説明

患者の圧補助換気

【課題】呼気終末圧設定、圧力スイング、抵抗性除荷、および一般化された患者換気特徴及び/又は疾患分類に基づいた換気の支援を提供するための目標換気を含む換気装置の設定を決定するための方法および装置に関する。
【解決手段】該装置は、セットアップの間にユーザ/医者に入力を促し測定値または入力回答に基づいた設定を計算することにより、方法を対話式に実行する命令でプログラムされる。換気特徴または疾患分類に関係した先に決められた値は、ベース圧力値または測定値と結合して、換気の支援の提供のための圧力レベルを決定するために、患者にカスタマイズされた設定または調整を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気の補助を患者に提供するための方法及びデバイスに関する。より詳細には、本発明は、患者の呼吸のニーズを満たす換気を提供するデバイス設定を調節する、改善された方法およびデバイスを含んでいる。
【背景技術】
【0002】
肺、胸壁、又は調節障害が未治療である患者において、血液ガスは典型的にはノンレム睡眠中にいくらか下がり、そのあと、レム睡眠中にさらに大きく下がる。この悪化は恐らく次のものを含む複数の原因による。
1.咽頭の虚脱による上気道抵抗の増加
2.痰保持および無気肺に導く、咳と嘆息の損失
3.V/Qに対する姿勢の影響
4.特にレム睡眠中での、横隔膜に対する強直性または化学反射性の駆動の減少
5.肋間筋、腹部の呼息筋および他の副筋に対する強直性または化学反射性の駆動の減少
6.肺血流分配の可能なレム睡眠に特有な変化
咽頭の虚脱は、レム睡眠中で非常に重大である。ノンレム睡眠中での換気の低下は、横隔膜に対する化学反射性駆動の低下によるのではなく完全に咽頭の虚脱によるという証拠がある。咽頭抵抗の増加は、CPAPで治療されるか、より一般には、抵抗性の圧力損失及びベルヌーイの圧力損失を補償するのに十分な吸気圧力をさらに加えた、ゼロの流速で気道を補強するのに十分な陽圧で治療される。
【0003】
換気の支援を提供することによって呼吸筋を呼吸させ且つ休止させる働きを減じることが、特に睡眠中に提供されるならば、多くの直接・間接の潜在的な利点を有することができる。これらの利点は次のものを含んでいる。
・非能率的な収縮で筋疲労を予防すること
・呼吸の酸素使用量を減らすこと
・呼吸困難を減らすこと
・睡眠を改善して呼吸の覚醒をより少なくすること
次には、転げ回ること、もじもじすることなどを減らすことにより、改善された睡眠は、代謝率、CO製造および酸素消費量を直接・間接的に減らすべきである。血液ガスを改善すること、あるいは換気の支援の必要性を減らすことのいずれかに導く。また、それは、生活の質的向上のためにそれ自身で有益である。
【0004】
しかしながら、以下に示すような、患者に対する換気の支援に悪影響がある。
【0005】
1.圧外傷
35cmHOより小さなピーク圧を提供する換気装置については、圧外傷は、成人型呼吸窮迫症候群(高いずれ応力による)を患う患者、および気胸または気腫嚢胞の履歴を持った患者に大部分は限定されている。
【0006】
2.心拍出量の減少
正常な被験者でさえ、10cmHOの鼻のCPAPが、心拍出量の10%を低下させ、陽圧をハイ・レベルにすることができる。特に容体の変わりやすい体力の消耗した患者において、心拍出量の重大な低下を生成することができる。反対に、心不全および変わりやすい過負荷(15cmHO過多の肺毛細管楔入圧)状態にある患者では、鼻のCPAPは、恐らく経壁圧を減らすことにより、現実に心拍出量を増加させる。
【0007】
3.口からのリーク
口からのリークは、換気の支援で治療されているほとんどの患者においてはある程度まで存在する。0.4リッター/秒の口からのリークは、重度の睡眠混乱、換気の支援の損失、補助の酸素の損失および終端呼気の補助的圧力の損失をもたらす。かかるリークは恐らく被験者の50%である。口からのリークは、また鼻の抵抗を増大させる。これは、鼻中および口の外にある空気の一方向の流れによって、鼻粘膜を乾燥させ且つ冷やすことに対する反射的な応答である。
【0008】
あごひもは、口からのリークを制御するのに非常に部分的にだけ有効である。熱した加湿は、問題の他の観点ではなく鼻粘膜の乾燥を部分的に治療することができる。許容された場合、十分なフェースマスクは好ましい治療である。
【0009】
4.グロニック(Glonic)閉塞
ローデンステインと同僚は、覚醒中及び睡眠中の過剰な換気が、声帯のきつい閉塞に次第に導き、非侵襲性の換気を提供するときにこの事実が考慮に入れられなければならないことを示した。
【0010】
細部はよく理解されない。声門の閉塞が単に受動か、機能中の内転を含んでいるかどうか、それが麻酔によって廃止されるかどうか、それがレム睡眠中にあるのかどうか、気道または動脈の低炭酸症によるのかどうか、それとも、それが設定ポイントでの睡眠状態での特定の変化によって生成されるかどうかは知られていない。活動中ではない咽頭の虚脱と異なり、声帯閉塞がCPAPに応答するかどうかは知られていないが、それが機能中の閉塞である場合、CPAPには非常に治療しがたいことは予想されるであろう。
【0011】
5.死腔の増加
陽圧は、換気の悪いユニット(生理学的短絡(シャント)の有益な低下)およびよく換気されたユニット(死腔の病理学的増加)に血流を減らす傾向があって、肺血流の分配を変更するだろう。多くの血流が不十分に潅流された肺単位にある患者(例えば肥満症換気過小症候群を持った患者)では、生理学的短絡を低下させるが死腔を増加させることは、正味の利益でありえる。しかし、「やせた肺気腫患者」のような、不十分に潅流された領域に多くの換気のなされた患者では、正味の効果は不利益となりえる。
【0012】
6.不快
換気装置の目標は、呼吸困難を取り除くことである。しかしながら、それは様々なメカニズムによって、相当な不快をもたらす。
・ 上気道構造の膨張
・ 空気の呑み込み(特に、一度、圧力は20cmHOを越える)
・ マスクの不快さ
・ リーク(特に口からのリーク)
・ 患者と機械との間の非同時性
