説明

情報交換装置、情報再生装置および情報交換システム

【課題】情報交換が容易であるとともに交換における種々の混乱の防止にも留意した情報交換装置、情報再生装置および情報交換システムを提供する。
【解決手段】携帯電話を音源データとする楽曲等を人体通信で共有する際の送信信号の帯域を、登録された特定の相手との関係で調整して記憶する。自分が先に帯域を決めた場合はこれを相手に伝達し、相手から先に帯域を伝達されたときはこれを避けて帯域を決定する。携帯電話とヘッドフォン間を人体通信結ぶ際、調整記憶した送信帯域を伝達する。帯域は繰り返し伝達する。帯域を変更しても記憶した帯域に復帰可能とする。3人以上のグループ内での帯域調整も可能とする。相手との接触検知でコンテンツの送信を開始する。接触が所定時間以上なければ、以後接触があっても送信しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報交換装置、情報再生装置およびこれらを含む情報交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報交換のためには、無線通信をはじめとして種々の手法が提案されている。その一つとして、人体周りに誘起した静電磁界または誘導電磁界による人体通信が提案されている。(特許文献1)また、携帯電話や携帯ゲーム機などの外部端末間のデータ送受信に人体通信を利用し、例えば互いに握手をすると、ある人の外部端末から別の人の外部端末に人体を通してデータの送受信がなされるようにすることも紹介されている(特許文献2)
【特許文献1】特開2006−271798号公報
【特許文献2】特開2006−81025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、情報交換を手軽にすることは、その半面情報の不用意な漏洩に繋がるとともに予期しない相手からの情報の混入も予想されるので、検討すべき課題は多い。
【0004】
本発明の課題は、上記に鑑み、情報交換が容易であるとともに交換における種々の混乱の防止にも留意した情報交換装置、情報再生装置およびこれらを有する情報交換システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、本発明は、コンテンツ保持部が保持するコンテンツを狭帯域の送信信号に変調する変調部と、登録部に登録された特定の相手との関係で前記変調部が変調する送信信号の帯域を調整する制御部と、この制御部によって調整された送信信号の帯域を記憶する記憶部とを有する情報交換装置を提供する。これによって、楽曲などのコンテンツを共有する場合、特定の相手との関係で予め記憶されている帯域にてコンテンツが送信信号に変調される。従って、自分のコンテンツを相手に送信して共有する場合において、その都度相手との関係で帯域の調整を行う必要がない。なお、これは、登録部に登録されている特定の相手の情報交換装置が同様の構成を持つ場合、相手側でも同様に行われる。従って、自分のコンテンツを送信する場合と相手のコンテンツを受信する場合とで、その都度相互に調整を行なわなくても、混線が起きることがない、また、記憶部に記憶される狭帯域により通信を行うので、帯域が偶然一致しない限り、第三者の予期しない送信が混信することもない。
【0006】
本発明の詳細な特徴によれば、変調部は、人体に印加して人体に流すための送信信号を出力するよう変調を行う。これによって、恋人同士等の特定の相手との送信信号の授受が人体通信によって行われることになり、例えば互いに手を握りあったり、寄り添ったりすることにより同じ楽曲を同時に聞くなどのコンテンツの共有を行うことができる。この場合も、コンテンツ選択操作をするだけで、通信帯域の調整などをしなくても相手のコンテンツを共有することが可能となる。これは相手も同様である。従って、人体通信により両者が通信状態にあれば、お互いに相手のコンテンツものも含めて自分のもののようにコンテンツを取扱うことができる。本発明の他の詳細な特徴によれば、情報交換装置は携帯電話として構成される。これによって、互いに日常保持する情報交換装置によってコンテンツの共有を行うことができる。
【0007】
本発明の他の詳細な特徴によれば、制御部によって調整された送信信号の帯域を、登録部に登録されている特定の相手に伝達する伝達部が情報交換装置に設けられる。これによって相手に優先して送信信号の帯域を決定した場合にこれを相手に伝達することにより帯域の調整を行うことができる。本発明の更に他の詳細な特徴によれば、制御部は、登録部に登録されている特定の相手から伝達される帯域を避けて送信信号の帯域を調整する。これによって相手が優先して送信信号の帯域を決定した場合にこれと重複しないよう帯域の調整を行うことができる。
【0008】
