説明

弦楽器のトレーニング器

【課題】
効果的な運指練習を行うことのできる弦楽器用の運指練習具を提供する。
【解決手段】
本体1と、この本体1の端部に回転又は旋回可能に設けられた指板案内体3と、この指板案内体3にガイドされて移動する指板2があり、この指板2には4本の指の指先を当接させる指位置決め手段8があって、指板2は指板案内体3上を摺動する。指板案内体3は軸受け6に接合されており、軸受け6は所定の位置に位置決めし、回転させた後に固定状態にできる。トレーニング者は指板案内体を所定の位置で所定の角度に位置決めして、固定した後の指板の指位置決め手段8に1本から4本の指を挿入して、往復移動する事で実際のバイオリンの演奏を見立ててトレーニングができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弦楽器演奏のトレーニングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
弦楽器の演奏では、楽譜の運指指示に従って弦の所定場所(被運指部)を正確に又滑らかに鋭敏に運指することが求められる。そのためには各指が演奏に適した正しい形を形成できるように指の各部関節を柔らかくする必要がある。
【0003】
このような運指の練習具として、特開2008−040439公報があった。この練習具は本体に対して角度が一定に設けられた移動棒に案内された移動式指板をスライドする構造であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−040439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の練習具は指板の移動がいつも同じ角度であるので、弦楽器の演奏の動きに結びつかず、効果的な運指練習を行いがたい問題があった。
本発明は、前記従来の問題点を改善して開発されたものであり、指板に傾きを付ける事ができ、実際の弦楽器の演奏における押弦状態の時の指、手、腕の位置に近づけて運指トレーニングのでき、練習効果を一層向上させることのできる楽器の運指練習具の提供を目的とするものである。
【0006】
バイオリンの指板全域で、自由な動作の訓練ができる運指練習具の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の弦楽器のトレーニング器は、本体1の端部に回転又は旋回可能に指板案内体3を備えており、前記指板案内体3にガイドされて指板2を往復移動させてトレーニングを行う。
【発明の効果】
【0008】
指板案内体3を傾ける事ができるようにしたので、指、手、腕を、各弦の演奏に適した正しいフォームが形成でき、又トレーニングの繰り返しによって指、手、腕の各部関節を柔らかくすることができる。そして、余裕のある構えで演奏する事ができるようになり、指を自在に正確にコントロールできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例を示す弦楽器のトレーニング器の構成図
【図2】同トレーニング器のA−A断面図
【図3】同トレーニング器のB−B断面図
【図4】同トレーニング器のC−C断面図
【図5】同トレーニング器の背面図
【図6】同トレーニング器の使用状態を示す図
【図7】(a)図(b)図はそれぞれ同トレーニング器の指板案内体3の軸受6を示す図
【図8】(a)図(b)図はそれぞれ同トレーニング器の指板案内体3の形状を示す図
【図9】バイオリン演奏時の腕の位置
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を図に基づいて説明すると、図1に示すように本体1の端部に指板案内体3を本体1の長手方向に設ける。2は、指板で、表面に指穴8(指位置決め手段)を有し、バイオリンの弦を押さえる位置で指の位置を決めるこの指板は貫通孔を有しており指板案内体3に挿入され、往復移動する事ができる。11は、バイオリンの弓を通すための弓案内体である。
【0011】
図2は、図1のA―A断面であり、断面が四角形の指板案内体3の端部には球状の軸受6設けられており、本体1の軸受可動域4のクッション7と、押さえ板10に挟まれている。軸受6は回転又は3次元方向に旋回する事ができ、ネジ(規制手段)6を回転させる事でその位置で固定させる事ができる。
【0012】
図3は、図1のB−B断面図であり、球面の軸受6は、軸受可動域4内において左右の方向にも移動する事が可能である。軸受け6は可動域4内で、所定の場所に配置した後図5に示すようにネジ(位置規制手段)5で固定する事ができる。
【0013】
次に動作について説明する。図6は、本発明のトレーニングの状態を示した図であり、指板案内体3を軸方向に回転させて、その位置でネジ5によって固定しており指板案内体3と指板2の孔は四角形であり、回転位置規制手段を構成し、回転は規制される。すなわち、指板案内体3は、ひねられた状態で固定され、指板2でガイドされて移動されながら、弓12を弓案内体11に沿って移動させて、バイオリンの演奏のトレーニングを行う。
【0014】
この状態でネジ5を緩めて軸受6に規制を解除することにより、指板案内体3を軸方向に回転又は上下左右に旋回しながら指板2を往復移動させてトレーニングを行う事ができる。
【0015】
軸受6は球面形状の物を示したが、指板案内体6の軸回転方向のみさせる場合には図7(b)図に示すように円筒形状にする事ができ、軸受6の製作が容易である。
【0016】
図8は、指板案内体3の形状を示した実施例であり、図3(b)図に示すように断面を円形状に構成する事ができ、指板2の貫通孔も円形にする事で指板2は滑らかに回転可能である。すなわち、指板2を回転させながら、往復移動させてトレーニングを行う。この時、指板案内体3の軸受6はネジ5で規制されるかあるいは、開放させてもよい。
【0017】
バイオリン演奏とほぼ同じフォーム又は、さらに負荷を掛けたハードなフォームで行う事ができるので、柔軟性を増し、押弦時の指の筋力を強め指の動きのスピードアップに繋がり、又持久力も向上する。演奏時に各関節の柔軟性が充分でないと、指を広げるために力を込め続けることになる。そうすると、ぎこちない動きなり美しい音色で、滑らかに演奏し続ける事は困難である。又、筋肉の疲労により、腱鞘炎に代表される手の故障を起こす事も稀ではない。本発明は、バイオリンを弾く腕、手、指の形態の又図9に示すように実際のバイオリンを弾いている時の肘の移動がスムーズにできるようになりバイオリン演奏の動作改善又は、技術が向上する。
【符号の説明】
【0018】
1、本体
2、指板
3、指板案内体
4、軸受け可動域
5、ネジ(位置規制手段)
6、軸受
8、指穴(指位置決め手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、この本体の端部に回転又は旋回可能に設けられた指板案内体と、前記指板案内体にガイドされて移動する指板と、前記指板に弦楽器の弦を押さえる指の位置を決める指位置決め手段とを備え、前記指板を前記指板案内体にガイドして往復移動させる事を特徴とする弦楽器のトレーニング器。
【請求項2】
指板案内体と本体との位置決めをする位置規制手段を備えた事を特徴とする請求項1記載の弦楽器のトレーニング器。
【請求項3】
指板の回転を規制する回転規制手段を備えた事を特徴とする請求項2記載の弦楽器のトレーニング器。
【請求項4】
指板案内体の軸受を本体に備えた請求項1記載の弦楽器のトレーニング器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−32686(P2012−32686A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173329(P2010−173329)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(505090562)