説明

引火性が減少した熱伝達流体

【課題】熱伝達流体を収容した蒸気圧縮回路によって流体または物体を冷却または加熱する方法。
【解決手段】上記回路は少なくとも部分的に包囲空間中に収容されており、その包囲空間内の空気の相対湿度が50%以下である閾値H1以下で、その相対湿度H1での熱伝達流体の引火性が50%の相対湿度での熱伝達流体の引火性以下である。本発明はさらに、上記方法を実施するのに適した設備と、熱伝達流体を収容した蒸気圧縮回路を少なくとも部分的に含む包囲空間の火災または爆発の危険から保護する方法と、熱伝達流のGWPを減らすための方法と、上記方法を実施するのに適した熱伝達流体とに関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気の相対湿度を減らすことによって引火性を減少させた熱伝達流体と、その冷却または暖房システムでの使用とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フルオロカーボン化合物をベースにした流体は多くの工業機器、特に空調、ヒートポンプまたは冷却機器で広く使われている。これらの機器に共通した特徴は低圧での流体の蒸発(流体が熱を吸収)と、蒸発された流体の高圧への圧縮と、蒸発した流体の高圧での凝縮(流体が熱を失う)と、1サイクル完了時の流体の膨張とを含む熱力学サイクルをベースする点にある。
【0003】
熱伝達流体(純粋化合物または化合物の混合物)は流体の熱力学的性質とその他の拘束条件とによって選択される。
【0004】
特に、この流体を特定の用途で使用する場合やこの流体の使用が禁止されている用途の場合には、流体の引火度に応じた安全対策をとることが義務付けられる。
【0005】
その他に考慮する必要のある重要な判定基準は環境に対する流体のインパクト(影響)である。塩素化合物(クロロフルオロカーボンおよびヒドロクロロフルオロカーボン)はオゾン層を傷つけるという欠点がある。従って、最近ではハイドロフルオロカーボン、フルオロエーテルおよびより最近のフルオロオレフィン(またはフルオロアルケン)のような非塩素合物が一般に好まれる。また、フルオロオレフィンは一般に寿命が短く、他の化合物より地球温暖化ポテンシャル(GWP)が低い。
【0006】
特許文献1(国際特許第WO 2004/037913号公報)および特許文献2(国際特許第WO 2005/105947号公報)でには、3または4個の炭素原子を有する少なくとも一種のフルオロアルケン、特にペンタフルオロプロペンおよびテトラフルオロプロペンを含む組成物の熱伝達流体としての使用が記載されている。
【0007】
特許文献3(国際特許第WO 2007/053697号公報)および特許文献4(国際特許第WO 2007/126414号公報)には、熱伝達流体としてフルオロオレフィンと他の伝熱化合物との混合物が開示されている。
【0008】
しかし、オレフィン化合物は飽和化合物より可燃性が高くなる傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際特許第WO 2004/037913号公報
【特許文献2】国際特許第WO 2005/105947号公報
【特許文献3】国際特許第WO 2007/053697号公報
【特許文献4】国際特許第WO 2007/12641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、熱伝達流体のGWPの等級を下げずに、従来公知のものより可燃性が低い熱伝達流体に対する真のニーズがある。
さらに、熱伝達流体の引火性を増加させずに、従来公知のものよりGWPが低い熱伝達流体を使用したいというニーズもある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の対象は、熱伝達流体を収容した蒸気圧縮回路によって流体または物体を冷却または加熱する方法であって、上記回路が少なくとも部分的に包囲空間中に収容されており、その包囲空間内の空気の相対湿度が50%以下である閾値H1以下であり、その相対湿度H1での熱伝達流体の引火性が50%の相対湿度での熱伝達流体の引火性以下であることを特徴とする方法にある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】空気の湿度(x軸)を関数とする、HFO−1234yf/HFC−134a二成分混合物を不燃性にするのに必要なHFC−134aの最少配合量(y軸)を示す図。
【図2】空気の湿度(x軸)を関数とする、HFC−134a/HFC−32二成分混合物を不燃性にするのに必要なHFC−134aの最少配合量(y軸)を示す図。
【図3】空気の湿度を関数とする、HFO−1234yf/HFC−134a/HFC−32三元混合物を不燃性にするのに必要なHFC−134aの最少配合量を示すダイヤグラム。三角形の最上部先端は100%のHFC−134aに対応し、底部左先端は100%のHFC−1234yfに対応し、底部右先端は100%のHFC−32に対応する。非引火性限界はダイヤグラムに点で示してある。初期「HR」は「相対湿度の百分比」を意味する。
【図4】相対湿度を関数とする、HFO−1234ze/HFC−134a/HFC−32三元混合物の引火性の変化を示すダイヤグラ。
【図5】相対湿度を関数とする、HFO−1234yf/HFO−1234ze/HFC−134a三元混合物の引火性の変化を示すダイヤグラ。
【図6】相対湿度を関数とする、HFO−1234yf/HFC−134a/HFC−32三元混合物の引火性の変化を示すダイヤグラ(このダイヤグラは[図3]に示した結果を別の方法で示したもの)。
【図7】空気の湿度(乾き空気kg当たりの水の量をg数で表す)(x軸)を関数とする、HFO−1234zeのHFC−125/HFC−125二成分混合物(y軸)を不燃性にするのに必要な最少配合量を表す図。
【図8】空気の湿度(乾き空気kg当たりの水の量をg数で表す)(x軸)を関数とする、HFO−1234yfのHFC−125/HFC−125二成分混合物(y軸)を不燃性にするのに必要な最少配合量を表す図。
【図9】空気の湿度(乾き空気kg当たりの水の量をg数で表す)(x軸)を関数とする、HFO−1234zeのHFC−134a/HFC−134a二成分混合物(y軸)を不燃性にするのに必要な最少配合量を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一つの実施例では、H1の値は45%以下、好ましくは40%以下、好ましくは35%以下、好ましくは30%以下、好ましくは25%以下、好ましくは20%以下、好ましくは15%以下、好ましくは10%以下、好ましくは5%以下である。
【0014】
本発明の一つの実施例では、包囲空間中の空気を除湿する、好ましくは包囲空間中の空気の水蒸気を凝縮するか、包囲空間中の空気を脱水剤と接触させることによって包囲空間中の空気の相対湿度をH1以下の値に維持する。
【0015】
本発明の一つの実施例は下記の(1)または(2)または(3)を満たす:
(1)上記相対湿度H1で熱伝達流体が不燃性であり、50%相対湿度で発火性である、
(2)上記相対湿度H1が熱伝達流体が発火性で且つ50%相対湿度で発火性であり、上記相対湿度H1での熱伝達流体の燃焼下限値が熱伝達流体の50%相対湿度での燃焼下限値以上である、
(3)上記相対湿度H1で熱伝達流体が、50%相対湿度での熱伝達流体の引火性クラス以下の引火性クラスに属する。
【0016】
本発明の一つの実施例では下記(1)〜(3)を満たす:
(1)熱伝達流体が少なくとも一種の式:XCF23-Zのフルオロオレフィン(ここで、Xは置換または未置換の不飽和C2、C3またはC4アルキル基で、各Rは各々独立してCl、F、Br、IまたはHであり、zは1〜3の整数)を含む。
(2)熱伝達流体は好ましくは少なくとも一種の他の伝熱化合物をさらに含む。この少なくとも一種の他の伝熱化合物は好ましくは炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、炭化水素エーテルおよびアムモニアの中から選択され、さらに好ましくはドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボンおよびフルオロエーテルの中から選択される。
【0017】
(3)熱伝達流体は下記から好ましくは選択される:
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
* E形またはZ形の1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
* 質量比が5:95〜99:1、好ましくは20:80〜99:1、特に好ましくは60:40〜99:1の1,3,3,3−テトラフルオロプロペと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が50:50〜99:1、好ましくは65:35〜92:8、特に好ましくは74:26〜91:9の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは50:50〜99:1、特に好ましくは65:35〜98:2、特に好ましくは74:26〜98:2の1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは2−80:2−80:2−60、より好ましくは2−80:2−80:2−12または2−80:2−80:15−30または2−53:2−53:45−60である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは1−90:1−90:1−65である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
【0018】
* 質量比が好ましくは1−90:1−90:1−65である1,3,3,3−と、テトラフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよびジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)
* 質量比が好ましくは1−80:2−93:6−21である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 3,3,3−トリフルオロプロペン単独、または、それと2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物または1,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびジフルオロメタンとの混合物または2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物、
【0019】
* 1−クロル−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−ン(EまたはZ形)、
* 2−クロル−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−ン、
* 質量比が好ましくは70:30〜85:15の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとペンタフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは80:20〜98:2の1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは30−90:5−50:2−20、特に好ましくは45−80:15−35:5−20、理想的には55−74:18−25:8−20の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは30−90:5−50:2−20、特に好ましくは40−62:30−40:8−20または60−90:5−20:5−20または40−70:25−40:5−20の1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは15−55:15−55:15−35:15−35である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは15−55:15−55:15−35:15−35である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物。
【0020】
本発明の一つの実施例では、蒸気圧縮回路が伝熱組成物を収容し、この伝熱組成物が熱伝達流体と、潤滑剤、界面活性剤、トレーサ、蛍光剤、香料および可溶化剤の中から選択される一つ以上の添加剤とを含む。
【0021】
本発明の他の対象は、熱伝達流体を収容した蒸気圧縮回路を含む冷却または加熱設備であって、上記回路が少なくとも部分的に包囲空間内に収容され、この包囲空間中の空気の相対湿度が50%以下である値H1以下であり、この相対湿度H1での熱伝達流体の引火性が50%相対湿度での熱伝達流体の引火性以下であることを特徴とする加熱設備にある。
