説明

従圧式呼吸システムのためのエアロゾル送達装置、方法および組成物

エアロゾル化薬剤送達のための改善された従圧式呼吸システムと、呼吸器疾患治療のための方法および組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は従圧式呼吸システムを通じて患者の呼吸器系へ薬物を送達するための装置、方法および組成物に関する。本発明の一側面は、エアロゾルジェネレータ(好ましくは吸入器)と持続的気道内正圧(「CPAP」)システムを連結するための装置、および方法を対象とする。本発明の他の側面は、従圧式呼吸システムに連結された患者へのエアロゾル化薬剤の送達改善のための装置および方法を対象とする本発明の他の側面は、呼吸器疾患治療のため、特に肺サーファクタント補充療法を使用して治療される疾病の方法および組成物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
従圧式呼吸システムおよび治療法を使用することは、成人および小児の呼吸器障害のための、人工呼吸療法方法の従来方式である。特に、経鼻持続正圧呼吸(「nCPAP」)の呼吸支援と、吸入式薬物(「好ましくはサーファクタント」)を連結した同時治療が、早産児(「新生児」)の新生児呼吸窮迫症候群(「iRDS」)の治療においてさまざまな利点があると報告されている。例えば、新生児呼吸窮迫症候群を持つ早産児における経鼻持続正圧呼吸の早期適用とエアロゾル化サーファクタントを使っての早期治療は、機械的および感染上のリスクと病態生理学的効果を伴う、人工呼吸の必要性の減少に効果的であることが判明している。例えば、非特許文献1、非特許文献2、及び非特許文献3を参照。
【0003】
ここで使用される用語、「従圧式呼吸システム」は、持続的または断続的な圧力、通常は正圧力(すなわち、大気圧などのある基準を超える圧力)を、肺への気体の移動を促進させる手段として、気体または吸息中の患者の気道へ、適用する人工呼吸システムを意味する。本発明では、いかなる従圧式呼吸システムも有益であると考えられ、またこの用語は、例えば、標準的なCPAP(持続的気道内正圧)、nCPAP(経鼻持続正圧呼吸)、バイレベルCPAPシステムに加え、患者のために呼吸機能を実行する、および/または患者による自発呼吸を補助するためのCPAPを提供する人工呼吸器を含むことを意図する。また、この用語は侵襲的および非侵襲的システムを含むことを意図する。侵襲的従圧呼吸システムの例としては、気管内または気管切開チューブを利用するシステムが挙げられる。非侵襲的従圧呼吸システムの例としては、鼻チューブまたはマスクを利用するシステムが挙げられる。
【0004】
従圧呼吸システムは、肺気量の増加および維持のために、そして患者による呼吸作業減少のために吸息中に正圧を使用する。正圧は効果的に気道を拡張させ、虚脱を防ぐ。気道内正圧の送達は、酸素または酸素を含む気流を、鼻チューブ(カニューレ)、上咽頭チューブ、気管内チューブ、マスクなどの患者インターフェイスデバイスに連結した柔軟な管を通じて提供する正の気流源(「フロージェネレータ」)の利用によって達成される。CPAP装置は一般的に、患者インターフェイスデバイスが取り付けられた回路を出る気体の量を調節する制限的な空気排出機器、例えば固定した穴、スレッシュホールドレジスタ、圧力バルブなど、を用いて持続的な気道内正圧を保持および制御する。この圧力調整装置は患者インターフェイスデバイスの前または後ろに配置されてもよく、主圧力発生回路を画定する。
【0005】
市販の従圧式呼吸システムに関連するチューブは、回路の要素間の流体連通を持続することにより気体流の「回路」を形成する。チューブは、多様な材料から作られ、固いまたは柔軟な、様々なプラスチック、金属、合成物を含むがこれに限定されるものではない。チューブは、多様な回路の要素に多様な連結装置、補助器具、接合デバイスを使って、取り外し可能の状態または固定状態で、多様な回路の要素に取り付けることができる。これらの要素は、まとめて「接合デバイス」と称される場合がある。
【0006】
このような接合デバイスの一例として、人工呼吸システムが、人工呼吸器から気体の流れを導く吸気管(時々、「吸気レッグ」とも称される)と人工呼吸器または外気へ気体の流れを導き返す呼気管(もしくは「レッグ」)を備える人工呼吸器回路を利用できる。この回路(時々これは「人工呼吸器回路」とも称される)は接合デバイス、通常「Y」または「T」型管状部材を通じて気流の流れを患者インターフェイスデバイスに導く第三の管(「呼吸器回路」)と流体連通状態にある。このような接合デバイスは人工呼吸器回路の吸気管に取り付け可能な第一レッグと人工呼吸器回路の呼気管に取り付け可能な第二レッグ、および呼吸器回路に取り付け可能な第三レッグを備えていてもよい。例えば、吸入器または患者インターフェイスデバイスを人工呼吸器システムの適切な回路へ接続するためにその他の接合デバイスを使用してもよい。
【0007】
従来のCPAP治療の過程においては、患者は概して主要圧力発生回路を通過する全気体流の一部のみを吸息できる。例えば、毎分8リットルのCPAP気体流は咽頭管に通常毎分約2リットルの気流をもたらすと推測されてきた。結果として、CPAP流に導入されたエアロゾル化液剤の25%のみが咽頭に入る。加えて、吸気/呼気の割合を1対2と仮定した場合、この咽頭に入る25%のうちの、約3分の2が呼息中に失われる可能性がある。従って、従来のCPAPシステムでは、少量のみ、例えば噴霧された薬物の10%が、患者のインターフェイスデバイスに入るかもしれない。この浪費、特に非常に高価なサーファクタント薬剤については、従来のCPAPシステムを介しての噴霧化薬剤の投与の費用が日常的臨床用途としては受け入れがたいほど高くなる可能性がある。これらの費用削減のために、従来の技術はエアロゾル化薬物送達方法における改善の必要性を認めた。例えば、噴霧を吸気のみに限定する方法と装置が必要であると提案された。
【0008】
バイレベルシステムは持続的気道内正圧を送達するが、さらに患者の吸気および呼気努力を感知する機能も備えている。これらの努力に応じて、バイレベルシステムは、患者が吸息する際、吸息運動量を軽減するため気道を確保し吸器量を増大するためにより高い吸気圧(IPAP)を送達し、患者が呼息する際には、呼息中に気道と肺を開放するためにより低い吸気圧(EPAP)送達する。従って、バイレベルデバイスは、患者の吸気および呼気努力と同時発生するよう設定された少なくとも2段階の空圧を送達するための圧力感知器および可変圧力調節装置を用いる。バイレベルは、特に乳幼児と小さな子供には、単独でCPAPを使用するより広い範囲の呼吸器障害に有益であると判明している。
【0009】
吸入器内のエアロゾルジェネレータは、人工呼吸器装置を通じて患者の呼吸器系へエアロゾル薬剤を送達するために使用されてきた。例えば、2003年9月9日発行の特許文献1、及び2003年6月18日出願の特許文献2と2002年10月30日出願の特許文献3では、エアロゾル化薬剤を直接、患者の呼吸器系に送達される気流内に放出するための、吸入器を人工呼吸器回路に連結するための装置および方法を述べている。
【0010】
治療を成功させるためには、治療に有効な量のエアロゾル化薬物が患者の肺の目的とする部位に到達することが必須であるが、損失や無駄を最小限に抑えるため薬剤ができる限り効果的な形で送達されることもまた望ましい。治療に有効な薬物が、例えば、人工呼吸器システムに連結した吸入器を使用して患者の気道にエアロゾル形態で送達されるが、治療に有効な量の薬物を系統的に送達するには相当少なく、現行のシステムは未だ非効率性を示している。例えば、人工呼吸器システムおよびその他の従圧式呼吸システムの回路で運搬されるエアロゾル粒子は、チューブ内壁に取り込まれ、不規則な表面、チューブ内の障害物または回路内のその他の要素において沈着することがあり、外径の異なるチューブ間の相互接続に影響を与えるか、または回路内の鋭角的な経路によって方向転換することがある。ひとつの具体例として、エアロゾル粒子は、「Y字」、「T字」、「V字」型などの鋭角的な導管を比較的高い流量で移動している時、「角を曲がる」必要がある。一具体例として、従来の従圧式呼吸システム回路に現在使用されている“Y”、“T”、及び“V”型の接合デバイスをもつ鋭角の導管を比較的高流量で通過移動する時、エアロゾル粒子は“角を曲がる”ことをしなければならない。結果として、エアロゾル粒子は接合デバイスの壁に影響を与え、粒子の一部が主エアロゾル流から多種のポートもしくは回路内の分岐に転換するかもしれない。別の例として、エアロゾル粒子は患者インターフェイスデバイスの接合部や人工呼吸回路に連結した呼吸器管に沈着されるかもしれない、もしくは患者インターフェイスデバイスそれ自体の中で方向転換、沈着するかもしれない。
【0011】
全哺乳類の肺の重要な特徴は、肺胞内の表面活性内張り物質の存在である。これらの表面活性物質はタンパク質・脂質組成分を備える肺サーファクタントである。例、表面活性タンパク質とリン脂質は肺内で自然に生産され、酸素吸収のため肺の能力には必須である。それらは肺の内側に並ぶ空気嚢または肺胞の中に通常存在する液体の表面張力を持続的に緩和することによって呼吸を促進する。肺サーファクタントの非存在下で、もしくは肺サーファクタントの機能性が損なわれるとき、これらの肺胞は虚脱する傾向にあり、結果として肺は十分な酸素の吸収をしなくなる。
【0012】
肺中のサーファクタントの不足もしくは欠損は幼児、および成人の多様な呼吸器疾患を生ずる。例えば、肺サーファクタントの不足は早産児のiRDSを現すことがある。すなわち妊娠32週前に生まれた産児は、必要量の自然肺サーファクタントが十分に発育されていない。肺サーファクタント欠損に関わる疾病は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や喘息、肺炎、急性肺障害(ALI)などの成人呼吸器障害に加え、正期産児が胎内で彼らの初の胎便をし、それを彼らの肺の中に吸引する、胎便吸引症候群(MAS)のような幼児疾病も含めることができる。これらの場合、肺サーファクタント量は正常であるかもしれないが、サーファクタントの特質が異質な物質や外傷、敗血症、その他の感染などによって乱されている。
【0013】
サーファクタント欠乏や機能障害を含む疾病はこれまで肺への表面活性物質の投与で治療されてきており、時にはサーファクタント(補充)療法と称された。例えば、サーファクタント療法は現在、iRDSをもつ新生児の定着した臨床管理の一環となっている。通常これらの表面活性物質は、自然発生または人工合成の肺サーファクタントであるが、ペルフルオロカーボンのような非リン脂質物質でもよい。ここで使用される用語、「肺サーファクタント」および「サーファクタント」は、サーファクタント療法の使用に適するこれらサーファクタント活性物質の全てを意図する。これらの肺サーファクタントは多様な方法で投与可能であり、最も容易な方法は肺サーファクタント溶液の肺内への直接点滴注入である。100mg/kg体重(BW)の初期投与量が、これらの産児の肺サーファクタント欠乏を代償するために通常必要とされ、多くの場合連続治療が必要である。
【0014】
代用の方法としては、エアロゾル化肺サーファクタントを用いた治療法である。肺へのサーファクタントのエアロゾル送達は通常、直接点滴注入より効果が少なく、それは主に送達系での多量のエアロゾルの損失による。従来の送達系では、エアロゾルが肺に到達する量は、粒子のサイズが大きすぎる、すなわち空気動力学的中央粒子径(MMAD)が5μmより大きい場合、エアロゾル送達が遅い呼吸と呼吸停止に合わない場合、又は気道(特に人工気道)が長く狭い場合に、さらに減少されうる。最も従来的な送達系のエアロゾル化サーファクタントの肺送達の推定値は、一般に液状サーファクタントが吸入器に投入された量の1-10%未満であった。
【0015】
しかし、改善されたエアロゾル送達系を用いての動物実験は、効率向上の見込みを示した。エアロゾル法での動物の肺モデルに見られた気体交換と機械的な利点が、点滴注入技法と比べられたが、それらの利点は体重(BW)のわずか100mg/kg(BW)という習慣的な注入量のみで達成された。(非特許文献4を参照。)従来の技術でのエアロゾル送達方法の改善例として、エアロゾルサーファクタントの増加沈着はジェット吸入器の代わりに超音波吸入器を使用して動物モデルで達成された。ジェット噴霧を使用して、わずか0.15-1.6mg/kg体重/時の肺サーファクタント沈着が報告された、約10mg/kg体重/時(50分間の吸入で7-9mg/kg体重)の沈着が、超音噴霧で達成された。例えば、非特許文献5を参照のこと。
【0016】
経鼻持続正圧呼吸システムと肺サーファクタントの早期注入を連結した呼吸支援が、iRDSを有する早産児の治療においてさまざまな利点を有すると報告された。この療法は機械的な及び感染上のリスクと病態生理学的効果とを併せ持つ、人工呼吸の必要性を減少するのに効果的であると判明されたが、それでもサーファクタント治療のための挿管が必要とされる。例えば、非特許文献2を参照。
【0017】
体重5kg未満の乳幼児へ肺サーファクタントのエアロゾルを送達する機会は限られており、その理由の大半は、必要なのが微小容量であり、使用可能なのが比較的に高流量の吸入器と人工呼吸支援装置であったためである。人工呼吸器を使用するしないにかかわらず、早産児は吸入器の投与量の1%未満を、肺に受容したことが実証されてきた。非特許文献6を参照。ほとんどの動物及び体外CPAPモデルが、3%未満の沈着を示しているため、経鼻持続正圧呼吸がより効果的であると提案する実験的データは少ない。
【0018】
CPAPシステムを併用してのサーファクタントエアロゾル療法(ジェット噴霧器を使用)の同時投与は、臨床的に実行可能であり、改善された呼吸パラメータをもたらすことが見出された。非特許文献7及び非特許文献8を参照。しかし、エアロゾル化肺サーファクタントとCPAPシステムに使用されているその他のエアロゾル化薬剤の損失は受け入れがたいほど高く、主として送達システムの継続的な非能率性による。噴霧化されたサーファクタントの10%は、患者の呼吸器系に連結した咽頭管に入ることが期待されていると著者は提案しているが、その送達予測量を測るテストは行われていない。(非特許文献7を参照)。
【0019】
多くの研究が、iRDSを有する乳幼児のエアロゾル化サーファクタントと高頻度人工喚起法の併用を試み、エアロゾル化サーファクタントはまた、気道疾患の治療にも試されて、例えば、嚢胞性繊維症や慢性気管支炎に対しては、どちらも成功がまちまちであり、これもまた使用された送達系の非効率が原因である。(非特許文献4を参照)。
【0020】
【特許文献1】米国特許第6615824号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/465023号明細書
【特許文献3】米国特許出願第10/284068号明細書
【特許文献4】米国特許第5164740号明細書
【特許文献5】米国特許第5586550号明細書
【特許文献6】米国特許第5758637号明細書
【特許文献7】米国特許第6085740号明細書
【特許文献8】米国特許出願第09/822573号明細書
【非特許文献1】「編集者へ、自発呼吸下の早産児における呼吸窮迫症候群のサーファクタントエアロゾル療法」,小児呼吸科24,1997年,P22−224
【非特許文献2】「サーファクタントの早期使用、経鼻持続正圧呼吸が新生児呼吸窮迫症候群の成果を改善」小児科2004,11,e560-e563(メッドスケープ・メディカル・ニュース・グループによって2004年6月4日にインターネット上で報告)
【非特許文献3】「経鼻持続正圧呼吸システムでの薬物の噴霧」,小児科会報88,1999年,P89−92
【非特許文献4】MacIntyre,N.R.著、「肺表面活性特性の変換のためのエアロゾル化薬剤」,呼吸器ケア2000,45(3),P676-683
【非特許文献5】Schermuly R 他著、「急性肺障害−ガス交換をモデルにした効果的なサーファクタント送達のための超音波噴霧療法」,Am.J.Respir.Crit.Care Med.,1997年,156(2),P445−453
【非特許文献6】「気管支肺異形成症をもつ乳幼児における定量吸入器対ジェット噴霧器からのエアロゾル薬剤送達効果」,小児呼吸器科,1996年5月21日,(5),P301−309
【非特許文献7】Jorch Gその他「編集者へ、自発呼吸早産時における呼吸窮迫症候群のサーファクタントエアロゾル療法」、小児呼吸器科24:22−224(1997)
【非特許文献8】Smedsaas−Lofvenberg A,「経鼻持続正圧呼吸システムにおける薬剤の噴霧」,小児科会報,1999年,88,P89−92
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従って、従圧式呼吸システム内のエアロゾル粒子の送達改善の方法を見つけ、損失を減少させることが望ましい。特に、エアロゾル化薬剤送達の効率を増加させ、治療のために必要な薬剤の量をより少なくすることは、希少で高価な肺サーファクタントを使用するサーファクタント補充療法において、かなりの利益を示すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
一実施態様では、本発明は、システム内を正圧に保持する圧力発生回路と、患者インターフェイスデバイスと、圧力発生回路と患者インターフェイスデバイスとの間の気体の連通を提供するための呼吸器回路とを備える従圧式呼吸システムを提供し、吸入器が、圧力発生回路よりもむしろ呼吸器回路に連結される。圧力発生回路が、導管を介して高容積の気体流を発生するフロージェネレータを、CPAPを保持する圧力調整装置と連結する導管を備えることが可能である。呼吸器回路は、圧力発生回路から患者による吸入のための患者インターフェイスデバイスに低容量正圧空気流を提供することが可能である。呼吸器回路は、一端で圧力発生器に接続し、他端で患者インターフェイスデバイスに接続する導管を備えることが可能である。
