説明

急速結合ソケット

【課題】急速に駆動ツールとナットまたはボルトを連結するソケット。
【解決手段】ソケット1は、ソケットの上側の円状の開口部11に円周上に配置された複数の突起14を有し、スパナーまたは類似物の駆動シャフトの挿入によって、駆動シャフトが突起によって、それぞれ偏らされまたは押し付けられ、ソケット1の四角い穴12にスムーズにガイドされ、駆動シャフトがソケットに急速に結合される。ソケットはさらに、ソケットの下部に存在する下側の円状の開口部に配置される複数の下部の突起を有し、ナットまたはボルトをソケットの下側の穴に、急速に結合させるため、ソケットの下側の六角形の穴に18の面が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[背景技術]
回転可能にナットやボルトを締め付けまたは取り外すために、ソケットの下側の穴にナットやボルトを結合するように適応された従来のソケットSは、ソケットの上部1Aに斜めに形成された円状の開口部Tと、駆動(または結合)シャフトCを、斜めに形成された円状の開口部Tを介して下向きにスライドして、ソケットに結合するためにソケットの上部に形成される四角い穴Hと、を有している。
【0002】
しかしながら、駆動(または結合)シャフトの直角コーナーC1は、図9において一点鎖線で示されるように、斜めに形成された円状の開口部Tの傾斜面上で四辺形に保持される。使用者または作業者はさらに、ソケット穴HにシャフトCを安定的に連結させるために、軸10に対して、反時計周りRもしくは時計周りR1のどちらかに、駆動シャフトCを、駆動シャフトCの直角コーナーC1とソケットSの四角い穴Hとが一致するまで、ねじるもしくは回転させなければならない。このため、道具使用者に作業上の不便さを引き起こす。
【0003】
従来のソケットSは、図10に示すように、六角形のナットまたはボルトNに係合するための六角形の穴Hbが形成されている底部分1Bを有する。ナットまたはボルトの先端コーナーXが曲線のコーナーのようにすり減って、すり減ったナットまたはボルトを駆動させるためにソケットを回転させるとき、スリップやスライドが生じるかもしれない。このため、ソケットとナット(またはボルト)との間のスムーズな係合に影響を及ぼしたり、ナット(またはボルト)を締め付ける作業が遅れたりする。
【0004】
本発明の発明者は、従来のソケットの欠点を見つけ、急速に駆動ツールとナットまたはボルトを連結する本発明にかかるソケットを発明した。
【発明の概要】
【0005】
[発明の概要]
本発明は、以下の構成を有するソケットを提供することを目的とする。すなわち、ソケット上部の円状の開口部に円周上に配置された複数の突起を有し、それぞれの突起は、ソケットに形成された四角い穴の側面に対応する4分の1円弧長の中央部に形成され、四角いヘッド(4つの直角コーナーを有する)を有するスパナーの駆動(もしくは結合)シャフトを、ソケットの四角い穴に下向きに挿入することによって、駆動シャフトの四角いヘッドは突起によって、それぞれ偏らされまた押し付けられ、下向かつ放射状にテーパー形状を有する傾斜面を通って、円状の開口部から四角い穴にスムーズにガイドされ、スライドされ、よってスパナーの駆動シャフトがソケットの四角い穴に急速に結合し、安定してソケットを回転させ、ソケットの下側の穴に係合されるナットまたはボルトを締め付けまたは取り外すことができる。
【0006】
本発明の別の目的は、ナットまたはボルトをソケットに押しつけ、ソケット下部の傾斜した円錐の面に沿ってスライドさせて、ソケットの下部の穴に急速に結合させるために、ソケットの下部の円状の開口部に円周上に配置された複数の下部の突起を有するソケットを提供することである。
【0007】
さらに本発明の別の目的は、ソケットとナットまたはボルトとの急速な一致および結合のために、ソケットの下部に形成される六角形の穴に18の面を有するソケットを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
[図面の簡単な説明]
【図1】本発明の斜視図である。
【図2】本発明の上面図である。
【図3】駆動シャフトが図2から反時計回りに偏ったときの本発明の上面図である。
【図4】本発明の突起の他の好ましい実施形態である。
【図5】ナットを結合するときの本発明の下面図である。
【図6】ソケット内でナットの適した結合を示す下面図である。
【図7】本発明の18の面を有するソケットの下面図である。
【図8】図7から回転して、ソケットのサブ面がナットの面と一致した状態を示す。
【図9】従来技術の上面図である。
【図10】従来技術の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[発明を実施するための形態]
