説明

引戸用摺動部材

【課 題】 網戸の戸車に代わるものとして、長期使用できる摺動部材を提供する。
【解決手段】 主部3の内側に4弗化樹脂などの低摩擦係数の摺動材料4を付着して摺動部材2を構成する。摺動部材2は網戸の下部に取付けられ、レール上に載せられる。摺動部材2の摺動材料4はレールと接触し、網戸の開け閉めに伴ってレール上を摺動する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は網戸などの引戸に戸車に代えて取り付けられる引戸用摺動部材に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】例えば、従来の引戸式の網戸には、戸車が取り付けられている。この戸車は敷居のレール上を回転しながら移動し、これによって網戸の開け閉めがスムーズに行うことができる。
【0003】従来の網戸の戸車は、金属製の軸ピンにプラスチック製の車輪を取付けて構成されている。網戸は虫除け用として家屋の玄関や窓の最外側に配置されるため、砂や塵などが付着し易いという事情がある。
【0004】車輪はプラスチック製であるため、レールとの間に入った砂や塵で外周が偏摩耗したり、車輪の軸孔内に入った砂や塵で車輪の軸孔が偏摩耗したりする。すると軸輪がスムーズに回転しなくなり、網戸の開け閉めがスムーズにできなくなるため、戸車を交換する必要がある。特に玄関用の網戸は開け閉めの回数が多いため、上記のような偏摩耗が早く起こり、戸車を頻繁に交換しなければならなくなる。
【0005】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、従来の戸車に代わるものとして砂や塵などによる摩耗が生じても、引戸のスムーズな開け閉めが妨げられるおそれがなく、長期使用に耐え得る引戸用摺動部材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明は、レールと接触する部分を引戸の開け閉めに伴ってレール上を滑る摺動材料によって形成したので、引戸の開け閉めをスムーズに行うことができることはもちろん、摺動材料がほぼ摩耗し尽くすまで長期にわたり使用可能である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施例を図1ないし図3に基づいて説明する。図3は引戸としての玄関用の網戸1を示すもので、その網戸1の下部の複数箇所には、本発明に係る摺動部材2が着脱可能に取り付けられている。
【0008】上記摺動部材2は図1に示すように下向きに開放する断面ほぼコ字形の主部3の内面に摺動材料4を付着してなる。主部3はPP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)などのプラスチック材料、或は鋼やアルミなどの金属材料によって形成され、摺動材料4は低摩擦係数のプラスチック材料、例えば4弗化樹脂によって形成されている。主部3を金属材料とした場合、インサート成形によって主部3の内面に摺動材料4を一体に成形する製法がコスト面で有利である。このインサート成形では、図2に示すように、主部3に複数個のテーパ孔5を設け、成形型にテーパ孔5内に開口するノズル孔を複数設けて4弗化樹脂を複数のテーパ孔5から射出するように構成することが好ましい。
【0009】摺動部材2単体では、図1に示すように両側部がほぼハ字状に開いており、網戸1の下部の取付溝6よりも幅広になっている。そして、摺動部材2を網戸1の取付溝6に嵌め込むと、摺動部材2は窄むように弾性変形し、その弾発力で取付溝6の内側面に圧接して抜け止め状態に取付けられる。より確実な取り付けのために、主部3の外側面に網戸1の取付溝6の内面に食い込む爪部を設けることが好ましい。
【0010】網戸1に取り付けられた摺動部材2は図3に示すように敷居のレール7上に載せられ、摺動材料4の上面部分がレール7に接する。網戸1を開け閉めすると、その開け閉めに伴って摺動部材2の内側の摺動材料4がレール7上を滑りながら移動する。このレール7と滑り接触する摺動材料4は低摩擦係数であるので、網戸1はスムーズに移動する。
【0011】摺動材料4とレール7との間に砂や塵などが侵入すると、摺動材料4の摩耗が進む。しかしながら、摺動材料4とレール7との滑りのスムーズ性に悪影響が及ぶおそれはなく、網戸1の開け閉めのスムーズ性は摺動部材4が摩耗し尽くすまで長期にわたり保持できる。従って、摺動部材2は長寿命となり、新品との交換周期が長くなる。
【0012】図4は本発明の第2実施例を示すもので、前記第1実施例との相違は、摺動部材2の上部を円弧状に形成し、摺動材料4とレール7との接触面積が広くなるようにしたところにある。このようにすれば摺動材料4の摩耗進行程度が遅くなり、摺動部材2がより長寿命となる。
【0013】図5は本発明の第3実施例を示すもので、前記第1実施例との相違は摺動部材2の上部をほぼ三角形状に形成して摺動材料4が傾き方向の異なる2部分で接するようにしたところにある。このようにすれば、レール7の幅方向(家屋の内外方向)に動くことが抑制され、網戸1のがたつきを抑制できる。
【0014】図6は本発明の第4実施例を示すもので、前記第1実施例との相違は網戸1への取付構造にある。すなわち、摺動部材2の両側面はハ字状に開いてはおらず、その代わり、主部3の両側部の下端部に下向きに開放する溝8を有したほぼコ字形の嵌合部9が形成されている。そして、摺動部材2を網戸1に取付けるには、主部3を取付溝6に嵌め込むようにして、摺動部材2の下端両側の嵌合部9の溝8内に網戸1の取付溝6の両側部を嵌合する。このとき、溝8と取付溝6の両側面部とが密に嵌合するように寸法設定することにより、摺動部材2の確実な抜け止めを図ることができる。
【0015】なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではく、以下のような変更或いは拡張することができる。摺動部材2の主部3相当部門も4弗化樹脂で構成してもよい(摺動部材で全体を摺動材料4で形成)。摺動部材2の網戸1への取付けはねじであってもよい。本発明は網戸1の摺動部材に限らず、引戸に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す摺動部材の正面図
【図2】摺動部材を途中で断面にして示す斜視図
【図3】網戸の下部の断面図
【図4】本発明の第2実施例を示す摺動部材の部分断面図
【図5】本発明の第3実施例を示す図4相当図
【図6】本発明の第4実施例を示す図3相当図
【符号の説明】
図中、1は網戸、2は摺動部材、3は主部、4は摺動材料、6は取付溝、7はレールである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 引戸の下部に設けられ、引戸の開け閉めに伴ってレール上を移動する摺動部材であって、前記レールと接触する部分を、引戸の開け閉めに伴って前記レール上を滑る摺動材料によって形成したことを特徴とする引戸用摺動部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2001−3632(P2001−3632A)
【公開日】平成13年1月9日(2001.1.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−176773
【出願日】平成11年6月23日(1999.6.23)
【出願人】(591001282)大同メタル工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】