微細気泡生成装置及びその方法
【課題】
微細気泡の生成装置を提供する。
【解決手段】
ポンプ1により気体が加圧溶解された流体が、多孔板ユニット4に流入し、多孔板通過
時に減圧されて溶存していた気体が析出し、微細気泡を形成する。制御装置3は、インバ
ータ2を介してポンプ1の回転数を変え、微細気泡含有水11の排出流量を制御する。同
時に、制御装置3は、駆動装置7を介して狭隘流路の孔数を変え、加圧圧力を微細気泡生
成に必要な圧力の下限値以上、かつ所定の上限値以下に維持する。
微細気泡の生成装置を提供する。
【解決手段】
ポンプ1により気体が加圧溶解された流体が、多孔板ユニット4に流入し、多孔板通過
時に減圧されて溶存していた気体が析出し、微細気泡を形成する。制御装置3は、インバ
ータ2を介してポンプ1の回転数を変え、微細気泡含有水11の排出流量を制御する。同
時に、制御装置3は、駆動装置7を介して狭隘流路の孔数を変え、加圧圧力を微細気泡生
成に必要な圧力の下限値以上、かつ所定の上限値以下に維持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡の径と発生量を安定化させた微細気泡生成装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
浄化,殺菌,消毒における微細気泡の利用と効果を記載したものに〔非特許文献1〕がある。〔非特許文献1〕には、微細気泡は、マイクロバブルと呼ばれる直径が50マイクロメータ以下の気泡であり、一般に、この領域の気泡は、気泡内の気体が周囲の液相へ溶け込むことによって直径が減少するため、表面張力の効果により内部が高圧,高温になり、消滅時にOHラジカルなどの酸化力の高いフリーラジカルと圧力波を生じることが記載されている。以下、微細気泡は、直径約50マイクロメータ以下の気泡であると定義する。
【0003】
一般に、微細気泡の生成方法としては、気体と液体の気液二相流を、旋回流や旋回流の剪断,攪拌,ベンチュリ管等を利用して微細気泡化する方法が知られている。又、気液二相流を加圧し、その後狭隘流路で急激に減圧して溶存気体を微細気泡として析出させる方法がある。この方法は、他の方法と比較して、生成気泡量あたりの消費電力量が高い傾向にあるが、気泡径が比較的小さい領域に分布する。
【0004】
〔特許文献1〕には、エゼクタによりオゾンガスを吸引して液相に混合し、ポンプで加圧した気液二相流をオリフィスで減圧し、溶解槽に噴射して微細気泡化する加圧式オゾン処理装置が開示され、オリフィスにおける設定圧力は4kg/cm2とし、オリフィス径d/管路径D比=0.4とすることが記載されている。
【0005】
〔特許文献2〕には、〔特許文献1〕と同様の構成で、半月状のスリットを有するオリフィスを用い、ポンプのインバータ制御を行い微細気泡の生成を行うマイクロバブル発生装置が開示されている。インバータ制御でポンプの回転数を変えることにより、気体が混入して吐出量及び吐出圧の変動した場合に、ポンプの吐出圧力を最適圧力に調整することが記載されている。
【0006】
〔特許文献3〕には、加圧した気液二相流の減圧を行う狭隘流路の流路面積を可変にできる装置を用いて、狭隘流路の流路断面積変化させる微細気泡の生成装置が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−225696号公報
【特許文献2】特開2003−117365号公報
【特許文献3】特開平10−99877号公報
【非特許文献1】「水の特性と新しい利用技術」、株式会社エヌ・ティー・エス、142−146頁、2004年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
〔非特許文献1〕に記載の従来の技術は、微細気泡の特性について記述しているが、微細気泡の具体的な発生方法については開示されていない。
【0009】
〔特許文献1〕に記載の従来の技術では、混合水が高圧ポンプによりオリフィス上流側で加圧され、オリフィス通過時に減圧されて微細気泡を生成できるが、流路断面積が固定されたオリフィスであるため、オゾン微細気泡の混入水の流量を変化させる必要のある場合に対応できない問題がある。又、加圧圧力が変化すると微細気泡の径や発生量が変化するため、オゾン溶解効率が変化して水処理性能が不安定になる問題がある。
【0010】
〔特許文献2〕に記載の従来の技術では、インバータでポンプ回転数を制御することによりオリフィスの加圧圧力を制御することができるが、オリフィス流路面積が固定されているため、〔特許文献1〕のものと同様にオゾン微細気泡混入水の流量の変化に対応する場合に、加圧圧力が変化して安定して微細気泡を生成できないという問題がある。
【0011】
〔特許文献3〕に記載の従来の技術では、オリフィスの流路の絞りを可変調整して加圧圧力を制御しており、オゾン微細気泡混入水の流量も制御することができるが、オリフィスの流路の絞りが変わると、オリフィスを通過する際の流速が変わり、微細気泡を生成するためのオリフィス部における減圧量が変化する。加圧減圧のバランスが変わると微細気泡の径や発生量が変化するため、オゾン溶解効率が変化して水処理性能が不安定になる問題がある。すなわち、狭隘流路の流路断面積が小さいと流量が上げられず、気泡の生成量が低下し、逆に流路断面積が大きいと、生成気泡が粗大化する。このように、気泡の発生量が不足するか、気泡径が粗大化するため、安定した気泡生成ができない問題がある。
【0012】
発明者らは、異なる孔数を有する複数の多孔板を製作し、空気と水道水の気液二相流を高圧ポンプで昇圧して多孔板に注入して実験を行った結果、孔数が異なると、多孔板の上流側の圧力が変わるため微細気泡の発生量が変化することを確認している。又、孔数は同じで、孔径を変更した複数の多孔板を製作し、同様の実験を行った結果、孔径が増加すると、生成される気泡の気泡径分布が径の大きい粗大気泡側に移行することを確認している。
【0013】
本発明の第1の目的は、微細気泡を安定して生成でき、経済性に優れた微細気泡生成装置及びその方法を提供することにある。
【0014】
本発明の第2の目的は、ポンプの回転数制御と気液二相流が流通可能な孔数を変更することにより、微細気泡を安定して生成できる微細気泡生成装置及びその方法を提供することにある。
【0015】
本発明の第3の目的は、微細気泡生成装置への流入圧力と流量を制御でき、微細気泡を安定して生成できる微細気泡生成装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための本発明の微細気泡の生成装置は、気液二相流の生成装置に接続されたポンプの回転数を制御するインバータと、ポンプに接続され気液二相流の通過に使用される流路断面積を変化させる駆動装置を含む多孔板ユニットと、インバータ及び駆動装置を制御する制御装置とを備え、制御装置からの指令により、駆動装置を制御して気液二相流の通過に使用される流路断面積を変化させるとともにインバータを制御してポンプの加圧圧力を許容範囲内に維持させて気液二相流の流量を変化させるものである。
【0017】
多孔板を備えた流路を複数並列に接続して各流路に開閉弁を設け、開閉弁の開閉制御を行うことにより気液二相流が通過する流路断面積を変更する。
【0018】
これにより、気液二相流をポンプで加圧し、狭隘流路へ注入することにより減圧して液体に溶解していた気体を析出させて微細気泡を生成する。気液二相流が通過する孔数を変更、すなわち流路断面積を変更することにより微細気泡の生成する条件を維持して流量を制御することができる。このように、気液二相流が通過する孔数の変更と、インバータを制御してポンプの回転数を制御することにより、加圧圧力と流量を制御する。
【0019】
多孔板には、1種類以上の断面積を有する複数の孔を有する多孔板、単位面積あたりの孔数が異なる孔が分布する多孔板を用いてもよい。
【0020】
又、多孔板の逆流洗浄を行い、多孔板の孔の閉塞を回避することができる。又、流路制限板に多孔板と接触する端面構造を設け、流路制限板が多孔板の表面を移動する際に、端面構造が多孔板の表面の付着物を削り取って剥離させるようにしてもよい。
【0021】
又、気体の溶解効率を向上させるため、ポンプと多孔板ユニットとの間の流路に、加圧された気液二相流が滞留する加圧タンクを設ける、或いは気体の利用効率を向上させるため、多孔板から流出した粗大気泡を微細化するために、ポンプと多孔板ユニットとの間の流路に、流路制御板を設けて気液二相流が多孔板ユニットに流入する際に旋回流を与えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、微細気泡生成量を変更する時、ポンプの回転数と流通断面積を変更するので、加圧圧力を微細気泡生成に必要な範囲に維持して過剰な圧力上昇が抑制されるため、微細気泡を効率良く、かつ安定した気泡径分布で生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
微細気泡生成装置で気液二相流の加圧圧力と流量を制御して安定した気泡径と発生量の微細気泡を生成する微細気泡生成装置及びその方法を提供する。
【実施例1】
【0024】
本発明の実施例1について図1から図12を用いて説明する。図1は、本実施例である微細気泡生成装置の構成図である。
【0025】
本実施例の微細気泡生成装置は、図1に示すように、図示しない気液二相流の生成装置に接続された流路9aと、流路9aに接続されたポンプ1と、ポンプ1に接続された図示しないインバータと、ポンプ1に流路9bを介して接続された多孔板ユニット4と、流路9bに設けられた圧力計5と、多孔板ユニット4に設置された駆動装置7と、多孔板ユニット4に接続された流路9cと、流路9cに設けられた流量計6と、制御装置3と、制御装置3に接続された入力装置8で構成される。ここで、気液二相流の液体には水が、気体には、空気,オゾン,窒素,酸素,二酸化炭素のいずれかが用いられる。
【0026】
圧力計5及び流量計6と制御装置3とは信号線で接続され、制御装置3は圧力計5及び流量計6からの信号を受信する。インバータ及び駆動装置7と制御装置3とは信号線で接続され、制御装置3からインバータ及び駆動装置7に制御信号を送信する。
