説明

心血管疾患の診断方法

本発明は、例えば体格指数(BMI)が25〜29、または30以上である高いBMIの個体、および腎機能障害を有する個体において、例えば急性冠症候群、心不全および/または肺塞栓症のような心血管疾患を検出するための方法に関連する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、体格指数(BMI)の高い個体、および腎機能障害を有する個体において心不全および肺塞栓症を検出するための方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
背景
B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)およびN末端proBNP(NT-proBNP)のようなナトリウム利尿ペプチドのレベルは、心血管疾患の診断に用いられることが示されている(Clerico and Emdin, Clin. Chem. 50:33-50(2004)(非特許文献1))。しかしながら、ある被験体は、同一の疾患レベルの「正常な」被験体との比較から予測されるよりも、低いナトリウム利尿ペプチドレベルを有することが該分野において公知であり、かつ受け入れられている。この現象の正確なメカニズムは公知でない。これらの被験体は腎機能障害を有する人々(Anwaruddin et al., J. Am. Coll. Cardiol. 47(1):91-7(2006)(非特許文献2);McCullough et al., Am. J. Kidney Dis. 41(3):571-9(2003)(非特許文献3))、および過体重(25〜29の体格指数(BMI))または肥満(30以上のBMI)の者を含む(Krauser et al., Am. Heart J. 149(4):744-50(2005)(非特許文献4);McCord et al., Arch. Intern. Med. 164(20):2247-52(2004)(非特許文献5))。
【0003】
【非特許文献1】Clerico and Emdin, Clin. Chem. 50:33-50(2004)
【非特許文献2】Anwaruddin et al., J. Am. Coll. Cardiol. 47(1):91-7(2006)
【非特許文献3】McCullough et al., Am. J. Kidney Dis. 41(3):571-9(2003)
【非特許文献4】Krauser et al., Am. Heart J. 149(4):744-50(2005)
【非特許文献5】McCord et al., Arch. Intern. Med. 164(20):2247-52(2004)
【発明の開示】
【0004】
概要
本発明は、ナトリウム利尿ペプチド(NP)とは異なるバイオマーカーST2(インターロイキン1受容体様-1(IL1RL1)としても公知)が、高い体格指数(BMI)または腎機能障害により影響されないという驚くべき発見に少なくとも部分的に基づき、従って高い(BMI)または腎機能障害を有する被験体におけるNPよりも、より良好な予後的および診断的情報を提供する。従って本明細書に記載される方法は、被験体が高いBMIおよび/または腎臓不全を有するか否かを決定し、もし被験体が一方または双方の状態を有する場合には被験体を選択する段階、かつ被験体におけるIL1LR1および任意でBNPおよび/またはDダイマーのレベルを決定する段階を含む。これらの方法は、例えば呼吸困難を有する被験体のような被験体において、例えば急性冠症候群(ACS)、心不全(HF)、および肺塞栓症(PE)のような心血管疾患(CVD)を診断するために使用されうる。
【0005】
いくつかの態様においては、本方法はST2レベルを決定する段階に加え、またはその代替として、IL-33のレベルを決定する段階を含む。
【0006】
1つの局面において、本発明は25以上の体格指数(BMI)を有する被験体において、例えば急性冠症候群(ACS)、心不全(HF)、および肺塞栓症(PE)のような心血管疾患(CVD)を診断するための方法を提供する。本方法は被験体のBMIを決定し、もし被験体のBMIが25以上の場合には被験体を選択する段階を含み、かつ被験体の血液、血漿、または血清中のST2レベル、および任意でBNPレベルおよびDダイマーレベルの一方または双方を決定する段階を含む。例えばCVDを有しない被験体におけるST2レベルで表される参照レベルのようなST2参照レベルとST2レベルとの関係により、被験体がCVDを有するか否かが示される。いくつかの態様においては、もし被験体のBNPレベルが、例えば100〜500 pg/mLのような500 pg/mL未満で、かつDダイマーレベルが500μg/L未満の場合には、例えばHFを有しない被験体におけるST2レベルで表される参照レベルのようなST2参照レベルとST2レベルとの関係により、被験体がHFを有するか否かが示される。いくつかの態様においては、もし被験体のBNPレベルが、例えば100 pg/mL未満で、かつDダイマーレベルが500〜4000 μg/Lの場合には、例えばPEを有しない被験体におけるST2レベルで表される参照レベルのようなST2参照レベルとST2レベルとの関係により、被験体がPEを有するか否かが示される。
【0007】
別の態様において、本発明は、腎機能障害を有する被験体において、例えば急性冠症候群(ACS)、心不全(HF)、および肺塞栓症(PE)のような心血管疾患(CVD)を診断するための方法を提供する。本方法は、被験体の腎機能を評価し、もし被験体が腎機能障害を有する場合には被験体を選択する段階を含み;かつ被験体の血液、血漿、または血清中のST2レベル、ならびに任意でBNPレベルおよび/またはDダイマーレベルを決定する段階を含む。例えばCVDを有しない被験体におけるST2レベルで表される参照レベルのようなST2参照レベルとST2レベルとの関係により、被験体がCVDを有するか否かが示される。いくつかの態様においては、もし被験体のBNPレベルが、例えば100〜500 pg/mLのように500 pg/mL未満で、かつDダイマーレベルが500 μg/L未満の場合には、例えばHFを有しない被験体におけるST2レベルで表される参照レベルのようなST2参照レベルとST2レベルとの関係により、被験体がHFを有するか否かが示される。いくつかの態様においては、もし被験体のBNPレベルが、例えば100 pg/mL未満で、かつDダイマーレベルが500〜4000μg/Lの場合には、例えばPEを有しない被験体におけるST2レベルで表される参照レベルのようなST2参照レベルとST2レベルとの関係により、被験体がPEを有するか否かが示される。
【0008】
いくつかの態様においては、参照レベルは、例えば、ACS、HF、および/またはPEを有しないような、CVDを有しない被験体におけるレベルを示す。例えばST2のバイオマーカーレベルが、例えば実施例1に記載されるように例えば酵素免疫測定法(ELISA)のような免疫アッセイを使用して測定されるいくつかの態様においては、参照レベルは約0.2〜0.3 ng/mlであり、例えば該レベルは血清1 ml当たり0.20、0.23、0.25、0.27、または0.29 ngであることが可能で、かつそのレベルを上回る値は、例えばACS、HF、および/またはPEのようなCVDの存在を示す。もし実施例1で記載されるELISA以外の分析技術が利用される場合には、参照ST2レベルは本明細書で記載されるものと異なっていてもよい。しかしながら、本明細書に記載される特異的数値は、他の分析技術を使用して生成された対応する数値と同等であると解釈されるべきである。
【0009】
一般に、被験体におけるST2、BNP、および/またはDダイマーのレベルの決定は、被験体から生体試料を得る段階、ST2、BNP、および/またはDダイマーへ特異的に結合する結合組成物を試料へ接触させる段階、および結合組成物の試料への特異的結合を測定または決定する段階を含む。結合組成物は、例えばST2、BNP、および/またはDダイマーポリペプチドへ特異的に結合する抗体(例えば、抗ST2抗体、抗BNP抗体、および抗Dダイマー抗体)またはST2、BNP、および/またはDダイマーポリペプチドへ特異的に結合するオリゴヌクレオチドプローブ(例えば、ST2特異的プローブ、BNP特異的プローブ、Dダイマー特異的プローブ)でありうる。
【0010】
本方法はまた、例えば、NT-proANP、proANP、ANP、トロポニン、CRP、クレアチニン、血中尿素窒素(BUN)、肝機能酵素、アルブミン、および細菌性エンドトキシンのような、1つまたは複数のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する段階を含む。
【0011】
いくつかの態様においては、被験体が腎機能障害を有するか否かを決定する段階は、糸球体濾過率(GFR)および/または血清クレアチニンレベルを決定する段階を含む。もし表1に示されるGFRまたは血清クレアチニンレベルを有する場合には、被験体は軽度、中程度、重度の腎機能障害を有する。
【0012】
(表1)