【0022】
本発明の一つの実施例では、H1の値はが45%以下、好ましくは40%以下、好ましくは35%以下、好ましくは30%以下、好ましくは25%以下、好ましくは20%以下、好ましくは15%以下、好ましくは10%以下、好ましくは5%以下である。
【0023】
本発明の一つの実施例では、上記設備が上記包囲空間中の空気を除湿する手段、好ましくは包囲空間中の空気の水蒸気を凝縮するか、包囲空間中の空気を脱水剤と接触させることによって包囲空間中の空気の相対湿度をH1以下の値に維持する手段を有する。
【0024】
本発明の一つの実施例では、下記の(1)または(2)または(3)を満たす:
(1)上記相対湿度H1で熱伝達流体が不燃性であり、50%相対湿度で発火性である、
(2)上記相対湿度H1が熱伝達流体が発火性で且つ50%相対湿度で発火性であり、上記相対湿度H1での熱伝達流体の燃焼下限値が熱伝達流体の50%相対湿度での燃焼下限値以上である、
(3)上記相対湿度H1で熱伝達流体が、50%相対湿度での熱伝達流体の引火性クラス以下の引火性クラスに属する。
【0025】
本発明の一つの実施例では下記(1)〜(3)を満たす:
(1)熱伝達流体が少なくとも一種の式:XCF23-Zのフルオロオレフィン(ここで、Xは置換または未置換の不飽和C2、C3またはC4アルキル基で、各Rは各々独立してCl、F、Br、IまたはHであり、zは1〜3の整数)を含む。
(2)熱伝達流体は好ましくは少なくとも一種の他の伝熱化合物をさらに含む。この少なくとも一種の他の伝熱化合物は好ましくは炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、炭化水素エーテルおよびアムモニアの中から選択され、さらに好ましくはドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボンおよびフルオロエーテルの中から選択される。
【0026】
(3)熱伝達流体は下記から好ましくは選択される:
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
* E形またはZ形の1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
* 質量比が5:95〜99:1、好ましくは20:80〜99:1、特に好ましくは60:40〜99:1の1,3,3,3−テトラフルオロプロペと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が50:50〜99:1、好ましくは65:35〜92:8、特に好ましくは74:26〜91:9の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは50:50〜99:1、特に好ましくは65:35〜98:2、特に好ましくは74:26〜98:2の1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは2−80:2−80:2−60、より好ましくは2−80:2−80:2−12または2−80:2−80:15−30または2−53:2−53:45−60である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは1−90:1−90:1−65である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
【0027】
* 質量比が好ましくは1−90:1−90:1−65である1,3,3,3−と、テトラフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよびジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)
* 質量比が好ましくは1−80:2−93:6−21である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 3,3,3−トリフルオロプロペン単独、または、それと2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物または1,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびジフルオロメタンとの混合物または2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物、
【0028】
* 1−クロル−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−ン(EまたはZ形)、
* 2−クロル−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−ン、
* 質量比が好ましくは70:30〜85:15の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとペンタフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは80:20〜98:2の1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは30−90:5−50:2−20、特に好ましくは45−80:15−35:5−20、理想的には55−74:18−25:8−20の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは30−90:5−50:2−20、特に好ましくは40−62:30−40:8−20または60−90:5−20:5−20または40−70:25−40:5−20の1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは15−55:15−55:15−35:15−35である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは15−55:15−55:15−35:15−35である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物。
【0029】
本発明の一つの実施例では、蒸気圧縮回路が伝熱組成物を収容し、この伝熱組成物が熱伝達流体と、潤滑剤、界面活性剤、トレーサ、蛍光剤、香料および可溶化剤の中から選択される一つ以上の添加剤とを含む。
【0030】
本発明の一つの実施例では、上記設備が移動式または据付け式のヒートポンプ加熱、空調、冷却および凝縮用設備の中から選択される。
【0031】
本発明のさらに他の対象は、熱伝達流体を収容した蒸気圧縮回路の少なくとも一部を収容している包囲空間内での火災または爆発の危険を防ぐため保護方法であって、上記包囲空間内の空気の湿度を50%以下である閾値H1以下の値に維持し、上記相対湿度H1での上記熱伝達流体の引火性を50%相対湿度での上記熱伝達流体の引火性以下にすることを特徴とする方法にある。
【0032】
本発明の一つの実施例では、下記の(1)または(2)または(3)が満たされる:
(1)上記相対湿度H1で熱伝達流体が不燃性であり、50%相対湿度で発火性である、
(2)上記相対湿度H1が熱伝達流体が発火性で且つ50%相対湿度で発火性であり、上記相対湿度H1での熱伝達流体の燃焼下限値が熱伝達流体の50%相対湿度での燃焼下限値以上である、
(3)上記相対湿度H1で熱伝達流体が、50%相対湿度での熱伝達流体の引火性クラス以下の引火性クラスに属する。
【0033】
本発明の一つの実施例では、熱伝達流体が下記から好ましく選択される:
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
* E形またはZ形の1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
* 質量比が5:95〜99:1、好ましくは20:80〜99:1、特に好ましくは60:40〜99:1の1,3,3,3−テトラフルオロプロペと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が50:50〜99:1、好ましくは65:35〜92:8、特に好ましくは74:26〜91:9の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは50:50〜99:1、特に好ましくは65:35〜98:2、特に好ましくは74:26〜98:2の1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは2−80:2−80:2−60、より好ましくは2−80:2−80:2−12または2−80:2−80:15−30または2−53:2−53:45−60である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは1−90:1−90:1−65である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
【0034】
* 質量比が好ましくは1−90:1−90:1−65である1,3,3,3−と、テトラフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよびジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)
* 質量比が好ましくは1−80:2−93:6−21である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 3,3,3−トリフルオロプロペン単独、または、それと2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物または1,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびジフルオロメタンとの混合物または2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物、
【0035】
* 1−クロル−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−ン(EまたはZ形)、
* 2−クロル−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−ン、
* 質量比が好ましくは70:30〜85:15の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとペンタフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは80:20〜98:2の1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは30−90:5−50:2−20、特に好ましくは45−80:15−35:5−20、理想的には55−74:18−25:8−20の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは30−90:5−50:2−20、特に好ましくは40−62:30−40:8−20または60−90:5−20:5−20または40−70:25−40:5−20の1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは15−55:15−55:15−35:15−35である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは15−55:15−55:15−35:15−35である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物。
【0036】
本発明の一つの実施例では、蒸気圧縮回路が伝熱組成物を収容し、この伝熱組成物が熱伝達流体と、潤滑剤、界面活性剤、トレーサ、蛍光剤、香料および可溶化剤の中から選択される一つ以上の添加剤とを含む。
【0037】
本発明の他の対象は、少なくとも一種の第1伝熱化合物と第2伝熱化合物とから成り、第1伝熱化合物のGWPは第2伝熱複式のGWPより大きい初期熱伝達流体のGWPを減らす方法であって、
第2伝熱化合物の重量配合比率を増加し、第1伝熱化合物の重量配合比率を減少させることによって初期熱伝達流体の組成を変えて、変成された熱伝達流体とし、この変成された熱伝達流体は相対湿度H1で引火性を示し、この相対湿度H1では50%以下であり、この引火性は50%相対湿度での初期熱熱伝達流体の引火性以下であることを特徴とする方法にある。
【0038】
本発明の一つの実施例では、H1の値が45%以下、好ましくは40%以下、好ましくは35%以下、好ましくは30%以下、好ましくは25%以下、好ましくは20%以下、好ましくは15%以下、好ましくは10%以下、好ましくは5%以下である。
【0039】
本発明の一つの実施例は下記(1)と(2)を満たす:
