説明

微生物検出装置及び微生物検出用カセット

【課題】 簡易な装置にて、検出時間を短縮すると共に、検出感度、特にグラム陰性細菌に対する感度の向上を図るものである。
【解決手段】
本発明の微生物検出装置は、試料と試薬とを導入する検出対象導入部20と、検出対象導入部20に導入された試薬の色調を検出する検出部40と、を備え、検出された色調により、試料中の微生物の有無を検出する微生物検出装置10において、検出対象導入部20に導入する試料を保持する試料保持部12aと、微生物を培養する培養液を保持する培養液保持部12bと、検出対象導入部20に導入する試薬を保持する試薬保持部12dと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中の微生物を検出装置に関し、詳細には、感染症診断、食品の微生物検査、環境中の微生物検出、半導体用洗浄水の品質管理などを行う際に利用される微生物検出装置及び微生物検出用カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、幹細胞を培養して、体内へ導入する医療器具表面に付与することで人体との拒絶反応を低減させる技術や、各機能を有する細胞に培養する技術などが、組織工学の発展により、急速に進歩してきている。このような細胞培養技術においては、体内に導入される細胞が微生物に汚染されていないことを確実に証明する必要があり、そのための微生物検出方法も組織工学の進歩とともに発展し、フェノール酸化酵素前駆体を用いた微生物検出方法も、このような微生物検出方法のひとつである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、微生物採取用フィルタを用いて特定の微生物を採取し、このフィルタ上にて微生物を培養した後に蛍光観察により検出する微生物検出装置としては、特許文献2のような装置が知られている。
【特許文献1】特開平09−098798号公報
【特許文献2】特開2003−144194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のフェノール酸化酵素前駆体を用いる方法では、微生物の検出感度、特にグラム陰性細菌に対する感度が低いという問題があった。また、蛍光観察による検出では、特定の微生物の計量は可能であるが、不純物による発光により誤判定が生ずる問題があった。
【0005】
このような問題を鑑みて、本発明は、簡易な微生物検出装置、或いは、微生物検出用カセットにて、検出時間を短縮すると共に、検出感度、特にグラム陰性細菌に対する感度の向上を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1記載の微生物検出装置は、試料と試薬とが導入される検出対象導入部と、前記検出対象導入部に導入された前記試薬の光学的特性を検出する検出部とを備え、該検出部により検出された光学的特性により、前記試料中の微生物の有無を検出するものであって、前記検出対象導入部に導入される前記試料を保持する試料保持部と、前記微生物を培養する培養液を保持する培養液保持部と、前記検出対象導入部に導入される前記試薬を保持する試薬保持部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2は、請求項1記載の微生物検出装置において、前記検出部は、前記試薬の色調、又は、吸光度を検出すると共に、該検出部にて検出された前記試薬の色調、又は、吸光度により、前記試料中の微生物の有無を検出することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3は、請求項1又は請求項2に記載の微生物検出装置において、前記培養液は前記検出対象導入部に導入され、前記検出対象導入部にて前記微生物の培養を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の微生物検出装置において、前記検出対象導入部近傍に設けられ、前記検出対象導入部の温度を制御する温度制御手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の微生物検出装置において、前記試料保持部と前記培養液保持部と前記試薬保持部とを一体となるよう構成すると共に、前記微生物検出装置に着脱可能に設けられる保持部装着手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項6は、請求項5に記載の微生物検出装置において、前記保持部装着手段に設けられ、前記検出対象導入部から排出される前記試料、前記培養液、又は、前記試薬の廃液を回収する廃液回収部を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項7は、請求項3又は請求項4に記載の微生物検出装置において、前記試料保持部、前記培養液保持部、及び、前記試薬保持部を加圧する加圧手段を備え、この加圧手段により、前記試料保持部内の試料、前記培養液保持部内の培養液、及び、前記試薬保持部内の試薬を直接前記検出対象導入部に押し出すことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項8は、請求項7に記載の微生物検出装置において、前記加圧手段は、一回の加圧により前記試料保持部内の全試料、前記培養液保持部内の全培養液、及び、前記試薬保持部内の全試薬を押し出すことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項9は、請求項7又は請求項8に記載の微生物検出装置において、前記加圧手段は、前記試料保持部、前記培養液保持部、及び、前記試薬保持部に圧縮ガスを送給するガス圧縮手段により構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項10は、請求項7乃至請求項9の何れかに記載の微生物検出装置において、前記試料保持部、前記培養液保持部、前記試薬保持部、前記検出対象導入部、及び、該検出対象導入部から排出される前記試料、前記培養液、又は、前記試薬の廃液を回収する廃液回収部を、複数組備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項11は、請求項10に記載の微生物検出装置において、単一の前記検出部を用いて複数の前記検出対象導入部の前記試薬の光学的特性を検出することを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項12は、請求項9乃至請求項11の何れかに記載の微生物検出装置において、前記培養液保持部、前記試薬保持部、及び、前記検出対象導入部を密閉された単一のケース内に構成して一体化すると共に、該ケースには前記ガス圧縮手段からの圧縮ガスを前記培養液保持部、及び、前記試薬保持部にそれぞれ供給するための連通部と、前記検出部により前記検出対象導入部の前記試薬の光学的特性を検出するための計測部とを設けたことを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項13は、請求項12に記載の微生物検出装置において、前記試料保持部を前記ケース内に構成して一体化すると共に、該ケースには前記ガス圧縮手段からの圧縮ガスを前記試料保持部に供給するための連通部を設けたことを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項14は、請求項12に記載の微生物検出装置において、前記試料保持部を前記ケースに接続可能としたことを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項15は、請求項12乃至請求項14の何れかに記載の微生物検出装置において、前記検出対象導入部から排出される前記試料、前記培養液、又は、前記試薬の廃液を回収する廃液回収部を前記ケースと一体化したことを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項16は、請求項12乃至請求項14の何れかに記載の微生物検出装置において、前記検出対象導入部から排出される前記試料、前記培養液、又は、前記試薬の廃液を回収する廃液回収部を前記ケースに接続可能としたことを特徴とする。請求項16によれば、請求項12乃至請求項14の何れかの効果に加え、毎回取り替える部分と、取り替えずに使用する部分とに分けて使用することができる。
【0022】
本発明の請求項17は、請求項12乃至請求項16の何れかに記載の微生物検出装置において、検出対象毎に前記ケースを区別すると共に、該ケースに応じて前記検出対象を識別する識別手段を備えたことを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項18記載の微生物検出用カセットは、試料と試薬とが導入される検出対象導入部と、該検出対象導入部に導入され、微生物を培養する培養液を保持する培養液保持部と、前記検出対象導入部に導入される前記試薬を保持する試薬保持部とを単一のケース内に一体に構成すると共に、該ケースには、圧縮ガスを前記培養液保持部、及び、前記試薬保持部にそれぞれ供給するための連通部と、前記検出対象導入部の前記試薬の光学的特性を検出するための計測部とを設けたことを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項19は、請求項18に記載の微生物検出用カセットにおいて、前記検出対象導入部に導入される試料を保持する試料保持部を前記ケース内に一体に構成すると共に、該ケースには前記圧縮ガスを前記試料保持部に供給するための連通部を設けたことを特徴とする。
【0025】
本発明の請求項20は、請求項18に記載の微生物検出用カセットにおいて、前記圧縮ガスにより前記検出対象導入部に導入される試料を保持する試料保持部を前記ケースに接続可能としたことを特徴とする。請求項20によれば、請求項18の効果に加え、微生物の検出をより効率的に行うことができる。
【0026】
本発明の請求項21は、請求項18乃至請求項20の何れかに記載の微生物検出用カセットにおいて、前記検出対象導入部から排出される前記試料、前記培養液、又は、前記試薬の廃液を回収する廃液回収部を前記ケースに一体に設けたことを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項22は、請求項18乃至請求項20の何れかに記載の微生物検出用カセットにおいて、前記検出対象導入部から排出される前記試料、前記培養液、又は、前記試薬の廃液を回収する廃液回収部を、前記ケースに接続可能としたことを特徴とする。請求項22によれば、請求項18乃至請求項20の何れかの効果に加え、毎回取り替える部分と、取り替えずに使用する部分とに分けて使用することができる。
【発明の効果】
【0028】