【0023】
吸入器は、呼吸器回路に連結され、患者により吸入される総気体流の一部分に直接、好ましくは、患者の鼻、口腔、または人工気道に直近して、エアロゾル化薬剤を放出するように構成されるので、圧力発生回路の高容量の気体流へエアロゾル化薬剤が導かれることによって生じる希釈効果が排除される。本発明の実施に好適な吸入器は、液状薬剤をエアロゾル化するための振動開口型エアロゾルジェネレータと、患者の呼吸器系に送達する液状薬剤を入れるための貯蔵容器と、吸入器を呼吸器回路に接続するコネクタとを備えることが好ましい。本発明の特に好適な吸入器は、小型かつ軽量である。当該の「小型」の吸入器は、薬剤の一単位投与量を入れる小型の貯蔵容器と、例えば重量約1gの軽量エアロゾルジェネレータとを有することが可能である。また、好適な吸入器は、作動中静かであり、例えば音圧5dB未満しか発生しないので、患者の気道の極めて近くに置いてよい。
【0024】
本発明は、気道内正圧を提供するための圧力発生回路及び気体流を提供するための圧力発生回路に連結された呼吸器回路を有する従圧式呼吸システムを患者の呼吸器系に提供するステップと、エアロゾル化薬剤を呼吸器回路内の気体流へのみ導くステップとを含む、呼吸療法も提供する。本発明は、サーファクタント薬剤を患者の呼吸器系へ送達する方法も提供する。
【0025】
本発明の一実施態様では、エアロゾル化薬剤の送達効率は、従圧式呼吸システムの回路内でエアロゾル粒子流が遭遇する鋭角および急なコーナー部を排除することによって、著しく向上することができる。特に、本発明は、エアロゾルジェネレータが気体流へエアロゾル粒子を導く点からエアロゾル粒子が患者の呼吸器系へ入る点まで、エアロゾル粒子流のために直線または緩やかな角度の経路を提供することによって、エアロゾル化薬剤の患者への送達効率を向上させる器具および方法を提供する。
【0026】
好適な実施態様では、本発明は、フロージェネレータと、フロージェネレータを患者の呼吸器系に接続する回路と、薬剤のエアロゾル粒子を回路へ放出するエアロゾルジェネレータとを備え、回路が、前記エアロゾル粒子ための経路を、角度変化が15度を超えない、好ましくは12度を超えない、最も好ましくは角度変化がまったくないものとして定義する、従圧式呼吸システムを提供する。
【0027】
別の実施態様では、本発明は、従圧式呼吸システムの回路を備える様々な柔軟な管を接続する接合デバイスを提供する。例えば、本発明は、(i)エアロゾル粒子を運ぶ第1の気体流を導くためにその全長を延伸する直線長手方向内腔を有する管状本体部材と、(ii)直線長手方向内腔の中または外へ、ほぼ前記エアロゾル粒子がない第2の気体流を導くための縦方向内腔と流体連通する管状分岐部材とを備える接合デバイスを提供する。接合デバイスは、(iii)エアロゾル粒子を第1の気体流へ導くように、エアロゾルジェネレータを本体部材に取り付けるためのポートをさらに備えることが可能である。放出されたエアロゾル粒子が内腔の壁に対する妨げとならないよう、振動プレートが長手方向内腔の内側面(「壁」)と同一平面上であるように、振動開口型エアロゾルジェネレータがポート内に配置されることが好ましい。本発明は、該当の接合デバイスを使用した人工呼吸器システムも提供する。さらに別の実施態様は、患者にエアロゾル化薬剤を送達するための改善された鼻用チューブ(カニューレ)を提供する。
【0028】
別の実施態様では、本発明は、人工呼吸器回路と、人工呼吸器回路に取り付けられた患者インターフェイス回路とを備え、吸入器は患者インターフェイスデバイスと人工呼吸器回路との間に配置される、人工呼吸器システムを提供する。さらに別の実施態様では、第2の吸入器は、本発明の接合デバイス上の呼吸器回路内に配置される。
【0029】
一実施態様では、本発明は、エアロゾル化薬剤を患者の呼吸器系へ送達する方法であって、気体フロージェネレータと、気体フロージェネレータを被術者の呼吸器系に接続する回路と、薬剤のエアロゾル粒子を回路へ放出するエアロゾルジェネレータとを備える従圧式呼吸システムに被術者を繋ぐステップを含み、回路が、前記エアロゾル粒子ための経路を、角度変化が15度を超えない、好ましくは12度を超えない、最も好ましくは角度変化がまったくないものとして定義し、次いで従圧式呼吸システムを介して薬剤のエアロゾル粒子を被術者に投与する、エアロゾル化薬剤を患者の呼吸器系へ送達する方法を提供する。
【0030】
一実施態様では、本発明は、システム内を正圧に保持する圧力発生回路と、患者の呼吸器系に連結された患者インターフェイスデバイスと、圧力発生回路と患者インターフェイスデバイスとの間の気体の連通を提供するための呼吸器回路と、例えばエアロゾル化薬剤などのエアロゾル粒子を呼吸器回路内の気体流へ導く手段と、患者が呼気する時にエアロゾル粒子の呼吸器回路への導入を中断する手段とを備える、例えばCPAPシステムなどの従圧式呼吸システムを提供する。エアロゾル粒子の導入を中断する手段は、呼吸器回路と流体連通する補助回路内に配置され、エアロゾル粒子を呼吸器回路流へ導く手段と電気的に連結されたフローセンサを備えることが可能である。呼吸器回路内の気体流のごく一部は、補助回路によりフローセンサを介して向きが変えられる。補助回路内の流量は、フローセンサにより検出される流量範囲の中間に相応するように調節されるのが好ましい。好適なフローセンサは、補助回路内の気体の体積流量における小さな変化を検出し、対応する電気信号を、エアロゾル粒子を呼吸器回路へ導く手段へ送信するように構成される。
【0031】
本発明の一実施態様では、エアロゾル粒子を導く手段は、吸入器、最も好ましくは患者の呼吸器系に送達する液状薬剤を入れるための貯蔵容器を有する吸入器と、液状薬剤をエアロゾル化するための振動開口型エアロゾルジェネレータと、呼吸器回路を通ってエアロゾルジェネレータから気体流へエアロゾル化薬剤を飛沫同伴するように、吸入器を呼吸器回路に接続するコネクタとを備える。上述したように、吸入器は、CPAPシステムの電子回路を介してフローセンサと電気的に連結されるのが好ましい。
【0032】
従来のCPAP動作と同様に、本発明のCPAPシステムによって、一定流量の気体が、患者による吸入中に呼吸器回路内に保持される(以下、「吸気流」と称する)。本発明の実施において、吸気流に対応する流れで流量の少ない流れは、補助回路の方へ向きを変えられる。例えばオリフィスバルブなどの調節可能なバルブは、フローセンサを介して気体流を調整するために、補助回路内に備えられることが好ましい。このバルブは、フローセンサによって測定できる範囲まで、好ましくはこの範囲の中間で測定できるよう呼吸器回路内の気体流を低減するために使用することが可能である。特に好適なフローセンサは、毎分0乃至1リットル(「L/min」)の流量範囲を有する。
【0033】
患者が呼気する時に、呼吸器回路内の(従って補助回路内の)気体は、患者の肺によって生成される追加の気体流(以下、「呼気流」と称する)の結果として増加する。好適な実施態様では、フローセンサは、呼吸器回路内の呼気流に対応する補助回路内の気体の流量の変化を検出し、吸入器のエアロゾルジェネレータを止めるために電気信号を送信する。呼気流が止まると、フローセンサは、補助回路内の流量の減少を検出し、吸入器への電気信号を中断する。その結果、吸入器がオンになり、呼吸器回路へのエアロゾル粒子の導入を再開する。このようにして、本発明のシステムは、患者が吸入する時のみエアロゾル粒子が呼吸器回路に導かれるように、患者による呼気中のエアロゾル粒子送達を停止する。
【0034】
使い捨てフィルタは、補助回路内のフローセンサの上流に配置されることが望ましい。呼気流の一部は補助回路の方へ向きを変えられるため、細菌性、ウイルス性、又は罹患した患者の呼吸器系から生じたその他の汚染物質は、補助回路流内に存在することが可能である。フィルタは、空気流がフローセンサを通る前にこれらの汚染物質を除去するものであり、器具を使用する新しい患者ごとに取り替えることが好ましい。この特徴により、フローセンサは、恒久的にCPAPシステムの電子回路に接続され、器具が異なる患者によって使用される場合に、汚染物質がない状態を保つことができる。
【0035】
本発明は、患者が吸入する時のみエアロゾル化薬剤が従圧式呼吸システムへ導かれる呼吸療法も提供する。別の実施態様では、本発明は、患者の呼吸器系にエアロゾルを送達する方法であって、(a)呼吸器回路を有する従圧式呼吸システムを提供するステップであって、吸入中に一定呼気流が患者に提供され、呼気中に追加の呼気流が患者により生成されるステップと、(b)フローセンサへ吸器回路内にある総流量の一部の向きを変えるために補助回路を提供するステップと、(c)呼吸器回路内の総流量が吸気流のみを供える場合に、フローセンサで補助回路内の流量を測定し、その結果、第1の電気信号を発生するステップと、(d)呼吸器回路内の総流量が吸気流と呼気流の合計となる場合に、フローセンサで補助回路内の流量を測定し、その結果、第2の電気信号を発生するステップと、(e)フローセンサと電気的に連結され、第1の電気信号が検出された際に薬剤のエアロゾル粒子を呼吸器回路へ導き、第2の電気信号が検出された際に薬剤のエアロゾル粒子の呼吸器回路への導入を停止するように構成された吸入器を提供するステップとを含む、患者の呼吸器系へエアロゾルを送達する方法を提供する。
【0036】
本発明は、患者の肺におけるサーファクタントの欠乏または欠損を含む疾患を治療する改善された方法も提供する。一実施態様では、本発明の方法は、液状肺サーファクタント組成を提供するステップと、肺サーファクタントエアロゾルを形成するために振動開口型エアロゾルジェネレータによって液状肺サーファクタント組成をエアロゾル化するステップと、患者の呼吸器系に連結された従圧式呼吸システム、好ましくはCPAPシステムの回路内にある気体流へ、肺サーファクタントエアロゾルを導くステップであって、それによって治療効果のある量の肺サーファクタントが、患者の肺へ送達されるステップとを含む。好適な肺サーファクタントは、動物の肺の洗浄によって得られる天然サーファクタントと、合成的に作り出された肺サーファクタントを含む。
【0037】
一実施態様では、本発明の振動開口型エアロゾルジェネレータにより、液状サーファクタント組成、例えば20mg/mL乃至120mg/mLの濃度を有する肺サーファクタント組成の使用が可能になる。希釈剤は、薬学的に許容可能な任意の希釈剤、例えば水または食塩水であってよい。
【0038】
別の実施態様では、エアロゾルジェネレータに供給される活性肺サーファクタントの10乃至90%、好ましくは30%より多い量が、患者の気道へ送達され、患者により吸入される。活性肺サーファクタントの5乃至50%は、実際に患者の肺内に沈着しているのが好ましい。本発明の実施において、患者の肺へ送達される治療効果のある量の肺サーファクタント(「単位投与量」)は、2乃至400mgの範囲内であってよい。本発明の振動開口型エアロゾルジェネレータの流量は、類似のエアロゾルジェネレータの流量よりかなり高く、0.1乃至0.5mL/分の範囲内であってよい。患者の気道への活性サーファクタントの好適な送達速度は、2乃至800mg/hrの範囲内である。エアロゾルジェネレータは、好ましくは、5μmMMAD未満、最も好ましくは1乃至3μmMMADのサーファクタント粒子サイズを発生するように調節されてもよい。
【0039】
一実施態様では、エアロゾルジェネレータが、CPAPシステムの直接呼吸回路の外側に配置されたプレナムチャンバへサーファクタントエアロゾルを導くように配置されてもよく、それによってサーファクタントエアロゾルを呼吸器回路へ排出する前に、エアロゾルジェネレータ単独で生成したものより高い濃度のサーファクタントを収集することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1は、吸入器を使用したCPAPシステム100の概略図である。CPAPシステム100は、主圧力発生回路Pと、呼吸器回路Rとを備える。回路Pは、圧力調整装置3と流体連通するフロージェネレータ2を備える。呼吸器回路Rは、交点5で回路Pと流体連通する患者インターフェイスデバイス4を備える。吸入器6は、交点5の上流の交点7で回路Pと流体連通する。作動中、気体の高堆積流量8は、システム内を正圧に保持するように、フロージェネレータ2から回路Pに導かれ、圧力調整装置3に移動する。吸入器6は、交点7で気体流8にエアロゾル化薬剤9を放出して、薬剤9を含有する複合気体流10を発生する。気体流10は、交点5を通って圧力調整装置3に運ばれ、最終的に気体流12の一部として大気中に放出される。
【0041】
患者インターフェイスデバイス4を介した患者による吸気努力の際に、呼吸器回路R内の圧力の一時的減少によって、回路Pから回路Rに引き込まれ、最終的に患者インターフェイス4を通って患者の呼吸器系に吸い込まれる、吸気流13が発生する。図示されるように、吸気流13は、気体流10に飛沫同伴される薬剤9の少なくとも一部を含有する。患者インターフェイスデバイス4を介した患者による呼気努力は、患者インターフェイスデバイスから回路Rを通って交点5で回路Pに呼気流14を移動させる、呼吸器回路R内の圧力の一時的な増加を生じる。呼気流14は、交点5で圧力発生回路P内の気体流10に合流して気体流11を形成し、次いで圧力調整装置3を通って気体流12として大気中に放出される。
【0042】
バイレベルシステムはシステム100に類似しているが、患者の呼吸サイクルと合致するように呼吸器回路R内の圧力を変化させるために、圧力センサに連結される可変フローバルブを使用することが可能である。侵襲的CPAPシステムもシステム100に類似しているが、例えば、患者インターフェイスデバイス4として気管内チューブを使用する。
【0043】
図1の実施態様では、エアロゾル化薬剤は、圧力発生回路を通る高体積流量の気体によって希釈される場合があり、また薬剤の一部が最終的には大気中に失われ、患者に届かない場合がある。圧力発生回路内の気体流の体積が大きくなるに従い、患者インターフェイスデバイスを通って患者の呼吸器系に流れる、呼吸気体内に含まれるエアロゾル化薬剤の割合が少なくなる。例えば、圧力発生回路を介して総流量が10リットル/分のうち、呼吸流量0.2乃至0.6リットル/分で呼吸している乳幼児は、主圧力発生回路内の気体流によって運ばれるエアロゾル化薬剤のうちのわずかな比率、例えば2乃至6%より多くは吸引することができない。
【0044】
本発明の一側面では、上述の薬剤の実質的な希釈または損失のない、従圧式呼吸システムへのエアロゾル化薬剤の送達を、効率的な方法で達成する。一装置では、呼吸療法中に、及び主圧力発生回路内の空気流外で患者に吸入される空気流にエアロゾル化薬剤を直接導く、改善されたCPAPまたはバイレベルシステムを含むことが可能である。当該のCPAPまたはバイレベルシステムはまた、少量の、例えば4mL以下の単位投与量の液状薬剤を、治療ごとに使用するように構成することも可能である。さらに、当該のCPAPまたはバイレベルシステムは、小型で小容量の貯蔵容器を備える吸入器を用いることが可能であるので、より小さい患者にCPAPまたはバイレベルシステムを使用した有効な呼吸療法が提供される。
【0045】
図2を参照する。本発明によるCPAPを適用するための器具の一実施態様を説明する。図1に類似した図2の要素には、同じ参照番号を割り当てた。
【0046】
CPAPシステム200は、主圧力発生回路Pと、呼吸器回路Rとを備える。本願明細書で使用されるように、「回路」という用語は、2点間の気体(または他の流体)連通の経路を意味するものである。回路Pは、圧力調整装置3と気体連通するフロージェネレータ2を備える。回路Rは、接合部5で回路Pと気体連通する患者インターフェイスデバイス4を備える。図1に示されるCPAPシステム100とは対照的に、CPAPシステム200の吸入器6は、圧力発生回路Pの外部の交点15で回路Rと連通する。CPAPシステム200の作動中に、高体積流量の気体8は、システム内を正圧に保持するように、フロージェネレータ2から回路Pに導かれ、圧力調整装置3に移動する。
【0047】
患者インターフェイスデバイス4を介した患者による吸気努力の際に、呼吸器回路R内の圧力の一時的な減少によって、回路Pから回路Rに引き込まれ、最終的に患者インターフェイス4を通って患者の呼吸器系に吸い込まれる、吸気流18が発生する。吸入器6は、接合部15で吸気流18にエアロゾル化薬剤9を放出して、気体流19を発生する。気体流19は、薬剤9が飛沫同伴され、患者インターフェイスデバイス4を通って患者の呼吸器系に運ばれる。このように、薬剤9は、患者によって吸入される気体流にのみ放出されるので、薬剤9の患者への送達効率を大きく向上させる。患者インターフェイスデバイス4を介した患者による呼気努力は、患者インターフェイスデバイスから回路Rを通って接合部5で回路Pに呼気流14を移動させる圧力の、一時的な増加を生じる。呼気流14は、接合部5で気体流8に合流して気体流16を形成し、次いで圧力調整装置3を通って気体流17として大気中に放出される。図2に視覚的に示されるように、CPAPシステム100よりも希釈および損失がより少なく、より大きな割合の薬剤9がCPAPシステム200によって患者に直接送達される。
【0048】