発明者らは、支援の度合いが0から正常呼吸の働きの100%を行なうものの方へ増加するので、異常に高い量の呼吸の働きを行わなければならないことによる呼吸困難の感覚、および過剰な化学反射刺激による苦痛の感覚が、両方とも0の方に減少するべきであると期待するかもしれない。しかしながら、上に一括して示されたすべての原因からの不快さは増加するだろう。苦痛の2つのソース間のトレードオフの速度に関する文献はない。しかし、患者が100%未満の支援の度合いで非常に快適に感じることは明白である。現在の著者によるまさに予備的な未公表の業績では、正常な被験者は、200mlの死腔が加わった状態で高い外抵抗(8cmHO/リッター/秒)により呼吸し、二段式の支援で治療されており、患者は約50%の支援で非常に快適であると感じる。最適なポイントは、もちろん、実際の肺または胸壁疾患を患っている患者、または二段式以外の支援の形式での患者において、全く異なるであろう。
【0013】
7.患者と機械との間の非同時性
患者と機械との間の非同時性は、次のものを含む多くの要因からできている。
・ リーク
・ 長い呼吸の時定数(例えば重度で慢性の気流制限(「CAL」)を患っている患者における)
・ 固有のPEEP
【0014】
リーク、特に可変のリークは、デバイスによって測定された気流が患者の呼吸の気流と等しくないので、非同時性をもたらす。本発明のデバイスで、リークは約0.2リッター/秒で問題になり始め、0.4リッター/秒で深刻な問題である。0.6リッター/秒のリークで、デバイスは実際に患者に役立っていないであろう。0.2リッター/秒未満にリークを維持することは、技術的に非常に苛酷であり、一般に実現可能でない。したがって、努力の合理的な投資でリークをできるだけ低く維持することを人は望むが、0.2リッター/秒は、努力と結果との間の合理的なバランスである。
【0015】
患者と機械との間の非同時性は、高い支援の度合いで治療されている長い呼吸の時定数を持った患者では、特に問題である。これは真の呼吸気流がもはや患者努力と等しくないからである。例えば、患者の吸気努力の終端において、肺は高吸気圧力にまだ釣り合っておらず充満し続ける。これは、呼息に入る正しいきっかけとなることを妨げる。患者は、吸息を終了するために積極的に吐出しなければならない。支援の度合いが高ければ高いほど、その現象で支援の度合いがさらに困難になる。したがって、人は過度の支援を回避したがる。
【0016】
いかなる流れも生成される前に、患者が相当な吸気努力をしなければならないので、固有のPEEPは、一種の非同時性をもたらす。動的な気道圧縮による固有のPEEPは、呼気の流速対時間曲線から明白であろう。呼気の流速対時間曲線においては、非常に高速な呼気の短い期間があり、それに続いて、非常に低速である非常に長い呼気プラトーがある。治療は、湾曲形状が標準化されるまで、呼気圧力(特に後期の呼気圧力)を増加させることである。
【0017】
このように、これらの7つの効果を念頭において、自動換気の気道陽圧の目標は、一般に要約されて、下記のものを含む。
1.睡眠中での適切な肺胞換気量を保証すること
2.覚醒時の快適さを最大にすること
3.睡眠の深さを最大にすること
4.治療の開始のコストを最小にすること
【0018】
上記目標に向かうように、本発明に係る換気装置デバイスが提供される。
1.選ばれた目標に等しいか又は越えるために分時換気をサーボ制御すること
2.被験者が選ばれた目標を越えるならば、自発的な抵抗性の働きの多くを除荷すること
3.被験者が選ばれた目標をちょうど越えるならば、その最小の幅が自発的な弾性的な働きの多くを除荷するがそのすべてではない滑らかで生理学的な圧力波形
4.昼間には適切なPCOを有しており、睡眠中にだけ下がる被験者において覚醒学習セッションの間に目標を自動的に確立するためのメカニズム
【0019】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2で開示されたデバイスのように、これらの目標の一つ以上に合致するために開発された高度の自動処理を備えた精巧な換気デバイスは、使用を始める前に特別な患者のニーズを提供するために制御の設定を必要とする。かかるデバイスの設定を調節するための同じ方法がないので、患者への圧補助の適切な度合いの提供は最適ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】国際公開WO98/12965
【特許文献2】国際公開WO99/61088
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従って、上記の目標及び/又は当業者に明白になるであろう他の目標と調和して、本発明は、換気装置の設定を調節するための新規な方法である。本発明の1つの形式では、陽圧呼気終末圧力を維持する圧力設定は、肥満、眠気、慢性気流制限等のような一般化された患者換気特徴を表わす、所定の調整圧力値を用いて決定される。質問に対する回答の結果、所定の調整圧力は、開始の圧力設定またはデフォルトの圧力設定に加えられる。開始の圧力設定は、好ましくは約4cmHOである。また、好ましくは、調整圧力は約1乃至約2cmHOの範囲である。得られた範囲は、約4乃至約10cmHOである。支援圧力は、好ましくは、抵抗性の除荷を説明する圧力式、および可変連続相として決定された呼吸の相に従って提供される。該方法は、予め決められた質問に回答するようにユーザ/医者に入力を促すことにより方法を対話式に実行し、次に、入力回答に基づいた調整を計算するようにプログラムされた装置によって実行される。
【課題を解決するための手段】
【0022】
したがって、本発明は、初期圧力値を選択するステップと、一般化された換気特徴に関して患者への質問に対する回答の入力を促すステップと、前記の初期圧力値と、前記質問に対する前記回答に基づいた一連の調整圧力値とから陽圧呼気終末圧力を計算するステップであって、前記調整圧力値が一般化された換気特徴を表わすステップと、を備える、陽圧呼気終末圧力を維持するために患者に支援を提供する換気装置の設定を決定する方法又は装置を含んでいる。
【0023】
