説明

後輪優先自転車ブレーキ制御装置

【課題】一般の自転車では、手加減により前輪、後輪のブレーキ力を調整して車体の安定性を保っているが、前輪のみブレーキをかけた時や急ブレーキ時は、どうしても前輪のブレーキがきき過ぎることから車体がぶれる。その危険な状況に陥ることを抑制する構造を提供する。
【解決手段】ブレーキワイヤ同士を金具でかみ合わせることにより、後輪ブレーキレバー3の操作では後輪ブレーキのみ動作し、前輪ブレーキレバー2の操作では、前輪ブレーキワイヤの動きに後輪ブレーキワイヤを連動させ、ワイヤの引っ張りを後輪ブレーキが前輪ブレーキより早めに効くように調整した状態で、後輪ブレーキを前輪ブレーキに対して優先的に効かせることができることから車体のぶれを抑えることにより、危険な状況に陥ることを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車の急ブレーキ時、車体の安定性を低コストで高める装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、二輪車の急ブレーキ時の安定性を保つシステムとしては、特開平4−143154や特開平7−81645にあるように、自動二輪車及び原動機付き自転車の油圧式ブレーキを対象として、後輪を優先的に制動する方式が提案されている。
【0003】
この方式では、前輪ブレーキレバー操作のブレーキ系統と後輪ブレーキレバー操作のブレーキ系統は独立しており、前輪ブレーキレバーを引いたとき前輪と後輪のブレーキの油圧をコントロールすることにより、後輪優先のブレーキを実現している。後輪ブレーキレバーを引いたときは、独立したブレーキで後輪のみかかる仕組みである。
【0004】
本発明のような前輪、後輪のブレーキワイヤを直接連動させることにより、後輪を優先的に制動する方式の装置はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開平4−143154号公報
【0006】
【特許文献2】 特開平7−81645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の油圧制御の方式のように、油圧方式を採用している自動二輪車や原動機付き自転車を対象とした後輪優先のブレーキ方式はあるが、一般の自転車を対象とした後輪優先のブレーキ装置はなかった。
【0008】
このため一般の自転車では、手加減により前輪、後輪のブレーキ力を調整して車体の安定性を保っているが、前輪のみブレーキをかけた時や急ブレーキ時は、どうしても前輪のブレーキがきき過ぎることから車体がぶれ、時として車体がひっくり返るなど危険な状況に陥ることにもなっていた。本発明は、この課題を解消するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の装置を自転車の前輪、後輪のブレーキワイヤが交差する部分に取り付け、ブレーキワイヤ同士を金具でかみ合わせることにより、後輪ブレーキレバーの操作では後輪ブレーキのみ動作し、前輪ブレーキレバーの操作では、前輪ブレーキワイヤの動きに後輪ブレーキワイヤを連動させ、ワイヤの引っ張りを後輪ブレーキが前輪ブレーキより早めに効くように調整した状態で、後輪ブレーキを前輪ブレーキに対して優先的に効かせることができることから車体のぶれを抑えることにより、危険な状況に陥ることを抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の装置を使用することにより、前輪ブレーキレバーのみを引いた時でも後輪のブレーキが優先的に効き始め、遅れて前輪のブレーキが効くことになり車体のぶれを抑えることができる。また、前輪ブレーキレバーのみを引くと、後輪のブレーキも操作するため、前輪のみのブレーキ時と比較してより力が必要であることから、ブレーキが重く感じられる。この力は、後輪ブレーキレバーを操作すれば軽くなるため、自然と後輪ブレーキレバーを始めに引く癖がつくことになり、結果として自転車の安全運転に寄与することとなる。
【発明の実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図2に基づいて説明する。
【0012】
図1のように、制御装置を前輪ブレーキケーブルと後輪ブレーキケーブルが交差する位置に置き、装置内部の前輪ブレーキワイヤ6を鉄片8に、後輪ブレーキワイヤ7を鉄片9にネジ10で止め、固定する。
【0013】
抑えローラ12は鉄片8の上下動を滑らかにするもので、案内ローラー13は前輪、後輪のブレーキワイヤを滑らかに動かすものである。
弾性体11は通常のブレーキの力に対して堅めに設定する。
また、前輪及び後輪ブレーキ本体のワイヤ留めを調整して前輪、後輪のブレーキハンドルを同じ長さ引いたとき、後輪からブレーキが聞き始めるように調整しておく。
【0014】
前輪ブレーキレバーを2を引くと鉄片8が弾性体11を介して鉄片9を上方向に押し上げ後輪のブレーキワイヤ7を引っ張ることになり、後輪がまずブレーキがかかり始め、さらにブレーキレバー2を引くと前輪のブレーキがかかり始める。
後輪のブレーキワイヤが最大に引かれた状態でも、前輪ブレーキレバーをさらに引くと弾性体11が押しつぶされて、前輪ブレーキワイヤ6を確実に最後まで引くことができる。
【0015】
後輪ブレーキレバーを引けばブレーキワイヤ7のみが引っ張り上げられ、後輪のブレーキのみ作動する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】 本発明のブレーキ制御装置の自転車への取付図
【図2】 本発明の実施例の内部外観図
【符号の説明】
【0017】
1 ブレーキ制御装置本体
2 前輪ブレーキレバー
3 後輪ブレーキレバー
4 前輪ブレーキケーブル
5 後輪ブレーキケーブル
6 前輪ブレーキワイヤ
7 後輪ブレーキワイヤ
8 前輪鉄片
9 後輪鉄片
10 ワイヤ取付ねじ
11 弾性材
12 抑えローラー
13 案内ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車の前輪、後輪のブレーキワイヤが交差する部分に取り付け、両方のブレーキワイヤ同士を金具でかみ合わせることにより、後輪ブレーキレバーの操作では後輪ブレーキのみ動作し、前輪ブレーキレバーの操作では、前輪ブレーキワイヤの動きに後輪ブレーキワイヤを連動させ、ブレーキワイヤの引っ張りを後輪ブレーキが前輪ブレーキより早めに効くように調整した状態で、後輪ブレーキが前輪ブレーキに対して優先的に効くようにした自転車ブレーキ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−91760(P2012−91760A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251250(P2010−251250)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000173854)公益財団法人日本交通管理技術協会 (3)