説明

弾球遊技機

【課題】比較的短時間で十分に遊技を堪能でき、いわゆるパンクもなく、従来の確変付きデジパチや一発台にない新たな魅力を付与する。
【解決手段】盤面中央下の第1始動口81への入賞に基づいて第1特別図柄抽選で初当たりを得、この後、時短状態(大当たり抽選の時間効率を高めて大当たりまでの時間を短縮できる状態)に突入させ、入賞が容易となる盤面右領域の第2始動口82への入賞に基づく第2特別図柄抽選により大当たりをリミッタ作動まで連続させ、この時短状態下での大当たりの連続中に、第1始動口81へ再入賞した場合、第2始動口への入賞による保留が切れない限り、第1始動口への再入賞を保留記憶し続け、リミッタ作動後にその当選を導出して大連荘が生じ得るようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大当たりの当否を決する二系統の特別図柄抽選機能を有し、先ず、第1始動入賞に基づいて第1特別図柄抽選で初当たりを得、この後、時短状態(大当たり抽選の時間効率を高めて大当たりまでの時間を短縮できる状態)に突入させ、この時短状態下で入賞が容易となる第2始動入賞に基づく第2特別図柄抽選により大当たりを連続させることにより、大量出玉を獲得することができるパチンコ遊技機等の弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非特許文献1中「パチンコで振り返る20世紀」という記事中、184〜187頁で紹介されているように、極めて入り難い特定入賞口に球一発を入賞させることにより、極めて有利な入賞ルートを開き、再び特定入賞口に入賞してその有利な入賞ルートが閉ざされる所謂パンクが生じない限り、無制限に、或は、遊技店側が営業的に設定した4千個や6千個等の打ち止め制限数に達するまで、比較的短時間のうちに一気に出玉を稼げる所謂一発台というタイプの遊技機が人気を博していた時代があった(1989年前後)。
【非特許文献1】「パチンコ必勝ガイド爆裂年鑑2001」白夜書房、平成13年2月9日発行
【0003】
この一発台は、特定入賞口への入賞の難易度とパンクの発生頻度とのバランスを適正に保ち難いと共に、出玉の予測がつき難く、ともすれば射幸性が過激となることから、市場から姿を消し、近年は、特許文献1等に記載されているように、始動入賞に基づく大当たり当選確率(特別図柄抽選での当選確率)を通常時は数百分の一、高確の確変遊技(確率変動遊技の略称)への突入時は数十分の一に高め、大当たりが短期間に連続する確変機能付きのセブン機やデジパチ機等と称する遊技機(以下、このタイプの遊技機を確変付きデジパチという)が主流となり、ほぼ市場を席巻するまでに至っている。大当たり一回の出玉は2千個前後、3〜4回ほど大当たりすると一発台と同程度の4〜6千個の出玉が得られる計算になる。
【特許文献1】特許第2619813号公報(特開平7−163714号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、確変付きデジパチで実際に一発台と同程度の最終出玉を獲得するためには、大当たり一回で獲得した出玉をできるだけ減らさずに出玉の上積みを図るべきことから、多くの場合、確変遊技に突入する確変大当たりを複数回引き当てる必要があり、通常時の大当たり当選確率は決して高くなく、初当たりまでに相当の長時間を要する上、確変大当たりを引き当てたとしても次の大当たりまである程度の時間を要し、総遊技時間が長期間にわたり、また、その終わる時間の予想もつかなくなる。
【0005】
このため、遊技者自身の都合や遊技店側の閉店時間にかかり、確変中の有利な台を途中放棄せざるを得ない状況が生じたり、運悪く遊技途中で大当たりをなかなか引くことができない所謂ハマリと呼ばれるスランプに陥ると、結局、最終出玉は大当たり一回分よりも少なくなったり、最悪ゼロとなったりすることがある。
【0006】
また、確変付きデジパチは、遊技機内部でされる電子的な抽選に当たるか当たらないかのみが最も重要な要素となり、弾球遊技機本来の醍醐味に欠ける難点もある。従って、従来の確変付きデジパチは、勤め帰り等に気軽に立ち寄って遊ぶには魅力に欠け、時間に余裕等のある遊技者は別として、一般大衆に広く面白味を提供できているとは言い難く、現に遊技離れも深刻な状況にある。
【0007】
本発明では、比較的短時間で弾球遊技機本来の醍醐味を遊技者に十分に堪能させることができ、それでいて、従来の一発台のような射幸性が過激になることも特定入賞口への再入賞でパンクする酷なこともなく、従来の確変付きデジパチや一発台にない新たな魅力をもった健全で且つ興趣に富む弾球遊技機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、図面に例示するように、遊技盤(2)に、入賞により第1特別図柄抽選を起動させる第1始動口(81)と、相対的に入賞困難な第1開放作動態様と相対的に入賞容易な第2開放作動態様とに作動変更可能とした可変入賞装置(80)から成り且つ内部への球の入賞により第2特別図柄抽選を起動させる第2始動口(82)と、前記第1特別図柄抽選及び前記第2特別図柄抽選での各判定結果を所定の図柄変動を経て導出させる第1及び第2特別図柄表示装置(SD1,SD2)と、前記第1特別図柄抽選又は前記第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技時に開放させる少なくとも一つの大入賞口(9)とを備える。
第2始動口(82)は、第1始動口(81)の右側となる遊技盤(2)の右領域に配置しているのが好ましく(請求項5)、大入賞口(9)は、遊技盤(2)の右領域における第2始動口(82)の下方に配置しているのが好ましい(請求項6)。
【0009】
また、前記第1特別図柄抽選及び前記第2特別図柄抽選の各抽選処理、並びに、前記可変入賞装置(80)を前記第2開放作動態様にて作動させることにより前記第2始動口(82)への入賞を容易にする時短状態か前記可変入賞装置(80)を前記第1開放作動態様にて作動させることにより前記第2始動口(82)への入賞を困難にする非時短状態かの決定処理を含む遊技制御を担う制御装置(CN)を備える。この制御装置(CN)は、時短状態か非時短状態かの決定処理をする時短機能のみならず、前記第1特別図柄抽選及び前記第2特別図柄抽選の各抽選での当選確率を相対的に低値とした低確遊技か相対的に高値とした高確遊技かの決定処理をする確変機能をさらに有するものでもよい(請求項1,3)。
【0010】
そして、前記制御装置(CN)は、次の各手段を有する。
イ)前記非時短状態下における前記第1特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後に、前記時短状態に突入させる時短突入手段(T1)。確変機能をさらに有する請求項1,3では、前記第1又は第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後に、前記高確遊技に突入させる高確突入手段(T0)をも含む。
【0011】
ロ)確変機能を有する請求項1,3では、前記高確遊技下における前記第1又は第2特別図柄抽選での当選が最大限連続する上限回数を規制し、この上限回数に達する前記第1又は第2特別図柄抽選での当選があると、前記低確遊技で且つ前記非時短状態に復帰作動させるリミッタ手段(LM1)。確変機能を要件としない請求項2,4では、これに代え、前記時短状態下における前記第1又は第2特別図柄抽選での当選が最大限連続する上限回数を規制し、この上限回数に達する前記第1又は第2特別図柄抽選での当選があると、前記非時短状態に復帰作動させるリミッタ手段(LM2)。
【0012】
ハ)前記リミッタ手段(LM1又はLM2)が作動することとならない条件下で且つ前記時短状態下における前記第1又は第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後に、前記時短状態を維持させる時短維持手段(T2)。
【0013】
ニ)前記非時短状態下における前記第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後には前記時短状態に突入させない時短非突入手段(TN)。確変機能の有無にかかわらず、この時短非突入手段(TN)に代え、前記非時短状態下における前記第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後、所定の振分け率に従い、前記時短状態又は前記非時短状態何れかに振り分ける時短振分手段(TY)を設けてもよい(請求項3,4)。
【0014】
ホ)前記第1特別図柄抽選の起動時に取得する第1特別図柄抽選データを所定上限内で記憶し、該第1特別図柄抽選データの判定を実行する毎に記憶領域に空を設ける第1保留手段(A)。
ヘ)前記第2特別図柄抽選の起動時に取得する第2特別図柄抽選データを所定上限内で記憶し、該第2特別図柄抽選データの判定を実行する毎に記憶領域に空を設ける第2保留手段(B)。
【0015】
ト)前記第2保留手段(B)に前記第2特別図柄抽選データの記憶がある場合、前記第1保留手段(A)に前記第1特別図柄抽選データの記憶があっても、前記第2特別図柄抽選データの判定結果を導出させ、前記第2保留手段(B)に前記第2特別図柄抽選データの記憶がなく且つ前記第1保留手段(A)に前記第1特別図柄抽選データの記憶がある場合、前記第1特別図柄抽選データの判定結果を導出させる第2特別図柄抽選優先導出手段(Z)。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、遊技開始時、先ず、第1始動口に入賞することを期待して遊技をする。遊技開始時は、前の遊技者が第2始動口への入賞が容易な時短状態の途中で台を明け渡すとは考え難く、ほとんどの場合、非時短状態にある。
【0017】
第1始動口に入賞させることができると、第1特別図柄抽選が起動され、その抽選での判定結果が所定の図柄変動を経て表示装置に導出される。当選が導出されると、大入賞口が開放される大当たり遊技となり、初当たりによる出玉を獲得することができると共に、時短突入手段により時短状態に突入し、さらに確変機能を有するものでは高確突入手段により高確遊技にも突入する。
【0018】
時短状態中は、第2始動口への入賞が容易となり、第2始動口への入賞に基づいて第2特別図柄抽選を起動することになる。もちろん、第1始動口への入賞があってもよく、この場合、第1特別図柄抽選の起動時に取得した第1特別図柄抽選データは所定上限内で第1保留手段に記憶され、時短状態が解除される等の従来の一発台のパンクに相当する酷な状況には陥らない。第2始動口への入賞が容易なため、第2保留手段での第2特別図柄抽選データの記憶が切れない状況とするのも容易であり、この第2特別図柄抽選データの記憶が切れることがない限り、第2特別図柄抽選優先導出手段により第2特別図柄抽選データの判定結果が優先的に導出される。第2特別図柄抽選での当選が導出されると、大入賞口が開放されて出玉を獲得することができると共に、時短維持手段により時短状態が維持される。
【0019】
この時短状態中の有利な状況は、リミッタ手段により低確遊技及び非時短状態、或は非時短状態に復帰作動する上限回数に達するまで繰り返し、連続的な大当たり遊技により、まとまった出玉を獲得することができる。また、この時短状態中、第2始動口への入賞は容易で、第2保留手段での第2特別図柄抽選データの記憶が切れないようにするのも容易なため、各大当たり遊技後に、その記憶に基づいてすぐに第2特別図柄抽選データの判定結果を導出させることができ、次の大当たりまでの時間効率も向上できる。