図1〜3に示すように、本発明は、ソケット1の下側または下部に形成された下部の穴に係合するナットやボルトを締め付けまたは取り外すためのスパナーまたは類似物に用いるソケット1から成り立つ。さらに、ソケット1の上部1Aに形成された上側の円状の開口部11に円周上に配置された複数の突起14と、ソケット1の上部に形成され、四角の角部に4つの直角コーナー21を有するスパナーの駆動(または結合)シャフト2の四角いヘッドを係合するために、(ソケット1の軸10中心について)上側の円状の開口部11から四角い穴12に向かって下向きにかつ放射状にテーパー形状を有する円錐状の斜面13を通って、上側の円状の開口部11に連結された四角い穴12とを含む。
【0010】
それぞれの突起14はピラミッド形状、円錐または半円錐形状、円筒形状、曲面形状または多角形形状として形成されることが可能であり、本発明において、制限されない。
【0011】
本発明の図面に示すように、ソケット1の上面に円周上に配置された4つの突起4が存在する。
【0012】
しかしながら、本発明では、ソケット1の上面に少なくとも1つの突起14が存在しなければならない。
【0013】
突起14は、ソケット1の円状の開口部11の4分の1円弧長111の中心または中央部にピラミッド形状として形成される。また、4分の1円弧長111はソケットの四角い穴12のそれぞれの辺に対応している。そしてそれぞれの突起14は、円状の開口部11を限定する環状の上面部110と同一平面上に存在する1つの三角部140と、斜面13に沿ってそれぞれ一点に集まるようにかつ下向きにテーパー形状を有する2つの三角形の側面部16と、四角い穴12のそれぞれの辺121の中央部で収束する収束端点(the focusing end point)15にて接線方向に(tangentially)交わる稜線141とを有し、稜線141は2つの三角形の側面部16を直線的に結合し、三角部140の頂点140aから収束端点15に向かって、下向きにかつ放射状にテーパー形状を有している。
【0014】
図2に示すように、2つの三角形の側面部16の2つの上面部は、鈍角Aを定義する。鈍角Aは、本発明のソケット1に駆動シャフト2を連結するときに、スパナーの駆動(または結合)シャフトを傷つけるのを防ぐために、それほど鋭く設計されない。鈍角Aは150度または他のいかなる鈍角であってもよく、本発明において制限されない。
【0015】
図2に示すように、シャフト2の四角いヘッドの4つの面(点線で示している)20の4つの直角のコーナー21を有する駆動シャフト2を、ソケット1の円状の開口部11に下向きに押し込んだとき、もし駆動シャフト2の直角のコーナー21がぴったり突起14の三角形の側面16に着地した(landed)とすると、駆動シャフト2は三角形の側面16によって、図2に示すよう反時計回り(R)に、すなわち図2から図3へ横向きに偏らされまたは押し付けられる。さらに駆動シャフト2を下向きに押し付けると、駆動シャフト2の四角いヘッドは、ソケット1の斜面13によって、反時計方向Rにスムーズにかつ急速にガイドおよびスライドさせられ、ソケット1の四角い穴12に連結される。
【0016】
ところで、スパナーまたは類似物の駆動シャフト2は、ソケットの下部で係合されるナットまたはボルトを締め付けまたは取り外すシャフト2に結合されたソケット1を駆動させるために、回転させられる。
【0017】
本発明にかかるソケット1の突起14は、駆動シャフト2のヘッドが四角い穴12に急速に、スムーズに、簡便に結合するのを助け得る。よって、ソケットに係合されたナットまたはボルトを締め付けまたは取り外す作業が容易になる。
【0018】
図1に示すように、シャフト2をソケット1に下向きに押し込んだとき、もし、駆動シャフト2の直角のコーナー21がぴったりソケット2の斜面13に着地したとすると、シャフト2の面20は突起14の稜線141に対して保持され、さらにシャフト2が押し下げられると、シャフト2の面20はそれぞれ突起14の稜線141によって保持されまたは妨げられるため、シャフト2のヘッドは時計回りに移動することなく、反時計周り(R)のみに移動する。これによって、急速にガイドおよびスライドさせられ、四角い穴12に連結される。
【0019】
従来のソケットと比較して、もし本発明で説明しているような複数の突起14が与えられなかったら、駆動シャフトを従来のソケット(図9)に結合しようとすると、シャフトのヘッドは時計回りまたは反時計回りのいずれかに、より長い距離または円弧長を周遊する(travelling)ように回転させ得る。これによって、連結作業が遅れ、作業者または使用者に不便さを引き起こす。
【0020】