図3は、新生児及び乳幼児のCPAP治療に使用するために、特に適した本発明の一実施態様を示す。図3を参照する。主圧力発生回路Pは、気体導管、例えば柔軟な管32を備えることが可能であり、この管は、フロージェネレータ31によって生成される高体積流量の気体を受ける。柔軟な管32は、接合ユニット33を通って気体流を柔軟な管35に導き、柔軟な管35は気体流を運ぶように圧力調整装置34まで延びる。圧力調整装置34を、所望のCPAPためにシステム内の圧力を調整する制御器(図示せず)に接続することが可能である。呼吸器回路Rは、気体導管、例えば吸入器38と接続する柔軟な管36を備えることが可能であり、この管は、直接(図示のとおり)または柔軟な管36の短い部分を介して患者インターフェイスデバイス39に接続される。上述のように、吸入器38は、患者インターフェイスデバイス39の近傍に配置されることが好ましい。
【0049】
柔軟な管36は、比較的薄く、柔軟な管32および35よりも小径かつ柔軟であることが好ましい。例えば、柔軟な管36は、外径が約5mmの市販のシリコン管であってよい。柔軟な管36がより柔軟であれば、患者インターフェイスデバイス39を患者から分離せずに、患者の頭をより自由に動かすことができる。
【0050】
フロージェネレータ31は、CPAPまたはバイレベルのような従圧式呼吸システムとの使用に好適な既知の加圧気体源のいずれかを、好都合に備えることが可能である。一般的に、フロージェネレータは、高体積の気体を供給することが可能であり、この気体は大気圧よりわずかに高い圧力で少なくとも少量の酸素を含む。例えば、加圧気体源はエアブロワまたは人工呼吸器(図3に示す)であってよく、または、加圧気体源は病院および医療施設で見られるような壁供給口から生じるもの、または加圧シリンダまたはシリンダから生じるものであってよい。加圧気体は、酸素と空気、窒素、または他の気体の既知の様々な混合物を含むことが可能であり、また図2の要素8に見られるような、回路Rへの単一ストリーム又は流れにおいて提供することが可能である。
【0051】
圧力調整装置34は、所望のレベルでCPAPまたはバイレベルシステム内の空気圧を制御および保持するための、いずれかの既知の機器を備えることが可能である。一般的に、圧力調整装置34は、圧力調整回路Pを出る気体の流量を調節する圧力バルブまたはスレッシュホールドレジスタのような、制限的な空気排出機器を備えることが可能である。この空気流に対する抵抗は、患者インターフェイスデバイス39への呼吸器回路Rによって導かれる持続的気道内正圧が、その器具を使用する特定の患者の要求を満たすように、変化させることが可能である。一般的に圧力調整装置34は接合ユニット33の下流に配置されるが、接合ユニット33、またはその上流に配置してもよい。
【0052】
接合ユニット33は、呼吸器回路Rが主圧力発生回路Pと気体連通する場所に存在する。接合ユニット33は、柔軟な管32、35、および36が連結される「T」型または「Y」型中空ユニット(「WYE」と称されることもある)を備えることが可能である。図3に示されるように、接合ユニット33は、流入側アーム33aと、流出側アーム33bとを備えることが可能であり、これらは互いに接合ユニット33の本体を介して主気体導管を画定する。呼吸器側アーム33cは、それが従属する分岐気体導管を画定し、主気体導管と気体連通する。フロージェネレータ31からの柔軟な管32は、流入側アーム33a内の上流開口部に連結され、圧力調整装置34に通じる柔軟な管35は、流出側アーム33b内の下流開口部に連結され、圧力発生回路Pを形成する。柔軟な管36は、呼吸器側アーム33cの下流開口部に連結され、患者インターフェイスデバイス39とともに呼吸器回路Rを形成する。
【0053】
患者インターフェイスデバイス39は、直接、または柔軟な管36と同じサイズ及び材料の柔軟な管の短い部分を介して、吸入器38に連結される。患者インターフェイスデバイス39は、CPAP機器と患者の呼吸器系との間の気体の連通を提供するための、あらゆる既知の機器を備えることが可能である。一例として、患者インターフェイスデバイスには、鼻用プロング(図示)、口腔/鼻マスク、鼻マスク、鼻咽頭用プロング、気管内チューブ、気管切開チューブ、鼻咽頭チューブ、などが挙げられる。
【0054】
吸入器38は、患者によって吸入される呼吸器回路R内の気体流にエアロゾル化薬剤を放出するように、主圧力発生回路Pと患者インターフェイスデバイス39との間の呼吸器回路Rに配置される。振動開口型吸入器は、例えば、特許文献1、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、及び特許文献2と特許文献3において詳述されているように、本発明の実施に好適である。前記特許および出願は、本願明細書にその全てが組み込まれる。
【0055】
特に好適な吸入器は、図4に示されるような、またはAerogen社が販売する最新型の呼吸器系疾患における薬物送達システム(PDDS)の吸入器に取り入れられているような、「小型」の吸入器38である。図4に示されるように、吸入器38は、例えば外径約15mm、長さ20mmの比較的小さな寸法の円筒形本体41を備えることが可能である。本体41は、一端に上部薬剤ポート42を有し、他端に略L型のアーム43に連結することが可能である。アーム43は、その遠位端に流入側ニップル45および流出側ニップル46を有する、略「I」型のコネクタユニット44を備える。図3に示されるように、コネクタ44は、流入側ニップル45の上に管36の下流端部を嵌め込み、患者インターフェイスデバイス39を流出側ニップル46に直接取り付けるか、または管36の短い部分を介して取り付けることによって、吸入器38を呼吸器回路Rに接続するために使用することが可能である。本体41はまた、切り欠き経路48を備えたクリップホルダ47を備えることが可能であり、柔軟な管36の吸入器38の更なる固定および支持のために、柔軟な管36に掴むように構成される。吸入器38は、例えば、正味重量(含有液体を含まず)が5g以下の軽さであることが好ましく、3g以下が最適である。本発明の特に好適な吸入器は、正味重量が1乃至2gである。
【0056】
図5を参照する。吸入器38は、患者の呼吸器系に送達すべき液状薬剤を保持するための貯蔵容器51を円筒形本体41内に備え、また液状薬剤をエアロゾル化するための振動開口型エアロゾルジェネレータ52を備えることが可能である。貯蔵容器51に液状薬剤を送達するために上部薬剤ポート42を備え、また薬剤ポート42を封止するために着脱可能なプラグ(図示せず)を備えることが可能である。貯蔵容器51は、小容量の薬剤、例えば4mL以下、好ましくは1乃至3mL、を収容するように大きさを設定することが可能である。エアロゾルジェネレータ52は、液状薬剤が重力の作用によって、貯蔵容器51からエアロゾルジェネレータ52に流れるように(流れG)、貯蔵容器51の薬剤流出口54よりも低い位置に配置することが可能である。
【0057】
エアロゾルジェネレータ52は、圧電素子と、第1の表面と第2の表面との間に延在する複数の先細開口を有する振動可能部材とを備えることが可能である。代表的な振動可能な開口型エアロゾルジェネレータは、特許文献4、特許文献5、特許文献6、及び特許文献7に詳述されており、参照することにより本願明細書にその全てが組み込まれる。一般的に、上方を向いた振動可能部材の第1の表面は貯蔵容器51から液状薬剤を受け、振動可能部材の振動により薬剤の液滴が開口部から放出される時に、エアロゾル化薬剤が振動可能部材の第2の表面で生成される。本発明のエアロゾルジェネレータは、小型かつ軽量、例えば約1gであることが好ましい。
【0058】
エアロゾルジェネレータ52は、貯蔵容器51からエアロゾルジェネレータ52への液状薬剤の流れを容易にし、エアロゾルジェネレータ52からアーム42へのエアロゾル化薬剤の移動を容易にするように配置される。アーム42は、一端にエアロゾルジェネレータ52と流体連通する供給導管55を備え、他端には、エアロゾル化薬剤の流れ(流れA)をコネクタユニット93に導くように、コネクタユニット93を備えることが可能である。コネクタ93は、気体導管56を備えることが可能であり、この導管は、一端が流入側ニップル45内の流入側導管57によって画定され、他端が流出側ニップル46内の流出側導管58によって画定される。コネクタ93の気体導管56は、乳幼児へ適用するために極めて小さく、例えば10000mm3(10cc)未満にすることが可能であり、それによって、呼吸器回路内の空所が減少する。
【0059】
柔軟な管36の(図3)の下流端部は、呼吸器回路内の気体流Bをコネクタ93の気体導管56への流入側導管57へ導くために、コネクタ93の流入側ニップル45に連結することが可能である。供給導管55内のエアロゾル化薬剤の流れAは、コネクタ96の気体導管56に移動し、エアロゾル化薬剤は流れBによって気体導管56内に飛沫同伴される。エアロゾル化薬剤および気体の飛沫同伴された混合物は(流れAB)、次いで流出側ニップル46内の流出側導管58を通って気体導管56を流れ出て、患者の呼吸器系に流れる。
【0060】
吸入器38は、エアロゾルジェネレータの動作を制御し、これに電力を供給するための制御器(図示せず)に接続することが可能である。制御器および他の電子部品は、小型で柔軟なワイヤー、ケーブル、およびコネクタによって接続されることが好ましい。吸入器38にも関連しうる他の構成要素の例には、タイマー、状態表示手段、液状薬剤供給用吸入器または注射器、などが挙げられ、全て当業者によって公知であり、上述の特許および特許出願書に詳述される。
【0061】
本発明の小型振動開口型吸入器は、非常に小型かつ静かであるので、患者の口腔、鼻または人工気道の極めて近傍に配置することが可能である。この配置によって、さらに確実に、CPAPの患者によって吸入される気体流に(すなわち、呼吸器回路に)エアロゾル化薬剤が直接導かれるようになり、フロージェネレータから高容量の気体流へ(すなわち、圧力発生回路内に)薬剤が導かれることによって生じる希釈効果が排除される。図6は、単一の柔軟な管502によって鼻またはフルフェースマスク503に取り付けられるフロージェネレータ501を備える、CPAP/バイレベルシステムを示す。圧力は、管502とマスク503との間の回転バルブ504内に配置される固定オリフィスを通って漏れる気体流によって保持される。別の実施態様では、固定オリフィス505は、マスク503の上面に(鼻橋より上に)配置することが可能である。両実施態様において、呼吸器回路Rの全体が、患者インターフェイスデバイス内に含まれる。吸入器506は、エアロゾル化薬剤が吸入器を出て患者の口腔及び鼻の近傍の呼吸器回路に、直接導かれるように、マスク503に連結される。このように、エアロゾル化薬剤が移動しなければならない距離を減じることによって、すなわち、呼吸器回路の長さを減じることによって、システムの効率が向上する。別の実施態様では、エアロゾルジェネレータは、患者の吸気中にのみ作動させることができるので、システムの効率がさらに向上する。
【0062】
図7は、成人に好適な本発明の別の実施態様を示す。CPAP器具700は、「Y」型接合ユニット703を介してフロージェネレータ(図示せず)からの気体流を導く柔軟な管701と、圧力調整装置(図示せず)への柔軟な管702とを備え、圧力発生回路Pを形成する。エルボー型の接合ユニット704は、接合ユニット703で圧力発生回路Pを呼吸器回路Rへ接続する。呼吸器回路Rは、エルボーユニット704からの気体流Iを患者インターフェイスデバイス(図示せず)に導く、より小型の柔軟な管705を備える。吸入器706は、上述のように、患者によって吸入される気体流Iへエアロゾル化薬剤を飛沫同伴するように、柔軟な管705上に配置される。
【0063】
図8は、吸入器を使用した人工呼吸器システムの概略図である。人工呼吸器システム800は、呼吸器回路Rと流体連通する人工呼吸器回路Vを備える。1つの要素が、流路、ポート、管、又は気体、霧などの通過を可能にする他の導管を介して取り付けられた場合に、その要素は他の要素と「流体連通」する。
【0064】
回路Vは、吸気管803と流体連通する人工呼吸器802と、「Y」形状の接合デバイス805で合流する呼気管804とを備える。呼吸器回路Rは、接合デバイス805で回路Vと流体連通する患者インターフェイスデバイス806を備える。吸入器807は、接合デバイス805への上流の交点808で回路Vと流体連通する。作動中、気体809の加圧流は、人工呼吸器802から吸気管803に導かれ、交点808に移動する。吸入器807は、交点808で気体流809にエアロゾル化薬剤810を放出して、エアロゾル化薬剤810を含有する複合気体流811を発生する。気体流811は、接合デバイス805を通って患者インターフェイスデバイス806に運ばれ、最終的に患者インターフェイスデバイス806を介した患者による吸気努力の際に、患者の呼吸器系に達する。患者インターフェイスデバイス806を介した患者による呼気努力は、接合デバイス805を通って患者インターフェイスデバイス806から呼気管804に流れて人工呼吸器802へ戻る、呼気流812を発生する。
【0065】
図9を参照する。接合デバイス905は、吸気管903に取り付け可能な吸気レッグ921と、呼気管904に取り付け可能な呼気レッグ922と、呼吸器回路Rに取り付け可能な呼吸レッグ923とを備える。気体流911(薬剤のエアロゾル粒子を含有する)は、吸気管903から吸気レッグ921へ移動し、交点924でその経路の角度(Δ1で表す)の急激な変化を受ける。気体流911が交点924で急なコーナー部を曲がろうとするとき、一部の気体流911は、交点924で遭遇する壁および稜に衝突する。その結果、気体流911の一部分911a(及び、その中に飛沫同伴される薬剤のエアロゾル粒子)は、呼気レッグ922の方へ向きを変えられ、呼気管904を通って失われる。残りの気体流911は、呼吸レッグ923を通って呼吸器回路Rに流れ続ける。患者による呼気努力によって、呼気流912は、呼吸器回路Rから呼吸レッグ923、呼気レッグ922、及び呼気管904を介した経路をたどって人工呼吸器(図示せず)へ戻る。
【0066】
図10を参照する。以下、本発明による人工呼吸器システムの一実施態様を説明する。人工呼吸器システム1000は、人工呼吸器回路Vと、呼吸器回路Rとを備える。人工呼吸器回路Vは、吸気管1003と、呼気管1004と、流体連通する人工呼吸器1002とを備え、これらは本発明の接合デバイス1035で合流する。呼吸器回路Rは、接合デバイス1035で回路Vと流体連通する患者インターフェイスデバイス1006を備える。吸入器1007は、接合デバイス1035に取り付けられ、これと流体連通する。代替には、吸入器1007’を、吸気管1003に取り付け、これと流体連通することが可能である。人工呼吸器システム1000の作動中に、加圧気体流1009は、人工呼吸器1002から吸気管1003に導かれ、接合デバイス1035に移動する。吸入器1007(または1007’)は、気体流1009中にエアロゾル化薬剤1010を放出して、薬剤1010のエアロゾル粒子を含有する複合気体流1011を発生する。気体流1011は、接合デバイス1035を通って患者インターフェイスデバイス1006に運ばれ、最終的に患者の呼吸器系に達する。患者インターフェイスデバイス1006を介した患者による呼気努力は、接合デバイス1035を通って患者インターフェイスデバイスから呼気管1004に流れて人工呼吸器1002へ戻る、呼気流1012を発生する。
【0067】
図11に示されるように、接合デバイス1135の一実施態様は、吸気管1103に取り付け可能な第1の末端1143の開口部と、呼吸器回路Rに取り付け可能な第2の末端1144の開口部を接続する直線長手方向内腔1142を有する管状本体部材1141とを備えることが可能である。接合デバイス1135は、中間の開口部1147で内腔1142と連通する内腔1146を有する管状分岐部材1145をさらに備えることが可能である。気体流1111(吸気管1003内の気体流1009へ、吸入器1007’によって放出される薬剤のエアロゾル粒子を含有する。図10を参照のこと。)は、第1の末端1143の開口部を通って吸気管1103から内腔1142に移動する。図9に示される「Y」型接合デバイス905とは対照的に、接合デバイス1135は、気体流1111(エアロゾル化薬剤を含有する)が、分岐部材1145へ向きを変える部分のない、呼吸器回路Rへの直線的で遮るものがない経路をたどるようにしている。すなわち、気体流1111の経路の角度の変化が、事実上生じない。その結果、気体流1111に含有される薬剤のエアロゾル粒子の全量が、呼吸器回路Rを通って効率的に患者に送達される。患者による呼気努力によって、呼気流1112は、呼吸器回路Rから内腔1142を通って分岐部材1145の内腔1146への経路をたどり、呼気管1104を通って人工呼吸器(図示せず)へ戻る。
【0068】
本発明の別の実施態様を図12に示す。接合デバイス1250は、第1の末端1252(図11の吸気管1103に取り付け可能)及び第2の端部1253(図11の呼吸器回路Rに取り付け可能)を有する管状本体部材1251と、管状分岐部材1254(図11の呼気管1104取り付け可能)と、吸入器(図示せず)に取り付け可能なポート1255とを備える。人工呼吸器1002(図10)からの気体流1209は、本体1251の第1の末端1252内の開口部を通って内腔1258に移動する。吸入器1007(図10)は、内腔1258の第1の末端1252の近傍に位置するポート1255を通って、エアロゾル化薬剤1210を内腔1258内の気体流1209に導く。内腔1258内へのどのような突出部でも、気体流1209に乱気流を生じ、この乱気流が、内腔1258の壁へのエアロゾル粒子の沈着をもたらす場合があることがわかっている。したがって、振動開口型吸入器を使用する場合に、吸入器の振動プレートは、吸入器ポート1255内に完全に配置されることが好ましく、また内腔1258の内側面(壁)と同一平面上であることが最適である。エアロゾル化薬剤1210は、気体流1209内に飛沫同伴され、エアロゾル化薬剤1210を含有する気体流1211を発生する。気体流1211は、内腔1258を通って直線的で遮るものがない経路から、第2の末端1253の開口部を出て呼吸器回路Rへ移動する。患者による呼気努力によって、呼気流1212は、呼吸器回路Rから内腔1258、及び分岐部材1254の内腔1257への中間の開口部1256を通る経路をたどって、呼気管を通って人工呼吸器へ戻る。