【0027】
多孔板ユニット4は、図2から図6に示すように構成されている。図示しない多孔板ユニット4の壁面に固定され、直径が0.1〜5mmの範囲の同じ径の直管状の孔103が複数個設けられた円形板状の多孔板100と、図3,図4に示すように多孔板100の中心軸回りに回転し、多孔板100に対向するように設けられる円形板状の流路制限板101と、流路制限板101の中心部で固定板104により連結される回転軸102で構成される。回転軸102は、駆動装置7と連結されており、駆動装置7により回転角度を制御される。図4に示すように多孔板100の半分の領域に孔103が形成され、図5,図6に示すように半円形に形成された流路制限板101が回転することにより、気液二相流が通過できる孔数が変化するようになっている。本実施例では、流路制限板101は、半円形に形成された例を示しているが、扇型でもよい。なお、孔103の直径は、0.5〜2mmの範囲とすると微細気泡の生成はより安定化し生成効率はよりよくなる。
【0028】
多孔板100は流路9bに固定される構造でもよく、多孔板100と流路制限板101とは、流路制限板101の回転に支障を来たすような摩擦力が生じない範囲で接触している。又、流路制限板101の回転時には、駆動装置7を制御して軸102を軸方向に移動させ、多孔板100と流路制限板101との間に間隙を形成し、再度多孔板100と流路制限板101とを接触させて通水させるようにしてもよい。
【0029】
駆動装置7を制御して回転軸102を回転すると、孔103の一部が流路制限板101によって遮られるため、例えば図2に示す状態から図6に示す状態に変化して、多孔板100の通水に使用される孔数が変化する。この通水に使用される孔数のことを、便宜上有効孔数という。
【0030】
図2から図6に示す例では、流路制限板101を回転させる例を示したが、流路制限板101を多孔板100に沿って直径方向に平行移動するようにしてもよい。又、多孔板100の直径方向に複数の細長い流路制限板101を設け、流路制限板101を流れ方向に対して平行或いは垂直になるように回転させて有効孔数を変えるようにしてもよい。
【0031】
図2から図6に示す例では、多孔板100に設ける孔103を直管状の孔で説明したが、図7に示す多孔板110のように、孔112の中間部の断面積が大きくなる形状のもの、図8に示す多孔板113のように、孔115の中間部の断面積が小さくなる形状のものなど、多孔板の孔内部の断面積が流路方向で変化する形状のものを用いてもよい。このような孔形状の多孔板を用いた場合は、多孔板の上流と下流の間の他、孔内部でも圧力変化が生じるので、気泡をさらに微細化できる。
【0032】
又、多孔板に複数の孔を設ける代わりに、複数のスリットを設けてもよい。図9に示す例では、多孔板120の右半分側に孔が連なったような形状の直線状のスリット121を放射状に形成している。図10に示す例では、多孔板122の上下方向に直線状のスリット123を複数段形成している。なお、このスリットは孔が連なった形状に形成されており、必ずしも直線でなくてもよい。
【0033】
キーボード等を操作して、入力装置8に微細気泡生成量の目標値QBを入力する。又、微細気泡生成量の目標値QBからずれた場合の許容できる偏差量ΔQ、ポンプの回転数を増減する場合の制御幅ΔNが入力される。入力された微細気泡生成量の目標値QB,偏差量ΔQ,制御幅ΔNは、制御装置3へ送信される。制御装置3は、流路9bに設置された圧力計5の加圧圧力測定値、流路9cに設置された流量計6の微細気泡含有水11の排出流量測定値を受信する。
【0034】
制御装置3では、微細気泡生成量の目標値QBを得るために必要な微細気泡含有水11の排出流量QOを計算する。制御装置3は、多孔板ユニット4の加圧圧力が入力装置8から入力された設定値からの偏差の許容範囲を超えることなく、排出流量QOを得るために必要なポンプ1の回転数Nと、多孔板ユニット4の孔数を算出する。この計算値に基づいて、制御装置3はインバータ2と駆動装置7を制御する。
【0035】
制御装置3からインバータ2にポンプ1の回転数指令値が送信されてインバータ2が制御され、ポンプ1は回転数指令値に従って運転される。制御装置3から駆動装置7に制御信号が送信され、多孔板ユニット4の流路制限板101の回転角度を制御して算出された有効孔数となるように制御する。
【0036】
流路9aには気液二相流の生成装置からの気液二相流10が流入し、ポンプ1により加圧されて気体が加圧溶解された気液二相流10は、多孔板ユニット4に流入する。気液二相流10は、多孔板ユニット4を通過する際に急激に減圧され、溶存していた気体が析出して微細気泡を形成する。流路9cから微細気泡を含んだ微細気泡含有水11が排出される。
【0037】
図11は、実施例1の制御フローチャートであり、微細気泡生成量QBを得るための運転方法を示している。図11を用いて、実施例1の運転方法をより詳細に説明する。
【0038】
ステップS1で、制御装置3は、入力装置8から入力された微細気泡生成量の目標値QBと、微細気泡含有水の微細気泡の含有率rBから、数1を用いて微細気泡含有水11の排出流量QOを決定してポンプを起動する。ここで、含有率rBは、予め実験により加圧圧力と孔径の関係から求められるようにするか、流量計6の他に含有率を計測する装置を設けることによって求められる。
(数1)
QO=QB/rB …(1)
ステップS2で、制御装置3は、流量計6で計測される微細気泡含有水11の排出流量の測定値Qfと目標値QOを比較する。測定値Qfが目標値QOより低い場合はステップ3Sへ進み、高い場合はステップS4へ進む。
【0039】
ステップS3では、制御装置3は、目標値QOと測定値Qfの差分の絶対値を、許容できる偏差量ΔQと比較し、この差分の絶対値が偏差量ΔQより小さい場合は、流量は制御目標範囲にあると判断してステップS5へ進む。この差分の絶対値が偏差量ΔQより大きい場合は、流量が制御目標範囲に対して不足していると判断し、インバータ2を制御してポンプ1の回転数Nを設定された制御幅ΔN増加してステップS2へ戻る。
【0040】
ステップS4で、制御装置3は、ステップS3と同様に目標値QOと測定値Qfの差分の絶対値を、偏差量ΔQと比較し、この差分の絶対値が偏差量ΔQより小さい場合は、流量は制御目標範囲にあると判断してステップS5へ進む。この差分の絶対値が偏差量ΔQより大きい場合は、流量が制御目標範囲に対して過剰であると判断し、インバータ2を制御してポンプの回転数Nを設定された幅ΔN減少してステップS2へ戻る。
【0041】
ステップS5で、制御装置3は、圧力計5の測定値Pと設定値の圧力下限値Pminと比較する。測定値が下限値より高い場合は、ステップS6へ進む。低い場合は、駆動装置7を起動して多孔板ユニット4の有効孔数mを設定された制御幅Δm減少してステップS2へ戻る。下限値Pminは、例えば0.3PMaに設定する。
【0042】
ここで、加圧圧力は0.1MPa〜1.0MPaが許容範囲であった。加圧圧力については、微細気泡生成がより安定でコスト上有利な範囲は、0.3MPa〜0.7MPaの範囲である。
【0043】
ステップS6で、制御装置3は、圧力計5の測定値Pと設定値の圧力上限値Pmaxと比較する。測定値が上限値より低い場合は終了する。高い場合は、駆動装置7を起動して多孔板ユニット4の有効孔数mを設定された制御幅Δm増加してステップS2へ戻る。
【0044】
このように制御した場合の作用,効果を図12により説明する。
【0045】
図12中の破線は、有効孔数を変化させて流路断面積を変化させると共にポンプの回転数制御を行った場合を示しており、実線は、流路断面積は固定でポンプの回転数制御を行った場合を示している。ここでは、有効孔数は連続的に変化させ、流路断面積を滑らかに変化させる場合を示している。
【0046】
図12の上段の図は、気液二相流流量に対する加圧圧力の関係を示す図で、同じ流路断面積の有効孔数では交差するが、流路断面積を変化させる場合は、加圧圧力をほぼ一定、或いは許容範囲内に制御できることを示している。一方、流路断面積が固定の場合は、気液二相流の流量を多くするためにはポンプの回転速度を上昇させて加圧圧力を高くする必要があり、気液二相流の流量を少なくするためにはポンプの回転速度を低下させて加圧圧力を下降させる必要がある。
【0047】
このように、流路断面積が固定の場合は、気液二相流の流量を変化させるためには、加圧圧力を変化させる必要があるため、微細気泡を生成するための条件が変化して安定した微細気泡の生成が困難になるが、本実施例では、加圧圧力は一定或いは許容範囲内に制御でき、流路断面積を変化させても孔径は同じであるので安定した微細気泡の生成が行える。なお、図12では、流路断面積が固定の場合も幅広く流量制御が行えるように示しているが、実際には、制御幅はそれほど大きくない。
【0048】
図12の下段の図は、気液二相流流量に対するポンプ消費電力の関係を示す図で、気液二相流流量が大きく、処理量が必要とされる部分でポンプ消費電力を小さくできる。ここで、ポンプの消費電力は、圧力と流量の積に比例すると仮定している。
【0049】
本実施例によれば、微細気泡生成量を変更する時、ポンプの回転数と流通断面積を変更するので、加圧圧力を微細気泡生成に必要な範囲に維持して過剰な圧力上昇が抑制されるため、微細気泡を効率良く、かつ安定した気泡径分布で生成することができる。
【実施例2】
【0050】
本発明の実施例2を図13から図16を用いて説明する。図13は、本実施例の微細気泡生成装置の構成図である。
【0051】
本実施例の微細生成装置は、実施例1と同様に構成されているが、本実施例では、多孔板ユニット4を設置する代わりに、多孔板ユニット40として、流路9bのポンプ1の後段に複数の分岐流路が設けられ、各分岐流路には弁70−1〜70−nを介してそれぞれ固定された孔数を有する多孔板40−1〜40−nが設置されている。複数の多孔板40−1〜40−nは合流されて流路9cに接続されている。各弁70−1〜70−nはそれぞれ制御装置3と信号線で接続されており、弁70−1〜70−nの開閉制御を行うようになっている。ここで、流路9cを弁70−1〜70−n毎に延長できる場合は、必ずしも複数の多孔板40−1〜40−nは合流しなくてもよい。
