説明

弾球遊技機

【課題】打撃槌に作用する負荷を最小限に抑えつつ、打撃の瞬間における槌先と遊技球との相対位置関係を常に一定に保持することが可能な弾球遊技機を提供する。
【解決手段】打撃槌53の槌先側を略直線の軌道上に保持する槌先軌道保持手段55を備え、この槌先軌道保持手段55は、槌側連結軸61aにより打撃槌53の槌先側に回転自在に連結されるセンターリンク61と、そのセンターリンク61の両端側に夫々連結軸61b,61cにより連結されると共に打撃槌53の両側で軸支されるサイドリンク62,63とで構成されるリンク機構64を備え、このリンク機構64は、サイドリンク62,63が互いに平行になったときにそれらサイドリンク62,63が発射レール52に略直交し、槌側連結軸61aが連結軸61b,61c間をサイドリンク63,62のリンク長の比で内分した位置に設けられているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機に代表される弾球遊技機は、遊技盤の前面に入賞手段等を配置した遊技領域が設けられており、発射手段により遊技領域内に発射された遊技球が入賞手段に入賞等した場合に、その入賞等に応じた賞球を払い出す等、遊技者に相応の利益が還元されるようになっている。
【0003】
この種の弾球遊技機に搭載されている発射手段は、発射ハンドルの操作量に応じた速度で駆動される打撃槌により、発射レール上に1個ずつ供給される遊技球をその発射レールに沿って打撃するように構成されたものが主流である。
【0004】
ところで、発射手段の発射動作が不安定であれば、発射ハンドルの操作量が一定であっても遊技球の飛びにバラツキが生じ、遊技者が狙い通りに発射をコントロールできないため、従来より発射手段による発射動作を安定させるための対策が種々検討されてきた。そのようななか、打撃槌の槌先近傍を摺動自在に保持する槌先軌道保持部材を発射レール上に設けて、打撃槌の槌先が常に遊技球の一定位置を打撃するように構成することで発射動作を安定させようとした発射装置が特許文献1に記載されている。
【0005】
特許文献1に記載された発射装置では、軸受孔が設けられた槌先軌道保持部材が発射レールの後端側に固定され、ソレノイドのプランジャ(打撃槌)の槌先側を槌先軌道保持部材の軸受孔に摺動自在に貫通させることにより、打撃の瞬間における槌先と遊技球との相対位置関係を常に一定に保持できるとしている。
【特許文献1】特開平11−104299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載された発射装置では、槌先軌道保持部材の軸受孔により打撃槌を摺動自在に保持しているため、摩擦等による負荷が大きくなりやすく、またその負荷も経年変化等により変動しやすいため、発射動作を不安定にする新たな原因となる可能性があった。
【0007】
また、槌先軌道保持部材による打撃槌の保持位置が発射動作中に槌先側から槌元側に移動して、打撃の瞬間に槌先側から最も離れた位置で保持されることとなるため、保持位置が僅かに変化しただけで打撃の瞬間における槌先と遊技球との相対位置関係が大きく変化してしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、打撃槌に作用する負荷を最小限に抑えつつ、打撃の瞬間における槌先と遊技球との相対位置関係を常に一定に保持することが可能な弾球遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、発射レール52上に1個ずつ供給される遊技球を打撃槌53により前記発射レール52に沿って打撃することにより遊技盤6側の遊技領域6aに向けて発射する発射手段8を備え、前記打撃槌53は発射駆動手段54,91により前記発射レール52に略平行に往復駆動されるように構成された弾球遊技機において、前記打撃槌53の槌先側を略直線の軌道上に保持する槌先軌道保持手段55を備え、該槌先軌道保持手段55は、槌側連結軸61a,71aにより前記打撃槌53の槌先側に回転自在に連結されるセンターリンク61,71と、そのセンターリンク61,71の両端側に夫々第1,第2連結軸61b,61c,71b,71cにより回転自在に連結されると共に前記打撃槌53の両側で遊技機本体1に回転自在に軸支される第1,第2サイドリンク62,63,72,73とで構成されるリンク機構64,70を備え、該リンク機構64,70は、前記打撃槌53に平行な所定の仮想平面上を動作可能で且つ前記第1,第2サイドリンク62,63,72,73が互いに平行になったときにそれら第1,第2サイドリンク62,63,72,73が前記発射レール52に略直交するように配置され、前記槌側連結軸61a,71aが前記第1,第2連結軸61b,61c,71b,71c間を前記第2,第1サイドリンク63,62,73,72のリンク長の比で内分した位置に設けられているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、打撃槌53の槌先側は発射レール52に平行な略直線となり、しかも槌先軌道保持手段55による打撃槌53の保持位置、即ち打撃槌53上における槌側連結軸61aの位置は打撃槌53が待避状態にあるときから打撃の瞬間まで常に同じである。