本発明の更に他の詳細な特徴によれば、制御部によって調整された送信信号の帯域をコンテンツ再生用の情報再生装置に伝達する伝達部が情報交換装置に設けられる。これによって、例えばヘッドフォンやイヤホンなどの情報再生装置が情報交換装置とは別体にワイヤレスで構成した場合に対応できる。なお、上記のような情報再生装置は、情報交換装置保持者と同一人物に装着されたものでもよく、また特定の相手に装着されたものでもよい。なお、送信信号が人体通信により行われる場合は、同一人物の場合、例えばポケットに入れた情報交換装置から人体の皮膚などを通じて頭部の情報再生装置に帯域が伝達されることになる。また、相手が装着している情報再生装置の場合は握りあった手などを通じて帯域が伝達されることになる。
【0009】
本発明のさらに詳細な特徴によれば、伝達部は、制御部によって調整された送信信号の帯域を情報再生装置に繰り返し伝達する。これによって、情報再生装置は、情報交換装置からのコンテンツの送信途中からでもコンテンツを再生することができる。例えば、送信信号が人体通信により行われる場合は、手を握りあったり互いに寄り添ったりした時点から、再生途中であってもコンテンツを共有することができる。
【0010】
本発明の他の詳細な特徴によれば、制御部が調整した帯域とは異なった帯域を設定する設定部と、この設定部が設定した帯域から記憶部が記憶している帯域に復帰させる復帰実行部が情報交換装置に設けられる。これによって種々の事情に応じて通信帯域の変更が可能であるとともに、このような変更を行ったとしても、記憶部が記憶している特定の相手との間で調整済みの帯域への復帰が行われ、特定の相手との間で改めて通信帯域を調整する必要がない。このような復帰は、例えば、変更後所定時間経過後に自動的に行われるようにしてもよい。
【0011】
本発明の他の詳細な特徴によれば、制御部は、登録された相手を含む3人以上の関係において送信信号の帯域を調整する。これによって、特定の相手を含むグループでコンテンツを共有する場合においても、互いに混線するのを防止することができる。なお、上記の復帰実行部は、このような、3人以上の関係における送信信号の帯域調整の結果設定帯域に変更が生じたときでも、これを特定の相手との間で調整済みの帯域に復帰させる上で有用である。
【0012】
本発明の他の特徴によれば、情報交換装置および情報再生装置を有する情報交換システムが提供される。上記のシステムにおいて、情報交換装置は、コンテンツ保持部が保持するコンテンツを所定帯域の送信信号に変調する変調部、この変調部が変調する送信信号の帯域を調整する制御部およびこの制御部により調整された帯域を外部に伝達する伝達部を持つ。一方、情報再生装置は、情報交換装置の伝達部によって伝達された帯域を記憶する記憶部、この記憶部が記憶する帯域の送信信号をコンテンツに復調する復調部およびこの復調部が復調するコンテンツを再生する再生部を持つ。これによって、情報交換装置と情報再生装置の間で混乱なくコンテンツが授受され、再生が行われる。なお、上記本発明の具体的な特徴によれば、上記システムにおける変調部は、人体に印加して人体に流すための送信信号を出力するよう変調を行うとともに、復調部は人体を流れる送信信号を復調する。
【0013】
本発明の他の特徴によれば、特定の相手を登録する登録部と、コンテンツ保持部が保持するコンテンツを人体に印加して人体に流すための送信信号に変調する変調部と、他の人体との接触状態を検出する検出部と、この検出部の検出に基づきコンテンツの送信を開始する送信制御部とを有する情報交換装置が提供される。これによって、特に操作をしなくても、例えば互いに寄り添ったりすることによりコンテンツを共有することができる。また、コンテンツがメールの場合、メールを作成して相手の手を握ることにより、それ以外の操作をしなくても人体通信でメールを送信することがきる。上記本発明の詳細な特徴によれば、送信制御部は、接触状態の検出が所定時間ないと、次に接触状態を検出してもコンテンツの送信を開始しないよう構成される。これによって、例えば、メール交換が済んだあと、予期しない他人との接触によって不用意にメール送信が行われるのを防止することができる。上記本発明の他の詳細な特徴によれば、情報交換装置が携帯電話として構成される。これによって、互いに日常保持する情報交換装置によって人体通信によるコンテンツの共有を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る情報交換装置の第1実施例を示すブロック図である。本実施例は第1携帯電話1および第2携帯電話101からなる一対の携帯電話を含むシステムを構成している。第2携帯電話2内部の構成は基本的には第1携帯電話1と同一であり、対応する構成には下二桁が同じ番号を付与し、必要のない限り、第2携帯電話101の詳細の説明は省略する。
【0015】
