説明

微粒子分別装置及び微粒子分別方法

【課題】基板に内蔵される微粒子含溶液による汚染を防止するとともに、配置する光学系部材を減らして小型化可能な微粒子分別装置を提供する。
【解決手段】基板110、基板固定部120、光経路形成部130、光コネクタ134、及び第1〜3光ファイバ135a、135b、135cが、閉鎖空間を形成するクリーンベンチ101内に収納されている。計測分別制御部140はクリーンベンチ101の外に配置され、接続用光ファイバ141を介して第1〜3光ファイバ135a、135b、135cに接続されている。このような構成とすることで、微粒子含溶液11に含有されている微粒子の測定及び分別を、クリーンベンチ101の外から制御して行うことができ、分別作業中微粒子で周囲の環境等が汚染されるおそれはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液に含有される微粒子を計測して分別する微粒子分別装置及び微粒子分別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、計測の対象となる微粒子を所定の液体に溶融させた溶液をごく細い流路に流し、これに光を照射して微粒子の形状等の特性情報を取得し、これをもとに微粒子を同定して分別する微粒子計測方法および微粒子分別装置が注目を浴びている。
【0003】
従来の微粒子分別装置の一例を図6に示す。同図に示す微粒子分別装置900では、ガラス基板901に形成された流路902に計測対象の微粒子を含有する微粒子含溶液が流されており、これにレーザ光源903からレンズ904aを介してレーザ光が照射される。微粒子で散乱された光は、照射光軸上のレーザ光源903とレンズ904aに対して反対側に配置された第1の受光部905と、ガラス基板901から照射光軸に略垂直な方向に配置された第2の受光部906とで受光される。受光部905は、照射光を除く前方散乱光を、レンズ904bを介して受光しており、受光部906は、側方散乱光や蛍光を、レンズ904cを介して受光している。
【0004】
従来は、受光部905、906で受光された前方散乱光、側方散乱光、蛍光等の情報を分析して微粒子の同定が行われ、その結果に基づいて液滴荷電やメカニカルな方法で微粒子の分別が行われていた。
【0005】
また、特許文献1に記載の図7に示す微粒子分別装置910では、計測した微粒子を分別する別の方法として、基板911の流路912を流れるサンプルの溶液に刺激を加える刺激付与手段が設けられている。刺激付与手段として、ここでは溶液を局所的に加熱するマイクロヒータ913や半導体レーザ等が用いられている。溶液が局所的に加熱されると、加熱された部分がゾル状態からゲル状態に転移するのを利用し、これにより溶液の流れを制御して微粒子を分別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−152218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の微粒子計測方法および微粒子分別装置では以下のような問題があった。計測対象の微粒子含溶液を流す基板は、装置の一部として微粒子分別装置に固定されている。そのため、別の微粒子含溶液を計測、分別するためには基板の流路等を洗浄する必要があるが、洗浄が十分でない場合には微粒子含溶液が別の微粒子含溶液で汚染されてしまうといった問題があった。特に、溶液に含まれる微粒子が感染症の細胞の場合には、洗浄時に周囲の環境を汚染したり、別の微粒子含溶液を汚染して2次感染したりするおそれもあった。
【0008】
また、従来の微粒子計測方法および微粒子分別装置では、微粒子含溶液を複数の計測点で測定しようとした場合、それぞれの計測点に向けてレンズと受光部をセットにして配置する必要がある。同様に、複数の照射光を微粒子含溶液に照射するためには、それぞれの光源とレンズをセットにして配置する必要がある。微粒子含溶液の流れを制御するために刺激付与手段としてレーザ光を用いる場合にも、レーザ光を照射するためのレンズ等の光学系部材を別に設ける必要がある。このように、従来の微粒子分別装置は、複数のレンズ等の光学系部材を基板の周りに配置する必要があるため、装置が大型化してしまうといった問題もあった。構成部品が多くなって装置が大型になると、クリーン度の高い環境で使用するのが困難になる。
【0009】
そこで、本発明は上記のような従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、基板に内蔵される微粒子含溶液による汚染を防止するとともに、配置する光学系部材を減らして小型化可能な微粒子分別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明にかかる微粒子分別装置の第1の態様は、微粒子含溶液に含有されている微粒子を計測して分別する微粒子分別装置であって、前記微粒子含溶液をシース溶液でシースした被測定溶液を流すための流路を有する基板と、前記基板を固定する基板固定部と、前記流路の異なる2以上の位置に機能点を有するように2以上の光経路を形成する光経路形成部と、前記被測定溶液に作用する機能光を前記機能点のいずれかに出射する光源と、前記機能光の照射により計測点から出射された計測光を前記光経路のいずれかから所定の受光部に導光して測定を行う測定手段と、前記微粒子含溶液または前記シース溶液の少なくとも1つに添加された刺激感応物質に所定の刺激を加える刺激付与手段とを有し、前記計測光を前記測定手段で測定した結果に基づき前記刺激付与手段を用いて前記微粒子含溶液または前記シース溶液に前記刺激を加えることにより前記被測定溶液の流れを制御する計測分別制御部と、を備え、前記基板及び前記光経路形成部が前記計測分別制御部と分離して配置されていることを特徴とする。
【0011】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記光経路形成部と前記計測分別制御部とが接続用光ファイバで接続され、該接続用光ファイバを介して前記機能光および前記計測光が伝送されることを特徴とする。
