説明

患者特異的薬量測定

【課題】疾患治療のための患者への放射線医薬品の最適有効投与量を確立する。
【解決手段】病気の治療のための患者への放射線医薬品の投与のための患者特異的最適有効照射投与量が、所望全身投与量、最大許容投与量、放射線医薬品の典型的なクリアランス特性、患者の質量又は最大有効質量、及び患者の全身における放射線医薬品又はアナログの患者特異的滞在時間の如き要因に、適当な治療的投与量を基礎付けることにより確立されることができる。本法の使用は上記病気に対して最大に有効であるが未だ最小に毒性である適当な投与量をもって患者を治療することを可能にする。患者特異的治療的投与量の決定は、放射線医薬品の特定のパラメーターに設定されたソフトウェア・プログラムの使用により支援されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
承認
本願発明は、一部NIH認可CA56794及びCA42768により支援された。米国政府は本願発明に権利を有する。
【0002】
関連出願のクロス−リファレンス
本願は、1998年6月4日に出願された米国逐次番号第60/088,327号に関連する。
【0003】

技術分野
本願発明は、疾患の治療のために患者に与えられるべき放射線医薬品の治療的投与量を最適化する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
放射線医薬品は、患者における疾患の治療のためにより広く使用されるようになってきた。しかしながら、治療において放射線医薬品をどのようにして最も有効に使用するかということの明細を明らかにするための研究が続いている。例えば、ある与えられた放射線医薬品についてのその放射線医薬品の最適有効投与活性は直ちに明らかではない。どれだけ長く放射線医薬品が体内に保持されるかについて患者間に実質的なバラツキがあり、そうして長時間与えられた放射線医薬品を保持する患者は、より短い時間その与えられた放射線医薬品を保持する同様のサイズの患者よりもより高い放射線投与量を獲得するであろう。これは、患者の重量又は体表面積だけからは予測できない。与えられた放射線医薬品のクリアランス速度を変えて、異なる放射線投与量が、たとえその患者が同一の質量又は体表面積をもっていたとしても、投与された放射線医薬品のミリキュリー(millicurie)当り、各患者にデリバリーされるであろう。
【0005】
例えば、単に、患者のサイズに基づいて、慣用の投与法が使用されるとき、一方において、悪影響を引き起こす可能性があり、そして他方において、有効投与量を提供することに失敗する可能性がある。放射線医薬品の過剰投与量は、正常組織に対する損傷、骨髄剥離(myeloablation)、及び死を含む恐ろしい結果をまねく。骨髄剥離は、典型的には、患者が造血機能を回復するために造血幹細胞の再導入(通常、骨髄移植)を必要とする。特に重篤な患者の治療においては、これはしばしば、不所望のさらなる手順である。放射線医薬品の過小投与も望ましくない。特定の放射線医薬品について既知の毒性レベル未満の標準投与量が各患者に与えられる場合、ある患者は、病気の治療のために十分な放射能を獲得することができるが、多くの他の患者は十分なものを獲得しないであろう。反復投与は、費用、源、及び患者の一般的健康を考慮すると、実行可能な代替策ではない。さらに、標準治療投与量により僅かな効果が見られた又は効果が見られなかった特定の患者に反復投与量を与えるべきかどうかを予測することはきわめて難しい。なぜなら、いくつかのほかの生理学的要因に因り、そのよくない結果が存在することができるからである。反復投与が望ましい場合、最初の投与後どれくらいたってから、反復投与量が投与されるべきか、そしてその反復投与量がその最初の投与量と同じ強さであるか又はその一部であるかについて確かめることは難しい。
【0006】
従って、個々の患者に基づいて上記のバラツキの可能性について調整することが高く望まれる。個々の患者の薬理動態及び患者の全身内に吸収される放射エネルギーを考慮する患者特異的薬量測定が、その個々の患者のために最も適した投与量を決定するために必要である。
【発明の開示】
【0007】
本発明の要約
本発明は、放射線医薬品による患者の治療のための一般臨床及び研究利用可能性の単純な薬量計測アプローチであり、そして患者特異的特徴に基づくものである。
【0008】
本発明は、疾患の治療のための患者への放射線医薬品の投与のための最適有効投与量を確立する方法である。本法は、放射線医薬品のさまざまな局面、及びそれが患者の体内でどのように作用するかということに基づく。従って、放射線医薬品の放射線核種に基づく、患者特異的特徴、例えば、患者の体質量及び薬理動態が考慮される。
【0009】
本発明の他の局面は、上記方法を実施するためのコンピューター・ソフトウェア・プログラム又はコンピュータ・システムを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の詳細な説明
略号
AHは、活性時間を意味する。
【0011】
cGyは、セントリグレイを意味する。1cGyは1ラッドに等しい。
【0012】
mCiは、ミリキューリーを意味する。
【0013】
MEMは、最大有効質量を意味する。
【0014】
MTDは、最大許容投与量を意味する。
【0015】
TBDは、全身投与量(total body dose)を意味する。
【0016】
患者特異的薬量計測は、本発明の方法において患者に投与されるべき放射線医薬品の最適有効投与量を計算するために使用される。これは、従来の薬量計測法を超えるかなりの改良である。なぜなら、それは、放射線投与量が、個々の患者の薬理動態を含む、特異的な生理学的特徴にあつらえられることを許容するからである。患者特異的薬量計測は、最大化された効力と最小化された毒性という利点を提供する。この患者特異的薬量計測法のためのデータ収集及び計算ステップの実行はやっかいではないが、コンピュータによりさらに支援されることができる。
【0017】
本明細書中に教示する患者特異的薬量計測は、個々の患者に投与されるべき放射線医薬品の治療的投与量を決定するための単純化された方法であり、以下の2ステップ:(a)上記放射線医薬品又はそのアナログの薬量計測投与量の投与、及びその後の、全身スキャニング・モード(逐次的、前及び後全身スキャン)において操作された、好ましくは、適切に照準を合わせられ、そして換算されたガンマ線カメラ、又は他の好適な装置を用いた、上記薬量計測投与量の除去速度の逐次的計測、及び(b)上記個々の患者に投与されるべき治療的投与量の計算、を含む。上記放射線医薬品の治療的投与量は、次に、疾患の治療のための処方されたプロトコールに従ってその患者投与されることができる。
【0018】
患者特異的最適有効照射投与量を確立するために、最初に、個々の患者及び放射線医薬品についての特定のデータを集める必要があり、そして次に、この情報は、特定の疾患の治療のための所望の吸収全身投与量に関する情報と併合される。より特に、放射線医薬品について、ミリキューリー時の単位において計測された、活性時間、又は累積活性を、患者特異的要因(例えば、患者の質量又は最大有効質量及び所望の全身投与量)と放射線核種の一般特性との組み合せに基づき決定する。次に、薬量計測評価が、通常、放射線医薬品のより低いミリキューリー量の使用によって、患者に対して実施されて、そこにおいて、上記放射線医薬品が上記患者の体から排出されるところの速度を理解する。この薬量計測評価は、個々の患者についての放射線医薬品の滞在時間の指標を提供する。次に、上記活性時間が、個々の患者の治療のためのミリキューリー単位における最適投与量を確立するために、上記滞在時間と併合され、そして場合により、低下係数(attenuation factor)を介して調整される。
【0019】
放射性医薬品
放射性医薬品は、通常、放射免疫コンジュゲート、典型的には、患者の体内の特定の標的へのデリバリーのために放射標識にコンジュゲートされた抗体又は抗体断片である。用語“放射線医薬品”は、体内の標的に向けられた、放射能標識された標的化成分を、より広義に包含する。従って、免疫コンジュゲートは治療において大きな価値をもつけれども、それにより患者が治療されるであろうコンジュゲートは、その標的化成分として免疫学的に活性な分子以外の何かをもつことができる。例えば、本明細書中に使用するとき、放射線医薬品は、レセプターのためのリガンドであることができる。“放射性医薬品”は、放射線核種に会合するか又はそれを含むいずれかの医薬としてより広義に定義されることもできる。上記医薬は、キレート剤を介して、直接的化学結合、又はいくつかの他の手段により放射線核種と会合することができる。放射線医薬品は、放射線核種から本質的に成ることもできる。例えば、89Srは、骨の痛みの治療のための放射線医薬品として使用され、そしてNa 131Iは、甲状腺癌の治療のための放射線医薬品として使用される。上記放射線医薬品のいずれも標的化成分に特別に付着されないけれども、それぞれ高く有効である。なぜなら、それは、治療が望まれるところの臓器内で蓄積する傾向をもつからである。
【0020】
アシストされていない体内のある特定の部位に移動する、又はその特定の部位に向けられるようにされた放射線医薬品は、治療のために最も広く使用されるので、例えば、体の全体にわたる転移性病巣を治療するために、全身的に又は非標的化処置において、作用する投与放射線医薬品も、患者の治療において使用されることができる。本発明の方法に従う全放射線医薬品を用いた治療のための最適有効投与量の計算は、治療効果が最大化され、そして毒性が最小化されるために、有利である。従って、本明細書中に教示する患者特異的薬量計測の方法は、放射線医薬品のために、一般に、使用されることができる。
【0021】
