説明

循環式入浴装置

【課題】
フィルターを能率よく洗浄でき、浴槽湯及び配管内を清潔に保ち、製作経費を節減する循環式入浴装置を提供すること。
【解決手段】
入浴装置24に設けられる循環機構4に、ポンプ18と、フィルター5と、フィルター5に配管6を変更する変更管路7と、フィルター5の下流の配管6に下流循環バルブ21とが設けられ、変更管路7を開け下流循環バルブ21を閉めると、配管経路が変更され、該変更した配管6を流通する湯でフィルター5を洗浄するものであり、前記フィルター5を遠心濾過機能付フィルター8とし、前記変更管路7を遠心濾過機能付フィルター8に設けられた排水弁10としてなる循環式入浴装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体障害者及び高齢者(以下、要介護者)、特に要介護度の低い要介護者の自立入浴を可能とした循環式入浴装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来装置の特許文献1のものは、浴槽または貯湯槽の湯を、循環、殺菌するものである。
浴槽から貯湯槽へ湯が移動する管路にフィルターが設けられており、該フィルターの逆洗が開示されている。
【特許文献1】特許3007530号掲載公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載された構成では、フィルターの逆洗ができるが、フィルターの洗浄に使った管路を給湯にも使うので、清潔さが不完全である。
又、フィルターの出入り口の両方に3方弁が必要であり、この構成は複雑であり、製作コストが高くつくものである。
【0004】
本発明は、これらの諸問題点を解決すべくなされたものであってその目的は、フィルターを能率よく洗浄でき、浴槽湯及び配管内を清潔に保ち、製作経費を節減する循環式入浴装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現する本発明は、入浴装置24に設けられる循環機構4に、ポンプ18と、フィルター5と、フィルター5に配管6を変更する変更管路7と、フィルター5の下流の配管6に下流循環バルブ21とが設けられ、変更管路7を開け下流循環バルブ21を閉めると、配管経路が変更され、該変更した配管6を流通する湯でフィルター5を洗浄するものであり、前記フィルター5を遠心濾過機能付フィルター8とし、前記変更管路7を遠心濾過機能付フィルター8に設けられた排水弁10としてなる循環式入浴装置である。
又、循環機構4の循環作動を開始する循環スイッチ9と、循環機構4の循環作動を停止する循環停止スイッチ38と、排水弁10を制御する排水弁タイマー11とが付加設置され、循環スイッチ9からの指示信号で、又は循環停止スイッチ38からの指示信号で、排水弁10は、排水弁タイマー11で設定した所定時間開くと共に、下流循環バルブ21は、排水弁タイマー11で設定した所定時間閉まり、湯が遠心濾過機能付フィルター8から排水弁10へ流通し、その湯で遠心濾過機能付フィルター8が洗浄される。
更に、フィルター5のごみ溜まりを判別する判別器15が付加設置され、判別器15からの指示信号で、排水弁10は、排水弁タイマー11で設定した所定時間開くと共に、下流循環バルブ21は、排水弁タイマー11で設定した所定時間閉まり、湯が遠心濾過機能付フィルター8から排水弁10へ流通し、その湯で遠心濾過機能付フィルター8が洗浄されるものである。
更に又、入浴装置24は、浴槽2と貯湯槽3とでなり、循環機構4は浴槽2の湯を貯湯槽へ循環させるものであり、浴槽2の湯はその全量を循環機構4で移動するべく処理するがその移動するごとにフィルター5が自動的に洗浄され、フィルター5の目詰まりを解消できる。
又、入浴装置24の外筐16に、フィルター5のごみ溜まり状況を目視でき且つ離脱して取り出せるメンテ窓17を設けた。
