説明

引手及びそれを用いた引戸

【課題】引戸に取り付けられる引手の指掛け用凹部の深さを十分に確保する。
【解決手段】引戸Aの戸11の取付孔12に戸11の両側面から互いに対応して取り付けられる第1及び第2引手部材15,16に、引手部材15,16の外周側面を裏面から表面に向かって段差状に切り欠くことで、取付孔12に嵌合される嵌合部15a,16aを設け、第1引手部材15の嵌合部15aの嵌合深さd1を、第2引手部材16の嵌合深さd2よりも小さくし、第1引手部材15の戸11の表面からの突出高さh1を第2引手部材16の突出高さh2よりも大きくする。第1引手部材15の突出高さh1を、戸11と控え壁10との隙間25の間隔Lよりも大きくし、第2引手部材16の突出高さh2は同間隔Lよりも小さくし、取付孔12に第1引手部材15は戸11の控え壁10と反対側の面から、また第2引手部材16は戸11の控え壁10側の面からそれぞれ取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引手及びそれを用いた引戸に関し、特に、引手の指掛け深さを大きく確保するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、引戸においては、その戸の開閉を戸の面に沿った水平方向のスライドにより行うようになっており、この引戸の開閉を行い易くするために、従来より、例えば戸に貫通孔を設けて、この貫通孔に引手を設けることが行われている。この引手は、指が掛けられる指掛け用凹部が設けられた2つの引手部材からなり、これらの引手部材を戸の貫通孔に、戸の両表面から嵌合して取付固定するようにしている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、この従来の引手の構成では、2つの引手部材を戸の貫通孔に戸の両表面から嵌合する関係上、その各々の指掛け用凹部の深さを深くしようとしても、最大で戸パネルの厚みの半分までしか深くすることはできない。このため、特に、戸パネルの厚みが薄手のものの場合には、引手として十分な指掛けの深さを確保することができず、手の力が弱い高齢者等にとって引戸の開閉が困難となる場合があった。
【0004】
これを解決する手段として、従来、引手内に指掛け用凹部の底部となる中板を移動可能に設けることが提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平08−246721号公報
【特許文献2】特開平10−131552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記提案例の引手では、中板を移動させることで指掛け用凹部の深さを十分に確保できるものの、そのためには、引戸の開閉の都度、その一側から開く場合と他側から開く場合とで中板の位置を移動させる必要があり、その手間が煩わしいという問題がある。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、引手を構成する2つの引手部材の構造を改良することで、移動可能な中板等を要することなく、引手の指掛け用凹部の深さを十分に確保できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、2つの引手部材の戸の貫通孔に対する取付深さを互いに異ならせるようにした。
【0008】
具体的には、請求項1の発明では、引戸における戸の取付孔に戸の両側面からそれぞれ互いに対応して取り付けられかつ表面に指掛け用凹部を有する第1及び第2引手部材を備えた引手であって、上記第1及び第2引手部材には、引手部材の外周側面を裏面側から表面側に向かって段差状に切り欠くことで、上記戸の取付孔に嵌合される嵌合部が設けられ、上記第1引手部材の嵌合部の嵌合深さが第2引手部材の嵌合深さよりも小さく、第1引手部材の戸表面からの突出高さが第2引手部材よりも大きいことを特徴としている。
【0009】
この発明では、引手を構成する第1及び第2引手部材における嵌合部の取付孔への嵌合深さが互いに異なり、この嵌合深さの小さい側の第1引手部材の突出高さが、嵌合深さの大きい側の第2引手部材の突出高さよりも大きくなっているので、両引手部材における指掛け用凹部の底部の位置が戸の厚み方向中央の位置からずれ、その分、従来の引手に比べて指掛け用凹部の深さを深くすることができる。このことで、従来のように、移動可能な中板等を要することなく、引手の指掛け用凹部の深さを確保して、引戸の開閉を楽に行うことができる。
【0010】
