説明

微細気泡発生器、およびそれを用いた微細気泡発生設備

【課題】 製造容易であって簡潔な基本構造からなり、従前のように複数部品を要しないことから生産コストを大幅に削減することができ、しかも気泡発生の安定性にも秀れた微細気泡発生器を提供する。
【解決手段】 中央に流体管路3の放出口31を開口する発生器本体2の固定平滑面21に対し、振動体4の対峙平滑面41を対面配置とし、該振動体の略均衡する複数箇所に、互いの平滑面同士を密閉状する姿勢と、所定の間隙を隔てた姿勢との間で変態可能とする往復動支持機構5を介して連結した微細気泡発生器1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、気泡を生成する技術に関連するあらゆる分野をその技術分野とするものであって、気泡発生器を製造する分野は勿論のこと、その製造に必要とする設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野、その他現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(視 点)
微細気泡(またはマイクロバブル、超微小気泡)を発生させる技術は、高濃度酸素による超微細な気泡を水中に浮遊、吸収させることを可能とし、これによって生成された微細気泡は、発生後次第に水に溶け込み自然消滅して行くという性質をもち、自己加圧効果や帯電作用等を発揮するものであり、汚水処理施設に利用することで、通常の圧送空気による気泡に比較して水中の有機物を強く吸着すると共に、バクテリアに対し高濃度の酸素を供給し、活性化することが可能となるので、汚泥や汚水の浄化能力を大幅に高めることができるものとなる外、池や沼、河川等に発生したコイヘルペスや、あるいは循環型浴槽で発生するレジオネラ菌を無毒化することができ、さらには、高い安全性の確保を必要とする野菜や果物、および魚介類等の生鮮食料品の殺菌、消毒にも有効であり、今後もあらゆる分野での利用が期待されている。
【0003】
(従来の技術)
このように広い分野に渡って有効性が認められている微細気泡の発生技術は、例えば特開2002−159555公報掲載の、ノズル本体において流体内に溶解していた気体が、吐出直前に再気体化してしまう性質をもつが、ノズル本体の吐出直前部位に形成した拡大拡散室内に直径が2ないし4mmの針状体を間隔0.5ないし1mmで密集させたものとすることにより、短時間に拡散と衝突とが行われ、近接する気泡との距離が拡大していくものとしたことにより、再気体化した気泡が成長し難く、微細気泡を効率的に発生させることができるものとした「微細気泡発生装置」中西発明や、特開2003−111810号公報に開示された、ノズルケーシング内にリング形状流路を形成し、その下流側に複数の粒状体を内包した通路を形成したことにより、リング形状流路を通過する際に溶解気体が急激な圧力変化により気化し、ケーシング内壁に衝突して流れの方向を大きく変え、さらに下流側に設けられた複数の粒状体を内包した通路を拡散しながら流れる構造としたことにより、近接する気泡との距離が拡大され、気体化した気泡が成長し難く、微細気泡を効率的に発生させることを可能とした「微細気泡発生装置のノズル」中西・宿里発明等、気泡の微細化技術が既に数多く開発されている。
【0004】
これらの微細気泡の発生装置は、ノズルの吐出口付近に、複数の針状体あるいは粒状体を配したことにより、液体に気体を混合、溶解させた流体を、ノズルから噴出させる際に、再気体化によって発生した気泡同士が互いに接近、結合して粗大化してしまうのを阻止して微細気泡を安定的に発生させるようにしたものであるが、前者ではノズルの吐出口付近に複数の針状体を互いの間隔を正確に規制して配置、固定させる必要があり、また、後者では、複数の粒状体を隙間無く充填するように内包させなければならず、何れの場合にも高い製造精度と、針状体の1本毎あるいは粒状体の1粒毎に及ぶムラの無い生産管理が要求されるものであり、製造や品質管理に要する作業工数や総部品点数の増加等に起因する生産コストの増大が懸念されるものであった。
【特許文献1】(1)特開2002−159555公報 (2)特開2003−111810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(問題意識)
この発明は、以上のように微細気泡を安定して発生させるためには、吐出ノズルの下流側に気泡の粗大化を阻止する部品が必要であり、より微細な気泡を発生させるには、この流路の最終放出部分に、通過する気泡同士を互いに近接しないよう分離させる複数の針状体や粒状体等を配するのが効果的といえるが、こうした微細隙間を確保する部品の製造および品質管理には多大な労力と時間とを費やさざるを得ないこととなり、どうしても生産コストの高騰化を招いてしまうという欠点があることから、何とか従前までのように複数の微細部品を採用せずとも、安定した微細気泡の発生を実現可能とする新たな技術の開発、実用化が求められているというのが実情であった。
【0006】
(発明の目的)
そこで、この発明は、製造容易な簡潔な基本構造からなり、生産コストを大幅に削減することができ、しかも気泡発生の安定性にも秀れた微細気泡発生器を実現することはできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の微細気泡発生器、およびそれを用いた新規な構造の微細気泡発生設備を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述していくこととする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明に包含される微細気泡発生器は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、中央または中央寄りに放出口を開口した固定平滑面を有する発生器本体と、該発生器本体固定平滑面に対して対峙平滑面を平行状に対面配置させるようにした振動体とを、往復動支持機構によって支持されてなる当該振動体側が、その往復動支持機構によって規制された往復動範囲内で振動可能となるように組み合わせてなる構成を要旨とする微細気泡発生器である。
【0008】
