる。
【0056】
オプションとして、器具102の前端部は、例えば細長いシャフト109及び/又は遠位先端部104を覆うカバー又は他のハウジング(図示せず)を含むのがよい。カバーは、所望の審美的な仕上がりを器具102に提供し、及び/又は内側の構成要素を保護するのがよい。更に、カバーは、下記で更に説明するように、例えばカートリッジ又は他の搬送要素(図21(a)から図21(c)では図示せず)を除去する及び/又は器具102の中へ装填するために、細長いシャフト109の内部へのアクセスを提供するのがよい。従って、器具102は、それぞれのファスナを再装填する必要なしに器具102を使用して複数のファスナを連続的に送出させることができる。例えば細長いシャフト109のカバー又はハウジングは、ベルトアッセンブリ又は他のカートリッジ(図示していないが、複数のファスナを搬送する)を器具102に装填することを可能にするために開く又は他の方法で除去することができる。或いは、カバーは、それぞれのファスナを細長いシャフト109のベルト又は他の軌道(図示せず)に装填することを可能にするために開くことができる。別の代替案には、カバーは取り外し可能ではない場合があり、この代替案では、器具102は、器具102を用いて送出される複数のファスナが最初から装填されているベルトアッセンブリ又は軌道を含むのがよい。収容していたファスナが使い果たされると、器具102は、廃棄され、又は再装填のために製造業者に戻される。
【0057】
次に図22から図27(c)を参照すると、ハンドル210、細長いシャフト209及び遠位先端部204(内部に作動構成要素を含む)を含んでいる器具202の別の実施形態が示されており、当該実施形態は、ここで説明する他の実施形態と同様の構成要素を含むのがよい。前述の実施形態とは異なり、器具202は、例えば器具202を使用して1又は2以上のファスナを連続的に装填及び/又は射出するために器具202を作動させる空気シリンダ213を含んでいる。図23(a)から図23(c)は、例えば、ファスナを器具202から送出するために空気シリンダ213を作動させるために使用されるハンドル210上の引き金、射出ボタン又は他のアクチュエータ212を含む器具202の追加的な詳細部を示している。射出ボタン212は、引き金212が作動するとファスナを完全に送出する。或いは、射出ボタン212(又は図示していない別個のアクチュエータ)は、前述の実施形態と同様に、例えば最初の作動でファスナを装填及び部分的に露出させ、その後、最終の作動でファスナを放つ2段階式送出を可能にする。
【0058】
例えば、圧縮空気、二酸化炭素又は他の流体ライン(図示せず)は、少なくとも部分的に器具202を作動させるために空気シリンダ213のコネクタ213aに連結される。流体ラインは、ペダル、弁、又は流体を空気シリンダ213まで送出するために開かれる他のアクチュエータを含むのがよい。この働きは、レバー112と同様に、器具212にカートリッジ又は軌道からファスナを装填させ、器具を変形させ、ファスナを下方に放出軌道223に進めさせる。使用者がファスナを送出する準備が整うと、射出ボタン212は、ファスナを放出するために押し下げられる。使用者は、その後、送出される次のファスナを装填するために流体ラインを再び開くことができる。ファスナを装填するために任意の空気圧式又は油圧式のシステムを使用することができることが解る。或いは、流体ラインは、使用者が流体ラインを作動させる必要なしにファスナを自動的に装填できる。別の代替案では、作動される又は自動的にファスナを装填する内蔵式圧縮流体装置を、器具202のハンドル210に設けてもよい。
【0059】
次に図24(a)から図25(b)を参照すると、前述の器具102と同様に、器具202は、再利用可能な部分、即ちハンドル210と、使い捨て可能な部分、即ち器具202によって送出される複数のファスナ(図示せず)を提供するためにハンドル210に装填される搬送ハウジング207と、を含んでもよい。例えば、図24(a)及び図24(b)で示すように、ハンドル210は、例えば射出ボタン212を空気シリンダ213に連結するハンドル210の内部作動構成要素を含むハウジング270を覆うカバー260を含んでいる。ハウジング270は、例えば図24(a)で示す第1の又は「ロックアウト」位置及び図24(b)で示す第2の又は「作動」位置の間で、カバー260の内部で軸方向に移動可動である。図24(a)及び図24(b)で示すように、ばね268は、ハウジング270をロックアウト位置に付勢するためにハウジング266及びカバー260の間に設けられるが、下記で更に説明するように、カートリッジハウジング207がハンドル210に装填されると、又は器具202の遠位先端部204が目標送出部位に十分な力で押しつけられると、付勢に打ち勝つことができる。
【0060】
搬送ハウジング207は、例えば駆動板(図示せず)又は他の作動構成要素を含む近位ハウジング208と、細長いシャフト209と、放出軌道223、保持部材、スプレッダ、タング及び/又は押し部材(全て図示せず)を含む器具202の遠位先端部204と、を含んでおり、これらは、前述の実施形態と概ね同様に作動する。カバー260は、搬送ハウジング207が搬送ハウジング207の作動構成要素をハンドル210に連結するために挿入される空気シリンダ213の反対側に開いた端部を含むのがよい。或いは、細長いシャフト209及び遠位先端部204は、ハンドル210の一部であるのよく、ベルトアッセンブリ又は他のカートリッジアッセンブリ(図示せず)は、細長いシャフト209及び/又は近位ハウジング208に直接的に装填されるのがよい。
【0061】
ハンドル210は、搬送ハウジング207がハンドル210に適切に装填される及び/又は他の方法で連結されることを確実にする機構を含むのがよい。例えば、図25(a)及び図25(b)は、旋回軸側端部262a及び射出ボタン214の下にある自由端部262bを含むレバーアーム262を示している。搬送ハウジング207がハンドル210で適切に受けられる(又は遠位先端部204が目標送出部位に押し当てられる)前に、レバーアーム262の自由端部262bは、図25(a)で示すように、ハウジング270の上のハブ264に当接する。従って、この位置では、レバーアーム262を内側に向けることができないので、射出ボタン212を押し下げることができない。搬送ハウジング207がハウジング270に装填される、即ち図24(b)の矢印「L」の方向に挿入される際に、ハウジング270は、ばね268の付勢に逆らって軸方向に移動され、その結果、ハブ264をレバーアーム262の自由端部262bの下から近位方向に導く。搬送ハウジング207がハンドル210に適切に座ると、レバーアーム262の自由端部262bは、図25(b)に示すように、ラッチ272上に載ることになる。