また、槌先軌道保持手段55はリンク機構64を用いているため、摩擦等により打撃槌53に大きな負荷がかかることもない。従って、打撃槌53に作用する負荷を最小限に抑えつつ、打撃の瞬間における槌先と遊技球との相対位置関係を常に一定に保持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図10は本発明をパチンコ機に採用した第1の実施形態を例示している。図1及び図2において、遊技機本体1は、矩形状の外枠2と、この外枠2の左右一側、例えば左側のヒンジ3を介して縦軸心廻りに開閉及び着脱自在に枢着された内枠4とを備えている。
【0012】
内枠4には、その上部側に設けられた上部装着部5に遊技盤6が、その上部装着部5の下側の下部装着部7に発射手段8等が夫々配置されており、その内枠4の前側には、上部装着部5に対応するガラス扉9と、下部装着部7に対応する下部開閉扉10とがヒンジ3と同じ側のヒンジ11により開閉及び着脱自在に枢着されている。ガラス扉9には、遊技盤6側の遊技領域6aに対応するガラス窓12が設けられ、また下部開閉扉10には、発射手段8に供給するための遊技球を貯留する貯留皿13、発射手段8を作動させるための発射ハンドル14等が設けられている。
【0013】
上部装着部5には、遊技盤6を装着するための遊技盤装着枠15が設けられると共に、例えばその上端側には左右一対の上部スピーカ16が着脱自在に装着されている。遊技盤6は、遊技盤装着枠15に対して例えば前側から装着され、1又は複数の固定具15aにより着脱自在に固定されており、その前面側には、発射手段8により発射された遊技球を遊技領域6aの上部側に案内する外レール21と、遊技領域6aの周囲を規定する周壁の少なくとも一部を構成する内レール22とが立設されると共に、遊技領域6a内には、その略中央に画像表示手段を備えたセンターケース23が配置され、更にそのセンターケース23の左側に通過ゲート24が、下側に開閉式入賞手段25及び大入賞手段26が配置される他、普通入賞手段27、風車28等の各種遊技部品が装着されている。
【0014】
外レール21及び内レール22は例えば金属板により構成されており、外レール21は遊技盤6の下部側の左右方向略中央位置又はそれよりも若干左寄りの位置から遊技盤6の左端側及び上端側を経て右上部側まで略円弧状に配置され、内レール22は遊技盤6の左上方から下部側の左右方向略中央まで外レール21に並行するようにその内側に配設され、更にそのまま遊技盤6の右縁部近傍まで略円弧状に延設されている。
【0015】
このように、内レール22と外レール21とは、遊技盤6の左側部分において、互いに所定距離をおいて内外に配設されており、その内レール22と外レール21とで挟まれた部分が、発射手段8により発射された遊技球を遊技領域6aに案内する発射案内通路29となっている。また、発射案内通路29から遊技領域6aへの出口付近には、遊技領域6a側から発射案内通路29側への遊技球の戻りを防止するための球戻り防止手段29aが配置されている。
【0016】
下部装着部7には、その前側の例えば左右方向略中央に発射手段8が配置され、その発射手段8の左側には、図外の払い出し手段から払い出された遊技球を下部開閉扉10側の貯留皿13に排出するための払い出し口31等が、右側には下部スピーカ32等が夫々配置されている。
【0017】
下部開閉扉10は、図1及び図3に示すように、下部装着部7の前側に略平行に配置される台板41と、この台板41の前側上部に配置される貯留皿13と、貯留皿13の前側から台板41の略全体を覆う化粧カバー42と、この化粧カバー42の前側に突設される発射ハンドル14と、台板41の裏側に着脱自在に装着される球送り手段43及びファール球返却手段44とを備えている。
【0018】
