微生物を減少させる装置
本発明は、光源26を備える照射機器を含み、治療されるべき領域に塗布されて前記光源26で照射される光活性化物質が治療のために設けられている、微生物を減少させる装置に関する。この装置は、少ない装置コストと簡単な取扱性で、効果的かつ制御可能な治療が実現されるように構成されるのが望ましい。これを解決するために、光導波路2を含む少なくとも1つのアプリケータが設けられており、一方では前記アプリケータと他方では前記照射機器が、互いに対応して相互に係合する接続体4、50を有しており、前記光源26の光が、前記光導波路2を通って治療されるべき領域へ放射されることが提案される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載されている構成要件に基づく、微生物を減少させる装置に関する。さらに本発明は、特に口、あご、顔などの領域で治療をするための、このような装置の利用法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第01/87416A1号パンフレットより、光力学的療法(PDT)に基づいて光活性化物質を用いる、細菌などの微生物を減少または破壊する上記のような種類の装置および方法が知られている。光活性化物質、特に染色剤を用いて微生物が増感および/または着色され、適当な波長とエネルギー密度の光の照射後に死滅する。PDTの作用原理は、微生物への選択的な作用および/または着色の後、フォトセンシタイザまたは光増感剤とも呼ばれる、光活性化物質に対するエネルギー伝達の物理作用に基づくものである。そこからエネルギーを細胞膜での反応のために利用することができる。それにより照射機器、特にレーザ機器によって生成されるエネルギーが、微生物に集中し、「標準」環境で露光されていない状態でも進行している反応の平衡状態が変化し、その結果として微生物が破壊される。
【0003】
さらに欧州特許第0637976B1号より、歯と歯肉の間の部位である歯周ポケットにいる、疾患と結びついた微生物の破壊によって、口腔組織または口腔の傷口や病巣を殺菌または滅菌するときに利用するための医薬品の製造時に、光増感物質またはフォトセンシタイザまたは光増感剤(PS)の化合物を使用することが知られている。この場合、組織、傷口、または病巣とフォトセンシタイザとの接触が行われ、疾患と結びついた微生物がフォトセンシタイザを吸収する。フォトセンシタイザによって吸収される波長で、レーザ光による組織、傷口、または病巣への照射が行われる。このような染色剤とレーザの組み合わせによる治療の殺菌が、種々の菌とフォトセンシタイザについて、さまざまに異なる0.01%から0.00125%(単位容積あたり重量)というかなり低い濃度の、特にメチレンブルーやトルイジンブルーを用いる解決法という形態で記載されており、さらに、適用されるエネルギー密度の影響が示されている。光源としては、波長が634nmで出力が7.3mWのHeNeレーザ、ならびに波長が660nmで出力が11mWのGaAsレーザが用いられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上を前提とする本発明の課題は、少ない装置コストと、簡単な取扱性で、効果的かつ制御可能な治療が実現されるように装置を構成することである。特に口、あご、顔などの領域における局所的、表面的な感染の治療を、少ないコストと高い機能性で行うことができるのが望ましい。さらに、治療されるべき領域の、特に口腔粘膜表面のできるだけ均一な照射が実現されるのが望ましい。他ならぬ口、あご、顔などの領域では、歯牙感染も含めた感染の広がりが大きく頻度も高いことを考慮し、その点に関してこれまでにあった問題点を回避し、もしくは少なくとも問題点を減らすのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題の解決は、請求項1に記載の構成要件に基づいて行われる。
【0006】
本発明の装置は、機能が確実で診療に適した光活性化物質と照射機器を用いた治療の適用を、簡単な構造と簡単な取扱性で可能にするものである。光活性化物質は、高い濃度の溶液中で用意され、滅菌されて使用準備が整った状態で注射器に充填されるのが好都合である。水溶液またはアルコールまたはエタノール等の溶剤中のフォトセンシタイザの濃度は、高い値で設定されるのが好ましい。単位容積あたり重量で表した濃度は、0.1%よりも高く設定されるのが好ましく、0.5%よりも高く設定されるのが好都合であり、上限としては10%が設定されるのが好ましく、5%、特に3%に設定されるのが好都合である。特に、少なくとも近似的に1%の濃度が、格別に好適であることが判明している。特にレーザ機器として構成される照射機器は、アプリケーションシステムと組み合されており、アプリケータは、照射機器と特に着脱可能なように接続可能である。アプリケータは、使い捨て光学装置であるのが好ましく、これを用いて、治療されるべき領域の的確かつ正確な照射が可能となる。アプリケータは、治療のために1回しか使われないので、場合により事後的または反復的に滅菌をするための高いコストのかかる方策を行うことなく、特に衛生面の要求事項が満たされ、微生物の望ましくない伝染が確実に回避される。アプリケータは、光導波路、特に光ファイバを含んでおり、口腔内で問題なく光分布または照射を可能にするものであり、盲嚢探針または表面探針として構成されていてよい。照射機器と少なくとも1つのアプリケータは、光源の光が光導波路へ直接的に入射されるように構成されているのが好ましい。本発明の特別な実施形態では、開口数の高い光導波路または光ファイバが用いられ、開口数は0.5よりも高く、特に0.7よりも高いのが好ましい。それにより、アプリケータまたは光導波路へ光が入射されるときに、少ない損失しか生じず、それと同時に、アプリケータまたは光導波路から出る光線が大きく広がることが保証される。
【0007】
本発明の特別な実施形態では、アプリケータおよび/または光導波路が連結されているときにだけ、照射機器から光が出ることができるように、照射機器と遮蔽装置が組み合されている。アプリケータが照射機器と適正に接続されない限り、照射機器から直接光が出るのを遮蔽装置が阻止する。特別な実施形態では、照射機器、特にそのヘッド部品は、アプリケータの光導波路端部が挿入されて固定される、特に中心部の穴を含んでいる。遮蔽装置は、特に光源の光の光路、および光導波路端部の自由端および/または自由端面に配置される。本発明では、アプリケータが連結されたとき、および/または前記穴へ光導波路端部が挿入されたとき、遮蔽装置は、光路が開くように特に光導波路端部によって操作される。前記穴および/または差し込まれた光導波路端部は、光源に対して、光源の光が光導波路端部の自由端面に当り、場合により光学系により集束されるように、配置および/またはアライメントされている。アプリケータは、照射機器のヘッドまたはヘッド部品に収容するために、特にルアーコネクタの形態の接続装置または差込装置を含んでいる。さらにアプリケータは、特に口腔内の治療されるべき領域の的確な照射が可能となるように、少なくとも部分的に湾曲して構成されているのが好ましい。さらにアプリケータは、望ましくない怪我が回避されるように、少なくとも部分的に柔軟に構成されているのが好ましい。
【0008】
有利な実施形態では、光導波路は、治療されるべき領域の露光されるべき区域の形状に光射出が適合するように、光射出領域の所定の幾何学形状を有しており、平面的な放射領域、または立体的な三次元の放射領域のいずれかが生成される。さらにアプリケータおよび/または光導波路は、先端部のところにスペーサを有しており、このスペーサにより、射出される光の能動的な光環が示され、かつ/または正しい露光間隔または所定の露光間隔が規定される。別の実施形態では、光導波路は、複雑な形状をした狭い体腔および/または組織嚢への侵入が可能になるような、および/またはこれらを穏やかに開くことができるような幾何学形状を有している。光導波路は、円錐状に成形された先端部を有しているのが好ましく、垂線に対して1.5°から4°の角度をなすのが好都合である。これに加えて、光導波路に先端部の領域で10μmから200μmの範囲内の所定のミクロ構造の光射出面を設けるのが格別に好ましいことが判明している。光導波路の先端部は、10μmから40μmの範囲内、特に20μmから30μmの範囲内のRa値をもつミクロの凹凸を有しているのが好ましい。さらにアプリケータの接続体は、深さストッパが一体化された差込み型プラグおよび/またはねじ込み型プラグとして構成されており、それにより光源に対して軸方向に、照射機器に挿入される光導波路端部の所定の位置決めが保証される。
【0009】
本発明による前記装置を使用するには、まず、特に染色剤を含む光活性化物質が、高い濃度で治療されるべき領域に塗布され、次いで、媒体で、特に水ですすぎが行われ、および/または可能な限り塩基性のpH値ですすぎが行われる。次いで、照射機器の光による照射が行われ、このとき、最適化された細胞損傷が行われるのが好ましい。まず、光活性化物質を高い濃度で治療されるべき領域に塗布し、次いで、媒体で、特に水ですすぎを行い、および/または可能な限り高い酸素分圧ですすぎを行い、最後に、前述した光源の光による照射を行うのが、格別に効果的であることが判明しており、この場合、最適化された細胞損傷が行われるのが好ましい。さらに、光活性化物質を高い濃度で治療されるべき領域に塗布した後、しかも光源の光による露光の前に、特に洗い流しおよび/または拭い取りおよび/または吸い取りおよび/または吹き払いによって、光活性物質の量の低減が行われると、格別に好都合であることが判明している。
【0010】
本発明の発展形態および特別な実施形態は、従属請求項に記載されている。次に、本装置の構成およびその本発明による利用法について具体的に説明する。本装置は次のものを含んでいる。
【0011】
1.光活性化物質
特に染色剤を含み、フォトセンシタイザまたは光増感剤とも呼ばれる、溶液中に存在する光活性化物質、たとえばメチレンブルーは、特に注射器に充填され、滅菌されていて使用準備が整っている。治療されるべき領域へ塗布するために、特に0.45mmの外径と25mmから40mmの長さを有し、特に30度から45度だけ折曲され、弾性的に構成された、特にカニューレ26gが設けられている。
【0012】
2.好ましくは次のような実施形態の光源を備える、照射機器、特にレーザ機器または治療用レーザ
a.光学系、特にレンズセット、および光導波路と連結するための好ましくはネジ止め可能なアタッチメント。
b.レンズセットを含まない直接的なビーム入射部、ダイオードの手前の光空間。それにより、光導波路が連結されていないときは、光導波路の連結のために設けられたアクセス部からわずかな光しか拡散して漏れない。さらに本装置は、モニタリング付きのダイオードを使う場合、反射される光によってダイオードが制限を受けるようになっているのが好ましい。
【0013】
照射機器は、遮蔽装置を含んでいるのが好ましく、この遮蔽装置により、照射機器とアプリケータが接続されていない間は、光射出が阻止される。
【0014】
3.アプリケーションシステム
特にそれぞれ1回だけ使用され、光導波路およびプラスチック外装を有しているのが好ましい、使い捨て光学系またはアプリケータ。これは柔軟であり、かつ/または滅菌されており、かつ/または使用準備が整っており、かつ/または上に挙げた両方の照射機器について互換性があるのが好ましい。1つまたは複数の光導波路の材料としては、ガラスまたはプラスチックが意図され、特に、できるだけ大量の光を入射し、さらに光を広い領域へ放射するために、好ましくは0.5を超える広い開口数を備えている。照射機器とアプリケータとの間の着脱可能な接続に基づき、そのつどのアプリケータが、本発明の枠内では比較的簡素に構成された低コストな構成部品として、かつ「使い捨て製品」として1回だけしか使用されず、その後は処分されることに格別な意義がある。
【0015】
アプリケータの次の2通りの実施形態が意図されるのが好ましい。すなわち、
a.特に歯周ポケットを露光するための円錐状の放射領域を備える盲嚢探針。1回のステップで、ポケットが開かれ、組織が脇へ押しのけられ、その領域が放射により前方へ円形に露光される。光の放射を拡散的に実現するために、表面が粗面化されている(たとえばサンドペーパ100による研削)。
b.好ましくはスペーサを備える、表面領域を露光するための表面探針。
i.その長さは、組織との適切な間隔の目印となる。
ii.その角度は、治療で必要な光出力が印加されている領域の目印となり、1つの領域への重なり合う照射が容易になる。
【0016】
4.さらに特別な発展形態では、治療コントローラ、および/またはPC用のプログラム、および/または独立した表示器とコントロールユニット。これらは、治療中に施療者を誘導し方向づける役目をする。それにより、特に露光されるべき面の広さの選択や歯の本数の選択が可能となり、特に次のような事柄が表示される。
a.フォトセンシタイザの作用時間
b.領域のすすぎ時間
c.1cm2ごと、または歯1本ごとの露光時間、および歯1本ごと、または1cm2ごとの露光終了を知らせる音響信号
d.治療の終了
【0017】
次に、本装置の各コンポーネントについて説明する。
【0018】
長波の放射は、短波の放射よりも組織に深く侵入するので、照射機器のエネルギー源または光源は、該当する波長領域で十分に多い光の浸透が組織で起こるように構成されている。光活性化物質の吸収最大値がある領域、たとえばメチレンブルーの吸収最大値がある領域(Nacl中では664nm、または96%エタノール中では655nm)で、光による十分に深い組織への浸透が行われる。600nmから900nmの間のいわゆる光学窓では、光は、ヘモグロビンやメラニンといった発色団によって非常にわずかしか吸収されない。
【0019】
エネルギー源または光源としては、特にレーザシステムが適している。レーザ(放射の誘導放出時における光増幅)は、単色、コヒーレント、かつコリメートされた光を高い出力で出すことができる光源である。コヒーレントな光とは、時間的にも空間的にも同じ位相で進行する波列を意味している。
【0020】
本発明に基づいて設定される低い出力密度またはエネルギー密度(0.1mW/cm2から100mW/cm2)の範囲内では、実質的に光化学プロセスが有効となる。その場合、光の吸収が、主に組織の加熱につながるのではない。熱を伝えないレーザアプリケーションによって生起される生体物質内でのこのような効果は、「レーザで誘発された生体刺激」と呼ばれる。以下においては光増感剤とも呼ぶ、フォトセンシタイザの使用のもとで、この種のレーザは、光力学的療法(PDT)のための光源として利用される。このようなレーザでも、出力密度またはエネルギー密度が高い場合には、光熱効果で誘発される現象が生じる可能性がある。
【0021】
ダイオードレーザでは、励起されたときにVIS領域またはIR領域でコヒーレントな放射を放出する半導体結晶が、能動媒質として用いられる。このようなレーザでは、電流によってフォトンが直接生成される。
【0022】
有利に用いることができるフォトセンシタイザとの関連で、照射機器としては、以下においてHELBO TheraLiteと呼ぶ専用のダイオードレーザが使用される。このダイオードレーザHELBO TheraLiteは、特にメチレンブルーに適している。
【0023】
このレーザシステムは、次の特性を備えることを特徴としている。
・ 光源 ダイオード
・ 波長 660nm(+5)
・ 出力 最大100mW
・ モード Cwまたは連続発振
・ 光出力 >40mWであり、<50mWである
・ 冷却システム 空気
・ エネルギー供給 電池または蓄電池。
【0024】