第1携帯電話1は、携帯電話全体を制御するコンピュータからなる第1携帯制御部6を有し、電話操作部8の操作に応じて、第1電話機能部10などを制御する。第1電話機能部10は通常の電話機能に関する部分であり、音声の処理部や送話器、受話器を含む。第1携帯制御部6の機能は記憶部12に格納されたソフトウエアによって実行される。記憶部12は、また第1携帯電話1全体の制御に必要な種々のデータを一時的に格納するとともに、住所録データなど携帯電話に蓄積保持すべき情報の記憶装置にもなっている。第1携帯制御部6は、さらに表示部14を制御し、電話操作部8の操作と連携するGUI表示を行うとともに制御結果の表示を行う。第1携帯制御部6は、発音部22の制御も行っている。この発音部22は音声出力部である受話器とは別に設けられており、表示部14とも連動して第1携帯電話の種々の機能に関する通知音や警告音を発生するとともにテレビ電話モードなどにおけるスピーカーの役目も果たす。
【0016】
GPS部16は、GPSシステムに基づいて衛星または最寄の放送局より第1携帯電話1の絶対位置情報である緯度、経度、および高度の情報を得て第1携帯制御部6に送る。この絶対位置情報は、第1携帯制御部6の制御により地図とともに表示部14に表示され、ナビゲーション情報として提供される。
【0017】
第1携帯電話1は、第1電話機能部10および第1電話通信部18により通常の通話を含む電話回線を介した無線通信を行うことができる。第1携帯電話1には、これと別に無線LAN、Bluetooth(商標)、微弱電波などによる第1携帯近距離通信部20が備えられており、近距離通信圏内に存在する他の携帯電話等との無線通信が可能となっている。この第1携帯近距離通信部20は法規制上問題のない規格に基づくものであって、通信圏は限られるが電話回線などのように料金が発生しないものである。
【0018】
第1携帯近距離通信部20は、後述する名刺情報などの交信の他、上記のGPS部16において取得した絶対位置情報を他の機器のGPS部に送信すると共に、他の機器がそのGPS部で取得した絶対位置情報を受信することができる。これにより、表示部14において自分の位置だけでなく他の機器の位置についても同一の地図上で表示することが可能となり、両者の相対関係を地図上で確認できる。その詳細については、同一出願人による特許願2007−28393などに記載されている。また、第1携帯電話1は、不図示のカメラ部を有し、撮影した画像を記憶部12に記憶することが可能であるとともに、第1電話通信部18によって画像を他の携帯電話に送信することができる。なお、第1携帯電話1は、充電式の主電源24によって給電されていると共に、記憶部12はさらにリチウム電池などからなる補助電源26によりバックアップされている。これによって、主電源24の放電や交換の際に記憶部12に記憶されている情報が揮発するのを防ぐ。
【0019】
第1携帯電話1はさらに、復調/変調部28、およびこれと協働する送受信電極30を有している。これらは、例えば特開2006−271798等に開示されている人体通信システムを構成するもので、記憶部12に記憶されている第
1携帯電話1の保有者の名刺情報などが第1携帯制御部6から出力されると、これが復調/変調部28で送信信号に変調され、この送信信号が容量結合30を介して送受信電極32から第1携帯電話1を持つ人体34に印加される。図1では、人体34として握手状態にある右手部分のみを代表的に図示しているが、実際には図示されていない人体34の左手によって第1携帯電話1が持たれているので、容量結合30は送受信電極32と図示されない左手との間で生じている。
【0020】
上記のようにして人体34に送信信号が印加されると、送信信号に応じた強さの静電磁界または誘導電磁界が人体34周りに誘起される。従って、人体34の右手が図1のように人体134の右手と握手状態になると、人体34周りの静電磁界または誘導電磁界が人体134に伝達される。このとき、人体134の図示されない左手が第2携帯電話101を持っていた場合、この左手と送受信電極132との間の容量結合130により送信信号が検出され、これが変調/復調部128で復調されることにより第2携帯制御部106は送信された名刺情報などを受取ってこれを記憶部112に記憶させる。 以上によって、人体34と人体134の握手によって記憶部12の名刺情報などが記憶部112に伝達される。同様にして、記憶部112に記憶部112の名刺情報などが記憶部12に伝達され、握手による電子的な名刺情報の交換が成立する。このようにして人体通信により名刺情報の電子的な交換が可能となる。交換された名刺情報は、お互いに、表示部14または表示部114に表示することにより随時確認できるとともに、これらを電子データとして適宜処理することができる。
【0021】
