説明

弾球遊技機

【課題】遊技機内に封入された遊技球を常に清浄化された状態で循環使用できる構成の弾球遊技機を提供する。
【解決手段】入賞口に入賞した遊技球及びアウト口に流入した遊技球を回収して、当該回収した遊技球を発射機構に供給する遊技球循環装置100を備え、発射機構により遊技領域内に発射されて遊技に使用された遊技球を、遊技球循環装置100により回収して発射機構に供給し、再び遊技領域内に発射する構成として、所定個数の遊技球を封入状態で循環使用する構成の弾球遊技機において、遊技球循環装置100は、遊技領域内に発射された遊技球を回収して貯留する球貯留部140と、球貯留部140に貯留された遊技球を上方に揚送して発射機構の発射位置に供給する球送り機構150と、球送り機構150により揚送されるときに遊技球に接触して当該遊技球を研磨する研磨部材156と、球送り機構150の作動を制御する循環制御部とを備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機内に所定数個数の遊技球を封入状態で循環使用して遊技を行うように構成された弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
このような構成の弾球遊技機は、パチンコ機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機等として従来からよく知られている。その代表例であるパチンコ機では、遊技者が遊技球の球貸しを受け、これを球皿に投入した上で、発射ハンドルを操作して遊技を行うようになっている。具体的には、球皿に遊技球が投入されると、球皿に繋がる整列通路から遊技球が1球ずつ遊技盤上の遊技領域内に発射されるように構成されている。このように遊技領域内に打ち出された遊技球は、多数本の遊技釘等に案内されて落下経路を変更しながら盤面上を転動流下し、その流下途中において遊技領域内に設けられた入賞口に落入する、すなわち、遊技球が入賞すると、この入賞に応じて所定個数の遊技球が賞球として球皿に払い出されるようになっている。遊技者はこのようにして遊技を行い、払い出された賞球を貯めて、これを商品と交換するようなシステムとなっている。
【0003】
ところで、上記構成のパチンコ機等のような弾球遊技機では、遊技開始に先立って遊技球の球貸しを受けて球皿に投入し、遊技により貯めた賞球を数えて、その個数に応じて商品を獲得するというシステムであるため、常に遊技球を用いた遊技となるが、多数個の遊技球を必要とし、遊技球は鋼球からなり重いため、その扱いが面倒もしくは煩雑であるという問題がある。また、遊技中に遊技者が遊技球を落として遊技施設の床等に散乱しがちであるという問題がある。
【0004】
このようなことから、遊技領域内での遊技球の落下移動に応じて入賞口へ遊技球を入賞させる遊技形式を踏襲するものの、遊技者側において遊技球を扱う必要のない封入循環方式のパチンコ機が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この封入循環方式のパチンコ機では、遊技媒体たる遊技球が遊技機内に所定個数封入され、これが常に循環使用されるように構成されており、遊技者の持ち球数は数値データとしてクレジット数で管理され、遊技球が入賞した場合には、実際に遊技球の払い出しを受ける代わりに、その賞球数に応じた賞球クレジット数が付与され、このクレジット数に応じて発射機構から遊技球を発射し得るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−170055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような封入循環方式のパチンコ機では、封入された遊技球が何度も循環して使用されるため、遊技機内部で循環している間に遊技球に汚れが付着する。こうして遊技球に汚れが生じると、盤面上で球詰まりなどの不具合を引き起し易いという問題がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、遊技機内に封入された遊技球を常に清浄化された状態で循環使用できる構成の弾球遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的達成のために、本発明に係る弾球遊技機は、少なくとも一つの入賞口が設けられた遊技領域を有した遊技装置(例えば、実施形態における遊技盤20)及び遊技領域内に遊技球を発射する発射装置(例えば、実施形態における発射機構31)を備え、発射装置から発射された遊技球を遊技領域内で落下させながら移動させて入賞口に入賞させる遊技を行うように構成され、遊技領域内で落下移動して入賞口に入賞しなかった遊技球を流入させるアウト球口と、入賞口に入賞した遊技球及びアウト球口に流入した遊技球を回収して、当該回収した遊技球を発射装置に供給する循環装置(例えば、実施形態における遊技球循環装置100)とを備え、発射装置により遊技領域内に発射されて遊技に使用された遊技球を、循環装置により回収して発射装置に供給し、再び遊技領域内に発射する構成として、所定個数の遊技球を封入状態で循環使用する構成の弾球遊技機において、循環装置は、遊技領域内に発射された遊技球を回収して貯留する球貯留部と、球貯留部に貯留された遊技球を上方に揚送して発射装置の発射位置に供給する揚送機構(例えば、実施形態における球送り機構150)と、揚送機構により揚送されるときに遊技球に接触して当該遊技球を研磨する研磨手段(例えば、実施形態における研磨部材156と、揚送機構の作動を制御する揚送機構制御手段(例えば、実施形態における循環制御部B26)とを備えて構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る弾球遊技機によれば、遊技機内に封入された遊技球を常に清浄な状態に維持できるとともに、より多数個の遊技球を貯留して循環使用させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る弾球遊技機の一例として示すパチンコ機の正面図である。
【図2】上記パチンコ機の背面図である。
【図3】ガラス扉を開放した状態での上記パチンコ機における前枠の前面領域の正面図である。
【図4】上記パチンコ機に設けられた制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】上記制御装置による制御内容全般を示すフローチャートである。
【図6】上記制御装置によるカード情報管理処理を示すフローチャートである。
【図7】上記制御装置による球貸し処理を示すフローチャートである。
【図8】上記制御装置による発射検知処理を示すフローチャートである。
【図9】上記制御装置による入賞球検知処理を示すフローチャートである。
【図10】上記制御装置によるファール球検知処理を示すフローチャートである。
【図11】上記制御装置によるクレジット提示更新処理を示すフローチャートである。
【図12】上記制御装置による精算処理を示すフローチャートである。
【図13】第1実施形態の循環ユニットにおける遊技球循環装置の正断面図である。
【図14】第1実施形態の遊技球循環装置における球送り機構の分解斜視図である。
【図15】第1実施形態の遊技球循環装置における球送り機構の要部断面図である。
【図16】第2実施形態の循環ユニットにおける遊技球循環装置の斜視図である。
【図17】第2実施形態の遊技球循環装置における正断面図である。
【図18】第2実施形態の遊技球循環装置における球送り機構の側断面図である。
【図19】本実施形態におけるアウト口周辺の平断面図である。
【図20】本実施形態で例示される弾球遊技機の正面図であって、(a)はパチンコ機、(b)はアレンジボール機、(c)は雀球遊技機を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明に係る弾球遊技機を適用した封入循環方式のパチンコ機PMの正面図および背面図を図1及び図2に示すとともに、ガラス扉を開放した状態でのパチンコ機PMにおける前枠の前面領域
の正面図を図3に示しており、先ずこれらの図を参照してパチンコ機PMの全体構成について概要説明する。
【0012】
パチンコ機PMは、図1に示すように、外郭方形枠サイズに構成された縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載枠をなす前枠2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構3により横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側縁部に設けられたダブル錠と称される施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
【0013】
前枠2の前面側には、前枠2の前面域に合わせた方形状のガラス扉5が上下のヒンジ機構3を利用して横開き開閉および着脱可能に組み付けられ、施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉鎖状態に保持される。ガラス扉5の背後に位置する前枠2の前面側には、遊技盤20を着脱可能に収容する収容枠が設けられており、この収容枠の上部領域に遊技盤20が着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持されるガラス扉5を通して遊技盤20の正面の遊技領域PAを臨ませるようになっている。
【0014】