【0013】
また本明細書において、心血管疾患(CVD)を診断するためのキットが提供され、それらは各々ST2、BNP、およびDダイマーポリペプチドへ特異的に結合する3つの異なる抗体、または各々ST2、BNP、およびDダイマーをコードする核酸へ特異的に結合する3つの異なる核酸プローブ、および本明細書で記載される方法における使用のための使用説明書を含む。
【0014】
本明細書で使用されるように、「上方制御される」とは、遺伝子および/またはコードされるポリペプチドの増加した発現を意味する。「増加した発現」とは、増加性の(すなわち、検出可能な程度への)IL-33の複製、転写、および/または翻訳を意味するが、これは、これらの過程のいずれかの上方制御によって該遺伝子によりコードされるポリペプチドの濃度/量における増加がもたらされるためである。逆に、本明細書で使用される「下方制御」または「減少した発現」とは、減少したIL-33遺伝子および/またはコードされるポリペプチドの複製、転写、および/または翻訳を意味する。遺伝子発現の上方制御または下方制御は、各々、核酸ハイブリダイゼーションまたは抗体検出法のような当技術分野で公知の任意の適切な手段を使用して、遺伝子のmRNAのレベルまたは遺伝子にコードされるポリペプチドのタンパク質発現のレベルで、かつ対照との比較において各々増加または減少を検出することにより直接的に決定されうる。本明細書で使用される「発現」とは、核酸および/またはポリペプチドの発現を意味する。
【0015】
本明細書で使用されるように、「被験体」とは、例えばヒトのような哺乳動物である。全ての態様において、ヒト核酸、ポリペプチド、およびヒト被験体が使用されうる。
【0016】
本明細書で使用されるように、「生体試料」とは、血液、血清、血漿、尿および体組織のうち1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、試料は血清または血液試料である。
【0017】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同一の意味を有する。方法および材料は、本発明における使用のために本明細書に記載される;当技術分野において公知の他の適切な方法および材料もまた使用されうる。材料、方法、および事例は例証的であるのみであり、制限的であることを意図しない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベース登録、および他の参照は全体が参照により組み入れられる。対立する場合には、定義を含み本明細書によって制御されるであろう。
【0018】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な記載および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。
【0019】
詳細な説明
高い体格指数(BMI)または腎機能障害を有する被験体において、ナトリウム利尿ペプチド(NP)を使用する心血管疾患(CVD)の臨床的評価は、これらの被験体が同一レベルの疾患の「正常な」被験体との比較から予想されるよりも低いナトリウム利尿ペプチドのレベルを有するという事実により複雑化される。この現象の正確なメカニズムは公知ではない。しかしながら、制限的であることを意味しないが、1つの学説は、肥満および過体重の被験体および腎機能障害を有する者におけるより低いNPレベルは、腎臓および上皮性成分の双方を有する可能性があるNPの排出メカニズムに関連する可能性があるというものである。恐らくNPと類似の様式で産生されるであろうが、ST2はこれらの制限を受けない。従って本明細書で記載される方法は、NPが誤解を招く情報を提供する可能性があるこれらの特別な被験体における、ST2(および/またはST2のリガンドであるIL-33)の使用を含む。
【0020】
一般的方法
診断のためにST2レベルを使用する一般的方法は、例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第2004/0048286号Lee et al.,に記載される。本明細書に記載される方法は、CVDの診断および予後診断においてNPがより有用でない被験体の集団において特に有用である。これらの被験体は、例えば過体重の被験体(25〜29のBMI)または肥満の被験体(30以上のBMI)のような高いBMIを有する者を含む。従っていくつかの態様においては、本方法は、被験体のBMIを決定し、もし被験体が過体重または肥満の場合には患者を選択する段階(例えばBMIに基づき被験体を選択する段階)を含む。これらの被験体はまた、腎臓障害を有する者を含む。従っていくつかの態様においては、本方法は、被験体が腎機能障害を有するか否かを決定し、もし被験体が腎機能障害を有する場合には被験体を選択する段階を含む。
【0021】
一般に、本明細書に記載される方法は、被験体、例えば哺乳動物、例えばヒトにおける生体試料(例えば、血液、血清、血漿、尿または体組織試料)中のST2、および任意でBNPおよび/またはDダイマーのレベルを評価する段階を含む。これらのレベルは、被験体における、例えばHFおよび/またはPEのようなCVDの存在に関する情報を提供する。例えば、不明瞭なレベルのBNPを有する被験体において、例えばHFのようなCVDの診断は、上昇したST2および低いDダイマーレベルの存在により確認されうる。不明瞭なレベルのDダイマーを有する被験体において、例えばPEのようなCVDの診断は、高いST2および低いBNPの存在により確認されうる。
【0022】
被験体においてST2、BNP、またはDダイマーの循環レベルを評価することは、典型的に例えば、血清または血液のような生体試料を被験体から得る段階を含む。試料中のST2、BNP、およびDダイマーのレベルは当技術分野において公知のおよび/または、例えば酵素免疫測定法(ELISA)のような免疫アッセイのような本明細書で記載される方法を使用して、試料中のポリペプチドのレベルを測定することにより決定されうる。あるいは、ST2、BNP、およびDダイマーのmRNAレベルは、また当技術分野において公知のおよび/または、例えば定量PCRまたはノーザンブロット解析のような本明細書で記載される方法を使用して測定されうる。
【0023】
抗原へ「特異的に結合する」抗体は、他のタンパク質を含む試料中において、優先的に該抗原へ結合する。本明細書で使用される「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子またはその免疫学的活性部分、すなわち抗原結合部分を意味する。免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分の例は、ペプシンのような酵素を用いて抗体を処置することにより生成されうる、F(ab)およびF(ab’)2断片を含む。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、例えば、キメラ体またはヒト化されたもの、完全にヒトのもの、例えばマウスの、単一特異的な、または一本鎖の抗体のような非ヒト組み換え体でありうる。いくつかの態様においては、抗体はエフェクター機能を有し、かつ補体を固定しうる。
【0024】
「プローブ」は少なくとも10、および200未満(典型的には約100または50未満)塩基対長の核酸である。標的核酸へ「特異的に結合する」プローブは、高ストリンジェンシー条件下で標的へハイブリダイズする。本明細書で使用される「高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする」という用語は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄に関する条件を記載する。本明細書で使用される高ストリンジェンシー条件は、65℃で0.5 Mリン酸ナトリウム、7% SDS、続いて1回または複数回の、65℃で0.2X SSC、1% SDSでの洗浄である。核酸ハイブリダイゼーションアッセイを遂行するための方法は、当業者に公知であり、かつAusubel et al., Eds., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6中に見出されうる。
【0025】
