説明

弾丸降下補正のための調節可能照準マークを有するガンサイト・レチクル

【課題】ガンサイト・レチクル(射撃照準器焦点板)、特に弾丸降下補正に備えたガンサイト・レチクルを提供する。
【解決手段】ガンサイト・レチクルは、中心照準点52の垂直下方に配置されたBDC照準マーク54〜60を含む。特定の銃、特定のタイプの弾丸および温度、湿度、高度のような環境条件といった要因を補正するために、中心照準点52に関してBDC照準マーク54〜60が調整可能となっている。射手は、BDC照準マーク54〜60を調整し、BDC照準マーク54〜60が種々の距離の離れている標的のための正しい照準位置により正確に対応させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガンサイト・レチクル(射撃照準器焦点板)に関し、特に弾丸降下補正に備えたガンサイト・レチクルに関する。
【0002】
ライフル銃(rifle)といった長距離銃と、前装銃(shorter−range gun)(マズルローダー(muzzle−loader))および散弾銃(shotgun)といった短距離銃のためにガンサイト(gun sight)、特に望遠ガンサイト(「スコープ(scope)」とも呼ばれる)を使用することは一般的である。いずれのタイプの銃でも発射体は、概ね放物線の軌道に追従する。特定の軌道は、銃と発射体の両者に依存する。経験豊かな射手は、標的を狙うときに発射体軌道と標的までの距離とを考慮しなくてはならないことを知っている。標的までの距離に依存して、意図された標的に発射体が命中するように標的の上を狙う必要があるかもしれない。
【0003】
射手を助けるために、レチクルの中心に照準点を形成する中心水平ヘアラインと中心垂直ヘアラインによって形成される中心照準点に加えて照準点(「照準マーク(sight mark)」とも呼ばれる)を有するガンサイトを設けることが知られている。典型的に、弾丸降下補正(bullet drop compensation)レチクルとして知られるこれら従来のレチクルは、中心照準点の下方の予め決められた距離に位置する複数の交差へアラインによって形成される複数の照準点を有する。これらの弾丸降下補正レチクルは、中心水平ヘアラインの下方の指定された距離に追加の水平ヘアラインを備え、追加の水平ヘアラインが中心垂直ヘアラインと交差する追加の照準点を形成する。例えば、米国特許第5,920,995号明細書と米国特許第6,591,537号明細書を参照される。米国特許第5,920,995号明細書と米国特許第6,591,537号明細書の開示内容は、それらの全体が参照としてここに組み込まれる。
【0004】
「Gun Sight Reticle Having Open Sighting Area for Bullet Drop Compensation」(弾丸降下補正のための開放照準領域を有するガンサイト・レチクル)と題する米国特許第7,171,775号明細書は、弾丸降下補正照準点が開放領域、例えばしるしによって囲まれた円形領域によって画定されるレチクルを開示している。開放照準領域は、照準点にしるし(マーキング)が存在せず、それによって射手には標的がよく見えるので有利である。開放照準領域は、上記の2つの特許の十字線タイプの弾丸降下補正照準点のように中心照準点の下方の固定位置に配置される。米国特許第7,171,775号の開示内容は、その全体が参照としてここに組み込まれる。
【0005】
弾丸降下補正レチクルを備えたスコープを有する銃を使用する前に、射手は典型的にはスコープを調整する。特にスコープは、スコープの垂直および水平位置を調整するための調整機構を含んでいる。これらの調整機構は、レチクルの中心照準点が標的に位置合わせされるときに、銃から発射される発射体が既知の距離(例えば100ヤードまたは200ヤード)にある標的に命中するように調整される。このプロセスは「較正(calibration」プロセスとみなされる。弾丸降下補正照準点は、中心照準点の垂直下方の固定位置に配置される。例えば第1の弾丸降下補正(bullet drop compensation;BDC)照準点は中心照準点の直ぐ下の第1の予め決められた距離に配置され、第2のBDC照準点はこの第2のBDC照準点が第1のBDC照準点の直ぐ下にあるように中心照準点から第2の予め決められた距離(第1の予め決められた距離より長い)だけ下方に配置される、などである。このようにしてスコープが較正された後に射手は、射手から第1の距離(例えば300ヤード)にある標的に第1のBDC照準点を位置決めでき、射手から第2の、より遠い距離(例えば400ヤード)にある標的に第2のBDC照準点を位置決めできる、等々である。
【特許文献1】米国特許第5,920,995号明細書
【特許文献2】米国特許第6,591,537号明細書
