説明

形態可変式照射部を有するマイクロ波治療機器

【課題】
患部の面積及び形状等に応じて照射部の形態を変更し、マイクロ波を漏れなく患部に集中的に照射し効果的な温熱治療を可能とすると共に操作の利便性を向上させたマイクロ波治療機器を提供すること。
【解決手段】
マイクロ波を照射する照射部1を有するマイクロ波治療機器において、照射部1を複数の分割ユニットから構成し、隣接する分割ユニット間を回動固定可能に連結し、前記複数の分割ユニットで形成される照射部1の形態を可変としたことを特徴とする形態可変式照射部を有するマイクロ波治療機器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織にマイクロ波を照射して温熱治療を行うマイクロ波治療機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術である実公平3−41722号公報には、スリットアンテナのスリットを穿設してなるスリット面にスリットを開閉する可動戸を摺接設置し、可動戸で複数個のスリットを適宜個数開口又は閉塞するスリットアンテナを用いたマイクロ波治療装置が開示されている。
【0003】
上記従来技術は、数個のスリットを常時開口し、可動戸の摺動で残りのスリットを開閉させる構成であるので、患部面積に応じてマイクロ波を照射できるという利点があるが、患部の面積及び形状に応じてアンテナの形態を可変とする構成は具備していないので、或る範囲の患部を治療する際に、当該患部を包囲するようにアンテナを配置することはできず、従って、空気中に漏出し損失するマイクロ波量を低減し治療目的とする患部にマイクロ波を集中的に照射することは不可能であるといった問題点を有していた。
【0004】
又、特開2001−299938号公報には、膝や足関節等を加温するときには、2出力の装置を用い、2つの照射部で患部の両側から挾むようにして、両方の照射部から同時にマイクロ波を照射して治療する方法がとられている旨が記載されている。
【0005】
しかしながら、上記従来のマイクロ波治療器においては、患部の治療を行う際に、2つの照射部で患部を挟み込むように二つの照射部を適切な対向位置に配置する操作が必要であり、操作が煩わしく手間が掛かり利便性に優れないといった問題点を抱えていた。
【特許文献1】実公平3−41722号
【特許文献2】特開2001−299938号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、患部を有する人体の面積及び形状等に応じて照射部の形態を変更し、空気中に漏出し損失するマイクロ波量を減少させながら効果的な温熱治療を可能とすると共に操作の利便性を向上させたマイクロ波治療機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現する為、本発明は、マイクロ波を照射する照射部1を有するマイクロ波治療機器において、照射部1を複数の分割ユニットから構成し、隣接する分割ユニット間を回動固定可能に連結し、前記複数の分割ユニットで形成される照射部1の形態を可変できるようにした。
【0008】
そして、形態可変式照射部を有するマイクロ波治療機器の実施形態を、複数の分割ユニットのうち、一つの分割ユニットにアンテナ素子4を配設し、残りの分割ユニットにアンテナ素子4から発生されるマイクロ波を反射する反射部材5を配設するものとした。
【0009】
他の実施形態では、複数の分割ユニットのうち、少なくとも二つ以上の分割ユニットにそれぞれアンテナ素子4を配設するものとした。
【0010】
他の実施形態では、アンテナ素子4を有する複数の分割ユニットが相互に同一面方向にある時、各アンテナ素子4から照射されるマイクロ波を同旋方向の円偏波とした。
【0011】
他の実施形態では、アンテナ素子4相互間での照射マイクロ波の交信レベルを軽減するようにマイクロ波の偏波面の角度差を設定した。
【0012】
他の実施形態では、各アンテナ素子4から照射されるマイクロ波の総電力量を常時一定とする制御を行うものとした。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、照射部1を複数の分割ユニットから構成し、隣接する分割ユニット間を回動固定可能に連結し、前記複数の分割ユニットで形成される照射部1の形態を可変できる構成としたから、治療に際して、患部を有する人体の面積及び形状等に応じて照射部の形態を、患部を包囲するように適宜変更調節でき、患部の広範囲に亘ってマイクロ波を照射でき、空気中に漏出するマイクロ波量を低減させながら患部に集中してマイクロ波を照射でき、効果的な治療が行える。又、本発明は、患部に集中してマイクロ波を照射できるものとしたので従来よりも治療時間の短縮が期待できるものである。