検出は、抗体またはプローブを検出可能な物質(例えば、抗体標識)へ共役させる(例えば、物理的に結合させる)ことにより促進されうる。検出可能な物質の例は、様々な酵素、人工基、蛍光物質、化学発光物質、生物発光物質、および放射線物質である。適切な酵素の例は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、βガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼを含む;適切な人工基複合体はストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを含む;適切な蛍光物質はウンベリフェロン、フルオレシン、フルオレシンイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレシン、ダンシルクロライド、量子ドット、またはフィコエリトリンを含む;化学発光物質の例は、ルミノールを含む;生物発光物質の例は、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンを含み、かつ適切な放射線物質の例は125I、131I、35Sまたは3Hを含む。
【0026】
診断的アッセイは、生細胞、細胞抽出産物、細胞溶解産物、固定細胞、細胞培養、体液、または法医学試料のような生体試料を用いて使用されうる。診断またはキットの目的に有用な共役抗体は、色素、アイソトープ、酵素、または金属に結合された抗体を含む。例えば、Le Doussal et al., New Engl. J. Med. 146:169-175 (1991); Gibellini et al., J. Immunol. 160:3891-3898 (1998); Hsing and Bishop, New Engl. J. Med. 162:2804-2811 (1999); Everts et al., New Engl. J. Med. 168:883-889 (2002)を参照。放射線免疫アッセイ(RIA)、ELISA、およびラボチップ(lab on a chip)(米国特許第6,176,962号および第6,517,234号)のような様々なアッセイ型式が存在する。
【0027】
生化学および分子生物学における公知の技術が、本明細書で記載される方法において使用されうる(例えば、Maniatis et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1982); Sambrook and Russell, Molecular Cloning, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (2001); Wu, Recombinant DNA, Vol. 217, Academic Press, San Diego, Calif (1993); およびAusbel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Vols. 1-4, John Wiley and Sons, Inc. New York, N.Y. (2001)を参照)。
【0028】
一旦ST2レベルが決定されると、該レベルは参照レベルと比較されうるか、またはCVDの存在または欠如に対応することが既知の値に直接的に関連づけられうる。いくつかの態様においては、参照レベルは、それを上回れば被験体が、例えばACS、PEまたはHFのようなCVDを有する、および/または例えば、所定の重症度のACS、HF、またはPEのようなCVD、例えば重度の疾患を有する閾値レベルを表すであろう。選択される参照レベルは、ST2レベルを測定するために使用される方法に依存してもよい。例えば、可溶性ST2の循環レベルは、例えば、本明細書に記載されるような免疫アッセイを使用して決定されるいくつかの態様においては、参照レベルは、例えば血清1 ml当たり0.20、0.23、または0.29 ngのような約0.2〜0.3 ng/mlであり、かつ参照レベルを上回るST2レベルは、被験体が例えば、ACS、PEまたはHFのようなCVDを有する、および/または例えば、重度のACS、PE、またはHFのような重度のCVDを有することを示す;これらの参照レベルは、レベルが本明細書の実施例1に記載される方法を使用して決定される際に適用される。いくつかの態様においては、参照レベルはレベルの範囲である。
【0029】
いくつかの態様においては、本明細書に記載される方法は、ST2に加えて、または代替としてIL-33のレベルを決定する段階を含む。いくつかの態様においては、ST2およびIL-33の双方のレベルが決定され、かつ各々の参照レベルを伴う双方のバイオマーカーの比較からの情報により、被験体におけるCVDの存在、および/または重度のCVDに関する蓄積的な情報が提供される。いくつかの態様においては、ST2のIL-33に対する割合が決定されてもよく、かつ該割合は、それを上回れば被験体がCVD、および/または重度のCVDを有する閾値割合を表す参照割合と比較されてもよい。あるいは、またはさらに、IL-33/ST2複合体の存在および/またはレベルが決定されることが可能で、かつ被験体において例えばACS、PE、またはHFのようなCVDの存在に関する情報を提供するために参照レベルと比較されうる;例えば、複合体のレベルが選択された閾値を上回ることは、被験体が例えば、ACS、PE、またはHFのようなCVDを有することを示す。
【0030】
いくつかの態様においては、本方法はさらなる診断的方法の使用を含む。当技術分野において公知の、任意の診断方法を使用することが可能であり、かつ当業者が被験体の症状に関して適切な診断方法を選択することが可能であろう。いくつかの態様においては、本明細書に記載される方法は追加でまたは代替として、例えば当技術分野で公知の肺機能または心機能の身体機能のような、他のバイオマーカーの測定のような診断方法を含む。
【0031】
従って本明細書に記載される方法はまた、ST2、任意でBNPおよび/またはDダイマー、および例えば被験体における診断を手助けするバイオマーカーのような、1つまたは複数のさらなるバイオマーカーのレベルを測定する段階も含む。1つの例として、胸痛または呼吸困難を有する被験体に関して、例えばcTnlまたはcTnT、NT-proBNP、proBNP、NT-proANP、proANPおよび/またはANPのような、例えば、心臓性トロポニン(cTn)のような心臓または心血管疾患を示唆するバイオマーカー;あるいは、またはそれに加えて、さらなる肺疾患のバイオマーカーが測定されうる。従って鑑別診断においてMIを含む症状を提示する被験体においては、本方法は被験体がMIを有するか否かを決定するためにcTnlのレベルを測定する段階を含む。当業者は、状況および被験体の状態に依存して、使用可能な多数のさらなる診断方法が存在することを理解するであろう。
【0032】
また本明細書は、例えば、抗体(すなわち、ST2、BNP、およびDダイマーポリペプチドのうち1つに特異的に結合する抗体)または核酸プローブ(すなわち、ST2、BNP、およびDダイマーの核酸のうち1つの全体または一部に相補的であるプローブ)のようなST2、BNP、およびDダイマーポリペプチドまたは核酸の検出のための試薬および本明細書に記載される方法における使用のための使用説明書を含むキットを含む。
【0033】
本明細書に記載される方法は、例えば、ACS、PE、またはHFのようなCVDを有する被験体の診断において有用である。本明細書に記載される方法において、もし過体重または肥満の被験体(例えば、25〜29または30以上のBMIを有する被験体)が、不明瞭な、例えば、低度または中程度のBNP(すなわち、血清1 ml当たり500 pg未満)、血漿1 L当たり500μg未満のDダイマーレベル、および上昇したST2(例えば、血清1 ml当たり0.2 ngのような参照を上回るレベル)を有する場合には、被験体は例えばHFのようなCVDと診断されることが可能であり、かつ例えば外科的または薬学的処置、および/または低度または中程度のBNPレベルにも関わらず生活様式を変更することなど、それに応じて処置されうる。
【0034】
本明細書に記載される方法において、もし被験体(例えば、25〜29または30以上のBMIを有する被験体)が低BNP(すなわち、血清1 ml当たり100 pg未満)、例えば、血漿1 L当たり500〜4000μgのような不明瞭なDダイマーおよび上昇したST2レベル(例えば、血清1 ml当たり0.2 ngのような参照を上回るレベル)を有する場合には、被験体は例えば、PEのようなCVDと診断されることが可能であり、かつ不明瞭なDダイマーレベルにも関わらず、例えば抗凝血薬治療のようにそれに応じて処置されうる。
【0035】