より具体的には、所定形状の固定平滑面を有し、該固定平滑面の中央または中央寄りの箇所に放出口を開口するようにした流体管路が配管されてなる発生器本体に対し、該発生器本体固定平滑面の放出口を含む所定範囲を密閉状に閉鎖可能とする面積に設定した対峙平滑面を有する振動体が、夫々の平滑面を平行状に対面配置とした上、該振動体の略均衡する適所において、当該発生器本体固定平滑面に対して同対峙平滑面が密着状となって固定平滑面の放出口を閉鎖状にする姿勢位置と、当該固定平滑面に対して同対峙平滑面が所定間隙を隔てて固定平滑面の放出口を開放状とする姿勢位置との間を、相互繰返し状に変態可能とする往復動支持機構を介して連結されてなるものとした微細気泡発生器ということができる。
【0009】
これを表現を変えて示すと、所定形状の固定平滑面を有し、該固定平滑面の中央または中央寄りの箇所に放出口を開口するようにした流体管路が配管されてなる発生器本体に対し、該発生器本体固定平滑面の放出口を含む所定範囲を密閉状に閉鎖可能とする面積に設定した対峙平滑面を有する振動体が、夫々の平滑面を平行状に対面配置とした上、該振動体の略均衡する適所において、当該発生器本体固定平滑面に対して同対峙平滑面が密着状となって固定平滑面の放出口を閉鎖状にする姿勢位置と、当該固定平滑面に対して同対峙平滑面が所定間隙を隔てて固定平滑面の放出口を開放状とする姿勢位置との間を、相互繰返し状に変態可能とする往復動支持機構を介して連結されてなるものとし、発生器本体流体管路を通じて供給した気液混合流体が、固定平滑面放出口からの連続した吐出で、固定平滑面と対峙平滑面とを許容最大間隔まで離反させ、その間を外縁方向に向けて高速に流出すると、それら気液混合流体の流速によって発生する負圧により、離反していた対峙平滑面が一瞬にして固定平滑面に吸い寄せられて密着状となって固定平滑面放出口を閉鎖してしまい、その対峙平滑面は、次の瞬間、連続的に吐出され続ける気液混合流体圧によって再び強制的に固定平滑面から離反し、以降連続的にそれら変態を繰り返す間に、それら平滑面外周縁から微細気泡を連続的に生成するようにした微細気泡発生器となる。
【0010】
そして、上記した構成のこの発明の微細気泡発生器には、所定形状の固定平滑面を有し、該固定平滑面の中央または中央寄りの箇所に放出口を開口するようにした流体管路が配管されてなるブロック状または肉厚平板状等とした発生器本体に対し、該発生器本体固定平滑面の放出口を含む所定範囲を密閉状に閉鎖可能とする面積に設定した対峙平滑面を有する振動板が、夫々の平滑面を平行状に対面配置とした上、該振動板の略均衡する適所において、当該発生器本体固定平滑面に対して同対峙平滑面が密着状となって固定平滑面の放出口を閉鎖状にする姿勢位置と、当該固定平滑面に対して同対峙平滑面が所定間隙を隔てて固定平滑面の放出口を開放状とする姿勢位置との間を、相互繰返し状に変態可能とする往復動支持機構を介して連結してなる微細気泡発生器が包含されている。
【0011】
さらには、所定形状の固定平滑面を有し、該固定平滑面の中央または中央寄りの箇所に放出口を開口するようにした流体管路が配管されてなる概略肉厚円盤型とした発生器本体に対し、該発生器本体固定平滑面の放出口の周囲を略同心状且つ密閉状に閉鎖可能とする所定円形面積に設定した対峙平滑面を有する振動円板が、夫々の平滑面を平行状に対面配置とした上、該振動円板の略均衡する適所において、当該発生器本体固定平滑面に対して同対峙平滑面が密着状となって固定平滑面の放出口を閉鎖状にする姿勢位置と、当該固定平滑面に対して同対峙平滑面が所定間隙を隔てて固定平滑面の放出口を開放状とする姿勢位置との間を、相互繰返し状に変態可能とする往復動支持機構を介して連結されてなるものとし、発生器本体流体管路を通じて供給した気液混合流体が、固定平滑面放出口からの連続した吐出で、固定平滑面と対峙平滑面と許容最大間隔まで離反させ、その間を外縁方向に向けて高速に流出すると、それら気液混合流体の流速によって発生する負圧により、離反していた対峙平滑面が一瞬にして固定平滑面に吸い寄せられて密着状となって固定平滑面放出口を閉鎖してしまい、その対峙平滑面は、次の瞬間、連続的に吐出され続ける気液混合流体圧によって再び強制的に固定平滑面から離反し、以降連続的にそれら変態を繰り返す間に、それら平滑面外周縁から微細気泡を連続的に生成するようにした微細気泡発生器が含まれる。
【0012】
同様に、略多角錐または円錐形の漏斗状に凹欠形成した固定平滑面を有し、該固定平滑面中央または中央寄りの漏斗形状最深箇所に放出口を開口するようにした流体管路が配管されてなる肉厚円盤型や肉厚箱型等のブロック状とした発生器本体に対し、該発生器本体固定平滑面の放出口の周囲を略同心状且つ密閉状に閉鎖可能とする略多角錐または円錐形の凸型に設定した対峙平滑面を有する振動体が、互いに嵌合状となって夫々の平滑面を平行状に対面配置とした上、該振動体の略均衡する適所において、当該発生器本体固定平滑面に対して同対峙平滑面が密着状となって固定平滑面の放出口を閉鎖状にする姿勢位置と、当該固定平滑面に対して同対峙平滑面が所定間隙を隔てて固定平滑面の放出口を開放状とする姿勢位置との間を、相互繰返し状に変態可能とする往復動支持機構を介して連結してなるものとした構成からなる微細気泡発生器も、この発明の微細気泡発生器に包含されている。
【0013】
これを換言すると、略多角錐または円錐形の凸状に形成した固定平滑面を有し、該固定平滑面中央または中央寄りの突端箇所付近に放出口を開口するようにした流体管路が配管されてなる肉厚円盤型や肉厚箱型等のブロック状とした発生器本体に対し、該発生器本体固定平滑面の放出口の周囲を略同心状且つ密閉状に閉鎖可能とする略多角錐または円錐形の概略底面閉鎖漏斗状に設定した対峙平滑面を有する振動体が、互いに嵌合状となって夫々の平滑面を平行状に対面配置とした上、該振動体の略均衡する適所において、当該発生器本体固定平滑面に対して同対峙平滑面が密着状となって固定平滑面の放出口を閉鎖状にする姿勢位置と、当該固定平滑面に対して同対峙平滑面が所定間隙を隔てて固定平滑面の放出口を開放状とする姿勢位置との間を、相互繰返し状に変態可能とする往復動支持機構を介して連結してなるものとした微細気泡発生器となる。
【0014】
(関連する発明)