【0014】
本発明は、複数の分割ユニットのうち、一つの分割ユニットにアンテナ素子4を配設し、残りの分割ユニットにアンテナ素子4から発生されるマイクロ波を反射する反射部材5を配設する構成としたものであり、例えば、分割ユニットを三個のユニットから構成し、中央ユニットにアンテナ素子4を、左右のユニットに反射部材5を配設した場合では、照射部1を略コ字状形態になしマイクロ波照射を行うことで空気中に拡散して漏出するマイクロ波を減少でき、照射に要する電力を低く抑えることができ、治療機器の消費電力を低減することが可能となる。又、前記形態になすことで、マイクロ波の不要輻射を低減でき、本治療機器の周囲に設置される他の治療機器及び他者の人体への輻射による悪影響を軽減できる。
【0015】
従来の二基の照射部(具体的にはヘリカルアンテナ)を有するマイクロ波治療器において、上下肢関節等の治療を行う際には、上下肢関節を挟むように二基の照射部を対向させる操作が必要であり、当該操作に手間が掛かるといった問題点を有していた。しかし、本発明では、複数の分割ユニットのうち、少なくとも二つ以上の分割ユニットにそれぞれアンテナ素子4を配設した構成であるから、例えば、分割ユニットを三個のユニットから構成し、両端左右のユニットにアンテナ素子4を配設したような場合では、手動にてアンテナ素子4を有する両端左右の分割ユニットを、上下肢関節を介して相互に略対向する位置に変更するだけの簡単な形態変更操作で容易に治療準備が行え、施療者の作業負担を軽減できる。
【0016】
本発明は、アンテナ素子4を有する複数の分割ユニットが互いに同一面方向(フラット状態)にある時、各アンテナ素子4から照射されるマイクロ波を同旋方向の円偏波としたものであるから、例えば、アンテナ素子4を有する二個の分割ユニットを略対向する位置関係となるように照射部1の形態を変更すると、各アンテナ素子4から照射されるマイクロ波は、互いに逆旋方向の円偏波となり、一方のアンテナ素子から出力されるマイクロ波による他方のアンテナ素子への影響を低減することができ、一方のアンテナ素子から出力されたマイクロ波が他方の出力素子群(アンテナ素子、同軸ケーブル、マグネトロン)に伝播し当該マイクロ波により前記出力素子が破損するといった不都合な事態を軽減できる。
【0017】
又、アンテナ素子4相互間での照射マイクロ波の交信レベルを軽減するようにマイクロ波の偏波面の角度差を設定、例えば、アンテナ素子4から出力される円偏波の偏波面の角度差を0°及び180°を除く角度差に設定することで、アンテナ素子4を有する二個の分割ユニットを略対向する位置関係になした際に、一方のアンテナ素子から出力されるマイクロ波が他方のアンテナ素子にて受信され難いものとなり、故に、一方のアンテナ素子から出力されたマイクロ波が他方の出力素子群に伝播し当該マイクロ波により前記出力素子が破損するといった不都合な事態をより一層軽減できる。
【0018】
本発明は、複数のアンテナ素子4から出力されるマイクロ波の総電力を常時一定とするよう制御を行うので治療機器の消費電力を低減できる。又、複数のアンテナ素子4を一箇所の患部に対して同時併用して治療を行う際、施療者は各アンテナ素子4からの出力強度を個々に適宜調整すること無く、各アンテナから照射されるマイクロ波が一点に集中し干渉することで生じる局部加熱現象によって患者が火傷等の損傷を被る事態を防止でき、従って施療者の作業負担を軽減でき、且つ安全に治療が行え好都合である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
患部を有する人体の面積及び形状等に応じて照射部の形態を変更し、空気中に漏出し損失するマイクロ波量を減少させながら効果的な温熱治療を可能とすると共に操作の利便性を向上させたマイクロ波治療機器を提供するという目的を、マイクロ波を照射する照射部1を有するマイクロ波治療機器において、照射部1を複数の分割ユニットから構成し、隣接する分割ユニット間をヒンジ6にて回動固定可能に連結し、前記複数の分割ユニットで形成される照射部1の形態を可変することにより実現した。
【実施例1】
【0020】
以下、本発明の実施例1を図1及び図2を参照して説明する。
図1はマイクロ波治療機器2の照射部1の斜視図、図2はマイクロ波治療機器2の照射部1の使用形態を模式的に示す図であり、(a)は照射部1をフラット状になした使用形態、(b)は照射部1を台形状になした使用形態、(c)は照射部1をコ字状になした使用形態を示す図である。
である。
【0021】