請求項1の発明によれば、試料と試薬とが導入される検出対象導入部と、検出対象導入部に導入された試薬の光学的特性を検出する検出部とを備え、この検出部により検出された光学的特性により、試料中の微生物の有無を検出する微生物検出装置において、検出対象導入部に導入される試料を保持する試料保持部と、微生物を培養する培養液を保持する培養液保持部と、検出対象導入部に導入される試薬を保持する試薬保持部とを備えるので、簡易な装置で試料中の微生物の有無を検出することができる。
【0029】
また、請求項2の発明の如く、検出部により試薬の色調、又は、吸光度を検出することで、検出された試薬の色調、又は、吸光度から試料中の微生物の有無を容易に検出することができる。
【0030】
更に、請求項3の発明の如く、培養液を検出対象導入部に導入し、検出対象導入部にて微生物の培養を行うことで、検出時間の短縮と検出感度の向上を図ることができる。
【0031】
請求項4の発明では、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の微生物検出装置において、検出対象導入部近傍に温度制御手段を設けて、当該温度制御手段にて検出対象導入部の温度を制御することで、更に検出感度を向上させることが可能となる。
【0032】
請求項5の発明では、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の微生物検出装置において、試料保持部と培養液保持部と試薬保持部とを一体となるよう構成すると共に、こられを微生物検出装置に着脱可能に設けた保持部装着手段にて保持することで、装置操作性の向上が可能となる。
【0033】
請求項6の発明では、請求項5に記載の微生物検出装置において、検出対象導入部から排出される試料、培養液、又は、試薬の廃液を回収する廃液回収部を保持部装着手段に設けることで、装置を更にコンパクトにすることができる。
【0034】
請求項7の発明では、請求項3又は請求項4に記載の微生物検出装置において、試料保持部、培養液保持部、及び、試薬保持部を加圧する加圧手段を備え、この加圧手段により、試料保持部内の試料、培養液保持部内の培養液、及び、試薬保持部内の試薬を直接検出対象導入部に押し出すことで、試料保持部内の試料、培養液保持部内の培養液、及び、試薬保持部内の試薬を検出対象導入部に容易に導入することができる。
【0035】
請求項8の発明では、請求項7に記載の微生物検出装置において、加圧手段は、一回の加圧により試料保持部内の全試料、培養液保持部内の全培養液、及び、試薬保持部内の全試薬を押し出すものとすることで、試料保持部内の全試料、培養液保持部内の全培養液、及び、試薬保持部内の全試薬を確実に検出対象導入部に導入することができる。
【0036】
請求項9の発明では、請求項7又は請求項8に記載の微生物検出装置において、加圧手段は、試料保持部、培養液保持部、及び、試薬保持部に圧縮ガスを送給するガス圧縮手段により構成されているので、装置の簡素化をはかることができる。
【0037】
請求項10の発明では、請求項7乃至請求項9の何れかに記載の微生物検出装置において、試料保持部、培養液保持部、試薬保持部、検出対象導入部、及び、この検出対象導入部から排出される試料、培養液、又は、試薬の廃液を回収する廃液回収部を、複数組備えることで、同時に複数の検査を実施することができるようになり、検出時間の短縮を図ることができるようになる。また、微生物汚染の有無の判断を厳密に行うことが可能となり、検出感度の向上を図ることができるようになる。
【0038】
請求項11の発明では、請求項10に記載の微生物検出装置において、単一の検出部を用いて複数の検出対象導入部の試薬の光学的特性を検出することで、検出作業を効率的に行うことができる。
【0039】
請求項12の発明では、請求項9乃至請求項11の何れかに記載の微生物検出装置において、培養液保持部、試薬保持部、及び、検出対象導入部を密閉された単一のケース内に構成して一体化すると共に、このケースにはガス圧縮手段からの圧縮ガスを培養液保持部、及び、試薬保持部にそれぞれ供給するための連通部と、検出部により検出対象導入部の前記試薬の光学的特性を検出するための計測部とを設けることで、微生物検出装置が微生物により汚染される不都合を防止することができる。
【0040】
請求項13の発明では、請求項12に記載の微生物検出装置において、試料保持部をケース内に構成して一体化すると共に、このケースにはガス圧縮手段からの圧縮ガスを試料保持部に供給するための連通部を設けたことで、更なる汚染防止の効果を期待できる。
【0041】
請求項14の発明では、請求項12に記載の微生物検出装置において、試料保持部をケースに接続可能としたことで、微生物の検出をより効率的に行うことができる。
【0042】
請求項15の発明では、請求項12乃至請求項14の何れかに記載の微生物検出装置において、検出対象導入部から排出される試料、培養液、又は、試薬の廃液を回収する廃液回収部をケースと一体化したことで、装置の簡素化を図ることができる。
【0043】
請求項16の発明では、請求項12乃至請求項14の何れかに記載の微生物検出装置において、検出対象導入部から排出される試料、培養液、又は、試薬の廃液を回収する廃液回収部をケースに接続可能としたことで、毎回取り替える部分と、取り替えずに使用する部分とに分けて使用することができるようになる。
【0044】
請求項17の発明では、請求項12乃至請求項16の何れかに記載の微生物検出装置において、検出対象毎にケースを区別すると共に、このケースに応じて検出対象を識別する識別手段を備えたことで、当該識別手段により各ケース毎にそれぞれの用途を容易に識別できる。
【0045】
請求項18の発明の微生物検出用カセットによれば、試料と試薬とが導入される検出対象導入部と、この検出対象導入部に導入され、微生物を培養する培養液を保持する培養液保持部と、検出対象導入部に導入される試薬を保持する試薬保持部とを単一のケース内に一体に構成すると共に、このケースには、圧縮ガスを培養液保持部、及び、試薬保持部にそれぞれ供給するための連通部と、検出対象導入部の試薬の光学的特性を検出するための計測部とを設けたので、微生物の検出を効率的に行うことができる。
【0046】
請求項19の発明では、請求項18に記載の微生物検出用カセットにおいて、検出対象導入部に導入される試料を保持する試料保持部をケース内に一体に構成すると共に、このケースには圧縮ガスを試料保持部に供給するための連通部を設けたので、微生物汚染の生じる不都合を防ぐことが可能となる。
【0047】
請求項20の発明では、請求項18に記載の微生物検出用カセットにおいて、圧縮ガスにより検出対象導入部に導入される試料を保持する試料保持部をケースに接続可能としたので、微生物の検出をより効率的に行うことができる。
【0048】
請求項21の発明では、請求項18乃至請求項20の何れかに記載の微生物検出用カセットにおいて、検出対象導入部から排出される試料、培養液、又は、試薬の廃液を回収する廃液回収部をケースに一体に設けることで、装置の簡素化を図ることができるようになる。
【0049】
請求項22の発明では、請求項18乃至請求項20の何れかに記載の微生物検出用カセットにおいて、検出対象導入部から排出される試料、培養液、又は、試薬の廃液を回収する廃液回収部を、ケースに接続可能としたので、毎回取り替える部分と、取り替えずに使用する部分とに分けて使用することができる。
【0050】
以上のように、本発明の微生物検出装置及び微生物検出用カセットにより、装置の簡素化しながら、検出時間の短縮と、検出感度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下図面に基づき、本発明の微生物検出装置の実施形態を詳述する。
【実施例1】
【0052】
図1は、本発明の微生物検出装置10の内部構成を示す斜視図である。検出対象となる試料は、試料シリンジ12a(試料保持部)からペリスタポンプ14aによって、図示しない送液配管を通って試料注入口16aへ送液される。ペリスタポンプ14aと試料注入口16aとの間の送液配管にはピンチバルブ15aが設けられており、送液のスタートおよびストップのタイミングは、このピンチバルブ15aによって行われる。試料注入口16aの先端には試料注入針18aが取り付けられており、送液された試料は試料注入針18aから検出槽20へ導入される。検出槽20の底部には、図2に示しようにフィルタ22が設けられており、導入された試料は検出槽20に溜められる。フィルタ22には、孔径が0.1〜10μm、望ましくは0.2μm程度のものが良いが、本システムにおいてはミリポア社製のウルトラフリーMCを使用する。フィルタ22の下部には排出口24が設けられており、フィルタ22を通過した試料は、排出口24からペリスタポンプ26と廃液槽28(廃液回収部)との間の送液配管にもピンチバルブ27が設けられている。
【0053】
検出槽20からの試料の排出が終了すると、培養液シリンジ12b(培養液保持部)から培養液(本実施例ではカザミノ酸を主成分とする培地)が検出槽20へ送液される。送液されるルートは試料と同様に、培養液シリンジ12bからペリスタポンプ26によって培養液注入口16bへ、試料が通った送液配管とは別の図示しない送液配管を通って送液される。この送液配管にもまたピンチバルブ15bが設けられている。そして、培養液注入口16bから培養液注入針18bを通って検出槽20へ注入される。このとき、ペリスタポンプ26は停止、ピンチバルブ27は閉の状態となっており、検出槽20に注入された培養液の大半は、フィルタ22上に溜まる。
【0054】
検出槽20はヒートブロックに嵌め込むように取り付けられており、このヒートブロック30の一側面には、図3に示すように、ペルチェ素子32(温度制御手段)が設けられている。そして、検出槽20の近傍に設けられたこのペルチェ素子32によって、検出槽20に培養液が注入された後、検出槽20内部は35℃〜40℃、望ましくは約37℃となるように温度制御される。試料の中に微生物が存在していた場合、フィルタ22に微生物が補捉される。この検出槽20に培養液を注入し、約37℃で数時間乃至半日程度(本実施例では9時間)保持することにより、フィルタ22に補捉された微生物は増殖し、補捉時には1乃至数個であった微生物も103個以上となる。これにより、フェノール酸化酵素前駆体の検出限界以上の微生物数に対することができる。また、アーム34を介してペルチェ素子32と対向する位置には、放熱板36が設けられており、37℃で約9時間の培養工程を経た後、検出槽20の温度を下げたい場合には、ペルチェ素子32と放熱板36の働きにより、短時間で温度を下げることができる。検出槽20での培養が終了すると、ピンチバルブ27が開き、ペリスタポンプ26が始動して、検出槽20の排出口24から培養液が排出される。培養液が排出される送液配管は、試料が排出されたときの送液配管と同じである。排出された培養液は廃液槽28に送液される。
【0055】