【0062】
射出ボタン212が次に押し下げられると、レバーアーム262は、自由端部262bがラッチ272に接触及び押圧するまで内向きに旋回し、ファスナを器具202から送出することを可能にする。従って、ラッチ272が適切に係合されなくても、射出ボタン212は、ロックアウトされ、例えばファスナがその中で動くこと及び/又は器具202から送出されることを阻止するなどし、及び/又はそうでなければ、空気シリンダ213の不慮の作動が原因で器具202への損傷及び/又は使用者への傷害が発生する恐れがある。
【0063】
或いは、搬送ハウジング207が、適切にハンドル210の上に着座した後、器具202は、最初に、図24(a)で示すロックアウト位置に付勢されてもよい。遠位先端部204が、目標送出部位に押し当てられる際、搬送ハウジング207は、図24(b)に示すように、レバーアーム262の自由端部262bをラッチ272の上に位置付けるために、ばね268の付勢に逆らって移動される。ばね268の強度は、ラッチ272が作動されることを可能にするために、所定の最小力が必要とされるように設定される。従って、作動に必要な力は、ファスナ6を目標送出部位に確実に送出するのに十分に並置された状態で、遠位先端部204が目標送出部位、例えば縫合カフ51(図17(b)参照)に押圧されることを確実にする。
【0064】
図22に戻ると、搬送ハウジング207及びハンドル210は、搬送ハウジング207をハウジング270に固定する、及び/又はカバー210に対して作動位置にあるハウジング270を固定する協働コネクタ(図示せず)を含むのがよい。例えば、搬送ハウジング207及びハンドル210は、前述の実施形態と同様にツメ219a及びスロット219bを含むのがよい。搬送ハウジング207がハンドル210に接続される時、ハンドル210の内部作動構成要素は、搬送ハウジング207の細長いシャフト209内部の作動構成要素と連結される。搬送ハウジング207内部のファスナが使い果たされる又は他方で搬送ハウジング207を除去することが所望される場合、ハンドル210をロックアウト位置に戻すこと及び/又は搬送ハウジング207を除去及び/又は他の方法で交換することを可能にすることで、コネクタは解放される。
【0065】
次に図26(a)から図28(c)を参照すると、器具202の細長いシャフト209をより詳細に示している。標準的には、細長いシャフト209は、複数のファスナ6を器具202の遠位先端部204の装填室218に搬送するベルトアッセンブリ280を含んでいる。図26(a)は、ベルトアッセンブリ280(及び他の内部構成要素)を覆って取り付けられているカバー274を備えた細長いシャフト209を示しており、一方、図26(b)は、ベルトアッセンブリ280を露出するためにカバー274が除去されている状態を示している。図22、図27(b)及び図27(c)で最も分かり易く示すように、細長いシャフト209は、硬質の細長い基部又は搬送ハウジング207の第1の端部(ハウジング270で受けられる)から遠位先端部204まで伸長するチャネル209bを画定するシャーシ209aを含んでいる。放出軌道223は、例えば「C」字型断面を有する一対の間隔のあいたレールを含んでおり、送出する間ファスナ6を案内するために装填室218から伸長している。図28(c)で最も分かり易く示すように、保持ピン220は、下記で更に説明するように、ベルトアッセンブリ280から連続的にファスナ6を1つずつ受けるために装填室218に設けられている。前述の実施形態と概ね同様に作動するスプレッダ、タング及び押し部材(図示せず)が、更に、細長いシャフト209及び/又は遠位先端部204の内部に設けられている。
【0066】
更に図29(a)から図29(c)を参照すると、ベルトアッセンブリ280は、標準的には、フレーム282及びフレーム282に対して移動可能な一対のベルト284を含んでいる。フレーム282は、(例えば図27(b)及び図27(c)で示すように、ハウジング270に最も近い)シャーシ209aの内部に配置される第1の端部282a、及び遠位先端部204及び/又は装填室218に隣接して配置される第2の端部282bを含んでいる。フレーム282が使用時には実質的に動かないように、フレーム282は、例えば1又は2以上の協働コネクタ(図示せず)を使用する、接着剤、締まり嵌めなどで固着するなどして、シャーシ209aのチャネル209bの内部で実質的には固定されるのがよい。
【0067】
各ベルト284は、フレーム282の第1及び第2の端部282a、282bのハブ(図示せず)の周りで受けられる無端ベルト又はループであるのがよい。従って、ベルト284は、自由に動くことができるので、例えば、ベルト284の上面は、装填室218に向かって遠位方向に向くことができ、同時にベルト284の下面は、装填室218から離れる近位方向に向く。ハブは、ベルト284の動きを円滑にするために車又は車軸(図示せず)の他の機構を含むのがよい。或いは、各ベルト及び/又はフレーム284のハブは、例えば滑らかな被覆又は材料を含むなど、ベルト284及びハブの間の摩擦を最小に抑える材料から形成されるので、ベルト284は、ハブの周囲で容易に滑動する。
【0068】
例示的な実施形態では、各ベルト284は、フレーム282の端部282a、282bの周りで湾曲する十分な可撓性を有し、且つ例えば接着剤、音波溶接、嵌め合わせコネクタ(図示せず)などを用いて接着することで帯又はループを作り出すために細長い片の端部が互いに結合するような十分な長さを有する、例えば金属、ポリマー及び/又は複合材料などの実質的に非弾性材料の細長い一片から作られる。或いは、分かれているベルト284ではなく、フレーム282の幅に亘って伸張する単一のベルト(図示せず)が提供される。別の代替案では、ベルトは、装填室218の下方でフレーム282によって支持されている軌道に固定される第1の端部と、フレーム282の第1の端部282aに隣接する軌道に固定される第2の端部と、を有する1つ又は2つの細長い片(図示せず)から作られるのがよい。
【0069】
それぞれのベルト284は、ベルトアッセンブリ280に装填されたファスナ6の一部を受け入れる機構、例えばベルトアッセンブリ280に沿ってファスナ6を器具202の装填室218まで解放可能な状態で搬送する機構などを含んでいる。例えば、図29(c)で最も分かり易く示すように、各ベルト284は、それぞれのファスナ6の尖叉6(a)、6(b)を受け入れる複数のフック286を含んでいる。フック286は、例えば射出成形、機械加工などによってベルト材料に直接的に形成される、又はベルト284から分離しており、例えば接着剤、音波溶接、協働コネクタ(図示せず)などによる固着によって取り付けられるのがよい。フック286は、その中で尖叉6(a)、6(b)を受け入れるのに適した大きさの凹部を画定し、例えばフック286は、凹部の周囲少なくとも約180度(180°)まで伸張している。フック286は、ループ部分6(c)が保持ピン220付近で受け取られる時、例えばベルトアッセンブリ280の第1のファスナ6が装填室218の中へ進められる時、尖叉6(a)、6(b)が凹部から解放されるのに十分な可撓性を有している。更に、放出軌道223は、ファスナ6をベルト284から保持ピン220まで案内する傾斜した近位縁部を含む。
