説明

微小血管の血液含有量における早期の増加の検出を用いて異常な組織を認識するための装置

【課題】種々の有利な異常な組織の検出(特に光学的な測定を用いる異常な組織の早期の発生の検出)を補助する光学的な技術を提供する。
【解決手段】次の手段を含む装置:生きている組織に近接する照明放射装置を有するプローブを位置決めする手段;生きている組織の第一の標的領域を照明する手段;照明された組織から相互作用した光を検出する手段;検出された相互作用した光に基づく生きている組織の第一の標的領域における少なくとも一つの血液含有量および血流の特徴的な指標を検出された相互作用した光に基づいて見積もる手段;照明放射装置を再位置決めして、生きている組織の第二の標的領域を照射し、第二の標的領域からの相互作用した光を検出し、第二の標的領域における少なくとも一つの血液含有量および血流の特徴的な指標を見積もる手段;対応する変化が第一および第二の領域の見積もった特性の間で発生するかどうかを決定する手段。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
[連邦政府により援助された研究の権利に関する記載]
本発明は、合衆国の国立衛生研究所により授与された助成金番号R01CA109861による政府の助成によってなされた。従って、米国政府は、本発明に一定の権利を有している。
【0002】
幾つかの参考文献(特許、特許出願、および様々な文献を含みえる)は、本発明の記載に引用され、考察される。係る文献の引用および/または考察は、単に本発明の記載を明らかにするために提供され、このような引用が本明細書中に記載される本発明に対する従来技術であるとの承認ではない。この明細書で引用され、考察される全ての文献は、各文献が個々に参照により援用されたのと同じ程度でその全体が参照により本明細書中に援用される。
【0003】
[発明の分野]
本発明は、一般に光散乱および吸収に、特に微小血管の血液含有量における早期の増加の検出を用いて異常である可能性がある生きた組織を認識するための方法および装置に関し、対応する適用にはインビボでの腫瘍のイメージング、スクリーニング、検出および治療、特に病変(lesion)または腫瘍の近くに存在するがそれ自身は該当しない組織に及び係る病変または腫瘍の発生に先行(precede)する組織に存在する「微小血管の血液供給における早期の増加」(EIBS;Early Increase in microvascular Blood Supply)が含まれる。
【0004】
[発明の背景]
組織における異常性を決定するための既知の様々な技術が存在する。これらの技術のうち、本発明に最も関連性のあるものは、異常な組織内の血液中で増加が検出される技術である。係る技術は他の方法と比べてそれ自身利点を有するが、それらは検出することが困難であろう異常な組織自身の試験を必要とする。さらに、かかる方法は、癌性組織(cancerous tissue)などの異常性が十分に大きくなったのちにのみ使用可能である。
【0005】
従って、本発明は、種々の有利な異常な組織の検出(特に光学的な測定を用いる異常な組織の早期の発生の検出)を補助する光学的な技術を提供する。
【0006】
[発明の概要]
一側面において、本発明は、異常な組織の近くに存在するがそれ自身は該当しない組織に及び病変または腫瘍の発生に先行する組織に存在する「微小血管の血液供給における早期の増加」(EIBS)と称されるものを用いて、異常な組織、腫瘍または病変を標的として検査するために使用される方法およびプローブ装置及びその組合せのコンポーネントに関する。異常な組織は病変または腫瘍であってもよいが、異常な組織は前癌性の腺腫、異常な陰窩病巣(aberrant crypt foci)などの病変または腫瘍の形成に先行する組織、それ自身は形成異常(dysplastic)の表現型をまだ示していない形成異常の病変の発生に先行する組織、及びこれらの病変または前形成異常(pre-dysplastic)の組織の近傍(vicinity)における組織であってもよい。
【0007】
本明細書中に記載される特定の適用は、早期の結腸直腸癌の結腸粘膜における係る病変の検出であるが、他の適用も同様に記載される。
【0008】
一側面において、本発明は、身体の器官内の生きている組織が異常である可能性がある指標を提供する方法であって、微小血管を含む器官の組織と同定すること(ここで前記組織は異常である可能性がある生きている組織を含まない)、微小血管系内の血液含有量から、微小血管の血液含有量の早期の増加または組織に存在する供給を決定して、生きている組織または近隣の組織が異常であるかどうかを指摘することを備える方法を記載する。
【0009】
別の側面において、本発明は、身体の器官内の生きている組織が異常である可能性がある指標を提供する方法を提供し、該方法は以下の工程を備える:
組織を広帯域光(broadbandlight)で照明する照明プローブを位置決め(Positioning)することと(ここで、前記照明プローブは器官の表面の位置に配置される);
前記位置で異常であるかもしれない生きている組織を含まない器官の組織内の微小血管系を照明することと;
前記位置で照明する工程で生じる相互作用した光を検出することと(ここで、検出された相互作用した光は、実質的に異常であるかもしれない生きている組織を含まない器官の組織内の微小血管系における血液から散乱した光からえられる);
検出された光を用いて、少なくとも一つの血液含有量および微小血管系における血流を見積もる(estimating)ことと;および
少なくとも一つの見積もられた血液含有量および血流を用いて、生きている組織が異常であるかもしれない指標をえること。
【0010】
更なる側面において、照明する、検出する、および見積もる工程は、表面に沿って、異常な生きている組織の位置の方向性(directional)の指標が少なくとも幾つかの複数の異なる位置に基づいて提供される複数の異なる位置で反復される。
【0011】
別の側面において、前記指標(indication)は、器官内の生きている組織が異常である可能性があるかどうかを決定するために別の検査を行う場合を決定するために使用される。
【0012】
別の態様において、ヒトの体内で配置(disposed)される組織の微小血管系に光源からえられる広帯域光を放射し、レシーバへと伝達する広帯域光と微小血管系との相互作用から得られる相互作用した光を受け取る装置が開示される。更なる異なる態様には、相互作用した光の事前に規定された深さのプロフィールの選択において補助する光ファイバー、偏光子(polarizers)およびレンズの組合せが含まれる。
【0013】
別の態様において、キット装置が記載され、この装置は各異なる組み合わせが、好ましくは、異なる相互作用した光の事前に規定された深さのプロフィールを提供するように、様々なプローブチップおよび/または光伝達部(light transmission elements)を有する。
【0014】
更なる一態様において、組織の微小血管系内で血液の検出に関する深さ範囲(depth range)の検出の選択性のためのスペクトルデータプローブを作る方法が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明のこれらおよび他の側面および特性は、本発明の特定の態様に関する以下の記載を添付の図面と共に考慮することで当業者には明らかであり、その図面には以下の事項が記載される:
【図1】図1は、結腸の粘膜および粘膜下層(submucosa)における血液供給組織を説明する。
【図2】図2は、本発明の一態様による光ファイバー偏光ゲートプローブ(fiber-optic polarization-gated probe)の模式図を示す:(a)側面図および(b)遠位の(すなわち、組織表面に近い)チップ。
【図3】図3は、本発明の一態様による内視鏡の補助路(accessory channel)における偏光ゲートプローブ(polarization-gated probe)の写真により示す。
【図4】図4は、本発明の一態様による、式(1)(パネル(a))および代替法を用いてえられた(a)表面の組織(式(1)を用いてΔI(k)から得られる)における及び(b)〜(d)表面下組織(subsuperficial tissue)におけるHb含有量の光学的な測定の正確性を示す〔吸収帯領域(パネル(b))および吸収帯強度(パネル(c))〕。ls’は、輸送平均自由行程(transport mean free path)の長さを意味する。破線は、測定の正確さを100%であるだろうとした場合にどのデータが確からしいことを示している。
【図5】図5は、本発明の一態様による偏光ゲートシグナルを用いて観察される早期の実験的な発癌(carcinogenesis)における血液供給の変化を示す。前記データは、AOM注射の手段による発癌の開始の二週後のAOM処理ラットの組織学的に正常な粘膜(即ち、表面の組織区画)におけるEIBSを示す。この早期の時点(time point)は、腺腫の発生、異常な陰窩病巣および任意の他の現在既知の結腸の発癌マーカーに先行する。EIBSはAOM処理ラットの遠位結腸(distal colon)でのみで観察され、血液含有量の増加は近位結腸(proximal colon)には認められず、前癌性および癌性の病変が主に本モデルにおいて遠位結腸で発生するとの事実と矛盾はなかった。
【図6】図6(a)−(d)は、本発明の一態様による我々のインビボ研究(n=196患者)におけるEIBSの観察を模式的に示す。x-軸は、腺腫の位置に関連するEIBSの読み(reading)の位置を示す。正常コントロールの値は、結腸鏡検査が陽性の患者で腺腫が認められた同じ結腸の区域(segments)から結腸鏡検査が陰性の患者で得られた。(a)トータルの血液含有量からのEIBS;(b)表面の組織(例えば、粘膜)におけるEIBSが>30cmにまでわたる(即ち、EIBSを、腺腫が局在する区域以外の結腸の区域で観察できる);(c)表面下組織(例えば、粘膜および表面の粘膜)におけるEIBSは、腺腫の位置から<30cmにわたる;(d)良性で、過形成性のポリープは、ポリープの外側に伸展するEIBSに導かない。
【図7】図7は、ウエスタンブロットによってAOM処理ラットにおけるEIBSの現象を確認するデータを示す。ウエスタンブロットによって、明瞭に発癌の開始の8週後のEIBSを示しているにもかかわらず(即ち、異常な陰窩病巣(ACF)、結腸の発癌の前腺腫段階)、ウエスタンブロットの感度および正確性は前ACFおよびステージ(発癌の開始の二週後)におけるEIBSを測定するために十分ではなかった。比較して、開示された光学アプローチは、この最初の時点でEIBSを検出するために十分な感度を有する。
【図8】図8は、本発明の一態様によるEIBS補助の結腸鏡検査の方法論を示す。
【図9】図9は、本発明によるプローブキットを示す。
【図10−1】図10(a)−(j)は、本発明によるプローブの様々な構成を説明する。
【図10−2】図10(a)−(j)は、本発明によるプローブの様々な構成を説明する。
【図11】図11は、本発明による全体的なシステムを説明する。
【図12】図12(a)−(b)は、本発明によるインジケーター装置の様々な態様を説明する。
【0016】
[好適な態様の詳細な記載]
本発明は、例示のみを意図している以下の例でより具体的に記載される。多数の修飾およびバリエーションが当業者には明らかである。本発明の様々な態様は、以下に詳細に記載される。図面の参照において、全体をとおして同様の数字は同様の構成要素を示す。本明細書および引き続く請求項の全体の記載に使用される、「a」、「an」、および「the」の意味には、前後関係で他で明確に指示しない限り複数形が含まれる。また、本明細書および引き続く請求項の全体の記載に使用される、「in」の意味には、前後関係で他で明確に指示しない限り「in」および「on」が含まれる。
【0017】
また、タイトルまたはサブタイトルは、明細書において読み手の便宜のために使用され、本発明の範囲に影響しない。その上、本明細書に使用される幾つかの用語は、以下で具体的に規定される。
【0018】
本明細書に使用される用語は、一般に本発明の前後関係において及び各用語が使用される特定の前後関係において、当該技術におけるその用語の通常の意味を有する。本発明を記載する特定の用語は、以下で又は本明細書中の他の部分で考察されて、本発明の記載に関する従事者に付加的なガイダンスを提供する。便宜のために、特定の用語は、例えば、イタリックおよび/または引用符を用いて強調される。強調の使用によって、用語の範囲および意味は影響されない;用語の範囲および意味は、強調されようがされまいが同じ前後関係において同じである。同じ事項は、一以上の様式で称しえることが理解されるだろう。結果的に、代替の言語および類義語が、本明細書中で考慮した任意の一以上の用語に関して使用されてもよく、用語が本明細書中で推敲又は考慮されたかされないかに何らかの特別な意味はない。特定の用語の類義語が、提供される。一以上の類義語のリサイタル(recital)は、他の類義語の使用を排除しない。本明細書中で考慮された任意の用語の例を含む本明細書の例の使用は、説明の目的でのみ使用され、本発明または例示される用語の範囲および意味を限定しない。同様に、本発明は、本明細書の様々な態様に限定されない。