請求項2の発明では、引戸は、引手が取り付けられる戸と控え壁又は引き違いの戸とを備えており、第1引手部材の突出高さは、戸と控え壁との間の隙間又は戸と引き違いの戸との隙間の間隔よりも大きく、第2引手部材の突出高さは、戸と控え壁との間の隙間又は戸と引き違いの戸との隙間の間隔よりも小さいことを特徴としている。
【0011】
この発明では、第1引手部材を取付孔に、戸の控え壁又は引違いの戸と反対側の面から、また第2引手部材を取付孔に、戸の控え壁側又は引違いの戸側の面からそれぞれ取り付けることで、引戸を開くときに、第2引手部材が戸と控え壁又は引違いの戸との間の隙間に入り込むようになり、戸を全体が控え壁又は引違いの戸と重なるように開いて、引戸の開口幅を大きくすることができる。一方、第1引手部材を取付孔に、戸の控え壁側又は引違いの戸側の面から、また第2引手部材を取付孔に、戸の控え壁又は引違いの戸と反対側の面からそれぞれ取り付けることで、引戸を開くときに、第1引手部材は戸と控え壁又は引違いの戸との間の隙間に入り込むことなくそれらに当接するようになり、指掛け用凹部内に位置する指が戸と控え壁又は引違いの戸との間の隙間に挟み込まれるという指詰めを防止することができる。
【0012】
請求項3〜5の発明は引戸に係る発明であり、請求項3の発明の引戸は、請求項1の引手が取り付けられたことを特徴とする。この発明によると、請求項1の発明と同様の作用効果が得られる。
【0013】
請求項4の発明の引戸は、請求項2の引手が取り付けられた引戸であって、第1引手部材は取付孔に、戸の控え壁又は引違いの戸と反対側の面から取り付けられている一方、第2引手部材は取付孔に、戸の控え壁側又は引違いの戸側の面から取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
この発明では、戸の控え壁側又は引違いの戸側の面に第2引手部材が取り付けられており、この第2引手部材の突出高さは、戸と控え壁との間の隙間又は戸と引き違いの戸との隙間の間隔よりも小さいため、引戸を開くときに、第2引手部材が戸と控え壁又は引違いの戸との隙間に入り込むようになり、戸をその全体が控え壁又は引違いの戸と重なるように開いて、引戸の引き残しをなくし、その開口幅を広く取ることができ、車椅子等を用いる場合に有効である。
【0015】
請求項5の発明の引戸は、請求項2の引手が取り付けられた引戸であって、第1引手部材は取付孔に、戸の控え壁側又は引違いの戸側の面から取り付けられている一方、第2引手部材は取付孔に、戸の控え壁又は引違いの戸と反対側の面から取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
この発明では、戸の控え壁側又は引違いの戸側の面に第1引手部材が取り付けられており、この第1引手部材の突出高さは、戸と控え壁との間の隙間又は戸と引き違いの戸との隙間の間隔よりも大きいため、戸を開いた際に第1引手部材が控え壁又は引き違いの戸に当たって、引戸に引き残しが生じるようになり、指詰め等を防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、請求項1又は3の発明によると、引戸における戸の取付孔に、引手を構成する第1及び第2引手部材を戸の両側からそれぞれ互いに対応して取り付ける場合に、第1引手部材の嵌合部の嵌合深さを第2引手部材よりも小さくして、第1引手部材の戸表面からの突出高さを第2引手部材よりも大きくしたことにより、両引手部材における指掛け用凹部の底部の位置を戸の厚み方向中央の位置からずらすことができ、移動可能な中板等を要することなく、引手の指掛け用凹部の深さを大きく確保して、引戸の開閉の容易化を図ることができる。
【0018】
請求項2の発明によると、第1引手部材の突出高さを、引戸における戸と控え壁との間の隙間又は戸と引き違いの戸との隙間の間隔よりも大きくし、第2引手部材の突出高さを、戸と控え壁との間の隙間又は戸と引き違いの戸との隙間の間隔よりも小さくしたことにより、第1引手部材を戸の控え壁又は引違いの戸と反対側の面に、また第2引手部材を戸の控え壁側又は引違いの戸側の面にそれぞれ取り付けたときに、戸を全体が控え壁又は引違いの戸と重なるように開いて、引戸の開口幅を大きくすることができる一方、第1引手部材を戸の控え壁側又は引違いの戸側の面に、また第2引手部材を戸の控え壁又は引違いの戸と反対側の面にそれぞれ取り付けたときには、指詰めを防止することができる。
【0019】
請求項4の発明によると、第1引手部材を、戸の控え壁又は引違いの戸と反対側の面に取り付ける一方、第2引手部材は、戸の控え壁側又は引違いの戸側の面に取り付けるようにしたことにより、引戸を開くときに、第2引手部材を戸と控え壁又は引違いの戸との間の隙間に入り込むようにして引き残しをなくし、引戸の開口幅を広く取って車椅子等の利用の際の使い勝手の向上を図ることができる。