光放射またはレーザ放射の伝達は、本発明ではアプリケーションシステムによって可能となる。アプリケーションシステムは、アプリケーションの地点で所望のビーム幾何形状ができるように作用し、特に、治療のためのレーザ放射の簡便な取扱性を可能にする。アプリケーションシステムの一部は、光ファイバである。
【0025】
口腔内における効果的かつ制御可能な治療という目標設定のもとで、可能な限り均一な口腔粘膜表面の照射が実現される。ただし口腔は幾何学形状が複雑であり、平坦な幾何学形状とは明らかに異なる、骨、歯、粘膜といった吸収性の非常に異なる構造物が存在するという特徴がある。その対処は、本発明のアプリケータによって保証される。
【0026】
光ファイバシステムは、口腔内のようにアクセスが複雑な領域でも必要なエネルギーを誘導することができる。光ファイバへの入射のために、照射機器のレーザの一次放射が直接的に、またはレンズセットを経由して、ファイバ端部へ集束される。ファイバの開口数は、放射がほぼ光導波路へ入るように入射角を規定する。
【0027】
光ファイバのビーム発散度は、ファイバヘッドへの入射の種類、および照射機器の種類によって規定されるとともに、同じくファイバ自体の開口数(開口角の正弦)によって規定される。発散を大きくすれば、いっそう広い放射角が可能となる。
【0028】
エネルギーが著しく低下するファイバ、または、照射される面全体にわたる光分布が著しく変動するファイバが使用される場合には、露光領域がしばしば重なり合って照射される。
【0029】
裸のファイバに比べて有利に設けられるマイクロレンズファイバは、ほぼ均一な照射プロファイルを有している。最適化されたマイクロレンズファイバにより、照射される面全体にわたる約96%の均一性の出力分布を実現することができる。マイクロレンズファイバを使えば、放射領域の重なり合いは不要であり、その結果、感染領域を最高度に効果的にカバーするという可能性が与えられ、不要な重なり合い領域が生じることがない。
【0030】
アプリケーションモード(口外または口内)は、所見の範囲に応じて選択される焦点面積に応じて決まる。
【0031】
好ましい代替案は、本発明によれば、同じく均等に照明される領域を生成することができる開口数の非常に大きいファイバである。
【0032】
このとき本発明では、高いコストのかかるファイバ先端部の研削を回避し、口内領域の照射のために、臨床的に有意義な0.5cmから1cmの間隔を守れるようにするために、少なくとも0.5、特に0.7またはそれ以上の開口数が設定される。
【0033】
本発明の枠内では、盲嚢探針および/または表面探針として構成されたアプリケーションを備える、特に下記のようなアプリケーションシステムが適用される。このアプリケータは、外装に埋設され、特にレーザ機器である照射機器への接続部を備える入射面と、特別に研削された、および/またはミクロ構造を有する放射領域とを有するプラスチック光導波路を含んでいる。
【0034】
次に、図面に示す特別な実施形態を参照しながら本発明について詳しく説明するが、これらの実施形態への限定を行うものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1は、15.5mWの出力で、ガラス表面に対して垂直に配置された盲嚢探針の測定結果の表を含んでいる。ここでは、光ファイバの直径に対して、光源からの距離を考慮したうえで、測定された出力が単位mWで掲げられている。ここで付記しておくと、好ましくは0.1%よりも高い濃度、特に1%のオーダーの高い濃度の溶液中のフォトセンシタイザが用いられるのが好ましく、図1ではフォトセンシタイザとして溶液中のメチレンブルーが意図されている。
【0036】
図2または図3には、アプリケータとしての盲嚢探針と表面探針が示されている。ここでも他の図面と同じように一例として記載されているミリメートル単位の寸法は、必要に応じて変更できることは言うまでもない。アプリケータは、大部分が外側を保護外套4で覆われている、ファイバとして構成された光導波路2を含んでいる。さらにアプリケータは、好ましくはルアーコネクタとして構成される接続体6を有しており、この接続体を介して、照射機器のヘッドでの接続または収容が行われる。光導波路2は、接続体6に挿通されており、本発明によれば、所定の長さをもつ端部8が、図2では5mmだけ接続体から突出している。光導波路端部8は、保護外套を備えておらず、アプリケータを連結するときに照射機器のヘッド部品に挿入され、その内部で位置決めされる。光導波路2は、少なくとも部分的に柔軟に構成されており、および/または湾曲領域10を含んでいる。それ以外のアプリケータの寸法は、口腔へ問題なく挿入することができるように設定されている。
【0037】
レーザ放射は、両方のアプリケータで使用される、中心直径が1mmのレーザの場合、先端部12の領域における材料特性や研削幾何形状に基づき、30°から60°の範囲内、好ましくは40度から55度の範囲内の発散角で、前面に向かって射出され、または盲嚢探針の場合には、220度から300度の範囲内、好ましくは240°から290°の範囲内、特に260度から280度の範囲内で円形に射出される。
【0038】
このような諸特性によって、アプリケータは、単純あるいは複雑な形状をもつ表面を正確に照射するための、容易に適用可能な光学器具となっている。
【0039】
光活性化物質を溶液中に含むアプリケーション注射器14の構造と組立方法が、図4と図5に示されている。光活性化物質を溶液中に含む注射器14は、使用準備が整った状態で納品される。使用前に、先端部を丁寧に回すことによって閉止キャップを取り外し、同梱されている滅菌されたカニューレを、注射器のルアーロックアダプタへ固定しなければならない。指の位置が正しくなるように留意する。患者には治療前に丁寧に説明しておく。治療されるべき領域の準備を整えるために、臨床外科の観点から必要な措置を実施した後、包装を開封し、光活性化物質が入ったブリスター、カニューレが入ったブリスター、および場合により使用説明書を取り出す。初回の使用前には使用説明書を読む。滅菌の予防策を考慮しながら、滅菌されたOPトレイの上で両方のブリスターから中身を取り出す。このように注射器とカニューレは、滅菌状態にあり、滅菌領域で適用するのに適している。シリコン栓を注射器から丁寧に取り外し、カニューレをねじ込んでルアーテーパ部に固定する。
【0040】
図6は、アプリケータのまだ曲げられていない光導波路区間を、領域16に配置される接続体を省略して示している。この領域16と自由端18の間には、保護外套4が設けられている。さらに自由端18には、スペーサ20が配置されており、このスペーサにより、治療されるべき領域に対する、ここでは5.5mmである所定の間隔が設定される。
【0041】
図7は、盲嚢探針のための光導波路区間を示しており、自由端22が保護外套4の手前で露出しており、7mmの長さを有している。自由端22は研削されており、粒径100の研磨紙での加工に準ずる表面を有している。自由端22の先端部24は、尖鋭でなく構成されており、および/または半径を備えている。表面は、所定のミクロ粗面を有しているのが好ましい。このミクロ粗面は、10μmから40μmまでの範囲内、好ましくは20μmから30μmまでの範囲内のRa値を有しているのが好ましい。
【0042】
図8は図4に類似するアプリケータを示しており、自由端にはスペーサ20が配置されている。本実施形態では光導波路端部8は、ここでは10mmの長さだけ接続体6から突出している。
【0043】
図9には、図3に類似する盲嚢探針の曲げられた光導波路区間が示されており、自由な光導波路端部8は、所定の長さだけ、ここでは10mmだけ接続体6から突出している。
【0044】
図10には、スペーサ20の有利な実施形態の側面図が示されている。
【0045】
図11は、スペーサ20を備えている収縮した光導波路を有する表面探針を、部分側面図として示している。
【0046】
図12と図13は、表面探針を部分的に示しており、図12では表面探針は、0.72の開口数を有している。
【0047】
照射機器の光学系が、図14から図16に示されており、図14では垂直方向に最大35のビーム発散度が設定されており、図15では平行に最大10°のビーム発散度が設定されている。特に図16の分解図から明らかなように、レーザダイオード26は、ねじ付きスリーブ28に配置されている。これは、モニタダイオードを含む、670nm連続発振用の100mWの多モードレーザダイオードである。円錐部30には対物レンズ32があり、さらに、別の対物レンズ36のためのレンズホルダ34が設けられている。さらに調節リング38ならびに収納体40が設けられている。
【0048】
図17は、光学系を省略して照射機器を示しており、ハウジング管42の中に、電子装置への電流供給のために必要な電池のための電池管44がある。図面では下側にあたるハウジング管42の後側端部では、キャップ46が、ネジ結合によってハウジング管42と着脱可能に連結されており、または連結可能である。さらにハウジング管42またはキャップ46の後側端部には、錠スイッチ48が設けられており、この錠スイッチにより、照射機器またはレーザ機器をオンオフ可能である。保護ハウジングとして構成されたハウジング管の前側端部には、アプリケータを収容し、中央の穴52を通して光線を出力するように構成されたヘッド部品60が配置されている。
【0049】
HEL−BOTherLiteレーザとも呼ぶ、有利に構成された照射機器との関連では、露光のために次のような光出力を利用することができる。
【表1】
【0050】
有利に使用される光活性化物質は、滅菌された等張性の濃い青色をした無臭の水様液である。この液は、照射機器と組み合わせた致死性光力学的療法のために、微生物の着色と増感をするための、フェノチアジン−5−イウム(ium),3,7−ビス(ジメチルアミノ)−クロライドを含んでいる。
【0051】
溶液1mlには次のものが含まれる。
・ 1%フェノチアジン−5−イウム,3,7−ビス(ジメチルアミノ)−,クロライド
・ 等張化のためのグルコース
・ 粘性を調整するためのMHPC(メチルヒドロキシプロピルセルロース)
・ 容液を緩衝するためのクエン酸塩。
【0052】
浸透圧モル濃度は、人間組織の浸透圧モル濃度とほぼ一致する。
【0053】
光活性化物質を含む溶液は、ガラス注射器に封入され、シリコーンでできた栓で閉止されている。充填量は0.5ml+/−0.1mlである。ガラス注射器は、ブリスターで封印されており、認定済みの滅菌プロセスで蒸気滅菌されている。前述の溶液は、5つのブリスターに入れて使用説明書とともに厚紙で包装されているのが好都合である。同じくそれぞれブリスターに包装されて滅菌された5つのカニューレ26Gも、同梱されている。
【0054】
光活性化物質は、致死性光力学的レーザ療法の一環として、特に口、あご、顔などの領域の局所的な表面感染の場合に、微生物の着色と増感をする役目を果たす。これに続く照射機器での露光によって、着色された微生物が除去され、自然の口腔微生物叢が回復される。
【0055】
外科的な切開や掻爬が行われている、または行われていない感染領域で、および病変近傍で、局所適用が次のように行われた。すなわち、水で20秒のあいだすすぎを患者に2回施す。光活性物質の希釈を防ぐため、治療されるべき面に付着している唾液や血液を吸い取り、もしくは拭き取る。
【0056】
感染した組織領域にまんべんなく注射器により塗布される光活性化物質の適用を、ゆっくりと開始する。その量は、必ず、光活性化物質が感染領域の表面をできるだけ薄く湿潤するように選択する。組織にある陥凹や嚢の完全な湿潤を確保する。場合により、形態が複雑な場合には、送風機で入念に分散させる。光活性化物質の作用時間は、少なくとも60秒である。少なくとも3秒のあいだすすぎ、同時に余剰の溶液を吸い取ってから(沈積した染色剤は必ず取り除くこと)、照射機器で露光する。菌を減少させる作用にとって、すなわち治療効果にとって重要なのは、エネルギー供給すなわち露光の正しい調量である。
【0057】
必要なエネルギー密度(J/cm2)を決定するための主要な量としての、所定の治療面積に応じた治療時間が、治療者による施療制御に含まれる。照射機器による1cm2あたりまたは歯一本あたり、少なくとも1分の露光時間を遵守する。
【0058】
照射中における半径rの病変の照射面積Aを計算するため、次の式を利用する。
a.盲嚢探針を使ったとき。欠陥部の面積F=幅B×高さ×2、すなわち1つの4分円部位あたり、以下の通りである。
【表2】
【0059】
盲嚢探針についての露光プロトコル
b、スポット探針を使ったとき。欠陥部の面積F=(πr2)
出力密度(FD)は、次式により計算される、
FD(Watt/cm2)=出力(Watt)/照射面積(cm2)。
【0060】
エネルギー密度(ED)は、次式により計算される、
ED(Wattsec/cm2)=出力(Watt)×時間(sec)/照射面積(cm2)。
【0061】
そのつど選択される線量を、次の表にまとめて掲げる。通常、0.55cmの間隔で照射が行われ、0.051W/cm2の出力密度で、3J/cm2の総線量が使用される。
【表3】
【0062】
スポット探針についての露光プロトコル
光活性化物質またはMB等の生体染色剤によって細菌に着色し、適当な波長の光で照射すると、効果的な光毒性作用を誘起することができる。着色されていない細胞は、毒性による損傷を示さない。病原性の可能性がある細菌を光化学的に殺すことは、飲み水にメチレンブルーを混ぜることによって、毛皮獣飼育場や動物園で行われている。
【0063】
ヘルペスに起因する疾患を局所的に治療するための光増感剤としては、25年前からMBが用いられている。腫瘍内で適用されるメチレンブルーの暗毒性および光毒性(PDT)については、結腸腫瘍で実験的に研究されている。少ない総線量の照射(6J/cm2)だけによって、あるいは物質の投与だけによって(20μg/ml)、このような腫瘍を破壊することは実現されていない。
【0064】
MBの投与は、発汗量の増加、不快感、嘔吐といった全身の副作用につながる可能性がある。
【0065】
経口投与の場合、胃腸の痛みや排尿障害が起こる可能性がある。溶液の調合に含まれる内容物質は次のとおりである。
【表4】
【0066】
光活性化物質の内容物質
本件の生体適合性の評価からすると、調合で用いられる物質は、生体適合性、催奇性、変異誘発性に関して、所与の適用条件下であれば、希求される治療目標の観点から容認されると判定される。
【0067】
光増感剤(PS)の局所適用により、抗生物質あるいは全身に適用されるPS等の薬剤の全身適用の主要な問題、たとえば物質毒性や数週間にわたる全身の皮膚の光増感といった問題が解消される。局所適用により特異性を高めることができるので、たとえば病変周辺にある粘膜などの健康な組織が保護される。
【0068】
副作用が少ないので、反復して治療をすることができる。さらにこの療法は、非侵襲的であるという特徴がある。
【0069】
PSの局所施用の後、口腔粘膜の唾液発生の増加が誘起されるのが通常であることによって、局所的な濃度が影響を受ける。このような唾液発生の増加は、PS濃度の低下につながり、病変への染色剤の浸透度を引き下げる。しかも唾液タンパク質は、非特異性結合によってPSの不活性化を引き起こす。特に粘性のある溶液へPSを投入することで、本発明によれば、治療時間のあいだ唾液との混合、希釈、反応が少なくなる。
【0070】
少なくとも60秒と指定されている作用時間の後、本発明によれば、治療される組織の光透過性を高めるために、余剰のPSが取り除かれる。
【0071】
測定結果が示すところでは、組織上に存在する光活性化物質100μmを含む溶液の液体膜は、有効なエネルギー密度を97%低下させる。層厚がさらに2倍になると、ランバートベールの法則に従い、光はいっそう弱められる。したがって光活性化物質を含む余剰溶液のもとでは、治療効果のある照射は不可能である。