(1)第1伝熱化合物が式:XCF23-Zのフルオロオレフィン(ここで、Xは置換または未置換の不飽和C2、C3またはC4アルキル基で、各Rは各々独立してCl、F、Br、IまたはHであり、zは1〜3の整数)であり、好ましくは2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンまたは3,3,3−トリフルオロプロペンであり、
(2)第2伝熱化合物が炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、炭化水素エーテルおよびアムモニアの中から選択され、好ましくはテトラフルオロエタンまたはジフルオロメタンであり、
【0040】
熱伝達流体は好ましくは下記の中から選択される:
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 混合物の3,3,3− トリフルオロプロペンを有する2,3,3,3 テトラフルオロプロペン、
* 3,3,3−トリフルオロプロペンと、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物、
* 混合物の3,3,3− トリフルオロプロペンを有する1,1,1,2− テトラフルオロエタン、
* 3,3,3−トリフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物、
* 3,3,3−トリフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 3,3,3−トリフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物、
【0041】
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)と、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)と、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)と、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物。
【0042】
本発明のさらに他の対象は、少なくとも一種の式:XCF23-Zのフルオロオレフィン(ここで、Xは置換または未置換の不飽和C2、C3またはC4アルキル基で、各Rは各々独立してCl、F、Br、IまたはHであり、zは1〜3の整数)を含む熱伝達流体であって、上記熱伝達流体は50%相対湿度での熱伝達流体の引火性より低い50%以下である相対湿度H1での引火性を示す、流体または物品の冷却または加熱用蒸気圧縮回路で使用される、この回路の少なくとも一部は包囲空間中に収容され、包囲空間中の空気の相対湿度はH1以下であることを特徴とする熱伝達流体にある。
【0043】
本発明の一つの実施例では、熱伝達流体が少なくとも一種の他の伝熱化合物を含む。この少なくとも一種の他の伝熱化合物は好ましくは炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、炭化水素エーテルおよびアムモニアから選択され、特に好ましくはヒドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボンおよびフルオロエーテルから選択される。
【0044】
本発明の一つの実施例では、熱伝達流体が下記の中から選択される:
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(EまたはZ形)、
* 質量比が好ましくは5:95〜99:1、好ましくは20:80〜99:1、特に好ましくは60:40〜99:1である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは50:50〜99:1、好ましくは65:35〜92:8、特に好ましくは74:26〜91:9である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは50:50〜99:1、好ましくは65:35〜98:2、特に好ましくは74:26〜98:2にある1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
【0045】
* 質量比が好ましくは2−80:2−80:2−60、好ましくは2−80:2−80:2−12または2−80:2−80:15−30または2−53:2−53:45−60である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは1−90:1−90:1−65である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは1−90:1−90:1−65である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンとの混合物の(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは1−80:2−93:6−21である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
【0046】
* 3,3,3−トリフルオロプロペン単独、または、それと2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物または1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびジフルオロメタンとの混合物または2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物、
* 1−クロル−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−ン(EまたはZ形)、
* 2−クロル−3、3,3−トリフルオロプロペ−1−ン、
* 質量比が好ましくは70:30〜85:15である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは80:20〜98:2である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
【0047】
* 質量比が好ましくは30−90:5−50:2−20、特に好ましくは45−80:15−35:5−20、理想的には55−74:18−25:8−20である2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは30−90:5−50:2−20、好ましくは40−62:30−40:8−20または60−90:5−20:5−20または40−70:25−40:5−20である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは15−55:15−55:15−35:15−35である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは15−55:15−55:15−35:15−35である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物。
【0048】
本発明のさらに他の対象は、流体または物品の冷却または加熱用の蒸気圧縮回路中で使用され、この回路の少なくとも一部は包囲空間内に収容され、この包囲空間中の空気の湿度が上記H1以下である、上記熱伝達流体と、潤滑剤、安定剤、界面活性剤、トレーサ、蛍光剤、香料および可溶化剤の中から選択される一つ以上の添加剤とを含む伝熱組成物にある。
【0049】
本発明は、現状技術の寄せを克服することを可能にする。それは、特に、等価の(または改良型でさえあること)GWPを有すること以外の、現状技術のそれらより可燃性でない熱伝達流体を提供する、現状技術の熱伝達流体のそれ未満のGWPを有する熱伝達流体と同じ、しかし、等価の(または改良型でさえあること)引火性性質を有すること。
【0050】
これは、伝熱化合物の引火性の可変性によって、に対して空気の湿度の関数として、なしとげられる。そして、正確に引火性を減らすことによるより多く‖のこれらの化合物の確かである(そして、特に、テトラフルオロプロペンのような確かなフルオロオレフィンの)湿分値の空気中に低い度の存在下で。
【0051】
熱伝達流体の引火性を減らすことは、これほど可能である(使用の状態の下で)環境空気の相対湿度を減らすことによって、(熱伝達流体のGWPを増やすことなく)、代わりに基準熱伝達流体のGWP未満のGWPを有する熱伝達流体を調製することによって、または、そして、(または、下側でさえあること)前記基準熱伝達流体に引火性当量を有すること、また、環境空気の相対湿度を減らすことによって。
【0052】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
[図1]〜[図9]の内容は図面の簡単な説明の項で説明した。
[図4]〜[図6]で帯域Fは発火性混合物に対応し、帯域NFは不燃性混合物に対応する。点線は記載した所定相対湿度に対する帯域FとNFとの間の境界に対応する。0%相対湿度は乾き空気1kg当たり水が0gであることに対応し、18%相対湿度は乾き空気1kg当たり水の量が3.2gであることに対応し、30%相対湿度は乾き空気1kg当たり水が5.25gであることに対応し、50%相対湿度は乾き空気1kg当たり水が8.8gであることに対応する。帯域FとNFとの間でハッチングした面積は相対湿度H以上で発火性で、相対湿度H以下で非発火性である混合物に対応する(Hは0〜50%の間にある)。
【0053】
定義
「伝熱化合物」または「熱伝達流体」(または冷媒、refrigerant)とは蒸気圧縮回路中で低温、低圧で蒸発して熱を吸収し、高温、高圧力で凝縮して熱を失うことができる化合物および流体を意味する。熱伝達流体は1つの化合物のみ、2つまたは3または3つ以上の伝熱化合物で構成できる。
【0054】
「伝熱組成物」は熱伝達流体を含む組成物を意味し、必要な場合には、当該用途で非伝熱化合物である一種以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0055】
相対湿度(または含水率)とは空気中の水の飽和蒸気圧(または蒸気張力)に対する空気に含まれる水蒸気の分圧の比である。本明細書で相対湿度は常に23℃の基準温度で考える。従って、空気が23℃とは異なる温度Tの場合には、先ず最初に相対湿度プローブ(電気抵抗、容量、誘導タイプ)またはヒグロスタットによって温度Tでの相対湿度を測定し、変換ダイヤグラムまたはテーブルを用いて23℃の温度で同じ含水率に対応する相対湿度を演繹する。本明細書ではこの結果が相対湿度である。なお、引火性の観点からの物理関連パラメータは乾き空気中の水の絶対量であるので、常に同じ基準温度を使用する限り、後者は相対湿度から測定できる。
【0056】
本明細書で引火性(flamability)は改正ASHRAE規格34−2007で定義される。より正確には、相対湿度値Hでの熱伝達流体の引火性はASHRAE規格34−2007(使用した器械ではASTM規格E681という)に記載のテストに従って決定される。ASHRAE規格34−2007との改正点は下記の点だけである:
【0057】
(1)(ASHRAE規格34−2007では100℃であるが)テスト温度が60℃である。
(2)(ASHRAE規格34−2007ではテスト用空気の湿度は常に50%に固定されているが)テストで使用する空気の相対湿度Hは必ずしも50%でなくてもよい。
【0058】
テストした各種の熱伝達流体をASHRAE規格34−2007で定義のクライテリア(基準)に従って所定の相対湿度値Hで発火性または非発火性と記載した。
【0059】
さらに、所定の相対湿度値Hで発火性と記載した熱伝達流体に対しては、燃焼限界下限を定義し、それを例えばkg/m3または容積%で表した。この燃焼限界下限は上記改正ASHRAE規格34−2007に記載のテストで熱伝達流体が燃焼を開始し始める単位容積当たりの空気に対する熱伝達流体の最少量に対応する。
【0060】
本明細書では、下記(1)〜(3)の時に、相対湿度Hで熱伝達流体Aの引火性が同じ相対湿度Hでの熱伝達流体Bの引火性より低いという:
(1)相対湿度Hで熱伝達流体Bは発火性であるが、熱伝達流体Aは相対湿度Hで不燃性である、または、
(2)相対湿度Hで熱伝達流体Aおよび熱伝達流体Bの両方が発火性であり、相対湿度Hでの熱伝達流体Aの燃焼限界下限が相対湿度Hでの熱伝達流体Bの燃焼限界下限より上にある、または、
(3)熱伝達流体Aが熱伝達流体Bが属する引火性クラスより下にある。
【0061】
2つの流体AおよびBのいずれもが(上記の定義の意味で)他のものより引火性が以下でない場合には、2つの流体は同じ引火性を示すとみなす。
【0062】
上記の(3)の場合に使用するクラス(分級)はASHRAE規格34−2007(引火性クラスA1/B1、A2/B2およびA3/B3を定義)でも改正ASHRAE規格34−2007でもよい。改正法ではクラスA2の定義が改正され(クラスB2)、下記の新しいクラスA2Lが作られた(それぞれ新しいクラスB2L):
【0063】