【特許文献3】米国特許第7,171,775号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら発射体の飛行は多くの要因によって影響されるので、中心照準点の下方に固定位置を有するBDC照準点は、中心照準点を使用してスコープが較正された後でも、所定の距離にある標的に関する正しい照準点を単に近似できたものに過ぎない。例えば、各銃と各タイプの発射体は、それ自身の発射体飛行特性を有する。更に高度、温度および湿度といった環境要因が弾丸の軌道に影響を与える。したがって、典型的には、熟練した射手は、射手からの種々の距離に位置する標的に関して正しい照準点が何処に存在するかを自分の銃での経験を通して学習するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様によればガンサイト・レチクルは、中心照準マークの垂直下方に配置された複数の調整可能な照準マークを含む。射手は、BDC照準マークの位置を調整し、BDC照準マークが種々の距離の離れている標的のための正しい照準位置により正確に対応させることができる。
【0008】
好適な実施形態によれば調整可能な照準マークは、中心照準マークの直ぐ下に配置された実質的に一直線の垂直線に並べられた可動照準マークであって、これらの照準マークは個別に動き得る。例えば、ガンサイト・レチクルを有するスコープはBDC照準マークの各々のために1つの調整機構を有するタレット(turret)を含むことができる。よって、射手は、対応する調整機構を使用して照準マークを動かすことによってBDC照準マークの垂直位置を調整できる。
【0009】
好適な実施形態によればこれらの可動照準マークの各々は、可動照準マークの相反する側から延びていて、可動照準マークと共に動く、対応する水平偏流補正線(horizontal windage−compensation line)を含む。好適にはこれら水平偏流補正線の各々は、その長さに沿って間隔をあけた罫線を有する。
【0010】
ある幾つかの実施形態によれば可動照準マークは、対応する照準領域を囲むしるしを含む。例えばこのしるしは、射手の標的の視界を妨げる如何なるしるし(ヘアラインといった)もなしに、射手が標的を見ることができるように円の形であることが可能である。好適な実施形態によれば、しるしは円の形である。
【0011】
調整可能な照準マークは種々の構造によって画定され得る。一実施形態によれば調整可能な照準マークの各々は、照準マーク画定部分を有する可動部材を含む可動照準マークである。もう1つの実施形態によれば調整可能な照準マークは、複数の発光素子を含んでおり、ユーザは特定の標的距離および/または弾丸タイプに関して発光素子のどれが起動されるべきであるかを選択することによって装置を調整する。
【0012】
典型的には、ガンサイト・レチクルは、ハウジングとこのハウジングの第1の端部の近くに配置された対物レンズとハウジングの第2の端部の近くに配置された接眼レンズとを有する望遠ガンサイトの一部である。このガンサイト・レチクルは対物レンズと接眼レンズとの間でハウジング内に配置される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、同様な参照数字が同様の要素を示す例示的実施形態の図面に関連して説明される。
【0014】
図1、2に示されるように、本発明が適用される望遠ガンサイト10が適当な取付け具(マウント)35によってライフル銃12に取り付けられて示されている。ガンサイト10は、前方に配置された対物レンズ要素13、後方に配置された接眼レンズ要素またはアイピースレンズ要素14、介在する正立レンズ要素15、および対物レンズ要素13と正立レンズ要素15との間に配置されたレチクル40を収容する管状ハウジング11によって形成される。可変焦点距離スコープあるいはズームスコープの場合、位置的に調整可能な拡大レンズ17が正立レンズ要素15に結び付けられる。ハウジング11の外側は、焦点、拡大率、偏流および仰角を調整するために回転的に可動の特徴要素(例えば、回転可能なノブ)を装備し得る。図示の実施形態では、第1のノブ36Aはスコープ10の左右、つまり水平位置を調整するために使用され、第2のノブ36Bはスコープ10の上下、つまり垂直位置を調整するために使用され、そして以下に、より詳細に説明される調整特徴要素38A〜38Dの第3のセットは各BDC照準マークの垂直位置を調整するために使用される。これら種々のレンズ要素は、単一レンズまたはレンズグループであり得る。
【0015】
レチクル40は、スコープ10の照準器18の光軸または光学ラインに直交する関係で、ハウジング11内に取り付けられた円形で平面状の透明パネルあるいはディスク(円板)である。レチクル40は、ハウジング内の光学系の前方焦点面であると考えられる位置で対物レンズ要素13と正立レンズ要素15との間に位置決めされる。レチクル40は、以下に説明される微細線、つまりヘアラインのしるしを含む。
【0016】