本発明の他の実施形態は、指定した範囲の中で圧力スイングを維持するために支援を提供するための換気装置の設定を決定するステップを含んでいる。好ましくは、スイングは患者の弾性的な働きの約50%を行うように選択される。該方法では、初期圧力値は、選択されて、患者の肺または胸壁の拘束性の器質的障害の重症度の度合い、例えば、軽度であること、中程度であること、重度であること、を決定するように入力の促された回答に基づいている。圧力スイング設定は、異なった重症度の度合いに決められた、最初の圧力および圧力値で計算される。約2乃至約6cmHOの範囲にある好ましい所定値は、約5乃至約9cmHOのスイング(振幅)に導く。本発明の他の実施形態と同様に、該方法は、手動であるか、または自動装置から出されたプロンプトに対する対話型応答によって実行されてもよい。
【0024】
したがって、本発明は、初期圧力値を選択するステップと、肺または胸壁の拘束性の器質的障害の重症度の度合いに関して患者への質問に対する回答の入力を促すステップと、前記の初期圧力値と、前記質問に対する前記回答に基づいた一連の調整圧力値とから圧力スイングを計算するステップと、を備え、前記一連の調整圧力値は、肺または胸壁の拘束性の器質的障害の重症度の度合いを表わしている、患者の弾性的な働きのおおよそ半分をなすために選ばれた指定した範囲中で圧力スイングを維持する支援を提供するために換気装置の設定を決定する方法又は装置を含んでいる。
【0025】
本発明の他の実施形態は、換気装置の設定が支援を提供するために抵抗性の除荷を決定するための方法を含んでいる。好ましくは、該設定は被験者の抵抗性の働きの約50%乃至約80%を除荷するために選択される。該方法は、一つ以上の疾患、例えば拘束性疾患及び/又は閉塞性疾患の重症度の度合いを表わす、所定の抵抗性の除荷圧値の使用ステップを含んでいる。患者が特別な重症度の度合い、例えば軽度であること、中程度であること、重度であること、に苦しんでいるかどうかを決めるように回答の入力を促すことによって、所定の圧力値を用いることにより、設定がその回答から決定される。好ましい実施形態では、軽度の、中程度の、重度の閉塞性疾患に対する圧力値は、約4乃至約8cmHO/リッター/秒の範囲にあり、好ましくは、それぞれ、4cmHO、6cmHOまたは8cmHOである。軽度の、中程度の、重度の拘束性疾患に対する圧力値は、約3乃至約8cmHO/リッター/秒の範囲にあり、好ましくは、それぞれ、3cmHO、6cmHOまたは8cmHOである。該方法は手動で行なわれてもよい。代わりに、換気装置デバイスは、方法を対話式に達成するための命令でプログラムされる。
【0026】
したがって、本発明は、拘束性疾患および閉塞性疾患の被験者の重症度の度合いを決定するために、少なくとも1つの質問に対する回答の入力を促すステップと、少なくとも1つの質問の前記回答に基づいた、一連の所定の圧力値の1つに、抵抗性の除荷値を設定するステップと、を備え、前記一連の所定の圧力値は、拘束性疾患および閉塞性疾患の重症度の度合いを表わしている、被験者の抵抗性の働きの約50%乃至約80%を除荷する支援を提供するために換気装置の抵抗性の除荷設定を決定する方法又は装置を含んでいる。
【0027】
本発明の1つの形式では、目標換気設定は、測定されたPCOの関数として決定される。本発明では、患者の換気は、換気の支援が提供される学習期間に、時間とともに測定される。また、目標換気は、測定された換気の関数として導き出される。患者のCOの動脈の分圧も測定される。そして、測定された動脈の分圧の結果、目標換気が調節される。好ましくは、測定値は閾値PCOと比較される。また、目標換気は比較に基づいて、増加又は減少するであろう。そして、目標換気は、測定されたPCOと閾値PCOとの間の差の絶対値の一定の割合に基づいて、増加又は減少するであろう。好ましい計算では、閾値は約50mmHgである。
【0028】
したがって、本発明は、覚醒時の学習期間に換気の支援を患者に提供するステップと、学習期間に患者の換気を時間とともに測定するステップと、患者のCOの分圧を測定するステップと、換気の測定値の関数として目標換気を計算するステップと、分圧の測定値の関数として前記目標換気を調節するステップと、を備える、換気装置の目標換気設定を決定する方法又は装置を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の方法を実行するために操作可能な換気装置を図示する。
【図2】本発明に係る送出圧力式の圧力成因の典型的な例を図示する。
【図3】本発明に係る波形テンプレートを図示する。
【図4】本発明の装置からの提供された圧力の実際の圧力波形を示す。
【図5】本発明の換気装置に関する呼気終末圧力設定を決定する方法でのステップを図示するフローチャートである。
【図6】本発明の換気装置に関する抵抗性の除荷圧設定を決定する方法でのステップを図示するフローチャートである。
【図7】本発明の換気装置に関する抵抗性のスイングの圧力設定を決定する方法でのステップを図示するフローチャートである。
【図8】本発明の換気装置に関する目標換気設定を決定する方法でのステップを図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を達成するのに有用なサーボコントロールされる換気装置は、図1に示されている。送風機10は、マスク11に対して送出管12により、または患者の呼吸器システムに流れを提供するための他のかかるデバイスにより、加圧された空気を供給する。排気ガスは排気部13によって放出される。好ましくは、マスク流速は、流速信号f(t)を導き出すために呼吸流量計14および差圧力変換器15を用いて測定される。マスク圧力は圧力変換器18を用いて、圧力タップ17で測定される。流速及び圧力の信号は、コントローラーまたは、圧力要求信号P(t)を導き出すために本願に記載した処理を実行するメモリを含むマイクロプロセッサー16へ送られる。マイクロプロセッサーにアクセス可能なプログラムされた命令は、デバイスのメモリにおける統合チップ上にコード化されるか、またはソフトウェアとしてロードされるか、従来のデザインの他のあるデータ記憶媒体(不図示)によって蓄えられるであろう。実際の測定された圧力および圧力要求信号P(t)は、所望の瞬間マスク圧力を生成するために送風機モータ20を制御するモータ・サーボ19に供給される。任意ではあるが、自動PCO測定デバイス21またはPCOを測定するための他の非侵襲性の血液ガスモニター/デバイスは、マイクロプロセッサー16に入力データ信号を提供するためにリンクされてもよい。例えば米国特許番号5,630,413に教示するようなデバイスである。その開示は参考文献として本願に組込まれている。オプションの入力及び/又は出力のデバイス22は、出力信号を表示し、かつマイクロプロセッサー16に入力信号を入力するために含まれてもよい。キーパッドおよびディスプレイ・スクリーン、および他のもののような様々な適切な入力および出力デバイスは、当該技術分野で知られている。