上記までの微細気泡発生器に関連し、この発明には、それら微細気泡発生器を用いた微細気泡発生設備も包含しており、その構成は、基本的に以下のとおりのものとなっている。
即ち、前記何れかに記載の微細気泡発生器と、適所に設置され、微細気泡の発生対象となる液体の所定量を収容可能とした液体タンクとを、中途適所にポンプを配した気液混合用配管路で接続し、当該ポンプと液体タンクとの間に、流通する液体中に空気を好適な割合で混合可能とするベンチュリー管を設けると共に、ポンプと微細気泡発生器との間に気液混合流体を一時的に蓄える耐圧タンクを配してなるものとした微細気泡発生設備である。
【発明の効果】
【0015】
以上のとおり、この発明の微細気泡発生器によれば、中央または中央寄りに放出口を開口した固定平滑面を有する発生器本体と、該固定平滑面に対して対峙平滑面を平行状に対面配置させた振動体もしくは振動板とを組み合わせ、往復動支持機構によって支持、規制された往復動範囲内で、当該振動体もしくは振動板を振動可能とする基本的構造を有するものとしたことから、放出口を通じて対峙する平滑面間に連続的に供給された気液混合流体が、外縁方向に向けて放出される過程において高速且つ断続的に発生する負圧状態により、固定平滑面に対し対峙平滑面を高速で微細振動させ、その間隙を通じて微細気泡を安定生成、放出可能とすることができるものとなるので、従来品において気液混合流体放出時の気泡の粗大化を阻止するために必須とされていた複数の針や粒状物等の微細部品あるいは多孔質部品等を一切不要とし、部品構成を簡素化して比較的製造容易なものとすることができる上、当該微細気泡発生器自体の小型・軽量化にも大変有利になるという秀れた特徴が得られることになる。
【0016】
また、この発明の微細気泡発生設備によれば、液体タンクに収容された液体を、ポンプで吸引する過程で、気液混合用配管路に設けられたベンチュリー管により、所定の割合で気体を含有する気液混合流体とし、耐圧タンクに一時的に蓄えて略均等な所定圧力に保ち、その一部ずつを耐圧タンク内から微細気泡発生器に向けて供給可能な構造としたことから、微細気泡発生器で発生する微細気泡の直径および発生量を高い安定性の下で一定且つ連続的に発生させることができ、しかも当該微細気泡発生器自体の比較的簡潔な構造のものとすることができ、耐久性と信頼性とに秀れた微細気泡の生成用設備として大きな効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
発生器本体は、振動体または振動板の対峙平滑面に、平行状に対峙可能な固定平滑面を形成し、対峙平滑面との間に気液混合流体を放出可能とする機能を果たすものであり、振動体の振動に対して相対的に固定状態を維持可能なものとしなければならず、振動体を支持する往復動支持機構を十分な強度で固着できる程度の剛性を有するものとしなければならず、より具体的には、円柱状、肉厚円盤状、箱形あるいは多角形のブロック状等、適宜形状のものとすることが可能であり、その材質も金属製あるいは比較的硬質な合成樹脂製とすることができる。
【0018】
固定平滑面は、その中央または中央寄りの箇所から、平行状に対面させた対峙平滑面との隙間を通じて気液混合流体を放出可能とするものであって、高速で外縁方向に流出する気液混合流体によって対峙平滑面との間に、振動体または振動板を吸着する程度の負圧を瞬間的に発生、可能とする機能を果たすものであって、比較的高精度な鏡面状の表面粗さに仕上げられたものとすべきである。
【0019】
流体管路は、発生器本体の固定平滑面が形成された部分を除く側壁適所から、供給された所定圧力の気液混合流体を、固定平滑面の中央または中央付近に開口した放出口から放出可能とする機能を果たし、振動体または振動板を、微細気泡の発生に好適な速度で往復動可能とするに十分な流量を確保できる内径寸法としなければならず、その放出口の口径は、気液混合流体の供給圧力や粘性、質量あるいは振動体または振動板の形状および質量、管路内壁面の粗さや放出口の形状、固定平滑面と対峙平滑面の対向面積や、対峙する平滑面の表面粗さ等様々な要因に応じて、微細気泡の発生に好適な寸法に設定すべきであり、具体的には例えば、気液混合流体の供給圧力が放出口付近で0.4Mpa、平滑面対峙面積が12mmの場合には放出口の口径を0.6mm前後とし、また、同じ供給圧力であっても平滑面対峙面積が70mmの場合には、放出口の口径を5mm、さらにまた同じ供給圧力の下であって平滑面対峙面積が105mmの場合の、放出口の口径は6mmに設定するのが望ましい。
また、流体管路は、その中途適所に、閉鎖用密閉キャップや開閉バルブ等によって開放可能に閉鎖された別の流体用回路を通じて外部から供給される気液混合流体を、放出口まで流通可能とする1もしくは2以上の予備バイパス管路を準備、形成したものとすることができる。
【0020】
振動体は、発生器本体固定平滑面の放出口を含む所定範囲を密閉状に閉鎖可能とする対峙平滑面を形成し、放出口から比較的高速且つ連続的に吐出される気液混合流体が通過する過程で発生する負圧の作用を受けて、発生器本体の固定平滑面に対して対峙平滑面が密着状となり、固定平滑面の放出口を閉鎖状とする姿勢位置と、気液混合流体の突出圧力によって固定平滑面に対して対峙平滑面が、所定間隙を隔てて固定平滑面の放出口を開放状とする姿勢位置との間で、相互繰返し状に変態、可能となって比較的高速度で振動し、両平滑面の対峙面外縁側に微細気泡を発生可能とする機能を果たすものであり、振動に有利な比較的軽量且つ比較的硬質な素材から形成された、円盤状、多角板状等の板型、あるいは球面状、半球状、円錐状、多角錐状、柱状、箱状等のブロック型といった外郭形状としたものとすることが可能である。
【0021】
対峙平滑面は、振動体の発生器本体固定平滑面の放出口を含む範囲に渡り、密閉状に対峙可能となり、放出口から吐出される高速の気液混合流体によって発生する負圧を受けて固定平滑面に吸着状となり、放出の瞬間に気液混合流体中に発生した気泡を分断状として粗大化してしまうのを悉く阻止可能とする機能を果たすものであり、発生器本体固定平滑面の対面箇所と略同じ形状か、もしくは平滑面間の最大許容間隔に相当する寸法分、僅かに小さな相似形状とすべきであり、固定平滑面と同等かそれ以上の精度で鏡面可能を施したものとするのが望ましい。