図3に示されるように本発明が適用され得る1つのレチクル40aは、中心照準点52において互いに直角に交差する中心水平直線ヘアライン44と中心垂直直線ヘアライン42とを含む。中心水平ヘアライン44の下に配置された中心垂直ヘアライン42の部分46は、複数のBDC照準マーク54、56、58、60を含む。第1の照準マーク54は中心照準点52の下方で最も近くに配置される。第2の照準マーク56は第1の照準マーク54の下に配置される。第3の照準マーク58は第2の照準マーク56の下に配置される。第4の照準マーク60は第3の照準マーク58の下に配置される。BDC照準マーク54〜60の各々は、以下に説明されるように垂直方向に動き得る。
【0017】
前述のように、ユーザは典型的に、中心照準点52が既知の距離の標的にセットされるときに弾丸がこの標的に命中するように中心照準点52を較正する。例えば、ノブ36A、36Bを調整することによりスコープ10の補正的調整を行いながら一連の発砲をすることによって、射撃システム(銃、特定の弾丸のタイプおよびガンサイト)は、交差したヘアライン42、44(すなわち中心照準点52)の標的上の位置が弾丸衝突点と一致するように「照準合わせ(zeroed−in)」される。高性能ライフル銃といった長距離銃に関して、レチクルの中心照準点52が照準時に標的上にセットされたときにライフル銃によって発射された弾丸が標的に命中するように、銃は200ヤードにおいて照準合わせされることができる。前装銃(マズルローダー)または散弾銃といった短距離銃に関しては、焦点合わせ距離は100ヤードであり得る。
【0018】
周知のレチクルとは異なり、本発明の態様によるBDCレチクルは、特定の銃、特定のタイプの弾丸および温度、湿度、高度のような環境条件といった要因を補正するために、中心照準点52に関してBDC照準マーク54〜60が調整されることを可能にする。垂直方向に(例えば中心垂直ヘアライン42の下側部分46に沿って)動き得る調整可能なBDC照準マーク54〜60を設けることによって、BDCマークは中心照準点52に関して前述したものと同様な仕方で「照準合わせ」されることもできる。BDC照準マーク54〜60の各々を照準合わせするとき、標的はレチクルから順次に遠くなるように配置されるであろうことは無論である。例えば、もし中心照準点52が200ヤードで照準合わせされたならば、第1の照準マーク54は300ヤードに位置する標的に照準合わせされ、第2の照準マーク56は400ヤードに位置する標的に照準合わせされ、第3の照準マーク58は500ヤードに位置する標的に照準合わせされ、第4の照準マーク60は600ヤードに位置する標的に照準合わせされ得るであろう。
【0019】
垂直方向に調整され得るBDC照準マークの種々の配置が可能である。図6は、本発明の第1の実施形態を示す。
【0020】
図6のノブ38Aを回転させると、図3の第4の照準マーク60が動く。特にノブ38Aを回転させることは、ノブ38Aに取り付けられたシャフト138を介してピニオン106を回転させる。ピニオン106は可動部材100の歯104に係合しており、部材100を上下方向に動かす。したがって照準マーク60は任意の垂直位置に設定され得る。設定位置は、リーフスプリング(板ばね)140に係合しているシャフト138上の歯139によって維持される。部材100はまた、図6において下方にバイアス力をかけているスプリング141に取り付けられている。これは、小さな歯車106と歯104との間の如何なるスラック(緩み)も除去する。これはまた、銃の発射による衝撃を受けた後にも照準マーク60の位置を安定に保持する。
【0021】
今度は第3の照準マーク58の動きが説明される。ノブ38Bは、雌ねじ143を回転させるシャフト142を回転させる。雌ねじ143を回転させることは、雌ねじ143に係合している雄ねじ144を上下方向に動かす。雄ねじ144は、可動部材146のアーム145に固定されており、可動部材146を上下方向に動かす。こうして照準マーク58は、任意の所望の垂直位置に設定され得る。設定位置は、リーフスプリング148に係合するシャフト142上の歯147によって維持される。アーム145はまた、図6において上方にバイアス力をかけているスプリング149に取り付けられている。これは、雌ねじ143と雄ねじ144の間の如何なるスラック(緩み)も除去する。これはまた、銃の発射による衝撃を受けた後にも照準マーク58の位置を安定に保持する。
【0022】
照準マーク56を動かすためにノブ38Cが回され、これがシャフト150を回して雌ねじ151を回転させる。雌ねじ151を回転させることは、雌ねじ151に係合している雄ねじ152を上下方向に動かす。雄ねじ152は、可動部材154のアーム153に固定されており、可動部材154を上下方向に動かす。こうして照準マーク56は、任意の所望の垂直位置に設定され得る。設定位置は、リーフスプリング148に係合するシャフト150上の歯163によって維持される。アーム153はまた、図6において上方にバイアス力をかけているスプリング155に取り付けられている。これは、雌ねじ151と雄ねじ152の間の如何なるスラック(緩み)も除去する。これはまた、銃の発射による衝撃を受けた後にも照準マーク56の位置を安定に保持する。