マイクロ波治療機器2は、本体部13と、基端部が本体部13に対して回動固定可能に取着される支柱部14と、支柱部14の先端側に取着される照射部1とから構成される。
実施例1は、照射部1を中央ユニット1a・左ユニット1b・右ユニット1cの三個の分割ユニット構成としたものであり、隣接する中央ユニット1aと左ユニット1b間、中央ユニット1aと右ユニット1c間のそれぞれ上下二箇所をヒンジ6にて回動固定可能に連結している。尚、分割ユニット間の回動固定手段はヒンジに限定されることなく、その他の手段を用いても勿論良い。
【0022】
中央ユニット1a内にアンテナ素子4が配設され、該アンテナ素子4は前記マイクロ波治療機器2の本体部内に設けられる発振部3(マグネトロン7)と図示しない同軸ケーブル、又は導波管の伝送線を介して接続される。
発振部3からは2.45GHzのマイクロ波が発生され、該マイクロ波は前記同軸ケーブル又は導波管を経由してアンテナ素子4へ伝送され、アンテナ素子4から患部に向かってマイクロ波が照射される。
【0023】
左・右ユニット1b・1cの表面にはアンテナ素子4から照射されたマイクロ波を反射する金属製素材の反射部材5・5が被覆されている。尚、図示は省略するが、反射部材5・5を左・右ユニット1b・1cの内部に適宜配設してもよい。
アンテナ素子4から空中照射されたマイクロ波の一部は左・右ユニット1b・1c表面に設けられた反射部材5・5によって、人体方向に向かって反射される。
【0024】
実施例1のマイクロ波治療機器2の使用に際しては、温熱治療すべき患部の面積・形状等に応じて、患部周辺をユニット1a乃至1cで包囲するように、手動にて照射部1の形態を適宜変更する。照射部1の初期状態は、通常図2(a)に示すようにユニット1a乃至1cが互いに同一面方向(フラット状態)に配置されているものとする。
【0025】
ここで、例えば幅広面積の人体の患部Aを温熱治療する際には、図2(b)に示すように患部Aの対面位置にアンテナ素子4が配設されたユニット1aを配置し、ユニット1bとユニット1cをユニット1aに対してマイクロ波の照射方向側へ回転させ、互いに平面視ハ字形状の配置になし、ユニット1a乃至1c全体で患部Aの一側方を包囲する態様となるよう照射部1の形態を変更する。
【0026】
又、患部Aより幅狭面積の人体の患部Bを温熱治療する際には、図2(c)に示すように、ユニット1bとユニット1cをユニット1aに対してマイクロ波の照射方向側へ回転させ互いに平行状の配置になし、ユニット1a乃至1c全体で患部Bの一側方を包囲する形態とする。
【0027】
発振部3からマイクロ波を発生させ、アンテナ素子4から患部に向かってマイクロ波を照射し、温熱治療を施す。上述したように患部の一側方をユニット1a乃至1c全体で包囲した形態で治療が行えるので、空気中に拡散して漏出するマイクロ波量を低減でき、患部に集中的にマイクロ波を照射でき、効果的な温熱治療が可能となる。
【実施例2】
【0028】
次に、本発明の実施例2を図3乃至図5に示す。図3は実施例2のマイクロ波治療機器2の照射部1を示す斜視図であり、図4は実施例2のマイクロ波治療機器2の照射部1の使用形態を模式的に示す平面図であり、(a)は照射部1をフラット状になした使用形態、(b)は照射部1を略台形状になした使用形態を示す図であり、図5は実施例2のマイクロ波治療機器2の電気的構成を示すブロック図である。
【0029】
実施例2は、図3に示すように実施例1の照射部1における左ユニット1b及び右ユニット1cにそれぞれ第一・第二アンテナ素子4a・4bを配設し、中央ユニット1a表面に反射部材5を被覆した構成である。
【0030】
図4(a)に示すようにユニット1a乃至1cが互いにフラット状態にある時、第一アンテナ素子4a及び第二アンテナ素子4bから患部に向かって照射されるマイクロ波は、互いに同旋方向の円偏波(左旋円偏波又は右旋円偏波)となるように第一・第二アンテナ素子4a・4bがそれぞれユニット1b・1c内に配設されている。この場合、円偏波を発生する第一・第二アンテナ素子4a・4bには、例えば、公知のヘリカルアンテナの他,プリント基盤にアンテナを形成したパッチアンテナを用いることができる。尚、アンテナ素子4a・4bは前記のアンテナ類に限定されることはなく、円偏波を発生するアンテナ素子であればどのようなものを採用してもよい。
【0031】
従って、患部を有する人体の面積・形状等に応じて、ユニット1bとユニット1cが互いに略対向する位置関係となるように照射部1の形態を変更する(図4(b))と、第一・第二アンテナ素子4a・4bから照射されるマイクロ波は、互いに逆旋方向の円偏波となる。
【0032】