(a)クラスA2およびA2L(それぞれB2およびB2L)の両方は(1)60℃、101.3kPaでの火炎伝播の存在と、(2)燃焼限界下限が3.5容積%以上であることと、(3)燃焼熱が19000kJ/kg以下であることで特徴づけられる。
(b)クラスA2L(B2L)は23℃、101.3kPaでの最大燃焼速度が10cm/s以下であり、クラスA2(B2)は23℃、101.3kPaでの最大の燃焼速度が10cm/s以上であることで特徴づけられる。
上記パラメータの決定方法はASHRAE規格34−2007に記載されている。
【0064】
「引火性(のクラス)が低い」とは、クラスA2LまたはA2またはA3の場合はクラスA1を意味し、クラスA2またはA3に対してはクラスA2Lを意味し、クラスA3、クラスB2LまたはB2またはB3に対してはクラスB1を意味し、クラスA2、クラスB2またはB3に対してはクラスB2Lを意味し、クラスB3に対してはクラスB2を意味する。
【0065】
上記(3)の状態は下記のケースに対応する:
(a)熱移送流体AがクラスAに属し、熱伝達流体BはクラスA2LまたはA2またはA3に属する、
(b)熱移送流体AがクラスA2Lに属し、熱伝達流体BはクラスA2またはA3に属する、
(c)熱移送流体AがクラスA2に属し、熱伝達流体BはクラスA3に属する、
(d)熱移送流体AがクラスB1に属し、熱伝達流体BがクラスB2LまたはB2またはB3に属する。
(e)熱移送流体AがクラスB2Lに属し、熱伝達流体BはクラスB2またはB3に属する、
(f)熱移送流体AがクラスB2に属し、熱伝達流体BはクラスB3に属する。
【0066】
クラスを関数としての引火性を比較する上記判定基準を用いることで、固有の引火性が同一(例えばこれらの2つの移送流体が不燃性)の場合で且つこれらの2つの熱伝達流体に由来する組成物WCFおよび/または組成物WCFF(ブローバイガス)の引火性が異なるような伝熱化合物の混合物である2つの熱伝達流体AとBを区別することができる。複数の化合物から成る熱伝達流体の組成物WCFおよびWCFFはASHRAE規格34−2007で定義される。
【0067】
本発明の一つの実施例で、熱伝達流体Aは相対湿度Hで同じ相対湿度Hでの熱伝達流体Bより低い引火性を示すということは、流体AとBが状態(1)にあるということを意味する。
【0068】
本発明の一つの実施例で、熱伝達流体Aが相対湿度Hで同じ相対湿度Hでの熱伝達流体Bより低い引火性を示すということは、流体AとBが状態(2)にあるということを意味する。
【0069】
本発明の一つの実施例で、熱伝達流体Aが相対湿度Hで同じ相対湿度Hでの熱伝達流体Bより低い引火性を示すということは、流体AとBが状態(3)にあるということを意味する。
【0070】
本明細書で、熱伝達流体Aが相対湿度H1で相対湿度H2での引火性より低い引火性を示すのは下記の場合である:
(4)熱伝達流体Aは相対湿度H1で不燃性であり、相対湿度H2で発火性である、または、
(5)熱伝達流体Aは相対湿度H1および相対湿度H2で発火性であり、相対湿度H1での熱伝達流体Aの燃焼限界下限が相対湿度H2での熱伝達流体Aの燃焼限界下限より上にある、または、
(6)熱伝達流体Aは相対湿度H1で、相対湿度H2での熱伝達流体Aの引火性クラスより下の引火性クラスに属する。
【0071】
流体Aが2つの相対湿度の一つ(上記定義の意味)が他方より下の引火性を示さない場合には、その流体はその2つの相対湿度で全く同じ引火性を示すとみなされる。
【0072】
状態(6)での引火性クラスおよびそれらの比較の定義に関する基準は、2つの熱伝達流体AとBの引火性の比較に関して記載した上記定義が参照される。
【0073】
本発明の一つの実施例で、熱伝達流体Aが相対湿度H1で相対湿度H2での引火性より低い引火性を示すということは流体Aが状態(4)にあることを示す。
【0074】
本発明の一つの実施例で、熱伝達流体Aが相対湿度H1で相対湿度H2での引火性より低い引火性を示すということは流体Aが状態(5)にあることを示す。
【0075】
本発明の一つの実施例で、熱伝達流体Aが相対湿度H1で相対湿度H2での引火性より低い引火性を示すということは流体Aが状態(6)にあることを示す。
【0076】
従って、本発明で引火性が下がるという観念は、初期の引火性から最終の引火性へ変わり、上記の定義に従って最終の引火性は初期の引火性以下であるということを意味する。
【0077】
本明細書で、地球温暖化ポテンシャル(GWP)はWorld Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Projectの報告書“The scientific assessment of ozone depletion, 2002”に記載の方法で測定した二酸化炭素および100年の期間に関して定義される。
【0078】
本発明の実行
本発明は、熱伝達流体を収容した蒸気圧縮回路を含む設備と、この設備で実行できる流体または物体の加熱または冷却方法とを提供する。加熱または冷却される流体または物体は特に基本的に閉じた空間内に(包囲空間)含まれる空気である。
【0079】
熱伝達流体を収容した蒸気圧縮回路は少なくとも一つの蒸発器と、コンプレッサと、凝縮器と、膨張弁と、これらの部品間の熱伝達流体の輸送ラインとから成る。コンプレッサとして特に多段遠心圧縮機、好ましくは二段またはミニ遠心圧縮機を使用することができる。コンプレッサは電動機またはガスタービン(例えば廃ガス、自動車では排気から供給される)またはこれらの組合せで駆動できる。
【0080】
上記設備は上記タービンと膨張弁とを組み合わせて電気を発生させることもできる(ランキンサイクル)。上記設備はさらに、オプションとして熱伝達流体回路と加熱または冷却される流体または物体との間で熱を伝えるための冷却剤(状態変化有りまたは無し)の少なくとも一つの回路を有することができる。上記設備はさらに、オプションとして同一または異なる熱伝達流体を収容した2つの(以上)の蒸気圧縮回路を有することができる。蒸気圧縮回路は例えば互いに連結できる。
【0081】
蒸気圧縮回路は標準的な蒸気圧縮サイクルに従って運転される。このサイクルは相対的に低圧力で液相(または液体/蒸気2相の形)から蒸気相まで熱伝達流体の状態を変え、液体を相対的に高圧力の蒸気相へ圧縮し、相対的に高圧力で蒸気相から液相へ熱伝達流体の状態を変え(凝縮)、圧力を下げ、サイクルを再び始める工程を有する。
【0082】
冷却で使用する場合には、(直接または冷却剤を介して間接的に)冷却された流体または物体からの熱を熱伝達流体の蒸発時に環境に対して相対的に低い温度で熱伝達流体で吸収する。
【0083】
加熱で使用する場合には、熱伝達流体から熱を(直接または冷却剤を介して間接的に)環境に対して比較的に高い温度で熱伝達流体の凝縮時に伝達して流体または物体を加熱する。
【0084】
本発明では、蒸気圧縮回路の全部または一部は包囲空間内に収容されている。この包囲空間は空気が充満された空間であり、基本的に壁によって環境から隔離されている。
【0085】
上記包囲空間は冷却または加熱を蒸気圧縮回路で行う流体または物体を収容した空間にすることができる。この場合、包囲空間は少なくとも一つの蒸発器回路(冷却の場合)または凝縮器回路(加熱の場合)を含む。
【0086】
上記包囲空間は冷却または加熱を流体または物体を収容した空間とは別にすることもできる。この場合、包囲空間はエンジンルームにすることができる。すなわち本発明の設備を収容するように設計された空間にすることができる。
【0087】
上記包囲空間は空気に対して必ずしも完全に密封されている必要はない。一般には包囲空間中の空気を確実に入れ換えるベンチレーション手段を備えている。
【0088】
本発明の冷却または加熱設備は移動式または据付け式の設備にすることができ、好ましくは静止している。
【0089】
上記設備は特にヒートポンプ設備にすることができる。この場合、加熱される流体(一般には空気、オプションとして一種以上の化合物、物体または機構)は構内(premise)または車両の運転室内(移動式設備の場合)に位置している。空気調和設備の場合には、冷却される流体または物体(一般に空気、オプションとして一種以上の化合物、物体または機構)構内(premise)または車両の運転室内(移動式設備の場合)に位置している、冷凍設備または冷蔵設備(または冷凍設備)の場合には、冷却される流体または物体は一般に構内(premise)またはコンテナに中の空気と、一種以上の化合物、物体または機構からなる。
【0090】
本発明は、相対湿度H1での引火性が基準相対湿度の50%での引火性より低い熱伝達流体を使用することがベースになっている(H1の値は50%以下)。
【0091】
本発明の最初の観点から、本発明は上記方法および設備を上記熱伝達流体を用い且つ包囲空間の空気の湿度を上記で選択した閾値H1より少なくしし実行することを提案する。すなわち、本発明方法は熱伝達流体の引火性が基準相対湿度の50%での引火性より低い条件下で実行される(設備を操作する)。
【0092】
50%の相対湿度値は熱伝達流体の引火性を決定するために標準化されたASHRAE規格34−2007に従った方法で使われる値である。
【0093】
従って、本発明は例えば閾値Hi=45%または40%または35%または30%または25%または20%または15%または10%または5%に選択して実行することができる。従って、包囲空間内の空気の相対湿度45%以下または40%以下または35%以下または30%以下または25%以下または20%以下または15%以下または10%以下または5%以下である。
【0094】
本発明の有利な実施例では、本発明を使用することで包囲空間中での火災または爆発のリスクを減らすことができ、50%相対湿度での対照の実行/運転に対して火災または爆発に対する安全性を制限することができる。本発明を用いることによって、場合によっては、50%相対湿度での対照の実行/運営に対して火災または爆発のリスクに対して講ずべき安全施策の全部または一部をなしで済ますことができる。本発明を用いることによって、場合によっては、50%相対湿度では安全理由のために用途によっては使用ができなかった熱伝達流体を使用することが可能になる。
【0095】
火災または爆発のリスクを防ぐための安全対策は、特に蒸気圧縮サイクル中の熱伝達流体の量を制限することでできる。また、本発明を用いることで蒸気圧縮サイクルの熱伝達流体の量を増やすことができ、従って、冷却または加熱の効率を改良することができる。
【0096】
また、火災または爆発のリスクを防ぐための安全対策として換気システム、個人排気具、熱伝達流体の漏れ検出システム、警報装置、消化機器、耐火性および/または防爆構造物等の安全装置を備えることができるが、本発明を用いることでこれらの安全装置の全てまたは一部を減らすことができ、安全装置全てまたは一部を無くすことができる。
【0097】
火災または爆発のリスクを防ぐための安全対策は一般に、ASHRAE規格34−2007(上記改正法を含む)に含まれる安全分類の関数として、2008年4月のNFIN規格378に規定されている。有利な実施例は下記に従う:
【0098】
(1)引火性を50%相対湿度で決定した時の熱伝達流体がクラスA3であるか、引火性を相対湿度H1で決定した場合には熱伝達流体がA2LまたはA2またはA1である、または、
(2)引火性を50%相対湿度で決定した時の熱伝達流体がクラスA2であるか、引火性を相対湿度H1で決定した場合には熱伝達流体がクラスA2LまたはAlである、または、
(3)引火性を50%相対湿度で決定した時の熱伝達流体がクラスA2Lであるか、引火性を相対湿度H1で決定した場合には熱伝達流体がクラスAlである、または、
(4)引火性を50%相対湿度で決定した時の熱伝達流体がクラスB3であるか、引火性を相対湿度H1で決定した場合には熱伝達流体がクラスB2またはB2Lである、または、
(5)引火性を50%相対湿度で決定した時の熱伝達流体がクラスB2であるか、引火性を相対湿度H1で決定した場合には熱伝達流体がクラスB2LまたはB1である、または、
(6)引火性を50%相対湿度で決定した時の熱伝達流体がクラスB2Lであるか、引火性を相対湿度H1で決定した場合には熱伝達流体がクラスB1である。
【0099】
包囲空間中の空気の相対湿度は、特定の干渉下または特定の干渉無しに、相対湿度H1以下のレベルに維持される。
【0100】
一般に環境中の空気は自然に十分に乾燥している(設備の地理的および風土的状態に従う)ので、特定の干渉無しに相対湿度を維持できる。
【0101】
他の可能な状態は蒸気圧縮回路自体が包囲空間中の空気をどれだけ除湿するかによる。これは特に本発明の方法/設備で加熱または冷却される流体が包囲空間内部に収容された空気の場合である。
【0102】
冷却の場合には、例えば、蒸発器の外部表面と接触して水蒸気が凝縮し、水中の空気含有量は所望レベルに相対湿度に下がる。一般に凝縮水は液体の水を回収する手段によって回収、除去される。
【0103】