本発明の方法の実施に際しては、治療のために患者に最終的に投与されるべき放射線医薬品又は放射線医薬品のアナログは、上記薬量計測評価段階において使用されることができる。一般に、通常、異なる量において放射標識された単一の放射線医薬品(典型的には、治療的有効量の放射能のデリバリーのための高ミリキューリー量、及び初期の薬量計測評価のための比較的低いミリキューリー量)が、患者特異的薬量計測のために、そして治療のために使用される。放射線医薬品アナログが使用されるべき場合、それは、患者の体内でのその放射線医薬品の滞在時間について予想できなければならない。例えば放射線医薬品アナログは、異なる放射標識をもつことにより着目の放射性医薬品と異なることができ(例えば、上記放射線医薬品は90Yにより標識付けされた特別の抗体であることができ、一方、上記放射性医薬品アナログは 111Inによる標識付けされた同一抗体であることができる)、又はそれは異なるサイズをもつことができ(例えば、抗体断片)、又はその放射性標識は、そのアナログにおいて異なるやり方でその標的化成分にコンジュゲートされることができる。さらに、アナログは、放射性医薬品とは別個の分子又は粒子のタイプ(例えば、患者のクリアランス速度の計測のための、人工粒子又は光学的にトレース可能な(及び非放射性の)剤であることができる。しかしながら、アナログは、薬量計測評価における使用のために好適なものでなけれなならず、そうして、それは、放射性医薬品の治療的挙動を予想すべきである。
【0022】
放射性核種
本発明の方法は、放射性医薬品中に含まれる放射性核種のタイプに限定されずに使用されることができる。但し、患者の治療方法において、そして治療のための最適有効投与量の確立方法において最高の有用性をもつ放射性核種は、一定の基準に適合するものであろう。これらの基準は、一般に、高い治療的値、容易な利用可能性、薬量計測評価及び患者の治療のための実行可能な範囲内の物理半減期、並びにその放射性核種自体又は許容されるアナログのいずれかの良好なイメージング品質を含む。β粒子、光子(X−線及びγ線放射)、α粒子、オージェ(Auger)電子、及び/又は内部変換電子又はいずれかの他の放射を放出する放射性核種が使用されることができる。ガンマ又はポジトロン−エミッタ−が好ましく、上記薬量計測のために使用される。本法は、 111In,67Ga,90131I, 125I, 123I,32P,47Sc,67Cu, 109Pd, 111Ag, 153Sm, 166Ho, 177Lu, 186Re, 188Re, 199Au, 211At, 212Bi, 233Ra, 225Ac, 213Bi、及び 99mTcを含む広いレンジの放射性核種についての投与量を最適化するために、有利に使用されることができる。
【0023】
本明細書中に教示する方法は、 131I−標識放射性医薬品のために特に適している。なぜなら、 131Iは、併合ベータ及びガンマ・エミッタ−であるからである。高エネルギーをもつけれども、 131I崩壊からのガンマ線は、ガンマ線シンチグラフィー又はNaI(甲状腺)プローブにより容易に検出されることができる。両方法が、患者の体からのトレーサーのクリアランス速度の測定のために好適である。
【0024】
しかしながら、他の放射性核種の使用は、本発明の実施の最も単純な形態へのいくつかの調整を必要とすることができる。例えば、90Yは、ベータ粒子を放出するが、ガンマ照射が僅かであるか又は全くない。90Y放射標識をもつ放射線医薬品が慣用手段、例えば、病院の核医療施設において利用できる典型的なガンマ線カメラを介して画像形成することは難しいという結果をもたらしている。しかしながら、90Y標識放射線医薬品のイメージングは、90Y放射線核種からの制動放射(Bremsstrahlung emissions)を使用して生じることができる。あるいは、放射性医薬品のためのアナログは、本発明の方法の薬量計測評価段階において使用されることができる。慣用の手段を介して画像形成することが比較的容易である放射性核種、 111Inで放射標識された放射性医薬品の形態が、例えば、90Y標識された放射性医薬品のための代替物として使用されることができる。そうして、 111In標識された放射性核種アナログが、治療的に有効な90Y標識された放射性医薬品の患者において滞留時間を予想するために使用されることができる。同様に、ポジトロン−エミッター 124Iが、 131I療法のための滞在時間を予想するために使用されるかもしれない。さらに、α−エミッター、例えば、ビスマスをもつ放射線医薬品が使用されることができるが、薬量計測評価段階における“イメージング”は、次に、血液又は尿サンプリングを含み、そして患者特異的滞在時間を測定するための上記サンプルのカウンティングを含むことができる。
【0025】
本発明の方法は、骨又は骨髄中に実質的に沈着しない放射線医薬品、及び特に放射線核種を使用して典型的に行われる。なぜなら、骨髄剥離の回避が一般に、上記療法において重要な目的であるからである。しかしながら、本分野において実務家に明らかであろうように、骨内の放射線核種の沈着は、特定の病気又は病的症状の治療のために、望ましい(例えば、骨の痛みのための89Sr処置)又は許容される副作用(例えば、その処置が骨髄移植により助けられる場合)であることができる。それ故、本発明は、骨又は骨髄中に沈着される放射線医薬品のためにさえ投与を最適化するために使用されることができる。
【0026】
最大許容投与量
最大許容投与量(MTD)は、通常、関連の患者のサブ集団を参照することにより定められる。典型的には、患者のサブ集団における着目の特定の放射線医薬品のための投与量増加試験を行うことによりMTDを決めることができる。
【0027】
例えば、患者集団は、疾患の特徴に広く又は狭く依存して定められた、特定の疾患、例えば、非ホジキン・リンパ腫(non−Hodgikin’s lymphoma)をもつ全ての患者であることができる。この例における患者のサブグループ又はサブ集団は、非ホジキン・リンパ腫のための通常の化学療法養生法を受けつけない患者又は一定の年齢を超え、低い血小板計数をもち、又は特定の要因に因り免疫無防備である患者であることができる。MTDに対して有用なデータを集めるための患者サブ集団をより狭く定めれば、治療されるべき特定の患者が適当かつ最適に有効の照射投与量を与えられるであろうという信頼がより高くなる。
【0028】
もちろん、典型的には、関連分野における患者の病歴及び教示を考慮して、例えば、内科医の判断内での推定を介して、現実に治療されるべき患者についてMTDを確立することができる。但し、MTDは、より小さな病気プロフィールをもつ他の患者を参照することにより、より普通には定められる。明らかな理由のために、治療下の特定の患者のための現実のMTDは新規患者においては確立することが難しい。なぜなら、その患者のための特異的MTDを確立し、そして患者特異的有効投与量をもってその患者を治療するという目的は、相反目するからである。
【0029】
一旦、患者サブ集団が定められれば、MTDは、典型的には、投与量増加試験を通じて確立される。例えば、MTDは、非ホジキン・リンパ腫を患う、化学療法の再発/不応患者のための75cGy全身投与量として確立された(Kaminski,M.S.et al.,“Iodine−131−Auti−B1 Radioimmunotherapy for B−cell Lymphoma,”J.clin.Oncol.,14:1974−1981(1996))。従って、本発明の方法においては、MTDを決定するステップは、患者サブ集団内で放射線医薬品について投与量増加試験を行うことを含むことができる。
【0030】
MTDは、異なる患者グループについて異なって設定されることができ、又はその値は、以下さらに詳細に討議するように、特定の患者サブグループについて、異なる所望全身投与量(TBD)であると考えられることもできる。例えば、全身への75cGyの投与量は、投与量増加試験を介してMTDとして、与えられた患者集団(例えば、化学療法に不応である非ホジキン・リンパ腫をもつ全ての患者)において確立されることができるが、その後、低い血小板カウントをもつ患者について65cGyに低下されることができる。従って、65cGyは、集団のサブグループ内の患者(例えば、化学療法に不応であり、かつ、低い血小板カウントをもつ非ホジキン・リンパ腫をもつ全ての患者)にとって所望のTBDであると考えられる。あるいは、MTDは、別個の投与量増加試験によるように、化学療法に不応であり、かつ、低い血小板カウントをもつ非ホジキン・リンパ腫をもつ全ての患者として定められる、患者集団内で、確立されることができる。次に、特定の患者は、MTDに等しい所望のTBDをもつことができる。いずれの場合においても、TBD/MTDが、放射線医薬品により処置されるべき特定の患者のための活性時間/滞在時間を、好ましくは乗じられる低下係数(attenuation factor)を表すことは、明らかである。
【0031】
全身投与量
所望のTBDは、患者について決定され、そして患者集団又はサブ集団に関する情報に基づくことができ、又はそれは、内科医の判断内で、個々の患者に特異的であることができる。TBDのための値は、一般に、MTDに等しいか又はそれ以下である。
【0032】
クリアランス速度の計測及び患者の治療のための所望TBDの測定は、患者の体重又は表面積よりも、毒性及び適当な治療的投与量のより有意な予測者である。従って、
患者のための治療的投与量の現実のmCi量は、さまざまな患者特異的要因を考慮に入れると、mCi/kg又はmCi/m2 計算を単に実行するよりも、より強力である。
【0033】
患者の全身における吸収された投与量に注目する全身薬量計測は、臓器薬量計測よりも単純であり、かつ、より適切な焦点である。それは、患者の治療にとって、正確、確実、及び再現可能なアプローチである。他方において、臓器薬量計測は、多くの視点、臓器の付近の着目の領域の図面の、しばしば高く主観的な実施、臓器内の分数のエネルギー沈着の計算、バックグラウンド・カウントの補正困難性、補正の低下、及び散乱補正を要求する。
