微小物質検出装置
【課題】被検出物質に対する検出感度を高めることのできる新規な微小物質検出装置を提供する。
【解決手段】微小物質検出装置は、光源と、基板上に形成されて光源からの光波を伝搬する第1の導波路と、基板上に第1の導波路と近接して形成されたリング状の第2の導波路からなる光リング共振器と、蛍光標識が付された被検出物質が光リング共振器に付着することで発生する蛍光を検出する検出部とを含む。
【解決手段】微小物質検出装置は、光源と、基板上に形成されて光源からの光波を伝搬する第1の導波路と、基板上に第1の導波路と近接して形成されたリング状の第2の導波路からなる光リング共振器と、蛍光標識が付された被検出物質が光リング共振器に付着することで発生する蛍光を検出する検出部とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小物質を検出するための微小物質検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学デバイスを用いて微生物等の微小物質を検出するための微小物質検出装置が実用化されている。このような微小物質検出装置は、バイオセンサとも称される微小物質検出用のセンサを用いることで、各種の微小物質の有無、その量、その種類等を検出することができる。このような微小物質検出センサの動作原理としては、光学デバイスの周囲に検出対象の微小物質(被検出物質)が付着することで、当該光学デバイスが示す光学特性が変化することを利用している。
【0003】
例えば、特表2003−515737号公報(特許文献1)には、平坦な円筒状共鳴式光キャビティを有する共鳴式光学的検定構造体を有する高感度で高スループットの生物学的センサが開示されている。すなわち、特許文献1には、円盤型(ディスク型)のウィスパリングギャラリーモードを利用する方式が開示されている。
【0004】
また、特開2008−304216号公報(特許文献2)には、光学デバイスとして光リング共振器を用いた物質検知装置が開示されている。このような光リング共振器を用いる場合には、その光リング共振器の周囲に微小物質が付着するように構成するとともに、光リング共振器での共振波長の変化を検出できるように構成される。この光リング共振器での共振波長の変化は、微小物質の付着によって光リング共振器の屈折率が変化することに起因している。特に、特許文献2には、波長選択性を有しない第1の光導波路と共振結合する位置に第2の光導波路を配置してマイクロリング共振器を形成するとともに、第2の光導波路に、検出対象の物質が入り得る孔を設ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2003−515737号公報
【特許文献2】特開2008−304216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1には、ディスク形状の光デバイスを利用する構成を開示するに過ぎない。また、上述の特許文献2に開示される構成は、リング形状の光デバイスを利用するものであるが、入射光と分離光との間の関係に基づいて、被検出物質を検出するものであり、光学的な相互作用を直接的に検出するものではない。
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、被検出物質に対する検出感度を高めることのできる新規な微小物質検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面に従う微小物質検出装置は、光源と、基板上に形成されて光源からの光波を伝搬する第1の導波路と、基板上に第1の導波路と近接して形成されたリング状の第2の導波路からなる光リング共振器と、蛍光標識が付された被検出物質が光リング共振器に付着することで発生する蛍光を検出する検出部とを含む。
【0009】
好ましくは、光源は、光リング共振器の共振波長帯域より広い波長帯域を有する光を発生するように構成されている。
【0010】
さらに好ましくは、微小物質検出装置は、リング径が互いに異なる第2の導波路を有する光リング共振器を複数含み、光源は、複数の光リング共振器の共振波長帯域の全体より広い波長帯域を有する光を発生するように構成されている。
【0011】
さらに好ましくは、複数の光リング共振器は、第1の導波路に沿って、整列配置されている。
【0012】
さらに好ましくは、微小物質検出装置は、検出部による検出結果に基づいて、複数の光リング共振器のうちいずれの光リング共振器において蛍光が発生しているかを特定する制御手段をさらに含む。
【0013】
さらに好ましくは、制御手段は、複数の光リング共振器のうち蛍光が発生している光リング共振器の情報に基づいて、被検出物質が予め定められた複数の物質のうちいずれの物質であるかを特定する。
【0014】
さらに好ましくは、検出部は、複数の光リング共振器を光学的に計測するように構成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被検出物質に対する検出感度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に従う微小物質検出装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1に従う微小物質検出装置において光リング共振器を生体修飾するための構成を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1に従う微小物質検出装置において光リング共振器から発生する蛍光の様子を示す模式図である。
【図4】図3に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【図5】図3に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2に従う微小物質検出装置における微小物質検出センサの構成を示す模式図である。
【図7】図6に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【図8】図6に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に従う微小物質検出装置において光リング共振器の設計誤差により共振波長が本来の設計値からずれた場合の特性を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態3に従う微小物質検出装置における微小物質検出センサの構成を示す模式図である。
【図11】図10に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【図12】図10に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態3に従う微小物質検出装置における波長分解を用いる制御ロジックの概略を説明するための図である。
【図14】本発明の実施の形態3に従う微小物質検出装置における空間検出器を用いる制御ロジックの概略を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
[概要]
本実施の形態に従う微小物質検出装置は、光リング共振器の表面に蛍光標識が付された被検出物質を吸着するための物質を配置し、この物質に吸着された被検出物質から発生する蛍光を検出する方法を採用する。このような方法を採用することで、従来の方法に比較して、電場より増強された領域での蛍光励起が可能となり、検出感度を高めることができる。
【0019】
また、光リング共振器の共振波長帯域より広い波長帯域を有する入射光を発生するように構成された光源を用いることで、光リング共振器の製作誤差に対する尤度を高めることができる。
【0020】
[実施の形態1]
《イ.装置構成》
図1は、本発明の実施の形態1に従う微小物質検出装置SYSの全体構成を示す模式図である。図1を参照して、微小物質検出装置SYSは、微小物質検出センサ1と、微小物質検出センサ1に励起光を供給する光源10と、検出部20と、判断処理部30とを含む。
【0021】
本実施の形態に従う微小物質検出装置SYSは、微小物質検出センサ1に含まれる光リング共振器に、蛍光標識が付された被検出物質を接触/近接させることで発生する蛍光を検出し、当該検出された蛍光を観測することで、被検出物質の有無、含有量、濃度、種類等を検出する。
【0022】
微小物質検出センサ1は、1つ以上の光リング共振器を含む。より具体的には、微小物質検出センサ1は、光導波路を製作するための基板2と、基板2上に形成されて光源10からの光波を伝搬する1次導波路40(第1の導波路)と、基板2上に1次導波路40と近接して形成されたリング状のリング導波路3(第2の導波路)からなる光リング共振器とを含む。
【0023】
1次導波路40およびリング導波路3は、基板2上のクラッド層4内に、クラッド層4とは異なる屈折率を有するコアとして形成される。すなわち、各導波路は、主として、基板2の上に形成されたコア(相対的に屈折率の高い部分)と、コアの周囲に配置されたクラッド層4(相対的に屈折率の低い部分)とからなる。
【0024】
このような導波路には、波長選択性がなく、測定波長範囲の光波をなるべく低損失で伝搬することのできる材料を用いることが好ましい。より具体的には、ガラス、サファイア、石英、光学樹脂といった光学的に透明な材料や、Si,GaAs,GaNといった半導体材料を用いることができる。なお、測定に用いる光の波長は、導波路の波長透過性能に応じて決定することもできる。すなわち、各導波路が透明である波長範囲内を測定波長に設定すればよい。
【0025】
1次導波路40は、光源10側に位置する入射端6と、入射端6とは反対側の出射端7とを有する。また、1次導波路40とリング導波路3との接合部は、方向性結合部5として機能する。
【0026】
