説明

微生物トランスグルタミナーゼの製造法

本発明により、微生物由来プロトランスグルタミナーゼのプロ構造部を選択的に切断する、放線菌由来中性メタロプロテアーゼおよびこれをコードする遺伝子が提供される。本発明の放線菌由来中性メタロプロテアーゼをコードする遺伝子を導入した微生物を培養し、前記放線菌由来中性メタロプロテアーゼを生産させ、微生物由来プロトランスグルタミナーゼに作用させることにより、プロ構造部が切断された活性型微生物由来トランスグルタミナーゼを製造することができる。

【発明の詳細な説明】
発明の技術分野
本発明は、放線菌により生産されるプロトランスグルタミナーゼのプロ構造部を効率的に切断し、活性型トランスグルタミナーゼに変換する新規プロテアーゼ、およびそれをコードする核酸分子に関する。
また本発明は、前記プロテアーゼを用いて、活性型微生物由来トランスグルタミナーゼを製造する方法に関する。
さらに本発明は、前記中性メタロプロテアーゼの製造法に関するものである。
【背景技術】
トランスグルタミナーゼはタンパク質のペプチド鎖内にあるγ−カルボキシアミド基のアシル転移反応を触媒する酵素である。本酵素をタンパク質に作用させると、ε−(γ−Glu)−Lys架橋形成反応、Glnの脱アミド化によるGlu残基への変換反応が起こりうる。このトランスグルタミナーゼは、ゼリー等のゲル化食品、ヨーグルト、チーズ、或いはゲル状化粧品などの製造や食肉の肉質改善等に利用されている(特公平1−50382)。また、熱に安定なマイクロカプセルの素材、固定化酵素の担体などの製造に利用されているなど、産業上利用性の高い酵素である。
トランスグルタミナーゼには、活性発現がカルシウム依存性の動物由来トランスグルタミナーゼおよびカルシウム非依存性の微生物由来トランスグルタミナーゼ(マイクロバイアルトランスグルタミナーゼ:以下「MTG」という)が知られている。MTGとしては、これまでにストレプトバーチシリウム属(Streptoverticillium)の菌から発見されたものが知られている。そのようなストレプトバーチシリウム属としては、例えば、ストレプトバーチシリウム・グリセオカルニウム(Streptoverticillium griseocarneum)IFO 12776、ストレプトバーチシリウム・シナモニウム(Streptoverticillium cinnamoneum sub sp.cinnamoneum)IFO 12852、ストレプトバーチシリウム・モバラエンス(Streptoverticillium mobaraense、以後、S.mobaraenseと略すことがある)IFO 13819等が挙げられている(特開昭64−27471)。
しかしこれらは、上記菌類等の培養物から精製作業を経て製造されていたため、供給量、効率等の点で問題があった。そこで、異種タンパク質を効率よく分泌する方法として、宿主にコリネ型細菌を選択し、コリネ型細菌由来のシグナルペプチドの下流にトランスグルタミナーゼが接続された融合タンパク質を産生させ、これを菌体外に効率よく分泌させ、高収量のトランスグルタミナーゼを得る方法が確立された(WO 01/23591)。そこでは、MTGにプロ構造部の付加した不活性型のプロトランスグルタミナーゼ(以下、「プロMTG」という)の形態で分泌させ、分泌後プロテアーゼによってプロMTGのプロ構造部を切断させ活性を有するトランスグルタミナーゼに変換する方法、および、放線菌由来のセリンプロテアーゼであるSAM−P45を、プロMTGを生産するコリネ型細菌に必要十分量共発現させることによって、培養液中に直接活性型のトランスグルタミナーゼを生成させる方法が示されている。
ところで、コリネ型細菌にプロMTGと、そのプロ構造部を切断させるプロテアーゼとを共発現させて培養液に直接、活性型のトランスグルタミナーゼを生成させる方法は、きわめて効率の良いトランスグルタミナーゼ製造方法になると想定されるが、SAM−P45はその基質特異性が厳格ではなく、プロMTGのプロ構造部のみならず、トランスグルタミナーゼ本体をある程度消化分解する場合もあるため、その取り扱いは必ずしも簡便とは言えない。したがって、SAM−P45を使用する場合には、培養液中に生成したトランスグルタミーゼの分解を起こさせないよう、トランスグルタミーゼ製造の工程管理を厳密に行う必要がある。
従って、活性型トランスグルタミナーゼを有利に行うために、プロMTGのプロ構造部のみを選択的に分解し、かつトランスグルタミナーゼ本体の過分解をできるだけ起こさないプロテアーゼに対する需要がなお存在していた。
プロMTGのプロ構造部を切断する酵素としては、SAM−P45以外には、バチラス・ポリミキサ由来のディスパーゼが知られている(Eur.J.Biochem.、257巻、570−576頁(1998年))。しかしながら、プロ構造部の切断に大量の酵素が必要であり、トランスグルタミナーゼ本体の過分解の恐れがある。また、ディスパーゼは細胞培養用の試薬であり、産業用酵素としては高価である。
【発明の開示】
上述のように、活性型トランスグルタミナーゼ製造を有利に行うために、プロMTGのプロ構造部のみを選択的に分解し、かつトランスグルタミナーゼ本体の過分解をできるだけ起こさないプロテアーゼがなお望まれていた。また、もしプロMTGのプロ構造部のみを選択的に分解し、かつトランスグルタミナーゼ本体の過分解をできるだけ起こさないプロテアーゼを利用できれば、活性型トランスグルタミナーゼの製造に有利であると考えられた。さらに、プロMTGのプロ構造部を選択的に分解する、トランスグルタミナーゼ製造に有用なプロテアーゼは、コリネ型細菌を用いて、容易に菌体外へ分泌できるものであれば、プロMTGとともに共発現させることによって培養液に直接、活性型のトランスグルタミナーゼを生成させることができるので、より好ましいと考えられた。
従って、本発明の目的は、プロMTGのプロ構造部を選択的に切断する、トランスグルタミナーゼ製造に有用なプロテアーゼを提供することである。
特に、本発明の目的は、プロMTGのプロ構造部を選択的に切断するプロテアーゼであって、コリネ型細菌を宿主として生産することができ、かつ容易に菌体外へ分泌できるプロテアーゼを提供することである。
また、本発明の目的は、前記プロテアーゼをコードする核酸分子を提供することでもある。
本発明の更なる目的は、前記プロテアーゼを用いて、MTGを効率的に製造する方法を提供することである。
さらに本発明は、前記プロテアーゼを製造する方法を提供することである。
本発明者らは、プロMTGのプロ構造部分を選択的に分解するがトランスグルタミナーゼ自体の分解をできるだけ起こさないプロテアーゼの探索を行い、放線菌から、そのような性質を有する中性メタロプロテアーゼを単離精製することができた。本発明者らは、前記プロテアーゼをコードするDNAも取得し、これをコリネ型細菌に組み込み、コリネ型細菌を宿主とした分泌発現に成功した。さらに実際に本酵素をプロMTGに作用させ、プロ構造部を切断させ、活性型トランスグルタミナーゼを回収することができた。また、同等の機能を有する他起源の微生物由来中性メタロプロテアーゼを見出し、同様に活性型MTGの製造に有用であることも明らかにし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は放線菌由来の、プロMTGプロ構造部の切断選択性が高い中性メタロプロテアーゼ、および、これらをコードする核酸分子である。