検出槽20からの培養液の排出が終了すると、洗浄液シリンジ12cから洗浄液(本実施例では水)が検出槽20へ送液される。送液されるルートは試料、培養液と同様に、培養液シリンジ12bからペリスタポンプ14bによって培養液注入口16bへ、試料が通った送液配管とは更に別の図示しない送液配管を通って送液される。この送液配管にもまたピンチバルブ15cが設けられている。そして、洗浄液注入口16cから洗浄液注入針18cを通って検出槽20へ注入される。このとき、ペリスタポンプ26は運転、ピンチバルブ27は開の状態となっており、検出槽20に注入された洗浄液は検出槽20を洗浄し、試料、培養液と同じ送液配管を通って、廃液槽28へ排出される。
【0056】
検出槽20から洗浄液の排出が終了すると、最後に試薬シリンジ12d(試薬保持部)から試薬(本実施例では和光純薬工業株式会社製のSLP試薬)が検出槽20へ送液される。送液されるルートは試料、培養液、洗浄液と同様に、試薬シリンジ12dからペリスタポンプ14dによって試薬注入口16dへ、試料、培養液、洗浄液が通った送液配管とはまた別の図示しない送液配管を通って送液される。この送液配管にもまたピンチバルブ15dが設けられている。そして、試薬注入口16dから試薬注入針18dを通って検出槽20へ注入される。このとき、ペリスタポンプ26は停止、ピンチバルブ27は閉の状態となっており、検出槽20に注入された試薬は検出槽20のフィルタ22上に溜まる。ここでリング照明38を点灯させ、検出槽20内部(フィルタ22)の色の変化を検出部40により検出する。
【0057】
この検出部40は検出槽20に導入された試薬の光学的特性を検出するためのものであり、具体的には、検出槽20に導入された試薬の色調、又は、吸光度を検出すると共に、当該検出部40にて検出された試薬の色調、又は、吸光度により、試料中の微生物の有無を検出するためのものである。尚、上記光学的特性とは、物質の色調(彩度と明度の複合概念)、吸光度を含む光学的に検出可能な物質の特性のことである。本実施例では、検出部として、CCDカメラ40を用いて、当該試薬の色調から試料中の微生物の有無を検出するものとする。
【0058】
そして、リング照明38、検出槽20及びCCDカメラ40は、図4に示すような配置となっており、リング照明38によって照らされた検出槽20内部の画像は、ミラー42によって90°屈折してCCDカメラ40にて撮影される。撮影は試薬を投入したら、微生物の存在を検出することができる。44は照明光源となっており、照明光源44とリング照明38とは、図示しない光ファイバーケーブルによって接続されている。リング照明38の光量は、調節つまみ46によって、予め調節できるようになっている。
【0059】
また、以上のようなペリスタポンプ14、26の運転及び停止、ピンチバルブ15、27の開閉、ペルチェ素子32の温度制御、リング照明38の点灯及び消灯、CCDカメラ40による撮影、撮影された画像の色調変化分析などは、制御装置48によって行われる。ペリスタポンプ14、26、ペルチェ素子32、CCDカメラ40の制御のタイミングチャートを表1に示す。
【0060】
【表1】

本実施例で用いた試薬は、30℃程度に保持することで最も色調変化が起こりやすいため、試薬注入後は検出槽20内部が30℃となるようにペルチェ素子32の温度制御を行った。温度制御に際しては、ヒートブロック30の検出槽20近傍に図示しないサーミスタを取り付け、サーミスタの示す温度が表1の温度となるように、ペルチェ素子32の制御を行った。
【0061】
図1の微生物検出装置10に前面蓋体50を取り付けた本微生物検出装置10の外観図を図5に示す。蓋体50の上部には軸52を中心に回転開閉する上部窓54が設けられており、検出槽20を外部から観察あるいは脱着できるようになっている。また、蓋体50の下部には取手56に手をかけて引き出すことのできる引出部58が設けられており、引出部58には図1に示したように、試料シリンジ12a、培養液シリンジ12b、洗浄液シリンジ12c、試薬シリンジ12dおよび廃液槽28が設置されている。即ち、試料シリンジ12a、培養液シリンジ12b、洗浄液シリンジ12c、試薬シリンジ12dおよび廃液槽28が引出部58内に一体に構成され、当該引出部58にて微生物検出装置10に着脱可能に設けられている。従って、引出部58を交換することにより、試料、培養液、洗浄液、試薬および廃液の交換を同時に行うことができる。さらには、試料シリンジ12a、培養液シリンジ12b、洗浄液シリンジ12c、試薬シリンジ12d、送液配管、試料注入口16a、培養液注入口16b、洗浄液注入口16c、試薬注入口16d、試料注入針18a、培養液注入針18b、洗浄液注入針18c、試薬注入針18d、検出槽20および廃液槽28を一体の脱着可能なパッケージとすれば、微生物の検出をより効率的に行うことができる。
【0062】
本微生物検出装置10は、様々な微生物の検出が可能であるが、特定の微生物の検出あるいはおおよそ微生物の見当がついている場合などには、培養工程での温度制御を37℃ではなく、その微生物が増殖しやすい温度に設定することが望ましい。例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida Albicanis)、カンジダ・ルシタニエ(Candida Lusitaniae)、カンジダ・クルゼイ(Candida Krusei)、カンジダ・グラブラータ(Candida Glabrata)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus Neoformans)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus Fumigatus)、ニュウモシスチス・カリニ(Pneumocistis Carinii)などの真菌類は30℃前後の温度域において増殖を活発化させるのに対し、バチルス・ズブチルス(Bacillus Subtilis)、ストレプトコッカス・パイオジェン(Streptococcus Pyogenes)、サルモネラ・チフムリウム(Salmonella Typhimurium)、サルモネラ・ボンゴリ(Salmonella Bongori)、サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella Enteritidis)、エシェリキア・コリ(Escherichia Coli)、スタフィロコッカス・エピダーミディス(Staphylococcus Epidermidis)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus Aureus)、シュードモナス・エルジノーザ(Pseudomonasu Aeruginosa)などの細菌類は37℃前後の温度域において増殖を活発化させる。
【0063】
本実施例の試薬を用いる場合、グラム陰性細菌に対する検出感度が他の真菌、細菌に比べて低いので、培養液を排出した後、乾燥、加熱、超音波、或いは、界面活性剤などを用いて微生物を破壊するとよい。グラム陰性細菌は、試薬と反応するペプチドグリカンが外膜の内側に存在するため、試薬による検出感度が低い。そこで、上記の方法により微生物の外膜あるいは細胞質膜を破壊することによって、グラム陰性細菌の外膜と細胞質膜の間に存在していたペプチドグリカンが外部へ露出し、試薬と反応しやすくする。
【0064】
また、本実施例で用いた試薬は、培養液の成分によって、培養液と反応し、色調変化してしまうことがある。そこで、各種培養液(培養液成分)に試薬を投入し、その後の色調変化を観察した。観察結果を表2に示す。試薬と反応しなかった培養液は○、試薬を反応した培養液は×で表す。試薬を投入後、60分間以上経過し、目視レベルで若干の色調変化が見られたものは△で表す。
【0065】
【表2】

表2に示すように、本実施例の試薬を用いる場合の培養液は、カザミノ酸、もしくは合成培地を用いることが望ましい。特に、コスト面や微生物の培養しやすさなども考慮した場合、カザミノ酸を用いることが望ましい。また、試薬投入後の時間を調整することにより、肉エキスを用いることも可能であると考えられる。
【0066】
また、本実施例で用いた試薬以外のものを用いる場合には、カザミノ酸以外にも、ブドウ糖・ペプトン液体培地(GP液体培地)、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト液体培地(SCD液体培地)、チオグリコール酸培地(TG培地)、サブロー・ブドウ糖培地、合成培地、ブレインハートインフュージョン、ミューラーヒントン、普通ブイヨン、或いは、ブドウ糖ペプトンなども用いることができる。
【0067】
真菌及び細菌についていくつか例を挙げたが、これ以外にも、カンジダ属、ハンセヌラ属、サッカロマイセス属、トリコスポロン属、クリプトコッカス属、アスペルギルス属、ペニシリウム属、ブラストマイセス属、コクシジオイデス属、ニュウモシスチス属、マラセジア属、デバリオマイセス属などに属する真菌、及び、バチスル属、ストレプトコッカス属、シュードモナス属、エシェリキア属、スタフィロコッカス属、レブシエラ属、セラチア属、シゲラ属、ビブリオ属、キャンピロバクター属、クロストリジウム属、エルシニア属などに属する細菌であれば、本微生物検出システムは検出可能であると考えられる。
【実施例2】
【0068】
実施例1では、試料、培養液、洗浄液、試薬などの送液のためにペリスタポンプ、送液配管の開閉のためにピンチバルブを用いたが、ポンプやバルブはこれに限定されず、各保持部から検出対象導入部まで、或いは、検出対象導入部から廃液回収部まで必要な液体を送るまたは停止する機能が有ればよい。従って、ペリスタポンプによって空気を各保持部へ導入し、その圧力によって、試料、培養液、洗浄液、試薬などの送液を行う構成としても良い。
【0069】
この場合の実施例を、図6及び図7を用いて詳述する。図6は、本実施例の微生物検出装置110の内部構成を示す斜視図、図7は図6の微生物検出装置110の模式図である。尚、図6及び図7において図1乃至図5と同一の符号が付されているものは、類似或いは同様の効果を奏するものとして説明を省略する。
【0070】
図中、80は試料シリンジ72a(試料保持部)、培養液シリンジ72b(培養液保持部)、洗浄液シリンジ72c及び試薬シリンジ72d(試薬保持部)を保持するための保持部である。この保持部80は、各シリンジ72a、72b、72c及び72dを一体に保持し、図7に矢印で示すように微生物検出装置110から前後方向に着脱可能に設けられている。即ち、当該保持部80を交換することで、試料、培養液、洗浄液、試薬を同時に交換することができる。
【0071】
図中、82は照明であり、本実施例の照明82は、LEDにより構成されている。LED照明82は、CCDカメラ40の前方及び後方に直線状に配置されている。84は、前記保持部80の補強部材である。
【0072】
また、図中74a、74b、74c及び74dは、本実施例のペリスタポンプである。本実施例の各ペリスタポンプ74a、74b、74c及び74dは、試料シリンジ72a(試料保持部)、培養液シリンジ72b(培養液保持部)、洗浄液シリンジ72c及び試薬シリンジ72d(試薬保持部)を加圧し、その圧力によって、各シリンジ72a、72b、72c及び72d内の試料、培養液、洗浄液、試薬を直接検出槽20に押し出すための加圧手段である。