光源10は、微小物質検出センサ1における設計上の共振波長を含む所定の波長範囲を発生するように構成される。微小物質検出センサ1における設計バラツキ等を考慮して、ある程度のマージンをもった波長範囲を有する光源10を用いることが好ましい。すなわち、光源10は、光リング共振器の共振波長帯域より広い波長帯域を有する光を発生するように構成される。一例として、光源10は、(ハロゲン)ランプ、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)、スーパールミネッセントダイオード(SLD:Super Luminescent Diode)、スーパーコンティニュアム光源等の広帯域光源が好ましい。
【0027】
検出部20は、微小物質検出センサ1で発生した蛍光を検出する。より具体的には、検出部20は、カメラ部22と、画像処理部24とを含む。カメラ部22は、CCD(Charged Coupled Device)といった撮像素子により構成される。そして、カメラ部22は、一例として、その視野に微小物質検出センサ1を含むように、微小物質検出センサ1の上部側に配置される。画像処理部24は、カメラ部22と接続され、カメラ部22によって撮像された画像に基づいて、光リング共振器から発生した蛍光成分のみを抽出する。典型的には、カメラ部22は、蛍光(可視波長帯域)に検出感度を有しており、蛍光が発生している部分について、より高い輝度(明るさ)が検出される。この検出される輝度の量等に基づいて、蛍光の発生量等が判断される。
【0028】
なお、検出部20としては、複数のフォトダイオードが所定規則で配列されたフォトダイオードアレイを含む構成を採用することもできる。このように、検出部20としては、光リング共振器を光学的に計測できる構成であれば、どのような方式を採用してもよい。
【0029】
判断処理部30は、検出部20による検出結果に基づいて、被検出物質の有無、含有量、濃度、種類等を含む結果を出力する。
【0030】
《ロ.光リング共振器による検出原理》
次に、光リング共振器を用いて微小物質を検出するための原理について説明する。光リング共振器では、所定波長を有する光波について、光導波路をリング形状として光波がそのリングを一周した後に位相が重なるように光路長を設定することで光共振を生じさせる。リング形状の共振器は、光導波路内での反射構造が必要ないため、構成を簡素化できるとともに、反射による光路損失が小さく効率の高い共振が得られるというメリットがある。
【0031】
光リング共振器を微小物質検出センサとして用いる場合には、光リング共振器へ光のエネルギーが集中する効果と、共振器近傍にある物質によって光リング共振器の共振条件がずれる効果とを利用することになる。光リング共振器において、光波は、光導波路の屈折率に幾何行路長を乗じた光路長(実効行路長)がその波長の整数倍と一致している場合のみに存在できる。この条件を満たさない場合には急激に光リング共振器内での光量が減衰する。
【0032】
そのため、図1に示す微小物質検出装置SYSにおいて、光源10から照射された光(所定幅にわたる波長成分を有するものとする)は、方向性結合部5を介して光リング共振器(リング導波路3)へ伝えられる。この光のうち、光リング共振器での共振条件を満たした波長成分のみが光リング共振器内に閉じ込められることになる。この結果、共振条件を満たした波長についてみれば、1次導波路40の入射端6から出射端7までの透過率が大きく低下する。光リング共振器の共振波長は、1次導波路40の実効屈折率Neffと光リング共振器の共振器長Lとを用いて、(1)式のように示すことができる。ここで、mは共振次数(整数)、λは真空中における光の波長を示す。
【0033】
【数1】
【0034】
次に、光リング共振器の周囲に微小物質が付着した場合には、光リング共振器の共振条件がずれるため、周囲の媒質の屈折率変化を高感度に検出できる。言い換えれば、光リング共振器の周囲に微小物質が付着した場合には、光リング共振器における共振波長が変化することになる。
【0035】
次に、光リング共振器の周囲に微小物質を付着させる方法について説明する。例えば、タンパク質といった生物学的な微小物質を被検出物質とする場合には、光リング共振器の周辺を生体修飾する方法、あるいは、光リング共振器の部分に被検出物質を含む液体を流すための流路を設ける方法等がある。これらの方法について、図2を参照して説明する。
【0036】
図2は、本発明の実施の形態1に従う微小物質検出装置SYSにおいて光リング共振器を生体修飾するための構成を示す模式図である。図2を参照して、光リング共振器は、コア301およびクラッド302からなり、基本的には、コア301の表面に、被検出物質であるバイオマーカが選択的に吸着するように生体修飾しておく。すなわち、図2(a)に示すように、コア301の表面に下地層である生体修飾部303を設ける。この生体修飾部303は、典型的には、抗原抗体反応を利用して実現され、特定の種類のタンパク質のみを特異的に吸着する。
【0037】
図2(a)に示すような構成に対して、被検出物質を含む検体を生体修飾部303の滴下すると、検体中の被検出物質のみが選択的にコア301の表面に吸着することになる。光リング共振器の光導波路であるコア301の表面に吸着した物質に向けて、光導波路を伝搬する光波(電磁波)の一部がしみ出ることによって、光導波路における透過屈折率がわずかに変化し、それによって、光リング共振器における共振波長も変化(シフト)する。この共振波長のずれを観測することで、周囲の媒質の屈折率変化を高感度に検出できる。
【0038】
また、光リング共振器が共振条件を満たした状態において、光リング共振器の周囲に電磁界が集中するため、この現象を利用して、光リング共振器の周囲に配置した蛍光物質を高効率で光らせることもできる。すなわち、被検出物質に蛍光標識を付加しておき、発生する蛍光の量を検知することでサンプル中における被検出物質の有無、含有量、濃度、種類等を検出することができる。
【0039】
なお、コア301の表面に被検出物質であるバイオマーカが選択的に吸着するように生体修飾した上で、これらの生体修飾された部分に、被検出物質が含まれる液体を通過させるための流路を設けてもよい。
【0040】
本実施の形態に従う微小物質検出装置SYSにおいては、図2に示すような下地層に蛍光標識を付加された被検出物質が付着することで発生する蛍光を検出する。なお、被検出物質から発生する蛍光は、光リング共振器に入射する(閉じ込められる)光の波長に比較して、より長い波長を有する。
【0041】
図3は、本発明の実施の形態1に従う微小物質検出装置SYSにおいて光リング共振器から発生する蛍光の様子を示す模式図である。
【0042】
図3を参照して、光源から所定の波長帯域を有する光I0が1次導波路40に入射すると、そのうち、光リング共振器の共振波長と一致する波長を有する光I1がリング導波路3を周回する。なお、光リング共振器に閉じ込められなかった、共振波長以外の波長を有する光I2は、出射光として排出される。光リング共振器の表面に形成された下地層に補足された被検出物質が存在すると、光I1によって励起されて、蛍光I4が発生する。この蛍光I4が、信号光として測定される。
【0043】
《ハ.光波の波長帯域について》
次に、図3に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係について説明する。
【0044】
図4および図5は、図3に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【0045】
図4(a)を参照して、光源10から照射される入射光(光I0)は、光リング共振器の共振波長帯域に比較して十分に広い波長帯域を有しているものとする。図4(a)においては、光リング共振器の共振波長帯域の中心波長がλ1であるとする。この場合、1次導波路40から出射光として射出される光I2は、光リング共振器において共振する波長λ1を中心とする波長領域以外の波長を有する。
【0046】
図4(b)には、光リング共振器において共振する光I1と、光リング共振器に吸着される、蛍光標識が付された被検出物質の吸収特性I3を示す。一般的に、被検出物質に付与される蛍光標識(蛍光物質)の吸収特性I3は、光リング共振器の共振波長よりも広い波長帯域を有する。図4(b)に示す例においては、光リング共振器の中心波長λ1を中心とする共振波長帯域が蛍光物質の吸収特性に含まれるように設定することで、被検出物質に付与された蛍光物質を励起することが可能となる。
【0047】
図5には、光リング共振器において共振する光I1と発生する蛍光I4の波長分布特性とを示す。被検出物質に付与された蛍光物質に光を入射させることで、より長い波長帯域に蛍光の波長分布が生じる。
【0048】
このように発生する蛍光を検出することで、被検出物質の有無、含有量、濃度、種類等を含む結果を取得する。
【0049】
《二.作用効果》
本実施の形態に従う微小物質検出装置は、光リング共振器の表面に蛍光標識が付された被検出物質を吸着するための物質を配置し、この物質に吸着された被検出物質から発生する蛍光を検出する方法を採用する。このような方法を採用することで、従来の方法に比較して、電場より増強された領域での蛍光励起が可能となり、検出感度を高めることができる。
【0050】
本実施の形態に従う微小物質検出装置は、リング状の光導波路からなる光リング共振器を用いる。このような光リング共振器は、従来のディスク型の共振器を用いた場合に比較して、光のモードの広がりがリングを形成する導波路部分に集中するため、より強い光を被検出物質に与えることが可能となる。そのため、検出感度を高めることができる。
【0051】
また、本実施の形態に従う微小物質検出装置においては、被検出物質を吸着するための下地層をディスク全面ではなくリングの上面だけに形成すれば十分であるので、必要な下地層の量が少なくて済む。さらに、下地層が多すぎると非特異吸着の影響が大きくなり、本来的に検出すべきではない蛍光(ノイズ)が生じる可能性が高くなる。そのため、下地層は、可能な限り不要な部分には形成しない方がよく、その点でも光リング共振器は、ディスク共振器に比較して優れている。
【0052】
また、蛍光標識を付加された被検出物質を吸着する下地層を配置した導波路として光リング共振器を用いることで、光リング共振器の共振波長に応じて定まる相対的に狭い幅の波長のみでの蛍光励起が可能となり、かつ、リング共振のため少ない吸着物質で何度も蛍光物質を励起することが可能となるため、従来に比較して検出感度を高めることができる。
【0053】