図1における第1携帯電話1と第2携帯電話101は通信回線の基地局を介したインフラストラクチャー通信によって、第1電話通信部18と第2電話通信部118との間で通信可能である。 一方、第1携帯電話1と第2携帯電話2とは、第1携帯近距離通信部20と第2携帯近距離通信部120によって直接のアドホック通信が可能である。
【0022】
図2は、図1の第1実施例における第1携帯制御部6の機能の基本フローチャートであり、第1携帯電話1の電源オン操作によってスタートする。フローがスタートすると、まずステップS2で携帯電話機能の初期立上げおよび各機能のチェックが行われる。 次いでステップS4で表示がオン状態かどうかのチェックが行われる。そして表示がオンならす8に進む。一方、表示がオンでなければステップS6で表示をオンにする操作の有無がチェックされ、表示オン操作が検出されればステップS8に移行する。通常、携帯電話は電源をオンすると表示がオン状態で立ち上がるので、ステップS4から直接ステップS8に進む。なお、後述のように携帯電話がオンである限り適宜ステップS4のチェックが行われる。そして、例えば折畳式携帯電話において携帯電話が折り畳まれて表示がオフの待ち受け状態となっている場合、または所定時間操作がなかったことを検出して働くオートオフ機能により表示がオフとなっていた場合は、ステップS4からステップS6に進むことになり、このとき携帯電話が開かれるか、何らかの操作が行われて表示がオンになったことが検出されればステップS6からステップS8に進む。
【0023】
ステップS8では、操作メニューの中から名刺交換モードが選択されたかどうかがチェックされる。そして選択があればステップS10の名刺交換モード処理に入り、これが終了するとステップS12に進む。ステップS10の名刺交換モード処理の詳細は後述する。一方、ステップS8で名刺交換モードの選択が検出されないときは直接ステップS12に移行する。 ステップS12では、操作メニューの中から名刺表示モードが選択されたかどうかがチェックされる。そして選択があればステップS14の名刺交換モード処理に入り、これが終了するとステップS16に進む。ステップS14の名刺表示モード処理の詳細は後述する。一方、ステップS12で名刺表示モードの選択が検出されないときは直接ステップS16に移行する。
【0024】
ステップS16では、操作メニューの中からスキンシップモードが選択されたかどうかがチェックされる。そして選択があればステップS18のスキンシップモード処理に入り、これが終了するとステップS20に進む。ステップS18のスキンシップモード処理は、互いに手を繋いだり寄り添ったりするスキンシップ状態において人体通信によりメール情報を交換したり、楽曲の再生情報を共有したりすることができるモードである。一方、ステップS16でスキンシップモードの選択が検出されないときは直接ステップS20に移行する。ステップS20では、人体通信に対応している他の携帯電話の存在が第1携帯近距離通信部20の通信により検出できるかどうかがチェックされる。そして検出があればステップS21の対応機種検出処理に入り、これが終了するとステップS22に進む。ステップS21の対応機種検出処理の詳細は後述する。一方、ステップS20で携帯電話が検出されないときは直接ステップS22に移行する。ステップS22では情報交換用のペアリングまたはペアリングされたペアの登録の有無をチェックし、ペアリングまたはペア登録があればステップS23に進んでペア登録管理処理を行ってステップS24に移行する。ステップS23のペア管理処理は、ステップS18のスキンシップモード処理またはステップS21の対応機種検出処理によってなされたペアリングまたはペア登録があったとき、セキュリティ確保の観点からその管理を行うものであるが、その詳細は後述する。なお、ステップS22でペアリングまたはペア登録がなければ直接ステップS24に移行する。
【0025】
ステップS24では、表示をオフする機能が発動したかどうかがチェックされる。そしてこの機能の発動がない場合、フローはステップS4に戻り、以下、表示がオンである限りはステップS4からステップS24を繰り返す。一方、ステップS24で表示をオフする機能の発動が検知されたときはステップS26に移行する。これは、前述のように、例えば携帯電話を折り畳む操作によって手動で表示がオフされた場合、または所定時間操作がなかったことによってオートオフ機能が働いて表示が自動的にオフとなった場合が該当する。 ステップS26では、電源オフ操作が行われたかチェックされる。そして電源オフ操作が検出されない場合、フローはステップS4に戻り、以下、電源がオンである限りはステップS4からステップS26を繰り返す。一方、ステップS26で電源オフ操作が検知されたときは直ちにフローを終了する。
【0026】