【0072】
口腔粘膜病変の効果的なPDT適用のためには、50J/cm2から100J/cm2のエネルギー密度が推奨される。このときエネルギー線量は、所見の種類や部位確認に準じて決める。口腔粘膜は、一般にきわめて痛みに敏感なので、150mW/cm2を超える出力密度は回避するのが望ましい。200mW/cm2から500mW/cm2の間の出力密度は、熱による非特異的な組織損傷につながる恐れがある。
【0073】
病変領域における均等な線量を実現するために、照射面積をそのつど病変の面積よりも広く選択するのがよい。
【0074】
PDTのための約100J/cm2の光線量は、さまざまなやり方で実現することができる。すなわち、高い出力密度と短い暴露時間、あるいは低い出力密度と長い暴露時間などである。高い出力は、前述したような熱による損傷が生じるので採用できない。その一方で出力密度が低すぎると、照射時間を相応に長くしても、光力学的な効果を達成することができない。
【0075】
メチレンブルー溶液は、培養基の中にある実験対象の微生物すべての数を減らすことができる。
【0076】
メチレンブルー溶液は、25μmolから44μmolの濃度で、試験官内のほぼすべてのグラム陽性細菌を減少させる。
【0077】
グラム陰性菌の完全な低減には、これよりも3倍から30倍高い濃度が必要である。緑膿菌は、200以上のmol濃度と100mW/cm2のエネルギー密度で、3.5log10CFUだけ減少した。
【0078】
観察された暗毒性は、トルイジンブルー(TB)のほうがメチレンブルー(MB)よりも大きかった。これは、TBについて0.33、MBについて0.11と規定されていた分布係数Pと一致した。
【0079】
このように、logP<0であったので、両方の染色剤は親水性と呼ぶことができ、少なくとも理論上は、水で充填されたグラム陰性菌のポーリンタンパク質チャネルを通過できるはずである。
【0080】
グラム陽性細菌に対する暗毒性は、類型にほとんど左右されなかったのに対し、グラム陰性細菌に対する暗毒性は、グラム陰性細菌の外側膜の膜内外透過係数に準じて、きわめて明瞭に類型に左右されていた。
【0081】
暗毒性は、濃度と照射前の培養時間との両方に左右されていた。
【0082】
黄色ブドウ球菌は、グラム陽性群についてもっとも抵抗力の強い細菌であると同定され、その根絶のためにはもっとも高い濃度が必要であった。
【0083】
緑膿菌は、グラム陰性群についてもっとも抵抗力の強い細菌であると同定され、その根絶のためにはもっとも高い濃度が必要であった。
【0084】
グラム陰性細菌では、光力学的感度は膜内外透過性に左右され、染色剤分子の親水性、正の帯電、および低い分子量が効果を促進する。
【0085】
本件の治療の取組については、微生物に感染した領域の治療のためにわずか60秒の作用時間と、これに続く露光前のすすぎとが意図される。
【0086】
この療法の選択されたパラメータ、特に次のようなパラメータが、確実な治療結果を保証するのに適している。すなわち、
・ 溶液中の光活性化物質の1%の濃度
・ 2.4Jのエネルギー
・ 50mW/cm2の出力密度
・ 3J/cm2のエネルギー密度
・ 60秒の培養時間とこれに続く溶液の洗い落とし。
【0087】
他方、このような周辺条件を遵守すれば、考えられるリスクと副作用が限定され、期待される明るい見通しの側面に光をあてて適切な説明をすれば、患者もこれを受け入れることができると考えられる。
【0088】
PDTは、光増感剤(PS)がレーザ放射によって活性化され、局所的に毒性作用のある酸素ラジカルの生成に利用されるように、照射エネルギーを「小分け」する光化学プロセスに基づくものである。選択された3J/cm2のエネルギー密度と50mW/cm2の出力密度のとき、熱による組織の損傷が確実に回避される。
【0089】
PDTの臨床利用が可能なのは、染色剤溶液が、細胞システムを選択的に着色し、その一方で、上皮との相互作用はきわめて限られているからである。正常な口腔粘膜を使った実験が示すところでは、10分間の培養時間後におけるMB溶液の侵入深さは、上皮の最初の外側細胞層1つから2つに限られていた。さらに、活性ラジカルおよびその前段階の寿命は、マイクロ秒以下であり、拡散によって健康な組織へ破壊的効果が拡大することは、必要な時間が足りないので事実上あり得ない。
【0090】
このように作用は、PSの染色剤分子の存在如何にかかっている。
【0091】
光力学的に活性のある調合物質として、たとえばメチレンブルーを選択した理由は、一方では、選択された治療条件のもとでメチレンブルーの毒性が低いことであり、他方では、下記のように664nmの吸収最大値が好都合な位置にあることにある。すなわち、
・ この波長については、レーザビームを生成するのに高性能で効率的なダイオードを利用することができる。
・ 可視光線の領域内で治療が行われ、このことは治療の安全性と効率性に決定的に寄与する。
・ この波長領域では、組織への光の侵入深さが、貫通性の菌の生息場所へ到達できるようにするためにも十分に深い。
・ 一重項酸素の生成が、殺菌の主要な作用メカニズムであり、他方、健康な細胞は、このラジカルをカタラーゼによって分解することができる。
・ 他方、ビタミンCやビタミンEといったビタミンの効果により、ある程度の保護がなされる。
・ 照射を行ったときと行わないときのMBのスペクトル測光検査によれば、適用されるエネルギー密度の増加につれて、ほぼ直線的な消光の低下が起こっている。染色剤分子の破壊による光漂白は、治療で印加されるエネルギー密度を係数7だけ上回るエネルギー密度のときに主要範囲で起こる。
・ この領域では、組織再生を促進して局所的な物質交代状態を安定化させる、サポート的な光生物学的効果が起こる。
・ メチレンブルーは、記録されたとおりの純粋な形態で使うことができ、調合で使用すると安定した溶液ができる。
・ この溶液は、医療環境の条件下で注意して指示どおりに適用すれば、簡単かつ安全に取り扱うことができる。
・ 適用時に生じる廃棄物が比較的無害である。
【0092】
染色剤と光源の相互調整により、グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌に対してだけでなく、カンジダアルビカンス等の菌類に対しても作用を示し、微生物の低減により、身体独自の抵抗力を時間的に限定的にサポートして臨床症状を改善させることができる、治療面で有効なシステムが提供される。
【0093】
アプリケータHELBOPocketProbeを使えば、本発明に基づき、実質的に1J/cm2から7J/cm2の範囲内のエネルギー密度、好ましくは2J/cm2から4J/cm2の範囲内のエネルギー密度、特に均等な実質的に3J/cm2のエネルギー密度を、口腔の後方領域における歯の周辺や歯と歯の間の複雑な領域でも適用することが可能である。
【0094】
光力学的療法の採用により、サポート的な光生物学的効果によって、急速な痛みの解消と創傷治癒の迅速化とを観察することができる。
【0095】
治療中の副作用として、散発的な灼熱感が観察されたが、これは治療の終了後に急速に鎮静化する。
【0096】
次に、本発明の特別な実施形態について、図18から図27を参照しながら詳しく説明する。以下においては治療用レーザとも呼ぶ照射機器は、光線力的療法(PDT)に用いられるものであり、特にレーザ機器として構成されている。これは、遮蔽装置を含んでおり、この遮蔽装置によって、光導波路を含むアプリケータが連結されたときに、光路が自動的に開かれる。アプリケータおよび/または光導波路が照射機器またはレーザ機器に連結されない限り、本発明に基づいて構成された遮蔽装置により、レーザ光がレーザ機器から射出されないように阻止される。遮蔽装置は、特に、アプリケータまたは光導波路が連結されているときにだけ、レーザ光が射出されるように構成および配置されたロック体を含んでいる。遮蔽装置のロック体は、不安定な位置に配置されており、アプリケータまたは光導波路が適正に連結されたときにだけ、光路を開くためにその位置から動くことが可能である。遮蔽装置は、特に照射機器のヘッド部品に組み込まれている。別案として、遮蔽装置は、照射装置のそれ以外の個所に構成されていてよく、および/または別様に構成されていてよく、特に光学系に組み込まれていてよい。本発明による照射機器は、次のような形で、ダイオードまたはレーザダイオードから光が光導波路へ直接入射されることを保証する。
1.特に0.5よりも大きく、好ましくは0.7よりも大きい開口数の大きな光ファイバが利用されることによって、少ない損失しか生じず、それにより、光がファイバから射出されるときに大きく広がるので、比較的広い面積が均等に照射されことが保証される。
2.光導波路が挿入または連結されているときだけ、事前に取り付けられた遮蔽装置によって光射出が可能となり、それ以外のときはレーザ機器からの直接的な光射出が阻止される。したがってレーザ機器を保護眼鏡なしで作動させることができ、レーザ機器の意図される出力では、原則的に必要になるはずのレーザ安全管理受託者を任命しなくてよい。
【0097】
利用される光導波路の高い開口数に基づいて、一方では、治療されるべき領域で光射出時または照明時に前述したような散乱効果が実現され、他方では、アプリケータまたは光導波路のレーザ機器のほうを向いている側で、レーザまたはダイオードと光導波路との間にレンズ系が不要となるような形で、集光効果が確保される。
【0098】
照射機器またはレーザ機器の使用時、および/または光力学的療法を行う装置の使用時には、次に掲げるようなステップに格別に大きな意義がある。
1.まず、フォトセンシタイザを含む溶液を、特に歯のプラークへ溶液ができるだけ迅速に侵入するように、治療されるべき領域へ高い濃度で塗布する。
2.これに加えて、イオン濃度ができるだけ低い媒質で、特に水で、すすぎを行うのが好ましく、そのようにして生成された浸透圧勾配に基づいて、細菌および/または細胞膜が脅かされるようにする。付言しておくと、たとえば生理食塩水は、イオン濃度が比較的高いので不向きである。媒質のpH値は、どちらかというと塩基性に設定されるのが好ましい。7から9のpH値が設定されるのが好ましい。酸素分圧は高く設定されているのが好ましい。本発明の枠内では、すすぎを行うための媒質、特に調製された水道水は、4mg/lから6mg/lの範囲内の酸素分圧を有している。この媒質に分子酸素が最大14mg/lまで添加されると好都合である。さらに本発明によれば、好ましくは0.5%から3%の過酸化水素溶液として、過酸化物が添加されるのが好都合であることが判明している。
3.濃度の低い媒質で事前にすすぎが行われているので、レーザ光による照射のときに、最適化された細胞破壊が行われる。
【0099】
(照射機器またはレーザ機器の説明)
機器は、電池または蓄電池で作動し、光源または放射源として、連続発振(cw)で作動する半導体レーザ(レーザダイオード)を使用する。図18は、照射機器またはレーザ機器をアプリケータなしで横から示している。放射源は、円筒状の金属製保護ハウジング42に組み込まれている。ハウジング管42を含む保護ハウジングの長さは、約124mm、直径は約16mmである。電池または蓄電池を入れる保護ハウジング42の端部には、電池を入れた後で接触キャップ46がネジ固定される。作動準備が整った状態は、封印キャップとして成形された錠スイッチ48を、接触キャップ46へ挿入することで成立する。動作状態は、さまざまな色のLED54によって表示される。
【0100】
保護ハウジング42のもう一方の端部では、ヘッド部品50が保護ハウジング42にネジ止めされ、これと接着されており、それによって放射源への直接的なアクセスが防止される。ヘッド部品50は、一方ではアプリケータを収容し、それによってレーザビーム射出の役目をするとともに、他方ではロックメカニズムを内部に含んでいる。最後に押しボタン56を押すことで、半導体レーザが作動する。
【0101】
(アプリケータ)
図19は、アプリケータの2通りの実施形態を示しており、上側部分に図示されているアプリケータAは、図2に類似する盲嚢探針であるのに対して、下側部分に図示されているアプリケータBは、図3に類似する表面探針である。両方のアプリケータは、直径が約1mmの透明なプラスチック光導波路でできており、レーザ機器のヘッドへ収容するためのルアーコネクタを有しており、曲げられており、ルアーコネクタとビーム射出端部との間では白色の保護外套で取り囲まれている。ルアープラグの側の(保護外套のない)光導波路端部が、保護ハウジングのヘッドに差し込まれる。
【0102】
アプリケータAは、若干テーパ状になった先端部を有しており、その表面は、最後の5mmまで粗面化されている。この粗い表面は、レーザ光がほぼすべての空間方向に放射されるように作用し、光導波路の軸方向でもっとも大量のエネルギーが放出される。アプリケータBは、レーザ光の射出面として平坦な端面を有している。これに加えて、光導波路端部のところにワイヤループがスペーサとして組み込まれている。アプリケータAとは異なり、レーザ光は、発散する円錐状の放射特性を有しており、それによって軸方向にいっそう多くのエネルギーが放出される。したがって、アプリケータBのほうがレーザの安全性という観点から高い潜在的危険性を含んでいるので、以後のすべての測定にはアプリケータBを使用している。
【0103】
(遮蔽装置/ロックメカニズム)
図20に示すロックメカニズムは、断面が「H」字型をした回転対称なロック体58を含んでおり、このロック体は、中心部に直径1.01+0.02mmの穴60を有している。ビーム射出部と反対を向いているほうの「H」の切欠きに、レーザダイオードが位置決めされ、作動状態のとき、ロック体58の穴60を通してビーム射出部の方向へ光を放出する。
【0104】
ビーム射出部のほうを向いている「H」の凹部には、同じく中心部にある直径1.01+0.02mmの穴を備える、円形のロックディスク62がある。このディスク62の外径は、ロック体58の内径よりもはるかに小さいので、図20では、ディスクが凹部の中へ変位することができる。しかし、ロックディスクは、線ばね(ロックばね)によって偏心的に保たれる。それにより、このディスク62は、ロック体の穴を覆っており、レーザ光が射出されることがない。線ばね64は、ロックディスクの円周にある溝で案内されている。図21、および図22のロック体58とロックディスク62の分解図から明らかなように、切欠きにロックディスクが可動に配置されているロック体58は、ダイオードホルダ68の中に配置されている。図22の分解図では、上に挙げたロック体58とロックディスク62の両方の穴を、良く見ることができる。
【0105】
アプリケータの光導波路をストッパまで挿通することによって初めて、ロックディスク62が、中心の位置へと押圧され、それによってロックディスク62の穴とロック体58の穴が重なり合い、レーザ光を光導波路へ入射することができるようになる。光導波路が引き抜かれると、線ばね64が、ロックディスク62を初期位置へと押し戻し、レーザ光が遮断される。ここに図示した線ばね64に代えて、本発明の枠内では、アプリケータおよび特にその光導波路端部が照射機器と適正に接続されているときにだけ、レーザ光の射出を可能にするために、それ以外の復帰部材が設けられていてよい。
【0106】
