説明

微細気泡発生装置

【課題】簡単な構成で、均一な微細気泡を高濃度に発生させることが可能な微細気泡発生装置を提供する。
【解決手段】マイクロバブル発生装置1は、水と空気とが流通するための流路と、流路に水を取り込むための取水口101と、取水口101から取り込まれた水を加圧して流路内に送水するための加圧ポンプ110と、取水口101と加圧ポンプ110との間に配置され、流路内に空気を供給するための空気取り込み量調節弁120と、加圧ポンプ110において加圧された水と空気をさらに第1の圧力まで加圧するための第1気泡水加圧タンク130と、第1気泡水加圧タンク130において加圧された水と空気をさらに第2の圧力まで加圧するための第2気泡水加圧タンク140と、第2気泡水加圧タンク140において加圧された水と空気を減圧するための減圧調整コック150とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、微細気泡発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水中に3〜30μm径の微細気泡、すなわち、マイクロバブルを発生させることによって水を浄化したり、マイクロバブルを含む水を用いて野菜や牡蠣等の物体や動物を洗浄したりすることが知られている。マイクロバブルを含む水を発生させる装置としては、コンプレッサーを用いて高圧状態の加圧タンク内で水中に空気を溶解させ、その後減圧して気泡を発生させる装置がある。
【0003】
また、例えば、特開2005−882号公報(特許文献1)に記載のマイクロバブル発生装置では、コンプレッサーを使用せずにマイクロバブルを発生させている。このマイクロバブル発生装置では、ポンプの吸込管と吐出管の両方にマイクロバブル発生ノズルを取り付けて、加圧タンク内に微細な気泡を供給して、加圧タンク内で加圧して気泡を水中に溶解させる。その後、空気が溶解した水が加圧タンクから吐出管を通って蛇口等で大気開放された時点で、水中にマイクロバブルが発生する。
【特許文献1】特開2005−882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特開2005−882号公報(特許文献1)に記載のマイクロバブル発生装置では、水中に溶解しない余剰空気が水と分離して水の上方に集まり、加圧タンク内に余剰空気が溜まる。加圧タンク内に余剰空気が溜まると、加圧タンク内の水を減圧するときにマイクロバブルの発生が不安定になったり、マイクロバブルの大きさが不均一になったりする。そのため、加圧タンクに定水位弁を配置して、この余剰空気を加圧タンクから排気している。また、タンク内に通じる通気管をマイクロバブル発生ノズルに接続して、余剰空気を再利用している。このように、マイクロバブル発生装置の加圧タンクから余剰空気を排気するために、マイクロバブル発生装置の構成が複雑になっている。
【0005】
また、特開2005−882号公報(特許文献1)に記載のマイクロバブル発生装置では、加圧タンク内に気泡を大量に供給しているので、水中に大きな気泡が混じり、均一なマイクロバブルが発生しないことがある。また、加圧タンク内に空気が供給されるので、マイクロバブルの発生が不安定になる。
【0006】
そこで、この発明の目的は、簡単な構成で、均一な微細気泡を高濃度に発生させることが可能な微細気泡発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従った微細気泡発生装置は、水と空気とが流通するための流路と、流路に水を取り込むための取水口と、流路に配置され、取水口から取り込まれた水を加圧して流路内に送水するための加圧送水部と、流路において取水口と加圧送水部との間に配置され、流路内に空気を供給するための空気供給部と、流路に配置され、加圧送水部において加圧された水と空気をさらに第1の圧力まで加圧するための第1の加圧槽と、流路に配置され、第1の加圧槽において加圧された水と空気をさらに第2の圧力まで加圧するための第2の加圧槽と、流路に配置され、第2の加圧槽において加圧された水と空気を減圧するための減圧部とを備える。
【0008】
空気供給部から流路内に供給された空気は、加圧送水部で加圧されることによって、水と混合されて、ある程度、水中に溶け込む。また、水と空気が加圧されて流路内を送水されることによって、水に溶け込まない空気の一部は、気泡となって水中に分散する。
【0009】
加圧送水部で加圧された水と空気は、流路を通って、第1の加圧槽に流入し、第1の圧力まで加圧される。第1の圧力までさらに加圧されることによって、流路内に供給された空気の一部がさらに水に溶け込む。水中に分散している気泡の数は少なくなり、また、ひとつひとつの気泡の大きさは小さくなる。