【0069】
本発明の呼吸器回路は、患者インターフェイスと、状況に応じて、人工呼吸器回路と患者インターフェイスデバイスとの間の流体連通の提供に必要な、当該の慣習的な管とコネクタとを備えることが可能である。患者インターフェイスデバイスは、気体の連通を、鼻用プロング、口腔/鼻マスク、鼻マスク、鼻咽頭用プロング、気管内チューブ、気管切開チューブ、及び鼻咽頭チューブなどの、患者の呼吸器系へ気体の連通させる、あらゆる上述の既知の装置を備えることが可能である。
【0070】
図8乃至16に示される本発明の実施態様において、本発明に使用される吸入器は、噴霧器、噴霧カテーテル、振動開口型吸入器、超音波吸入器、ジェット噴霧器などの、液滴または乾燥粒子(本明細書では、「エアロゾル粒子」と称する)のようなエアロゾルを発生させるのに好適な、あらゆるエアロゾルジェネレータであってよい。吸入器は、患者の呼吸器系に送達する液状薬剤を保持するための貯蔵容器と、液状薬剤をエアロゾル化するためのエアロゾルジェネレータとを備えることが可能である。吸入器は、従圧式呼吸システムの回路へエアロゾル粒子を導くように配置される。例えば、吸入器は、別々のコネクタを介して人工呼吸器システムの回路に接続することが可能であり、コネクタは、吸入器本体または接合デバイスと一体化される。しかし、上述のように、特に好適な「振動開口型」吸入器は、振動要素と、先細孔を有するドーム型の開口プレートを備える。プレートが毎秒約100,000の割合で振動すると、マイクロポンプ作用によって、先細孔を介して液体が引き込まれ、正確に定められた範囲の液滴サイズの低速エアロゾルが発生する。当該の吸入器は、Aerogen社(Mountain View、California)から市販されている。
【0071】
上述のように、本発明の効率の向上によって、吸入器の貯蔵容器は、より少量の薬剤を収容するように大きさを設定することができる。例えば、吸入器の貯蔵容器は、一単位投与量、すなわち、一回の治療に等しい容量を有することが可能であり、ほぼ貯蔵容器に補充を必要とすることなく、全ての薬剤を患者に送達することが可能である。これは、これらの薬剤が不足しており、高価であり、また粘度が高いために送達が困難であるので、リン脂質サーファクタントを用いる呼吸療法に特に有益である。本発明はまた、本発明のいくつかの用途では必要な場合もあるが、薬剤を外部の容器から吸入器に注入する必要性を排除することも可能である。
【0072】
図3に関連して述べたように、吸入器は、エアロゾルジェネレータの動作を制御し、これに電力を供給するための制御器に接続することが可能であり、また他の電子部品と関連付けることが可能である。一実施態様では、制御器は、CPAPシステム制御器を備えた同じエンクロージャ内に統合することが可能である。この場合、2つのシステムは、同じ電源を使用し、電子的に通信することが可能である。
【0073】
人工呼吸器システムにおいて使用する場合に、吸入器は、人工呼吸器回路内、又は呼吸器回路内に好都合に配置することが可能である。一例として、吸入器は、別々のコネクタ又は吸入器の本体に一体化されたコネクタを使用して、人工呼吸器回路の吸気管に取り付けることが可能である。当該のコネクタは、エアロゾル粒子を気体流に飛沫同伴させるために、エアロゾル粒子が、吸入器のエアロゾルジェネレータから人工呼吸器回路を流れる気体流に移動するための導管を備えるように構成される。別の例として、吸入器は、図12に関連して上述したように、本発明の接合デバイス内のポートに取り付けることが可能である。
【0074】
例えば、図13は、呼吸器回路Rの呼吸管1369を備えた人工呼吸器回路Vの吸気管1363及び呼気管1364を接続した、接合デバイス1350(図12の接合デバイス1250に対応)を示す。人工呼吸器回路内に吸入器が求められる場合に、図12に関連して上述したように、これを接合デバイス1350のポート1355に取り付けることが可能である。代替として、吸入器は、上述のコネクタのうちの1つを使用して、吸気管1363に取り付けることが可能である。
【0075】
他の実施態様では、これは、吸入器を呼吸器回路に配置するのに好都合となりうる。例えば、吸入器を、患者の鼻、口腔、または人工気道に、例えば、気管内チューブ(ETT)の吸入点の直近、または鼻カニューレ又はマスクの近傍に配置することによって、患者へのエアロゾル化薬剤の送達の効率及び制御をさらに向上させることが可能である。エアロゾル粒子が機器に入ろうとする際に、コネクタの周縁部に衝突すると、患者インターフェイスデバイスの接続部においてエアロゾル粒子の重大な沈着が生じる場合があるので、吸入器を患者インターフェイスデバイスにできる限り近く配置することによって、エアロゾルジェネレータと患者インターフェイスデバイスとの間の「空所」をできる限り小さくさせる。この空所の縮小または排除によって、患者インターフェイスデバイスに入るエアロゾル粒子の損失を著しく減じることが可能である。
【0076】
図13は、人工呼吸器システムの呼吸器回路Rにおいて、呼吸器のどのような配置が可能であるかの一例を示す。吸入器1361は、ETTチューブ1367と人工呼吸器回路Vとの間に配置され、これらはコネクタ1365、呼吸管1369、および接合デバイス1350を介して互いに接続される。呼吸器回路R内に第1の吸入器が必要であり、人工呼吸器回路V内に第2の吸入器が必要である実施態様において、第2の吸入器は、状況に応じて、上述の方法でポート1355を使用して、接合デバイス1350に取り付けることが可能である。コネクタ1365の分岐部材1368は、接合デバイス1350に取り付けられた第2の吸入器から呼吸管1369を通って来るエアロゾル粒子に対して、円弧状の経路を画定するので、コネクタ1365はこの用途に特に適している。この円弧状の経路によって、エアロゾル粒子がETTチューブ1367に移動する際に、分岐部材1368へのエアロゾル粒子の衝突が最小限に抑えられるので、この箇所におけるエアロゾル粒子の損失が最小限に抑えられる。コネクタ1365はまた、当該の投与が必要とされる場合に、液体を患者に投与するためのポート1362を有することが可能である。
【0077】
図13の呼吸器回路Rの、拡大断面図を示す図14を参照する。吸入器1461は、曲線的なコーナー部およびコネクタ基部1473を有する長方形の貯蔵容器1471を備えることが可能である。貯蔵容器1471は、患者の呼吸器系に送達する液状薬剤を保持するように構成される。振動開口型エアロゾルジェネレータ1472は、貯蔵容器1471と流体連通し、貯蔵容器1471から重力供給される液状薬剤をエアロゾル化するように構成される。貯蔵容器1471が、例えば、Aで表される軸の周囲を移動できるように、貯蔵容器1471をコネクタ基部1473に回転可能に載置することが好ましい。このように、貯蔵容器1471は、患者及び/又は呼吸器回路の他の構成要素の位置の変化に関係なく、エアロゾルジェネレータ1472への液状薬剤の最適な重力供給のために、容易に配置することができる。例えば、患者が横になり、ETTチューブ1467がほぼ垂直位置にある場合に、液状薬剤がエアロゾルジェネレータ1472に重力供給されるように、貯蔵容器1471をエアロゾルジェネレータ1472の上に配置することが可能である。その後患者が座り、ETTチューブ1467がほぼ水平位置にある場合に、液状薬剤がエアロゾルジェネレータ1472に引き続き重力供給されるように、貯蔵容器1471を90度回転させてエアロゾルジェネレータ1472上の最適な位置を保持することが可能である。
【0078】
コネクタ基部1473は、一端にはコネクタ1465と相互接続するように構成された流入口1475を有する本体部材を、対向端には気管内チューブ1467と相互接続するように構成された流出口1476を、さらに備えることが可能である。長手方向の内腔1477は、本体部材1474を介して流入口1475から流出口1476に延在し、コネクタ1465から気管内チューブ1467への気体流のための直線経路を形成する。エアロゾルジェネレータ1472の振動プレートは、エアロゾルジェネレータ1472によって発生される薬剤のエアロゾル粒子を、最小の乱気流で内腔1477内の気体流に直接放出するように、コネクタ基部1473のポート1478に配置し、内腔1477の内壁と同一平面上にあることが好ましい。
【0079】
図15は、本発明による鼻カニューレを使用した、新生児または乳幼児用nCPAP(システムを示す。nCPAPシステムの主圧力発生回路は、従来の空気流ジェネレータ(図示せず)によって発生される高体積気体流を導くための柔軟な管1581及び1583と、柔軟な管1581及び1583をnCPAPシステムの呼吸器回路に接続するための接合デバイス1582と、圧力調整装置1584とを備えることが可能である。圧力調整装置1584は、システム内のCPAPのレベルを調整する制御器(図示せず)に接続することが可能である。吸入器1585は、呼吸管1587を介して鼻カニューレ1586に接続され、接合デバイス1582から鼻カニューレ1586へ、薬剤のエアロゾル粒子を気体流内に放出するように配置される。呼吸管1587は、比較的薄く、柔軟な管1581及び1583よりも小径かつ柔軟であることが好ましい。例えば、呼吸管1587は、外径が約5mmの市販のシリコン管であってよい。呼吸管1587がより柔軟であれば、患者から鼻カニューレ1586を外さずに、患者の頭をより自由に動かすことができる。エアロゾル粒子を含有する気体1588の流れは、呼吸管1587を通って鼻カニューレ1586に運ばれ、最終的に患者の鼻孔および呼吸器系に達する。
【0080】
図16を参照する。本発明の鼻カニューレ1686は、管状の分岐部1693によって、一対の鼻カニューレ1692に接続される管状の流入部1691を備えることが可能である。流入部1691内の内腔1694は、流入部1691から鼻カニューレ1692に延在する、緩やかに分岐した導管を備えるように、分岐部1693の各プロング(prong)において、ほぼ並列の内腔1695及び1696と流体連通する。吸入器1585(図15)によって放出されるエアロゾル粒子を含有する空気流1688は、呼吸管1687によって流入部1691内の内腔1694を通って交点1697に導かれ、交点では、カニューレ1692へ内腔1695及び1696をたどるように、エアロゾル粒子の経路が分割される。本発明によれば、交点1697において、内腔1694によって画定されるエアロゾル粒子の経路と、内腔1695及び1696のそれぞれとの間の角度は比較的小さくて、角度Δ2及びΔ3は、約15度以下である。その結果、ほぼ気体流1688に含有されるエアロゾル粒子の全てが、鼻カニューレ1692に到達し、最終的に患者の鼻孔に達する。本発明の鼻カニューレ内では、エアロゾル粒子の損失が最小なので、エアロゾル化薬剤の送達効率が著しく高められる。
【0081】
図15及び16に示される実施態様は、後に詳述するiRDSの治療に特に有用である。本発明のこの実施態様は、振動開口型エアロゾルジェネレータを、CPAP治療と同時にサーファクタント薬剤を送達することができるnCPAPシステムと一体化する有効な方法を提供する。その結果、抜管によるサーファクタント薬剤の投与を排除することが可能であり、それによって、気道の損傷及び二次感染のリスクが減少する。
【0082】
本発明の一実施態様は、被験者、好ましくは感染症、他の呼吸疾病、又は疾患のうちで1つ以上の症状を示す人間の患者に、エアロゾル化薬剤を送達する方法を提供する。本方法は、概して、気体流ジェネレータと、気体流ジェネレータを呼吸器系に接続する回路と、薬剤のエアロゾル粒子を回路に放出するためのエアロゾルジェネレータとを備える、従圧式呼吸システムを被験者に取り付けるステップを含み、回路は、15度以下の角度で変化する、放出されたエアロゾル粒子の経路を画定する。例えば約12度乃至15度の、経路の角度の大きな角度の変化は、特にサーファクタント薬剤とともに使用する場合の、鼻カニューレを使用した従圧式呼吸システムに最適である。他の用途では、経路の角度がより小さい、すなわち、経路の角度の変化が12度以下であることが好ましく、経路の角度が全く変化しない(直線経路である)ことが最も好ましい。
【0083】
本発明の実施における有用な薬剤は、上述の症状を治療するための、例えば、抗生物質、および抗生物質(人工呼吸器システムで使用されているものが好ましい)とサーファクタント薬剤(CPAPシステムで使用されているものが好ましい)とを組み合わせたものなど、一般的にエアロゾルの形態で使用されるもののうちのいずれかであってよい。抗生物質の例には、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンなどのマクロライド類、およびバンコマイシン、テイコプラニンなどのグリコペプチド類、のような抗グラム陽性薬剤、ならびに溶解または浮遊させることが可能であり、オキサゾールジノン、キヌプリスチン/ダルホプリスチンなどの好適なエアロゾルとして使用することが可能な、他のあらゆる抗グラム陽性薬剤が挙げられる。抗グラム陰性薬剤として有用な抗生物質には、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ストレプトマイシン、ネチルマイシンなどのアミノグリコシド類、シプロフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシンなどのキノロン類、オキシテトラサイクリン、ジオキシサイクリン、ミノサイクリンなどのテトラサイクリン類、およびコトリモキサゾール、ならびに溶解または浮遊させることが可能であり、好適なエアロゾルとして使用することが可能な、他のあらゆる抗グラム陰性薬剤が挙げられる。サーファクタント薬剤については、後に詳述する。
【0084】
本発明の従圧式呼吸システムは、例えば、加湿機、フィルタ、計量器、痰および他の分泌物用トラップのような当該のシステムに通常見られる他の要素のうちのいずれかと、呼吸サイクル、吸入器、及び/又は他の構成要素を制御する制御器とを備えることが可能である。湿度の制御がエアロゾル粒子の送達効率に影響を及ぼす場合があるので、システムにおける加湿器は特に有益である。例えば、水で包まれた粒子は、システムの管の壁で凝縮する傾向があるので、エアロゾル粒子が、著しい吸湿性拡張を起こさないようにしなければならない。呼吸サイクル制御器は、呼吸サイクルの吸気段階中に限って、又は加湿器が作動していないときに、エアロゾルの投与を行うのに使用することが可能であるので、呼吸サイクル制御器は本発明の実施においても有用であり、それによって、システムの効率がさらに向上する。
【0085】
図17に示されるように、本発明の好適な一実施態様は、主圧力発生回路P、呼吸器回路R、および補助回路Aを有するCPAPシステム1700を備える。上述のように、市販の従圧式呼吸システムに付随する管は、回路の要素間の流体連通を保持することによって、気体流のための「回路」を形成する。この管は、これに限定されないが、様々なプラスチック、金属、及び複合材を含む、様々な材料で製作することができ、硬く、または柔軟にすることができる。この管は、着脱可能な様式、又は様々なコネクタ、アダプタ、接合デバイスなどを使用した固定形態で、回路の様々な要素に取り付けることができる。回路Pは、導管1701を介して圧力調整装置1703と流体連通するフロージェネレータ1702を備える。
【0086】
呼吸器回路Rは、患者インターフェイスデバイス、すなわち、鼻カニューレ1704を備え、管1706を介して「T」型接合ユニット1705で回路Pと連通する。管1706は、導管1701よりも小径であること、すなわち、管1706が5乃至8mm以下の外径であることが好ましい。吸入器1707(エアロゾルジェネレータを備える)は、接合部1708で管1706と流体連通する。吸入器1707は、患者によって吸入される気体流に、すなわち、呼吸器回路R内の気体流に、直接エアロゾル化薬剤を放出するように構成され、患者の鼻、口腔、又は人工気道(例えば気管内チューブ)の直近に配置することが好ましい。吸入器1707自体は、管1706(図示)に接続するための内臓コネクタを備えるか、又は別の管又はコネクタを使用して接続することが可能である。
【0087】
補助回路Aは、好ましくは管1706と同じ外径である、柔軟な管1711を備えることが可能であり、この管は「T」型接合ユニット1710でフローセンサ1709と管1706とを接続する。接合ユニット1710は、鼻カニューレ1704の近くに配置されることが好ましいが、吸入器1707によって放出されるエアロゾル粒子の向きが管1711の方に変えられないように、吸入器1707の上流に配置されることが好ましい。調整可能なオリフィスバルブ1712は、フローセンサ1709を通過する気体の流量を調整するために、接合部1710とフローセンサ1709との間の管1711内に配置することが可能であるが、センサ1709に対して最適な流れの範囲の中間に配置することが好ましい。使い捨てフィルタ1713は、フローセンサ1709を通る呼気によって運ばれる可能性のある、あらゆるバクテリア、ウイルス、及び/又は他の汚染菌を取り除くように、接合部1710とフローセンサ1709との間の管1711内に配置することが可能である。