【0052】
各多孔板40−1〜40−nに設けられている孔数は、多孔板毎に変えてもよく、同じにしてもよく、一部が同じで残りを変えてもよい。制御装置3は弁70−1〜70−nの開閉制御をするが、開く弁の個数を1個からn個の間で制御でき、設定する有効孔数に合うように開閉制御される。多孔板に設ける孔数,孔径が同じでも、図14に示すように多孔板の外周側に設ける、或いは図15に示すように多孔板の内周側に設けることにより、孔の位置が異なるものを、流量などにより使い分けてもよい。このように孔位置を形成することにより、内周側を流して旋回を与えたい場合などに使い分けることができる。
【0053】
本実施例の制御は、図11に示す実施例1の制御フローチャートと同様に行われる。各多孔板40−1〜40−nの孔数を等しくした場合は、図11中のステップS5,S6で、制御装置3は弁70−1〜70−nを開状態する数を増減して有効孔数を段階的に制御する。又、多孔板40−1〜40−nに形成される孔数が異なる場合は、弁70−1〜70−nの開閉を切替えて、孔数の多い多孔板の設置された流路或いは孔数の少ない多孔板の設置された流路を開にして有効孔数を切替える。
【0054】
このように、実施例1では有効孔数の変更は流路制限板101の回転により行うため、機械的な可動部とモータが必要となるが、本実施例では、孔数変更を弁の開閉で行うため構成が簡素になり、信頼性が向上し、維持管理が容易になる利点がある。
【0055】
以上のように制御した場合の作用,効果を図16により説明する。
【0056】
図16中の破線は、有効孔数を段階的に変化させて流路断面積を段階的に変化させると共にポンプの回転数制御を行った場合を示しており、実線は、流路断面積は固定でポンプの回転数制御を行った場合を示している。
【0057】
図16の上段の図は、気液二相流流量に対する加圧圧力の関係を示す図で、分岐流路の切替えにより流路断面積を段階的に変化させる場合は、ある分岐流路の流路断面積でポンプの回転速度を変化させることにより気液二相流の流量を変化させ、流路断面積を切替える制御を行うことにより、加圧圧力を許容範囲内に制御できることを示している。すなわち、加圧圧力が許容値を超えようとすると、制御装置3は流路を切替えて流路断面積を増加させるため、加圧圧力はある変動幅内で変動するが、許容範囲内に維持される。
【0058】
一方、流路断面積が固定の場合は、気液二相流の流量を多くするためにはポンプの回転速度を上昇させて加圧圧力を高くする必要があり、気液二相流の流量を少なくするためにはポンプの回転速度を低下させて加圧圧力を下降させる必要がある。
【0059】
このように、流路断面積が固定の場合は、気液二相流の流量を変化させるためには、加圧圧力を大幅に変化させる必要があるため、微細気泡を生成するための条件が変化して安定した微細気泡の生成が困難になるが、本実施例では、加圧圧力は許容範囲内に制御でき、流路断面積を段階的に変化させても孔径は同じであるので安定した微細気泡の生成が行える。
【0060】
図12の下段の図は、気液二相流流量に対するポンプ消費電力の関係を示す図で、気液二相流流量が大きく、処理量が必要とされる部分で余剰な圧力損失が発生しないため、ポンプ消費電力を小さくできる。
【0061】
本実施例によれば、微細気泡生成量を変更する時、ポンプの回転数と流通断面積を変更するので、加圧圧力を微細気泡生成に必要な範囲に維持して過剰な圧力上昇が抑制されるため、微細気泡を効率良く、かつ安定した気泡径分布で生成することができる。
【0062】
本実施例によれば、微細気泡生成量を変更する際、ポンプの回転数と狭隘流路の流路断面積が変更されるので、加圧圧力は、微細気泡生成に必要な範囲内に維持でき、過剰な圧力の上昇が抑制される。このため、微細気泡を効率良く、かつ安定した気泡径分布で生成することができる。
【実施例3】
【0063】
本発明の実施例3を図17から図23を用いて説明する。図17から図23は、本実施例の多孔板ユニットの構成図である。
【0064】
本実施例の多孔板ユニットは、実施例1の図2から図6に示す多孔板ユニット4の変形例である。
【0065】
図17から図23に示すように、多孔板211には、円形の板が複数の領域に分割され、領域毎に孔径が異なるように形成され、領域毎に断面積の異なる孔が設けられている。或いは、多孔板211に領域毎に孔径は同じに形成し同じ断面積の孔を単位表面積あたりの孔数が異なるように設けるようにしてもよい。流路制限板は、多孔板211の表裏に設けられ、表側(上流側)には半円形状の流路制限板211が、裏側(下流側)には半円形状の流路制限板212が設けられている。流路制限板211の中心部には軸214が嵌合され、固定板216によって軸214に固定されている。流路制限板212の中心部には軸215が嵌合され、固定板217によって軸215に固定されている。軸215は中空であり、中空部の空間に軸214が挿入され、軸215と軸216は駆動装置7によって独立して回転操作されるようになっている。
【0066】
制御装置3は、駆動装置7を制御して軸215と軸216をそれぞれ独立に回転させ、表側の流路制限板211の回転角、裏側の流路制限板212の回転角を制御して気液二相流が通過する孔の箇所,孔数,流路段面積を調節し、必要な有効孔数、或いは必要な流路断面積になるように制御する。なお、以上の説明では、流路制限板211,212が半円形状の場合を説明したが、その形状は変形することができる。
【0067】
本実施例によれば、多孔板の全面に孔を設けることができ、狭隘流路の流路断面積をより細かく変更することが可能になり、微細気泡生成量を滑らかに制御できる。又、流量変更時の加圧圧力の変動が抑制されるため、ポンプへの急激な流量・圧力変動が緩和され、ポンプへの負担が軽減される。
【実施例4】
【0068】
本発明の実施例4を図24,図25により説明する。図24は、本実施例の微細気泡生成装置の構成図、図25は、本実施例の微細気泡生成装置における逆流洗浄時の運転方法の制御フローチャートである。
【0069】
本実施例の微細気泡生成装置は、図1に示す実施例1と同様に構成されているが、流路9aには弁12が設置され、弁12には流入管16が設けられ、流路9bのポンプ1と多孔板ユニット4との間には弁13と弁14が、流路9cには弁15が設置され、弁13と弁15は配管17で連結され、弁14には排水管18が設けられている。弁12,13,14,15は、三方弁で構成され、それぞれ信号線で制御装置3と接続され、制御装置3からの指令により開閉の切替え制御が行われる。
【0070】
通常運転時には、弁12は流路9a側を開とし流入管16側を閉とする。弁13と弁15はそれぞれ流路9b側を開、流路9c側を開、配管17側を閉とする。弁14は流路9b側を開、排水管18側を閉とする。これにより、気液二相流10は、ポンプ1で昇圧されて多孔板ユニット4で微細気泡が生成されて微細気泡流11として流出される。
【0071】
液相中の浮遊物、溶解成分の析出・付着等により多孔板ユニット4内の多孔板の閉塞が検知されると、制御装置3は、弁12〜15を切替えて、逆洗運転を行う。
【0072】
逆洗運転時には、弁12は流路9a側を閉とし流入管16側を開とする。弁13と弁15はそれぞれ流路9b側を閉、流路9c側を閉、配管17側を開とする。弁14は流路9b側を閉、排水管18側を開とする。
【0073】
流入管16から流入した逆洗用水は、ポンプ1で昇圧され配管17を流れて流路9c側から多孔板ユニット4に流入し、多孔板ユニット4の孔を洗浄した後、排水管18から排出される。なお、多孔板ユニット4の代わりに実施例2の多孔板を設置してもよい。
【0074】
逆洗運転への切替えは、図25に示すフローチャートに従って行われる。
【0075】
ステップS11で、制御装置3は、駆動装置7を起動して多孔板ユニット4の有効孔数を校正用の目標値mpに設定する。ステップS12で、制御装置3は、インバータ2を制御してポンプ1を起動し、流量計6の測定値が校正用の目標値Qpになるようにポンプ1の回転数を制御する。
【0076】
ステップS13で、圧力計5の測定値Pを計測し、測定値Pと校正用の目標値Ppとの差分が偏差量の許容値ΔPより大きいか否かの判定を行う。測定値Pと校正用の目標値Ppとの差分が偏差量の許容値ΔPより大きい場合は、液相中の浮遊物,溶解成分の析出・付着等により多孔板ユニット4内の多孔板の閉塞が生じたと判定し、ステップS14に進み、小さい場合は終了する。
【0077】
ステップS14で、弁12〜弁15を逆洗用流路に切替える。すなわち、上述したように、弁12は流路9a側を閉、流入管16側を開とし、弁13と弁15はそれぞれ流路9b側を閉、流路9c側を閉、配管17側を開とし、弁14は流路9b側を閉、排水管18側を開とする。
【0078】
ステップS15で、制御装置3は、ポンプ1を起動して設定された運転時間の間ポンプ1を運転して多孔板ユニット4の逆洗を行う。設定された運転時間が経過すると、ポンプ1を停止し、ステップS16で、弁12〜弁15の開閉状態を切替えて通常運転時の微細気泡生成用の流路に切替え、ステップS2に戻る。
【0079】
なお、校正用の目標値mp,Qpと逆洗時のポンプ1の運転時間は入力装置8から入力される。
【0080】
以上の説明では、校正用の目標値と計測値の差分が許容値より大きい場合に逆洗運転を行う例を説明したが、制御装置3がタイマーにより時間計測を行い、入力装置8から入力された逆洗開始時刻、逆洗を開始するための時間間隔で、弁12〜弁15を逆洗用流路に切替え、設定された運転時間の間ポンプ1を運転して、通常運転時の微細気泡生成用流路に戻すように制御してもよい。
【0081】
又、多孔板ユニット4を用いる場合は、流路制限板の軸方向に多孔板に接触するような突起部分或いはブラシ状の部品を取付けてもよい。又、流路制限板の軸方向部分に多孔板面に対して鋭角に加工された部分を有してもよい。実施例3に示すように流路制限板が複数枚ある場合は、表側の流路制限板にこの加工を施すとよい。この場合は、微細気泡生成運転時の設定された時間間隔で、或いは逆洗運転時のポンプ起動前で運転中に流路制限板をその可動領域全体に動かすとよい。流路制限板に多孔板と接触する端面構造を設け、流路制限板が多孔板の表面を移動する際に、端面構造により多孔板の表面の付着物を削り取って剥離させるようにしてもよく、これにより多孔板の孔の閉塞を回避することができる。