【0022】
往復動支持機構は、発生器本体に対する振動体または振動板の往復移動範囲を規制するものであって、固定平滑面とこれに平行状に対面する対峙平滑面との間の許容最大間隔(所望直径の微細気泡を発生するのに好適な瞬間的最大間隔)を規制する機能を果たすものであり、対峙平滑面が固定平滑面に対して密着状となり、固定平滑面に開口された放出口を閉鎖状とする姿勢位置と、固定平滑面に対して許容最大間隔を隔てて放出口を開放状とする姿勢位置との間を自在に往復動可能とするよう規制、支持するものとしなければならず、例えば、複数本の短尺柱状体からなり、それら各基端を、振動体もしくは振動板の外縁より僅かに外側であって互いに均衡する配置となる発生器本体各所に夫々固着し、各柱状体は、固定平滑面の放出口を開放状とした際の、固定平滑面と対峙平滑面との間隙寸法に、振動体もしくは振動板の対峙平滑面から、同外縁対応箇所までの厚さ寸法を加えた突出寸法に設定され、それら各先端には、振動体もしくは振動板の外縁対応箇所に、発生器本体からの離脱を阻止する向きに係合する鈎部を形成したものとすることができる。
【0023】
また、往復動支持機構は、発生器本体の振動体もしくは振動板の重心付近に対応する箇所、および/または振動体もしくは振動板の互いに均衡する配置となる複数箇所夫々に設けられ、固定平滑面の放出口を開放状とした際の、固定平滑面と対峙平滑面との許容最大間隙寸法を変更、調節可能とする間隙調節機構を併設したものとすることが可能であり、これをより具体的に示すと、複数本の短尺柱状体からなり、それら各基端を、振動体もしくは振動板の外縁より僅かに外側であって互いに均衡する配置となる発生器本体各所に夫々固着し、各柱状体は、固定平滑面の放出口を開放状とした際の、固定平滑面と対峙平滑面との許容最大間隙寸法に、振動体もしくは振動板の対峙平滑面から、同外縁対応箇所までの厚さ寸法を加えた突出寸法に設定され、それら各先端には、振動体もしくは振動板の外縁対応箇所に、発生器本体からの離脱を阻止する向きに係合する鈎部を形成すると共に、各短尺柱状体の発生器本体各所への固着部分か、あるいは各短尺柱状体の中途適所か、もしくは各鈎部付近かの何れか適所に、各短尺柱状体の突出寸法を伸縮・仮固定可能とする間隙調節機構を併設したものとすることができるものである。
【0024】
微細気泡発生設備は、微細気泡発生のための液体中に、微細気泡を発生させるに好適な割合となる量の気体を混合し、微細気泡の発生に好適な所定圧力まで高めた気液混合流体を、所望する箇所に設置した微細気泡発生器に連続的に供給可能とする機能を果たすものであり、予め気液混合流体を所定圧力で収容、密封した耐圧タンクのみから形成することが可能であり、また、液体タンクと微細気泡発生器とを接続する配管途中適所に、通過液体中に気体を好適な割合で混合可能な気液混合器およびポンプを夫々配設したものとすることができる外、微細気泡発生器と、適所に設置され、微細気泡の発生対象となる液体の所定量を収容可能とした液体タンクとを、中途適所にポンプを配した気液混合用配管路で接続し、当該ポンプと液体タンクとの間に、流通する液体中に空気を好適な割合で混合可能とするベンチュリー管を設けると共に、ポンプと微細気泡発生器との間に気液混合流体を一時的に蓄える耐圧タンクを配したものとすることができる。
【0025】
液体タンクは、液体の所定量を収容する機能を有するものであり、収容する液体の性質に応じて、急激な蒸発や不要な化学変化等による変質等を発生しないよう保存可能とする密閉構造としたり、冷却、加熱あるいは保温機能等を付加したものとすることができる。
ポンプは、気液混合流体に所望の圧力を加えるものであり、圧送する気液混合流体の性質に応じて適宜選択することが可能であって、具体的にはプランジャポンプ、ピストンポンプ、ウイングポンプ、ジャネーポンプ等を始めとする往復ポンプや、ベーンポンプ、歯車ポンプ、三葉ポンプ等の回転ポンプ、ウエスコポンプ、ネジ形ポンプ、噴流ポンプ等の特殊ポンプ、あるいは、うず巻ポンプや軸流ポンプ等の外、必要圧力に加圧可能なポンプであれば何れも採用可能であって、同等の機能を発揮するものであれば、各種コンプレッサを使用することも不可能ではない。
【0026】
気液混合用配管路は、液体タンクから微細気泡発生器までの液体ならびに気液混合流体を流動可能とするものであり、中途適所の夫々に気液混合器であるベンチュリー管、ポンプや耐圧タンクおよびその外のバルブ、計器類等を接続、配置したものとすることができ、十分な耐圧性を有するものとしなければならず、耐圧タンクと微細気泡発生器とを繋ぐ範囲では、圧力が比較的一定に保たれるので、例えば数mないし数十m程度の長さに延長することが可能である。
【0027】
ベンチュリー管は、好適な割合で液体中に気体を混合させるものであり、ポンプによる吸引力もしくは圧送力を受けて流動する液体中に、所定の割合で気体を混合できるものであればよく、同等の機能を発揮するものであれば、置き換え使用が可能であって例えば、液体が流れる管路内にノズル先端を挿し込んでなるインジェクションポンプ等を用いて気液を混合するものとすることも可能である。
【0028】
微細気泡の発生対象となる液体および気体は、基本的に水と空気、あるいは水と酸素や窒素、オゾン等といった組合せが中心となるものの、微細気泡を必要とする対象によっては特にこれらに限定されるものではなく、使用目的に応じて様々な液体や気体を選択、組合せにして利用することが可能となることは言うまでもないことである。
以下、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述していくこととする。
【実施例1】
【0029】
図1の発生器本体側から見た微細気泡発生器の斜視図、図2の振動円板側から見た微細気泡発生器の斜視図、図3の振動円板側から見た微細気泡発生器の平面図、および図4の図3中A−A線部分で断面化した微細気泡発生器の断面図、に示される事例は、円形状の固定平滑面21を有し、該固定平滑面21の中央に放出口31を開口する流体管路3を有する概略肉厚円盤型とした発生器本体2に対し、該発生器本体2固定平滑面21の放出口31の周囲を略同心状且つ密閉状に閉鎖可能とする円形の対峙平滑面41を有する振動円板4が、互いの平滑面21,41を平行状に対面配置とした上、該振動円板4周囲の略均衡する三箇所において、当該発生器本体2固定平滑面21に対して同対峙平滑面41が密着状となって固定平滑面21の放出口31を閉鎖状にする姿勢位置と、当該固定平滑面21に対して同対峙平滑面41が所定間隙を隔てて固定平滑面21の放出口31を開放状とする姿勢位置との間を、相互繰返し状に変態可能とする往復動支持機構5を介して連結されてなる、この発明に包含される微細気泡発生器1における代表的な一実施例を示すものである。