遊技盤20は、図3に示すように、所定板厚の積層合板の表面にセルを貼り付けてルータ加工した化粧板21を基板とし、その前面側に内外の案内レール22が円弧状に固設されて略円形の遊技領域PAが区画形成される。遊技領域PAには、多数本の遊技釘(図示せず)とともに風車23や各種の入賞具24,25,26、遊技の展開状況に応じた図柄を表示させる図柄表示装置28などの遊技構成部品が取り付けられている。また、遊技領域PAの下端部には、各入賞具に入賞せずに遊技領域PAを転動流下した遊技球を化粧盤21の裏面側に排出するアウト口27が設けられており、このアウト口27内にはアウト球を検出するための通過型センサからなるアウト球検知器27sが介装されている。
【0015】
一般入賞具(「一般入賞口」とも称する)24は、遊技球が落入可能な入賞口を有する固定入賞具であり、この入賞口に落入した遊技球は化粧板21の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた通過型センサからなる一般入賞球検知器24sを通過することによって入賞が検出される。
【0016】
始動入賞具(「始動入賞口」とも称する)25は、図柄の変動開始の条件を定める入賞具であり、この入賞口に落入した遊技球は化粧板21の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた始動入賞球検知器25sを通過することによって入賞が検出される。
【0017】
大入賞具(「大入賞口」とも称する)26は、いわゆるアタッカー型の可動入賞具であり、横長方形状の大入賞口を覆う開閉扉が開閉可能に取り付けられている。開閉扉は通常閉止されており、遊技中における所定の入賞条件の下で特別遊技状態が成立したときに、開閉扉の上部が前方にほぼ90度倒されて大入賞口が開放される。大入賞口に落入した遊技球は化粧板21の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた大入賞球検知器26sを通過することによって入賞が検出される。
【0018】
化粧板21の裏面側には、パチンコ機PMの作動を統括的に制御する主制御基板41を収容した主制御基板ユニット41Uや、図柄表示装置28の作動を制御する演出制御基板42を収容した演出制御基板ユニット42Uが取り付けられるとともに、各入賞具24,25,26に落入して化粧板21の裏面側に導かれたセーフ球、及びアウト口27を通って化粧板21の裏面側に導かれたアウト球(これらを纏めて「遊技済み球」と称する)を、化粧板21の裏面に沿って前枠2の背面側下部に設けられた遊技球循環装置100(200)へと導く球寄せカバー(図示せず)が取り付けられている。
【0019】
前枠2の前面下部には遊技盤20と上下に整合し得る遊技補助盤30と称される補助機
構部が設けられており、この遊技補助盤30の各部に、遊技盤20に設けられた案内レール22を介して遊技領域PAへ向けて遊技球を発射する発射機構31、この発射機構31から発射された遊技球を案内レール22へ導く発射レール部32、遊技領域PAに到達できずに案内レール22を戻ってくる遊技球(すなわちファール球)を回収するためのファール球戻り口33、前枠2裏面に配設された遊技球循環装置100(200)から遊技球を発射レール部32の球着座部に1球ずつ供給するための球送り開口35などが設けられている。ここで、発射ハンドル7、発射機構31、及び発射レール部32などから遊技球発射装置50が構成されている。一方、この遊技補助盤30の背後に位置して前枠2の裏面側には、ファール球戻り口33に落下したファール球を検出するファール球検知器36s、発射機構31により遊技領域PAへ打ち出されて遊技盤20の裏面側に排出された遊技済み球及び遊技領域PAへ到達できずにファール球戻り口33に落入したファール球を球貯留部(図示略)に集めて貯留し、この球貯留部に貯留された遊技球を再び発射機構31に供給する遊技球循環装置100(200)、この遊技球循環装置100(200)から発射レール部32の球着座部に送出される遊技球を検出する発射球検知器37sなどが取り付けられている。遊技球循環装置100(200)の詳細構成については後で詳述する。
【0020】
ガラス扉5は、図1に示すように、前枠2の前面に揺動開閉可能に取り付けられた窓枠6の背面側に、この窓枠6の窓口を閉止するようにしてガラスアッセンブリが取り付けられて構成されており、ガラス扉5の前面側下部には遊技球の発射操作を行うための発射ハンドル7が前方に突出して設けられ、その正面左側に位置して操作ユニット10が設けられている。この操作ユニット10には、遊技者の保有する持ち球数情報(遊技球の残高情報)を記録したカード(例えば、プリペイドカードなどの磁気カード)を投入するカード投入口11と、遊技者が必要とする要求球貸し数などの各種設定値を入力可能なテンキー12と、遊技者がパチンコ機正面側から押下操作可能な球貸しボタン13、スタートボタン14、及び精算ボタン15等の各種操作ボタンと、投入されたカードの残高を提示するカード残高提示部16a、遊技者の持ち球数(以下において「クレジット数」とも称する)を提示するクレジット提示部16b、及びその他のクレジットに関する情報を提示する予備クレジット提示部16cからなるクレジット提示装置16と、投入されたカードの読み取り・書き込み機能を有するカードリーダ・ライタ17などが取り付けられている。なお、ガラス扉5の前面側には発光ダイオード(LED)やランプ等の電飾装置や、遊技の展開状況に応じて効果音を発生させるスピーカー等が適宜設けられるが、図1においてはこれらの図示を省略している。
【0021】
窓枠2の裏面側には、図2に示すように、外枠1の内寸サイズよりも幾分小さめの矩形枠状に形成された裏セット盤40が着脱可能に取り付けられている。裏セット盤40は、遊技盤20の背後に位置する上部領域に、前後連通して開口する大型の窓口開口40aを有している。裏セット盤40の背面側には、パチンコ機PM各部に電力を供給する電源基板43(電源基板ユニット43U)、遊技球発射装置50及び遊技球循環装置100(200)による発射・球送制御(循環作動制御)を行うとともに遊技球のクレジット情報に関する制御等を行うクレジット制御基板44(クレジット制御基板ユニット44U)などが取り付けられている。また、裏セット盤40の窓口開口40a内に位置して遊技盤20の背面側には、前述したように、パチンコ機PMにおける制御の中枢を担う主制御基板41(主制御基板ユニット41U)、遊技展開に応じた画像表示、効果照明、効果音等の演出の制御を行う演出制御基板42(演出制御基板ユニット42U)などが取り付けられ、これらの制御基板とパチンコ機PM各部の電気・電子部品がコネクタケーブルで接続されてパチンコ機PMが作動可能に構成されている。
【0022】
以上のように構成されるパチンコ機PMは、外枠1が遊技施設の遊技島(設置枠台)に固定設置され、前枠2やガラス扉5等が閉鎖施錠された状態で遊技に供される。遊技者の
所有するカードが操作ユニット10のカード投入口11に投入されると、その記録情報が内部のカードリーダ・ライタ17により読み取られてクレジット表示装置16のカード残高提示部16aにカード残高が表示され、この残高(持ち球数)を限度として遊技者の要求する球貸し数が球貸しボタン13の押下操作回数に応じて設定される(テンキー12により設定してもよい)。球貸しボタン13が押下操作されると、要求球貸し数(クレジット数)が数値としてクレジット提示部16bに表示され、これに応じた個数の遊技球が遊技者に対して貸し出され、中央のスタートボタン14の押下操作をもって遊技球を発射し得る状態、すなわち遊技が開始可能な状態になる。発射ハンドル7が回動操作されると、遊技球循環装置100(200)に貯留された遊技球(機内に所定個数封入された遊技球)が1球ずつ遊技補助盤30の発射レール部32に送り出され、発射機構31により遊技領域PAに打ち出されて、以降パチンコゲームが展開される。
【0023】
このパチンコゲームでは、発射機構31により打ち出された遊技球は、入賞球、アウト球、ファール球のいずれかとして検出されたのち遊技球循環装置100(200)に回収・貯留され、発射機構31における打球位置(発射レール部32の球着座部)に再び供給されて発射され、以後循環使用されることになる。クレジット提示部16bにおいては、これに提示されるクレジット数が遊技の展開状況(遊技球の発射、入賞など)に応じて適時加減算されながら変動表示され、パチンコ機PMの正面側から遊技者がいつでも現在のクレジット数を視覚的に確認できるようになっている。このように遊技の展開状況に応じてクレジット数は加算又は減算されて変動されるが、クレジット数が「0」に至るまで、あるいは、遊技者によって操作パネル10上の精算ボタン15が押下操作されるまでは、遊技者は遊技を続行することが可能である。
【0024】
次に、このパチンコ機PMにおける制御装置の基本構成を、図4に示すブロック図を参照して説明する。制御装置は、主制御基板41、演出制御基板42、電源基板43、クレジット制御基板44等から構成されるコントロールユニットCUを有し、各種の作動制御を行うものである。以下においては、遊技球が遊技領域PA内に打ち出されたときにおける遊技球の入賞等に伴う払出制御関連を行う制御装置のシステム構成を説明するが、演出制御基板42による図柄表示装置28での演出表示制御、遊技領域PA内や、ガラス扉5の前面側に設けられた電飾装置による電飾制御、スピーカーによる遊技の展開状況に応じた効果音の発生制御、および、電源基板43によるパチンコ機PM各部への電力供給制御については、本願発明と関連しないため、それらの説明を省略する。
【0025】