【0012】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記光経路形成部は、前記2以上の光経路を形成するように1以上のレンズを配置して構成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記光経路形成部は、1つのレンズ系で前記2以上の光経路を形成するように配置して構成されていることを特徴とする。
【0014】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記光経路形成部は、前記2以上の光経路を形成するようにレンズを介さずに1以上の光ファイバを配置して構成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記刺激付与手段は、前記機能光として前記光源から赤外光を出射させ、該赤外光を前記光経路形成部で形成される光経路を経由して前記被測定溶液に照射させることを特徴とする。
【0016】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記基板は、前記基板固定部に着脱可能に構成されていることを特徴とする。
【0017】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記基板および前記基板固定部は、相互に接合することで高精度に位置決めできる位置決め手段を有していることを特徴とする。
【0018】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記光経路の前記基板とは反対側の光入出射点は、前記被測定溶液に前記機能光を照射する位置とレンズを介した反対側の共役な位置に配置されていることを特徴とする。
【0019】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記光入出射点と前記光源および前記受光部との間を、前記接続用光ファイバを用いて導光させていることを特徴とする。
【0020】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記接続用光ファイバは、2本以上を平行に配列して構成されていることを特徴とする。
【0021】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記機能光の照射により前記計測点から出射された前記計測光は、前記機能光が前記光源から前記光経路まで伝送されたものと同一の前記接続用光ファイバで導光されることを特徴とする。
【0022】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記接続用光ファイバは、光コネクタを介して前記光経路形成部に接続されていることを特徴とする。
【0023】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記基板は、前記流路の上流側に前記微粒子含溶液および前記シース溶液をそれぞれ注入する微粒子含溶液注入部およびシース溶液注入部を有し、前記流路の下流側には前記微粒子を回収する微粒子回収部と前記回収された微粒子以外の前記被測定溶液を排出する被測定溶液排出部を有していることを特徴とする。
【0024】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記微粒子含溶液注入部および前記被測定溶液排出部にそれぞれ所定の圧力を加える空圧制御部をさらに備え、前記微粒子含溶液の流速または前記微粒子の回収を、前記空圧制御部を用いて制御していることを特徴とする。
【0025】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記空圧制御部は、中空管を介して前記基板に接続されていることを特徴とする。
【0026】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記測定手段は、前記計測光として前記機能光が前記微粒子で散乱された散乱光または前記機能光により励起されて放出される蛍光を測定することを特徴とする。
【0027】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記散乱光は、前記機能光と同軸方向に散乱される後方散乱光であることを特徴とする。
【0028】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記散乱光は、前記機能光を前記流路の側方より照射して前記流路下方に散乱される側方散乱光であることを特徴とする。
【0029】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記2以上の計測点が前記被測定溶液の流れ方向に設けられ、前記測定手段は前記各計測点から入射した2以上の計測光を用いて前記被測定溶液の流速を求めることを特徴とする。
【0030】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記計測分別制御部は、前記微粒子含溶液に含有されている前記微粒子の流速を個別に求め、該流速からタイミングを都度算出して前記微粒子の分別を行うことを特徴とする。
【0031】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記刺激付与手段は、前記光源から所定の機能光を出射させ、前記刺激感応物質を添加した前記微粒子含溶液または前記シース溶液に対し前記機能光を照射して加熱することにより、流速抵抗を変化させて前記流路から分岐された別の流路に前記微粒子を選択的に流すことを特徴とする。