ST2/インターロイキン1受容体様1(IL1RL1)
ST2遺伝子は、インターロイキン-1受容体ファミリーのメンバーであり、そのタンパク質産物は膜貫通型ならびに血清中で検出可能な可溶性受容体の双方として存在する(Kieser et al., FEBS Lett. 372(2-3):189-93 (1995); Kumar et al., J. Biol. Chem. 270(46):27905-13 (1995); Yanagisawa et al., FEBS Lett. 302(1):51-3 (1992); Kuroiwa et al., Hybridoma 19(2):151-9 (2000))。ST2は最近、心不全の実験モデルにおいて著しく上方制御されていることが記載され(Weinberg et al., Circulation 106(23):2961-6 (2002))、かつ予備的結果によって、慢性的重度HFを有する者(Weinberg et al., Circulation 107(5):721-6 (2003))、ならびに急性心筋梗塞(MI)を有する者(Shimpo et al., Circulation 109(18):2186-90 (2004))においては、ST2濃度が上昇する可能性が示唆されている。
【0036】
膜貫通型のST2は、ヘルパーT細胞2型の反応を調節する際に役割を担うと考えられており(Lohning et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95(12):6930-5 (1998); Schmitz et al., Immunity 23(5):479-90 (2005))、かつ重度または慢性的炎症の状態での耐容能の発達において役割を担う可能性があり(Brint et al., Nat. Immunol. 5(4):373-9 (2004))、一方可溶型のST2は増殖刺激された繊維芽細胞において上方制御されている(Yanagisawa et al., 1992、前記)。実験データによって、ST2遺伝子は筋細胞伸長の状態においてBNP遺伝子の誘導と類似の様式で(Bruneau et al., Cardiovasc. Res. 28(10):1519-25 (1994))著しく上方制御されること(Weinberg et al., 2002、前記)が示唆される。
【0037】
Tominaga, FEBS Lett. 258:301-304 (1989)は、BALB/c-3T3細胞における増殖刺激によって特異的に発現されるマウス遺伝子を単離した;彼らはこれらのうちの遺伝子の1つをSt2(Growth Stimulation-Expressed Gene 2)と名付けた。St2遺伝子は、2つのタンパク質産物をコードする;可溶性分泌型であるST2(IL1RL1);およびインターロイキン-1受容体に非常に類似している膜貫通受容体型ST2Lである。HUGO Nomenclature Committeeは、ヒトST2ホモログをインターロイキン1受容体様1(IL1RL1)と命名し、そのクローニングについてはTominaga et al., Biochim. Biophys. Acta. 1171:215-218 (1992)に記載されている。
【0038】
ヒトST2のより短い、可溶性アイソフォームのmRNA配列はGenBankアクセッション番号NM_003856.2で見出され、ポリペプチド配列は、GenBankアクセッション番号NP_003847.2;ヒトST2のより長い型のmRNA配列はGenBankアクセッション番号NM_016232.4;ポリペプチド配列は、GenBankアクセッション番号NP_057316.3である。さらなる情報は、公共のデータベースにおいてGeneID: 9173, MIM ID # 601203、およびUniGene番号第Hs.66で利用可能である。一般に、本明細書に記載される方法においては、ST2の可溶型ポリペプチドが測定される。
【0039】
ST2を検出しかつ測定する方法は、例えば、全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる米国特許公開第2003/0124624号、第2004/0048286号、および第2005/0130136号に記載されるように、当技術分野において公知である。ST2ポリペプチドを測定するためのキットもまた、例えばMedical & Biological Laboratories Co., Ltd. (MBL International Corp., Woburn, MA), no. 7638によるST2 ELISA Kitのように市販されている。さらに、ST2および他のバイオマーカーを測定するための装置は、米国特許公開第2005/0250156号に記載される。
【0040】
いくつかの態様においては、ST2レベルは例えば、診察時に1回決定される。いくつかの態様においては、ST2レベルが、症状の発症後、2、4、6、8、12、18、および/または24時間、および/または1〜7日の時点で、一回または複数回決定される。
【0041】
いくつかの態様において、ST2レベルは1回を超えて決定される;その場合においては、より高い測定値が使用されうる。ST2レベルが1回を超えて決定される態様においては、より高いレベルを使用することが可能であり、またはレベルにおける変化が決定され使用されうる。ST2レベルはまた、被験体の処置に対する反応を評価するために複数回決定されうる。例えば、1または複数用量または処置回数のような、処置の投与後に取得されたST2レベルは、例えばベースラインレベルのような、処置が開始される以前のST2レベルと比較されうる。ST2レベルにおける変化は、処置が効果的であるか否かを示すと考えられ、例えば、ST2レベルにおける減少は、処置が効果的であることを示すであろう。
【0042】
いくつかの態様においては、本方法はRefSNP ID:rs1041973でヌクレオチド配列のアイデンティティーを決定する段階を含む。
【0043】
インターロイキン-33(IL-33)
本明細書に記載される方法において、IL-33はST2の代わり、またはST2に加えて測定されうる。
【0044】
IL-33はST2のリガンドとして最近同定され、かつ様々な炎症疾患において、増加したレベルのIL-33が存在することが記載されている(Schmitz et al., Immunity 23(5):479-90 (2005);米国特許公開第2005/0203046号を参照)。ST2のIL-33に対する割合もまた決定されうる。
【0045】
IL-33タンパク質は不活性型分子であるpre-IL-33として発現され、カスパーゼIによる切断後に活性型IL-33ペプチド、ならびに切断ペプチド産物であるpro-IL-33がもたらされる。従って本明細書に記載される方法は、「IL-33」という用語に全てが含まれる、成熟IL-33、pre-IL-33、および/またはpro-IL-33の1つ、2つまたは3つ全てを測定する段階を含みうる。
【0046】
IL-33の核酸配列はGenBankアクセッション番号NM_033439.2で見出すことが可能であり、かつポリペプチド配列はGenBankアクセッション番号NP_254274.1で見出すことが可能である。さらなる情報は公共のデータベースにおいて、GeneID: 90865, MIM ID # 608678、およびUniGene 番号第Hs. 348390で利用可能である。IL-33はまた9番染色体Open Reading Frame 26(C9ORF26);高度内皮静脈由来核因子(NFHEV);およびインターロイキン33としても公知である。Baekkevold et al., Am. J. Path. 163: 69-79 (2003)も参照。
【0047】
IL-33ポリペプチドおよび核酸のレベルを測定するための方法は、当技術分野において公知である。例えばSchmitz et al., Immunity 23(5):479-90 (2005);米国特許公開第2005/0203046号を参照。
【0048】
体格指数(BMI)
肥満によって、慢性的HFにおけるBNPの発現が影響を受ける。体格指数(BMI)およびBNPレベルとの間に有意な逆性関係が存在することが公知である。
【0049】
BMIは身長に相対する体重により決定され、キログラムでのヒトの体重をメートルでの身長の2乗で割ったものと等しい(BMI=kg/m2)。受け入れられている解釈が表2に示される。
【0050】
(表2)

