説明

急速熱処理チャンバ用のランプ

【課題】ランプ、ランプベース、及びランプヘッド/反射スリーブからの熱の消散を改善するための付加的な方法を提供する。
【解決手段】基板熱処理チャンバにおいて基板を少なくとも約1100℃までの温度に加熱するのに使用するよう適応されるランプアセンブリが開示されている。一実施形態において、このランプアセンブリは、一対のリードに取り付けられた少なくとも1つの放射発生フィラメントを包囲する電球と、一対のリードを受け入れるように構成されたランプベースと、壁厚が少なくとも約0.013インチのスリーブと、熱伝導率が約100W/(K−m)より大きいポッティングコンパウンドとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願〕
[0001]本出願は、2007年2月15日に出願された米国特許出願第11/675,145号の利益を主張するもので、その開示内容は、参考として本願にそのまま援用される。
【背景技術】
【0002】
[0002]本発明の実施形態は、一般的に、半導体処理システムに関し、より具体的には、半導体処理システムにおける予熱用ランプに関する。
【0003】
[0003]半導体チップ製作では、半導体基板又はウェハ上に表面構造体を生成し、化学的に変更し又はエッチングするために、急速熱処理(RTP)システムが使用されている。このRTPは、典型的に、ランプヘッドに嵌合されて基板又はウェハに向けられた高強度白熱ランプの配列に依存している。これらのランプは、電気的に電極が供給され、非常に急速にオン及びオフに切り換えることができ、その放射の実質的な部分を基板に向けることができる。その結果、チャンバを実質的に加熱しなくてもウェハを非常に急速に加熱することができると共に、ランプから電力が除去されると、同程度に急速に冷却することができる。
【0004】
[0004]本出願の譲受人に譲渡された参考の為に本願に援用される米国特許公報第5,155,336号にはRTPシステムの一例が説明されており、このシステムは、半導体処理チャンバと、半導体処理チャンバに配置された熱源アセンブリ又はランプヘッドとを含んでいる。ランプヘッドには、多数のタングステン−ハロゲンランプが配置され、それらのランプは、チャンバ内の基板を約300℃/秒の割合で1200℃程度及びそれより高い温度まで加熱することができる。処理中に、ランプからの赤外線放射が、上部窓、光通路及び下部窓を通して処理チャンバ内の回転する半導体基板へ放射される。このように、ウェハは、必要な処理温度に加熱される。
【0005】
[0005]図1に示すように、半導体処理に使用するための従来のハロゲンランプ10(タングステン−ハロゲンランプとも称される)は、電球12(管球とも称される)を備え、これは、短い内部リード16と長い内部リード18との間に電気的に結合されたコイル14の形態の放射発生フィラメントを有している。内部リード16及び18は、フォイル22によって外部リード26に結合される。フォイル22は、通常、モリブデンから作られる。内部リード、外部リード及びフォイルは、ランプベース20で所定位置に保持される。ランプベースは、製造中に、フォイルエリアにわたって一緒にプレスされ、ランプ電球をハーメチックシールするプレスシールを形成する。電球12は、通常、石英で作られ、典型的に、ハロゲン含有ガスが充填される。
【0006】
[0006]半導体処理動作中に、このようなランプは、チャンバに置かれた基板を加熱するために処理チャンバ内でパターン化された配列で置かれる。これらのランプは、上述したように、非常に高い温度で動作する。典型的に、ランプからの放射エネルギーのほぼ半分が、多数の反射の後に、関連光パイプの端部から出て行く。また、ランプからの放射エネルギーのほぼ半分が、ランプのベース20及び反射板/ランプヘッド構造体において吸収される。これは、開放空間におけるランプ放射に比して、ランプのベースを非常に高い温度に到達させる。ベースが高温になり過ぎると、平均ランプ寿命が実質的に短縮される。このランプ劣化は、電気エネルギーをフィラメントへ運ぶフォイル22の周りのシールの破裂によって生じる。約300℃より上では、通常モリブデンで作られたフォイルが容易に酸化し、それにより生じるモリブデン酸化物が体積の膨張を引き起こし、石英を破裂させるか又は開路(open circuit)を生じさせる。従って、ランプベース20を冷却する手段を設けることが必要になる。