【0032】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記刺激付与手段は、前記微粒子含溶液の所定の加熱点を加熱して粘度を高くすることで、前記微粒子含溶液を前記別の流路に選択的に流して前記微粒子を分別することを特徴とする。
【0033】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記加熱点は、前記2以上の計測点を結ぶ直線上から離れた位置に設けられていることを特徴とする。
【0034】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記加熱点は、前記2以上の計測点を結ぶ直線上に設けられていることを特徴とする。
【0035】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記加熱点は、前記計測点より下流側に配置されていることを特徴とする。
【0036】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記微粒子は、細胞であることを特徴とする。
【0037】
この発明にかかる微粒子分別装置の他の態様は、前記基板は、シリコーン樹脂に形成された前記流路を、前記機能光を透過可能なガラスで覆って形成されていることを特徴とする。
【0038】
この発明にかかる微粒子分別方法の第1の態様は、微粒子含溶液に含有されている微粒子を計測して分別する微粒子分別方法であって、前記微粒子含溶液をシース溶液でシースした被測定溶液を流すための流路を有する基板と、前記流路の異なる2以上の位置に機能点を有するように2以上の光経路を形成する光経路形成部と、をクリーンベンチ内に収納し、前記被測定溶液に作用する機能光を前記機能点のいずれかに出射する光源と、前記機能光の照射により計測点から出射された計測光を前記光経路のいずれかから所定の受光部に導光して測定を行う測定手段と、前記微粒子含溶液または前記シース溶液の少なくとも1つに添加された刺激感応物質に所定の刺激を加える刺激付与手段と、を有して前記計測光を前記測定手段で測定した結果に基づき前記刺激付与手段を用いて前記微粒子含溶液または前記シース溶液に前記刺激を加えることにより前記被測定溶液の流れを制御する計測分別制御部と、を前記クリーンベンチの外部に配置して前記微粒子を計測して分別することを特徴とする。
【0039】
この発明にかかる微粒子分別方法の第2の態様は、前記微粒子含溶液をシース溶液でシースした被測定溶液を流すための流路を有する基板と、前記基板を固定する基板固定部と、前記流路の異なる2以上の位置に機能点を有するように2以上の光経路を形成する光経路形成部と、前記被測定溶液に作用する機能光を前記機能点のいずれかに出射する光源と、前記機能光の照射により計測点から出射された計測光を前記光経路のいずれかから所定の受光部に導光して測定を行う測定手段と、前記微粒子含溶液または前記シース溶液の少なくとも1つに添加された刺激感応物質に所定の刺激を加える刺激付与手段とを有し、前記計測光を前記測定手段で測定した結果に基づき前記刺激付与手段を用いて前記微粒子含溶液または前記シース溶液に前記刺激を加えることにより前記被測定溶液の流れを制御する計測分別制御部と、を備え、前記基板及び前記光経路形成部が前記計測分別制御部と分離して配置されていることを特徴とする微粒子分別装置を用いて微粒子を分別する方法であって、1回の分別するが終了するたびに、前記基板をディスポーザブルとして使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、測定対象の微粒子を含有する微粒子含溶液を内蔵する基板と、基板の機能点に高精度に位置合わせされた光経路を形成する光経路形成部とが、計測分別制御部から分離された構成とすることで、小型で汚染のない微粒子分別装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1の実施形態にかかる微粒子分別装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施形態の流路を詳細に示す図である。
【図3】第2の実施形態にかかる微粒子分別装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図4】従来の微粒子分別装置を示す概略構成図である。
【図5】従来の別の微粒子分別装置を示す概略構成図である。
【図6】第3の実施形態にかかる微粒子分別装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図7】第4の実施形態にかかる微粒子分別装置の一実施例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図面を参照して本発明の好ましい実施の形態にかかる微粒子分別装置について説明する。本発明の第1の実施の形態に係る微粒子分別装置を、図1および図2を用いて説明する。図1は、本実施形態の微粒子分別装置を示す概略構成図である。本実施形態の微粒子分別装置100は、基板110、基板110を固定するための基板固定部120、光経路形成部130、計測分別制御部140、および空圧制御部150を備えている。
【0043】
基板110は、微粒子含溶液11とシース溶液12とを内蔵しており、微粒子含溶液11をシース溶液12でシースした被測定溶液13を流路111に所定の流速で流す構造を有している。基板110は、基板固定部120に高精度に位置決めして固定されている。また、被測定溶液13の流速を制御するために、空圧制御部150が中空管151を介して基板110に接続されている。基板110は、シリコーン樹脂(例えば、PDMS)とガラスを用いて形成することができ、シリコーン樹脂117に流路111を形成し、流路111が形成された面のシリコーン樹脂117をカバーガラス116で覆うことで形成できる。シリコーン樹脂117を覆うカバーガラス116には、計測分別制御部140から出射される機能光が透過できるものを用いる。
【0044】