【0020】
請求項5の発明によると、第1引手部材を、戸の控え壁側又は引違いの戸側の面に取り付ける一方、第2引手部材は、戸の控え壁又は引違いの戸と反対側の面に取り付けるようにしたことにより、戸を開いた際に第1引手部材を控え壁又は引き違いの戸に当てて引戸に引き残しを生じさせ、指詰め等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0022】
(実施形態1)
図5は本発明の実施形態1に係る引戸Aを示し、1は建物内の室Rの天井部、2は床部、3は壁部であって、これら天井部1、床部2及び壁部3に囲まれて室Rが形成されている。この室Rと室外空間(図示せず)とを仕切る壁部3には開口部4が設けられ、この開口部4が引戸Aによって開閉される。この実施形態では、上記引戸Aは片引戸であり、壁部3の開口部4の一半部(図5で右半部)を常時閉鎖して他半部(図5で左半部)に、室R内に出入りするための出入口Bを区画する控え壁10と、この出入口B(開口部4の他半部)を開閉する、控え壁10と同じ幅の戸11とを備えている。開口部4の周囲の上部分には下面に例えば溝(図示せず)を有する鴨居7が、また下部分には上面に例えば溝又はレールを有する敷居(図示せず)がぞれぞれ形成されており、戸11は鴨居7及び敷居間に溝やレールによって案内支持された状態で水平方向に移動して出入口Bを開閉し、出入口Bを開くときには、戸11が図5で右側に移動して控え壁10に対し所定の隙間25(図6参照)をあけて全体が重なる一方、出入口Bを閉じるときには、戸11が図5で左側に移動して右端部のみで控え壁10と重なるようになっている。つまり、引戸Aの戸11は、控え壁10に対し相対的に移動可能となっている。
【0023】
上記戸11の出入口B側の端縁寄りには所定の高さ位置に、戸11に手を掛けて開閉するための引手14が設けられている。すなわち、図1〜図4に拡大して示すように、戸11の引手取付位置には上下方向に長い縦長の取付孔12が戸11の室内側及び室外側の各表面間に亘って貫通形成され、この取付孔12に引手14が取り付けられている。この引手14は、取付孔12に戸11の室内側表面つまり控え壁10と反対側の面から取り付けられる第1引手部材15と、戸11の室外側表面つまり控え壁10側の面から取り付けられる第2引手部材16とを備えている。これら1対の引手部材15,16は、いずれも裏面の中間部(周縁部を除く部分)が裏側に突出していて、戸11の取付孔12に対応する上下方向に長い縦長の有底箱形状のもので、表面には縦長形状の指掛け用凹部17,17が形成されている。
【0024】
また、各引手部材15,16には、その引手部材15,16の外周側面を全体に亘り(又は部分的であってもよい)裏面から表面に向かって段差状に切り欠くことで、戸11の取付孔12に嵌合される嵌合部15a,16a(切欠部)が形成されており、この嵌合部15a,16aを戸11の取付孔12に嵌合することにより、両引手部材15,16は取付孔12に戸11の表裏両側面からそれぞれ各々の指掛け用凹部17,17の底部裏面が当接(又は少しの隙間をあけて対向)するように互いに対応して取り付けられている。
【0025】
上記第1引手部材15の周縁部の上端及び下端にはそれぞれねじ挿通孔19,19が貫通形成されている。一方、第2引手部材16の周縁部の上端及び下端における裏面(第1引手部材15との対向面)にはそれぞれねじ穴20,20が上記第1引手部材15のねじ挿通孔19,19と対応するように形成されており、上記のように両引手部材15,16の嵌合部15a,16aを戸11の取付孔12に嵌合した状態で、第1引手部材15のねじ挿通孔19,19にそれぞれ取付ねじ21,21を挿通し、その取付ねじ21,21を第2引手部材16のねじ穴20,20に螺合締結することにより、両引手部材15,16を戸11にそれを挟むように一体的に結合して取付固定するようにしている。尚、この引手部材15,16の戸11への取付固定は、上記のようなねじ止めの他、接着剤、両面粘着テープ、嵌合等により行うことができる。しかし、施工後、第1引手部材15と第2引手部材16との位置を互いに取り換える場合のことを考慮すると、上記取外しが可能なねじ止めが好ましい。
【0026】
引手14の指の掛かり具合を戸11の室内側及び室外側の両方で等しくするために、第1引手部材15の指掛け用凹部17の深さD1と、第2引手部材16の指掛け用凹部17の深さD2とを同じ(D1=D2)か略同じ(D1≒D2)に設定しておくことが好ましい。また、図1及び図3に示すように、各引手部材15,16において指掛け用凹部17の内側壁を開口側に対し凹ませておけば、指の掛かりをよくすることができる。