なお、ステップS6で表示をオンする操作が検出されなかったときは、直接ステップS20に移行する。このように、表示がオンでない限り、名刺交換モードやスキンシップモードが選択できないようになっており、未知の人物に触られたり、また不用意に物に触ったりすることにより情報が第1携帯電話の情報が漏れたりスキミングされたりすることを防止している。 さらに、名刺交換モードやスキンシップモードは意図的に選択されない限りその機能が働かないようになっており、上記の表示オンの条件に加えて人体通信による不測の情報漏洩がないよう二重のセキュリティ対策が講じられている。
【0027】
図3は、図2のステップS21における対応機種検出処理の詳細を示すフローチャートである。図2のステップS20により携帯電話が近くにあることが検出されると図3の対応機種検出処理がスタートする。これは例えば、来客を応接室に通したとき、来客の保持する第2携帯電話が人体通信に対応している機種であることが自身の保持する第1携帯近距離通信部20の通信により検出できた場合に該当する。なお、図3のフローは来客が複数の場合にも対応できるよう構成されている。 フローがスタートすると、まずステップS32において、検出した人体通信に対応可能な携帯電話の全機についてそのそれぞれを特定するための情報を受信する。この特定用情報としては、例えば各携帯電話に割当てられたシリアル番号または電話番号が用いられる。なお人体通信に対応しているかどうかは、対応機種であることを示すコードをお互いに交換することによって可能である。
【0028】
次いでステップS34で人体通信に対応可能な携帯電話が複数検出されたかどうかがチェックされる。そして複数の携帯電話が検出された場合はステップS36に進み、例えば、来客サイドの会社と応対サイドの会社の各メンバーについての可能な全ての組合せがペアリングされる。この際、同一サイド、例えば自分の会社のメンバー同士の組合せは意味がないので除外される。 具体例で示すと、A社(メンバーA1、A2)がB社(メンバーB1、B2、B3)と対応する場合、ステップS36のペアリングにおいて求められる全組合せは、ペア1(A1とB1)、ペア2(A1とB2)、ペア3(A1とB3)、ペア4(A2とB1)、ペア5(A2とB2)およびペア6(A2とB3)となる。
【0029】
さらに、ステップS38では、各ペアの優先順が決定される。例えば、上記においてペア1、ペア2、ペア3、ペア4、ペア5、ペア6の順に優先順を決定する。これに続き、ステップS40では、各ペア内の優先順を決定する。例えばペア1において優先順をA1、B1の順とする。これらの優先順は、例えばシリアル番号を用いて自動的に決定される。すなわち、ペア内の優先順はシリアル番号順とし、ペア間では、各ペア内の若い方のシリアル番号を他のペアのそれと比較して優先順を決定する。これらの優先順は便宜的なものであり、後述するように複数の携帯電話の機能を整理することを目的とする。 なお、ステップS34において人体通信に対応可能な携帯電話が一つしか検出されなかった場合は、ステップS36およびステップS38を省略し、直接ステップS40を実行する。
【0030】
以上のペアリングと優先順決定がなされるとステップS42に進み、いずれかのペアの相手が自分の携帯電話の至近距離内に接近したかどうかをチェックする。これは、名刺交換のために誰かと対面した場合に該当し、相手は一人である。具体的には、名刺交換のために対面できる者と他の者との距離の差から最近接の者のみを検出し、さらにその者が所定距離以内に接近したことを検出する。この機能は、第1携帯近距離通信部20によって相手からの電波の強さを検出することにより達成される。このようにして、至近距離内に接近した携帯電話が検出されるまでステップS42が繰り返され、検出を待つ。 ステップS42で自分を含むいずれかのペアの相手が自分の携帯電話の至近距離内に接近したことが検出されるとステップS44に進み、第1携帯近距離通信部20の通信によって他のペアが発音中かどうかチェックする。この発音とは至近距離に入ったペアの携帯電話が人体通信に対応していることが確認されたときに両方の携帯電話から発生される所定周波数の音信号の発生を意味するが、その詳細は後述する。
【0031】
ステップS44で他のペアが発音中でなければ、自分のペアの携帯電話が人体通信に対応していることを示す発音を行っても、これが他ペアの発音に重なって妨害音となったり自ペアの発音が聞き取れなかったりする心配がないのでステップS46に進む。ステップS44のチェックを行った上でステップS46に進むのは、名刺交換が複数ペアの間で同時並行して行われる可能性があり、もし仮にペア間の調整なしに随所で同時に発音が行われると互いに識別不可能となるので、このような事態を避ける意味がある。 ステップS46では、音出力を行うためのエントリー信号を第1携帯近距離通信部20から周囲の携帯電話に予備的に発信する。次いで、ステップS48で所定の調整時間(例えば0.1秒)内に他のペアからのエントリー信号を受信していないかどうかチェックする。これは、発音が複数ペアから同時に行われることながいようにするためのもので、所定の調整時間内に複数の携帯電話からエントリー信号が発信されたときに発音順を互いに調整し、いきなり複数のペアから同時に発音が重なって行われな