流路111の詳細を図2に示す。流路11には、機能点として異なる位置に2つの計測点111a、111bと1つの加熱点111cが設定されている。流路111の下流側はシース溶液排出部115に接続されているが、加熱点111cの上流側には流路111から分岐された別の流路が設けられており、別の流路は微粒子回収部114に接続されている。本実施例では、流路111に2つの計測点が設定されているが、これに限らず2つ以上の計測点を設けるのがよい。
【0045】
光経路形成部130は、流路111の異なる位置に設定された2つの計測点111a、111bと1つの加熱点111cに焦点を形成するように、レンズ131を用いて3つの光経路132a、132b、132cを形成している。本実施例では、計測点を2つとしているが、これに限らずさらに多くの計測点が設けられている場合でも、光経路形成部130でそれぞれの計測点に対応する光経路を形成することができる。また、レンズ131に代えて、光ファイバを用いて光経路132a、132b、132cを形成することも可能である。
【0046】
光経路形成部130の基板110と反対側の面には、光入出力点133a、133b、133cが設けられており、各光入出力点に入射された光がそれぞれ光経路132a、132b、132cを経由して計測点111a、111bおよび加熱点111cで焦点を形成するように形成されている。また、計測点111a、111bから出射された光は、それぞれ光経路132a、132bを経由して光入出力点133a、133bで焦点を形成する。
【0047】
光入出力点133a、133b、133cには、光コネクタ134を用いてそれぞれ第1〜3光ファイバ135a、135b、135cが接続されている。さらに、第1〜3光ファイバ135a、135b、135cに接続された接続用光ファイバ141を介して計測分別制御部140が接続されている。接続用光ファイバ141は、第1〜3光ファイバ135a、135b、135cを束ねて形成することができる。
【0048】
上記のように、本実施形態の光経路形成部130は、基板110と反対側の面に複数の光ファイバを配置して複数の光入出力点を形成することで、内部のレンズ131を共用して複数の光経路を形成する構成となっている。このような構成とすることにより、複数の計測点で計測する場合でも、各計測点に対応して別々に光経路形成部(レンズ、光ファイバ等)を配置する必要がなくなり、微粒子分別装置100を小型化することができる。
【0049】
計測分別制御部140は、光源142、受光部143、測定手段144、および刺激付与手段145を有している。光源142から出射された照射光が接続用光ファイバ141および光経路形成部130を介して基板110内の微粒子含溶液に照射される一方、微粒子からの散乱光等(計測光)が逆の経路を辿って受光部143に入射され、受光部143からの信号をもとに測定手段144で微粒子の分析が行われる。さらに、測定手段144による分析結果に基づき、刺激付与手段145が微粒子含溶液に所定の刺激を与えて微粒子の分別を行う。
【0050】
空圧制御部150は、中空管151を介して基板110に接続されている。基板内110の流路111を流れる被測定溶液の流速等を制御するために、中空管151を流路111の上流側と下流側に接続し、それぞれに加える圧力を調整している。
【0051】
本実施形態では、基板110、基板固定部120、光経路形成部130、光コネクタ134、及び第1〜3光ファイバ135a、135b、135cが、閉鎖空間を形成するクリーンベンチ101内に収納されている。計測分別制御部140および空圧制御部150はクリーンベンチ101の外に配置され、計測分別制御部140は接続用光ファイバ141を介して第1〜3光ファイバ135a、135b、135cに接続され、空圧制御部150は中空管151を介して基板110に接続される。また、本実施形態の基板110は、基板固定部120に着脱可能に形成されており、内蔵する微粒子を外部に漏洩させないディスポーザブルな構造を有している。
【0052】
本実施形態の微粒子分別装置100を上記のような構成とすることで、微粒子含溶液11に含有されている微粒子の測定及び分別を、クリーンベンチ101の外から制御して行うことができ、分別作業中微粒子で周囲の環境等が汚染されるおそれはない。また、計測・分別が終了した基板110を別のものに取り換える場合も、微粒子を密閉した基板110ごと取り換えることが可能なことから、基板110の取り換え時も微粒子に汚染されるおそれはない。本実施形態によれば、微粒子による汚染を防止したコンタミフリーな微粒子分別装置100を提供することができる。
【0053】
図1、2を用いて、基板110の構造をさらに詳細に説明する。流路111の上流側には微粒子含溶液注入部112およびシース溶液注入部113が設けられ、流路111の下流側には微粒子回収部114と被測定溶液排出部115が設けられている。微粒子含溶液注入部112とシース溶液注入部113からそれぞれ微粒子含溶液11とシース溶液12を流路111に注入し、微粒子含溶液11をシース溶液12でシールしたシースフロー状態の被測定溶液13を形成して流路111を下流側に流している。
【0054】
流路111はカバーガラス116で覆われており、流路111の所定の位置に計測点111a、111bと加熱点111cが設けられている。計測点111a、111bを通過する被測定溶液13に対し、計測分別制御部140から所定の光経路を経由してきた照射光がカバーガラス116を透過して照射される。また、計測点111a、111bから出射される計測光は、所定の光経路を経由して計測分別制御部140に伝送され、ここで微粒子10の計測結果に基づいて分別の制御が行われる。分別された微粒子は微粒子回収部114に回収され、それ以外の被測定溶液13は被測定溶液排出部115に排出される。
【0055】