また本発明は、中性メタロプロテアーゼによりプロMTGのプロ構造部分を切断することを特徴とする、活性型MTGの製造方法である。
また、本発明は上記中性メタロプロテアーゼをコードする核酸分子をコリネ型細菌に導入し、前記核酸分子が導入されたコリネ型細菌を培養し、それによって上記中性メタロプロテアーゼを発現させ、菌体外に分泌された上記メタロプロテアーゼを回収することを特徴とする、上記メタロプロテアーゼ製造方法でもある。
より具体的には、本発明は、以下の性質を有する放線菌由来の中性メタロプロテアーゼSVP35である:
1)分子量:約35,000(SDS−PAGEによる測定)
2)至適pH:6.0〜8.0、より具体的には6.5〜7.5、特に7.0付近
3)pH安定性:pH4〜10
4)至適温度:約45℃
5)温度安定性:約50℃以下で安定
6)メタロプロテアーゼ阻害剤であるエチレンジアミン四酢酸、1,10−フェナンスロリンおよびホスホラミドン、また、放線菌由来サチライシン阻害タンパク質(SSI)にて強い阻害作用を受ける。
また、本発明は、以下の性質を有する放線菌由来の中性メタロプロテアーゼSVP70である:
1)分子量:約71,000(SDS−PAGEによる測定)
2)至適pH:6.0〜8.0の範囲、より具体的には6.5〜7.5、特に7.0付近
3)pH安定性:pH5〜10
4)至適温度:50℃〜55℃の範囲、特に55℃付近
5)メタロプロテアーゼ阻害剤であるエチレンジアミン四酢酸、1,10−フェナンスロリンおよびホスホラミドン、SH−還元剤であるジチオスレイトール、また、放線菌由来サチライシン阻害タンパク質(SSI)にて強い阻害作用を受ける。
また、本発明は上記SVP35またはSVP70をコードする核酸分子である。
また、本発明は、上記SVP35またはSVP70によりプロMTGのプロ構造部分を切断することを特徴とする、活性型MTGの製造方法である。
さらに、本発明は上記SVP35またはSVP70をコードする核酸分子をコリネ型細菌に導入し、前記核酸分子が導入されたコリネ型細菌を培養し、菌体外に分泌されたSVP35またはSVP70を回収することを特徴とする、SVP35またはSVP70の製造方法である。
【図面の簡単な説明】
図1は、SVP35およびSVP70の活性のpH依存性を表したグラフである。
図2は、SVP35およびSVP70のpH安定性を表したグラフである。
図3は、SVP35およびSVP70の活性の温度依存性を表したグラフである。
図4は、SVP35の温度安定性を表したグラフである。
図5は、SVP35およびSVP70の活性に対する種々の化合物の阻害活性を表す。
図6は、SVP35およびSVP70による、プロMTGの活性型MTGへの変換の経時変化をタンパク質量の変化としてそれぞれ表した図である。
図7は、SVP70およびSAM−P45をプロMTGに作用させた場合の、トランスグルタミナーゼ活性の経時変化を表したグラフである。(A):SVP70添加、●:基質に対して1/200量を添加、■:基質に対して1/500量を添加;(B):SAM−P45添加、●:基質に対して1/10量を添加、■:基質に対して1/50量を添加。
図8は、SVP70およびSAM−P45をプロMTGに作用させた場合の、MTGタンパク質量の経時変化を表したグラフである。(A):SVP70添加、●:基質に対して1/200量を添加、■:基質に対して1/500量を添加;(B):SAM−P45添加、●:基質に対して1/10量を添加、■:基質に対して1/50量を添加。
【発明を実施するための最良の形態】
一般に、分泌型タンパク質はプレペプチドまたはプレプロペプチドとして翻訳された後、シグナルペプチド(「プレ部分」)が切断されて成熟ペプチドまたはプロペプチドに変換され、プロペプチドはプロテアーゼによってさらにプロ構造分と呼ばれる領域が切断されて成熟ペプチドになることが知られている。本明細書において、分泌型タンパク質のプロ構造部分を単に「プロ構造」と呼ぶこともある。また、本明細書において、「シグナル配列」とは、分泌性タンパク質前駆体のN末端に存在し、かつ天然の成熟タンパク質には存在しない配列をいい、「シグナルペプチド」とはそのようなタンパク質前駆体から切り取られるペプチドをいう。一般にはシグナル配列は菌体外への分泌に伴ってプロテアーゼによって切断される。
本明細書において、シグナルペプチドを有しないがプロ構造部分を有するタンパク質を「プロタンパク質」、たとえば「プロトランスグルタミナーゼ」あるいは「プロMTG」と称することがある。本明細書において、分泌型タンパク質のプロ構造部分を単に「プロ構造」あるいは「プロ構造部」と称することがあり、これらの用語は互換的に使用される。
本発明者らは、まずコリネ型細菌で容易に発現できると想定されるプロテアーゼのうち、目的とする基質選択特異性が高い、すなわちプロMTGのプロ構造部を選択的に分解し且つトランスグルタミナーゼ本体の過分解をできるだけ起こさないプロテアーゼの探索を行った。
本来放線菌によってMTGが菌体外に分泌されるときは、まずプロMTGとして分泌され、分泌後プロMTGのプロ構造部が切断され活性型MTGとなることが想定されている(Eur.J.Biochem.257巻、570−576頁(1998年))。このことから、本発明者らは、MTG生産放線菌にプロMTGのプロ構造部を切断するプロテアーゼが存在することを予想した。このプロテアーゼは本来プロ構造部を切断するプロテアーゼであるから、基質選択性が高く、プロ構造部のみを切断し、MTG本体への作用は少ないことが想定される。
また、放線菌由来のプロMTGの構造遺伝子、並びにプロテアーゼSAM−P45の構造遺伝子何れもがコリネ型細菌で良好に発現し、これらを菌体外へ分泌させることができる。これらの情報に基づき、放線菌であるMTG生産菌から目的とするプロテアーゼを見出すべく鋭意検討を行った結果、MTG生産菌ストレプトバーチシリウム・モバラエンスが、プロMTGのプロ構造部の切断選択性が高く、活性型MTG生産に有用な新規中性メタロプロテアーゼをも生産していることが見出された。本発明者らは、この中性メタロプロテアーゼを単離精製し、その酵素学的特性を明らかにした。さらに本発明者らは、このメタロプロテアーゼのN末端部分アミノ酸配列を決定し、このメタロプロテアーゼをコードする遺伝子を得た。
また、本発明者らは、本酵素遺伝子をコリネ型細菌に組み込み、コリネ型細菌を宿主とした系において発現させたところ菌体外に分泌させることができた。さらに実際に本酵素をプロMTGに作用させたところ、プロ構造部が切断され、活性型トランスグルタミナーゼが得られた。また、同等の機能を有する他の起源の微生物由来中性メタロプロテアーゼも見出され、同様に活性型MTGの製造に有用であることが明らかになった。
以下に、より具体的な本発明の実施の態様を例示的に示す。
