説明

弾球遊技機

【課題】遊技の際の遊技者の手にかかる負担を効果的に軽減するとともに放置状態での遊技を防止する遊技機を提供する。
【解決手段】遊技者は、操作レバー13の上面に手40を載せて、溝13a〜13dに手指を合わせたまま、操作レバー13を上下動して打ち出し強さを調整する。遊技者は手を自然に近い状態で操作レバー13に載せたまま遊技することができるから、長時間の遊技でも疲労感が効果的に軽減される。また、開口17aの上縁と操作レバー13の上面の間にタバコなどの障害物41を挟んで操作レバー13を所定位置に固定した場合、遊技者がタッチセンサ18に触れていても、圧力センサ19がこれを検出するから発射装置30の作動を停止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ店等の遊技場に設置して使用されるパチンコ機等の弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、遊技場に設置されるパチンコ機には、前面に操作ハンドルが設けられている。この操作ハンドルには、リングホルダが回動可能に設けられており、このリングホルダを回動させると、その回動が発射装置に伝わり、発射装置によりパチンコ球が遊技領域に打ち出される。遊技を行う際には、遊技者は、一方の手で操作ハンドルを握り、手首を使って捻じるようにリングホルダを所定量回動させて、パチンコ球を遊技領域へ打ち出している。このリングホルダは、その回動量に比例してパチンコ球の打ち出し強さが変化するようになっている。このため、遊技者は、意図する打ち出し強さとなるようにリングホルダの回動量を調整している。
【0003】
しかしながら、この操作ハンドルの場合、一方の手で手首を使って捻じるようにリングホルダを回動させるため、遊技者の手首や指に負担がかかっていた。さらに、リングホルダは、パチンコ球が打ち出されない状態である基準位置へ戻る方向にバネによって付勢されているから、意図する打ち出し強さを維持するために、回動させたリングホルダをバネの付勢力に抗して一定の位置に保持することは、特に長時間遊技を行う遊技者にとっては酷であった。
【0004】
このような問題に対して、例えば特許文献1では、長時間の遊技による疲労感を軽減することを目的としたパチンコ機であって、縦長のスリットから突出した操作レバーを上下動させて、操作レバーの移動量に応じた打ち出し強さでパチンコ球の打ち出しを行うパチンコ機が提案されている。このパチンコ機の操作レバーはバネなどにより付勢されておらず、また、遊技者は、操作レバーが設けられた部材に隣接して配置された載置部に手を載せ、前記部材を握った状態で、親指のみで操作レバーを操作することができる。
【特許文献1】特開2005−185473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したパチンコ機では遊技者に握り動作を要求することになるから、やはり長時間の遊技を行えばかなり疲労する。これは、リングホルダ式の操作ハンドルでも握り操作を要するから同様である。さらに、上述したパチンコ機では、操作レバーが付勢されていないから、操作レバーを任意の位置に留めたままパチンコ機を放置することが可能となり、不正行為の発生などの別の問題が生じる可能性があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、遊技の際の遊技者の手にかかる負担を効果的に軽減するとともに放置状態での遊技を防止する遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願発明に係る弾球遊技機では、遊技球を遊技領域に向けて打ち出す発射装置と、本体下部の外装に形成された開口と、上面が略平面に形成され、前記開口から前方へ突出し開口に対して上下動自在に組みつけられた発射操作部と、前記発射操作部を所定の基準位置に戻すように発射操作部を上方へ向けて付勢する付勢手段と、前記発射操作部の上面に前記開口の上縁と対向して配設され、下方への圧力を検知する圧力検知手段と、前記発射操作部に遊技者の手指が接触したことを検知する接触検知手段と、前記発射操作部の前記基準位置からの移動量を検出し、この移動量に応じた打ち出し強さで前記発射装置を作動させ、前記接触検出手段で遊技者の手指の接触を検知できないとき、又は前記圧力検知手段が圧力を検知したときには前記移動量に関わらず前記発射装置の作動を停止させる発射制御手段とを備えた。
【0008】