【0034】
たとえ、骨髄が特別の放射線医薬品の照射誘導毒性について予想された標的臓器であることができても、患者の全身に、データ収集を集中することが実行可能である。骨髄薬量計測は、特に、正常骨髄要素と混合された悪性細胞が存在する場合、一般に得ることが難しい。ガンマ・スキャンから骨髄薬量計測計算が実施されたけれども、それらは、高バルク・リンパ腫をもつ患者において特に骨の折れるものである。なぜなら、そのリンパ腫は、しばしば、骨髄の上に横たわるリンパ節を含み、骨髄投与量の平面イメージング−ベースの推定を困難又は不可能にするからである。正確に定量された1光子放出コンピュータ支援トモグラフィー(SPECT)イメージがこれに取り組むけれども、患者の全身に集中する本発明の方法は、信頼して最適化される治療的投与量のために必要なデータを提供する。
【0035】
本発明の全身薬量計測アプローチは、上記放射線医薬品が、投与後に患者の最低水準の体部分の全体にわたり均一に分布され、そしてそのように残存するということを仮定するモデルに基づく。この均一モデルは、不均一モデルよりも、明らかに単純であり、そしてより役に立つモデルである。なぜなら、それは、時間点当り、たった1つの全身照射活性入力値を要求し、それを、有望な薬量計測法にきわめて好適なものにするからである。
【0036】
クリアランス特性
それが投与されているところのヒトからの放射線医薬品の、クリアランス特性、又は通常のクリアランス・パターンに関する情報は、本発明の方法において有用である。特に、放射線医薬品のクリアランス特性は、概して直線において、すなわち、1次指数プロフィールに従って放射線医薬品がクリアされるかどうか、又は放射線医薬品がより複雑なパターンに従ってクリアされるかどうかを示す。本明細書中に使用するとき、放射線医薬品の“クリアリング(clearing)”又は“クリアランス(clearance)”とは、正常の生理学的作用、例えば、体からの放射線医薬品の除去を通じてか、又は放射線核種の自然崩壊を通じてか否かを問わず、時間の経過とともに患者の体内の放射能が低下するプロセスをいう。
【0037】
放射線医薬品のための典型的なクリアランス特性の知識は、例えば、その放射線医薬品が1次指数特性(1の勾配をもつ、基本的には直線)、2次指数特性(2つの勾配)、3次指数特性(3つの勾配)、等に従って、クリアされるかどうかを決定するために、有用である。この情報は、放射線医薬品の滞在時間を決定するステップにおける、高い信頼度のために、どれだけ多くのデータ点を集めるべきかを決定することにおいて有用となる。言い換えれば、その放射線医薬品又はそのアナログの通常のクリアランス特性が知られている場合、適当な、普通には最小の実行可能な数のデータ点を、より正確に集めることができる。指数項当り2〜3のデータ点が一般には十分である。例えば、1次指数クリアランスが存在する場合、得られた計算における高信頼度のためには2〜3データ点が十分なものであることができる。3次指数的にクリアされる放射線医薬品のためには、6〜9データ点における計測が好ましい。データはより多数の点において集められるけれども、その結果における許容される信頼レベルのために推奨される最少数を知ることが便利である。
【0038】
放射線医薬品についてのクリアランス特性の情報が利用できない場合、そのようなやり方で放射線医薬品のほとんどがクリアされるという事実を与えられれば、その放射線医薬品が1次指数パターンでクリアされるということを推定することにより、患者のための治療的投与量を計算することができる。しかしながら、その結果における最高の信頼のためには、その放射線医薬品の現実のクリアランス特性を得ることが好ましい。
【0039】
上記クリアランス特性は、その標的に対する放射線医薬品の特異性及びアフィニティー、上記放射線医薬品のサイズ、及び起源種を含む多くの要因に依存することができる(例えば、ヒト患者に与えられるネズミ抗体はヒトとは異ってクリアされ、又はヒト化抗体はヒト患者においてクリアされるであろう)。
【0040】
上記クリアランス特性の測定方法は、与えられた患者サブ集団における放射線医薬品の単純な試験、例えば、放射線医薬品の投与、その後の、放射能の損失の、時間の経過に伴う、簡単な測定を行うことを含むことができる。ヒトにおいてクリアランス特性を測定することが好ましいけれども、動物モデルから集めたクリアランス特性の情報も有用である。MTDの確立について上述したような、投与量増加試験は、着目の放射線医薬品のクリアランス特性の指標のためにも有用である。さらに、放射線医薬品アナログの有用性、個々の患者の薬量計測評価に関して先に討議された。同様に、放射線医薬品のアナログがクリアランス特性を測定するために使用されることができる。
【0041】
本明細書中に使用するとき“クリアランス特性”は、患者における放射線医薬品の一般的特徴、すなわち、活性−時間曲線の形状をいう。
【0042】
これは、個々の患者において放射線医薬品の活性が残存するところの時間をいう、以下の討議する、滞在時間を測定するステップとは別個のものである。従って、滞在時間を測定するステップは、個々の患者における放射線医薬品又はそのアナログのクリアランス速度を計測するコンセプトを取り込んでいる。一方、クリアランス特性を測定するステップは、一般に、個々の患者以外から集められた情報に基づく。
【0043】
“測定・決定(determining)”は、放射線医薬品のクリアランス特性を利用するステップに関して使用されているけれども、このようなデータは、歴史的な源、例えば、公表された文献又は関連分野における当業者に入手可能なその他の知識から集められることができ、そして個々の患者の要求が向けられるところの時においてクリアランス特性を確立するステップを単に現実に行うことによって集められることができるものではない。従って、事前の公表されたデータを参照して放射線医薬品のクリアランス特性を決定していることができ、そして次に、患者の治療のための最適な患者特異的投与量を確立する方法においてこのような情報を現時点で使用していることができる。クリアランス特性を決定するステップのタイミングについての、本発明の方法における要求は全くない;すなわち、クリアランス特性が何時又は誰によって決定されるかについての要求は全くない。同様に、放射線医薬品についての最大許容投与量及び所望の全身投与量を測定するステップについて、上記のような限定は全くない。
【0044】
最大有効質量
好ましくは、本発明の方法は、患者の肥満に因り必要であることができるいずれかの調整を考慮する。患者の最低水準の体質量(lean body mass)又は最大有効質量(maximum effective mass(MEM))に集中するコンセプトは、薬量計測への通常のアプローチからの逸脱を示し、そしてヒトの体が2つの主要な区画(compartments)、“太(fat)”区画と、太区画内に在る“細(lean)”区画を表すという理論に基づく。放射線医薬品の分布は、患者の体の全体にわたり均一ではない。放射線医薬品の僅かな蓄積は現実には太区画内で生じる。放射線医薬品による治療に関連する毒性に特に敏感である、骨髄は、上記理論に従えば、細区画の一部である。従って、患者、そして特に肥満患者が、例えば、mCi/kg基準において、単に質量に基づいて投薬されるとき、患者を過剰投与し、そして骨髄を剥離させる可能性がある。より適切なモデルは、その放射能が、ほとんど、患者の体の細区画内に均一に分布されるということである。
【0045】
図1は、一般に二重楕円として表される、個々の患者の太成分と細成分の関係を図示する。より大きなX寸法とY寸法をもつ外側の楕円形は、太プラス細体質量を表す。同一のアスペクト比をもつ内側の楕円形は、高さがセンチメーターで計測される場合、以下の式により、(kgにおいて)定められる。
【0046】
男性:48.0+1.06(高さ−152)=細体質量
女性:45.5+0.91(高さ−152)=細体質量
細体質量が、コンピュータ支援トモグラフィー、X−線吸収計測(absorptiometry)、液浸計量、その他の既知の方法により直接計測されることもできるということが理解される。次に、合計体吸収投与量が、MTDが細体質量について確立されたということを仮定して、その細体質量について測定される。太区画からの光子のコンプトン(compton)散乱又は太区画内のいくつかの微量蓄積についての補正も可能である(例えば、照射散乱及び再吸収のモンテ・カルロ(Monte Carlo)シミュレーションを太成分と細成分について行うことができる)が、その細体質量の最も簡単な計算に含まれる必要はない。
【0047】
“細体質量(lean body mass)”である患者の部分の計算が、治療段階において患者に与えられるべき適当な投与量の正確な測定のために使用されるべきであるということになる。あるいは、患者のMEMが、この目的のために、測定されることができる。1の特定の放射線医薬品の場合においては、MEMは、患者集団における投与量増加試験から集められた経験データに基づいて、細体質量の1.37倍として定められた。特定の放射線医薬品による治療目的のためのMEMの適正な推定が、次に、与えられた式から集められ(1.37×細体質量の僅かな修正を伴う)、そして例えば、表I中に見られるように、表形式に入れられ、又はソフトウェア・プログラム中に取り込まれることができる。一旦、表が特定の放射線医薬品について集められれば、各患者についての細体質量を計算する必要はないが、その代わり、患者の性及び高さを考慮して、表を参照して、MEMを見つけ、そして次に、さらなる計算のために、患者の現実の質量(M)の下限又はMEMを使用することができる。
【表1】