本発明の中性メタロプロテアーゼは、ストレプトバーチシリウム・モバラエンス(Streptoverticillium mobaraense)、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)等の放線菌の培養菌体表層および培養上清中から調製することができる。
以下では、まず、ストレプトバーチシリウム・モバラエンスIFO13819から新規に見出した中性プロテアーゼについて述べる。
本発明の中性プロテアーゼを得るための菌、例えば上述した放線菌の培養は、放線菌の培養に通常用いられる方法に従って行うことができる。すなわち、培養するための培地としては通常の炭素源、窒素源、無機イオン等を含有する通常の培地が利用できる。炭素源としてはグルコース、デンプン、ショ糖、その他を用いることができる。窒素源としてはペプトン、酵母エキス、肉エキス、麦芽エキス、アンモニウム塩、その他を必要に応じて適宜使用することができる。培養は好気条件下にpH5.0から8.5、温度を15℃から37℃の適当な範囲に制御することによって行うことができる。本発明の中性プロテアーゼ製造のためには、目的とする中性メタロプロテアーゼの生産が最大に達するまで培養を続け、その後停止させるのが好ましい。適切な培養期間は温度、pH、培地に依存するが、一般には1〜12日程度が好ましい。培養後遠心分離操作等により、培養物を菌体と培養上清とに分ける。
本発明の新規中性メタロプロテアーゼは、培養上清液、および、回収した菌体、特に菌体表層から得ることができる。本酵素を精製するためには、通常酵素の精製を行うために用いられる全ての常法、例えば硫安塩析法、ゲル濾過法、イオン交換クロマトグラフィー法、疎水クロマトグラフィー法等を採用することができる。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等を使用することによって、さらに効率よくプロテアーゼを精製することができる。このようにして得られる中性メタロプロテアーゼの酵素活性の測定は、プロトランスグルタミナーゼのプロ構造部分と成熟トランスグルタミナーゼの接続領域を含むペプチド、例えば、合成ペプチドGlu−Pro−Ser−Phe−Arg−Ala−Pro−Asp−Ser(配列番号11)(ペプチド研究所製)を基質として酵素を反応させ、基質の減少量を算出することにより測定することができる。
上述したように、回収した菌体、特に菌体表層または培養上清液から抽出精製された本発明の中性メタロプロテアーゼは、次に、気相プロテインシークエンサーにてN末端のアミノ酸配列を解析し、部分アミノ酸配列を決定することができる。さらに、単離精製した中性メタロプロテアーゼの酵素化学的性質(至適pH、pH安定性、至適温度、温度安定性、阻害剤の影響等)を調べることができる。
本発明の一実施態様において、ストレプトバーチシリウム・モバラエンスの菌体表層からSVP35と命名した中性メタロプロテアーゼが、培養上清からSVP70と命名した中性メタロプロテアーゼが得られる。
本発明の一実施態様において、本発明の中性メタロプロテアーゼは以下の性質を有する中性メタロプロテアーゼSVP35である:
1)分子量:約35,000(SDS−PAGEによる測定)
2)至適pH:6.0〜8.0、より具体的には6.5〜7.5、特に7.0付近
3)pH安定性:pH4〜10
4)至適温度:約45℃
5)温度安定性:約50℃以下で安定
6)阻害剤:メタロプロテアーゼ阻害剤であるエチレンジアミン四酢酸、1,10−フェナンスロリンおよびホスホラミドン、また、放線菌由来サチライシン阻害タンパク質(SSI)にて強い阻害作用を受ける。
また、本発明の別の実施態様において、本発明の中性メタロプロテアーゼは以下の性質を有する中性メタロプロテアーゼSVP70である:
1)分子量:約71,000(SDS−PAGEによる測定)
2)至適pH:6.0〜8.0の範囲、より具体的には6.5〜7.5、特に7.0付近
3)pH安定性:pH5〜10
4)至適温度:50℃〜55℃の範囲、特に55℃付近
5)阻害剤:メタロプロテアーゼ阻害剤であるエチレンジアミン四酢酸、1,10−フェナンスロリンおよびホスホラミドン、SH−還元剤であるジチオスレイトール、また、放線菌由来サチライシン阻害タンパク質(SSI)にて強い阻害作用を受ける。
SVP35及びSVP70は、いずれもプロMTGに作用させた場合、MTGのプロ構造部の選択的切断活性が高い。すなわち、いずれの酵素もプロMTGを活性型のMTGに効率よく変換させるが、生成した活性型MTG本体を分解する活性は低いという特徴があるので、どちらもプロMTGを原料として活性型MTGを製造するのに好適な酵素である。一方これら新規な2種の中性メタロプロテアーゼのN末端アミノ酸配列は、SVP35については配列表配列番号1に、SVP70については配列表配列番号2に示してあり、両者には相同性がある。従って、これらプロテアーゼとN末端アミノ酸配列に相同性を有するものを検索したところ、ストレプトマイセス・グリセウス由来のメタロプロテアーゼSGMP II(J.Biochem.110巻、339〜344ページ、1991年)、並びに、ストレプトマイセス・セリカラー由来の3種のメタロプロテアーゼ(GenBank/EMBL/DDBJ CAB76000、同CAB76001、同CAB69762)等が見出された。これらのプロテアーゼも、SVP35及びSVP70と同様に、プロMTGのプロ構造部の選択的切断に使用することができ、プロMTGを原料として活性型MTGを製造するために用いることができる。
次に、組み換えDNA技術によって本発明の中性メタロプロテアーゼを製造する方法について説明する。
組み換えDNA技術を利用して酵素、生理活性物質等の有用タンパク質を製造する例は数多く知られている。組み換えDNA技術を用いることの利点は、天然に微量に存在する有用タンパク質を大量生産できることである。
組み換えDNA技術を利用して本発明の中性メタロプロテアーゼを製造するためには、まず、プロモーター、適切なシグナルペプチドをコードする配列および本発明の中性メタロプロテアーゼをコードする核酸断片、およびコリネ型細菌中で中性メタロプロテアーゼ遺伝子を発現させるために必要な制御配列(オペレーターやターミネーター等)、をそれらが機能し得るように適切な位置に有する遺伝子構築物を作製する。本発明の中性メタロプロテアーゼは、N末端にプロ構造部を有していてもよい。この構築物作製のために使用できるベクターは特に制限されず、宿主微生物、好ましくはコリネ型細菌中で機能し得るものであればよく、例えば、プラスミドのように染色体外で自立増殖するものであっても細菌染色体に組み込まれるものであってもよい。宿主としてコリネ型細菌を使用する場合、コリネ型細菌由来のプラスミドはベクターとして特に好ましい。これらには、例えばpHM1519(Agric.Biol.Chem.,48,2901−2903(1984))、pAM330(Agric.Biol.Chem.,48,2901−2903(1984))、およびこれらを改良した薬剤耐性遺伝子を有するプラスミドが含まれる。