本実施形態では、微粒子含溶液11またはシース溶液12として、所定の温度でゾル-ゲル転移を行う溶液を用いている。このような溶液を用いた場合、刺激付与手段145として赤外光を加熱点111cに照射すると、加熱点111cが加熱されてゾル状態からゲル状態に転移する。ゲル状態に転移すると、溶液の粘度が高くなって加熱点111cの流速が低下したり停止したりしてしまう。これに対し、赤外光照射を停止させると、温度が低下して再びゾル状態に戻り、被測定溶液13が加熱点111cをもとの流速で流れるようになる。
【0056】
本実施形態では、上記のような特性を有する溶液を微粒子含溶液11またはシース溶液12に用いることで、刺激付与手段145による赤外光の照射を制御して被測定溶液13の流速を調整し、これにより所定の微粒子のみを微粒子回収部114に回収し、それ以外の被測定溶液13をシース溶液排出部115に排出して分別することが可能となっている。
【0057】
基板110は基板固定部120に着脱可能な構造となっているが、基板110上の計測点111a、111b及び加熱点111cが光経路形成部130に対し高精度に位置決めされて基板固定部120に固定されるようになっている。図1に示す実施例では、位置決め手段として基板固定部120に位置決めピン121が設けられており、基板110には位置決めピン121を挿入するための挿入孔が形成されている。挿入孔を位置決めピン121に挿入することで、基板110が基板固定部120に高精度に位置決めされる。基板固定部120と光経路形成部130との位置関係は固定されており、基板110が基板固定部120に高精度に位置決めされると、光経路形成部130に対しても高精度に位置決めされる。
【0058】
流路111を流れる被測定溶液13の流速および微粒子の回収を制御するために、微粒子含溶液注入部112およびシース溶液注入部113と、被測定溶液排出部115のそれぞれに中空管151の一端が接続され、他端はともに空圧制御部150に接続されている。被測定溶液13の流速は、微粒子含溶液注入部112側に加えられる空気圧と被測定溶液排出部113側に加えられる空気圧との差によって調整される。空圧制御部150は、微粒子含溶液注入部112側および被測定溶液排出部113側に加える空気圧を制御している。空圧制御部150はクリーンベンチ101の外部に設置されており、被測定溶液13の流速を制御している間に微粒子10で汚染されるといったおそれはない。
【0059】
次に、光経路形成部130の構造について、さらに詳細に説明する。光経路形成部130は、内部するレンズ131を用いて光入出力点133a、133b、133cから入射した光がそれぞれ光経路132a、132b、132cを経由して流路111上の計測点111a、111b及び加熱点111cに焦点を形成するように構成されている。光入出力点133a、133b、133cと計測点111a、111b及び加熱点111cとが、共用のレンズ131を介して相互に共役な位置関係となるように構成されている。
【0060】
光経路形成部130と計測分別制御部140との間は、光ファイバを用いて接続している。光経路形成部130の光入出力点133a、133b、133cには、光コネクタ134を用いてそれぞれに第1〜第3光ファイバ135a、135b、135cが平行に配列されている。それぞれの光ファイバ135a、135b、135cは、光源142から出射される照射光と計測点111a、111bから出射される計測光の両方を伝送させる。光ファイバ135a、135b、135cのそれぞれが、接続用光ファイバ141に接続されて計測分別制御部140との間で光伝送を行うように構成されている。
【0061】
次に、計測分別制御部140の詳細な構造を以下に説明する。計測分別制御部140は、所定の照射光を出射する光源142と、計測点111a、111bから出射された計測光を受光する受光部143と、受光部143からの信号をもとに所定の測定を行う測定手段144と、被測定溶液13に所定の刺激を付与する刺激付与手段145とを有している。測定手段144は、所定のタイミングで光源142から所定の照射光を出力させて計測点111aまたは111bに位置する被測定溶液13を照射するように制御する。これにより、計測点111aまたは111bの被測定溶液13から計測光が出射され、これが受光部142で受光されて所定の信号処理が行われる。
【0062】
計測点111a、111bに位置する被測定溶液13から出射される計測光として、例えば照射光が微粒子含溶液11に含まれる微粒子で散乱された後方散乱光がある。また、照射光により励起されて発光する所定の蛍光を計測光とすることができる。波長の異なる蛍光を計測光とする場合には、長波長側の蛍光を先に計測するのが好ましい。これにより、微粒子の蛍光劣化を防止することができる。
【0063】
図1に示す実施例では、計測点111a、111bで後方散乱光を計測しており、これにより微粒子10の寸法、形状、内部構造等の特性情報を得ることができる。また、計測点111bでは蛍光の計測も行っており、後方散乱光と蛍光の情報を合わせて微粒子の識別を行うことができる。測定手段144は、識別された微粒子が目的のものか否かによって微粒子を分別するように刺激付与手段145を制御している。
【0064】
本実施形態では、被測定溶液13の流れ方向に2つ以上の計測点を設けており、それぞれから出射される計測光を用いて被測定溶液の流速を測定できるようにしている。図1では2つの計測点111a、111bを設けており、それぞれから出射された後方散乱光をもとに、測定手段144で被測定溶液13の流速を算出している。測定手段144で算出された流速は、空圧制御部150で被測定溶液13の流速を制御するのに用いることができる。
【0065】
測定手段144で算出された被測定溶液13の流速は、微粒子を分別するタイミングを決定するのに用いることもできる。すなわち、測定手段144において、被測定溶液13の流速から微粒子10を分別するタイミングを決定し、これに基づいて刺激付与手段145あるいは空圧制御部150を制御して微粒子10の分別を行わせることができる。
【0066】