【0010】
第1の加圧槽で第1の圧力まで加圧された水と空気は流路を通って、次に、第2の加圧槽に流入し、第2の圧力まで加圧される。第2の圧力までさらに加圧されることによって、流路内に供給された空気の一部がさらに水に溶け込む。水中に分散している気泡の数はさらに少なくなり、ひとつひとつの気泡の大きさはさらに小さくなる。
【0011】
その後、空気を溶解した水が減圧部で減圧されることによって、水中に溶け込んでいた空気が微細気泡となる。
【0012】
このように、第1の加圧槽内の水は直接、減圧されずに、第2の加圧槽に流入してさらに加圧されてから、減圧部で減圧されて微細気泡が発生する。第1の加圧槽では、水中に溶け切らない空気の一部は、水と分離して、第1の加圧槽の内部において水の上方に、余剰空気として溜まることがある。しかし、第1の加圧槽と減圧部との間に第2の加圧槽が配置されているので、第1の加圧槽内に余剰空気が溜まっても、微細気泡の発生を不安定にすることがない。従って、微細気泡発生装置は、第1の加圧槽内の余剰空気を排気するための定水位弁などを備える必要がない。
【0013】
第2の加圧槽内では、第1の圧力からさらに第2の圧力まで加圧される。第1の圧力に加圧されているときに水と分離している空気は、第2の圧力まで加圧されることによって、水に溶け込みやすくなる。そのため、第2の加圧槽には余剰空気が溜まりにくい。従って、微細気泡発生装置は、第2の加圧槽内の余剰空気を排気するための定水位弁などを備える必要がない。
【0014】
また、加圧送水部で加圧された水と空気は、直接、減圧されずに、第1の加圧槽でさらに第1の圧力まで加圧され、さらに、第2の加圧槽で第2の圧力まで加圧されて、その後、減圧部で減圧されている。このようにすることにより、加圧送水部で水と空気に加える圧力を大きくしなくても、減圧部で減圧される直前の水と空気の圧力を第2の圧力まで高めることができる。
【0015】
減圧部で水と空気が減圧されると、水中に溶け込んでいた空気が微細気泡となる。このとき発生する微細気泡の量は、水中に溶け込んでいる空気の量に依存する。水中に溶け込む空気の量は、流路内に供給される空気の量が一定であれば、圧力が高いほど多くなる。加圧送水部で加圧された水と空気を、直接、減圧するのではなく、第1の加圧槽でさらに加圧し、さらに、第2の加圧槽で加圧することによって、水に大量の空気を溶解させることができる。このようにして、大量の空気を水に溶解させることによって、減圧部で減圧したときに高濃度の微細気泡を発生させることができる。
【0016】
また、加圧送水部で加圧された水と空気を、第1の加圧槽でさらに加圧し、さらに、第2の加圧槽で加圧することによって、気泡は水と分離したまま水中に残りにくくなる。水中に水と分離した空気が残りにくいので、減圧部で減圧したときに均一な微細気泡を発生させることができる。
【0017】
このようにすることにより、簡単な構成で、均一な微細気泡を高濃度に発生させることが可能な微細気泡発生装置を提供することができる。
【0018】
この発明に従った微細気泡発生装置は、第1の加圧槽から第2の加圧槽に水と空気を流通させるための接続管を備え、接続管は、第1の加圧槽の下部において第1の加圧槽の内部と接続管の内部が連通するように配置されていることが好ましい。
【0019】
このようにすることにより、第1の加圧槽内の水は、第1の加圧槽の下部から、接続管を通って流出し、第2の加圧槽内に流入する。第1の加圧槽の内部に余剰空気が溜まっている場合でも、余剰空気は水と分離して水の上方に溜まるので、第1の加圧槽の下部から流出して第2の加圧槽に流通する水には余剰空気が混じり込みにくい。第2の加圧槽に水と分離した余剰空気が流入しにくくなるので、第2の加圧槽内には余剰気体が溜まりにくくなる。また、第2の加圧槽内において、空気が水に溶け込みやすくなる。
【0020】
この発明に従った微細気泡発生装置は、減圧部において減圧された水と空気を流路から吐出するための吐出口と、取水口が配置された貯水部とを備え、吐出口から吐出された水を貯水部に供給することが好ましい。
【0021】
このようにすることにより、微細気泡を含む水を循環させて、無駄なく利用することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、この発明によれば、簡単な構成で、均一な微細気泡を高濃度に発生させることが可能な微細気泡発生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態として、マイクロバブル発生装置の全体を模式的に示す図である。