【0027】
上記引手部材15,16の材料としては、例えばアルミニウムやステンレス等の金属、ABS、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル等の合成樹脂、木材等を用いることができ、必要に応じ表面に塗装等で化粧を施して用いる。
【0028】
また、引手部材15,16の一部又は全体を蓄光材料で構成してもよい。こうして蓄光材料を用いることで、夜間等の暗い場合においても引手14が発光するので、その位置を正確に知ることができる。
【0029】
本発明の特徴として、図1〜図3に示すように、上記引手部材15,16における嵌合部15a,16aの嵌合深さd1,d2(裏面から表面に向かう方向に沿った切欠深さ)は第1及び第2引手部材15,16間で異なり、室内側に位置する第1引手部材15の嵌合部15aの嵌合深さd1が室外側の第2引手部材16の嵌合深さd2よりも小さくなっている(d1<d2)。そして、第1引手部材15の戸11の室内側表面からの突出高さh1は、第2引手部材16の戸11の室外側表面からの突出高さh2よりも大きくなっている(h1>h2)。
【0030】
さらに、図6に示すように、上記第1引手部材15の突出高さh1は、上記戸11と控え壁10との間の隙間25の間隔Lよりも大きく(h1>L)、第2引手部材16の突出高さh2は、戸11と控え壁10との間の隙間25の間隔Lよりも小さく(h2<L)されている。
【0031】
したがって、この実施形態では、戸11の両側から取り付けられる第1及び第2引手部材15,16において、戸11の取付孔12に嵌合される嵌合部15a,16aの嵌合深さd1,d2が互いに異なり、取付孔12に戸11の室内側表面つまり控え壁10と反対側の面から取り付けられる第1引手部材15の嵌合部15aの嵌合深さd1は、戸11の室外側表面つまり控え壁10側の面から取り付けられる第2引手部材16の嵌合部16aの嵌合深さd2よりも小さく、この嵌合深さd1の小さい側の第1引手部材15の突出高さh1が、嵌合深さd2の大きい側の第2引手部材16の突出高さh2よりも大きくなっているので、図1〜図3に示すように、引手14は、その合わせ部(両引手部材15,16における指掛け用凹部17,17の底部の位置)が戸11の厚み方向の中央位置Cから第1引手部材15側つまり室内側に偏った状態で取り付けられ、その分、従来の引手に比べて指掛け用凹部17,17の深さを深く設定することができる。このことで、従来のように移動可能な中板等を要することなく、引手14の指掛け用凹部17,17の深さを大きく確保して、引戸Aの開閉を楽に行うことができる。
【0032】
また、上記第2引手部材16は、取付孔12に戸11の控え壁10側の面から取り付けられ、この第2引手部材16の突出高さh2は、戸11と控え壁10との間の隙間25の間隔Lよりも小さいので、引戸Aを開いたときに、図6に示すように、第2引手部材16が戸11と控え壁10との間の隙間25に入り込んで、戸11の全体が控え壁10と重なって開くようになり、引戸Aの引き残しをなくして出入口Bを広く取ることができ、車椅子等を用いる場合に有効となる。
【0033】
(実施形態2)
図7は本発明の実施形態2を示し(尚、図1〜図6と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、第1及び第2引手部材15,16の取付位置を変えたものである。
【0034】
すなわち、上記実施形態1では、図6に示すように、取付孔12に対し第1引手部材15が戸11の室内側表面つまり控え壁10と反対側の面から取り付けられ、第2引手部材16が戸11の室外側表面つまり控え壁10側の面から取り付けられているのに対し、この実施形態2では、第2引手部材16が取付孔12に戸11の室内側表面つまり控え壁10と反対側の面から取り付けられ、第1引手部材15が取付孔12に戸11の室外側表面つまり控え壁10側の面から取り付けられている。その他の構成は実施形態1と同じである。
【0035】
したがって、この実施形態の場合、戸11の控え壁10側の面に第1引手部材15が取り付けられ、この第1引手部材15の戸11の室内側表面からの突出高さh1は、戸11と控え壁10との間の隙間25の間隔Lよりも大きいため、戸11を開いた際に第1引手部材15が控え壁10に当たって、引戸Aに引き残しが生じる。このことで、指詰め等を防止することができる。
【0036】