【0051】
従って本明細書に記載される方法は、被験体の身長を決定する段階、被験体の体重を決定する段階を含み、かつそれにより決定された値からBMIを算出する段階を含む。あるいは本明細書に記載される方法は、BMIを決定するために被験体の病歴を検討する段階を含みうる。
【0052】
いくつかの態様においては、本明細書に記載される方法は、30以上のBMIを有する被験体(すなわち、肥満の被験体)を選択する段階を含む。
【0053】
腎機能
腎機能の測定は、血清クレアチニンの結果ならびに予測される糸球体濾過率(GFR)を含む(例えば、Levey et al., Ann. Intern. Med. 130(6):461-70(1999)を参照)。腎機能障害は表3に示されるように、通常3段階に分類される。
【0054】
(表3)

【0055】
従って本明細書に記載される方法は、被験体の血清クレアチニンレベルおよび/またはGFRを決定する段階を含む。あるいは、本明細書に記載される方法は、被験体のクレアチニンおよび/またはGFRのレベルを決定するために被験体の病歴を検討する段階を含みうる。
【0056】
BNP
B型ナトリウム利尿ペプチドは、心不全のマーカーである。例えば全血または血清中のBNPのレベルは、標準的な方法を使用して決定されうる。多数のアッセイキットが市販されており、例えば、全血または血漿により約15分以内で結果を産生するポイントオブケア(point-of-care)アッセイである、Triage BNP Test(Biosite, Inc., San Diego, CA);ADVIA Centaur and ACS:180プラットフォーム上で駆動するBNPに関する化学発光サンドイッチ免疫アッセイ(Bayer HealthCare Diagnostics, Tarrytown, NY);AxSYMプラットフォーム上で駆動するBNPに関するマイクロ粒子ベース免疫アッセイ(Abbott Laboratories, Abbott Park, IL);および以下のBeckman Coulterプラットフォーム上で駆動するBNPに関する化学発光免疫酵素アッセイ(Biosite, Inc., San Diego, CA):Access、Access 2、Synchron LXIおよびUniCel DXIなどである。NT-proBNPを測定するために利用可能な電気化学発光アッセイ(Roche Diagnostics, Indianapolis, IN)。
【0057】
BNPおよびNTproBNPに関する参照範囲は、多数の因子に依存して変動する。以下の範囲はBNPレベルがELISA型方法を使用して測定される場合の使用に関する範囲であり、かつ当業者は他の方法を使用して得られるレベルが同等であるかを決定することが可能であろう。もしBNPレベルが500 pg/mLを超える場合には、HFの可能性が大いにある。100〜500 pg/mLのBNPのレベルは、診断がより確実でない「グレイゾーン」としてしばしば記載される。細身の被験体においては、もしBNPが100 pg/mL未満の場合にはHFの可能性は低いが、慢性的HFにおいては肥満がBNPの発現に影響を及ぼすので(Mehra et al., J. Am. Cell Cardiol. 43(9):1590-1595 (2004))、肥満の被験体においては、100 pg/mL未満のレベルにより心不全が除外されない(Silver et al., Cong. Heart Fail. 10(5 suppl. 3):1-30 (2004))。
【0058】
Dダイマー
Dダイマーは、フィブリン分解の安定な最終産物である。血液中の増加したレベルのDダイマーは、増強されたフィブリン形成およびフィブリン溶解に付随し、従ってこれらの過程に関連する状態について診断に用いられる。
【0059】
血液中のDダイマーレベルをアッセイするための方法は、当技術分野において公知である。市販のアッセイキットは、迅速な自動化ELISAであるVIDAS D-Dimer Exclusion (bioMerieux, Durham, NC);Minutex(登録商標)D-dimer、Biopool Auto-Dimer(商標)(540〜880 nmの波長で読み取る分析器のための、自動化された免疫混濁度測定アッセイ)、MiniQuant(商標)、AMAX Auto D-Dimer(商標)(AMAX装置のための自動化Dダイマーアッセイ)、およびAccuclot D-Dimer(商標)アッセイ(半定量的アッセイ)(Trinity Biotech, Bray, Co. Wicklow, Ireland);および完全自動化免疫混濁度測定アッセイであるHemosIL(商標)D-Dimerアッセイ(Instrumentation Laboratory, Beckman Coulterにより供給)を含む。
【0060】
4000μg/Lを上回る血漿Dダイマーレベルは、急性PEの存在と非常に関連し、かつPEを除外するためには500を下回るレベルが使用されうる(例えば、Perrier et al., Am. J. Respir. Crit. Care Med., 156(2):492-496 (1997)を参照)。500〜4000μg/Lの血漿Dダイマーレベルは、血液凝固およびフィブリン溶解を活性化する多数の状態のため、より不明瞭である。
【0061】
他のバイオマーカー
本明細書に記載される方法はまた、ST2および/またはIL-33に加えて他のバイオマーカーのレベルを測定する段階も含む。適切なバイオマーカーは、NT-proBNP、proBNP、BNP、NT-proANP、proANP、ANPトロポニン、CRP、クレアチニン、Dダイマー(血塊形成後にそのレベルが上昇するクロスリンクフィブリンの分解産物)、BUN(血中尿素窒素)、肝機能酵素、アルブミン、IL-6および/または細菌性エンドトキシンを含む。これらのバイオマーカーを測定するための方法は、当技術分野において公知であり、例えば全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許公開第2004/0048286号および第2005/0130136号Lee et al.,;Dhalla et al., Mol. Cell Biochem. 87:85-92 (1989); Moe et al., Am. Heart J. 139:587-95 (2000)を参照。肝機能酵素はアラニントランスアミナーゼ(ALT);アスパルテートトランスアミナーゼ(AST)、アルカリフォスファターゼ(ALP)および総ビリルビン(TBIL)を含む。
【0062】
これらの態様において、ST2および1つまたは複数のさらなるバイオマーカーのレベルが決定され、かつバイオマーカーとそれらの各々の参照レベルとの比較からの情報によって、被験体におけるCVDの存在、および/または被験体におけるCVDの重症度のレベルに関するさらなる情報が提供される。
【0063】
実施例
本発明は、以下の実施例においてさらに記載されるが、特許請求の範囲において記載される発明の範囲を限定するものではない。
【0064】
実施例1:サンドイッチELISAアッセイ
この例では、Medical & Biological Laboratories Co., Ltd. (MBL International Corp., Woburn, MA) no. 7638により製造されたST2 ELISA Kitを使用する。このキットは、捕捉および検出の双方にモノクローナル抗体を利用するサンドイッチELISAアッセイである。この手法は1:3の希釈率での反復においてアッセイされる全プレートの試料を解析することを意図し、かつ厳密に製造者のプロトコールに従う。キットは使用まで4℃で保管されるべきである。この実施例に記載される手法は、クエン酸またはEDTA抗凝集性チューブ中に収集されたヒト血清または血漿に関して最適化される。ヘパリン抗凝集性チューブ中に収集された血漿は、ヘパリンがST2へ結合し、かつこのELISAプロトコールによる測定を阻害するため、このアッセイにおいて使用されるべきでない。このアッセイでは、3回までの血漿試料の凍結および溶解サイクルによっては有害な影響を受けない。
【0065】
試薬は、アッセイを遂行する直前に新規のキットから調製されるべきである。使用の前に、キットを室温と平衡化させる。以下で明確に議論されない試薬は、製造者によりそのまま使用できる状態で提供される。
【0066】
1. 洗浄溶液
洗浄溶液は10X濃縮溶液として製造者により提供される。1リットルの洗浄溶液を作成するために、提供される10X濃縮液の100 mlを900 mlの蒸留水で希釈する。
2. 検出溶液
検出溶液は、検出希釈剤を用いて検出濃縮液を1:101で希釈することにより調製される。全96穴プレートの試料に関して、10 mlの検出溶液を要する。10 mlの検出溶液を調製するために、ピペットを使用して10 mlの青色着色された検出希釈剤を15 mlのオレンジ色ポリプロピレンチューブへ移す。100μlの検出濃縮液をこの容量の検出希釈剤へ添加する。
a. 注意:この試薬は、最初のアッセイの保温段階の間に調製されるべきである。
3. キャリブレータ保管液
8 ng/mlの保管溶液を得るため、この製造ロットに関して製造者により規定される蒸留水の容量中で凍結乾燥されたタンパク質を溶解することによって、キャリブレータタンパク質を再構成する。この容量の説明は製品挿入部に含まれる。
【0067】
標準物質および試料の調製:
・以下の全ては、P200ピペッターを用いてアッセイプレートへ移すため、標識された1.5 mlポリプロピレンチューブにおいて調製されるべきである。
【0068】
標準物質:
標準曲線は8 ng/mlの保管溶液の2倍希釈系列を作製することにより作成される。
1. P1000ピペットを使用して、250μlのアッセイ希釈剤をS1〜S8と標識された8個の1.5 mlポリプロピレンチューブへ移す。
2. 同一のP1000ピペットを使用して、250μlの8 ng/mlキャリブレータ保管溶液をS1チューブへ移す。これにより、このチューブには4 ng/mlのキャリブレータタンパク質が存在する。
a. 気泡を作成しないよう注意しながら穏やかに3回ピペッティングすることにより、完全に混合する。
3. 同一のP1000ピペット、および以下の各々の移動に新鮮なチップを使用して、S1チューブ中の250μlの試薬をS2チューブへ移し、混合を繰り返す。
4. 段階3をS2からS3へ、S3からS4へ、S4からS5へ、S5からS6へ、およびS6からS7へ繰り返す。S8は試薬盲検であり、この穴へはキャリブレータタンパク質を移さない。
a. S1〜S6およびS8のチューブは、これにより250μlの試薬を有し、かつS7のチューブは450μlを有するであろう。
【0069】
試料:
プレートが設定され、各試料は1:3の希釈率での2つ組として解析される。例示的設定は、以下の表4に示される。
1. 各試料について、1.5 mlポリプロピレンチューブを標識する。
2. P200ピペットを使用して、160μlのアッセイ希釈剤を各チューブへ移す。
3. P200ピペットを使用して、試料1からの80μlの血清または血漿をチューブ1へ移す。気泡を作製しないよう3回ピペッティングすることにより、注意深く混合する。
4. 段階2を各試料に関して繰り返すことにより、試料チューブへの試料の移動を継続する。
【0070】
手順:
1. P200ピペットを使用して、標準物質および希釈された血清試料を96穴アッセイプレートへ迅速に移す。
a. P200ピペットを100μlに設定する。
b. 100μlの標準曲線希釈剤をアッセイプレートの各列1&2へ移す。
c. 100μlの各血清試料を以下のプレートマップに示されるのと正確に同一の位置のアッセイプレートへ移す。
2. 提供される遮へい版を用いてアッセイプレートを覆い、室温で60分間保温する。
3. プレート自動洗浄器を使用して、プレートを4回洗浄する。
4. 検出器:8チャネルの多チャネルピペットを使用して、100μlの検出溶液を各穴へ移し、室温で60分間保温する。
a. 注意:この試薬は最初の保温段階の間に調製された。
b. 注意:この試薬の添加に関して、使い捨て試薬容器を使用する。
5. 段階3のようにプレートを洗浄する。
6. 基質:8チャネルの多チャネルピペットを使用して、100μlの基質を各穴へ移し、室温で30分間保温する。
a. 基質溶液は、製造者によりそのまま使用できる状態で提供される。
7. 停止:基質保温の完了時に8チャネルの多チャネルピペットを使用して、100μlの停止溶液を各穴へ移す。
a. 停止溶液は、製造者によりそのまま使用できる状態で提供される。
8. 620 nmでのバックグラウンド校正と共に、450 nmでプレートを読み取る。
a. プレートは反応の停止後30分以内に読み取られるべきである。
9. 解析のために、提供されたスプレッドシート中へ吸光度の読み取りを入力する。
【0071】
(表4)例示的な96穴アッセイプレートのマップ