いようにする。
【0032】
ステップS48で他のペアからのエントリーがあったことが検出されたときはステップS50に進み、複数のエントリーの中で自分のペアの順位が最優先となっているかどうかチェックする。そして、最優先であればステップS52に進む。一方、ステップS48において他のペアからのエントリーが調整時間内に検出されないときは直ちにステップS52に進む。ステップS52では発音等が実行されるが、その詳細は後述する。 なお、ステップS44において、発音中の他のペアがあれば当面発音は見合わせ、ステップS42に戻る。また、ステップS50において自分のペアの順位が最優先でないときも、次の発音は他のペアに譲り、ステップS42に戻る。このようにして、ペア相手が至近距離に接近していて他のペアの発音がなく、かつ調整時間内に他のペアのエントリーがないか又はあっても自分のペアが最優先であるという条件がすべて満たされない限り、ステップS42からステップS50が繰り返される。
【0033】
次にステップS52について詳細に説明する。ステップS52では、まず、接近したペアが握手によって情報交換可能な状態となるよう互いに登録される。また、ペア内の優先順位に基づいて和音構成音が発音部22から出力される。例えば「ド」と「ミ」を構成音とする和音を発音する場合、ペアにおける自分の優先順が高ければ「ド」を発音する。一方、ペアの相手は同時に「ミ」を発音するので、「ド」と「ミ」のハーモニーが聞こえることになる。これによってペアの両者の携帯電話が同時に発音しても、両者が発音していることが明瞭に識別できる。一方しか発音しなければ単音しか聞こえないからである。 なお、ステップS52における和音はペアごとに異なったものとされ、例えば別のペアでは例えば「レ」と「ファ」を構成音とする和音となる。また、ステップS44からステップS50の機能により自分のペアが発音しているときは他のペアからの発音が禁止されているので、自分のペアのハーモニーに他の音が混じることはない。 ステップS52では、あわせて自分のペアが発音中であることを示す情報を周囲の携帯電話に発信し、これらの携帯電話においてステップS44の機能が働くようにする。
【0034】
ステップS52で発音および情報発信が開始されるとこれを継続したままフローはステップS54に進み、発音開始から所定時間(例えば5秒)経過したかどうかチェックする。そして未経過ならステップS52に戻って発音と情報発信を継続し、経過刷ればステップS56に進んで和音構成音の出力を停止するとともに発音中との情報発信を停止する。 次いで、ステップS58に進み、対応機種検出処理を終了する操作がなされたかチェックする。操作がなければステップS60に進み、決定されたペアのうち未だ相手が接近していないものがあるかどうかチェックする。そして未接近ペアがなければフローを終了する。なお、ステップS58で対応機種検出処理を終了する操作が検出されると未接近ペアの有無にかかわらず、フローを終了する。一方、ステップS60で未接近ペアがあればステップS42に戻り、その接近を待つ。 ステップS58を設けることにより、これ以上対応機種検出を継続する意思がない場合や直ちに名刺交換モードを選択したい場合において、対応機種検出処理を速やかに終了させることができる。なお、後述のように名刺交換モード選択の検出をステップS8だけでなく、名刺交換の割込みでも検出できるようにする場合は、ステップS58の操作をしなくても、直ちに名刺交換モードの選択を行うことができる。
【0035】
図3のフローにおいて、ステップS32からステップS40は、互いに特定用情報を受信しあっている全ての携帯電話においてそれぞれ必要に応じ他の携帯電話と同期をとりながら同時進行的に実行される。一方、ステップS42からステップS60は至近距離内に接近したペアの携帯電話間において、それぞれ必要に応じ同期をとりながら同時進行的に実行される。
【0036】
図4は、図2のステップS10における名刺交換モード処理の詳細を示すフローチャートである。図2のステップS8において名刺交換モードが手動で選択されたことが検出されると図4の名刺交換モード処理がスタートする。また、名刺交換モード設定の手動操作検出に基づく割込みでも図4のフローは随時スタートする。 ここで、名刺交換モードの選択がどのような状況で行われるかについて説明する。名刺の交換はまず紙名刺によって行われるが、名刺交換のために両者が接近したとき、図3のステップS52の機能により和音が聞こえる。これによって両者の携帯電話が人体通信に対応していることおよび両者が情報交換のために互いに登録されたことがわかるので、両者は自分の携帯電話を取り出してそれぞれ名刺交換モードに手動設定し、握手による電子名刺交換に備えることができる。または、人体通信機能を備えた携帯電話が普及すれば、図3のステップS42以降の機能を待たず、相手側との面談に臨む前に名刺交換モードへの設定を行う。 いずれにしても、名刺交換モードへの設定と互いの登録の両者が揃わないと握手をしても名刺情報は交換されず、不用意に名刺情報が漏洩しないようセキュリティーが保たれる。