【0023】
第1の照準マーク54を動かすためにノブ38Dが回され、これがシャフト156とピニオン157とを回転させる。ピニオン157は可動部材159上の歯158に係合しており、部材159を上下方向に動かす。したがって照準マーク54は任意の所望の垂直位置に設定され得る。設定位置は、リーフスプリング162に係合しているシャフト156上の歯161によって維持される。部材159はまた、図6において下方にバイアス力をかけているスプリング160に取り付けられている。これは、小さな歯車157と歯159との間の如何なるスラック(緩み)も除去する。これはまた、銃の発射による衝撃を受けた後にも照準マーク54の位置を安定に保持する。
【0024】
図6の中心のレチクル40は固定されており、可動ではない。この実施形態ではレチクル40は第1の焦点面に位置決めされているが、レチクル40を第2の焦点面に、すなわち図2のレンズ14の前方のレンズ15、17の背後に位置決めすることも可能である。
【0025】
図4は、本発明が適用されたレチクル40bのもう1つの実施形態を示す。図4の実施形態では各BDC照準マークは開放照準領域であって(中実マーク(solid mark)の代わりに)、各BDC照準マークはまた、罫線72を有する偏流線70を含む。特に、照準マークの各々は、円の形をしたしるしによって囲まれた開放照準領域である。それにしたがって開放照準領域54a、56a、58a、60aが設けられている。図3の実施形態とは異なり、中心垂直ヘアライン42は、中心水平ヘアライン44の下方に配置される部分を含まない。開放照準領域54a〜60aの位置を垂直方向に調整するための構造は、図3に関して説明されたものと同じである。
【0026】
今度は電子的実施形態が説明されるであろう。この実施形態は、弾丸降下補正での使用のために、物理的に可動の照準マークの代わりに電子的に実現される照準マークを使用する。この実施形態では複数の弾丸降下補正照準マークのうちの1つが、標的までの距離と、弾丸タイプといった他の要因、および/または高度、温度および湿度といった環境要因とに基づいて起動され得る。
【0027】
図9は、この実施形態を実現するレチクル240を示す。レチクル240は、前述のヘアライン44に類似する中心水平直線ヘアライン244と前述のヘアライン42に類似する中心垂直直線ヘアライン242とを含む。ヘアライン242、244は中心照準点252において交差する。中心垂直直線ヘアライン242の下側部分246には、複数の弾丸降下補正照準マーク256a〜xが設けられている。図9は5個の弾丸降下補正照準マークを示しているが、典型的には5個より多い選択可能な照準マークが設けられるであろう。設けられるマークの数が多いほど、弾丸降下補正照準マークに高い調整可能性が与えられる。
【0028】
図7〜9に関連した電子的実施形態では複数の照準マーク256a〜xのうちの1つ以上が、特定の距離に関する照準マークとして機能するように選択的に起動され得る。例えば、機械的実施形態に関して前に説明されたことに類似する較正手順を使用して、ユーザは、例えば現在の大気条件下で特定の距離と弾丸タイプとに関して照準マーク256a〜xのどれが適当であるかを決定し、将来の使用するこの弾丸に関するマークを選択できる。この較正手順を使用してユーザは、ある特定の弾丸と、異なる距離(例えば100ヤード、200ヤード、300ヤード、400ヤード)とに関してマーク256a〜xのうちの複数の異なるマークを選択し、これらの選択されたマークをメモリに記憶できるで。それからスコープを使用するとき、ユーザは、予め選択されたマークがこの弾丸タイプに関して起動されるように(例えば発光するように)、スコープを起動できるであろう。ユーザは異なるタイプの弾丸のために異なるマークを予め選択でき、弾丸タイプを入力することによってマーク256a〜xから予め選択されたマークのセットがこの選択された弾丸タイプのために起動される。代替として、弾丸タイプと標的距離とのユーザ入力によって照準マーク256a〜xのうちの1つだけが起動され得るであろう。標的距離の入力は、距離を選択するユーザによって、または距離計が特定の標的までの決められた距離を自動的に入力するスコープに含まれる距離計によって行われ得るであろう。
【0029】
これら複数の照準マーク256a〜xは、いくつの異なる構造物によっても備えられ得る。一例によれば、中心垂直直線ヘアライン242の下側部分246を形成する金属層に複数の孔が設けられ、これらの孔の各々に1本の光ファイバの端部が配置され得る(各孔に1本の光ファイバが設けられ、これらの孔は垂直線に配置される)。孔によって画定された照準マークは、この孔に関連する光ファイバの入力端に光を供給することによって起動(照明)される。この構造の1つの利点は、孔が配置されていないヘアライン246の不透明部分の背後に光ファイバ(光ファイバの出力端部を除く)が隠され得ることである。更にヘアラインにおける孔は、ユーザが如何なる障害物もなしに標的を見ることを可能にする(図4の実施形態のような照準領域を与える)。光ファイバの出力端は、透明であるからユーザの視界を妨げない。