【0072】
実施例2:PRAISE-2
二重盲検生存試験(PRAISE-2)研究は、非虚血性心筋疾患および心不全を有する患者のうちの生存者の心エコー予測を同定するため、かつ心エコー検査の構成要素により人工統計学ベースラインおよび臨床的情報に予後的情報が付加されるか否かを決定するために、予測的に設計され、二重にブラインド化され、無作為化された治験である(Cabell et al., Am. Heart J. 147(1):151-7 (2004))。PRAISE-2心エコー研究に参加した100人の患者のうち、93人が完全でかつ識別可能な心エコー検査結果を有していた。血清試料がベースライン時および2週目で採取され、IL1LR1レベルが実施例1に記載されるよう決定された。
【0073】
Analyse-Itソフトウェア(Analyse-It, Ltd, Leeds, UK)を使用した受信者動作特性曲線(ROC)解析。ROC曲線は図1に示され、かつ図1に示されるのと同一のパラメーターに関するAUC(曲線下面積)情報は以下の表5に提供される。ROC解析によりベースライン(t1)で予後的値に関して評価された全てのマーカーの概要が提供される。AUCは中立的な結果を示すであろう;0.5を上回る任意の結果はその測定に基づく予測の正確性が増加することを示し、一方0.5を下回る結果は正確性の欠失(すなわち、そのマーカーに関して変動性が高い)、および測定されたパラメーターとの関連性の欠如を示す。
【0074】
(表5)PRAISE ROC結果