図4に示すように、突起14は下向きにテーパー形状を有する曲がった傾斜面16aを有する円錐または半円錐の突起14に変更することができる。そして、傾斜面16aは、ソケット1の四角い辺12の収束端点15(または側面)においてうまく交わるようになっている。
【0021】
図5、6に示すように、ソケット1の下側または下部は、六角形(または多角形)のナットまたはボルト3を係合するために形成された六角形(または多角形)の穴12bを内部に有している。そして、複数の下部の突起14bは、ソケット1の下側に設けられた下側の円状の開口部11bに円周上に配置されている。六角形(または多角形)の穴12bは、下側の円状の開口部11bに、下側の円状の開口部11b(ソケット1の軸10に対して)から六角形の穴12bへ上向きにかつ放射状にテーパー形状を有する下側の円錐状の斜面13bを通じて、連結される。
【0022】
それぞれの下側の突起14bは半円錐形状、半円筒形状、曲面形状、その他の適切な形状として形成される。
【0023】
それぞれの下側の突起14bは、下側の円状の開口部11bの6分の1円弧長111bの中心または中央部に形成されている。6分の1円弧長111bはソケット1の六角形の穴12bの面121bに対応している。それぞれの下側の突起14bは、六角形の面121bのそれぞれの側端と接線方向に交わるように、下側の円錐状の斜面13bに沿って一点に集まるようにかつ上向きにテーパー形状を有している(図6)。
【0024】
強制的にソケット1をナット(またはボルト)3に係合するとき、ナット(またはボルト)3のそれぞれの先端コーナー31は、それぞれの下側の突起14bによって押し付けられるように、斜面13bによって、図5から図6へ示すように、急速にガイドされスライドされる。これによって、六角形のナット(またはボルト)がソケット1内の六角形の穴12bの内部にぴったりと結合され、ソケットの下側または下部でナット(またはボルト)がソケット1に急速に結合する。この方法は、前述し図1〜3で示したように、駆動シャフト2をソケット1の上部に形成された四角い穴12に、急速に係合するような方法と同様である。
【0025】
ところで本発明にかかるソケット1は、ソケット1の上側または上面1Aにおいて、駆動シャフトまたは道具と急速に結合し(図1〜図3)、また、ソケット1の下側または下面1Bにおいて、ナットまたはボルト3と急速に結合する(図5〜図6)。これによって、本発明のタイトルに示すように「急速結合ソケット」として満足に定義される。
【0026】
さらに本発明は、以下に記述し、図7および図8に示すように、ソケット1の急速かつ信頼性のある結合をするために、変更することができる。
【0027】
図7に示すように、六角形のナットまたはボルト3に結合するために、ソケット1の下側または下面1Bに形成された六角形の穴12bのそれぞれの面12hは、ソケット1の穴12bに係合するナットまたはボルト3の六角形の面31に並列する中間のサブ面(intermediate sub-side)122hと、中間のサブ面122hから外向きに分岐するようにそれぞれ傾いている2つの傾いたサブ面(inclined sub-sides)(または傾いた部分的な面)123hと、を有する。それぞれの傾いたサブ面123hは、それぞれの傾いたサブ面123hとこれに対応するナット(またはボルト)3の面31との間に、内向きにかつ推定的に小さい鋭角A1を定義する。中間のサブ面122hは、中間のサブ面122hの反対側の端部に配置される2つの傾いたサブ面123hと横方向に交わる。そして、それぞれの傾いたサブ面123hは、(下部1bにおいて)ソケット1の六角形の穴12bを形成するように、隣接する他の六角形の面12hの傾いたサブ面123hと先端121hにて外向きに交わる。
【0028】
ソケット1の回転(例えば、図8で示す時計回りC)によって、それぞれのソケット1の傾いたサブ面123hは小さい鋭角A1の範囲内を回転し、すぐにそれぞれナット(またはボルト)3のナット(またはボルト)の面31と一致する。
【0029】
ところで、ナット(またはボルト)の六角形の面31は、スリップやスライドすることなく、それぞれの傾いたサブ面123hに(直線的ではなく)平面的に確実に係合または接触される。これによって、ソケットとナット(またはボルト)との急速結合を確実にする。
【0030】
図7、図8に示すように、六角形の面12hは、3つのサブ面に分けることができる。すなわち、1つの中間のサブ面122hと、中間のサブ面122hの反対側の端部に配置される2つの傾いたサブ面123hとに分けられる。
【0031】
それぞれの六角形の面12hは「3つの表面」を有しているために、六角形の穴12hは合計で「18の表面」(3表面×6=18表面)を有する。