【0031】
この種のサーボコントロールされる換気装置の例は、国際公開番号WO98/12965の主題である。それは関連する米国出願番号08/935,785に開示されている。さらなる例は、国際公開番号WO99/61088に示される。それは、関連する米国出願番号09/316,432に含まれている。先の米国出願は参考文献として本願に組込まれている。
【0032】
A.操作の原則
本発明の自動的な換気の気道陽圧デバイス(「AutoVPAP」)の目標は、次のとおりである。
1.睡眠中での適切な肺胞換気量を保証すること
2.覚醒時の快適さを最大にすること
3.睡眠の深さを最大にすること
4.治療の開始のコストを最小にすること
【0033】
そして、上記目標に向かうために、本発明に係るデバイスは以下のものを備える。
1.選ばれた目標と等しいか越える分時換気をサーボ制御すること
2.被験者が選ばれた目標を越えるならば、自発的な抵抗性の働きの多くを除荷すること
3.被験者が選ばれた目標をちょうど越えるならば、その最小の幅が自発的な弾性的な働きのすべてではなくその多くを除荷する滑らかで生理学的に合った圧力波形
4.昼間では適切なPCOを有しており睡眠中にだけ下がる被験者の覚醒時の学習セッションの間に自動的に目標を確立するためのメカニズム
【0034】
1.サーボ換気:目標の選択
サーボ換気装置は、最小の換気を保証し、その結果として、換気過少によるレム睡眠の低酸素症の成因を防ぐことができる。目標換気を選択するための方法は、患者の状態に依存するであろう。
【0035】
1.急性の非代償性の被験者
急性の非代償性の被験者においては、または、昼間のPCOが受け入れがたい被験者においては、臨床医は、例えば70ml/kg/分からスタートして血液ガスに合わせて調節することにより、経験的に目標換気を決定する必要がある。
【0036】
2.慢性的に安定した被験者
覚醒時の昼間のPCOが恐らく完全ではないが少なくとも適切である被験者において、デバイスは、目標換気を自動的に決定するための単純な設備を提供する。簡潔に言えば、デバイスは、部分的に支援された覚醒時の順応セッション間での被験者の自発的な換気を測定する。そして、デバイスは、目標換気がセッションの最終40分間、平均換気の90%と等しくなるように設定する。バックアップの呼吸速度(被験者が適切に換気されない場合のみ用いられる)は、順応セッションの間、中央値の呼吸速度に設定される。
【0037】
中央値の覚醒時の換気の100%よりも90%に目標換気を設定するための論理的根拠は、睡眠中の代謝の活性において10%乃至15%の低下があるだろうということである。換気が昼間の覚醒時の換気の90%に設定される場合、第一の近似として、一夜のPCOは、順応セッション中での昼間の覚醒時のPCOに近い値に保持されるであろう。反対に、もし目標が、自発的な覚醒時の換気の100%に設定されるならば、患者はノンレム睡眠中に中枢性無呼吸に駆り立てられるだろう。これは、機能中の声帯の内転を生成して、最大圧力の不必要な提供に帰着する。
【0038】
2.マスク圧力のための式
瞬間のマスク圧力は次の式に従って設定される。
P=Peep+R・f+A・Π(φ)
ここで、Peepは呼気終末の圧力であり、上気道を補強し、固有のPEEPを除荷し、無気肺を減じるために用いられている。(それは、二段式の換気装置でのEPAPに非常におおまかに一致する。)
fは呼吸の気流である。
Φは呼吸サイクルでの瞬間的な相である。
【0039】
Rは、患者の実際の気道抵抗の約50乃至約80%に等しい抵抗であり、通常、2乃至8cmHO/リッター/秒の範囲にある。R・fという項は、相のいずれの見積りにも依存しないし、吸息の開始および呼息の開始の臨界的な瞬間で患者と機械との間の良好な同期を提供するのに役立つ。R=6cmHO/リッター/秒であるこの項による圧力成因の典型的な例は、図2に示されている。
【0040】
Aは、吸気終末圧力と呼気終末圧力との間の差である。(それは、二段式の換気装置でのIPAPとEPAPとの間の差におおまかに相当する。)
【0041】
Π(Φ)は、患者が目標換気で、またはその目標換気を越えて換気されている場合の圧力波形テンプレートであり、図3に示されている。圧力波形テンプレートが3つの場所で平坦であること(時間によって変化しない)が注目されるべきである。それは、吸息の開始(Φ=0)、吸気終末(Φ=0.5)のちょうど前、および呼気終末(Φ=1.0)である。その効果は、見積もられた相がこれらの臨界点での患者と機械との同期に関する非常に小さな効果を持たせることである。
【0042】
圧力変調振幅、すなわちスイング(振幅)Aは、次の式を用いて、医者が選択可能な最大スイング(振幅)Amaxおよび最小スイング(振幅)Aminの間でそれぞれ自動的に調節される。
A=−G・∫(0.5|f|−VTGT)dt
ここで、VTGTは選択された目標換気であり、Gはサーボコントローラー利得である。それは、換気におけるすべてのリッター/分の誤差に対して秒当たり0.3cmHO増の支援に設定される。患者が選択された目標換気を越えて呼吸しているならば、支援の度合いは、医者が選択した最小スイングAminに減少するであろう。反対に、被験者が目標換気未満で呼吸しているならば、目標換気に到達するか、支援の度合いがAmaxに達するまで、支援の度合いは非常に迅速に増加するであろう。