【0082】
本実施例によれば、狭隘流路の付着物を除去することができるので、微細気泡生成装置が閉塞を防止でき、加圧圧力が上昇するのを回避できる。又、多孔板の孔断面積,孔形状の変化による気泡径分布の変化を回避できるため、微細気泡をより効率良く、かつ安定した気泡径分布で生成することができる。
【実施例5】
【0083】
多孔板ユニット4に流入する気液二相流10の気体溶解効率は、微細気泡含有水11の微細気泡個数濃度に影響する。微細気泡個数濃度が低いと、微細気泡含有水11の流量を増加しても微細気泡量が確保できない。ポンプ1に流入する気液二相流の気体注入率を増加させても、溶解効率が低い場合は、微細気泡混合水11中へ粗大気泡として流出するため微細気泡を充分に利用できない。
【0084】
本実施例では、ポンプ1の後段において気体溶解効率を向上し、微細気泡含有水11の微細気泡個数濃度をより高める方法を図26により説明する。図26は本実施例の微細気泡生成装置の構成図である。
【0085】
本実施例の微細気泡生成装置は、実施例1或いは実施例2の微細気泡生成装置と同様に構成されているが、ポンプ1と多孔板ユニット4の間で、圧力計5の上流側に圧力タンク21を設置している。圧力タンク21は、微細気泡生成に必要な加圧圧力に耐える構造になっている。ポンプ1で加圧された気液二相流10は、圧力タンク21内において高圧条件下で滞留することにより気体の溶解が進行する。
【0086】
本実施例によれば、狭隘流路に流入する気液二相流の溶存気体濃度を高めることができ、減圧により析出する微細気泡の個数濃度が増加するので、流量あたりの微細気泡生成量がより増加する。このため、ポンプ前段で注入した気体の利用効率が向上し、微細気泡をより効率良く生成することができる。
【0087】
なお、本実施例は、実施例2〜実施例4のいずれかに適用することができ、実施例4に適用する場合は、弁14および排水管18は圧力タンク21の後段に設置する。
【実施例6】
【0088】
多孔板ユニット4を用いた場合、溶解できなかった気体は多孔板の入口付近で蓄積され、所定量に達すると気相として多孔板を通過する場合がある。原理上、加圧条件で溶解していない気体は、減圧しても微細気泡化しないので、多孔板から流出する微細気泡含有水11中に、粗大気泡が周期的に混入して上部の気相へと脱離するため、気体の利用効率が低下する。
【0089】
本実施例では、ポンプ1の後段における気液二相流の流入状態を変えることにより、多孔板の後段に流出した粗大気泡を微細気泡化する方法を図27により説明する。
【0090】
本実施例の微細気泡生成装置は、実施例1或いは実施例2の微細気泡生成装置と同様に構成されているが、ポンプ1と多孔板ユニット4の間に流体制御板22が設置されている。流体制御板22は、ポンプ1で加圧された気液二相流に旋回を与え、多孔板ユニット4に流入する際に、管路断面方向の中心付近の気相割合を高める。多孔板ユニット4の孔位置を中心付近と周辺付近に設けた場合、中心から流出する気相割合が高く比較的低流速の気液二相流は、周辺から流出する液相割合が高く比較的高流速の二相流により剪断力を与えられる。その結果、中心から流出する気液二相流に粗大気泡が混入していた場合、粗大気泡はこの剪断力により微細化される。
【0091】
なお、本実施例は、実施例2〜実施例4のいずれかに適用することができ、実施例4に適用する場合は、弁14および排水管18は流体制御板22の後段に設置する。
【0092】
本実施例によれば、多孔板ユニット4に流入する気液二相流を、気相割合の異なる部分に分け、多孔板の後段でこれら気液二相流間に剪断力を発生させる。これにより、多孔板に減圧しても微細気泡化ができない粗大気泡が流入しても、多孔板を流出した後に機械的に微細気泡化されるため、ポンプ前段で注入した気体の利用効率が向上する。この結果、微細気泡をより効率良く生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施例1である微細気泡生成装置の構成図。
【図2】本実施例の多孔板ユニットの構成を示す平面図。
【図3】本実施例の多孔板ユニットの構成を示す縦断面図。
【図4】本実施例の多孔板の平面図。
【図5】本実施例の流路制限板の平面図。
【図6】本実施例の多孔板ユニットの構成を示す平面図。
【図7】本実施例の狭隘流路の構成を示す縦断面図。
【図8】本実施例の狭隘流路の構成を示す縦断面図。
【図9】本実施例の狭隘流路の構成を示す平面図。
【図10】本実施例の狭隘流路の構成を示す平面図。
【図11】本実施例の制御フローチャート図。
【図12】本実施例の作用,効果を説明する図。
【図13】本発明の実施例2である微細気泡生成装置の構成図。
【図14】本実施例の多孔板の平面図。
【図15】本実施例の多孔板の平面図。
【図16】本実施例の作用,効果を説明する図。
【図17】本発明の実施例3である微細気泡生成装置の多孔板ユニットの構成を示す平面図。
【図18】本実施例の多孔板ユニットの構成を示す縦断面図。
【図19】本実施例の多孔板の平面図。
【図20】本実施例の流路制限板の平面図。
【図21】本実施例の多孔板ユニットの構成を示す平面図。
【図22】本実施例の流路制限板の平面図。
【図23】本実施例の流路制限板の平面図。
【図24】本発明の実施例4である微細気泡生成装置の構成図。
【図25】本実施例による制御フローチャート図。
【図26】本発明の実施例5である微細気泡生成装置の構成図。
【図27】本発明の実施例6である微細気泡生成装置の構成図。
【符号の説明】
【0094】
1…ポンプ、2…インバータ、3…制御装置、4…多孔板ユニット、5…圧力計、6…
流量計、7…駆動装置、8…入力装置、9…流路、12,13,14,15…弁、16…
流入管、17…配管、18…排水管、21…圧力タンク、22…流体制御板、100…多
孔板、101…流路制限板、102…軸、103…孔、104…固定板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡の径と発生量を安定化させた微細気泡生成装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
浄化,殺菌,消毒における微細気泡の利用と効果を記載したものに〔非特許文献1〕がある。〔非特許文献1〕には、微細気泡は、マイクロバブルと呼ばれる直径が50マイクロメータ以下の気泡であり、一般に、この領域の気泡は、気泡内の気体が周囲の液相へ溶け込むことによって直径が減少するため、表面張力の効果により内部が高圧,高温になり、消滅時にOHラジカルなどの酸化力の高いフリーラジカルと圧力波を生じることが記載されている。以下、微細気泡は、直径約50マイクロメータ以下の気泡であると定義する。
【0003】
一般に、微細気泡の生成方法としては、気体と液体の気液二相流を、旋回流や旋回流の剪断,攪拌,ベンチュリ管等を利用して微細気泡化する方法が知られている。又、気液二相流を加圧し、その後狭隘流路で急激に減圧して溶存気体を微細気泡として析出させる方法がある。この方法は、他の方法と比較して、生成気泡量あたりの消費電力量が高い傾向にあるが、気泡径が比較的小さい領域に分布する。
【0004】
〔特許文献1〕には、エゼクタによりオゾンガスを吸引して液相に混合し、ポンプで加圧した気液二相流をオリフィスで減圧し、溶解槽に噴射して微細気泡化する加圧式オゾン処理装置が開示され、オリフィスにおける設定圧力は4kg/cm2とし、オリフィス径d/管路径D比=0.4とすることが記載されている。
【0005】
〔特許文献2〕には、〔特許文献1〕と同様の構成で、半月状のスリットを有するオリフィスを用い、ポンプのインバータ制御を行い微細気泡の生成を行うマイクロバブル発生装置が開示されている。インバータ制御でポンプの回転数を変えることにより、気体が混入して吐出量及び吐出圧の変動した場合に、ポンプの吐出圧力を最適圧力に調整することが記載されている。
【0006】
〔特許文献3〕には、加圧した気液二相流の減圧を行う狭隘流路の流路面積を可変にできる装置を用いて、狭隘流路の流路断面積変化させる微細気泡の生成装置が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−225696号公報
【特許文献2】特開2003−117365号公報
【特許文献3】特開平10−99877号公報
【非特許文献1】「水の特性と新しい利用技術」、株式会社エヌ・ティー・エス、142−146頁、2004年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
〔非特許文献1〕に記載の従来の技術は、微細気泡の特性について記述しているが、微細気泡の具体的な発生方法については開示されていない。
【0009】
〔特許文献1〕に記載の従来の技術では、混合水が高圧ポンプによりオリフィス上流側で加圧され、オリフィス通過時に減圧されて微細気泡を生成できるが、流路断面積が固定されたオリフィスであるため、オゾン微細気泡の混入水の流量を変化させる必要のある場合に対応できない問題がある。又、加圧圧力が変化すると微細気泡の径や発生量が変化するため、オゾン溶解効率が変化して水処理性能が不安定になる問題がある。
【0010】
〔特許文献2〕に記載の従来の技術では、インバータでポンプ回転数を制御することによりオリフィスの加圧圧力を制御することができるが、オリフィス流路面積が固定されているため、〔特許文献1〕のものと同様にオゾン微細気泡混入水の流量の変化に対応する場合に、加圧圧力が変化して安定して微細気泡を生成できないという問題がある。
【0011】
〔特許文献3〕に記載の従来の技術では、オリフィスの流路の絞りを可変調整して加圧圧力を制御しており、オゾン微細気泡混入水の流量も制御することができるが、オリフィスの流路の絞りが変わると、オリフィスを通過する際の流速が変わり、微細気泡を生成するためのオリフィス部における減圧量が変化する。加圧減圧のバランスが変わると微細気泡の径や発生量が変化するため、オゾン溶解効率が変化して水処理性能が不安定になる問題がある。すなわち、狭隘流路の流路断面積が小さいと流量が上げられず、気泡の生成量が低下し、逆に流路断面積が大きいと、生成気泡が粗大化する。このように、気泡の発生量が不足するか、気泡径が粗大化するため、安定した気泡生成ができない問題がある。