図23は、照射機器の断面図を示しており、図24は、その前側部分を拡大して示している。この照射機器は、すでに上に説明したものと基本的に対応しており、遮蔽装置またはロックメカニズムを追加的に含んでいる。ハウジング管42で取り囲まれた電池管44の中には、電池スプリング72によって付勢される3つの電池70が配置されている。接触のために、コネクタブッシュ74がブッシュ案内部76に配置されており、さらにディスク78とスペーサディスク80がある。さらに、電子装置または電子装置配線板84との接触のために、2つのコネクタピン82、83が設けられている。電子装置配線板84の上には外部から操作可能な押しボタン56が配置されており、特に密閉のために、押しボタン膜86が球88とともに設けられている。電子装置84を備える内部領域から前方に続いて、かつ後側の絶縁部90によって分離された状態で、衝撃ボルト92を備える領域が設けられており、さらに前側の絶縁部94がある。さらに、ハウジング管42の内部には、2つのOリング96、97が配置されている。ハウジング管42の前側端部には、ヘッド部品60が配置されており、その前側端部は、ここには詳しくは図示しないアプリケータの接続体またはルアーコネクタ4に係合する。ヘッド部品50の中には、レーザダイオード26を備えるすでに説明したダイオードホルダ68が配置されており、電池管44のほうへ後方に向かって絶縁ディスク98が設けられており、ならびに、接触に必要なワイヤを含むダイオードのためのプリント基板100が設けられている。これに加えて、放射方向で見てレーザダイオードの前方には、保護膜102が設けられており、この保護膜によって、レーザダイオードが外部の影響から守られるのが好ましく、これに加えてOリング104が設けられている。さらに、ヘッド部品50の内側の切欠きには、すでに説明したロック体58、ロックディスク62、ならびにロックばね64が配置されている。
【0107】
図25は、ロック体58の軸方向断面による断面図を示しており、そのH型の横断面を良く見ることができる。当然ながら、特別な実施形態について記載しているミリメートル単位の寸法は、別様に設定することもできる。
【0108】
図26には、すでに述べた穴106を中心部に含むロックディスク62を示す軸方向断面による断面図が示されている。ロックディスクは、外側円周に溝108を有しており、線ばねまたはロックばねがこの溝に係合している。
【0109】
最後に、図27は、ロックばね64の図面を示している。遮蔽装置のこれ以外の実施形態については、ロックばねの寸法も、他の構成部品の寸法と同じく別様に設定できることは、特に強調する必要をみない。
【0110】
(遮蔽装置の機能説明)
遮蔽装置は、次の個別部品を含んでいる、すなわち、
・ ロック小板/ロックディスク
・ 遮蔽装置のばね/ロックばね
・ ロックホルダ/ロック体
・ ダイオードホルダ/ダイオードホルダ
・ ダイオード
・ ヘッドR60/ルアーコネクタ用のヘッド。
【0111】
(各部品は次のように配置される)
ダイオードは、ダイオードホルダに入れ、ESD配線板で後方から固定する。するとダイオードが、ダイオードホルダの中に収まる。ダイオードをダイオードホルダの内径によってアライメントする。そして、ロックホルダをダイオードに押し被せることができる。ダイオードホルダの内径によって、ロックホルダを位置決めする。ロックホルダにあるOリングは、長手方向の軽い衝撃を受け止める。
【0112】
ロックばねをロック小板の溝に入れる。この構造物を、ロックホルダの開口部へ挿入する。ロックホルダとダイオードホルダの上にヘッドを被せる。
【0113】
(機能説明)
光導波路を、ヘッドの1.5mm穴を通して光導波路通路へ挿入する。約7mmの後、直径が1.1mmまで狭くなることによって光導波路が位置決めされる。次いで、光導波路を、ロック小板まで先へ押し込む。ばねの初期荷重により、ロック小板はロックホルダの内側縁部に押し当てられる。それによって小板は、常に偏心され、ロックホルダの1.01mm穴を覆い、それによって放射が外へ出ることができなくなる。光導波路は、ロック小板のテーパ部に当り、これをばね力に抗してロックホルダの中心に向かって押す。ロック小板がセンタリングされた後、ロックホルダの1.01mm穴が開き、この開口部を通して光導波路を入射領域へ押し込む。ルアーコネクタがヘッドのストッパに達したとき、光導波路は入射領域に達している。
【0114】
光導波路を引き抜くと、ロックばねが小板を再び偏心位置へと押すので、1.01mm穴が再び閉じられる。
【0115】
(ロックメカニズムの安全性についての議論)
ロックばねのばね線材は、0.25mmの直径を有している。溝は0.3mmである。線材は丸い形状を有しているので、溝に挟まって動かなくなることはない。それによって遮蔽装置は確実なものとなる。ロック小板のエッジは、振動研削により0.2mmまで削られている。
【0116】
ばねは、ロック小板を常に外方に向かって押圧する。作動時のレーザの位置によっては、ロックばねがなくてもロックが成立する。ロック小板は、自重によって下方に引っ張られ、それによって1.01mm穴が閉じられる。ばねに特殊な形状を与えることで、ばねが溝から飛び出さないようにすることもできる。ばねの形状は、ロック小板を取り囲み、それによってこれを固定する。
【0117】
小板の傾きは、小さな角度であれば、ロックメカニズムに影響することはない。次に光導波路が押し込まれたときに、小板も再びもとの位置にくるようにアライメントされる。
【0118】
ロックメカニズムの汚れは、ロックの機能には影響を及ぼさない。光導波路の磨減屑だけが予想される。光導波路を柔軟に製作することにより、わずかな磨減しか出ないことが予想される。毎年の検査のときにメカニズムの清掃を容易に実施することができる。
【0119】
異物は1.1mmの大きさでしか生じ得ない。ヘッドにある挿通穴によってその大きさに制限されるからである。
【0120】
場合によりばね力が減衰したときは、テストによって再調整する。床への落下による変化も再測定する。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】15.5mWの出力でガラス表面に対して垂直に配置された盲嚢探針の測定結果を示す。
【図2】盲嚢探針と表面探針とを示す。
【図3】盲嚢探針と表面探針とを示す。
【図4】注射器の構造と組立方法とを示す。
【図5】注射器の構造と組立方法とを示す。
【図6】アプリケータのまだ曲げられていない光導波路区間を示す。
【図7】盲嚢探針のための光導波路区間を示す。
【図8】自由端にはスペーサが配置される、図4に類似するアプリケータを示す。
【図9】自由な光導波路端部が所定の長さだけ接続体から突出する、図3に類似する盲嚢探針の曲げられた光導波路区間を示す。
【図10】スペーサの有利な実施形態の側面図を示す。
【図11】スペーサを備えている収縮した光導波路を有する表面探針を、部分側面図として示す。
【図12】表面探針を部分的に示す。
【図13】表面探針を部分的に示す。
【図14】照射機器の光学系を示す。
【図15】照射機器の光学系を示す。
【図16】照射機器の光学系を示す。
【図17】光学系を省略した照射機器を示す。
【図18】照射機器またはレーザ機器をアプリケータなしで横から示す。
【図19】アプリケータの2通りの実施形態を示す。
【図20】ロックメカニズムを示す。
【図21】ダイオードホルダに配置されたロック体を示す。
【図22】ロック体とロックディスクとの分解図を示す。
【図23】照射機器の断面図を示す。
【図24】照射機器の断面図の前側部分を拡大して示す。
【図25】ロック体の軸方向断面による断面図を示す。
【図26】穴を中心部に含むロックディスクを示す軸方向断面による断面図を示す。
【図27】ロックばねを示す。
【符号の説明】
【0122】
2 光導波路
4 2の保護外套
6 接続体/ルアーコネクタ
8 光導波路端部
10 2の湾曲領域
12 2の先端部
14 フォトセンシタイザのためのアプリケーション注射器
16 領域
18 2の自由端
20 スペーサ
22 2の研削された自由端
24 22の先端部
26 光源/レーザダイオード/半導体レーザ
28 ねじ付きスリーブ
30 円錐部
32 対物レンズ
34 レンズホルダ
36 別の対物レンズ
38 調節リング
40 収納体
42 ハウジング管/保護ハウジング
44 電池管
46 接触キャップ
48 接触キャップ
50 ヘッド部品
52 50の中央の穴
54 動作インジケータ/LED
56 押しボタン
58 ロック体
60 58の穴
62 ロックディスク
64 ロックばね/線ばね
66 凹部
68 ダイオードホルダ
70 電池
72 電池スプリング
74 コネクタブッシュ
76 ブッシュ案内部
78 ディスク
80 スペーサディスク
82、83 コネクタピン
84 電子装置配線板
86 押しボタン膜
88 球
90 後側の絶縁部
92 衝撃ボルト
94 前側の絶縁部
96、97 Oリング
98 絶縁ディスク
100 プリント基板
102 保護膜
104 Oリング
106 62の穴
108 62の溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載されている構成要件に基づく、微生物を減少させる装置に関する。さらに本発明は、特に口、あご、顔などの領域で治療をするための、このような装置の利用法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第01/87416A1号パンフレットより、光力学的療法(PDT)に基づいて光活性化物質を用いる、細菌などの微生物を減少または破壊する上記のような種類の装置および方法が知られている。光活性化物質、特に染色剤を用いて微生物が増感および/または着色され、適当な波長とエネルギー密度の光の照射後に死滅する。PDTの作用原理は、微生物への選択的な作用および/または着色の後、フォトセンシタイザまたは光増感剤とも呼ばれる、光活性化物質に対するエネルギー伝達の物理作用に基づくものである。そこからエネルギーを細胞膜での反応のために利用することができる。それにより照射機器、特にレーザ機器によって生成されるエネルギーが、微生物に集中し、「標準」環境で露光されていない状態でも進行している反応の平衡状態が変化し、その結果として微生物が破壊される。
【0003】
さらに欧州特許第0637976B1号より、歯と歯肉の間の部位である歯周ポケットにいる、疾患と結びついた微生物の破壊によって、口腔組織または口腔の傷口や病巣を殺菌または滅菌するときに利用するための医薬品の製造時に、光増感物質またはフォトセンシタイザまたは光増感剤(PS)の化合物を使用することが知られている。この場合、組織、傷口、または病巣とフォトセンシタイザとの接触が行われ、疾患と結びついた微生物がフォトセンシタイザを吸収する。フォトセンシタイザによって吸収される波長で、レーザ光による組織、傷口、または病巣への照射が行われる。このような染色剤とレーザの組み合わせによる治療の殺菌が、種々の菌とフォトセンシタイザについて、さまざまに異なる0.01%から0.00125%(単位容積あたり重量)というかなり低い濃度の、特にメチレンブルーやトルイジンブルーを用いる解決法という形態で記載されており、さらに、適用されるエネルギー密度の影響が示されている。光源としては、波長が634nmで出力が7.3mWのHeNeレーザ、ならびに波長が660nmで出力が11mWのGaAsレーザが用いられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上を前提とする本発明の課題は、少ない装置コストと、簡単な取扱性で、効果的かつ制御可能な治療が実現されるように装置を構成することである。特に口、あご、顔などの領域における局所的、表面的な感染の治療を、少ないコストと高い機能性で行うことができるのが望ましい。さらに、治療されるべき領域の、特に口腔粘膜表面のできるだけ均一な照射が実現されるのが望ましい。他ならぬ口、あご、顔などの領域では、歯牙感染も含めた感染の広がりが大きく頻度も高いことを考慮し、その点に関してこれまでにあった問題点を回避し、もしくは少なくとも問題点を減らすのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題の解決は、請求項1に記載の構成要件に基づいて行われる。
【0006】
本発明の装置は、機能が確実で診療に適した光活性化物質と照射機器を用いた治療の適用を、簡単な構造と簡単な取扱性で可能にするものである。光活性化物質は、高い濃度の溶液中で用意され、滅菌されて使用準備が整った状態で注射器に充填されるのが好都合である。水溶液またはアルコールまたはエタノール等の溶剤中のフォトセンシタイザの濃度は、高い値で設定されるのが好ましい。単位容積あたり重量で表した濃度は、0.1%よりも高く設定されるのが好ましく、0.5%よりも高く設定されるのが好都合であり、上限としては10%が設定されるのが好ましく、5%、特に3%に設定されるのが好都合である。特に、少なくとも近似的に1%の濃度が、格別に好適であることが判明している。特にレーザ機器として構成される照射機器は、アプリケーションシステムと組み合されており、アプリケータは、照射機器と特に着脱可能なように接続可能である。アプリケータは、使い捨て光学装置であるのが好ましく、これを用いて、治療されるべき領域の的確かつ正確な照射が可能となる。アプリケータは、治療のために1回しか使われないので、場合により事後的または反復的に滅菌をするための高いコストのかかる方策を行うことなく、特に衛生面の要求事項が満たされ、微生物の望ましくない伝染が確実に回避される。アプリケータは、光導波路、特に光ファイバを含んでおり、口腔内で問題なく光分布または照射を可能にするものであり、盲嚢探針または表面探針として構成されていてよい。照射機器と少なくとも1つのアプリケータは、光源の光が光導波路へ直接的に入射されるように構成されているのが好ましい。本発明の特別な実施形態では、開口数の高い光導波路または光ファイバが用いられ、開口数は0.5よりも高く、特に0.7よりも高いのが好ましい。それにより、アプリケータまたは光導波路へ光が入射されるときに、少ない損失しか生じず、それと同時に、アプリケータまたは光導波路から出る光線が大きく広がることが保証される。
【0007】
本発明の特別な実施形態では、アプリケータおよび/または光導波路が連結されているときにだけ、照射機器から光が出ることができるように、照射機器と遮蔽装置が組み合されている。アプリケータが照射機器と適正に接続されない限り、照射機器から直接光が出るのを遮蔽装置が阻止する。特別な実施形態では、照射機器、特にそのヘッド部品は、アプリケータの光導波路端部が挿入されて固定される、特に中心部の穴を含んでいる。遮蔽装置は、特に光源の光の光路、および光導波路端部の自由端および/または自由端面に配置される。本発明では、アプリケータが連結されたとき、および/または前記穴へ光導波路端部が挿入されたとき、遮蔽装置は、光路が開くように特に光導波路端部によって操作される。前記穴および/または差し込まれた光導波路端部は、光源に対して、光源の光が光導波路端部の自由端面に当り、場合により光学系により集束されるように、配置および/またはアライメントされている。アプリケータは、照射機器のヘッドまたはヘッド部品に収容するために、特にルアーコネクタの形態の接続装置または差込装置を含んでいる。さらにアプリケータは、特に口腔内の治療されるべき領域の的確な照射が可能となるように、少なくとも部分的に湾曲して構成されているのが好ましい。さらにアプリケータは、望ましくない怪我が回避されるように、少なくとも部分的に柔軟に構成されているのが好ましい。
【0008】