【0007】
[0007]更に、ランプベース20から熱を取り去るために精巧な構造体が設計されている。従来の方法によれば、ランプベース20は、多孔性のポッティングコンパウンドを使用して高精度外径ステンレス鋼管内部にカプセル化される。この高精度ステンレス鋼管は、外面(その長さのほとんど)が水冷される別の高精度ステンレス鋼管へ挿入される。電球からの放射エネルギーを反射して除去するために、電球の一部分を囲む反射スリーブが設けられている。この精巧な冷却メカニズムは、長いランプ寿命を許容するのに足る低い温度でランプを動作させる。
【0008】
[0008]ランプから熱を運び去るのに使用される別の解決策は、ランプ電球の内部で、ランプフィラメント又はコイルとランプベースとの間に熱シールド又は反射プレートを配設することである。熱シールド又は内部反射プレートを含むランプ電球の例が、PCT国際公開公報第WO02/03418号及び米国特許公報第6,744,187号に開示されている。電球内部に熱シールド又は反射プレートを有するランプ電球は有効であるが、これらの解決策は、電球アセンブリに付加的な部品を追加することを要する。
【0009】
[0009]上述したランプ冷却解決策にも関わらず、ランプ、ランプベース、及びランプヘッド/反射スリーブからの熱の消散を改善するための付加的な方法を提供することが要望されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010]本発明の一実施形態は、一対のリードに取り付けられた少なくとも1つの放射発生フィラメントを包囲し、内面、外面を有している電球と、一対のリードを受け入れるように構成されたランプベースと、このランプベースを囲み、更に、ポッティングコンパウンドが充填された金属製スリーブとを備え、そのスリーブは、壁厚が少なくとも約0.020インチで、且つそのポッティングコンパウンドは、熱伝導率が約100W/(K−m)を越え、基板処理チャンバ内で少なくとも約1100℃までの温度に基板を加熱するのに使用するように適応されたランプアセンブリに関する。1つ以上の実施形態によれば、ポッティングコンパウンドは、熱伝導率が約150W/(K−m)を越え、例えば、約200W/(K−m)より大きい。
【0011】
[0011]1つ以上の実施形態において、スリーブの壁厚は、約0.040インチを越え、例えば、約0.050インチを越える。スリーブは、銅又はアルミニウムで作ることができる。1つ以上の実施形態によれば、ポッティングコンパウンドは、リン酸マグネシウム結合の窒化アルミニウムを含む。一実施形態において、ポッティングコンパウンドは、銅又は銀を更に含んでもよいエポキシ系ポッティングコンパウンドである。
【0012】
[0012]1つ以上の実施形態によれば、スリーブの断面形状は、ランプベースの断面形状と実質的に適合する。一実施形態において、スリーブの断面形状は、実質的に長方形である。
【0013】
[0013]別の実施形態において、一対のリードに取り付けられた少なくとも1つの放射発生フィラメントを包囲し、内面、外面を有している電球と、一対のリードを受け入れるように構成されたランプベースと、このベースを囲み、熱伝導率が約100W/(K−m)を越える第1のポッティングコンパウンドとを備えていて、基板処理チャンバ内で少なくとも約1100℃までの温度に基板を加熱するのに使用するよう適応されたランプアセンブリが提供される。一実施形態において、ポッティングコンパウンドの熱伝導率は、約150W/(K−m)を越え、また、約200W/(K−m)を越えることもある。
【0014】
[0014]一実施形態において、ランプアセンブリは、電球に隣接して配置された第2のポッティングコンパウンドを備え、この第2のポッティングコンパウンドは、第1のポッティングコンパウンドよりも熱伝導率が低く且つ反射率が高い。ある実施形態において、第1のポッティングコンパウンドは、エポキシ系窒化アルミニウムコンパウンドを含み、また、第2のポッティングコンパウンドは、ジルコニア系ポッティングコンパウンドを含む。一実施形態によれば、第2のポッティングコンパウンドは、厚みが約1mm未満の層で存在する。
【0015】