【0012】
発明者らは、異なる孔数を有する複数の多孔板を製作し、空気と水道水の気液二相流を高圧ポンプで昇圧して多孔板に注入して実験を行った結果、孔数が異なると、多孔板の上流側の圧力が変わるため微細気泡の発生量が変化することを確認している。又、孔数は同じで、孔径を変更した複数の多孔板を製作し、同様の実験を行った結果、孔径が増加すると、生成される気泡の気泡径分布が径の大きい粗大気泡側に移行することを確認している。
【0013】
本発明の第1の目的は、微細気泡を安定して生成でき、経済性に優れた微細気泡生成装置及びその方法を提供することにある。
【0014】
本発明の第2の目的は、ポンプの回転数制御と気液二相流が流通可能な孔数を変更することにより、微細気泡を安定して生成できる微細気泡生成装置及びその方法を提供することにある。
【0015】
本発明の第3の目的は、微細気泡生成装置への流入圧力と流量を制御でき、微細気泡を安定して生成できる微細気泡生成装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための本発明の微細気泡の生成装置は、気液二相流の生成装置に接続されたポンプの回転数を制御するインバータと、ポンプに接続され気液二相流の通過に使用される流路断面積を変化させる駆動装置を含む多孔板ユニットと、インバータ及び駆動装置を制御する制御装置とを備え、制御装置からの指令により、駆動装置を制御して気液二相流の通過に使用される流路断面積を変化させるとともにインバータを制御してポンプの加圧圧力を許容範囲内に維持させて気液二相流の流量を変化させるものである。
【0017】
多孔板を備えた流路を複数並列に接続して各流路に開閉弁を設け、開閉弁の開閉制御を行うことにより気液二相流が通過する流路断面積を変更する。
【0018】
これにより、気液二相流をポンプで加圧し、狭隘流路へ注入することにより減圧して液体に溶解していた気体を析出させて微細気泡を生成する。気液二相流が通過する孔数を変更、すなわち流路断面積を変更することにより微細気泡の生成する条件を維持して流量を制御することができる。このように、気液二相流が通過する孔数の変更と、インバータを制御してポンプの回転数を制御することにより、加圧圧力と流量を制御する。
【0019】
多孔板には、1種類以上の断面積を有する複数の孔を有する多孔板、単位面積あたりの孔数が異なる孔が分布する多孔板を用いてもよい。
【0020】
又、多孔板の逆流洗浄を行い、多孔板の孔の閉塞を回避することができる。又、流路制限板に多孔板と接触する端面構造を設け、流路制限板が多孔板の表面を移動する際に、端面構造が多孔板の表面の付着物を削り取って剥離させるようにしてもよい。
【0021】
又、気体の溶解効率を向上させるため、ポンプと多孔板ユニットとの間の流路に、加圧された気液二相流が滞留する加圧タンクを設ける、或いは気体の利用効率を向上させるため、多孔板から流出した粗大気泡を微細化するために、ポンプと多孔板ユニットとの間の流路に、流路制御板を設けて気液二相流が多孔板ユニットに流入する際に旋回流を与えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、微細気泡生成量を変更する時、ポンプの回転数と流通断面積を変更するので、加圧圧力を微細気泡生成に必要な範囲に維持して過剰な圧力上昇が抑制されるため、微細気泡を効率良く、かつ安定した気泡径分布で生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
微細気泡生成装置で気液二相流の加圧圧力と流量を制御して安定した気泡径と発生量の微細気泡を生成する微細気泡生成装置及びその方法を提供する。
【実施例1】
【0024】
本発明の実施例1について図1から図12を用いて説明する。図1は、本実施例である微細気泡生成装置の構成図である。
【0025】
本実施例の微細気泡生成装置は、図1に示すように、図示しない気液二相流の生成装置に接続された流路9aと、流路9aに接続されたポンプ1と、ポンプ1に接続された図示しないインバータと、ポンプ1に流路9bを介して接続された多孔板ユニット4と、流路9bに設けられた圧力計5と、多孔板ユニット4に設置された駆動装置7と、多孔板ユニット4に接続された流路9cと、流路9cに設けられた流量計6と、制御装置3と、制御装置3に接続された入力装置8で構成される。ここで、気液二相流の液体には水が、気体には、空気,オゾン,窒素,酸素,二酸化炭素のいずれかが用いられる。
【0026】
圧力計5及び流量計6と制御装置3とは信号線で接続され、制御装置3は圧力計5及び流量計6からの信号を受信する。インバータ及び駆動装置7と制御装置3とは信号線で接続され、制御装置3からインバータ及び駆動装置7に制御信号を送信する。
【0027】
多孔板ユニット4は、図2から図6に示すように構成されている。図示しない多孔板ユニット4の壁面に固定され、直径が0.1〜5mmの範囲の同じ径の直管状の孔103が複数個設けられた円形板状の多孔板100と、図3,図4に示すように多孔板100の中心軸回りに回転し、多孔板100に対向するように設けられる円形板状の流路制限板101と、流路制限板101の中心部で固定板104により連結される回転軸102で構成される。回転軸102は、駆動装置7と連結されており、駆動装置7により回転角度を制御される。図4に示すように多孔板100の半分の領域に孔103が形成され、図5,図6に示すように半円形に形成された流路制限板101が回転することにより、気液二相流が通過できる孔数が変化するようになっている。本実施例では、流路制限板101は、半円形に形成された例を示しているが、扇型でもよい。なお、孔103の直径は、0.5〜2mmの範囲とすると微細気泡の生成はより安定化し生成効率はよりよくなる。
【0028】
多孔板100は流路9bに固定される構造でもよく、多孔板100と流路制限板101とは、流路制限板101の回転に支障を来たすような摩擦力が生じない範囲で接触している。又、流路制限板101の回転時には、駆動装置7を制御して軸102を軸方向に移動させ、多孔板100と流路制限板101との間に間隙を形成し、再度多孔板100と流路制限板101とを接触させて通水させるようにしてもよい。
【0029】
駆動装置7を制御して回転軸102を回転すると、孔103の一部が流路制限板101によって遮られるため、例えば図2に示す状態から図6に示す状態に変化して、多孔板100の通水に使用される孔数が変化する。この通水に使用される孔数のことを、便宜上有効孔数という。
【0030】
図2から図6に示す例では、流路制限板101を回転させる例を示したが、流路制限板101を多孔板100に沿って直径方向に平行移動するようにしてもよい。又、多孔板100の直径方向に複数の細長い流路制限板101を設け、流路制限板101を流れ方向に対して平行或いは垂直になるように回転させて有効孔数を変えるようにしてもよい。
【0031】
図2から図6に示す例では、多孔板100に設ける孔103を直管状の孔で説明したが、図7に示す多孔板110のように、孔112の中間部の断面積が大きくなる形状のもの、図8に示す多孔板113のように、孔115の中間部の断面積が小さくなる形状のものなど、多孔板の孔内部の断面積が流路方向で変化する形状のものを用いてもよい。このような孔形状の多孔板を用いた場合は、多孔板の上流と下流の間の他、孔内部でも圧力変化が生じるので、気泡をさらに微細化できる。
【0032】
又、多孔板に複数の孔を設ける代わりに、複数のスリットを設けてもよい。図9に示す例では、多孔板120の右半分側に孔が連なったような形状の直線状のスリット121を放射状に形成している。図10に示す例では、多孔板122の上下方向に直線状のスリット123を複数段形成している。なお、このスリットは孔が連なった形状に形成されており、必ずしも直線でなくてもよい。
【0033】
キーボード等を操作して、入力装置8に微細気泡生成量の目標値QBを入力する。又、微細気泡生成量の目標値QBからずれた場合の許容できる偏差量ΔQ、ポンプの回転数を増減する場合の制御幅ΔNが入力される。入力された微細気泡生成量の目標値QB,偏差量ΔQ,制御幅ΔNは、制御装置3へ送信される。制御装置3は、流路9bに設置された圧力計5の加圧圧力測定値、流路9cに設置された流量計6の微細気泡含有水11の排出流量測定値を受信する。
【0034】
制御装置3では、微細気泡生成量の目標値QBを得るために必要な微細気泡含有水11の排出流量QOを計算する。制御装置3は、多孔板ユニット4の加圧圧力が入力装置8から入力された設定値からの偏差の許容範囲を超えることなく、排出流量QOを得るために必要なポンプ1の回転数Nと、多孔板ユニット4の孔数を算出する。この計算値に基づいて、制御装置3はインバータ2と駆動装置7を制御する。
【0035】
制御装置3からインバータ2にポンプ1の回転数指令値が送信されてインバータ2が制御され、ポンプ1は回転数指令値に従って運転される。制御装置3から駆動装置7に制御信号が送信され、多孔板ユニット4の流路制限板101の回転角度を制御して算出された有効孔数となるように制御する。
【0036】
流路9aには気液二相流の生成装置からの気液二相流10が流入し、ポンプ1により加圧されて気体が加圧溶解された気液二相流10は、多孔板ユニット4に流入する。気液二相流10は、多孔板ユニット4を通過する際に急激に減圧され、溶存していた気体が析出して微細気泡を形成する。流路9cから微細気泡を含んだ微細気泡含有水11が排出される。
【0037】
図11は、実施例1の制御フローチャートであり、微細気泡生成量QBを得るための運転方法を示している。図11を用いて、実施例1の運転方法をより詳細に説明する。
【0038】
ステップS1で、制御装置3は、入力装置8から入力された微細気泡生成量の目標値QBと、微細気泡含有水の微細気泡の含有率rBから、数1を用いて微細気泡含有水11の排出流量QOを決定してポンプを起動する。ここで、含有率rBは、予め実験により加圧圧力と孔径の関係から求められるようにするか、流量計6の他に含有率を計測する装置を設けることによって求められる。