図4に示す制御装置は、コントロールユニットCUに種々の装置を接続して構成される。具体的には、発射球検知手段B1(発射球検知器37s)、ファール球検知手段B2(ファール球検知器36s)、入賞検知手段B3(一般入賞球検知器24s、始動入賞球検知器25s、大入賞球検知器26s等)、アウト球検知手段B4(アウト球検知器27s)といった遊技球を検知する手段がコントロールユニットCUに接続されて、それらの検知信号を送出する。
【0026】
コントロールユニットCUには、さらに、カードリーダ・ライタ手段B11(カードリーダ・ライタ17)、カード残高提示手段B12(カード残高提示部16a)、操作手段B13(テンキー12、球貸しボタン13、スタートボタン14、精算ボタン15)、クレジット提示手段B14(クレジット提示部16b)、遊技球発射手段B15(遊技球発射装置50)、遊技球循環手段B16(遊技球循環装置100)が接続されている。
【0027】
コントロールユニットCUは、循環球管理部B21、カード情報管理部B22、入賞管理部B23、クレジット情報管理部B24、クレジット提示更新部B25、循環制御部B26を備えている。
【0028】
循環球管理部B21は、発射球検知手段B1、ファール球検知手段B2、入賞検知手段B3およびアウト球検知手段B4により検知される遊技球の移動検知に基づいて、球詰まりの有無等を監視し、遊技機の内部で遊技球がスムーズに循環しているか否かを監視する。
【0029】
カード情報管理部B22は、カードの投入の有無や、このカードに書き込まれている遊技データ(クレジット情報など)の管理や演算処理およびその提示、遊技終了時におけるカード処理等を行う。例えば、カードリーダ・ライタ手段B11によりカード投入口11にカードが投入されたか否かを監視し、カードが投入されたときには、カードリーダ・ライタ17により、このカードに記憶されているクレジット情報を読み取り、且つ、必要に応じてカードにクレジット情報等を書き込み、カードを排出する処理を行う。また、操作手段B13の操作内容等に応じて、球貸し数の設定、貸し出し、クレジットの精算処理等を行うとともに、これらの処理を受けた現在のカードの残高情報をカード残高提示手段B12に提示させる。
【0030】
入賞管理部B23は、入賞検知手段B3(一般入賞球検知器24s、始動入賞球検知器25s、大入賞球検知器26s等)から各入賞具24,25,26等への遊技球の入賞情報を受け、各入賞具24,25,26等に対応する賞球クレジットを付与する処理を行う。
【0031】
クレジット情報管理部B24は、発射球検知手段B1、ファール球検知手段B2、入賞検知手段B3により遊技球が検知されると、その検知毎に持ち球数(クレジット数)を演算部B24aにより演算させ、メモリB24bに演算部B24aによる演算結果を記憶させる。
【0032】
クレジット提示更新部B25は、発射球検知手段B1により遊技球の発射が検知されたときから所定時間が経過するまでは発射検知時にメモリB24bに記憶されているクレジット数(持ち球数)をクレジット提示手段B14に提示させ、前記所定時間が経過したときにはその時点でメモリB24bに記憶されているクレジット数(持ち球数)に変更してクレジット提示手段B14に提示させる。
【0033】
循環制御部B26は、遊技球発射手段B15により遊技球を遊技領域PA内に発射させるとともに、遊技球循環手段B16によりこの遊技領域PA内に発射されて遊技に使用された遊技球を回収して遊技球発射手段B15に供給して、再び遊技領域PA内に発射可能となるように循環させる。
【0034】
このような構成の制御装置による具体的な制御内容について、図5〜図12に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0035】
図5は、このパチンコ機PMのメインフローチャートである。制御装置は、パチンコ遊技機PMの稼働中、カード情報管理処理S10、球貸し処理S20、発射球検知処理S30、入賞球検知処理S40、ファール球検知処理S50、クレジット提示更新処理S60、精算処理S70等の処理を繰り返し実行する。
【0036】
まず、カード情報管理処理S10について、図6を参照して説明する。パチンコゲームに際しては、まずカードがカード投入口11へ投入されると、カードリーダ・ライタ17によりカードに記録された識別番号等が読み取られ(ステップS11)、制御装置により当該カードが有効か否かの判定処理が行われる(ステップS12)。この処理では、例えば当該カードが偽造品であるか否か、有効期限切れか否かなど、球貸しを受け得るカードであるか否かについての判定を行う。そして、球貸しを受け得るカードではないと判定し
た場合は、このカードをカード投入口11から排出する(ステップS13)。
【0037】
一方、球貸しを受け得るカードであると判定した場合、そのカードに記憶されているクレジット情報(カード残高)がカード残高提示部16aに提示されるとともに、遊技者は球貸しボタン13と精算ボタン15のいずれかを選択して押下することが可能となる。
【0038】
ここで、遊技者が精算ボタン15を押下することなく(ステップS14)、球貸しボタン13を押下操作した場合(ステップS15)、この球貸しボタン13の操作回数に応じて球貸し数が設定されるとともに(ステップS16)、カード残高提示部16aにはこの設定された球貸し数に対応する度数を差し引いたカード残高が提示される(ステップS17)。なお、球貸し数の設定方法については、上記の方法に限定されず、例えばテンキー12で所望の球貸し数を直接入力して設定できるようにしてもよい。
【0039】
一方、遊技者が精算ボタン15を押下操作した場合(ステップS14)、その時点での(後述する精算処理S70の処理結果を受けて)持ち球数等の遊技データをカードリーダ・ライタ17によりカードに書き込んだ後(ステップS18)、カードをカード投入口11から排出する(ステップS19)。
【0040】
次に、球貸し処理S20について、図7を参照して説明する。この処理は、ステップS16にて球貸し数の設定が行われると、これに同期して実行されるものである。本実施形態では、完全クレジット式のパチンコ機を想定しており、実際に遊技球の払い出し(球貸し)を受ける代わりに、これがクレジット数(持ち球数)に換算されて、当該パチンコ機PMにクレジットされるようになっている。例えば、遊技者に貸し出された球数が25個であれば、これがクレジット数「25」に換算される。
【0041】
このように球貸し数が設定された後に(ステップS21)、遊技者がスタートボタン14を押下操作した場合(ステップS22)、(制御装置にプログラムされた不図示の)持ち球数カウンタの値が当該クレジット数「25」だけ加算され(ステップS23)、このときの持ち球数カウンタの値はメモリB24bに記憶される(ステップS24)。また、これと同期又は追従して、クレジット提示処理が行われ、メモリB24bに記憶された情報、つまり新たにクレジットされたクレジット数「25」を反映した合計のクレジット数がクレジット提示部16bに提示される(ステップS25)。なお、遊技継続中に球貸しを受ける場合、スタートボタン14を操作することなく、球貸しボタン13のみを押下操作するだけで、この球貸しボタン13の操作回数に応じた球貸しが受けられる(クレジット数が加算される)ようにしてもよい。
【0042】
例えば、遊技開始前に球貸しを受ける場合、その時点での遊技者の持ち球数が「0」であれば、このときパチンコ機PMに新たにクレジットされたクレジット数「25」が、そのままクレジット提示部16bに「25」として提示される。これに対し、遊技継続中に球貸しを受ける場合、その時点での遊技者の持ち球数が「75」であれば、このときパチンコ機PMに新たにクレジットされたクレジット数「25」を加えた合計のクレジット数「100」が、クレジット提示部16bに提示される。
【0043】
なお、ステップS22において遊技者がスタートボタン14を押下操作した場合、遊技球循環装置100により発射機構31における打球位置に遊技球が供給され、パチンコゲームが開始可能な状態となる。この後、遊技者は、パチンコ機PMに設けられた発射ハンドル7を操作して、遊技球を遊技領域PA内に発射させることで、上記したようにクレジットされたクレジット数(持ち球数)の範囲内で遊技を行うことができる。
【0044】
一方、遊技者が球貸しボタン13の押下操作しなかった場合(ステップS21)、或い
は球貸しボタン13を押下操作したもののこれに続けてスタートボタン14を押下操作しなかった場合(ステップSS22)は、本処理S20を終了する。
【0045】
発射球検知処理S30について、図8を参照して説明する。この発射球検知処理S30では、発射機構31により遊技領域PA内へ発射された遊技球が、発射球検知器37sによって1個ずつ検知されると(ステップS31)、その検知毎に、持ち球数カウンタの値(すなわち、メモリB24bに記憶されている持ち球数(クレジット数))から当該発射球数に対応して「1」ずつ減算され(ステップS32)、「1」ずつ減算された後の持ち球数カウンタの値がメモリB24bに更新記憶される(ステップS33)。
【0046】
入賞球検知処理S40について、図9を参照して説明する。この処理では、遊技領域PAに発射された遊技球が、各入賞具24,25,26のいずれかに入賞すると、それらが各入賞球検知器24s,25s,26sにより検知される(ステップS41)。そして、検知された入賞具24,25,26の種類に対応する値(賞球数)が、持ち球数カウンタの値(すなわち、メモリB24bに記憶されている持ち球数(クレジット数))に当該賞球数に対応して加算され(ステップS42)、この賞球数が加算された後の持ち球数カウンタの値がメモリB24bに更新記憶される(ステップS43)。
【0047】
