説明

微細物性加工方法および微細物性加工装置

【課題】簡易な方法でシアノ架橋金属錯体の微細物性加工を行うこと。
【解決手段】結晶水を含有するシアノ架橋金属錯体製の試料(4)と、前記試料(4)を支持して移動させる試料移動装置(2b)と、前記試料(4)に対して電磁波を照射して前記シアノ架橋金属錯体の結晶水を脱離させる電磁波源(2c)と、前記試料移動装置(2b)を制御して、前記試料(4)の被加工位置を、前記電磁波源(2c)の焦点位置(6)に移動させる被加工位置移動制御手段(C2)、を有する制御装置(3)と、を備えた微細物性加工装置(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光やX線等の電磁波を利用して物性を変化させる微細物性加工方法および微細物性加工装置に関し、特に、シアノ架橋金属錯体に対する微細物性加工方法および微細物性加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、シアノ架橋金属錯体は、電池の電極材料や、電圧を印加すると変色するエレクトロクロミック材料、ガスを検出するガスセンサー材料、水素吸蔵材料として、期待されており、精力的な研究が成されている。この研究の結果、シアノ架橋金属錯体の均質な膜が得られている。前記シアノ架橋金属錯体の膜に、製膜後の簡単な処理で微細物性加工ができれば、その応用範囲は極めて広く、このような技術が望まれている。
このような技術として、非特許文献1、2には、シアノ架橋金属錯体を100K(−180℃程度)の低温で光励起することで、相転移を発生させ、磁性や構造を制御する技術が記載されている。これは、低温での光励起により、準安定構造に構造変化を起こすことにより、磁性や構造を制御している。
【0003】
【非特許文献1】花輪雅史(M.Hanawa)、他6名,”シアノ架橋金属錯体における光励起によるコヒーレントな結晶成長(Coherent Domain Growth under Photo-Excitation in a Prussian Blue Analogue)”,日本物理学会論文集,日本,日本物理学会,2003年5月,72巻(Vol.72),5号(No.5),p987−p990
【非特許文献2】守友浩、他2名,“強相関物性グループ”,[online],平成18年,筑波大学,平成19年7月1日検索,インターネット<URL:http://www.sakura.cc.tsukuba.ac.jp/~morimoto/lecture/H18houkoku.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(従来技術の問題点)
しかしながら、非特許文献1記載のシアノ架橋金属錯体に構造変化を起こさせる技術では、構造変化が低温でしか発生せず、室温では発生しないため、応用範囲が限られるという問題があった。
【0005】
前述の事情に鑑み、本発明は、簡易な方法でシアノ架橋金属錯体の微細加工を行うことを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の微細物性加工方法は、
結晶水を含有するシアノ架橋金属錯体に電磁波を照射して、前記シアノ架橋金属錯体の結晶水を脱離させることで、電磁波が照射される被加工位置の物性を変化させることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の微細物性加工方法において、
Aをアルカリ金属の少なくとも一種、Mを遷移金属の少なくとも一種、Lを遷移金属の少なくとも一種、xを0より大きく2以下の数、yを0より大きく1以下の数、zを0より大きく14以下の数とした場合に、化学式AM[L(CN)・nHOで表される前記シアノ架橋金属錯体、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の微細物性加工方法において、
前記電磁波としてのレーザー光を照射して光励起により脱離させることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の微細物性加工方法において、
前記レーザー光として赤外線レーザー光を使用して二光子吸収により脱離させることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の微細物性加工方法において、
前記電磁波としてのX線を照射して、X線励起により脱離させることを特徴とする。
【0011】
前記技術的課題を解決するために、請求項6に記載の発明の微細物性加工装置は、
結晶水を含有するシアノ架橋金属錯体製の試料と、
前記試料を支持して移動させる試料移動装置と、
前記試料に対して電磁波を照射して前記シアノ架橋金属錯体の結晶水を脱離させる電磁波源と、
前記試料移動装置を制御して、前記試料の被加工位置を、前記電磁波源の焦点位置に移動させる被加工位置移動制御手段、を有する制御装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、作製後のシアノ架橋金属錯体に電磁波を照射させることで、結晶水を脱離させることができるため、簡易な方法で、シアノ架橋金属錯体の物性を変化させることができ、電磁波の波長や照射径を調整することで、微細加工を行うことができる。