【0030】
当該微細気泡発生器1は、図1ないし図4に示すように、基本的に概略肉厚円盤状の発生器本体2と、これに装着された振動体としての振動円板4とから形成されており、当該発生器本体2は、ポリカーボネート、アクリル、FRP等の必要な耐圧性を確保可能な合成樹脂、あるいはステンレスやアルミニウム等の合金を含む金属やセラミックス等からなる直径約120mm、厚さ約10mmの肉圧円盤状とされ、その一側面が、1/100mmないし1/1000mm程度の鏡面仕上げによって固定平滑面21とされ、該固定平滑面21とは反対側となる他側面中央には、配管接続用の接続金具22が短尺円柱状に突設され、該接続金具22の上端面から固定平滑面21の中心に向けて、図4中に示すように、直線状の流体管路3が穿設され、固定平滑面2の中央に開口された円形の放出口31は、直径5mmに設定されたものとなっており、該流体管路3の中途部には、径方向に連通され、当該発生器本体2の外周壁面に開口する端部に、着脱可能な密閉キャップ33を装着した予備バイパス管路32が形成されたものとなっている。
【0031】
発生器本体2の固定平滑面21には、直径約105mm、厚さ約1mmのアクリル板製か、あるいは直径105mm、厚さ2mmのステンレス板製か、何れかの振動円板4が、何れか一方の側壁面に、固定平滑面21と同程度の精度で鏡面仕上げされ、形成された対峙平滑面41を、重ね合わせ状態に配置され、実質的に放出口31を中心とする直径105mmの円形面積範囲に渡り、該対峙平滑面41を、平行状配置させたものとし、該振動円板4外周縁の僅かに外側であって、周囲120゜毎の均衡する位置に相当する固定平滑面21に、往復動支持機構5を形成する略円柱型の短尺柱状体51,51,51を夫々一体的に突設し、それら短尺柱状体51,51,51の各先端には、振動円板4の外縁に係合する小円盤状の鈎部52,52,52を一体形成したものとなっており、各鈎部52,52,52は、振動円板4を発生器本体2に係止状に保持するものであり、固定平滑面21と対峙平滑面41との間隙寸法を、0ないし0.5mmの間に制限するものとなっている。
【0032】
往復動支持機構5は、図7の往復動支持機構要部の断面図に示すように、鈎部52が六角ボルトの頭部であり、短尺柱状体51が六角ボルトの雄ネジ部分からなり、発生器本体2取付け対応箇所の肉厚方向に穿設されたネジ孔23に対して螺着し、固定平滑面21とは反対側に突出した雄ネジ部分に、ワッシャー24およびロックナット25を螺着し、必要に応じて振動円板4対峙平滑面41と固定平滑面21との隙間寸法Gを調節、仮固定可能な間隙調節機構53としての機能を兼ね備えたものとすることができる。
【0033】
また、発生器本体2の固定平滑面21は一平面状に形成したものの外に、図8の形状を変えた微細気泡発生器の断面図に示すように、漏斗状に形成することが可能であり、これに対峙する振動体4の対峙平滑面41も、略全面に渡り均質な隙間を形成可能な円錐状のものとする必要があり、さらに、固定平滑面21を略同様の断面形状となる多角形の漏斗状に形成し、これに対応する対峙平滑面41を多角錐状に形成することも可能である。また同図8中には、往復動支持機構5は、図示していないが、固定平滑面21中央に開口された流体管路3放出口31を同心状に貫き、適宜突設状に支持された一本の支持柱によって、0ないし0.5mmの往復動に制限するものとすることができる。
【実施例2】
【0034】
図9のベンチュリー管の断面図、および図10の微細気泡発生設備の配管図に示される事例は、微細気泡発生器1と、適所に設置され、微細気泡の発生対象となる液体の所定量を収容可能とした液体タンク61とを、中途適所にポンプ66を配した気液混合用配管路62で接続し、該ポンプ66と液体タンク61との間に、ベンチュリー管65を設けると共に、ポンプ66と微細気泡発生器1との間に耐圧タンク67を配したものとしてなる、この発明に包含される微細気泡発生設備6における代表的な一実施例を示すものである。
【0035】
当該微細気泡発生設備6の液体タンク61は、所定時間に渡って十分な液体を気液混合用配管路62に供給可能とするに十分な容量を有する容器であって、微細気泡の発生対象となる液体が、水である場合には、図10中に示すように、上部開放型の水槽とすることが可能であり、該液体タンク61内に吸入端を延伸させた、耐圧性を有する気液混合用配管路62は、中途適所の夫々に各種の部品を介在させて配管され、その吐出端に微細気泡発生器1を接続したものとなっている。
【0036】
気液混合用配管路62の中間位置付近には、0.4Mpaの圧力を発生可能なポンプ66を設け、液体タンク61とポンプ66との間には、気液混合用配管路62吸入端側から順次、開閉バルブ63、流量計64およびベンチュリー管65を配設し、当該ベンチュリー管6は、上流側の気液混合用配管路62から流入した液体が、図9中に示すように、内径を絞り込んだ部分を白抜き矢印で示す方向に流通する際に負圧が発生し、破線矢印で示す方向から所望割合の気体を自動的に吸引、混合して同図中の破線白抜き矢印で示すように、下流側の気液混合用配管路62へ向けて気液混合流体を吐出するものとなっており、より具体的には、気液混合用配管路62中を流通する水に、所定割合の空気を混合することができる外、必要に応じて酸素や窒素その外の気体ボンベを接続し、それら供給される気体を、流通する水またはその外の液体に混合するものとすることが可能である。
【0037】