なお、上記の賞球数は、各入賞具24,25,26の種類に応じて設定されている。例えば、一般入賞具24に入賞した場合の賞球数は「15」であり、この賞球数がクレジットへ加算される。また、始動入賞具25に入賞した場合の賞球数は「3」であり、この賞球数がクレジットへ加算される。また、大入賞具26に入賞した場合の賞球数は「12」であり、この賞球数がクレジットへ加算される。
【0048】
このように発射機構31によって発射球が発射され、発射球検知器37sによって1個ずつ検知される毎に、当該パチンコ機PMにクレジットされているクレジット数から「1」ずつ減算されていく。また、発射球が入賞すると、その入賞具(例えば、一般入賞具24、始動入賞具25、大入賞具26など)の種類に対応する値(賞球数)がクレジット数に加算されていく。そして、所定の精算条件が成立するまで、例えば遊技者によって精算ボタン15が押下されるか、或いは、クレジット数が「0(ゼロ)」になるまで、遊技を行うことができる。
【0049】
なお、各入賞具24,25,26に入賞した遊技球、および、各入賞具24,25,26のいずれにも入賞することなく遊技領域PAを落下してアウト口27から排出された遊技球は、遊技盤20の裏面側に導かれた後、遊技球循環装置100へ導入され、再び発射機構31の打球位置に送られることで、再び遊技領域PAへ発射可能に循環されている。
【0050】
ファール球検知処理S50について、図10を参照して説明する。このファール球検知処理S50では、発射機構31により発射されたものの、遊技領域PAへ到達しないで戻って来た遊技球(ファール球)が、ファール球検知器36sによって1個ずつ検知されると(ステップS51)、その検知毎に、持ち球数カウンタの値(すなわち、メモリB24bに記憶されている持ち球数(クレジット数))に当該ファール球数に対応して「1」ずつ加算され(ステップS52)、「1」ずつ加算された後の持ち球数カウンタの値がメモリB24bに更新記憶される(ステップS53)。
【0051】
クレジット提示更新処理S60について、図11を参照して説明する。この処理では、発射球検知器37sにより遊技球の発射が検知された場合(ステップS61)、この検知されたときから予め定められた提示遅延時間が経過したか否かの判定処理を行う(ステップS62)。ここで、提示遅延時間が経過していないと判定された場合、この提示遅延時間が経過するまでは発射検知時にメモリB24bに記憶されている持ち球数(クレジット
)を、クレジット提示部16bに提示する(ステップS63)。一方、提示遅延時間が経過したと判定された場合(ステップS62)、提示遅延時間が経過したときにメモリB24bに記憶されている持ち球数(クレジット)に更新して提示する(ステップS64)。
【0052】
なお、上記の提示遅延時間として、遊技球が発射機構31によって遊技領域PA内へ発射されたときに、この遊技球が発射球検知器37sにより検知されてから、この発射球が遊技領域PAへ到達せずファール球となって戻った場合に、ファール球検知器36sによりこのファール球が検知されるまでの予想所要時間、例えば0.6秒〜1秒程度の範囲で設定することが好ましい。これにより、発射されたがファール球となる場合、提示遅延時間の間において、発射検知によるクレジット数の減少がファール球検知によるクレジットの増加と相殺されることとなり、提示されているクレジット数の増減はないものとして提示される。もし提示遅延時間が設定されていないと、発射球検知時にクレジット数が1個減少提示され、続いてファール球検知時にクレジットが1個増加するという提示となるため、提示クレジットが短時間の間に増減表示されて見難くなるのであるが、このような増減表示がなくなるため、遊技者は持ち球数の状況が理解し易くなり、遊技をより楽しむことができる。
【0053】
精算処理S70について、図12を参照して説明する。この処理では、遊技者が精算ボタン15を押下した場合(ステップS71)、精算条件が成立し、制御装置により、発射ハンドル7を操作しても発射機構31が作動しなくなり、発射機構31による遊技球の発射を停止させる(ステップS73)。なお、ゲームを続行する場合には、再度球貸しボタン13を操作すればよい。
【0054】
ここで、所定の精算条件が成立した後にファール球や入賞の検知の可能性があるため、この精算条件が成立してから所定時間(例えば、10秒間)経過した後に、その時点でメモリB24bに記憶されている持ち球数(クレジット数)の情報がカードリーダ・ライタ17に送信される(ステップS74)。そして、このクレジット情報を送信する処理が終了したとき、当該クレジット数はリセットされる。
【0055】
例えば、この段階で、貸し球数「25」+賞球数「30」−発射球数「11」なる演算によって、遊技者の所有する持ち球数(クレジット数)が「44」である場合、当該持ち球数(クレジット数)がカードリーダ・ライタ17に送信されることになる。また、上記のような待機処理によって、ファール球や入賞が検知された場合には、それに応じた値が持ち球数カウンタに加算されるので、かかる加算分を加えた持ち球数(クレジット数)情報が、カードリーダ・ライタ17に送信されることになる。
【0056】
また、(遊技者が精算ボタン15を押下操作したのではなく(ステップS71))遊技によって持ち球数(クレジット数)が「0」になった場合(ステップS72)も、精算条件が成立し、その後の処理は上記と同様の処理S73,S74となる。この場合も、ゲームを続行するためには、再度球貸しボタン13を操作すればよい。
【0057】
以上のように構成される封入循環方式のパチンコ機PMにおいては、実際に遊技球の球貸し及び払い出しを受ける代わりに、これが遊技者の持ち球数としてクレジット数に換算されてパチンコ機PMにクレジットされるようになっており、所定個数の遊技球のみがパチンコ機PM内に封入されて、遊技球が1球ずつ遊技球発射装置50により発射されるとともに、これが遊技球循環装置100によって回収されて遊技球発射装置100に再び供給される、すなわち、所定個数の遊技球が封入状態で循環使用されるようになっている。それでは、このようにパチンコ機PM内に封入された遊技球を循環させる循環ユニットの具体的な構成について、二つの実施形態を例示して説明する。先ずは、第1の実施形態に係る循環ユニットについて、図13〜図15を追加参照して以下に説明する。なお、これ
らの図中において、遊技球には符号「B」を付して適宜図示している。
【0058】
第1の実施形態の循環ユニットは、遊技球発射装置50及び遊技球循環装置100を主体として構成される。
【0059】
遊技球発射装置50は、その構成を大別すると、遊技球の発射操作を行う発射ハンドル7、遊技球を発射する発射機構31、発射機構31によって発射された遊技球を遊技盤20上の案内レール22に案内する発射レール部32、発射ハンドル7からの操作信号に基づいて発射機構31の作動等を制御するコントロールユニットCUの循環制御部B26(クレジット制御基板44の発射制御回路)などから構成される。
【0060】
発射ハンドル7は、図1に示すように、パチンコ機PMの機体から前方に突出するハンドルベース51と、このハンドルベース51の前方に回動可能に設けられた回動レバー52と、ハンドルベース51内に設けられ回動レバー52の回動操作量を検出するポテンショメータ等の角度検出器53と、遊技者が発射ハンドル7に接触しているか否かを検出するタッチ検出器54などを備えている。なお、角度検出器53及びタッチ検出器54の検出信号はコントロールユニットCUの循環制御部B26に入力されており、循環制御部B26はタッチ検出器54からの検出信号から遊技者が発射ハンドル7に触れているか否かを判定し、角度検出器53からの検出信号から回動レバー52の回動操作量を検知して、これらの検出信号に基づいて発射機構31の作動を制御する。
【0061】
発射機構31は、図3に示すように、遊技補助盤30に設けられ発射機構31の取り付けベースとなる平板状のベースプレート55と、このベースプレート55に取り付けられ遊技盤20の盤面とほぼ平行な面内で揺動可能なように設けられたハンマー56と、このハンマー56を上下に揺動させる駆動源としてのロータリソレノイド57とを備えている。ロータリソレノイド57の出力軸にはハンマー56が螺着されており、コントロールユニットCUの循環制御部B26からの指令に基づいてロータリソレノイド57が駆動することで、ハンマー56が待機位置(下方限界位置)と打球位置(上方限界位置)との間で揺動変位可能である。
【0062】
発射レール部32は、発射機構31のベースプレート55と対向して設けられた平板状のレールベース58と、このレールベース58に保持されて斜め上方に延びる発射レール59とを備えている。ここで、発射レール59は、パチンコ機PMの正面から見て右下方から左上方に向かって延出しており、その延長線上には遊技盤20上の案内レール22が配置されている。この発射レール59の上端部と案内レール22の下端部との間には、上方に開口する前述のファール球戻り口33が設けられており、この下端に繋がってファール球戻り口33に落入したファール球を遊技球循環装置100に流下させるファール球戻り通路34が後方に延びて前枠2の背面側で開放されている。
【0063】
一方、遊技球循環装置100は、図13に示すように、遊技盤20背面の球寄せカバーから導かれた遊技済み球を流下させる遊技済み球回収通路110と、遊技補助盤30のファール球戻り通路34から導かれたファール球を流下させるファール球回収通路120と、これら遊技済み球回収通路110及びファール球回収通路120を合流させる循環球合流通路130と、この循環球合流通路130の下端と一体に繋がり多数の遊技球を貯留可能な大きさに形成された球貯留部140と、球貯留部140からの遊技球を上方に揚送して1球ずつ発射レール59下端の球着座部(すなわち、発射機構31における打球位置)に供給する球送り機構150と、この球送り機構150の作動を制御するコントロールユニットCUの循環制御部B26(クレジット制御基板44の球送り制御回路)とを備えている。これら遊技済み球回収通路110、ファール球回収通路120、循環球合流通路130、球貯留部140、及び球送り機構150は、基体となるハウジング100Hに一体