更に、浴槽2の湯を貯湯槽3へ移動する時、少し残った状態でポンプ18を停止し、続いて、残った水を浴槽排水弁48を開けて排水し、この浴槽排水と同時にフィルター5の排水弁10も開いて、フィルター5及び配管6の残水も排水する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、入浴装置24に設けられる循環機構4に、フィルター5と、フィルター5に配管を変更する変更管路7とが設けられ、変更管路7を開けて配管を変更し、該変更した配管6を流通する湯でフィルター5を洗浄するものであり、前記フィルター5を遠心濾過機能付フィルター8とし、前記変更管路7を遠心濾過機能付フィルター8に設けられた排水弁10としてなるから、遠心濾過機能付フィルター8のごみを、能率よく、除去、洗浄でき、浴槽2の湯を清潔にでき、好都合である。
又、遠心濾過機能付フィルター8の洗浄時の配管が、通常使用時の配管6と異なるので、洗浄に使用した水が給湯用の配管6に入らず、清潔であり、好都合である。
【0007】
又、遠心濾過機能付フィルター8周辺の配管6の製作が楽であり、又、製作時に、フィルター5の周辺に使用する弁の個数が従来装置に比して少なく、経費削減になり、好都合である。
又、遠心濾過機能付フィルター8及びこれにつながる配管の残留水を排水弁10で排水でき、それ故に配管6を清潔に維持でき、好都合である。
【0008】
又、循環作動の開始の循環スイッチ9の指示で、排水弁10は、排水弁タイマー11で設定した所定時間開き、遠心濾過機能付フィルター8を洗浄するものであるから、循環作動のたびごとにフィルター5を洗浄し、確実にごみを除去でき、フィルター5の機能が十分に発揮でき、好都合である。
【0009】
又、本発明に係る判別器15はフィルター5のごみ溜まり状況を判別するものであり、この判別器15の指示信号で、遠心濾過機能付フィルター8を洗浄するものであるから、確実にごみを除去でき、清潔な湯を移動でき、好都合である。
【0010】
又、本発明は、浴槽2の湯はその全量を循環機構4で移動するべく処理するがその移動するごとにフィルター5が自動的に洗浄されるから、フィルター5のごみ溜まりを解消でき、好都合である。
又、湯の全量を移動するものであるから、移動に掛かる時間もほぼ一定であるから、フィルター5の目詰まり状況も時間経過状況から分かり、フィルター5の交換時期が分かり、好都合である。
【0011】
入浴装置24の外筐16に、フィルター5のごみ溜まり状況や目詰まり状況を目視できるメンテ窓17を設けたから、フィルター5の取り出し点検・清掃や取り替え等の保守作業を行ない易く、好都合である。
【0012】
本発明は、入浴装置24を使用後に、浴槽2の湯を排水する時、該排水と同時にフィルター5の排水弁10も開いてフィルター5内の残水を排水するものであるから、フィルター5で発生し易い雑菌を、排水により発生させないようにでき、湯を清潔に安全に維持でき、安心して快適な入浴ができ、好都合である。
【0013】
又、毎回の使用時に、浴槽2の底部に少し残った湯水を廃棄するものであるから、湯の汚れを排除でき、好都合である。
又、電源スイッチ46を切った時に、排水弁10が開き、配管6及びフィルター5内の残水を排水するものであるから、フィルター5内の雑菌発生を防ぐことができ、好都合である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
フィルター5を能率よく洗浄でき、浴槽湯及び配管内を清潔に保ち、製作経費を節減する循環式入浴装置1を提供するという目的を、入浴装置24に設けられる循環機構4に、ポンプ18と、フィルター5と、フィルター5に配管6を変更する変更管路7と、フィルター5の下流の配管6に下流循環バルブ21とが設けられ、変更管路7を開け下流循環バルブ21を閉めると、配管経路が変更され、該変更した配管6を流通する湯でフィルター5を洗浄するものであり、前記フィルター5を遠心濾過機能付フィルター8とし、前記変更管路7を遠心濾過機能付フィルター8に設けられた排水弁10としてなる循環式入浴装置をもって、実現した。