気液混合用配管路62のポンプ66よりも吐出端側となる中途適所には、ベンチュリー管65によって気液混合された流体を一時的に蓄えることのできる耐圧タンク67が設けられ、吐出端に設けられた微細気泡発生器1に向けて、0.4Mpaの圧力に加圧された気液混合流体を、安定吐出可能なものとなっており、特に、耐圧タンク67から微細気泡発生器1までの気液混合用配管路62範囲部分を、液体タンク61から耐圧タンク67までの配管寸法に比較して十分に長い配管寸法に設定することが可能であり、さらに、耐圧性を有する軟質パイプで接続し、微細気泡発生器1の配置を、ある程度自由に設定、および変更可能なものとすることができる。
【0038】
(実施例の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明の微細気泡発生器1は、図1ないし図4中の流体管路3の接続金具22側端部を通じて、水と空気を所定の割合で混合した気液混合流体を凡そ0.4Mpaの圧力で安定的に供給されると、流体管路3中に流入した気液混合流体は、図5の対峙する平滑面間を気液混合流体が流出する微細気泡発生器の概念的断面図中に、白抜き矢印で示されるように、固定平滑面21の中央付近であって対峙平滑面41の中心に臨む放出口31から、高速で放出されることとなり、この瞬間において振動円板4は、対峙平滑面41以外の周壁面に加わる外圧(大気圧もしくは水圧等)を受けているが、気液混合流体の放出圧力が勝っているので、対峙平滑面41は固定平滑面21から離脱する方向に移動されることとなり、図1ないし図4中に示す、往復動支持機構5の各鈎部52,52,52に振動円板4の対応外縁部分が係合されて、対峙平滑面41と固定平滑面21との間隙寸法が、最大で0.5mmに制限され、対峙平滑面41の略全周外縁付近から、微細気泡が放出されることとなる。
【0039】
このように微細気泡が放出された次の瞬間には、高速で流出して行く気液混合流体によって固定平滑面21と対峙平滑面41との空間が急激に減圧され、図6の平滑面が密閉状となった微細気泡発生器の概念的断面図中に示されるように、外圧を受けた振動円板4が発生器本体2側に接近し、固定平滑面21と対峙平滑面41とが互いに密着状の姿勢位置となって放出口31を瞬間的に閉鎖してしまうこととなり、図5および図6中に黒塗矢印で示すように、振動円板4が発生器本体2に対し、高速で往復振動して固定平滑面21と対峙平滑面41との間隔寸法が、高速且つ連続的に0ないし0.5mmの間で開閉状の動作を繰り返すことにより、気液混合流体中の気体が、微細気泡発生器1から放出される際に、直径が一様に揃った約10ないし70μm程度の微細気泡(マイクロバブル)が発生するものとなる。
【0040】
また、図7中に示したように、往復動支持機構5に間隙調節機構53としての機能をもたせたことにより、各短尺柱状体51,51,51のネジ孔23,23,23への螺合状態を適宜調節し直すことで、固定平滑面21と対峙平滑面41との最大許容間隔寸法Gを変更することが可能であり、発生する微細気泡の直径を微調整したり、あるいは気液混合流体の供給圧力と振動円板4の振動状態を調整して最適化すること等が可能となる。
【0041】
さらにまた、図8に示した微細気泡発生器1によっても、同図中の白抜き矢印で示されるように、流体管路3を通じて気液混合流体を所定圧力で供給することにより、漏斗状の固定平滑面21と、これに対峙して0ないし0.5mmの往復移動範囲で振動する円錐状の対峙平滑面41との間から、同様の微細気泡を生成することが可能である。
【0042】
前述のような構成とした微細気泡発生器1を使用した微細気泡発生設備6は、図9および図10に示した構造とすることによって液体タンク61内に貯えられた水をポンプ66で吸引、圧送する過程において、ベンチュリー管56を通過させることにより、発生した負圧を利用して、図9中に矢印で示すように、所定割合の空気を混合し、その気液混合流体を耐圧タンク67に供給、蓄積するものとなり、液体タンク61からの水の供給量は、流量計64で確認しながら、開閉バルブ63によって制御することが可能である。
耐圧タンク67から送出された気液混合流体は、0.4Mpaの一定圧力に保たれて気液混合用配管路62の吐出端に接続された微細気泡発生器1に供給され、該微細気泡発生器1を例えば、図10中に示すように、水で満たされた水槽68内に没するよう配置することにより、水槽68内の水中に空気を含んだ大量の微細気泡を放出、供給することが可能となり、例えば、水中生物の飼育や養殖あるいは下水処理用浄化槽の好気的微生物への酸素供給等を含む、その外の様々な用途への効果的利用に好都合なものとなる。
【0043】
(実施例の効果)
以上のような構成からなる実施例の微細気泡発生器1は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、発生器本体2および振動体または振動板4の夫々を、概略円板状もしくは円錐状の外郭形状としたことにより、ブロック状の部品に比較して高精度を得やすい旋盤を用いて発生器本体2の固定平滑面21ならびに振動円板4の対峙平滑面41の双方を、鏡面加工することができるので、比較的廉価にて製造することが可能であり、しかも流体管路3や予備バイパス管路32の構造も比較的簡素で、加工が容易であることから、従来型のものに比較して製造コストを大幅に削減することができるものとなる。
【0044】
また、予備バイパス管路32を設けたことにより、流体管路3に異物が詰まり、気液混合流体の供給ができなくなった場合にも、密閉キャップ33を取り外して気液混合用配管路62吐出端を接続することにより、速やかに修復して通常道理の使用が可能となる。さらに、図7中に示したように間隙調節機構53を形成することにより、固定平滑面21と対峙平滑面41との最大許容隙間寸法Gを簡便に変更することが可能となり、発生気泡の直径を微調整したり、あるいは気液混合流体の異なる供給圧力に応じて、振動体4の往復移動状態を適宜、調節することが可能となり、様々な条件に自在に応じて迅速に不具合を解消し、常時良好な作動を得ることができるものとなる。
【0045】
前述のように構成した実施例の微細気泡発生設備6は、中途適所にポンプ66を有し、液体タンク61と微細気泡発生器1とを結ぶ気液混合用配管路62の液体タンク61とポンプ66との間に、比較的簡潔な構造からなるベンチュリー管65を配したものとすることにより、気液混合用の構造部分を複雑化させることなく、所望の割合で気液を比較的正確に混合することが可能である上、ポンプ66と微細気泡発生器1との間に、耐圧タンク67を設けたことにより、ポンプ66で加圧された気液混合流体を、十分な圧力を保ったまま耐圧タンク67中に蓄えて置き、微細気泡を発生する時間に渡って微細気泡発生器1に向けて一定圧力の気液混合流体を、安定して供給することができるものとなり、起動直後から質的にも量的にも安定した微細気泡を生成することができるという利点を得られることになる。