【0075】
終結点(endpoint)予測に関するST2の値が、3つのBMI群において他のマーカーと比較された。以下の表6に示される結果により、高いBMIを有する患者に関しては、ST2(つまり、ST2の割合)はBNPよりもより強固な予測変数であることが示される。中程度の体重群におけるST2に関する負の数は、幾人かの被験体における変則的なレベルの存在によるものである可能性がある。
【0076】
(表6)3つのBMI群におけるPRAISE終結点予測

【0077】
BNPおよびST2比に関するPRAISE ROCもまた算出された。図2および表7に示される結果により、ST2比は、非過体重、非肥満被験体、ならびにHFが安定化した被験体の双方を含む全体のPRAISE集団についてBNPと比較可能であることが示される;ST2レベルはHFが安定化した際にはベースラインへ回復する傾向がある。
【0078】
(表7)BNPおよびST2比に関するROC

【0079】
BNPおよびST2比の予後診断的有用性が、高いBMIを有する個体に関して算出された;表8および図3に示される結果により、ST2比は、より高いAUCおよびより良い関連性を有するため、高いBMI群においてBNPよりもより良い予測変数であることが実証される。
【0080】
(表8)高いBMIにおけるBNPおよびST2比に関する予後診断的有用性

【0081】
これらの結果により、ST2は時間経過に伴う変化として使用される際には、代償性心不全患者における結果の予測指標であり、かつ高いBMI患者においては、さらなる予後的分析力を提供することが示される。
【0082】
実施例2:ST2はBMIにより影響されない
600人の呼吸困難の被験体が、急性心不全(HF)の診断および予後診断に関するNT-proBNPの有用性を解析するためにPRIDE研究に登録された。登録時に、ブラインド化された血液試料が得られ、加工され、-80℃で凍結された。ST2解析の目的に関して、クエン酸塩添加された血液のアリコートが溶解され(第2の凍結溶解サイクル)、ST2タンパク質の濃度に関して解析された。ST2レベルに対するBMIの影響が解析された。
【0083】
結果は、図4および表9に示される。ST2中央値は全ての3つのBMI群を通して同一であり、かつIQRもほぼ同一であった。
【0084】
(表9)BMIおよびST2レベル

【0085】
これらの結果により、ST2レベルはBNPとは異なり、BMIにより影響されないことが実証される。
【0086】
実施例3. ST2濃度は腎機能不全により影響されない
ST2濃度に対する腎臓障害の影響が、中程度から重度の腎機能不全を有する135人の患者集団において評価された。患者に透析中の者はおらず、かつ以前にCVDと診断された者はいなかった。全ての患者は、腎機能の測標としてModification of Diet in Renal Disease(MDRD)法により決定されるような、糸球体濾過率(mls/minでのGFR)を使用して評価された。心エコーおよび冠動脈石灰化(CAC)測定もまた、潜在性CVDを検出するために各被験体において遂行された。複数のバイオマーカーもまた評価された。
【0087】
この統計集団に関する記述統計が表10に示される;平均GFRおよびST2は図5A〜Bに図表により示される。
【0088】
(表10)糸球体濾過率(GFR)およびST2レベル

【0089】
安定化した、慢性疾患を有する患者のこの統計集団においては、10人(8%)のみが0.2を上回るST2レベルを有し、最高値は0.476 ng/mlであった。ST2値のこの分布は図6に示される。これは慢性的で、管理された腎機能不全を有するこの被験体の集団において予測された通りであった;非常に高いST2レベルが観察されることは予測されないであろう。
【0090】
GFRまたはクレアチニンクリアランスのいずれかにより測定されるように、ST2レベルおよび腎機能の間に関連性が存在するか否かを決定するため、この集団においてピアソン相関解析が遂行された。結果は表11および12に示される。
【0091】
(表11)ピアソン相関結果 GFRおよびST2

【0092】
(表12)ピアソン相関結果 クレアチニンクリアランスおよびST2

【0093】
これらの結果により、慢性的で、管理された腎機能不全を有する被験体の集団において予測されたように、この集団において、ST2レベルと、GFR(p=0.75)またはクレアチニンクリアランス(p=0.851)のいずれかとの間の関連性は存在しなかった。これにより、腎機能不全自体は、ST2レベルの上昇を引き起こさないことが示される。
【0094】
同一の解析がSan Diego Veteran’s Administration Hospitalで139人の被験体の集団において実施された。全ての被験体は、以前に急性心不全(ADHF)と診断されており、かつ平均ST2レベルは慢性腎機能不全を有するがHFを有しない患者の集団で見られる約2倍であった(表11〜12を参照)。ステージIII/IV HFを有する患者集団のほぼ80%は、腎機能障害も有しているという、腎機能不全および心不全の間にほぼ普遍的な相関が存在する(Fonarow and Heywood, Am. J. Med. (2006) 119(12A):S17-S25)。従ってADHFはST2レベルと相関関係があるため、腎機能不全(GFRにより測定されるように)およびST2レベルの間に相関が見られることが予測されるであろう。これは表13および14に示されるように、まさに観察された事象であった。
【0095】
(表13)ピアソン相関結果 ADHFにおけるGFRおよびST2

