説明

弁装置

【課題】粉体受入口を開閉する弁本体の結露を防止し、弁本体の表面に粉体が付着固化しないようにすること。
【解決手段】弁本体6aを回動可能に軸支し、この弁本体6aを、粉体受入口2を閉止する第1の位置と、粉体受入口2を開放する第2の位置との間で回動させる弁装置6において、粉体受入口2側に面する弁本体6aの表面を断熱性のゴム材6a−1で形成した。また、弁本体6aの表面に粉体が付着固化した場合でも、その付着固化した粉体を除去するためにスクレーパ9を設け、弁本体6aの表面に付着した粉体を弁本体6aが回動するときに掻き取るようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体気流搬送装置等における粉体受入口を開閉する弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図2は、一般的な粉体気流搬送装置の構成を示す断面図である。この粉体気流搬送装置では、まず、集塵装置等の粉体供給側装置1からの粉体を粉体受入口2から本体容器3内に受け入れる。そして、規定量が貯留された時点で本体容器3を密閉状態にし、その後、圧縮空気配管4から本体容器3内に圧縮空気を導入し、その空気圧力を利用して粉体排出配管5より粉体を排出し、搬送する。
【0003】
このように、粉体気流搬送装置は、受入→密閉→加圧→搬送→受入→密閉→・・・を繰り返し行うもので、そのため、粉体受入口2には、これを開閉するための弁装置6が設けられている。より具体的に説明すると、粉体の受入時には、弁装置6を開にする前に、圧縮空気配管4の空気供給弁4a及び粉体排出配管5の粉体排出弁5aを閉にし、粉体を粉体受入口2から本体容器3内に規定量になるまで受け入れる。この粉体量の設定は、本体容器3に設けたレベルスイッチ3a及びタイマーで行う。規定量が貯留された時点で、弁装置6を閉にするとともに圧縮空気配管4の空気供給弁4aを開にし、本体容器3内に圧縮空気を導入して圧力スイッチ3bが作動するまで加圧する。圧力スイッチ3bが作動すると、粉体排出配管5の粉体排出弁5aが開になり、粉体が搬送される。
【0004】
従来、このような粉体気流搬送装置の粉体受入口に使用される弁装置として、特許文献1に開示されているものが知られている。図3は、この従来の弁装置を示す断面図で、(a)は閉止状態、(b)は開放状態を示す。同図に示す弁装置6は、球殻の一部をなす金属製の弁本体6aを有する。そして、この弁本体6aを回動軸6bにて回動可能に軸支し、粉体受入口2を閉止する第1の位置(図3(a)の位置)と、粉体受入口2を開放する第2の位置(図3(b)の位置)との間で回動させることで、粉体受入口2を開閉する。さらに、この弁装置6では、開閉動作の途中で弁本体6aが粉体受入口2側のシール部7と擦れ合わないように、弁本体6aとシール部7との間に約1mmの隙間を持たせており、図3(a)に示す閉止状態では、ゴム製のシール部7にエアノズル8より圧縮空気を導入し、シール部7を膨張させることでシールを行うようにしている。
【0005】
しかし、上述のような従来の弁装置では、金属製の弁本体6aが常時、粉体供給装置1側の排ガス及び粉体にさらされた状態にあり、かつ粉体搬送時に圧縮空気配管4から導入される圧縮空気によって冷却されるため、弁本体6aの表面に結露が発生する。その結果、弁本体6aの表面に粉体が付着し固化するため、弁本体6aの回動動作時に固化した粉体がシール部7と接触しシール部7が短期間で摩耗するという問題がある。
【特許文献1】英国特許出願公開第2279429号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、粉体受入口を開閉する弁本体の結露を防止し、弁本体の表面に粉体が付着固化しないようにすることにある。
【0007】
他の課題は、弁本体の表面に粉体が付着固化した場合でも、その付着固化した粉体を除去可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、粉体受入口を開閉する弁本体の結露を防止するため、弁本体を回動可能に軸支し、この弁本体を、粉体受入口を閉止する第1の位置と、粉体受入口を開放する第2の位置との間で回動させる弁装置において、粉体受入口側に面する弁本体の表面を断熱性のゴム材で形成したことを特徴とする。
【0009】
また、弁本体の表面に粉体が付着固化した場合でも、その付着固化した粉体を除去するためにスクレーパを設け、このスクレーパによって、弁本体の表面に付着した粉体を弁本体が回動するときに掻き取るようにすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、弁本体の表面を断熱性のゴム材で形成したことで、弁本体の表面の結露を防止できる。その結果、弁本体と面するシール部等の長寿命化(摩擦防止)が図れ、機器の長期安定運転及び整備費用の削減に寄与できる。