【0046】
(結 び)
叙述の如く、この発明の微細気泡発生器、およびそれを用いた微細気泡発生設備は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの、多数の針や粒状物等の微小部品を使用した微細気泡の発生装置に比較して大幅に部品点数を削減し、簡素化された部品構成としたことにより、遥かに経済的に生産することが可能となり、生産コストを大幅に削減して比較的低廉に市場供給することができる上、汎用性が高く、耐久性にも秀れているので、微細気泡を利用した電気、機械、建設、農林、水産業等を含むあらゆる分野において様々な用途に利用できる可能性が広がり、多方面の業界から高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図面は、この発明の微細気泡発生器、およびそれを用いた微細気泡発生設備の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】微細気泡発生器の構造を示す斜視図である。
【図2】微細気泡発生器の振動体装着状態を示す斜視図である。
【図3】振動体側から見た微細気泡発生器を示す平面図である。
【図4】微細気泡発生器の図3中におけるA−A線部分を示す断面図である。
【図5】平滑面間を流出する気液混合流体を概念的に示す断面図である。
【図6】放出口を閉鎖する対峙平滑面を概念的に示す断面図である。
【図7】間隙調節機構の具体的構造の一例を示す断面図である。
【図8】形状の異なる微細気泡発生器を示す断面図である。
【図9】ベンチュリー管の構造を示す断面図である。
【図10】微細気泡発生設備の構造を概略的に示す配管図である。
【符号の説明】
【0048】
1 微細気泡発生器
2 発生器本体
21 同 固定平滑面
22 同 接続金具
23 同 ネジ孔
3 流体管路
31 同 放出口
32 同 予備バイパス管路
33 同 密閉キャップ
4 振動円板(振動板、振動体)
41 同 対峙平滑面
5 往復動支持機構
51 同 短尺柱状体
52 同 鈎部
53 同 間隙調節機構
6 微細気泡発生設備
61 同 液体タンク
62 同 気液混合用配管路
63 同 開閉バルブ
64 同 流量計
65 同 ベンチュリー管
66 同 ポンプ
67 同 耐圧タンク
68 同 水槽
G 最大許容隙間寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央または中央寄りに放出口を開口した固定平滑面を有する発生器本体と、該発生器本体固定平滑面に対して対峙平滑面を平行状に対面配置させるようにした振動体とを、往復動支持機構によって支持されてなる当該振動体側が、その往復動支持機構によって規制された往復動範囲内で振動可能となるように組み合わせてなるものとしたことを特徴とする微細気泡発生器。
【請求項2】
所定形状の固定平滑面を有し、該固定平滑面の中央または中央寄りの箇所に放出口を開口するようにした流体管路が配管されてなる発生器本体に対し、該発生器本体固定平滑面の放出口を含む所定範囲を密閉状に閉鎖可能とする面積に設定した対峙平滑面を有する振動体が、夫々の平滑面を平行状に対面配置とした上、該振動体の略均衡する適所において、当該発生器本体固定平滑面に対して同対峙平滑面が密着状となって固定平滑面の放出口を閉鎖状にする姿勢位置と、当該固定平滑面に対して同対峙平滑面が所定間隙を隔てて固定平滑面の放出口を開放状とする姿勢位置との間を、相互繰返し状に変態可能とする往復動支持機構を介して連結してなるものとしたことを特徴とする微細気泡発生器。
【請求項3】
所定形状の固定平滑面を有し、該固定平滑面の中央または中央寄りの箇所に放出口を開口するようにした流体管路が配管されてなる発生器本体に対し、該発生器本体固定平滑面の放出口を含む所定範囲を密閉状に閉鎖可能とする面積に設定した対峙平滑面を有する振動体が、夫々の平滑面を平行状に対面配置とした上、該振動体の略均衡する適所において、当該発生器本体固定平滑面に対して同対峙平滑面が密着状となって固定平滑面の放出口を閉鎖状にする姿勢位置と、当該固定平滑面に対して同対峙平滑面が所定間隙を隔てて固定平滑面の放出口を開放状とする姿勢位置との間を、相互繰返し状に変態可能とする往復動支持機構を介して連結してなるものとし、発生器本体流体管路を通じて供給した気液混合流体が、固定平滑面放出口からの連続した吐出で、固定平滑面と対峙平滑面とを許容最大間隔まで離反させ、その間を外縁方向に向けて高速に流出すると、それら気液混合流体の流速によって発生する負圧により、離反していた対峙平滑面が一瞬にして固定平滑面に吸い寄せられて密着状となって固定平滑面放出口を閉鎖してしまい、その対峙平滑面は、次の瞬間、連続的に吐出され続ける気液混合流体圧によって再び強制的に固定平滑面から離反し、以降連続的にそれら変態を繰り返す間に、それら平滑面外周縁から微細気泡を連続的に生成するようにしてなるものとしたことを特徴とする微細気泡発生器。
【請求項4】
所定形状の固定平滑面を有し、該固定平滑面の中央または中央寄りの箇所に放出口を開口するようにした流体管路が配管されてなるブロック状または肉厚平板状等とした発生器本体に対し、該発生器本体固定平滑面の放出口を含む所定範囲を密閉状に閉鎖可能とする面積に設定した対峙平滑面を有する振動板が、夫々の平滑面を平行状に対面配置とした上、該振動板の略均衡する適所において、当該発生器本体固定平滑面に対して同対峙平滑面が密着状となって固定平滑面の放出口を閉鎖状にする姿勢位置と、当該固定平滑面に対して同対峙平滑面が所定間隙を隔てて固定平滑面の放出口を開放状とする姿勢位置との間を、相互繰返し状に変態可能とする往復動支持機構を介して連結してなるものとしたことを特徴とする微細気泡発生器。
【請求項5】