【0070】
ベルト284は、ハンドル210に連結されたアクチュエータによって進められる。例えば図27(b)、図27(c)、図28(b)及び図28(c)で示すように、横木290は、ベルト284の間に取り付けられ、例えばこれによってベルト284の動きをまとめて連動させることができる。更に、横木290は、個々のファスナ6が、フック286のそれぞれの対によって解放可能に確実に捕捉されるように、フック286を隣り合う対の状態に維持される。押し棒292は、例えば器具202の各作動によってベルト284を進めるなどの目的で、横木290と連結される。例えば、押し棒292は、最初に、例えばループ部分6(c)が保持ピン220で受け取られるように(図28(c)参照)、第1のファスナ6を装填室218に誘導するために進められる。射出ボタン212(又は器具102のレバー112)が作動すると、前述の実施形態と同様に、ファスナ6は、U字型形状に変形され、放出軌道223(又は123)に下方に進められる。ファスナ6が放出軌道223(又は123)から押し出されると、押し棒292は、次のファスナ6を装填室218に及び/又は保持ピン220に送出するのに十分に進められる。
【0071】
或いは、押し棒は、ファスナとファスナの間で後退及び前進される。例えば図21(b)及び図21(c)で示すように、前進アーム192が、器具102の内部、例えば図21(b)及び図21(c)の搬送ハウジング103内部又は図22の近位ハウジング208内部に設けられる。前進アーム192は、押し棒292がファスナを進めるために連結される軌道194の要素に接触する先端部192aを含んでいる。例えば図21(c)で示すように、先端部192aは、前進時、軌道194の凹部194aの丸みを帯びた縁部と接触し、後退時、凹部194aの上を近位方向に滑動する。従って、レバー102が最初に押し下げられると、前進アーム192は、ベルト上のファスナ間隔に対応する所定の距離だけ進められ、先端部192aは、軌道194を進めるために瞬時に隣接する凹部194aと係合する。次に、軌道194は押し棒292を進め、当該押し棒は、例えば図27(a)から図27(c)で示すようにベルト284を進める。レバー112は、その後、ファスナを変形させ、放出軌道123に下方に進める。前進アーム192は、レバー112を押した後又は引き金114を作動させた後直ちに後退し、それによって先端部192aを軌道194の次の凹部194aに隣接する位置に引き戻すことになる。このようにして、押し棒及びベルト284を進めながら、軌道194を漸進的に進めることができる。
【0072】
従って、ベルトアッセンブリは、ハンドル又は器具202に関して上で述べた搬送ハウジング207のような他のアクチュエータに連結される使い捨て(又は再使用可能な)アッセンブリに設けることができる。或いは、ベルトアッセンブリは、再装填することができない器具内部に設けることができる。例えば、搬送ハウジング103が器具102から取り外し可能でない場合、ファスナが全て送出された後、器具102全体を廃棄又は再使用(例えば器具102を、器具102を殺菌し、新しいファスナに再装填する製造業者に返すことによって)することができる。別の代替案では、シャーシ又は細長いシャフトは、ベルトアッセンブリを交換することができる又は個々のファスナをベルトアッセンブリに装填することができるように、除去又は他の方法で開放されるカバーを含む。この代替案では、ベルトアッセンブリのフレーム及び/又は細長いシャフトは、ベルトアッセンブリを細長いシャフトの内部に取り外し可能に固定するために1又は2以上のコネクタを含む。その他の点では、この代替案の動作は、本明細書に記載する他の実施形態と同様に進行する。
【0073】
次に図30を参照すると、本明細書に記載する何れかの実施形態のベルトアッセンブリ(図示せず)にも設けられる一対のベルト384の別の実施形態を示している。示すように、各ベルト384は、前述のベルト284と同様に、フレームのハブの周りに巻き付けられる1つの細長い片状になっている。各ベルト384は、その下側でファスナ6の尖叉6(a)、6(b)を受け入れるために折り曲げられた機構386a、386bを含んでいる。例えば、各ベルト384は、尖叉6(a)、6(b)の真上及び/又は周囲で受け取られるために持ち上げられる部分的なループ又は「J」フック386aを含む。「J」フック386aは、その下で尖叉6(a)、6(b)の中間部分を受け入れるために互いに最も近いベルト384の縁部に沿って配置される。各ベルト384は、例えば互いに離れた側のベルト384の縁部に沿って、尖叉6(a)、6(b)の先端部を受け入れるためにスロット又は穴を備えたツメ386bを更に含む。各ベルト384は、例えばレーザー切断、型打ち成形、機械的切断などによって薄いフィルムから形成されるので、機構386a、386bは、それぞれのベルト384と一体化したフィルムで直接的に形成される。各ベルト384に必要とされる何らかの他の機構、例えばベルトアッセンブリのフレームの周囲にベルト384を巻き付けた後、ベルト384の端部をまとめて結合するための穴又はスロットなども、フィルムで直接的に形成される。
【0074】
次に図31(a)から図31(c)を参照すると、本明細書の他の部分で説明する実施形態の何れかで使われるベルトアッセンブリに設けられるベルト484の別の実施形態が示されている。示すように、ベルト484は、前述の実施形態と同様に、ベルトアッセンブリのフレームの周囲に移動可能に取り付けられるのに十分な可撓性を有する、例えば金属、プラスチック又は複合材料などから作られる帯485を含んでいる。例えば、帯485は、機構486a、486bを受け入れるために間隔をあけて配置された開口部487をその中に含むように、レーザー切断、型打ち、機械的切断、鋳造で成形される。機構486a、486bは、例えばプラスチック、金属又は複合材料から形成されるクリップであり、当該クリップは、例えばそれぞれの穴487の中で帯485に取り付けることができる。例えばクリップ486aは、穴487に挿入され、例えば熱ステーク、接着剤、音波溶接、プレス嵌めなどでその中に固定される。(ベルト484においてクリップ486aの代わりに使用される)クリップ486bは、クリップ486aと同様に穴487の中へ嵌め込まれる又は固定される。