また、光リング共振器の共振波長帯域より広い波長帯域を有する入射光を発生するように構成された光源を用いることで、光リング共振器の製作誤差に対する尤度を高めることができる。すなわち、光リング共振器の共振波長の幅は非常に狭く、光リング共振器の製作誤差により共振波長が個体ごとにずれてしまう可能性がある。しかしながら、入射光を光リング共振器の共振波長帯域よりも広い帯域を有するものを採用することにより、光リング共振器の個体バラツキに関係なく被検出物質からの蛍光を励起し、被検出物質を測定することが可能となる。
【0054】
[実施の形態2]
上述の実施の形態1においては、1つの光リング共振器を用いた構成について例示したが、複数の光リング共振器を並列的に用いてもよい。以下に示す実施の形態2においては、リング径が互いに異なるリング導波路を有する光リング共振器を複数有する微小物質検出装置について説明する。特に、製作誤差に対する尤度を高めるために、複数の光リング共振器を用いる構成について説明する。
【0055】
《イ.装置構成》
本発明の実施の形態2に従う微小物質検出装置の全体構成については、微小物質検出センサの構成を除いて、図1に示す微小物質検出装置SYSと同様であるので、微小物質検出センサ以外の構成についての詳細な説明は繰返さない。
【0056】
図6は、本発明の実施の形態2に従う微小物質検出装置における微小物質検出センサの構成を示す模式図である。
【0057】
図6を参照して、本実施の形態に従う微小物質検出センサは、複数の光リング共振器を含む。すなわち、本実施の形態に従う微小物質検出センサは、基板上に形成されて光源10(図1)からの光波を伝搬する1次導波路40(第1の導波路)と、基板2上に1次導波路40と近接して形成されたリング状のリング導波路31,32,33(第2の導波路)からなる光リング共振器とを含む。図6に示すように、これらの光リング共振器は、1次導波路40(第1の導波路)に沿って整列配置されている。
【0058】
リング導波路31,32,33については、リング径が互いに異なるように形成されている。このようにリング径を互いに異ならせることで、それぞれの光リング共振器における共振波長が互いに異なることになる。
【0059】
本実施の形態においては、製作誤差に対する尤度を高めることが一義的な目的であるので、後述するように、それぞれの光リング共振器の共振波長が、いずれも共通の蛍光物質の吸収特性に含まれるように設計される。
【0060】
なお、図6には、3つの光リング共振器を配置した構成について例示するが、光リング共振器の数については特に制限はない。そのため、蛍光物質の吸収特性等に応じて、必要な数の光リング共振器を配置すればよい。
【0061】
《ロ.光リング共振器による検出原理》
光リング共振器を用いて微小物質を検出するための原理については、上述したとおりであるので、詳細な説明は繰返さない。
【0062】
《ハ.光波の波長帯域について》
次に、本実施の形態に従う微小物質検出装置で利用されるそれぞれの光波についての波長帯域における関係について説明する。
【0063】
図7および図8は、図6に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【0064】
光源10(図1)から照射される入射光(光I0)は、それぞれの光リング共振器の共振波長帯域に比較して十分に広い波長帯域を有しているものとする。また、図6においては、それぞれの光リング共振器の共振波長帯域の中心波長がλ11,λ12,λ13であるとする。
【0065】
図6および図7(a)を参照して、1次導波路40に光源10からの入射光(光I0)を入射すると、第1番目の光リング共振器の共振波長λ11と一致する波長を有する光I11がリング導波路31を周回する。一方、第1番目の光リング共振器に閉じ込められなかった、共振波長λ11以外の波長帯域の光は、第2番目以降の光リング共振器へ向かう。
【0066】
第2番の光リング共振器では、当該光リング共振器の共振波長λ12と一致する波長を有する光I12がリング導波路32を周回する。第2番目の光リング共振器に閉じ込められなかった、共振波長λ12以外の波長帯域の光は、第3番目以降の光リング共振器へ向かう。
【0067】
第3番の光リング共振器では、当該光リング共振器の共振波長λ13と一致する波長を有する光I13がリング導波路33を周回する。第3番目の光リング共振器に閉じ込められなかった、共振波長λ13以外の波長帯域の光は、出射光として排出される。
【0068】
光リング共振器の表面に形成された下地層に補足された被検出物質が存在すると、光I11,I12,I13によってそれぞれ励起されて、蛍光I41,I42,I43がそれぞれ発生する。これらの蛍光I41,I42,I43が、信号光として測定される。
【0069】
このように、1次導波路40から出射光として射出される光I2は、それぞれの光リング共振器において共振する波長λ11,12,13を中心とする波長領域以外の波長を有することになる。上述したように、本実施の形態に従う光源10は、複数の光リング共振器の共振波長帯域の全体より広い波長帯域を有する光を発生するように構成される。
【0070】
図7(b)には、光リング共振器において共振する光I11,I12,I13と、光リング共振器に吸着される、蛍光標識が付された被検出物質の吸収特性I3とを示す。一般的に、被検出物質に付与される蛍光標識(蛍光物質)の吸収特性I3は、光リング共振器の共振波長よりも広い波長帯域を有する。図7(b)に示す例においては、それぞれの光リング共振器の中心波長λ11,λ12,λ13を中心とするそれぞれの共振波長帯域が蛍光物質の吸収特性に含まれるように設定することで、被検出物質に付与された蛍光物質を励起することが可能となる。
【0071】
図8には、光リング共振器において共振する光I11,I12,I13と発生する蛍光I4の波長分布特性とを示す。被検出物質に付与された蛍光物質に光を入射させることで、より長い波長帯域に蛍光の波長分布が生じる。
【0072】
なお、リング導波路31,32,33のそれぞれから発生する蛍光I41,I42,I43を、検出部20(図1)を用いてその発生場所の別に検出することもできるが、本実施の形態においては、検出される蛍光は、いずれにしても共通の波長を中心としたものとなるため、いずれのリング導波路から発光した蛍光であるかを、空間的に分解する必要はなく、検出部20によって検出される光量の絶対値を評価すればよい。
【0073】
このように発生する蛍光を検出することで、被検出物質の有無、含有量、濃度、種類等を含む結果を取得する。
【0074】
《二.作用効果》
図9は、本発明の実施の形態2に従う微小物質検出装置において光リング共振器の設計誤差により共振波長が本来の設計値からずれた場合の特性を示す図である。
【0075】
図9に示すように、複数の複数の光リング共振器を用いることで、製作誤差により各リング径がわずかに設計値からずれることで、共振波長がλ11,λ12,λ13からλ11’,λ12’,λ13’になったとしても、いずれかの共振波長は、蛍光標識が付された被検出物質の吸収特性I3内に入ることが可能となるため、このような製作誤差の影響を緩和できる。
【0076】
本実施の形態に従う微小物質検出装置においては、上述した実施の形態1に従う微小物質検出装置によって得られる作用効果に加えて、異なるリング径を有する複数の光リング共振器を用いることで、装置全体としての光リング共振器群の共振波長帯域の幅を広げることができる。これにより、より広い波長帯域幅において被検出物質を励起すること可能となる。
【0077】
また、光リング共振器群の全体の波長帯域よりも広い波長帯域を有する入射光を用いることで、光リング共振器における個体バラツキの影響を吸収できる。
【0078】
[実施の形態3]
上述の実施の形態2においては、製作誤差に対する尤度を高めるために複数の光リング共振器を用いる構成について例示したが、複数種類の被検出物質を選択的に検出するように、複数の光リング共振器を並列的に用いてもよい。以下に示す実施の形態3においては、被検出物質が予め定められた複数の物質のうちいずれの物質であるかを特定できるように、複数の光リング共振器を用いる構成について説明する。
【0079】
《イ.装置構成》
本発明の実施の形態3に従う微小物質検出装置の全体構成については、微小物質検出センサならびに検出部および判断処理部の構成を除いて、図1に示す微小物質検出装置SYSと同様であるので、微小物質検出センサ以外の構成についての詳細な説明は繰返さない。
【0080】
図10は、本発明の実施の形態3に従う微小物質検出装置における微小物質検出センサの構成を示す模式図である。
【0081】
図10を参照して、本実施の形態に従う微小物質検出センサは、複数の光リング共振器を含む。すなわち、本実施の形態に従う微小物質検出センサは、基板上に形成されて光源10(図1)からの光波を伝搬する1次導波路40(第1の導波路)と、基板2上に1次導波路40と近接して形成されたリング状のリング導波路34,35,36(第2の導波路)からなる光リング共振器とを含む。図10に示すように、これらの光リング共振器は、1次導波路40(第1の導波路)に沿って整列配置されている。
【0082】
リング導波路34,35,36については、リング径が互いに異なるように形成されている。このようにリング径を互いに異ならせることで、それぞれの光リング共振器における共振波長が互いに異なることになる。
【0083】
本実施の形態においては、複数種類の被検出物質を選択的に検出することが一義的な目的であるので、後述するように、それぞれの光リング共振器の共振波長が、互いに別の蛍光物質の吸収特性に含まれるように設計される。
【0084】
なお、図10には、3つの光リング共振器を配置した構成について例示するが、光リング共振器の数については特に制限はない。そのため、蛍光物質の吸収特性等に応じて、必要な数の光リング共振器を配置すればよい。
【0085】
《ロ.光リング共振器による検出原理》
光リング共振器を用いて微小物質を検出するための原理については、上述したとおりであるので、詳細な説明は繰返さない。
【0086】
《ハ.光波の波長帯域について》
次に、本実施の形態に従う微小物質検出装置で利用されるそれぞれの光波についての波長帯域における関係について説明する。