【実施例1】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例1を説明する。図1乃至図6に本発明の実施例1を示す。図1は、配管系統図、図2は、詳細な配管系統図、図3は、ブロック図、図4は扉27を所定下方位置に移動させた状態の循環式入浴装置1を示す正面図、図5は循環式入浴装置1の左側面図、図6は循環式入浴装置1の平面図である。
【0016】
図1に示す循環式入浴装置1は、入浴装置24に循環機構4を接続して設けてなる。
循環機構4に、ポンプ18と、フィルター5と、下流循環バルブ21とが配管6をもって順次接続して循環経路が構成される。
フィルター5に、配管6の循環径路を変更する変更管路7が設けられる。変更管路7には排水弁10が設けられる。変更管路7は、配管6に通水中に、該変更管路7の排水弁10を開けて配管経路を変更すると、配管6を通水している水によって、フィルター5が洗浄されるものである。ポンプ18の作動で配管6への湯水は流通する。
前記フィルター5を遠心濾過機能付フィルター8とし、前記変更管路7を遠心濾過機能付フィルター8に設けられた排水弁10としてなる。
循環機構4には、浴槽2と貯湯槽3とを連通接続する循環機構4の存在下で、浴槽2に第2循環機構を設けて浴槽2の貯湯だけを取り出し循環させる構成も有り、又、貯湯槽3に第3循環機構を設けて貯湯槽3の貯湯だけを取り出し循環させる構成も有る。前記変更管路7は、前記第2循環機構、及び、前記第3循環機構に設けることも可能である。
【0017】
図2に示す配管系統図は、入浴装置24を、浴槽2と、貯湯槽3と、浴槽2及び貯湯槽3に接続されて湯を循環させる循環機構4と、貯湯槽3へ新湯を供給する貯湯配管26で構成される。
貯湯槽3と浴槽2の間に接続される配管6及び往ポンプ32は、貯湯槽3から浴槽2へ湯を移動させるものである。
浴槽2と貯湯槽3の間に接続される配管6、ポンプ18及びフィルター5は、浴槽2から貯湯槽3へ湯を移動し、循環させるものである。
【0018】
図3に示す循環電気回路は、浴槽2、または貯湯槽3、または浴槽2及び貯湯槽3の貯湯を循環させるための構成に係る電気回路である。
循環スイッチ9は、配管6に貯湯を注ぎ入れ湯を循環を開始させるスイッチである。循環スイッチ9をオンすると、上流循環バルブ20が開き、ポンプ18が駆動し、排水弁タイマー11に加電する。
【0019】
排水弁タイマー11は、循環スイッチ9がオンした時、循環スイッチ9の指示信号に基づき所定時間を計数するものであり、循環スイッチ9がオンした時点から所定時間(実施例1では5乃至10秒間)だけ排水弁10に通電して該排水弁10を開け、下流循環バルブ21に停電して該下流循環バルブ21を閉じるものである。この状態下で、浴槽2から配管6を通って来る湯水が排水弁10から排水されるが、フィルター5を通過する湯水によって該フィルター5が洗浄される。
フィルター5は実施例1では遠心濾過機能付フィルター8である。遠心濾過機能付フィルター8は、円管形状のメッシュフィルターを円筒カバーの内部に設け流路を切り替えることで円筒カバー内部に渦状の流れを形成してメッシュフィルター表面のごみを取り除く様、内部形状が形成されたフィルターであって、前記変更管路7(=排水弁10)は縦状に設置した遠心濾過機能付フィルター8の下端に設けられている。
排水弁タイマー11は、所定時間を経過した後は、排水弁10に停電して該排水弁10を閉じ、下流循環バルブ20に通電して該下流循環バルブ20を開ける。この状態下では、浴槽2から流出した湯水は配管6を通って貯湯槽3へ移動する。
貯湯槽3を発端にして浴槽2に移動していた湯水は、貯湯槽3に戻り、循環する。
【0020】