有利な実施形態では、光導波路は、治療されるべき領域の露光されるべき区域の形状に光射出が適合するように、光射出領域の所定の幾何学形状を有しており、平面的な放射領域、または立体的な三次元の放射領域のいずれかが生成される。さらにアプリケータおよび/または光導波路は、先端部のところにスペーサを有しており、このスペーサにより、射出される光の能動的な光環が示され、かつ/または正しい露光間隔または所定の露光間隔が規定される。別の実施形態では、光導波路は、複雑な形状をした狭い体腔および/または組織嚢への侵入が可能になるような、および/またはこれらを穏やかに開くことができるような幾何学形状を有している。光導波路は、円錐状に成形された先端部を有しているのが好ましく、垂線に対して1.5°から4°の角度をなすのが好都合である。これに加えて、光導波路に先端部の領域で10μmから200μmの範囲内の所定のミクロ構造の光射出面を設けるのが格別に好ましいことが判明している。光導波路の先端部は、10μmから40μmの範囲内、特に20μmから30μmの範囲内のRa値をもつミクロの凹凸を有しているのが好ましい。さらにアプリケータの接続体は、深さストッパが一体化された差込み型プラグおよび/またはねじ込み型プラグとして構成されており、それにより光源に対して軸方向に、照射機器に挿入される光導波路端部の所定の位置決めが保証される。
【0009】
本発明による前記装置を使用するには、まず、特に染色剤を含む光活性化物質が、高い濃度で治療されるべき領域に塗布され、次いで、媒体で、特に水ですすぎが行われ、および/または可能な限り塩基性のpH値ですすぎが行われる。次いで、照射機器の光による照射が行われ、このとき、最適化された細胞損傷が行われるのが好ましい。まず、光活性化物質を高い濃度で治療されるべき領域に塗布し、次いで、媒体で、特に水ですすぎを行い、および/または可能な限り高い酸素分圧ですすぎを行い、最後に、前述した光源の光による照射を行うのが、格別に効果的であることが判明しており、この場合、最適化された細胞損傷が行われるのが好ましい。さらに、光活性化物質を高い濃度で治療されるべき領域に塗布した後、しかも光源の光による露光の前に、特に洗い流しおよび/または拭い取りおよび/または吸い取りおよび/または吹き払いによって、光活性物質の量の低減が行われると、格別に好都合であることが判明している。
【0010】
本発明の発展形態および特別な実施形態は、従属請求項に記載されている。次に、本装置の構成およびその本発明による利用法について具体的に説明する。本装置は次のものを含んでいる。
【0011】
1.光活性化物質
特に染色剤を含み、フォトセンシタイザまたは光増感剤とも呼ばれる、溶液中に存在する光活性化物質、たとえばメチレンブルーは、特に注射器に充填され、滅菌されていて使用準備が整っている。治療されるべき領域へ塗布するために、特に0.45mmの外径と25mmから40mmの長さを有し、特に30度から45度だけ折曲され、弾性的に構成された、特にカニューレ26gが設けられている。
【0012】
2.好ましくは次のような実施形態の光源を備える、照射機器、特にレーザ機器または治療用レーザ
a.光学系、特にレンズセット、および光導波路と連結するための好ましくはネジ止め可能なアタッチメント。
b.レンズセットを含まない直接的なビーム入射部、ダイオードの手前の光空間。それにより、光導波路が連結されていないときは、光導波路の連結のために設けられたアクセス部からわずかな光しか拡散して漏れない。さらに本装置は、モニタリング付きのダイオードを使う場合、反射される光によってダイオードが制限を受けるようになっているのが好ましい。
【0013】
照射機器は、遮蔽装置を含んでいるのが好ましく、この遮蔽装置により、照射機器とアプリケータが接続されていない間は、光射出が阻止される。
【0014】
3.アプリケーションシステム
特にそれぞれ1回だけ使用され、光導波路およびプラスチック外装を有しているのが好ましい、使い捨て光学系またはアプリケータ。これは柔軟であり、かつ/または滅菌されており、かつ/または使用準備が整っており、かつ/または上に挙げた両方の照射機器について互換性があるのが好ましい。1つまたは複数の光導波路の材料としては、ガラスまたはプラスチックが意図され、特に、できるだけ大量の光を入射し、さらに光を広い領域へ放射するために、好ましくは0.5を超える広い開口数を備えている。照射機器とアプリケータとの間の着脱可能な接続に基づき、そのつどのアプリケータが、本発明の枠内では比較的簡素に構成された低コストな構成部品として、かつ「使い捨て製品」として1回だけしか使用されず、その後は処分されることに格別な意義がある。
【0015】
アプリケータの次の2通りの実施形態が意図されるのが好ましい。すなわち、
a.特に歯周ポケットを露光するための円錐状の放射領域を備える盲嚢探針。1回のステップで、ポケットが開かれ、組織が脇へ押しのけられ、その領域が放射により前方へ円形に露光される。光の放射を拡散的に実現するために、表面が粗面化されている(たとえばサンドペーパ100による研削)。
b.好ましくはスペーサを備える、表面領域を露光するための表面探針。
i.その長さは、組織との適切な間隔の目印となる。
ii.その角度は、治療で必要な光出力が印加されている領域の目印となり、1つの領域への重なり合う照射が容易になる。
【0016】
4.さらに特別な発展形態では、治療コントローラ、および/またはPC用のプログラム、および/または独立した表示器とコントロールユニット。これらは、治療中に施療者を誘導し方向づける役目をする。それにより、特に露光されるべき面の広さの選択や歯の本数の選択が可能となり、特に次のような事柄が表示される。
a.フォトセンシタイザの作用時間
b.領域のすすぎ時間
c.1cm2ごと、または歯1本ごとの露光時間、および歯1本ごと、または1cm2ごとの露光終了を知らせる音響信号
d.治療の終了
【0017】
次に、本装置の各コンポーネントについて説明する。
【0018】
長波の放射は、短波の放射よりも組織に深く侵入するので、照射機器のエネルギー源または光源は、該当する波長領域で十分に多い光の浸透が組織で起こるように構成されている。光活性化物質の吸収最大値がある領域、たとえばメチレンブルーの吸収最大値がある領域(Nacl中では664nm、または96%エタノール中では655nm)で、光による十分に深い組織への浸透が行われる。600nmから900nmの間のいわゆる光学窓では、光は、ヘモグロビンやメラニンといった発色団によって非常にわずかしか吸収されない。
【0019】
エネルギー源または光源としては、特にレーザシステムが適している。レーザ(放射の誘導放出時における光増幅)は、単色、コヒーレント、かつコリメートされた光を高い出力で出すことができる光源である。コヒーレントな光とは、時間的にも空間的にも同じ位相で進行する波列を意味している。
【0020】
本発明に基づいて設定される低い出力密度またはエネルギー密度(0.1mW/cm2から100mW/cm2)の範囲内では、実質的に光化学プロセスが有効となる。その場合、光の吸収が、主に組織の加熱につながるのではない。熱を伝えないレーザアプリケーションによって生起される生体物質内でのこのような効果は、「レーザで誘発された生体刺激」と呼ばれる。以下においては光増感剤とも呼ぶ、フォトセンシタイザの使用のもとで、この種のレーザは、光力学的療法(PDT)のための光源として利用される。このようなレーザでも、出力密度またはエネルギー密度が高い場合には、光熱効果で誘発される現象が生じる可能性がある。
【0021】
ダイオードレーザでは、励起されたときにVIS領域またはIR領域でコヒーレントな放射を放出する半導体結晶が、能動媒質として用いられる。このようなレーザでは、電流によってフォトンが直接生成される。
【0022】
有利に用いることができるフォトセンシタイザとの関連で、照射機器としては、以下においてHELBO TheraLiteと呼ぶ専用のダイオードレーザが使用される。このダイオードレーザHELBO TheraLiteは、特にメチレンブルーに適している。
【0023】
このレーザシステムは、次の特性を備えることを特徴としている。
・ 光源 ダイオード
・ 波長 660nm(+5)
・ 出力 最大100mW
・ モード Cwまたは連続発振
・ 光出力 >40mWであり、<50mWである
・ 冷却システム 空気
・ エネルギー供給 電池または蓄電池。
【0024】
光放射またはレーザ放射の伝達は、本発明ではアプリケーションシステムによって可能となる。アプリケーションシステムは、アプリケーションの地点で所望のビーム幾何形状ができるように作用し、特に、治療のためのレーザ放射の簡便な取扱性を可能にする。アプリケーションシステムの一部は、光ファイバである。
【0025】
口腔内における効果的かつ制御可能な治療という目標設定のもとで、可能な限り均一な口腔粘膜表面の照射が実現される。ただし口腔は幾何学形状が複雑であり、平坦な幾何学形状とは明らかに異なる、骨、歯、粘膜といった吸収性の非常に異なる構造物が存在するという特徴がある。その対処は、本発明のアプリケータによって保証される。
【0026】
光ファイバシステムは、口腔内のようにアクセスが複雑な領域でも必要なエネルギーを誘導することができる。光ファイバへの入射のために、照射機器のレーザの一次放射が直接的に、またはレンズセットを経由して、ファイバ端部へ集束される。ファイバの開口数は、放射がほぼ光導波路へ入るように入射角を規定する。
【0027】
光ファイバのビーム発散度は、ファイバヘッドへの入射の種類、および照射機器の種類によって規定されるとともに、同じくファイバ自体の開口数(開口角の正弦)によって規定される。発散を大きくすれば、いっそう広い放射角が可能となる。
【0028】
エネルギーが著しく低下するファイバ、または、照射される面全体にわたる光分布が著しく変動するファイバが使用される場合には、露光領域がしばしば重なり合って照射される。
【0029】
裸のファイバに比べて有利に設けられるマイクロレンズファイバは、ほぼ均一な照射プロファイルを有している。最適化されたマイクロレンズファイバにより、照射される面全体にわたる約96%の均一性の出力分布を実現することができる。マイクロレンズファイバを使えば、放射領域の重なり合いは不要であり、その結果、感染領域を最高度に効果的にカバーするという可能性が与えられ、不要な重なり合い領域が生じることがない。
【0030】
アプリケーションモード(口外または口内)は、所見の範囲に応じて選択される焦点面積に応じて決まる。
【0031】
好ましい代替案は、本発明によれば、同じく均等に照明される領域を生成することができる開口数の非常に大きいファイバである。
【0032】
このとき本発明では、高いコストのかかるファイバ先端部の研削を回避し、口内領域の照射のために、臨床的に有意義な0.5cmから1cmの間隔を守れるようにするために、少なくとも0.5、特に0.7またはそれ以上の開口数が設定される。
【0033】
本発明の枠内では、盲嚢探針および/または表面探針として構成されたアプリケーションを備える、特に下記のようなアプリケーションシステムが適用される。このアプリケータは、外装に埋設され、特にレーザ機器である照射機器への接続部を備える入射面と、特別に研削された、および/またはミクロ構造を有する放射領域とを有するプラスチック光導波路を含んでいる。
【0034】
次に、図面に示す特別な実施形態を参照しながら本発明について詳しく説明するが、これらの実施形態への限定を行うものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1は、15.5mWの出力で、ガラス表面に対して垂直に配置された盲嚢探針の測定結果の表を含んでいる。ここでは、光ファイバの直径に対して、光源からの距離を考慮したうえで、測定された出力が単位mWで掲げられている。ここで付記しておくと、好ましくは0.1%よりも高い濃度、特に1%のオーダーの高い濃度の溶液中のフォトセンシタイザが用いられるのが好ましく、図1ではフォトセンシタイザとして溶液中のメチレンブルーが意図されている。
【0036】
図2または図3には、アプリケータとしての盲嚢探針と表面探針が示されている。ここでも他の図面と同じように一例として記載されているミリメートル単位の寸法は、必要に応じて変更できることは言うまでもない。アプリケータは、大部分が外側を保護外套4で覆われている、ファイバとして構成された光導波路2を含んでいる。さらにアプリケータは、好ましくはルアーコネクタとして構成される接続体6を有しており、この接続体を介して、照射機器のヘッドでの接続または収容が行われる。光導波路2は、接続体6に挿通されており、本発明によれば、所定の長さをもつ端部8が、図2では5mmだけ接続体から突出している。光導波路端部8は、保護外套を備えておらず、アプリケータを連結するときに照射機器のヘッド部品に挿入され、その内部で位置決めされる。光導波路2は、少なくとも部分的に柔軟に構成されており、および/または湾曲領域10を含んでいる。それ以外のアプリケータの寸法は、口腔へ問題なく挿入することができるように設定されている。
【0037】
レーザ放射は、両方のアプリケータで使用される、中心直径が1mmのレーザの場合、先端部12の領域における材料特性や研削幾何形状に基づき、30°から60°の範囲内、好ましくは40度から55度の範囲内の発散角で、前面に向かって射出され、または盲嚢探針の場合には、220度から300度の範囲内、好ましくは240°から290°の範囲内、特に260度から280度の範囲内で円形に射出される。
【0038】
このような諸特性によって、アプリケータは、単純あるいは複雑な形状をもつ表面を正確に照射するための、容易に適用可能な光学器具となっている。
【0039】
光活性化物質を溶液中に含むアプリケーション注射器14の構造と組立方法が、図4と図5に示されている。光活性化物質を溶液中に含む注射器14は、使用準備が整った状態で納品される。使用前に、先端部を丁寧に回すことによって閉止キャップを取り外し、同梱されている滅菌されたカニューレを、注射器のルアーロックアダプタへ固定しなければならない。指の位置が正しくなるように留意する。患者には治療前に丁寧に説明しておく。治療されるべき領域の準備を整えるために、臨床外科の観点から必要な措置を実施した後、包装を開封し、光活性化物質が入ったブリスター、カニューレが入ったブリスター、および場合により使用説明書を取り出す。初回の使用前には使用説明書を読む。滅菌の予防策を考慮しながら、滅菌されたOPトレイの上で両方のブリスターから中身を取り出す。このように注射器とカニューレは、滅菌状態にあり、滅菌領域で適用するのに適している。シリコン栓を注射器から丁寧に取り外し、カニューレをねじ込んでルアーテーパ部に固定する。
【0040】
図6は、アプリケータのまだ曲げられていない光導波路区間を、領域16に配置される接続体を省略して示している。この領域16と自由端18の間には、保護外套4が設けられている。さらに自由端18には、スペーサ20が配置されており、このスペーサにより、治療されるべき領域に対する、ここでは5.5mmである所定の間隔が設定される。
【0041】
図7は、盲嚢探針のための光導波路区間を示しており、自由端22が保護外套4の手前で露出しており、7mmの長さを有している。自由端22は研削されており、粒径100の研磨紙での加工に準ずる表面を有している。自由端22の先端部24は、尖鋭でなく構成されており、および/または半径を備えている。表面は、所定のミクロ粗面を有しているのが好ましい。このミクロ粗面は、10μmから40μmまでの範囲内、好ましくは20μmから30μmまでの範囲内のRa値を有しているのが好ましい。
【0042】
図8は図4に類似するアプリケータを示しており、自由端にはスペーサ20が配置されている。本実施形態では光導波路端部8は、ここでは10mmの長さだけ接続体6から突出している。
【0043】
図9には、図3に類似する盲嚢探針の曲げられた光導波路区間が示されており、自由な光導波路端部8は、所定の長さだけ、ここでは10mmだけ接続体6から突出している。
【0044】
図10には、スペーサ20の有利な実施形態の側面図が示されている。
【0045】
図11は、スペーサ20を備えている収縮した光導波路を有する表面探針を、部分側面図として示している。
【0046】