また、上記弾球遊技機において、前記発射操作部の上面に、発射操作部を操作する遊技者の手指に合わせるように互いに略並行な複数の溝が形成してもよい。さらに、遊技者が前記発射操作部の上面に手を載せた状態で親指を掛けることができるように、前記開口に近接して縦方向に棒部材を配設してもよい。
【発明の効果】
【0009】
発射操作部の上面が略平面に形成されているから、手を載せるだけで上下に操作でき、長時間の遊技における疲労感を効率的に軽減する。同時に、遊技者の手指が発射操作部に接触してないとき、又は開口の縁と発射操作部の上面との間に物体が挟まっているときには、それぞれ接触検知手段及び圧力検知手段が検知して発射制御手段が発射装置の作動を停止させるから、放置状態での遊技を防止することができる。さらに、遊技者は、発射操作部に手を載せたままであっても、圧力検知手段を指で押圧するなどして意図的に発射装置の作動を停止することもできる。
【0010】
また、発射操作部の上面に遊技者の手指に合わせて形成した溝を設けたから、遊技者は手を自然に近い状態で発射操作部に載せることができ、疲労感をいっそう効果的に軽減する。さらに、遊技者が手を発射操作部に載せた状態で親指を掛ける棒部材を設けたから、発射操作部を任意の位置に留めることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る弾球遊技機の一例として、パチンコ機の実施形態について説明する。図1に示すように、パチンコ機1は、本体2と、本体2の前面に開閉自在に取り付けられたガラス扉3から構成されている。ガラス扉3を閉じるとガラス3aが遊技盤の正面を覆い、遊技者はガラス3aを通して遊技領域4を観察できるようになっている。また、ガラス扉3の上部には一対のスピーカ14とランプ15が設けられており、音声と発光で遊技を演出するようになっている。
【0012】
本体2は、その前面上部に遊技盤が設けられており、その下部には供給皿12や操作レバー13や支持棒16が設けられている。遊技盤には、障害釘や風車などの他に、センター役物5、通過チャッカー6、始動チャッカー8、通常チャッカー7、アタッカ9などの構造物が設けられている。これら構造物の外周を枠体であるレール枠に組みつけられたレールで仕切ることで、レールの内部の空間が遊技領域4となり、その外側の領域は非遊技領域となる。センター役物5の中には、液晶パネル5aが設けられており、始動チャッカー8にパチンコ球が入賞したときの電子抽選の図柄や遊技中の演出画像などが表示される。
【0013】
供給皿12は、パチンコ機1において遊技を行う際にパチンコ球が供給される。また、この供給皿12には、遊技領域4を流下したパチンコ球が上述した始動チャッカー8、通常チャッカー7或いはアタッカ9のいずれかに入賞したときに、賞球としてパチンコ球が払出口11を介して払い出される。そして、供給皿12に供給されたパチンコ球は、整列された状態で内部に設けられた発射装置に送り込まれる。
【0014】
操作レバー13は、発射装置を作動させてパチンコ球を遊技領域4へ打ち出すための発射操作部である。図2のように、操作レバー13は、丸みを帯びた略平板形状に形成されており、本体2下部のカバー17(外装)に形成された矩形の開口17aから前方へ突出し、この開口17aに対して上下動自在となるように組みつけられている。遊技者は、操作レバー13の上面に手40を載せ、操作レバー13を上下に自在に動かすことで発射装置のパチンコ球の打ち出し強さを調節することができる。操作レバー13は、後述するようバネ26(図4参照)により上方へ付勢されており、遊技者が手40を離すと最上部の基準位置へと自然に戻るようになっている。また、操作レバー13の上面は略平面形状をなし、遊技者の親指以外の手指に合わせて互いに略並行な4本の溝13a〜13dが形成されている。
【0015】
操作レバー13の表面には、タッチセンサ18と圧力センサ19と停止ボタン20が設けられている。タッチセンサ18は、遊技者の手指の接触を検知する接触検知手段で、操作時に手指が必ず触れる上面の手前側に設けられている。なお、タッチセンサ18を設ける位置は、これに限られず、例えば操作レバー13側面であってもよい。このタッチセンサ18で手指の接触が検知されない限り、発射装置は作動しない。
【0016】
圧力センサ19は、下方への圧力を検知する圧力検知手段であって、操作レバー13の上面に開口17aの上縁と対向して配設されている。圧力センサ19は、圧電素子などで構成されており、操作レバー13の上面と開口17aの上縁との間に挟まった障害物41を検出することができる。操作レバー13は上方へ付勢されているため、障害物41が挟まった際に上方への移動が阻止されて基準位置へと戻ることができなくなる。圧力センサ19は、このような状態において障害物41による押圧を検出して発射装置の作動を停止するために設けられている。なお、遊技者が意図的に圧力センサ19を押圧して発射装置の作動を停止することもできる。また、停止ボタン20は、操作レバー13の右側面に設けられ、遊技者が押下することで発射装置の作動を一時的に停止するものである。