図3に示す入浴装置24は、浴槽2と貯湯槽3とでなり、循環機構4は浴槽2の全湯を貯湯槽へ循環させるものである。
浴槽2の湯はその全量を循環機構4で移動するべく処理するがその移動するごとにフィルター5が洗浄され、フィルター5の目詰まりを解消できる。
【0021】
浴槽2の湯を貯湯槽3へ移動する時、少し残った状態でポンプ18を停止し、続いて、残った水を浴槽排水弁48を開けて排水し、この浴槽排水と同時にフィルター5の排水弁10も開いて、フィルター5及び配管6の残水も排水するものである。
又、入浴装置24を使用後、及び、電源スイッチ45を切った時も、フィルター5の排水弁10は開き、浴槽2の湯を排水すると共に、フィルター5及び配管6の残水を排水する。
【0022】
又、入浴装置24には、変更管路7から排水される水の量を測る排水流量計33と、入浴装置24に新湯を供給する貯湯配管26とが付加設置される。
変更管路7を通って排水された湯の量と同量の湯を貯湯配管26から入浴装置24へ自動で追加供給する。
【0023】
尚、フィルター5を洗浄する構成の他の例では、排水弁タイマー11のカウント時間だけ排水弁10が開き配管経路が変更されたが、排水弁タイマー11に代わって、循環スイッチ9の出力信号とセンサースイッチ31の組み合わせで、所定時間配管経路を変更できる。即ち、循環スイッチ9のオン信号で排水弁10が開き配管経路を変更しフィルター5を洗浄し、センサースイッチ31からの作動信号を得ると排水弁10を閉じ配管経路を元に戻す。
又、別の他の例では、排水弁タイマー11に代わって、循環停止スイッチ38の出力信号とセンサースイッチ31の組み合わせで、所定時間配管経路を変更することもできる。
又、更に別の他の例では、循環スイッチ9のオン信号で排水弁10が開き、配管経路を変更しフィルター5を洗浄する。排水弁10から一定の湯量が流れ出たら、排水弁10は流量計13の出力信号を得て閉じ、配管経路を元に戻し、フィルター5の洗浄を終わる。
又、排水弁タイマー11へ信号を付与する部材に係る他の構成として、センサースイッチ31がある。
センサースイッチ31から指示信号が排水弁タイマー11へ入ると、排水弁タイマー11は時間をカウントを開始する。
センサースイッチ31は、浴槽2に設けられ、その浴槽2の貯湯が少量になった時にオンするスイッチ(具体例では浴槽2の下位に設置されたフロートスイッチ)である。
水位が下がって、センサースイッチ31がオンすると、ポンプ18はそのまま駆動し、排水弁タイマー11が始動し、排水弁10に通電して該排水弁10を開け、下流循環バルブ20に停電して該下流循環バルブ20を閉じる。
浴槽2の貯湯は、配管6を通ってフィルター5に至り、フィルター5を洗浄しつつ排水される。
【0024】
又、排水弁タイマー11へカウント開始させるように信号を付与する部材に係る更に他の構成としては、循環停止スイッチ38がある。
循環停止スイッチ38からの指示信号が排水弁タイマー11を作動させる。
排水弁タイマー11は、循環停止スイッチ38がオンした時、循環停止スイッチ38の指示信号に基づき所定時間を計数するものであり、循環停止スイッチ38がオンした時から所定時間(実施例1では5秒間)だけ排水弁10に通電して該排水弁10を開け、下流循環バルブ21に停電して該下流循環バルブ21を閉じるものである。配管6を通っている水が、排水弁10から排水されフィルター5を洗浄する。所定時間を経過した後は、排水弁10を閉じ、下流循環バルブ20を開くが、ポンプ18は停止し、湯水の循環を停止する。
【0025】
図4に示す循環式入浴装置1全体の外観形状は略直方体状をなしており、循環式入浴装置1は、入浴装置24に循環機構4を設けてなる。
循環式入浴装置1は、浴槽2と、貯湯槽3と、該浴槽2の一方長辺側の側面(浴槽2の後面)に併設配置されるとともにポンプ18及び配管6等からなる循環機構4とを主たる構成要素としている。貯湯槽3は浴槽2へ供給する湯水を貯湯するものであり、循環機構4を介して浴槽2と連通接続される。