【0030】
もう1つの実施形態によれば、弾丸降下補正照準マーク256a〜xを形成するために、垂直方向に配列された一連の、例えばLEDまたはエレクトロルミネセント素子が設けられ得る。他の実現形態も可能である。
【0031】
今度は、1つの弾丸降下補正照準マークが任意の特定の瞬間に照明される実施形態が、図7〜9に関連して説明されるであろう。図7は、図9に示されるような電子式弾丸降下補正照準マークを有する望遠ガンサイト210が取り付けられたライフル銃12を示す。このスコープは、以下に説明される入力を受信し、複数の弾丸降下補正照準マーク256a〜xのうちのどれ(単数または複数)が起動されるべきかを制御する内部制御回路270を含む。以下に説明される制御ノブ250、260は、スコープ210の最上部表面に設けられる。
【0032】
ダイヤル250が位置Nにセットされているとき、および/またはダイヤル260がOFF位置にあるとき、照準マーク256a〜xのどれも照明されない。ダイヤル250、260は、これらのダイヤルの位置に基づいて制御回路270に可変信号を出力する符号器または抵抗素子を組み込むことができる。
【0033】
一実施形態によれば、各弾丸タイプに関して予め異なるセットの照準マークが記憶される。すなわち弾丸の各タイプのために、1セットの照準マーク(利用可能な照準マーク256a〜xから選択された)が異なる距離(例えば100ヤード、200ヤード、300ヤード、400ヤード)に関してセットされる。ユーザは、d1、d2、d3またはd4のいずれかを選択するためにダイヤル250を使用することによって弾丸タイプを選択し、またユーザはダイヤル260を使用して標的までの距離を選択する(また、ダイヤル260は図8ではラベル付けされていないマークの各々に関して各選択可能な標的距離を識別するしるしを含むこともできる)。したがって、前にメモリに記憶されたデータ(このようなデータは工場において格納され得るか、あるいは前述の較正プロセスに基づいてユーザによって入力され得る)に基づいて、特定の弾丸タイプと標的までの距離とに関して複数の照準マーク256a〜xのうちの適当な照準マークが照明される。この実施形態は、標的までの距離が同じであっても、異なる弾丸タイプに関して異なる照準マークが照明されることを可能にする。したがって本実施形態は、ある特定の標的距離に関して単一の弾丸降下補正マークを与える既存のシステムより正確な照準を可能にする。
【0034】
本発明はその好適な実施形態を参照しながら説明されてきたが、本発明がこれらの実施形態または構成に限定されないことは理解されるべきである。本発明は種々の修正と配置とをカバーするように意図されている。これらの例示的実施形態の種々の要素は種々の組合せおよび構成で示されているが、より多い、より少ない、または単に1つの要素を含む他の組合せおよび構成も本発明の精神と範囲の内に在る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態が適用され得る望遠照準器の側面図である。
【図2】図1に示された可変する倍率望遠照準器(power telescopic sight)の内部構成要素の概略図である。
【図3】本発明の一実施形態による可動BDC照準マークを有するガンサイト・レチクルの平面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態による可動照準マークを有するガンサイト・レチクルの平面図である。
【図5】図1に示された望遠照準器の調整特徴要素を含む部分の詳細な斜視図である。
【図6】一実施形態による照準マーク調整機構の分解斜視図である。
【図7】電子的に実現された実施形態による望遠照準器の側面図である。
【図8】制御ダイヤルを示す図7の照準器の上面図である。
【図9】図7の実施形態のレチクルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心水平直線ヘアラインと、
実質的に前記中心水平直線ヘアラインの中心に配置された中心照準マークと、
前記中心水平直線ヘアラインの垂直下方に配置された複数の調整可能な照準マークと、
を備えるガンサイト・レチクル。
【請求項2】
前記複数の調整可能な照準マークは可動である、請求項1に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項3】
前記複数の可動照準マークは実質的に一直線の垂直線に配置される、請求項2に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項4】
前記複数の可動照準マークは前記中心照準マークの直ぐ下に配置される、請求項2に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項5】