【0088】
以下に、CPAPシステム1700の作動を、図18を参照して説明する。図18は、CPAPシステム1700の拡大断面図である。高体積気体流1820は、フロージェネレータ1802から回路Pに導かれ、導管1801を通ってシステム全体に持続正圧を保持する圧力調整装置1803に達する。一般的に約10%の流れ1820とすることが可能な吸気流1821は、圧力発生回路Pの導管1801から呼吸器回路Rの管1806へ流れ、患者の呼吸器系に比較的安定した吸気流量を提供し、それによって、従来のCPAPシステムの原理による患者の吸気努力を支援する。接合部1810で、吸気流1821の一部1821aは、管1806を通って鼻カニューレ1804に向かい、吸気流1821の一部1821bは、管1811を通ってフローセンサ1809の方へ向きを変えられる。
【0089】
流れ1821aは、接合部1808を通るが、そこでは、吸入器1807のエアロゾルジェネレータによって発生されるエアロゾル化薬剤の粒子1822は、流れ1821aに導かれる。最終的に飛沫同伴されたエアロゾル粒子1822を含有する、得られた流れ1823は、鼻カニューレ1804を通って患者の呼吸器系に移動し、それによって、エアロゾル化薬剤を患者の呼吸器系に送達する。流れ1821bは、管1811および調整可能なオリフィスバルブ1812を通るが、この流れは、流れ1821bの流量を流れ1821cの流量に減じるように、例えば、流れ1821bの流量の約20%にすることが可能になるように、調整することが可能である。減じられた流れ1821cは、次いで使い捨てフィルタ1813を通ってフローセンサ1809に向かい、最終的に大気中に放出される。流れ1821cがフローセンサ1809を通る時に、フローセンサ1809は流れ1821cの体積流量を測定し、流れ1821cの特性である第1の電気信号、例えば特定の出力電圧を、CPAPシステム1700の電子回路1825で発生する。流れ1821cは吸気流1821に正比例するので、流れ1821cによって生じた第1の電気信号は、患者が吸入する時を識別し、エアロゾル化薬剤の送達を継続するために、システムによって使用することが可能である。
【0090】
患者が息をはく時、呼気流1824は、鼻カニューレ1804を通って管1806に向かい、管1811を通って接合ユニット1810で向きを変えられる。呼気流1824は、管1811において吸気流1821bと混合され、流れ1824及び1821bの流量の和に等しい流量を発生させる。流れ1824および流れ1821bの複合流は、調整可能なオリフィスバルブ1812を通り、その総流量は、流れ1821bの単独の場合に上述されたと同じ方法によって減じられる(図18に、流れ1824a及び流れ1821cを混合した流れとして示す)。使い捨てフィルタ1813は、流れ1824aの結果として、複合空気流に存在する可能性のある、あらゆる細菌、ウイルス又は、他の汚染菌を取り除き、複合空気流は、次いでフローセンサ1809を通る。流れ1821c及び流れ1824aを混合した流れがフローセンサ1809を通るとき、流れ1821cの流量を超える流量の変化(増加)がフローセンサ1809によって検出される。その結果、フローセンサ1809は、流れ1821cの単独で発生される第1の電気信号とは異なる、第2の電気信号を電子回路1825で生成する。第2の電気信号は、電子回路1825によって吸入器1807に送信され、そのエアロゾルジェネレータを停止させる。このエアロゾルジェネレータの動作停止は、流れ1821aへのエアロゾル粒子1822の導入を停止させる。第2の電気信号は、流れ1821c及び流れ1824aを混合した体積流量によって発生されるので、呼気流1824の存在を示す。したがって、第2の電気信号は、患者が息を吐き出す時を識別し、エアロゾル化薬剤の導入を停止するためにシステムによって使用することが可能である。このように、患者が息を吐き出す場合に、エアロゾルは管1806に導かれず、したがって、最終的に大気に放出されて失われるエアロゾル化薬剤は、呼気流1824内に飛沫同伴されない。
【0091】
患者による呼気努力が停止し、再び吸入を始める場合、呼気流1824が停止され、吸気流1821だけがシステム内に存在する。その結果、流れ1821cだけが管1811を通る。フローセンサ1809は、流量の変化(減少)を検出し、第1の電気信号を発生し、吸入器1807に送信する。第1の電気信号によって、吸入器1807は、エアロゾルジェネレータを起動させ、流れ1821aへのエアロゾル粒子1822の導入を再開する。患者の呼吸サイクルと協調した吸入器1807のエアロゾルジェネレータの起動および停止によって、患者が吸い込むときにだけ、本発明のCPAPシステムにエアロゾル化薬剤を導入することができる。これによって、薬剤の送達効率が著しく向上し、これに対応して大気中への放出による薬剤の損失が減少する。
【0092】
上述のように、圧力調整装置1803は、CPAPシステム内の空気圧を所望の一定のレベルに制御および保持するための、既知の機器のうちのいずれかを備えることが可能である。一般的に、圧力調整装置1803は、圧力調整回路Pを出る気体流を調節する圧力バルブまたはスレッシュホールドレジスタのような、制限的な空気排出機器を備えることが可能である。他の用途では、気体流の調整は、脈管内で上昇する水の高さによって表されるシステム内の圧力を用いて、所定の量の水を含む標準脈管内に空気流を開放することによって行われる。使用される圧力調整装置に関係なく、呼吸器回路Rによって患者インターフェイスデバイス1804に導かれる持続的気道内正圧は、その器具を使用する特定の患者の要求を満たすように、圧力発生回路内の空気流に対する抵抗を変化させることが可能である。
【0093】
接合ユニット1805は、一般的に「T」型または「Y」型中空ユニット(「WYE」と称されることもある)を備えることが可能であるが、他の形状であってもよい。図18に示されるように、柔軟な管1806は、接合ユニット1805に接続され、それに従属する分岐気体導管を画定し、圧力発生回路Pと気体連通する。管1806は、最終的に患者インターフェイスデバイス、例えば鼻カニューレ1804に接続され、呼吸器回路Rを形成する。柔軟な管1806は、比較的薄く、また圧力発生回路Pを備える柔軟な管1801よりも小径かつ柔軟であることが好ましい。例えば、柔軟な管1806は、外径が約5乃至8mmの市販のシリコン管であってよい。
【0094】
吸入器1807は、CPAPシステムとの使用に適した、薬剤を霧状にする(エアロゾル化する)ための既知の機器のうちのいずれかであってよいが、振動開口型エアロゾルジェネレータを有する、小型で軽量の吸入器であることが好ましい。
【0095】
本発明のフローセンサ1809は、そこを通る流体の体積流量の小さな変化を検出するように構成され、その流量の特性である電気信号、例えば出力電圧を発生することができる、既知の流量センサデバイスであってよい。本発明の実施に特に好適なフローセンサには、Omron社(日本)から市販されている、「MEMS Flow Sensor、Model D6F−01A1−110」が挙げられる。Omron社のフローセンサは、0乃至1L/分(0℃、圧力101.3kPa時)の範囲の流量を検出することができる。Omron社のフローセンサに関して、測定した流量と、その結果の出力電圧との関係を以下の表1にまとめた。
表1
流量(L/分) 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
出力電圧(VDC±0.12) 1.00 2.31 3.21 3.93 4.51 5.00
〔注:表1の測定条件:電源電圧=12VDC、室温=25℃、相対周囲湿度=25乃至75%〕
【0096】
吸入器1807は、CPAPシステムの電子回路1825を介してフローセンサ1809に接続することができる。例えば、吸入器1807は、フローセンサ1809からの信号に応答して、エアロゾルジェネレータの起動および停止を行う制御器(図示せず)に接続することが可能である。CPAPシステムの制御器および他の電子部品は、小型で柔軟なワイヤー、ケーブル、及びコネクタによって接続されることが好ましい。吸入器1807にも関連しうる他の構成要素の例には、タイマー、状態表示手段、液状薬剤供給用吸入器または注射器、などが挙げられ、全て当業者によって公知であり、上述の特許および特許出願書に詳述される。
【0097】
以下の実施例は、上述のOmron社のフローセンサを使用した本発明を示すものであるが、その中で述べられる特定の詳細に本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0098】
図18に示されるような本発明のCPAPシステムは、乳幼児の呼吸治療に使用することが可能である。本システムは、0.49kPa(5cmH2O)の圧力に加圧することが可能であり、フロージェネレータ1802によって、一定の空気流を、10L/分の割合で圧力発生回路Pに供給することが可能である。圧力発生回路の空気流は、約1L/分(10%)で柔軟な管1806に、流れ1821として流すことが可能である。鼻カニューレ1804を介した乳幼児による吸入中に、流れ1821cの流量を約0.2L/分(0.2×1L/分)で発生させるように、オリフィスバルブ1812を適切に調節することによって、流れ1821の約20%(図18に、流れ1821bとして示す)を、接合部1810で管1811へ向きを変えることが可能である。流れ1821cはまた、使い捨てフィルタ1813も通ることが可能であるが、流れ1821cは、あるとしてもごくわずかの汚染菌を含有する吸入気しか含まないので、フィルタによって流れ1821cからは重要なものは何も取り除かれない。流れ1821cは、次いで上述のOmron社のフローセンサを、上述の表1より、0.2L/分の流量で通過することが可能であり、その結果、約2.31VDCの出力電圧を発生する。CPAPシステムの電子回路は、フローセンサがこの出力電圧を吸入器1807に送信したときに、吸入器1807のエアロゾルジェネレータを起動させるように構成することが可能である。エアロゾルジェネレータを起動することによって、CPAPシステムの呼吸器回路Rにエアロゾル化薬剤が導かれるので、乳幼児はその薬剤を吸入することができる。
【0099】
呼気の間に乳幼児は、鼻カニューレ1804を介して約0.6L/分の空気流を吐き出し、管1811で流れ1821bと混合される呼気流1824を発生させる。単独の流れ1821bについて上述したように、オリフィスバルブ1812は、管1806内の気体流量を元の流量の約20%に減じるように調整されている。したがって、流れ1821bは、約0.20L/分(0.2×1L/分)の流量の流れ1821cに減じることが可能であり、流れ1824は、約0.12L/分(0.2×0.6L/分)の流量の流れ1824aに減じることが可能である。したがって、流れ1821c及び1824aを混合した複合呼気流量は、約0.32L/分に等しい。この複合呼気流量は、次いで使い捨てフィルタ1813を通り、呼気流1824aにより存在する可能性のあるあらゆる汚染菌を除去し、その後Omron社のフローセンサを通る。上述の表1を参照する。表から、Omron社の圧力センサが、0.32L/分の複合呼気流量で、約3.0VDCの出力電圧を発生することがわかる。CPAPシステムの電子回路は、この出力電圧が電子回路1825によって吸入器1807に送信されたときに、吸入器1607のエアロゾルジェネレータを停止させるように構成することが可能である。エアロゾルジェネレータを停止させることによって、呼気流1824が存在する間は、CPAPシステムの呼吸器回路Rへのエアロゾル化薬剤の粒子1822の導入が中断される。その結果、最小量のエアロゾルが呼気流1824に飛沫同伴され、最終的に大気中に放出される。場合によっては、電子回路1825は、必要に応じて、エアロゾルジェネレータの動作停止をわずかに進めたり遅らせたりすることができる位相シフト回路を備えることが可能である。
【0100】
吸入中にOmron社のフローセンサを介した流量が0.2L/分に戻った場合に、Omron社のフローセンサの出力電圧は2.31VDCに戻る。この電圧は、患者の呼吸サイクルの吸入段階の特性であるので、CPAPシステムの呼吸器回路へのエアロゾル化薬剤の導入が吸入中に再開されるように、再びエアロゾルジェネレータを起動する信号として、電子回路1825によって使用することが可能である。患者の呼吸サイクルのどの段階が生じているかに依存する、吸入器の起動および停止のサイクルは、CPAPシステムが乳幼児の呼吸治療に使用される期間中に繰り返すことが可能であり、それによって当該の治療に必要な薬剤の量が著しく減じられる。
【実施例2】
【0101】
図19を参照する。CPAPシステム1900を呼吸シミュレーション用ピストンポンプ1930(Harvard Apparatus社、Holliston、MA01746より市販のもの)に取り付け、乳幼児の呼吸サイクルをシミュレートした。CPAPシステム1900は、本発明による、管1943を介して呼吸器回路1942に接続される、圧力バルブ1938、使い捨てフィルタ1939、及びフローセンサ1940を備える、補助回路Aを含む。着脱可能なフィルタ1931を、ポンプ1930の流入口に配置した。乳幼児の鼻孔に相当する二つのオリフィス1933を備えたアダプタ1932(Argyle社製鼻用チューブ、Sherwood Medical社、St.Louis、MO63013より市販のもの)をフィルタ31に接続した。吸入器1937(Aeroneb(登録商標)Professional Nebulizer System、Aerogen社、Mountain View, CAより市販のもの)を、エアロゾル化薬剤がオリフィス1933を通る空気流に送達されるように、アダプタ1932の近くの呼吸器回路1942内に配置した。ポンプ1930の作動中に、飛沫同伴されたエアロゾル化薬剤を含有する空気は、フィルタ1931を往復して流れ、フィルタ1931は空気流から薬剤を取り込む。各試験後にフィルタ1931に取り込まれた薬剤の量は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によって測定され、システムへのエアロゾルの送達効率を測る基準を提供するために、霧状にされた総量と比較した。
【0102】
ポンプ1930は、1回呼吸量が10mL、及び呼吸数が毎分40回の乳幼児の呼吸パラメータに設定された。10L/分の一定の空気流1934が、CPAP流入口1935を介して供給され、抵抗圧力調整器1936は、0.49kPa(5cmH2O)の圧力を発生するように設定された。吸入器1937は、3mLの硫酸アルブテロール(「アルブテロール」)の溶液で満たされた。同期噴霧(すなわち吸入中だけの噴霧)対連続噴霧の効果を調査するために、二組別々に四つの試験を行った。第一組の試験では、吸入器1937を、ポンプ1930の吸入および呼気サイクルの両方の間で継続的に実行した。第二組の試験では、本発明によるフローセンサ1940からの入力を使用して、ポンプ1930の呼気サイクル中に、吸入器1937の作動を停止させた。各試験の後、フィルタ1931に取り込まれたアルブテロールの量が、HPLCによって測定され、パーセント効率を得るために霧状されたアルブテロールの量と比較した。結果を以下の表2にまとめた。
表2
連続噴霧:
試験No. 効率
1 26%
2 24%
3 22%
4 27%
平均効率: 24.75%
同期噴霧:
試験No. 効率
1 40%
2 44%
3 51%
4 43%
平均効率: 44.5%
【0103】
上述の結果は、本発明による同期噴霧の方が、連続噴霧よりもかなり多くのアルブテロールを、CPAP中に鼻用チューブを介して供給することが可能であることを示している。
【0104】
本発明によるエアロゾル化薬剤の高効率送達は、上述のエアロゾル化サーファクタントを使用したiRDSのnCPAP治療のような、高価または希少な薬剤を用いる呼吸療法に特に有用である。大部分のサーファクタントは動物性であるので、現在の供給は制限され、また合成サーファクタントが入手可能であるが、それらの製造は不正確かつ高価である。さらに、サーファクタント薬剤は、一般的に粘性が高く、患者の呼吸器系への送達が困難である。本発明の従圧式呼吸システムの効率の向上、および本発明による治療に必要な薬剤の量の削減は、当該の希少かつ高価な薬剤を使用する場合の重大な利点となりうる。
【0105】
好適な実施態様では、本発明の吸入器は、薬剤の単位投与量に等しい貯蔵容器容量を有する。一例として、液体のリン脂質サーファクタント薬剤の1回の投与量は、一般的に約100mgのサーファクタントを乳幼児の肺に注入することによって達成される。しかし、所要のエアロゾル投与量は、かなり少ないと思われる。例えば、動物の研究者は、動物モデルにおける酸素処理を実質的に向上させるには、約4.5mg/kgのサーファクタントの吸入用量で十分であると判断している。これは、エアロゾル化した形態で、1kgの乳幼児の肺に送達するサーファクタントの十分な単位投与量は、約5乃至10mgであってよいことを示唆する。液体サーファクタントは、一般的に25mg/mLの濃度の希薄溶液で投与されるので、10mgの活性サーファクタントを得るためには、約2/5mL(10/25mL)の液体サーファクタントが必要である。新生児CPAPシステムは、本発明により、エアロゾル化薬剤全体の約6乃至18%を、通常の呼吸パターンで乳幼児の肺に送達するように設計することが可能である。例えば、吸入器の効率が10%である場合に、エアロゾル化サーファクタントの単位投与量を送達するために、吸入器の貯蔵容器内に必要なサーファクタント溶液の量は、ファクターが10、すなわち、10×2/5mL=4mLまで増加することになる。したがって、本発明による容量4mLの吸入器の貯蔵容器であれば、貯蔵容器を補充せずに、1kgの乳幼児に単位投与量のサーファクタントを提供することが十分可能である。