【0020】
リミッタ手段が作動すると、低確遊技及び非時短状態に復帰するか、或は非時短状態に復帰する。このとき、第2保留手段での第2特別図柄抽選データの記憶が残っている場合(多くの場合そうである)、非時短状態下で、その記憶に基づく第2特別図柄抽選データの判定結果が導出される。そして、第2特別図柄抽選での当選が導出されると大当たり遊技はされるが、時短非突入手段を設けるものでは(請求項1,2)、大当たり遊技後、時短状態には突入しない。
【0021】
一方、時短振分手段を設けるものでは(請求項3,4)、所定の振分け率に従い、大当たり遊技後に、時短状態に突入することもあれば、突入せずに非時短状態のままとなることもある。ここで時短状態に突入すると、再び、第2始動口への入賞が容易となって第2特別図柄抽選による大当たり遊技をリミッタ手段の作動まで連続させ得る有利な状況に移行し、再度まとまった出玉を得ることができる。このような所謂保留内連荘が生じる場合は、一層の大量出玉の獲得が見込めるが、時短状態に突入する方の振分け率を、例えば、50%を下回る低い値、好ましくは数%〜20%、最も好ましくは5%前後〜10%とすることにより、射幸性を適正に保つことができる。
【0022】
いずれにしても、非時短状態下における第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後、時短状態に突入しないか(請求項1,2)、必ずしも突入しないため(請求項3,4)、大当たりの無制限な連荘は未然に回避され、射幸性を適正に保てる。
【0023】
リミッタ手段が作動すると、非時短状態となる。残っている第2保留手段での第2特別図柄抽選データの判定結果の導出及び第2特別図柄抽選での当選導出後の大当たり遊技がすべて終わった後も、非時短状態である。このとき即ち第2保留手段での第2特別図柄抽選データの記憶が無いか又は尽きたとき、第1保留手段での第1特別図柄抽選データの記憶がある場合、この記憶に基づく第1特別図柄抽選データの判定結果が導出される。そして、この非時短状態下で第1特別図柄抽選での当選が導出されると、初当たり時と同様に、大当たり遊技後に時短状態に突入し、第2特別図柄抽選による連続した大当たり遊技により再びまとまった出玉を獲得することができる。
【0024】
この第1保留手段の記憶に基づく連荘は、時短状態で第2特別図柄抽選による大当たり遊技を連続させ得る有利な状況下で、第1始動口に入賞があり、且つ、第2保留手段での第2特別図柄抽選データの記憶を切らさなかった場合に可能となる。途中で第2特別図柄抽選データの記憶を切らしてしまうと、従来の一発台のようなパンクはないが、その時点で、第1保留手段での第1特別図柄抽選データの記憶に基づく判定結果が導出され、当選しても大当たり遊技一回分の出玉に止まると共に単なるリミッタ手段のカウントダウンに消費され、損をしたような気分になるからである。
従って、時短状態中の第1始動口への入賞は、歓迎すべきことであるのと同時に、これを最大限生かすため、第2保留手段での第2特別図柄抽選データの記憶を切らさないことも重要となり、このことが新たな興趣を創出し、球の行方を如何にすべきかの腕の発揮どころとなる。まさに球の挙動が最も重要な要素となり、その挙動に一喜一憂する弾球遊技機本来の醍醐味が増すことになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る弾球遊技機の正面図。
【図2】遊技盤の正面図。
【図3】第1球振分機構の斜視図。
【図4】第1球振分ステージの斜視図。
【図5】第1球振分ステージの平面図。
【図6】第1球振分ステージ上の単独球の挙動説明図。
【図7】第1球振分ステージ上の有利側通路への流入例1の説明図。
【図8】第1球振分ステージ上の有利側通路への流入例2の説明図。
【図9】第1球振分ステージ上の有利側通路への流入例3の説明図。
【図10】第2球振分機構の斜視図。
【図11】第2球振分ステージの平面図。
【図12】制御装置のブロック図。
【図13】実施例1の時短性能一覧表。
【図14】実施例1の遊技タイムチャート(その1)。
【図15】実施例1の遊技タイムチャート(その2)。
【図16】実施例2の時短性能一覧表。
【図17】実施例2の遊技タイムチャート。
【図18】制御装置の別例のブロック図。
【図19】実施例3の時短性能一覧表。
【図20】実施例3の遊技タイムチャート。
【図21】実施例4の時短性能一覧表。
【図22】実施例4の遊技タイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は本発明を適用するパチンコ遊技機1を示し、遊技枠10に本体11を開扉可能に支持している。本体11の前面上部には、丸窓12にガラス13を嵌めたフロント扉14を有し、その内方に遊技盤2を備える。フロント扉14の下には、貸球及び賞球を受ける上皿31、内方で溢れた球を受ける下皿32、遊技盤2に1分間について100個に近い数の球を連続的に打ち出し、回転操作角度により球の打ち出し強さを調整できる発射ハンドル4、効果音等を出音する左右スピーカ51,52を備える。40は、発射ハンドル4の回転操作中に球の打ち出しを一時休止するための発射停止ボタンである。フロント扉14の前面上部から右サイドにかけて、装飾や各種状態表示に用いるフロントランプ61〜65を備える。
【0027】
図2に示すように、遊技盤2には、次の1)〜9)の遊技部品を備える。
1)第1球振分機構7A
該第1球振分機構7Aは、遊技盤2のほぼ中心線上の上部に配置し、その下部に配置する次記第2球振分機構7B及び後記球流下制御機構7Cと共に球振分機構7を構成する。第1球振分機構7Aは広義には役物と称される遊技部品でもある(第2球振分機構7Bも同様)。クラゲの装飾をあしらった丸みを帯びた球ハウジング701の左右に、遊技盤2から球を受け入れる左球入口70L及び右球入口70Rを備え、内部には、詳しくは後述する第1球振分ステージ702を設け、受け入れた球を第2球振分機構7Bに球を受継ぎ得る中球出口703C、第2球振分機構7Bへの球の受継ぎは絶望的な左球出口703L及び右球出口703Rの何れから放出させる。
【0028】
2)第2球振分機構7B
該第2球振分機構7Bは、海底をイメージした装飾をあしらった球ハウジング705の上部に、第1球振分機構7Aの中球出口703Cから放出された球を、次記球流下制御機構7Cによる再振り分けを経て入球させる上球入口70Cを備え、内部には、所謂クルーンと称する遊技部品を用いた後述の第2球振分ステージ706を設け、上球入口70Cから受け入れた球を第1始動口81へ100%に近い高率でほぼ入賞させる中央下方の特定球出口70V、第1始動口81への入賞は絶望的な右下方の外れ球出口70Fの何れから放出させる。
【0029】
3)球流下制御機構7C
該球流下制御機構7Cは、多数の遊技釘NL1・・・と風車Fとを用いて構成しており、その遊技釘NL1・・・で取り囲む遊技盤2上の特定の領域の内部に受け入れた球を真下かこれ以外かに振り分け、真下への振り分けを制限することにより第1球振分機構7Aから第2球振分機構7Bへの球の受け継ぎを制限する中間のあるいは第3の球振分機構として機能する。
【0030】
第1球振分機構7Aの中球出口703Cの直下に直径11mmの球Pに対して軸間距離を約13mmとした左第1命釘NL1及び右第1命釘NR1を配置し、これを頂部として左右に裾を広げるやや上に丸みを帯びたハの字形の組合せ命釘NL10,NR10と、該組合せ命釘NL10,NR10で屋根をしたかのようにその下に回転軸fを配置し且つ三つの羽根f1,f2,f3をもつ風車Fと、該風車Fの回転軸fに対して斜め下に変位させて配置する左第2命釘NL2及び右第2命釘NR2と、前記風車Fの真下に配置する軸間距離を約13mmとした左第3命釘NL3及び右第3命釘NR3に連なる二連命釘NL30,NR30とから成る。
【0031】
中球出口703Cから放出された球Pは、余程イレギュラーな放出でない限り、ほぼ第1命釘NL1,NR1の間から風車Fに到達し、その進入角度や羽根f1,f2,f3の初期位置等の影響を受け、風車Fの回転により左右何れかの下方に誘導される。風車Fと絡んで下方に誘導された球Pは、第2命釘NL2又はNR2と衝突して内側に転動方向を変え、第3命釘NL3,NR3の間から第2球振分機構7Bの上球入口70Cに進入することもあれば、第2命釘NL2又はNR2と衝突せずに風車Fの素早い回転等によって直接的に第3命釘NL3,NR3の間から上球入口70Cに進入することもある。
【0032】
ただし、半分以上の最も多くの場合は、風車Fと絡んだ球Pは、第2命釘NL2,NR2及び又は第3命釘NL3,NR3と衝突はするも、或は、これらの衝突もなしに、第2命釘NL2,NR2の上下に比較的大きく口を開いた空間から球Pが左右にこぼれ落ちて真下へは向かわず、上球入口70Cには進入しない。尚、中球出口703Cから放出された球P以外に、遊技盤2から直接風車Fを経て上球入口70Cに進入する球は万に一つあるかないか程度の極めて稀なケースであり、ほぼ絶望的である。
【0033】
尚、球振分機構7は、単一の球ハウジングの内部、あるいは遊技盤2上の区画された特定の領域の内部において、第1始動口への入賞を限定する物理的に一つのもので構成してもよい。構成部品としても、クルーン、風車、遊技釘等の他、一つ又は複数の球入口から取り込む球を複数の球出口の一つに受け渡す回転体や、可動羽根により球ハウジング内に取り込む球を複数の球出口に振分ける所謂ハネモノと称する遊技部品等を単独又は組み合わせて用いてもよい。
【0034】
4)第1始動口81
該第1始動口81は、第2球振分機構7Bの特定球出口70Vの直下に配置し、該特定球出口70Vから放出された球のみを入賞させる。この第1始動口81への入賞(以下、第1始動入賞という)一個につき、所定数例えば10個の賞球を払出すと共に、例えば最大4個の保留記憶数を超えない所定上限内で第1特別図柄抽選を起動し、例えば0〜65535とした所定範囲内で高速更新する大当たり抽選用乱数庫から一つの乱数を取得して、この取得した乱数を第1特別図柄抽選データとし、該データを後記主制御部MCのRAM上に定義する第1保留手段Aに取得順に記憶する。
【0035】
5)ゲートGT
該ゲートGTは、球一個ずつの通り抜けを許すものであって、遊技盤2の略中心線を挟んで遊技者側から見て右領域の上方に配置している。該ゲートGTへの球通過により、例えば最大4個の保留記憶数を超えない所定上限内で普通図柄抽選を起動し、例えば1〜65520又は0〜65521の所定範囲内で高速更新する普通図柄抽選用乱数庫から一つの乱数を取得して、この取得した乱数を普通図柄抽選データとし、該データを主制御部MCのRAM上に定義する普図保留手段Hに取得順に格納する。普通図柄抽選での当選時、次記第2始動口82を所定態様で開作動させることになる。
【0036】
6)第2始動口82