【0019】
他に規定しないかぎり、本願に使用される全ての技術的および科学的な用語は、本発明が属する技術における当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。抵触(conflict)する場合、本明細書(定義を含む)によって調整されるだろう。
【0020】
本明細書中に使用される「付近(around)」、「約(about)」、または「およそ(approximately)」は、一般に所与の値または範囲の20パーセント、好ましくは10パーセント内、およびより好ましくは5パーセント内を意味する。本明細書中の数量は近似(approximate)であり、明示的に記載されない場合には「付近」、「約」、または「およそ」の用語が推定(inferred)されることが意味される。
【0021】
一側面において、本発明は、病変または腫瘍に近接するがそれ自身は病変または腫瘍ではない組織に存在する「微小血管の血液供給における早期の増加」(EIBS)と称されるものを用いて腫瘍または病変を標的に検査する方法に関する。異常な組織は病変または腫瘍であってもよいが、異常な組織は前癌性の腺腫、異常な陰窩病巣(aberrant crypt foci)などの病変または腫瘍の形成に先行する組織、それ自身は形成異常(dysplastic)の表現型をまだ示していない形成異常の病変の発生に先行する組織、及びこれらの病変または前形成異常(pre-dysplastic)の組織の近傍(vicinity)における組織であってもよい。
【0022】
本明細書中に記載される特定の適用は、早期の結腸直腸癌(「CRC」)の結腸粘膜における係る病変の検出であるが、他の適用も同様に記載される。
【0023】
標的は、生きている被験者(例えば、ヒトまたは動物)に関するサンプルである。前記サンプルは、サンプルが癌性の疾患を発生している組織を有する可能性がある生物学的サンプルのような生きている被験者の一部であってもよい。
【0024】
新生物性の疾患は、膵臓癌、結腸癌、結腸の腺腫様ポリープ、肝臓癌、肺癌、乳房癌、または他の癌などの異常な生きている組織(前悪性または癌性)である腫瘍または病変を導くプロセスである。
【0025】
測定する工程は、好ましくはインビボで行われ、同様にエキソビボ(ex vivo)で行うこともできる。測定する工程は、さらに標的のイメージを獲得する工程を備えてもよい。イメージ(検出の時間に得られた)は、後に腫瘍の程度及びその位置を分析するために使用できる。散乱および他の光学的な方法を含みえる相互作用した光を用いる血液含有量を測定することには、血液の含有量および/または流れが実質性器官(solid organ)の組織で測定されるインビボ使用に関するプローブの挿入を含みえる。また、本発明は、プローブを体腔に挿入するために使用できる(例えば、GI路、呼吸路などにおける組織の測定のために)。
【0026】
一態様において、前記方法は、光のビーム(例えば、広帯域光)を、血液循環を有する組織に投射(projecting)することを備える。本明細書中に使用される広帯域光は、少なくとも二つの異なる波長を有している光である。次に、標的から散乱した少なくとも一つの光のスペクトルが測定され、標的に関する血液の供給情報が測定された少なくとも一つのスペクトルから得られた。得られる血液の供給情報には、少なくとも一つの血液含有量(blood content)、血液酸素負荷(blood oxygenation)、血流量(blood flow)および血液量(blood volume)に関するデータが含まれる。
【0027】
本発明の態様による方法は、標的の第一の位置からの血液の供給情報の第一のセットを得ること、次に標的の第二の位置からの血液の供給情報の第二のセットを得ることを備えてもよい。次に、標的の第一の位置での血液の供給情報の第一のセットおよび標的の第二の位置での血液の供給情報の第二のセットを、比較して標的の状態を決定できる。そのデータを比較し、新形成(neoplasia)を有する患者から及び新形成がないものからの前に設定された微小血管の血液含有量を比較し、腫瘍または病変が存在するかどうかを指摘(indicate)することができる。また、前記データは、腫瘍または病変が第一または第二の位置に近いかどうかを、第一または第二の位置から比較することによって示すことができる。所与の組織部位における血液含有量を測定するよりも、少なくとも二つ(好ましくは、それ以上の)組織部位が組織の所与の領域内の位置で見積(assessed)もられ。血液含有量または血流分布の統計学的な特性を、この領域に関して決定して標的の状態を決定できる。例えば、領域内の最大の血液含有量を使用して、標的の状態を決定できる。他の統計学的な測定には、平均値、平均、中央値、標準偏差、最大値、および最小値が含まれる。
【0028】
異なる位置より、同じ位置を異なる時間、日、月または年を離して比較して、標的の状態を決定でき、特に腫瘍または病変が発生するかどうか又は以前に存在したものが大きくなったかどうかを決定できる。
【0029】
別の側面において、本発明は、標的を検査する装置に関する。一態様において、前記装置は、光のビームを標的に投射するために構成され、位置決めされる光放射装置(light emitting device)などの光源;および標的からの散乱光の少なくとも一つのスペクトルを測定するための手段;および測定された少なくとも一つのスペクトルからの標的に関する血液供給情報を得るための手段を具備する。
【0030】
前記装置は、さらに標的の第一の位置での血液の供給情報の第一のセットを取得する検出器を具備してもよい。同じ検出器を使用して、標的の第二の位置での血液の供給情報の第二のセットを得ることができる。アルゴリズム(コントローラーまたはコンピュータによって実行される)によって次の事項が分析される;その事項とは、データを使用して、標的の状態が、典型的には標的の第一の位置での血液の供給情報の第一のセットおよび第二の位置での血液の供給情報の第二のセットを比較し、参照の血液供給情報(腫瘍または病変の存在を示唆する又は示唆しない)に対する比較を同様に使用することによって決定されることである。この同じ装置を使用して、同じ位置が異なる時点でサンプルされる上記の方法を実行できる。
【0031】
全体的なシステム1100(本明細書中に記載され、図11にも示される)は、本明細書中に他で記載される、プローブ1110(または本明細書中に記載される他の診断上の又は外科的な機器と組み合わされるプローブ)、光ファイバーケーブル系1120、検出器1130、および検出されるデータを分析するために使用されるコンピュータ1140(または他のタイプのコントローラー)を含み、さらに図12(a)に示されるディスプレー装置1210などの少なくとも一つの血液含有量および血流の特性を示す血液供給の実際の又は相対的な測定値を視覚的に示すインジケーターまたは警報装置1150を含んでもよい。図12(a)に示されるディスプレー装置(display device)1210は、ポジション1214右、1216下、1218左および1220上を指示(point)できるインジケーター1212(これはこれらの間のポジションも指示し、現在のポジションからプローブが移動して異常な組織の存在の決定を補助する方向を示すことができる)及び/又は様々な血液内容の情報を提供できるディスプレースクリーン1224を含む。この態様において、インジケーター1212は、典型的には試験される組織の異なる位置で少なくとも二つ読んだ後に有用であろう。インジケーター1212が、スクリーン1224の部分になりえることは明らかである。
【0032】
適切なディスプレースクリーン(インジケーターを含みえる)は、例えば、液晶ディスプレー(LCD)、陰極線管(CRT)ディスプレー、プラズマディスプレー、発光ダイオード(LEDs)を含んでいるパネルまたは利用者に警告するための他の技術などの電気的なモニターを含んでもよい。一態様において、好ましくは、ディスプレースクリーン1222は、利用者が結腸の区域(そこからデータが読まれ、オンスクリーンボタンをクリックすることによって結腸鏡検査の所見が記録される)に基づいて読んだデータを標識するためにコントロールできるオンスクリーンメニューを使用する。スペクトルデータが、本明細書中で議論したとおり、実質的にシグナルが獲得されたすぐ後に分析される。(シグナル収集時間は、〜50ミリ秒である)コンピュータのソフトウェアにより実行されるアルゴリズムそれ自体は、本明細書中に記載された、「表面(superficial)」および「表面下(subsuperficial)」の組織における血液含有量値を計算するためのプローブにより獲得されるスペクトルデータを使用する。EIBSパラメータはアルゴリズムにより使用されて、血液含有量が正常範囲以上に増加するかどうかが決定される。好ましくは、オンスクリーンメニューによって、オペレーターが、処理の前または間に、患者の齢、性別、肥満度指数、喫煙歴(あり、なし、やめた)、飲酒歴、結腸鏡検査所見(以前の結腸鏡検査における腺腫/腺癌/新形成なし)、および抗炎症医療の使用を含む人口統計的、個人的および家族的な履歴の特性に入れる。これらの特性をアルゴリズムで使用して、診断に含ませることができる。測定後に、オンスクリーンディスプレーは、「診断の表示(indicator of diagnosis)」を提供する。原則的に、診断の表示は、テキストメッセージ、色サイン(color sign)、音、などを含んでいる数タイプ(number types)の一つであってもよい。
【0033】
図12(b)に示される特定の態様において、インジケーター装置は、次のテキストメッセージの一つを表示するスクリーン1260を使用する:つまり、診断アルゴリズムが、腺腫がEIBSに関して見積られる組織部位の近傍に局在する可能性があることを表示する場合に「陽性、疑わしい領域」、又はこの区域の結腸は腺腫なしである可能性が最も高い場合にメッセージ「陰性」。
【0034】
従って、ディスプレー装置は、さらにグラフ、シンボル、色、英数字、光および類似の技術及びその組合せによって、血液供給の増加の存在および/または血液供給の増加に特徴的な連続的な又は非連続的な測定値の比較を示してもよい。本発明によるインジケーター装置は、例えば、音発生装置、利用者に警告するための振動機器のための振動発生装置または少なくとも一つの血液含有量および血流、プローブの移動に関して示唆される方向および/または異常な組織の近接の可能性に関して利用者に警告するための任意の他のハードウェアまたはソフトウェア技術が含まれることが容易に理解される。
【0035】
図3の態様は、内視鏡と共に使用するプローブを説明する。これは例示である。前記プローブは、組織が結腸であり、結腸の大部分が単にS字結腸鏡を用いて分析されるS字結腸鏡検査のためのS字結腸鏡などの他の外科的な又は診断上の機器内に挿入される又は含まれる又はその中で可動性(moveable)であってもよい。この使用において、分析できる結腸のより大きい部分は、少なくとも結腸の別の10−30cmである。直腸鏡を使用してもよく、これによって結腸の10−30cmが分析でき、S字結腸鏡検査の必要が排除される。
【0036】
本明細書中の多くの処置に関して、プローブが移動する場合、異なる位置は5cmまたは10cm以上の距離で隔たせられる。
【0037】
粘膜および粘膜下の組織から得られるスペクトルデータの間の識別を認容する表面および表面下組織の偏光(polarization)およびスペクトルデータの分析アルゴリズムが、以下の式1に記載される。このアルゴリズムによって、(組織バイオプシーまたは任意の他の調製を必要とすることなく、組織中の光の弾性散乱および吸収の結果として記録される分光学的なシグナルの定量分析に基づくので)偏光ゲートシグナルの殆どリアルタイムのプロセシングが可能であることが注意される(これによって臨床スクリーニングの適用に非常に有用となる)。
【0038】
偏光ゲートによって、同じ時間で幾つかの組織区画(tissue compartments)における血液含有量の判定が可能となる。血液含有量に関して分析される二つの主要な組織区画は、「表面」(例えば、粘膜)および「表面下」(例えば、粘膜および粘膜下)の組織である(図1)。
【0039】