図12と図13は、表面探針を部分的に示しており、図12では表面探針は、0.72の開口数を有している。
【0047】
照射機器の光学系が、図14から図16に示されており、図14では垂直方向に最大35のビーム発散度が設定されており、図15では平行に最大10°のビーム発散度が設定されている。特に図16の分解図から明らかなように、レーザダイオード26は、ねじ付きスリーブ28に配置されている。これは、モニタダイオードを含む、670nm連続発振用の100mWの多モードレーザダイオードである。円錐部30には対物レンズ32があり、さらに、別の対物レンズ36のためのレンズホルダ34が設けられている。さらに調節リング38ならびに収納体40が設けられている。
【0048】
図17は、光学系を省略して照射機器を示しており、ハウジング管42の中に、電子装置への電流供給のために必要な電池のための電池管44がある。図面では下側にあたるハウジング管42の後側端部では、キャップ46が、ネジ結合によってハウジング管42と着脱可能に連結されており、または連結可能である。さらにハウジング管42またはキャップ46の後側端部には、錠スイッチ48が設けられており、この錠スイッチにより、照射機器またはレーザ機器をオンオフ可能である。保護ハウジングとして構成されたハウジング管の前側端部には、アプリケータを収容し、中央の穴52を通して光線を出力するように構成されたヘッド部品60が配置されている。
【0049】
HEL−BOTherLiteレーザとも呼ぶ、有利に構成された照射機器との関連では、露光のために次のような光出力を利用することができる。
【表1】
【0050】
有利に使用される光活性化物質は、滅菌された等張性の濃い青色をした無臭の水様液である。この液は、照射機器と組み合わせた致死性光力学的療法のために、微生物の着色と増感をするための、フェノチアジン−5−イウム(ium),3,7−ビス(ジメチルアミノ)−クロライドを含んでいる。
【0051】
溶液1mlには次のものが含まれる。
・ 1%フェノチアジン−5−イウム,3,7−ビス(ジメチルアミノ)−,クロライド
・ 等張化のためのグルコース
・ 粘性を調整するためのMHPC(メチルヒドロキシプロピルセルロース)
・ 容液を緩衝するためのクエン酸塩。
【0052】
浸透圧モル濃度は、人間組織の浸透圧モル濃度とほぼ一致する。
【0053】
光活性化物質を含む溶液は、ガラス注射器に封入され、シリコーンでできた栓で閉止されている。充填量は0.5ml+/−0.1mlである。ガラス注射器は、ブリスターで封印されており、認定済みの滅菌プロセスで蒸気滅菌されている。前述の溶液は、5つのブリスターに入れて使用説明書とともに厚紙で包装されているのが好都合である。同じくそれぞれブリスターに包装されて滅菌された5つのカニューレ26Gも、同梱されている。
【0054】
光活性化物質は、致死性光力学的レーザ療法の一環として、特に口、あご、顔などの領域の局所的な表面感染の場合に、微生物の着色と増感をする役目を果たす。これに続く照射機器での露光によって、着色された微生物が除去され、自然の口腔微生物叢が回復される。
【0055】
外科的な切開や掻爬が行われている、または行われていない感染領域で、および病変近傍で、局所適用が次のように行われた。すなわち、水で20秒のあいだすすぎを患者に2回施す。光活性物質の希釈を防ぐため、治療されるべき面に付着している唾液や血液を吸い取り、もしくは拭き取る。
【0056】
感染した組織領域にまんべんなく注射器により塗布される光活性化物質の適用を、ゆっくりと開始する。その量は、必ず、光活性化物質が感染領域の表面をできるだけ薄く湿潤するように選択する。組織にある陥凹や嚢の完全な湿潤を確保する。場合により、形態が複雑な場合には、送風機で入念に分散させる。光活性化物質の作用時間は、少なくとも60秒である。少なくとも3秒のあいだすすぎ、同時に余剰の溶液を吸い取ってから(沈積した染色剤は必ず取り除くこと)、照射機器で露光する。菌を減少させる作用にとって、すなわち治療効果にとって重要なのは、エネルギー供給すなわち露光の正しい調量である。
【0057】
必要なエネルギー密度(J/cm2)を決定するための主要な量としての、所定の治療面積に応じた治療時間が、治療者による施療制御に含まれる。照射機器による1cm2あたりまたは歯一本あたり、少なくとも1分の露光時間を遵守する。
【0058】
照射中における半径rの病変の照射面積Aを計算するため、次の式を利用する。
a.盲嚢探針を使ったとき。欠陥部の面積F=幅B×高さ×2、すなわち1つの4分円部位あたり、以下の通りである。
【表2】
【0059】
盲嚢探針についての露光プロトコル
b、スポット探針を使ったとき。欠陥部の面積F=(πr2)
出力密度(FD)は、次式により計算される、
FD(Watt/cm2)=出力(Watt)/照射面積(cm2)。
【0060】
エネルギー密度(ED)は、次式により計算される、
ED(Wattsec/cm2)=出力(Watt)×時間(sec)/照射面積(cm2)。
【0061】
そのつど選択される線量を、次の表にまとめて掲げる。通常、0.55cmの間隔で照射が行われ、0.051W/cm2の出力密度で、3J/cm2の総線量が使用される。
【表3】
【0062】
スポット探針についての露光プロトコル
光活性化物質またはMB等の生体染色剤によって細菌に着色し、適当な波長の光で照射すると、効果的な光毒性作用を誘起することができる。着色されていない細胞は、毒性による損傷を示さない。病原性の可能性がある細菌を光化学的に殺すことは、飲み水にメチレンブルーを混ぜることによって、毛皮獣飼育場や動物園で行われている。
【0063】
ヘルペスに起因する疾患を局所的に治療するための光増感剤としては、25年前からMBが用いられている。腫瘍内で適用されるメチレンブルーの暗毒性および光毒性(PDT)については、結腸腫瘍で実験的に研究されている。少ない総線量の照射(6J/cm2)だけによって、あるいは物質の投与だけによって(20μg/ml)、このような腫瘍を破壊することは実現されていない。
【0064】
MBの投与は、発汗量の増加、不快感、嘔吐といった全身の副作用につながる可能性がある。
【0065】
経口投与の場合、胃腸の痛みや排尿障害が起こる可能性がある。溶液の調合に含まれる内容物質は次のとおりである。
【表4】
【0066】
光活性化物質の内容物質
本件の生体適合性の評価からすると、調合で用いられる物質は、生体適合性、催奇性、変異誘発性に関して、所与の適用条件下であれば、希求される治療目標の観点から容認されると判定される。
【0067】
光増感剤(PS)の局所適用により、抗生物質あるいは全身に適用されるPS等の薬剤の全身適用の主要な問題、たとえば物質毒性や数週間にわたる全身の皮膚の光増感といった問題が解消される。局所適用により特異性を高めることができるので、たとえば病変周辺にある粘膜などの健康な組織が保護される。
【0068】
副作用が少ないので、反復して治療をすることができる。さらにこの療法は、非侵襲的であるという特徴がある。
【0069】
PSの局所施用の後、口腔粘膜の唾液発生の増加が誘起されるのが通常であることによって、局所的な濃度が影響を受ける。このような唾液発生の増加は、PS濃度の低下につながり、病変への染色剤の浸透度を引き下げる。しかも唾液タンパク質は、非特異性結合によってPSの不活性化を引き起こす。特に粘性のある溶液へPSを投入することで、本発明によれば、治療時間のあいだ唾液との混合、希釈、反応が少なくなる。
【0070】
少なくとも60秒と指定されている作用時間の後、本発明によれば、治療される組織の光透過性を高めるために、余剰のPSが取り除かれる。
【0071】
測定結果が示すところでは、組織上に存在する光活性化物質100μmを含む溶液の液体膜は、有効なエネルギー密度を97%低下させる。層厚がさらに2倍になると、ランバートベールの法則に従い、光はいっそう弱められる。したがって光活性化物質を含む余剰溶液のもとでは、治療効果のある照射は不可能である。
【0072】
口腔粘膜病変の効果的なPDT適用のためには、50J/cm2から100J/cm2のエネルギー密度が推奨される。このときエネルギー線量は、所見の種類や部位確認に準じて決める。口腔粘膜は、一般にきわめて痛みに敏感なので、150mW/cm2を超える出力密度は回避するのが望ましい。200mW/cm2から500mW/cm2の間の出力密度は、熱による非特異的な組織損傷につながる恐れがある。
【0073】
病変領域における均等な線量を実現するために、照射面積をそのつど病変の面積よりも広く選択するのがよい。
【0074】
PDTのための約100J/cm2の光線量は、さまざまなやり方で実現することができる。すなわち、高い出力密度と短い暴露時間、あるいは低い出力密度と長い暴露時間などである。高い出力は、前述したような熱による損傷が生じるので採用できない。その一方で出力密度が低すぎると、照射時間を相応に長くしても、光力学的な効果を達成することができない。
【0075】
メチレンブルー溶液は、培養基の中にある実験対象の微生物すべての数を減らすことができる。
【0076】
メチレンブルー溶液は、25μmolから44μmolの濃度で、試験官内のほぼすべてのグラム陽性細菌を減少させる。
【0077】
グラム陰性菌の完全な低減には、これよりも3倍から30倍高い濃度が必要である。緑膿菌は、200以上のmol濃度と100mW/cm2のエネルギー密度で、3.5log10CFUだけ減少した。
【0078】
観察された暗毒性は、トルイジンブルー(TB)のほうがメチレンブルー(MB)よりも大きかった。これは、TBについて0.33、MBについて0.11と規定されていた分布係数Pと一致した。
【0079】
このように、logP<0であったので、両方の染色剤は親水性と呼ぶことができ、少なくとも理論上は、水で充填されたグラム陰性菌のポーリンタンパク質チャネルを通過できるはずである。
【0080】
グラム陽性細菌に対する暗毒性は、類型にほとんど左右されなかったのに対し、グラム陰性細菌に対する暗毒性は、グラム陰性細菌の外側膜の膜内外透過係数に準じて、きわめて明瞭に類型に左右されていた。
【0081】
暗毒性は、濃度と照射前の培養時間との両方に左右されていた。
【0082】
黄色ブドウ球菌は、グラム陽性群についてもっとも抵抗力の強い細菌であると同定され、その根絶のためにはもっとも高い濃度が必要であった。
【0083】
緑膿菌は、グラム陰性群についてもっとも抵抗力の強い細菌であると同定され、その根絶のためにはもっとも高い濃度が必要であった。
【0084】
グラム陰性細菌では、光力学的感度は膜内外透過性に左右され、染色剤分子の親水性、正の帯電、および低い分子量が効果を促進する。
【0085】
本件の治療の取組については、微生物に感染した領域の治療のためにわずか60秒の作用時間と、これに続く露光前のすすぎとが意図される。
【0086】
この療法の選択されたパラメータ、特に次のようなパラメータが、確実な治療結果を保証するのに適している。すなわち、
・ 溶液中の光活性化物質の1%の濃度
・ 2.4Jのエネルギー
・ 50mW/cm2の出力密度
・ 3J/cm2のエネルギー密度
・ 60秒の培養時間とこれに続く溶液の洗い落とし。
【0087】
他方、このような周辺条件を遵守すれば、考えられるリスクと副作用が限定され、期待される明るい見通しの側面に光をあてて適切な説明をすれば、患者もこれを受け入れることができると考えられる。
【0088】
PDTは、光増感剤(PS)がレーザ放射によって活性化され、局所的に毒性作用のある酸素ラジカルの生成に利用されるように、照射エネルギーを「小分け」する光化学プロセスに基づくものである。選択された3J/cm2のエネルギー密度と50mW/cm2の出力密度のとき、熱による組織の損傷が確実に回避される。
【0089】
PDTの臨床利用が可能なのは、染色剤溶液が、細胞システムを選択的に着色し、その一方で、上皮との相互作用はきわめて限られているからである。正常な口腔粘膜を使った実験が示すところでは、10分間の培養時間後におけるMB溶液の侵入深さは、上皮の最初の外側細胞層1つから2つに限られていた。さらに、活性ラジカルおよびその前段階の寿命は、マイクロ秒以下であり、拡散によって健康な組織へ破壊的効果が拡大することは、必要な時間が足りないので事実上あり得ない。
【0090】
このように作用は、PSの染色剤分子の存在如何にかかっている。
【0091】
光力学的に活性のある調合物質として、たとえばメチレンブルーを選択した理由は、一方では、選択された治療条件のもとでメチレンブルーの毒性が低いことであり、他方では、下記のように664nmの吸収最大値が好都合な位置にあることにある。すなわち、
・ この波長については、レーザビームを生成するのに高性能で効率的なダイオードを利用することができる。
・ 可視光線の領域内で治療が行われ、このことは治療の安全性と効率性に決定的に寄与する。
・ この波長領域では、組織への光の侵入深さが、貫通性の菌の生息場所へ到達できるようにするためにも十分に深い。
・ 一重項酸素の生成が、殺菌の主要な作用メカニズムであり、他方、健康な細胞は、このラジカルをカタラーゼによって分解することができる。
・ 他方、ビタミンCやビタミンEといったビタミンの効果により、ある程度の保護がなされる。
・ 照射を行ったときと行わないときのMBのスペクトル測光検査によれば、適用されるエネルギー密度の増加につれて、ほぼ直線的な消光の低下が起こっている。染色剤分子の破壊による光漂白は、治療で印加されるエネルギー密度を係数7だけ上回るエネルギー密度のときに主要範囲で起こる。
・ この領域では、組織再生を促進して局所的な物質交代状態を安定化させる、サポート的な光生物学的効果が起こる。
・ メチレンブルーは、記録されたとおりの純粋な形態で使うことができ、調合で使用すると安定した溶液ができる。
・ この溶液は、医療環境の条件下で注意して指示どおりに適用すれば、簡単かつ安全に取り扱うことができる。
・ 適用時に生じる廃棄物が比較的無害である。
【0092】
染色剤と光源の相互調整により、グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌に対してだけでなく、カンジダアルビカンス等の菌類に対しても作用を示し、微生物の低減により、身体独自の抵抗力を時間的に限定的にサポートして臨床症状を改善させることができる、治療面で有効なシステムが提供される。
【0093】
アプリケータHELBOPocketProbeを使えば、本発明に基づき、実質的に1J/cm2から7J/cm2の範囲内のエネルギー密度、好ましくは2J/cm2から4J/cm2の範囲内のエネルギー密度、特に均等な実質的に3J/cm2のエネルギー密度を、口腔の後方領域における歯の周辺や歯と歯の間の複雑な領域でも適用することが可能である。
【0094】
光力学的療法の採用により、サポート的な光生物学的効果によって、急速な痛みの解消と創傷治癒の迅速化とを観察することができる。
【0095】
治療中の副作用として、散発的な灼熱感が観察されたが、これは治療の終了後に急速に鎮静化する。
【0096】
次に、本発明の特別な実施形態について、図18から図27を参照しながら詳しく説明する。以下においては治療用レーザとも呼ぶ照射機器は、光線力的療法(PDT)に用いられるものであり、特にレーザ機器として構成されている。これは、遮蔽装置を含んでおり、この遮蔽装置によって、光導波路を含むアプリケータが連結されたときに、光路が自動的に開かれる。アプリケータおよび/または光導波路が照射機器またはレーザ機器に連結されない限り、本発明に基づいて構成された遮蔽装置により、レーザ光がレーザ機器から射出されないように阻止される。遮蔽装置は、特に、アプリケータまたは光導波路が連結されているときにだけ、レーザ光が射出されるように構成および配置されたロック体を含んでいる。遮蔽装置のロック体は、不安定な位置に配置されており、アプリケータまたは光導波路が適正に連結されたときにだけ、光路を開くためにその位置から動くことが可能である。遮蔽装置は、特に照射機器のヘッド部品に組み込まれている。別案として、遮蔽装置は、照射装置のそれ以外の個所に構成されていてよく、および/または別様に構成されていてよく、特に光学系に組み込まれていてよい。本発明による照射機器は、次のような形で、ダイオードまたはレーザダイオードから光が光導波路へ直接入射されることを保証する。