【0087】
図11および図12は、図10に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【0088】
光源10(図1)から照射される入射光(光I0)は、それぞれの光リング共振器の共振波長帯域に比較して十分に広い波長帯域を有しているものとする。また、図6においては、それぞれの光リング共振器の共振波長帯域の中心波長がλ14,λ15,λ16であるとする。
【0089】
図10および図11(a)を参照して、1次導波路40に光源10からの入射光(光I0)を入射すると、第1番目の光リング共振器の共振波長λ14と一致する波長を有する光I14がリング導波路34を周回する。一方、第1番目の光リング共振器に閉じ込められなかった、共振波長λ14以外の波長帯域の光は、第2番目以降の光リング共振器へ向かう。
【0090】
第2番の光リング共振器では、当該光リング共振器の共振波長λ15と一致する波長を有する光I15がリング導波路35を周回する。第2番目の光リング共振器に閉じ込められなかった、共振波長λ15以外の波長帯域の光は、第3番目以降の光リング共振器へ向かう。
【0091】
第3番の光リング共振器では、当該光リング共振器の共振波長λ16と一致する波長を有する光I16がリング導波路36を周回する。第3番目の光リング共振器に閉じ込められなかった、共振波長λ16以外の波長帯域の光は、出射光として排出される。
【0092】
光リング共振器の表面に形成された下地層に補足された被検出物質が存在すると、光I14,I15,I16によってそれぞれ励起されて、蛍光I44,I45,I46がそれぞれ発生する。これらの蛍光I44,I45,I46が、信号光として測定される。
【0093】
このように、1次導波路40から出射光として射出される光I2は、それぞれの光リング共振器において共振する波長λ14,15,16を中心とする波長領域以外の波長を有することになる。上述したように、本実施の形態に従う光源10は、複数の光リング共振器の共振波長帯域の全体より広い波長帯域を有する光を発生するように構成される。
【0094】
図11(b)には、光リング共振器において共振する光I14,I15,I16と、光リング共振器に吸着される、蛍光標識が付された被検出物質の吸収特性I31,I32,I33とを示す。一般的に、被検出物質に付与される蛍光標識(蛍光物質)の吸収特性I31,I32,I33の各々は、光リング共振器の対応する共振波長よりも広い波長帯域を有する。図11(b)に示す例においては、それぞれの光リング共振器の中心波長λ14,λ15,λ16を中心とするそれぞれの共振波長帯域が蛍光物質の吸収特性に含まれるように設定することで、被検出物質に付与された蛍光物質を励起することが可能となる。
【0095】
特に、本実施の形態に従う微小物質検出装置においては、光リング共振器ごとに、検出する検体(被検出物質)の種類を異ならせるために、それぞれの被検出物質に蛍光付加される蛍光物質の吸収波長を異ならせている。
【0096】
図12には、光リング共振器において共振する光I14,I15,I16と対応して発生する蛍光I41,I42,I43の波長分布特性とを示す。被検出物質に付与された蛍光物質に光を入射させることで、より長い波長帯域に蛍光の波長分布が生じる。
【0097】
図12に示すように、検出対象の被検出物質の別に、蛍光標識の吸収特性を異ならせるとともに、それぞれの蛍光標識を発光させるように、それぞれの光リング共振器の共振波長を設定することで、被検出物質を選択的に計測できる。例えば、第1番目の被検出物質には、蛍光I41の波長分布特性(中心波長λ41)を有する第1番目の蛍光標識を付し、第2番目の被検出物質には、蛍光I42の波長分布特性(中心波長λ42)を有する第2番目の蛍光標識を付し、第3番目の被検出物質には、蛍光I43の波長分布特性(中心波長λ43)を有する第3番目の蛍光標識を付しておく。
【0098】
本実施の形態に従う判断処理部は、検出部による検出結果に基づいて、複数の光リング共振器のうちいずれの光リング共振器において蛍光が発生しているかを特定する機能を有する。そのため、複数の光リング共振器(図10に示すリング導波路34,35,36)のうちいずれの光リング共振器において蛍光が発生しているかを特定することで、いずれの種類の被検出物質(いずれの蛍光標識が付与された被検出物質)が存在するのかを判断することができる。
【0099】
すなわち、本実施の形態に従う判断処理部は、複数の光リング共振器のうち蛍光が発生している光リング共振器の情報に基づいて、被検出物質が予め定められた複数の物質のうちいずれの物質であるかを特定する。このように発生する蛍光を選択的に検出することで、被検出物質の種類別について、その有無、含有量、濃度、種類等を含む結果を取得することができる。
【0100】
このようにいずれの光リング共振器から蛍光が発生しているかを判断する方法としては、(1)発生する蛍光の波長が異なることを利用して、発生する全体の蛍光を測定するとともに、これらの測定された蛍光を波長分解することで、それぞれの蛍光を独立に検出する方法、または、(2)空間検出器を用いていずれの光リング共振器(いずれの場所)で蛍光が発光しているかを空間的に分離して測定することで、発生するそれぞれの蛍光を同時に検出する方法、などが挙げられる。
【0101】
以下、これらの方法について説明する。
図13は、本発明の実施の形態3に従う微小物質検出装置における波長分解を用いる制御ロジックの概略を説明するための図である。図13を参照して、本実施の形態に従う検出部20は、波長フィルタ311,312,313と、各波長フィルタに対応付けられる積分器321,322,323とを含む。
【0102】
波長フィルタ311,312,313は、カメラ部22(図1)の撮像によって取得された計測画像に含まれる、対応する波長成分(中心波長λ41,λ42,λ43)を抽出する。積分器321,322,323は、対応する波長フィルタによって抽出された波長成分を積分することで、それぞれ対応する蛍光の測定結果を出力する。
【0103】
このように、空間中に存在する各蛍光を独立に測定することができる。
図14は、本発明の実施の形態3に従う微小物質検出装置における空間検出器を用いる制御ロジックの概略を説明するための図である。
【0104】
まず、図14(a)に示すように、それぞれのリング導波路34,35,36(光リング共振器)が存在しているとする。これらの光リング共振器の存在位置が予め登録されているとする。
【0105】
次に、図14(b)に示すように、被検出物質が吸着されることで、リング導波路34からなる光リング共振器から蛍光が発生したとする。なお、カメラ部22はいずれの蛍光にも検出感度を有するものとする。このカメラ部22によって測定された画像中において、蛍光が検出されている領域を特定することで、いずれの光リング共振器から蛍光が発生しているかを特定できる。
【0106】
このような方式によれば、図14(c)に示すように、リング導波路34および36からなる2つの光リング共振器から同時に蛍光が発生した場合であっても、これらの2つの光リング共振器からの蛍光発生を同時に観測することができる。
【0107】
《二.作用効果》
本実施の形態に従う微小物質検出装置によれば、上述の実施の形態1および2に従う微小物質検出装置によって得られる作用効果に加えて、異なるリング径を有する光リング共振器を複数個に配置することによって、装置全体としての光リング共振器群の共振波長帯域の幅を広げることができる。これにより、より広い波長帯域幅において被検出物質を励起すること可能となる。
【0108】
また、本実施の形態に従う微小物質検出装置によれば、各光リング共振器の共振波長を異ならせるとともに、各光リング共振器の共振波長によって独立した蛍光指標が励起されるように構成する。このように、光リング共振器群の特性波長と被検出物質に付与される蛍光指標とをそれぞれ独立の波長とすることで、被検出物質の多種検出を同時に行うことができる。
【0109】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0110】
1 微小物質検出センサ、2 基板、3,31,32,33,31,32,33,34,35,36,34,35,36 リング導波路、4 クラッド層、5 方向性結合部、6 入射端、7 出射端、10 光源、20 検出部、22 カメラ部、24 画像処理部、30 判断処理部、40 1次導波路、301 コア、302 クラッド、303 生体修飾部、311,312,313 波長フィルタ、321,322,323 積分器、SYS 微小物質検出装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小物質を検出するための微小物質検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学デバイスを用いて微生物等の微小物質を検出するための微小物質検出装置が実用化されている。このような微小物質検出装置は、バイオセンサとも称される微小物質検出用のセンサを用いることで、各種の微小物質の有無、その量、その種類等を検出することができる。このような微小物質検出センサの動作原理としては、光学デバイスの周囲に検出対象の微小物質(被検出物質)が付着することで、当該光学デバイスが示す光学特性が変化することを利用している。
【0003】
例えば、特表2003−515737号公報(特許文献1)には、平坦な円筒状共鳴式光キャビティを有する共鳴式光学的検定構造体を有する高感度で高スループットの生物学的センサが開示されている。すなわち、特許文献1には、円盤型(ディスク型)のウィスパリングギャラリーモードを利用する方式が開示されている。
【0004】
また、特開2008−304216号公報(特許文献2)には、光学デバイスとして光リング共振器を用いた物質検知装置が開示されている。このような光リング共振器を用いる場合には、その光リング共振器の周囲に微小物質が付着するように構成するとともに、光リング共振器での共振波長の変化を検出できるように構成される。この光リング共振器での共振波長の変化は、微小物質の付着によって光リング共振器の屈折率が変化することに起因している。特に、特許文献2には、波長選択性を有しない第1の光導波路と共振結合する位置に第2の光導波路を配置してマイクロリング共振器を形成するとともに、第2の光導波路に、検出対象の物質が入り得る孔を設ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2003−515737号公報
