説明

弦楽器

【課題】 幼児や高齢者、身体障害者などでも容易に操作して演奏することができる弦楽器を提供すること。
【解決手段】 棹部と胴部に弦を張設し、該弦を弾いて音を発生させる三線型の弦楽器において、弦の配置が、1弦によるメロディー弦と、3弦を1組とする複数の和音弦とから構成される弦楽器。
また、和音弦を4組とし、3組の和音弦は、コード進行の基本となるメジャーのスリーコードの3和音とし、残りの1組をマイナーの1和音とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メロディ弦と和音弦とで構成される弦楽器に関し、特に、幼児や高齢者、身体障害者用として好適な弦楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の弦楽器は、ギターやバイオリン、三味線、琴などに代表されるように、多種開発され、多く演奏者、愛好家が使用して演奏がなされている。
【0003】
これらの弦楽器は、複数の弦を弾くことで多種の音を発生させ、各弦のポジションを指で押さえて音色を変えて演奏するものであり、一定の演奏技術を必要とするものである。
【0004】
また、楽曲を演奏する場合には、メロディを弾くとともに、和音を弾く伴奏なども必要である。
【0005】
歌を歌う場合にはギターなどで伴奏を弾くことも一般的に行われる。
【0006】
和音を弾く場合、3和音が一般的であり、複数の弦を用いて、各弦のポジションを指で押さえるなど、一定の技術と熟練を要する。
【0007】
このため、初心者には、相当の熟練を要し、幼児や高齢者などには使い難いとされていた。
【0008】
このため、もっと簡単に和音などの演奏ができる楽器として、電子楽器などが数多く開発されている。
【0009】
この電子楽器では、一つのボタン操作で簡単に各種の和音を発生させることができるようにしたものである。
【0010】
また、和音発生の弦楽器として、特開2003−345343号公報では、4弦で和音を発生させ、指1本でフレットを押さえて、各種の和音を発生させるようにした、ギター型の和音発生弦楽器が開示されている。
【0011】
また、特開平11−352956号公報では、5本単位で3組、合計15本の弦を張設し、支持体で5本単位で和音が発生するように調律された、琴状の和音発生装置が開示されている。
【特許文献1】特開平11−352956号公報
【特許文献2】特開2003−345343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、電子楽器により、ボタンを押すことで各種の和音を発生させるものでは、自らが和音を発生させたものではないため、誰が演奏してもまったく同じ和音を発生させることとなるので、弦楽器の音が出ているとしても電子音であり、弦楽器の音楽の演奏としては面白くない。
【0013】
特開2003−345343号公報では、4弦を弾いて和音を発生させるため、弦楽器を実際に弾いている感覚とともに演奏できるものであるが、歌の伴奏をするために複雑な指使いの必要はないが、1本の指で4弦まとめてフレットを押さえなければならない。
【0014】
幼児や高齢者あるいは身体障害者の場合には、この4弦まとめてフレットを押さえる操作は容易ではない。
【0015】
また、特開平11−352956号公報では、5本の弦単位で支持体により和音を調律しなければならない。
【0016】
予め、該支持体の位置がわかりやすいように、饗音体に支持体のセット位置のマークが付されていたとしても、演奏前にその位置に各弦ごとに支持体を合わせる操作が必要となる。
【0017】
本発明の課題は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、幼児や高齢者、身体障害者などでも容易に操作して演奏することができる弦楽器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するために本発明の請求項1では、棹部と胴部に弦を張設し、該弦を弾いて音を発生させる三線型の弦楽器において、弦の配置が、1弦によるメロディー弦と、3弦を1組とする複数の和音弦とから構成されることを特徴とする弦楽器とする。
【0019】
また、本発明の請求項2では、前記の3弦を1組とする和音弦が4組設けられていることを特徴とする弦楽器である。
【0020】
また、本発明の請求項3では、前記の4組の和音弦が、コード進行の基本となるメジャーのスリーコードの3和音と、マイナーの1和音との組合わせからなる4和音に調律された和音弦からなることを特徴とする請求項2に記載の弦楽器である。
【0021】
また、本発明の請求項4では、前記の胴部の表面に各和音弦に対応して、各和音弦を識別できるマークが表示されていることを特徴とする弦楽器である。
【0022】
また、本発明の請求項5では、前記の棹部の表面に、メロディ弦に対応し、その音階の位置を示す文字記号が表示されていることを特徴とする弦楽器である。
【0023】
また、本発明の請求項6では、前記のメロディ弦がナイロン製であり、和音弦がスチール製であることを特徴とする弦楽器である。
【発明の効果】
【0024】
本発明では以下のような効果を奏する。
【0025】
1)和音弦は、開放弦状態で和音を奏することができるので、片手で伴奏ができる。
【0026】
2)メロディ弦及び和音弦のいずれをそのまま弾いても、弦楽器の自然の音を奏でることができ、幼児や高齢者、身体障害者などでも簡単に弦楽器による演奏を楽しむことができる。
【0027】
3)メロディ弦と和音弦の両方が設けられているので片手のみで伴奏を含めた演奏を行うことができる。
【0028】
4)歌の伴奏をする場合に、楽曲のコードの指使いを覚えることなく、伴奏することができる。
【0029】
5)代表的な4和音を出せるので、その4和音のみで十分に楽曲の伴奏を行うことができる。
【0030】
6)胴部に4つの和音弦を識別できるマークが表示されているので、どの和音弦を弾くかがわかりやすい。
【0031】