1.特に0.5よりも大きく、好ましくは0.7よりも大きい開口数の大きな光ファイバが利用されることによって、少ない損失しか生じず、それにより、光がファイバから射出されるときに大きく広がるので、比較的広い面積が均等に照射されことが保証される。
2.光導波路が挿入または連結されているときだけ、事前に取り付けられた遮蔽装置によって光射出が可能となり、それ以外のときはレーザ機器からの直接的な光射出が阻止される。したがってレーザ機器を保護眼鏡なしで作動させることができ、レーザ機器の意図される出力では、原則的に必要になるはずのレーザ安全管理受託者を任命しなくてよい。
【0097】
利用される光導波路の高い開口数に基づいて、一方では、治療されるべき領域で光射出時または照明時に前述したような散乱効果が実現され、他方では、アプリケータまたは光導波路のレーザ機器のほうを向いている側で、レーザまたはダイオードと光導波路との間にレンズ系が不要となるような形で、集光効果が確保される。
【0098】
照射機器またはレーザ機器の使用時、および/または光力学的療法を行う装置の使用時には、次に掲げるようなステップに格別に大きな意義がある。
1.まず、フォトセンシタイザを含む溶液を、特に歯のプラークへ溶液ができるだけ迅速に侵入するように、治療されるべき領域へ高い濃度で塗布する。
2.これに加えて、イオン濃度ができるだけ低い媒質で、特に水で、すすぎを行うのが好ましく、そのようにして生成された浸透圧勾配に基づいて、細菌および/または細胞膜が脅かされるようにする。付言しておくと、たとえば生理食塩水は、イオン濃度が比較的高いので不向きである。媒質のpH値は、どちらかというと塩基性に設定されるのが好ましい。7から9のpH値が設定されるのが好ましい。酸素分圧は高く設定されているのが好ましい。本発明の枠内では、すすぎを行うための媒質、特に調製された水道水は、4mg/lから6mg/lの範囲内の酸素分圧を有している。この媒質に分子酸素が最大14mg/lまで添加されると好都合である。さらに本発明によれば、好ましくは0.5%から3%の過酸化水素溶液として、過酸化物が添加されるのが好都合であることが判明している。
3.濃度の低い媒質で事前にすすぎが行われているので、レーザ光による照射のときに、最適化された細胞破壊が行われる。
【0099】
(照射機器またはレーザ機器の説明)
機器は、電池または蓄電池で作動し、光源または放射源として、連続発振(cw)で作動する半導体レーザ(レーザダイオード)を使用する。図18は、照射機器またはレーザ機器をアプリケータなしで横から示している。放射源は、円筒状の金属製保護ハウジング42に組み込まれている。ハウジング管42を含む保護ハウジングの長さは、約124mm、直径は約16mmである。電池または蓄電池を入れる保護ハウジング42の端部には、電池を入れた後で接触キャップ46がネジ固定される。作動準備が整った状態は、封印キャップとして成形された錠スイッチ48を、接触キャップ46へ挿入することで成立する。動作状態は、さまざまな色のLED54によって表示される。
【0100】
保護ハウジング42のもう一方の端部では、ヘッド部品50が保護ハウジング42にネジ止めされ、これと接着されており、それによって放射源への直接的なアクセスが防止される。ヘッド部品50は、一方ではアプリケータを収容し、それによってレーザビーム射出の役目をするとともに、他方ではロックメカニズムを内部に含んでいる。最後に押しボタン56を押すことで、半導体レーザが作動する。
【0101】
(アプリケータ)
図19は、アプリケータの2通りの実施形態を示しており、上側部分に図示されているアプリケータAは、図2に類似する盲嚢探針であるのに対して、下側部分に図示されているアプリケータBは、図3に類似する表面探針である。両方のアプリケータは、直径が約1mmの透明なプラスチック光導波路でできており、レーザ機器のヘッドへ収容するためのルアーコネクタを有しており、曲げられており、ルアーコネクタとビーム射出端部との間では白色の保護外套で取り囲まれている。ルアープラグの側の(保護外套のない)光導波路端部が、保護ハウジングのヘッドに差し込まれる。
【0102】
アプリケータAは、若干テーパ状になった先端部を有しており、その表面は、最後の5mmまで粗面化されている。この粗い表面は、レーザ光がほぼすべての空間方向に放射されるように作用し、光導波路の軸方向でもっとも大量のエネルギーが放出される。アプリケータBは、レーザ光の射出面として平坦な端面を有している。これに加えて、光導波路端部のところにワイヤループがスペーサとして組み込まれている。アプリケータAとは異なり、レーザ光は、発散する円錐状の放射特性を有しており、それによって軸方向にいっそう多くのエネルギーが放出される。したがって、アプリケータBのほうがレーザの安全性という観点から高い潜在的危険性を含んでいるので、以後のすべての測定にはアプリケータBを使用している。
【0103】
(遮蔽装置/ロックメカニズム)
図20に示すロックメカニズムは、断面が「H」字型をした回転対称なロック体58を含んでおり、このロック体は、中心部に直径1.01+0.02mmの穴60を有している。ビーム射出部と反対を向いているほうの「H」の切欠きに、レーザダイオードが位置決めされ、作動状態のとき、ロック体58の穴60を通してビーム射出部の方向へ光を放出する。
【0104】
ビーム射出部のほうを向いている「H」の凹部には、同じく中心部にある直径1.01+0.02mmの穴を備える、円形のロックディスク62がある。このディスク62の外径は、ロック体58の内径よりもはるかに小さいので、図20では、ディスクが凹部の中へ変位することができる。しかし、ロックディスクは、線ばね(ロックばね)によって偏心的に保たれる。それにより、このディスク62は、ロック体の穴を覆っており、レーザ光が射出されることがない。線ばね64は、ロックディスクの円周にある溝で案内されている。図21、および図22のロック体58とロックディスク62の分解図から明らかなように、切欠きにロックディスクが可動に配置されているロック体58は、ダイオードホルダ68の中に配置されている。図22の分解図では、上に挙げたロック体58とロックディスク62の両方の穴を、良く見ることができる。
【0105】
アプリケータの光導波路をストッパまで挿通することによって初めて、ロックディスク62が、中心の位置へと押圧され、それによってロックディスク62の穴とロック体58の穴が重なり合い、レーザ光を光導波路へ入射することができるようになる。光導波路が引き抜かれると、線ばね64が、ロックディスク62を初期位置へと押し戻し、レーザ光が遮断される。ここに図示した線ばね64に代えて、本発明の枠内では、アプリケータおよび特にその光導波路端部が照射機器と適正に接続されているときにだけ、レーザ光の射出を可能にするために、それ以外の復帰部材が設けられていてよい。
【0106】
図23は、照射機器の断面図を示しており、図24は、その前側部分を拡大して示している。この照射機器は、すでに上に説明したものと基本的に対応しており、遮蔽装置またはロックメカニズムを追加的に含んでいる。ハウジング管42で取り囲まれた電池管44の中には、電池スプリング72によって付勢される3つの電池70が配置されている。接触のために、コネクタブッシュ74がブッシュ案内部76に配置されており、さらにディスク78とスペーサディスク80がある。さらに、電子装置または電子装置配線板84との接触のために、2つのコネクタピン82、83が設けられている。電子装置配線板84の上には外部から操作可能な押しボタン56が配置されており、特に密閉のために、押しボタン膜86が球88とともに設けられている。電子装置84を備える内部領域から前方に続いて、かつ後側の絶縁部90によって分離された状態で、衝撃ボルト92を備える領域が設けられており、さらに前側の絶縁部94がある。さらに、ハウジング管42の内部には、2つのOリング96、97が配置されている。ハウジング管42の前側端部には、ヘッド部品60が配置されており、その前側端部は、ここには詳しくは図示しないアプリケータの接続体またはルアーコネクタ4に係合する。ヘッド部品50の中には、レーザダイオード26を備えるすでに説明したダイオードホルダ68が配置されており、電池管44のほうへ後方に向かって絶縁ディスク98が設けられており、ならびに、接触に必要なワイヤを含むダイオードのためのプリント基板100が設けられている。これに加えて、放射方向で見てレーザダイオードの前方には、保護膜102が設けられており、この保護膜によって、レーザダイオードが外部の影響から守られるのが好ましく、これに加えてOリング104が設けられている。さらに、ヘッド部品50の内側の切欠きには、すでに説明したロック体58、ロックディスク62、ならびにロックばね64が配置されている。
【0107】
図25は、ロック体58の軸方向断面による断面図を示しており、そのH型の横断面を良く見ることができる。当然ながら、特別な実施形態について記載しているミリメートル単位の寸法は、別様に設定することもできる。
【0108】
図26には、すでに述べた穴106を中心部に含むロックディスク62を示す軸方向断面による断面図が示されている。ロックディスクは、外側円周に溝108を有しており、線ばねまたはロックばねがこの溝に係合している。
【0109】
最後に、図27は、ロックばね64の図面を示している。遮蔽装置のこれ以外の実施形態については、ロックばねの寸法も、他の構成部品の寸法と同じく別様に設定できることは、特に強調する必要をみない。
【0110】
(遮蔽装置の機能説明)
遮蔽装置は、次の個別部品を含んでいる、すなわち、
・ ロック小板/ロックディスク
・ 遮蔽装置のばね/ロックばね
・ ロックホルダ/ロック体
・ ダイオードホルダ/ダイオードホルダ
・ ダイオード
・ ヘッドR60/ルアーコネクタ用のヘッド。
【0111】
(各部品は次のように配置される)
ダイオードは、ダイオードホルダに入れ、ESD配線板で後方から固定する。するとダイオードが、ダイオードホルダの中に収まる。ダイオードをダイオードホルダの内径によってアライメントする。そして、ロックホルダをダイオードに押し被せることができる。ダイオードホルダの内径によって、ロックホルダを位置決めする。ロックホルダにあるOリングは、長手方向の軽い衝撃を受け止める。
【0112】
ロックばねをロック小板の溝に入れる。この構造物を、ロックホルダの開口部へ挿入する。ロックホルダとダイオードホルダの上にヘッドを被せる。
【0113】
(機能説明)
光導波路を、ヘッドの1.5mm穴を通して光導波路通路へ挿入する。約7mmの後、直径が1.1mmまで狭くなることによって光導波路が位置決めされる。次いで、光導波路を、ロック小板まで先へ押し込む。ばねの初期荷重により、ロック小板はロックホルダの内側縁部に押し当てられる。それによって小板は、常に偏心され、ロックホルダの1.01mm穴を覆い、それによって放射が外へ出ることができなくなる。光導波路は、ロック小板のテーパ部に当り、これをばね力に抗してロックホルダの中心に向かって押す。ロック小板がセンタリングされた後、ロックホルダの1.01mm穴が開き、この開口部を通して光導波路を入射領域へ押し込む。ルアーコネクタがヘッドのストッパに達したとき、光導波路は入射領域に達している。
【0114】
光導波路を引き抜くと、ロックばねが小板を再び偏心位置へと押すので、1.01mm穴が再び閉じられる。
【0115】
(ロックメカニズムの安全性についての議論)
ロックばねのばね線材は、0.25mmの直径を有している。溝は0.3mmである。線材は丸い形状を有しているので、溝に挟まって動かなくなることはない。それによって遮蔽装置は確実なものとなる。ロック小板のエッジは、振動研削により0.2mmまで削られている。
【0116】
ばねは、ロック小板を常に外方に向かって押圧する。作動時のレーザの位置によっては、ロックばねがなくてもロックが成立する。ロック小板は、自重によって下方に引っ張られ、それによって1.01mm穴が閉じられる。ばねに特殊な形状を与えることで、ばねが溝から飛び出さないようにすることもできる。ばねの形状は、ロック小板を取り囲み、それによってこれを固定する。
【0117】
小板の傾きは、小さな角度であれば、ロックメカニズムに影響することはない。次に光導波路が押し込まれたときに、小板も再びもとの位置にくるようにアライメントされる。
【0118】
ロックメカニズムの汚れは、ロックの機能には影響を及ぼさない。光導波路の磨減屑だけが予想される。光導波路を柔軟に製作することにより、わずかな磨減しか出ないことが予想される。毎年の検査のときにメカニズムの清掃を容易に実施することができる。
【0119】
異物は1.1mmの大きさでしか生じ得ない。ヘッドにある挿通穴によってその大きさに制限されるからである。
【0120】
場合によりばね力が減衰したときは、テストによって再調整する。床への落下による変化も再測定する。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】15.5mWの出力でガラス表面に対して垂直に配置された盲嚢探針の測定結果を示す。
【図2】盲嚢探針と表面探針とを示す。
【図3】盲嚢探針と表面探針とを示す。
【図4】注射器の構造と組立方法とを示す。
【図5】注射器の構造と組立方法とを示す。
【図6】アプリケータのまだ曲げられていない光導波路区間を示す。
【図7】盲嚢探針のための光導波路区間を示す。
【図8】自由端にはスペーサが配置される、図4に類似するアプリケータを示す。
【図9】自由な光導波路端部が所定の長さだけ接続体から突出する、図3に類似する盲嚢探針の曲げられた光導波路区間を示す。
【図10】スペーサの有利な実施形態の側面図を示す。
【図11】スペーサを備えている収縮した光導波路を有する表面探針を、部分側面図として示す。
【図12】表面探針を部分的に示す。
【図13】表面探針を部分的に示す。
【図14】照射機器の光学系を示す。
【図15】照射機器の光学系を示す。
【図16】照射機器の光学系を示す。
【図17】光学系を省略した照射機器を示す。
【図18】照射機器またはレーザ機器をアプリケータなしで横から示す。
【図19】アプリケータの2通りの実施形態を示す。
【図20】ロックメカニズムを示す。
【図21】ダイオードホルダに配置されたロック体を示す。
【図22】ロック体とロックディスクとの分解図を示す。
【図23】照射機器の断面図を示す。
【図24】照射機器の断面図の前側部分を拡大して示す。
【図25】ロック体の軸方向断面による断面図を示す。
【図26】穴を中心部に含むロックディスクを示す軸方向断面による断面図を示す。
【図27】ロックばねを示す。
【符号の説明】
【0122】
2 光導波路
4 2の保護外套
6 接続体/ルアーコネクタ
8 光導波路端部
10 2の湾曲領域
12 2の先端部
14 フォトセンシタイザのためのアプリケーション注射器
16 領域
18 2の自由端
20 スペーサ
22 2の研削された自由端
24 22の先端部
26 光源/レーザダイオード/半導体レーザ
28 ねじ付きスリーブ
30 円錐部
32 対物レンズ
34 レンズホルダ
36 別の対物レンズ
38 調節リング
40 収納体
42 ハウジング管/保護ハウジング
44 電池管
46 接触キャップ
48 接触キャップ