該第2始動口82は、普通図柄抽選での当選時に開作動させる可変入賞装置80から成り、遊技盤2の右領域におけるゲートGTの下方に配置している。その開作動時には、常時は直立姿勢の閉状態にある幅広の可動板800を下端を軸に前に倒して斜め上に口を開いた状態とし、遊技盤2の主に右領域に流下する球の入賞を許す。この第2始動口82への入賞(以下、第2始動入賞という)一個につき、所定数例えば6個の賞球を払出すと共に、例えば最大4個の保留記憶数を超えない所定上限内で第2特別図柄抽選を起動し、例えば0〜65535とした所定範囲内で高速更新する前記大当たり抽選用乱数庫から一つの乱数を取得して、この取得した乱数を第2特別図柄抽選データとし、該データを主制御部MCのRAM上に定義する第2保留手段Bに取得順に記憶する。
【0037】
7)大入賞口9
該大入賞口9は、第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技時に所定態様で開作動させる可変入賞装置90から成り、遊技盤2の右領域における第2始動口82の下方に配置している。その開作動時には、常時は直立姿勢の閉状態にある幅広の可動板900を下端を軸に前に倒して斜め上に口を開いた状態とする。これにより大入賞口9を開放して、遊技盤2の主に右領域に流下する球の入賞を許す。構造的には、第2始動口82と同様である。その入賞一個につき、所定数例えば6個の賞球を払出す。
【0038】
大当たり遊技時、大入賞口9を1ラウンドについて最大30秒間程度の長時間にわたり開放させ得るものとするが、その間に大入賞口9に最初に飛び込んだ1球のみ(1カウント)により大入賞口9を閉じ、0.5秒〜2秒程度の所定インターバルを経て再び大入賞口9を開放し、所定ラウンド数例えば2ラウンドについて繰り返す。大当たり遊技一回あたり大入賞口9への入賞により獲得できる賞球は、1カウント×6賞球×2ラウンド=12賞球と少な目にしている。
【0039】
尚、第1特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技時に開放させる大入賞口と、第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技時に開放させる大入賞口とは、共通の一つの大入賞口9で構成したが、別々の大入賞口つまり全部で二つの大入賞口で構成してもよい。又、第1特別図柄抽選と第2特別図柄抽選とは各始動入賞時に個別に起動するが、大当たり抽選用乱数を生成する0〜65535の更新範囲をもつ乱数庫(乱数カウンタ)は共用しており、同じ乱数庫から乱数を取得している。ただし、乱数庫は独立に設けてもよい。
【0040】
8)表示器ボード23
該表示器ボード23には、第1特別図柄抽選の判定結果を第1特別図柄による所定の変動時間(例えば1秒間あるいは0.5秒間)にわたるランダムな表示変動を経て導出させる7セグメントLEDから成る第1特別図柄表示装置SD1と、該表示装置SD1での表示変動待ちのため保留される第1保留手段Aの保留記憶数を点灯により表示させる4つの第1特別図柄用保留球表示器a1,a2,a3,a4とを備える。また、第2特別図柄抽選の判定結果を第2特別図柄による所定の変動時間(例えば1秒間あるいは0.5秒間)にわたるランダムな表示変動を経て導出させる7セグメントLEDから成る第2特別図柄表示装置SD2と、該表示装置SD2での表示変動待ちのため保留される第2保留手段Bの保留記憶数を点灯により表示させる4つの第2特別図柄用保留球表示器b1,b2,b3,b4とを備える。
【0041】
第1特別図柄表示装置SD1と第2特別図柄表示装置SD2とは同時に変動することも、時間的に重複して変動することもない仕様にしている。また、後述の第2特別図柄抽選優先導出手段Zにより、第2特別図柄用保留球表示器b1,b2,b3,b4が一つでも点灯し、第2保留手段Bの保留記憶が一つでもある限り、第1保留手段Aの保留記憶があっても、第2特別図柄表示装置SD2での第2特別図柄の変動が優先的に起動されてその判定結果が導出され、第2保留手段Bでの保留記憶がないか又はなくなった後に、第1保留手段Aでの保留記憶がある場合、これに基づいて第1特別図柄表示装置SD1での第1特別図柄の変動が起動されてその判定結果が導出される。
【0042】
尚、第1特別図柄表示装置SD1と第2特別図柄表示装置SD2とは、一つの表示器に兼用させて設け、例えば表示色(セグメント点灯色)の変更により、何れの図柄の変動であるか識別できるようにしてもよい。又、第1特別図柄表示装置SD1及び第2特別図柄表示装置SD2に加えて、或は、これらに代えて、液晶表示画面等において背景の動画展開と共に第1又は第2特別図柄の変動と同期し且つ整合した演出用の図柄を変動させる演出表示装置を設けてもよい。
【0043】
さらに、表示器ボード23には、ゲートGTへの球通過に基づく普通図柄抽選の当否結果を緑ランプGLと赤ランプRLとの所定の変動時間(例えば0.4秒間)にわたる交互点灯による表示変動を経て導出し、当選時は緑ランプGLの点灯で、外れ時は赤ランプRLの点灯で各停止させる普通図柄表示装置NDと、該表示装置NDでの表示変動待ちのため保留される普図保留手段Hの保留記憶数を点灯により表示させる4つの普通図柄用保留球表示器h1,h2,h3,h4とを備える。
【0044】
9)その他
略円形の遊技領域200を区画し且つ発射ハンドル4により打出す球を導くレール20、球戻り防止片21、球止め22、入賞1個につき所定数例えば10個の賞球を払出す一般入賞口25、上方2つの風車26,27、入賞を逃した球を排出するアウト口29を備える。また、遊技領域200には、図示は適宜省略したが、独特のゲージに従いもっと多数の遊技釘が打たれている。さらに、遊技盤2及びその上の遊技部品にはLEDランプ等による多数の装飾ランプを埋設等により設置している。さらにまた、遊技盤2の裏面の適宜箇所には、遊技者が遊技機1を叩いたり引っ張ったり揺らしたりする迷惑で且つ不正な行為を検出するための例えば第1振動センサMV1と第2振動センサMV2との二つの振動センサを設置している。
【0045】
図3に示すように、第1振分機構7Aの球ハウジング701は、遊技盤2に取付ける基板703と、その後方の箱形のステージケース704とを備える。左球入口70Lから入った球Pは、入口70a及び出口70bをもつ内部通路700を通り、ステージケース704の奥から右に向けて第1球振分ステージ702上に解放される。右球入口70Rから入った球も同様の内部通路(前記内部通路700と左右対称形状の通路)を通り、ステージケース704の奥から左に向けて第1球振分ステージ702上に解放される。各内部通路を通過する球は、球通過センサS1L,S1Rで検出される。
【0046】
第1球振分ステージ702で振り分けた後の球を放出する各球出口703L,703C,703Rは、基板703に開口しており、球ハウジング701の下方には、各球出口に対応させて、球が放出される様子を視認できると共にガラス13への衝突を回避し得る小穴から成る確認穴701L,701C,701Rを設けている。
【0047】
図4及び図5に示すように、第1球振分ステージ702は、後部ステージ71及び前部ステージ72を備える。後部ステージ71は、左右方向に、谷部711、山部712、谷部713を波状に連ね、各球入口70L,70Rから受け入れて解放させる球を左右に行き来(往復転動)できるようにしている。また、各谷部711,713には、スプーン形の凹所に成形した傾斜路71L,71Rを設け、これに隣接ないし連続する傾斜状案内路(731L,732L,733L),(731R,732R,733R)により前部ステージ72に球を進入させる。山部712には、左右に行き来する球の勢いを殺ぐ僅かに突出する突起部714を設けていると共に、次記する有利側通路74の後端開口741に球を直接落下させる傾斜部715を設けている。
【0048】
前部ステージ72は、進入した球が円周回転運動(旋回運動)をしながら徐々に中心に向かって移動するように底部をすり鉢状の斜面とした左右一対の旋回凹部72L,72Rと、その間に設け、前側から球の流入を許し且つ後方に向けて緩傾斜する有利側通路74とを備える。各旋回凹部72L,72Rの外周縁部は、前側周縁部740において相互につなげ、一方から他方に球が進入できるようにしている。左の旋回凹部72Lの底部中心には外れ落下穴721Lを設け、連通路722Lにより左球出口703Lに連通させ、右の旋回凹部72Rの底部中心には外れ落下穴721Rを設け、連通路722Rにより右球出口703Rに連通させている。有利側通路74は、後端開口741及び連通路742により中球出口703Cに連通させている。
【0049】
尚、後端開口741には、落下球を検出する球通過センサS2を付設している。また、有利側通路74と連通路742との間の上下の隙間には、磁石を使って球の流れを有利に変える磁石ゴトと呼ばれる不正行為を検出する第1磁気センサMS1を設置している。
【0050】
図6に示すように、第1球振分ステージ702に解放された単独の球Pは、多くの場合、後方ステージ71から前方ステージ72に進入し、一方の旋回凹部72L又は72Rの外周縁部から前側周縁部740を経て他方の旋回凹部72R又は72Lに進入し、徐々に旋回半径が小さくなって外れ落下穴721R又は721Lに落ち、右球出口703R又は左球出口703Lから放出される。この場合、風車Fと絡むこともなく、第1始動入賞は不可能となる。
【0051】
単独の球でも、なかには、運良く、一方の旋回凹部72L又は72Rの外周縁部から他方の旋回凹部72R又は72Lには進入せずに有利側通路74に導かれる場合もある。或は、稀ではあるが、後方ステージ71の傾斜部715から有利側通路74の後端開口741に直接球が落ちる場合もある。有利側通路74に球が導かれるか後端開口741に直接球が落ちると、中球出口703Cから球が放出され、風車Fと絡み、第1始動入賞に可能性を残すことになる。ただし、この中球出口703Cから球が放出される場合の多く(約90%以上)は、単独の球によるものではなく、以下に例示するように、第1球振分ステージ702上に同時期に存在することとなる複数の球の衝突によるものとなる。
【0052】
図7に示すように、例えば右の旋回凹部72Rで先に反時計回りに球P1が旋回していたときに、後から解放された球P2が左の旋回凹部72Lの外周縁部から前側周縁部740を経て右の旋回凹部72Rに進入しようとしたときに、旋回中の球P1と接触してカットされたかのように弾かれ,球P2が有利側通路74に導かれることがある。
【0053】
図8に示すように、例えば右の旋回凹部72Rで先に反時計回りに球P1が旋回していたときに、後から解放された球P2が後部ステージ71の突起部714を乗り越えて時計回りに右の旋回凹部72Rに進入し、互いの球P1,P2が逆向きに強く衝突すると、旋回中の先の球P1が跳ね返されて有利側通路74に導かれることもある。
【0054】
図9に示すように、例えば後部ステージ71上で先に左右に転動していた球P1に後から解放された球P2が逆向きに衝突するか、あるいは、ほぼ同時期に右と左からそれぞれ球P1,P2が解放されて逆向きに衝突すると、跳ね返った球P1,P2は二つの経路に分かれて前部ステージ71に進入する。一方の球P1は右の旋回凹部72Rの外周縁部に沿って移動し、他方の球P2は左の旋回凹部72Lの外周縁部に沿って移動し、前側周縁部740で再び二つの球P1,P2が逆向きに衝突する。このとき、有利側通路74の前付近から球の移動の向きにやや進んだ位置にある方の球P2が跳ね返されて有利側通路74に導かれる。この図9の例は、図7や図8の例よりもはるかに多い頻度で起こる。この2回衝突による有利側通路74への球の導入は、後部ステージ71の山部712の付近で最初の衝突がされた場合に特に生じ易い。