【0048】
従って、患者の細体質量又はMEMは、好ましくは、肥満体患者の放射能の不均一体内分布を説明するために測定される。最大有効質量を超える重さの患者は、次に、最大有効質量に基づいて計算された放射線医薬品の投与量により処置されることができる。測定された最大有効質量未満の質量をもつ患者は、それらの実際の体質量に基づいて計算されたそれらの治療用投与量をもつことができる。体のどれ程の割合が細であるかをまず推定し、そして次に、与えられた体質量中の放射能分布を計算することにより、不当な毒性を伴わない治療のための放射線医薬品の適当な投与量が、個々人の、ケース・バイ・ケース基準で、投与されることができる。
【0049】
活性時間
一旦、例えば、表I中に提供される情報を使用して、患者の最大有効質量が決定されれば、所望の全身投与量をデリバリーするための活性時間の決定において患者のMの下限またはMEMが使用される。
【0050】
放射線医薬品のための、累積活性(cumulated activity)としても知られる、活性時間(等式中“AH”)は、患者特異的要因(例えば、M又はMEM及び所望TBD)と、放射性核種の一般的特徴の組合せに基づき決定される。AHはミリキューリー・時の単位(mCi・hr)で計測され、そして以下のような、等式(I)により定められる:
【数1】

【0051】
上記等式の括弧内の部分は、患者の全身内に蓄えられた電子エネルギーと光子エネルギーの合計を表し、そして使用された放射性核種と患者の質量に依存して変化するであろう。従って、各放射性核種については、公表されたデータ、例えば、MIRDパンフレットから得られたものとともに上記等式を使用して、放射性核種と患者に依存する表を作製し又はデータベースを構築することができ、そしてこれらは、患者に所望の全身投与量をデリバリーするために必要な活性時間の指標を提供するであろう。これは、繰り返しの計算の必要性を回避する。
【0052】
例えば、75cGyの特別な 131I−標識抗体が治療的価値をもつことが知られている場合、上記等式中、全身投与量(TBD)の代わりに75cGyで置き替え、患者の特徴及び特別の放射性核種、この場合、 131Iに基づき上記等式の括弧内の部分を計算することができ、そして所望のTBDを得るために必要な活性時間を決定するために、単に個々の患者のM又はMEMを入力する必要があるだけである。
【0053】
等式(I)は、単に所望のTBD(すなわち75cGy)を全身S−値で割ったものである。なぜなら、患者のための全身S−値は(臓器特異的S−値とは反対に)、等式(I)中の括弧をつけた項をM又はMEMで割ったものであるからである。このS−値は、単位累積活性当りに吸収された投与量である。このアプローチを使用して計算されたS−値は、いくつかの擬人モデル(anthropomorphic model)の標準化質量を使用するよりも実際のM又はMEMに基づくものである。従って、上記S−値、そしてそれ故、活性時間は、患者特異的である。顕著には、以下詳述する、全身S−値を乗じた患者特異的滞在時間は、cGy/mC:の単位において治療的投与量を与える。
【0054】
表2は、患者のM又はMEMに基づく、患者の全身に、75cGyの 131Iの投与量をデリバリーするために必要な活性時間を測定するための索引表の一例である。表2中の値は、公表されたデータの助けを借りて作製された。特に、患者が形状において“楕円形”であると仮定すれば、さまざまな質量について1/1.8/9.27の主軸比の楕円形内に蓄えられた 131I光子エネルギーの吸収画分を、Medical Internal Radiation Dose(MIRD)Pamphlet No.3,Table 9(Brownell,G.L.,et al.,Absorbed fractions for photon dosimetry,Soc.Nucl.Med.;MIRD Pamphlet No.3:Table 9(1968))から計算し、そして核遷移当りに放出される平均エネルギーを、MIRD Pamphlet No.10(Dillman,L.T.,et al.,Radionuclide decay schemes and nuclear parameters for use in radiation−dose estimation,Soc.Nucl.Med,MIRD Pamphlet No.10(1975))中の 131I崩壊スキーム・データから得た。上記2つのパラメーターを使用した全身S−値と広いレンジの患者質量のための上記アプローチは、MIRDOSE 3.1プログラムからのS−値と比較され、そして患者の全身質量の広いレンジにわたるひじょうに近似した一致が示された。あるいは、活性時間よりもS−値の表(cGy/mCi・hr)を作製することもできることは明らかであり、これは、患者のTBDについての情報をもたないであろう。患者のTBDを説明するための調整は、一旦、適当なS−値が患者の治療について決定されれば、容易に行われることができるであろう。同様に、特定の放射性核種のための異なるモデルを使用して、Δelect ,Δphot、及びφTBphot値に基づく、活性時間又はS−値の表を作製することを欲することができる。特別な状況下では、例えば、 131Iについては、活性時間は、遅く変化する質量の関数であるので、上記表は、全体として排除され、そして患者のM又はMEMだけが使用されることができる。患者のM又はMEMに、AH/kgを又は(AH/kg対kg曲線の分析から得られた)AH/kg関数を乗じることができる。
【表2】

【0055】
140kgと160kgの間の値については、以下の式:活性時間(mCihr)=14287+(88.74)(質量(kg)−140)を使用する。
【0056】
40kg未満又は16kg超の患者については、等式(I)を、φTBphotについての適当な調整を伴って、適用することができる。
【0057】
特定の放射線医薬品の患者特異的治療投与量をあつらえるために本発明の方法を当業者は一貫して使用しており、及び治療されるべき患者の全てのための所望のTBDも一貫している場合、特定の放射線医薬品及び所望のTBDについて設定された索引表、例えば表2が、本発明の実施において有用なツールである。あるいは、特定の放射性核種の所望のTBDを患者にデリバリーするために必要な活性時間に関する情報をデータベースに入れることは容易になされ、必要な活性時間の数を作製するために、上記データベースにアクセスするように設計されたソフトウェア・プログラムに患者のM又はMEMと所望のTBDだけがエンターされる必要があることになる。上記ソフトウェアの使用及び活性時間についてのデータベースの作製は、いくつかの異なる放射性核種又はいくつかの異なる所望の全射投与量、及びさまざまな患者質量をもって実施される場合、特に有利である。
【0058】
薬量計測評価
個々の患者が放射線医薬品に対してどのように反応するであろうかについて正確に予測することは困難であるけれども、放射線医薬品の適当な量の治療的投与量を計算するために薬量計測評価が実施される。
【0059】
薬量計測評価は、患者の体内での放射線医薬品の体内分布を計測し、そしてその局在化を調べるために、一般に、有用である。しかしながら、第一義的には、本発明の方法におけるその値は、個々の患者の全身における放射線医薬品の、クリアランス速度、特に滞在時間を計測するためのものである。放射線医薬品のための典型的なクリアランス特性は、好ましくは、個々の患者を治療するための時間において知られているけれども、放射線医薬品のクリアランス速度は、個々の患者に特異的である。
【0060】
一般に、イメージング又はカウント・データを収集するためには十分であるが、必ずしも治療レベルをもたない放射性核種の量で標識された放射線医薬品のトレーサー投与量が、薬量計測の評価段階において患者に与えられる。従って、0.5−10mCiの 131I−標識された放射性医薬品が薬量計測段階において使用されることができ、そして同一の 131I−ラベルされた放射線医薬品が、疾患のための患者の治療のために、10〜400mCiの投与量において使用されることができる。上記治療段階において使用されるべき放射線医薬品が薬量計測段階において使用されることができるけれども、好適なアナログも当業者の判断内において使用されることができる。例えば、治療用放射線医薬品は90Y−標識されたモノクローナル抗体であることができ、そして薬量計測評価のためのトレーターとして好適である放射線医薬品アナログは、同一のモノクローナル抗体の 111I−標識バージョンであることができる。
【0061】
トレーサーは、好ましくは、患者に静脈内投与される。但し、患者に医薬品を投与するための他の手段も使用されることができる。
【0062】
イメージング
放射線医薬品の放射性核種部分からの放出のタイプは、薬量計測段階においてトレーサーをイメージングするための最良の手段を決定するであろう。例えば、 131Iは併合ベータ及びガンマ粒子エミッターである。高エネルギーをもつけれども、 131I崩壊からのガンマ光子は、ガンマ線シンチグラフィー又は甲状腺プローブにより容易に検出されることができる。90Yは第一義的にベータ線エミッターであるので、先に討議したように、薬量計測段階において使用されることができ、又はその放射性核種のために好適な適当に換算された装置、例えば、90Yの別動放射を計測するためのガンマ線カメラ又は甲状腺プローブを使用することができる。
【0063】
しかしながら、より典型的には、プローブ、例えば、照準化(collimated)ヨウ化ナトリウム・プローブ(例えば、Picker Model I甲状腺プローブ)が、薬量計測評価のための情報を得るために有用である。あるいは、シングル−ヘッド又はデュアル−ヘッド・コンフィギュレーションをもつガンマ線カメラが使用されることができる。両方法がトレーサーの全身クリアランス速度を決定するために好適であるようであり、そして比較可能な結果が得られている。
【0064】
ガンマ線カメラは放射線核種のために好適なコリメーターを備えている。 131I−標識放射線医薬品の場合、ガンマ線カメラは、好ましくは、広い又はきわめて広い視界であり、そして全身スキャン及び全身カウントを実施するために好適である中−又は高−エネルギーの平行ホール・コリメーターを備えている。患者特異的全身薬量計測は全身カメラの通過又はプローブ計測により行われることができるけれども、それが一般に僅かな時間を要求するとき、各患者における、コンジュゲート・ビュー・プローブ・アプローチを使用することを考慮すべきである。例えば、前方、及び後方プローブカウントはデータ点当りのイメージ取得のためにほんの2分間を要することができる。一方、ガンマ線カメラの全身パスは20分間を要することができる。しかしながら、多くの場合、前方又は後方(又は側方又は斜め)の使用は、高信頼度のために十分なものであることができ、コンジュゲート・ビューは厳密には必要ではない。
【0065】
本明細書中に使用するとき、“イメージング”とは、トレーサーについてのカウンティング・データを収集することを許容するいずれかの行為をいうということに留意することが重要である。実際の視覚イメージは、放射線医薬品の局在化に従うためにしばしば望ましいけれども、厳密には必要でない。従って、本発明の方法を実施するための目的のための“イメージング”は、主に数値のデータを提供する装置、及び視覚イメージを提供する装置の使用を含む。さらに、イメージングは、各時間点における血液又は尿サンプリングを介しての放射線医薬品のクリアランス特性についてのデータを集め、そして例えば、換算されたウェル・カウンター又は液体シンチレーション・カウンターを介しての、上記サンプルの放射能の計数することを含む。
【0066】
上記装置の品質管理は重要である。さらに、同一の経過時間をもつイメージは、好ましくは、同一カメラ、コリメーター、その他の装置を使用して、薬量計測評価の各時間点において行われるべきである。従って、カメラとプローブ感度が、患者の全身カウントを得る前の各日において理想的にはチェックされるべきである。放射性核種の換算量の液体又は固体源は、好ましくは、カウンティング効率(バックグラウンド補正されたCPM/μCi)を測定するために好ましくはスキャンされる。このステップは、プローブ又はカメラのパラメーター、例えば、同一コリメーター、スキャニング速度、ウィンドウ設定、及び幾何が、各イメージング時間点において維持されることを保証する。
【0067】
滞在時間
治療的であるが、過度に毒性でない、効果を提供するために患者の体内に放射線医薬品が残存するところの時間量についての理解は、最適投与のために重要である。放射線医薬品は、個体のユニークな生理学的特徴に基づき異なる速度において人体から除去される。実際、本明細書中に教示される薬量計測アプローチの発明者らは、同様のサイズの患者がクリアランス速度において2−〜5−倍の差異をもつことができるということを発見した。従って、放射線医薬品による治療に先立って、患者に対して薬量計測評価を実施することが高く有利である。放射線医薬品(通常、より少量の放射能をもつ投与量)又はその適当なアナログを用いた薬量計測評価は、未だ投与されていない放射線医薬品の治療的投与量の計算における使用のための個々の患者の滞在時間を決定する。
【0068】
放射線医薬品又は放射線医薬品アナログの投与された薬量計測又はトレーサー投与量の患者における放射能クリアランスの時間経過は、治療前薬量計測評価を介して、見守られる。典型的には、治療段階において実際に投与されるであろう放射線医薬品のより低いミリキューリー量が、薬量計測評価の間に患者に投与され、次に、患者内の放射能レベルが、最初の時間点において、パーセント注射活性を測定するために、イメージングにより計測される。この後に、個々の患者における放射線医薬品のクリアランス速度の明確化のためにその後の時間点において上記注射活性を計測することが続く。予測されるように、パーセント注射活性は最初の時間的において約100%であり、又はそれは100%に正規化されることができる。その後の時間点における患者の体内の放射能についての情報(すなわち、カウンティング・データ)は、次に、上記最初の時間点を参照して調整され、そうしてその後の各時間点は、上記最初の時間点のパーセンテージである。より高い精度のために、各計測時間点は、患者に起因しない環境中の放射能レベルが考慮されないことができるように、好ましくは、バックグラウンド補正される。
【0069】
より特に、時間における滞在時間を決定するために、患者は0日目に、典型的には、静脈内輸注を介して、上記薬量計測投与量を投与される。時間点1においては、通常、妥当な時間内、例えば、放射線医薬品又はアナログの輸注後、かつ、その患者がその放射能を排泄する前に、放射能カウントはイメージングを介して得られる。時間点1は、実際には、輸注開始から、0日目のイメージ取得の時間まで、計算される。
【0070】
(対応のバックグラウンド・カウントが減じられた後に、前方及び後方カウントの幾何平均として定められる)時間点におけるバックグラウンド補正された全身カウントを、次に、以下のように計算する:
【数2】