刺激付与手段145は、測定手段144で計測光が処理された結果に基づき、被測定溶液13の流速抵抗または流れ方向を制御するものである。本実施例では、測定手段144で所定の微粒子10が検出されると、刺激付与手段145は光源142から赤外光を出射させて加熱部111cを照射させる。これにより被測定溶液13が加熱されてシース溶液排出部115側への流れが減速または停止し、所定の微粒子10が微粒子回収部側114側に流されて分別される。
【0067】
微粒子含溶液11として、赤外光で加熱されると粘度が高くなる溶液を用いることができ、粘度の変化により溶液の流れ方向や流速抵抗を変化させることができる。あるいは、シース溶液12にこのような溶液を用いることもできる。このような溶液として、所定の温度でゾルーゲル転移を行う溶液を用いることができる。
【0068】
加熱点111cの設定位置を、計測点111aと111bとを結ぶ直線上とすることができる。この場合、加熱点111cに所定の照射光が照射されて加熱されると、被測定溶液13の粘度が高められて流速が低下または停止する。これにより目的の微粒子を含有する液滴を分離することができ、所定の分別方法で分別回収することができる。
【0069】
あるいは、加熱点111cの設定位置を、計測点111a、111bを結ぶ線上から離れた位置に設けることができる。この場合には、被測定溶液13の流れ方向を2次元的に変化させることが可能となる。本実施例では、加熱点111cの手前で流路111を分岐する別の流路を設けており、加熱点111cが加熱されて粘度が高められると、被測定溶液13が別の流路の方に流れて微粒子回収部114に回収されるように構成されている。
【0070】
刺激付与手段145による被測定溶液13の制御は、測定手段144による測定結果に基づいて行うように構成されている。すなわち、受光部143で受光された計測光が測定手段144で処理され、そこで判定された結果に基づいて刺激付与手段145が被測定溶液13の流れを制御している。このように、測定結果に基づいて被測定溶液13の流れを制御するために、本実施形態では加熱点111cの配置を計測点111a、111bより下流側に設定している。
【0071】
上記説明のように、本実施形態の微粒子分別装置100は、基板110及び光経路形成部130等が閉鎖空間のクリーンベンチ101内に収納されており、その外部に設けられた計測分別制御部140および空圧制御部150を用いて基板110内の微粒子含溶液11を計測制御するように構成されている。また、基板110を基板固定部120に着脱可能に構成し、内蔵する微粒子10の分別を基板110内で行うことで外部に漏洩させないディスポーザブルな構造としている。本実施形態の微粒子分別装置100をこのような構成とすることにより、微粒子10による汚染を防止したコンタミフリーな微粒子分別装置100を提供することができる。
【0072】
微粒子10を例えば所定の細胞とすることができる。本実施形態では、微粒子含溶液11として細胞を含有する溶液を基板110に内蔵させ、これをクリーンベンチ101内に固定して測定・分別を行うことが可能なことから、細胞がクリーンベンチ101の外部に漏出するおそれはなく、細胞による感染のおそれはなくなる。また、測定・分別を終了した後は、基板110ごと処分できることから、やはり細胞による感染のおそれはない。
【0073】
本発明の第2の実施の形態に係る微粒子分別装置を、図3を用いて説明する。本実施形態の微粒子分別装置200では、第1の実施形態の光経路形成部130に加えて、第2光経路形成部230を備えている。光経路形成部130は、第1の実施形態と同様に流路111の流れ方向に対し垂直な方向に配置され、計測光を入射して計測分別制御部240に伝送するように構成されている。
【0074】
本実施形態で追加された第2光経路形成部230は、流路111の流れ方向の一方(図3では上流側)に配置されている。計測分別制御部240内の光源142から出射される照射光は、接続用光ファイバ241および第4光ファイバ235を介して第2光経路形成部230に入射され、ここでレンズ231を用いて被測定溶液13の所定の位置に焦点を形成するように光経路232が形成される。
【0075】
本実施形態の微粒子分別装置200では、第1の実施形態の微粒子分別装置100で測定可能な後方散乱光及び蛍光に加えて、側方散乱光を測定することが可能となっている。一例として、後方散乱光用照射光が第1光経路形成部130側から被測定溶液13に入射されると、後方散乱光が所定の計測点から光経路形成部130に入射される。また、側方散乱光用照射光が第2光経路形成部230側から被測定溶液13に入射されると、側方散乱光が所定の計測点から光経路形成部130に入射される。さらに、蛍光用照射光が第1光経路形成部130側から被測定溶液13に入射されると、蛍光が所定の計測点から光経路形成部130に入射される。本実施形態では、さらに側方散乱光の測定が可能となっており、これにより高感度な測定を実現することができる。
【0076】
被測定溶液13の流れを制御するために計測制御装置240から出射される加熱用赤外光は、第1の実施形態と同様に、光経路形成部130から被測定溶液13の所定の加熱点に照射される。本実施形態では、後方散乱光および蛍光に加えて側方散乱光も測定することで、より高精度に微粒子の同定を行うことが可能となり、同定された所定の微粒子を刺激付与手段145を用いて分別することができる。
【0077】
本発明の第3の実施の形態に係る微粒子分別装置を、図4を用いて説明する。本実施形態の微粒子分別装置300は、第1の実施形態の光経路形成部130に代えて、レンズを用いないで光ファイバ135(135a、135b、135c)のみで光経路を形成した光経路形成部330を備えている。
【0078】
本実施形態の微粒子分別装置300では、被測定溶液13への照射または計測光の入射を行うための光経路を、レンズを用いないで光ファイバのみで形成することで、クリーンベンチ内に収納する装置をさらに小型化することが可能となっている。
【0079】