【0055】
図10に示すように、第2振分機構7Bの球ハウジング705は、遊技盤2に取付ける基板707と、その後方の箱形のステージケース708とを備える。中球入口70Cから入った球Pは、球通過センサS3を経て左に下り勾配をつけ第1通路709a及びこれに連通し奥行方向に下り勾配をつけた第2通路709bから成る内部通路709を通り、ステージケース708の奥行き方向中ほどの位置において、第2球振分ステージ706の左奥に右カーブを描くように成形した導入路75に解放される。
【0056】
図11にも示すように、第2球振分ステージ706は、導入路75に解放された球が円周回転運動(旋回運動)をしながら徐々に中心に向かって移動するように底部をすり鉢状の斜面とし、中心部に3個の球落下穴77,78,79を設けたクルーン76で構成している。このクルーン76は、例えば半径200mmの球内面の一部を使用し、中心部の球落下穴77,78,79に球が落ちるまで、ある程度の速度を維持しつつ比較的長期に旋回運動が続き得るようにしている。
【0057】
前方の球落下穴77は、連通路770により特定球出口70Vに連通され、これら前方球落下穴77、連通路770、特定球出口70Vから成る特定の球通路7Vに球が振り分けられることにより、ほぼ100%の高率で第1始動入賞が達成される。後方二つの球落下穴78,79は、一つにまとめられて球通過センサS4を経て連通路780,790から外れ球出口70Fに連通される。後方の球落下穴78,79に落下すると、第1始動入賞は不可となる。
【0058】
尚、特定球出口70V及び外れ球出口70Fは、基板707に開口しており、特定球出口70Vに対応させて、球ハウジング705の下方には、第1始動入賞が達成される球の放出の様子を視認できると共にガラス13への衝突を回避し得る小穴から成る確認穴705Vを設けている。又、第2球振分ステージ706の裏面における適宜箇所には、磁石ゴトを検出する第2磁気センサMS2を設置していると共に、発信機等を用いて第1始動入賞を意図的に誤検知させるようにする電波ゴトと呼ばれる不正行為を検出する電波センサESを設置している。
【0059】
図12は、遊技盤2での遊技を制御する制御装置CNを示す。CPU、ROM、RAMを各備える主制御部MC、第1周辺制御部SC1及び第2周辺制御部SC2を備える。主制御部MCには、第1のI/OポートIN1を介して、第1始動口81の入賞センサ81s、第2始動口82の入賞センサ82s、大入賞口9の入賞センサ9s、ゲートGTの球通過センサGTs、一般入賞口25の入賞センサ25sを入力している。また、第2のI/OポートIN2を介して、第1振動センサMV1、第2振動センサMV2、第1磁気センサMS1、第2磁気センサMS2、電波センサES、フロント扉14の開閉センサOPを入力している。主制御部MCから各周辺制御部SC1,2へは中継基板CBを介して一方通行的にコマンドを送信している。周辺制御部SC1,2相互間は、双方向的にデータを送受信している。
【0060】
主制御部MCからは、ドライバ回路Dr0を介して、表示器ボード23上の第1特別図柄表示装置SD1、同第2特別図柄表示装置SD2、同普通図柄表示装置ND、同第1特別図柄用保留球表示器a1〜a4、同第2特別図柄用保留球表示器b1〜b4、同普通図柄用保留球表示器h1〜h4を制御している。また、第2始動口82の可変入賞装置80を開閉作動させてその可動板820を開閉させるソレノイド等による開閉用駆動部D0、大入賞口9の可変入賞装置90を開閉作動させてその可動板900を開閉させる同じくソレノイド等による開閉用駆動部D1を制御している。
【0061】
第1周辺制御部SC1には、第3のI/OポートIN3を介して、第1球振分機構7Aの球通過センサS1L,S1R,S2及び第2球振分機構7Bの球通過センサS3,S4を入力させ、ドライバ回路Dr1を介してスピーカ51,52から出音する効果音を制御している。又、第2周辺制御部SC2からは、ドライバ回路Dr2を介してフロントランプ61〜65及び遊技盤2上の装飾ランプの発光態様及び発光色を制御している。こうして、主制御部MCから送信されるコマンドに応じた音と光の演出と共に、直接入力させる球通過センサS1L,S1R,S2,S3,S4により、音と光によるチャンス到来演出やチャンス喪失演出等を行うようにしている。尚、図12では、球発射関連、賞球払出関連及び電源関連の各回路は省略している。
【0062】
主制御部MCのROMに格納する遊技プログラムPgは、第1始動入賞に基づく第1特別図柄抽選(大当たり抽選)、第2始動入賞に基づく第2特別図柄抽選(大当たり抽選)、ゲートGTへの球通過に基づく普通図柄抽選を起動し、RAM上に確保した第1保留手段A、第2保留手段B、普図保留手段Hに、対応する抽選データ(取得乱数)を最大4個の保留記憶を超えない所定上限内で記憶すると共に、対応する表示器ボード23上の表示装置SD1,SD2,NDの変動表示制御及び各保留球表示器a1〜a4,b1〜b4,h1〜h4の点灯制御を担う。
【0063】
尚、大当たり遊技時(大入賞口9の開放前に挿入する大当たり開始予告時間及び大入賞口9の開放終了後に挿入する大当たりエンディング時間を含む)は、第1特別図柄表示装置SD1及び第2特別図柄表示装置SD2は何れも変動させない仕様にしている。また、各表示装置SD1,SD2,NDで抽選データの判定を実行する毎に、その判定時又は導出開始時に対応する保留手段A,B,Hの記憶領域に空きを設け、最大4個の保留記憶数を超えない所定上限内で、その空き以降に取得した抽選データを追加して記憶するものとしている。
【0064】
また、遊技プログラムPgでは、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選の各抽選での当選確率を、相対的に低値の例えば65533/65536とする低確遊技か、相対的に高値の例えば65534/65536とする高確遊技かの決定処理をも担う。低確遊技と高確遊技との当選確率にほとんど差はなく(0〜65535の65536個の乱数更新範囲に定める当選数値の数が低確遊技時は65533個に対して高確遊技時は65534個と1個だけの差)、しかも、どちらも1(100%)に極めて近い値に設定しており、第1始動入賞又は第2始動入賞があると、ほとんどの場合、当選して大当たり遊技が行えるものとなる。
【0065】
さらに、遊技プログラムPgでは、可変入賞装置80を例えばゲートGTへの球通過を条件に高率で且つ比較的長時間(最大5.5秒間)について開く第2開放作動態様にて作動させることにより第2始動口82への入賞を容易にする時短状態か、可変入賞装置80を例えばゲートGTへの球通過を条件に低率で且つ比較的短時間(最大0.2秒間)について開く第1開放作動態様にて作動させることにより第2始動口82への入賞を困難にする非時短状態かの決定処理をも担う。
【0066】
加えて、遊技プログラムPg上には、次の各手段を構築している。
イ)第1特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後又は第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後に、高確遊技に突入させる高確突入手段T0、並びに、非時短状態下における第1特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後に、時短状態に突入させる時短突入手段T1。高確突入手段T0での高確遊技への突入率、並びに、時短突入手段T1での時短状態への突入率は、各100%に設定している。
【0067】
ロ)高確遊技下における第1又は第2特別図柄抽選での当選が、例えば49回(低確遊技での初回当選を入れると通算50回)等の最大限連続する上限回数を規制し、この上限回数に達する第1又は第2特別図柄抽選での当選があると、その当選に基づく大当たり遊技後、低確遊技で且つ非時短状態に復帰作動させるリミッタ手段LM1。
【0068】
ハ)リミッタ手段LM1が作動することとならない条件下(リミッタ未作動条件下)で且つ時短状態下における第1又は第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後に、時短状態を維持させる時短維持手段T2。
【0069】
ニ)非時短状態下における第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後には時短状態に突入させない時短非突入手段TN。
【0070】
ホ)第2保留手段Bの保留記憶が一つでもある場合、第1保留手段Aの保留記憶があっても、第2特別図柄表示装置SD2での第2特別図柄の変動を優先的に起動してその判定結果を導出させ、第2保留手段Bでの保留記憶がないか又はなくなった後に、第1保留手段Aでの保留記憶がある場合、これに基づいて第1特別図柄表示装置SD1での第1特別図柄の変動を起動してその判定結果を導出させる第2特別図柄抽選優先導出手段Z。
【実施例1】
【0071】
図13に、第1始動入賞に基づく第1特別図柄抽選での当選により獲得され且つ大当たり遊技後に突入する時短状態の回数と、第2始動入賞に基づく第2特別図柄抽選での当選により獲得され且つ大当たり遊技後に突入する時短状態の回数とを、当選判定時点すなわち当該当選を表示装置SD1又はSD2上で導出させる変動開始直前における遊技状態、すなわち、リミッタ手段LM1が作動することとならないとき(以下、リミッタ未作動時という)かリミッタ手段LM1が作動することとなるとき(以下、リミッタ作動時という)かの別と、低確遊技か高確遊技かの別と、非時短状態か時短状態かの別に応じて示す。低確遊技で時短状態という遊技状態は存在しない仕様のため、斜線を付している。また、リミッタ作動時は、必ず高確遊技であるため、低確遊技の全欄にも、斜線を付している。
【0072】
リミッタ未作動時に最大限獲得される時短状態の回数は例えば10回としているが、第1及び第2特別図柄抽選による大当たり当選確率が極めて高いことから、ほぼ100%に近い高率で、時短状態のまま次の大当たりに当選することになる。獲得される時短状態の回数は、時短の利益を享受することになる第2始動入賞に基づく有効な(第2保留手段Bの上限にかかるものは除いて)第2特別図柄抽選一回ごとに一つずつ減算されると共に、第1始動入賞に基づく有効な(第1保留手段Aの上限にかかるものは除いて)第1特別図柄抽選一回ごとにも一つずつ減算され、減算の結果、0になると非時短状態となるが、獲得された10回の時短状態がカウントダウンにより0になることはほとんどない。獲得された時短状態の回数にはほぼ毎回残が生じることになるが、次回以降に持ち越すことはせず、新たに獲得される回数が最大限時短状態の継続し得る回数となる。
【0073】
電源オン及び又はリセットスイッチオンによる主制御部MCのRAMクリア後は、低確遊技で且つ非時短状態から遊技を始めることになる。もちろん、リミッタ手段LM1のカウンタは初期値とされ、将来に向けて最大連続回数が確保されたリミッタ未作動時でもある。前の遊技者が台を明け渡した後等は、リミッタ手段LM1のカウンタがやや進んだ高確遊技の可能性はあるが、低確遊技であるか高確遊技であるか何れにしても、リミッタ未作動時で且つ非時短状態から新たに或は継続的に遊技をすることになる。このリミッタ未作動時の非時短状態では、第1始動入賞に基づく第1特別図柄抽選での当選のみにより、時短状態(10回)を獲得することができる(注1、注2)。従って、遊技者は、球振分機構7によるハードルを打破して第1始動口81へ入賞させる遊技に徹することが常套手段となる。