【特許文献2】特開2008−304216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1には、ディスク形状の光デバイスを利用する構成を開示するに過ぎない。また、上述の特許文献2に開示される構成は、リング形状の光デバイスを利用するものであるが、入射光と分離光との間の関係に基づいて、被検出物質を検出するものであり、光学的な相互作用を直接的に検出するものではない。
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、被検出物質に対する検出感度を高めることのできる新規な微小物質検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面に従う微小物質検出装置は、光源と、基板上に形成されて光源からの光波を伝搬する第1の導波路と、基板上に第1の導波路と近接して形成されたリング状の第2の導波路からなる光リング共振器と、蛍光標識が付された被検出物質が光リング共振器に付着することで発生する蛍光を検出する検出部とを含む。
【0009】
好ましくは、光源は、光リング共振器の共振波長帯域より広い波長帯域を有する光を発生するように構成されている。
【0010】
さらに好ましくは、微小物質検出装置は、リング径が互いに異なる第2の導波路を有する光リング共振器を複数含み、光源は、複数の光リング共振器の共振波長帯域の全体より広い波長帯域を有する光を発生するように構成されている。
【0011】
さらに好ましくは、複数の光リング共振器は、第1の導波路に沿って、整列配置されている。
【0012】
さらに好ましくは、微小物質検出装置は、検出部による検出結果に基づいて、複数の光リング共振器のうちいずれの光リング共振器において蛍光が発生しているかを特定する制御手段をさらに含む。
【0013】
さらに好ましくは、制御手段は、複数の光リング共振器のうち蛍光が発生している光リング共振器の情報に基づいて、被検出物質が予め定められた複数の物質のうちいずれの物質であるかを特定する。
【0014】
さらに好ましくは、検出部は、複数の光リング共振器を光学的に計測するように構成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被検出物質に対する検出感度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に従う微小物質検出装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1に従う微小物質検出装置において光リング共振器を生体修飾するための構成を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1に従う微小物質検出装置において光リング共振器から発生する蛍光の様子を示す模式図である。
【図4】図3に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【図5】図3に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2に従う微小物質検出装置における微小物質検出センサの構成を示す模式図である。
【図7】図6に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【図8】図6に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に従う微小物質検出装置において光リング共振器の設計誤差により共振波長が本来の設計値からずれた場合の特性を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態3に従う微小物質検出装置における微小物質検出センサの構成を示す模式図である。
【図11】図10に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【図12】図10に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態3に従う微小物質検出装置における波長分解を用いる制御ロジックの概略を説明するための図である。
【図14】本発明の実施の形態3に従う微小物質検出装置における空間検出器を用いる制御ロジックの概略を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
[概要]
本実施の形態に従う微小物質検出装置は、光リング共振器の表面に蛍光標識が付された被検出物質を吸着するための物質を配置し、この物質に吸着された被検出物質から発生する蛍光を検出する方法を採用する。このような方法を採用することで、従来の方法に比較して、電場より増強された領域での蛍光励起が可能となり、検出感度を高めることができる。
【0019】
また、光リング共振器の共振波長帯域より広い波長帯域を有する入射光を発生するように構成された光源を用いることで、光リング共振器の製作誤差に対する尤度を高めることができる。
【0020】
[実施の形態1]
《イ.装置構成》
図1は、本発明の実施の形態1に従う微小物質検出装置SYSの全体構成を示す模式図である。図1を参照して、微小物質検出装置SYSは、微小物質検出センサ1と、微小物質検出センサ1に励起光を供給する光源10と、検出部20と、判断処理部30とを含む。
【0021】
本実施の形態に従う微小物質検出装置SYSは、微小物質検出センサ1に含まれる光リング共振器に、蛍光標識が付された被検出物質を接触/近接させることで発生する蛍光を検出し、当該検出された蛍光を観測することで、被検出物質の有無、含有量、濃度、種類等を検出する。
【0022】
微小物質検出センサ1は、1つ以上の光リング共振器を含む。より具体的には、微小物質検出センサ1は、光導波路を製作するための基板2と、基板2上に形成されて光源10からの光波を伝搬する1次導波路40(第1の導波路)と、基板2上に1次導波路40と近接して形成されたリング状のリング導波路3(第2の導波路)からなる光リング共振器とを含む。
【0023】
1次導波路40およびリング導波路3は、基板2上のクラッド層4内に、クラッド層4とは異なる屈折率を有するコアとして形成される。すなわち、各導波路は、主として、基板2の上に形成されたコア(相対的に屈折率の高い部分)と、コアの周囲に配置されたクラッド層4(相対的に屈折率の低い部分)とからなる。
【0024】
このような導波路には、波長選択性がなく、測定波長範囲の光波をなるべく低損失で伝搬することのできる材料を用いることが好ましい。より具体的には、ガラス、サファイア、石英、光学樹脂といった光学的に透明な材料や、Si,GaAs,GaNといった半導体材料を用いることができる。なお、測定に用いる光の波長は、導波路の波長透過性能に応じて決定することもできる。すなわち、各導波路が透明である波長範囲内を測定波長に設定すればよい。
【0025】
1次導波路40は、光源10側に位置する入射端6と、入射端6とは反対側の出射端7とを有する。また、1次導波路40とリング導波路3との接合部は、方向性結合部5として機能する。
【0026】
光源10は、微小物質検出センサ1における設計上の共振波長を含む所定の波長範囲を発生するように構成される。微小物質検出センサ1における設計バラツキ等を考慮して、ある程度のマージンをもった波長範囲を有する光源10を用いることが好ましい。すなわち、光源10は、光リング共振器の共振波長帯域より広い波長帯域を有する光を発生するように構成される。一例として、光源10は、(ハロゲン)ランプ、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)、スーパールミネッセントダイオード(SLD:Super Luminescent Diode)、スーパーコンティニュアム光源等の広帯域光源が好ましい。
【0027】
検出部20は、微小物質検出センサ1で発生した蛍光を検出する。より具体的には、検出部20は、カメラ部22と、画像処理部24とを含む。カメラ部22は、CCD(Charged Coupled Device)といった撮像素子により構成される。そして、カメラ部22は、一例として、その視野に微小物質検出センサ1を含むように、微小物質検出センサ1の上部側に配置される。画像処理部24は、カメラ部22と接続され、カメラ部22によって撮像された画像に基づいて、光リング共振器から発生した蛍光成分のみを抽出する。典型的には、カメラ部22は、蛍光(可視波長帯域)に検出感度を有しており、蛍光が発生している部分について、より高い輝度(明るさ)が検出される。この検出される輝度の量等に基づいて、蛍光の発生量等が判断される。
【0028】
なお、検出部20としては、複数のフォトダイオードが所定規則で配列されたフォトダイオードアレイを含む構成を採用することもできる。このように、検出部20としては、光リング共振器を光学的に計測できる構成であれば、どのような方式を採用してもよい。
【0029】
判断処理部30は、検出部20による検出結果に基づいて、被検出物質の有無、含有量、濃度、種類等を含む結果を出力する。
【0030】
《ロ.光リング共振器による検出原理》
次に、光リング共振器を用いて微小物質を検出するための原理について説明する。光リング共振器では、所定波長を有する光波について、光導波路をリング形状として光波がそのリングを一周した後に位相が重なるように光路長を設定することで光共振を生じさせる。リング形状の共振器は、光導波路内での反射構造が必要ないため、構成を簡素化できるとともに、反射による光路損失が小さく効率の高い共振が得られるというメリットがある。
【0031】