本発明において宿主菌として使用できるコリネ型細菌としては、L−グルタミン酸生産菌に代表されるブレビバクテリウム・サッカロリティクムATCC14066、ブレビバクテリウム・インマリオフィルムATCC14068、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(コリネバクテリウム・グルタミカム)ATCC13869、ブレビバクテリウム・ロゼウムATCC13825、ブレビバクテリウム・フラバム(コリネバクテリウム・グルタミカム)ATCC14067、コリネバクテリウム・アセトアシドフィルムATCC13870、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032、コリネバクテリウム・リリウム(コリネバクテリウム・グルタミカム)ATCC15990、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(コリネバクテリウム・アンモニアゲネス)ATCC6871等の野生株またはその変異株より誘導される変異株である。
本発明において使用される変異株としては、例えばグルタミン酸生産性を失った変異株、更にはリジン等のアミノ酸生産変異株、イノシン等の核酸のような他の物質を生産する変異株も含まれる。このような変異株は、紫外線照射またはN−メチル−N’−ニトロソグアニジン等の化学変異剤による処理を行なった後、タンパク質の分泌生産能が高まった株を選抜することにより得ることができる。
とりわけ、野生株コリネバクテリウム・グルタミカム(C.glutamicum)ATCC13869よりストレプトマイシン(Sm)耐性変異株として分離したコリネバクテリウム・グルタミカムAJ12036(FERM BP−734)(昭和59年3月26日原寄託)(現、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、日本国つくば市東1−1−1 中央第6、郵便番号305−8566)はその親株(野生株)に比べ、タンパク質の分泌に関わる機能遺伝子に変異が存在することが予測され、異種タンパク質の分泌生産能が至適培養条件下での蓄積量としておよそ2〜3倍と極めて高く、宿主菌として好適である(WO 02/081694参照)。さらに、このような菌株から細胞表層タンパク質を生産しないように改変した菌株を宿主として使用すれば、培地中に分泌された異種タンパク質の精製が容易となり、特に好ましい。そのような改変は、突然変異または遺伝子組換え法により染色体上の細胞表層タンパク質またはその発現調節領域に変異を導入することにより行うことができる。
コリネ型細菌由来のプロモーターとしては、例えば、細胞表層タンパク質のPS1、PS2、SlpAの遺伝子のプロモーター、各種アミノ酸生合成系、例えばグルタミン酸合成酵素遺伝子、リジン生合成系のアスパルトキナーゼ遺伝子のプロモーター等が挙げられる。
本発明で使用するシグナルペプチドは、宿主であるコリネ型細菌の分泌性タンパク質のシグナルペプチドであり、好ましくは、コリネ型細菌の細胞表層タンパク質のシグナルペプチドである。コリネ型細菌の細胞表層タンパク質としては、コリネバクテリウム・グルタミカム(C.glutamicum)に由来するPS1及びPS2(特表平6−502548)、及びコリネバクテリウム・アンモニアゲネス(C.ammoniagenes)に由来するSlpA(特開平10−108675)が挙げられる。
組み換えDNA技術を利用してプロMTGのプロ構造部の選択的切断活性が強い中性メタロプロテアーゼを製造するためには、当該中性メタロプロテアーゼをコードするDNAが必要である。
本発明の一実施態様において、組み換えDNA技術を利用して中性メタロプロテアーゼSVP35が製造される。SVP35をコードするDNAは、下記のようにして取得することができる。
はじめに、精製されたSVP35のアミノ酸配列を決定する。エドマン法(Edman,P.,Acta Chem.Scand.4,227(1950))を用いてアミノ酸配列を決定することができる。また島津製作所社製等の気相プロテインシークエンサーを用いてアミノ酸配列を決定することができる。
本発明の中性メタロプロテアーゼSVP35について、N末端から20残基のアミノ酸配列を決定したところ、配列表配列番号1に示される配列が明らかとなった。
この配列情報を利用して適切なPCR用プライマーを合成し、本発明の中性メタロプレテアーゼを得るためのプローブを作製することができる。例えば、N末端アミノ酸配列の相同性検索結果から相同性を有することが予想される放線菌由来のプロテアーゼ遺伝子、例えば、ストレプトマイセス・セリカラー由来のメタロプロテアーゼ(GenBank/EMBL/DDBJ CAB76001)遺伝子、を斉藤、三浦の方法[Biochem.Biophys.Acta,72,619(1963)]により調製した放線菌DNAを鋳型としてPCRを行い、このプロテアーゼをコードする遺伝子の断片を増幅することができる。得られた増幅断片はプローブとして使用することができる。
次に斉藤、三浦の方法により調製した放線菌由来のDNA、例えばStreptoverticillium mobaraense IFO13819の染色体DNAを、適当な種々の制限酵素、例えば6塩基配列を認識する種々の制限酵素で消化する。上記PCRによって得られたPCR産物の32P−ラベル化物をプローブとして、Molecular Cloning 2nd edition[J.Sambrook E.F.Fritsch and T.Maniatis,Cold Spring Harbor Laboratory Press,p9.31(1989)]に記載されたサザンブロットハイブリダイゼーション法等の当業者に知られた方法により、消化した放線菌染色体DNAを解析することができる。例えばサザンブロットにより、用いたプローブと高い相同性を有することが確認された断片を回収し、適切なベクター中にクローニングすることにより、本発明の中性メタロプロテアーゼをコードする核酸分子またはその一部をクローニングすることができる。このような遺伝子クローニングに必要な技法は当業者にはよく知られたものである(例えば、Molecular Cloning 2nd edition[J.Sambrook E.F.Fritsch and T.Maniatis,Cold Spring Harbor Laboratory Press,p1.90(1989)]参照)。
本発明の一実施態様においては、Streptomyces coelicolor A3(2)の染色体DNAを鋳型としてPCRを行い、プローブが作製される。更に、Streptoverticillium mobaraense IFO13819染色体DNAのSph I消化物中に、32Pラベルしたプローブとハイブリダイズする約8kbの単一バンドが検出される。そこで、先の方法により調製したStreptoverticillium mobaraense IFO13819の染色体DNAをSph Iで消化し、約8kbの断片をアガローズゲル電気泳動により回収し、この回収断片をpUC18のSph I部位に挿入した後、Escherichia coli JM109のコンピテントセルに導入し、ライブラリーが作製される。作製したライブラリーに対して、合成オリゴヌクレオチドをプローブとして、Molecular Cloning 2nd edition(既出)記載のコロニーハイブリダイゼーション法に従ってスクリーニングを行い、SVP35の遺伝子断片がクローン化されたプラスミドを保持する菌株を選択することにより目的のクローンが得られる。この菌株より回収したプラスミドはpVSV1と名付けられている。pVSV1にクローン化されている断片のヌクレオチド配列を解析し、アミノ酸の一次配列を推定することにより、先に決定したN末端部分アミノ酸配列をコードしていることが確認される。これによって、得られた遺伝子がSVP35をコードする遺伝子であることが確認される。