表面の組織における血液含有量および/または血流を評価するために、好ましくは偏光ゲートスペクトルが使用される。表面下組織における血液含有量は、共偏光スペクトル(co-polarized spectrum)、任意に偏光された(不偏光またはトータルとも称される)スペクトル(これは共偏光および交差偏光シグナルの和である)、または交差偏光スペクトル(cross-polarized spectrum)を用いて測定できる。これらの三つのシグナルは、進行性の深層への侵入性を有する。これらのシグナルの侵入の深さは、所与の器官および組織のタイプに対する粘膜および粘膜/粘膜下の組織を選択的に探索するための機器の設計により選択できる。偏光ゲートシグナルS(λ)は、共偏光および交差偏光シグナルの間の差として得られ、各々はポリテトラフルオロエチレン反射標準(Ocean Optics)からの共偏光および交差偏光スペクトルに対応させることによって標準化される。共偏光、任意偏光(不偏光としても知られる)および交差偏光のシグナル(D(λ))は、状況に応じて標準化される。以下の教示において、例として、表面下の血液含有量が交差偏光シグナルから測定されることが考えられる。しかしながら、類似する分析を共偏光および任意偏光のシグナルに基づいて行うことができることを理解すべきである。従って、原則的に、血液含有量は、四つの異なる深さの侵入性(penetration)に関して測定できる。
【0040】
表面および表面下の血液含有量の両方のケースにおいて、サンプル内の光学的な特性における差による経路の長さの可変性は小さいことが仮定された。散乱による未知の減弱(attenuation)のためにBeerの法則が散乱光の分析に直接的に応用できないことが知られているが、Beerの法則は吸収による減弱が吸収体の濃度と逆指数関数的な類縁関係を有しているので、分析の開始に使用される。この仮定は、以下のとおり表現できる:
S(λ)=S散乱(λ)exp[−LS(αHbO2HbO2(λ)+αHbHb(λ))] (1)
D(λ)=D散乱(λ)exp[−LD(βHbO2HbO2(λ)+βHbHb(λ))],
式中のS散乱(λ)およびD散乱(λ)は、それぞれ、吸収体を欠く場合にサンプルの表面および表面下層からの光散乱シグナルを表す。(λ)は、存在する全ての吸収体(酸素化および脱酸素化ヘモグロビン)の吸収スペクトルを表す。係数LSおよびLDは、偏光ゲートおよび交差偏光のシグナルに関する経路長を表す。係数αおよびβは、表面および表面下の組織に関する吸収体の濃度を表す。酸素化および脱酸素化ヘモグロビンの異なる寄与を計算するために、二つの係数が使用される:つまり、表面の血液含有量のケースではαHbO2およびαHb並びに表面下の血液含有量のケースではβHbO2およびβHb。類似する分析を、共偏光および任意偏光(即ち、トータル、不偏光)スペクトルに対して行うことができる。
【0041】
脱酸素化および酸素化の血液含有量に関するスペクトルは、水でのヘモグロビン溶液中で測定できる。その溶液は、反射標準の直接うえのガラス底培養スライドに置かれ、スペクトルAHbO2(λ)を測定する。それから亜ジチオン酸ナトリウムを添加することによって脱酸素化して、AHb(λ)を測定する。LSおよびLDは、組織モデルにおける初期の機器較正のプロセスで決定された。分析のための残った未知の因子は、S散乱(λ)およびD散乱(λ)である。このギャップを充足するために、期待されるS散乱(λ)およびD散乱(λ)はλ=480および680nmの間の滑らかに減少するスペクトル線形を有すべきことが仮定され、これによってヘモグロビン吸収(酸素化血液の場合には542および576nmおよび脱酸素化血液の場合には555nmでの吸収バンドが含まれる)のスペクトル特性を欠損させる。特に、二次的に減少(second-order decreasing)する多項または逆指数則スペクトル線形状は、本質的に同じ結果を有する標的線形状(target line shapes)として使用できる。この狭いスペクトル範囲に対して、この仮定は合理的である。従って、表面および表面下層の偏光およびスペクトルのデータ分析アルゴリズムは、所望の範囲の表面に関してαHbO2およびαHbおよび表面下組織に関してβHbO2およびβHbの値を試験し、最小二乗センス(least-squares sense)で生じているS散乱(λ)およびD散乱(λ)および標的線形状の間で最高の一致を提供するものを見いだす。このプロセスは、連続的に反復されえる。
【0042】
一旦係数αHbO2およびαHbが見いだされれば、血液含有量を特徴付ける幾つかの他の関連する測定基準を見いだすことができ、これには以下が含まれる:
トータル血液含有量(total blood content)=αHbO2+αHb および (2)
酸素飽和度(oxygen saturation)=αHbO2/(αHbO2+αHb)。
【0043】
全ての式の妥当性は、組織想像実験(tissue phantom experiments)を用いて検証された。
【0044】
一態様において、標的からの少なくとも一つの散乱光のスペクトルが光ファイバープローブにより測定される(ここで、前記光ファイバープローブは、血液供給情報を検出するために構成された偏光ゲート光ファイバープローブを具備する)。光源は、非干渉性の光源(例えば、キセノンランプ)を具備する。
【0045】
一態様において、光ファイバープローブは、近位端部(proximal end portion)、逆の、遠位部(distal portion)、および近位端部および遠位部の間に規定される縦軸を有するボディ部(body portion)を含む。ボディ部は、縦軸に沿った腔と共に形成される。少なくとも一つの第一タイプのファイバーは、エネルギーのビームを標的に送達するために使用される(ここで、前記少なくとも一つの第一タイプファイバーは、少なくとも部分的にボディ部の腔内に位置決めされる)。光学部(optical element)は、近位端部に位置決めされ、構成されてエネルギーのビームを標的に焦点を合せる。少なくとも一つの第二タイプファイバーは、標的からの散乱エネルギーを収集するために使用される(ここで、前記少なくとも一つの第二タイプファイバーは、少なくとも部分的にボディ部の腔内に位置決めされる)。
【0046】
光ファイバープローブは、さらに少なくとも一つの第一タイプファイバーおよび少なくとも一つの第二タイプファイバーと光学的に連結させ、近位端部に近接して位置決めされた少なくとも一つの線状の偏光子を具備してもよい(ここで、前記光学部は、近位端部に位置決めされ、構成されて標的からの散乱エネルギーを、少なくとも一つの第二タイプファイバーに対する少なくとも一つの線状の偏光子に焦点を合わせて収集する)。
【0047】
光学部は、少なくとも一つのボールレンズ、段階屈折インデックスレンズ(graded refractive index lens)、非球面レンズ、円柱レンズ、凸凸レンズ(convex-convex lens)、および平凸レンズ(plano-convex lens)を具備するが、好ましくは単一のレンズが使用される。これらの前述のレンズ以外のレンズ又はそれらの任意の組み合わせも使用できる。さらに、異なるレンズを使用して識別力のある測定を補助すること及び異なる組織侵入深さを達成することができる。従って、例えば、最短の侵入深さを達成するために、レンズを集光ファイバー(light-collecting fibers)の端からの焦点距離に位置決めし、前記ファイバーはレンズの軸の周囲(around)に対称的(symmetrically)に位置決めできる。さらに、この構成によって、特にプローブが組織からある距離にある場合に収集した光の強度が増加し、組織から異なる距離でプローブにより収集されるシグナル(プローブが組織と接触しない場合)およびプローブにより組織にかけられる圧力(プローブが組織と接触する場合)の安定性の改善が提供される。また、短い侵入深さ(penetration depth)は、短い焦点距離を有するレンズ、少ない開口数の照明および/または採集ファイバー、および照明および採集ファイバーの間の長い距離を用いて達成できる。原則的に、数十ミクロンから数ミリメーターの侵入深さが、これらのプローブの適切な組み合わせを選択することにより達成できる。
【0048】
少なくとも一つの第一タイプファイバーは、照明ファイバーを具備する(ここで、前記照明ファイバーは、光源に光学的に連結される)。
【0049】
また、少なくとも一つの第二タイプファイバーは、一以上の採集ファイバーがイメージングスペクトルグラフおよび遠位端部(distal end portion)でCCDに光学的に連結される一以上の採集ファイバーと共に形成できる(このイメージングスペクトルグラフを使用して標的のイメージが得られる)。ボディ部は、チュウブ(tubing)を具備する。
【0050】
以下の好適な態様の詳細によって、さらに本発明が記載される。以下などから明らかなとおり、以下の開示の多くの部分は、病変から隔たった結腸組織の分析を介して結腸の新形成(腺腫様ポリープまたは癌腫)の存在の決定への適用としての及び腫瘍または病変の結腸での位置の決定へのガイドとしてのEIBS現象に関する。また、この開示は、他の器官内の腫瘍または病変の検出に及び異なる器官(記載のような)での係る検出に関して存在するバリエーションの程度まで適用可能である。
【0051】
腫瘍組織への血液供給が増加することは確立されているが、前新生物の段階および新生物(neoplastic)または前新生物(pre-neoplastic)の病変の伸展(extend)の外側の組織学的/内視鏡的に正常に出現している粘膜での血液供給における変化には、微小血管の血液供給を確実に定量することにおける方法論的な困難性が大きく原因し、非常に僅かな注意が払われているにすぎない。EIBSは、非常に表面の粘膜(陰窩周囲毛細管網)において最も顕著である。これによって、非常に少量の全体の結腸の微小循環が構成される。偏光ゲート分光学がこれを検出できる理由は、特異的に正確にこの神経叢を分析できるためである。
【0052】
さらに、本発明によって、腫瘍が認められる場合に周囲の正常な粘膜を見ることによって過形成性(良性)を腺腫性(前悪性)腫瘍から区別することを補助でき、良性および悪性の腫瘍を区別できることが注意される。病変に隣接する顕微鏡的に正常な粘膜における異常な血液供給(EIBS)は、腺腫性(adenomatous)のものにみられるが、過形成性(hyperplastic)のポリープにはみられない。さらにまた、以前の血管形成の研究は、新生物性の病変それ自身への血液供給の増加に焦点を合わせていた。EIBSは、血液を上皮に供給している微小循環(第一に粘膜)における血液供給の増加として表される。EIBSは、結腸の発癌のプロセスの非常に早期に発生する。結腸の発癌の動物モデルにおける我々のデータによって、EIBSが腺腫の発生および異常な陰窩病巣(即ち、発癌の早期マーカー)よりも早期に開始すること及び現在知られている結腸の新形成の分子マーカーの発生に先行することが示された。さらにまた、EIBSは、新生物性の病変の外側で検出できる。例および、さらに以下に提供される開示で考察されるとおり、本発明によって物理的な伸展(extent)の外側の病変を検出することが許容される。
【0053】
[例]
本発明の範囲を制限することなく、本発明の態様による例示する機器、装置、方法及びそれらの関連する結果が以下に記載される。タイトルまたはサブタイトルは、例において読み手の便宜のために使用され、本発明の範囲を限定しないことが注意される。さらにまた、特定の理論が本明細書中で提案され開示されるが;それらが正しいか間違っているかにかかわらず、本発明が何らかの特定の理論または作用のスキームに拘泥することなく本発明により実施されるかぎり本発明の範囲が限定されるべきではない。
【0054】
EIBSを検出するための偏光ゲート光ファイバープローブ:EIBSを検出するための偏光ゲート光ファイバープローブ:一側面において、光ファイバープローブは、組織の粘膜における血液供給を正確に検出するために開発された。図2(a)および2(b)は、プローブのデザインを示す。図3は結腸内視鏡の補助路から突出しているプローブの写真を示す。プローブ100は一以上の100μm直径ファイバーを有し、一つはXe−lamp(示さず)から組織表面へ直線偏光(linearly polarized light)を送達するために使用される送達ファイバーであり、他の二つの組織からの散乱光を収集するファイバー120および122である。収斂レンズ(positive lens)130は、ファイバーチップからの焦点距離に位置決めされた(positioned)。また、ボール、段階屈折インデックス(GRIN)、および非球面レンズを含む幾つかのレンズタイプが試験された。全ての異なるタイプのレンズが使用され、これらによって侵入の深さの点に関してプローブの異なる性能が提供される。レンズ130がファイバーチップからの焦点距離で位置決めされた構成において、サンプルから異なるファイバー120および122へ後方散乱した光にフォーカスされる。全ての採集ファイバーは、照明スポットと同じ空間にある同じ組織部位からの散乱光を受け取ることが保証される。レンズ130は、ファイバー110、120、122からの焦点距離で位置決めされる必要はないが、この構成は以下の点に関してよりよい性能を提供する。