さらに、相対湿度は値H1以下のレベルまで積極的に維持できる。そのために包囲空間にはフィードバックループを有する湿分値感応素子に連結した除湿手段を備えていることができる。この除湿手段は例えば包囲空間中の空気の水蒸気を冷却し、凝縮させる手段(蒸気圧縮回路と自体は別の手段)、空気を圧縮して包囲空間中の空気の水蒸気を凝縮する手段から成ることができ、および/または、包囲空間中の空気または包囲空間を入る空気と接触する脱水剤から成ることができる。この脱水剤には化学吸収剤(例えば塩化リチウム)、吸着剤(例えば活性アルミナ、シリカゲル、活性炭またはモレキュラーシーブ)および浸透剤(多孔性中空の維膜)が含まれる。
【0104】
脱水剤は脱水剤を再生させために除湿された空気流および相対的に乾いた空気の流れと異なる温度および/または圧力条件下に定期的に接触させる。除湿される空気の流れは例えば包囲空間に流入する空気にすることができる。再生させための相対的に乾いた空気の流れは脱水剤と接触した後に包囲空間から外へ出る空気流にすることもできる。2つの流れの各々と接触させるために脱水剤を定期的に回転させる手段を設けることもできる。脱水剤の再生を熱を供給して実行することもできる。
【0105】
特定の干渉無しに相対湿度を所望レベルで維持する場合を含めて全てのケースで、空気の湿度が閾値H1以下にあることを証明するために包囲空間中の湿分値の感応素子を設けるのが有利である。相対湿度H1限界を超えた時に警報する装置を設けることかできる。減湿手段が存在する場合にはフィードバックシステムで相対湿度を調整することができる。
【0106】
本発明の包囲空間は公共の空間またはプライベート空間にすることができる。この包囲空間は(定期的メンテナンスを除いて)基本的に公共の空間またはプライベート空間でない、例えばエンジンルームであるのが好ましい。事実、相対湿度を低くすると人間は不快になる。
【0107】
複数の包囲空間が蒸気圧縮回路の位置不を収容する場合には、各包囲空間中の空気の湿度レベルを閾値H1以下に維持するのが望ましい。本発明の一つの実施例では熱伝達流体の漏れで汚染される危険のある空間の全てに対して同じことが言える。
【0108】
本発明の実行に適した熱伝達流体は単一の伝熱化合物(純粋物体)または2種または2種以上の伝熱化合物の混合物から成ることができる。好ましくは熱化合物の混合物である。
【0109】
熱伝達流体は少なくとも一種の式:XCF23-Zのフルオロオレフィンから成るのが好ましい。ここで、Xは置換または未置換の不飽和のC2、C3またはC4アルキル基であり、各Rは独立してCl、F、Br、IまたはHであり、zは1〜3の整数である。
【0110】
本発明の好ましい実施例では、このフルオロオレフィンは2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)または1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze、そのE形およびZ形、好ましくはE形)である。これらの化合物は単独で使用でき、または、混合物、例えば二成分混合物として使用できる。後者の質量比は好ましくは5:95〜99:1の間、特に好ましくは20:80〜99:1の間、特に好ましくは60:40〜99:1の間である。
【0111】
HFO−1234yfおよびHFO−1234zeは両方とも50%以下の相対湿度で50%相対湿度より低い引火性を示す。特に、HFO−1234zeは50%相対湿度で発火性であるが、このような低相対湿度、特に約0%相対湿度では非発火性になる。同様に、HFO−1234zeの比率が十分に高い配合物から成る混合物は低相対湿度、特に約0%相対湿度で非発火性である。
【0112】
また、熱伝達流体は少なくとも一種の他の伝熱化合物、好ましくは炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、炭化水素エーテルおよびアムモニアから選択される他の伝熱化合物、特に好ましくはヒドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボンおよびフルオロエーテルから選択される化合物をさらに含むことができる。
【0113】
本発明の好ましい実施例では、上記の他の伝熱化合物は1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)および/またはジフルオロメタン(HFC−32)および/またはペンタフルオロエタン(HFC−125)にすることができる。
【0114】
熱伝達流体は特に、質量比が好ましくは50:50〜99:1との間、特に好ましくは65:35〜92:8の間、特に好ましくは74:26〜91:9の間にあるHFO−1234yfとHFC−134aとの混合物にすることができる、流体中のHFO−1234yfの配合比率が上記より高くなると、流体はより可燃性になり、GWPが下がる。相対湿度を下げることで流体の引火性を下げることができるので、オプションとして、混合物中のHFC−134aの配合比率が減り、GWPが下がる。例えば、HFC−134aの重量比率が35%の流体は32%以下の相対湿度で非発火性であり、そのGWPは503である。HFC−134aの重量比率が26%の流体は、15%以下相対湿度で非発火性であり、そのGWPは375である。最後に、20%HFC−134aから成る流体は0%に近い相対湿度で非発火性である。
【0115】
また、熱伝達流体は質量比が好ましくは50:50〜99:1との間、特に好ましくは65:35〜98:2、特に好ましくは74:26〜98:2の間にあるHFO−1234zeと、HFC−134aとの混合物にすることができる。
【0116】
また、熱伝達流体をHFO−1234yf、HFC−134aおよびHFC−32の混合物にすることもできる。この流体での配合比率は所定相対湿度での所望引火性および所望GWPに従って調整される。10重量%のHFC−32、50重量%のHFC−134aおよび40重量%のHFO−1234yfから成る流体は50%相対湿度で不燃性である。しかし、25%HFC−32、37%HFC−134aおよび38%HFO−1234yfから成る流体から得られる組成物のWCFFは50%相対湿度で発火性であり、従ってこの流体自体は改正ASHRAE規格34−2007(上記)ではクラスA2Lに分類される。この組成物WCFFは相対湿度0%の近くで不燃性である。従って、相対湿度を下げることで上記流体のクラスをクラスA2LからクラスA1に変えることができる。
【0117】
上記の混合物は質量比2−80:2−80:2−60(HFO−1234yf:HFC−134a:HFC−32、特に好ましくは2−80:2−80:2−12(低キュービック(cubic)キャパシティを有する流体)または2−80:2−80:15−30(平均滴定(titrimetric)キャパシティを有する流体)または2−53:2−53:45−60(高キュービックキャパシティを有する流体)で使うのが好ましい。
【0118】
また、熱伝達流体はHFO−1234ze、HFC−134aおよびHFC−32の混合物(好ましくは質量比が1−90:1−90:1−65HFO−1234ze:HFC−134a:HFC−32)またはHFO−1234ze、HFO−1234yfおよびHFC−32の混合物(好ましくは質量比が1−90:1−90:1−65のHFO−1234ze:HFO−1234yf:HFC−32)にすることができる。
【0119】
また、熱伝達流体は質量比が好ましくは1−80:2−93:6−21であるHFP−1234yf、HFO−1234zeおよびHFC−134aの混合物にすることができる。流体が1〜80重量%のHFO−1234ze、45〜60重量%のHFC−134aおよび2〜54重量%のHFO−1234yfを含む場合には、それは高相対湿度で非可燃性である。流体が1〜80重量%のHFO−1234zeと、21〜45重量%のHFC−134aと、2〜78重量%のHFO−1234yfを含む場合には、それは平均的相対湿度で非発火性である。流体が1〜80重量%のHFO−1234zeと、6〜21重量%のHFC−134aと、2〜93重量%のHFO−1234yfとを含む場合には、それは低相対湿度での非発火性である。
【0120】
また、熱伝達流体は3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)にすることもできる。この化合物は高相対湿度より低相対湿度での発火性が低い。また、熱伝達流体はHFO−1243zfとHFC−134aとの混合物またはHFC−134aおよびHFC−32との混合物またはHFO−1234yfとの混合物またはHFO−1234zeとの混合物または1234yf、HFO−およびHFC−134aとの混合物またはHFO−1234zeおよびHFC−134aとの混合物にすることもできる。
【0121】
また、熱伝達流体は1−クロル−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−ン(HCFC−1233zd)のZ形またはE形または2−クロル−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−ン(HCFC−1233xf)にすることもできる。
【0122】
また、熱伝達流体はHFO−1234yfおよびHFC−125の二成分混合物にすることができる。HFC−125の重量比は15〜30%であるのが好ましい。
【0123】
また、熱伝達流体はHFO−1234zeおよびHFC−125の二成分混合物にすることができる。HFC−125の重量比は2〜20%であるのが好ましくい。
【0124】
また、熱伝達流体はHFO−1234yfまたはHFO−1234zeと、HFC−32と、HFC−125との三成分混合物にすることができる。HFC−32の重量比は5〜50%、HFC−125の重量比は2〜20%、HFO−1234yfまたはHFO−1234zeの重量比は30〜90%であるのが好ましい。
【0125】
特に好ましい熱伝達流体は下記組成物(重量比率)である:
(1)15〜35%のHFC−32、5〜20%のHFC−125および45〜80%のHFO−1234yf、
(2)18〜25%のHFC−32、8〜20%のHFC−125および55〜74%のHFO−1234yf、
(3)15〜50%のHFC−32、5〜20%のHFC−125および30〜80%のHFO−1234ze、
(4)30〜40%のHFC−32、8〜20%のHFC−125および40〜62%のHFO−1234ze、
(5)5〜30%のHFC−32、5〜20%のHFC−125および50〜90%のHFO−1234ze、
(6)5〜20%のHFC−32、5〜20%のFC−125および60〜90%のHFO−1234ze、
(7)20〜40%のHFC−32、5〜20%のHFC−125および40〜75%のHFO−1234ze、
(8)25〜40%のHFC−32、5〜20%のHFC−125および40〜70%のHFO−1234ze。
【0126】
また、熱伝達流体はHFO−1234ze、HFC−32、HFC−125およびHFC−134aの四元混合物にすることができる。HFC−32の重量比は15〜35%が好ましく、HFC−125の重量比は15〜35%がましく、HFC−134の重量比は15〜55%が好ましく、HFO−1234zeの重量比は15〜55%が好ましい。
【0127】
また、熱伝達流体はHFO−1234yf、HFC−32、HFC−125およびHFC−134aの四元混合物にすることができる。HFC−32の重量比は15〜35%が好ましく、HFC−125の重量比は15〜35%が好ましく、HFC−134aの重量比は15〜55%が好ましく、HFO−1234yfの重量比は15〜55%が好ましい。
【0128】
熱伝達流体には蒸気圧縮回路中を循環する伝熱組成物にするために一種以上の添加剤を混合できる。この添加剤は特に潤滑剤、安定剤、界面活性剤、トレーサ、蛍光剤、香料および可溶化剤から選択できる。
【0129】
熱伝達流体中に安定剤が存在する場合には、安定剤は熱伝達流体の多くても5重量%にする。安定剤としてはニトロメタン、アスコルビン酸、テレフタル酸、アゾール、例えばトルトリアゾールまたはベンゾトリアゾール、フェノール化合物、例えばトコフェロール、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、エポキシド(オプションとしてフッ素化またはパーフッ素化アルキルまたはアルケニルまたは芳香族)、例えばn−ブチルグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステル、チオールおよびラクトンを特に挙げることができる。
【0130】
潤滑剤としては特に鉱油、シリコーン油、パラフィン系炭水素、ナフテン、合成パラフィン系炭水素、アルキルベンゼン、ポリ−アルファオレフィン、ポリアルケングリコール、ポリオール・エステルおよび/またはポリビニルエーテルが使用できる。
【0131】
(検出可能な)トレーサとしてはハイドロフルオロカーボン、重水素化ハイドロフルオロカーボン、重水素化炭化水素、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化物、沃素化物、アルコール、アルデヒド、ケトン、窒素プロトキサイドおよびそれのこれらの組合せを挙げることができる。トレーサは伝熱化合物または熱伝達流体を構成する化合物とは異なるものである。