【0073】
各ペリスタポンプ74a、74b、74c及び74dにより各シリンジ72a、72b、72c及び72d内に圧送される圧縮ガス(空気)の経路中には、図示しないフィルタがそれぞれ設けられている。各フィルタには、上記フィルタ22と同様に、0.1〜10μm、望ましくは0.2μm程度の径を有する複数の孔が形成されている。
【0074】
そして、各ペリスタポンプ74a、74b、74c及び74dにより各シリンジ72a、72b、72c及び72d内には、各フィルタを通過した空気が圧送されるため、例えば、空気中に菌が混在した場合であっても、フィルタにて菌を捕捉することができるので、各シリンジ72a、72b、72c及び72d内の試料、培養液、洗浄液及び試薬が汚染される不都合を回避できる。
【0075】
このように、各ペリスタポンプ74a、74b、74c及び74dによって押し出される圧縮ガス(空気)を用いた加圧方式(圧送方式)により、各シリンジ72a、72b、72c及び72d内の試料、培養液、洗浄液、試薬を直接検出槽20に押し出すことで、従来の如く、各シリンジ72a、72b、72c及び72d内の試料、培養液、洗浄液、試薬を送液配管を介することなく、検出槽20に押し出すことができるようになる。これにより、送液配管が不要となり、部品点数の削減を図ることができる。また、従来の送液配管の交換が不要となるため、作業時間を短縮することができるようになる。
【0076】
また、本実施例のペリスタポンプ74a、74b及び74dは、一回の加圧により、試料シリンジ72a内の全試料、培養液シリンジ72b内の全培養液、試薬シリンジ72d内の全試薬を検出槽20に押し出すことができる構成とされている。
【0077】
このため、試料シリンジ72a、培養液シリンジ72b及び試薬シリンジ72d内にそれぞれ使用する分だけ、予め試料、培養及び液試薬を入れておくだけで、ペリスタポンプ74a、74b及び74dにて、各シリンジ72a、72b及び72d内の各溶液を一回の加圧で出し切ることができる。
【0078】
このように、試料シリンジ72a内の全試料、培養液シリンジ72b内の全培養液、試薬シリンジ72d内の全試薬を一回の加圧で出し切りとすることで、煩雑且つ高性能なポンプコントロールが不要となり、コストの削減を図ることができる。
【0079】
以上の構成で、次に本微生物検出装置110を用いた微生物の検出方法について説明する。尚、本微生物検出装置110では、上記実施例に列挙した各種試薬を用い、その試薬に適した培養液を用いて微生物検出を行うことが可能であるが、本実施例では、前記実施例と同様に試薬として和光純薬工業株式会社製のSLP試薬を使用し、培養液もカザミノ酸を主成分とする培地を用いるものとする。
【0080】
本実施例では、検出する微生物が真菌であるか細菌であるか特に区別しない場合の微生物検出方法について説明する。図8は、この場合の制御装置48の制御のフローチャートを示している。先ず、予め検出対象となる試料シリンジ72a内に所定量の試料(サンプル)、培養液シリンジ72b内に所定量のカザミノ酸を主成分とする培地、洗浄液シリンジ72c内に洗浄液(本実施例では水)、試薬シリンジ72d内に所定量のSLP試薬をそれぞれ封入して、保持部80にセットし、これを微生物検出装置10に装着する。そして、微生物検出装置110の電源を投入すると制御装置48が起動する(図8のステップS1)。
【0081】
図8のステップS1で、制御装置48が起動すると、制御装置48は、次に図8のステップS2の試料濾過工程(サンプル濾過工程)に進む。ここで、制御装置48により、ペリスタポンプ74a及びペリスタポンプ26が作動される。ペリスタポンプ74aが作動されると、当該ペリスタポンプ74a内に外気が吸い込まれる。そして、当該外気が圧縮されて、図示しないフィルタを介して試料シリンジ72a内に供給される。これにより、試料シリンジ72a内が加圧されて、検出対象となる試料(サンプル)が試料注入針18aから検出槽20に押し出される。検出槽20には、実施例1と同様にフィルタ22が設けられており、押し出された試料は検出槽20に溜められる。また、フィルタ22の下部には排出口24が設けられており、フィルタ22を通過した試料は、排出口24からペリスタポンプ26によって、廃液回収部としての廃液槽28へ送液される。このとき、試料中に微生物が存在していた場合、フィルタ22に微生物が捕捉される。
【0082】
検出槽20からの試料の排出が終了すると、制御装置48は次に図8のステップS3に進む。ここで、制御装置48は洗浄が必要である場合には、ステップS4に移行し、洗浄が不要である場合には制御装置48はステップS5に移行する。尚、濾過後の洗浄の有無は使用者が予め制御装置48に入力し、制御装置48はこの入力情報から濾過後の洗浄の有無を判定するものとしても良い。
【0083】
ステップS3にて洗浄を行う場合には、制御装置48は、ステップS4に移行し、ペリスタポンプ74cを作動する。制御装置48により、ペリスタポンプ74c及びペリスタポンプ26が作動されると、当該ペリスタポンプ72cから圧縮ガスが図示しないフィルタを介して洗浄液シリンジ72c内に供給される。これにより、洗浄液シリンジ72c内が加圧されて、洗浄液(本実施例では水)が試料注入針18cから検出対象導入部としての検出槽20に押し出される。洗浄液が送液されるルートは試料と同様に、洗浄液シリンジ72cから洗浄液注入針18cを通って検出槽20に押し出される。このとき、検出槽20に注入された洗浄液は検出槽20を洗浄し、試料と同じ排出口24から、廃液槽28へ排出される。
【0084】
検出槽20から洗浄液の排出が終了すると、制御装置48は次に図8のステップS5の培養工程に進む。ステップS5において、制御装置48により、ペリスタポンプ74bが作動され、圧縮ガスが図示しないフィルタを介して培養液シリンジ72b内に供給される。これによって、培養液シリンジ72b内が加圧され、培養液(本実施例ではカザミノ酸)が培養液注入針18bを通って検出槽20に押し出される。このとき、検出槽20に注入された培養液の大半は、フィルタ22上に溜まる。
【0085】
培養液が検出槽20に注入されると、制御装置48は図示しないペルチェ素子によって、検出槽20内部を30℃となるように温度制御する。そして、この状態で、数時間乃至半日程度(本実施例では15時間)保持することにより、フィルタ22に捕捉された微生物は増殖し、捕捉時には1個乃至数個であった微生物も103個以上となる。これにより、フェノール酸化酵素前駆体の検出限界以上の微生物数にすることができる。
【0086】
検出槽20での培養が終了すると、制御装置48は次に図8のステップS6の洗浄工程に進む。ステップS6にて、制御装置48は、ペリスタポンプ26を作動して、検出槽20の排出口24から培養液を排出すると共に、ペリスタポンプ74cを作動して、前記ステップS4と同様に圧縮ガスを洗浄液シリンジ72cに供給する。これにより、洗浄液シリンジ72c内が加圧されて、洗浄液(本実施例では水)が試料注入針18cから検出槽20に押し出される。検出槽20に注入された洗浄液は検出槽20を洗浄し、廃液槽28へ排出される。
【0087】
検出槽20から洗浄液の排出が終了すると、制御装置48はステップS7の試薬反応工程に移行して、ペリスタポンプ74dを作動し、圧縮ガスを試薬シリンジ74d内に供給する。これにより、試薬シリンジ72d内が加圧されて、試薬(本実施例では和光純薬工業株式会社製のSLP試薬)が試薬注入針18dを通って検出槽20に押し出される。このとき、検出槽20に注入された試薬は検出槽20のフィルタ22上に溜まる。また、本実施例で用いるSLP試薬は、30℃程度に保持することで最も色調変化が起こりやすいため、制御装置48は、検出槽20内部が30℃となるように前記ペルチェ素子の温度制御を行い、この状態で所定時間、例えば、本実施例では1時間保持する。
【0088】
そして、一時間経過すると、制御装置48は次に図8のステップS8の測定工程に進み、LED照明82を点灯させ、検出槽20内部(フィルタ22)の色の変化をCCDカメラ40により検出する。LED照明82によって照らされた検出槽20内部の画像は、CCDカメラ40にて撮影される。
【0089】
その後、制御装置48は図8のステップS9の判定工程に進み、撮影されたCCDカメラ40の画像からフィルタ22部分の色調変化分析などにより微生物の有無の判定を行う。
【実施例3】
【0090】
次に、本発明の微生物検出用カセットを備えた微生物検出装置の一実施例について図9を用いて詳述する。図9は、本実施例の微生物検出装置210の内部構成を示す斜視図である。尚、図9において、図1乃至図8と同一の符号が付されたものは、類似或いは同様の効果を奏するものとして説明を省略する。
【0091】
図9の微生物検出装置210は、本体201と、この本体201に着脱可能に設けられた微生物検出用カセット200から構成されている。微生物検出用カセット200は、図10に示すように試料と試薬とが導入される検出槽20(検出対象導入部)と、試料を保持する試料シリンジ72a(試料保持部)と、微生物を培養する培養液を保持する培養液シリンジ72b(培養液保持部)と、検出槽20を洗浄するための洗浄液を保持する洗浄液シリンジ72cと、試薬を保持する試薬シリンジ72d(試薬保持部)と、検出槽20から排出される試料、培養液、洗浄液、又は試薬の廃液を回収する廃液槽28(廃液回収部)とから成り、これらは単一の密閉されたケース202内に一体に構成されている。
【0092】
前記本体201には、微生物検出装置210の制御を司る制御装置48と、加圧手段としてのペリスタポンプ74、26と、ペリスタポンプ74から各シリンジ72a、72b、72c、72dへの圧縮ガスの供給を調整するための電磁弁92、93、94、検出槽20を所定温度に加熱制御するためのヒートブロック30、検出槽20の試薬の光学的性質を検出するための計測部(検出部)としてのCCDカメラ40などが設置されている。尚、本実施例では、CCDカメラ40はヒートブロック30の側部に位置して設けられているため、CCDカメラ40にて検出槽20のフィルタ22部分を検出できるように、ヒートブロック30には当該ヒートブロックを水平方向(横方向)に貫通する連通孔31が形成されている。
【0093】
微生物検出用カセット200の前記各シリンジ72a、72b、72c、72dの上端には、ペリスタポンプ74からの圧縮ガスを本体201側の送気配管90を介して各シリンジ72a、72b、72c、72dに導入するための送気配管91の一端がそれぞれ連通しており、各送気配管91の他端は、当該ケース202に設けられた連通部95a、95b、95c、95dに接続されている。当該連通部95a、95b、95c、95dは、本体201側の送気配管90と各シリンジ72a、72b、72c、72dに接続された送気配管91とを着脱可能に接続するためのものであり、当該連通部95a、95b、95c、95dにより本体201側の送気配管90と、ケース202側の送気配管91とを接続することで、送気配管90、91を介して、ペリスタポンプ74からの圧縮ガスを各シリンジ72a、72b、72c、72d内にそれぞれ供給することができる。