[0015]本発明の前述した特徴を詳細に理解できるように、概要について簡単に前述した本発明について、幾つかを添付図面に例示している実施形態に関して、以下により特定して説明する。しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態のみを例示したもので、従って、本発明の範囲は、それに限定されるものではなく、本発明は、同等の効果を発揮できる他の実施形態も包含できることに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】半導体処理に使用するための従来技術のハロゲンランプを示す。
【図2】本発明の実施形態によるランプアセンブリの断面図である。
【図3】本発明の実施形態によるランプアセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0019]以下の説明において本発明を完全に理解するために特定の細部について述べる。しかしながら、当業者であれば、これらの特定の細部がなくても本発明を実施できることが明らかであろう。他の点では、本発明を不必要に不明瞭にしないために、良く知られた要素は示さない。
【0018】
[0020]本発明の実施形態は、一般に、基板熱処理チャンバにおいて基板を少なくとも約1100℃、例えば、約1350℃までの温度に加熱するのに使用するように適応されるランプアセンブリを提供する。1つ以上の実施形態によれば、半導体基板処理の用途に使用される急速熱処理装置に使用できるランプアセンブリは、ポッティングコンパウンドを囲む管の長さに沿って且つポッティングコンパウンドを通して熱を流し去り、既存の電球よりも急速に電球を冷却するように設計されている。本発明の実施形態によれば、ランプの寿命が延長されると共に、ランプ電球及びランプベースの過熱による早期のランプ故障が防止されることが予想される。
【0019】
[0021]本発明の実施形態によれば、ランプアセンブリを囲む管又はスリーブの熱伝導率を高め、更に/又は管又はスリーブの厚みを増加すると、ランプ電球から熱を運び去る上で助けとなる。既存のランプアセンブリでは、ランプアセンブリを囲むスリーブは、典型的に、ステンレス鋼から作られる。1つ以上の実施形態によれば、従来のランプアセンブリよりもスリーブの熱伝導率を高めるために、ランプアセンブリを囲むスリーブには銅又はアルミニウムが使用される。別の実施形態において、ランプ電球及びベースから熱を運び去る上で助けとなるように、高い熱伝導率のポッティングコンパウンドを使用してもよい。既存のランプアセンブリでは、その既存のランプアセンブリに使用されるポッティングコンパウンドは、熱伝導率が約1から2W/(K−m)である。本発明の実施形態によれば、熱伝導率が約100W/(m−k)を越え、例えば、150W/(m−K)を越え、特に、200W/(m−K)を越えるポッティングコンパウンドがランプアセンブリに使用される。スリーブのみの熱伝導率を高めるか、又はスリーブの厚みの増加と組み合わせてポッティングコンパウンドの熱伝導率を高めることにより、ランプ電球及びランプベースから、複数のランプアセンブリを囲むステンレス鋼ハウジングを通して流れる冷却流体への熱伝達が著しく容易にされる。
【0020】
[0022]図2を参照すれば、基板処理チャンバ内の基板を処理するために熱エネルギーを供給するのに使用できるランプアセンブリ120の実施形態が示されている。しかしながら、ここに述べるランプアセンブリ120の、この実施形態及び他の実施形態は、単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するのに使用されるものではない。
【0021】
[0023]一実施形態において、ランプアセンブリ120は、このランプアセンブリ120を収容し、更に、このアセンブリ120から熱を伝達するための構造的な基礎をなすスリーブ又は本体24を備えている。スリーブ又は本体24は、収容壁28と、第1及び第2の端部32、36とを備えている。収容壁28は、第1及び第2の端部32、36に開口40a、40bを備える。一実施形態において、収容壁28は、熱伝達を容易にし、更に、反射面をなす金属で構成される。例えば、スリーブ24は、ブラシ掛け又は研磨されて反射性とすることのできるステンレス鋼で構成されてもよい。