尚、この実施形態2において、引手14の第1引手部材15において控え壁10と接触する部分をゴムやウレタン等の衝撃緩衝材で構成してもよい。これにより、引戸Aを開けたときに衝撃緩衝材の部分を控え壁10に接触させることができ、その際の衝撃を吸収緩和することができる。
【0037】
また、その場合、第1引手部材15の表面を合成皮革等の可撓性のシート部材で被覆しておけば、引手14を主に構成する主材料と衝撃緩衝材との間の見かけの差を隠すことができ、見映えがよくなる。
【0038】
(その他の実施形態)
尚、上記実施形態では、引手14は縦長の長方形状のものであるが、引手14の形状は正方形状や円形状等であってもよく、特に限定されないのは言うまでもない。
【0039】
また、上記実施形態では、戸11と控え壁10とを持つ片引戸に適用しているが、本発明は両引戸、引込み戸、引違い戸等に適用することができる。引違い戸に適用した場合、上記実施形態の控え壁10をそれに代えて引き違いの戸とすればよく、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0040】
また、本発明は、住宅等の建物の開口に用いられる引戸は勿論、スライド式の収納扉へも適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、引手の指掛け用凹部の深さを大に確保して、引戸の開閉の容易化を図ることができる点で極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、図4のI−I線断面図である。
【図2】図2は、図4のII−II線断面図である。
【図3】図3は、図4のIII−III線断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態1に係る引手を室内側から見た拡大正面図である。
【図5】図5は、室内から見た引戸の斜視図である。
【図6】図6は、戸及び控え壁間の隙間と引手との関係を引戸を開いた状態で示す水平断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態2を示す図6相当図である。
【符号の説明】
【0043】
A 引戸
R 室
10 控え壁
11 戸
12 取付孔
14 引手
15 第1引手部材
15a 嵌合部
d1 嵌合深さ
h1 突出高さ
16 第2引手部材
16a 嵌合部
d2 嵌合深さ
h2 突出高さ
17 指掛け用凹部
25 隙間
L 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸における戸の取付孔に戸の両側面からそれぞれ互いに対応して取り付けられかつ表面に指掛け用凹部を有する第1及び第2引手部材を備えた引手であって、
上記第1及び第2引手部材には、引手部材の外周側面を裏面側から表面側に向かって段差状に切り欠くことで、上記戸の取付孔に嵌合される嵌合部が設けられ、
上記第1引手部材の嵌合部の嵌合深さが第2引手部材の嵌合深さよりも小さく、
第1引手部材の戸表面からの突出高さが第2引手部材よりも大きいことを特徴とする引手。
【請求項2】
請求項1の引手において、
引戸は、引手が取り付けられる戸と控え壁又は引き違いの戸とを備えており、
第1引手部材の突出高さは、戸と控え壁との間の隙間又は戸と引き違いの戸との隙間の間隔よりも大きく、
第2引手部材の突出高さは、戸と控え壁との間の隙間又は戸と引き違いの戸との隙間の間隔よりも小さいことを特徴とする引手。
【請求項3】
請求項1の引手が取り付けられたことを特徴とする引戸。
【請求項4】
請求項2の引手が取り付けられた引戸であって、
第1引手部材は取付孔に、戸の控え壁又は引違いの戸と反対側の面から取り付けられている一方、
第2引手部材は取付孔に、戸の控え壁側又は引違いの戸側の面から取り付けられていることを特徴とする引戸。
【請求項5】
請求項2の引手が取り付けられた引戸であって、
第1引手部材は取付孔に、戸の控え壁側又は引違いの戸側の面から取り付けられている一方、
第2引手部材は取付孔に、戸の控え壁又は引違いの戸と反対側の面から取り付けられていることを特徴とする引戸。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−19653(P2008−19653A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193276(P2006−193276)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)