台板41は、例えば合成樹脂により下部装着部7を略覆う横長矩形状に形成され、左右一端側、例えば左端側においてヒンジ11により内枠4側に枢支されており、例えばヒンジ11側上部の払い出し排出口45等の複数の開口部が前後方向貫通状に形成されると共に、払い出し排出口45の後側に対応して払い出し案内樋46が後ろ向き突出状に一体形成されている。払い出し案内樋46は、下部開閉扉10が閉状態のときに下部装着部7側の払い出し口31の下側に連通して、図外の払い出し手段から払い出された遊技球を払い出し排出口45から貯留皿13に排出するようになっている。なお、台板41には、その背面側の略全体を覆う板金製の補強板47が着脱自在に装着されている。
【0019】
貯留皿13は、台板41の前側上部に横長状に設けられ、払い出し排出口45に対応する左端側から右端側に向けて緩やかに下る傾斜状に形成されており、遊技球を徐々に一列状に整列させつつ下流側の球送り手段43に案内するようになっている。なお、貯留皿13の底壁には開閉可能な球抜き口48が設けられている。
【0020】
化粧カバー42は、貯留皿13の前側から台板41の略全体を覆うように台板41の前側に装着されており、例えば貯留皿13の前側に貸し球操作部49、演出操作部50等の各種スイッチ類が配置され、また貯留皿13の左側に灰皿51等が、右側に発射ハンドル14等が配置されている。
【0021】
球送り手段43は、貯留皿13側から流下してきた遊技球を発射手段8の発射レール52上に一個ずつ供給するためのもので、発射レール52の前側に対応して台板41の後側に着脱自在に装着されている。ファール球返却手段44は、発射手段8により発射されたにも拘わらず遊技領域6aに達することなく戻ってきたファール球を貯留皿13等に返却するためのもので、発射レール52と外レール21との間のレール欠落部の下側に対応して台板41の後側に着脱自在に装着されている。ファール球返却手段44は、ファール球を受けるファール球受け部44a、このファール球受け部44aで受けたファール球を例えば下部開閉扉10の台板41に設けられたファール球返却孔44bを介して貯留皿13側に案内するファール球返却通路44c等を例えば一体に備えている。
【0022】
発射手段8は、図4〜図7に示すように、遊技球を発射方向に案内する発射レール52と、この発射レール52上に供給された遊技球を打撃する打撃槌53と、この打撃槌53を発射レール52に沿って往復駆動する発射駆動手段54と、打撃槌53の槌先側を略直線の軌道上に保持する槌先軌道保持手段55とを備え、例えば板金製の取付板56を介して下部装着部7の前側に着脱自在に装着されている。
【0023】
発射レール52は、取付板56の前側に、下流側端部52b側が上流側端部52a側よりも高くなるように傾斜した状態で固定されており、例えばその上流側端部52a側の少なくとも一部は、断面略M型に折り曲げて成形された板金製のレール案内部材57が上側から装着されている。
【0024】
また、取付板56の前側には、発射レール52の上流側端部52a側に対応してその上側近傍に発射球ストッパー58が装着されている。発射球ストッパー58は、その下部側の突起部58aと発射レール52との間に遊技球の直径よりも若干小さい隙間を形成するように配置されており、球送り手段43により発射レール52上に供給された遊技球は、発射レール52の上流側端部52a近傍の発射待機位置Pにおいて、その上端側を発射球ストッパー58の突起部58aに当接させた状態で保持されるようになっている。
【0025】
発射駆動手段54は、例えばソレノイドにより構成され、その可動鉄心54aの先端側が打撃槌53となっており、その打撃槌53が発射レール52と略平行で且つその軸心が発射待機位置P上の遊技球の略中心を通るように発射レール52の上流側端部52a側に配置されている。打撃槌53は、先端側の槌先53aに槌先バネ59が装着されており、発射駆動手段54が励磁されて可動鉄心54aが待避状態(図4)から発射レール52側の発射状態(図7)まで移動したとき、この槌先バネ59が発射待機位置Pの遊技球を発射レール52に沿って発射方向に打撃するようになっている。
【0026】
槌先軌道保持手段55は、打撃槌53に連結されるセンターリンク61と、そのセンターリンク61の両端側と遊技機本体1側の例えば取付板56とを連結する第1,第2サイドリンク62,63とで構成される一組のリンク機構64を備えている。このリンク機構64は、各リンク61〜63が例えば遊技盤6に平行な仮想平面(以下、縦仮想平面という)上に配置され、その縦仮想平面上を動作可能に設けられている。
【0027】
センターリンク61は、打撃槌53に略沿うように例えば打撃槌53の後側に配置され、その両端部間に配置された前後方向(縦仮想平面に垂直な方向)の槌側連結軸61aにより打撃槌53の槌先53aの近傍に回転自在に連結されている。