銅やアルミニウムのような良好な伝導性のスリーブ材料は、熱伝達を更に改善し、電球付近の熱を減少することが熱モデリングにより示されている。更に、管の全外径を増加せずにスリーブの壁厚を増加することで、電球からの熱の伝達が更に改善される。スリーブの外径の非限定実施例において、RTPチャンバに使用される電球は、外径が約0.619インチで、内径が約0.592インチで、その結果、スリーブの壁厚は、約0.013インチとなる。管の壁厚を約0.020インチより大きく増加し、特に、約0.040インチより大きく増加し、更には、約0.050インチより大きく増加すると、電球からの熱の流れが著しく改善されて、電球の温度を下げることが熱モデリングにより示されている。スリーブ材料、ポッティングコンパウンドの熱伝導率、及びスリーブの厚みを変えたときの温度への影響を決定するのに熱モデリングが使用された。RTPチャンバ内の多数の位置の温度が分析された。伝導率の高いスリーブ材料を、スリーブ厚みの増加及び/又は伝導率の高いポッティングコンパウンドと組み合わせて使用すると、ランプ管内部及びその付近の幾つかの位置の温度が75℃から約100℃まで低下することが確定された。一実施形態において、管は、伝導率の高い金属で構成され、管の殻内部に含まれるポッティングコンパウンドはほとんど又は全く無い。この実施形態において、管は、実質的に中実のもので、ワイヤのためのコンジットが設けられ、ある場合には、管の両端に電球及びプラグが挿入される。RTPチャンバの初期の世代では、電球がランプヘッドの冷却材濡れ領域内部に収容され、エネルギーのほとんどは、電球から横方向(半径方向)に石英部片、ガスギャップ及びランプヘッドスチール管を通して冷却材へと運び去られると考えられていた。ツールが使用されるプロセスに対する上記シナリオでは、電球/コイルからシールエリアを越えてポッティングを通して冷却材へと横方向に流れ込む熱はほとんどないと考えられていた。入手容易な熱伝導率の低いポッティング材料の使用は、問題にならなかった。RTPチャンバの現在の世代では、より高いプロセス温度が要求され、電球は、ランプヘッドの冷却材濡れ領域を越えて延びるので、軸方向熱搬送の改善が有利になる。
【0022】
[0024]図示された実施形態において、スリーブ24は、製造し易い円形断面である。しかしながら、以下に更に述べるように、方形、長方形、三角形、及び多アーチ形状を含む他の断面形状も考えられる。1つ以上の実施形態において、スリーブ24の断面形状は、ランプベースの形状に実質的に適合する。スリーブ24の長手軸44は、収容壁28に平行で且つスリーブ24の断面に垂直である。
【0023】
[0025]図示されたランプアセンブリ120は、スリーブ又は本体24の第1端部32にシールされたランプ要素48を備えている。一般的に、このランプ要素48は、フィラメント56の周りに内部雰囲気を含む光透過性電球又は管球52を含む。この管球52は、管状、円錐、球状、及び多アーチ形状を含む種々の形状を含むことができる。電球又は管球52は、電気コネクタ64の貫通を許容するピンチシール端部又はランプベース60も備え、また、製造中に管球にガスを付加または除去するのに使用されて後にシールされる真空管(図示せず)を含んでもよい。電球又は管球52は、石英、シリカガラス、アルミノシリケートガラス、又は他の適当な光透過性材料を備える。管球52に収容される内部雰囲気は、例えば、ハロゲン含有ガスを備える。管球52及びランプベースは、半導体基板の急速熱プロセスチャンバに関連した高い温度及び急速な温度変化に耐えるように形成される。例えば、ランプアセンブリは、ウェハを少なくとも約1100℃までの温度及び約1350℃程度の温度に処理することから生じる局部的な環境、並びに約300℃/秒の温度変化に耐えることができなければならない。
【0024】
[0026]ランプ要素48の管球52内にあるコイルの形態で示された放射発生フィラメント56は、その2つの端部68a、68bが電気コネクタ64に電気的に結合されている。フィラメント56は、抵抗性金属ワイヤを備え(1つの態様では、タングステン製ワイヤ)を備える。フィラメント56は、単一又は複数のコイルや、或いは過剰巻きコイルを含むコイル巻きコイルを有することも可能であるし、或いは平坦なストリップ、波形の平坦なストリップ又は過剰巻きの平坦なストリップを含むこともでき、その中点又は端末点68a、68bにおいてランプ要素の電気コネクタ64に結合される。フィラメント56の電気的特性は、その単位長さ当たりの重量、直径、及びコイルパラメータのようなパラメータを調整することにより変えることができる。動作中に、フィラメント56は、例えば、約120VAC,rmsの動作電圧で約1kWまでのワット範囲で放射を発生することができる。典型的に、放射は、深紫外線、紫外線、可視光線、赤外線又は近赤外線レンジである。