【0025】
図1に示すように、微細気泡発生装置としてマイクロバブル発生装置1は、水200を貯める貯水部として貯水槽160と、加圧送水部として加圧ポンプ110と、空気供給部として空気取り込み量調節弁120と、第1の加圧槽として第1気泡水加圧タンク130と、第2の加圧槽として第2気泡水加圧タンク140と、減圧部として減圧調整コック150と、洗浄槽170とを備える。加圧ポンプ110の内部には、撹拌部材として撹拌羽根111が配置されている。第1気泡水加圧タンク130と第2気泡水加圧タンク140は、直列に接続されている。
【0026】
加圧ポンプ110には、取水口101を有する取水管103が接続されている。取水管103の取水口101は、貯水槽160に貯められる水200中に配置されている。空気取り込み量調節弁120は、取水口101と加圧ポンプ110との間において、取水管103に配置されている。加圧ポンプ110と第1気泡水加圧タンク130は、送水管104によって接続されている。送水管104は、逆止弁131を介して第1気泡水加圧タンク130と接続されている。第1気泡水加圧タンク130は、接続管105によって第2気泡水加圧タンク140と接続されている。接続管105の一方の端部は、第1気泡水加圧タンク130の下部に接続され、接続管105の他方の端部は、第2気泡水加圧タンク140の上部に接続されている。第2気泡水加圧タンク140は、吐出管106に接続されている。吐出管106には、減圧調整コック150が配置されている。吐出管106において第2気泡水加圧タンク140と反対側の端部には吐出口102が形成されている。吐出口102は洗浄槽170の上方に配置されている。
【0027】
取水管103と、送水管104と、接続管105と、吐出管106は、流路の一例である。
【0028】
マイクロバブル発生装置1の加圧ポンプ110が駆動されると、貯水槽160内に貯められている水200が取水口101から取水管103内に流入する。取水管103内を流通する水200には、空気取り込み量調節弁120において、取水管103の外部から空気が供給される。空気取り込み量調節弁120は、吸水負圧で空気を取り込む。空気取り込み量調節弁120は、加圧ポンプ110の揚水量と空気取り込み量とのバランスをとるように、コックで微調整される。取水管103内に取り込まれた空気は、比較的大きな大気泡210となって、取水管103内を水200とともに加圧ポンプ110に向かって流通する。
【0029】
空気取り込み量調節弁120で取水管103内に取り込まれた大気泡210と水200は、加圧ポンプ110で加圧され、混合される。加圧ポンプ110は、この実施の形態においては、水200を3.0気圧程度に加圧する。このとき、大気泡210が水200中にある程度溶け込む。また、加圧ポンプ110内においては、撹拌羽根111によって、水200と大気泡210が撹拌される。このように、水200と空気とが撹拌されることによって、空気が水200中に溶け込みやすくなる。大気泡210は、加圧されながら撹拌されて、大きさが小さい中気泡220になる。加圧ポンプ110で加圧された水200と空気は、送水管104内に流入する。
【0030】
送水管104内では、中気泡220が水200中に分散している。中気泡220を含む水200は、逆流を防ぐための逆止弁131を通って、第1気泡水加圧タンク130内に流入する。第1気泡水加圧タンク130内では、水200は、第1の圧力まで加圧される。この実施の形態においては、第1の圧力は、3.1気圧程度であるとする。
【0031】
第1気泡水加圧タンク130内は、この実施の形態においては、3.1気圧程度に加圧されている。3.0気圧程度に加圧されている加圧ポンプ110と比較すると、第1気泡水加圧タンク130内では0.1気圧程度加圧される。このように、加圧ポンプ110によって加圧された水200を第1気泡水加圧タンク130内でさらに加圧することによって、中気泡220の一部が水200に溶け込む。溶けきらずに残った中気泡220も、ある程度溶けて、大きさが小さくなって小気泡230になる。小気泡230は、水200中に分散する。
【0032】
水200に溶けず、水200と分離した空気は、余剰気体となって、第1気泡水加圧タンク130内の上部に溜まることがある。
【0033】
第1気泡水加圧タンク130の下部には、接続管105が接続されている。第1気泡水加圧タンク130内の水200と小気泡230は、第1気泡水加圧タンク130の下部から、接続管105内に流出し、接続管105を通って、第2気泡水加圧タンク140の上部から第2気泡水加圧タンク140内に流入する。
【0034】