【0037】
図4の処理がスタートすると、まずステップS72で握手が行われたかどうかがチェックされる。握手が検出されるとステップS74に進み、握手した相手が、図3のステップS52によって登録された者かどうかのチェックがなされる。そして、該当する相手であればステップS76の名刺情報交換処理に移行する。その詳細は後述する。 ステップS76の名刺情報交換処理が終了するとステップS78に進み、現在表示中の名刺情報があるかどうかチェックする。例えば二番目以降の相手と握手した場合は、先の相手との握手によって取得した名刺情報が表示部14に表示されているので表示中の名刺情報があることになる。
【0038】
ステップS78で表示中の名刺情報がある場合にはステップS80に進み、この表示を終了させてステップS82に進む。一方、ステップS78で表示中の名刺情報がある旨の検出がなければ、自分にとって一番目の相手との握手が行われたことを意味するので、直接ステップS82に進む。 ステップS82では、ステップS76で受信された新規の名刺情報を表示する。これによって、自分の携帯電話の表示部を見れば、紙の名刺をもらった場合と同様にして相手の肩書きや氏名などを文字情報として確認できる。次いで名刺情報の表示を継続しつつステップS84に進み、名刺交換モード選択後の名刺情報受信順を自分の携帯電話に記憶させる。これは後述する名刺レイアウト整理の際の参考とするためである。
【0039】
次いでステップS88で受信した情報が携帯電話に保存されている既存名刺のIDと一致するかどうかチェックする。このIDとしてはステップS32で受信した携帯電話のシリアル番号や電話番号などをそのまま流用する。 ステップS88で受信情報のIDが既存名刺IDと一致していることが検出されればステップS90に進み、今度は名刺情報の中身を既存情報と比較して命情報に変更があるかどうかチェックする。通常、同じ人物から再度名刺をもらう場合は会社、肩書きなどに変更があることが考えられるからである。
【0040】
ステップS90で名刺情報に変更があればステップS92に進み、変更情報をその人物のIDファイルに追加保存してステップS94に移行する。これによって、変更前の情報を維持しながらその人物の履歴が追加記録されていくことになる。一方、ステップS90で名刺情報の変更が検出されない場合は直接ステップS94に移行する。 また、ステップS88で既存名刺IDとの一致が検出されなかったときは初対面の人物なのでステップS96に移行し、新規IDファイルを作成する。次いで、ステップS98でそのIDファイルに新規名刺情報を保存してステップS94に移行する。
【0041】
ステップS94では、名刺情報の受信日時をIDファイル履歴に保存し、ステップS100に移行する。ステップS94における受信日時の保存によって、新規名刺情報や既存名刺の変更情報を受信した場合だけでなく、名刺情報に変更がない場合においても同じ相手との面会日時がその人物のIDファイル履歴に保存されていく。このように、握手による情報交換は名刺情報の取得だけでなく、同じ相手との面会履歴の蓄積にも有用である。なお、ステップS72において握手の検出がなかったときは、直接ステップS100に移行する。また、ステップS74において握手検出した相手が登録された相手ではなかったときも直接ステップS100に移行する。これによって握手が検出されたとしても登録相手でなかったときは以後の名刺情報交換処理に入らない。つまり、特定の相手でない限り名刺情報の交換は行われず、セキュリティが保たれる。ステップS100では名刺交換モード終了操作の有無をチェックし、操作がなければステップS102に進んで名刺情報を交換していない登録ペアの有無をチェックする。そして名刺未交換の登録ペアがなければその場の全ての相手との名刺情報交換が終わったことを意味するので自動的にフローを終了する。一方、未交換登録ペアがあればステップS72に戻り、以下、未交換ペアがなくなるまでステップS72からステップS102を繰り返す。但し、ステップS100で名刺交換モード終了の手動操作が検出されたときは、名刺未交換登録ペアの有無にかかわらず直ちにフローを終了する。
【0042】