更に、第一アンテナ素子4aと第二アンテナ素子4b相互間での照射マイクロ波の交信レベルを軽減化する為、第一アンテナ素子4aと第二アンテナ素子4bから照射される円偏波の偏波面が0°及び180°を除く角度差となるように設定されており、一方のアンテナ素子から出力されるマイクロ波による他方のアンテナ素子への影響を低減する配慮がなされている。
即ち、ユニット1bとユニット1cを互いに略対向位置になした際(図4(b)の形態)に、第一アンテナ素子4aから出力されたマイクロ波がアンテナ素子4bにて受信され難いように配慮がなされ、従って、アンテナ素子4bが受信した多量のマイクロ波が同軸ケーブル(図示省略)を伝播しマグネトロン7に到達することでアンテナ素子4b・同軸ケーブル・マグネトロン7の諸々の出力素子が破損するといった不都合な事態が発生しないようになっている。同様に、第二アンテナ素子4bから出力されたマイクロ波によりアンテナ素子4a・同軸ケーブル(図示省略)・マグネトロン7の諸々の出力素子が破損する事態も防止できる。
【0033】
実施例2のマイクロ波治療機器2の使用に際して、例えば膝関節又は肘関節等の患部を温熱治療する際には、照射部1を図4(b)に示す形態に適宜変更することで、従来の二基の照射部で患部を挟んで治療する技術に比して、空気中に拡散して漏出するマイクロ波量を減少させながら患部の両側方向から十分なマイクロ波を照射でき効果的な温熱治療が施せる。
【0034】
更に、実施例2のマイクロ波治療機器2は、一基の照射部1が有するユニット1b・1cをユニット1aに対して回転させるだけの簡単な操作で容易且つ迅速に治療準備が行え、従来技術のように二基の照射部で患部を挟み込むという煩わしい操作・調節が不要となる。
【0035】
又、実施例2のマイクロ波治療機器2においては、第一アンテナ素子4aと第二アンテナ素子4bから照射されるマイクロ波の総電力量が常時一定となるよう制御が行われている。
第一アンテナ素子4aと第二アンテナ素子4bから照射されるマイクロ波の電力量合計の上限値を、総電力量設定部12にて設定する。出力割合調節部9にて、第一アンテナ素子4aと第二アンテナ素子4bのそれぞれから照射されるマイクロ波の電力量比を設定する。
【0036】
第一・第二アンテナ素子4a・4bはそれぞれ、図示しない同軸ケーブル、又は導波管を介してマグネトロン7・7に接続されている。
出力制御回路10(具体的にはマイコン)は、第一・第二アンテナ素子4a・4bからの出力が上記電力量比となるように電源部11からマグネトロン7・7に印加される電力を制御する。出力強度調節部8(出力強度調整摘み)にて、第一・第二アンテナ素子4a・4bから出力されるマイクロ波の出力強度を増減調節する。
【0037】
例えば、前記総電力量設定部12にて二基の第一・第二アンテナ素子4a・4bから出力されるマイクロ波の電力量の合計を100Wに設定し、出力割合調節部9にて第一・第二アンテナ素子4a・4bの電力量比を1:3に設定すると、第一・第二アンテナ素子4a・4bから照射されるマイクロ波の最大電力量はそれぞれ25W、75Wとなる。
【0038】
出力強度調節部8で出力強度を増加させると、第一・第二アンテナ素子4a・4bからの出力は上述した1:3の電力量比を維持しながら連動して増加する。逆に、出力強度を減少させると、第一・第二アンテナ素子4a・4bからの出力は1:3の電力量比を維持しながら連動して減少する。
【実施例3】
【0039】
図6に本発明の実施例3を示す。図6は実施例3のマイクロ波治療機器2の照射部1の使用形態を模式的に示す平面図であり、(a)は照射部1をフラット状になした使用形態、(b)は照射部1を略口字形状になした使用形態を示す図である。
実施例3は、図6(a)に示すように、照射部1を第一・第二・第三・第四ユニット1d・1e・1f・1gの四個の分割ユニットから構成し、第二・第三ユニット1e・1f内にそれぞれ第一・第二アンテナ素子4a・4bを配設し、第一・第四ユニット1d・1g表面に反射部材5・5を被覆したものである。尚、図示は省略するが、第一・第二ユニット1d・1e間、第二・第三ユニット1e・1f間、第三・第四ユニット1f・1g間がそれぞれヒンジにて回動固定可能に連結されている。
【0040】
実施例3では、例えば、図6(b)に示すような照射部1の形態を採ることが可能となるので、空気中に漏出するマイクロ波をより減少させながら温熱治療が行え、照射に要する電力を低く抑えることができ、故に、治療機器の消費電力を低減することができ好都合である。又、本治療機器の周囲に設置される他の治療機器及び人体への輻射による悪影響もより軽減できる。
【実施例4】
【0041】