次に、得られたメタロプロテアーゼをコードするDNAを含む遺伝子構築物を、使用する宿主の性質に応じて適切なベクターと結合させて、本発明の中性メタロプロテアーゼを発現させるための組換え核酸分子を構築することができる。この組換え核酸分子で宿主であるコリネ型細菌細胞を形質転換する。形質転換された細胞を適切な培地中で培養し、培地中及び/又は細胞中に分泌又は蓄積された本発明の中性メタロプロテアーゼを回収することができる。
次に、中性メタロプロテアーゼを用いてプロMTGから活性型MTGを製造する方法について述べる。
活性型MTG製造に用いる中性メタロプロテアーゼは、中性メタロプロテアーゼ生産菌の培養液から調製される中性メタロプロテアーゼ含有画分としてプロMTGに作用させることができる。又、さらに高度に精製された比活性の高い中性メタロプロテアーゼとして用いることもできる。さらに、後述するように、プロMTGのプロ構造部の選択的切断活性が強い中性メタロプロテアーゼをコードするDNAとベクターとを連結して得られる組換え核酸分子によって形質転換された細胞を培養することによって得られる中性メタロプロテアーゼを用いることもできる。
MTG製造に用いるプロMTGは、プロMTG生産菌の培養液から調製されるプロMTG含有画分であってもよい。また、さらに高度に精製されたプロMTGを用いてもよい。反応条件は、プロMTGに対し中性メタロプロテアーゼの添加量を質量にして1/10から1/500とし、反応温度15℃から50℃、pHをpH5.0から9の適当な範囲に調整して行うことができる。
また、前述したように構築した本発明の中性メタロプロテアーゼをコードするDNAを含む遺伝子構築物と、プロMTGをコードする遺伝子構築物を有する微生物、特に、コリネ型細菌に導入し、プロMTGと本発明のメタロプロテアーゼを一菌体によって産生させ、上記条件下でプロMTGを成熟MTGに変換することもできる。プロMTGをコリネ型細菌で効率よく生産させるためのより詳細な方法、その方法に使用する遺伝子構築物、そのような遺伝子構築物が導入されたコリネ型細菌は、例えばWO 01/23591に明らかにされている。より具体的には、例えば、コリネ型細菌由来のシグナルペプチド領域、特に細胞表層タンパク質のシグナルペプチド領域をコードする配列の下流にプロMTGをコードする配列を適切なプロモーターの下流に結合して得られる遺伝子構築物をコリネ型細菌に導入して、プロMTGタンパク質を菌体外に効率よく分泌し得るコリネ型細菌を得ることができる。この目的に使用し得るシグナルペプチド、プロモーターおよび宿主は本発明のメタロプロテアーゼを発現させるために適した上述のシグナルペプチド、プロモーターおよび宿主から選ぶことができる。また、同一菌体内で共存可能なベクターの組み合わせも当業者にはよく知られている。従って、プロMTGを産生するコリネ型細菌に上述した本発明の中性メタロプロテアーゼをコードするDNAを含む適切な遺伝子発現構築物を導入する、あるいは逆に、本発明の中性メタロプロテアーゼを産生するコリネ型細菌にプロMTGをコードする適切な遺伝子発現構築物を導入することにより、同一菌体内にプロMTGおよび本発明の中性メタロプロテアーゼを発現させ得る遺伝子構築物を共存させ、その菌を培養し、上述したような、本発明の中性メタロプロテアーゼが活性を有するような適切な条件に置くことによって成熟MTGを得ることができる。
本発明の方法により製造されたトランスグルタミナーゼは、当業者によく知られた方法に従って反応液から分離精製することができる。例えば、菌体を遠心分離等により除去した後、塩析、エタノール沈殿、限外濾過、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換カラムクロマトグラフィー、アフィニーティークロマトグラフィー、中高圧液体クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー等の既知の適切な方法、またはこれらを組み合わせることにより分離精製することができる。
次に、本発明を実施例により詳しく説明する。尚、本発明は実施例の記載に限定されない。
【実施例】
実施例1.ストレプトバーチシリウム・モバラエンスIFO13819が生産する中性メタロプロテアーゼ
(1)ストレプトバーチシリウム・モバラエンスIFO13819の生産する中性メタロプロテアーゼ(SVP70)の精製
ISP2液体培地(Yeast Extract 4g、Malt Extract 10g、Glucose 4g、水で1LにしてpH7.3に調整)を5L坂口フラスコに800mL張り込み、Stpeptoverticillium mobaraense IFO13819株をプレートより植菌して30℃にて9日間、120rpmで振盪培養した。培養液を遠心分離し、培養上清を回収した。デプスフィルター(ポアサイズ3μm、ザルトリウス社製)を用いて濾過後、ポアサイズ10,000Daのザルトコンスライスメンブラン(ザルトリウス社製)を用いて濃縮を行った。濃縮液を20mMトリス−塩酸緩衝液/5mM塩化カルシウム(pH7.5)で10倍に希釈し、FPLC(Amarsham Pharmacia社製)を用いて、同緩衝液で平衡化したDEAE−セファロース FF(2.6φ×10cm,Amarsham Pharmacia社製)のカラムに通し、塩化ナトリウム0−0.5Mの直線濃度勾配で溶出した。活性成分を含有する画分を回収し、1.5M硫酸アンモニウム/20mM MES緩衝液/5mM塩化カルシウム(pH6.0)で平衡化したフェニルセファロースHP(1.6φ×10cm,Amarsham Pharmacia社製)のカラムに通し、硫酸アンモニウム1.5−0Mの直線濃度勾配で溶出して活性画分を回収した。得られた活性画分を20mM MES緩衝液/5mM塩化カルシウム(pH6.0)に対して一晩、4℃で透析して、精製酵素液を得た。
各段階での酵素活性の測定は以下のように行った。
ペプチドGPSFRAPDS(ペプチド研究所製)(配列番号11)を含有する20mMリン酸ナトリウム緩衝液に酵素溶液を加え、総液量170μlで30℃、10分間反応させた後、95℃で5分間加熱して反応を停止させた。このうち80μlを以下の条件でHPLC分析し、基質の減少量に基づいて活性を算出した。
装置:日立株式会社製 HPLC L−6300 システム
カラム:YMC−PACK ODS 120A 4.6×150mm (ワイエムシィ)
溶離液:(A)0.1% TFA (B)80%アセトニトリル/0.1% TFA
溶出条件:アセトニトリル12−16%直線濃度勾配(15分間)
流速:1.0ml/min.