【0106】
単位投与量及び対応する吸入器の貯蔵容器のサイズは、吸入器の効率、患者の体重、及び必要とされるサーファクタントの量によって変化しうる。例えば、上述の実施例で乳幼児が3kgであった場合、単位投与量(および対応する貯蔵容器のサイズ)は、約12mLの液体サーファクタント(すなわち、3kg×4mL/kg)になる。同様に、上述の実施例において必要な活性サーファクタントが5mgである場合は、単位投与量は、約2mL(すなわち、5/25mL×10)の液体サーファクタントとなる。また上述の実施例において、吸入器の効率が15%である場合は、単位投与量は、約8/3mL(すなわち、2/5mL×100/15)の液体サーファクタントとなる。
【0107】
本発明による吸入器は、20分未満で、場合により僅か5分で、エアロゾルによって単位用量を投与することが可能である。エアロゾルの発生は、持続性又は相動性であってよく、時間とともに漸増される投与量の送達速度に対して、一定時間に行われるように設定することができる。例えば、4mLの最大投与量が、10秒、20秒、30秒毎に1秒間噴霧される。
【0108】
一実施態様では、本発明は、サーファクタント欠乏(別名「サーファクタント欠損症」)を伴う疾病、またはサーファクタント欠損(別名「サーファクタント欠損症候群」)を伴う疾病の治療方法の提供を目的とする。当該の疾病には、これに限定されないが、新生児呼吸窮迫症候群(iRDS)、急性呼吸窮迫症候群(ADRS)、胎便吸引症候群(MAS)、喘息、肺炎、(人工呼吸器に関連した肺炎を含む全ての種類)、新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)、先天性横隔膜ヘルニア(CDH)、敗血症、急性肺障害(ALI)、細気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)−慢性気管支炎、嚢胞性線維症、肺移植疾病、および、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)などが挙げられる。当該の疾病を治療するための方法は、概して自然発生(動物由来の)または合成(設計された)の肺サーファクタントの患者の肺への投与を伴うので、対象の方法は、従来技術において「サーファクタント(交換)治療」と称されることがある。
【0109】
概して、本発明の方法は、液体の肺サーファクタント組成物を提供するステップと、エアロゾル化肺サーファクタント(本明細書では、「サーファクタントエアロゾル」とも称する)を形成するために、エアロゾルジェネレータ、好ましくは振動開口型エアロゾルジェネレータによって肺サーファクタント組成物をエアロゾル化するステップと、患者の呼吸器系に接続されることによって、サーファクタントの治療上有効な量が患者の肺に送達される、上述のような従圧式呼吸システムに、好ましくはCPAPシステムの回路内の気体流に、サーファクタントエアロゾルを導くステップとを備える。
【0110】
肺サーファクタントは、複雑かつ高度の表面活性材料であり、概して脂質および/またはタンパク質から構成される。肺サーファクタントの主要な特性は、肺の表面張力を減じ、吸入された粒子および微生物に起因する損傷および感染症から肺を保護することである。自然発生的肺サーファクタントの組成物は、被験者の種、年齢、および健康状態のような様々な要素によって変化することがある。したがって、自然肺サーファクタントが何であるか、または合成肺サーファクタント組成物には何が含まれるべきか、という定義は、その状態に左右される。健康な哺乳類の肺洗浄によって分離されるサーファクタントは、約10%のタンパク質および90%の脂質を含有し、そのうち約80%がリン脂質であり、約20%が中性脂質であり、約10%の非エステル型のコレステロールを含む。
【0111】
肺サーファクタントは、一般的に粘性が高く、投与が困難である。肺サーファクタントは、水または食塩液などの薬学的に許容可能な希釈剤と混合して、液体サーファクタント組成物を提供することが可能である。本発明の実施では、液体の肺サーファクタント組成物、例えば、20乃至120mg/mL、好ましくは20乃至80mg/mLの濃度の液体の肺サーファクタント組成物が好適である。市販の肺サーファクタントは、調合済みの液体としてすでに存在しており、また本発明においても有用であると考えられる。市販の肺サーファクタント組成物の例には、CUROSURF(Chiesi Pharmaceuticals社)、ALVEOFACT(Boehringer Ingelheim社)、およびSURVANTA(Abbott Laboratories社)の商標で販売されている天然サーファクタント組成物、およびEXOSURF(Glaxo Wellcome社)、およびSURFAXIN(Discovery Laboratories社)の商標で販売されている合成サーファクタント組成物が挙げられる。
【0112】
エアロゾルジェネレータによって、単一物質の噴射、遠心力による微粒化、凝結、気化、分散体、超音波、ジェット噴霧、などの多種多様な方法でのエアロゾル形成が可能になる。上述のように、振動開口型エアロゾルジェネレータは、本発明の実施に好適である。振動開口型エアロゾルジェネレータは、振動要素に囲まれた、1000以上の精密形成された先細孔を備える独特なドーム型の開口プレートを備える。エネルギーが印加されると、開口プレートは毎秒100,000回にわたって振動する。この急速な振動によって各開口部がマイクロポンプのように機能し、孔を介してプレートと接触する液体を引き込み、常に大きさの等しい液滴を形成する。その結果、最大肺沈着に最適化された低速の液体エアロゾルが得られる。好適な振動開口型エアロゾルジェネレータは、液体を非常に効率的にエアロゾル化し、事実上剰余の液体を出さず、推進体を使用したり熱を発生したりせずに作動し、それによって、サーファクタントの分子的な完全性を保つ。代表的な振動開口型エアロゾルジェネレータは、上述の特許文献4、特許文献5、特許文献6、及び特許文献7に詳述されており、参照することにより本願明細書にその全てが組み込まれる。
【0113】
開口プレートの開口部は、液滴を特定のサイズの範囲に保持しながら、液滴の生成速度を高めるように形成することが可能であり、同時係属の2001年3月30日に出願の特許文献8に開示されており、参照することにより本願明細書に組み込まれる。当該の開口部は、本発明による粘着性のサーファクタント組成物のエアロゾル化に特に有用となりうる。好適な振動開口型エアロゾルジェネレータは、Aerogen社(Mountain View, California)から市販されている。
【0114】
一般的に、上述の器具は、対象の患者の呼吸器系に連結される従圧式呼吸システム内の気体流に、エアロゾルジェネレータによって発生されるサーファクタントエアロゾルを直接導くように配置された、エアロゾルジェネレータを含む吸入器を備える。
【0115】
上述のように、CPAPシステムは、患者による自発呼吸を支援し、システム内の正圧を保持するための圧力発生回路と、患者の呼吸器系に連結される患者インターフェイスデバイスと、圧力発生回路と患者インターフェイスデバイスと間に気体の連通を提供するための呼吸器回路とを備える。CPAPシステムは、肺容量を増加および保持するために、また患者の自発呼吸中の労力を減じるために、吸入中に一定の正圧を用いる。正圧は、有効に気道を拡張させ、その虚脱を防止する。振動開口型エアロゾルジェネレータと組み合わせた当該のCPAPシステムを使用することによって、サーファクタントエアロゾルの患者の肺への送達効率が著しく高められる。
【0116】
振動開口型エアロゾルジェネレータは、それらを一般的にエアロゾル化薬剤のために、特に本発明によるサーファクタント補充療法のために一意的に合せる、幾つかのエアロゾル送達の特徴を有する。振動開口型エアロゾルジェネレータは、エアロゾル粒子の形成時に極めて有効であり、開口プレートと直接接触するようになる液体サーファクタントのほぼ100%をエアロゾル化する。この特徴は、システム内のサーファクタント損失原因の一つを事実上排除する。
【0117】
さらに、振動開口型エアロゾルジェネレータは、正確に規定される平均粒径の低速エアロゾルを送達する。エアロゾルの粒子サイズの分布、および、薬剤の出力は、特定の患者または状態の要求を満たすように、振動プレートの開口部のサイズを変えることによって変更することができる。エアロゾルの粒径は、最適な効率を保持するために、5μm未満のMMADに調整されることが好ましく、1乃至3μmのMMADに調整されることが最も好ましい。これらのより小さいエアロゾル粒子によって、サーファクタントエアロゾルの送達および末梢性肺沈着が高められるので、システム内のエアロゾルの損失が減じられる。また、振動開口型エアロゾルジェネレータは、サーファクタント組成物の特徴および特性を変化させる可能性のある、著しい熱またはせん断力を発生させない。
【0118】
本発明の振動開口型エアロゾルジェネレータのためのエアロゾル出力(流量)は、他のタイプの吸入器よりもかなり高く、その結果、本発明の方法のための治療時間は、従来のサーファクタント治療よりもかなり短い。例えば、患者の肺に沈着するエアロゾル化サーファクタントの治療量(「単位投与量」)を、2乃至400mgの範囲とすることが可能である。本発明の実施において、液体サーファクタント組成物は、20乃至120mg/mLの濃度の溶液を有することができる。本発明の振動開口型エアロゾルジェネレータの流量は、0.1乃至0.5mL/分の範囲であり、この流量は、相当するエアロゾルジェネレータの流量よりもかなり多く、例えば、ジェット噴霧器の流量は、一般的に0.2mL/分未満である。1kgの新生児におけるサーファクタント欠乏の治療のためのエアロゾル化サーファクタントの単位投与量が、40mg(例えば、40mg/mLの液体サーファクタント組成物の1.0mL)であれば、0.4mL/分の流量を有する振動開口型エアロゾルジェネレータを使用した本発明の方法では、3分以内に単位投与量の90%を発生させるが、一方で、相当するジェット噴霧器は、3mLの充填容積を必要とし、同じ単位投与量の送達に6分以上かかる場合がある。本発明の方法によって達成される、必要な用量の削減および治療時間の短縮によって、患者が直接の滴下の前に利益を受けるか、吸入器内に配置される液体サーファクタントの量がさらに少なくなるといった可能性が向上する。好適な実施態様において、患者の肺への活性サーファクタントの送達速度は、2乃至800mg/時の範囲であることが好ましい。
【0119】
好適な実施態様において、振動開口型エアロゾルジェネレータを有する吸入器内に、液体のサーファクタント組成物を保持する貯蔵容器の直径およびサイズを小さくすることによって、吸入気は、大きな「再呼吸容量」を加えずに、呼吸器回路に直接配置することができる。例えば、本発明の好適な振動開口型エアロゾルジェネレータは、約5mL以上の再呼吸容量を加えることができない。本願明細書で使用されるような「再呼吸容量」とは、限定空間において所望の量のエアロゾル化サーファクタントを生成するために、システム内に必要な気体の量である。空気式およびジェット噴霧器は、典型的には6〜20mLの容器容量を有するため、主要な流れと患者の気道との間のCPAPシステムの呼吸器回路内に、これらの吸入器のうちの一つを配置することによって、回路内の再呼吸容量の望ましくない増加が付加される。この再呼吸容量の増加によって、エアロゾル化サーファクタントの稀釈効果がもたらされ、送達システムの効率が減じられる。
【0120】
あらゆるエアロゾル化薬剤に使用することが可能であり、特にサーファクタント治療に有用である好適な一実施態様において、振動開口型エアロゾルジェネレータからのサーファクタントエアロゾルは、外部の直接的な呼吸回路(例、図20の呼吸器回路R)に配置される、内部容積5乃至400mLのプレナムチャンバに発生させることが可能である。プレナムチャンバによって、取り込まれるサーファクタントエアロゾルの濃度は、呼吸器回路に放出される前に、エアロゾルジェネレータ単独によって発生される濃度よりも高くすることができる。プレナムチャンバの使用によって、呼気作動吸入器が同じ吸入量を送達するのに必要な時間の25%足らずで、呼気作動吸入器に相当するエアロゾルサーファクタントの吸入量、例えば、吸入器に提供されるサーファクタントの吸入量の80%を供給することがわかっている。
【0121】
本発明によるプレナムチャンバを使用した器具の一例として、図20はCPAPシステム2000を示す。主気体流2071は圧力発生回路Pに運ばれ、呼吸流2072は回路Pから患者2073への呼吸器回路Rに運ばれる。振動開口型エアロゾルジェネレータ2074は、プレナムチャンバ2075内のエアロゾルジェネレータ2074によって発生されるサーファクタントエアロゾル2076を取り込むように、プレナムチャンバ2075の上に配置される。サーファクタントエアロゾル2076のプルーム(plume)がプレナムチャンバ2075の壁または下部に衝突しないように、プレナムチャンバ2075の大きさが設定され、それによって、衝突の結果生じるサーファクタントエアロゾルのあらゆる損失が減じられる。制御された第2の気体流2077は、集めたサーファクタントエアロゾルの流れ2079を、導管2080を介してプレナムチャンバ2075から呼吸流2072へ運ぶために、流入口2078を介してプレナムチャンバ2075に導くことが可能であり、患者2073の気道に近位の場所2081で呼吸器回路Rと交差する。導管2080は、プレナムチャンバ2075内の気体の容積を再呼吸容量から分離するように、すなわち、プレナムチャンバ2075からの気体流2079が呼吸流2072のわずかな比率となるように、一方向バルブ、または流れ2079を制御するソレノイド2082を有することが可能である。流れ2079は、呼吸サイクルの不連続部分の間に呼吸器回路Rに導かれるサーファクタントエアロゾルを含み、持続的または断続的であってもよい。
【0122】
エアロゾルジェネレータの、好ましくは振動開口型エアロゾルジェネレータの独特の組み合わせの結果として、従圧式呼吸システムは、好ましくはCPAPシステムは、上述の説明、および上述の同時係属の特許出願における、複数のまたは効率を改善する特徴を有していて、本発明の方法によって、肺サーファクタントの10乃至80%を患者が吸入することが可能である。特に好適な実施態様では、肺サーファクタントの30%以上を患者の肺に送達することが可能である。
【0123】
以下の例は、本発明の実施による効率の向上を示すが、本発明は、その中に述べられる詳細に限定されるものではない。例えば、以下の例は、どのような特定のエアロゾル化薬剤の送達にも限定されるものではない。
【実施例3】
【0124】
図21aおよび21bは、nCPAPの間に、シミュレートした乳幼児の呼吸パターンを用いてエアロゾル送達の測定に使用することが可能な、nCPAPシステム2100および2200の図である。nCPAPシステム2100および2200は、呼吸シミュレータ2101および2201を備え、アブソリュートフィルタ2103および2203に接続される乳幼児サイズの鼻用チューブ2102および2202(Argyle;n=3)から構成され、往復ポンプ式動物用人工呼吸器2104および2204(Harvard Apparatus社)に接続され、nCPAPシステムを形成する。肺シミュレータ2100および2200は、乳幼児呼吸パラメータ(VT=10ml、呼吸数=毎分40回)に設定することが可能である。人工呼吸器2104および2204からの10L/分の一定の酸素流は、スレッシュホールドレジスタ2105および2205によって調整される0.49kPa(5cmH2O)のCPAPを発生させるために使用することが可能である。
【0125】
両システムにおいて、液状薬剤(0.5mLの0.5%硫酸アルブテロール)は、nCPAPシステムの回路内に配置される吸入器2106および2206によってエアロゾル化することが可能である。薬剤は、鼻用チューブ2102および2202の遠位に配置されるフィルタ2103および2104に取り込むことが可能であり、取り込んだ薬剤は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を使用して分析することが可能である。エアロゾルだけがフィルタに到達すること、および凝縮物は呼吸回路、吸入器、またはアダプタに留まるということに留意されたい。これは、吸入器2106および2206が、それぞれのフィルタ要素2103および2203より低くなるように、システムを傾斜させることによって達成される。nCPAPシステムの効率は、その後フィルタに取り込んだ薬剤の量を、吸入器内に配置される薬剤容量の割合として示すことによって測定することが可能である。
【0126】