50 ヘッド部品
52 50の中央の穴
54 動作インジケータ/LED
56 押しボタン
58 ロック体
60 58の穴
62 ロックディスク
64 ロックばね/線ばね
66 凹部
68 ダイオードホルダ
70 電池
72 電池スプリング
74 コネクタブッシュ
76 ブッシュ案内部
78 ディスク
80 スペーサディスク
82、83 コネクタピン
84 電子装置配線板
86 押しボタン膜
88 球
90 後側の絶縁部
92 衝撃ボルト
94 前側の絶縁部
96、97 Oリング
98 絶縁ディスク
100 プリント基板
102 保護膜
104 Oリング
106 62の穴
108 62の溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源(26)を備える照射機器を含み、治療されるべき領域に塗布されて前記光源(26)で照射される光活性化物質が治療のために設けられている、微生物を減少させる装置であって、
光導波路(2)を含む少なくとも1つのアプリケータが設けられており、一方では前記アプリケータと他方では前記照射機器が、互いに対応して相互に係合する接続体(4、50)を有しており、前記光源(26)の光が、前記光導波路(2)を通って治療されるべき領域へ放射されることを特徴とする、微生物を減少させる装置。
【請求項2】
前記光導波路(2)が、好ましくは0.5よりも大きく、特に0.7よりも大きい、大きな開口数を有しており、かつ/または前記光源(26)の光が、前記アプリケータの前記光導波路(2)へ直接入射されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光導波路(2)が、露光されるべき領域の形状に合わせて光射出部を適合して、平面的な放射領域または立体的な三次元の放射領域を生成する、光射出領域の所定の幾何学形状を有しており、かつ/または前記光導波路(2)が、能動的な光環を示して正しい露光間隔を規定するスペーサを先端部に備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記光導波路(2)が、複雑に形成された狭い体腔および組織嚢に侵入して、該狭い体腔および組織嚢を穏やかに開くことを可能にする幾何学形状を有しており、かつ/または前記光導波路(2)が、特に垂線に対して1.5度から4度の角度で円錐状に成形された先端部を有していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記光導波路(2)が、特に10μmから200μmおよび場合によりそれ以上の所定のミクロ構造を備える光射出面を有しており、それによって特に光の散乱が実現されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記照射機器は、前記照射機器と前記アプリケータが完全に接続されているときにだけ、光が前記照射機器から出ることができるように、かつ/または前記アプリケータの光導波路が前記照射機器へ完全に挿入されているときにだけ、前記照射機器から出ることができるように、遮蔽装置を備えていることを特徴とする、特に請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記遮蔽装置が、前記光源(26)の光路に配置された穴(60)を備える、前記照射機器と堅固に接続されたロック体(58)を含んでおり、前記ロック体(58)に対して可動に配置された穴(106)を備えるロックディスク(62)が設けられており、前記光源(26)の光路は、前記アプリケータが前記照射機器と接続されない限り、前記ロックディスク(62)により遮断されており、前記照射機器と前記アプリケータの接続が確立した後に、前記光源(26)から前記アプリケータの前記光導波路(2)への光路が開かれ、かつ/または前記ロックディスク(62)に設けられた穴が、前記光路にある前記ロック体(58)の穴(60)と一直線上に並ぶことを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記照射機器の前記接続体が、前記照射機器のヘッド部品(50)として構成されており、かつ/または前記接続体が、前記アプリケータの光導波路端部(8)を収容および/またはセンタリングするための中央の穴(52)を有していることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記アプリケータの前記接続体が、深さストッパ(4)を備える差込み型プラグおよび/またはねじ込み型プラグとして構成されており、かつ/または前記アプリケータの前記光導波路(2)が、前記アプリケータの前記接続体(4)に挿通されるとともに、前記光導波路(2)の光導波路端部(8)が、所定の長さだけ後方に向かって前記接続体(4)から突出し、前記照射機器との間で接続が確立したときに、特にヘッド部品(50)に係合することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
光源(26)を備える照射機器を含み、治療されるべき領域に塗布されて前記光源(26)で照射される光活性化物質が治療のために設けられている、微生物を減少させる装置の利用法であって、
治療されるべき領域へ前記照射機器の光を伝達するために光導波路(2)を備えるアプリケータが使用されることを特徴とする、微生物を減少させる装置の利用法。
【請求項11】
単位容積あたり重量で0.1%よりも高い濃度、好ましくは0.5%よりも高く、特に実質的に1%の濃度である溶剤中に、好ましくは染色剤を含む光活性化物質が使用され、かつ/または前記濃度について10%、好ましくは4%、特に3%の上限が設定されていることを特徴とする、請求項10に記載の装置の利用法。
【請求項12】
まず、光活性化物質が、高い濃度で治療されるべき領域に塗布され、次いで、特に水および/またはイオン濃度ができるだけ低い媒体ですすぎが行われ、最後にレーザ光による照射が行われ、特に最適化された細胞破壊が行われることを特徴とする、請求項10または11に記載の装置の利用法。
【請求項13】
まず、光活性化物質が、高い濃度で治療されるべき領域に塗布され、次いで、特に水および/またはpH値ができるだけ塩基性の媒体ですすぎが行われ、最後にレーザ光による照射が行われ、特に最適化された細胞破壊が行われることを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載の装置の利用法。
【請求項14】
まず、光活性化物質が、高い濃度で治療されるべき領域に塗布され、次いで、特に水および/または酸素分圧ができるだけ高い媒体ですすぎが行われ、最後にレーザ光による照射が行われ、特に最適化された細胞破壊が行われることを特徴とする、請求項10から13のいずれか一項に記載の装置の利用法。
【請求項15】
まず、光活性化物質が、高い濃度で治療されるべき領域に塗布され、次いで、露光の前に、洗い流し、拭い取り、吸い取り、吹き払いによって染色剤の量の低減が行われることを特徴とする、請求項10から14のいずれか一項に記載の装置の利用法。
【請求項16】
前記媒体、特に調製された水道水が、4mg/lから6mg/lの酸素分圧を有しており、かつ/または分子酸素が14mg/lまで添加されており、かつ/または前記媒体には過酸化物が添加されており、特に0.5%から3%の過酸化水素溶液が添加されていることを特徴とする、請求項15に記載の装置の利用法。
【請求項17】
請求項1から9のいずれか一項に記載の装置が用いられることを特徴とする、請求項10から16のいずれか一項に記載の装置の利用法。
【請求項1】
光源(26)を備える照射機器を含み、治療されるべき領域に塗布されて前記光源(26)で照射される光活性化物質が治療のために設けられている、微生物を減少させる装置であって、
光導波路(2)を含む少なくとも1つのアプリケータが設けられており、一方では前記アプリケータと他方では前記照射機器が、互いに対応して相互に係合する接続体(4、50)を有しており、前記光源(26)の光が、前記光導波路(2)を通って治療されるべき領域へ放射されることを特徴とする、微生物を減少させる装置。
【請求項2】
前記光導波路(2)が、好ましくは0.5よりも大きく、特に0.7よりも大きい、大きな開口数を有しており、かつ/または前記光源(26)の光が、前記アプリケータの前記光導波路(2)へ直接入射されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光導波路(2)が、露光されるべき領域の形状に合わせて光射出部を適合して、平面的な放射領域または立体的な三次元の放射領域を生成する、光射出領域の所定の幾何学形状を有しており、かつ/または前記光導波路(2)が、能動的な光環を示して正しい露光間隔を規定するスペーサを先端部に備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記光導波路(2)が、複雑に形成された狭い体腔および組織嚢に侵入して、該狭い体腔および組織嚢を穏やかに開くことを可能にする幾何学形状を有しており、かつ/または前記光導波路(2)が、特に垂線に対して1.5度から4度の角度で円錐状に成形された先端部を有していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記光導波路(2)が、特に10μmから200μmおよび場合によりそれ以上の所定のミクロ構造を備える光射出面を有しており、それによって特に光の散乱が実現されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記照射機器は、前記照射機器と前記アプリケータが完全に接続されているときにだけ、光が前記照射機器から出ることができるように、かつ/または前記アプリケータの光導波路が前記照射機器へ完全に挿入されているときにだけ、前記照射機器から出ることができるように、遮蔽装置を備えていることを特徴とする、特に請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記遮蔽装置が、前記光源(26)の光路に配置された穴(60)を備える、前記照射機器と堅固に接続されたロック体(58)を含んでおり、前記ロック体(58)に対して可動に配置された穴(106)を備えるロックディスク(62)が設けられており、前記光源(26)の光路は、前記アプリケータが前記照射機器と接続されない限り、前記ロックディスク(62)により遮断されており、前記照射機器と前記アプリケータの接続が確立した後に、前記光源(26)から前記アプリケータの前記光導波路(2)への光路が開かれ、かつ/または前記ロックディスク(62)に設けられた穴が、前記光路にある前記ロック体(58)の穴(60)と一直線上に並ぶことを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記照射機器の前記接続体が、前記照射機器のヘッド部品(50)として構成されており、かつ/または前記接続体が、前記アプリケータの光導波路端部(8)を収容および/またはセンタリングするための中央の穴(52)を有していることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記アプリケータの前記接続体が、深さストッパ(4)を備える差込み型プラグおよび/またはねじ込み型プラグとして構成されており、かつ/または前記アプリケータの前記光導波路(2)が、前記アプリケータの前記接続体(4)に挿通されるとともに、前記光導波路(2)の光導波路端部(8)が、所定の長さだけ後方に向かって前記接続体(4)から突出し、前記照射機器との間で接続が確立したときに、特にヘッド部品(50)に係合することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
光源(26)を備える照射機器を含み、治療されるべき領域に塗布されて前記光源(26)で照射される光活性化物質が治療のために設けられている、微生物を減少させる装置の利用法であって、
治療されるべき領域へ前記照射機器の光を伝達するために光導波路(2)を備えるアプリケータが使用されることを特徴とする、微生物を減少させる装置の利用法。
【請求項11】
単位容積あたり重量で0.1%よりも高い濃度、好ましくは0.5%よりも高く、特に実質的に1%の濃度である溶剤中に、好ましくは染色剤を含む光活性化物質が使用され、かつ/または前記濃度について10%、好ましくは4%、特に3%の上限が設定されていることを特徴とする、請求項10に記載の装置の利用法。
【請求項12】
まず、光活性化物質が、高い濃度で治療されるべき領域に塗布され、次いで、特に水および/またはイオン濃度ができるだけ低い媒体ですすぎが行われ、最後にレーザ光による照射が行われ、特に最適化された細胞破壊が行われることを特徴とする、請求項10または11に記載の装置の利用法。
【請求項13】
まず、光活性化物質が、高い濃度で治療されるべき領域に塗布され、次いで、特に水および/またはpH値ができるだけ塩基性の媒体ですすぎが行われ、最後にレーザ光による照射が行われ、特に最適化された細胞破壊が行われることを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載の装置の利用法。
【請求項14】
まず、光活性化物質が、高い濃度で治療されるべき領域に塗布され、次いで、特に水および/または酸素分圧ができるだけ高い媒体ですすぎが行われ、最後にレーザ光による照射が行われ、特に最適化された細胞破壊が行われることを特徴とする、請求項10から13のいずれか一項に記載の装置の利用法。
【請求項15】
まず、光活性化物質が、高い濃度で治療されるべき領域に塗布され、次いで、露光の前に、洗い流し、拭い取り、吸い取り、吹き払いによって染色剤の量の低減が行われることを特徴とする、請求項10から14のいずれか一項に記載の装置の利用法。
【請求項16】
前記媒体、特に調製された水道水が、4mg/lから6mg/lの酸素分圧を有しており、かつ/または分子酸素が14mg/lまで添加されており、かつ/または前記媒体には過酸化物が添加されており、特に0.5%から3%の過酸化水素溶液が添加されていることを特徴とする、請求項15に記載の装置の利用法。
【請求項17】
請求項1から9のいずれか一項に記載の装置が用いられることを特徴とする、請求項10から16のいずれか一項に記載の装置の利用法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2007−521108(P2007−521108A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529934(P2006−529934)
【出願日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005719
【国際公開番号】WO2004/105874
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(505436933)ヘルボ・フオトデユナーミツク・システムズ・ゲー・エム・ベー・ハー・ウント・コー・カー・ゲー (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005719
【国際公開番号】WO2004/105874
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(505436933)ヘルボ・フオトデユナーミツク・システムズ・ゲー・エム・ベー・ハー・ウント・コー・カー・ゲー (2)
【Fターム(参考)】
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