【0071】
上記等式中、CA =前方カウント数、CBA=前方バックグラウンド・カウント数、Cp =後方カウント数、そしてCBP=後方バックグラウンド・カウント数である。時間点毎の唯一のプロジェクションから得られたカウント数は、コンジュゲート前方及び後方イメージから得られたものと、等価の滞在時間をもたらすことは注目に値する。それ故、シングル・ヘッドのカメラのためには、全身滞在時間は、後方カウント数だけを使用して計算されることができる。それ故、上記等式においては、前方バックグラウンド補正カウント数(CA −CBA)だけが使用されるであろう。
【0072】
イメージング又は放射能カウント取得は同一のやり方で後の時間点において繰り返される。データ点の合計数と頻度は、放射性核種の除去及び物理的崩壊の両者を考慮して、予想されたクリアランス特性に依存し、例えば、 131I−抗−B1は、1次指数パターンにおいて除去される。従って、例えば、特定の 131I−標識放射線医薬品については、0日目、2,3又は4日目、及び6又は7日目の、3つの時間点において、データが収集される。上記の時間点は適宜選択されることができた。なぜなら、上記放射線医薬品は1次指数クリアランス特性をもっていた(それ故、3つの時間点におけるデータ取得は堅実な判断内にあり)、そして8日間の物理的半減期をもっていた(それ故、計測は、凡よそ0の時刻、物理的半減期に近い時、そして中間時において適当に間隔をあけられている)からである。放射線医薬品の典型的なクリアランス特性についての情報収集に関して先に討議したように、その放射線医薬品が1次指数クリアランスをもつ場合、少なくとも2つの時間点計測が行われ、その放射免疫コンジュゲートが2次指数クリアランスをもつ場合、少なくとも4つの時間点計測が行われ、そしてその放射免疫コンジュゲートが3次指数クリアランスをもつ場合、少なくとも6つの計測が行われる等のために、クリアランス特性に対して、時間点の数を相関させることが好ましい。もちろん、高信頼度をもって特定の放射線医薬品のための計算された治療用投与量を得るためのデータ点の推奨数と頻度は、ケース−バイ−ケース基準で、内科医又は他のヘルス・ケア従事者の判断内で調整されることができる。
【0073】
滞在時間を測定するためのグラフィカル方法に従えば、各時間点について残存するパーセント注射活性を、次に、その時間点からのバックグラウンド補正された全身カウント数を、0日目からのカウント数で割り、そして100を掛けることにより、計算される。次に、時間における滞在時間を、輸注の開始からの時間と、(図7に示すように)半対数グラフ上にその後の時間点についてのパーセント注射活性値を、プロットすることにより決定する。他のプロットされた点にベスト・フィットする100%(0日目の値)から生じる、ベスト−フィット線を次に引く。上記線が全てのデータ点と交差しない場合、1の点は上記最適適合線の上にあり、そして他の点は上記最適適合線の下にあるはずである。次に、時間における滞在時間を、上記適合線が水平の37%注射活性線と交わる点における上記グラフのX−軸から読まれる。なぜなら、定義により、1次指数クリアランス・パターンをもつ放射性核種のための滞在時間は、パーセント注射活性が37%であるところの時間に等しいからである。各時間点におけるパーセント注射活性の計算が好ましい場合でさえ、活性−時間曲線は、各時間点における生カウント数又はその生カウント数から得られた実際のカウント数を使用することにより作製されることができる。
【0074】
数学的には、滞在時間(τ)は、以下の式:
【数3】

【0075】
{式中、Teffは放射線核種の有効半減期である。}により与えられる。個々の患者の全身有効半減期又はTeffは、放射線医薬品の物理半減期、又はより特に、放射性核種の物理崩壊とは全く別のものである。
【0076】
Teffは、以下の:
【数4】

【0077】
のように、放射線医薬品の物理学的半減期(Tp)と生物学的半減期(Tb)に関係する。
【0078】
あるいは又はさらに、滞在時間は、以下の式:
【数5】

【0079】
において各時間点のバックグラウンド補正カウント数(実施例中のC1 ,C2 、及びC3 )と、その後のデータ点の輸注からの時間(以下の実施例中のt2 とt3 )を代入することにより、決定されることができる。
【0080】
自然対数はloge により表される。上記式は、データ取得にわたる時間の間の対数−直線外挿と2点対数−直線外挿を使用する。追加データ点が集められる場合、上記式は調整されることができる。
【0081】
滞在時間の計算は、全データ点を使用する非線形最小二乗標準法を使用して、パーセント注射活性対時間曲線を適合させるためのソフトウェア・プログラムを使用することにより行われることもできる。上記データは、以下の関数:
【数6】

【0082】
{式中、aは切片であり、そしてαは勾配である。}に適合される。上記等式中、nは、指数項の数である。それ故、1次指数関数については、1の勾配と1の交点があり、そしてその滞在時間は、y−軸にパーセント注射活性が、そしてX−軸に時間がプロットされた対数−直線グラフ上にプロットされるとき、1/α又は1/勾配に等しい。2次指数関数については、2つの勾配と2つの交点があり、そして滞在時間は、同様にプロットされたとき:
【数7】

【0083】
に等しい。
【0084】
同様に、滞在時間は、3次指数クリアランス・パターン等をもって放射線医薬品について計算されることができる。次に、滞在時間(τ)は、以下の:
【数8】

【0085】
{式中、ai は交点であり、そしてαi は第i指数項の勾配である。}ように得られる。
【0086】
さらに、いくつかの方法が、活性−時間曲線のグラフィカル・プレゼンテーションから滞在時間を決定するために利用されることができる。これらの中には、台形方則(Bers,L.,Calculus,Holt,Rineholt,and Winston,Inc.,New York.pp.413−416(1969))、シンプソンの法則(Macon,N.,Numericol Analysis,Wiley,New York(1963))の如き数値方法、及びいくつかの適合関数がそのデータを適切に記載することができるという家庭に基づく分析的方法(Riggs,D.S.,The Mathematical Approach to Physiological Problems,MIT Press,Cambridge,Mass.(1976))が在る。
【0087】
それ故、個々の患者の体内での放射線医薬品又はそのアナログの滞在時間の測定は、(i)上記のグラフィカル法の使用、(ii)等式(III)の使用、又は(iii)等式(V)に従う、パーセント注射活性対時間曲線に対する最小二乗適合又は他の曲線−適合プログラムを介して、又はいくつかの他の方法を通じて、行われることができる。
【0088】
さらに、患者についての滞在時間のデータ取得及び計算が適当なソフトウェア・プログラムの使用を通じて効率的に行われることができるということが理解される。例えば、上記ソフトウェア・プログラムは、上記パーセント注射活性対時間曲線を決定し、そして次に全データ点を使用した非線形最小二乗標準法を使用して上記データを適合させ、そして等式(V)に従って滞在時間計算を行うために開発されている。あるいは又はさらに、等式(III)又は(ユーザーのためのグラフィカル・ディスプレイを有無を問わず)滞在時間を計算するためのグラフィカル法を使用したソフトウェア・プログラムも開発されることができる。好ましくは、最小入力が各特定患者について速い計算を行うために必要とされるように、特定の放射線医薬品にあつらえられる。
【0089】
従って、放射線医薬品についての滞在時間を決定するステップは、それ故、通常、放射線医薬品のクリアランス・パターンに相関される多数の時間点の各々においてその放射線医薬品のパーセント注射活性を計測し、そして次に滞在時間を測定することを含む。
【0090】
放射線医薬品についての治療的投与量の投与後に計測された実際の滞在時間と、滞在時間の薬量計測予想との良好な相関が存在すべきである。一般に、治療的投与量は、薬量計測評価後の妥当な時間量内に与えられるべきである。実質的な時間量が経過している場合、病気の進行、ヒト抗−マウス抗体(HAMA)応答、等の如き要因を説明するために、他の薬量計測評価を行うことが好ましい。換言すれば、患者は、元の薬量計測評価の時間に比較されるような処置時間において、より高く病的であり、より低く病的であり、又は放射線医薬品の抗体部分に対して耐性を顕出していることができる。それ故、患者の全身内での放射線医薬品の滞在時間を得るための他の薬量計測評価は、実際に患者を治療する前にあることが、推奨される。
【0091】
患者特異的最適有効投与量の計算
治療のための患者特異的投与活性は、場合により低下係数を乗じられた、患者に特異的TBDをデリバリーするために要求される、患者特異的全身滞在時間及び活性時間を使用して計算される。以下の等式:
【数9】

【0092】
を、放射線医薬品の治療的投与量(mCi)を計算するために使用することができる。上記等式中の各種係数を代入することにより、個々の患者に与えられるべき適当な治療的投与量が解答されることができる。先に討議したように、上記各係数のほとんどは、それ自体、患者特異的である。個々の患者のための放射線医薬品の治療投与量は、個体の最小水準(細)体質量、又はM又はMEMから決定され、そして一般に使用される男性について70kg平均又は女性について56kg平均から決定されるのではない。従って、治療は、患者のサイズ及び患者の薬理動態にあつらえられることができる。
【0093】
それ故、治療のための患者への放射線医薬品の投与のための患者特異的最適有効投与量を確立するための方法は、以下のステップを含むものとして考えられることができる(但し、以下に表すような厳密な順番で上記ステップを行う必要はない):
(通常、関連患者サブ集団を参照することにより)放射線医薬品についての最大許容投与量を決定し、
患者のための上記放射線医薬品の所望の全身投与量を決定し、
上記放射線医薬品又は放射線医薬品アナログについてのクリアランス特性を決定し、
上記患者の質量及び最大有効質量を決定し、
上記患者の質量の下限及び最大有効質量を選択し、
上記患者質量の下限又は最大有効質量及び上記所望の全身投与量に基づき、上記放射線医薬品又は上記放射線医薬品アナログについての活性時間を決定し、
上記患者に上記放射線医薬品又は放射線医薬品アナログのトレーサー投与量を投与し、
上記放射線医薬品又は上記放射線医薬品アナログについての滞在時間を決定し、そして
以下の等式:
【数10】