(数1)
QO=QB/rB …(1)
ステップS2で、制御装置3は、流量計6で計測される微細気泡含有水11の排出流量の測定値Qfと目標値QOを比較する。測定値Qfが目標値QOより低い場合はステップ3Sへ進み、高い場合はステップS4へ進む。
【0039】
ステップS3では、制御装置3は、目標値QOと測定値Qfの差分の絶対値を、許容できる偏差量ΔQと比較し、この差分の絶対値が偏差量ΔQより小さい場合は、流量は制御目標範囲にあると判断してステップS5へ進む。この差分の絶対値が偏差量ΔQより大きい場合は、流量が制御目標範囲に対して不足していると判断し、インバータ2を制御してポンプ1の回転数Nを設定された制御幅ΔN増加してステップS2へ戻る。
【0040】
ステップS4で、制御装置3は、ステップS3と同様に目標値QOと測定値Qfの差分の絶対値を、偏差量ΔQと比較し、この差分の絶対値が偏差量ΔQより小さい場合は、流量は制御目標範囲にあると判断してステップS5へ進む。この差分の絶対値が偏差量ΔQより大きい場合は、流量が制御目標範囲に対して過剰であると判断し、インバータ2を制御してポンプの回転数Nを設定された幅ΔN減少してステップS2へ戻る。
【0041】
ステップS5で、制御装置3は、圧力計5の測定値Pと設定値の圧力下限値Pminと比較する。測定値が下限値より高い場合は、ステップS6へ進む。低い場合は、駆動装置7を起動して多孔板ユニット4の有効孔数mを設定された制御幅Δm減少してステップS2へ戻る。下限値Pminは、例えば0.3PMaに設定する。
【0042】
ここで、加圧圧力は0.1MPa〜1.0MPaが許容範囲であった。加圧圧力については、微細気泡生成がより安定でコスト上有利な範囲は、0.3MPa〜0.7MPaの範囲である。
【0043】
ステップS6で、制御装置3は、圧力計5の測定値Pと設定値の圧力上限値Pmaxと比較する。測定値が上限値より低い場合は終了する。高い場合は、駆動装置7を起動して多孔板ユニット4の有効孔数mを設定された制御幅Δm増加してステップS2へ戻る。
【0044】
このように制御した場合の作用,効果を図12により説明する。
【0045】
図12中の破線は、有効孔数を変化させて流路断面積を変化させると共にポンプの回転数制御を行った場合を示しており、実線は、流路断面積は固定でポンプの回転数制御を行った場合を示している。ここでは、有効孔数は連続的に変化させ、流路断面積を滑らかに変化させる場合を示している。
【0046】
図12の上段の図は、気液二相流流量に対する加圧圧力の関係を示す図で、同じ流路断面積の有効孔数では交差するが、流路断面積を変化させる場合は、加圧圧力をほぼ一定、或いは許容範囲内に制御できることを示している。一方、流路断面積が固定の場合は、気液二相流の流量を多くするためにはポンプの回転速度を上昇させて加圧圧力を高くする必要があり、気液二相流の流量を少なくするためにはポンプの回転速度を低下させて加圧圧力を下降させる必要がある。
【0047】
このように、流路断面積が固定の場合は、気液二相流の流量を変化させるためには、加圧圧力を変化させる必要があるため、微細気泡を生成するための条件が変化して安定した微細気泡の生成が困難になるが、本実施例では、加圧圧力は一定或いは許容範囲内に制御でき、流路断面積を変化させても孔径は同じであるので安定した微細気泡の生成が行える。なお、図12では、流路断面積が固定の場合も幅広く流量制御が行えるように示しているが、実際には、制御幅はそれほど大きくない。
【0048】
図12の下段の図は、気液二相流流量に対するポンプ消費電力の関係を示す図で、気液二相流流量が大きく、処理量が必要とされる部分でポンプ消費電力を小さくできる。ここで、ポンプの消費電力は、圧力と流量の積に比例すると仮定している。
【0049】
本実施例によれば、微細気泡生成量を変更する時、ポンプの回転数と流通断面積を変更するので、加圧圧力を微細気泡生成に必要な範囲に維持して過剰な圧力上昇が抑制されるため、微細気泡を効率良く、かつ安定した気泡径分布で生成することができる。
【実施例2】
【0050】
本発明の実施例2を図13から図16を用いて説明する。図13は、本実施例の微細気泡生成装置の構成図である。
【0051】
本実施例の微細生成装置は、実施例1と同様に構成されているが、本実施例では、多孔板ユニット4を設置する代わりに、多孔板ユニット40として、流路9bのポンプ1の後段に複数の分岐流路が設けられ、各分岐流路には弁70−1〜70−nを介してそれぞれ固定された孔数を有する多孔板40−1〜40−nが設置されている。複数の多孔板40−1〜40−nは合流されて流路9cに接続されている。各弁70−1〜70−nはそれぞれ制御装置3と信号線で接続されており、弁70−1〜70−nの開閉制御を行うようになっている。ここで、流路9cを弁70−1〜70−n毎に延長できる場合は、必ずしも複数の多孔板40−1〜40−nは合流しなくてもよい。
【0052】
各多孔板40−1〜40−nに設けられている孔数は、多孔板毎に変えてもよく、同じにしてもよく、一部が同じで残りを変えてもよい。制御装置3は弁70−1〜70−nの開閉制御をするが、開く弁の個数を1個からn個の間で制御でき、設定する有効孔数に合うように開閉制御される。多孔板に設ける孔数,孔径が同じでも、図14に示すように多孔板の外周側に設ける、或いは図15に示すように多孔板の内周側に設けることにより、孔の位置が異なるものを、流量などにより使い分けてもよい。このように孔位置を形成することにより、内周側を流して旋回を与えたい場合などに使い分けることができる。
【0053】
本実施例の制御は、図11に示す実施例1の制御フローチャートと同様に行われる。各多孔板40−1〜40−nの孔数を等しくした場合は、図11中のステップS5,S6で、制御装置3は弁70−1〜70−nを開状態する数を増減して有効孔数を段階的に制御する。又、多孔板40−1〜40−nに形成される孔数が異なる場合は、弁70−1〜70−nの開閉を切替えて、孔数の多い多孔板の設置された流路或いは孔数の少ない多孔板の設置された流路を開にして有効孔数を切替える。
【0054】
このように、実施例1では有効孔数の変更は流路制限板101の回転により行うため、機械的な可動部とモータが必要となるが、本実施例では、孔数変更を弁の開閉で行うため構成が簡素になり、信頼性が向上し、維持管理が容易になる利点がある。
【0055】
以上のように制御した場合の作用,効果を図16により説明する。
【0056】
図16中の破線は、有効孔数を段階的に変化させて流路断面積を段階的に変化させると共にポンプの回転数制御を行った場合を示しており、実線は、流路断面積は固定でポンプの回転数制御を行った場合を示している。
【0057】
図16の上段の図は、気液二相流流量に対する加圧圧力の関係を示す図で、分岐流路の切替えにより流路断面積を段階的に変化させる場合は、ある分岐流路の流路断面積でポンプの回転速度を変化させることにより気液二相流の流量を変化させ、流路断面積を切替える制御を行うことにより、加圧圧力を許容範囲内に制御できることを示している。すなわち、加圧圧力が許容値を超えようとすると、制御装置3は流路を切替えて流路断面積を増加させるため、加圧圧力はある変動幅内で変動するが、許容範囲内に維持される。
【0058】
一方、流路断面積が固定の場合は、気液二相流の流量を多くするためにはポンプの回転速度を上昇させて加圧圧力を高くする必要があり、気液二相流の流量を少なくするためにはポンプの回転速度を低下させて加圧圧力を下降させる必要がある。
【0059】
このように、流路断面積が固定の場合は、気液二相流の流量を変化させるためには、加圧圧力を大幅に変化させる必要があるため、微細気泡を生成するための条件が変化して安定した微細気泡の生成が困難になるが、本実施例では、加圧圧力は許容範囲内に制御でき、流路断面積を段階的に変化させても孔径は同じであるので安定した微細気泡の生成が行える。
【0060】
図12の下段の図は、気液二相流流量に対するポンプ消費電力の関係を示す図で、気液二相流流量が大きく、処理量が必要とされる部分で余剰な圧力損失が発生しないため、ポンプ消費電力を小さくできる。
【0061】
本実施例によれば、微細気泡生成量を変更する時、ポンプの回転数と流通断面積を変更するので、加圧圧力を微細気泡生成に必要な範囲に維持して過剰な圧力上昇が抑制されるため、微細気泡を効率良く、かつ安定した気泡径分布で生成することができる。
【0062】
本実施例によれば、微細気泡生成量を変更する際、ポンプの回転数と狭隘流路の流路断面積が変更されるので、加圧圧力は、微細気泡生成に必要な範囲内に維持でき、過剰な圧力の上昇が抑制される。このため、微細気泡を効率良く、かつ安定した気泡径分布で生成することができる。
【実施例3】
【0063】
本発明の実施例3を図17から図23を用いて説明する。図17から図23は、本実施例の多孔板ユニットの構成図である。
【0064】
本実施例の多孔板ユニットは、実施例1の図2から図6に示す多孔板ユニット4の変形例である。
【0065】
図17から図23に示すように、多孔板211には、円形の板が複数の領域に分割され、領域毎に孔径が異なるように形成され、領域毎に断面積の異なる孔が設けられている。或いは、多孔板211に領域毎に孔径は同じに形成し同じ断面積の孔を単位表面積あたりの孔数が異なるように設けるようにしてもよい。流路制限板は、多孔板211の表裏に設けられ、表側(上流側)には半円形状の流路制限板211が、裏側(下流側)には半円形状の流路制限板212が設けられている。流路制限板211の中心部には軸214が嵌合され、固定板216によって軸214に固定されている。流路制限板212の中心部には軸215が嵌合され、固定板217によって軸215に固定されている。軸215は中空であり、中空部の空間に軸214が挿入され、軸215と軸216は駆動装置7によって独立して回転操作されるようになっている。
【0066】