【0094】
一方、本体201側の送気配管90には複数(本実施例では3本)の電磁弁92、93、94が設置されている。電磁弁92、93、94は三方活栓タイプの電磁弁で、制御装置48に接続されている。本実施例では、各シリンジ72a、72b、72c、72d内への圧縮ガスの供給は、一つのペリスタポンプ74にて行われており、制御装置48が送気配管90、91中に設けられた各電磁弁92、93、94を制御することで、当該ペリスタポンプ74からの圧縮ガスの供給を調整している。
【0095】
ここで、ペリスタポンプ74からの圧縮ガスの供給経路を図11を用いて説明する。即ち、ペリスタポンプ74にて圧縮された空気(圧縮ガス)を試料シリンジ72a内に供給し、試料シリンジ72a内の試料を検出槽20に導入する場合、制御装置48は、電磁弁92により、本体201側の送気配管90の配管90aと配管90bとを連通されると共に、電磁弁93により、配管90bと配管90dとを連通させる。
【0096】
同様に、ペリスタポンプ74からの圧縮ガスを培養液シリンジ72b内に供給し、培養液シリンジ72b内の培養液を検出槽20に導入する場合、制御装置48は、電磁弁92により、本体201側の送気配管90の配管90aと配管90bとを連通されると共に、電磁弁93により、配管90bと配管90eとを連通させる。
【0097】
また、ペリスタポンプ74からの圧縮ガスを洗浄液シリンジ72c内に供給し、洗浄液シリンジ72c内の洗浄液を検出槽20に導入する場合、制御装置48は、電磁弁92により、本体201側の送気配管90の配管90aと配管90cとを連通されると共に、電磁弁94により、配管90cと配管90fとを連通させる。更に、ペリスタポンプ74からの圧縮ガスを試薬シリンジ72d内に供給し、試薬シリンジ72d内の試薬を検出槽20に導入する場合、制御装置48は、電磁弁92により、本体201側の送気配管90の配管90aと配管90cとを連通されると共に、電磁弁94により、配管90cと配管90gとを連通させる。
【0098】
そして、本体201側の送気配管90(本実施例では配管90d、90e、90f、90g)にはそれぞれフィルタ98が設けられており、ペリスタポンプ74からの圧縮ガスは当該フィルタ98を介して各シリンジ72a、72b、72c及び72d内に供給される。これら各フィルタ98により、万が一、ペリスタポンプ74からの圧縮ガス中に菌が混入している場合にも、各フィルタ98にて菌を捕捉することが可能であり、試料、培養液、洗浄液及び試薬が汚染される不都合を回避できる。
【0099】
一方、微生物検出用カセット200は、上述の如く単一のケース202内に構成されており、当該ケース202内は、本体201側の送気配管90と接続可能な前記連通部95a、95b、95c、95dと、試料を試料シリンジ72aに封入するための連通部73aと、ペリスタポンプ26と廃液槽28とを接続する配管99を取り付けるための連通部96と、廃液槽28内の圧力調整を行うための連通部97にて外部と連通可能に構成されているが、これらの連通部は全て栓等により閉塞可能とされている。これにより、ケース202内を密閉空間とすることができるので、ケース202内の汚染を防ぐことができる。
【0100】
他方、各シリンジ72a、72b、72c及び72dの下端には送液配管118a、118b、118c、118dの一端が連通し、これら送液配管の他端は検出槽20に連通する送液配管120にて開口している。また、送液配管118a、118b、118c、118dには各シリンジ72a、72b、72c及び72d内の試薬類が各シリンジ72a、72b、72c及び72d内から漏れ出る不都合を回避するための撥水加工が施されている。これらにより、試薬類を各シリンジ72a、72b、72c及び72d内に封入した状態で運搬しても、外部からの振動や外気温変化により試薬類が漏れ出る不都合を回避することができる。尚、その他、送液配管118a、118b、118c、118dとして逆止弁を有する配管を使用したり、各シリンジ72a、72b、72c及び72dと各送液配管118a、118b、118c、118dとに空間のマージンを取ることで、係る送液配管118a、118b、118c、118dからの試薬類の漏れを解消することも可能である。
【0101】
以上の構成で、本微生物検出装置210及び微生物検出用カセット200を用いた微生物の検出方法について、前記図8の制御装置48の制御のフローチャートを用いて説明する。尚、微生物検出用カセット200内には、予め検出対象となる所定量の試料(サンプル)が試料シリンジ72a内にセットされ、同様に、培養液シリンジ72b内には所定量のカザミノ酸、洗浄液シリンジ72c内には洗浄液(本実施例では水)、試薬シリンジ72d内には所定量のSLP試薬がそれぞれ封入されているものとする。先ず、微生物検出装置110の電源を投入すると制御装置48が起動する(図8のステップS1)。
【0102】
図8のステップS1で、制御装置48が起動すると、制御装置48は、次に図8のステップS2の試料濾過工程に進む。ここで、制御装置48は、各電磁弁92、93、94を制御する。即ち、制御装置48は、送気配管90の90aと90bとが連通され、90bと90dとが連通されて、ペリスタポンプ74からの圧縮ガスが試薬シリンジ74aのみに供給されるように各電磁弁92、93、94を制御する。また、制御装置48により、ペリスタポンプ74及びペリスタポンプ26が作動される。ペリスタポンプ74が作動されると、当該ペリスタポンプ74内に外気が吸い込まれ、圧縮されて、当該圧縮ガスが送気配管90、フィルタ98、送気配管91を介して試料シリンジ72a内に供給される。これにより、試料シリンジ72a内が加圧されて、検出対象となる試料(サンプル)が試料送液配管118aから送液配管120を経て検出槽20に押し出され、検出槽20に溜められる。
【0103】
また、ペリスタポンプ26が作動されると、当該ペリスタポンプ26により廃液槽28内の空気が外部に排出されるため、検出槽20に溜められた試料は、フィルタ22を通過して排出口24から廃液槽28へ送液される。このとき、試料中に微生物が存在していた場合、フィルタ22に微生物が捕捉される。
【0104】
検出槽20からの試料の排出が終了すると、制御装置48は次に図8のステップS3に進む。ここで、制御装置48は洗浄が必要である場合には、ステップS4に移行し、洗浄が不要である場合には制御装置48はステップS5に移行する。
【0105】
ステップS3にて洗浄を行う場合には、制御装置48は、ステップS4に移行し、送気配管90の90aと90cとを連通し、90cと90fとを連通して、ペリスタポンプ74からの圧縮ガスが洗浄液シリンジ74cのみに供給されるように各電磁弁92、93、94を制御する。また、制御装置48により、ペリスタポンプ74及びペリスタポンプ26が作動される。ペリスタポンプ74が作動されると、当該ペリスタポンプ74内に外気が吸い込まれ、圧縮されて、当該圧縮ガスが送気配管90、フィルタ98、送気配管91を介して洗浄液シリンジ72c内に供給される。これにより、洗浄液シリンジ72c内が加圧されて、洗浄液(本実施例では水)が洗浄液送液配管118cから送液配管120を経て検出槽20に押し出される。このとき、検出槽20に注入された洗浄液は検出槽20を洗浄し、試料と同じ排出口24から、廃液槽28へ排出される。
【0106】
検出槽20からの洗浄液の排出が終了すると、制御装置48は次に図8のステップS5の培養工程に進む。ステップS5において、制御装置48は、送気配管90の90aと90bとを連通し、90bと90eとを連通して、ペリスタポンプ74からの圧縮ガスが培養液シリンジ74bのみに供給されるように各電磁弁92、93、94を制御する。また、制御装置48により、ペリスタポンプ74が作動される。ペリスタポンプ74が作動されると、当該圧縮ガスが送気配管90、フィルタ98、送気配管91を介して培養液シリンジ72b内に供給される。これによって、培養液シリンジ72b内が加圧され、培養液(本実施例ではカザミノ酸)が培養液送液配管118bから送液配管120を経て検出槽20に押し出される。このとき、検出槽20に注入された培養液の大半は、フィルタ22上に溜まる。
【0107】
培養液が検出槽20に注入されると、制御装置48は図示しないペルチェ素子によって、検出槽20内部を30℃となるように温度制御する。そして、この状態で、数時間乃至半日程度(本実施例では15時間)保持することにより、フィルタ22に捕捉された微生物は増殖し、捕捉時には1個乃至数個であった微生物も103個以上となる。これにより、フェノール酸化酵素前駆体の検出限界以上の微生物数にすることができる。
【0108】
検出槽20での培養が終了すると、制御装置48は次に図8のステップS6の洗浄工程に進む。ステップS6にて、制御装置48は、ペリスタポンプ26を作動して、検出槽20の排出口24から培養液を排出すると共に、送気配管90の90aと90cとを連通し、90cと90fとを連通して、ペリスタポンプ74からの圧縮ガスが洗浄液シリンジ74cのみに供給されるように各電磁弁92、93、94を制御し、ペリスタポンプ74を作動する。これにより、ペリスタポンプ74からの圧縮ガスが送気配管90、フィルタ98、送気配管91を介して洗浄液シリンジ72c内に供給され、洗浄液シリンジ72c内が加圧されて、洗浄液(本実施例では水)が洗浄液送液配管118cから送液配管120を経て検出槽20に押し出される。検出槽20に注入された洗浄液は検出槽20を洗浄し、廃液槽28へ排出される。
【0109】
検出槽20からの洗浄液の排出が終了すると、制御装置48はステップS7の試薬反応工程(SLP反応)に移行して、送気配管90の90aと90cとを連通し、90cと90gとを連通して、ペリスタポンプ74からの圧縮ガスが試薬シリンジ74dのみに供給されるように各電磁弁92、93、94を制御する。また、ペリスタポンプ74を作動して、圧縮ガスを試薬シリンジ74d内に供給する。これにより、試薬シリンジ72d内が加圧されて、試薬(本実施例では和光純薬工業株式会社製のSLP試薬)が試薬送液配管118dから送液配管120を経て検出槽20に押し出される。このとき、検出槽20に注入された試薬は検出槽20のフィルタ22上に溜まる。また、本実施例で用いるSLP試薬は、30℃程度に保持することで最も色調変化が起こりやすいため、制御装置48は、検出槽20内部が30℃となるように前記ペルチェ素子の温度制御を行い、この状態で所定時間、例えば、本実施例では1時間保持する。
【0110】
そして、一時間経過すると、制御装置48は次に図8のステップS8の測定工程に進み、図示しないLED照明を点灯させ、検出槽20内部(フィルタ22)の色の変化をCCDカメラ40により検出する。LED照明によって照らされた検出槽20内部の画像は、CCDカメラ40にて撮影される。
【0111】
その後、制御装置48は図8のステップS9の判定工程に進み、撮影されたCCDカメラ40の画像からフィルタ22部分の色調変化分析などにより微生物の有無の判定を行う。