1)短い侵入深さ(特に、偏光ゲートシグナルに対して)、
2)シグナルレベルおよび、したがって、十分なシグナルノイズ比のシグナルを採集するために必要とされる時間の増加、
3)プローブおよび組織表面からの正反射(specular reflection)の採集の阻害、および
4)非接触構造(non-contact geometry)における組織表面からのプローブの転置(displacement)またはプローブによってサンプルにかけられる圧力に関する測定の安定性の改善。プローブ100の近位端において、採集ファイバー120、122は、イメージングスペクトルグラフおよびCCDに連結される。二つの薄膜偏光子(thin film polarizers)140、142は、プローブの近位のチップにマウントされて、入射光を偏光し、後方散乱した光の両方の偏光成分(即ち、平行なI||および入射偏光に垂直のI┴)の採集を可能にし、偏光ゲーティングを許容する。プローブ100の全ての構成要素は、FDAによって承認された材料から作出された。
【0055】
プローブチップでのレンズは、所望の侵入深さの選択を許容する。例えば、最短の侵入深さを達成するために、レンズをファイバーの端からの焦点距離に位置決めし、ファイバーはレンズの軸の周囲に対称的に位置決めできる。さらにまた、短い焦点距離を有するレンズ、少ない開口数の照明および/または採集ファイバー、および照明および採集ファイバーの間の長い距離を有するものを使用できる。例えば、プローブは、結腸組織における侵入深さ偏光ゲートシグナル〜85ミクロン(〜1.7平均自由行程)および交差偏光〜260ミクロンを有するGRINレンズで作出された。また、侵入深さ〜23および275ミクロンを有するボールレンズプローブを、開発した。数十ミクロンから数ミリメーターの侵入深さが、これらのプローブの適切な組み合わせを選択することにより達成できることは明らかである。
【0056】
偏光ゲーティング:偏光ゲーティングは、短い移動フォトン(short-traveling photons)を選択的に記録し、同様に、深層の組織から出現したフォトンに対してコントラストを増加させるために前に使用された。我々のグループによって示されたとおり、差次的(differential)な偏光シグナルΔI(λ)=I||(λ)−I┴(λ)は、第一に組織表面の近くに局在する散乱体に寄与するので、特に表面の組織(例えば、上皮性)の特性に感受性である。我々の実験は、深層の組織構造からの差次的な偏光シグナルへの寄与が、前記構造への「光学距離(optical distance)」で、それ故、深さ〔τ=L/ls 組織におけるL:「物理的な」深さおよびls:フォトン平均自由行程長(photon mean free path length)〕で指数関数的に減少したことを示した。上皮の光学濃度は結腸における基礎にある結合組織の光学濃度よりもかなり小さいので、差次的な偏光シグナルは第一に上皮から採集され、基礎にある結合組織の〜50μmまで採集される。上皮下の小孔のこの近表面部分(near-surface portion)は、酸素を上皮に供給する毛管のネットワークを含む。共偏光シグナルI||、任意偏光シグナルI||+I┴および交差偏光シグナルI┴は、特定のプローブ構成に関して表面下の数ミリメートルまで進行性の深層組織についての情報を含む。
【0057】
表面の血液含有量の測定。上皮の直下の毛細管における血液含有量は、ΔI(A)の分光分析から見積もることができる。我々は、幾つかのスペクトルデータ分析法を開発した。以下の例[式(3)]は、表面の血液含有量の分析を提供する方法の早期のバージョンを考察する。表面および表面下層の両方での血液含有量の推定の正確性の改善を提供する最近のバージョン[式(1)、(2)]は、上記で考察される。
【0058】
この早期のバージョンは、微小血管系における赤血球による散乱および吸収の両方の影響を含み、血液による光吸収および散乱の両方が原因のスペクトルにおける吸収バンドの存在をモデルする血液含有量値の決定に基づいて操作する。
【0059】
我々は、ラットの赤血球(RBCs)の散乱イメージを得た。Hbは主に可視光を吸収するが、Hb分子の吸収スペクトルのみを測定することは十分ではない。RBCs(Hbで満たされる)は、直径が約7〜8ミクロンで大きく散乱する。従って、RBCsからの寄与分は、吸収および散乱の両方と関連する。我々のデータは、組織から測定された差次的な偏光シグナルΔI(λ)が以下の式で表すことができることを実証している。
ΔI(λ)=ΔIS(λ)+αΔIRBC (3)
式中のΔIs(λ)は表面の組織の上皮細胞および他の非RBC成分(先験的に知られていない)によって寄与されるシグナルであり、ΔIRBCは単離された赤血球から実験的に測定されたシグナルであり(従って、このシグナルが知られている)、αはRBCs/mm2の数密度である。この早期のバージョンの表面の血液含有量に関する偏光およびスペクトルデータ分析アルゴリズムが使用されて、ΔIs(λ)におけるHb吸収バンドを最小化させることによってフィッティングパラメータαが見出された。式(1)で使用された組織血液含有量によって組織において発生している光の指数関数的な減弱を用いるより、この早期のバージョンの偏光およびスペクトルデータ分析アルゴリズムは、赤血球からの寄与が組織散乱の寄与に付加されることが仮定される一次計算(linear calculation)に依存し;この寄与には光吸収および赤血球散乱の両方が含まれる。
【0060】
インサイチュー適用に関して、ヘモグロビンは、酸素化(ΔIRBC-O2(λ))および脱酸素化(IRBC-O2(λ))の形態の両方で存在する、
ΔIRBC-O2(χ;λ)=χΔIRBC-O2(λ)+(1−χ)ΔIRBC-O2(λ) (4),
χ酸素飽和度係数は最適化の手段で決定された。
【0061】
表面下の血液含有量の測定。また、我々は、深層の組織層(即ち、粘膜および粘膜下層)における血液供給をI┴(λ)(ΔIに対して、このシグナルが主に単一ではなく複数の散乱プロセスで寄与した)を介して評価した。表面下の血液含有量に関して、我々は幾つかのスペクトルデータ分析法を開発した。式(5)における以下の例は、早期バージョンの方法を考察する。血液含有量の推定の正確な改善を提供する最近のバージョンは、上記の式(1)、(2)において考察される。
【0062】
粘膜/粘膜下層への血液供給における変化が、述べたとおり交差偏光シグナルI(λ)を分析する手段によって検出された。簡潔に述べると、拡散近似モデルが、データに適合された。モデルIMは、輸送散乱(transport scattering)μ’s(λ)および吸収係数のスペクトルに依存する。
【0063】
μα(λ)=χμα-02(λ)+(1−χ)χμα-D02(λ), (5)
これは酸素化μα-02および脱酸素化μα-D02 Hb種の両方によって寄与され、酸素飽和度χはフィッティングパラメータであり、μαは組織におけるそれぞれの形態の濃度に比例する。Hbが粘膜における可視光の唯一の有意な吸収体であり、μ's(λ)がHb吸収バンドを示すべきではないことが慣習的に仮定される。
【0064】
この拡散の近似に基づく早期バージョンのアルゴリズムは、上記で考察した式(1)のアルゴリズムのほとんどリアルタイムの結果というより、実質的にプロセシング時間(サンプルごとに数分間のオーダー)を必要とする。係る改善の理由は、式(1)のアルゴリズムがコンピュータの集中(intensive)を要する拡散近似の使用を必要としないからである。
【0065】
酸素飽和度の測定。上記で議論したとおり、オキシ-およびデオキシ-ヘモグロビンの明瞭に異なる吸収スペクトルが原因で、偏光ゲートシグナルの分光分析によって血液含有量の測定が可能となるのみならず、血液酸素負荷の測定も可能となる(aka.酸素飽和度、SO2=χ)。我々は、スペクトルデータから酸素飽和度計算を確認した。酸素飽和度測定の正確さは、誤差<1%の優れた結果であった。
【0066】
光ファイバープローブを用いるEIBS評価の正確性。また、我々は、組織モデルでの研究におけるヘモグロビン濃度を評価するためのプローブの能力を確認した。組織モデルを作出し、スペクトルデータの分析を上記で議論したとおり行った。図4に示されるとおり、プローブによってヘモグロビン濃度の正確な評価が可能となる。表面の組織に対して濃度<12g/Lの測定の標準誤差は<0.01g/Lであり、深層組織に関する標準誤差は<0.02g/Lであった。動物およびヒトにおけるEIBSデータによるHb濃度のダイナミックレンジがこの範囲内であったことを我々は指摘する。従って、プローブによって、EIBSを確実に同定するために十分な測定の誤差で生理的な範囲で血液含有量の十分に正確な測定が提供される。
【0067】
ヘモグロビン吸収スペクトルバンドの領域及び/又はこの吸収帯の最大値の分析に基づいて血液含有量を測定することも可能である。図4(c)、(d)に示されるとおり、「吸収帯領域(absorption band area)」および「吸収帯強度(absorption band intensity)」の両方によって、それぞれ<1.2g/L 0.02g/Lおよび0.03g/Lの濃度に関して、それぞれ1.2〜18g/L,0.07g/L及び0.09g/Lの濃度に関する測定の10の誤差でヘモグロビン濃度の正確な評価が可能となる。
【0068】
結腸発癌の既知のマーカーの形成に先行するEIBS。EIBSは、結腸の発癌の任意の既知の組織または分子のマーカーの発生に先行する。
【0069】
特に、我々は、結腸に特異的な発癌物質アゾキシメタン(AOM;azoxymethane)で処理されたラットの結腸における血液含有量を見積った。AOM処理ラットモデルは、最も安定したものの一つであり、CRCの動物モデルに広く使用される。ヒトでのこのモデルのように、新形成は、周知の順序のイベントをとおして進行するが、AOM処理ラットモデルにおける発癌の時間経過は、ヒトにおけるものよりも非常に早い〔AOM注射の4−12週後に発生する発癌の早期のマーカー(ACF)〕、腺腫は20−30週に観察され、癌腫は40週後に発生する。組織学的な、分子的な又は遺伝的なマーカーによって、早期診断(<4−12週)が許される。図5に示されるとおり、我々のデータは、EIBSがAOM−注射の2週後に発生することを実証している(p-value<10-9)。重要なことに、EIBSは、遠位結腸でのみ検出され、近位結腸では検出されない(p-value<10-11)。この事項は、AOMのようにAOM処理ラットモデルにおける発癌の進行が主に近位結腸に僅かに最小の効果で遠位結腸に発癌を誘導することを反映している(多数の研究および我々のデータにより確認された)。
【0070】
EIBSは結腸の新形成の正確な予想因子である:動物試験。 EIBSが臨床的に有用な生物マーカーとして貢献しえるかどうかを評価するために、我々はAOM処理ラットにおいて将来的なACFを検出するEIBSの性能特性を決定した。CRCのプレACE段階(AOM治療の二週後)でさえも、EIBSがCRCの危険性がある動物をネガティブコントロールと区別する優れた能力を有することが見出された。実際、EIBSの診断上の正確さは、従来のマーカーを遥かに凌駕し、高い(>90%)感受性、特異性、陽性および陰性の予測値を有し、CRCの現在既知のマーカーの発生に先行する結腸発癌の早期段階でさえも有していた(表1)。
【表1】

【0071】
EIBS勾配が腺腫に局在化する:インビボ臨床研究。 EIBSおよび(より重要なことこととして)EIBS勾配を探索するために、EIBS勾配(即ち、腺腫に向かう血液含有量の進行性の増加)をインビボで観察できる。パイロット研究を、結腸鏡検査スクリーニングを経験しているヒト被験者で行った(196患者のうち、48患者は腺腫を有し、そのうち43患者は小さく、5患者は進行性であり、27被験者は過形成性で良性のポリープを有し、121患者は結腸鏡検査が陰性であった)。我々は、前のセクションで議論した内視鏡に適合する光ファイバープローブを使用した。プローブは、結腸内視鏡の補助路に挿入された。結腸鏡検査の間に、EIBSスペクトルデータがプローブによって次の部位から得られた:腺腫様ポリープ(存在する場合)、腺腫から、腺腫が局在する同じ結腸の区域(典型的には、腺腫から30cm以内)から10cm内の内視鏡的に正常な位置および他の区域(「外側」の区域と称される)。
【0072】
結腸鏡検査が陰性の患者において、測定値は、三つの結腸の区域の各々からランダムに得られた〔即ち、直腸を含む下行結腸およびS字結腸、横行結腸、および上行結腸(盲腸を含む)〕。平均で、三つのスペクトルを、各組織部位から得た。10以上の異なる組織部位を、各患者で探索した。
【0073】