検出波長:220nm
この条件において、ペプチドGPSFRAPDSは、リテンションタイム13〜14分に、分解物FRAPDSはリテンションタイム7.5〜8.5分に溶出した。
酵素活性の単位として1分間に1nmolのプロMTG分解を触媒する酵素量を1Uと定義した。
(2)ストレプトバーチシリウム・モバラエンスIFO13819の生産する中性メタロプロテアーゼ(SVP35)の精製
ISP2液体培地を5L坂口フラスコに800mL張り込み、Streptoverticillium mobaraense IFO13819株をプレートより植菌して30℃にて48時間、120rpmで振盪培養した。培養液を遠心分離し、培養上清を除いて菌体を回収した。菌体を20mMトリス−塩酸緩衝液/30mM塩化ナトリウム(pH7.5)に懸濁し、氷上で4時間振盪後、遠心分離により上清を回収した。得られた上清をデプスフィルター(ポアサイズ0.22μm、ザルトリウス社製)で濾過滅菌後、FPLC(Amarsham Pharmacia社製)を用いて、5mM塩化カルシウム及び0.01mM塩化亜鉛を含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したCM−Sepharose FF(Amarsham Pharmacia社製)のカラム(1.6φ×10cm)に通し、同緩衝液中、塩化ナトリウム0−0.5Mの直線濃度勾配で溶出した。活性成分を含有する画分を回収し、さらに1.5M硫酸アンモニウム、5mM塩化カルシウム及び0.01mM塩化亜鉛を含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したPhenyl−Sepharose HPカラム(1mL Amarsham Pharmacia社製)に通し、硫酸アンモニウム1.5−0Mの直線濃度勾配で溶出した。活性画分を回収し、PD−10(Amersham Pharmacia)カラムを用いて、5mM塩化カルシウム及び0.01mM塩化亜鉛を含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で脱塩して、部分精製酵素液を得た。
各段階での酵素活性は(1)と同様に、ペプチドGPSFRAPDSを基質として用いて測定した。
(3)ストレプトバーチシリウム・モバラエンスIFO13819の生産する中性メタロプロテアーゼ(SVP35)の特性評価
i)基質特異性
5mM塩化カルシウム及び0.01mM塩化亜鉛を含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)にて1mg/mlに調製したインスリンB溶液およびプロMTG溶液を基質とし、酵素溶液を添加して30℃、2時間反応させた後、以下の条件のHPLCにてペプチド断片を分取した。
装置:L−7100/7200/7405/D−7600(日立)
カラム :VYDAC C18 4.6mmI.D.×250mm(VYDAC)
溶離液:(A)0.1% TFA(B)80%アセトニトリル/0.1% TFA
溶出条件:アセトニトリル4−44%直線濃度勾配
流速 :0.5ml/min
検出波長:UV 220nm
得られたペプチド断片のアミノ酸配列をPPSQ−10(島津製作所)にて分析し、SVP35による切断点の配列を解析した。その結果、特にPhe、しばしばLeu、時々Tyr、Trp、Ile、Valの前(N末端側)にて切断されており、SVPは切断部位のP’1位に位置する芳香族アミノ酸および巨大側鎖の疎水アミノ酸を認識していることが明らかとなった。
ii)至適pH
pH3から10までの0.15M GTA緩衝液(3,3−ジメチルグルタル酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールによる緩衝液)中で、Gly−Pro−Ser−Phe−Arg−Ala−Pro−Asp−Serを基質として30℃にて10分間SVP35を作用させた。その結果、SVP35の至適pHは7.0付近であり、pH7.0の活性を100%とすると、pH6.0〜8.0の範囲で70%以上、pH6.5〜7.5の範囲で80%以上の活性を有することが明らかになった(図1)。
iii)pH安定性
pH3から10までの0.15M GTA緩衝液にSVP35精製酵素溶液10μlに各pHの緩衝液を40μl加え、4℃で一晩放置した後、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で液量を400μlに合わせ、pHを7.0に調整した。この酵素溶液にGly−Pro−Ser−Phe−Arg−Ala−Pro−Asp−Serを基質として添加し、pH7.0、30℃で10分間反応させた。その結果、SVP35はpH4〜10の範囲で安定(pH4.0における活性を100%とすると、pH4〜10において90%以上の活性を有する)であることが示された(図2)。
iv)至適温度
5mM塩化カルシウム及び0.01mM塩化亜鉛を含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で希釈した精製酵素溶液にGly−Pro−Ser−Phe−Arg−Ala−Pro−Asp−Serを加えてpH7.0、5℃から65℃にて10分間反応させた。その結果、SVP35の至適温度は約45℃であり、40℃〜50℃の範囲で高い活性を有する(45℃における活性の80%以上の活性を有する)ことが示された(図3)。
v)温度安定性
精製酵素液10μlに5mM塩化カルシウム及び0.01mM塩化亜鉛を含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を40μl加え、4℃または30℃から70℃にて15分間処理した後、氷冷し、20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を250μl添加した。この酵素溶液にGly−Pro−Ser−Phe−Arg−Ala−Pro−Asp−Sepを基質として添加し、30℃で5分間反応させた。4℃で処理した場合の活性を100%として各温度における残存活性を算出した。その結果、SVP35は50℃では80%の活性を保っているが、60℃で失活することが示された(図4)。
vi)阻害剤
各種化合物を第5図に示した濃度で含有する20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に精製酵素溶液を加え、室温で60分間放置した。その後基質としてGly−Pro−Ser−Phe−Arg−Ala−Pro−Asp−Serを加えて30℃で10分間反応させた。化合物無添加の場合のGly−Pro−Ser−Phe−Arg−Ala−Pro−Asp−Ser切断活性を100%として、各種化合物を添加した場合の相対活性を算出した。その結果、メタロプロテアーゼ阻害剤であるエチレンジアミン四酢酸、1,10−フェナンスロリンおよびホスホラミドン、また、放線菌由来サチライシン阻害タンパク質(SSI)によってSVP35は強い阻害作用を受けた(図5)。
(4)ストレプトバーチシリウム・モバラエンスIFO13819の生産する中性メタロプロテアーゼ(SVP70)の特性評価
i)基質特異性
(3)−i)と同様にして基質特異性を調べた。
その結果、基質は特にPhe、しばしばLeu、時々Tyr、Trp、Ile、Valの前(N末端側)にて切断されており、SVP70は切断部位のP’1位に位置する芳香族アミノ酸および巨大側鎖の疎水アミノ酸を認識していることが明らかとなった。
ii)至適pH
(3)−ii)と同様にしてSVP70の至適pHを調べた。その結果、SVP70の至適pHは7.0付近であり、pH7.0における活性を100%としてpH6.0〜8.0においてで90%以上、pH6.5〜7.5の範囲で95%以上の活性を有することがことが明らかになった(図1)。
iii)pH安定性