【0011】
さらに、弁本体の表面に付着した粉体を掻き取るスクレーパを設置することで、弁本体の表面に粉体が付着固化した場合でも、弁本体の開閉動作時に付着固化した粉体を除去することができる。その結果、シール部等のより一層の長寿命化(摩擦防止)が図れる。
【0012】
したがって、従来、弁本体の結露のために気流搬送方式を採用できなかった機器においても気流搬送方式の採用が可能となり、搬送方式の選択肢が増え、建設時のコストダウンも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を図2で説明した粉体気流搬送装置の粉体受入口を開閉する弁装置に適用した実施例によって、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明の弁装置の実施例を示す断面図で、(a)は閉止状態、(b)は開放状態を示す。同図に示す本発明の弁装置6の基本構成は、図3に示した従来の弁装置と同様であり、球殻の一部をなす弁本体6aを有する。そして、この弁本体6aを回動軸6bにて回動可能に軸支し、粉体受入口2を閉止する第1の位置(図1(a)の位置)と、粉体受入口2を開放する第2の位置(図1(b)の位置)との間で回動させることで、粉体受入口2を開閉する。さらに、開閉動作の途中で弁本体6aが粉体受入口2側のシール部7と擦れ合わないように、弁本体6aとシール部7との間に約1mmの隙間を持たせており、図1(a)に示す閉止状態では、ゴム製のシール部7にエアノズル8より圧縮空気を導入し、シール部7を膨張させることでシールを行うようにしている。
【0015】
これに加えて、本発明の弁装置6では、弁本体6aの表面を断熱性のゴム材6a−1で形成し、これによって、弁装置6内外の温度差による弁本体6a表面の結露を防止するようにしている。断熱性のゴム材6a−1としては、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、バイトン等を排ガス性状により使用できる。
【0016】
また、粉体受入口2の開口縁下端には弁本体6aの表面(断熱性のゴム材6a−1)に丁度当接するか僅かに隙間を開けてスクレーパ9を設け、弁本体6aの表面に粉体が付着固化した場合でも、スクレーパ9によって、弁本体6aの表面に付着固化した粉体を弁本体6が回動するときに掻き取るようにしている。スクレーパ9は、ボルト10によって固定された押え板11によって、その突出量を調整可能に支持されている。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、粉体気流搬送装置のほか各種装置の粉体受入口に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の弁装置の実施例を示す断面図で、(a)は閉止状態、(b)は開放状態を示す。
【図2】一般的な粉体気流搬送装置の構成を示す断面図である。
【図3】従来の弁装置を示す断面図で、(a)は閉止状態、(b)は開放状態を示す。
【符号の説明】
【0019】
1 粉体供給側装置
2 粉体受入口
3 本体容器
3a レベルスイッチ
3b 圧力スイッチ
4 圧縮空気配管
4a 空気供給弁
5 粉体排出配管
5a 粉体排出弁
6 弁装置
6a 弁本体6a
6a−1 断熱性のゴム材
6b 回動軸
7 シール部
8 エアノズル
9 スクレーパ
10 ボルト
11 押え板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体を回動可能に軸支し、この弁本体を、粉体受入口を閉止する第1の位置と、粉体受入口を開放する第2の位置との間で回動させる弁装置において、
粉体受入口側に面する弁本体の表面を断熱性のゴム材で形成したことを特徴とする弁装置。
【請求項2】
弁本体が回動するときに弁本体の表面に付着した粉体を掻き取るスクレーパを設けた請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
粉体気流搬送装置の粉体受入口に設置された請求項1又は2に記載の弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−16894(P2007−16894A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198756(P2005−198756)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(390022873)日鐵プラント設計株式会社 (275)
【出願人】(000180438)四電エンジニアリング株式会社 (14)