光リング共振器を微小物質検出センサとして用いる場合には、光リング共振器へ光のエネルギーが集中する効果と、共振器近傍にある物質によって光リング共振器の共振条件がずれる効果とを利用することになる。光リング共振器において、光波は、光導波路の屈折率に幾何行路長を乗じた光路長(実効行路長)がその波長の整数倍と一致している場合のみに存在できる。この条件を満たさない場合には急激に光リング共振器内での光量が減衰する。
【0032】
そのため、図1に示す微小物質検出装置SYSにおいて、光源10から照射された光(所定幅にわたる波長成分を有するものとする)は、方向性結合部5を介して光リング共振器(リング導波路3)へ伝えられる。この光のうち、光リング共振器での共振条件を満たした波長成分のみが光リング共振器内に閉じ込められることになる。この結果、共振条件を満たした波長についてみれば、1次導波路40の入射端6から出射端7までの透過率が大きく低下する。光リング共振器の共振波長は、1次導波路40の実効屈折率Neffと光リング共振器の共振器長Lとを用いて、(1)式のように示すことができる。ここで、mは共振次数(整数)、λは真空中における光の波長を示す。
【0033】
【数1】
【0034】
次に、光リング共振器の周囲に微小物質が付着した場合には、光リング共振器の共振条件がずれるため、周囲の媒質の屈折率変化を高感度に検出できる。言い換えれば、光リング共振器の周囲に微小物質が付着した場合には、光リング共振器における共振波長が変化することになる。
【0035】
次に、光リング共振器の周囲に微小物質を付着させる方法について説明する。例えば、タンパク質といった生物学的な微小物質を被検出物質とする場合には、光リング共振器の周辺を生体修飾する方法、あるいは、光リング共振器の部分に被検出物質を含む液体を流すための流路を設ける方法等がある。これらの方法について、図2を参照して説明する。
【0036】
図2は、本発明の実施の形態1に従う微小物質検出装置SYSにおいて光リング共振器を生体修飾するための構成を示す模式図である。図2を参照して、光リング共振器は、コア301およびクラッド302からなり、基本的には、コア301の表面に、被検出物質であるバイオマーカが選択的に吸着するように生体修飾しておく。すなわち、図2(a)に示すように、コア301の表面に下地層である生体修飾部303を設ける。この生体修飾部303は、典型的には、抗原抗体反応を利用して実現され、特定の種類のタンパク質のみを特異的に吸着する。
【0037】
図2(a)に示すような構成に対して、被検出物質を含む検体を生体修飾部303の滴下すると、検体中の被検出物質のみが選択的にコア301の表面に吸着することになる。光リング共振器の光導波路であるコア301の表面に吸着した物質に向けて、光導波路を伝搬する光波(電磁波)の一部がしみ出ることによって、光導波路における透過屈折率がわずかに変化し、それによって、光リング共振器における共振波長も変化(シフト)する。この共振波長のずれを観測することで、周囲の媒質の屈折率変化を高感度に検出できる。
【0038】
また、光リング共振器が共振条件を満たした状態において、光リング共振器の周囲に電磁界が集中するため、この現象を利用して、光リング共振器の周囲に配置した蛍光物質を高効率で光らせることもできる。すなわち、被検出物質に蛍光標識を付加しておき、発生する蛍光の量を検知することでサンプル中における被検出物質の有無、含有量、濃度、種類等を検出することができる。
【0039】
なお、コア301の表面に被検出物質であるバイオマーカが選択的に吸着するように生体修飾した上で、これらの生体修飾された部分に、被検出物質が含まれる液体を通過させるための流路を設けてもよい。
【0040】
本実施の形態に従う微小物質検出装置SYSにおいては、図2に示すような下地層に蛍光標識を付加された被検出物質が付着することで発生する蛍光を検出する。なお、被検出物質から発生する蛍光は、光リング共振器に入射する(閉じ込められる)光の波長に比較して、より長い波長を有する。
【0041】
図3は、本発明の実施の形態1に従う微小物質検出装置SYSにおいて光リング共振器から発生する蛍光の様子を示す模式図である。
【0042】
図3を参照して、光源から所定の波長帯域を有する光I0が1次導波路40に入射すると、そのうち、光リング共振器の共振波長と一致する波長を有する光I1がリング導波路3を周回する。なお、光リング共振器に閉じ込められなかった、共振波長以外の波長を有する光I2は、出射光として排出される。光リング共振器の表面に形成された下地層に補足された被検出物質が存在すると、光I1によって励起されて、蛍光I4が発生する。この蛍光I4が、信号光として測定される。
【0043】
《ハ.光波の波長帯域について》
次に、図3に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係について説明する。
【0044】
図4および図5は、図3に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【0045】
図4(a)を参照して、光源10から照射される入射光(光I0)は、光リング共振器の共振波長帯域に比較して十分に広い波長帯域を有しているものとする。図4(a)においては、光リング共振器の共振波長帯域の中心波長がλ1であるとする。この場合、1次導波路40から出射光として射出される光I2は、光リング共振器において共振する波長λ1を中心とする波長領域以外の波長を有する。
【0046】
図4(b)には、光リング共振器において共振する光I1と、光リング共振器に吸着される、蛍光標識が付された被検出物質の吸収特性I3を示す。一般的に、被検出物質に付与される蛍光標識(蛍光物質)の吸収特性I3は、光リング共振器の共振波長よりも広い波長帯域を有する。図4(b)に示す例においては、光リング共振器の中心波長λ1を中心とする共振波長帯域が蛍光物質の吸収特性に含まれるように設定することで、被検出物質に付与された蛍光物質を励起することが可能となる。
【0047】
図5には、光リング共振器において共振する光I1と発生する蛍光I4の波長分布特性とを示す。被検出物質に付与された蛍光物質に光を入射させることで、より長い波長帯域に蛍光の波長分布が生じる。
【0048】
このように発生する蛍光を検出することで、被検出物質の有無、含有量、濃度、種類等を含む結果を取得する。
【0049】
《二.作用効果》
本実施の形態に従う微小物質検出装置は、光リング共振器の表面に蛍光標識が付された被検出物質を吸着するための物質を配置し、この物質に吸着された被検出物質から発生する蛍光を検出する方法を採用する。このような方法を採用することで、従来の方法に比較して、電場より増強された領域での蛍光励起が可能となり、検出感度を高めることができる。
【0050】
本実施の形態に従う微小物質検出装置は、リング状の光導波路からなる光リング共振器を用いる。このような光リング共振器は、従来のディスク型の共振器を用いた場合に比較して、光のモードの広がりがリングを形成する導波路部分に集中するため、より強い光を被検出物質に与えることが可能となる。そのため、検出感度を高めることができる。
【0051】
また、本実施の形態に従う微小物質検出装置においては、被検出物質を吸着するための下地層をディスク全面ではなくリングの上面だけに形成すれば十分であるので、必要な下地層の量が少なくて済む。さらに、下地層が多すぎると非特異吸着の影響が大きくなり、本来的に検出すべきではない蛍光(ノイズ)が生じる可能性が高くなる。そのため、下地層は、可能な限り不要な部分には形成しない方がよく、その点でも光リング共振器は、ディスク共振器に比較して優れている。
【0052】
また、蛍光標識を付加された被検出物質を吸着する下地層を配置した導波路として光リング共振器を用いることで、光リング共振器の共振波長に応じて定まる相対的に狭い幅の波長のみでの蛍光励起が可能となり、かつ、リング共振のため少ない吸着物質で何度も蛍光物質を励起することが可能となるため、従来に比較して検出感度を高めることができる。
【0053】
また、光リング共振器の共振波長帯域より広い波長帯域を有する入射光を発生するように構成された光源を用いることで、光リング共振器の製作誤差に対する尤度を高めることができる。すなわち、光リング共振器の共振波長の幅は非常に狭く、光リング共振器の製作誤差により共振波長が個体ごとにずれてしまう可能性がある。しかしながら、入射光を光リング共振器の共振波長帯域よりも広い帯域を有するものを採用することにより、光リング共振器の個体バラツキに関係なく被検出物質からの蛍光を励起し、被検出物質を測定することが可能となる。
【0054】
[実施の形態2]
上述の実施の形態1においては、1つの光リング共振器を用いた構成について例示したが、複数の光リング共振器を並列的に用いてもよい。以下に示す実施の形態2においては、リング径が互いに異なるリング導波路を有する光リング共振器を複数有する微小物質検出装置について説明する。特に、製作誤差に対する尤度を高めるために、複数の光リング共振器を用いる構成について説明する。
【0055】
《イ.装置構成》
本発明の実施の形態2に従う微小物質検出装置の全体構成については、微小物質検出センサの構成を除いて、図1に示す微小物質検出装置SYSと同様であるので、微小物質検出センサ以外の構成についての詳細な説明は繰返さない。
【0056】
図6は、本発明の実施の形態2に従う微小物質検出装置における微小物質検出センサの構成を示す模式図である。
【0057】
図6を参照して、本実施の形態に従う微小物質検出センサは、複数の光リング共振器を含む。すなわち、本実施の形態に従う微小物質検出センサは、基板上に形成されて光源10(図1)からの光波を伝搬する1次導波路40(第1の導波路)と、基板2上に1次導波路40と近接して形成されたリング状のリング導波路31,32,33(第2の導波路)からなる光リング共振器とを含む。図6に示すように、これらの光リング共振器は、1次導波路40(第1の導波路)に沿って整列配置されている。
【0058】
リング導波路31,32,33については、リング径が互いに異なるように形成されている。このようにリング径を互いに異ならせることで、それぞれの光リング共振器における共振波長が互いに異なることになる。
【0059】
本実施の形態においては、製作誤差に対する尤度を高めることが一義的な目的であるので、後述するように、それぞれの光リング共振器の共振波長が、いずれも共通の蛍光物質の吸収特性に含まれるように設計される。