7)棹部に音階を示す文字記号が表示されているので、メロディを演奏しやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0033】
図1は本発明による弦楽器の実施例を示す平面図であり、図2は、その垂直断面図である。
【0034】
本弦楽器は、弦の張力を調整する巻取部2が設けられ、音程を変化させるために指で弦1を押さえる位置となる棹部3と、弦1の振動を共鳴させる胴部4とから構成され、弦は1本の弦によるメロディ弦1aと、3本で1組となった和音弦(1b1〜1b4)が4組、張設されている。
【0035】
該メロディ弦1aは、ナイロン製弦であり、和音弦1bはスチール製弦である。
【0036】
該棹部3の頭部3aは沖縄のシーサーをイメージしたユニークなキャラクターの顔が描かれている。
【0037】
また、メロディー弦1aの位置する棹部3の表面には、音階に対応する位置に「ド」「レ」「ミ」「ファ」「ソ」「ラ」「シ」「ド」の音階記号5が表記されている。
【0038】
また、胴部4には、4組の和音弦1bに従った位置に、「1」「2」「3」「4」の番号6が表示されている。
【0039】
図2(図1のA−A縦断面)に示すように、胴部4の内部は空洞となっており、音響共鳴体となっている。
【0040】
また、図2と、棹部3の頭部の断面図である図3(図1のB−B断面)に示すように、棹部3の頭部は、空洞となっており、内部に巻取部2が設けられている。
【0041】
4組の和音弦1b1〜1b4は、開放状態で、3組の和音弦はGメジャーのスリーコード(G、C、D)と、残りの1組の和音弦は、ダイアトニックコードの中のEmの和音弦を用いた。
【0042】
すなわち、右側から第1弦1aは、Gメジャーに調弦したメロディ弦、第2弦1b4は、GメジャーキーのスリーコードのトニックコードであるGコードに調弦した和音弦、第3弦1b3は、GメジャーキーのスリーコードのドミナントコードであるCコードに調弦した和音弦、第4弦1b2は、GメジャーキーのスリーコードのサブドミナントコードであるDコードに調弦した和音弦、第5弦1b1は、Gメジャーキーのダイアトニックコードの中のEmコードに調弦した和音弦とした。
【0043】
次にこのように構成された本実施例の弦楽器の使用例について説明する。
【0044】
ここでは、童謡の「竹田の子守唄」を例に説明する。
【0045】
図4は童謡「竹田の子守唄」の通常の楽譜である。
【0046】
この楽譜のコードを本実施例の4組のコード(G、C、D、Em)の番号(G=1、C=2、D=3、Em=4)に置き換えると、図5の楽譜のようになる。
【0047】
この楽譜に従って、演奏する。
【0048】
すなわち、メロディ弦1aで音階に合わせた音階記号の位置を押さえながらメロディ弦を弾く。
【0049】
同時に伴奏を楽譜に従って、数字の1〜4の番号に従って和音弦(1b1、1b2、1b3、1b4)を弾く。
【0050】
これによって、楽曲の演奏ができる。
【0051】
このため、右手のみで弦を弾くことで、楽曲の演奏、伴奏を行うことができ、左手はフレットなどを指で押さえる必要もない。
【0052】
片手で演奏できるので、幼児や高齢者、身体障害者であっても、気軽に演奏を楽しむことができる。
【0053】
歌の伴奏などでも、指使いが必要なく、和音弦をコード進行に従って弾くだけで楽しむことができる。
【0054】
電子楽器ではなく、実際に弦を奏でることで演奏するため、自然の弦の音を体感できる。
【0055】
また、カポタストなどを使用して、簡単に移調して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明による弦楽器の実施例を示す平面図である。
【図2】本発明による弦楽器の垂直断面図を示す図である。
【図3】本発明による弦楽器の糸巻部の断面図である。
【図4】従来のコードを付した楽譜を示す図である。
【図5】本発明の弦楽器用にコードを番号で付した楽譜を示す図である
【符号の説明】
【0057】
1 弦
1a メロディ弦
1b1、1b2、1b3、1b4 和音弦
3 棹部
4 胴部
5 音階表示部
6 和音弦番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棹部と胴部に弦を張設し、該弦を弾いて音を発生させる三線型の弦楽器において、弦の配置が、1弦によるメロディー弦と、3弦を1組とする複数の和音弦とから構成されることを特徴とする弦楽器。
【請求項2】
前記の3弦を1組とする和音弦が4組設けられていることを特徴とする請求項1に記載の弦楽器。
【請求項3】
前記の4組の和音弦が、コード進行の基本となるメジャーのスリーコードの3和音と、マイナーの1和音との組合せからなる4和音に調律された和音弦からなることを特徴とする請求項2に記載の弦楽器。
【請求項4】
前記の胴部の表面に各和音弦に対応して、各和音弦を識別できるマークが表示されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの項に記載の弦楽器。
【請求項5】
前記の棹部の表面に、メロディ弦に対応し、その音階の位置を示す文字記号が表示されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの項に記載の弦楽器。
【請求項6】
前記のメロディ弦がナイロン製であり、和音弦がスチール製であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの項に記載の弦楽器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−121343(P2007−121343A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309204(P2005−309204)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(305039367)
【Fターム(参考)】