【0028】
第1サイドリンク62は、センターリンク61の槌先53a側端部に前後方向(縦仮想平面に垂直な方向)の第1連結軸61bにより回転自在に連結され、打撃槌53の一側、例えば上側に向けて配置されており、センターリンク61側とは反対の端部側において前後方向(縦仮想平面に垂直な方向)の支持軸62aにより例えば取付板56に対して回転自在に軸支されている。
【0029】
第2サイドリンク63は、センターリンク61の槌先53aとは反対側の端部に前後方向(縦仮想平面に垂直な方向)の第2連結軸61cにより回転自在に連結され、打撃槌53の一側、例えば下側に向けて配置されており、センターリンク61側とは反対の端部側において前後方向(縦仮想平面に垂直な方向)の支持軸63aにより例えば取付板56に対して回転自在に軸支されている。
【0030】
また、リンク機構64は、図8に示すように、打撃槌53から切り離した場合の単独の可動範囲のちょうど中間の状態(以下、中間姿勢という)にあるとき、第1,第2サイドリンク62,63が互いに平行となり且つ発射レール52に略直交するように配置されている。更に、槌側連結軸61aは、第1,第2連結軸61b,61c間を第2,第1サイドリンク63,62のリンク長の比で内分した位置に設けられている。即ち、槌側連結軸61aと第1連結軸61bとの距離をd1、槌側連結軸61aと第2連結軸61cとの距離をd2、第1サイドリンク62のリンク長をL1、第2サイドリンク63のリンク長をL2とすると、d1:d2=L2:L1の関係が成立するように、センターリンク61上での槌側連結軸61aの位置が設定されている。
【0031】
これにより、図8に示すように槌側連結軸61aの縦仮想平面上における軌道は発射レール52に略平行な直線となり、この槌側連結軸61aに連結された打撃槌53の槌先側はその軌道上を移動する。なお、槌側連結軸61aの軌道は厳密には直線とはならないが、そのぶれは殆ど無視できる範囲であり、また厳密には直線ではないにしてもその軌道は常に一定であるため、打撃の瞬間における槌先と遊技球との相対位置関係は常に一定となる。また、槌先軌道保持手段55による打撃槌53の保持位置、即ち打撃槌53上における槌側連結軸61aの位置は、打撃槌53が待避状態にあるときから打撃の瞬間まで常に同じであるため、槌先部分を所定位置に正確に保持できる。また、槌先軌道保持手段55はリンク機構64を用いているため、摩擦等により打撃槌53に大きな負荷がかかることも少ない。
【0032】
なお、本実施形態では、第1サイドリンク62と第2サイドリンク63のリンク長L1,L2が等しく、従って槌側連結軸61aを第1連結軸61bと第2連結軸61cのちょうど中央に設けているが、例えばスペースの関係で第1サイドリンク62と第2サイドリンク63とを等しい長さにすることができない場合には、センターリンク61上での槌側連結軸61aの位置を上式に基づいて調整すればよい。図9はL1>L2とした例、図10はL1<L2とした例を示している。
【0033】
また、本実施形態では、リンク機構64が中間姿勢のとき、センターリンク61が第1,第2サイドリンク62,63に夫々直交する、即ち打撃槌53と平行になるように配置したが、リンク機構64が中間姿勢のときのセンターリンク61と第1,第2サイドリンク62,63との交差角度は90度よりも小でもよいし大でもよい。図9はセンターリンク61とサイドリンク62,63との交差角度が90度より小さい場合、図10は同じく交差角度が90度より大きい場合の例を示している。
【0034】
また、リンク機構64を、打撃槌53の可動範囲のどの位置で中間姿勢となるように打撃槌53に連結するかは任意である。本実施形態では、打撃槌53が待避状態から発射状態までの可動範囲のちょうど中間にあるときにリンク機構64が中間姿勢となるようにしているが、例えば打撃槌53が待避状態又は発射状態にあるときにリンク機構64が中間姿勢となるようにしてもよい。また、打撃槌53の可動範囲内ではリンク機構64が中間姿勢とならないようにしてもよい。
【0035】