(3)−iii)と同様にしてpH安定性を調べた。その結果、SVP70はpH5〜10の範囲で安定であるが、SVP35に比べてややアルカリ側で安定性が弱いことが示された(図2)。具体的には、pH5における活性を100%とすると、pH5〜7の範囲で90%以上の活性を有し、pH7〜10の範囲でも約80%以上の活性を有することが示された。
iv)至適温度
(3)−iv)と同様にしてSVP70の至適温度を調べた。その結果、SVP70の至適温度は約50〜55℃の範囲、特に55℃付近にあることが示された(図3)。
v)阻害剤
(3)−v)と同様にして、種々の化合物のSVP70に対する阻害活性を調べた。
その結果、SVP70は、メタロプロテアーゼ阻害剤であるエチレンジアミン四酢酸、1,10−フェナンスロリンおよびホスホラミドン、還元剤ジチオスレイトール、尿素および放線菌由来サチライシン阻害タンパク質(SSI)によって強い阻害作用を受けた(図5)。
(5)SVP35、SVP70のN末端アミノ酸配列解析
(1)、(2)で得たSVP35、SVP70の精製酵素をメンブランカートリッジ(パーキンエルマー社製)を用いてポリビニリデン−ジフルオリド(PVDF)膜に転写し、気相プロテインシークエンサーPPSQ−10(島津製作所製)にてN末端アミノ酸配列を解析した。SVP35のアミノ酸配列を配列表配列番号1に、SVP70のアミノ酸配列を配列表配列番号2に示した。これらには相同性が認められる。
そこで、これらプロテアーゼとN末端アミノ酸配列に相同性を有するものを放線菌から検索したところ、ストレプトマイセス・グリセウス(Stpeptomyces griseus)由来のメタロプロテアーゼSGMP II(J.Biochem.110巻、339〜344ページ、1991年)、および、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)由来の3種のメタロプロテアーゼ(GenBank/EMBL/DDBJ CAB76000、同CAB76001、同CAB69762)等が見出された。これらのプロテアーゼも、プロMTGのプロ構造部を選択的に切断するために使用することができ、従って、本発明による活性型MTGの製造に用いることができる。
(6)SVP35遺伝子のクローン化とコリネ型細菌での分泌発現
斉藤、三浦の方法[Biochem.Biophys.Acta,72,619(1963)]によりStreptomyces coelicolor A3(2)の染色体DNAを調製した。N末端アミノ酸配列に相同性を有するストレプトマイセス・セリカラー由来のメタロプロテアーゼ(GenBank/EMBL/DDBJ CAB76001)遺伝子の配列を参考にして、配列番号3と配列番号4に示したプライマーを合成した。前述の、Streptomyces coelicolor A3(2)の染色体DNAを鋳型として、配列番号3と配列番号4に示したプライマーを用いてPCRを行い、メタロプロテアーゼ遺伝子中の遺伝子領域を増幅した。PCR反応はPyrobest DNA polymerase(宝酒造製)を用い、反応条件は業者の推奨するプロトコルに従った。このPCR産物の32P−ラベル化物をプローブとして、斉藤、三浦の方法により調製したStreptoverticillium mobaraense IFO13819の染色体DNAを6塩基配列を認識する種々の制限酵素で消化した試料を用いて、Molecular Cloning 2nd edition[J.Sambrook E.F.Fritsch and T.Maniatis,Cold Spring Harbor Laboratory Press,p9.31(1989)]記載のサザンブロットハイブリダイゼーション法により解析したところ、SphI切断により約8kbの単一バンドが検出された。
そこで、先の方法により調製したStreptoverticillium mobaraense IFO13819の染色体DNAをSphIで消化し、約8kbの断片をEASYTRAP Ver.2(宝酒造社製)を用いてアガロースゲル電気泳動により回収した。回収断片をpUC18のSphI部位に挿入した後、大腸菌JM109(宝酒造社製)のコンピテントセルに導入し、ライブラリーを作製した。作製したライブラリーに対して、合成オリゴヌクレオチドをプローブとして、Molecular Cloning 2nd edition[J.Sambrook E.F.Fritsch and T.Maniatis,Cold Spring Harbor Laboratory Press,p1.90(1989)]記載のコロニーハイブリダイゼーション法により、SVP35の遺伝子断片がクローン化されたプラスミドを保持する菌株をスクリーニングした。
得られた菌株より回収したプラスミドをpVSV1と名付けた。pVSV1にクローン化されている断片のヌクレオチド配列を決定した。このクローン化断片のヌクレオチド配列を配列番号5に示した。この遺伝子にコードされるアミノ酸の一次配列を推定したところ、先に決定したN末端部分アミノ酸配列を含む、SVP35のシグナル配列およびプロ構造と想定される領域を含む全アミノ酸の一次配列を決定した。SVP35の全アミノ酸配列を配列番号6に示した。配列番号6に記載のアミノ酸配列の1〜36番アミノ酸までがシグナル配列であり、アミノ酸番号37〜216がプロ構造部であり、アミノ酸217〜537番が成熟型SVP35と推定される。
配列番号5の配列を参考にして、pVSV1を鋳型として、配列番号7と配列番号8に示したプライマーを合成し、SVP35のプロ構造部分および成熟SVP35を含む遺伝子領域をPCR法にて増幅した。PCR反応はPyrobest DNA polymerase(宝酒造製)を用い、反応条件は業者の推奨するプロトコルに従った。
次に、WO 01/23591に記載のpPKSPTG1を鋳型として、配列番号9と配列番号10のオリゴヌクレオチドの組み合わせにより、C.glutamicumの細胞表層タンパク質であるPS2遺伝子のプロモーター領域を含む5’−上流域とC.ammoniagenesの細胞表層タンパク質SlpAのシグナル配列とを含む領域をPCR法にて増幅した。配列番号10に示したプライマーはプロ構造付きSVP35のN末端側のアミノ酸をコードする配列を含んでいる。
次に、それぞれ増幅させたPCR反応液各1μlを混ぜて鋳型とし、配列表配列番号8と配列表配列番号9を用いてクロスオーバーPCRを行い、PS2遺伝子のプロモーター領域を含む5’−上流域とC.ammoniagenesの細胞表層タンパク質SlpAのシグナル配列に接続された異種融合プレプロSVP35遺伝子断片を増幅させた。
アガロースゲル電気泳動により、約2.3kbの増幅断片を検出した。PCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、約2.3kbの断片を回収し、DNA Blunting Kit(宝酒造製)を用い末端を平滑化後、特開平9−070291記載のpCV7のSmaI部位に挿入することによって、pVSV1を得た。定法に従って、挿入断片の塩基配列の決定を行い、予想通りの融合遺伝子が構築されていることを確認した。
構築したプラスミドpVSV1を用いて、C.glutamicumATTC13869を形質転換し、5mg/lのクロラムフェニコールを含むCM2S(酵母エキストラクト10g、トリプトン10g、シュークロース5g、NaCl5g、寒天15g、水で1Lにする)寒天培地で生育した菌株を選択した。次に、選択したpVSV1を有するC.glutamicumATTC13869を、5mg/lのクロラムフェニコールを含むMMTG液体培地(グルコース60g、硫酸マグネシウム七水和物0.4g、硫酸アンモニウム30g、リン酸二水素カリウム1g、硫酸鉄七水和物0.01g、硫酸マンガン五水和物0.01g、チアミン塩酸塩450μg、ビオチン450μg、DL−メチオニン0.15g、炭酸カルシウム50g、水で1LにしてpH7.5に調整)で30℃、30時間培養した。この培養液1mlを遠心分離により培養上清と菌体に分離した。培養上清には、SVP35の活性が検出され、Laemmliの方法によるSDS−PAGE(Nature,227,680−685(1970))電気泳動の結果、約200mg/LのSVP35が分泌発現していることが確認された。