【0025】
[0027]ランプ要素の電気コネクタ64は、ランプ要素の管球52の外側の電源からフィラメント56へ電力を供給し、フィラメント56と電源との間の連続的な電気接続を形成する。ランプ要素の電気コネクタ64は、典型的に、モリブデン製ワイヤのような、導電性に優れた金属ワイヤ72又はフォイル76或いはその組み合わせを備える。また、コネクタ64は、他の金属、例えば、タングステン、ニッケルがメッキされた鋼、又は電気抵抗が低く且つ高電流を確実に搬送できる他の金属を備えてもよい。
【0026】
[0028]管球52のピンチシール端部又はランプベース60は、管球52がランプ要素48の電気コネクタ64の周りで物理的に制限される領域を含む。コネクタ64は、これが管球52に入り込むときにピンチシール端部又はランプベース60を貫通し且つそれによって所定位置に保持されて、外部電源をフィラメント56に電気的に結合する。ピンチシール端部又はランプベース60は、管球52の内部雰囲気の圧力及び組成を維持するためにハーメチックシールを形成する。ランプ要素48は、スリーブ又は本体24の第1端部32において少なくとも部分的に載置される。
【0027】
[0029]また、ランプアセンブリ120は、ランプアセンブリ120の第2端部36からランプ要素48へ電力を伝送するための1つ以上の伝送ワイヤ80も備えている。一実施形態において、ランプアセンブリ120は、ランプ要素48の一対の電気コネクタ64の1つに各々が接続される一対の伝送ワイヤ80を備えている。この伝送ワイヤ80は、電気抵抗が比較的に低い導電性ワイヤである。一実施形態において、伝送ワイヤ80の電気抵抗は、約0.1オーム以下である。伝送ワイヤ80は、一端で、半田接続、溶接接続、物理的磨滅(abrasion)、音波結合、或いは安定した比較的に低抵抗の電気的接続が確立される他の形式の接続により、ランプ要素48の電気コネクタ64に電気的に接続される。また、伝送ワイヤ80は、それらの動きや曲げを許容する弾力性も有する。例えば、1つの変形例では、伝送ワイヤ80は、ヤング率が約30GPaから約130GPaである。これは、伝送ワイヤ80をランプアセンブリの組立中及び動作中に曲げたり操作したりするのを許容しながらも、それらの形状を保つに充分な量の剛性を保有することも許容する。
【0028】
[0030]ランプアセンブリ120は、スリーブ又は本体24内にポッティングコンパウンド84を備え、これが、ランプアセンブリ120の発熱要素とスリーブ又は本体24との間の熱伝達を促進する。発熱要素は、例えば、ランプ要素48及び伝送ワイヤ80を含むことができる。ポッティングコンパウンド84は、熱エネルギーをスリーブ又は本体24へ伝達し、次いで、スリーブ又は本体24が熱をランプアセンブリ120から伝達することができる。一実施形態において、ポッティングコンパウンド84は、少なくとも、ランプ要素48のピンチシール端部又はランプベース60と、スリーブ又は本体24の収容壁28との間にある。例えば、ポッティングコンパウンド84は、実質的に全ピンチシール端部又はランプベース60の周りにあって、収容壁28までの全域に延びることができる。また、ポッティングコンパウンド84は、ランプ要素48のピンチシール端部又はランプベース60を越えて延びることもでき、例えば、一実施形態において、ポッティングコンパウンド84は、スリーブ又は本体24の第2端部36に向けて延びる。上述したように、伝導率の高いポッティングコンパウンド、例えば、熱伝導率が100W/(m−K)を越え、特に、150W/(m−K)を越え、更には、200W/(m−K)を越えるポッティングコンパウンドが、本発明の実施形態に基づいて使用される。特に適したコンパウンドは、窒化アルミニウムを主成分とするポッティングコンパウンドである。適当なポッティングコンパウンドは、例えば、アレムコ社から入手できるセラマキャスト(Ceramacast)製品番号675である。他の適当なポッティングコンパウンドは、アルミナ充填ポッティングコンパウンド又はエポキシ系ポッティングコンパウンドを含んでもよい。