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機では、打撃槌53の槌先側を略直線の軌道上に保持する槌先軌道保持手段55を備え、この槌先軌道保持手段55は、槌側連結軸61aにより打撃槌53の槌先側に回転自在に連結されるセンターリンク61と、そのセンターリンク61の両端側に夫々第1,第2連結軸61b,61cにより回転自在に連結されると共に打撃槌53の両側で遊技機本体1に回転自在に軸支される第1,第2サイドリンク62,63とで構成されるリンク機構64を備え、このリンク機構64は、打撃槌53に平行な縦仮想平面上を動作可能で且つ第1,第2サイドリンク62,63が互いに平行になったときにそれら第1,第2サイドリンク62,63が発射レール52に略直交するように配置され、槌側連結軸61aが第1,第2連結軸61b,61c間を第2,第1サイドリンク63,62のリンク長の比で内分した位置に設けられているため、打撃槌53の槌先側は発射レール52に平行な略直線となり、しかも槌先軌道保持手段55による打撃槌53の保持位置、即ち打撃槌53上における槌側連結軸61aの位置は打撃槌53が待避状態にあるときから打撃の瞬間まで常に同じである。また、槌先軌道保持手段55はリンク機構64を用いているため、摩擦等により打撃槌53に大きな負荷がかかることもない。従って、打撃槌53に作用する負荷を最小限に抑えつつ、打撃の瞬間における槌先と遊技球との相対位置関係を常に一定に保持することが可能となる。
【0036】
また、槌先軌道保持手段55は、遊技盤6に略平行な縦仮想平面上を動作可能に配置されたリンク機構64を備えているため、特に打撃の瞬間における槌先と遊技球との上下方向の相対位置関係を常に一定に保持することが可能となる。
【0037】
図11及び図12は本発明の第2の実施形態を例示し、槌先軌道保持手段55を、互いに直交する仮想平面上を動作可能に配置された二組のリンク機構64,70により構成した例を示している。
【0038】
本実施形態の二組のリンク機構64,70のうち、一方のリンク機構64は第1の実施形態と全く同じ構成となっている。また、他方のリンク機構70は、打撃槌53と平行で且つリンク機構64側の縦仮想平面と直交する仮想平面(以下、横仮想平面という)上に配置され、その横仮想平面上を動作可能に構成されており、基本的な構成はリンク機構64と同じである。
【0039】
即ち、リンク機構70は、打撃槌53に連結されるセンターリンク71と、そのセンターリンク71の両端側と遊技機本体1側の例えば取付板56とを連結する第1,第2サイドリンク72,73とで構成され、各リンク71〜73が横仮想平面上に配置され、その縦仮想平面上を動作可能に設けられている。
【0040】
センターリンク71は、打撃槌53に略沿うように例えば打撃槌53の上側に配置され、その両端部間に配置された略上下方向(横仮想平面に垂直な方向)の槌側連結軸71aにより打撃槌53の槌先53aの近傍に回転自在に連結されている。
【0041】
第1サイドリンク72は、センターリンク71の槌先53a側端部に略上下方向(横仮想平面に垂直な方向)の第1連結軸71bにより回転自在に連結され、打撃槌53の一側、例えば後側に向けて配置されており、センターリンク61側とは反対の端部側において略上下方向(横仮想平面に垂直な方向)の支持軸72aにより、例えば取付板56に一体のブラケット81に対して回転自在に軸支されている。なお、ブラケット81は例えば取付板56の裏面側に設けられており、第1サイドリンク72は、取付板56に設けられた開口部56aを後ろ向きに貫通してブラケット81に装着されている。
【0042】
第2サイドリンク73は、センターリンク71の槌先53aとは反対側の端部に略上下方向(横仮想平面に垂直な方向)の第2連結軸71cにより回転自在に連結され、打撃槌53の一側、例えば前側に向けて配置されており、センターリンク71側とは反対の端部側において略上下方向(横仮想平面に垂直な方向)の支持軸73aにより例えば取付板56に一体のブラケット82に対して回転自在に軸支されている。
【0043】
また、リンク機構70は、打撃槌53から切り離した場合の単独の可動範囲のちょうど中間の状態(中間姿勢)にあるとき、第1,第2サイドリンク72,73が互いに平行となり且つ発射レール52に直交するように配置されている。更に、槌側連結軸71aは、第1,第2連結軸71b,71c間を第2,第1サイドリンク73,72のリンク長の比で内分した位置に設けられている。即ち、槌側連結軸71aと第1連結軸71bとの距離をd1、槌側連結軸71aと第2連結軸71cとの距離をd2、第1サイドリンク72のリンク長をL1、第2サイドリンク73のリンク長をL2とすると、d1:d2=L2:L1の関係が成立するように、センターリンク71上での槌側連結軸71aの位置が設定されている。
【0044】
これにより、槌側連結軸71aの横仮想平面上における軌道は発射レール52に平行な略直線となり、この槌側連結軸71aに連結された打撃槌53の槌先側はその軌道上を移動する。