【0094】
に基づいて、治療的投与量を計算することにより、上記放射線医薬品の、通常、mCi単位における、最適有効活性量を確立する。
【0095】
本明細書中に教示する患者特異的薬量計測は、個々の患者に投与されるべき放射線医薬品の治療的投与量を決定するための簡単な方法であり、そして以下の2つのステップ:上記放射線医薬品又はそのアナログのトレーサー又は薬量計測投与量の投与、その後の、全身からの上記トレーサー又は薬量計測投与量の除去速度、及び(b)上記個々の患者に投与されるべき治療的投与量の計算、を含む。この計算は、先に討議したように、ヒト又はコンピュータ支援により行われることができる。さらに、M又はMEM及び滞在時間を考慮し、そして所望のTBDをデリバリーするために必要なmCi両を指定する薬量計測ノモグラムを作製することが有利であることができる。このノモグラムは、紙又はスライド・ルール形式で設定されることができる。次に、治療的投与量が、例えば、放射線医薬品の非放射標識形態の事前投与の直前に又は規定のスケジュールに従って、いずれかの適当なプロトコールに従って投与されることができる。
【0096】
上記の簡単な患者特異的薬量計測方法は、一部以下の観察に基づく:(a)特定の放射線医薬品についての全身からの放射能クリアランスのパターンについての知識、例えば、1次指数関数の形態を呈するものは、その滞在時間がより少ない観察を用いてグラフィカルに推定されることを許容する、(b)特定の全身投与量をデリバリーするために必要な活性時間がさまざまな体質量について決定されることができる、(c)放射線医薬品は一般に、脂肪組織中には蓄積しない、(d)投与量は、内科医の判断内で、減少した血小板カウント数又は他の生理学的要因のために低下されるべきである、及び(e)最も重要には、トレーサーは、その後の治療投与量の挙動を予言する。
【0097】
本発明の方法の実施後の放射線医薬品による患者のその後の治療は特別に企図されるけれども、本明細書中に教示する方法は、他の目的のために使用されることができる。
【0098】
使用される放射線医薬品に依存して、患者から患者へ僅かなバラツキがあることができ、又はこのようなバラツキは、所定の治療プロトコールのための許容されるレンジ内に十分にあることができる。この状況のためには、(おそらく、mCi/kg又はmCi/m2 の形で得られた)放射線医薬品の最適治療投与量又は投与量レンジを確立し、そしてその後、おそらく、個々の患者の特徴、例えば、腫瘍負荷、体のサイズ、又は血液カウント数に因る僅かな変更を伴って、本発明の方法の使用を通じて明らかになった投与量又は投与量レンジ内で全ての患者を処理することが1又は少数の患者に対して、請求に係る方法を使用することができる。
【0099】
ヒトの治療及び治療前薬量計測評価が特に企図されるけれども、本法は獣医学用途ももつことができる。さらに、動物モデルの使用は、放射線医薬品についての情報を得るために有用であることができ、そして本法の特定のステップ、例えば、クリアランス特性を確立し、又はヒトにおける最大許容投与量を予見すること、において使用されることができる。
【0100】
コンピュータ実行
本発明は、コンピュータ・システム又はソフトウェアにおいて実行されることもできる。このような場合、本発明は、放射線医薬品の投与量を決定するために必要な方法を遂行するようにプログラムされ又はコンフィギュレートされたコンピュータ・システム内で具現化されることができる。さらに、機械により読み取り可能なデータ記憶装置内に具現化されることができ、放射線医薬品の投与量を決定するための要求される方法を実行するための機械により遂行可能な一連の指示を具現化する。さらに、本発明は、放射線医薬品の投与量を決定するためにその中に具現化されたコンピュータ読み取り可能プログラムをもつコンピュータ利用可能媒体を含むコンピュータ・プログラム製品内で具現化されることができる。
【0101】
図6中に図解するような好ましい態様においては、本発明のコンピュータ・システムは、とりわけ、キーボード(22)、ディスプレイ(24)、カーサー・ポインティング・デバイス/マウス(26)、ハード・ドライブ(28)、RAM(30)、中央処理装置(32)、モデム又はネットワーク・カード(34)、及びプリンター(36)を含む慣用のパーソナル・コンピュータ(20)である。パーソナル・コンピュータは、多数のオペレーティング・システム、例えば、Windows(商標)、Mac−OS(商標)、Linux(商標)、又はUnix(商標)の中のいずれか1を走らせることができる。コンピュータは、必要によりオブジェクト・コードにコンパイルされた、いずれかの好適なプログラミング言語で書かれたプログラムを使用して本発明の方法を実行するためにプログラムされる。好ましい態様においては、プログラミングは、プラットホーム−非依存性プログラミング言語、例えば、インターネット・ブラウザー環境、例えば、Netscape Navigator(商標)又はWindows Internet Explorer(商標)内で走るJava(商標)を使用して達成される。Java言語の使用は、そのプラットホーム非依存性の性質に因り、そのプログラムの分配及びアップデーティングを容易性を提供する。また、パーソナル・コンピュータがインターネットに接続される場合、本法は、インターネット又は他のネットワーク(40)を介して、要求時、ホスト・コンピュータ(38)から、コンピュータ・データ記憶装置(RAM30又はハード・ドライブ28)に、ダウンロードされる、プログラム指示の“アプレット(applet)”として走らされることができる。“アプレット”(又は他のソフトウェア)は、キャリア波から“アプレット”を抽出するためにコンピュータにより読まれるアナログ及び/又はディジタル・キャリア波内で具現化されたホスト・コンピュータから送信される。
【0102】
適当なソフトウェア又はファームウェアを走らせる、いずれかの好適な一般目的の又は専用のコンピューティング装置が使用されることができるということは、もちろん理解されるであろう。
【0103】
コンピュータ(20)は、コンピュータ(20)により読み取り可能であるデータ記憶装置(例えば、ハード・ドライブ(28)又は他の磁気記憶媒体、CD−ROM又は他の光学記憶媒体、ROM,RAM30又は他の電気的記憶媒体、又はいずれかの他のデータ記憶装置)から、本発明の方法を実行するための指示を受容する。データ記憶装置は、以下に記載するように放射線医薬品の投与量を決定する方法を実行するためにコンピュータにより遂行可能な一連の指示を具現化する。さらに、本発明は、以下に記載する方法に従って放射線医薬品の投与量を決定するために、その中に具現化されたコンピュータ読み取り可能プログラム・コードをもつコンピュータ利用可能媒体(例えば、データ記憶装置、アナログ又はディジタル・キャリア波又は印刷媒体)内に具現化されることができる。
【0104】
放射線医薬品の投与量を決定するための好ましい方法は、図2〜5中にフロー・チャートの形で示す。このフローチャートは、本発明のコンピュータ・システム、本発明のデータ記憶装置、及び本発明のコンピュータ利用可能媒体に適用可能である。
【0105】
コンピュータ実行方法の開始時、ユーザーは、どの放射線医薬品治療が、患者に投与されるべきかを選択する。ステップ110。
【0106】
次に、患者−特異的データが、ユーザーによりエンターされる。ステップ120。図示するように、これは、患者の質量、高さ、及び性を含むが、さらなる細目、例えば、患者の氏名、年齢、及び健康保健の詳細も典型的には入力される。データは、典型的には、多数の日にわたり収集される。従って、本法の好ましい実施においては、記録は各患者について作られ、これは次に、本法が完結するまで、新しいデータが収集されたとき、アップデートされることができる。
【0107】
患者特異的データが収集された後、患者のMEMが、患者の高さ及び性から決定される。ステップ130。これは、別個のデータベース又は男性及び女性についてのMEM対患者の高さの表(例えば、表1参照)から行われることができ、又はあるいは、ある式が使用されることができる。
【0108】
次に、患者の質量がMEMより大きいかどうかが決定される。ステップ140。そうである場合、本法において使用されるべき質量(M)は最大有効質量に等しいと設定される。ステップ150。そうでない場合、質量Mは患者の質量に等しいと設定される。ステップ160。
【0109】
ステップ170においては、上記手順のための最大許容投与量をデリバリーするための要求活性時間は、質量Mから決定される。これは再び、典型的には、表又はデータベース(例えば、表2参照)、又は式、又は組合せを使用して行われる。
【0110】
図3を見ると、上記手順のための最大許容投与量が示されている。ステップ180。そして治療に対して低い耐性をもつ患者のクラスが示されている。ステップ190。次に、ユーザーは、その患者がより低い耐性のクラス内にあるかどうかを選択する。ステップ200。
【0111】
患者がより低い耐性クラス内にある場合、ユーザーは、その患者が属するところのより低い耐性クラスを選択する。ステップ210。そして所望の全身投与量が、より低い耐性クラス対全身投与量の表から、その患者について設定される。ステップ220。
【0112】
患者が定められたより低い耐性クラス内にない場合、所望の全身投与量は最大耐性投与量に等しく設定される。ステップ230。
【0113】
次に、所望の全身投与量がユーザーに表示される。ステップ240。そしてこの所望の全身投与量が使用されるべきかどうかに関して、ユーザーからコンファメーションが要求される。ステップ250。ユーザー(典型的には、内科医)の裁量において、表示された全身投与量が使用される予定にない場合、所望の全身投与量は、そのユーザーによる入力である。ステップ260。
【0114】
図4を見ると、初期放射トレーサー活性カウント数及び日及び時刻がエンターされる。ステップ270。このエントリーは、単一の活性カウントであることができ、又はそれは、多数の読み(例えば、前方スキャンの読み、後方スキャンの読み、前方バックグラウンドの読み、後方バックグラウンドの読み)の形を呈し、これは次に、バックグラウンド補正活性カウントの読みを提供するために(コンピュータ・システムにより)上記のように、減じられ、そして平均化される。ステップ280。日と時刻のエントリーも任意であるが、記録保存のために、そしてまたコンピュータ自体がその後の読みの間に経過時間を計算することを可能にするためにも、高く好ましい。開始日及び時がエンターされない場合、初期活性カウントは、0経過時の採取されていると考えられる。
【0115】
次に、その後の活性カウント及び日数がエンターされる。ステップ290。初期活性カウントに関しては、これらのエントリーは単一の活性カウントであることができ、又はそれらは、多数の読み(例えば、前方スキャンの読み、後方スキャンの読み、前方バックグラウンドの読み、後方バックグラウンドの読み)の形を呈し、これらは、次に、バックグラウンド補正された活性カウントを提供するために(コンピュータ・システムにより)上記のように減じられ、そして平均化される。また、日時のエントリーの代替方法として、その後の読みは、経過時間のエントリーに基づくことができる。再び、好ましい方法は、記録保存のための、そして経過時間の計算における誤りを減じるための、日時のエントリーである。日時エントリーが使用される場合、上記コンピュータは、その後の活性カウントのために経過時間を計算する。好ましい態様においては、少なくとも2つのその後の活性カウントが行われ、そして滞在時間が計算される。