【0060】
なお、図6には、3つの光リング共振器を配置した構成について例示するが、光リング共振器の数については特に制限はない。そのため、蛍光物質の吸収特性等に応じて、必要な数の光リング共振器を配置すればよい。
【0061】
《ロ.光リング共振器による検出原理》
光リング共振器を用いて微小物質を検出するための原理については、上述したとおりであるので、詳細な説明は繰返さない。
【0062】
《ハ.光波の波長帯域について》
次に、本実施の形態に従う微小物質検出装置で利用されるそれぞれの光波についての波長帯域における関係について説明する。
【0063】
図7および図8は、図6に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【0064】
光源10(図1)から照射される入射光(光I0)は、それぞれの光リング共振器の共振波長帯域に比較して十分に広い波長帯域を有しているものとする。また、図6においては、それぞれの光リング共振器の共振波長帯域の中心波長がλ11,λ12,λ13であるとする。
【0065】
図6および図7(a)を参照して、1次導波路40に光源10からの入射光(光I0)を入射すると、第1番目の光リング共振器の共振波長λ11と一致する波長を有する光I11がリング導波路31を周回する。一方、第1番目の光リング共振器に閉じ込められなかった、共振波長λ11以外の波長帯域の光は、第2番目以降の光リング共振器へ向かう。
【0066】
第2番の光リング共振器では、当該光リング共振器の共振波長λ12と一致する波長を有する光I12がリング導波路32を周回する。第2番目の光リング共振器に閉じ込められなかった、共振波長λ12以外の波長帯域の光は、第3番目以降の光リング共振器へ向かう。
【0067】
第3番の光リング共振器では、当該光リング共振器の共振波長λ13と一致する波長を有する光I13がリング導波路33を周回する。第3番目の光リング共振器に閉じ込められなかった、共振波長λ13以外の波長帯域の光は、出射光として排出される。
【0068】
光リング共振器の表面に形成された下地層に補足された被検出物質が存在すると、光I11,I12,I13によってそれぞれ励起されて、蛍光I41,I42,I43がそれぞれ発生する。これらの蛍光I41,I42,I43が、信号光として測定される。
【0069】
このように、1次導波路40から出射光として射出される光I2は、それぞれの光リング共振器において共振する波長λ11,12,13を中心とする波長領域以外の波長を有することになる。上述したように、本実施の形態に従う光源10は、複数の光リング共振器の共振波長帯域の全体より広い波長帯域を有する光を発生するように構成される。
【0070】
図7(b)には、光リング共振器において共振する光I11,I12,I13と、光リング共振器に吸着される、蛍光標識が付された被検出物質の吸収特性I3とを示す。一般的に、被検出物質に付与される蛍光標識(蛍光物質)の吸収特性I3は、光リング共振器の共振波長よりも広い波長帯域を有する。図7(b)に示す例においては、それぞれの光リング共振器の中心波長λ11,λ12,λ13を中心とするそれぞれの共振波長帯域が蛍光物質の吸収特性に含まれるように設定することで、被検出物質に付与された蛍光物質を励起することが可能となる。
【0071】
図8には、光リング共振器において共振する光I11,I12,I13と発生する蛍光I4の波長分布特性とを示す。被検出物質に付与された蛍光物質に光を入射させることで、より長い波長帯域に蛍光の波長分布が生じる。
【0072】
なお、リング導波路31,32,33のそれぞれから発生する蛍光I41,I42,I43を、検出部20(図1)を用いてその発生場所の別に検出することもできるが、本実施の形態においては、検出される蛍光は、いずれにしても共通の波長を中心としたものとなるため、いずれのリング導波路から発光した蛍光であるかを、空間的に分解する必要はなく、検出部20によって検出される光量の絶対値を評価すればよい。
【0073】
このように発生する蛍光を検出することで、被検出物質の有無、含有量、濃度、種類等を含む結果を取得する。
【0074】
《二.作用効果》
図9は、本発明の実施の形態2に従う微小物質検出装置において光リング共振器の設計誤差により共振波長が本来の設計値からずれた場合の特性を示す図である。
【0075】
図9に示すように、複数の複数の光リング共振器を用いることで、製作誤差により各リング径がわずかに設計値からずれることで、共振波長がλ11,λ12,λ13からλ11’,λ12’,λ13’になったとしても、いずれかの共振波長は、蛍光標識が付された被検出物質の吸収特性I3内に入ることが可能となるため、このような製作誤差の影響を緩和できる。
【0076】
本実施の形態に従う微小物質検出装置においては、上述した実施の形態1に従う微小物質検出装置によって得られる作用効果に加えて、異なるリング径を有する複数の光リング共振器を用いることで、装置全体としての光リング共振器群の共振波長帯域の幅を広げることができる。これにより、より広い波長帯域幅において被検出物質を励起すること可能となる。
【0077】
また、光リング共振器群の全体の波長帯域よりも広い波長帯域を有する入射光を用いることで、光リング共振器における個体バラツキの影響を吸収できる。
【0078】
[実施の形態3]
上述の実施の形態2においては、製作誤差に対する尤度を高めるために複数の光リング共振器を用いる構成について例示したが、複数種類の被検出物質を選択的に検出するように、複数の光リング共振器を並列的に用いてもよい。以下に示す実施の形態3においては、被検出物質が予め定められた複数の物質のうちいずれの物質であるかを特定できるように、複数の光リング共振器を用いる構成について説明する。
【0079】
《イ.装置構成》
本発明の実施の形態3に従う微小物質検出装置の全体構成については、微小物質検出センサならびに検出部および判断処理部の構成を除いて、図1に示す微小物質検出装置SYSと同様であるので、微小物質検出センサ以外の構成についての詳細な説明は繰返さない。
【0080】
図10は、本発明の実施の形態3に従う微小物質検出装置における微小物質検出センサの構成を示す模式図である。
【0081】
図10を参照して、本実施の形態に従う微小物質検出センサは、複数の光リング共振器を含む。すなわち、本実施の形態に従う微小物質検出センサは、基板上に形成されて光源10(図1)からの光波を伝搬する1次導波路40(第1の導波路)と、基板2上に1次導波路40と近接して形成されたリング状のリング導波路34,35,36(第2の導波路)からなる光リング共振器とを含む。図10に示すように、これらの光リング共振器は、1次導波路40(第1の導波路)に沿って整列配置されている。
【0082】
リング導波路34,35,36については、リング径が互いに異なるように形成されている。このようにリング径を互いに異ならせることで、それぞれの光リング共振器における共振波長が互いに異なることになる。
【0083】
本実施の形態においては、複数種類の被検出物質を選択的に検出することが一義的な目的であるので、後述するように、それぞれの光リング共振器の共振波長が、互いに別の蛍光物質の吸収特性に含まれるように設計される。
【0084】
なお、図10には、3つの光リング共振器を配置した構成について例示するが、光リング共振器の数については特に制限はない。そのため、蛍光物質の吸収特性等に応じて、必要な数の光リング共振器を配置すればよい。
【0085】
《ロ.光リング共振器による検出原理》
光リング共振器を用いて微小物質を検出するための原理については、上述したとおりであるので、詳細な説明は繰返さない。
【0086】
《ハ.光波の波長帯域について》
次に、本実施の形態に従う微小物質検出装置で利用されるそれぞれの光波についての波長帯域における関係について説明する。
【0087】
図11および図12は、図10に示すそれぞれの光波についての波長帯域における関係を示す図である。
【0088】
光源10(図1)から照射される入射光(光I0)は、それぞれの光リング共振器の共振波長帯域に比較して十分に広い波長帯域を有しているものとする。また、図6においては、それぞれの光リング共振器の共振波長帯域の中心波長がλ14,λ15,λ16であるとする。
【0089】
図10および図11(a)を参照して、1次導波路40に光源10からの入射光(光I0)を入射すると、第1番目の光リング共振器の共振波長λ14と一致する波長を有する光I14がリング導波路34を周回する。一方、第1番目の光リング共振器に閉じ込められなかった、共振波長λ14以外の波長帯域の光は、第2番目以降の光リング共振器へ向かう。
【0090】
第2番の光リング共振器では、当該光リング共振器の共振波長λ15と一致する波長を有する光I15がリング導波路35を周回する。第2番目の光リング共振器に閉じ込められなかった、共振波長λ15以外の波長帯域の光は、第3番目以降の光リング共振器へ向かう。
【0091】
第3番の光リング共振器では、当該光リング共振器の共振波長λ16と一致する波長を有する光I16がリング導波路36を周回する。第3番目の光リング共振器に閉じ込められなかった、共振波長λ16以外の波長帯域の光は、出射光として排出される。
【0092】
光リング共振器の表面に形成された下地層に補足された被検出物質が存在すると、光I14,I15,I16によってそれぞれ励起されて、蛍光I44,I45,I46がそれぞれ発生する。これらの蛍光I44,I45,I46が、信号光として測定される。
【0093】
このように、1次導波路40から出射光として射出される光I2は、それぞれの光リング共振器において共振する波長λ14,15,16を中心とする波長領域以外の波長を有することになる。上述したように、本実施の形態に従う光源10は、複数の光リング共振器の共振波長帯域の全体より広い波長帯域を有する光を発生するように構成される。
【0094】