【0045】
このように、リンク機構64とリンク機構70とを備えた槌先軌道保持手段55により、打撃槌53の槌先側を、その軸心に直交する何れの方向にもぶれることなく発射レール52に平行な1本の略直線の軌道上に保持することができる。
【0046】
図13は本発明の第3の実施形態を例示し、打撃槌53を、槌先軌道保持手段55と、この槌先軌道保持手段55と同様のリンク機構64を槌元側に備えた槌元軌道保持手段90とで支持し、この打撃槌53とは別体の発射駆動手段91により打撃槌53を往復駆動するように構成した例を示している。
【0047】
本実施形態では、打撃槌53が発射駆動手段91から独立しており、その槌先側と槌元側とが夫々槌先軌道保持手段55と槌元軌道保持手段90とにより発射レール52に平行な略直線の軌道上に保持されている。
【0048】
槌先軌道保持手段55は、第1の実施形態と同様のリンク機構64で構成されている。また、槌元軌道保持手段90についても、槌先軌道保持手段55と略同様のリンク機構64で構成されており、そのセンターリンク61が槌側連結軸61aにより打撃槌53の槌元側に連結されている。
【0049】
発射駆動手段91は、例えばロータリーソレノイドにより構成され、その駆動軸91aを取付板56の前側に突出させた状態で例えば取付板56の裏側に着脱自在に固定されており、その駆動軸91aに固定された駆動レバー91bの先端側が例えば打撃槌53側の連結ブラケット92に連結されている。なお、取付板56の前側には、打撃槌53の可動範囲を規制するための規制部材93a,93bが配置されている。規制部材93aは例えば打撃槌53の槌元端側に当接して打撃槌53を待避状態で規制し、規制部材93bは例えば発射駆動手段91の駆動レバー91b側の所定位置に当接して打撃槌53を発射状態で規制するようになっている。
【0050】
以上のように、打撃槌53を、槌先軌道保持手段55と、この槌先軌道保持手段55と同様のリンク機構64を槌元側に備えた槌元軌道保持手段90とで支持し、この打撃槌53とは別体の発射駆動手段91により打撃槌53を往復駆動するように構成しても、第1の実施形態と同様、打撃槌53に作用する負荷を最小限に抑えつつ、打撃の瞬間における槌先と遊技球との相対位置関係を常に一定に保持することが可能となる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、第1の実施形態では槌先軌道保持手段55が遊技盤6に略平行な縦仮想平面上に配置されたリンク機構64のみを備えた例を示したが、例えば打撃槌53と平行で且つリンク機構64側の縦仮想平面と直交する横仮想平面平面上に配置されたリンク機構64のみを備えた槌先軌道保持手段55を設けてもよい。
【0052】
また第1、第3の実施形態のように、槌先軌道保持手段55、槌元軌道保持手段90等が一組のリンク機構のみを備えている場合、打撃槌53をそのリンク機構に直交する方向に保持する保持手段を別途設けてもよい。
【0053】
第3の実施形態のように打撃槌53とは別体の発射駆動手段を設ける場合、この発射駆動手段の種類は任意であり、ソレノイド、モータ等どのようなものを用いてもよい。
【0054】
なお、実施形態ではパチンコ機について例示したが、アレンジボール機、雀球遊技機等の他の弾球遊技機でも同様に実施できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すパチンコ機の全体斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示すパチンコ機でガラス扉及び下部開閉扉を外した状態の正面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を示すパチンコ機の下部開閉扉の斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態を示すパチンコ機の発射手段(待避状態)の正面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態を示すパチンコ機の発射手段の平面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態を示すパチンコ機の発射手段の断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態を示すパチンコ機の発射手段(発射状態)の正面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態を示すパチンコ機の槌先軌道保持手段の説明図である。