【0029】
[0031]一実施形態において、熱伝導率の高いポッティングコンパウンドではなく、熱伝導率は低いが反射率の高いポッティングコンパウンドの薄い層を使用して、ランプ電球を囲み、ランプ電球からの熱反射率を改善する。例えば、熱伝導率が1から2W/(m−K)のジルコン系ポッティングコンパウンドの少なくとも約1mm厚みの層をランプベース60付近で電球の周りに使用することができると共に、管の残り部分に伝導率の高いコンパウンドを充填することができる。
【0030】
[0032]この技術で知られているように、水硬性ポッティングコンパウンドの場合、ポッティングコンパウンド84は、水分含有量を減少するか又は除去するためにランプアセンブリ120の製造中に加熱される。例えば、一実施形態において、加熱後に、ポッティングコンパウンド84は、水分含有量が0.1重量%以下である。残りの水分含有量は、一般的に、ランプの動作中に放出可能である。また、ポッティングコンパウンド84は、熱的に連続する領域においてランプアセンブリ120への一体化を容易にするに充分なほど順応性がある。
【0031】
[0033]ランプアセンブリ120は、スリーブ又は本体24の第2端部36に位置されたプラグ88を備えている。このプラグは、外部電源に接続され、ランプヘッドと外部電気コネクタとの間の不整列を調整する。プラグ88は、堅牢な材料又はエラストマー材料で作られてもよい。更に、プラグは、図示されたように、スリーブ又は本体24の端部36に対して固定されるか、そこに挿入されてもよいし、或いは端部36に対して柔軟に位置されてもよい。プラグ88が柔軟に位置されるときには、プラグは、長手軸44に垂直な方向にスリーブ又は本体24の第2端部36に対して移動することができる。プラグ88の柔軟な位置付けは、製造を容易にするための幾つかの効果を有するが、エラストマープラグ88をスリーブ又は本体24の端部36に固定することが望ましい場合もある。プラグ88は、伝送ワイヤ80に電力を伝達する電気コネクタ92を有する。プラグ88は、ポッティングコンパウンド84から水分含有量を除去するのに必要な温度に耐えることのできる材料を備える。一実施形態において、プラグの材料は、少なくとも約165℃で少なくとも約15時間露出させることに耐えることができる。プラグは、堅牢な材料で作られてもよいし、柔軟な材料で作られてもよい。堅牢な材料は、典型的に、柔軟な材料よりも、プラグ88を高い温度で長時間露出させるのを許容する。例えば、エラストマーのような柔軟な材料は、柔軟性のために要求される弱い内部結合が一般的に熱的安定性を下げるために、堅牢な材料のように比較的高い温度への露出に一般的に耐えることはないが、本発明の実施形態によれば、それらを使用することができる。例えば、柔軟なプラグに使用されるエラストマー材料であるサントプレン(Santoprene)201−64は、その柔軟性及び他の特性が劣化し始めるまでに、約150℃で約15時間耐えることができる。柔軟なプラグに使用できる別のエラストマーは、180℃を越える温度で15時間耐えることのできる白金触媒作用のシリコーン、例えば、GE LIM9070である。
【0032】
[0034]また、プラグ88は、一対の電気コネクタ92も備えることができ、これは、基板処理チャンバの受け入れレセプタクルに合う形状にされ、伝送ワイヤ80に電気的に接続される。この電気コネクタ92は、レセプタクルから伝送ワイヤ80へと電力を転送し、次いで、伝送ワイヤがランプ要素48へ電力を転送する。プラグの電気コネクタ92は、金属のような導電性材料を備える。例えば、1つの変形例では、コネクタ92は、鉄合金、ニッケル、又は銅、或いはその混合物で構成される。1つの変形例では、コネクタ92は、1つの材料が別の材料の上にメッキ又は堆積されるような材料の組み合わせを備えてもよい。
【0033】