的に形成され又は取り付けられて循環装置アッセンブリを構成し、この循環装置アッセンブリが前枠2の背面側に一体的に設けられている。
【0064】
遊技済み球回収通路110は、上方に開放された遊技済み球回収口111を有し、正面視においてこの遊技球済み球回収口111から左方向に緩く下り傾斜しており、遊技済み球回収口111に落入した遊技済み球が一列に並んでこの傾斜下流に流下し得るようになっている。
【0065】
ファール球回収通路120は、遊技補助盤30におけるファール球戻り通路34の終端(前枠2背面の開放口)に繋がって略上下方向に延びており、その流路途中にはファール球を検出するための前述のファール球検知器36sが介装されている。
【0066】
循環球合流通路130は、遊技済み球回収通路110とファール球回収通路120との合流地点から右斜め下方に延びており、遊技済み球回収通路110を流下してきた遊技済み球とファール球回収通路120を流下してきたファール球とを合流(集合)させて球貯留部140に導くようになっている。
【0067】
球貯留部140は、全体として上面開放で横長矩形の箱状をなし、その内部にパチンコ機PMに封入・循環される所定個数(例えば40個)の遊技球を貯留可能な大きさの循環球貯留室141を有している。球貯留部140は、その前後幅(図13における紙面直交方向の厚み)が遊技球の球径よりも幾分大きく形成され、循環球貯留室141に貯留された遊技球全数がほぼ同じ鉛直面内に位置するようになっている。また、循環球貯留室141の底面142は、その左端部及び右端部から中央側にいくにつれて低くなるように緩やかに下り傾斜しており、球送り機構150の直下位置でほぼ最低位置となる。
【0068】
球送り機構150は、球貯留部140に貯留される遊技球を上方に揚送する揚送機能とともに、この揚送した遊技球を発射機構31における打球位置に1球ずつ供給する球送り機能を有しており、その前面側が球貯留部140の後壁面と略面一状態に設けられた回転体ケース151と、外周側に遊技球を受容可能な球受け部162を有して回転体ケース151内に回動可能に設けられた回転体160と、この回転体160を時計回り方向及び反時計回り方向に回動させる駆動源としての回転体駆動モータ170とを備えて構成される。
【0069】
回転体ケース151は、前面ケース152及び後面ケース158が前後に重なり合って構成され、このケース内部に回転体160を収容して回転体160の前後面及び周面を囲んでいる。回転体ケース151は、この球送り機構150の取付ベースとなりハウジング100Hに固設された板状の回転盤ベース172にネジ止め固定されている。回転盤ベース172には、回転体160のボス161を挿通させるボス挿通孔174が形成され、その後方のモータ取付部に回転体駆動モータ170が取り付けられている。
【0070】
前面ケース152は、後面ケース158の前面開口を閉塞し得る大きさの円盤状に形成され、その前面には回転体160の回転軸の鉛直下方に位置して導入口153、回転軸の鉛直上方に位置して第1導出口154、回転軸の右斜め上方に位置して第2導出口155がそれぞれ表裏貫通して形成されている。この前面ケース152の背面部には、導入口153及び導出口154,155を除くほぼ全域に亘って研磨部材(一例として研磨布、研磨紙など)156が貼着されており、回転体160により遊技球が上方に揚送される過程で遊技球と接触して遊技球を磨く(遊技球に付着した汚れなどの付着物を除去する)役割を担っている。また、前面ケース152の第1導出口154は、前枠2を表裏貫通する球送り開口35に対向しており、これら第1導出口154と球送り開口35との間には、第1導出口154から球送り開口35へ向かって(後方から前方へ向かって)下り傾斜する
球送り連絡路157(図13を参照)が設けられている。
【0071】
後面ケース158は、回転体160の外径よりも幾分大きめの内径及び厚さの凹部を有して有底の円筒容器状に形成され、その中心部には回転体160のボス161を挿通させるボス挿通孔159が穿設されている。
【0072】
回転体160は、遊技球の球径よりも大きめの厚さを有して正面視円形の回転円盤形態をなし、その中心部には後方に突出して回転体駆動モータ170のスピンドルに連結されるボス161が形成され、外周部には外径方向に開放するU字溝状の球受け部162が回転体160の回転軸を中心として全周を10等分した36度の角度ピッチで10箇所形成されている。
【0073】
各球受け部162は、正面視における全体的な投影形状が遊技球の球径よりも幾分大きめの幅及び深さを有するU字溝状に形成され、このU字溝を形成する左右の溝壁面及び溝底面は後方から前方に向かって拡開する傾斜面としてそれぞれ形成されている。つまり、前面ケース152の導入口153で球受け部162に受容された遊技球は、この球受け部162が導入口153に対向しているときを除いて、U字溝内の左右の溝壁面及び溝底面のいずれかに当接保持され、U字溝の下り傾斜に従って前方に誘導されるようになっている。そのため、回転体ケース151の導入口153から回転体160の球受け部162に受容された遊技球は、この回転体160が時計回りもしくは反時計回りに回動して上方に揚送される過程で、U字溝の傾斜に従って自重によって前方に誘導され、常には前面カバー152の研磨部材156に当接して研磨されるようになっており、その回転方向に応じて第1導出口154及び第2導出口155のいずれかに到達したときに、その導出口から回転体ケース151の外部へ排出されることになる。
【0074】
回転体駆動モータ170は、例えば所定減速比の減速機構を内蔵したギヤモータであり、コントロールユニットCUの循環制御部B26からの駆動信号に基づいてスピンドル171を時計回りまたは反時計回りに所定角度θ(つまり、球受け部の角度ピッチに相当するθ=36度)だけ回動させる。スピンドル171の先端部は外周面の一部が平坦に面取りされて断面視D字状にDカットされており、このスピンドル先端部に同一の穴形状を有する回転体160のボス161を嵌入して連結させることで、回転体駆動モータ170の回転トルクを回転体160に伝達できるとともに、モータ側の基準角度位置と回転体160の球受け部162の角度位置とを整合させることができる。
【0075】
回転体駆動モータ170が駆動して回転体160が時計回り方向に回動すると、導入口153から球受け部162に進入した遊技球は、回転体160の時計回り方向への回動に伴って上方に揚送されて第1導出口154に到達したときに、この第1導出口154から外方へ排出されて球送り機構150の下流側、すなわち、前枠2を表裏貫通する球送り開口35を通して発射レール59の球着座部に供給される。ここで、球送り機構150の球送り作動、すなわち、回転体160を回動させる回転体駆動モータ170の駆動制御は、発射機構31のハンマー56を駆動するロータリソレノイド57の作動制御と同期制御されており、発射ハンドル7の回動操作に基づいて発射機構31から遊技球が発射されるごとに、回転体160を時計回りに間欠的に所定角度だけ(もしくは連続的に)回動させて、導入口153から遊技球を1球ずつ球受け部162に受容させるとともに、この球受け部162に受容した遊技球を1球ずつ第1導出口154から排出させて発射機構31における打球位置に送り出すようになっている。
【0076】
なお、前面ケース152における第1導出口153の近傍位置には、第1導出口153から排出される遊技球を1球ずつ発射レール59の球着座部に送り出す際に各遊技球を検出する発射球検知器(近接スイッチ)37sが設けられており、この近接スイッチの検出
領域内に遊技球が進入することで、当該遊技球を発射される直前に検出できるようになっている。なお、この発射球検知器37sは、発射機構31から実際に発射された遊技球を検出するものではないが、発射球検知器37sにより検出された遊技球は検出直後に発射レール59の球着座部に供給され発射機構31により発射されるので、実質的に遊技球の発射を検出するものと同視できる。
【0077】
一方、回転体駆動モータ170により回転体160が反時計回り方向に回動すると、導入口153から球受け部162に進入した遊技球は、回転体160の反時計回り方向への回動に伴って上方に揚送されて第2導出口155に到達したときに、この第2導出口155から外方へ排出されて球貯留部140に再び戻されるようになっている。このような回転体160の反時計回り方向への回動駆動は、詳細は後述するが、例えば遊技終了後の清掃・点検時などに遊技球の研磨のみを行う場合に有効であり、球貯留部140に貯留された遊技球を、導入口153及び第2導出口155を通して球貯留部140と球送り機構150との間でのみ循環させることで、発射レール59への球送りを行わずに遊技球の研磨のみを実行することができるようになっている。
【0078】
このように構成されるパチンコ機PMにおいては、以下のように、遊技球発射装置50から発射された遊技球が遊技球循環装置100によって回収され、遊技球循環装置100から再び遊技球発射装置50に供給されて循環使用されるようになっている。それでは、遊技球発射装置50及び遊技球循環装置100の作動について以下に簡潔に説明する。
【0079】