制御装置3は、駆動装置7を制御して軸215と軸216をそれぞれ独立に回転させ、表側の流路制限板211の回転角、裏側の流路制限板212の回転角を制御して気液二相流が通過する孔の箇所,孔数,流路段面積を調節し、必要な有効孔数、或いは必要な流路断面積になるように制御する。なお、以上の説明では、流路制限板211,212が半円形状の場合を説明したが、その形状は変形することができる。
【0067】
本実施例によれば、多孔板の全面に孔を設けることができ、狭隘流路の流路断面積をより細かく変更することが可能になり、微細気泡生成量を滑らかに制御できる。又、流量変更時の加圧圧力の変動が抑制されるため、ポンプへの急激な流量・圧力変動が緩和され、ポンプへの負担が軽減される。
【実施例4】
【0068】
本発明の実施例4を図24,図25により説明する。図24は、本実施例の微細気泡生成装置の構成図、図25は、本実施例の微細気泡生成装置における逆流洗浄時の運転方法の制御フローチャートである。
【0069】
本実施例の微細気泡生成装置は、図1に示す実施例1と同様に構成されているが、流路9aには弁12が設置され、弁12には流入管16が設けられ、流路9bのポンプ1と多孔板ユニット4との間には弁13と弁14が、流路9cには弁15が設置され、弁13と弁15は配管17で連結され、弁14には排水管18が設けられている。弁12,13,14,15は、三方弁で構成され、それぞれ信号線で制御装置3と接続され、制御装置3からの指令により開閉の切替え制御が行われる。
【0070】
通常運転時には、弁12は流路9a側を開とし流入管16側を閉とする。弁13と弁15はそれぞれ流路9b側を開、流路9c側を開、配管17側を閉とする。弁14は流路9b側を開、排水管18側を閉とする。これにより、気液二相流10は、ポンプ1で昇圧されて多孔板ユニット4で微細気泡が生成されて微細気泡流11として流出される。
【0071】
液相中の浮遊物、溶解成分の析出・付着等により多孔板ユニット4内の多孔板の閉塞が検知されると、制御装置3は、弁12〜15を切替えて、逆洗運転を行う。
【0072】
逆洗運転時には、弁12は流路9a側を閉とし流入管16側を開とする。弁13と弁15はそれぞれ流路9b側を閉、流路9c側を閉、配管17側を開とする。弁14は流路9b側を閉、排水管18側を開とする。
【0073】
流入管16から流入した逆洗用水は、ポンプ1で昇圧され配管17を流れて流路9c側から多孔板ユニット4に流入し、多孔板ユニット4の孔を洗浄した後、排水管18から排出される。なお、多孔板ユニット4の代わりに実施例2の多孔板を設置してもよい。
【0074】
逆洗運転への切替えは、図25に示すフローチャートに従って行われる。
【0075】
ステップS11で、制御装置3は、駆動装置7を起動して多孔板ユニット4の有効孔数を校正用の目標値mpに設定する。ステップS12で、制御装置3は、インバータ2を制御してポンプ1を起動し、流量計6の測定値が校正用の目標値Qpになるようにポンプ1の回転数を制御する。
【0076】
ステップS13で、圧力計5の測定値Pを計測し、測定値Pと校正用の目標値Ppとの差分が偏差量の許容値ΔPより大きいか否かの判定を行う。測定値Pと校正用の目標値Ppとの差分が偏差量の許容値ΔPより大きい場合は、液相中の浮遊物,溶解成分の析出・付着等により多孔板ユニット4内の多孔板の閉塞が生じたと判定し、ステップS14に進み、小さい場合は終了する。
【0077】
ステップS14で、弁12〜弁15を逆洗用流路に切替える。すなわち、上述したように、弁12は流路9a側を閉、流入管16側を開とし、弁13と弁15はそれぞれ流路9b側を閉、流路9c側を閉、配管17側を開とし、弁14は流路9b側を閉、排水管18側を開とする。
【0078】
ステップS15で、制御装置3は、ポンプ1を起動して設定された運転時間の間ポンプ1を運転して多孔板ユニット4の逆洗を行う。設定された運転時間が経過すると、ポンプ1を停止し、ステップS16で、弁12〜弁15の開閉状態を切替えて通常運転時の微細気泡生成用の流路に切替え、ステップS2に戻る。
【0079】
なお、校正用の目標値mp,Qpと逆洗時のポンプ1の運転時間は入力装置8から入力される。
【0080】
以上の説明では、校正用の目標値と計測値の差分が許容値より大きい場合に逆洗運転を行う例を説明したが、制御装置3がタイマーにより時間計測を行い、入力装置8から入力された逆洗開始時刻、逆洗を開始するための時間間隔で、弁12〜弁15を逆洗用流路に切替え、設定された運転時間の間ポンプ1を運転して、通常運転時の微細気泡生成用流路に戻すように制御してもよい。
【0081】
又、多孔板ユニット4を用いる場合は、流路制限板の軸方向に多孔板に接触するような突起部分或いはブラシ状の部品を取付けてもよい。又、流路制限板の軸方向部分に多孔板面に対して鋭角に加工された部分を有してもよい。実施例3に示すように流路制限板が複数枚ある場合は、表側の流路制限板にこの加工を施すとよい。この場合は、微細気泡生成運転時の設定された時間間隔で、或いは逆洗運転時のポンプ起動前で運転中に流路制限板をその可動領域全体に動かすとよい。流路制限板に多孔板と接触する端面構造を設け、流路制限板が多孔板の表面を移動する際に、端面構造により多孔板の表面の付着物を削り取って剥離させるようにしてもよく、これにより多孔板の孔の閉塞を回避することができる。
【0082】
本実施例によれば、狭隘流路の付着物を除去することができるので、微細気泡生成装置が閉塞を防止でき、加圧圧力が上昇するのを回避できる。又、多孔板の孔断面積,孔形状の変化による気泡径分布の変化を回避できるため、微細気泡をより効率良く、かつ安定した気泡径分布で生成することができる。
【実施例5】
【0083】
多孔板ユニット4に流入する気液二相流10の気体溶解効率は、微細気泡含有水11の微細気泡個数濃度に影響する。微細気泡個数濃度が低いと、微細気泡含有水11の流量を増加しても微細気泡量が確保できない。ポンプ1に流入する気液二相流の気体注入率を増加させても、溶解効率が低い場合は、微細気泡混合水11中へ粗大気泡として流出するため微細気泡を充分に利用できない。
【0084】
本実施例では、ポンプ1の後段において気体溶解効率を向上し、微細気泡含有水11の微細気泡個数濃度をより高める方法を図26により説明する。図26は本実施例の微細気泡生成装置の構成図である。
【0085】
本実施例の微細気泡生成装置は、実施例1或いは実施例2の微細気泡生成装置と同様に構成されているが、ポンプ1と多孔板ユニット4の間で、圧力計5の上流側に圧力タンク21を設置している。圧力タンク21は、微細気泡生成に必要な加圧圧力に耐える構造になっている。ポンプ1で加圧された気液二相流10は、圧力タンク21内において高圧条件下で滞留することにより気体の溶解が進行する。
【0086】
本実施例によれば、狭隘流路に流入する気液二相流の溶存気体濃度を高めることができ、減圧により析出する微細気泡の個数濃度が増加するので、流量あたりの微細気泡生成量がより増加する。このため、ポンプ前段で注入した気体の利用効率が向上し、微細気泡をより効率良く生成することができる。
【0087】
なお、本実施例は、実施例2〜実施例4のいずれかに適用することができ、実施例4に適用する場合は、弁14および排水管18は圧力タンク21の後段に設置する。
【実施例6】
【0088】
多孔板ユニット4を用いた場合、溶解できなかった気体は多孔板の入口付近で蓄積され、所定量に達すると気相として多孔板を通過する場合がある。原理上、加圧条件で溶解していない気体は、減圧しても微細気泡化しないので、多孔板から流出する微細気泡含有水11中に、粗大気泡が周期的に混入して上部の気相へと脱離するため、気体の利用効率が低下する。
【0089】
本実施例では、ポンプ1の後段における気液二相流の流入状態を変えることにより、多孔板の後段に流出した粗大気泡を微細気泡化する方法を図27により説明する。
【0090】
本実施例の微細気泡生成装置は、実施例1或いは実施例2の微細気泡生成装置と同様に構成されているが、ポンプ1と多孔板ユニット4の間に流体制御板22が設置されている。流体制御板22は、ポンプ1で加圧された気液二相流に旋回を与え、多孔板ユニット4に流入する際に、管路断面方向の中心付近の気相割合を高める。多孔板ユニット4の孔位置を中心付近と周辺付近に設けた場合、中心から流出する気相割合が高く比較的低流速の気液二相流は、周辺から流出する液相割合が高く比較的高流速の二相流により剪断力を与えられる。その結果、中心から流出する気液二相流に粗大気泡が混入していた場合、粗大気泡はこの剪断力により微細化される。
【0091】
なお、本実施例は、実施例2〜実施例4のいずれかに適用することができ、実施例4に適用する場合は、弁14および排水管18は流体制御板22の後段に設置する。
【0092】
本実施例によれば、多孔板ユニット4に流入する気液二相流を、気相割合の異なる部分に分け、多孔板の後段でこれら気液二相流間に剪断力を発生させる。これにより、多孔板に減圧しても微細気泡化ができない粗大気泡が流入しても、多孔板を流出した後に機械的に微細気泡化されるため、ポンプ前段で注入した気体の利用効率が向上する。この結果、微細気泡をより効率良く生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施例1である微細気泡生成装置の構成図。
【図2】本実施例の多孔板ユニットの構成を示す平面図。
【図3】本実施例の多孔板ユニットの構成を示す縦断面図。
【図4】本実施例の多孔板の平面図。
【図5】本実施例の流路制限板の平面図。
【図6】本実施例の多孔板ユニットの構成を示す平面図。
【図7】本実施例の狭隘流路の構成を示す縦断面図。
【図8】本実施例の狭隘流路の構成を示す縦断面図。
【図9】本実施例の狭隘流路の構成を示す平面図。
【図10】本実施例の狭隘流路の構成を示す平面図。
【図11】本実施例の制御フローチャート図。
【図12】本実施例の作用,効果を説明する図。
【図13】本発明の実施例2である微細気泡生成装置の構成図。
【図14】本実施例の多孔板の平面図。
【図15】本実施例の多孔板の平面図。
【図16】本実施例の作用,効果を説明する図。
【図17】本発明の実施例3である微細気泡生成装置の多孔板ユニットの構成を示す平面図。
【図18】本実施例の多孔板ユニットの構成を示す縦断面図。
【図19】本実施例の多孔板の平面図。