【0043】
一旦、支援の度合いがAMAXに達すれば、目標換気に達するか、波形が最大限に正方形になるまで、圧力波形テンプレートの形は、次第に正方形になり、したがって、発生した流速でより効率的になる。このように、AutoVPAPは、まず滑らかで快適な波形で患者を治療しようとするだろう。しかし、これが機能しないならば、成功するまで、それはより積極的な波形を次第に用いる。
【0044】
すべての項の組合わせは、図4に示されるような波形を典型的に生成する。
【0045】
3.相
AutoVPAPは、機械の呼吸サイクルでの瞬間相Φを決定するために14個の規則のファジー論理アルゴリズムを用いる。第1に、患者と直接に同期することを試みて、患者の呼吸の気流から機械の相を推論する一連の規則がある。患者が医者に規定された目標換気、またはその目標換気を越えて呼吸しており、リークが小さくて安定しているならば、これらの規則は最も強く動作中である。また、呼吸低下があるかまたは大きいか変化するリークがあるならば、規則は弱く機能するだけである。
【0046】
他の規則によれば、相の変化の速度が患者の最近観察された呼吸速度に等しいとなっている。(最近観察された呼吸速度は、吸息および呼息のための時間(TとT)が異なることができるように、吸息と呼息とで異なる。)この規則により、AutoVPAPが患者の典型的な呼吸速度およびデューティサイクルを学習することができる。患者が目標で、またはその目標を越えて呼吸するならば、それは最も機能しており、呼吸低下またはリークがあるならば、弱く機能している。
【0047】
最後に、医者の設定したバックアップの呼吸速度で相が増加するという規則がある。この規則は、通常、ほとんど機能しない。しかし、換気が目標以下に減少し始めるならば、または長い呼気の休止があるならば、規則は迅速により機能するようになり、次の人工呼吸を促進する。
【0048】
すべての規則の正味の効果は、だいたいの場合、患者がそれ自身の努力、機械の努力によって増幅されて増大された合理的な努力をして、その結果、分時換気が目標になるか、またはその目標を越えるとき、機械は、非常に正確に患者に同期するということである。
【0049】
反対に、弱い努力(おおざっぱに言って、患者のトランス横隔膜(transdiaphragmatic)の圧力スイング(振幅)が機械の圧力スイングの約25%未満である)だけしかしないならば、デバイスはもはや常に患者と同期することができない。
【0050】
患者が中枢性無呼吸であっても、バックアップ速度(rate)は必ずしも用いられないだろう。機械は、肺又は胸郭系機構に依存して、バックアップ速度(rate)よりも早いか遅いかで患者を換気するであろう。AutoVPAPが、高い気道抵抗に直面して、非常に遅くて深い呼吸を用いる傾向がある。それが抵抗性の働きを減じて、空気トラッピングおよび固有のPEEPを回避するならば、それは有利かもしれない。
【0051】
患者の換気が目標換気未満である場合、バックアップ速度(rate)が用いられるだけである。また、機械は、スイング(振幅)のさらなる増加により、または波形テンプレートを直角にすることにより、より多くの支援を与えることができない。患者の換気が目標未満ではないということが治療の目標であるので、バックアップ速度(rate)はめったに用いられないことになる。しかしながら、閉塞性無呼吸がある場合、または声帯の閉塞がある場合、バックアップ速度(rate)は用いられるだろう。バックアップ速度(rate)を用いるこの抵抗は、バックアップ速度(rate)の設定でのAutoVPAPの誤差を寛容にする。
【0052】
4.PAVとの比較
動作中、装置は、比例する補助換気デバイスと比較して、優れた結果を提供する。AutoVPAPを備えたマスク圧力の式が次式であることを思い出すこと。
P=Peep+R・f+A・Π(φ)
PAVのマスク圧力の式は次式である。
P=Peep+R・f+E・∫fdt
R・fという項は、比例する補助換気と同様にして、抵抗性の除荷を提供する。しかしながら、式の残りの部分は全く異なる。最も重要な結果は、患者が中枢性無呼吸であるならば、PAVが支援を提供しないが、目標換気が達成されるまでAutoVPAPが支援を増加させることである。これは、一過性の(phasic)レム睡眠において弱い努力をするか全く努力をしない、呼吸調節に異常のある患者にとって潜在的に非常に重要である。
【0053】
B.AUTOVPAPのセットアップ手順
デバイスで規則的な処理をするセッションよりも先行するために覚醒時の学習期間でのデバイスのセットアップのステップは、以下のように概説される。
【0054】
1.スイッチをオンにすること
送風機及びコンピューターのスイッチをオンにして、2つを一緒に接続し、制御ソフトウェアを実行すること。その順序は問題ではない。
・シリアルケーブルを用いて、パソコンに送風機を接続すること。(ケーブルは、市販の9ピンのオスを用いてメスのシリアルケーブルに延在して、9つの導体が全て直接に配線されている)。
・送風機のスイッチをオンにして、患者がマスクで呼吸していないこと、ホースに触れないかガタガタ鳴っていないこと、マスクが大気に開放されていること(例えば、寝具等でブロックされていないこと)を確かめること。さもないと、送風機はその自己テストに失敗するであろう。緑の「READY」のライトが作動し始めるのを待つこと。
・コンピューターを起動し、ソフトウェアを実行すること。
すべてのステップが実行された数秒後に、流速と圧力とのデータがスクリーンの中央部を横切る細長いグラフに現われるだろう。時間の目盛は0乃至60秒である。呼吸気流の目盛は±1リッター/秒(上向きが吸息である)である。また、マスク圧力の目盛は0乃至25cmH0である。
【0055】
2.初期設定の選択
機械の設定は、それぞれ、EEP、SWINGおよびPEAKと書かれた、一列(a bank of)の3つのダブルスライダーを用いて調節することができる。これらのスライダーは、制御ソフトウェアで図式に表示される仮想の制御であるが、任意に、ハードウェアの制御は、制御設定を特定するために含むことができる。下記の(1)乃至(4)の調整は、示された順で最も容易に行われる。なぜならば、いくつかの設定の範囲が他のものによって論理的に決定されるからである。例えば、EEPおよびスイング(振幅)の合計は最大ピーク圧を越えることができない。