【図9】槌先軌道保持手段の他の構成例の説明図である。
【図10】槌先軌道保持手段の他の構成例の説明図である。
【図11】本発明の第2の実施形態を示すパチンコ機の発射手段の正面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態を示すパチンコ機の発射手段の平面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態を示すパチンコ機の発射手段の正面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 遊技機本体
6 遊技盤
6a 遊技領域
8 発射手段
52 発射レール
53 打撃槌
54 発射駆動手段
55 槌先軌道保持手段
61 センターリンク
61a 槌側連結軸
61b 第1連結軸
61c 第2連結軸
62 第1サイドリンク
63 第2サイドリンク
64 リンク機構
70 リンク機構
71 センターリンク
71a 槌側連結軸
71b 第1連結軸
71c 第2連結軸
72 第1サイドリンク
73 第2サイドリンク
90 槌元軌道保持手段
91 発射駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射レール(52)上に1個ずつ供給される遊技球を打撃槌(53)により前記発射レール(52)に沿って打撃することにより遊技盤(6)側の遊技領域(6a)に向けて発射する発射手段(8)を備え、前記打撃槌(53)は発射駆動手段(54,91)により前記発射レール(52)に略平行に往復駆動されるように構成された弾球遊技機において、前記打撃槌(53)の槌先側を略直線の軌道上に保持する槌先軌道保持手段(55)を備え、該槌先軌道保持手段(55)は、槌側連結軸(61a,71a)により前記打撃槌(53)の槌先側に回転自在に連結されるセンターリンク(61,71)と、そのセンターリンク(61,71)の両端側に夫々第1,第2連結軸(61b,61c,71b,71c)により回転自在に連結されると共に前記打撃槌(53)の両側で遊技機本体(1)に回転自在に軸支される第1,第2サイドリンク(62,63,72,73)とで構成されるリンク機構(64,70)を備え、該リンク機構(64,70)は、前記打撃槌(53)に平行な所定の仮想平面上を動作可能で且つ前記第1,第2サイドリンク(62,63,72,73)が互いに平行になったときにそれら第1,第2サイドリンク(62,63,72,73)が前記発射レール(52)に略直交するように配置され、前記槌側連結軸(61a,71a)が前記第1,第2連結軸(61b,61c,71b,71c)間を前記第2,第1サイドリンク(63,62,73,72)のリンク長の比で内分した位置に設けられていることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記槌先軌道保持手段(55)は、前記遊技盤(6)に略平行な前記仮想平面上を動作可能に配置された前記リンク機構(64)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記槌先軌道保持手段(55)は、互いに直交する前記仮想平面上を動作可能に配置された二組の前記リンク機構(64,70)を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の弾球遊技機。
【請求項4】
前記発射駆動手段(54)をソレノイドにより構成し、前記打撃槌(53)を前記ソレノイドの先端側に一体に設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の弾球遊技機。
【請求項5】
前記打撃槌(53)を、前記槌先軌道保持手段(55)と、この槌先軌道保持手段(55)と同様の前記リンク機構(64)を槌元側に備えた槌元軌道保持手段(90)とで支持し、この打撃槌(53)とは別体の前記発射駆動手段(91)により前記打撃槌(53)を往復駆動するように構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−50292(P2009−50292A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216982(P2007−216982)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(391010943)株式会社藤商事 (1,465)
【Fターム(参考)】