【0074】
仮に、低確遊技で且つ非時短状態時に、たまたまゲートGTへの球通過による普通図柄抽選に当選し、極短時間だけ開放される第2始動口82に入賞し、第2特別図柄抽選での当選を得たとしても、これにより時短状態を獲得することはできない(注3)。たとえ2個以上の第2始動入賞があっても、一つ目の第2始動入賞による第2特別図柄抽選での当選によって大当たり遊技後は高確遊技に昇格するが、非時短状態のままであり、高確遊技で且つ非時短状態下において二つ目の第2始動入賞による第2特別図柄抽選での当選を得ても、時短状態を獲得することはやはりできない(注4)。
【0075】
非時短状態下、球振分機構7によるハードルを打破して第1始動入賞を得ることができると、ほぼ100%の高率で1回目の大当たりに当選して大当たり遊技が行え、大当たり遊技後、高確突入手段T0により高確遊技に突入し、時短突入手段T1により時短状態(10回)に突入する。
【0076】
高確遊技で時短状態中は、第2始動口82への入賞が容易となる。なぜなら、作動仕様に一覧して示すように、普通図柄抽選での当選確率を、非時短状態時の6/65520に対して、その分母の65520を分子(当選の数)とし、その乱数範囲1〜65520の下限及び上限を1ずつ拡張した0〜65521の65522個の乱数範囲を分母とした、65520/65522と極めて高くし、しかも、第2始動口82の最大開放時間を、非時短状態時の0.2秒に対し、5.5秒と長くし、ゲートGTへの球通過により第2始動口82を高率で且つ比較的長時間について開放するからである。
【0077】
尚、最大開放時間の経過前でも第2始動口82への入賞数が例えば7個や10個等の所定の最大入賞数に達した時点で該第2始動口82を閉じる仕様にしている。また、時短状態では、第1及び第2特別図柄の各表示装置SD1,SD2上での図柄の表示変動時間を非時短状態時の1秒に対し、0.5秒と短くし、次の大当たりまでの時間を一層短縮できるようにしている。ただし、第1及び第2特別図柄の表示変動時間は、時短か非時短かにかかわらず、例えば、1秒に統一するか、或は0.5秒に統一するなど、一律の固定値としてもよい。
【0078】
高確遊技で時短状態中は、入賞が容易な第2始動入賞による第2特別図柄抽選での当選を続けることにより、時短維持手段T2によって時短状態(10回)の獲得を続けることができる(注5)。第1始動入賞による当選を得ても、時短状態(10回)を獲得できるが(注6)、第2始動入賞に基づく第2保留手段Bでの保留記憶を切らさないようにして、第1始動入賞による当選判定及びその判定結果の導出を先送りするのが得となる。
【0079】
大当たり遊技後にリミッタ手段LM1が作動することとなる49回目の当選判定時(初回の低確遊技での当選を1回目に数えると通算50回目の高確遊技での当選判定時)、その判定時点の遊技状態が時短状態か非時短状態かにかかわらず、時短非突入手段TNにより、通算50回目の大当たり遊技後、時短状態には突入させない(注7、注8)。
【0080】
図14のタイムチャート例に示すように、電源オン等によるRAMクリア後に遊技を始める場合、先ず、球振分機構7によるハードルを打破して第1始動入賞を得、1回目の大当たりを勝ち取る。この大当たり遊技以後は、おおむね、遊技盤2の右領域に球を流下させるいわゆる右打ちが推奨される打ち方となる。大当たり遊技後は、高確遊技で時短状態(10回)となり、ゲートGTへの球通過により高率で第2始動口82が最大5.5秒間開き、多くの場合、第2始動入賞を複数個得ることができる。
【0081】
ほぼ最初の第2始動入賞により通算2回目の大当たりを勝ち取ることができ、2個目以降の第2始動入賞時に取得した乱数(抽選データ)は最大4個まで第2保留手段Bに保留されることになる。大当たり遊技中は、時短状態が解除され、非時短状態となる。第2始動口82の下に大入賞口9を設けているため、本来第2始動口82が開から閉になってから第1ラウンド目の大入賞口9に最初の1球が入賞して該大入賞口9が閉じ、このあと、第2ラウンド目の開放がされる場合も多いが、図14では、作図上の都合で横軸(時間軸)を極力短縮しているため、大当たり遊技時の大入賞口9の2回開放を、パターン化して描いていると共に第2始動口82の開放と時間的に重複して描いている。
【0082】
通算2回目の大当たり遊技が終わると、高確遊技で時短状態となり、この遊技状態下で、多くの場合、第2保留手段Bに記憶された保留記憶に基づいて、大当たりの当選が判定されると共にその当選が導出され、通算3回目の大当たり遊技が行える。この大当たり遊技後、三度、高確遊技で時短状態が維持される。これらの状況は、リミッタ手段LM1が作動することとなる通算50回目の大当たり当選前の通算49回目の大当たり遊技後まで繰り返される。
【0083】
通算50回目の大当たりの当選が判定されると、リミッタ手段LM1が作動することとなる当選に該当し、大当たり遊技後、低確遊技で非時短状態となる。このとき、多くの場合、第2保留手段Bの保留記憶がフルの4個残っており、非時短状態下で、その記憶に基づく当選が4回連続して導出される。第2保留手段Bに最先に記憶された保留1は低確遊技下での当選となり、後続の保留2,3,4は、高確遊技下での当選となるが、時短非突入手段TNにより、各大当たり遊技後、時短状態には突入しない。
【0084】
尚、実際にリミッタ手段LM1が作動して低確遊技で非時短状態となるのは通算50回目の大当たり遊技後であるが、その大当たり遊技を成立させた当選時の遊技状態を明らかにして図13のテーブルとの対応関係を判り易くするため、リミッタ手段LM1が作動することとなる当選時に「リミッタ作動」の矢印を記している。以下、同様なタイムチャート上の「リミッタ作動」の矢印についても同様である。
【0085】
以上の一連の遊技で、大入賞口9への入賞により獲得できる賞球は一回の大当たり遊技で12賞球であるため、12賞球×50回+12賞球×4回となる。しかも、これだけでなく、時短状態下で比較的長時間開放される第2始動口82への入賞により、特2別図柄抽選の数自体は保留記憶の上限により実際に入賞した数よりも少なくなる可能性が高いが、賞球の払出しは実際に入賞した数の分だけ受けることができるため、大入賞口9に対する賞球よりもむしろ多い賞球を併せて得ることができる。
【0086】
また、以上の一連の遊技途中で再び第1始動入賞があった場合、第2保留手段Bの保留記憶を切らさない限り、第1保留手段Aに第1特別図柄抽選データ(取得乱数)の保留が維持され、多くの場合は図14の保留4による大当たり遊技の終了後、場合によっては保留1〜3による大当たり遊技の終了後、高確遊技で且つ非時短状態下で、第1保留手段Aの保留記憶に基づく判定結果(ほぼ100%当選)が導出され、時短状態(10回)を獲得できる(図13注2参照)。
【0087】
尚、リミッタ手段LM1が作動することとなる当選に該当する通算50回目の大当たり当選が第2保留手段Bに貯まる最後の保留記憶に基づくもの(この当選判定後に第2保留手段Bの保留記憶が切れる)であり、図14の保留1〜4がない場合は、途中で生じる第1始動入賞の前から通算50回目の大当たり当選判定時までに第2保留手段Bの保留記憶を切らさなかったことを前提に、通算50回目の大当たり遊技後に、低確遊技で且つ非時短状態下で、第1保留手段Aの保留記憶に基づく判定結果(ほぼ100%当選)が導出され、時短状態(10回)を獲得できる(図13注1参照)。
【0088】
ここに、非時短状態での第2特別図柄抽選での当選では、高確遊技か低確遊技かに拘らず時短状態へ移行させない一方、非時短状態での第1特別図柄抽選での当選では、高確遊技か低確遊技かに拘らず時短状態へ移行させる仕様にしている。このため、非時短状態から時短状態へ移行させるには、第1始動口81への入賞が前提条件ということになる。従って、第1特別図柄抽選での当選を契機として時短状態へ移行してからリミッタ手段LM1が作動することとなる当選までの間に、第1始動入賞があった場合、リミッタ手段LM1が作動することとなる当選まで第2保留手段Bの保留記憶を切らすことになく遊技を行えば、第1保留手段Aの保留記憶は、リミッタ手段LM1の作動以後即ち非時短状態で消化されることになる。この結果、第1特別図柄抽選での当選を契機として再び時短状態へ移行させることが可能となる。
【0089】
図15に示すように、図14の一連の遊技途中で第1始動入賞があり、第2保留手段Bの保留記憶を切らさなかった場合、多くの場合、第1特別図柄抽選の当選判定時の遊技状態は、高確遊技で非時短状態となる。また、このとき、リミッタ手段LM1のカウンタは、図14の保留4による高確遊技での大当たり当選で既に3回(保留1による低確遊技での大当たり当選を入れると通算4回)に進んでいるため、図15の第1始動入賞(第1保留手段Aの保留記憶によるもの)に基づく1回目の大当たりは、リミッタ手段LM1のカウンタ上は4回目(通算5回目)となり、この大当たり後、45回目(通算46回目)の大当たり当選判定時にリミッタ手段LM1のカウンタが49回(通算50回)となり、当該当選に基づく大当たり遊技後に該リミッタ手段LM1が作動して低確遊技で且つ非時短状態となる。
【0090】
従って、大入賞口9に対するトータル賞球は、12賞球×46回+12賞球×4回となる。RAMクリア以後、ある遊技者が図14の一連の遊技により出玉を得た後、第1保留手段Aの保留記憶はなく、再び自力で球振分機構7を介して第1始動入賞を得ようする場合、あるいは、図14の一連の遊技の後に台を受け継いで別の遊技者が遊技する場合も、図15と同じ状況となる。この場合、第1保留手段Aの保留記憶ではなく、自力で球振分機構7のハードルを打破して第1始動入賞を得る必要がある。
【実施例2】
【0091】
図16に、確変機能はもたず、時短機能のみをもつタイプの遊技機における時短性能を示す。この実施例2では、低確遊技も高確遊技もなく、大当たり遊技中以外はすべて通常遊技となり、実施例1のような高確突入手段T0は有さず、且つ、実施例1のリミッタ手段LM1に代え、時短状態下における第1又は第2特別図柄抽選での当選が、例えば49回(非時短状態での時短状態に突入する初回当選を入れると通算50回)等の最大限連続する上限回数を規制し、この上限回数に達する第1又は第2特別図柄抽選での当選があると、その当選に基づく大当たり遊技後、非時短状態に復帰作動させるリミッタ手段LM2を設けている(図12)。遊技状態は、リミッタ手段LM2が作動することとならないとき(リミッタ未作動時)かリミッタ手段LM2が作動することとなるとき(リミッタ作動時)かの別と、非時短状態か時短状態かの別に区分される。リミッタ作動時は、必ず時短状態であるため、非時短状態の欄には斜線を付している。
【0092】
リミッタ未作動時に最大限獲得される時短状態の回数は例えば10回としているが、第1及び第2特別図柄抽選による大当たり当選確率を例えば65533/65536(実施例1の低確遊技と同様)と極めて高くしていることから、ほぼ100%に近い高率で、時短状態のまま次の大当たりに当選することになる。獲得される時短状態の回数のカウントダウン仕様等は、実施例1と同様である。
【0093】