【0056】
(1)モード
デバイスが複数のモードを有している場合、デバイスは適切なモードに設定されるべきである。「AutoVPAP」モードは、ディスプレイ・スクリーンに表示されるAutoVPAPモード・アイコンをクリックすることにより選択される。
【0057】
(2)ピークおよびトラフ圧力
好ましくは、PEAK設定スライダーは、それぞれ、22cmH0および3cmH0というデフォルト値のままである。
【0058】
(3)呼気終末圧
EEP設定(つまり、前に記載された圧力供給式でのPEEP変数である)は、上気道閉塞を最小にし、かつ固有のPEEPを除荷するためにEEPを選択することが目標である一連の質問に対する回答に従って、調節されるであろう。図5の一般化されたフローチャート中に詳細に記載されている方法は、選択ステップ50、入力指示ステップ52および算出ステップ54を含んでいる。選択ステップ50において、適切な開始圧力値は規定される。所定の調整圧力値を有する換気に関連した一般的な特徴に基づいて、例えば、2cmHOが肥満症に対して決められ、質問が入力指示ステップ52で形成される。最終設定は算出ステップ54で計算される。当該設定は、一般化された換気に関係した特徴を表わす一連の所定の調整圧力値から、初期圧力値と、一つ以上の所定の調整圧力値との関数として決定される。好ましくは、決められた値は、入力指示ステップ52での入力回答に基づいた開始圧力値に加えられる。この最終ステップでは、最小の設定限界が、患者の状態の特別な分類の結果として強制される。当該方法の好ましい実施形態が、以下に示される。
・約4cmHOで開始すること
・被験者が眠っている場合(つまり、患者に覚醒性がない状態)、約1乃至約2cmHOを加えること
・被験者が肥満である場合、約1乃至約2cmHOを加えること
・被験者の上気道が狭い場合、約1乃至約2cmHOを加えること
・被験者が軽度のCALか、中程度のCALか、重度のCALを有しているならば、最終圧力は、少なくとも約5乃至7cmHOの範囲にあるか、または、それぞれ、約5cmHO、約6cmHOまたは約7cmHOでなければならない。結果として得られるEEPは、約4乃至約10cmHOの好ましい範囲にある。
【0059】
この調整を手動で行うことができる。任意であるが、デバイスは上記方法を達成するために自動化される。この目的のために、デバイスは、被験者/医者に対して出力ディスプレイ上に一連の質問を表示することにより当該方法を実行し、かつマイクロプロセッサー16によって制御された入力装置上に入力を促すようにプログラムされている。入力回答に基づいて、EEPは、適切なEEPの計算及び設定により自動的に調節される。
【0060】
(4)圧支持(スイング)
最小スイングおよび最大スイングを有するために好ましいデバイスを設定することができるが、それは、同じ値(つまり、まだサーボ制御されていない)に最大SWINGおよび最小SWINGのスライダーを設定することが学習期間では好ましい。患者の覚醒時の弾性的な働きのおおよそ半分を行うことが選択される。EEPの設定を決定することと同様に、SWINGの設定方法は、換気装置によって手動で行なわれるか、または自動化される。この目的のために、デバイスは、被験者/医者に対して出力ディスプレイ上に質問を表示することにより当該方法を実行し、かつマイクロプロセッサー16によって制御された入力装置上に入力を促すようにプログラムされている。入力回答に基づいて、SWINGは、適切なSWINGの計算及び設定により自動的に調節される。
【0061】
図6は、当該方法の一般的なステップを概説する。選択ステップ60では、最初又はデフォルトのスイング圧力値が選択される。入力指示ステップ62では、肺または胸壁の拘束性の器質的障害の重症度の度合いに関する質問に対する回答が与えられる。算出ステップ64では、スイング圧力は、最初の圧力と、約2乃至約6cmHOの好ましい範囲における拘束性の器質的障害の重症度の度合いに決められる一連の所定の調整圧力との関数として決定される。度合いは複数のレベルを有している。また、決められた値は、重症度の度合いでの各レベルの増加に対して一定量で最初の圧力を増加させる。
【0062】
好ましい実施形態では、当該方法は以下のとおりである。
・約3cmH0で始める
・肺または胸壁(神経及び筋肉の障害または制御障害を除く)の軽度、中程度又は重度の拘束性の器質的障害に対して、約2乃至約6cmHOの範囲で、または、それぞれ約2cmHO、約4cmHOまたは約6cmHOで増加すること
結果として得られたスイングは、約3乃至約9cmHOの好ましい範囲にある。
【0063】
(5)バックアップ速度
バックアップ呼吸速度は、患者の予期された呼吸速度より下の5呼吸/分に設定される。これはすべての行動で必要とはされない。
【0064】
(6)抵抗性の除荷
抵抗性の除荷は、好ましくは、患者の予期された抵抗性の働きのおおよそ50%から80%を行うように設定されている。先の設定と同様に、抵抗性の除荷についてのこの好ましい方法は、手動で行なわれるか、または換気装置で自動化される。この目的のために、デバイスは、被験者/医者に対して出力ディスプレイに質問を表示することにより当該方法を実行し、かつマイクロプロセッサー16によって制御された入力装置上に入力を促すようにプログラムされる。入力回答に基づいて、抵抗性の除荷は、適切な値の計算及び設定により自動的に調節される。
【0065】
図7は、当該方法での一般的なステップを概説している。質問ステップ70では、医者/ユーザは、患者が正常な気道抵抗を有しているか、あるいは閉塞性抵抗か拘束性抵抗を患っているかどうか決めるように促される。その入力を促すことは、好ましくは、特定の疾患の重症度の度合いを評価する。抵抗の設定ステップ72において、回答に基づいて、決められた抵抗値は、抵抗性の除荷を設定するために用いられる。決められた値は、疾患、例えば正常な気道抵抗(つまり、神経及び筋肉の障害または調節の障害)、閉塞性疾患、拘束性疾患の異なった重症度の度合いを表わす。