【図20】本実施例の流路制限板の平面図。
【図21】本実施例の多孔板ユニットの構成を示す平面図。
【図22】本実施例の流路制限板の平面図。
【図23】本実施例の流路制限板の平面図。
【図24】本発明の実施例4である微細気泡生成装置の構成図。
【図25】本実施例による制御フローチャート図。
【図26】本発明の実施例5である微細気泡生成装置の構成図。
【図27】本発明の実施例6である微細気泡生成装置の構成図。
【符号の説明】
【0094】
1…ポンプ、2…インバータ、3…制御装置、4…多孔板ユニット、5…圧力計、6…
流量計、7…駆動装置、8…入力装置、9…流路、12,13,14,15…弁、16…
流入管、17…配管、18…排水管、21…圧力タンク、22…流体制御板、100…多
孔板、101…流路制限板、102…軸、103…孔、104…固定板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気液二相流の生成装置に接続されたポンプと、該ポンプの回転数を制御するインバータと、前記ポンプの後段で分岐した複数の流路と、該複数の流路の各々に弁を有して接続された固定された流路断面積を有する多孔板ユニットと、前記インバータ及び前記弁の開閉を制御する制御装置とを備え、前記制御装置により、前記複数の分岐流路毎に設けられた前記弁を選択的に開閉制御する微細気泡の生成装置。
【請求項2】
前記流路断面積が複数の同径の孔、孔が連った形状のスリット、領域毎に異なる径の複数の孔のいずれかで形成されている請求項1に記載の微細気泡の生成装置。
【請求項3】
前記流路断面積が複数の同径の孔で形成され、単位表面積当りの孔数が異なるように設けられている請求項1に記載の微細気泡の生成装置。
【請求項4】
前記ポンプと前記多孔板ユニットとの間の流路に圧力タンク、又は流体制御板を設置した請求項1から3のいずれかに記載の微細気泡の生成装置。
【請求項5】
前記ポンプと多孔板ユニットを接続する流路に三方弁を設け、三方弁を切替えた時に逆洗用水を多孔板ユニットの下流側から上流側に流すように三方弁に接続された配管を接続した請求項1から3のいずれかに記載の微細気泡の生成装置。
【請求項6】
制御装置において、入力された微細気泡生成量の目標値から、該微細気泡生成量の目標値と、設定したまたは設定圧力から算出した微細気泡含有水の微細気泡の含有率の比により微細気泡含有水の排出流量を算出し、該算出された排出流量と気液二相流の流量測定値を比較し、前記流量測定値が算出された排出流量より大の場合はインバータによってポンプ回転数を減少させ、前記流量測定値が算出された排出流量より小の場合はインバータによってポンプ回転数を増加させ、圧力の設定値と測定圧力値の偏差が許容値内となるように前記流路に複数の分岐流路が設けられ、分岐流路毎に前記制御装置により開閉制御される弁を介して固定された流路断面積を有する多孔板を接続して構成される多孔板ユニットの孔数又はスリット数を前記制御装置により前記弁の開閉制御して増減少させる微細気泡の生成方法。
【請求項7】
制御装置において、入力された微細気泡生成量の目標値から、該微細気泡生成量の目標値と、設定したまたは設定圧力から算出した微細気泡含有水の微細気泡の含有率の比により微細気泡含有水の排出流量を算出し、該算出された排出流量と気液二相流の流量測定値を比較し、該流量測定値が算出された排出流量より大の場合はインバータによってポンプ回転数を減少させるとともに、前記流路に複数の分岐流路が設けられ、分岐流路毎に前記制御装置により開閉制御される弁を介して固定された流路断面積を有する多孔板を接続して構成される多孔板ユニットの孔数又はスリット数を前記制御装置により前記弁の開閉制御して減少させ、圧力を設定値に維持するようにし、前記流量測定値が算出された排出流量より小の場合はインバータによってポンプ回転数を増加させるとともに前記多孔板ユニットの孔数又はスリット数を前記制御装置により前記弁の開閉制御して増加させ圧力を設定値に維持するようにして、目標の微細気泡生成量に制御する微細気泡の生成方法。
【請求項8】
制御装置において、入力された微細気泡生成量の目標値から、該微細気泡生成量の目標値と、設定したまたは設定圧力から算出した微細気泡含有水の微細気泡の含有率の比により微細気泡含有水の排出流量を算出し、該算出された排出流量と気液二相流の流量測定値を比較し、前記流量測定値が算出された流量より大の場合は、前記流路に複数の分岐流路が設けられ、分岐流路毎に前記制御装置により開閉制御される弁を介して固定された流路断面積を有する多孔板を接続して構成される多孔板ユニットの孔数又はスリット数を前記制御装置により前記弁の開閉制御して減少させ、前記流量測定値が算出された排出流量より小の場合は前記多孔板ユニットの孔数又はスリット数を前記制御装置により前記弁の開閉制御して増加し、インバータによってポンプ回転数を増減させ、圧力を設定値に維持するようにして、目標の微細気泡生成量に制御する微細気泡の生成方法。
【請求項1】
気液二相流の生成装置に接続されたポンプと、該ポンプの回転数を制御するインバータと、前記ポンプの後段で分岐した複数の流路と、該複数の流路の各々に弁を有して接続された固定された流路断面積を有する多孔板ユニットと、前記インバータ及び前記弁の開閉を制御する制御装置とを備え、前記制御装置により、前記複数の分岐流路毎に設けられた前記弁を選択的に開閉制御する微細気泡の生成装置。
【請求項2】
前記流路断面積が複数の同径の孔、孔が連った形状のスリット、領域毎に異なる径の複数の孔のいずれかで形成されている請求項1に記載の微細気泡の生成装置。
【請求項3】
前記流路断面積が複数の同径の孔で形成され、単位表面積当りの孔数が異なるように設けられている請求項1に記載の微細気泡の生成装置。
【請求項4】
前記ポンプと前記多孔板ユニットとの間の流路に圧力タンク、又は流体制御板を設置した請求項1から3のいずれかに記載の微細気泡の生成装置。
【請求項5】
前記ポンプと多孔板ユニットを接続する流路に三方弁を設け、三方弁を切替えた時に逆洗用水を多孔板ユニットの下流側から上流側に流すように三方弁に接続された配管を接続した請求項1から3のいずれかに記載の微細気泡の生成装置。
【請求項6】
制御装置において、入力された微細気泡生成量の目標値から、該微細気泡生成量の目標値と、設定したまたは設定圧力から算出した微細気泡含有水の微細気泡の含有率の比により微細気泡含有水の排出流量を算出し、該算出された排出流量と気液二相流の流量測定値を比較し、前記流量測定値が算出された排出流量より大の場合はインバータによってポンプ回転数を減少させ、前記流量測定値が算出された排出流量より小の場合はインバータによってポンプ回転数を増加させ、圧力の設定値と測定圧力値の偏差が許容値内となるように前記流路に複数の分岐流路が設けられ、分岐流路毎に前記制御装置により開閉制御される弁を介して固定された流路断面積を有する多孔板を接続して構成される多孔板ユニットの孔数又はスリット数を前記制御装置により前記弁の開閉制御して増減少させる微細気泡の生成方法。
【請求項7】
制御装置において、入力された微細気泡生成量の目標値から、該微細気泡生成量の目標値と、設定したまたは設定圧力から算出した微細気泡含有水の微細気泡の含有率の比により微細気泡含有水の排出流量を算出し、該算出された排出流量と気液二相流の流量測定値を比較し、該流量測定値が算出された排出流量より大の場合はインバータによってポンプ回転数を減少させるとともに、前記流路に複数の分岐流路が設けられ、分岐流路毎に前記制御装置により開閉制御される弁を介して固定された流路断面積を有する多孔板を接続して構成される多孔板ユニットの孔数又はスリット数を前記制御装置により前記弁の開閉制御して減少させ、圧力を設定値に維持するようにし、前記流量測定値が算出された排出流量より小の場合はインバータによってポンプ回転数を増加させるとともに前記多孔板ユニットの孔数又はスリット数を前記制御装置により前記弁の開閉制御して増加させ圧力を設定値に維持するようにして、目標の微細気泡生成量に制御する微細気泡の生成方法。
【請求項8】
制御装置において、入力された微細気泡生成量の目標値から、該微細気泡生成量の目標値と、設定したまたは設定圧力から算出した微細気泡含有水の微細気泡の含有率の比により微細気泡含有水の排出流量を算出し、該算出された排出流量と気液二相流の流量測定値を比較し、前記流量測定値が算出された流量より大の場合は、前記流路に複数の分岐流路が設けられ、分岐流路毎に前記制御装置により開閉制御される弁を介して固定された流路断面積を有する多孔板を接続して構成される多孔板ユニットの孔数又はスリット数を前記制御装置により前記弁の開閉制御して減少させ、前記流量測定値が算出された排出流量より小の場合は前記多孔板ユニットの孔数又はスリット数を前記制御装置により前記弁の開閉制御して増加し、インバータによってポンプ回転数を増減させ、圧力を設定値に維持するようにして、目標の微細気泡生成量に制御する微細気泡の生成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
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【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2008−110346(P2008−110346A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23456(P2008−23456)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【分割の表示】特願2005−207961(P2005−207961)の分割
【原出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【分割の表示】特願2005−207961(P2005−207961)の分割
【原出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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