【0017】
支持棒16は、略コ字形状の棒部材であり、開口17aの右隣に近接して縦方向に配設されている。遊技者は、操作レバー13の上面に手40を載せた状態のまま、支持棒16に親指を掛けることにより操作レバー13を任意の位置に留めることができる。
【0018】
図3のように、操作レバー13の背面側には、ともに矩形の平板である保持板21及び背面板22が設けられ、操作レバー13が上下動自在となるように構成されている。保持板21の略中央には、操作レバー13が一体となるように埋設されている。カバー17の背面には、上述した開口17aが略中央に位置するように矩形の凹部17bが形成されており、保持板21は、この凹部17bに、操作レバー13を開口17aから突出させて嵌め込まれる。凹部17bの左右両側には階段状の当接部17cが形成されており、これらの当接部17cの間隔が保持板21の幅と略同一になるとともに、凹部17bの縦方向の長さが保持板21のそれよりも長いため、保持板21は凹部17bの中で上下方向にスライドできるようになっている。
【0019】
また、保持板21の上面には、操作レバー13を最上部の基準位置に向けて付勢するための付勢手段であるバネ26が3個並んで取り付けられており、このバネ26は凹部17bに嵌め込むときに凹部17bの上面に各々固定される。さらに、保持板21の背面側には、背面板22が、前面の左右両端部を当接部17cに当接させて取り付けられる。凹部17bの幅は背面板22の幅と略同一であって、保持板21と当接部17cには各々対応する位置にネジ穴27,28が設けられており、図示しないネジで固定することができる。なお、操作レバー13の付勢手段は、本実施形態の態様に限られず、使用するバネの数量や取り付け位置などは設計に応じて適宜決定すればよく、また、例えばゴムなどのバネ以外の弾性部材を使用してもよい。
【0020】
背面板22の略中央には、貫通孔22aが形成されており、操作レバー13の背面から延出したケーブル24とその先端のコネクタ25、並びに棒状の突出部材23を背面側へ通すことができるようになっている。このケーブル24は、図4のように、前述したタッチセンサ18及び圧力センサ19、さらに停止ボタン20内部のスイッチ29と電気的に接続されており、これらの信号をコネクタ25を介して、停止制御部31に出力する。
【0021】
停止制御部31は、発射装置30と電気的に接続されており、所定の条件で停止信号を出力して作動を停止させる。停止制御部31は、停止ボタン20が押下されてスイッチ29がオンになった場合と、タッチセンサ18で遊技者の手指の接触が検知できない場合と、圧力センサ19で圧力を検知した場合の何れかにおいて停止信号を出力する。停止信号を受けた発射装置30は、操作レバー13の位置に関わらず、パチンコ球の打ち出し動作を停止する。さらに、発射装置30には、可変抵抗32が電気的に接続されており、通常、この可変抵抗32の抵抗値に応じた打ち出し強さでパチンコ球が打ち出される。なお、発射装置30の構造については公知であるため、説明は省略する。
【0022】
また、操作レバー13の背面に設けられた棒状の突出部材23は、操作レバー13とともに一体に上下動するようになっている。移動量検出部33は、この突出部材23と機械的に接続されて操作レバー13の基準位置からの移動量を検出する。さらに、移動量検出部33は、検出した移動量に応じて、上述した可変抵抗32の抵抗値を調整する。よって、操作レバー13の基準位置からの移動量に応じて発射装置30の打ち出し強さが決定される。このように、停止制御部31と可変抵抗32と移動量検出部33は発射装置30の発射制御手段を構成する。なお、可変抵抗32と移動量検出部33は、設計に応じて一体の部材で構成してもよい。
【0023】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。遊技者は、操作レバー13の上面に手40を載せて、4つの溝13a〜13dに親指以外の4本の手指を合わせる。このとき、タッチセンサ18が遊技者の手指の接触を検知するから、停止制御部31は発射装置30への停止信号の出力を停止する。そして、発射装置30は、操作レバー13の基準位置からの移動量に応じた打ち出し強さで作動し、パチンコ球を遊技領域4へ打ち出す。