【0032】
本発明は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することのない範囲で、変更することができる。
【0033】
四角い穴12と六角形の穴12bとの幾何学的な形状は、多角形の駆動シャフトまたは多角形のナット(またはボルト)と結合するように、多角形のソケットの多角形の穴に変更することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパナーまたは類似物によって駆動させられるようなナットまたはボルトを、回転可能に締め付けまたは取り外すように適合されたソケットであって、
ソケットの上部に形成された円状の開口部に円周上に配置された複数の突起と、
ソケットの上部に形成され、前記円状の開口部に円錐形状の斜面を介して連結された四角い穴と、を有し、
前記円錐形状の斜面は、スパナーの駆動シャフトの四角いヘッドを係合するために、前記円状の開口部から前記四角い穴に向かって下向きかつ放射状にテーパー形状を有し、
前記駆動シャフトを前記ソケット内の前記四角い穴に下向きに押すことで、前記駆動シャフトの前記四角いヘッドは前記円錐形状の斜面を通ってスライドさせられ、前記ソケットの前記四角い穴と急速に結合するために、前記突起によって偏らされまたは押し付けられるソケット。
【請求項2】
前記突起は、ピラミッド形状、円錐形状、半円錐形状、円筒形状、曲面形状、多角形形状のいずれかの形状から形成されている請求項1に記載のソケット。
【請求項3】
前記突起の少なくとも1つは、前記ソケットの前記円状の開口部の4分の1円弧長の中央部に形成されており、
前記4分の1円弧長は、前記ソケットの四角い穴の辺にそれぞれ対応しており、
前記四角い穴は前記円錐形状の斜面を介して前記円状の開口部と連結している請求項1に記載のソケット。
【請求項4】
前記突起はそれぞれ、円状の開口部を限定する環状の上面部と同一平面上に存在する1つの三角部と、
円錐形状の斜面に沿ってそれぞれ一点に集まるようにかつ下向きにテーパー形状を有する2つの三角形の側面部と
四角い穴のそれぞれの辺の中央部で収束する収束端点にて接線方向に交わる稜線と、
を有し、
稜線は2つの三角形の側面部を直線的に結合し、三角部の頂点から収束端点に向かって、下向きにかつ放射状にテーパー形状を有している請求項3に記載のソケット。
【請求項5】
前記三角部は、2つの三角形の側面部の2つの上面部を有し、
前記2つの三角形の側面部は、前記2つの上面部の間に鈍角を定義する請求項4に記載のソケット。
【請求項6】
前記鈍角はそれぞれ150度である請求項5に記載のソケット。
【請求項7】
下部に形成され、ナットまたはボルトと連結するための六角形の穴と、
ソケットの下部に設けられた下側の円状の開口部まわりに、円周上に配置された複数の下部の突起と、を有するソケットであって、
前記下側の突起はそれぞれ、下側の円状の開口部の6分の1円弧長の中心または中央部に形成されており、6分の1円弧長はソケットの六角形の穴の面にそれぞれ対応しており、
前記下側の突起は、ソケットの六角形の穴の面の側端と接線方向で交わるように、下側の円錐形状の斜面に沿って、一点に集まるようにかつ上向きにテーパー形状を有しているソケット。
【請求項8】
六角形のナットまたはボルトを連結するために、ソケットの下部に形成された六角形の穴を有し、
前記六角形の穴は6つの面を有し、
前記6つの面はそれぞれ、六角形のナットまたはボルトの面に並列する1つの中間のサブ面と、
中間のサブ面から外向きに分岐するようにそれぞれ傾いた2つの傾いたサブ面と、を有し、
前記傾いたサブ面は、前記傾いたサブ面とこれに対応する前記ナットまたはボルトの面との間に、内向きに推定的に小さい鋭角を定義しており、
中間のサブ面は、中間のサブ面の反対側の端部に配置される2つの傾いたサブ面と横方向に交わり、
前記傾いたサブ面はそれぞれ、ソケットの六角形の穴を形成するように、隣接する他の六角形の面の傾いたサブ面と先端にて外向きに交わり、
ソケットの回転によって、ソケットの前記傾いた面がそれぞれ小さい鋭角の範囲内を回転して、ソケットの前記傾いた面がナットまたはボルトの面と一致して、ソケット内でナットまたはボルトとすぐに結合するソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−51101(P2012−51101A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−173987(P2011−173987)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(511025857)