【0026】
入浴装置24に係る浴槽2の正面は、開口部35を有する略直方体状の樹脂製またはステンレス製の容器から構成される。
【0027】
貯湯槽3は、図5に示すように浴槽2後面側において支持フレーム34にて支持されている。
【0028】
そして、浴槽2の開口部35の前方側には、この開口部35を水密に閉塞可能とする扉27が、扉移動手段30によって、所定上方位置と所定下方位置の区間を往復移動するように設けられている。
【0029】
側壁面36に面する側の扉面(後面)に略逆台形状に軟質ゴム素材でなるシール部材37が貼着されている。
【0030】
浴槽2の外筐16に、フィルター5のごみ溜まり状況を目視でき、フィルター5容易に離脱でき取り出せるメンテ窓17が設けられる。
【0031】
扉移動手段30は、扉27を側壁面36に沿う方向に所定上方位置と所定下方位置の区間において往復移動させるものである。
扉27と扉移動手段30を連結するとともに扉移動手段30によって扉27が所定上方位置に移動された後、扉27を開口部35周縁の側壁面36に対して略直交方向に押圧移動する。このことによって開口部35を扉27で水密に閉塞するものである。
【0032】
リンク片29・29は、移動部材28の前方側に軸着されている。上下のリンク片29・29は、四節平行リンクを形成し扉27と移動部材28を連結している。
【0033】
扉27が所定下方位置にある時、扉27後面のシール部材37と側壁面36とは接触しておらず、扉27と側壁面36とが一定距離を保って互いに平行状に離間している。
【0034】
図4に示す扉27が所定下方位置にある時、扉移動手段30は収縮状態となっている。
この扉移動手段30を伸長する方向に作動させると、移動部材28が上方に移動する。
この移動に伴って上下のリンク片29を介して移動部材28と連結された扉27が側壁面36と一定距離を有する平行状態を保ちながら側壁面36に沿って上方へ移動することになる。
【0035】
前記扉27が所定上方位置に到達した以後も扉移動手段30の伸長作動は継続する為、移動部材28は更に上方へ移動を行ない続ける。
即ち、移動部材28が扉27に対して相対的に上方へ移動する。この移動部材28の上方移動により、扉27全体が側壁面36に対して直交する方向に押圧移動され、開口部35が扉27で水密に閉塞される。
【0036】
逆に、図4に示す扉27を下方へ移動させるには伸長状態にある扉移動手段30を収縮する方向に作動させればよい。
扉移動手段30を収縮作動させると、四節平行リンクが作用し扉27が側壁面36との平行状態を保ちながら、側壁面36から一定距離だけ離間する方向へ移動する(閉塞状態が開放され、図5に示す状態に移行する)。
【0037】
浴槽2の上縁面には、循環式入浴装置1の電源スイッチ45の他、前記扉27の上方への移動及び下方への移動の開始を指示する扉移動スイッチ46や貯湯槽3から浴槽2への湯水の貯湯開始を指示する循環スイッチ9等の各種スイッチ、浴槽2内の湯温を表示する湯温表示部47等が装備される操作部19(図6参照)が設けられている。
尚、図3に示す22は循環給湯スイッチ、23は循環給湯バルブ、図2に示す25は薬液タンク、40は新湯給湯弁、41は新湯流量計、42は制御器、43は温度センサー、44は温度設定器である。
【0038】
次に、実施例1の循環式入浴装置1の使用方法について説明する。
扉27は所定上方位置に移動しており、貯湯槽3内には所定容量の湯水が貯湯された状態にあるものと仮定する。
介護者は電源スイッチ48をオンにした後、扉移動スイッチ46を押下し扉27を所定下方位置にまで移動させ開扉する。
シャワーチェア等の搬送機器(図示省略)に着座した要介護者を開口部35の近傍位置に導く。
【0039】