所定形状の固定平滑面を有し、該固定平滑面の中央または中央寄りの箇所に放出口を開口するようにした流体管路が配管されてなる概略肉厚円盤型とした発生器本体に対し、該発生器本体固定平滑面の放出口の周囲を略同心状且つ密閉状に閉鎖可能とする所定円形面積に設定した対峙平滑面を有する振動円板が、夫々の平滑面を平行状に対面配置とした上、該振動円板の略均衡する適所において、当該発生器本体固定平滑面に対して同対峙平滑面が密着状となって固定平滑面の放出口を閉鎖状にする姿勢位置と、当該固定平滑面に対して同対峙平滑面が所定間隙を隔てて固定平滑面の放出口を開放状とする姿勢位置との間を、相互繰返し状に変態可能とする往復動支持機構を介して連結してなるものとし、発生器本体流体管路を通じて供給した気液混合流体が、固定平滑面放出口からの連続した吐出で、固定平滑面と対峙平滑面と許容最大間隔まで離反させ、その間を外縁方向に向けて高速に流出すると、それら気液混合流体の流速によって発生する負圧により、離反していた対峙平滑面が一瞬にして固定平滑面に吸い寄せられて密着状となって固定平滑面放出口を閉鎖してしまい、その対峙平滑面は、次の瞬間、連続的に吐出され続ける気液混合流体圧によって再び強制的に固定平滑面から離反し、以降連続的にそれら変態を繰り返す間に、それら平滑面外周縁から微細気泡を連続的に生成するようにしてなるものとしたことを特徴とする微細気泡発生器。
【請求項6】
略多角錐または円錐形の漏斗状に凹欠形成した固定平滑面を有し、該固定平滑面中央または中央寄りの漏斗形状最深箇所に放出口を開口するようにした流体管路が配管されてなる肉厚円盤型や肉厚箱型等のブロック状とした発生器本体に対し、該発生器本体固定平滑面の放出口の周囲を略同心状且つ密閉状に閉鎖可能とする略多角錐または円錐形の凸型に設定した対峙平滑面を有する振動体が、互いに嵌合状となって夫々の平滑面を平行状に対面配置とした上、該振動体の略均衡する適所において、当該発生器本体固定平滑面に対して同対峙平滑面が密着状となって固定平滑面の放出口を閉鎖状にする姿勢位置と、当該固定平滑面に対して同対峙平滑面が所定間隙を隔てて固定平滑面の放出口を開放状とする姿勢位置との間を、相互繰返し状に変態可能とする往復動支持機構を介して連結してなるものとしたことを特徴とする微細気泡発生器。
【請求項7】
略多角錐または円錐形の凸状に形成した固定平滑面を有し、該固定平滑面中央または中央寄りの突端箇所付近に放出口を開口するようにした流体管路が配管されてなる肉厚円盤型や肉厚箱型等のブロック状とした発生器本体に対し、該発生器本体固定平滑面の放出口の周囲を略同心状且つ密閉状に閉鎖可能とする略多角錐または円錐形の概略底面閉鎖漏斗状に設定した対峙平滑面を有する振動体が、互いに嵌合状となって夫々の平滑面を平行状に対面配置とした上、該振動体の略均衡する適所において、当該発生器本体固定平滑面に対して同対峙平滑面が密着状となって固定平滑面の放出口を閉鎖状にする姿勢位置と、当該固定平滑面に対して同対峙平滑面が所定間隙を隔てて固定平滑面の放出口を開放状とする姿勢位置との間を、相互繰返し状に変態可能とする往復動支持機構を介して連結してなるものとしたことを特徴とする微細気泡発生器。
【請求項8】
往復動支持機構が、複数本の短尺柱状体からなり、それら各基端を、振動体もしくは振動板の外縁より僅かに外側であって互いに均衡する配置となる発生器本体各所に夫々固着し、各柱状体は、固定平滑面の放出口を開放状とした際の、固定平滑面と対峙平滑面との間隙寸法に、振動体もしくは振動板の対峙平滑面から、同外縁対応箇所までの厚さ寸法を加えた突出寸法に設定され、それら各先端には、振動体もしくは振動板の外縁対応箇所に、発生器本体からの離脱を阻止する向きに係合する鈎部を形成したものとしてなる、請求項1ないし7何れか一項記載の微細気泡発生器。
【請求項9】
往復動支持機構が、発生器本体の振動体もしくは振動板の重心付近に対応する箇所、および/または振動体もしくは振動板の互いに均衡する配置となる複数箇所夫々に設けられ、固定平滑面の放出口を開放状とした際の、固定平滑面と対峙平滑面との許容最大間隙寸法を変更、調節可能とする間隙調節機構を併設したものとしてなる、請求項1ないし7何れか一項記載の微細気泡発生器。
【請求項10】
往復動支持機構が、複数本の短尺柱状体からなり、それら各基端を、振動体もしくは振動板の外縁より僅かに外側であって互いに均衡する配置となる発生器本体各所に夫々固着し、各柱状体は、固定平滑面の放出口を開放状とした際の、固定平滑面と対峙平滑面との許容最大間隙寸法に、振動体もしくは振動板の対峙平滑面から、同外縁対応箇所までの厚さ寸法を加えた突出寸法に設定され、それら各先端には、振動体もしくは振動板の外縁対応箇所に、発生器本体からの離脱を阻止する向きに係合する鈎部を形成すると共に、各短尺柱状体の発生器本体各所への固着部分か、あるいは各短尺柱状体の中途適所か、もしくは各鈎部付近かの何れか適所に、各短尺柱状体の突出寸法を伸縮・仮固定可能とする間隙調節機構を併設したものとしてなる、請求項1ないし7何れか一項記載の微細気泡発生器。
【請求項11】
流体管路は、その中途適所に、開放可能に閉鎖された別の流体用回路を通じて外部から供給される気液混合流体を、放出口まで流通可能とする予備バイパス管路を準備、形成してなるものとした、請求項1ないし10何れか一項記載の微細気泡発生器。
【請求項12】
請求項1ないし11何れか一項に記載の微細気泡発生器と、適所に設置され、微細気泡の発生対象となる液体の所定量を収容可能とした液体タンクとを、中途適所にポンプを配した気液混合用配管路で接続し、当該ポンプと液体タンクとの間に、流通する液体中に空気を好適な割合で混合可能とするベンチュリー管を設けると共に、ポンプと微細気泡発生器との間に気液混合流体を一時的に蓄える耐圧タンクを配してなるものとしたことを特徴とする微細気泡発生設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−81982(P2006−81982A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267558(P2004−267558)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(304037751)
【Fターム(参考)】