我々のデータ(図6)は、コントロール被験者と比較して、腺腫を有する患者中の未関与の(内視鏡的および組織学的に正常)結腸粘膜における血液含有量の顕著な増大を実証している。重要なことに、EIBSは、新生物の病変に近づく場合に進行性(progressively)に増加した。実際、EIBSは、腺腫の位置から約30cmで確認でき、病変から10cmおよび病変自身の部位で進行した。これがEIBSの特性であり、内視鏡医を導いて高い危険性がある結腸の区域を同定することができる。表面の組織におけるEIBSは、腺腫から>30cm離れた位置(腺腫が見出される区域以外の結腸の区域)でさえも観察された(図6(a))。比較して、表面下組織におけるEIBSは、より限局的であり、距離<30cmでのみ観察された(図6(b))。この結果は、EIBSの空間的な伸展が組織の深さに伴って減少することを実証している我々のエキソビボ(ex vivo)のデータと一致している。最終的に、図6(c)は、過形成性のポリープがそれらの外側にEIBSを生じないことを実証している。この結果は有望な結果である。というのも、ポリープの外側にEIBSが存在しないとの事項を用いることによって、ポリープが結腸鏡検査または他の内視鏡的な手順の間に腺腫性であるか又は過形成性であるかを決定できることを指摘しているからである。
【0074】
進行性の腺腫の有り無しで結腸の区域を区別するためのEIBS勾配の性能特性は、表2に示される。これらの特性は、奨励される。というのも、特に他の現在利用可能な技術は、腺腫の空間的な伸展の外側の組織を分析することで腺腫の存在を感知することができないからである。腺腫の齢を特徴付けることは不可能であるが、人間の歳を計算に入れることは有用であろう。というのも、歳を重ねると微小血管の血液含有量はコントロール(新形成なし)へと低下するからである。
【表2】

【0075】
EIBSの診断上の実行も、従来のCRCスクリーニング技術に対し優位である。一例を挙げると、最近の研究によってFOBTおよび糞便のDNA分析がそれぞれ10.8%および18.2%の感度を有していたことが実証され、軟性S字結腸鏡検査(flexible sigmoidoscopy)の陽性適中率(positive predictive value)がそれぞれ僅か52%および6%であることが既に報告された。さらにまた、我々のインビボデータの分析によって、次の事項が示された。その事項とは、コントロール被験者〔オスvs.メス、および異なる年齢の患者(40乃至80歳)〕における三つの結腸の区域の間の微小血管の血液含有量の微量な変異が存在したことである。EIBSベースの結腸鏡検査ガイダンスの正確性は、これらのバリエーションを計算することによって改善されえる。
【0076】
EIBSの非光学的な確認。 我々は、非光学的な方法論の使用によってEIBSを確認することも望んだ。我々は、ウエスタンブロッティングを使用し、AOM-処理およびコントロールラットにおける血液含有量を評価した。AOM-処理および年齢が適合するコントロールラットの遠位結腸を、穏やかに剥がした。粘膜のホモジネートを作出し、25μgのタンパク質を10%SDS−PAGEゲルで分離し、PDVF膜に転写し、5%無脂肪ミルクでブロックした。膜をヘモグロビンに対するポリクローナル抗体(1:300希釈/一晩で4C、Santa Cruz Biotechnology)で処理した。ゼログラム(xerograms)を、増感化学発光およびレーザーデンシトメーターで定量した。適切な分子量の一つの明瞭なバンドが、認められた(68kDa(図7(a))。このバンドは、ネガティブコントロール(二つの大腸癌細胞株HT−29およびヘマトクリット−116およびラットサンプルの溶解物を二次抗体単独で処理したものを含む)に出現しなかった。免疫ブロット分析の定量化(年齢が適合したコントロールと)は、図7(b)で実証された。8週で遠位結腸におけるヘモグロビン含有量の有意な増加が存在した(p=0.01)。ブロットをストリップ(stripped)し、β-アクチンでプローブして、均一にタンパク質が付加されたことを確認した(データ示さず)。
【0077】
本発明によって、重大なEIBSの非光学的な確認(non-optics corroboration)が提供される。そのうえ、非光学的な技術の感度の相対的な欠陥が強調される。一例を挙げると、8週のデータは有意であり、増加は分光学で認められたEIBSの3倍の増大よりも劇的なものではない。そのうえ、高度に有意な変化が分光学的な分析で認められたにもかかわらず、粘膜の血液含有量分析は2週での差を明らかにすることに失敗している。我々は、分光学的な分析の劇的な感受性が、脈管構造を正確にアッセイする能力に部分的に関することを信じております。他方で、粘膜の剥離(たとえ如何に穏やかであろうと)によって、粘膜下層における幾つか大きな血管がサンプルされる。組織学的に正常な粘膜におけるEIBSが主に微小血管の現象であるので、深層の大きな血管をアッセイすることによって容易に微小血管系における微妙な早期の変化が覆い隠されると信じられる。
【0078】
EIBSのさらなる適用
4D−ELFまたは2D−ELF(as described hereinafter)および偏光ゲート分光学を用いて、この早期のCRCにおける結腸の粘膜のEIBS生物学的現象が病変の初期の検出に使用できる。重要なことに、空間的にEIBSは、新生物の病変の位置(組織の深さに依存して、少なくとも病変からの〜1/3の結腸の範囲内および範囲外)の外側に伸展し、その規模(magnitude)は腺腫の近くで増加する。従って、我々のデータは、EIBSによって所与の結腸の区域に腺腫が潜む(harbors)かどうか著しく正確に決定され、内視鏡医を腺腫の近接さを指摘するために使用できることを示した。その方法論をEIBSに使用して、結腸鏡検査をガイドすることによって結腸鏡検査のミス率(腺腫に関して15−20%および進行した腺腫に関して6−12%)を減少させる。我々はEIBSの様々な適用を提案する(そのうちの二つは図8に適用Aおよび適用Bとして説明される)。
【0079】
適用A:所与の結腸の区域から見積られるEIBSは、この区域が腺腫を潜む危険性があり、より精密な結腸鏡検査の評価を必要とすると内視鏡医にシグナルをだす。区域がEIBS測定によって決定されるような危険性がない場合、内視鏡医は、より詳細な検査を必要とする他の結腸の区域に集中することを決定するだろう。
【0080】
適用B:腺腫が容易にこの区域内で視覚化されない場合、病変に近づいたEIBSの規模の増加は、内視鏡医を隠れた新生物の探索にガイドする。
【0081】
EIBSの他の利用、適用C: EIBSは、軟性S字結腸鏡検査の間に遠位結腸から見積り、近位結腸における腺腫および腫瘍の存在の検出を補助できる。知られているように、S字結腸鏡検査は結腸鏡検査と類似するが、下部の結腸および直腸のみを検査する。そのような手順において、EIBSプローブをS字結腸鏡検査プローブに加えて使用して、EIBSデータを得ることができる。さらにまた、軟性S字結腸鏡検査、独立型の光ファイバープローブ、または内視鏡的な装置の一部としてプローブを介してEIBSを直腸から見積もって、他の部分の結腸における腺腫および腫瘍の存在の検出を補助することができる。
【0082】
EIBSの他の利用、適用D: 結腸鏡検査、軟性S字結腸鏡検査、または他の内視鏡的な処置の間にEIBSを直腸から見積もって、将来的な前癌性の又は癌性の病変を予想し、所与の患者に対する将来の結腸鏡検査または軟性S字結腸鏡検査処理のスケジュール(例えば、頻度および時間のインターバル)の決定を補助することができる。
【0083】
上記の利用に加えたEIBSの他の利用は、本発明の範囲内であることが意図される(特に他の診断方法と関連した利用)。
【0084】
4D−ELFおよび偏光ゲート分光学に加えて、他の分光学的な技術〔例えば、2D−ELF、増強後方散乱および低干渉性増強後方散乱(LEBS)分光学、およびOCT〕を使用して、本発明を実行できる。
【0085】
例えば、EIBSをスクリーニング結腸鏡検査と関連させて使用できる。この場合において、EIBSプローブを結腸鏡検査プローブと関連させてEIBSデータを得ることができる。
【0086】
プローブの態様
一態様において、プローブは、光のビームを血液循環がある組織を有する標的に投射(projects)する。次に、標的から散乱した少なくとも一つの光のスペクトルが測定され、標的に関する血液の供給情報が測定された少なくとも一つのスペクトルから得られた。得られる血液の供給情報には、少なくとも一つの血液含有量(blood content)、血液酸素負荷(blood oxygenation)、血流量(blood flow)および血液量(blood volume)に関するデータが含まれる。
【0087】
プローブを使用して、異なる光学的な測定を得ることができる。一態様によると、標的の第一の位置からの血液の供給情報の第一のセットを得ること、次に標的の第二の位置からの血液の供給情報の第二のセットを得ることを使用してもよい。次に、標的の第一の位置での血液の供給情報の第一のセットおよび標的の第二の位置での血液の供給情報の第二のセットを、比較して標的の状態を決定できる。そのデータを比較し、新形成(neoplasia)を有する患者から及び新形成がないものからの前に設定された微小血管の血液含有量を比較し、腫瘍または病変が存在するかどうかを指摘(indicate)することができる。
【0088】
一態様において、プローブ装置は、光のビームを標的に投射するために構成され及び位置決めされる光源;および標的からの散乱光の少なくとも一つのスペクトルを測定するための手段;および測定された少なくとも一つのスペクトルからの標的に関する血液供給情報を得るための手段を具備する。
【0089】
プローブ装置は、さらに標的の第一の位置での血液の供給情報の第一のセットを取得する検出器を具備してもよい。同じ検出器を使用して、標的の第二の位置での血液の供給情報の第二のセットを得ることができる。本明細書中に記載されたとおり、プローブ装置から得られるスペクトルデータを分析し、それを使用して点検された組織が異常であるかどうかが決定される。
【0090】
一態様において、標的からの少なくとも一つの散乱光のスペクトルが本発明による光ファイバープローブにより測定される(ここで、前記光ファイバープローブは、血液含有量の情報を検出するために構成された偏光ゲート光ファイバープローブを具備する)。光源は、非干渉性の光源(例えば、キセノンランプ)を具備する。
【0091】
一態様において、光ファイバープローブは、近位端部(proximal end portion)、逆の、遠位部(distal portion)、および近位端部および遠位部の間に規定される縦軸を有するボディ部(body portion)を含む。ボディ部は、縦軸に沿った腔と共に形成される。少なくとも一つの第一タイプのファイバーは、エネルギーのビームを標的に送達するために使用される(ここで、前記少なくとも一つの第一タイプファイバーは、少なくとも部分的にボディ部の腔内に位置決めされる)。光学部は、近位端部に位置決めされ、エネルギーのビームを標的に焦点を合せるために構成される。少なくとも一つの第二タイプファイバーは、標的からの散乱エネルギーを収集するために使用される(ここで、前記少なくとも一つの第二タイプファイバーは、少なくとも部分的にボディ部の腔内に位置決めされる)。
【0092】
光ファイバープローブは、さらに少なくとも一つの第一タイプファイバーおよび少なくとも一つの第二タイプファイバーと光学的に連結させ、近位端部に近接して位置決めされた少なくとも一つの線状の偏光子を具備してもよい(ここで、前記光学部は、近位端部に位置決めされ、標的からの散乱エネルギーを、少なくとも一つの第二タイプファイバーに対する少なくとも一つの線状の偏光子に焦点を合わせて収集するために構成される)。
【0093】
光学部は、少なくとも一つのボールレンズ、段階屈折インデックスレンズ(graded refractive index lens)、非球面レンズ、円柱レンズ、凸凸レンズ(convex-convex lens)、および平凸レンズ(plano-convex lens)を具備するが、好ましくは単一のレンズが使用される。これらの前述のレンズ以外のレンズも使用できる。さらに、異なるレンズを使用して識別力のある測定を補助すること及び異なる組織侵入深さを達成することができる。従って、例えば、最短の侵入深さを達成するために、レンズを集光ファイバー(light-collecting fibers)の端からの焦点距離に位置決めし、前記ファイバーはレンズの軸の周囲に対称的に位置決めできる。さらに、この構成によって、特にプローブが組織からある距離にある場合に収集した光の強度が増加し、組織から異なる距離でプローブにより収集されるシグナル(プローブが組織と接触しない場合)およびプローブにより組織にかけられる圧力(プローブが組織と接触する場合)の安定性の改善が提供される。また、短い侵入深さ(penetration depth)は、短い焦点距離を有するレンズ、少ない開口数の照明および/または採集ファイバー、および照明および採集ファイバーの間の長い距離を用いて達成できる。原則的に、数十ミクロンから数ミリメーターの侵入深さが、これらのプローブの適切な組み合わせを選択することにより達成できる。