【0066】
本発明の好ましい実施形態では、当該方法は以下のとおりである。
・患者が、正常な気道抵抗(つまり、神経及び筋肉の障害または調節の障害)を有する場合、約1cmHO/リッター/秒の抵抗で始める。
・患者が軽度、中程度又は重度の閉塞性疾患を有する場合、約4乃至約6cmHO/リッター/秒に設定するか、あるいは、それぞれ約4cmHO/リッター/秒、約6cmHO/リッター/秒または約8cmHO/リッター/秒に設定する。
・患者が軽度、中程度又は重度の拘束性疾患を有する場合、約3乃至約8cmHO/リッター/秒に設定するか、あるいは、それぞれ約3H0/リッター/秒、約4H0/リッター/秒または約8cmH0/リッター/秒に設定する。これは、少容量で狭くて歪曲した気道を補う。
このように、抵抗性の除荷の好ましい範囲は、約1乃至約8cmHO/リッター/秒の範囲にある。
【0067】
抵抗性の除荷の上記設定により、機械が「推進している。」とか、その圧力が後期の呼息の間に振れているとかの苦情を患者が言うのであれば、抵抗性の除荷を減じる。
【0068】
(7)デューティサイクル(T/TTOT
AutoVPAPが素早く患者のデューティサイクルを学習するので、この設定はあまり重要ではなく、0.4という値がほとんどの患者に適合するであろう。中程度か重度の動的な気道圧縮を患っている患者のために非常に長い呼気時間を必要とするが、例えば0.3または0.2という短いデューティサイクルを用いることができる。
【0069】
(8)他の設定
他の設定は、以下のようにそれらのデフォルト値のままである。
待機 最小
形 最大
サーボ利得 最大
【0070】
3.初期設定の要約
すべての上記設定の目的が、過度の圧力により患者を不快にさせることなく、患者の覚醒時の換気の働きをできるだけ多く除荷することを覚えておくこと。
被験者はデバイス上で呼吸するであろう。
【0071】
4.補助酸素
・必要ならば、覚醒時の動脈のヘモグロビン酸素飽和度を90%にまたはそれ以上に維持するために、補助の酸素が4リッター/分以内でマスクに加えられる。
【0072】
5.期間の学習
一旦、被験者が快適であり、マスクのリークがチェックされたならば、それは「学習」期間を始める時間である。それは1時間続く。この期間に、被験者は、テレビを見たり読書するように勧められ、会話を交わさないように依頼され、呼吸することよりもテレビに専念するように依頼され、寝入ることを回避するように依頼される。
【0073】
学習期間を始めるために、FULLモード・アイコンをクリックすること。それは、スクリーンの一番上の6つのモード・アイコンの右端である。
【0074】
デバイスは、例えば、1時間にわたって、分時拍出量を決定することにより、被験者の自発的で部分的な補助呼吸を記録して、時間の終端で、最終の40分間での中央値の換気の90%に等しくなるように目標換気を自動的に設定する。最初の20分は患者時間を処理し、テレビプログラムに吸収されるようになることを可能にするために捨てられる。咳かマイクロ睡眠のような過渡的現象に対して比較的免疫があるように、平均値よりも中央値が選択される。1時間という期間は、患者の自発的な覚醒時の換気を学習し、被験者を治療に慣れさせるという二元的機能を果たす。
【0075】
1時間に入るときはスクリーンの右下に表示される。1時間の終端に、デバイスは、自動的に、学習モードから離脱し、AutoVPAP治療モードに戻るであろう。患者は、通常、このときに起こったことに気づかないだろう。しかしながら、スクリーンは、10秒程度の期間灰色になるだろう。また、スライダーのいくつかは、新しい位置に移動するだろう。
【0076】
一旦、学習期間が終わったならば、ほとんどのスライダーは、次のことを除いて、学習期間を入力するのに先立って設定する位置にあるであろう。
・目標換気は学習期間の最後の40分間で中央値の換気の90%に設定されている。
・バックアップ速度は、学習期間での中央値の呼吸速度に設定されている。
・最大のスイングは22からEEPを引いた値に設定されている。それは、そうなるのと同じくらい高い。
【0077】
学習期間に関する更なる詳細は、2001年3月5日に出願された米国特許出願09/799,260号の主題である。その開示は参考文献として本願に組み込まれている。
【0078】
6.追加の調整
学習期間の終端に、上記設定は、それらが知覚可能であることを確かめるために調査されるべきである。任意であるが、設定のさらなる調整は行われるかもしれない。現在のところは、提案された唯一の調整は、適切な覚醒時のPCOを維持しようと努力している患者に目標換気を増加させることである。当該方法のステップを取りまとめたフローチャートは、図8に図示される。送出ステップ80では、換気の支援が学習期間に患者に提供される。換気の測定ステップ82およびPCOの測定ステップ84では、特徴に関係した患者換気が測定される。算出ステップ86では、目標は測定された換気から導き出される。最後に、調節ステップ88では、計算された目標換気は、測定されたPCOを利用する式によって調節される。調整方法の好ましい実施形態は、以下のとおりである。
・約50mmHgより上の昼間の動脈のPCOを備えた被験者に対しては、1mmHg当たり約1%(例えば、60mmHgでは10%)で目標を増加させる。
・約50mmHgより下の昼間の動脈のPCOを備えた被験者に対しては、1mmHg当たり約0.5%(例えば、40mmHgでは85%)で目標を減少させる。
【0079】
もちろん、これらの調整は手動で行われてもよい。代わりに、機械は、測定されたまたは導き出された昼間の動脈のPCO値に基づいた学習期間の後に当該方法を自動化するようにプログラムする命令を行っている。例えば、デバイスは、入力信号としてデバイスのコントローラーにデータを与える、昼間の動脈のPCOレベルを測定するための装置を追加することで自動測定を行なう。代わりに、デバイスは、別個の設備によって得られた適切な測定データに入力するようにユーザ/医者に対して促すことができる。かかる測定を行うための自動装置は、米国特許番号5,630,413に示されている。データの入力または記録に際して、デバイスは、測定された昼間の動脈のPCOと、測定されたPCOの値に依存する次式のどちらかによる閾値との関数として、修正された換気目標を計算する。