【0112】
このように、各シリンジ72a、72b、72c、72d、検出槽20及び廃液槽28を密閉されたケース202内に一体に構成し、これを本体201と着脱可能な微生物検出用カセット200とすることで、本体201に予め各シリンジ72a、72b、72c、72d内に試料、培養液、洗浄液及び試薬を封入した微生物検出用カセット200を装着するだけで、容易に微生物検出を行うことができる。これにより、微生物の検出をより効率的に行うことができると共に、外部からの菌の混入による汚染を極力回避することができる。更に、検出時における検出槽20のフィルタ22部の乾燥も抑制できる。
【0113】
更にまた、微生物検出用カセット200は密閉系であるため、嫌気性菌の検出にも使用することが可能である。従って、微生物検出用カセット200により微生物検出装置210の汎用性の向上を図ることができる。
【0114】
尚、微生物検出用カセット200のケース202は、試料(検出対象)によって区別することで、使用するケース毎にそれぞれの用途を容易に識別することができる。例えば、形状の異なるケースを試料によって使い分けたり、図12に示すようにケースに識別手段205を取り付けることで、ケース毎にそれぞれの用途を容易に識別でき、検査を円滑に行うことが可能となる。
【0115】
更に、例えば、識別手段をバーコードにて構成し、本体側にバーコードを読み取ることができる読取装置を設けて、制御装置48は、当該読取装置からの入力情報に基づき、培養時間や培養温度等の制御を行うものすれば、検出作業をより効率的に行うことが可能となる。
【実施例4】
【0116】
尚、上記実施例3の微生物検出装置210の微生物検出用カセット200は、試料シリンジ72aもケース202内に一体に構成するものとしたが、図13及び図14に示すように試料シリンジ72aをケース302に接続可能に構成しても良い。図13は試料シリンジ72aをケースに接続可能とした場合の微生物検出装置310の内部構成を示す斜視図、図14は微生物検出用カセット300の内部構成を示す斜視図である。尚、図13及び図14において、前記図1乃至図12と同一の符号が付されているものは、類似或いは同様の効果を奏するものとする。
【0117】
この場合、ケース302に設けられた送液配管118aはバルブや密栓等により閉塞可能とされており、試料シリンジ72aの下端に接続された送液配管119aも同様にバルブや密栓等により閉塞可能に構成されている。そして、送液配管118aと送液配管119aを接続するだけで、試料シリンジ72aを容易にケース302に取り付けることができる。また、試料シリンジ72aの上端の送気配管90と本体側の送気配管91とを接続することで、本体301にも容易に接続することができる。
【0118】
このように、試料シリンジ72aをケース302と接続可能に構成することで、例えば、ケース302内に一体に構成された培養液シリンジ72b、洗浄液シリンジ72c、試薬シリンジ72d内にそれぞれ試薬類をセットした微生物検出用カセット300を予め用意して、各連通部95b、95c、95d、96、97及び送液配管118aを閉塞しておけば、ケース302内に雑菌が混入して汚染される不都合を防いで、保存することが可能であり、検出作業を開始する直前に試料を試料シリンジ72a内に封入し、ケース302に取り付けることで、容易に微生物検出用カセット300を組み立てることができる。従って、本実施例の微生物検出用カセット300により、微生物の検出をより一層効率的に行うことができるようになる。
【実施例5】
【0119】
尚、上記実施例3及び実施例4において、廃液槽28はケース内に一体に構成するものとしたが、当該廃液槽28をケースに接続可能に構成するものとしても構わない。図15は、この場合の一実施例の微生物検出用カセット400の内部構成及び廃液槽28を示す斜視図である。尚、図15において上記図1乃至図14と同一の符号が付されているものは、類似或いは同様の効果を奏するものとして説明を省略する。
【0120】
本実施例の如く、廃液槽28をケース402に接続可能に構成することで、廃液槽28を使い回すことができる。即ち、各シリンジ72a、72b、72c、72d及び検出槽20は、一回の微生物検出毎に取り替える必要があるが、廃液槽28は、毎回取り替えずに、数回に一回取り替えるものとしても構わない。従って、毎回取り替える必要が有る部分のみを一体にケース402内に構成し、毎回取り替える必然性が無く、リサイクル可能な廃液槽28を当該ケース402に接続可能に構成することで、コストを削減することができる。
【実施例6】
【0121】
上記実施例3乃至実施例5の微生物検出装置は、本体に一つの微生物検出用カセットを着脱可能に設置するものとしたが、図16に示すように本体501に2つの微生物検出用カセット500A、500Bとを接続することも可能である。尚、図16は、2つの微生物検出用カセット500A、500Bを備えた微生物検出装置510の内部構成を示す斜視図であり、図16において前記図1乃至図15と同一の符号が付されているものは、類似或いは同様の効果を奏するものとして説明を省略する。
【0122】
図16に示すように、本体501の一側(図16では前面側)にはCCDカメラ40が設けられており、本実施例のCCDカメラ40は、水平方向(横方向)に移動可能に設けられている。また、ヒートブロック30には微生物検出用カセット500A、500Bにそれぞれ設けられた検出槽20を保持可能に形成されると共に、CCDカメラ40にて検出槽20のフィルタ22部分を検出できるように、当該ヒートブロック30を水平方向(図16では前後方向)に貫通する連通孔31A、31Bが形成されている。
【0123】
そして、制御装置48は前記図8のステップS8の測定工程において、CCDカメラ40を検出槽20のフィルタ22を各連通孔31A、31Bの正面まで移動して、検出槽20内部(フィルタ22)の色の変化を検出する。
【0124】
このように、2つの微生物検出用カセット500A、500Bを本体501に着脱可能に構成することで、2つの検査を同時進行で実施することができる。この場合、例えば、微生物検出用カセット500Aの試料シリンジ72aには、微生物汚染の有無を検出したい試料を封入し、微生物検出用カセット500Bの試料シリンジ72aには確実に微生物により汚染された試料を封入して、同時に検査を行い、これらの結果を比較することで、微生物検出用カセット500Aの試料の微生物汚染を容易に判断することができる。
【0125】
同様に、微生物検出用カセット500Aの試料シリンジ72aには、微生物汚染の有無を検出したい試料を封入し、微生物検出用カセット500Bの試料シリンジ72aには微生物汚染のない試料を封入して、同時に検査を行い、これらの結果を比較することでも、微生物検出用カセット500Aの試料の微生物汚染を容易に判断することができる。
【0126】
また、同時に2つの検査を行うことができるので、同時に検査される試料の間には、気温、湿度などのパラメータの差が無いので、微生物汚染の有無の判断を厳密に行うことが可能となる。これにより、検出感度の向上を図ることができる。
【実施例7】
【0127】
尚、上記実施例6の如く2つの微生物検出用カセットを本体に着脱可能に設けるものに限らず、3つ以上の複数の微生物検出用カセットを本体に着脱可能に設けても構わない。図17は、この場合の複数の微生物検出用カセット600を備えた微生物検出装置610の一実施例を模式的に示した斜視図である。
【0128】
図17に示すように、本実施例の微生物検出用装置610の本体601には、7つの微生物検出用カセット600が接続可能に設けられている。また、試料シリンジ、培養液シリンジ、洗浄液シリンジ及び試薬シリンジは、検出槽20の上側の側部に配置されたケース602の一部を構成する箱体605内に収納されており、各シリンジ内の下端に接続された図示しない送液配管を介して、当該検出槽20内と連通されている。この場合、検出槽20の真上には何も設けられていないため、検出槽20の真上から当該検出槽20内のフィルタを検出することができる。
【0129】
また、本実施例のヒートブロック30には、図18に示すように複数の微生物検出用カセット600の検出槽20を保持可能に形成されている。そして、本実施例ではCCDカメラ40が微生物検出用カセット600の上側であって、水平方向(横方向)に移動可能に本体601に設置されている。そして、制御装置48は前記図8のステップS8の測定工程において、CCDカメラ40を検出槽20のフィルタ22の真上となる位置まで移動して、検出槽20内部(フィルタ)の色の変化を検出する。
【0130】
このように、複数の微生物検出用カセット600を本体601に着脱可能に構成することで、同時に複数の検査を同時進行で実施することができる。この場合、例えば、一つの微生物検出用カセット600の試料シリンジに、微生物汚染の有無を検出したい試料を封入し、もう一つの微生物検出用カセット600の試料シリンジに確実に微生物により汚染された試料を封入し、更にもう一つの微生物検出用カセット600の試料シリンジに確実に微生物汚染のない試料を封入するなどして、同時に検査を行い、これらの複数の結果を比較することができるようになり、微生物汚染の有無の判断をより厳密に行い、検出感度のより一層の向上を図ることができる。
【0131】
更に、CCDカメラ40を移動可能に設置することで、単一のCCDカメラにて複数の前記検出槽20の試薬の光学的特性を検出することが可能となり、コストの削減と検出作業の効率化を図ることができるようになる。
【0132】
以上詳述したように本発明により、微生物検出装置及び微生物検出用カセットを簡素し、且つ、検出時間の短縮と、検出感度の向上を図ることができる。
【0133】
尚、実施例2及び実施例3では、検出する微生物が真菌であるか細菌であるか特に区別しない場合の微生物検出方法について説明したが、検出対象が真菌であるか細菌であるか明確である場合には、図19に示すように、培養時間と培養温度をそれぞれの菌で最も最適な条件で菌の培養を行うものとする。尚、図19の示す制御動作は図8と殆ど同じであるため、ここでは、異なる箇所のみ説明する。
【0134】
即ち、ステップS1で、制御装置48が起動すると、制御装置48に検査対象(試料)が細菌であるか真菌であるかの菌情報が入力される(図19のステップS11)。制御装置48への菌情報の入力は、使用者が制御装置48に直接入力するものとしても良いし、実施例3に例示したように、ケースに識別手段(例えば、バーコード)、本体側に当該識別手段を読み取るための読取手段(例えば、バーコード読取装置)を設けて、当該読取手段から制御装置48に入力されるものとしても構わない。
【0135】
次に、ステップS4の洗浄が終了すると制御装置48は、ステップS14に移行する(ステップS3にて洗浄が必要ないと判断された場合は、ステップS3からステップS14に移行)。そして、制御装置48は、ステップS11にて入力された情報に基づき、検出対象が真菌である場合には、S15Aに進み、検出槽20内部を25℃となるように温度制御し、この状態で半日程度(例えば、15時間)保持する。これにより確実に真菌の培養を行うことができる。