【0116】
次に、滞在時間が、先に設定した滞在時間に関する式から、又は同じく先に述べたデータに適合する曲線を使用することにより計算される。ステップ300。好ましい態様においては、滞在時間は、初期活性カウント(100%活性)、2つのその後の活性カウント、及び37%注射活性レベルに基づく。この37%注射活性レベルは滞在時間に等しいが、これは特定の治療に従って変動することができる。
【0117】
図5を見ると、治療的投与量が、計算された活性時間、滞在時間、所望全身投与量、及び最大許容投与量から計算される。ステップ310。
【0118】
次に、治療的投与量は出力としてユーザーに提供される。ステップ320。これは、ディスプレイ(24)、プリンター(36)、又は他の出力装置により行われることができる。あるいは、出力及び他のデータは、ホスト(38)又は他の場所における使用のためにネットワーク又はインターネット(40)の上で伝達されることができる。
【0119】
上記コンピュータ及びソフトウェア実行方法を特定の順番で直線的なやり方でフローチャート中に記載したけれども、上記フローチャート中のステップの順番は変えられることができ、そして上記システムのユーザーは、必要によりデータのエントリー及び補正を許容するためにさまざまなステップの間をジャンプすることを許される。特に、ユーザーは、データがエンターされるところの表又はスプレッドシートの形でディスプレイにより提供されることができる。またデータは記載した態様において手作業でエンターされるけれども、別の態様においては、ソフトウェアが患者における放射トレーサーの活性の物理パラメーターに直接に関係するシグナルに対して働くように、上記データは、ガンマ線カメラ又は他のイメージング装置から直接に捕獲される。
【0120】
また、捕獲されたデータは、上記のものよりもより広範であることができる。例えば、ガンマ線カメラの特定の細目(氏名、コリメーター、テーブルからのカメラの高さ、体スキャン視野、体スキャン速度、換算細目)又は上記手順の他の細目も、さらなる分布を許容するように捕獲されることができる。
【0121】
さらに、初期投与量からのパーセンテージ活性対時間のグラフがユーザーに表示されることができる。そのデータ点は適合曲線を伴って又は伴わずに示される。次にユーザーは、滞在時間を確認し又は選択するために、彼(女)らの判断又は推定を使用することができる。
【0122】
さらに、最初のその後の活性カウントが採取された後に、ソフトウェアは滞在時間の予備的推定を提供することができる。次に、滞在時間のこの予備的推定は、要求される投与量の予備的推定を提供するために使用されることができる。要求される投与量のこの予備的推定が治療用放射線医薬品の供給されたバイアルの容量を超える場合、上記ソフトウェアは、放射線医薬品の他のバイアルが治療的手順において要求されることができるという警告をユーザーに提供する。
【0123】
最後に、ソフトウェアは、エンターされたデータについての、典型的なレンジの制限チェックを含むであろう。例えば、患者の重さが75lb未満又は300lbを超える場合、確認が要求される。同様に、初期カウントとその後のカウントの間の時間経過が予想レンジの外にあり、又は活性カウントが時間の経過とともに増加することを示し、又は日/日時エントリーが要求される形式にない場合、ユーザーは通知されるであろう。
【0124】
本発明を一般的に記載しているが、本発明は、以下の詳細な実施例を参照することにより、よくよく理解されるであろう。これは、説明のためだけに提供されるものであり、そして別段の定めなき場合、本発明を限定するものであると考えられるべきではない。
【実施例】
【0125】
放射線医薬品として 131I・標識された抗−B1(ネズミ抗−CD20)モノクローナル抗体を使用する放射免疫治療法が、非ホジキン・リンパ腫の治療のために有用である。抗−CD20モノクローナル抗体を用いるに際しての基本的な考慮は、上記抗体は、非ホジキン・リンパ腫の悪性細胞に高アフィニティーをもって結合するけれども、血液中の正常循環B細胞及び正常脾臓B細胞とも交差反応するということである。この交差反応性、可変性B細胞集団、並びに患者が放射標識された抗体の投与前に非標識抗体の変化量を受容するところの投与量レンジング・デザインを用いた好ましい放射免疫療法プロトコールに因り、体からの放射線医薬品のクリアランス速度における実質的な患者から患者へのバラツキが存在するであろうということが予想され(そしてその後、観察された。)従って、 131I−標識された抗−B1抗体放射線医薬品クリアランス速度の変化とともに、たとえ患者が同一の質量又は体表面積をもっていたとしても、ミリキューリー投与当り、異なる照射投与量がデリバリーされるであろう。それ故、本発明の方法を通じて患者特異的基準に基づく治療投与量の最適化はかなりの利点を提供する。
【0126】
投与量増加試験は、(Kaminski,M.S.et al.,“Iodine−131−Anti−B1 Radioimmunotherapy for B−cell Lymphoma,”J.Clin,Oncol.,14;1974−1981(1996)中に記載されているように)25cGyから85cGyまでのレンジ内で従来行われていた。この試験から、骨髄移植を先に受容していた患者において、MTDは75cGyであったことが決定された。それ故、所望TBDは(≧150,000細胞/mm3 のベースライン血小板カウントをもつ)患者のマジョリティーについて75cGyに設定され、そして100,000超かつ150,000細胞/mm3 未満のベースライン血小板カウントをもつ患者について65cGyに設定された。サブグループについてのより低い所望TBDは、より高い頻度の血液学的毒性が、減少された血小板カウントをもつ患者において認められた後に、設定された。
【0127】
ガンマ線カメラは、大きな又は極めて大きな視野をもつ、シングル−ヘッドの又はデュアル−ヘッドの形状をもち、そして 131Iを用いて全身スキャン及び全身カウントを行うために好適な中−又は高−エネルギー平行ホール・コリメーターを備えていた。 131Iコリメーターを使用した5×106 カウントの 99mTc外因フラッド・イメージ(extrinsic flood image)を、投与量計算のためにガンマ線カメラ・イメージを使用する前のある点において、得た。 131Iコリメーターとのカメラの外因均一性を、適当な窓におけるイメージングを用いて、源として 99mTc又は57Coを使用して定期的に評価した。5×106 カウントをもつ内因 131Iフラッド・イメージも行った。患者投与量を小分けするために使用した投与量キャリブレーターを毎日換算し、(不変性についてチェックし)た。それは、放射能を定量するために毎日使用されていた。National Institute of Standards and Technology(NIST)−トレース可能な 131I源を用いた換算を、精度及び直線性の定常的品質管理に加えて毎日行った。
【0128】
カメラの感度を、患者の全身カウントを得る前に毎日行った。 131Iの換算量の液体源(典型的には、200〜250μCiの初期活性)を、そのカウンティング効率(バックグラウンド補正されたCPM/μCi)を決定するためにスキャンした。これを、同一コリメーター、スキャニング速度、ウィンドウ設定、及び幾何が各イメージング時間点において維持されることを保証するために行った。
【0129】
患者からの2.5メーターにおける前方及び後方NaIプローブ・カウント(コリメートされた甲状腺取り込みプローブ)を、スツール上に座った患者を用いて視野当り1分間で取得した。1分間のバックグラウンド・カウントも各計測点において採取した。フォトピークを、314〜414keV の対称ウィンドウを用いて364keV においてセンターした。プローブは、患者のへそと剣状物の間の中間にポイントされた。患者のカウントを、(100%輸注活性を決定するために)無効にする前に(薬量計測のための5mCi量における)放射線医薬品の(1時間以内の)輸注直後に、そして次に5〜8日間毎日、取得した(後者のカウントは無効後に取得された)。 131Iの点源のさまざまな位置の関数としてのプローブ応答を、上記プローブから2.5メーターにおいて計測した。結果は、この試験において使用されたプローブが、2.5メーターにおけるプローブの視野において中心をもつ源を用いて25インチの環直径にわたり±10%の応答をもっていたことを示している。上記プローブのための日常的臨床的品質管理手順は、既知活性をもつBa−133源からの日用カウントを含んでいた。Ba−133品質管理データは、カウントが一般的に予想されたカウントの±2%以内にあったことを示した。
【0130】
全身イメージングを、室内バックグラウンド決定の直後に行った。調製されたトレーサー活性を、投与量キャリブレーター内で計測し、そして記録した。診断スキャンを、3つの時間点(輸注後、0日目;2,3、又は4日目;及び6又は7日目)において得た。全身スキャン及びバックグラウンドのためのコンピュータ及びガンマ線カメラは以下のものであった:
・中〜高エネルギー平行ホール・コリメーター
131Iの364keV フォトピーク上に中心をもつ対称のウィンドウ(314〜414keV )
・マトリックス:最大128×128
・スキャン速度:30cm/分。
【0131】
バックグラウンド・カウントを、品質管理手順の直後、かつ、患者が室に入る前に採取した(但し、室からかなりの距離に患者はいた)。
【0132】
特別のガンマ線カメラとコリメーターについての平均バックグラウンド・レートを確立した。異常に高いか又は低いバックグラウンド・カウントが計測された場合、バラツキの理由(適当なセット−アップ又は他の放射能源の同定)を評価し、そして補正行為を実施した。患者のカウントのために使用された着目の同一領域をバックグラウンド・カウントのために使用した。
【0133】
前方及び後方の全身イメージを得た。いずれかの特定の患者のために、同一のガンマ線カメラ、コリメーター、及びスキャニング速度を全てのスキャンのために使用した。手足は上記イメージ内に含まれ、そして腕は体を横切ることを許されなかった。カメラ・ヘッドをできるだけ患者の近くにもっていった;後方視界を、上記イメージング・テーブルの真下にカメラ・ヘッドをもっていって得た。スキャンは患者の中心線上に中心を持っていた。直方形のROIを視野の全体の周囲に引いて、別々の前方(Ca)と後方(Cp)カウントを得た。イメージの時間と全身カウント数を記録した。
【0134】
患者は、63歳の、5’6''の男性で90kgであった。彼のベースライン血小板カウントは121,000細胞/mm3 であり、そして1,72、及び164時間からの%注射活性は、それぞれ、100%、50%、と20%であった。表1から、彼の最大有効質量は88.5kgであると決定された。彼の最大有効質量は彼の実際の質量未満であったため、その最大有効質量が、表2から活性時間のための値を検索するために使用される。活性時間は、9490mCi・hrである。図7上に%注射活性の値をプロットすることにより、滞在時間は103時間であると決定される。患者の血小板カウントは100,000より大きく、そして150,000細胞/mm3 未満であるので、所望TBDは65cGyである。次に、治療的投与量についての等式を以下のように解答する:
【数11】