本発明の第4の実施の形態に係る微粒子分別装置を、図5を用いて説明する。本実施形態の微粒子分別装置400は、第2の実施形態の光経路形成部130に代えて、第3の実施形態と同様に、レンズを用いないで光ファイバ135(135a、135b、135c)のみで光経路を形成した光経路形成部330を備えている。また、第2の実施形態の第2光経路形成部230に代えて、レンズを用いないで第4光ファイバ235のみで光経路を形成している。
【0080】
本実施形態の微粒子分別装置400でも、被測定溶液13への照射または計測光の入射を行うための光経路を、レンズを用いないで光ファイバのみで形成することで、クリーンベンチ内に収納する装置をさらに小型化することが可能となっている。
【0081】
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る微粒子分別装置及び微粒子分別方法の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における微粒子分別装置等の細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0082】
11 微粒子含溶液
12 シース溶液
13 被測定溶液
100、200、900、910 微粒子分別装置
101 クリーンベンチ
110、901、911 基板
111、902、912 流路
111a、111b 計測点
111c 加熱点
112 微粒子含溶液注入部
113 シース溶液注入部
114 微粒子回収部
115 シース溶液排出部
116 カバーガラス
117 シリコーン樹脂
120 基板固定部
121 位置決めピン
130、230 光経路形成部
131、231 レンズ
132a、132b、132c、232 光経路
133a、133b、133c 光入出射点
134 光コネクタ
135a、135b、135c、235 第1〜4光ファイバ
140,240 計測分別制御部
141、241 接続用光ファイバ
142 光源
143 受光部
144 測定手段
145 刺激付与手段
150 空圧制御部
151 中空管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子含溶液に含有されている微粒子を計測して分別する微粒子分別装置であって、
前記微粒子含溶液をシース溶液でシースした被測定溶液を流すための流路を有する基板と、
前記基板を固定する基板固定部と、
前記流路の異なる2以上の位置に機能点を有するように2以上の光経路を形成する光経路形成部と、
前記被測定溶液に作用する機能光を前記機能点のいずれかに出射する光源と、
前記機能光の照射により計測点から出射された計測光を前記光経路のいずれかから所定の受光部に導光して測定を行う測定手段と、
前記微粒子含溶液または前記シース溶液の少なくとも1つに添加された刺激感応物質に所定の刺激を加える刺激付与手段とを有し、
前記計測光を前記測定手段で測定した結果に基づき前記刺激付与手段を用いて前記微粒子含溶液または前記シース溶液に前記刺激を加えることにより前記被測定溶液の流れを制御する計測分別制御部と、を備え、
前記基板及び前記光経路形成部が前記計測分別制御部と分離して配置されている
ことを特徴とする微粒子分別装置。
【請求項2】
前記光経路形成部と前記計測分別制御部とが接続用光ファイバで接続され、該接続用光ファイバを介して前記機能光および前記計測光が伝送される
ことを特徴とする請求項1に記載の微粒子分別装置。
【請求項3】
前記光経路形成部は、前記2以上の光経路を形成するように1以上のレンズを配置して構成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の微粒子分別装置。
【請求項4】
前記光経路形成部は、1つのレンズ系で前記2以上の光経路を形成するように配置して構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の微粒子分別装置。
【請求項5】
前記光経路形成部は、前記2以上の光経路を形成するようにレンズを介さずに1以上の光ファイバを配置して構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の微粒子分別装置。
【請求項6】
前記刺激付与手段は、前記機能光として前記光源から赤外光を出射させ、該赤外光を前記光経路形成部で形成される光経路を経由して前記被測定溶液に照射させる
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の微粒子分別装置。
【請求項7】
前記基板は、前記基板固定部に着脱可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1乃6のいずれか1項に記載の微粒子分別装置。
【請求項8】
前記基板および前記基板固定部は、相互に接合することで高精度に位置決めできる位置決め手段を有している
ことを特徴とする請求項1または6に記載の微粒子分別装置。
【請求項9】
前記光経路の前記基板とは反対側の光入出射点は、前記被測定溶液に前記機能光を照射する位置とレンズを介した反対側の共役な位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の微粒子分別装置。
【請求項10】
前記光入出射点と前記光源および前記受光部との間を、前記接続用光ファイバを用いて導光させている
ことを特徴とする請求項9に記載の微粒子分別装置。
【請求項11】
前記接続用光ファイバは、2本以上を平行に配列して構成されている
ことを特徴とする請求項10に記載の微粒子分別装置。
【請求項12】
前記機能光の照射により前記計測点から出射された前記計測光は、前記機能光が前記光源から前記光経路まで伝送されたものと同一の前記接続用光ファイバで導光される
ことを特徴とする請求項10に記載の微粒子分別装置。
【請求項13】
前記接続用光ファイバは、光コネクタを介して前記光経路形成部に接続されている
ことを特徴とする請求項10に記載の微粒子分別装置。
【請求項14】