【0136】
一方、ステップS14にて検査対象が細菌である場合には、制御装置48は、S15Bに進み、ペルチェ素子によって、検出槽20内部を35℃となるように温度制御し、この状態で数時間(例えば、6時間)保持する。細菌は真菌に比べ増殖が早いため、より短時間でフェノール酸化酵素前駆体の検出限界以上の微生物数に増殖させることができる。これにより、細菌の培養を的確に行い、且つ、検査時間の短縮を図ることができる。
【0137】
一方、上述した制御装置48の判定工程において、実施例2乃至実施例5の如く、単一の試料のみで微生物の有無を判定する場合、制御装置48に図20の如く予め所定の比較色調を数値化した所定定数情報を持たせておき、制御装置48は、当該所定数値と試料の色調を数値化した値を比較することで試料中の細菌或いは真菌等の微生物の有無を判定することができる。
【0138】
一方、実施例6の如く、2つの検査を同時進行で実施する場合、例えば、微生物検出装置510の一方の微生物検出用カセット500Aに微生物汚染の有無を検出したい試料を封入し、もう一方の微生物検出用カセット500Bに確実に微生物により汚染されていない試料を封入して検査を行った場合の制御装置48の判断工程を図21を用いて説明する。
【0139】
先ず、制御装置48は、微生物検出用カセット500Bの試料の色調と、予め入力された所定の色調、例えば、微生物汚染が無い場合に想定される色調を数値化した数値情報(以降、定数と称する)を制御装置48に記憶しておき、当該定数と測定された色調を数値化した値(以降、測定値と称する)とを比較する。そして、制御装置48は、予め入力された定数と微生物検出用カセット500Bの測定値を比較してこれらの値がほぼ一致する場合には、微生物検出用カセット500Aの測定値と微生物検出用カセット500Bの測定値とを比較する。そして、微生物検出用カセット500Aの測定値と微生物検出用カセット500Bの測定値とがほぼ一致した場合、制御装置48は、微生物検出用カセット500Aの試料中には微生物が存在しないと判断する。
【0140】
また、微生物検出用カセット500Aの測定値と微生物検出用カセット500Bの測定値とが異なる場合、制御装置48は、微生物検出用カセット500Aの試料中に微生物が存在すると判断する。尚、定数と微生物検出用カセット500Bの測定値を比較してこれらの値が全く異なる場合には、制御装置48は本検査に誤りがあったものと判定する。
【0141】
他方、微生物検出装置510の一方の微生物検出用カセット500Aに微生物汚染の有無を検出したい試料を封入し、もう一方の微生物検出用カセット500Bに確実に微生物により汚染されている試料を封入して検査を行った場合の制御装置48の判断工程を図22を用いて説明する。
【0142】
先ず、制御装置48は、微生物検出用カセット500Bの試料の測定値と、予め入力された所定の定数、例えば、微生物汚染が有る場合に想定される数値情報(定数)を制御装置48に記憶しておき、当該定数と測定値とを比較する。そして、制御装置48は、予め入力された定数と微生物検出用カセット500Bの測定値を比較してこれらの値がほぼ一致する場合には、微生物検出用カセット500Aの測定値と微生物検出用カセット500Bの測定値とを比較する。そして、微生物検出用カセット500Aの測定値と微生物検出用カセット500Bの測定値とがほぼ一致した場合、制御装置48は、微生物検出用カセット500Aの試料中には微生物が存在すると判断する。
【0143】
また、微生物検出用カセット500Aの測定値と微生物検出用カセット500Bの測定値とが異なる場合、制御装置48は、微生物検出用カセット500Aの試料中に微生物が存在しないと判断する。尚、定数と微生物検出用カセット500Bの測定値を比較してこれらの値が全く異なる場合には、制御装置48は本検査に誤りがあったものと判定する。
【0144】
更に、実施例7の如く、複数の検査を同時進行で実施する場合の制御装置48の判定工程の一例を図23を用いて説明する。この場合、微生物検出装置610の少なくとも一つの微生物検出用カセット600に微生物汚染の有無を検出したい試料を封入し、他の微生物検出用カセット600に確実に微生物により汚染されていない試料を封入し、更に他の微生物検出用カセット600に確実に微生物により汚染されている試料を封入されているものとする。
【0145】
先ず、微生物汚染が有る場合に想定される数値情報(定数1)と微生物汚染が無いと想定される数値情報(定数2)とを制御装置48に記憶しておき、各定数と測定値とを比較する。そして、制御装置48は、測定工程が終了すると、予め入力された定数2と確実に微生物により汚染されていない試料の測定値とを比較する。そして、これらの値がほぼ一致する場合には、次に、定数1と確実に微生物により汚染されている試料の測定値とを比較する。これらの値がほぼ一致する場合は、微生物汚染の有無を検出したい試料の測定値と確実に微生物により汚染されていない試料の測定値とを比較して、これらの測定値とがほぼ一致した場合、制御装置48は、試料中には微生物がいないと判断する。微生物汚染の有無を検出したい試料の測定値と確実に微生物により汚染されていない試料の測定値とを比較して、これらの測定値が異なる場合、制御装置48は、試料中には微生物がいないと判断する。
【0146】
尚、予め入力された定数2と確実に微生物により汚染されていない試料の測定値、及び、定数1と確実に微生物により汚染されている試料の測定値とが異なる場合、制御装置48は本検査に誤りがあったものと判定する。このように複数の試料の測定値を比較して、微生物の有無を判定することで、より厳密な判定を行うことができる。
【0147】
他方、実施例7の如く、複数の微生物検出用カセット600を備える場合、各微生物検出用カセット600の各シリンジ内への圧縮ガスの供給は、一つのペリスタポンプにて行うことができる。ここで、一つのペリスタポンプを用いて各微生物検出用カセット600への圧縮ガスの供給を行う場合の一例を図24に示す。
【0148】
図24において、V1乃至V18は各配管に設けられた電磁弁(例えば、実施例3で用いた電磁弁92、93、94と同様の三方活栓タイプの電磁弁)であり、74は各微生物検出用カセット600A、600B、600C、600D内の図示しない各シリンジ内に圧縮ガスを供給するためのペリスタポンプ、26は各微生物検出用カセット600A、600B、600C、600D内の検出槽20内の溶液(試料、培養液、洗浄液、試薬等)を廃液槽28に送液するためのペリスタポンプ26である。
【0149】
図24の如く、複数の電磁弁V1乃至V18を用いることで、一つのペリスタポンプ74を用いて微生物検出用カセット600A、600B、600C、600D毎にペリスタポンプ74からの圧縮ガスの供給を調整することができる。
【0150】
一方、図25のように、送気配管中に3つの電磁弁V20乃至V22(例えば、実施例3で用いた電磁弁92、93、94と同様の三方活栓タイプの電磁弁)を用いて、全ての微生物検出用カセット600の各シリンジへの圧縮ガスの供給を同時に行うことも可能である。
【0151】
尚、上記各実施例の微生物検出用装置及び微生物検出用カセットにおいて、検査時における各シリンジ内の試料、培養液、試薬等の劣化を防ぐため、各シリンジ内を所定温度に冷却、或いは、加熱した状態で維持することが好ましい場合もある。このような状況に対応するため、例えば、各シリンジを上記各実施例の検出槽20の如く一側面にペルチェ素子を備えるヒートブロックにて保持し、当該ペルチェ素子にて冷却或いは加熱して、シリンジ内の試料、培養液、試薬等を所定温度に維持することも可能である。
【0152】
また、微生物検出用装置全体、或いは、微生物検出用カセット全体を温度制御可能な空間内に設置し、当該空間内を空調設備にて温度管理するものとしても、検査時における各シリンジ内の試料、培養液、試薬等の劣化を防ぐことができる。
【0153】
上記各実施例では、試薬シリンジ内に封入された試薬は溶液であり、若しくは、試薬が固体の場合には、予め溶媒に溶かした状態で試薬シリンジ内に封入している。しかしながら、試薬が固体の場合には、使用直前に溶媒と混合する方が望ましく、また、事前に使用者が試薬と溶媒を混合して溶解する場合、作業が煩雑化すると共に、混合時に菌が混入する恐れもある。このため、微生物検出装置、或いは、微生物検出用カセットに固体の試薬を保持する保持部と、当該試薬を溶解する溶媒を保持する保持部とを設けて、使用直前に溶媒と試薬とを混合する機構を備えることも可能である。この場合、試薬に溶媒を滴下する機構と、試薬と溶媒とが入った容器に振動を与えるなど、充分に攪拌可能な機構を具備することで、試薬と溶媒とを均一に溶解できる。
【0154】
更に、各実施例では、SLP試薬を用い、CCDカメラにて検出槽のフィルタ部の色調変化を検出するものとしたが、SLP試薬を用いた色調変化を検出するものに限らず、例えば、フィルタ部の光透過率や吸光度などから判定を行うものとしても良い。また、色調に限らず、フィルタ部の色相の変化を検出しても構わない。
【0155】
また、2つ以上の試料を1つの検出部(測定部)にて検出するために、上記実施例6及び7では本体に移動可能なCCDカメラを設けるものとしたが、CCDカメラを移動可能に構成するものに限らず、微生物検出用カセットを移動可能に構成しても良い。また、CCDカメラ以外にも検出部として広角レンズを用いても差し支えない。更に、当該検出部の設置位置は、検出槽のフィルタの上面、側面、下面、斜め方向などあらゆる方向とすることがきる。
【0156】
また、微生物検出検査は生化学反応を利用するために、検査時の気温、湿度などのパラメータに依存して検査結果が変動することがある。この変動の効果を打ち消しために気温、湿度も同時に測定する機構を備えさせ、これを記録する機構を備えることで検査精度を向上させることができる。
【0157】
微生物検出装置及び微生物検出用カセットは、汚染が生じないよう、密閉性を考慮し、外部からの菌の混入を防いでいるが、万が一、微生物検出装置及び微生物検出用カセット内にて汚染が起こった場合に備え、UV殺菌、オゾン暴露、過酸化水素暴露、高温高圧殺菌、水洗いが可能な素材・構造を備える等のうちすくなくとも一種類の滅菌、除染ができる機構を備えるものとする。更に、装置をユニットで構成し、汚染される可能性があるユニットのみを取り外し、上記何れかの方法によって滅菌・除染する機構を備えるものとしても良い。
【0158】
また、検出槽への試料、培養液、洗浄水及び試薬の送液は検出槽におけるオーバーフローによる汚染を防止するため、例えば、フィルタにオーバーフローを監視し、防止する機構を備え、オーバーフローの恐れが有る場合には、制御装置により、検出槽への送液が停止されるものとしても良い。
【0159】
尚、微生物検出カセットは精密機械であるため、カセットのセットが不十分、断線、ポンプ、バルブの動作不良による装置の不具合の有無を検査前に確認しなければならない。従って、この確認を微生物検出装置自身が検査前に行う機構(セルフチェック)を有し、その記録を保存する機構を備えるものとすることで、使用者は検査前にセルフチェックの記録を確認するだけで、装置の不具合の有無を容易に判断できるようになる。