まず、遊技者が発射ハンドル7を操作していない非操作時においては、タッチ検出器54の出力信号は遊技者の接触が検出されていない非接触状態であり、循環制御部B26(クレジット制御基板44)は遊技者が遊技を行っていない待機状態であると判断し発射機構31の作動をオフする。つまり、循環制御部B26(クレジット制御基板44)からの指令によって発射機構31のロータリソレノイド57は励磁されていないため、ハンマー56は待機位置で停止している。
【0080】
一方、遊技者が発射ハンドル7を把持し回動操作すると、タッチ検出器54の出力信号は遊技者の接触が検出された接触状態となり、球貯留部140に貯留された遊技球が球送り機構150により1球ずつ発射レール59の下端部(ハンマー56における打球位置)に留置されるとともに、この球送り機構150と同期制御されるロータリソレノイド57が励磁されて上方へ揺動作動され、発射ハンドル7の回動操作量(角度検出器53の検出値)に応じた発射強度で遊技球が遊技領域PAに向けて打ち出される。
【0081】
こうして遊技領域PA内に発射された遊技球は、遊技領域PA内を転動流下し、その一部は一般入賞具24、始動入賞具25,大入賞具26等の入賞口に落入し、遊技盤20の裏面側に導かれて入賞球検知器24s,25s,26sにより入賞が検出される。また、各入賞具24,25,26に入賞することなくアウト口27に落入した遊技球は、このアウト口27内に設けられたアウト球検知器27sを通過するときにアウト球として検出された後、遊技盤20の裏面側に導かれる。これらセーフ球及びアウト球、すなわち遊技済み球は遊技盤20の裏面に沿って流下し、球寄せカバーによって遊技盤20の下側に集められる。遊技盤20の下側に落下した遊技済み球は、遊技球循環装置100の遊技済み球回収口111から遊技済み球回収通路110に流入する。
【0082】
一方、発射ハンドル7の回動操作量に応じて打ち出される遊技球の発射強度が弱い場合には、遊技領域PAに到達できずに案内レール22を戻ってくるファール球が生じるが、こうして落下してくるファール球は遊技補助盤30のファール球回収口33に落入し、これに繋がるファール球戻り通路34を後方に流下して前枠2の裏面側に導かれる。このファール球は、ファール球戻り通路34の終端に連結して上下方向に延びる遊技球循環装置
100のファール球回収通路120に流入し、この通路途中に設けられたファール球検知器36sを通過するときにファール球として検出される。
【0083】
そして、各回収通路110,120を流下する遊技済み球及びファール球は循環球合流通路130で合流されたのち下方の球貯留部140に導かれ、この球貯留部140内に回収されて一時的に貯留される。こうして発射機構31から順次打ち出された遊技球は異なる経路を辿りながらも遊技球循環装置100において球貯留部140に回収されることとなる。
【0084】
既述したように、球送り機構150の球送り作動(揚送作動)、すなわち、回転体160を回動させる回転体駆動モータ170の駆動制御は、発射機構31のハンマー56を駆動するロータリソレノイド57の作動制御と同期制御されており、発射ハンドル7の回動操作に基づいて発射機構31から遊技球が発射されるごとに、回転体160を時計回り方向に間欠的に所定角度θだけ(もしくは連続的に)回動するようになっている。
【0085】
ここで、球貯留部140に回収されて待機貯留されている遊技球は、この球貯留部140の底面(傾斜面)に沿って球送り機構150下端の導入口153に誘導されるようになっており、発射機構31と連動作動して回転体160が所定角度θだけ時計回り方向に回動すると、誘導されたうちの遊技球1球が前面ケース152の導入口153から回転体ケース151の内部に導入され、回転体160の球受け部162(導入口位置にある最下の球受け部162)に受容される。
【0086】
そして、発射機構31が作動される(遊技球が発射される)ごとに回転体160は所定角度θずつ時計回り方向に間欠的に回動していき、球受け部162に受容される遊技球は上方に揚送されていく。このとき、球受け部162に受容されている遊技球は、この球受け部162のU字溝の左壁面の傾斜に従って自重によって前面ケース152側に誘導され、前面ケース152背面に貼着された研磨部材156に摺接して適度に磨かれながら揚送され、遊技球の外表面に付着した汚れなどの付着物が除去される。
【0087】
一方、回転体160の回動に伴って第1導出口154に移動した最上の球受け部162では、この球受け部162に受容された遊技球がU字溝の溝底面の傾斜に従って自重によって前方に誘導されて第1導口154から排出され、これと繋がる球送り連絡路157を流下し、前枠2の球送り出し開口を通って発射レール59の球着座部(発射機構31における打球位置)に供給される。
【0088】
このように、発射機構31と連動作動する回転体160の回動作動に基づいて、球貯留部140に待機貯留される遊技球が1球ずつ導入口153から回転体160の球受け部162に受容されて上方に揚送され、この揚送される過程で遊技球は研磨部材156に摺接研磨され、第1導出口154に至ったところでケース外方へ排出されて発射機構31における打球位置に送出される。従って、発射機構31により発射された遊技球は、入賞球、アウト球、ファール球のいずれかとして検出されたのち球貯留部140に回収され、球送り機構150において研磨されながら上方に揚送され、再び発射機構31における打球位置に供給されて循環使用される。
【0089】
以上、第1実施形態に係る循環ユニットでは、球貯留部140に貯留された遊技球を球送り機構150によって上方に揚送する過程で研磨部材156に摺接させて研磨(遊技球に付着した汚れ等を除去)することができるため、循環使用される遊技球を常に清浄な状態に維持できるとともに、球貯留部140における遊技球の収容深さを球送り機構150における遊技球の揚程高さに応じた深さに設定できるため、球貯留部140の収容容量が大きくなり遊技球をより多数個封入して循環使用することが可能である。
【0090】
また、この循環ユニットでは、例えばパチンコ機PMの裏面側にメンテナンス操作用の操作スイッチ(図示せず)を設け、遊技終了後の清掃・点検などの際にこの操作スイッチが操作されることで、回転体160を反時計回り方向に回動させて、導入口153から回転体160の球受け部162に受容した遊技球を上方に揚送する過程で研磨部材156に接触させて研磨し、第2導出口155に至ったところでケース外方に排出して再び球貯留部140に戻すことができる。従って、このようにメンテナンス時には不必要な球送り作動及び発射作動を回避して効率的に球貯留部140に貯留された遊技球の研磨のみを行うことができる。
【0091】
次に、第2の実施形態に係る循環ユニットについて、図16〜図18を追加参照して以下に説明する。第2の実施形態の循環ユニットは、遊技球発射装置50及び遊技球循環装置200を主体として構成される。本実施形態の循環ユニットは、前述した第1実施形態の循環ユニットにおける遊技球循環装置の構成のみが異なり、他の構成は同様であるため同一部位に同一番号を付して重複説明を省略し、主として遊技球循環装置200の構成について説明する。なお、図17及び図18において、遊技球には符号「B」を付して適宜図示している。
【0092】
遊技球循環装置200は、遊技盤20背面の球寄せカバーから導かれた遊技済み球(入賞球及びアウト球)を流下させる遊技済み球回収通路210と、遊技補助盤30のファール球戻り通路34から導かれたファール球を流下させるファール球回収通路220と、これら遊技済み球回収通路210及びファール球回収通路220から流下してきた遊技済み球及びファール球を合流させて整列させる循環球待機通路230と、循環球待機通路230に整列された遊技球を1球ずつ発射レール59下端の球着座部(すなわち、発射機構に31おける打球位置)に供給する球送り機構250と、この球送り機構250の作動を制御するコントロールユニットCUの循環制御部B26の球送制御回路(クレジット制御基板の制御回路)とを備えている。これら遊技済み球回収通路210、ファール球回収通路220、循環球待機通路230、及び球送り機構250は、この遊技球循環装置200の基体となるハウジング200Hに一体的に設けられて循環装置アッセンブリを構成し、この循環装置アッセンブリが前枠2の背面側に取り付けられる。なお、ハウジング200Hは、左右方向(幅方向)に長尺に形成されたハウジング本体201と、このハウジング本体201に前後に対向した状態で取り付けられる長尺板状のハウジング蓋202とからなり、ハウジング本体200の2箇所の本体側係合部201aにハウジング蓋202の2箇所の蓋側係合部202aを夫々係合させてヒンジ部が構成され、このヒンジ部を中心にハウジング本体201に対してハウジング蓋202を回動させてハウジング200Hの内部を閉止及び開放可能である。循環装置アッセンンブリは、ハウジング本体201に突設されたネジボス201bに固定ネジ(図示せず)を内側から受容させ、前枠2の裏面に形成されたネジ穴(図示せず)に螺合させることで、前枠2に対して着脱自在に取り付けが可能なカセット式になっている。
【0093】
遊技済み球回収通路210は、上方に開放された遊技済み回収口211を有し、正面視においてこの遊技済み球回収口211から左方向に緩く下り傾斜しており、遊技済み球回収口211に落入した遊技済み球が一列に並んでこの傾斜下流に流下し得るようになっている。
【0094】
ファール球回収通路220は、遊技補助盤30に形成されたファール球戻り通路34の終端に繋がる平面視L字状に屈曲する第1ファール球通路221aと、この第1ファール球通路221aの後端から鉛直下方に延びる第2ファール球通路221bとからなり、第2ファール球通路221bの途中にはファール球の通過を検出するファール球検知器36sが介装されている。