【0096】
(表14)ピアソン相関結果 ADHFにおけるGFRおよびST2比

【0097】
これらの結果により、ADHFを有する被験体において、単一レベルまたは割合として表された場合においても、ST2値は腎機能不全の測定値と相関関係があるが、腎機能不全とは独立であることが実証される;従って、この二つの事項の間にはいかなる原因関係も存在しない。むしろ、双方の変数は第3のパラメーター(この場合は、心不全)と関連があり、独立に相互作用する。
【0098】
他の態様
本発明は、その詳細な説明と共に記載されるが、前述の記載は本発明の範囲を例示するものであって、限定するものでないことが意図され、それは添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解されるべきである。他の局面、利点および改変は特許請求の範囲の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】二重盲検生存試験(PRAISE-2)研究の受信者動作特性(ROC)曲線であり、年齢、体重、身長、BMI、左心室駆出分画率(LVEF)、クレアチニン、ST2t1、ノルエピネフリン(NEt1)、エピネフリン(Et1)、ドーパミン(DAt1)、アンジオテンシン(ANGt1)、マロンジアルデヒド(MDAt1)、アドレノルチン(ADRt1)、ANPt1、およびBNPt1に関する研究集団の特徴を示す。「t1」は最初の時点で取得されたレベルを意味する。
【図2】PRAISE-2研究におけるBNPおよびST2比に関するROC曲線である;2つの測定値は類似のAUCを有するが、BNPの方が若干高い。
【図3】BMIの高い個体におけるBNPおよびST2比の予後診断的有用性に関するROC曲線である;この場合において、ST2比はAUCより大きい。
【図4】様々なBMI(25未満、25〜29、および30以上)の被験体におけるST2レベルの箱型グラフで、BMIの間でST2レベルにおいて有意な相違がないことを示す。
【図5】図5A〜Bは、中程度から重度の腎機能不全を有する133人の被験体集団における、平均糸球体濾過率(GFR、5A)およびST2レベル(5B)を例証する箱型グラフである。
【図6】実施例3に記載される集団におけるST2レベルの分布を例証する箱型グラフであり、集団中の被験体の大多数は0.2 ng/mlを下回るST2レベルを有することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ST2、BNP、およびDダイマーへ特異的に結合する抗体、またはST2、BNP、およびDダイマーをコードする核酸へ特異的に結合する核酸プローブ、ならびに、
(i)25以上の体格指数(BMI)、または(ii)腎機能障害のうち一方または双方を有する被験体において心不全(HF)もしくは肺塞栓症(PE)を診断する方法における使用のための使用説明書
を含む、心血管疾患(CVD)を診断するためのキット。
【請求項2】
(i)25以上の体格指数(BMI)、または(ii)腎機能障害のうち一方または双方を有する被験体において心血管疾患(CVD)を診断する方法であって、
(A)被験体のBMIを決定し、被験体のBMIが25以上である場合には該被験体を選択する段階;または
(B)被験体の腎機能を評価し、被験体が腎機能障害を有する場合には該被験体を選択する段階
のうち一方または双方の段階、ならびに、
被験体由来の生体試料においてBNP、Dダイマー、およびST2のレベルを決定する段階であって、被験体のBNPレベル、Dダイマーレベル、およびST2レベルにより、被験体がCVDを有するか否かが示される段階
を含む、方法。
【請求項3】
CVDが心不全(HF)または肺塞栓症(PE)である、請求項1記載のキットまたは請求項2記載の方法。
【請求項4】
BNPレベル、Dダイマーレベル、およびST2レベルが、血液、血漿または血清を含む生体試料において検出される、請求項1記載のキットまたは請求項2記載の方法。
【請求項5】
被験体のBNPレベルが500 pg/ml未満、およびDダイマーレベルが500μg/L未満である場合には、ST2レベルとST2参照レベルとの関係により該被験体がHFを有するか否かが示される、請求項2記載の方法。
【請求項6】
被験体のBNPレベルが100 pg/ml未満、およびDダイマーレベルが500〜4000μg/Lである場合には、ST2レベルとST2参照レベルとの関係により該被験体がPEを有するか否かが示される、請求項2記載の方法。
【請求項7】
ST2参照レベルがHFを有しない被験体におけるレベルを表す、請求項5記載の方法。
【請求項8】
ST2参照レベルが血清1 ml当たり約0.2〜0.3 ngであり、そのレベルを上回る値によってHFの存在が示される、請求項5記載の方法。
【請求項9】
ST2参照レベルがPEを有しない被験体におけるレベルを表す、請求項6記載の方法。
【請求項10】
ST2参照レベルが血清1 ml当たり約0.2〜0.3 ngであり、そのレベルを上回る値によってPEの存在が示される、請求項6記載の方法。
【請求項11】
被験体のBNPレベルが100〜500 pg/mLである、請求項2記載の方法。
【請求項12】
被験体において1つまたは複数の他のバイオマーカーのレベルを決定する段階をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項13】
他のバイオマーカーが、NT-proANP、ANP、トロポニン、CRP、クレアチニン、血中尿素窒素(BUN)、肝機能酵素、アルブミン、および細菌性エンドトキシンからなる群より選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
被験体が腎機能障害を有するか否かを決定する段階が、糸球体濾過率(GFR)および/または血清クレアチニンレベルを決定する段階を含み、
被験体が下表に示されるGFRまたは血清クレアチニンレベルを有する場合には該被験体が腎機能障害を有する、請求項2記載の方法:


【請求項15】
被験体が50 ml/分未満のGFRを有する場合には該被験体が腎機能障害を有する、請求項1記載のキット。
【請求項16】
被験体が30以上のBMIを有する、請求項1記載のキットまたは請求項2記載の方法。
【請求項17】
被験体が25〜29のBMIを有する、請求項1記載のキットまたは請求項2記載の方法。
【請求項18】
被験体の腎機能を評価し、被験体が腎機能障害を有する場合には該被験体を選択する段階;および
被験体由来の生体試料においてST2レベルを決定する段階
を含む、腎機能障害を有する被験体において心血管疾患(CVD)を診断する方法であって、
ST2レベルとST2参照レベルとの関係により被験体がCVDを有するか否かが示される、方法。
【請求項19】
ST2参照レベルがCVDを有しない被験体におけるレベルを表す、請求項18記載の方法。
【請求項20】
ST2参照レベルが血清1 ml当たり約0.2〜0.3 ngであり、そのレベルを上回る値によってCVDの存在が示される、請求項18記載の方法。
【請求項21】
ST2参照レベルがCVDを有しない被験体におけるレベルを表す、請求項18記載の方法。
【請求項22】
CVDが心不全(HF)または肺塞栓症(PE)である、請求項18記載の方法。
【請求項23】
生体試料が血液、血漿、または血清を含む、請求項18記載の方法。
【請求項24】
被験体において1つまたは複数の他のバイオマーカーのレベルを決定する段階をさらに含む、請求項18記載の方法。
【請求項25】
他のバイオマーカーが、BNP、Dダイマー、NT-proANP、およびANPトロポニン、CRP、クレアチニン、血中尿素窒素(BUN)、肝機能酵素、アルブミン、および細菌性エンドトキシンからなる群より選択される、請求項24記載の方法。
【請求項26】
被験体が腎機能障害を有するか否かを決定する段階が、糸球体濾過率(GFR)および/または血清クレアチニンレベルを決定する段階を含み、
被験体が下表に示されるGFRまたは血清クレアチニンレベルを有する場合には該被験体が腎機能障害を有する、請求項18記載の方法:



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−535649(P2009−535649A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510021(P2009−510021)
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/067914
【国際公開番号】WO2007/130962
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(508317295)クリティカル ケア ダイアグノスティクス インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】