図11(b)には、光リング共振器において共振する光I14,I15,I16と、光リング共振器に吸着される、蛍光標識が付された被検出物質の吸収特性I31,I32,I33とを示す。一般的に、被検出物質に付与される蛍光標識(蛍光物質)の吸収特性I31,I32,I33の各々は、光リング共振器の対応する共振波長よりも広い波長帯域を有する。図11(b)に示す例においては、それぞれの光リング共振器の中心波長λ14,λ15,λ16を中心とするそれぞれの共振波長帯域が蛍光物質の吸収特性に含まれるように設定することで、被検出物質に付与された蛍光物質を励起することが可能となる。
【0095】
特に、本実施の形態に従う微小物質検出装置においては、光リング共振器ごとに、検出する検体(被検出物質)の種類を異ならせるために、それぞれの被検出物質に蛍光付加される蛍光物質の吸収波長を異ならせている。
【0096】
図12には、光リング共振器において共振する光I14,I15,I16と対応して発生する蛍光I41,I42,I43の波長分布特性とを示す。被検出物質に付与された蛍光物質に光を入射させることで、より長い波長帯域に蛍光の波長分布が生じる。
【0097】
図12に示すように、検出対象の被検出物質の別に、蛍光標識の吸収特性を異ならせるとともに、それぞれの蛍光標識を発光させるように、それぞれの光リング共振器の共振波長を設定することで、被検出物質を選択的に計測できる。例えば、第1番目の被検出物質には、蛍光I41の波長分布特性(中心波長λ41)を有する第1番目の蛍光標識を付し、第2番目の被検出物質には、蛍光I42の波長分布特性(中心波長λ42)を有する第2番目の蛍光標識を付し、第3番目の被検出物質には、蛍光I43の波長分布特性(中心波長λ43)を有する第3番目の蛍光標識を付しておく。
【0098】
本実施の形態に従う判断処理部は、検出部による検出結果に基づいて、複数の光リング共振器のうちいずれの光リング共振器において蛍光が発生しているかを特定する機能を有する。そのため、複数の光リング共振器(図10に示すリング導波路34,35,36)のうちいずれの光リング共振器において蛍光が発生しているかを特定することで、いずれの種類の被検出物質(いずれの蛍光標識が付与された被検出物質)が存在するのかを判断することができる。
【0099】
すなわち、本実施の形態に従う判断処理部は、複数の光リング共振器のうち蛍光が発生している光リング共振器の情報に基づいて、被検出物質が予め定められた複数の物質のうちいずれの物質であるかを特定する。このように発生する蛍光を選択的に検出することで、被検出物質の種類別について、その有無、含有量、濃度、種類等を含む結果を取得することができる。
【0100】
このようにいずれの光リング共振器から蛍光が発生しているかを判断する方法としては、(1)発生する蛍光の波長が異なることを利用して、発生する全体の蛍光を測定するとともに、これらの測定された蛍光を波長分解することで、それぞれの蛍光を独立に検出する方法、または、(2)空間検出器を用いていずれの光リング共振器(いずれの場所)で蛍光が発光しているかを空間的に分離して測定することで、発生するそれぞれの蛍光を同時に検出する方法、などが挙げられる。
【0101】
以下、これらの方法について説明する。
図13は、本発明の実施の形態3に従う微小物質検出装置における波長分解を用いる制御ロジックの概略を説明するための図である。図13を参照して、本実施の形態に従う検出部20は、波長フィルタ311,312,313と、各波長フィルタに対応付けられる積分器321,322,323とを含む。
【0102】
波長フィルタ311,312,313は、カメラ部22(図1)の撮像によって取得された計測画像に含まれる、対応する波長成分(中心波長λ41,λ42,λ43)を抽出する。積分器321,322,323は、対応する波長フィルタによって抽出された波長成分を積分することで、それぞれ対応する蛍光の測定結果を出力する。
【0103】
このように、空間中に存在する各蛍光を独立に測定することができる。
図14は、本発明の実施の形態3に従う微小物質検出装置における空間検出器を用いる制御ロジックの概略を説明するための図である。
【0104】
まず、図14(a)に示すように、それぞれのリング導波路34,35,36(光リング共振器)が存在しているとする。これらの光リング共振器の存在位置が予め登録されているとする。
【0105】
次に、図14(b)に示すように、被検出物質が吸着されることで、リング導波路34からなる光リング共振器から蛍光が発生したとする。なお、カメラ部22はいずれの蛍光にも検出感度を有するものとする。このカメラ部22によって測定された画像中において、蛍光が検出されている領域を特定することで、いずれの光リング共振器から蛍光が発生しているかを特定できる。
【0106】
このような方式によれば、図14(c)に示すように、リング導波路34および36からなる2つの光リング共振器から同時に蛍光が発生した場合であっても、これらの2つの光リング共振器からの蛍光発生を同時に観測することができる。
【0107】
《二.作用効果》
本実施の形態に従う微小物質検出装置によれば、上述の実施の形態1および2に従う微小物質検出装置によって得られる作用効果に加えて、異なるリング径を有する光リング共振器を複数個に配置することによって、装置全体としての光リング共振器群の共振波長帯域の幅を広げることができる。これにより、より広い波長帯域幅において被検出物質を励起すること可能となる。
【0108】
また、本実施の形態に従う微小物質検出装置によれば、各光リング共振器の共振波長を異ならせるとともに、各光リング共振器の共振波長によって独立した蛍光指標が励起されるように構成する。このように、光リング共振器群の特性波長と被検出物質に付与される蛍光指標とをそれぞれ独立の波長とすることで、被検出物質の多種検出を同時に行うことができる。
【0109】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0110】
1 微小物質検出センサ、2 基板、3,31,32,33,31,32,33,34,35,36,34,35,36 リング導波路、4 クラッド層、5 方向性結合部、6 入射端、7 出射端、10 光源、20 検出部、22 カメラ部、24 画像処理部、30 判断処理部、40 1次導波路、301 コア、302 クラッド、303 生体修飾部、311,312,313 波長フィルタ、321,322,323 積分器、SYS 微小物質検出装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
基板上に形成されて前記光源からの光波を伝搬する第1の導波路と、
前記基板上に前記第1の導波路と近接して形成されたリング状の第2の導波路からなる光リング共振器と、
蛍光標識が付された被検出物質が前記光リング共振器に付着することで発生する蛍光を検出する検出部とを備える、微小物質検出装置。
【請求項2】
前記光源は、前記光リング共振器の共振波長帯域より広い波長帯域を有する光を発生するように構成されている、請求項1に記載の微小物質検出装置。
【請求項3】
前記微小物質検出装置は、リング径が互いに異なる前記第2の導波路を有する前記光リング共振器を複数備え、
前記光源は、前記複数の光リング共振器の共振波長帯域の全体より広い波長帯域を有する光を発生するように構成されている、請求項2に記載の微小物質検出装置。
【請求項4】
前記複数の光リング共振器は、前記第1の導波路に沿って、整列配置されている、請求項3に記載の微小物質検出装置。
【請求項5】
前記検出部による検出結果に基づいて、前記複数の光リング共振器のうちいずれの光リング共振器において蛍光が発生しているかを特定する制御手段をさらに備える、請求項4に記載の微小物質検出装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記複数の光リング共振器のうち蛍光が発生している光リング共振器の情報に基づいて、前記被検出物質が予め定められた複数の物質のうちいずれの物質であるかを特定する、請求項5に記載の微小物質検出装置。
【請求項7】
前記検出部は、前記複数の光リング共振器を光学的に計測するように構成されている、請求項5または6に記載の微小物質検出装置。
【請求項1】
光源と、
基板上に形成されて前記光源からの光波を伝搬する第1の導波路と、
前記基板上に前記第1の導波路と近接して形成されたリング状の第2の導波路からなる光リング共振器と、
蛍光標識が付された被検出物質が前記光リング共振器に付着することで発生する蛍光を検出する検出部とを備える、微小物質検出装置。
【請求項2】
前記光源は、前記光リング共振器の共振波長帯域より広い波長帯域を有する光を発生するように構成されている、請求項1に記載の微小物質検出装置。
【請求項3】
前記微小物質検出装置は、リング径が互いに異なる前記第2の導波路を有する前記光リング共振器を複数備え、
前記光源は、前記複数の光リング共振器の共振波長帯域の全体より広い波長帯域を有する光を発生するように構成されている、請求項2に記載の微小物質検出装置。
【請求項4】
前記複数の光リング共振器は、前記第1の導波路に沿って、整列配置されている、請求項3に記載の微小物質検出装置。
【請求項5】
前記検出部による検出結果に基づいて、前記複数の光リング共振器のうちいずれの光リング共振器において蛍光が発生しているかを特定する制御手段をさらに備える、請求項4に記載の微小物質検出装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記複数の光リング共振器のうち蛍光が発生している光リング共振器の情報に基づいて、前記被検出物質が予め定められた複数の物質のうちいずれの物質であるかを特定する、請求項5に記載の微小物質検出装置。
【請求項7】
前記検出部は、前記複数の光リング共振器を光学的に計測するように構成されている、請求項5または6に記載の微小物質検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−108044(P2012−108044A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257934(P2010−257934)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
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