第2気泡水加圧タンク140では、水200と小気泡230は、さらに第2の圧力まで加圧される。この実施の形態においては、第2の圧力は、3.2気圧程度であるとする。
【0035】
第2気泡水加圧タンク140内は、この実施の形態においては、3.2気圧程度に加圧されている。3.1気圧程度に加圧されている第1気泡水加圧タンク130と比較すると、第2気泡水加圧タンク140でさらに0.1気圧程度加圧されている。このように、第2気泡水加圧タンク140で水200と小気泡230をさらに加圧することによって、小気泡230の一部が水200に溶け込む。溶けきらずに残った小気泡230も、ある程度溶けて、大きさがさらに小さくなって細気泡240になる。細気泡240は、水200中に分散する。
【0036】
第2気泡水加圧タンク140内の水200は、吐出管106内に流出する。第2気泡水加圧タンク140から吐出管106に流出した水200は、減圧調整コック150を通過する。減圧調整コック150では、細気泡240を含む水200を、3.2気圧から、一気に大気圧まで減圧して、減圧吐出する。このようにすることにより、水200中に3〜30μm径の微細気泡250が発生する。
【0037】
吐出管106内の水200は、吐出口102から洗浄槽170に吐出される。洗浄槽170内に吐出された水200には微細気泡250(マイクロバブル)が多数含まれており、ミルク色に白濁して見える。
【0038】
洗浄槽170内には、被洗浄対象物として、布や野菜、動物を収容してもよい。また、吐出口102から吐出される水200は、シャワーのようにして洗浄槽170内に吐出されてもよい。
【0039】
本願の発明者は、マイクロバブル発生装置1のように、第1気泡水加圧タンク130と第2気泡水加圧タンク140とを直列に配置して、逆止弁131を介して送水管104を第1気泡水加圧タンク130に接続する構成にすることによって、加圧ポンプ110で3.0気圧程度に加圧された水が、第1気泡水加圧タンク130内で3.1気圧程度に加圧され、さらに、第2気泡水加圧タンク140内で3.2気圧程度に加圧されることを見出した。しかし、本発明の微細気泡発生装置の加圧の方法や加圧の程度は、第1実施形態のマイクロバブル発生装置1で用いられている加圧の方法や加圧の程度に限られるものではなく、異なっていてもよい。例えば、加圧手段を第1気泡水加圧タンク130と第2気泡水加圧タンク140に備え、加圧ポンプ110で水200を3気圧程度に加圧し、第1気泡水加圧タンク130では4気圧程度まで加圧し、第2気泡水加圧タンク140では6気圧程度まで加圧してから、減圧調整コック150で大気圧まで減圧してもよい。
【0040】
以上のように、マイクロバブル発生装置1は、水200と空気とが流通するための流路、すなわち、取水管103、送水管104、接続管105、吐出管106と、流路に水を取り込むための取水口101と、取水管103に配置され、取水口101から取り込まれた水を加圧して流路内に送水するための加圧ポンプ110と、取水管103において取水口101と加圧ポンプ110との間に配置され、流路内に空気を供給するための空気取り込み量調節弁120と、流路に配置され、加圧ポンプ110において加圧された水と空気をさらに第1の圧力まで加圧するための第1気泡水加圧タンク130と、流路に配置され、第1気泡水加圧タンク130において加圧された水と空気をさらに第2の圧力まで加圧するための第2気泡水加圧タンク140と、流路に配置され、第2気泡水加圧タンク140において加圧された水と空気を減圧するための減圧調整コック150とを備える。
【0041】
空気取り込み量調節弁120から流路内に供給された空気は、加圧ポンプ110で加圧されることによって、水200と混合されて、ある程度、水中に溶け込む。また、水と空気が加圧されて流路内を送水されることによって、水に溶け込まない空気の一部は、中気泡220となって水中に分散する。
【0042】
加圧ポンプ110で加圧された水200と空気は、流路を通って、第1気泡水加圧タンク130に流入し、第1の圧力まで加圧される。第1の圧力までさらに加圧されることによって、流路内に供給された空気の一部がさらに水に溶け込む。水中に分散している中気泡220の数は少なくなり、また、ひとつひとつの気泡の大きさは小さくなって小気泡230になる。
【0043】
第1気泡水加圧タンク130で第1の圧力まで加圧された水200と空気は流路を通って、次に、第2気泡水加圧タンク140に流入し、第2の圧力まで加圧される。第2の圧力までさらに加圧されることによって、流路内に供給された空気の一部がさらに水200に溶け込む。水200中に分散している小気泡230の数はさらに少なくなり、ひとつひとつの気泡の大きさはさらに小さくなって細気泡240になる。