【0132】
可溶化剤としては炭化水素、ジメチルエーテル、ポリオキシアルキレン・エーテル、アミド、ケトン、ニトリル、クロロカーボン、エステル、ラクトン、アリールエーテル、フルオロエーテルおよび1,1,1−トリフルオロアルカンを挙げることができる。可溶化剤は熱伝達流体または熱伝達流体を構成する化合物とは異なるものである。
【0133】
蛍光剤としてナフカルアミド、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、アントラセン誘導体、フェナンスレン、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、ナフトキサンテン誘導体、フルオレセインおよびその誘導体およびこれらの組合せを挙げることができる。
【0134】
香料としてはアルキルアクリレート、アリルアクリレート、アクリル酸誘導体、アクリルエステル、アルキルエーテル、アルキルエステル、アルキン誘導体、アルデヒド、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、アリルイソチオシアネート、アルカノン酸、アミン、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、シクロヘキセン、複素環芳香族化合物、アスカリドール、o−メトオキシ(メチル)−フェノールおよびこれらの組合せを挙げることができる。
【0135】
本発明の他の観点から、本発明は少なくとも2つの伝熱化合物から成る熱伝達流体のGWPを減らすための方法を提供する。
【0136】
GWPを下げるためには、熱伝達流体の組成を変えてGWPが相対的に低い伝熱化合物の配合比率を増やし、GWPが相対的に高い伝熱化合物の配合比率を減らす。
【0137】
一般に、流体の組成を変えると流体の引火性は増加する。本発明では50%以下である閾値H1での相対湿度以下で組成を変えた流体を使用することでそうした流体の引火性の増加を避けることができる。この変成された組成は相対湿度H1で50%相対湿度の引火性より低い引火性を示す流体である。すなわち、流体の組成の変更に起因する引火性の増加を相対湿度の低下によって補償することができる。
【0138】
例えば、50重量%のHFO−1234yfと、50重量%のHFC−134aとから成る二成分熱伝達流体は相対湿度60%で非発火性であり、GWPは710である。この流体のGWPは引火性の劣化させずに流体の組成を下記のように変えることで下げることができる:
【0139】
(1)HFC−134aの配合量を40%に下げ、HFO−1234yfの配合量を60%まで増やすことによってGWPは574まで下げることができ、流体は相対湿度44%以下で不燃性である。
(2)HFC−134aの配合量を20%に下げ、HFO−1234yfの配合量を80%まで増やすことによってGWPは289まで下げることができ、流体は相対湿度0%以下で不燃性である。
【実施例】
【0140】
以下本発明の実施例をしめすが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
HFO−1234yfの引火性における相対湿度の影響
HFO−1234yfの引火性テストをASTM規格E681のプロトコルに従って湿った条件下におよび乾いた条件下で実行した。ガスのガラス球を25℃に維持されたオーブン中に並べた。ガラス球を減圧下に置き、テストするガスを導入し、空気で大気圧にし、調製した混合物中でスパークさせ、点火ポイントに対して90°以上で火炎フロントを観測した。それから90°の角度に達するまでガスの量を変え、点火帯域および非点火帯域を定義した。テストは60℃で実行した。
【0141】
テストで使用した空気はヒグロメータでモニターした相対湿度(相対湿度35%〜45%すなわち平均含水率12mbar)を有する環境空気またはPraxair 5.0合成乾燥空気(最大規格が2vpmの水)である。
【0142】
湿った条件下での燃焼限界下限は6.1容積%、燃焼限界上限は12.0容積%である。
【0143】
乾燥条件下での燃焼限界下限は7.6容積%で、燃焼限界上限は10.5容積%である。
【0144】
従って、HFO−1234yfの引火性は空気の湿度を下げる(本明細書の意味)ことによって下げることができる。
【0145】
実施例2
HFO−1234yf/HFC−134a混合物の引火性での相対湿度の影響
HFO−1234yf/HFC−134a二成分混合物の異なる組成物で実施例1と同様な方法でテストを実行した。60%相対湿度を有する空気(環境空気、湿度計でモニターした基準の50%相対湿度)、40%相対湿度を有する空気(環境空気を乾き空気で希釈して得られる)、20%相対湿度を有する空気(環境空気の乾き空気で希釈して得られる)およそ0%相対湿度を有する乾き空気。
【0146】
各条件の相対湿度で二成分混合物の最大HFO−1234yf含有量(または最少HFC−134a含有量)で不燃性混合物を得ることができた(90°を超える火炎伝播なし)。
【0147】
結果は[図1]に示した。相対湿度の1%の減量で混合物の引火性の等級を下げずに約0.5重量%だけHFC−134aの配合量を減らすことができる。
【0148】
実施例3
HFC−134a/HFC−32混合物の引火性での相対湿度の影響
HFC−134a/HFC−32二成分混合物の異なる組成で実施例1と同様な方法でテストを実行した。55%相対湿度を有する空気(環境空気、湿度計でモニターした基準相対湿度)44%相対湿度を有する空気(環境空気を乾き空気で希釈して得た)、20%相対湿度を有する空気(環境空気を乾き空気で希釈して得た)および約0%相対湿度を有する乾き空気。
【0149】
二成分混合物の最大HFC−134a含有量(または最少のHFC−32含有量)の各条件で不燃性混合物(火炎伝播が90°を超えない)を得ることかできる相対湿度を求めた。
【0150】
結果は[図2]に示した。1%の相対湿度の減量で、混合物の引火性の等級を下げずに、約0.2重量%だけHFC−134aの配合量を減らすことができる。
【0151】
HFC−134a/HFC−32混合物の引火性はHFO−1234yf/HFC−134a混合物の引火性より相対湿度に敏感が低い。
【0152】
実施例4
HFO−1234yf/HFC−134a/HFC−32混合物の引火性での湿度の影響
実施例2および実施例3のテスト結果と、HFO−1234yf/HFC−134a/HFC−32三元混合物で実行した同様な方法のテストで、相対湿度を関数とする三成分混合物のHFC−134aの確実に非引火性にする最少濃度を示すダイヤグラムを得た。
【0153】
結果は[図3]に示し、また、別の方法で[図6]にも示した。相対湿度が下がると、三成分混合物で少ない配合量のHFC−134aを使用でき、従って、発火性混合物にすること無しに、混合物のGWPを減らすことができる。
【0154】
実施例5
HFO−1234ze/HFC−134a混合物の引火性での相対湿度の影響
実施例1と同様な方法でテストをHFO−1234ze/HFC−134a二成分混合物の異なる組成で実行した。
【0155】
相対湿度の各条件で不燃性混合物(90°を超える火炎伝播なし)を得ることができる、二成分混合物の最大HFO−1234ze含有量(または最少HFC−134a含有量)を決定した。
【0156】
結果は[図9]に示した。50%の相対湿度では不燃性混合物を得るためは25%HFC−134aが必要である。0%の相対湿度(乾き空気)ではHFO−1234zeは単独で不燃性である。
【0157】
実施例6
HFO−1234ze/HFC−134a/HFC−32混合物の引火性での相対湿度の影響
上記実施例のテスト結果と、HFO−1234ze/HFC−134a/HFC−32三元混合物で実行した同様なテストの結果からこの混合物の引火性または非引火性に対する相対湿度の影響を求め、ダイヤグラムに示した。結果は[図4]に示す。
【0158】
実施例7
HFO−1234ze/HFO−1234yf/HFC−134a混合物の引火性での相対湿度の影響
上記実施例のテストの結果と、HFO−1234ze/HFO−1234yf/HFC−134a三元混合物で実行した同様なテストの結果からこの混合物の引火性または非引火性に対する相対湿度の影響を求め、ダイヤグラムに示した。結果は[図5]に示す。
【0159】
図から分かるように、40%のHFO−1234yfと、40%のHFO−1234zeと、20%のHFC−134aとから成る組成物は相対湿度が23℃で20%以下(すなわち乾き空気1kg当たり3.1g以下の水)で使用すれば不燃性であり、290のGWPを有する。
【0160】
実施例8
HFO−1234ze/HFC−125混合物の引火性での相対湿度の影響
実施例1と同様な方法のテストをHFO−1234ze/HFC−125の二成分混合物の異なる組成で実行した。
【0161】
各条件の相対湿度でこの二成分混合物の最大HFO−1234ze含有量(または最少HFC−125含有量)が不燃性混合物(90°を超える火炎伝播でない)になるかを求めた。結果は[図7]に示した。
【0162】
実施例9
HFO−1234yf/HFC−125の混合物の引火性での相対湿度の影響
実施例1と同様な方法のテストをHFO−1234yf/HFC−125の二成分混合物の異なる組成で実行した。
【0163】
各条件の相対湿度でこの二成分混合物の最大HFO−1234yf含有量(または最少HFC−125含有量)が不燃性混合物(90°を超える火炎伝播でない)になるかを求めた。結果は[図8]に示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝達流体を収容した蒸気圧縮回路によって流体または物体を冷却または加熱する方法であって、
上記回路は少なくとも部分的に包囲空間中に収容されており、その包囲空間内の空気の相対湿度が50%以下である閾値H1以下で、その相対湿度H1での熱伝達流体の引火性が50%の相対湿度での熱伝達流体の引火性以下であることを特徴とする方法。
【請求項2】
1の値が45%以下、好ましくは40%以下、好ましくは35%以下、好ましくは30%以下、好ましくは25%以下、好ましくは20%以下、好ましくは15%以下、好ましくは10%以下、好ましくは5%以下である請求項1に記載の方法、
【請求項3】
包囲空間中の空気を除湿する、好ましくは包囲空間中の空気の水蒸気を凝縮するか、包囲空間中の空気を脱水剤と接触させることによって包囲空間中の空気の相対湿度をH1以下の値に維持する請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
下記の(1)または(2)または(3)である請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法:
(1)上記相対湿度H1で熱伝達流体が不燃性であり、50%相対湿度で発火性である、
(2)上記相対湿度H1が熱伝達流体が発火性で且つ50%相対湿度で発火性であり、上記相対湿度H1での熱伝達流体の燃焼下限値が熱伝達流体の50%相対湿度での燃焼下限値以上である、
(3)上記相対湿度H1で熱伝達流体が、50%相対湿度での熱伝達流体の引火性クラス以下の引火性クラスに属する。
【請求項5】
下記(1)〜(3)である請求項1〜4いずれか一項に記載の方法:
(1)熱伝達流体が少なくとも一種の式:XCF23-Zのフルオロオレフィン(ここで、Xは置換または未置換の不飽和C2、C3またはC4アルキル基で、各Rは各々独立してCl、F、Br、IまたはHであり、zは1〜3の整数)を含み、
(2)熱伝達流体は、好ましくは炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、炭化水素エーテルおよびアムモニアの中から選択され、さらに好ましくはドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボンおよびフルオロエーテルの中から選択される好ましくは少なくとも一種の他の伝熱化合物をさらに含み、
(3)熱伝達流体は好ましくは下記の中から選択をされる:
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
* E形またはZ形の1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
* 質量比が5:95〜99:1、好ましくは20:80〜99:1、特に好ましくは60:40〜99:1の1,3,3,3−テトラフルオロプロペと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が50:50〜99:1、好ましくは65:35〜92:8、特に好ましくは74:26〜91:9の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは50:50〜99:1、特に好ましくは65:35〜98:2、特に好ましくは74:26〜98:2の1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは2−80:2−80:2−60、より好ましくは2−80:2−80:2−12または2−80:2−80:15−30または2−53:2−53:45−60である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは1−90:1−90:1−65である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは1−90:1−90:1−65である1,3,3,3−と、テトラフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよびジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)