請求項2に記載の発明によれば、化学式AM[L(CN)・nHOで表されるシアノ架橋金属錯体に対して、微細加工を行うことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、レーザー光による光励起により脱離させることができるため、レーザー光の波長程度の微細加工を行うことが可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、二光子吸収を利用するため、二光子吸収を利用しない場合に比べて、微細な加工が可能である。また、シアノ架橋金属錯体の表面だけでなく、シアノ架橋金属錯体の内部の微小空間に二光子吸収が発生する焦点位置を設定した場合に、内部の焦点位置を加工することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、X線を照射するため、X線の波長であるnmレベルの非常に微細な加工ができる。
請求項6に記載の発明によれば、試料移動装置に支持された作製後のシアノ架橋金属錯体製の試料に電磁波を照射させることで、結晶水を脱離させることができるため、簡易な方法で、シアノ架橋金属錯体の物性を変化させることができ、電磁波の波長や照射径を調整することで、微細加工を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例である実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明の実施例1の微細物性加工装置の全体説明図である。
図1において、本発明の実施例1の微細物性加工装置1は、加工装置本体2と、前記加工装置本体2に電気的に接続された制御装置3とを有する。前記加工装置本体2は、ケース2aと、前記ケース2a内部に支持された試料移動装置2bと、前記試料移動装置2bの情報に配置された電磁波源装置2cとを有する。前記試料移動装置2bは、上下方向(Z軸方向)に移動可能なZステージSTzと、ZステージSTz上で左右方向(Y軸方向)に移動可能なYステージSTyと、YステージSTy上で前後方向(X軸方向)に移動可能なXステージSTxと、XステージSTx上でXY平面内で回転可能な回転ステージSTrとを有する。
【0017】
前記回転ステージSTr上には、結晶水を含有するシアノ架橋金属錯体製の試料4が支持されている。実施例1の試料4では、シアノ架橋金属錯体は、Aをアルカリ金属の少なくとも一種、Mを遷移金属の少なくとも一種、Lを遷移金属の少なくとも一種、xを0より大きく2以下の数、yを0より大きく1以下の数、zを0より大きく14以下の数とした場合に、化学式AM[L(CN)・nHOで表される。実施例1では、前記Aのアルカリ金属としては、例えば、Li、Na、K、Rb、Csが挙げられる。また、前記Mの遷移金属としては、Fe、Mn、Ni、Co、Cr、V、Cu、Znが挙げられる。また、Lの遷移金属としては、Fe、Cr、V、Mn、Tiが挙げられる。また、x、y、zは、それぞれ、遷移金属Mの1モルに対するアルカリ金属A、L(CN)、結晶水HOの割合(モル)を示し、シアノ架橋金属錯体では、製法や構造により、xが0〜2、yが0〜1、zが0〜14の値を取りうる。
なお、前記シアノ架橋金属錯体の膜は、スピンキャスト法(スピンコート法)や電解析出法等の従来公知の製膜法で作製することができる。
実施例1では、前記電磁波源装置2cは、電磁波の一例としての赤外線レーザー光を照射する赤外線レーザー光源装置により構成されており、焦点位置6は固定されている。
【0018】
図2は、実施例1の制御装置3の制御部の機能ブロック図である。
実施例1の制御装置3は、パーソナルコンピュータにより構成されており、コンピュータ本体H1と、画像を表示する表示部H2と、キーボードH3およびマウスH4からなる入力装置H3,H4とを有する。
図2において、制御装置H2の記憶装置には、微細物性加工プログラムAP1が記憶されており、微細物性加工プログラムAP1は、機能手段(プログラムモジュール)C1,C2を有する。
光源制御手段(電磁波源制御手段)C1は、前記電磁波源2cを制御して、赤外線レーザー光の照射のオン、オフを制御する。
加工位置制御手段C2は、XステージSTxの位置を制御するXステージ制御手段C2aと、YステージSTyの位置を制御するYステージ制御手段C2bと、ZステージSTzの位置を制御するZステージ制御手段C2cと、回転ステージSTrの位置を制御する回転ステージ制御手段C2dと、を有し、試料位置移動装置2bの位置を制御して、試料4の位置を移動させる。
【0019】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の微細物性加工装置1では、試料移動装置2bに試料4が支持された状態で、前記試料4の位置の移動により、赤外線レーザー光の焦点位置6に試料4の加工対象の位置である被加工位置を一致させる。この状態で、赤外線レーザー光が焦点位置6である被加工位置に照射されることにより、焦点位置6において、二光子吸収が発生して、焦点位置6においてシアノ架橋金属錯体の結晶水の脱離、すなわち、脱水が発生する。シアノ架橋金属錯体で結晶水が脱水した部分は、構造、磁気特性、電気特性が永続的に変化する。
【0020】