【0094】
少なくとも一つの第一タイプファイバーは、照明ファイバーを具備する(ここで、前記照明ファイバーは、光源に光学的に連結される)。
【0095】
また、少なくとも一つの第二タイプファイバーは、一以上の採集ファイバーがイメージングスペクトルグラフおよび遠位端部(distal end portion)でCCDに光学的に連結される一以上の採集ファイバーと共に形成できる(このイメージングスペクトルグラフを使用して標的のイメージが得られる)。ボディ部は、チュウブ(tubing)を具備する。
【0096】
以下の好適な態様の詳細によって、さらに本発明が記載される。
【0097】
本発明によって、複数の可換性(interchangeable)のプローブチップ310−1乃至310−nおよび複数の可換性の光学伝達部(optical transmission elements)320−1乃至320−n(ここで、nは、1より大きい整数である)を含む図9で説明されるプローブ キット300が提供される。これらの異なる組み合わせによって、種々の深さの選択性が許容される。
【0098】
図10(a)−(j)は、本発明によるプローブの様々な構成を説明する。図10(a)−(e)は、含まれる構成要素の様々な特性に基づいて単一の深さ選択性を有するプローブ構成を説明する。図10aは、単一の送達ファイバー410aおよび単一の採集ファイバー420aが存在する態様を示す。偏光子440aが存在してもよい。図10(b)ハ図10(a)に類似するが、さらに二つの偏光子440bおよび442bを利用する。図10(c)、10(d)および10(e)は、それぞれ二つの採集ファイバー420c,422c;420d,422d;及び420e,422eを有するバージョンを説明する。これらの態様の各々において、それぞれ示される光ファイバーに対して様々な構成で二または三つの偏光子440cおよび442c;440dおよび442d;ならびに440e,442eおよび444eが存在する。
【0099】
図10(f)−(j)は、プローブチップおよび伝達送達部(transmission delivery element)の両方を含んでいる単一プローブが、一以上の深さ選択性を有することができるプローブ構成を説明する。
【0100】
図10(f)においてペアの採集ファイバーが存在し、各ペアは同じ採集深さ(collection depth)を有する。以上のように、採集ペア420f1および420f2は侵入深さ1を有し、採集ペア422f1および422f2は侵入深さ2を有し、採集ペア424f1および424f2は侵入深さ3を有する。各ペアのファイバーの各々は、送達光ファイバー(delivery optical fiber)410fから同じ距離で間隔をあける。二つの偏光子440fおよび442fが存在する。
【0101】
図10(g)において、採集ペア(collection pair)は存在しないが、個々の採集ファイバー420g、422g、424g、426gおよび428gは存在する(各々は、送達光ファイバー410gから異なる間隔を有する)。特定の採集光ファイバーは、他のもの(426gおよび428gとして示される)と異なる開口数を有する。二つの偏光子440gおよび442gが存在する。
【0102】
図10(h)の態様は侵入深さ3であること除き図10(f)の態様と類似し、採集光ファイバー426h1および426h4を含む付加的なファイバーペア(その各々は、侵入深さ3での他の採集ペアで異なる開口数を有する)が存在する。二つの偏光子440hおよび442hが存在する。
【0103】
図10(i)は、送達ファイバー410iを有しているプローブおよび三つの採集ファイバー420i、422iおよび424i(各々は、送達ファイバー410iから異なる距離で間隔をあける)を説明する。偏光子がないか又は一つの偏光子(標識されず)が存在する。
【0104】
図10(j)は、図10(i)で説明されるプローブと同じプローブを説明している〔但し、偏光子なし又は偏光子一つではなく、二つの偏光子440(j)および442(j)を含む〕。
【0105】
以下の考察は、例えば、図10(b)−(e)で説明される三つのファイバー、二つの偏光子のバージョンのプローブに関する光路を記載する。ランプ/光源は、不偏光(unpolarized light)を放射する。この光は、送達ファイバー410に連結される。不偏光は、このファイバー410から出現し、第一の偏光子420を通過し、直線偏光となる。この光は、ファイバー410の開口数(NA)に応じて、開散角(angle of divergence)で分岐する。典型的なNAは約0.22であり、これは開散角が〜25度であることを意味している。0.1および0.5の間のNAを有するファイバーも利用可能である。これは、偏光するが分岐しているビームは、レンズ430を通過し、平行(collimated)にされ、組織に衝突する。レンズ430は、ファイバー410および440からの焦点距離に位置決めされる。二つの採集ファイバー440は、例えば、後方散乱によって組織と相互作用する光を集める。組織表面上のスポット(組織のこのスポットから出現する光が達して採集ファイバー440の一つによって収集できるように形成される)は、所与の採集ファイバー440に対して「採集スポット(collection spot)」と称される。組織表面は、レンズ430(GRINレンズは、典型的に焦点面を有し、それらの表面は同じ空間にある)の焦点面に存在し、全ての照明および採集スポットは同じ空間にある(coincide)。採集ファイバー440の一つは送達ファイバー410を有する同じ偏光子420を共有し、他のファイバー440は第一の偏光子420の偏光の軸に対し直交性(orthogonal)(又は、より一般的には、ちょうど異なる)の偏光の軸を有する第二の偏光子450の後ろにある。例えば、組織から後方散乱されることによって相互作用する光は、両方の偏光成分(polarization components)を有する。これらの偏光子420および450の各々は、特定の様式で偏光された光を選択し、この光のみが対応する採集ファイバー440に達する。第一のファイバー440は、入射光(incident light)として同じ方向に沿って偏光される光を採集する。この光は、共偏光された光である。他のファイバー440は、交差偏光された光(cross-polarized light)を採集する。他の(近位)端で、採集ファイバー440をとおして伝達される光は、分光計および検出器(示されない)に連結される。分光計および検出器は、単一の線型アレイ検出器(各ファイバーに一つ)またはイメージング分光計およびCCD(高価である)であってもよい。検出器は、各ファイバーからの光強度のスペクトルを記録し、共偏光(I||)および交差偏光シグナル/スペクトル(I)となる。これらのスペクトルは、それからコンピュータまたはCPUに伝達される。コンピュータは、これらのスペクトルデータを処理できる。四つの異なるスペクトル曲線は、以下に関して観察されえる:
1)差次的な偏光(または偏光ゲートといわれるもの)シグナルは、I||−Iと計算される;
2)トータル(または任意偏光)シグナルは、I||+Iとして認められる;
3)共偏光シグナルI||;および
4)交差偏光シグナルI。これらの四つのシグナルの各々は、好ましくは組織とそれ自身の侵入深さまで感受性である。原則的に、二つの偏光子を使用し、共および交差偏光シグナルの両方を測定する必要はない。浅い侵入深さが望まれない場合、単一の偏光子および僅か一つの採集ファイバー(共偏光シグナルのみ)、二つの偏光子および交差偏光シグナルの採集、偏光子なしでI||+Iの採集などを使用できる。
【0106】
二つの異なるプローブ100に関する特定の特徴的な組み合わせが、以下に提供される。
【0107】
例1:ボールレンズプローブ
ボールレンズ直径:2mm,
焦点距離:1.1mm,
ファイバーコアの直径:200ミクロン,
開口数(NA):0.22,
照明および検出ファイバーの間の距離:0.5mm,
組織表面におけるスポットサイズ:0.5mm,
出力(組織における入射)ビーム分岐:5deg,
プローブの外径:2.6mm。
【0108】
例2:GRINレンズプローブ
GRINレンズ直径:1.8mm,
焦点距離:2.4mm,
ファイバーコアの直径:200μm,
NA:0.22,
照明および検出ファイバーの間の距離:0.7mm,
スポットサイズ:0.7mm,
出力ビーム分岐:3deg,
プローブの外径:2.5mm。
【0109】
上記のプローブチップおよび光伝達部の修飾された特性に加えて、修飾できる他の特性が存在する。
【0110】
これらの修飾には、採集ファイバーの端が、この深さの選択的プローブに対して異なる角度範囲(angular ranges)を得るための送達ファイバーと相対的である変更が含まれる。焦点距離から離れて位置決めするファイバーは、本質的に焦点面に位置決めされる大きな直径を有するファイバーを用いることと均等であり、入射または採集された光のビームの大きな分岐(greater divergence)と均等である。大きな分岐は、組織の内側の長い及び短い光路(light paths)の両方の付加を生じる。全体的に、これによって、大抵のケースで深層へ侵入が生じる。しかしながら、プローブの「焦点をぼかす(defocusing)」によって、「焦点をぼかす」構成がプローブ採集の強度に関連して効率が低いことに注意すべきである。
【0111】
別の特性は、組織表面への距離である。この距離は、レンズおよび組織表面の間の適切なスペーサーを選択することにより制御できる。(上記で考察されたように、大抵のGRINレンズはそれらの焦点面がそれらの側面と同じ空間にあるが、他のレンズタイプに必ずしも当てはまらない。他のレンズが使用される場合、スペーサーをおいて、プローブを組織から離すことができる。)この距離が焦点距離と異なる場合、侵入深さは大きい。
【0112】
[発明の更なる側面]
一側面において、EIBSインビボ血液含有量測定装置は、三つの主要な部分を含む(即ち、照明アーム、検出アーム、およびプローブ)。これらの三つの主要な部分の特定の組み合わせは、機能、コストおよび他の考慮に基づいて選択できる。プローブの可能なデザインは、本明細書で考察される。以下に、照明および検出に使用される装置の幾つかの可能な組み合わせが、考察される。説明の目的で、これらのデザインは、共および交差偏光シグナルに関する二つの採集路(collection channels)を有するプローブデザインに基づく。これらの装置デザインは、容易に他の数の採集ファイバーに修飾できる。
【0113】
1. 照明オプション:
a) (a)白色アーク灯(White light arclamp)
i. 利点:スムーズ広帯域スペクトル(smooth broadband spectrum)
ii. 不利な点:乏しい連結効率(coupling efficiency)、高いコスト、短い寿命、パワースタビライザーなしで乏しい安定性が用いられる。
b) 白色発光ダイオード(WLED)
i. 利点:高効率、低コスト、長寿命、良好な安定性
ii. 不利な点:不規則な発光スペクトル、乏しい連結、低い強度
c) 異なる波長での出力を有する広帯域のスペクトルレーザーまたは幾つかのレーザー
i. 利点:優れた連結、高い強度
ii. 不利な点:限定的なスペクトル標本抽出、スペックル(speckle)、高コスト
d) カラーLED達−幾つかのLED達の特定のスペクトル範囲
i. 利点:経時的なプーリング(sequential puling)、スペックルなし、低コスト
ii. 不利な点:限定的なスペクトル標本抽出、低強度
【0114】
2.検出およびシステムのデザイン
a) 参照シグナルを有する三つの分光計−三つの単一路ファイバー分光計の使用:各偏光に一つおよび光源をサンプルする一つの参照。標的からのシグナルは、光源スペクトルの不安定性および強度が測定に影響しないように参照測定に関して標準化される。
i. 利点:最高の安定性
ii. 不利な点:最高のコストおよびシステムの複雑さ
b) 二つの分光計、参照なし−二つの単一路ファイバー分光計が使用されて各偏光状態が検出される。光源スペクトルおよび強度は、安定であると仮定。
i. 利点:最低のコスト、最も単純
ii. 不利な点:安定な光源が使用されない場合に光源のバリエーションが原因の誤差がでる可能性が増加する又は組織からの測定が自己標準化される(例えば、診断上の観察可能要素は、二つの深さからの血液含有量値の比である)。
c) 二つの分光計、強度の参照−二つの単一路ファイバー分光計が使用されて各偏光状態が検出される。光源の強度は、単純な点検出器(point detector)でモニターされる。
i. 利点:低コスト、安定な電流の光源を必要としない
ii. 不利な点:光源におけるスペクトルの変化に敏感である可能性
d)二つの強度検出器(参照検出器有り無し)を、スペクトルデータを経時的に獲得するためのカラーLEDsまたはレーザー光源のセットにより提供される照明とともに使用できる。