【0075】
図32で示すように、一対のベルト484は、前述の実施形態と同様に、例えば複数のファスナ6を搬送するベルトアッセンブリ(図示せず)に設けられる。クリップ486a、486bは、例えばクリップ486a、486bの凹部又はスロットの内部でファスナ6のそれぞれの尖叉6(a)、6(b)を受け入れるために対になって一列に並べられる。水平方向に伸長するフック286の凹部とは異なり、クリップ486a、486bのスロットは、実質的には垂直方向に、即ち帯485から上向きに離れる方向に伸長する。その他の点では、クリップ486a、486b及びフック286は、互いに同様に使用される。
【0076】
本明細書で説明するいかなる機構も、例えば送出器具の標準的な操作の間ファスナが緩むことを阻止するなどの目的で、ベルトアッセンブリによって搬送されるファスナを実質的に確実に保持しなければならないものと理解頂けるであろう。しかしながら、当該機構は、ファスナが装填室に送出される時に、例えば器具を詰まらせる恐れがなく、ファスナがベルトアッセンブリから容易に解放されることを可能にしなければならない。更に、ファスナと接するベルトアッセンブリの材料は、例えばベルトアッセンブリによって搬送される間、ファスナを損傷する危険性を減らすために非金属であることが望ましい。例えばベルトそれ自体及び/又は尖叉を捕捉する機構など、ファスナと接する構成要素を例えばPEEK ClassixなどのPEEKから作ることが望ましい。これはベルトの引っ掻き傷又はその他の方法でファスナに何らかの表面の傷を作り出す危険性を減らすことができる。
【0077】
本発明の実施形態を提示及び説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変更を施すことは可能である。従って本発明は、この後に続く特許請求の範囲及びその等価物を除いて、制限されてはならないものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファスナ送出器具であって、
弛緩状態のそれぞれのファスナの尖叉を解放可能に係合する対の機構を備えるベルトと、
前記弛緩状態の前記ベルトからファスナを受け入れる装填室と、
前記装填室の内部で前記ファスナの動きを制限する解放可能な保持部材と、
前記装填室に連通している放出軌道と、
アクチュエータを含むハンドルと、
前記アクチュエータと連結されたタング及び押し部材であって、前記アクチュエータの作動が、前記タングを進めて前記ファスナを前記弛緩状態から拘束状態へ変形させるように前記尖叉に係合させ、且つ前記押し部材を進めて前記ファスナを前記装填室から下方に前記放出軌道へ進めるタング及び押し部材と、を備えている、
ことを特徴とするファスナ送出器具。
【請求項2】
前記ファスナを前記放出軌道から遠位方向に放出させる引き金を更に備えている、
請求項1に記載のファスナ送出器具。
【請求項3】
前記弛緩状態においては、前記ファスナの前記尖叉は、ループを画定するように互いに重なり合っており、前記保持部材は、前記ファスナの動きを制限するために前記ループに受入れられ、前記拘束状態においては、前記ファスナは、U字型形状を備えている、
請求項1に記載のファスナ送出器具。
【請求項4】
前記放出軌道は、前記ファスナが下方に前記放出軌道へ進められる際に、前記ファスナを前記U字型形状に拘束する側壁を備えている、
請求項3に記載のファスナ送出器具。
【請求項5】
前記アクチュエータが前記ファスナを前記放出軌道から完全に放出せずに作動させられる時、前記尖叉は、前記放出軌道を超えて遠位方向に露出される、
請求項4に記載のファスナ送出器具。
【請求項6】
前記保持部材は、可動解放ピンを備えている、
請求項1に記載のファスナ送出器具。
【請求項7】
前記解放ピンは、前記アクチュエータが作動させられた後、前記ファスナを解放するように、前記解放ピンが前記タング及び前記押し部材の少なくとも1つと連結されている、
請求項6に記載のファスナ送出器具。
【請求項8】
その中に配置される複数のファスナを含んでいる中継区分を更に備えている、
請求項1に記載のファスナ送出器具。
【請求項9】
前記複数のファスナは、前記中継区分に受け入れることができるカートリッジによって搬送される、
請求項8に記載のファスナ送出器具。
【請求項10】
前記保持部材は、前記押し部材の上に配置されるカムと係合すると解放可能である、
請求項1に記載のファスナ送出器具。
【請求項11】
ファスナ送出器具において、
アクチュエータを備えているハウジングと、
前記ハウジングから伸長し、複数のファスナを搬送するカートリッジアッセンブリであって、前記カートリッジアッセンブリは、弛緩状態のそれぞれのファスナの尖叉を解放可能に係合させる対になった機構を備えており、それぞれの前記ファスナは、前記弛緩状態の前記尖叉の間でループを画定しているカートリッジアッセンブリと、
前記弛緩状態にある前記ベルトからファスナを連続的に受け入れる装填室と、
前記装填室内部で受け取られる前記ファスナの動きを制限する保持部材と、
前記装填室に連通している放出軌道と、
前記アクチュエータと連結されるタング及び押し部材であって、前記アクチュエータの作動が、前記装填室内部で受け取られる前記ファスナを前記弛緩状態から前記U字型拘束状態へ変形させるように前記尖叉に係合させるために前記タングを進め、前記ファスナを前記装填室から下方に前記放出軌道へ進めるために前記押し部材を進め、且つ前記装填室内部の別のファスナを送出するために前記ベルトを進めるタング及び押し部材と、を備えている、
ことを特徴とするファスナ送出器具。
【請求項12】
前記カートリッジアッセンブリは、複数のファスナを搬送している新しいカートリッジアッセンブリを前記ハウジングに接続することができるように、前記ハウジングから取り外し可能である、
請求項11に記載のファスナ送出器具。
【請求項13】
前記カートリッジアッセンブリは、前記カートリッジアッセンブリが前記ハウジングに接続された後、前記アクチュエータと連結されている前記ハウジング、前記ベルト、保持部材、タング及び押し部材と接続することができる、
請求項11に記載のファスナ送出器具。
【請求項14】
前記アクチュエータは、前記タングを進めて前記装填室内部に受入られた前記ファスナを前記弛緩状態からU字型拘束状態へ変形させるように前記尖叉に係合させ、且つ前記押し部材を進めて前記ファスナを前記装填室から下方に前記放出軌道へ進める第1のアクチュエータと、
前記拘束されたファスナを前記放出軌道から完全に放出する第2のアクチュエータと、を備えている、
請求項11に記載のファスナ送出器具。
【請求項15】
前記アクチュエータは、空気シリンダを備えている、
請求項11に記載のファスナ送出器具。
【請求項16】