この二光子吸収は、非線形現象であるため、光が集光される焦点位置6でのみ発生する。すなわち、被加工位置でのみ脱水が発生し、試料表面や光が通過する領域で脱水が発生しない。そして、実施例1の微細物性加工装置1では、試料移動装置2bが、XステージSTx、YステージSTy、ZステージSTzにより、3次元的に被加工位置を焦点位置6に移動させることができ、試料4を3次元的に微細加工することができる。したがって、シアノ架橋金属錯体の膜を製膜後に、電磁波を照射することにより、任意のパターンの物性加工が可能となる。特に、実施例1では二光子吸収を利用することにより、3次元の微細物性加工ができる。また、光を利用した微細物性加工の限界は、その波長(1μm)程度であるが、二光子吸収を利用することにより、焦点位置のみを加工可能であるため、レーザー光の強度や集光領域を調整することで、さらなる微細加工が可能である。なお、電磁波として放射光X線を使用すれば、nmレベルの微細加工も可能である。
【0021】
(実験例)
次に、シアノ架橋金属錯体の光励起により脱水が発生することを確認するための実験を行った。
(実験例1)
図3は本発明の実験例1の実験結果の説明図である。
実験例1では、シアノ架橋金属錯体の膜について、光励起する前後と、熱処理により脱水させる前後とのX線回折パターンを測定する実験を行った。実験例1では、シアノ架橋金属錯体として、K0.4Co[Fe(CN)0.86・4.3H0を使用した。実験例1での光励起は、室温で、波長が532nm、エネルギーが100mWのレーザー光(赤外レーザーであるYAGレーザーの第2高調波)を30分照射することで行った。
また、実施例1での熱処理は、160℃〜200℃の環境に10分間放置することで脱水させた。
実験結果を図3に示す。ここで、散乱角2θを横軸に取り、縦軸に各角度における散乱強度を取った。なお、散乱強度のピークの角度θと、X線回折で使用したX線の波長λと、格子面間隔d(=λ/2sinθ)が導出される。格子面間隔dから、結晶格子の格子間隔が計算される。
【0022】
図3に示すように、光励起の前後におけるシアノ架橋金属錯体の膜のX線回折パターンと、熱処理の前後におけるX線回折パターンでは、ピークを示す位置が同じ位置となった。すなわち、X線励起の前後と、熱処理の前後において、物質の構造が同一であることがわかる。なお、光励起および熱処理の前の格子定数は10.36Åであり、光励起および熱処理の後の格子定数は10.04Åであった。
【0023】
(実験例2)
図4は本発明の実験例2の実験結果の説明図である。
実験例2では、シアノ架橋金属錯体の熱分析に関する実験を行った。実験例2では、空気中でシアノ架橋金属錯体を0℃から、1分間に10℃の割合で加熱し、シアノ架橋金属錯体の質量の変化(相対質量の変化、図4の実線参照)と、DTA(示差熱分析、Differential Thermal Analysis)による示差熱(図4の一点鎖線参照)とを測定した。なお、実験で使用したシアノ架橋金属錯体は、実験例1と同様である。実験例2の実験結果を図4に示す。
図4において、シアノ架橋金属錯体を熱処理すると、150℃付近で急激な重量の減少が観測され、大きな示差熱が発生していることがわかる。これは、結晶水の脱離が発生し、構造の変化があったためである。実験例2では、熱処理前にK0.4Co[Fe(CN)0.86・4.3H0であった試料が、K0.4Co[Fe(CN)0.86・2.3H0となっていた。すなわち、シアノ架橋金属錯体のCoの1モルに対して、2モルの結晶水が脱離していた。すなわち、前記実験例1、2の結果から、光励起による処理をした場合には、熱処理と同様の構造に変化するため、光励起により処理をした場合にも、結晶水の脱離が発生していることがわかる。
【0024】
(実験例3)
図5は本発明の実験例3の実験結果の説明図である。
実験例3では、シアノ架橋金属錯体の磁気物性の変化を調べる実験を行った。実験例3では、実験例2で大きな示差熱が観測された160℃〜200℃に10分ほど放置した前後で、磁気特性がどのように変化するかを測定した。実験例3の実験結果を図5に示す。
図5において、熱処理前では、室温(300K程度)で4emu・K/mol程度の磁化率が観測されたが、熱処理後では、磁化率が2emu・K/mol程度に変化した。従って、実験例1〜3の結果から、光励起による処理をした場合にも、同様の磁化率の変化が発生し、物性を変化させることが可能となる。
【0025】
(実験例4)
図6は本発明の実験例4の実験結果の説明図である。
実験例4では、シアノ架橋金属錯体に、光ではなく電磁波の一例としてのX線を照射して、X線励起を発生させた場合に、どのような変化が発生するかについて実験を行った。実験例4では、実験例1と同様の試料に対して、SPring−8のBL10XUビームラインを使用して、室温で波長λ=0.62305ÅのX線を照射した。そして、X線の照射時間を5分、35分、55分、175分とした場合の、前記散乱強度のピークの角度θを測定した。実験結果を図6に示す。
図6において、X線の照射時間に応じて、前記角度θのピーク位置が変化、すなわち、格子定数が変化し、55分以降の格子定数は、実験例1の熱処理後の場合と一致している。すなわち、実験例1、4から、光励起だけでなく、X線照射でもシアノ金属錯体の結晶水を脱離させることが可能であることが確認された。
【0026】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H05)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、使用する電磁波(レーザー光)の波長や、エネルギー、照射時間等は、例示した数値に限定されず、適宜変更可能である。
【0027】