電源オン及び又はリセットスイッチオンによる主制御部MCのRAMクリア後は、非時短状態から遊技を始めることになる。もちろん、リミッタ手段LM2のカウンタは初期値とされ、将来に向けて最大連続回数が確保されたリミッタ未作動時でもある。前の遊技者が台を明け渡した後等も、同様である。このリミッタ未作動時の非時短状態では、第1始動入賞に基づく第1特別図柄抽選での当選のみにより、時短状態(10回)を獲得することができる(注10)。従って、遊技者は、球振分機構7によるハードルを打破して第1始動口81へ入賞させる遊技に徹することが常套手段となる。
【0094】
仮に、非時短状態時に、たまたまゲートGTへの球通過による普通図柄抽選に当選し、極短時間だけ開放される第2始動口82に一個又は複数個入賞し、第2特別図柄抽選での当選を得たとしても、これにより時短状態を獲得することはできない(注20)。
【0095】
非時短状態下、球振分機構7によるハードルを打破して第1始動入賞を得ることができると、ほぼ100%の高率で1回目の大当たりに当選して大当たり遊技が行え、大当たり遊技後、時短突入手段T1により時短状態(10回)に突入する。
【0096】
時短状態中は、第2始動口82への入賞が容易となる。実施例1と同じ理由による。
【0097】
最大開放時間の経過前でも第2始動口82への入賞数が所定の最大入賞数に達した時点で該第2始動口82を閉じる仕様等も実施例1と同様である。
【0098】
時短状態中は、入賞が容易な第2始動入賞による第2特別図柄抽選での当選を続けることにより、時短維持手段T2によって時短状態(10回)の獲得を続けることができる(注30)。第1始動入賞による当選を得ても、時短状態(10回)を獲得できるが(注40)、第2始動入賞に基づく第2保留手段Bでの保留記憶を切らさないようにして、第1始動入賞による当選判定及びその判定結果の導出を先送りするのが得となる。
【0099】
リミッタ手段LM2が作動することとなる49回目の当選判定時(初回の非時短状態での当選を1回目に数えると、通算50回目の時短状態での当選判定時)、時短非突入手段TNにより、通算50回目の大当たり遊技後、時短状態には突入させない(注50、注60)。
【0100】
図17のタイムチャート例に示すように、電源オン等によるRAMクリア後に遊技を始める場合、先ず、球振分機構7によるハードルを打破して第1始動入賞を得、1回目の大当たりを勝ち取る。この大当たり遊技以後は、実施例1と同様、右打ちが推奨される打ち方となる。大当たり遊技後は、時短状態(10回)となり、ゲートGTへの球通過により高率で第2始動口82が最大5.5秒間開き、多くの場合、第2始動入賞を複数個得ることができる。
【0101】
ほぼ最初の第2始動入賞により通算2回目の大当たりを勝ち取ることができ、2個目降の第2始動入賞時に取得した乱数(抽選データ)は最大4個まで第2保留手段Bに保留されることになる。大当たり遊技中は、時短状態が解除され、非時短状態となる。大当たり遊技時の大入賞口9の2回開放を、パターン化して描いていると共に第2始動口82の開放と時間的に重複して描いているのは実施例1と同様である。
【0102】
通算2回目の大当たり遊技が終わると、時短状態となり、この時短状態下で、多くの場合、第2保留手段Bに記憶された保留記憶に基づいて、大当たりの当選が判定されると共にその当選が導出され、通算3回目の大当たり遊技が行える。この大当たり遊技後、三度、時短状態が維持される。これらの状況は、リミッタ手段LM2が作動することとなる通算50回目の大当たり当選前の通算49回目の大当たり遊技後まで繰り返される。
【0103】
通算50回目の大当たりの当選が判定されると、リミッタ手段LM2が作動することとなる当選に該当し、大当たり遊技後、非時短状態で推移する。このとき、多くの場合、第2保留手段Bの保留記憶がフルの4個残っており、非時短状態下で、その記憶に基づく当選が4回連続して導出される。第2保留手段Bに最先に記憶された保留1から後続の保留2,3,4について、その当選がほぼ100%の高率で導出されるが、時短非突入手段TNにより、各大当たり遊技後、時短状態には突入しない。
【0104】
以上の一連の遊技で、大入賞口9への入賞により獲得できる賞球は一回の大当たり遊技で12賞球であるため、12賞球×50回+12賞球×4回となる。しかも、これだけでなく、時短状態下で比較的長時間開放される第2始動口82への入賞により、特2別図柄抽選の数自体は保留記憶の上限により実際に入賞した数よりも少なくなる可能性が高いが、賞球の払出しは実際に入賞した数の分だけ受けることができるため、大入賞口9に対する賞球よりもむしろ多い賞球を併せて得ることができる。実施例1と同様である。
【0105】
また、以上の一連の遊技途中で再び第1始動入賞があった場合、第2保留手段Bの保留記憶を切らさない限り、第1保留手段Aに第1特別図柄抽選データ(取得乱数)の保留が維持され、多くの場合は図17の保留4による大当たり遊技の終了後、場合によっては保留1〜3による大当たり遊技の終了後、非時短状態下で、第1保留手段Aの保留記憶に基づく判定結果(ほぼ100%当選)が導出され、時短状態(10回)を獲得できる(図16注10参照)。
【0106】
尚、リミッタ手段LM2が作動することとなる当選に該当する通算50回目の大当たり当選が第2保留手段Bに貯まる最後の保留記憶に基づくもの(この当選判定後に第2保留手段Bの保留記憶が切れる)であり、図17の保留1〜4がない場合は、途中で生じる第1始動入賞の前から通算50回目の大当たり当選判定時までに第2保留手段Bの保留記憶を切らさなかったことを前提に、通算50回目の大当たり遊技後に、非時短状態下で、第1保留手段Aの保留記憶に基づく判定結果(ほぼ100%当選)が導出され、時短状態(10回)を獲得できる(図16注10参照)。
【0107】
ここに、非時短状態での第2特別図柄抽選での当選では時短状態へ移行させない一方、非時短状態での第1特別図柄抽選での当選では時短状態へ移行させる仕様にしている。このため、非時短状態から時短状態へ移行させるには、第1始動口81への入賞が前提条件ということになる。従って、第1特別図柄抽選での当選を契機として時短状態へ移行してからリミッタ手段LM2作動することとなる当選までの間に、第1始動入賞があった場合、リミッタ手段LM2作動することとなる当選まで第2保留手段Bの保留記憶を切らすことになく遊技を行えば、第1保留手段Aの保留記憶は、リミッタ手段LM2の作動以後即ち非時短状態で消化されることになる。この結果、第1特別図柄抽選での当選を契機として再び時短状態へ移行させることが可能となる。
【0108】
図17の一連の遊技途中で第1始動入賞があり、第2保留手段Bの保留記憶を切らさなかった場合、第1特別図柄抽選の当選判定時の遊技状態は、非時短状態であるも、RAMクリア後と同じ通常遊技の状態であり、また、このとき、リミッタ手段LM2のカウンタもRAMクリア後と同じ0(将来に向けて最大連続回数が確保された初期値)である。このため、図17と全く同様に、第1保留手段Aの保留記憶による第1始動入賞に基づく1回目の大当たり後、通算50回目の大当たり当選がリミッタ手段LM2が作動することとなる当選に該当し、その当選に基づく大当たり遊技後に非時短状態となる。
【0109】
従って、大入賞口9に対するトータル賞球は、RAMクリア後と同じ12賞球×50回+12賞球×4回となる。ある遊技者が図17の一連の遊技により出玉を得た後、第1保留手段Aの保留記憶はなく、再び自力で球振分機構7を介して第1始動入賞を得ようする場合、あるいは、図17の一連の遊技の後に台を受け継いで別の遊技者が遊技する場合も、同じ状況となる。この場合、第1保留手段Aの保留記憶ではなく、自力で球振分機構7のハードルを打破して第1始動入賞を得る必要がある点は、実施例1と同様である。
【実施例3】
【0110】
図18に示すように、実施例3では、実施例1及び実施例2と異なり、時短非突入手段TNに代え、主制御部MCに、非時短状態下における第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後、所定の振分け率に従い、時短状態又は非時短状態何れかに振り分ける時短振分手段TYを設けている。
【0111】
図19に示すように、実施例3は、時短機能の他に確変機能も併せ持つタイプの遊技機であるが、実施例1のものと異なり、第1又は第2特別図柄抽選での当選時、その当たり図柄種別を「1」か「2」かの複数種類(2種類)に振り分け、表示装置SD1,SD2に導出する当たり図柄種別に応じて異なる利益を付与できるようにしている。当たり図柄種別が「1」に振り分けられる振分率は、50%を上回る高率、好ましくは80%以上、最も好ましくは90〜95%前後、例えば95%としているのに対し、当たり図柄種別が「2」に振り分けられる振分率は、50%を下回る低い値、好ましくは数%〜20%、最も好ましくは5%前後〜10%、例えば5%としている。
【0112】
この振り分けは、第1又は第2始動入賞時(第1又は第2特別図柄抽選の起動時)に取得する大当たり抽選用乱数(第1又は第2特別図柄抽選データ)と、大当たり当選範囲となる65533個(低確遊技時)又は65534個(高確遊技時)の数値あるいは数値範囲をさらに細分類して定めた当たり図柄判定範囲との比較に基づいて、大当たりの当選判定時と同時期に決定している。これに代え、第1又は第2始動入賞時に大当たり抽選用乱数庫とは別の乱数庫から当たり図柄決定用乱数を取得することとし、この取得した当たり図柄決定用乱数と当たり図柄判定範囲との比較に基づいて、大当たりの当選判定時と同時期に当たり図柄種別を決定してもよい。
【0113】
当たり図柄種別が「1」に振り分けられる場合(95%の場合)は、図13で示した実施例1とまったく同じ時短性能となる。一方、当たり図柄種別が「2」に振り分けられる場合(5%の場合)、第1特別図柄抽選による当選(球振分機構7を介した第1始動入賞による当選)では、当たり図柄種別が「1」に振り分けられる場合と差異はない。しかし、第2特別図柄抽選による当選(第2始動入賞による当選)では、リミッタ未作動時(確変機能付きの場合に設けるリミッタ手段LM1が作動することとならないとき)、低確遊技の非時短状態でも、高確遊技の非時短状態でも、時短状態(10回)を獲得することができる。
【0114】
従って、低確遊技或は高確遊技で且つ非時短状態時に、たまたまゲートGTへの球通過による普通図柄抽選に当選し、極短時間だけ開放される第2始動口82に入賞し、第2特別図柄抽選で当たり図柄種別「2」の当選を得ると、時短状態(10回)を獲得することも可能になる。しかし、極稀なケースであり、非時短状態時に、積極的に右打ちをしてゲートGTに球を通過させても、普通図柄抽選で当選する確率は極めて低く、第2始動口82は殆ど開放される見込みはない。このため、非時短状態時は、球振分機構7を介した第1始動入賞を狙うのがやはり鉄則であることに変わりはない。
【0115】
図20のタイムチャート例に示すように、当たり図柄種別「2」への振り分けのメリットは、球振分機構7を介した第1始動入賞により時短状態を獲得した後、RAMクリア時は初回を入れて通算50回、これ以外は通算46回の大当たり当選によりリミッタ手段LM1が作動することとなり、通算50回目又は通算46回目の大当たり遊技後に、フルに貯まっていることが見込まれる第2保留手段Bの保留1〜4について享受し得る。
【0116】