【0160】
上記各実施例以外にも、分注ロボットを用いることで上記各実施例と同様の性能を持つ機構(微生物検出装置)を構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明は、細胞培養用の培養液中に含まれる微生物の検出のみならず、食品の加工工程で用いられる洗浄水、ジュース、酒類など液体の食品、飲料物、衛生管理される環境中の空気(空気が流通するフィルタ)或いは、半導体用の洗浄水など、微生物の検出が望まれるあらゆる流体(液体、気体)中から、短時間かつ高感度で検出することができる汎用的な微生物検出装置である。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】微生物検出装置の内部構成を示す斜視図である。
【図2】検出槽の内部構成を示す断面模式図である。
【図3】検出槽周囲を拡大した上面模式図である。
【図4】光源とカメラの配置関係を示す断面模式図である。
【図5】微生物検出装置の外観図である。
【図6】実施例2の微生物検出装置の内部構成を示す斜視図である。
【図7】実施例2の微生物検出装置の模式図である。
【図8】実施例2の微生物検出装置の制御のフローチャートである。
【図9】実施例3の微生物検出装置の内部構成を示す斜視図である。
【図10】実施例3の微生物検出用カセットの内部構成を示す斜視図である。
【図11】実施例3の微生物検出装置の圧縮ガスの供給経路の説明図である。
【図12】ケースに識別手段を取り付けた微生物検出用カセットの内部構成を示す斜視図である。
【図13】実施例4の微生物検出装置の内部構成を示す斜視図である。
【図14】実施例4の微生物検出用カセットの内部構成を示す斜視図である。
【図15】実施例5の微生物検出用カセットの内部構成を示す斜視図である。
【図16】実施例6の微生物検出装置の内部構成を示す斜視図である。
【図17】実施例7の微生物検出装置の内部構成を示す斜視図である。
【図18】実施例7の微生物検出装置のヒートブロックの斜視図である。
【図19】他の実施例の微生物検出装置の制御のフローチャートである。
【図20】実施例2乃至実施例6の判定工程における判定方法を示すフローチャートである。
【図21】実施例6の判定工程における判定方法を示すフローチャートである。
【図22】実施例6の判定工程におけるもう一つの判定方法を示すフローチャートである。
【図23】実施例7の判定工程における判定方法の一例を示すフローチャートである。
【図24】実施例7の微生物検出装置の圧縮ガスの供給経路の一例を説明する図である。
【図25】実施例7の微生物検出装置の圧縮ガスの供給経路の他の例の説明図である。
【符号の説明】
【0163】
10 微生物検出システム
12a、b、c、d 試料シリンジ、培養液シリンジ、洗浄液シリンジ、試薬シリンジ
14 ペリスタポンプ
15 ピンチバルブ
16a、b、c、d 試料注入口、培養液注入口、洗浄液注入口、試薬注入口
18a、b、c、d 試料注入針、培養液注入針、洗浄液注入針、試薬注入針
20 検出槽
22 フィルタ
24 排出口
26 ペリスタポンプ
27 ピンチバルブ
28 廃液槽
30 ヒートブロック
32 ペルチェ素子
34 アーム
36 放熱板
38 リング照明
40 CCDカメラ
42 ミラー
44 照明光源
46 調整つまみ
48 制御装置
50 前面蓋体
52 軸
54 上部窓
56 取手
58 引出部
60 筐体
72a、b、c、d 試料シリンジ、培養液シリンジ、洗浄液シリンジ、試薬シリンジ
74 ペリスタポンプ
82 LED照明
110、210、310、410、510、610 微生物検出装置
200、300、400、500A、500B、600 微生物検出用カセット
201、301、401、501、601 本体
202、302、402、502、602 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料と試薬とが導入される検出対象導入部と、前記検出対象導入部に導入された前記試薬の光学的特性を検出する検出部とを備え、該検出部により検出された光学的特性により、前記試料中の微生物の有無を検出する微生物検出装置において、
前記検出対象導入部に導入される前記試料を保持する試料保持部と、
前記微生物を培養する培養液を保持する培養液保持部と、
前記検出対象導入部に導入される前記試薬を保持する試薬保持部と、
を備えることを特徴とする微生物検出装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記試薬の色調、又は、吸光度を検出すると共に、該検出部にて検出された前記試薬の色調、又は、吸光度により、前記試料中の微生物の有無を検出することを特徴とする請求項1に記載の微生物検出装置。
【請求項3】
前記培養液は前記検出対象導入部に導入され、前記検出対象導入部にて前記微生物の培養を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の微生物検出装置。
【請求項4】
前記検出対象導入部近傍に設けられ、前記検出対象導入部の温度を制御する温度制御手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の微生物検出装置。
【請求項5】
前記試料保持部と前記培養液保持部と前記試薬保持部とを一体となるよう構成すると共に、前記微生物検出装置に着脱可能に設けられる保持部装着手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の微生物検出装置。
【請求項6】
前記保持部装着手段に設けられ、前記検出対象導入部から排出される前記試料、前記培養液、又は、前記試薬の廃液を回収する廃液回収部を備えたことを特徴とする請求項5に記載の微生物検出装置。
【請求項7】
前記試料保持部、前記培養液保持部、及び、前記試薬保持部を加圧する加圧手段を備え、
該加圧手段により、前記試料保持部内の試料、前記培養液保持部内の培養液、及び、前記試薬保持部内の試薬を直接前記検出対象導入部に押し出すことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の微生物検出装置。
【請求項8】
前記加圧手段は、一回の加圧により前記試料保持部内の全試料、前記培養液保持部内の全培養液、及び、前記試薬保持部内の全試薬を押し出すことを特徴とする請求項7に記載の微生物検出装置。
【請求項9】
前記加圧手段は、前記試料保持部、前記培養液保持部、及び、前記試薬保持部に圧縮ガスを送給するガス圧縮手段により構成されていることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の微生物検出装置。
【請求項10】
前記試料保持部、前記培養液保持部、前記試薬保持部、前記検出対象導入部、及び、該検出対象導入部から排出される前記試料、前記培養液、又は、前記試薬の廃液を回収する廃液回収部を、複数組備えたことを特徴とする請求項7乃至請求項9の何れかに記載の微生物検出装置。
【請求項11】
単一の前記検出部を用いて複数の前記検出対象導入部の前記試薬の光学的特性を検出することを特徴とする請求項10の微生物検出装置。
【請求項12】
前記培養液保持部、前記試薬保持部、及び、前記検出対象導入部を密閉された単一のケース内に構成して一体化すると共に、該ケースには前記ガス圧縮手段からの圧縮ガスを前記培養液保持部、及び、前記試薬保持部にそれぞれ供給するための連通部と、前記検出部により前記検出対象導入部の前記試薬の光学的特性を検出するための計測部とを設けたことを特徴とする請求項9乃至請求項11の何れかに記載の微生物検出装置。
【請求項13】
前記試料保持部を前記ケース内に構成して一体化すると共に、該ケースには前記ガス圧縮手段からの圧縮ガスを前記試料保持部に供給するための連通部を設けたことを特徴とする請求項12に記載の微生物検出装置。
【請求項14】
前記試料保持部を前記ケースに接続可能としたことを特徴とする請求項12に記載の微生物検出装置。
【請求項15】
前記検出対象導入部から排出される前記試料、前記培養液、又は、前記試薬の廃液を回収する廃液回収部を前記ケースと一体化したことを特徴とする請求項12乃至請求項14の何れかに記載の微生物検出装置。
【請求項16】
前記検出対象導入部から排出される前記試料、前記培養液、又は、前記試薬の廃液を回収する廃液回収部を前記ケースに接続可能としたことを特徴とする請求項12乃至請求項14の何れかに記載の微生物検出装置。
【請求項17】
検出対象毎に前記ケースを区別すると共に、該ケースに応じて前記検出対象を識別する識別手段を備えたことを特徴とする請求項12乃至請求項16の何れかに記載の微生物検出装置。
【請求項18】
試料と試薬とが導入される検出対象導入部と、該検出対象導入部に導入され、微生物を培養する培養液を保持する培養液保持部と、前記検出対象導入部に導入される前記試薬を保持する試薬保持部とを単一のケース内に一体に構成すると共に、該ケースには、圧縮ガスを前記培養液保持部、及び、前記試薬保持部にそれぞれ供給するための連通部と、前記検出対象導入部の前記試薬の光学的特性を検出するための計測部とを設けたことを特徴とする微生物検出用カセット。
【請求項19】
前記検出対象導入部に導入される試料を保持する試料保持部を前記ケース内に一体に構成すると共に、該ケースには前記圧縮ガスを前記試料保持部に供給するための連通部を設けたことを特徴とする請求項18に記載の微生物検出用カセット。
【請求項20】
前記圧縮ガスにより前記検出対象導入部に導入される試料を保持する試料保持部を前記ケースに接続可能としたことを特徴とする請求項18に記載の微生物検出用カセット。
【請求項21】
前記検出対象導入部から排出される前記試料、前記培養液、又は、前記試薬の廃液を回収する廃液回収部を前記ケースに一体に設けたことを特徴とする請求項18乃至請求項20の何れかに記載の微生物検出用カセット。
【請求項22】
前記検出対象導入部から排出される前記試料、前記培養液、又は、前記試薬の廃液を回収する廃液回収部を、前記ケースに接続可能としたことを特徴とする請求項18乃至請求項20の何れかに記載の微生物検出用カセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−238871(P2006−238871A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−204237(P2005−204237)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度、経済産業省 近畿経済産業局、地域新生コンソーシアム研究開発事業(臨床現場でヒト細胞の培養が可能なオンサイト自動細胞培養装置)委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】