* 質量比が好ましくは1−80:2−93:6−21である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 3,3,3−トリフルオロプロペン単独、または、それと2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物または1,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびジフルオロメタンとの混合物または2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物、
* 1−クロル−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−ン(EまたはZ形)、
* 2−クロル−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−ン、
* 質量比が好ましくは70:30〜85:15の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとペンタフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは80:20〜98:2の1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは30−90:5−50:2−20、特に好ましくは45−80:15−35:5−20、理想的には55−74:18−25:8−20の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは30−90:5−50:2−20、特に好ましくは40−62:30−40:8−20または60−90:5−20:5−20または40−70:25−40:5−20の1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは15−55:15−55:15−35:15−35である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは15−55:15−55:15−35:15−35である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物。
【請求項6】
蒸気圧縮回路が伝熱組成物を収容し、この伝熱組成物が熱伝達流体と、潤滑剤、界面活性剤、トレーサ、蛍光剤、香料および可溶化剤の中から選択される一つ以上の添加剤とを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
熱伝達流体を収容した蒸気圧縮回路を含む冷却または加熱設備であって、上記回路は少なくとも部分的に包囲空間内に収容され、この包囲空間中の空気の相対湿度が50%以下である値H1以下であり、この相対湿度H1での熱伝達流体の引火性が50%相対湿度での熱伝達流体の引火性以下であることを特徴とする加熱設備。
【請求項8】
1の値が45%以下、好ましくは40%以下、好ましくは35%以下、好ましくは30%以下、好ましくは25%以下、好ましくは20%以下、好ましくは15%以下、好ましくは10%以下、好ましくは5%以下である請求項7に記載の設備。
【請求項9】
包囲空間中の空気を除湿する手段、好ましくは包囲空間中の空気の水蒸気を凝縮させる手段または包囲空間中の空気を脱水剤と接触させる手段を有する請求項7または8に記載の設備。
【請求項10】
下記(1)または(2)または(3)である請求項7〜9のいずれか一項に記載の設備:
(1)熱伝達流体は上記相対湿度H1で不燃性で、50%相対湿度で発火性がある、
(2)熱伝達流体は上記相対湿度H1で発火性があり、50%相対湿度で発火性があり、上記相対湿度H1での熱伝達流体の燃焼限界下限が50%相対湿度での熱伝達流体の燃焼限界下限以上であり、
(3)上記相対湿度H1での熱伝達流体は、50%相対湿度での熱伝達流体の引火性クラスより下の引火性クラスに属する。
【請求項11】
下記(1)〜(3)である請求項7〜10のいずれか一項に記載の設備:
(1)熱伝達流体は少なくとも一種の式:XCF23-Zのフルオロオレフィン(ここで、Xは置換または未置換の不飽和C2、C3またはC4アルキル基、各Rは独立してCl、F、Br、IまたはHであり、zは1〜3の整数)を含み、
(2)熱伝達流体は、好ましくは少なくとも一種の他の伝熱化合物、好ましくは炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、炭化水素エーテル、そして、アムモニアから選択され、特に好ましヒドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボンおよびフルオロエーテルから選択される他の伝熱化合物をさらに含み、
(3)熱伝達流体は好ましくは下記の中から選択される:
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(EまたはZ形)、
* 質量比が好ましくは5:95〜99:1、好ましくは20:80〜99:1、特に好ましくは60:40〜99:1である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは50:50〜99:1、好ましくは65:35〜92:8、特に好ましくは74:26〜91:9にある2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは50:50〜99:1、好ましくは65:35〜98:2、特に好ましくは74:26〜98:2にある1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは2−80:2−80:2−60、好ましくは2−80:2−80:2−12または2−80:2−80:15−30または2−53:2−53:45−60である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは1−90:1−90:1−65である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比の好ましくは1−90:1−90:1−65である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比の好ましくは1−80:2−93:6−21である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 3,3,3−トリフルオロプロペン単独、または、それと2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物または1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびジフルオロメタンとの混合物または2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物、
* 1−クロル−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−ン(EまたはZ形)、
* 2−クロル−3、3、3−トリフルオロプロペ−1−ン、
* 質量比が好ましくは70:30〜85:15である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとペンタフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは80:20〜98:2である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ペンタフルオロエタンの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形が好ましい)、
* 質量比が好ましくは30−90:5−50:2−20、好ましくは45−80:15−35:5−20、理想的には55−74:18−25:8−20である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは30−90:5−50:2−20、好ましくは40−62:30−40:8−20または60−90:5−20:5−20または40−70:25−40:5−20である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは15−55:15−55:15−35:15−35である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは15−55:15−55:15−35:15−35である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物。
【請求項12】
蒸気圧縮回路が伝熱組成物を収容し、この伝熱組成物が熱伝達流体と、潤滑剤、界面活性剤、トレーサ、蛍光剤、香料および可溶化剤の中から選択される一つ以上の添加剤とを含む請求項7〜11のいずれか一項に記載の設備。
【請求項13】
移動式または据付け式のヒートポンプ加熱、空調、冷却および冷凍用設備の中から選択される請求項7〜12のいずれか一項に記載の設備。
【請求項14】
熱伝達流体を収容した蒸気圧縮回路の少なくとも一部を収容している包囲空間内での火災または爆発の危険を防ぐため保護方法であって、上記包囲空間内の空気の湿度を50%以下である閾値H1以下の値に維持し、上記相対湿度H1での上記熱伝達流体の引火性を50%相対湿度での上記熱伝達流体の引火性以下にすることを特徴とする方法。
【請求項15】
下記(1)または(2)または(3)である請求項14に記載の方法:
(1)熱伝達流体は上記相対湿度H1で不燃性で、50%相対湿度で発火性がある、
(2)熱伝達流体は上記相対湿度H1で発火性があり、50%相対湿度で発火性があり、上記相対湿度H1での熱伝達流体の燃焼限界下限が50%相対湿度での熱伝達流体の燃焼限界下限以上であり、
(3)上記相対湿度H1での熱伝達流体は、50%相対湿度での熱伝達流体の引火性クラスより下の引火性クラスに属する。
【請求項16】
包囲空間中の空気を除湿する手段、好ましくは包囲空間中の空気の水蒸気を凝縮させる手段または包囲空間中の空気を脱水剤と接触させる手段を有する請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
1の値が45%以下、好ましくは40%以下、好ましくは35%以下、好ましくは30%以下、好ましくは25%以下、好ましくは20%以下、好ましくは15%以下、好ましくは10%以下、好ましくは5%以下である請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
下記(1)〜(3)である請求項14〜17のいずれか一項に記載の方法:
(1)熱伝達流体は少なくとも一種の式:XCF23-Zのフルオロオレフィン(ここで、Xは置換または未置換の不飽和C2、C3またはC4アルキル基、各Rは独立してCl、F、Br、IまたはHであり、zは1〜3の整数)を含み、
(2)熱伝達流体は、好ましくは少なくとも一種の他の伝熱化合物、好ましくは炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、炭化水素エーテル、そして、アムモニアから選択され、特に好ましヒドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボンおよびフルオロエーテルから選択される他の伝熱化合物をさらに含み、
(3)熱伝達流体は好ましくは下記の中から選択される:
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(EまたはZ形)、