【0024】
遊技者は、操作レバー13を上下動して打ち出し強さを調整し、狙いが定まったところで、親指を支持棒16に掛けることにより、操作レバー13をその位置に留めることができる。また、遊技者は手を自然に近い状態で操作レバー13に載せたまま遊技することができるから、長時間の遊技でも疲労感が効果的に軽減される。なお、遊技者は、停止ボタン20を親指で押すことで、停止制御部31が発射装置30へ停止信号を出力し、操作レバー13の位置を保ったままパチンコ球の打ち出しを中断することができる。さらに、遊技者は、圧力センサ19を押圧することによってもパチンコ球の打ち出しを中断することができる。
【0025】
また、遊技者が、例えば不正行為を行うことを目的として、開口17aの上縁と操作レバー13の上面の間にタバコなどの障害物41を挟んで操作レバー13を所定位置に固定した場合、遊技者がタッチセンサ18に触れていても、圧力センサ19が、障害物41によって加えられる圧力を検知するから、停止制御部31が発射装置30へ停止信号を出力して発射装置30の作動を停止する。また、操作レバー13を紐などで所定位置に固定した場合、タッチセンサ18が遊技者の手指の接触を検知しないから、やはり発射装置30の作動は停止される。このように、本発明の弾球遊技機に拠れば、遊技の際の遊技者の手にかかる負担を効果的に軽減するとともに放置状態での遊技を防止することができる。
【0026】
なお、遊技者の手にかかる負担をさらに効果的に軽減するために、例えば図5のように本体2下部の前面に平板状のアームレスト50を設けてもよい。これにより遊技者は、手首をアームレスト50に載せたまま遊技を行うことができる。さらに、アームレスト50の上面と操作レバー13の下面の間に蛇腹51を設ければ意匠性を向上させることもできる。また、本実施形態では、パチンコ機を例として挙げたが、これに限られず、他の弾球遊技機にも本願発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の弾球遊技機の一例であるパチンコ機を示す斜視図である。
【図2】パチンコ機の操作レバーを示す斜視図である。
【図3】操作レバーの背面側の構成を示す斜視図である。
【図4】操作レバーの断面及び電気的構成を示す。
【図5】パチンコ機の他の実施形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 パチンコ機
13 操作レバー
13a〜13d 溝
16 支持棒
17 カバー
17a 開口
18 タッチセンサ
19 圧力センサ
26 バネ
30 発射装置
31 停止制御部
32 可変抵抗
33 移動量検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を遊技領域に向けて打ち出す発射装置と、
本体下部の外装に形成された開口と、
上面が略平面に形成され、前記開口から前方へ突出し開口に対して上下動自在に組みつけられた発射操作部と、
前記発射操作部を所定の基準位置に戻すように発射操作部を上方へ向けて付勢する付勢手段と、
前記発射操作部の上面に前記開口の上縁と対向して配設され、下方への圧力を検知する圧力検知手段と、
前記発射操作部に遊技者の手指が接触したことを検知する接触検知手段と、
前記発射操作部の前記基準位置からの移動量を検出し、この移動量に応じた打ち出し強さで前記発射装置を作動させ、前記接触検出手段で遊技者の手指の接触を検知できないとき、又は前記圧力検知手段が圧力を検知したときには前記移動量に関わらず前記発射装置の作動を停止させる発射制御手段とを備えたことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記発射操作部の上面に、発射操作部を操作する遊技者の手指に合わせるように互いに略並行な複数の溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機。
【請求項3】
遊技者が前記発射操作部の上面に手を載せた状態で親指を掛けることができるように、前記開口に近接して縦方向に棒部材を配設したことを特徴とする請求項1又は2記載の弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−34358(P2009−34358A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201451(P2007−201451)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】