i. 利点:低いコスト
ii. 不利な点:限定的なスペクトル分解能
【0115】
上記の組み合わせの好適な態様には、次の事項が含まれる
1)WLEDを有するシステム、二つの分光計および強度参照によって、コストおよび機能性の間の至適な妥協が提供される。
2)WLEDを有するシステム、二つの分光計および参照なしは、十分な診断上の情報が異なる採集路または深さからの観察可能要素(例えば、血液含有量)の比を演算することによって得ることができる適用に至適な構成である。
3)経時的な照明および獲得のための少なくとも三つのカラーLEDおよび単一の強度検出器のセットを有するシステムは、コストが重要な検討点である適用のための低コストな構成の例である。
【0116】
様々な方法(請求項に記載の方法に加えて)が意図される。これらには、以下のものが含まれる:
【0117】
身体の生きている組織が異常である可能性があるとの指標を提供する方法「A」は、以下を備える:
前記組織を光(例えば、広帯域光)で照明する照明プローブを位置決めすること(照明プローブは、器官の表面の位置に配置される);
器官の組織及びその微小血管の前記位置で照明プローブから放射される光源からの光で照明すること(ここで、光で照明される組織は、異常である可能性がある生きている組織を含まない);
組織を照明することから生じる相互作用した光を検出データとして検出することと(ここで、前記相互作用した光は、異常である可能性のある生きている組織を含まない器官の組織内の微小血管における血液と相互作用する光から実質的に得られる);
微小血管における少なくとも一つの血液含有量および血流を前記検出データを用いて見積もること;および
少なくとも一つの見積もられた血液含有量および血流を用いて、生きている組織が異常であろう指標を取得すること(取得する工程には、微小血管における少なくとも一つの見積もられた血液含有量および血流の増加が存在するかどうかを決定する工程が含まれる)。
【0118】
器官に指標が取得される生きている組織が含まれる方法「A」。別の器官が指標を取得する生きている組織を含む方法「A」(前記別の器官は、照明する工程で照明される組織を含んでいる器官と異なる)。検出する工程における相互作用した光が微小血管系中の血液によって散乱した光から取得される方法「A」。検出する工程における相互作用した光が微小血管系中の血液によって散乱および吸収された光から取得される方法「A」。
【0119】
Aによる方法は、器官内の生きている組織が異常であるかどうかを再決定するための別の検査をいつ行うかを決定するために指標を用いる工程をさらに含む(ここで、さらに月の期間を用いて別の検査をいつ行うかを決定する工程;及びなおさらに年の期間を用いて別の検査をいつ行うかを決定する工程)。
【0120】
少なくとも一つの血液含有量および血流に特徴的な血液供給の見積もりの測定は、ディスプレーされるか又は別にさらに器官の組織中の少なくとも一つの見積もられた血液含有量および血流における増加または減少が存在するかどうかを決定するためにプローブを位置決めするために利用者とコミュニケートする方法「A」。
【0121】
検出する工程における相互作用した光が微小血管系中の血液によって吸収された光から取得される方法「A」。
【0122】
「A」による方法であって、生きている組織が異常であるかもしれない前癌性の生きている組織である及び/又は前記異常であるかもしれない前癌性の生きている組織が形成異常段階の組織である方法。上記の形成異常段階の組織は、少なくとも一つの組織学的に正常、肉眼(macroscopically)で正常、および内視鏡的に正常である。
【0123】
照明プローブを挿入する工程は、器官の表面が器官の内側表面(inner surface)であるようにプローブを器官に挿入される方法「A」。器官は、結腸、胃、十二指腸、膀胱、食道、口腔、肺、子宮、尿道および前立腺であってもよい。検出の工程は少なくとも一つの共偏光、交差偏光、および不偏光の相互作用した光を検出する、および/または方法「A」における見積もる工程は少なくとも一つのヘモグロビン吸収によって妨害されない血液含有量および血流および少なくとも一つのスペクトルの成分および偏光シグナルのパラメータを見積もる、より具体的には赤血球の濃度を見積もる、ヘモグロビンの濃度を見積もる、脱酸素化ヘモグロビンの濃度を見積もる、酸素化ヘモグロビンの濃度を見積もる、血流および血流の速度(rate)を見積もる、または血液中の酸素飽和度を見積もる方法「A」。
【0124】
上記の血液含有量および血流の一つを見積もる工程において、生きている組織の領域内の血液含有量または血流を統計的に見積ることが好ましい(ここで、統計的は、平均値、平均、中央値、標準偏差、最大値、および最小値の一つである)。検出する工程は少なくとも一つの共偏光、交差偏光、および不偏光の相互作用した光を検出する、および/または、血液含有量の一つを見積もる工程は少なくとも一つの一つの組織の深さと別の組織の深さとの血液含有量の比を及び共偏光、交差偏光、および不偏光の光の一つの一次結合(linear combination)に関して演算された血液含有量の比を見積もる方法「A」。上記の方法であって、検出する工程は相互作用した光を検出する、好ましくは表面から粘膜下層又は表面から粘膜層の相互作用した光を検出する方法。
【0125】
挿入する、照明する及び検出する工程は、スクリーニング結腸鏡検査(screening colonoscopy)が行われるのと同じ期間の間に行われる方法「A」。
【0126】
挿入する、照明する及び検出する工程は、S字結腸鏡検査が行われるのと同じ期間の間に行われる方法「A」。挿入する、照明する及び検出する工程は、独立型プローブ(stand-alone probe)を用いて行われる方法「A」。挿入する、照明する及び検出する工程は、部分的に内視鏡装置内に配置されるプローブを用いて行われる方法「A」。プローブを挿入する工程は、器官の表面が器官の外側表面(outer surface)であるようにプローブを器官に隣接させて挿入される方法「A」。プローブを挿入する工程は、プローブを小腸に挿入し、膵臓に隣接させ、膵臓中の異常な生きている組織を検出する方法「A」。指標を取得する工程は、見積もった血液含有量とベースラインの血液含有量とを比較する工程を含み、さらにベースラインの血液含有量を設定(establishing)する工程を含んでもよい(ここで、ベースラインの血液含有量は、身体の又は身体以外に複数の身体の器官の周囲の領域の血液含有量の測定に基づいてもよい)。
【0127】
見積もる工程は、赤血球の濃度、ヘモグロビンの濃度、脱酸素化ヘモグロビンの濃度、酸化ヘモグロビンの濃度、血流および血流の速度(rate)の一つ、または血液中の酸素飽和度を見積もる血液含有量を見積もる方法「A」。血液含有量および血流の一つを見積もる工程は、生きている組織の領域内の血液含有量または血流を統計的に見積る(ここで、統計的は、平均値、平均、中央値、標準偏差、最大値、および最小値の一つであってもよい)方法「A」。取得する工程からの指標は、生きている組織が将来の時点(a future point in time)で異常である可能性を指摘する方法「A」。
【0128】
見積もる工程は偏光およびスペクトルデータの分析アルゴリズムを使用する及び偏光およびスペクトルデータの分析アルゴリズムは血液含有量を見積もる表面の偏光およびスペクトルデータの分析アルゴリズムであり、さらに赤血球の影響が散乱シグナルの残部への付加としてモデルされえる、なおさらに血液吸収の影響がない散乱シグナルのスペクトルが少なくとも一つの一次、二次、高次の多項式、および逆指数則関数を含む波長の単調関数(monotonic function)としてモデルされる方法「A」。
【0129】
見積もる工程は、偏光およびスペクトルのデータ分析アルゴリズムを使用する、前記偏光およびスペクトルデータの分析アルゴリズムは血液含有量を見積もる表面の偏光およびスペクトルのデータ分析アルゴリズムであり、その表面の偏光およびスペクトルのデータ分析アルゴリズムは、拡散近似(diffusion approximation)を含んでもよい方法「A」。「A」による方法であって、照明される組織が少なくとも一つの組織学的に正常な、肉眼で正常な、および内視鏡的に正常である方法。
【0130】
身体の器官内の生きている組織が異常である指標を提供する方法「B」であって、次を備える方法:
微小血管を含む器官の組織を同定すること(ここで、前記組織は異常であろう生きている組織を含まない);および
微小血管系内の血液含有量から、微小血管の血液含有量の早期の増加が前記組織に存在するかどうかを決定して、生きている組織が異常であるかどうかを指摘すること。
【0131】
組織を同定するが組織のバイオプシーを取得する工程を含む方法「B」。決定する工程が微小血管の血液供給における早期の増加が存在するかどうかを決定するために光学的な検出を使用する方法「B」。
【0132】
決定する工程が微小血管の血液供給における早期の増加が存在するかどうかを決定するために非光学的な検出を使用する方法「B」。
【0133】
異常であるかもしれない生きている組織は前癌性の生きている組織であり、その異常であるかもしれない前癌性の生きている組織は前形成異常段階の組織であってもよく、その前形成異常段階の組織は組織学的に正常および顕微鏡的に正常であってもよい。
【0134】
方法「C」は、次の工程を含む:
A)標的組織を広帯域光で照明する照明プローブを位置決めすること(ここで、異常であろう標的組織は前癌性の生きている組織であり、その前癌性の生きている組織は形成異常段階の組織であり、その形成異常段階の組織は組織学的に正常および顕微鏡的に正常である);
B)前記組織及びその微小血管系をプローブからの光で照明すること(ここで、光で照明される組織は、異常な組織を含まない);
C)光で照明された組織から相互作用した光を検出すること;
D)微小血管系における少なくとも一つの血液含有量および血流の特徴的な指標を検出された相互作用した光に基づいて見積もること;
E)前記照明された組織が異常であろう近接した生きている組織であるかどうかを見積もった特性に基づいて決定すること。
【0135】
特性が標的組織の表面に沿った複数の異なる位置で決定される方法「C」。
【0136】
方法「C」であって、さらに次を含む方法:
内視鏡を前記プローブに近接して位置決めすること;および
前記内視鏡をガイドすることに見積もった特性を用いること。
【0137】
前記組織は、器官である方法「C」。
【0138】
前記組織は、結腸である方法「C」。
【0139】
前記組織は、胃腸の器官である方法「C」。
【0140】
前記プローブは、平行にした光のビームを組織の位置に投射する方法「C」。
【0141】
請求項に記載される組合せに付加される様々な要素の装置の組合せが意図される。これらの組合せには、以下のものが含まれる:
光源から得られた広帯域光をヒトの体の組織の微小血管に放射し、レシーバーへと伝達される広帯域光と微小血管との相互作用から得られる相互作用光を受信する装置「A」であって、該装置は次を具備している:
ヒトの身体に挿入するため適合された端を有し、組織を広帯域光で照明し、組織内に存在する微小血管中の血液と相互作用する相互作用した光を受信するプローブ、該プローブは以下を含んでいる:
光源から得られた広帯域光を伝達するための送達開口数(delivery numerical aperture)を有している送達光ファイバー(その送達光ファイバーは広帯域光の発光のために適合された光送達端および光源に連結するために適合された光送達源連結端を有している);
少なくとも一つの採集開口数を有している採集光ファイバー、相互作用した光を受け取る光採集端(light collection end)を有している採集光ファイバー、レシーバーへの連結に適合されたレシーバー連結端(ここで、前記光採集端は、実質的に送達光ファイバーの光送達端から既定の距離で位置合わせされる);および
実質的に採集光ファイバーの光採集端から及び送達光ファイバーの光送達端からレンズの約一焦点距離(about one focal length)で間隔をあけたレンズ;
ここで前記送達光ファイバーおよび前記採集光ファイバーおよび前記レンズは、レンズの焦点面内にある組織の表面の採集スポットで相互作用した光を採集するために適合され、ここで収集された相互作用した光は実質的に採集スポットの下で既定の侵入深さにある微小血管との相互作用から生じる、ここで既定の侵入深さは部分的に選択された複数の特性により得られ、この選択された複数の特性にはレンズの焦点距離および送達光ファイバー、採集光ファイバー、およびレンズの一つからの少なくとも一つのさらなる特性の選択が含まれる。
【0142】
少なくとも一つのさらなる特性が送達光ファイバーおよび採集光ファイバーの一つの特性である装置「A」、この特性は以下の何れかである、
(1)送達光ファイバーの一つのタイプ、
(2)採集光ファイバーの一つのタイプ、