[0035]プラグ88は、第1のプラグ要素104を備え、これは、プラグの電気コネクタ92を保持すると共にランプアセンブリの伝送ワイヤ80を受け入れるための構造上の基礎をなす。この第1のプラグ要素104は、ランプアセンブリ120の本体24に直接取り付けられるように示されていないが、1つ以上の実施形態において、プラグがスリーブ又は本体24に取り付けられてもよい。第1のプラグ要素104は、プラグの電気コネクタ92及び伝送ワイヤ80を受け入れて少なくとも部分的にカプセル化するための主本体108を有する。また、プラグ要素104は、延長部112も有し、これは、比較的サイズが大きくてもよいプラグの電気コネクタ92を更に支持すると共に高電圧動作に対して付加的な絶縁を与えるものである。第1のプラグ要素104の形状及びサイズについて他の変形例も考えられる。
【0034】
[0036]図3を参照すれば、ランプアセンブリ220が斜視図で示され、ここで、スリーブ224は、断面形状が実質的に長方形であり、これは、ランプベース260と、コネクタ292が延び出したプラグ208との断面形状に適合する。電球又は管球252は、実質的に円形断面である。技術的に理解されるように、ランプアセンブリ220は、このランプアセンブリを冷却する水冷型又は他の流体冷却型ステンレス鋼製ハウジングへ挿入することができる。上述したように、スリーブの壁厚、スリーブの熱伝導率、及びポッティングコンパウンドの熱伝導率の1つ以上を調整することにより、冷却流体への熱伝達を改善して、電球寿命の改善を得ることができる。
【0035】
[0037]本明細書全体を通じて、「一実施形態」、「ある実施形態」、「1つ以上の実施形態」又は「実施形態」を言及するときには、その実施形態に関連して述べる特定の特徴、構造、材料、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に包含されることを意味する。従って、本明細書の全体にわたり種々の場所で「1つ以上の実施形態」、「ある実施形態」、「一実施形態」又は「実施形態」のような句が現れたときには、必ずしも、本発明の同じ実施形態を言及していない。更に、特定の特徴、構造、材料又は特性は、1つ以上の実施形態において、適当な仕方で結合することができる。
【0036】
[0038]以上の説明は、例示に過ぎず、それに限定されるものではないことを理解されたい。当業者であれば、以上の説明を検討したときに、多数の他の実施形態が明らかとなろう。それ故、本発明の範囲は、特許請求の範囲、並びにその権利が及ぶ等効物の全範囲に基づいて決定されなければならない。
【符号の説明】
【0037】
24…スリーブ又は本体、28…収容壁、32、36…端部、44…長手軸、48…ランプ要素、52…電球又は管球、56…フィラメント、60…ピンチシール端部又はランプベース、64…電気コネクタ、72…金属ワイヤ、76…フォイル、80…伝送ワイヤ、84…ポッティングコンパウンド、88…プラグ、92…電気コネクタ、104…第1のプラグ要素、120…ランプアセンブリ、220…ランプアセンブリ、224…スリーブ、260…ランプベース、208…プラグ、292…コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のリードに取り付けられた少なくとも1つの放射発生フィラメントを包囲し、内面及び外面を有する電球と、
前記一対のリードを受け入れるように構成されたランプベースと、
該ランプベースを囲み、ポッティングコンパウンドを内部に含まない又はほとんど含まない管を具備し、銅又はアルミニウムからなるスリーブと、
を具備するランプアセンブリであって、
前記銅のスリーブが少なくとも0.020インチ(0.0508cm)の壁厚を有し、
基板処理チャンバ内で少なくとも1100℃までの温度に基板を加熱するのに使用するよう適応された、ことを特徴とするランプアセンブリ。
【請求項2】
前記管が、ワイヤのために設けられたコンジットを有する、実質的に中実なものである、請求項1に記載のランプアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−124173(P2012−124173A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−23295(P2012−23295)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【分割の表示】特願2009−549709(P2009−549709)の分割
【原出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】