すなわち、リミッタ手段LM1が作動することとなる当選があると、大当たり遊技後、非時短状態となるが、第2保留手段Bに最先に記憶された保留1は、低確遊技で非時短状態下、振分率5%で当たり図柄種別「2」での当選が見込まれ、後続の保留2,3,4は、高確遊技で非時短状態下、振分率5%で当たり図柄種別「2」での当選が見込まれ、各振分率は5%と低いが、合計4回について時短状態(10回)を獲得するチャンスが現れる。
【0117】
この4回のチャンス何れかで当たり図柄種別「2」で当選すると、その当選にかかる大当たり遊技の後、時短状態に突入する。保留1が当たり図柄種別「2」で当選した場合は、図20の大当たり通算2回目を得る前と同じ遊技状態となり、保留2が当たり図柄種別「2」で当選した場合は、同大当たり通算3回目を得る前と同じ遊技状態となり、保留3が当たり図柄種別「2」で当選した場合は、同大当たり通算4回目を得る前と同じ遊技状態となり、保留4が当たり図柄種別「2」で当選した場合は、同大当たり通算5回目を得る前と同じ遊技状態となり、それぞれ通算50回目の大当たり当選によりリミッタ手段LM1が作動することとなる当選まで連続し、再度、保留1〜4による4回のチャンスが訪れる。
【0118】
ただし、このような4回のチャンスによる所謂保留内連荘が起こるのは、当たり図柄種別「2」への振分率を5%と低くしているため、全体としては少ない。
【0119】
以上の一連の遊技途中で球振分機構を介して第1始動入賞が重ねてあった場合、第2保留手段Bの保留記憶を切らさない限り、第1保留手段Aに第1特別図柄抽選データ(取得乱数)の保留が維持され、図20の保留1〜4(多くの場合、保留4)による当たり図柄種別「1」での当選に基づく大当たり遊技の終了後(リミッタ手段LM1が作動することとなる通算50回目又は通算46回目の大当たり当選が第2保留手段Bに貯まる最後の保留記憶に基づくものであって、保留1〜4がない場合は、通算50回目又は46回目の大当たり遊技後)に、第1保留手段Aの保留記憶に基づく判定結果(ほぼ100%当選)が導出され、再び、入賞が容易な第2始動入賞による大当たりをリミッタ手段LM1の作動まで連続させ得る有利な状況に移行する。
【0120】
従って、実施例3では、球振分機構7を介した第1始動入賞に始まる一まとまりの大当たり遊技後、第2保留手段Bに貯まる保留記憶により言わば「図柄による連荘」が期待できると共に、一まとまりの大当たり遊技中に球振分機構7を介した第1始動入賞による第1保留手段Aの保留記憶があると、図柄による連荘の後あるいは第一回目の一まとまりの大当たり遊技後、球振分機構7の介入する言わば「役物による連荘」が期待できる。これら「図柄による連荘」と「役物による連荘」とは相殺されることもなく、これら二種類の連荘システムが有機的に結合して興趣を一層向上できる。
【0121】
特に、「図柄による連荘」があると、球振分機構7を介して第1始動入賞が生じ得る期間が長くなるため、「役物による連荘」の期待度が増すと共に、「図柄による連荘」が終了すると「役物による連荘」がスタートし、この「役物による連荘」が終了しても「図柄による連荘」のチャンスが再度訪れるため、従来の一発台に匹敵するような大量出玉を獲得できる可能性を秘めており、遊技者に十二分の満足度を付与できる。それでいて、「図柄による連荘」の可能性を低く抑えているため、射幸性が過度になることもなく、健全性も担保できる。
【実施例4】
【0122】
実施例4も、実施例3と同様、主制御部MCに、非時短状態下における第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後、所定の振分け率に従い、時短状態又は非時短状態何れかに振り分ける時短振分手段TYを設けている。
【0123】
図21に示すように、実施例4は、確変機能を持たず、時短機能のみを持つタイプの遊技機であるが、実施例2のものと異なり、第1又は第2特別図柄抽選での当選時、その当たり図柄種別を「1」か「2」かの複数種類(2種類)に振り分け、表示装置SD1,SD2に導出する当たり図柄種別に応じて異なる利益を付与できるようにしている。実施例3と同様、当たり図柄種別が「1」に振り分けられる振分率は、例えば95%としているのに対し、当たり図柄種別が「2」に振り分けられる振分率は、例えば5%としている。
【0124】
この振り分けは、第1又は第2始動入賞時(第1又は第2特別図柄抽選の起動時)に取得する大当たり抽選用乱数(第1又は第2特別図柄抽選データ)と、大当たり当選範囲となる65533個の数値あるいは数値範囲をさらに細分類して定めた当たり図柄判定範囲との比較に基づいて、大当たりの当選判定時と同時期に決定している。これに代え、第1又は第2始動入賞時に大当たり抽選用乱数庫とは別の乱数庫から当たり図柄決定用乱数を取得することとし、この取得した当たり図柄決定用乱数と当たり図柄判定範囲との比較に基づいて、大当たりの当選判定時と同時期に当たり図柄種別を決定してもよい。
【0125】
当たり図柄種別が「1」に振り分けられる場合(95%の場合)は、図16で示した実施例2とまったく同じ時短性能となる。一方、当たり図柄種別が「2」に振り分けられる場合(5%の場合)、第1特別図柄抽選による当選(球振分機構7を介した第1始動入賞による当選)では、当たり図柄種別が「1」に振り分けられる場合と差異はない。しかし、第2特別図柄抽選による当選(第2始動入賞による当選)では、リミッタ未作動時(確変機能のない場合に設けるリミッタ手段LM2が作動することとならないとき)、非時短状態であっても、時短状態(10回)を獲得することができる。
【0126】
従って、非時短状態時に、たまたまゲートGTへの球通過による普通図柄抽選に当選し、極短時間だけ開放される第2始動口82に入賞し、第2特別図柄抽選で当たり図柄種別「2」の当選を得ると、時短状態(10回)を獲得することも可能になる。しかし、極稀なケースであり、非時短状態時に、積極的に右打ちをしてゲートGTに球を通過させても、普通図柄抽選で当選する確率は極めて低く、第2始動口82は殆ど開放される見込みはない。このため、非時短状態時は、球振分機構7を介した第1始動入賞を狙うのがやはり鉄則であることに変わりはない。
【0127】
図22のタイムチャート例に示すように、当たり図柄種別「2」への振り分けのメリットは、球振分機構7を介した第1始動入賞により時短状態を獲得した後、通算50回の大当たり当選によりリミッタ手段LM2が作動することとなり、通算50回目の大当たり遊技後に、フルに貯まっていることが見込まれる第2保留手段Bの保留1〜4について享受し得る。
【0128】
すなわち、リミッタ手段LM2が作動することとなる当選があると、大当たり遊技後、非時短状態となるが、第2保留手段Bに最先に記憶された保留1から後続の保留2,3,4は、それぞれ非時短状態下、振分率5%で当たり図柄種別「2」での当選が見込まれる。各振分率は5%と低いが、合計4回について時短状態(10回)を獲得するチャンスが現れる。
【0129】
この4回のチャンス何れかで当たり図柄種別「2」で当選すると、その当選にかかる大当たり遊技の後、時短状態に突入する。保留1が当たり図柄種別「2」で当選した場合は、図22の大当たり通算2回目を得る前と同じ遊技状態となり、保留2が当たり図柄種別「2」で当選した場合は、同大当たり通算3回目を得る前と同じ遊技状態となり、保留3が当たり図柄種別「2」で当選した場合は、同大当たり通算4回目を得る前と同じ遊技状態となり、保留4が当たり図柄種別「2」で当選した場合は、同大当たり通算5回目を得る前と同じ遊技状態となり、それぞれ通算50回目の大当たり当選によりリミッタ手段LM2が作動することとなる当選まで連続し、再度、保留1〜4による4回のチャンスが訪れる。
【0130】
ただし、このような4回のチャンスによる所謂保留内連荘が起こるのは、実施例3と同様、当たり図柄種別「2」への振分率を5%と低くしているため、全体としては少ない。
【0131】
以上の一連の遊技途中で球振分機構を介して第1始動入賞が重ねてあった場合、第2保留手段Bの保留記憶を切らさない限り、第1保留手段Aに第1特別図柄抽選データ(取得乱数)の保留が維持され、図22の保留1〜4(多くの場合、保留4)による当たり図柄種別「1」での当選に基づく大当たり遊技の終了後(リミッタ手段LM2が作動することとなる通算50回目の大当たり当選が第2保留手段Bに貯まる最後の保留記憶に基づくものであって、保留1〜4がない場合は、通算50回目の大当たり遊技後)に、第1保留手段Aの保留記憶に基づく判定結果(ほぼ100%当選)が導出され、再び、入賞が容易な第2始動入賞による大当たりをリミッタ手段LM2の作動まで連続させ得る有利な状況に移行する。
【0132】
従って、実施例4でも、実施例3と同様、相殺されることがない二種類の連荘システムすなわち「図柄による連荘」と「役物による連荘」とが融合し、興趣を一層向上でき、従来の一発台に匹敵するような大量出玉を獲得できる可能性を秘め、遊技者に十二分の満足度を付与できると共に、射幸性が過度になることもなく、健全性も担保できる。
【符号の説明】
【0133】
2;遊技盤
81;第1始動口、82;第2始動口
80;可変入賞装置、9;大入賞口
CN;制御装置、MC;主制御部、SC1;第1周辺制御部
A;第1保留手段、B;第2保留手段
SD1;第1特別図柄表示装置、SD2;第2特別図柄表示装置
LM1,LM2;リミッタ手段
T0;高確突入手段、T1;時短突入手段
T2;時短維持手段、TN;時短非突入手段
TY;時短振分手段、Z;第2特別図柄抽選優先導出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤に、入賞により第1特別図柄抽選を起動させる第1始動口と、相対的に入賞困難な第1開放作動態様と相対的に入賞容易な第2開放作動態様とに作動変更可能とした可変入賞装置から成り且つ内部への球の入賞により第2特別図柄抽選を起動させる第2始動口と、前記第1特別図柄抽選及び前記第2特別図柄抽選での各判定結果を所定の図柄変動を経て導出させる第1及び第2特別図柄表示装置と、前記第1特別図柄抽選又は前記第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技時に開放させる少なくとも一つの大入賞口とを備え、
前記第1特別図柄抽選及び前記第2特別図柄抽選の各抽選処理、並びに、これら各抽選での当選確率を相対的に低値とする低確遊技か相対的に高値とする高確遊技かの決定処理、前記可変入賞装置を前記第2開放作動態様にて作動させることにより前記第2始動口への入賞を容易にする時短状態か前記可変入賞装置を前記第1開放作動態様にて作動させることにより前記第2始動口への入賞を困難にする非時短状態かの決定処理を含む遊技制御を担う制御装置を備える弾球遊技機であって、
前記制御装置は、
前記第1又は第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後に、前記高確遊技に突入させる高確突入手段と、
前記非時短状態下における前記第1特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後に、前記時短状態に突入させる時短突入手段と、
前記高確遊技下における前記第1又は第2特別図柄抽選での当選が最大限連続する上限回数を規制し、この上限回数に達する前記第1又は第2特別図柄抽選での当選があると、前記低確遊技で且つ前記非時短状態に復帰作動させるリミッタ手段と、