前記複数の可動照準マークは前記中心照準マークの直ぐ下に、実質的に一直線の垂直線に配置される、請求項4に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項6】
前記複数の可動照準マークは個別に動き得る、請求項2に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項7】
前記可動照準マークの各々は前記可動照準マークの相反する側から延びていて、前記可動照準マークと共に動く、対応する水平偏流補正線を含む、請求項2に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項8】
前記偏流補正線の各々はその長さに沿って間隔をあけた罫線を有する、請求項7に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項9】
前記可動照準マークの各々は対応する照準領域を囲むしるしを含む、請求項2に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項10】
前記可動照準マークの各々は照準マーク画定部分を有する可動部材を含む、請求項2に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項11】
前記複数の可動照準マークは垂直方向に可動である、請求項2に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項12】
前記複数の可動照準マークは垂直方向に可動である、請求項5に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項13】
前記複数の可動照準マークは垂直方向に可動である、請求項6に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項14】
前記複数の可動照準マークは垂直方向に可動である、請求項8に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項15】
前記複数の可動照準マークは垂直方向に可動である、請求項10に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項16】
前記複数の調整可能な照準マークは複数の個別に選択可能な発光素子である、請求項1に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項17】
標的までの距離に基づいて前記複数の発光素子の1つを選択する回路であって、特定の標的距離によって選択されるべきである前記発光素子が変えられることを可能にする回路を更に備える、請求項16に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項18】
前記回路は標的までの距離と弾丸タイプとに基づいて前記複数の発光素子の1つを選択する、請求項17に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項19】
弾丸タイプに基づいて前記複数の発光素子の少なくとも1つを選択する回路を更に備える、請求項16に記載のガンサイト・レチクル。
【請求項20】
ハウジングと、
前記ハウジングの第1の端部の近く配置された対物レンズと、
前記ハウジングの第2の端部の近く配置された接眼レンズと、
前記対物レンズと前記接眼レンズとの間で前記ハウジング内に配置された請求項1に記載のガンサイト・レチクルと、を備える望遠ガンサイト・レチクル。
【請求項21】
ハウジングと、
前記ハウジングの第1の端部の近く配置された対物レンズと、
前記ハウジングの第2の端部の近く配置された接眼レンズと、
前記対物レンズと前記接眼レンズとの間で前記ハウジング内に配置されたガンサイト・レチクルと、
を備える望遠ガンサイトであって、
前記ガンサイト・レチクルは、
中心水平直線ヘアラインと、
実質的に前記中心水平直線ヘアラインの中心に配置された中心照準マークと、
前記中心水平直線ヘアラインの垂直下方に配置された複数の調整可能な照準マークと、
前記ハウジング上に配置され、前記調整可能な照準マークを調整するためにユーザ操作可能である調整機構と、
を備える、望遠ガンサイト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−174845(P2009−174845A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−279707(P2008−279707)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(508235265)ニコン インク (2)
【Fターム(参考)】