前記カートリッジアッセンブリは、前記ハウジングに接続することができ、前記ハウジングは、前記カートリッジアッセンブリが前記ハウジングに接続されていない時に前記アクチュエータの作動を阻止するロックアウト機構を備えている、
請求項11に記載のファスナ送出器具。
【請求項17】
前記ロックアウト機構は、前記カートリッジアッセンブリが前記ハウジングに接続される前に前記アクチュエータが作動させられることを阻止するためにロックされるレバーアームを備えており、前記アクチュエータのアクチュエータが、前記装填室内部のファスナを前記放出軌道から送出するためにラッチを作動させるように、前記レバーアームは、前記カートリッジアッセンブリが前記ハウジングに接続されている時にラッチと連結されている、
請求項16に記載のファスナ送出器具。
【請求項18】
前記カートリッジアッセンブリは、前記カートリッジアッセンブリ内部に第1及び第2の端部を含むフレームを備えており、前記第2の端部は、前記装填室に隣接して配置されており、前記ベルトは、前記フレームの第1及び第2の端部の間で伸長する一対の無端ベルトを備えており、各帯は、それぞれのファスナの尖叉を解放可能に係合させる対になった機構を提供するために他方の帯の機構に隣接して配置される複数の機構を備えている、
請求項11に記載のファスナ送出器具。
【請求項19】
前記対の無端ベルトの動きをまとめて連動させる横木と、前記対の無端ベルトを同時に進めるために前記横木を進める前記アクチュエータと連結される押し棒と、を更に備えている、
請求項18に記載のファスナ送出器具。
【請求項20】
前記機構は、その中で前記尖叉を解放可能に受け入れる凹部を画定しているフック及びクリップの1つを備えている、
請求項11に記載のファスナ送出器具。
【請求項21】
前記カートリッジアッセンブリは、ロックアウト機構が前記アクチュエータの作動を阻止するロックアウト位置と前記ロックアウト機構が前記アクチュエータの作動を許可する作動位置の間で前記ハウジングに対して移動可能である、
請求項11に記載のファスナ送出器具。
【請求項22】
前記ロックアウト機構は、前記ロックアウト位置で前記アクチュエータの作動を阻止するためにロックされるレバーアームを備えており、前記アクチュエータのアクチュエータが、前記装填室内部のファスナを前記放出軌道から送出するために前記ラッチを作動させるように、前記レバーアームは、前記カートリッジアッセンブリが作動位置にある時に、ラッチと連結されている、
請求項21に記載のファスナ送出器具。
【請求項23】
前記カートリッジアッセンブリは、前記ロックアウト位置に付勢される、
請求項21に記載のファスナ送出器具。
【請求項24】
ファスナ送達器具において、
アクチュエータを備えているハウジングと、
前記ハウジングから伸長し、遠位先端部で終端する細長いシャフトであって、前記シャフトは、弛緩状態のそれぞれのファスナの尖叉を解放可能に係合させる対になった機構を含むベルトアッセンブリをその中に備えており、それぞれの前記ファスナは、前記弛緩状態の尖叉の間でループを画定している細長いシャフトと、
前記ベルトが進められる際に、前記弛緩状態にある前記ベルトからファスナを連続的に受け入れる前記遠位先端部の装填室と、
前記装填室内部に受け入れる前記ファスナの動きを制限する保持部材と、
前記装填室に連通している放出軌道と、
前記アクチュエータと連結されるタング及び押し部材であって、前記アクチュエータの作動が、前記タングを進めて前記装填室内部で受入れられた前記ファスナを前記弛緩状態からU字型拘束状態へ変形するように前記尖叉に係合させ、且つ前記ベルトを進めて前記ファスナを前記装填室から下方に前記放出軌道へ進め、更に前記装填室内部の別のファスナを送出するタング及び押し部材と、を備えている、
ことを特徴とするファスナ送出器具。
【請求項25】
前記カートリッジアッセンブリは、前記カートリッジアッセンブリ内部に第1及び第2の端部を含むフレームを備えており、前記第2の端部は、前記装填室に隣接して配置されており、前記ベルトは、前記フレームの第1及び第2の端部の間で伸長する一対の無端ベルトを備えており、各帯は、それぞれのファスナの尖叉を解放可能に係合させる対になった機構を提供するために他方の帯の機構に隣接して配置される複数の機構を備えている、
請求項24に記載のファスナ送出器具。
【請求項26】
リードファスナを前記無端ベルトから前記装填室の中へ送出するために、前記対の無端ベルトの動きをまとめて連動させる横木と、前記対の無端ベルトを同時に進めるために前記横木を進める前記アクチュエータと連結される押し棒と、を更に備えている、
請求項25に記載のファスナ送出器具。
【請求項27】
前記機構は、その中で前記尖叉を解放可能に受け入れる凹部を画定しているフック及びクリップの1つを備えている、
請求項24に記載のファスナ送出器具。
【請求項28】
前記機構は、前記機構によって解放可能に係合される前記尖叉を損傷することを回避するために非金属材料を備えている、
請求項24に記載のファスナ送出器具。
【請求項29】
前記ベルトアッセンブリの上に乗っている前記細長いシャフトの上にはカバーを更に備えており、前記カバーは、前記ベルトアッセンブリにアクセスするために取り外し可能である、
請求項24に記載のファスナ送出器具。
【請求項30】
前記ベルトアッセンブリは、前記ファスナが前記ベルトアッセンブリから送出された後、新しいベルトアッセンブリが前記細長いシャフトの中へ装填されることを可能にするために前記細長いシャフトの内部に取り外し可能に固定される、
請求項29に記載のファスナ送出器具。
【請求項31】
複数のファスナを搬送するベルトアッセンブリを含む器具を使用してファスナを送出する方法において、
第1のファスナを前記ベルトアッセンブリから保持部材に送出するために前記ベルトアッセンブリを進める段階であって、前記ファスナは一対の尖叉を備えている、前記ベルトアッセンブリを進める段階と、
前記ファスナを弛緩状態から拘束状態へ変形するために前記抑制されたファスナに対して前記送出器具のタングを進める段階と、
前記ファスナが前記拘束状態にありながら、前記保持部材から前記ファスナを解放する段階と、
前記送出器具内部で前記拘束状態の前記ファスナを遠位方向に進める段階と、
前記送出器具から前記ファスナを放出する段階と、
第2のファスナを前記ベルトアッセンブリから前記保持部材へ送出するために前記ベルトアッセンブリを進める段階と、を備えている、
ことを特徴とする方法。
【請求項32】
前記ベルトアッセンブリを前記送出器具の中へ装填する段階を更に備えている、
請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ファスナ送達器具において、
弛緩状態の複数のファスナを搬送しているカートリッジであって、前記ファスナは互いに間隔をあけて配置されているカートリッジと、