前記リミッタ手段が作動することとならない条件下で且つ前記時短状態下における前記第1又は第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後に、前記時短状態を維持させる時短維持手段と、
前記非時短状態下における前記第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後には前記時短状態に突入させない時短非突入手段と、
前記第1特別図柄抽選の起動時に取得する第1特別図柄抽選データを所定上限内で記憶し、該第1特別図柄抽選データの判定を実行する毎に記憶領域に空を設ける第1保留手段と、
前記第2特別図柄抽選の起動時に取得する第2特別図柄抽選データを所定上限内で記憶し、該第2特別図柄抽選データの判定を実行する毎に記憶領域に空を設ける第2保留手段と、
前記第2保留手段に前記第2特別図柄抽選データの記憶がある場合、前記第1保留手段に前記第1特別図柄抽選データの記憶があっても、前記第2特別図柄抽選データの判定結果を導出させ、前記第2保留手段に前記第2特別図柄抽選データの記憶がなく且つ前記第1保留手段に前記第1特別図柄抽選データの記憶がある場合、前記第1特別図柄抽選データの判定結果を導出させる第2特別図柄抽選優先導出手段とを含むことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
遊技盤に、入賞により第1特別図柄抽選を起動させる第1始動口と、相対的に入賞困難な第1開放作動態様と相対的に入賞容易な第2開放作動態様とに作動変更可能とした可変入賞装置から成り且つ内部への球の入賞により第2特別図柄抽選を起動させる第2始動口と、前記第1特別図柄抽選及び前記第2特別図柄抽選での各判定結果を所定の図柄変動を経て導出させる第1及び第2特別図柄表示装置と、前記第1特別図柄抽選又は前記第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技時に開放させる少なくとも一つの大入賞口とを備え、
前記第1特別図柄抽選及び前記第2特別図柄抽選の各抽選処理、並びに、前記可変入賞装置を前記第2開放作動態様にて作動させることにより前記第2始動口への入賞を容易にする時短状態か前記可変入賞装置を前記第1開放作動態様にて作動させることにより前記第2始動口への入賞を困難にする非時短状態かの決定処理を含む遊技制御を担う制御装置を備える弾球遊技機であって、
前記制御装置は、
前記非時短状態下における前記第1特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後に、前記時短状態に突入させる時短突入手段と、
前記時短状態下における前記第1又は第2特別図柄抽選での当選が最大限連続する上限回数を規制し、この上限回数に達する前記第1又は第2特別図柄抽選での当選があると、前記非時短状態に復帰作動させるリミッタ手段と、
前記リミッタ手段が作動することとならない条件下で且つ前記時短状態下における前記第1又は第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後に、前記時短状態を維持させる時短維持手段と、
前記非時短状態下における前記第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後には前記時短状態に突入させない時短非突入手段と、
前記第1特別図柄抽選の起動時に取得する第1特別図柄抽選データを所定上限内で記憶し、該第1特別図柄抽選データの判定を実行する毎に記憶領域に空を設ける第1保留手段と、
前記第2特別図柄抽選の起動時に取得する第2特別図柄抽選データを所定上限内で記憶し、該第2特別図柄抽選データの判定を実行する毎に記憶領域に空を設ける第2保留手段と、
前記第2保留手段に前記第2特別図柄抽選データの記憶がある場合、前記第1保留手段に前記第1特別図柄抽選データの記憶があっても、前記第2特別図柄抽選データの判定結果を導出させ、前記第2保留手段に前記第2特別図柄抽選データの記憶がなく且つ前記第1保留手段に前記第1特別図柄抽選データの記憶がある場合、前記第1特別図柄抽選データの判定結果を導出させる第2特別図柄抽選優先導出手段とを含むことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項3】
遊技盤に、入賞により第1特別図柄抽選を起動させる第1始動口と、相対的に入賞困難な第1開放作動態様と相対的に入賞容易な第2開放作動態様とに作動変更可能とした可変入賞装置から成り且つ内部への球の入賞により第2特別図柄抽選を起動させる第2始動口と、前記第1特別図柄抽選及び前記第2特別図柄抽選での各判定結果を所定の図柄変動を経て導出させる第1及び第2特別図柄表示装置と、前記第1特別図柄抽選又は前記第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技時に開放させる少なくとも一つの大入賞口とを備え、
前記第1特別図柄抽選及び前記第2特別図柄抽選の各抽選処理、並びに、これら各抽選での当選確率を相対的に低値とする低確遊技か相対的に高値とする高確遊技かの決定処理、前記可変入賞装置を前記第2開放作動態様にて作動させることにより前記第2始動口への入賞を容易にする時短状態か前記可変入賞装置を前記第1開放作動態様にて作動させることにより前記第2始動口への入賞を困難にする非時短状態かの決定処理を含む遊技制御を担う制御装置を備える弾球遊技機であって、
前記制御装置は、
前記第1又は第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後に、前記高確遊技に突入させる高確突入手段と、
前記非時短状態下における前記第1特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後に、前記時短状態に突入させる時短突入手段と、
前記高確遊技下における前記第1又は第2特別図柄抽選での当選が最大限連続する上限回数を規制し、この上限回数に達する前記第1又は第2特別図柄抽選での当選があると、前記低確遊技で且つ前記非時短状態に復帰作動させるリミッタ手段と、
前記リミッタ手段が作動することとならない条件下で且つ前記時短状態下における前記第1又は第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後に、前記時短状態を維持させる時短維持手段と、
前記非時短状態下における前記第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後、所定の振分け率に従い、前記時短状態又は前記非時短状態何れかに振り分ける時短振分手段と、
前記第1特別図柄抽選の起動時に取得する第1特別図柄抽選データを所定上限内で記憶し、該第1特別図柄抽選データの判定を実行する毎に記憶領域に空を設ける第1保留手段と、
前記第2特別図柄抽選の起動時に取得する第2特別図柄抽選データを所定上限内で記憶し、該第2特別図柄抽選データの判定を実行する毎に記憶領域に空を設ける第2保留手段と、
前記第2保留手段に前記第2特別図柄抽選データの記憶がある場合、前記第1保留手段に前記第1特別図柄抽選データの記憶があっても、前記第2特別図柄抽選データの判定結果を導出させ、前記第2保留手段に前記第2特別図柄抽選データの記憶がなく且つ前記第1保留手段に前記第1特別図柄抽選データの記憶がある場合、前記第1特別図柄抽選データの判定結果を導出させる第2特別図柄抽選優先導出手段とを含むことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項4】
遊技盤に、入賞により第1特別図柄抽選を起動させる第1始動口と、相対的に入賞困難な第1開放作動態様と相対的に入賞容易な第2開放作動態様とに作動変更可能とした可変入賞装置から成り且つ内部への球の入賞により第2特別図柄抽選を起動させる第2始動口と、前記第1特別図柄抽選及び前記第2特別図柄抽選での各判定結果を所定の図柄変動を経て導出させる第1及び第2特別図柄表示装置と、前記第1特別図柄抽選又は前記第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技時に開放させる少なくとも一つの大入賞口とを備え、
前記第1特別図柄抽選及び前記第2特別図柄抽選の各抽選処理、並びに、前記可変入賞装置を前記第2開放作動態様にて作動させることにより前記第2始動口への入賞を容易にする時短状態か前記可変入賞装置を前記第1開放作動態様にて作動させることにより前記第2始動口への入賞を困難にする非時短状態かの決定処理を含む遊技制御を担う制御装置を備える弾球遊技機であって、
前記制御装置は、
前記非時短状態下における前記第1特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後に、前記時短状態に突入させる時短突入手段と、
前記時短状態下における前記第1又は第2特別図柄抽選での当選が最大限連続する上限回数を規制し、この上限回数に達する前記第1又は第2特別図柄抽選での当選があると、前記非時短状態に復帰作動させるリミッタ手段と、
前記リミッタ手段が作動することとならない条件下で且つ前記時短状態下における前記第1又は第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後に、前記時短状態を維持させる時短維持手段と、
前記非時短状態下における前記第2特別図柄抽選での当選に基づく大当たり遊技後、所定の振分け率に従い、前記時短状態又は前記非時短状態何れかに振り分ける時短振分手段と、
前記第1特別図柄抽選の起動時に取得する第1特別図柄抽選データを所定上限内で記憶し、該第1特別図柄抽選データの判定を実行する毎に記憶領域に空を設ける第1保留手段と、
前記第2特別図柄抽選の起動時に取得する第2特別図柄抽選データを所定上限内で記憶し、該第2特別図柄抽選データの判定を実行する毎に記憶領域に空を設ける第2保留手段と、
前記第2保留手段に前記第2特別図柄抽選データの記憶がある場合、前記第1保留手段に前記第1特別図柄抽選データの記憶があっても、前記第2特別図柄抽選データの判定結果を導出させ、前記第2保留手段に前記第2特別図柄抽選データの記憶がなく且つ前記第1保留手段に前記第1特別図柄抽選データの記憶がある場合、前記第1特別図柄抽選データの判定結果を導出させる第2特別図柄抽選優先導出手段とを含むことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項5】
前記第2始動口は、前記第1始動口の右側となる前記遊技盤の右領域に配置している請求項1〜4何れか一項に記載の弾球遊技機。
【請求項6】
前記大入賞口は、前記遊技盤の右領域における前記第2始動口の下方に配置している請求項5記載の弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−99653(P2013−99653A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−41318(P2013−41318)
【出願日】平成25年3月1日(2013.3.1)
【分割の表示】特願2008−268349(P2008−268349)の分割
【原出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(000169477)高砂電器産業株式会社 (294)
【Fターム(参考)】