* 質量比が好ましくは5:95〜99:1、好ましくは20:80〜99:1、特に好ましくは60:40〜99:1である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは50:50〜99:1、好ましくは65:35〜92:8、特に好ましくは74:26〜91:9にある2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは50:50〜99:1、好ましくは65:35〜98:2、特に好ましくは74:26〜98:2にある1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは2−80:2−80:2−60、好ましくは2−80:2−80:2−12または2−80:2−80:15−30または2−53:2−53:45−60である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは1−90:1−90:1−65である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比の好ましくは1−90:1−90:1−65である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比の好ましくは1−80:2−93:6−21である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 3,3,3−トリフルオロプロペン単独、または、それと2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物または1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびジフルオロメタンとの混合物または2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物、
* 1−クロル−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−ン(EまたはZ形)、
* 2−クロル−3、3、3−トリフルオロプロペ−1−ン、
* 質量比が好ましくは70:30〜85:15である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとペンタフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは80:20〜98:2である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ペンタフルオロエタンの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形が好ましい)、
* 質量比が好ましくは30−90:5−50:2−20、好ましくは45−80:15−35:5−20、理想的には55−74:18−25:8−20である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは30−90:5−50:2−20、好ましくは40−62:30−40:8−20または60−90:5−20:5−20または40−70:25−40:5−20である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは15−55:15−55:15−35:15−35である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは15−55:15−55:15−35:15−35である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物。
【請求項19】
蒸気圧縮回路が伝熱組成物を収容し、この伝熱組成物が熱伝達流体と、潤滑剤、界面活性剤、トレーサ、蛍光剤、香料および可溶化剤の中から選択される一つ以上の添加剤とを含む請求項14〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも一種の第1伝熱化合物と第2伝熱化合物とから成り、第1伝熱化合物のGWPは第2伝熱複式のGWPより大きい初期熱伝達流体のGWPを減らす方法であって、
第2伝熱化合物の重量配合比率を増加し、第1伝熱化合物の重量配合比率を減少させることによって初期熱伝達流体の組成を変えて、変成された熱伝達流体とし、この変成された熱伝達流体は相対湿度H1で引火性を示し、この相対湿度H1では50%以下であり、この引火性は50%相対湿度での初期熱熱伝達流体の引火性以下であることを特徴とする方法。
【請求項21】
1の値が45%以下、好ましくは40%以下、好ましくは35%以下、好ましくは30%以下、好ましくは25%以下、好ましくは20%以下、好ましくは15%以下、好ましくは10%以下、好ましくは5%以下である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
下記(1)および(2)である請求項20または21に記載の方法:
(1)第1伝熱化合物が式:XCF23-Zのフルオロオレフィン(ここで、Xは置換または未置換の不飽和C2、C3またはC4アルキル基で、各Rは各々独立してCl、F、Br、IまたはHであり、zは1〜3の整数)であり、好ましくは2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンまたは3,3,3−トリフルオロプロペンであり、
(2)第2伝熱化合物が炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、炭化水素エーテルおよびアムモニアの中から選択され、好ましくはテトラフルオロエタンまたはジフルオロメタンであり、
熱伝達流体は好ましくは下記の中から選択され:
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 混合物の3,3,3− トリフルオロプロペンを有する2,3,3,3 テトラフルオロプロペン、
* 3,3,3−トリフルオロプロペンと、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物、
* 混合物の3,3,3− トリフルオロプロペンを有する1,1,1,2− テトラフルオロエタン、
* 3,3,3−トリフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物、
* 3,3,3−トリフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 3,3,3−トリフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物、
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)と、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)と、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)と、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物。
【請求項23】
少なくとも一種の式:XCF23-Zのフルオロオレフィン(ここで、Xは置換または未置換の不飽和C2、C3またはC4アルキル基で、各Rは各々独立してCl、F、Br、IまたはHであり、zは1〜3の整数)を含む熱伝達流体であって、
上記熱伝達流体は50%相対湿度での熱伝達流体の引火性より低い50%以下である相対湿度H1での引火性を示す、流体または物品の冷却または加熱用蒸気圧縮回路で使用される、この回路の少なくとも一部は包囲空間中に収容され、包囲空間中の空気の相対湿度はH1以下であることを特徴とする熱伝達流体。
【請求項24】
少なくとも一種の他の伝熱化合物、好ましくは炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、炭化水素エーテルおよびアムモニアから選択され、特に好ましくはヒドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボンおよびフルオロエーテルから選択される他の伝熱化合物をさらに含む請求項23に記載の熱伝達流体。
【請求項25】
下記の中から選択される請求項23または24に記載の熱伝達流体:
* 2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
* 1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(EまたはZ形)、
* 質量比が好ましくは5:95〜99:1、好ましくは20:80〜99:1、特に好ましくは60:40〜99:1である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは50:50〜99:1、好ましくは65:35〜92:8、特に好ましくは74:26〜91:9である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは50:50〜99:1、好ましくは65:35〜98:2、特に好ましくは74:26〜98:2にある1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは2−80:2−80:2−60、好ましくは2−80:2−80:2−12または2−80:2−80:15−30または2−53:2−53:45−60である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは1−90:1−90:1−65である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは1−90:1−90:1−65である1,3,3,3− テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンとの混合物の(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは1−80:2−93:6−21である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、
* 3,3,3−トリフルオロプロペン単独、または、それと2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとの混合物または1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびジフルオロメタンとの混合物または2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物または1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(好ましくはE形)との混合物、
* 1−クロル−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−ン(EまたはZ形)、
* 2−クロル−3、3,3−トリフルオロプロペ−1−ン、
* 質量比が好ましくは70:30〜85:15である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは80:20〜98:2である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは30−90:5−50:2−20、特に好ましくは45−80:15−35:5−20、理想的には55−74:18−25:8−20である2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物、
* 質量比が好ましくは30−90:5−50:2−20、好ましくは40−62:30−40:8−20または60−90:5−20:5−20または40−70:25−40:5−20である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは15−55:15−55:15−35:15−35である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物(1,3,3,3−テトラフルオロプロペンはE形であるのが好ましい)、
* 質量比が好ましくは15−55:15−55:15−35:15−35である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンとの混合物。
【請求項26】
流体または物品の冷却または加熱用の蒸気圧縮回路中で使用され、この回路の少なくとも一部は包囲空間内に収容され、この包囲空間中の空気の湿度が上記H1以下である、請求項23〜25のいずれか一項に記載の熱伝達流体と、潤滑剤、安定剤、界面活性剤、トレーサ、蛍光剤、香料および可溶化剤の中から選択される一つ以上の添加剤とを含む伝熱組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−514516(P2013−514516A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543980(P2012−543980)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055863
【国際公開番号】WO2011/073934
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)