【0044】
その後、空気を溶解した水200が減圧調整コック150で減圧されることによって、水中に溶け込んでいた空気が微細気泡250となる。
【0045】
このように、第1気泡水加圧タンク130内の水200は直接、減圧されずに、第2気泡水加圧タンク140に流入してさらに加圧されてから、減圧調整コック150で減圧されて微細気泡250が発生する。第1気泡水加圧タンク130では、水200中に溶け切らない空気の一部は、水200と分離して、第1気泡水加圧タンク130の内部において水200の上方に、余剰空気として溜まることがある。しかし、第1気泡水加圧タンク130と減圧調整コック150との間に第2気泡水加圧タンク140が配置されているので、第1気泡水加圧タンク130内に余剰空気が溜まっても、微細気泡250の発生を不安定にすることがない。従って、マイクロバブル発生装置1は、第1気泡水加圧タンク130内の余剰空気を排気するための定水位弁などを備える必要がない。
【0046】
第2気泡水加圧タンク140内では、第1の圧力からさらに第2の圧力まで加圧される。第1の圧力に加圧されているときに水200と分離している空気は、第2の圧力まで加圧されることによって、水200に溶け込みやすくなる。そのため、第2気泡水加圧タンク140には余剰空気が溜まりにくい。従って、マイクロバブル発生装置1は、第2気泡水加圧タンク140内の余剰空気を排気するための定水位弁などを備える必要がない。
【0047】
また、加圧ポンプ110で加圧された水200と空気は、直接、減圧されずに、第1気泡水加圧タンク130でさらに第1の圧力まで加圧され、さらに、第2気泡水加圧タンク140で第2の圧力まで加圧されて、その後、減圧調整コック150で減圧されている。このようにすることにより、加圧ポンプ110で水200と空気に加える圧力を大きくしなくても、減圧調整コック150で減圧される直前の水200と空気の圧力を第2の圧力まで高めることができる。
【0048】
減圧調整コック150で水200と空気が減圧されると、水200中に溶け込んでいた空気が微細気泡250となる。このとき発生する微細気泡250の量は、水200中に溶け込んでいる空気の量に依存する。水200中に溶け込む空気の量は、流路内に供給される空気の量が一定であれば、圧力が高いほど多くなる。加圧ポンプ110で加圧された水200と空気を、直接、減圧するのではなく、第1気泡水加圧タンク130でさらに加圧し、さらに、第2気泡水加圧タンク140で加圧することによって、水200に大量の空気を溶解させることができる。このようにして、大量の空気を水200に溶解させることによって、減圧調整コック150で減圧したときに高濃度の微細気泡250を発生させることができる。
【0049】
また、加圧ポンプ110で加圧された水200と空気を、第1気泡水加圧タンク130でさらに加圧し、さらに、第2気泡水加圧タンク140で加圧することによって、気泡は水200と分離したまま水200中に残りにくくなる。水200中に水200と分離した空気が残りにくいので、減圧調整コック150で減圧したときに均一な微細気泡250を発生させることができる。
【0050】
このようにすることにより、簡単な構成で、均一な微細気泡250を高濃度に発生させることが可能なマイクロバブル発生装置1を提供することができる。その結果として、加圧ポンプ110において圧力を高くしなくても、均一な微細気泡250を高濃度に発生させることが可能となる。
【0051】
言い換えれば、第1気泡水加圧タンク130と第2気泡水加圧タンク140とを直列に接続して配置することにより、所定の濃度の微細気泡250を発生させるのに必要な加圧ポンプ110の圧力を下げることができる。
【0052】
また、マイクロバブル発生装置1は、第1気泡水加圧タンク130から第2気泡水加圧タンク140に水200と空気を流通させるための接続管105を備え、接続管105は、第1気泡水加圧タンク130の下部において第1気泡水加圧タンク130の内部と接続管105の内部が連通するように配置されている。
【0053】
このようにすることにより、第1気泡水加圧タンク130内の水200は、第1気泡水加圧タンク130の下部から、接続管105を通って流出し、第2気泡水加圧タンク140内に流入する。第1気泡水加圧タンク130の内部に余剰空気が溜まっている場合でも、余剰空気は水200と分離して水200の上方に溜まるので、第1気泡水加圧タンク130の下部から流出して第2気泡水加圧タンク140に流通する水には余剰空気が混じり込みにくい。第2気泡水加圧タンク140に水と分離した余剰空気が流入しにくくなるので、第2気泡水加圧タンク140内には余剰気体が溜まりにくくなる。また、第2気泡水加圧タンク140内において、空気が水に溶け込みやすくなる。