(3)送達および採集の開口数、
(4)送達光ファイバーの光送達端の実質的な位置合わせおよび採集光ファイバーの光採集端の実質的な位置合わせ、および
(5)送達光ファイバーの光送達端および採集光ファイバーの光採集端の間の既定の距離。
【0143】
少なくとも一つの更なる特性がレンズの特性であり、それが(1)タイプのレンズおよび(2)レンズおよび組織の間のスペーシングの少なくとも一つである装置「A」。
【0144】
実質的な位置合わせは同じ平面に存在し、実質的に約一焦点距離は採集光ファイバーの光採集端および送達光ファイバーの光送達端の何れかに関する一焦点距離である装置「A」。
【0145】
実質的な位置合わせは同じ平面に存在し、実質的に約一焦点距離は採集光ファイバーの光採集端および送達光ファイバーの光送達端の何れかに関する一焦点距離より大きい装置「A」。
【0146】
実質的な位置合わせは同じ平面に存在し、実質的に約一焦点距離は採集光ファイバーの光採集端および送達光ファイバーの光送達端の何れかに関する一焦点距離より小さい装置「A」。
【0147】
少なくとも一つの採集光ファイバーは複数の採集光ファイバーである装置「A」(その複数の採集光ファイバーには複数のペアの採集光ファイバー、二つのペアの採集光ファイバーの各々の光採集端および同じ送達光ファイバーの光送達端の間である距離を有している各ペアの採集光ファイバー、および異なる距離を有している複数のペアの採集光ファイバーの各々が含まれる)。
【0148】
装置「B」は次のものを含んでいる:
組織及びそのなかの微小血管系を照明するために適合された端を有しているプローブ;および前記プローブに連結されるレシーバー、微小血管系からの相互作用した光を処理するためのレシーバー、前記プローブは次のものを含んでいる:
送達開口数および光源から送達光ファイバーによって受け取られた放射広帯域光のためのエミッター端を有している送達光ファイバー;
少なくとも一つの採集光ファイバー、レシーバーにうつす相互作用した光を受け取るための採集開口数および光採集端を有している前記採集光ファイバー(ここで、前記光採集端は、実質的に送達光ファイバーのエミッター端から既定の距離で位置合わせされる);および
ある焦点距離を有しているレンズ、レンズの実質的に約一焦点距離の採集光ファイバーの光採集端からの及び送達光ファイバーのエミッター端からの距離に局在する前記レンズ、レンズの焦点面内にある照明された組織位置の既定の侵入深さからの相互作用した光を採集するため適合された前記送達および採集光ファイバーおよびレンズ(ここで、前記既定の侵入深さは、レンズの焦点距離および送達光ファイバー、採集光ファイバー、またはレンズからの少なくとも一つの更なる特性に基づく)。
【0149】
検出された相互作用した光に基づく微小血管系における少なくとも一つの血液含有量および血流の特徴的な指標の見積量のインジケーターをさらに含んでいる装置「B」。
【0150】
組織の微小血管系内の血液を検出するための深さ範囲(depth range)の検出の選択のためのスペクトルデータプローブ(該スペクトルデータプローブは光源からの広帯域光を受け取り、相互作用した光をレシーバーへ提供する)を作る方法「D」であって、該方法は:
相互作用した光の検出のために所望される深さ範囲を決定することと;
前記スペクトルデータプローブを提供することと
を含み、前記スペクトルデータプローブは次のものを含んでいる:
光源から得られた広帯域光を伝達するための送達光ファイバー〔該送達光ファイバーは光源に連結するために適合された送達光出力端(delivery light output end)および送達光源連結端(delivery light source connection end)を有している〕;
採集ファイバー群〔該採集ファイバー群は、少なくとも一つの採集光ファイバー(その各々の採集光ファイバーは組織内に存在する微小血管中の血液と相互作用する相互作用した光を受け取る光採集端を有している)およびレシーバー連結端を含んでおり、ここで各々の光採集端は送達光ファイバーの光送達端から既定の距離で実質的に位置合わせされ実質的にその距離にある〕;
各々の採集光ファイバーの各々の光採集端から及び送達光ファイバーの送達光出力端から実質的にレンズの約一焦点距離で間隔をあけたレンズ;
ここで、前記提供する工程によって、送達光ファイバー、採集ファイバー群およびレンズに関して異なる特性を選択して、前記スペクトルデータプローブが決定された深さ範囲を有することが許容される。
【0151】
本発明の例示的な態様の記載は、説明および記載の目的でのみ提示されており、完全なものであること又は本発明を開示された形態に限定することは意図されていない。多くの修飾およびバリエーションが、上記の教示に照らして可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の手段を含む装置:
生きている組織に近接する照明放射装置(illumination emitting device)を有するプローブを位置決めする手段;
前記生きている組織の第一の標的領域を照明する手段;
照明された組織から相互作用した光を検出する手段;
検出された相互作用した光に基づく生きている組織の第一の標的領域における少なくとも一つの血液含有量および血流の特徴的な指標(indicative)を検出された相互作用した光に基づいて見積もる手段;
前記照明放射装置を再位置決めして、前記生きている組織の第二の標的領域を照射し、前記第二の標的領域からの相互作用した光を検出し、前記第二の標的領域における少なくとも一つの血液含有量および血流の特徴的な指標(indicative)を見積もる手段;
対応する変化が前記第一および第二の領域の見積もった特性の間で発生するかどうかを決定する手段。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記の検出する、見積もる、再位置決めする、および決定することを、異常な組織の位置を促進するため反復して行う装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、さらに前記第一および第二の標的領域に関して見積もった特性に基づいて、少なくとも一つの見積もられた血液含有量および血流の増加の方向を決定する手段を含む装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、前記生きている組織が粘膜の組織、粘膜下の組織または両方からなる群から選択される装置。
【請求項5】
見積もることが差次的な偏光スペクトルに基づく請求項1に記載の装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、さらに照明プローブを外科的な又は診断上の機器内に配置する手段を含み、前記の位置決め及び再位置決めすることは前記プローブで前記機器内で行われる装置。
【請求項7】
請求項2に記載の装置であって、決定する手段は、見積もられた特性と既定の参照の特性とを比較する手段を含む装置。
【請求項8】
身体の生きている組織が異常である可能性があるとの指標を提供する装置であって、以下を含む装置:
少なくとも一つの粘膜および粘膜下の組織を広帯域光で照明する照明プローブを位置決めする手段(ここで、前記照明プローブは、少なくとも一つの粘膜および粘膜下の組織を含んでいる器官の表面の位置に配置される);
前記器官の少なくとも一つの粘膜および粘膜下の組織の前記位置で照明プローブから放射される光源からの光で照明する手段(ここで、光で照明される少なくとも一つの粘膜および粘膜下の組織は、異常である可能性がある生きている組織を含まない);
少なくとも一つの粘膜および粘膜下の組織を照明することから生じる相互作用した光を検出データとして検出する手段(ここで、前記相互作用した光は、実質的に異常である可能性がある生きている組織を含まない器官の少なくとも一つの粘膜および粘膜下の組織における血液と相互作用する光から得られる);
表面および表面下層の偏光およびスペクトルのデータ分析アルゴリズムを用いて少なくとも一つの粘膜および粘膜下の組織における少なくとも一つの血液含有量および血流を検出データを用いて見積もる手段;
少なくとも一つの見積もられた血液含有量および血流を用いて、生きている組織が異常であろう指標を取得する手段(取得する手段には、少なくとも一つの粘膜および粘膜下の組織における少なくとも一つの見積もられた血液含有量および血流の増加が存在するかどうかを決定する手段が含まれる)。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記指標は、異常であろう身体の生きている組織に対する方向のインジケーターであり、さらに次の手段を含む装置:
前記器官の少なくとも一つの粘膜および粘膜下の組織の異なる位置で照明プローブから放射される光源からの光で照明する手段;
さらに検出データとして異なる位置で少なくとも一つの粘膜および粘膜下の組織を照明する工程から生じる相互作用した光を検出する手段(ここで、前記相互作用した光は、実質的に器官の少なくとも一つの粘膜および粘膜下の組織において異なる位置で血液と相互作用する光から得られる);
表面および表面下層の偏光およびスペクトルのデータ分析アルゴリズムを用いて少なくとも一つの粘膜および粘膜下の組織における少なくとも一つの血液含有量および血流を異なる位置でさらなる検出データを用いて見積もる手段;および
前記指標を取得する手段が、少なくとも一つの見積もられた血液含有量および血流の推定に基づいて、異常であるかもしれない生きている組織に対する方向のインジケーターを提供する。
【請求項10】
請求項8に記載の装置であって、前記取得する手段は、見積もられた血液含有量とベースラインの血液含有量とを比較する手段を含む装置。
【請求項11】
請求項9に記載の装置であって、別の外科的なまたは診断上の機器を有し、前記別の外科的なまたは診断上の機器はS字結腸鏡であり、前記組織は結腸であり、S字結腸鏡を単独で用いるよりも結腸の多くの部分が分析され、その結腸の多くの部分は、その結腸の少なくとも別の10cmまたは30cmである装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、前記見積もる手段は、偏光およびスペクトルのデータ分析アルゴリズムを使用する装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、偏光およびスペクトルのデータ分析アルゴリズムは、血液含有量を見積もる少なくとも一つの表面および表面下層の偏光およびスペクトルのデータ分析アルゴリズムである装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、少なくとも一つの表面および表面下層の偏光およびスペクトルのデータ分析アルゴリズムは、正常組織を表すベースラインの血液含有量値からの偏差を示す血液含有量値の決定に基づく装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、表面および表面下層の偏光およびスペクトルのデータ分析アルゴリズムは、血液含有量の関数として少なくとも一つの粘膜および粘膜下の組織における血液の存在による相互作用した光の指数関数的な減弱を計算する装置。
【請求項16】
請求項13に記載の装置であって、前記見積もる手段は、少なくとも一つの一次、二次、高次の多項式、および逆指数則関数を含むヘモグロビン吸収特性を示さない波長の関数として検出データをモデリングする装置。
【請求項17】
請求項14に記載の装置であって、赤血球の影響は、読んだ光強度スペクトルへの付加としてモデルされる装置。
【請求項18】
請求項9に記載の装置であって、前記見積もる手段は、少なくとも一つの一つの組織の深さと別の組織の深さとの血液含有量の比を及び共偏光、交差偏光、および不偏光の光の一つの一次結合(linear combination)に関して演算された血液含有量の比を見積もる装置。
【請求項19】
請求項8に記載の装置であって、前記の少なくとも一つの粘膜および粘膜下の組織は結腸の一部であり、照明する、検出する、見積もる、および取得することは直腸からの測定から生じる装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−48914(P2013−48914A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−235160(P2012−235160)
【出願日】平成24年10月24日(2012.10.24)
【分割の表示】特願2009−512139(P2009−512139)の分割
【原出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(508343755)ノースショア・ユニバーシティー・ヘルス・システム (2)
【出願人】(500041019)ノースウェスタン ユニバーシティ (24)
【Fターム(参考)】