扉27が所定下方位置にあるとき、扉27下方面部が上方面部に対して浴槽2後方に位置する傾斜勾配状となるので、扉27が鉛直上下方向に位置する場合に比して、要介護者或いは介護者が浴槽2により接近した状態で要介護者の補助作業を行えることになる。
【0040】
要介護度の低い、例えば、要介護度が1の要介護者は、開口部35から浴槽2の内底面18へ自力で移乗する。
また、要介護度が3以上の要介護度が高い要介護者の場合は、介護者の補助を受けながら内底面18へ移乗すればよい。
【0041】
この時、扉27の上面近傍部は内底面の上方へ突出していないので、要介護者の移乗動作や介護者の補助作業の妨げになることはない。
また、床面から内底面前端部までの高さを搬送機器の座面と略同等の高さに設定しているので、要介護者は搬送機器から内底面への移乗に著しい労力を伴うことなく、容易に移乗が行える。
【0042】
要介護者が浴槽1内に完全に入ったことを確認した後、介護者は扉移動スイッチ46を押下し、扉27を所定上方位置にまで移動させ閉める。
扉移動手段30によって扉27が所定上方位置に至った後、扉27は側壁面36に対して略直交する方向に押圧移動し開口部35を水密に閉塞する。
介護者は扉移動スイッチ46を押下するという極めて容易な操作のみで開口部35を水密に閉塞でき、介護者の扉移動に係る操作負担は極めて少ないものである。
【0043】
循環給湯スイッチ22を押下し、給湯する。即ち、往ポンプ32の作動を開始し貯湯槽3内に予め貯湯している湯水を浴槽2へ供給移動する。
浴槽2内の上方に設けられるセンサースイッチ31がオンとなると自動的に湯水の供給移動が停止される。
要介護者を入浴させる。
要介護者を退浴させる場合は、循環スイッチ9を押し、浴槽2内の湯水を貯湯槽3へ移動させる。浴槽2内の湯水を空にする。
【0044】
浴槽2の湯を貯湯槽3へ移動循環させる循環機構4の作用は、循環スイッチ9を押すと、排水弁タイマー11と上流循環バルブ20とポンプ18とが作動する。
変更管路7(具体例では排水弁10)が開き、下流循環バルブ21が閉まる。
配管経路が、循環経路から洗浄経路に変更される。該変更した配管6を流通する湯でフィルター5(具体例では遠心濾過機能付フィルター8)を洗浄する。
【0045】
詳しくは、循環スイッチ9からの指示信号で、排水弁10は、排水弁タイマー11で設定した所定時間開くと共に、下流循環バルブ21は、排水弁タイマー11で設定した所定時間閉まり、湯が遠心濾過機能付フィルター8から排水弁10へ流通する時、この湯で遠心濾過機能付フィルター8が洗浄される。
【0046】
他の例では、センサースイッチ31からの指示信号で、排水弁10は、開くと共に、下流循環バルブ21は、閉まり、湯が遠心濾過機能付フィルター8から排水弁10へ流通する時、この湯で遠心濾過機能付フィルター8が洗浄される。
又別の他の例では、循環停止スイッチ38からの指示信号で、排水弁10は、排水弁タイマー11で設定した所定時間開くと共に、下流循環バルブ21は、排水弁タイマー11で設定した所定時間閉まり、湯が遠心濾過機能付フィルター8から排水弁10へ流通する時、この湯で遠心濾過機能付フィルター8が洗浄される。所定時間が経過するとポンプ18は停止する。
【0047】
又、入浴装置24の外筐16に設けたメンテ窓17から、フィルター5のごみ溜まり状況を目視する。フィルター5にごみが溜まったのを確認すると、メンテ窓17から、フィルター5を取り出し、清掃、洗浄、取り替え、或いは適宜なメンテナンスを行なう。
循環機構4は浴槽2の全湯を貯湯槽へ循環させる。浴槽2の湯はその全量を循環機構4で移動するべく処理するがその移動するごとにフィルター5が洗浄され、フィルター5の目詰まりを解消できる。
【0048】
フィルター5が洗浄される時、湯水が少量廃棄される。変更管路7を通って排水された湯の量と同量の湯を、貯湯配管26から入浴装置24へ自動で追加供給し、入浴装置24は一定湯量を保持する。
【0049】