図7は本発明の変更例の説明図である。
(H02)前記実施例において、被加工物としてシアノ架橋金属錯体単一の膜について説明をしたが、これに限定されず、例えば、図7に示すように、基板層4a′表面にシアノ架橋金属錯体層4bを形成し、その表面にさらに表面層4c′を形成した、複合基板のような被加工物にも適用可能である。この場合、内部に配置されたシアノ架橋金属錯体の層の一部の被加工位置を脱離させることにより、部分的に構成が変化するため、内部に応力を発生させることができ、シアノ架橋金属錯体とは異なる材料で構成された表面層4c′の物性の微細加工も行うことが可能となる。
【0028】
(H03)前記実施例において、試料移動装置2bとして、4つのステージSTx、STy、STz、STrを設ける場合を例示したが、これに限定されず、加工の必要に応じて、ステージの数を増減することも可能である。例えば、二次元的な加工のみを行う場合、ZステージSTzを省略したり、回転が必要ない場合には回転ステージSTrを省略することも可能である。
(H04)前記実施例において、電磁波源2cに対して、試料移動装置2bを移動させることで被加工位置を移動させたが、これに限定されず、電磁波源2cを移動させるように構成することも可能である。あるいは、試料4表面に、加工パターンに対応する電磁波透過部を有するマスクを配置し、マスクの上方から電磁波を照射するように構成することも可能である。
(H05)前記実験例において、物性の変化として、磁性の変化について測定し、示したが、これに限定されず、例えば、エレクトロクロミック応答性、ガスを検出特性、水素吸蔵特性、非線型光学特性、等も大きく変化すると考えられる。すなわち、こうした物性を任意の空間パターンで加工できる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
前述の本発明のシアノ架橋金属錯体の微細加工を行うことにより、例えば、膜状のシアノ架橋金属錯体についてエレクトロクロミック応答性を任意のパターンで変化させることができ、例えば、電場を印加すると加工を行った部分が文字や絵として浮き上がり、電場の印加を停止すると文字や絵が消えるといったことも可能となる。また、磁化率を任意の空間パターンで変化させることにより、微細な磁気遮蔽体を作ることができる。さらに、ガス検出特性を任意の空間パターンで変化させることにより、微細なガスセンサーを作ることも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は本発明の実施例1の微細物性加工装置の全体説明図である。
【図2】図2は実施例1の制御装置3の制御部の機能ブロック図である。
【図3】図3は本発明の実験例1の実験結果の説明図である。
【図4】図4は本発明の実験例2の実験結果の説明図である。
【図5】図5は本発明の実験例3の実験結果の説明図である。
【図6】図6は本発明の実験例4の実験結果の説明図である。
【図7】図7は本発明の変更例の説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1…微細物性加工装置、
2b…試料移動装置、
2c…電磁波源、
3…制御装置、
4…試料、
6…焦点位置、
C2…被加工位置移動制御手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶水を含有するシアノ架橋金属錯体に電磁波を照射して、前記シアノ架橋金属錯体の結晶水を脱離させることで、電磁波が照射される被加工位置の物性を変化させることを特徴とする微細物性加工方法。
【請求項2】
Aをアルカリ金属の少なくとも一種、Mを遷移金属の少なくとも一種、Lを遷移金属の少なくとも一種、xを0より大きく2以下の数、yを0より大きく1以下の数、zを0より大きく14以下の数とした場合に、化学式AM[L(CN)・nHOで表される前記シアノ架橋金属錯体、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の微細物性加工方法。
【請求項3】
前記電磁波としてのレーザー光を照射して光励起により脱離させることを特徴とする請求項1または2に記載の微細物性加工方法。
【請求項4】
前記レーザー光として赤外線レーザー光を使用して二光子吸収により脱離させることを特徴とする請求項1または2に記載の微細物性加工方法。
【請求項5】
前記電磁波としてのX線を照射して、X線励起により脱離させることを特徴とする請求項1または2に記載の微細物性加工方法。
【請求項6】
結晶水を含有するシアノ架橋金属錯体製の試料と、
前記試料を支持して移動させる試料移動装置と、
前記試料に対して電磁波を照射して前記シアノ架橋金属錯体の結晶水を脱離させる電磁波源と、
前記試料移動装置を制御して、前記試料の被加工位置を、前記電磁波源の焦点位置に移動させる被加工位置移動制御手段、を有する制御装置と、
を備えたことを特徴とする微細物性加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−23892(P2009−23892A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191255(P2007−191255)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(599112582)財団法人高輝度光科学研究センター (35)
【Fターム(参考)】