PCO>Hである場合
調整されたTGT=V学習されたTGT*[1+(|H−PCO|)*0.01)]
PCO<Hである場合
調整されたTGT=V学習されたTGT*[1−(|H−PCO|)*0.005)]
ここで、PCOはCOの昼間の動脈の分圧の測定値である。
Hは、好ましくは約50mmHgという閾値である。
【0080】
7.切断してスイッチを切ること
一旦、あなたが最終設定をチェックしたならば、送風機は、長期的な在宅治療の準備ができている。
【0081】
送風機はコンピューターから切断され、コンピューターのスイッチが切られ、送風機のスイッチが切られる。これはどのような順序でも行うことができる。送風機は設定を覚えている。あなたがそうしたくなければ、切断することは不要である。
【0082】
8.オプションの覚醒時の確認期間
疑問に思う臨床上の原因があるならば、被験者は、この新しい「治療モード」の設定でさらに1時間継続することができる。被験者が過度に換気されていないことを確認するために、毛細管血PCOまたは動脈のPCOが動脈化される。手動で測定が行なわれる。任意ではあるが、デバイスは患者のPCOレベルを自己テストする能力を備えている。例えば、前に開示したようなPCOを測定するための自動デバイスは、最初の「処理モード」の後のテストモードの間に測定を行なうデバイスで形成される。その測定はデバイスに蓄えられた許容されるレベルのPCOとでプロセッサーにより比較される。当業者は、そのような換気を示すPCOレベルを理解するだろう。これを受けて、任意であるが、PCOレベルの比較が過剰換気を示すならば、デバイスはアラームを発するか、またはさらなる治療を防止するであろう。
【0083】
本発明は、特別の実施形態を参照しながら説明されているが、これらの実施形態が本発明の原理を示す単なる例示であることは理解されるであろう。本願で説明された本発明の例示である実施形態に加えて、多数の修正がなされるであろう。また、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の構成が発明されるであろう。
【0084】
本出願は、2001年7月19日に出願された米国特許仮出願番号60/306,972の優先権出願日を主張する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気装置のための圧力スイング設定を決定して患者の弾性的な働きの略半分をなすために選ばれた指定した範囲を維持するために前記圧力スイング設定で支援を提供するための装置であって、
調節された加圧空気を患者に提供するための手段と、
データ信号を受け入れるための入力手段と、
質問を表示するための出力手段と、
前記データ信号からデータにアクセスし、かつ前記出力手段に対して出力信号を通じて出力を生成するのに動作可能なコントローラーであって、圧力スイングの決定を実行するためのプログラムされた命令を備えたコントローラーと、を備え、
前記命令は、
肺または胸壁の拘束性の器質的障害の重症度合いに関する質問に対する回答の入力を促すステップであって、前記重症度合いが所定の調整圧力値を有するステップと、
ベース圧力値と、前記質問に応じて入力された前記データ信号からのデータに基づいた前記の所定の調整圧力値と、から圧力スイングを計算するステップと、
を制御することを特徴とする装置。
【請求項2】
患者の抵抗性の働きの略50%から略80%を除荷する支援を提供するために換気装置の抵抗性の除荷設定を決定し、前記除荷設定で支援を提供する装置であって、
調節された加圧空気を患者に提供するための手段と、
データ信号を受け入れるための入力手段と、
質問を表示するための出力手段と、
前記データ信号からデータにアクセスし、かつ前記出力手段に対して出力信号を通じて出力を生成するのに動作可能なコントローラーであって、抵抗性の除荷値の決定を実行するためのプログラムされた命令を備えたコントローラーと、を備え、
前記命令は、
拘束性疾患および閉塞性疾患の重症度合いに関する少なくとも1つの質問に対する回答の入力を促すステップであって、前記重症度合いが所定の圧力値を有するステップと、
前記少なくとも1つの質問に対する前記回答に基づいて、前記所定の圧力値の1つに対して抵抗性の除荷値を設定するステップと、
を制御することを特徴とする装置。
【請求項3】
換気装置の目標換気設定を決定するための装置であって、
調節された加圧空気を患者に提供するための供給手段と、
患者気流を示す流速信号を生成するための流速信号生成手段と、
COの患者分圧の測定値を示すPCO信号を生成するためのPCO信号生成手段と、
(a)前記流速信号および前記PCO信号からデータにアクセスし、(b)前記供給手段を制御するのに動作可能なコントローラーであって、目標換気設定の決定を実行するためのプログラムされた命令を備えたコントローラーと、を備え、
前記命令は、
学習期間中に換気の支援を患者に提供するステップと、
前記学習期間から患者の換気の測定値を時間とともに決定するステップと、
患者の換気の測定値の関数として、およびCOの分圧の測定値の関数として目標換気を計算するステップと、
を制御することを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−24590(P2012−24590A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−177858(P2011−177858)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【分割の表示】特願2003−513630(P2003−513630)の分割
【原出願日】平成14年7月18日(2002.7.18)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】RESMED LTD