浴槽2の湯を貯湯槽3へ移動する時、少し残った状態でポンプ18を停止し、続いて、残った水を浴槽排水弁48を開けて排水し、この浴槽排水と同時にフィルター5の排水弁10も開いて、フィルター5及び配管6の残水も排水する。
又、入浴装置24を使用後、及び、電源スイッチ45を切った時も、フィルター5の排水弁10は開き、浴槽2の湯を排水すると共に、フィルター5及び配管6の残水を排水する。
【0050】
浴槽2に設けられる下位のセンサースイッチ31が浴槽2内へ残水がない旨を検知した後、扉27の下方移動が開始され、扉27は開けられる。
【0051】
要介護者は自力、または介護者の補助を受けながら退浴し、搬送機器に移乗し、入浴を完了する。
【実施例2】
【0052】
図7に示す実施例2は、実施例1に係る排水弁タイマー11にカウント開始信号を与える循環スイッチ9を判別器15に代え、判別器15の出力信号で排水弁タイマー11にカウント開始信号を与えるようにしたものである。即ち、実施例2では、判別器15の指示信号を得て排水弁タイマー11が始動する。
【0053】
フィルター5の上流側の配管6に、水圧を測定する圧力計12と、配管6の流量を測る流量計13とを順次接続する。圧力計12及び流量計13の出力を、フィルター5のごみの溜まり具合を判別する判別器15へ入力接続・入力し、判別器15の出力を、排水弁10及び上流循環バルブ20へ接続する。
【0054】
配管6に通水中に、配管6の圧力が所定の閾値を超えた時に、又は、配管6の流量が所定の閾値より減った時に、圧力計12又は流量計13の出力値を基に判別器15はフィルター5にごみが溜まったことを判別し、排水弁タイマー11に指示信号を与える。
排水弁タイマー11は、判別器15の指示信号に基づき所定時間を計数するものであり、判別器15の指示信号を得た時から所定時間(実施例2では5秒間)だけ排水弁10に通電して該排水弁10を開け、上流循環バルブ20に停電して該上流循環バルブ20を閉じるものである。
排水弁タイマー11は、所定時間を経過した後は、排水弁10に停電して該排水弁10を閉じ、上流循環バルブ20に通電して該上流循環バルブ20を開ける。
【実施例3】
【0055】
図8に示す実施例3は、実施例2に係る判別器15へ信号与える圧力計12及び流量計13を、時間計数器14に代えたものである。即ち、実施例3では、時間計数器14の出力に基づいて判別器15はフィルター5のごみ溜まりを判別する。
【0056】
時間計数器14は、貯湯槽3に全量の湯が入る時間を測るものである。センサースイッチ31は、浴槽2に設けられ、貯湯槽3に浴槽2の湯が全て入った時に作動するものであり、該作動に係る出力信号が時間計数器14に入り、その時、時間計数器14は時間の測定を終わる。
【0057】
配管6に通水中に、貯湯槽3に浴槽2の全量の湯が入ると、その貯湯に掛かった時間を時間計数器14が測定する。
時間計数器14の出力値に基づいて判別器15はフィルター5にごみが溜まったことを判別する。
前記測定値が所定の所要時間を超えると判別器15はフィルター5にごみが溜まったと判別し、排水弁タイマー11に指示信号を与える。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、入浴装置24に設けられる循環機構4に、フィルター5と、フィルター5に配管を変更する変更管路7とが設けられ、変更管路7を開けて配管を変更することによってフィルター5を洗浄する循環式入浴装置に、適用できる。
尚、本発明は、図4乃至6に示す浴槽に限定されるものではなく、車椅子用入浴装置、昇降式入浴装置、その他の入浴装置にも実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例1の配管系統図である。
【図2】本発明の実施例1、2の具体化した配管系統図である。