試験1において、吸入器2106は、図21aに示されるように、エアロゾル化薬剤を、nCPAPシステム2100の圧力発生回路内の主空気流に放出するように配置される、標準的なジェット噴霧器を備えることが可能である。試験2において、吸入器2106は、エアロゾル化薬剤を、nCPAPシステム2100の圧力発生回路内の主空気流に放出するように配置される、振動開口型エアロゾルジェネレータ(Aerogen社製、Aeroneb(登録商標)Pro)を有する吸入器を備えることが可能である。試験3では、本発明の一実施態様に基づいて、吸入器2206は、乳幼児の気道の近位への配置に好適なように設計された、小型で軽量な吸入器を備え、[振動開口型エアロゾルジェネレータ(Aerogen社製、呼吸器系疾患における薬物送達システム(PDDS)の吸入器)]を使用することが可能である。図21b(および図2)に示されるように、本発明の別の実施態様に基づいて、吸入器2206は、エアロゾル化薬剤を、主空気流とシミュレートされた患者の気道との間のnCPAPシステム2200の呼吸器回路内の、より低い空気流へエアロゾル化薬剤を連続的に放出するように配置することが可能である。試験4では、本発明の別の実施態様に基づいて、エアロゾル化薬剤は、エアロゾルの発生を呼気の間に中断して、PDDS吸入器2206から断続的に発生させることが可能である。
【0127】
図22に示されるように、本発明の振動開口型エアロゾルジェネレータを組み込んだAeroneb(登録商標)Proを、nCPAPシステムの圧力発生回路内に配置した場合、一般的に標準的なジェット噴霧器よりも効率的である。さらに、本発明の振動開口型エアロゾルジェネレータを備えたPDDS吸入器を、nCPAPシステムを介した主気体流とシミュレートされた患者の気道との間に配置した場合、鼻用チューブを介して一般的にかなり多くの薬剤を送達する。例えば、図21bに示される位置にあるPDDS吸入器2206は、一般的に、エアロゾルを連続的に発生させる吸入器内に配置される薬剤用量の26±9%(平均±標準偏差)の沈着をもたらし、また、断続的な発生の吸入器内に配置される薬剤投与量の40±9%の沈着をもたらす。エアロゾルの連続的な発生の間、一般的に吸入器からnCPAPシステムの圧力発生回路の呼気のリム(limb)に運ばれる可視的な量のエアロゾルが存在する。本発明の一側面に基づいて、呼気中にエアロゾルの発生を中断させることによって、明らかな損失が削減され、吸入される投与量の割合において50%近い改善がもたらされる。より高効率の振動開口型エアロゾルジェネレータの吸入気を用いても、試験2において比較的低い沈着しか得られなかったのは、吸入器が図21aに示されるように配置された場合に、吸入器を通る高総流量の気体流によって、吸入器のエアロゾルの出力の大部分が希釈されたことによると考えられる。
【0128】
上述の例が示すように、本発明による振動開口型エアロゾルジェネレータを組み込んだ吸入器は、エアロゾル化サーファクタントおよび他の薬剤を、代表的なCPAPシステムを介した患者の気道への送達に使用する場合に、概して標準的なジェット噴霧器よりも効率的である。本発明の一実施態様では、CPAPシステムの低流量の呼吸器回路内に振動開口型エアロゾルジェネレータを備えた、特に好適な小型吸入器を配置することによって、効率を劇的に高めることができるが、患者の気道の近傍に配置することが最適である。さらに別の実施態様では、エアロゾルを断続的に発生させる、例えば、吸入中にだけ発生させて、呼気中には発生を停止させることによって、さらに効率を向上させることが可能である。
【0129】
本発明は、好適な特定の実施態様に関連して説明したが、その説明および図は、例示を目的としたものであり、本発明の範囲を制限するものではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】吸入器を備えるCPAPシステムの一実施態様の略図である。
【図2】本発明のCPAPシステムの別の実施態様の略図である。
【図3】本発明のCPAP器具の斜視図である。
【図4】本発明の吸入器の斜視図である。
【図5】図4の吸入器の側断面図である。
【図6】本発明のマスクCPAP器具の斜視図である。
【図7】本発明による別のCPAP装置の斜視図である。
【図8】「Y」型接合デバイスを備える従圧式呼吸システムの略図である。
【図9】図8の「Y」型接合デバイスの断面図である。
【図10】本発明の接合デバイスを備える従圧式呼吸システムの略図である。
【図11】本発明の接合デバイスの断面図である。
【図12】本発明の別の接合デバイスの断面図である。
【図13】本発明の従圧式呼吸システムの人工呼吸器および呼吸器回路の斜視図である。
【図14】図13に示す呼吸器回路の断面図である。
【図15】本発明のnCPAPシステムの一部分の斜視図である。
【図16】図15に示す鼻カニューレの斜視図である。
【図17】フローセンサを収納する補助回路を備える、本発明によるCPAPシステムの一実施態様の略図である。
【図18】図17のCPAPシステムの断面図である。
【図19】実施例2で説明するようなCPAPシステムの略図である。
【図20】プレナムチャンバを使用する本発明の実施態様の図表示である。
【図21a】nCPAP中に、疑似新生児呼吸パターンを用いてエアロゾル送達を測定するために使用されるモデルの図表示である。
【図21b】nCPAP中に、疑似新生児呼吸パターンを用いてエアロゾル送達を測定するために使用されるモデルの図表示である。
【図22】図21a及び21bのモデルを使用する疑似新生児人工呼吸中に、nCPAPによる3つの型の吸入器における吸入質量の範囲を示すグラフ表示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
従圧式呼吸システムであって、
前記システム内の正圧力保持のための圧力発生回路と、
患者の呼吸系に連結された患者インターフェイスデバイスと、
前記圧力発生回路と前記患者インターフェイスデバイスとの間の、気体連通を提供するための呼吸回路と、
前記呼吸回路に連結された吸入器と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記圧力発生回路は、圧力調整装置付きフロージェネレータと連結する導管を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記圧力発生回路は第一の柔軟な管を備え、前記呼吸回路は第二の柔軟な管を備え、前記第二の柔軟な管の直径は、前記第一の柔軟な管より小さいことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第二の柔軟な管は、外径が5mm以下のシリコン管である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記吸入器は、患者の呼吸系に送達する液状薬剤を入れるための貯蔵容器と、前記液状薬剤をエアロゾル化するための振動開口型エアロゾルジェネレータと、前記エアロゾルジェネレータから前記呼吸回路を流れる気体にエアロゾル化薬剤を混入させるための、前記吸入器及び前記呼吸回路をつなぐ連結装置とを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記貯蔵容器が、薬剤の一単位投与量と同等の容量である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記貯蔵容器の容量が、4mL以下である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記吸入器の正味重量が、5g以下である、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記吸入器が、5dB以下の音圧を生ずる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記エアロゾルジェネレータの重量が、約1gである、請求項5に記載のシステム。
【請求項11】
前記吸入器が、患者の鼻、口、又は人工気道の直近に設置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記呼吸回路は、前記患者インターフェイスデバイス内に気体導管を備え、前記吸入器は、前記患者インターフェイスデバイスと一体化されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記患者インターフェイスデバイスは、鼻用チューブ、マスク、鼻咽頭チューブ、鼻咽頭管、気管切開管または気管内管を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
エアロゾル化薬剤を患者に送達する装置であって、
持続的気道内正圧を発生させるための第一の高容量気体流を提供するために、ガスフロージェネレータを圧力調整装置に連結する第一の気体導管と、
患者の呼吸系に連結された患者インターフェイスデバイスと、
第一の気体流より低容積の第二の気体流を前記患者の呼吸系に提供するための、前記第一の気体導管を前記患者インターフェイスデバイスに連結する第二の気体導管と、
エアロゾル化薬剤を第二の気体流に放出するための、前記第二の気体導管に連結した吸入器と、
を備える、エアロゾル化薬剤を患者に送達する装置。
【請求項15】
前記第二の気体導管の外径が、前記第一の気体導管より小さい、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第二の気体導管は、外径が5mmより小さい柔軟なシリコン管である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記吸入器は、正味重量が5gより軽く、5dBより低い音圧を発生する、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記吸入器が、薬剤の一単位投与量と同等の容量の貯蔵容器を備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
持続的気道内正圧装置であって、
加圧気体源と、
患者の呼吸系に連結されるマスクと、
前記加圧気体源と前記マスクを連結する柔軟な管と、
前記マスクに連結され、患者の鼻および/または口付近にエアロゾル化薬剤を放出するよう構成された吸入器と、
を備える持続的気道内正圧装置。
【請求項20】
呼吸治療の方法であって、
圧力発生回路と患者インターフェイスデバイスに連結した呼吸回路とを有する、従圧式呼吸システムを提供するステップであって、前記圧力発生回路が前記呼吸回路よりも高い気体の体積流量を有するステップと、
薬剤を患者の呼吸系に送達するために前記呼吸回路内の気体流にのみエアロゾル化薬剤を導入するステップと、
を含む方法。
【請求項21】
前記エアロゾル化薬剤は、前記呼吸回路に連結された振動開口型吸入器によって導入される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記吸入器は、薬剤の一単位投与量と同等の容量の貯蔵容器を含み、補充の必要なしに前記貯蔵容器のほぼ全量が患者の呼吸系に送達される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記薬剤投与量が、4mL以下である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
サーファクタント薬剤を患者の呼吸系へ送達する方法であって、
圧力発生回路、患者インターフェイスデバイスに連結された呼吸回路、及び前記呼吸回路に連結された振動開口型吸入器を有する、従圧式呼吸システムを提供するステップと、
液状サーファクタントを前記吸入器へ導入するステップと、
前記吸入器内のサーファクタントをエアロゾル化するステップと、
エアロゾル化サーファクタントを前記呼吸回路へ混入し、それによって患者は前記患者インターフェイスデバイスを介しエアロゾル化サーファクタントを呼吸するステップと、 を含む方法。
【請求項25】
前記サーファクタントがリン脂質である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記エアロゾル化サーファクタントの6〜18%が患者に送達される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
薬剤の一単位投与量が前記吸入器に導入され、全投与量が患者に送達される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記投与量が、10mg以下のサーファクタントである、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
従圧式呼吸システムであって、
エアフロージェネレータと、
前記エアフロージェネレータを患者の呼吸系に連結する回路と、
エアロゾル粒子を前記回路内に放出させるためのエアロゾルジェネレータと、
を備え、前記回路が、15度を超えない角度変化を伴って放出されたエアロゾル粒子の経路を画定する、従圧式呼吸システム。
【請求項30】
前記経路の角度変化が、12度を超えない、請求項1に記載のシステム。
【請求項31】
前記回路が、放出されたエアロゾル粒子の直線経路を画定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項32】
前記回路が人工呼吸器システムを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項33】
前記回路が持続的気道内正圧システムを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項34】
前記エアロゾルジェネレータが吸入器を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項35】
前記吸入器が患者の呼吸系に送達されるべき液状薬剤を収容する貯蔵容器と、液状薬剤のエアロゾル化用の振動開口型エアロゾルジェネレータとを備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項36】
前記貯蔵容器の容積が、薬剤の一単位投与量と同量である、請求項7に記載のシステム。
【請求項37】
前記貯蔵容器は、患者の及び/又はその他の回路の構成要素の多様な位置にあわせて、前記エアロゾルジェネレータへの液状薬剤の最適重力供給を保持するために回転可能である、請求項7に記載のシステム。
【請求項38】
前記回路が、呼吸回路に連結された接合デバイスに合流する吸気管と呼気管を有する人工呼吸器回路を備え、前記接合デバイスが、(a)前記吸気管に付着した第一末端から前記呼吸器回路に付着した第二末端に延在する直線長手方向内腔を有する管状本体部材と、(b)前記長手方向内腔から前記呼気管に付着した第三末端に延在する内腔を有する管状の分岐部材とを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項39】
前記エアロゾルジェネレータが、エアロゾル粒子を前記吸気管に放出するよう設置されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項40】
前記エアロゾルジェネレータが、エアロゾル粒子を前記接合デバイスの前記長手方向内腔に放出するよう設置されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項41】
前記回路が、人工呼吸器回路と、前記人工呼吸器回路に付着した患者インターフェイスデバイスとを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項42】
前記エアロゾルジェネレータが、前記人工呼吸器回路と前記患者インターフェイスデバイスとの間の回路に、エアロゾル粒子を放出するよう設置された吸入器である、請求項13に記載のシステム。
【請求項43】
前記エアロゾルジェネレータが、患者の鼻、口、または人工気道の直近に設置される、請求項14に記載のシステム。
【請求項44】
前記患者インターフェイスデバイスは、分岐した管状の一対の鼻カニューレに連結した管状の流入部を備え、前記流入部の内腔は、分岐部材のそれぞれのチューブと流体連通しており、それによりエアロゾル粒子通過のための二つのほぼ平行の経路を提供し、それぞれの経路は、15度を超えない角度変化を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項45】
従圧式呼吸システムの管に連結するための接合デバイスであって、
ほぼ直線長手方向内腔であって、前記長手方向内腔の一方の末端に付着された第一の管から前記長手方向内腔の反対側の末端に付着された第二の管へ、エアロゾル粒子を運ぶ第一の気体流を誘導するために、その全長を伸ばす長手方向内腔を有する管状本体部材と、
管状分岐部材であって、エアロゾル粒子をほとんど含まない第二の気流体を前記長手方向内腔へ、もしくは前記長手方向内腔から誘導するために、前記分岐部材の一方の末端が前記長手方向内腔と流体連通にあり、前記分岐部材の反対側の末端が第三の管に付着している管状分岐部材と、
を備える接合デバイス。
【請求項46】
前記エアロゾル粒子を第一の気体流に導入するように、吸入器を本体部材に付着するための吸入器ポートを備える、請求項17に記載の接合デバイス。
【請求項47】
患者へエアロゾル粒子を送達するための患者インターフェイスデバイスであって、
長手方向内腔を有する管状の流入部と、
一対の鼻カニューレと、
前記鼻カニューレへの流入部に連結している管状分岐部材と、
を備え、前記長手方向内腔は、分岐部材のそれぞれのチューブの内腔と流体連通しており、それにより二つのほぼ平行のエアロゾル粒子経路を画定することができ、それぞれの経路は15度を超えない角度変化を有する、患者インターフェイスデバイス。
【請求項48】
経鼻持続正圧呼吸システムであって、
(a)圧力発生回路と、
(b)前記圧力発生回路から患者へ加圧気体を導入するための、前記圧力発生回路に連結された患者インターフェイスデバイスであって、
(i)長手方向内腔を有する管状流入部と、
(ii)一対の鼻カニューレと、
(iii)前記鼻カニューレへの流入部に連結している管状分岐部材と、