【0095】
循環球待機通路230は、正面視において遊技済み球回収通路210とファール球回収通路220との合流地点から右方向に緩く下り傾斜しており、遊技済み球回収通路210を流下してきた遊技済み球とファール球回収通路220を流下してきたファール球とを合流(集合)させるとともに、この通路に沿って一列に整列させて下流の球送り機構250の導入口に導くようになっている。なお、これら循環球待機通路230及び遊技済み球回収通路210によって遊技球を貯留する球貯留部が構成され、循環球待機通路230及び遊技済み球回収通路210を合わせた通路長さは、例えば、パチンコ機PM内で循環する遊技球全数を貯留するのに必要十分な長さに設定されている。
【0096】
球送り機構250には、循環球待機通路230に整列された遊技球をこの整列順に従って1球ずつ受容して送り出す球送り弁251が揺動可能に設けられるとともに、この球送り弁252を揺動させる駆動源としてのソレノイド252が配設されている。球送り弁252は揺動ピン253により図18の紙面面内まわり揺動可能に支持されており、ソレノイド252に電流が供給されてこれが磁化されたときに、その吸引力によりリンク機構254を介して揺動ピン253を中心に図18における反時計回り方向に揺動するようになっている。球送り弁251が揺動すると、この球送り弁251により待機されていた(堰き止められていた)遊技球が球送り弁251の下流側、すなわち、前枠2を表裏貫通する球送り開口35を通して発射レール59の球着座部に供給される。この球送り機構250の球送り作動、すなわち球送り弁251を揺動させるソレノイド252のON/OFF制御は、発射機構31のハンマー56を駆動するロータリソレノイド57の作動と同期制御されており、発射ハンドル7の回動操作に基づいて発射機構31から遊技球が発射されるごとに、遊技球を1球ずつ受容して発射機構31における打球位置へ送り出すようになっている。
【0097】
また、球送り機構250には、循環球待機通路230にて待機する遊技球を1球ずつ発射レール59の球着座部に送り出す際に各遊技球を検出する発射球検知器(近接スイッチ)37sが設けられており、この近接スイッチの検出領域内に遊技球が進入することで、当該遊技球を発射される直前に検出できるようになっている。なお、この発射球検知器37sは、発射機構31から実際に発射された遊技球を検出するものではないが、発射球検知器37sにより検出された遊技球は検出直後に発射レール59の球着座部に供給され発射機構31により発射されるので、実質的に遊技球の発射を検出するものと同視できる。
【0098】
このように構成される循環ユニットにおいて、発射ハンドル7が回動操作されると、この発射ハンドル7の回動操作量(角度検出器53の検出値)に応じた発射強度で遊技球が遊技領域PAに向けて打ち出される。遊技領域PAに打ち出された遊技球は、遊技領域PA内を転動流下し、その一部は一般入賞具24、始動入賞具25、大入賞具26等の入賞口に落入し、遊技盤20の裏面側に導かれて入賞球検出器24s,25s,26sにより入賞が検出される。また、各入賞具24,25,26に入賞することなくアウト口27に落入した遊技球は、このアウト口27内に設けられたアウト球検出器27sを通過するときにアウト球として検出されて、遊技盤20の裏面側に導かれる。これらセーフ球及びアウト球、すなわち遊技済み球は遊技盤20の裏面に沿って流下し、球寄せカバーによって遊技盤20の下側に集められる。遊技盤20の下側に落下した遊技済み球は、遊技球循環装置200の遊技済み球回収口211から遊技済み球回収通路210に流入する。
【0099】
一方、発射ハンドル7の回動操作量に応じて打ち出される遊技球の発射強度が弱い場合には、遊技領域PAに到達できずに案内レール22を戻ってくるファール球が生じるが、こうして落下してくるファール球はファール球回収口33に落入し、これに繋がるファール球戻り通路34を流下して前枠2の裏面側に導かれる。このファール球は、ファール球戻り通路34の終端に繋がって上下に延びる遊技球循環装置200のファール球回収通路
220に流入し、この通路途中に設けられたファール球検知器36sを通過するときにファール球として検出される。
【0100】
そして、各回収通路210,220を流下する遊技済み球及びファール球は循環球待機通路230で合流し、この循環球待機通路230に沿って一列に整列される。すなわち、発射機構31から発射される遊技球全数が異なる経路を辿りながらも循環球待機通路230に回収され、その傾斜下流に位置する球送り機構250へと導かれる。
【0101】
既述したように、球送り機構250の球送り作動、すなわち球送り弁251を揺動させるソレノイド252のON/OFF制御は、発射機構31のハンマー56を駆動するロータリソレノイド57の作動と同期制御されており、発射ハンドル7の回動操作に基づいて発射機構31から遊技球が1球ずつ発射されるごとに、循環球待機通路230から遊技球を1球ずつ受容して発射機構31における打球位置へ送り出すようになっている。従って、発射機構31によって発射された遊技球は、入賞球、アウト球、ファール球のいずれかとして検出されたのち循環球待機通路230に整列状態で回収され、この整列順に従って球送り機構31から1球ずつ発射機構31における打球位置に供給され、再び発射機構31から打ち出されて循環使用される。
【0102】
以上、第2実施形態に係る循環ユニットでは、遊技球循環装置200が、前枠2背面の所定位置に対して着脱自在なカセット式の循環装置アッセンブリとして構成されるため、遊技球の交換・補給作業が容易になるとともに、新たな遊技球を満たした別のカセット(循環装置アッセンブリ)に交換することも可能である。また、循環装置アッセンブリにおける遊技球の循環通路に汚れが生じた場合でも、その清掃作業を島設備で行う必要がなく、前枠2から取り外してから清掃作業を行ったり、新品のカセットに交換することも可能である。さらに、循環装置アッセンブリを前枠2と別の構造体として容易に製造することができる。
【0103】
なお、上述の第2実施形態では、循環装置アッセンブリに球送り機構250が一体的に内蔵された形態を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、循環装置アッセンブリを遊技球の循環経路として遊技済み球回収通路210、ファール球回収通路220、及び循環球待機通路230のみを有して構成し、球送り機構250を前枠2の背面側に固定して、循環装置アッセンブリを前枠2背面側の所定位置に取り付けたときに循環球待機通路230と球送り機構250とが連結するようにしてもよい。
【0104】
ところで、循環ユニット(遊技球発射装置50及び遊技球循環装置100,200)による循環作動を実行せしめるために、コントロールユニットCUに構成される循環球管理部B21では、発射球数、入賞球数、アウト球数、ファール球数をカウントして、所定の条件(発射球数=入賞球数+アウト球数+ファール球数)が成立するか否かを判断し、これにより遊技球が正常に循環しているか否かを監視している。よって、遊技盤20の盤面上で球詰まりが生じた場合には、遊技球のカウント数(条件式の右辺のカウント数)に不足分が生じて上記条件が成立しないため、これをもって球詰まりの発生を判断することができる。
【0105】
このように遊技球の循環を監視するために、直接的にはクレジット数の増減には関係しないアウト球に対しても、アウト口27にアウト球検知器27sを設けて、その球数をカウントするようにしている。ここで、各入賞具24,25,26へ入賞せずに流下した遊技球がアウト口27の周辺に滞留して球詰まりを起こすのを防止するためにアウト口27の開口幅は大きめに設定されているが、アウト球検知器27sをアウト口27内に1箇所のみ配置した場合では、アウト口27の前面開口からアウト球検知器27sまでのアウト球通路を絞り込む必要があり、この絞り部において遊技球の通過が害されて球詰まりの原
因になってしまう。そのため、本実施形態ではアウト球検知器27sをアウト口27内で左右に2個設置することで上記不具合に対処しているが、こうしてアウト球検知器27sを並接したときには、これら検出器間(センサ間)の隙間などに遊技球が進入することもあり、却って球詰まりを誘発する原因にもなる。また、従来では、内レールに沿ってアウト口27へ転動流下してきた遊技球は、アウト口27付近で内レール下端に沿って左右に減衰運動をするので、アウト球としての処理が遅延する傾向にあった。そこで、アウト口27の前面側に、遊技盤20の下端に落下した遊技球(アウト球)を左右のアウト球検知器27sへ円滑に誘導するアウト球誘導部29(図3を参照)が設けられている。このアウト球誘導部29の具体的な構成について図19を追加参照して説明する。
【0106】
アウト球誘導部29は、図19に示すように、外部からの衝撃力を減殺可能な程度の弾性材料(例えば、ゴムや軟質合成樹脂等の弾性体)を用いて全体として略三角錐形状に形成されており、左右の内レール面22u,22uの間を繋いで凹状に成形されたアウト球導出面27aから上方に向けて突設されている。遊技盤20においてアウト球導出面27aから前後連通してアウト口開口27bが形成され、このアウト口開口27bにアウト球の通過を検出する通過型センサからなるアウト球検知器27s,27sが左右に配設されている。アウト球誘導部29には、前方から後方にいくにつれてアウト口開口27bの中央に向かって傾斜するとともに、下方から上方にいくにつれてアウト球導出面27aの中央に向かって傾斜した面形状を有する誘導傾斜面29k,29kが形成されている。そのため、アウト口開口27bの前端面はアウト球誘導部29によって左右に区切られて、この左右の各開口が遊技球1個が通過可能な大きさに整形されている。