【図3】本発明の実施例1を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例1の正面図である。
【図5】本発明の実施例1の左側面図である。
【図6】本発明の実施例1の平面図である。
【図7】本発明の実施例2を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施例3を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0060】
1 循環式入浴装置
2 浴槽
3 貯湯槽
4 循環機構
5 フィルター
6 配管
7 変更管路
8 遠心濾過機能付フィルター
9 循環スイッチ
10 排水弁
11 排水弁タイマー
12 圧力計
13 流量計
14 時間計数器
15 判別器
17 メンテ窓
18 ポンプ
21 下流循環バルブ
24 入浴装置
26 貯湯配管
31 センサースイッチ
33 排水流量計
38 循環停止スイッチ
48 浴槽排水弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入浴装置24に設けられる循環機構4に、ポンプ18と、フィルター5と、フィルター5に配管6を変更する変更管路7と、フィルター5の下流の配管6に下流循環バルブ21とが設けられ、変更管路7を開け下流循環バルブ21を閉めると、配管経路が変更され、該変更した配管6を流通する湯でフィルター5を洗浄するものであり、
前記フィルター5を遠心濾過機能付フィルター8とし、前記変更管路7を遠心濾過機能付フィルター8に設けられた排水弁10としてなる循環式入浴装置。
【請求項2】
循環機構4の循環作動を開始する循環スイッチ9と、循環機構4の循環作動を停止する循環停止スイッチ38と、排水弁10を制御する排水弁タイマー11とが付加設置され、
循環スイッチ9からの指示信号で、又は循環停止スイッチ38からの指示信号で、排水弁10は、排水弁タイマー11で設定した所定時間開くと共に、下流循環バルブ21は、排水弁タイマー11で設定した所定時間閉まり、湯が遠心濾過機能付フィルター8から排水弁10へ流通し、その湯で遠心濾過機能付フィルター8が洗浄されることを特徴とする請求項1記載の循環式入浴装置。
【請求項3】
フィルター5のごみ溜まりを判別する判別器15が付加設置され、判別器15からの指示信号で、排水弁10は、排水弁タイマー11で設定した所定時間開くと共に、下流循環バルブ21は、排水弁タイマー11で設定した所定時間閉まり、湯が遠心濾過機能付フィルター8から排水弁10へ流通し、その湯で遠心濾過機能付フィルター8が洗浄されるものであることを特徴とする請求項1記載の循環式入浴装置。
【請求項4】
入浴装置24は、浴槽2と貯湯槽3とでなり、循環機構4は浴槽2の湯を貯湯槽へ循環させるものであり、浴槽2の湯はその全量を循環機構4で移動するべく処理するがその移動するごとにフィルター5が自動的に洗浄され、フィルター5の目詰まりを解消できることを特徴とする請求項1又は2記載の循環式入浴装置。
【請求項5】
入浴装置24の外筐16に、フィルター5のごみ溜まり状況を目視でき且つ離脱して取り出せるメンテ窓17を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の循環式入浴装置。
【請求項6】
浴槽2の湯を貯湯槽3へ移動する時、少し残った状態でポンプ18を停止し、続いて、残った水を浴槽排水弁48を開けて排水し、この浴槽排水と同時にフィルター5の排水弁10も開いて、フィルター5及び配管6の残水も排水することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の循環式入浴装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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