【0135】
それ故、上記患者は、治療段階において80mCiの放射線医薬品を与えられた。
【0136】
顕著には、上記放射線医薬品の75cGy投与量標的は、しばしば、治療される患者の一群について58〜149mCiにわたる治療的投与量をもたらし、それにより、本発明の患者特異的薬量計測法のための必要性を証明する。
【0137】
簡単に言えば、患者特異的全身薬量計測アプローチは、患者の体内分布に近い楕円形における活性の均一な蓄積を仮定する。トレーサー活性の不均一分布を完全に取り扱うことはできないけれども、使用容易性と一緒になって、上記アプローチの単純性は、放射線医薬品による所定の患者の治療のためのミリキューリー投与量を予測して決定するための臨床的に現実的な方法として、本発明の方法を魅力的なものにする。
【0138】
本明細書中に述べる刊行物及び特許出願の全てを、あたかも個々の刊行物又は特許出願が特別にかつ個々に援用されることを示されるのと同程度に、本明細書中に援用する。
【0139】
本発明を詳細な記載してきたが、多くの変更・修正が添付の請求の範囲の本質又は範囲から逸脱せずに、本発明について伝われることができるということは当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】図1は、同一個体の細成分に対するその個体の太成分の関係を示す。こうして、本発明の“太った人(外の楕円形)内の細い人(内の楕円形)”理論を定める。
【図2】コンピュータ・システムにおける本発明の方法の実行のためのフローチャートである。
【図3】コンピュータ・システムにおける本発明の方法の実行のためのフローチャートである。
【図4】コンピュータ・システムにおける本発明の方法の実行のためのフローチャートである。
【図5】コンピュータ・システムにおける本発明の方法の実行のためのフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の実行のためのコンピュータ・システムの略図である。
【図7】図7は、特定の患者における 131I標識された放射線医薬品の全身滞在時間の決定のための半対数紙グラフの一例である。最適合線を、0時におけるプロット前100%注射活性(上左手隅の点)からプロットされたデータ点を通って、引く。上記最適合線が水平37%線と交差する点のX軸が、全身滞在時間である。データと最適合線をサンプル計算のためにプロットする。本実施例については、滞在時間は103時間である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者へ投与されるべき放射能医薬品の所望投薬量を決定するようにプログラムされたコンピュータ・システムであって、
少なくとも1の患者パラメーターの入力;放射性トレーサーの初期活性カウントの入力;及び上記放射性トレーサーの少なくとも1のその後の活性カウントの入力を受容する入力装置;
上記少なくとも1の患者パラメーターから、上記放射線医薬品の最大許容投与量を提供するために活性時間パラメーターを決定し;上記初期活性カウントと少なくとも1のその後の活性カウントとから上記放射性医薬品の滞在時間を決定し;そして、推定された上記滞在時間と上記活性時間パラメーターとから患者特異的投与量を決定する中央処理装置;そして
上記患者特異的投与量の出力を提供する出力装置
を使用することを含むコンピュータ・システム。
【請求項2】
請求項1記載のコンピュータ・システム、又は、患者へ投与されるべき放射能医薬品の所望投薬量を決定するための方法ステップを実行するため、上記システムにより遂行可能な指示のソフトウェア・プログラムであって、前記方法ステップは、
少なくとも1の患者パラメーターの入力を受容し;
上記少なくとも1の患者パラメーターから、上記放射線医薬品の最大許容投与量を提供するために活性時間パラメーターを決定し;
放射性トレーサーの初期活性カウントの入力を受容し;
上記放射性トレーサーの少なくとも1のその後の活性カウントの入力を受容し;
上記初期活性カウントと少なくとも1のその後の活性カウントから上記放射性医薬品の滞在時間を決定し;
上記の推定された滞在時間と上記活性時間パラメーターの患者特異的投与量を決定し;そして
上記患者特異的投与量の出力を提供する、
ことを含む、前記コンピュータ・システム又は前記ソフトウェア・プログラム。
【請求項3】
少なくとも1の患者パラメーターは、患者の質量、患者の身長、及び患者の性から成る群から選ばれた1以上のパラメーターである、請求項1又は2に記載のコンピュータ・システム又はコンピュータ・プログラム。
【請求項4】
前記の少なくとも1の患者パラメーターが、前記患者の質量を含み、前記コンピュータ・システムが、前記患者質量の最低水準と最大有効質量から前記活性時間パラメーターを決定するために使用される、請求項3に記載のコンピュータ・システム又はコンピュータ・プログラム。
【請求項5】
前記最大有効質量が、最大有効質量対患者の身長の表から読まれる、請求項4に記載のコンピュータ・システム又はコンピュータ・プログラム。
【請求項6】
前記滞在時間が、
前記初期活性カウント及び前記少なくとも1のその後の活性カウントに曲線を適合させ;そして
前記滞在時間のために上記曲線を解答する、
ことにより決定される、請求項1又は2に記載のコンピュータ・システム又はコンピュータ・プログラム。
【請求項7】
前記曲線が1次指数関数である、請求項6に記載のコンピュータ・システム又はコンピュータ・プログラム。
【請求項8】
前記曲線を適合させるときに、2つのその後の活性カウントが使用される、請求項6に記載のコンピュータ・システム又はコンピュータ・プログラム。
【請求項9】
前記曲線が、数値法を使用して適合される、請求項6に記載のコンピュータ・システム又はコンピュータ・プログラム。
【請求項10】
前記数値法が最小二乗適合法である、請求項9に記載のコンピュータ・システム又はコンピュータ・プログラム。
【請求項11】
前記の最初のその後のカウントの入力を受容した後に、予備的な患者特異的投与量を決定し;そして
上記予備的患者特異的投与量が販売者提供の投与量を上廻る場合、追加の販売者投与量が要求されることができることを警告する出力が生成される、
請求項6に記載のコンピュータ・システム又はコンピュータ・プログラム。
【請求項12】
前記最大有効質量が、最大有効質量対患者の身長の式から決定される、請求項4に記載のコンピュータ・システム又はコンピュータ・プログラム。
【請求項13】
前記活性時間パラメーターが、特定の最大許容投与量と特定の患者パラメーターについての活性時間パラメーターのデータベースから読まれる、請求項1又は2に記載のコンピュータ・システム又はコンピュータ・プログラム。
【請求項14】
前記コンピュータにより受容された前記初期活性カウント及びその後の活性カウントが、前記コンピュータ・システムにより受容される前に又は後に、バックグラウンド放射を考慮されている、請求項1又は2に記載のコンピュータ・システム又はコンピュータ・プログラム。
【請求項15】
前記のバックグラウンド放射を考慮するための補正が:
バックグラウンド放射カウントの入力を受容し;そして
前記の適切な活性カウントから前記のバックグラウンド放射を引く、
ことにより行われる、請求項14に記載のコンピュータ・システム又はコンピュータ・プログラム。
【請求項16】
前記のバックグラウンド放射を考慮するための補正が:
複数の活性カウントの入力を受容し;
複数の関連バックグラウンド放射カウントの入力を受容し;
前記活性カウントと前記のバックグラウンド放射カウントから複数の中間補正活性カウントを決定し;そして
前記の中間補正活性カウントの平均として、補正された活性カウントを決定する、
ことにより行われる、請求項14に記載のコンピュータ・システム又はコンピュータ・プログラム。
【請求項17】
許容性のより低い患者のための投与量が:
許容性の低い患者のカテゴリーを表示し;
許容性の低い患者がその中に入るところのカテゴリーの選択の入力を受容し;そして
上記の選択されたカテゴリーのための全身投与量に等しい、上記特定の患者のための所望の全身投与量を設定する、
ことにより行われる、請求項1又は2に記載のコンピュータ・システム又はコンピュータ・プログラム。
【請求項18】
患者特異的な所望全身投与量が前記システムのユーザーにより特定されることができる、請求項1又は2に記載のコンピュータ・システム又はコンピュータ・プログラム。
【請求項19】
患者に投与されるべき放射線医薬品の所望投与量を決定するための方法ステップを実行するために機械により遂行可能な指示プログラムを有形的に具備する、機械により読み込み可能なデータ記憶装置であって、
プログラムが請求項2〜18いずれか一項記載のコンピュータ・プログラムである、前記データ記憶装置。
【請求項20】
患者に投与されるべき放射線医薬品の所望投与量をコンピュータをして決定させるための、請求項2〜18いずれかに記載のコンピュータ読み込み可能なプログラム・コードを有するコンピュータ利用可能媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−26431(P2007−26431A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170417(P2006−170417)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【分割の表示】特願2000−551819(P2000−551819)の分割
【原出願日】平成11年6月4日(1999.6.4)
【出願人】(500047572)ザ、リージェンツ、オブ、ザ、ユニバーシティ、オブ、ミシガン (12)
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF MICHIGAN
【出願人】(597173680)スミスクライン ビーチャム コーポレーション (157)
【Fターム(参考)】