実施例2.ストレプトバーチシリウム・モバラエンスIFO13819の生産するトランスグルタミナーゼ前駆体(プロMTG)の活性型への変換
Corynebacterium glutamicumにて発現させたプロMTG(1mg/ml)を精製した基質として、Streptoverticillium mobaraense由来中性プロテアーゼ(SVP35,SVP70)または放線菌Streptomyces griseus由来中性メタロプロテアーゼSGMP IIと基質:酵素=200:1の割合で混合し、30℃で反応させた。経時的に0,1,2,4,7,20時間後に反応混合物を分取し、一部をSDS−PAGEサンプルバッファーと混合して95℃、3分間加熱した後Laemmliの方法によるSDS−PAGE(Nature,227,680−685(1970))に供した。その結果を第6図に示す。第6図から分かるように、これらのプロテアーゼを反応させるとプロMTGは成熟型に変換され、長時間反応させた後も生成したMTGは減少しなかった。また、分取した画分のトランスグルタミナーゼ(TG)活性をハイドロキサメート法にて測定したところ、十分な活性が確認された。なお、SGMP IIは、アクチナーゼ(科研製薬製)かから文献(J.Biochem.110巻、339〜344ページ、1991年)の方法に従って精製した。
次に、Streptoverticillium mobaraense由来中性プロテアーゼSVP70、および、対照としてセリンプロテアーゼSAM−P45(放線菌St.albogriseolus由来)を、酵素添加量を増加させてプロMTGに添加し、30℃、pH7.0にて反応させた。経時的に1,4,7,24時間後に分取し、TG活性をハイドロキサメート法により測定した(第7図)。また、TGのタンパク質濃度を逆相HPLCにて測定した(第8図)。その結果、SVPは基質に対して1/500という少量でプロMTGを効率よく活性型MTGに変換できることが示された。SAM−P45は基質に対して1/50量でもトランスグルタミナーゼ活性が上がりきらず、活性型への完全な変換はされないことが示された。一方、SAM−P45を基質に対して1/10量添加した場合、活性型MTGへの変換が見られたが、続いてMTGタンパク量の減少および活性の低下が見られた。このことは、SAM−P45による成熟MTGの過分解が起こっていることを示唆する。
本発明により、放線菌ストレプトバーチシリウム・モバラエンスより、トランスグルタミナーゼ前駆体のプロ構造部分を特異的に切断し、活性化する新規プロテアーゼ、およびその遺伝子が提供される。また、本発明の新規プロテアーゼはコリネ型細菌で大量発現させることができるため、これにより、微生物由来トランスグルタミナーゼを効率よく製造する方法が提供される。
本発明の放線菌由来中性メタロプロテアーゼを活性型MTG製造に用いる利点は、プロMTGのプロ構造部の選択的切断活性が強いとともに、コリネ型細菌でこれら酵素を発現分泌させることができる点である。
放線菌由来のプロMTGはコリネ型細菌で効率よく発現させ分泌させ得ることが分かっているので、コリネ型細菌にプロMTGと中性メタロプロテアーゼを共発現および分泌させることより、一菌体でのさらに効率的な活性型MTGの製造が可能となる。ここで、中性メタロプロテアーゼはプロMTGのプロ構造部切断に必要十分な量を発現させるだけで良い。
参考文献
1.特公平1−50382号公報
2.特開昭64−27471号公報
3.国際公開第01/23591号パンフレット
4.特表平6−502548号公報
5.特開平10−108675号公報
6.Eur.J.Biochem.257巻、570−576頁、1998年
7.J.Biochem.110巻、339〜344頁、1991年
【配列表】












【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
放線菌由来中性メタロプロテアーゼをコードする遺伝子を導入した微生物を培養し、前記放線菌由来中性メタロプロテアーゼを生産させ、微生物由来プロトランスグルタミナーゼのプロ構造部を前記微生物が生産した放線菌由来中性メタロプロテアーゼにより切断することを特徴とする、微生物由来プロトランスグルタミナーゼから活性型微生物由来トランスグルタミナーゼを製造する方法。
【請求項2】
放線菌由来中性メタロプロテアーゼをコードする遺伝子を導入した微生物がコリネ型細菌である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
放線菌由来中性メタロプロテアーゼが以下の性質を有する、請求項1記載の活性型微生物由来トランスグルタミナーゼを製造する方法:
1)分子量が約35,000、
2)至適pHが約7.0、
3)pH4〜10において安定であり、
4)至適温度が約45℃、
5)約50℃以下で安定であり、
6)メタロプロテアーゼ阻害剤であるエチレンジアミン四酢酸、1,10−フェナンスロリンおよびホスホラミドン、また、放線菌由来サチライシン阻害タンパク質(SSI)にて強い阻害作用を受ける。
【請求項4】
放線菌由来中性メタロプロテアーゼが以下の性質を有する請求項1記載の活性型微生物由来トランスグルタミナーゼの製造法。
1)分子量が約71,000、
2)至適pHが約7.0、
3)pH5〜10にて安定であり、
4)至適温度が約55℃
5)メタロプロテアーゼ阻害剤であるエチレンジアミン四酢酸、1,10−フェナンスロリンおよびホスホラミドン、SH−還元剤であるジチオスレイトール、また、放線菌由来サチライシン阻害タンパク質(SSI)にて強い阻害作用を受ける。
【請求項5】
以下の性質を有する放線菌由来中性メタロプロテアーゼ:
1)分子量が約35,000、
2)至適pHが約7.0、
3)pH4〜10において安定であり、
4)至適温度が約45℃、
5)約50℃以下で安定であり、
6)メタロプロテアーゼ阻害剤であるエチレンジアミン四酢酸、1,10−フェナンスロリンおよびホスホラミドン、また、放線菌由来サチライシン阻害タンパク質(SSI)にて強い阻害作用を受ける。
【請求項6】
以下の性質を有する放線菌由来中性メタロプロテアーゼ:
1)分子量が約71,000、
2)至適pHが約7.0、
3)pH5〜10にて安定であり、
4)至適温度が約55℃
5)メタロプロテアーゼ阻害剤であるエチレンジアミン四酢酸、1,10−フェナンスロリンおよびホスホラミドン、SH−還元剤であるジチオスレイトール、また、放線菌由来サチライシン阻害タンパク質(SSI)にて強い阻害作用を受ける。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の放線菌由来中性メタロプロテアーゼをコードする核酸分子。
【請求項8】
請求項7に記載の核酸分子が導入されたコリネ型細菌を培養し、コリネ型細菌の菌体外に分泌された放線菌由来中性メタロプロテアーゼを回収することを特徴とする、放線菌由来中性メタロプロテアーゼを製造する方法。

【国際公開番号】WO2004/078973
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【発行日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503155(P2005−503155)
【国際出願番号】PCT/JP2004/002923
【国際出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】