【0107】
このような構成において、遊技領域PA内で内レールに沿って転動流下してきた遊技球は、ほぼ左右側方からアウト球誘導部29の誘導傾斜面29kに衝突して後方のアウト口開口27bへ向けて方向転換され、直近位置にあるアウト球検知器27sに速やかに誘導されるようになっている。一方、大入賞具26が閉鎖状態のときにこの大入賞具26の前面を通過して転動流下してきた遊技球(すなわち、アウト口27のほぼ真上から流下してきた遊技球)も、ほぼ上方からアウト球誘導部29の誘導傾斜面29kに衝突して後方のアウト口開口29bへ向けて方向転換され、直近位置にあるアウト球検知器27sに速やかに誘導されるようになっている。
【0108】
従って、各入賞具24,25,26に入賞せずに盤面下端まで落下した遊技球を効率よくアウト口27及びアウト球検知器27sに誘導してアウト球として速やかに検出できるため、アウト口27付近での球詰まりの発生を抑止して、循環ユニットによる循環作動をより確実に実行せしめることが可能である。
【0109】
以上、これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。
【0110】
上述の実施形態では、本発明をパチンコ機に適用した事例について説明したが、アレンジボール機や雀球遊技機などの他の弾球遊技機に適用することができ、同様の効果を得ることができる。
【0111】
ここで、図20を参照して、パチンコ機以外の弾球遊技機について簡単に説明する。図20は、弾球遊技機の一例として示す、(a)パチンコ機PM,(b)アレンジボール機AM,(c)雀球遊技機JM、各々の正面図であり、これら弾球遊技機PM,AM,JMとカードユニットCAとが別体の構成を例示している。このカードユニットCAは従来から周知の構成であり、ここではその説明を省略するが、このカードユニットCAとパチンコ機PMとの相互間のやりとりで、上記のようなクレジットに関する制御を行うように構
成されている。
【0112】
アレンジボール機AMは、遊技盤AM20の遊技領域の下部に、16箇所の入球口が左右一列に並設された入球装置を有し、この入球装置の各入球口に入賞図柄(1〜16の番号)が割り当てられて構成され、発射された遊技球が入球口のいずれかに入球したときに、この入球口に割り当てられた入賞図柄を表示して、入賞図柄が予め設定された所定の組み合わせとなると、それに応じた特点(賞球)が付与されるようになっている。
【0113】
雀球遊技機JMは、遊技盤JM20の遊技領域に、複数種類の麻雀牌の図柄に対応した複数の入球口が配設されて構成され、図柄表示部に表示される手牌の中から捨て牌を選択して遊技球の発射を行い、その発射された遊技球が入球した入球口に割り当てられた麻雀牌が追加され、このような捨て牌と球発射とを繰り返しつつ役のアガリを狙い、そのアガリ役に応じた利益(例えば、景品としてのメダル)が付与されるようになっている。
【0114】
以上例示したパチンコ機PM、アレンジボール機AM、雀球遊技機JMなどの弾球遊技機では、大別的に、外枠PM1,AM1,JM1、前枠PM2,AM2,JM2、ガラス扉PM5,AM5,JM5、遊技盤PM20,AM20,JM20、制御基板類(図示省略)などを主体として構成されているが、これらの弾球遊技機を封入循環方式の遊技機として構成することで、遊技島設備に設置される外枠PM1,AM1,JM1と、循環ユニットの主要機構となる発射機構、発射レール部、及び遊技球循環装置を搭載する前枠PM2,AM2,JM2とを、共通の骨組みとして相互に転用できるので、遊技機の種別に拘わらず外枠及び前枠を共通枠として採用し、ガラス扉、遊技盤、制御基板類のみを遊技機の種別に応じて仕様変更することが可能となる。
【0115】
なお、上述の第1実施形態では、遊技球循環装置100の球送り機構150が、球貯留部140に貯留される遊技球を上方に揚送する揚送機能とともに、この揚送した遊技球を発射機構31における打球位置に1球ずつ供給する球送り機能を有して構成されているが、これに限定されるものではなく、球送り機構150に揚送機能のみを持たし、この球送り機構150によって揚送された遊技球を、第2実施形態で例示する球送り機構250に受け渡し、この球送り機構250によって遊技球を発射機構31における打球位置に供給する構成、すなわち、遊技球循環装置100が、揚送機能を有する球送り機構(揚送機構)150と、球送り機能を有する球送り機構250とを備えて構成されるものでもよい。
【0116】
また、上記実施形態において、クレジットの提示は、操作ユニット10に設けられたクレジット提示装置16において行われているが、この構成に限定されるものではなく、例えば、遊技の展開状況に応じた図柄を表示させる図柄表示装置28において行うように構成してもよい。
【符号の説明】
【0117】
PM パチンコ機(遊技機)
PA 遊技領域
B26 循環制御部(揚送機構制御手段)
2 前枠
20 遊技盤
23 一般入賞具(入賞口)
24 始動入賞具(入賞口)
25 大入賞具(入賞口)
27 アウト口(アウト球口)
31 発射機構(発射装置)
50 遊技球発射装置(発射装置)
100 遊技球循環装置(循環装置)
140 球貯留部
150 球送り機構(揚送機構)
151 回転体ケース(回転盤収容部)
153 導入口
154 第1導出口(導出口)
155 第2導出口(球戻し口)
156 研磨部材(研磨手段)
160 回転体(回転盤)
162 球受け部(球誘導部)
170 回転体駆動モータ(駆動源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの入賞口が設けられた遊技領域を有した遊技装置及び前記遊技領域内に遊技球を発射する発射装置を備え、前記発射装置から発射された遊技球を前記遊技領域内で落下させながら移動させて前記入賞口に入賞させる遊技を行うように構成され、前記遊技領域内で落下移動して前記入賞口に入賞しなかった遊技球を流入させるアウト球口と、前記入賞口に入賞した遊技球及び前記アウト球口に流入した遊技球を回収して、当該回収した遊技球を前記発射装置に供給する循環装置とを備え、前記発射装置により前記遊技領域内に発射されて遊技に使用された遊技球を、前記循環装置により回収して前記発射装置に供給し、再び前記遊技領域内に発射する構成として、所定個数の遊技球を封入状態で循環使用する構成の弾球遊技機において、
前記循環装置は、
前記遊技領域内に発射された遊技球を回収して貯留する球貯留部と、
前記球貯留部に貯留された遊技球を上方に揚送して前記発射装置の発射位置に供給する揚送機構と、
前記揚送機構により揚送されるときに遊技球に接触して当該遊技球を研磨する研磨手段と、
前記揚送機構の作動を制御する揚送機構制御手段とを備えて構成されることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記揚送機構が、
前記球貯留部から遊技球を導入する導入口及び遊技球を前記発射位置に導出する導出口が形成された回転盤収容部と、
前記導入口から導入された遊技球を受容可能な球受け部を有して、前記回転盤収容部に回動可能に設けられた回転盤と、
前記回転盤を回動させる駆動源とを備え、
前記回転盤は、前記球受け部に受容された遊技球を、前記球受け部に対向するとともに前記回転盤収容部において前記導出口が形成された内側面部に誘導する球誘導部を備え、
前記内側面部には前記研磨手段としての研磨部材が設けられており、
前記揚送機構制御手段が前記回転盤を回動させて前記導入口から前記球受け部に受容された遊技球を上方に揚送する過程で、前記球受け部に受容された当該遊技球が、前記球誘導部によって前記回転盤収容部の前記内側面部に誘導されて前記研磨部材に摺接して研磨されるとともに、前記導出口と整合する位置に至ったときに前記球誘導部により案内されて前記導出口から前記発射位置に送出されることを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記回転盤が、時計回り方向及び反時計回り方向に回動可能に構成され、
前記回転盤収容部が、前記回転盤の回動により前記球受け部に受容されて移動された遊技球を前記回転盤収部の外方に導出する球戻し口を有し、
前記揚送機構制御手段が前記回転盤を回動させて前記導入口から前記球受け部に受容された遊技球を上方に揚送する過程で、前記回転盤を時計回り方向及び反時計回り方向のうちの一方の回転方向に回動させた場合には、前記球受け部に受容された当該遊技球は、前記球誘導部によって前記回転盤収容部の前記内側面部に誘導されて前記研磨部材に摺接して研磨されるとともに、前記導出口と整合する位置に至ったときに前記球誘導部により案内されて前記導出口から前記発射位置に送出され、前記回転盤を前記時計回り方向及び反時計回り方向のうちの他方の回転方向に回動させた場合には、前記球受け部に受容された当該遊技球は、前記球誘導部によって前記回転盤収容部の前記内側面部に誘導されて前記研磨部材に摺接して研磨されるとともに、前記球戻し口と整合する位置に至ったときに前記球誘導部により案内されて前記球戻し口から前記球貯留部内に戻されることを特徴とする請求項2に記載の弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−179143(P2012−179143A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43063(P2011−43063)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】