前記基板は、前記流路の上流側に前記微粒子含溶液および前記シース溶液をそれぞれ注入する微粒子含溶液注入部およびシース溶液注入部を有し、前記流路の下流側には前記微粒子を回収する微粒子回収部と前記回収された微粒子以外の前記被測定溶液を排出する被測定溶液排出部を有している
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の微粒子分別装置。
【請求項15】
前記微粒子含溶液注入部および前記被測定溶液排出部にそれぞれ所定の圧力を加える空圧制御部をさらに備え、
前記微粒子含溶液の流速または前記微粒子の回収を、前記空圧制御部を用いて制御している
ことを特徴とする請求項14に記載の微粒子分別装置。
【請求項16】
前記空圧制御部は、中空管を介して前記基板に接続されている
ことを特徴とする請求項15に記載の微粒子分別装置。
【請求項17】
前記測定手段は、前記計測光として前記機能光が前記微粒子で散乱された散乱光または前記機能光により励起されて放出される蛍光を測定する
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の微粒子分別装置。
【請求項18】
前記散乱光は、前記機能光と同軸方向に散乱される後方散乱光である
ことを特徴とする請求項17に記載の微粒子分別装置。
【請求項19】
前記散乱光は、前記機能光を前記流路の側方より照射して前記流路下方に散乱される側方散乱光である
ことを特徴とする請求項17に記載の微粒子分別装置。
【請求項20】
前記2以上の計測点が前記被測定溶液の流れ方向に設けられ、前記測定手段は前記各計測点から入射した2以上の計測光を用いて前記被測定溶液の流速を求める
ことを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の微粒子分別装置。
【請求項21】
前記計測分別制御部は、前記微粒子含溶液に含有されている前記微粒子の流速を個別に求め、該流速からタイミングを都度算出して前記微粒子の分別を行う
ことを特徴とする請求項20に記載の微粒子分別装置。
【請求項22】
前記刺激付与手段は、前記光源から所定の機能光を出射させ、前記刺激感応物質を添加した前記微粒子含溶液または前記シース溶液に対し前記機能光を照射して加熱することにより、流速抵抗を変化させて前記流路から分岐された別の流路に前記微粒子を選択的に流す
ことを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記載の微粒子分別装置。
【請求項23】
前記刺激付与手段は、前記微粒子含溶液の所定の加熱点を加熱して粘度を高くすることで、前記微粒子含溶液を前記別の流路に選択的に流して前記微粒子を分別する
ことを特徴とする請求項22に記載の微粒子分別装置。
【請求項24】
前記加熱点は、前記2以上の計測点を結ぶ直線上から離れた位置に設けられている
ことを特徴とする請求項22または23に記載の微粒子分別装置。
【請求項25】
前記加熱点は、前記2以上の計測点を結ぶ直線上に設けられている
ことを特徴とする請求項22または23に記載の微粒子分別装置。
【請求項26】
前記加熱点は、前記計測点より下流側に配置されている
ことを特徴とする請求項22乃至24のいずれか1項に記載の微粒子分別装置。
【請求項27】
前記微粒子は、細胞である
ことを特徴とする請求項1至26のいずれか1項に記載の微粒子分別装置。
【請求項28】
前記基板は、シリコーン樹脂に形成された前記流路を、前記機能光を透過可能なガラスで覆って形成されている
ことを特徴とする請求項1至27のいずれか1項に記載の微粒子分別装置。
【請求項29】
微粒子含溶液に含有されている微粒子を計測して分別する微粒子分別方法であって、
前記微粒子含溶液をシース溶液でシースした被測定溶液を流すための流路を有する基板と、前記流路の異なる2以上の位置に機能点を有するように2以上の光経路を形成する光経路形成部と、をクリーンベンチ内に収納し、
前記被測定溶液に作用する機能光を前記機能点のいずれかに出射する光源と、
前記機能光の照射により計測点から出射された計測光を前記光経路のいずれかから所定の受光部に導光して測定を行う測定手段と、前記微粒子含溶液または前記シース溶液の少なくとも1つに添加された刺激感応物質に所定の刺激を加える刺激付与手段と、を有して 前記計測光を前記測定手段で測定した結果に基づき前記刺激付与手段を用いて前記微粒子含溶液または前記シース溶液に前記刺激を加えることにより前記被測定溶液の流れを制御する計測分別制御部と、
を前記クリーンベンチの外部に配置して前記微粒子を計測して分別する
ことを特徴とする微粒子分別方法。
【請求項30】
前記微粒子含溶液をシース溶液でシースした被測定溶液を流すための流路を有する基板と、
前記基板を固定する基板固定部と、
前記流路の異なる2以上の位置に機能点を有するように2以上の光経路を形成する光経路形成部と、
前記被測定溶液に作用する機能光を前記機能点のいずれかに出射する光源と、
前記機能光の照射により計測点から出射された計測光を前記光経路のいずれかから所定の受光部に導光して測定を行う測定手段と、
前記微粒子含溶液または前記シース溶液の少なくとも1つに添加された刺激感応物質に所定の刺激を加える刺激付与手段とを有し、
前記計測光を前記測定手段で測定した結果に基づき前記刺激付与手段を用いて前記微粒子含溶液または前記シース溶液に前記刺激を加えることにより前記被測定溶液の流れを制御する計測分別制御部と、を備え、
前記基板及び前記光経路形成部が前記計測分別制御部と分離して配置されている
ことを特徴とする微粒子分別装置を用いて微粒子を分別する方法であって、
1回の分別するが終了するたびに、前記基板をディスポーザブルとして使用することを特徴とする微粒子分別方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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