を備え、前記長手方向内腔は、分岐部材のそれぞれのチューブの内腔と流体連通しており、それにより二つのほぼ平行な経路に沿って気体流を鼻カニューレに導入することができ、それぞれの経路は15度を超えない角度変化を有する、患者インターフェイスデバイスと、
(c)薬剤エアロゾル粒子を前記患者インターフェイスデバイスの気体流に放出するための、前記圧力発生回路と前記患者インターフェイスデバイスとの間に位置する吸入器と、
を備える、経鼻持続正圧呼吸システム。
【請求項49】
エアロゾル化薬剤を患者の呼吸系に送達する方法であって、
エアフロージェネレータと、前記エアフロージェネレータを前記患者の呼吸系に連結する回路と、薬剤エアロゾル粒子を回路に放出するためのエアロゾルジェネレータとを備え、前記回路は15度を超えない角度変化を伴って放出されたエアロゾル粒子の経路を画定する、従圧式呼吸システムに患者を付着するステップと、
薬剤エアロゾル粒子を前記患者に従圧式呼吸システムを経て投与するステップと、
を含む方法。
【請求項50】
前記従圧式呼吸システムが、患者インターフェイスデバイスを備える呼吸器回路に連結された接合デバイスに合流する、吸気管と呼気管を含む人工呼吸器回路を備えた人工呼吸器システムであり、前記接合デバイスは、
(a)前記吸気管に付着された第一の末端から呼気系回路に付着された第二の末端に延在する、直線長手方向内腔を有する管状本体部材と、
(b)前記長手方向内腔から前記呼気管に付着された第三の末端に延在する、内腔を有する管状分岐部材と、
を備える、請求項21に記載の方法。
【請求項51】
前記薬剤エアロゾル粒子が、前記人工呼吸器回路の前記吸気管又は前記縦方向内腔へ導入される、請求項22に記載の方法。
【請求項52】
前記薬剤エアロゾル粒子が、患者の口、のど、又は人工気道の直近で前記呼吸器回路へ導入される、請求項22に記載の方法。
【請求項53】
前記患者がひとつ以上の感染の症状を示し、薬剤が抗生物質である、請求項22に記載の方法。
【請求項54】
前記従圧式呼吸システムが、
(a)圧力発生回路と、
(b)前記圧力発生回路から患者へ加圧気体を導入するための、前記圧力発生回路に連結された患者インターフェイスデバイスであって、
(i)長手方向内腔を有する管状流入部と、
(ii)一対の鼻カニューレと、
(iii)前記鼻カニューレへの流入部に連結している管状分岐部材と、を備え、前記長手方向内腔は、分岐部材のそれぞれのチューブの内腔と流体連通しており、それにより二つのほぼ平行の経路に沿って気体流を鼻カニューレに導入することができ、それぞれの経路は15度を超えない角度変化を有する、患者インターフェイスデバイスと、
(c)薬剤エアロゾル粒子を前記患者インターフェイスデバイスの気体流に放出するための、前記圧力発生回路と前記患者インターフェイスデバイスとの間に位置する吸入器と、
を備える、持続的気道内正圧システムである、請求項21に記載の方法。
【請求項55】
患者がひとつ以上の新生児時呼吸窮迫症候群の症状がある幼児であり、その薬剤がサーファクタントである、請求項26に記載の方法。
【請求項56】
新生児呼吸窮迫症候群の治療方法であって、
(a)経鼻持続正圧呼吸システムであって、
(i)圧力発生回路と、
(ii)前記圧力発生回路から鼻カニューレ患者インターフェイスデバイスへ加圧気体フローを伝導する呼吸器回路と、
(iii)サーファクタント薬剤のエアロゾル粒子を前記呼吸器回路内の加圧気体に導入するための、前記呼吸器回路に流体連通する振動開口型吸入器と、を備え、前記鼻カニューレインターフェイスデバイスが放出されたエアロゾル粒子の経路を画定し、15度を超えない角度変更が可能である、経鼻持続正圧呼吸システムを、幼児に取り付けるステップと、
(b)サーファクタント薬剤のエアロゾル粒子を、前記幼児に鼻カニューレインターフェイスデバイスを経て投与するステップと、
を含む方法。
【請求項57】
従圧式呼吸システムであって、
前記システム内の正圧力保持のための圧力発生回路と、
患者の呼吸系に連結された患者インターフェイスデバイスと、
前記圧力発生回路と前記患者インターフェイスデバイスとの間の、気体連通を提供する呼吸器回路と、
エアロゾル粒子を前記呼吸器回路内の気体流に導入する手段と、
患者が息を吐き出した時に、前記呼吸器回路気体流へのエアロゾル粒子の導入を中断するための手段と、
を備える、従圧式呼吸システム。
【請求項58】
前記エアロゾル粒子の導入を中断するための手段が、前記呼吸器回路と流体連通にあり、呼吸器回路流へのエアロゾル粒子導入の手段と電気的に連結された補助回路に配置されたフローセンサを備え、前記フローセンサは、患者が呼息したときに補助回路内の気体流量の変化を探知し、探知後エアロゾル粒子の挿入を遮断する第一の信号を送信するよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項59】
前記センサが、患者が呼息を中断した時の補助回路内の気体の体積流量の変化を探知し、探知後エアロゾル粒子の挿入を作動する第二の電気信号を送信するようさらに構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項60】
前記補助回路が、フローセンサを介して気体流を減量するための圧力バルブをさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項61】
前記補助回路は、気体流内の混入物質がフローセンサを通る前に、それを取り込むための使い捨てフィルタを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項62】
前記エアロゾル粒子を導入する手段が吸入器を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項63】
前記吸入器が、患者の呼吸器系に送達する液状薬剤を入れるための貯蔵容器と、液状薬剤をエアロゾル化するための振動開口型エアロゾルジェネレータと、エアロゾル化薬剤をエアロゾル発生装置から呼吸回路を流れる気流に混入させるための、前記吸入器に前記呼吸回路をつなぐ連結装置とを備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項64】
エアロゾル化薬剤を患者の呼吸器系へ送達する持続的気道内正圧装置であって、
系内で持続的正圧を維持する圧力発生回路と、
患者の呼吸系に連結された患者インターフェイスデバイスと、
前記圧力発生回路と前記患者インターフェイスデバイスとの間に気体連通を提供する呼吸器回路と、
エアロゾル化薬剤を前記呼吸器回路内の気体流に導入する吸入器と、
前記呼吸器回路と気体連通する補助回路内に配置されたフローセンサと、
患者が呼息を開始し、前記フローセンサが補助回路内での気体の体積流量の上昇を探知したときに、前記フローセンサが第一の信号を送信して前記吸入器を遮断させる、前記フローセンサを前記吸入器に連結する電子回路網と、
を備える、持続的気道内正圧装置。
【請求項65】
患者が呼息を終え、前記フローセンサが補助回路内での気体の体積流量の減少を探知したとき、前記フローセンサが第二の信号を送信して前記吸入器を作動させる、請求項8に記載の装置。
【請求項66】
それぞれの信号が、前記フローセンサにより発せられた一定の出力電圧である、請求項9に記載の装置。
【請求項67】
前記フローセンサへの気体流を、調節するためのバルブをさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項68】
前記フローセンサの流動範囲が、0から1L/分であり、バルブで気体流を前記範囲の中程に調節する、請求項11に記載の装置。
【請求項69】
混入物質が前記フローセンサを通る前に、それを取り込むための使い捨てフィルタをさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項70】
前記吸入器は、患者の呼吸器系に送達する液状薬剤を入れるための貯蔵容器と、液状薬剤をエアロゾル化するための振動開口型エアロゾルジェネレータと、エアロゾル化薬剤がエアロゾル発生装置から呼吸回路を流れる気体流に混入させるための、前記吸入器と前記呼吸回路をつなぐ連結装置とを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項71】
前記液状薬剤がサーファクタントである、請求項14に記載の装置。
【請求項72】
持続的気道内正圧システム内に、エアロゾル化薬剤が患者の呼吸器系へ送達される呼吸器回路を備え、その改良は呼吸器回路と流体連通にある補助回路内に配置されたフローセンサを備え、前記フローセンサは患者が呼息した時に補助回路内の気体の体積流量の増加を探知して、それに応じてエアロゾル化薬剤の送達を遮断するよう構成される、持続的気道内正圧システム。
【請求項73】
前記フローセンサは、患者の呼息を中断したとき補助回路内の気体の体積流量の減少を探知し、それに応じてエアロゾル化薬剤の送達を再開するようさらに構成された、請求項16に記載の持続的気道内正圧システム。
【請求項74】
呼吸治療の方法であって、
患者の呼吸器系に連結された呼吸器回路を有する持続的気道内正圧システムを提供するステップと、
患者が吸息したときに限り、エアロゾル粒子を呼吸器回路に導入するステップと、
を含む方法。
【請求項75】
前記エアロゾル化薬剤が、吸入器を介して前記呼吸器回路へ導入される、請求項18に記載の方法。
【請求項76】
前記吸入器が、前記呼吸器回路と流体連通する補助回路に配置されたフローセンサと電気的に連結されており、前記フローセンサは前記補助回路内の気体の体積流量の変化を探知して、前記呼吸器回路内に呼気流が存在する時に前記吸入器を停止させ、前記フローセンサは前記補助回路内の気体流量の変化を探知して、前記呼吸器回路内に呼気流が不在である時に吸入器を作動させる、請求項19に記載の方法。
【請求項77】
エアロゾルを患者の呼吸系に送達する方法であって、
圧力発生回路、患者インターフェイスデバイスに連結した呼吸器回路、及び前記呼吸器回路に連結した吸入器を備える、持続的気道内正圧システムを提供するステップと、
液体を前記吸入器に導入するステップと、
前記吸入器によって形成されたエアロゾル粒子が前記呼吸器回路へ導入され、前記患者インターフェイスデバイスを通して患者に吸息されるよう、患者の吸息中に前記吸入器を作動するステップと、
前記吸入器によって形成されたエアロゾル粒子が、患者の呼息中に前記呼吸器回路へ導入されないように、患者の呼息中に前記吸入器を停止するステップと、
を含む方法。
【請求項78】
前記呼吸器回路と気体連通する補助回路に配置されたフローセンサが、前記補助回路内で探知する気体の体積流量の変化によって前記吸入器を作動および停止する、請求項21に記載の方法。
【請求項79】
患者の肺のサーファクタント欠乏又は欠損に関わる疾病治療方法であって、
液状肺サーファクタント組成物を提供するステップと、
サーファクタントエアロゾルを形成するため、振動開口型エアロゾルジェネレータで前記肺サーファクタント組成物をエアロゾル化するステップと、
前記サーファクタントエアロゾルを患者の呼吸器系に連結された従圧式呼吸システムの回路内の気体流へ導入し、それにより治療効果のある量の前記肺サーファクタントが患者の肺に送達されるステップと、
を含む方法。
【請求項80】
前記肺サーファクタントが、動物肺に由来する自然サーファクタント、又は合成的に作り出された肺サーファクタントである、請求項1に記載の方法。
【請求項81】
前記液状肺サーファクタント組成物が、20〜120mg/mLの濃度である、請求項1に記載の方法。
【請求項82】
活性肺サーファクタントの10〜80%が、患者によって吸息される、請求項1に記載の方法。
【請求項83】
活性肺サーファクタントの5〜50%が、患者の肺に送達される、請求項4に記載の方法。
【請求項84】
治療効果のある肺サーファクタントの量が、2〜400mgの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項85】
肺サーファクタントの患者の肺への送達率が、毎時2〜800mgの範囲である、請求項6に記載の方法。
【請求項86】
振動開口型エアロゾルジェネレータのエアロゾル放出量が、毎分0.1〜0.5mLの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項87】
前記従圧式呼吸システムが、持続的気道内正圧システムである、請求項1に記載の方法。
【請求項88】
肺サーファクタントのエアロゾル粒子の大きさは、空気動力学的中央粒子径が5μm以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項89】
液状肺サーファクタント組成物が、エアロゾル化されてサーファクタント欠乏又は欠損の患者の肺へ送達される、サーファクタント補充療法における改善であって、
振動開口型エアロゾルジェネレータで肺サーファクタントをエアロゾル化することと、
患者の呼吸器系に連結された従圧式呼吸システム回路内でエアロゾル化した肺サーファクタントを気体流に導入することと、
を含む改善。
【請求項90】
前記従圧式呼吸システムの回路が、エアロゾルジェネレータがエアロゾル化した肺サーファクタントを気体流へ挿入する地点から、エアロゾル化した肺サーファクタントが患者の呼吸器系に入る地点までの、エアロゾル粒子の流れのための直線又は緩やかな角度の経路を提供する、請求項11に記載のサーファクタント補充療法。
【請求項91】
前記従圧式呼吸システムが、持続的気道内正圧システムである、請求項11に記載のサーファクタント補充療法。
【請求項92】
エアロゾル化した肺サーファクタントが、持続的気道内正圧システムの呼吸器回路へ導入される、請求項13に記載のサーファクタント補充療法。
【請求項93】
エアロゾルジェネレータによって発生されたものより濃度の高いエアロゾル化した肺サーファクタントが、呼吸器回路外側に位置するプレナムチャンバで最初に収集され、その後、呼吸器回路へ放出される、請求項14に記載のサーファクタント補充療法。
【請求項94】
前記プレナムチャンバが、5〜400mLの内容積をもつ、請求項15に記載のサーファクタント補充療法。
【請求項95】
患者によって吸息されたサーファクタントの質量は、前記エアロゾルジェネレータに供給されたサーファクタントの少なくとも80%である、請求項15に記載のサーファクタント補充療法。
【請求項96】
吸息質量は、呼吸作動の吸入器が同じ吸息質量を提供する所要時間の少なくとも25%で提供される、請求項17に記載のサーファクタント補充療法。
【請求項97】
前記持続的気道内正圧システムが、患者が呼息する時に、気体流へのエアロゾル化した肺サーファクタントの導入を中断する手段を備える、請求項13に記載のサーファクタント補充療法。
【請求項98】
再呼吸容量が、5mL以下である、請求項11に記載のサーファクタント補充療法。
【請求項99】
エアロゾル化薬剤を患者に送達する装置であって
前記装置内で正圧を維持する第一の気体流を有する圧力発生回路と、
患者の呼吸系に連結された患者インターフェイスデバイスと、
前記圧力発生回路と前記患者の呼吸器系との間に気体連通を提供するための呼吸器回路であって、前記呼吸器回路内の気体流が、第一の気体流より少ない容積である呼吸器回路と、
呼吸器回路と気体連通し、その外側に位置するプレナムチャンバと、
エアロゾル化薬剤を前記プレナムチャンバ内へ発生させるように配置される振動開口型エアロゾルジェネレータであって、前記エアロゾルジェネレータで発生される濃度より高いエアロゾル化薬剤の濃度が前記プレナムチャンバに収集される、エアロゾルジェネレータと、
前記プレナムチャンバから患者の気道に近い呼吸器回路の地点までの導管と、
前記導管を経由して前記呼吸器回路の気体流内へ濃縮したエアロゾル化薬剤を添加するために、制御された第二の気体流を前記プレナムチャンバ内へ導入する手段と、
を備える装置。
【請求項100】
前記プレナムチャンバが、5〜400mLの内容量をもつ、請求項21に記載の装置。
【請求項101】
前記エアロゾルジェネレータにより生成されるエアロゾル化薬剤の流体柱が、前記プレナムチャンバの底または壁に影響を与えない、請求項21に記載の装置。
【請求項102】
前記導管が、濃縮したエアロゾル化薬剤の、呼吸器回路への流れを制御する一方向バルブ又は導管を含み、それにより再呼吸容量からプレナムチャンバ内の気体容量を隔離する、請求項21に記載の装置。
【請求項103】
前記エアロゾル化薬剤が、肺サーファクタントである、請求項21に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21a】
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【図21b】
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【図22】
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【公表番号】特表2007−533411(P2007−533411A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509604(P2007−509604)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/013488
【国際公開番号】WO2005/102431
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(506020414)エアロゲン,インコーポレイティド (2)