前記弛緩状態にある、前記カートリッジから第1のファスナを受け入れる装填室と、
前記装填室内部で受け取られる前記ファスナの動きを制限する解放可能な保持部材と、
前記装填室と連通している放出軌道と、
アクチュエータを含んでいるハンドルと、
前記アクチュエータと連結されるタング及び押し部材であって、前記アクチュエータの作動が、前記タングを進めて前記ファスナを前記弛緩状態から拘束状態へ変形させるように前記尖叉に係合させ、且つ、前記押し部材を進めて前記ファスナを前記装填室から下方に前記放出軌道へ進め、前記第1のファスナが前記装填室から進められると、前記アクチュエータが前記カートリッジと連結され第2のファスナを前記カートリッジから前記装填室へ進めるタング及び押し部材と、を備えている、
ことを特徴とするファスナ送達器具。
【請求項34】
少なくとも前記放出軌道は、ロックアウト機構が前記アクチュエータの作動を阻止するロックアウト位置と前記ロックアウト機構が前記アクチュエータの作動を許可する作動位置の間で前記ハンドルに対して移動可能である、
請求項33に記載のファスナ送出器具。
【請求項35】
前記ロックアウト機構は、前記ロックアウト位置で前記アクチュエータの作動を阻止するためにロックされるレバーアームを備えており、前記アクチュエータのアクチュエータが、前記装填室内部のファスナを前記放出軌道から送出するために前記ラッチを作動させるように、前記レバーアームは、少なくとも前記放出軌道が作動位置にある時に、ラッチと連結されている、
請求項34に記載のファスナ送出器具。
【請求項36】
少なくとも前記放出軌道は、前記ロックアウト位置に付勢される、
請求項34に記載のファスナ送出器具。
【請求項37】
少なくとも前記カートリッジ、装填室及び放出軌道は、前記ロックアウト位置及び作動位置の間で移動可能であるカートリッジアッセンブリの中に含まれる、
請求項34に記載のファスナ送出器具。
【請求項38】
弛緩状態で互いに重なり合っている一対の尖叉を有する少なくとも1つのファスナを受け入れる装填室であって、前記装填室は、前記少なくとも1つのファスナが装填される解放ピンを含んでいる装填室と、
前記装填室と連通している放出軌道と、
タング及び押し部材と連結されるアクチュエータであって、前記アクチュエータの作動が、前記タングに前記複数の尖叉に係合させ前記ファスナを前記弛緩状態から拘束状態へ変形させ、前記押し部材に前記拘束状態の前記ファスナを前記装填室から前記放出軌道のへ下方に進めさせるアクチュエータと、を備えている、
ことを特徴とするファスナ送達器具。
【請求項1】
ファスナ送出器具であって、
弛緩状態のそれぞれのファスナの尖叉を解放可能に係合する対の機構を備えるベルトと、
前記弛緩状態の前記ベルトからファスナを受け入れる装填室と、
前記装填室の内部で前記ファスナの動きを制限する解放可能な保持部材と、
前記装填室に連通している放出軌道と、
アクチュエータを含むハンドルと、
前記アクチュエータと連結されたタング及び押し部材であって、前記アクチュエータの作動が、前記タングを進めて前記ファスナを前記弛緩状態から拘束状態へ変形させるように前記尖叉に係合させ、且つ前記押し部材を進めて前記ファスナを前記装填室から下方に前記放出軌道へ進めるタング及び押し部材と、を備えている、
ことを特徴とするファスナ送出器具。
【請求項2】
前記ファスナを前記放出軌道から遠位方向に放出させる引き金を更に備えている、
請求項1に記載のファスナ送出器具。
【請求項3】
前記弛緩状態においては、前記ファスナの前記尖叉は、ループを画定するように互いに重なり合っており、前記保持部材は、前記ファスナの動きを制限するために前記ループに受入れられ、前記拘束状態においては、前記ファスナは、U字型形状を備えている、
請求項1に記載のファスナ送出器具。
【請求項4】
前記放出軌道は、前記ファスナが下方に前記放出軌道へ進められる際に、前記ファスナを前記U字型形状に拘束する側壁を備えている、
請求項3に記載のファスナ送出器具。
【請求項5】
前記アクチュエータが前記ファスナを前記放出軌道から完全に放出せずに作動させられる時、前記尖叉は、前記放出軌道を超えて遠位方向に露出される、
請求項4に記載のファスナ送出器具。
【請求項6】
前記保持部材は、可動解放ピンを備えている、
請求項1に記載のファスナ送出器具。
【請求項7】
前記解放ピンは、前記アクチュエータが作動させられた後、前記ファスナを解放するように、前記解放ピンが前記タング及び前記押し部材の少なくとも1つと連結されている、
請求項6に記載のファスナ送出器具。
【請求項8】
その中に配置される複数のファスナを含んでいる中継区分を更に備えている、
請求項1に記載のファスナ送出器具。
【請求項9】
前記複数のファスナは、前記中継区分に受け入れることができるカートリッジによって搬送される、
請求項8に記載のファスナ送出器具。
【請求項10】
前記保持部材は、前記押し部材の上に配置されるカムと係合すると解放可能である、
請求項1に記載のファスナ送出器具。
【請求項11】
ファスナ送出器具において、
アクチュエータを備えているハウジングと、
前記ハウジングから伸長し、複数のファスナを搬送するカートリッジアッセンブリであって、前記カートリッジアッセンブリは、弛緩状態のそれぞれのファスナの尖叉を解放可能に係合させる対になった機構を備えており、それぞれの前記ファスナは、前記弛緩状態の前記尖叉の間でループを画定しているカートリッジアッセンブリと、
前記弛緩状態にある前記ベルトからファスナを連続的に受け入れる装填室と、
前記装填室内部で受け取られる前記ファスナの動きを制限する保持部材と、
前記装填室に連通している放出軌道と、
前記アクチュエータと連結されるタング及び押し部材であって、前記アクチュエータの作動が、前記装填室内部で受け取られる前記ファスナを前記弛緩状態から前記U字型拘束状態へ変形させるように前記尖叉に係合させるために前記タングを進め、前記ファスナを前記装填室から下方に前記放出軌道へ進めるために前記押し部材を進め、且つ前記装填室内部の別のファスナを送出するために前記ベルトを進めるタング及び押し部材と、を備えている、
ことを特徴とするファスナ送出器具。
【請求項12】
前記カートリッジアッセンブリは、複数のファスナを搬送している新しいカートリッジアッセンブリを前記ハウジングに接続することができるように、前記ハウジングから取り外し可能である、
請求項11に記載のファスナ送出器具。
【請求項13】
前記カートリッジアッセンブリは、前記カートリッジアッセンブリが前記ハウジングに接続された後、前記アクチュエータと連結されている前記ハウジング、前記ベルト、保持部材、タング及び押し部材と接続することができる、
請求項11に記載のファスナ送出器具。
【請求項14】