図7に、実施例4のマイクロ波治療機器2の照射部1の斜視図を示す。実施例4では照射部1を計五個の分割ユニットから構成し、中央ユニット1aの左右上下端にそれぞれ左・右・上・下ユニット1b・1c・1h・1iの基端を二個のヒンジ6・6にて回動固定可能に連結し、左・右・上・下ユニット1b・1c・1h・1iにそれぞれ第一・第二・第三・第四アンテナ素子4a・4b・4c・4dを配設したものである。従って、実施例4では照射部1の形態変更バリエーションを、患部を有する人体の面積及び形状等に応じてより多彩に変更調節することができ、左右上下方向からマイクロ波を患部に対して集中的に照射でき、より効果的な治療が可能となる。
【0042】
尚、実施例1及び2においては、照射部1を三個の分割ユニットから構成する態様を、実施例3では四個の分割ユニットから構成する態様を、実施例4では五個の分割ユニットからなる態様を説明したが、本発明は上記の実施例1乃至4で述べた構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において分割ユニット・アンテナ素子4・反射部材5の形状や個数、アンテナ素子4及び反射部材5の分割ユニットへの配設位置等を適宜変更できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、生体組織にマイクロ波を照射して温熱治療を行うマイクロ波治療機器の照射部に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例1のマイクロ波治療機器を示す斜視図である。
【図2】実施例1のマイクロ波治療機器の照射部の使用形態を模式的に示す平面図であり、(a)は照射部をフラット状になした使用形態、(b)は照射部を台形状になした使用形態、(c)は照射部をコ字形状になした使用形態を示す図である。
【図3】実施例2のマイクロ波治療機器の照射部を示す斜視図である。
【図4】実施例2のマイクロ波治療機器の照射部の使用形態を模式的に示す平面図であり、(a)は照射部をフラット状になした使用形態、(b)は照射部を略台形状になした使用形態を示す図である。
【図5】実施例2のマイクロ波治療機器の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】実施例3のマイクロ波治療機器の照射部の使用形態を模式的に示す平面図であり、(a)は照射部1をフラット状になした使用形態、(b)は照射部を略口字形状になした使用形態を示す図である。
【図7】実施例4のマイクロ波治療機器の照射部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 照射部
4 アンテナ素子
5 反射部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波を照射する照射部1を有するマイクロ波治療機器において、照射部1を複数の分割ユニットから構成し、隣接する分割ユニット間を回動固定可能に連結し、前記複数の分割ユニットで形成される照射部1の形態を可変としたことを特徴とする形態可変式照射部を有するマイクロ波治療機器。
【請求項2】
複数の分割ユニットのうち、一つの分割ユニットにアンテナ素子4を配設し、残りの分割ユニットにアンテナ素子4から発生されるマイクロ波を反射する反射部材5を配設したことを特徴とする請求項1記載の形態可変式照射部を有するマイクロ波治療機器。
【請求項3】
複数の分割ユニットのうち、少なくとも二つ以上の分割ユニットにそれぞれアンテナ素子4を配設したことを特徴とする請求項1記載の形態可変式照射部を有するマイクロ波治療機器。
【請求項4】
アンテナ素子4を有する複数の分割ユニットが相互に同一面方向にある時、各アンテナ素子4から照射されるマイクロ波を同旋方向の円偏波としたことを特徴とする請求項3記載の形態可変式照射部を有するマイクロ波治療機器。
【請求項5】
アンテナ素子4相互間での照射マイクロ波の交信レベルを軽減するようにマイクロ波の偏波面の角度差を調整したことを特徴とする請求項3記載の形態可変式照射部を有するマイクロ波治療機器。
【請求項6】
各アンテナ素子4から照射されるマイクロ波の総電力量を常時一定とすることを特徴とする請求項3記載の形態可変式照射部を有するマイクロ波治療機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−543(P2006−543A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182356(P2004−182356)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000103471)オージー技研株式会社 (109)
【Fターム(参考)】