【0054】
(第2実施形態)
図2は、この発明の第2実施形態として、マイクロバブル発生装置の全体を模式的に示す図である。
【0055】
図2に示すように、第2実施形態のマイクロバブル発生装置2が図1に示す第1実施形態のマイクロバブル発生装置1と異なる点としては、吐出口102から吐出された水200が貯水部として貯水槽160に供給される。
【0056】
第2実施形態のマイクロバブル発生装置2のその他の構成は、第1実施形態のマイクロバブル発生装置1と同様である。
【0057】
吐出口102から貯水槽160に吐出された、微細気泡(マイクロバブル)250を含む水200は、再び、取水口101から取水管103内に取り込まれて、マイクロバブル発生装置2内を循環する。
【0058】
貯水槽160内に、被洗浄対象物として、例えば布300を収容しておけば、微細気泡250を含む水200で簡単に布300を洗浄することができる。被洗浄対象物として、布300の他に、茶漉しや野菜、牡蠣、動物などを洗浄してもよい。被洗浄対象物は、その他のものであってもよい。また、水200をマイクロバブル発生装置2内で循環させることによって、水200中のごみを除去したり、水200の臭いを除去したり、水200中のウイルスを死滅させたりして、水200自体を浄化することができる。
【0059】
以上のように、マイクロバブル発生装置2は、減圧調整コック150において減圧された水200と微細気泡250を流路から吐出するための吐出口102と、取水口101が配置された貯水槽160とを備え、吐出口102から吐出された水200を貯水槽160に供給する。
【0060】
このようにすることにより、微細気泡250を含む水200を循環させて、無駄なく利用することができる。
【0061】
第2実施形態のマイクロバブル発生装置2のその他の構成と効果は、第1実施形態のマイクロバブル発生装置1と同様である。
【0062】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明の第1実施形態として、マイクロバブル発生装置の全体を模式的に示す図である。
【図2】この発明の第2実施形態として、マイクロバブル発生装置の全体を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1,2:マイクロバブル発生装置、101:取水口、102:吐出口、110:加圧ポンプ、120:空気取り込み量調節弁、130:第1気泡水加圧タンク、140:第2気泡水加圧タンク、150:減圧調整コック、160:貯水槽。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と空気とが流通するための流路と、
前記流路に水を取り込むための取水口と、
前記流路に配置され、前記取水口から取り込まれた水を加圧して前記流路内に送水するための加圧送水部と、
前記流路において前記取水口と前記加圧送水部との間に配置され、前記流路内に空気を供給するための空気供給部と、
前記流路に配置され、前記加圧送水部において加圧された水と空気をさらに第1の圧力まで加圧するための第1の加圧槽と、
前記流路に配置され、前記第1の加圧槽において加圧された水と空気をさらに第2の圧力まで加圧するための第2の加圧槽と、
前記流路に配置され、前記第2の加圧槽において加圧された水と空気を減圧するための減圧部とを備える、微細気泡発生装置。
【請求項2】
前記第1の加圧槽から前記第2の加圧槽に水と空気を流通させるための接続管を備え、前記接続管は、前記第1の加圧槽の下部において前記第1の加圧槽の内部と前記接続管の内部が連通するように配置されている、請求項1に記載の微細気泡発生装置。
【請求項3】
前記減圧部において減圧された水と空気を前記流路から吐出するための吐出口と、
前記取水口が配置された貯水部とを備え、
前記吐出口から吐出された水を前記貯水部に供給する、請求項1または請求項2に記載の微細気泡発生装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−22955(P2010−22955A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188375(P2008−188375)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(396008587)株式会社大日工業 (7)
【Fターム(参考)】