前記アクチュエータは、前記タングを進めて前記装填室内部に受入られた前記ファスナを前記弛緩状態からU字型拘束状態へ変形させるように前記尖叉に係合させ、且つ前記押し部材を進めて前記ファスナを前記装填室から下方に前記放出軌道へ進める第1のアクチュエータと、
前記拘束されたファスナを前記放出軌道から完全に放出する第2のアクチュエータと、を備えている、
請求項11に記載のファスナ送出器具。
【請求項15】
前記アクチュエータは、空気シリンダを備えている、
請求項11に記載のファスナ送出器具。
【請求項16】
前記カートリッジアッセンブリは、前記ハウジングに接続することができ、前記ハウジングは、前記カートリッジアッセンブリが前記ハウジングに接続されていない時に前記アクチュエータの作動を阻止するロックアウト機構を備えている、
請求項11に記載のファスナ送出器具。
【請求項17】
前記ロックアウト機構は、前記カートリッジアッセンブリが前記ハウジングに接続される前に前記アクチュエータが作動させられることを阻止するためにロックされるレバーアームを備えており、前記アクチュエータのアクチュエータが、前記装填室内部のファスナを前記放出軌道から送出するためにラッチを作動させるように、前記レバーアームは、前記カートリッジアッセンブリが前記ハウジングに接続されている時にラッチと連結されている、
請求項16に記載のファスナ送出器具。
【請求項18】
前記カートリッジアッセンブリは、前記カートリッジアッセンブリ内部に第1及び第2の端部を含むフレームを備えており、前記第2の端部は、前記装填室に隣接して配置されており、前記ベルトは、前記フレームの第1及び第2の端部の間で伸長する一対の無端ベルトを備えており、各帯は、それぞれのファスナの尖叉を解放可能に係合させる対になった機構を提供するために他方の帯の機構に隣接して配置される複数の機構を備えている、
請求項11に記載のファスナ送出器具。
【請求項19】
前記対の無端ベルトの動きをまとめて連動させる横木と、前記対の無端ベルトを同時に進めるために前記横木を進める前記アクチュエータと連結される押し棒と、を更に備えている、
請求項18に記載のファスナ送出器具。
【請求項20】
前記機構は、その中で前記尖叉を解放可能に受け入れる凹部を画定しているフック及びクリップの1つを備えている、
請求項11に記載のファスナ送出器具。
【請求項21】
前記カートリッジアッセンブリは、ロックアウト機構が前記アクチュエータの作動を阻止するロックアウト位置と前記ロックアウト機構が前記アクチュエータの作動を許可する作動位置の間で前記ハウジングに対して移動可能である、
請求項11に記載のファスナ送出器具。
【請求項22】
前記ロックアウト機構は、前記ロックアウト位置で前記アクチュエータの作動を阻止するためにロックされるレバーアームを備えており、前記アクチュエータのアクチュエータが、前記装填室内部のファスナを前記放出軌道から送出するために前記ラッチを作動させるように、前記レバーアームは、前記カートリッジアッセンブリが作動位置にある時に、ラッチと連結されている、
請求項21に記載のファスナ送出器具。
【請求項23】
前記カートリッジアッセンブリは、前記ロックアウト位置に付勢される、
請求項21に記載のファスナ送出器具。
【請求項24】
ファスナ送達器具において、
アクチュエータを備えているハウジングと、
前記ハウジングから伸長し、遠位先端部で終端する細長いシャフトであって、前記シャフトは、弛緩状態のそれぞれのファスナの尖叉を解放可能に係合させる対になった機構を含むベルトアッセンブリをその中に備えており、それぞれの前記ファスナは、前記弛緩状態の尖叉の間でループを画定している細長いシャフトと、
前記ベルトが進められる際に、前記弛緩状態にある前記ベルトからファスナを連続的に受け入れる前記遠位先端部の装填室と、
前記装填室内部に受け入れる前記ファスナの動きを制限する保持部材と、
前記装填室に連通している放出軌道と、
前記アクチュエータと連結されるタング及び押し部材であって、前記アクチュエータの作動が、前記タングを進めて前記装填室内部で受入れられた前記ファスナを前記弛緩状態からU字型拘束状態へ変形するように前記尖叉に係合させ、且つ前記ベルトを進めて前記ファスナを前記装填室から下方に前記放出軌道へ進め、更に前記装填室内部の別のファスナを送出するタング及び押し部材と、を備えている、
ことを特徴とするファスナ送出器具。
【請求項25】
前記カートリッジアッセンブリは、前記カートリッジアッセンブリ内部に第1及び第2の端部を含むフレームを備えており、前記第2の端部は、前記装填室に隣接して配置されており、前記ベルトは、前記フレームの第1及び第2の端部の間で伸長する一対の無端ベルトを備えており、各帯は、それぞれのファスナの尖叉を解放可能に係合させる対になった機構を提供するために他方の帯の機構に隣接して配置される複数の機構を備えている、
請求項24に記載のファスナ送出器具。
【請求項26】
リードファスナを前記無端ベルトから前記装填室の中へ送出するために、前記対の無端ベルトの動きをまとめて連動させる横木と、前記対の無端ベルトを同時に進めるために前記横木を進める前記アクチュエータと連結される押し棒と、を更に備えている、
請求項25に記載のファスナ送出器具。
【請求項27】
前記機構は、その中で前記尖叉を解放可能に受け入れる凹部を画定しているフック及びクリップの1つを備えている、
請求項24に記載のファスナ送出器具。
【請求項28】
前記機構は、前記機構によって解放可能に係合される前記尖叉を損傷することを回避するために非金属材料を備えている、
請求項24に記載のファスナ送出器具。
【請求項29】
前記ベルトアッセンブリの上に乗っている前記細長いシャフトの上にはカバーを更に備えており、前記カバーは、前記ベルトアッセンブリにアクセスするために取り外し可能である、
請求項24に記載のファスナ送出器具。
【請求項30】
前記ベルトアッセンブリは、前記ファスナが前記ベルトアッセンブリから送出された後、新しいベルトアッセンブリが前記細長いシャフトの中へ装填されることを可能にするために前記細長いシャフトの内部に取り外し可能に固定される、
請求項29に記載のファスナ送出器具。
【請求項31】
複数のファスナを搬送するベルトアッセンブリを含む器具を使用してファスナを送出する方法において、
第1のファスナを前記ベルトアッセンブリから保持部材に送出するために前記ベルトアッセンブリを進める段階であって、前記ファスナは一対の尖叉を備えている、前記ベルトアッセンブリを進める段階と、
前記ファスナを弛緩状態から拘束状態へ変形するために前記抑制されたファスナに対して前記送出器具のタングを進める段階と、
前記ファスナが前記拘束状態にありながら、前記保持部材から前記ファスナを解放する段階と、
前記送出器具内部で前記拘束状態の前記ファスナを遠位方向に進める段階と、
前記送出器具から前記ファスナを放出する段階と、
第2のファスナを前記ベルトアッセンブリから前記保持部材へ送出するために前記ベルトアッセンブリを進める段階と、を備えている、
ことを特徴とする方法。
【請求項32】
前記ベルトアッセンブリを前記送出器具の中へ装填する段階を更に備えている、
請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ファスナ送達器具において、
弛緩状態の複数のファスナを搬送しているカートリッジであって、前記ファスナは互いに間隔をあけて配置されているカートリッジと、
前記弛緩状態にある、前記カートリッジから第1のファスナを受け入れる装填室と、
前記装填室内部で受け取られる前記ファスナの動きを制限する解放可能な保持部材と、
前記装填室と連通している放出軌道と、
アクチュエータを含んでいるハンドルと、
前記アクチュエータと連結されるタング及び押し部材であって、前記アクチュエータの作動が、前記タングを進めて前記ファスナを前記弛緩状態から拘束状態へ変形させるように前記尖叉に係合させ、且つ、前記押し部材を進めて前記ファスナを前記装填室から下方に前記放出軌道へ進め、前記第1のファスナが前記装填室から進められると、前記アクチュエータが前記カートリッジと連結され第2のファスナを前記カートリッジから前記装填室へ進めるタング及び押し部材と、を備えている、
ことを特徴とするファスナ送達器具。
【請求項34】
少なくとも前記放出軌道は、ロックアウト機構が前記アクチュエータの作動を阻止するロックアウト位置と前記ロックアウト機構が前記アクチュエータの作動を許可する作動位置の間で前記ハンドルに対して移動可能である、
請求項33に記載のファスナ送出器具。
【請求項35】
前記ロックアウト機構は、前記ロックアウト位置で前記アクチュエータの作動を阻止するためにロックされるレバーアームを備えており、前記アクチュエータのアクチュエータが、前記装填室内部のファスナを前記放出軌道から送出するために前記ラッチを作動させるように、前記レバーアームは、少なくとも前記放出軌道が作動位置にある時に、ラッチと連結されている、
請求項34に記載のファスナ送出器具。
【請求項36】
少なくとも前記放出軌道は、前記ロックアウト位置に付勢される、
請求項34に記載のファスナ送出器具。
【請求項37】
少なくとも前記カートリッジ、装填室及び放出軌道は、前記ロックアウト位置及び作動位置の間で移動可能であるカートリッジアッセンブリの中に含まれる、
請求項34に記載のファスナ送出器具。
【請求項38】
弛緩状態で互いに重なり合っている一対の尖叉を有する少なくとも1つのファスナを受け入れる装填室であって、前記装填室は、前記少なくとも1つのファスナが装填される解放ピンを含んでいる装填室と、
前記装填室と連通している放出軌道と、
タング及び押し部材と連結されるアクチュエータであって、前記アクチュエータの作動が、前記タングに前記複数の尖叉に係合させ前記ファスナを前記弛緩状態から拘束状態へ変形させ、前記押し部材に前記拘束状態の前記ファスナを前記装填室から前記放出軌道のへ下方に進めさせるアクチュエータと、を備えている、
ことを特徴とするファスナ送達器具。
【図1】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15(a)】
【図15(b)】
【図15(c)】
【図15(d)】
【図15(e)】
【図16(a)】
【図16(b)】
【図17(a)】
【図17(b)】
【図17(c)】
【図18】
【図19(a)】
【図19(b)】
【図20(a)】
【図20(b)】
【図21(a)】
【図21(b)】
【図21(c)】
【図22】
【図23(a)】
【図23(b)】
【図23(c)】
【図24(a)】
【図24(b)】
【図25(a)】
【図25(b)】
【図26(a)】
【図26(b)】
【図27(a)】
【図27(b)】
【図27(c)】
【図28(a)】
【図28(b)】
【図28(c)】
【図29(a).29(c)】
【図29(b)】
【図30】
【図31(a)】
【図31(b)】
【図31(c)】
【図32】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15(a)】
【図15(b)】
【図15(c)】
【図15(d)】
【図15(e)】
【図16(a)】
【図16(b)】
【図17(a)】
【図17(b)】
【図17(c)】
【図18】
【図19(a)】
【図19(b)】
【図20(a)】
【図20(b)】
【図21(a)】
【図21(b)】
【図21(c)】
【図22】
【図23(a)】
【図23(b)】
【図23(c)】
【図24(a)】
【図24(b)】
【図25(a)】
【図25(b)】
【図26(a)】
【図26(b)】
【図27(a)】
【図27(b)】
【図27(c)】
【図28(a)】
【図28(b)】
【図28(c)】
【図29(a).29(c)】
【図29(b)】
【図30】
【図31(a)】
【図31(b)】
【図31(c)】
【図32】
【公表番号】特表2011−519683(P2011−519683A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508611(P2011−508611)
【出願日】平成21年5月5日(2009.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/042895
【国際公開番号】WO2009/137517
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(591007804)メドトロニック,インコーポレイテッド (243)
【住所又は居所原語表記】710Medtronic Parkway,Minneapolis,Minnesota 55432,U.S.A
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月5日(2009.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/042895
【国際公開番号】WO2009/137517
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(591007804)メドトロニック,インコーポレイテッド (243)
【住所又は居所原語表記】710Medtronic Parkway,Minneapolis,Minnesota 55432,U.S.A
【Fターム(参考)】
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