図5は、図4のステップS76における名刺情報交換処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートするとステップS112で握手しているペア内において自分の携帯電話の順が優先されるかどうかがチェックされる。そして優先でなければステップS114に進み、名刺情報の送信を開始する。この場合、逆に相手は優先であり、名刺情報の受信に入る。 次いでステップS116で握手が継続されているかどうかチェックし、継続されていればステップS118で送信が完了したかどうかチェックする。そして完了でなければステップS116に戻り、握手が継続している限りステップS116およびステップS118を繰り返して送信完了を待つ。
【0043】
ステップS118で送信完了が確認されるとステップS120に進み、受信済かどうかチェックする。ステップS118からステップS120に移行した場合は通常受信済でないのでステップS122に進み、受信を開始する。 次いでステップS124で握手が継続されているかどうかチェックし、継続されていればステップS126で送信が完了したかどうかチェックする。そして完了でなければステップS124に戻り、握手が継続している限りステップS124およびステップS126を繰り返して受信を待つ。
【0044】
ステップS126で受信完了が確認されるとステップS128に進み、受信した名刺情報を一時記憶する。これは後の表示に対応するとともに、必要に応じ記憶部12に保存するためである。この一時記憶は少なくとも名刺情報交換直後に開始された名刺表示モード処理における表示が不要となるまで維持される。 一時記憶が完了するとステップS130に進み、送信済かどうかチェックする。ステップS128からステップS130に移行した場合は通常送信済なのでフローを終了する。
【0045】
これに対し、ステップS112で握手しているペア内において自分の携帯電話の順が優先であった場合はステップS120に移行する。ステップS112からステップS120に移行した段階では受信済でないのでS122に進み、受信を開始する。 次いでステップS124で握手が継続されているかどうかチェックし、継続されていればステップS126で送信が完了したかどうかチェックする。そして完了でなければステップS124に戻り、握手が継続している限りステップS124およびステップS126を繰り返して受信を待つ。
【0046】
ステップS126で受信完了が確認されるとステップS128に進み、受信した名刺情報を一時記憶する。そして、一時記憶が完了するとステップS130に進み、送信済か
どうかチェックする。ステップS112からステップS120に移行した結果ステップS130に至った場合は通常送信済ではないのでフローはステップS114に移行し、名刺情報の送信を開始する。 次いでステップS116で握手が継続されているかどうかチェックし、継続されていればステップS118で送信が完了したかどうかチェックする。そして完了でなければステップS116に戻り、握手が継続している限りステップS116およびステップS118を繰り返して送信完了を待つ。
【0047】
ステップS118で送信完了が確認されるとステップS120に進み、受信済かどうかチェックする。この場合は通常受信済みなのでステップS130に進み、送信済みかどうかチェックする。この場合も通常は送信済なのでフローを終了する。 ステップS132からステップS138は、名刺情報の送信途上または受信途上において握手を中断した場合の処置に関するものである。
【0048】
まず、ステップS116で握手がもはや継続されていないことが検出されたときはステップS132に進み、名刺交換が未完である旨の警告表示を表示部14で行う。このとき発音部22からもその旨の警告音出力またはアナウンスを行ってもよい。 そしてステップS134に進み、ステップS132の警告に応じて握手が再開されたかどうかチェックする。そして握手が検出されない限りステップS132とステップS134を繰返し、握手の再開を待つ。ステップS134で握手が検出されればステップS114に戻り、再送信を開始する。
【0049】
一方、ステップS124で握手がもはや継続されていないことが検出されたときはステップS136に進み、名刺交換が未完である旨の警告表示を表示部14(および必要に応じ発音部22)にて行う。 そしてステップS138に進み、ステップS136の警告に応じて握手が再開されたかどうかチェックする。そして握手が検出されない限りステップS136とステップS138を繰返し、握手の再開を待つ。ステップS138で握手が検出されればステップS122に戻り、再受信を開始する。
【0050】
図6は、図2のステップS14における名刺表示モード処理の詳細を示すフローチャートである。図2のステップS12において名刺表示モードが手動で選択されたことが検出されると図6の名刺表示モード処理がスタートする。また、名刺表示モード選択の手動操作検出に基づく割込みによっても随時図6の名刺表示モードをスタートさせることができる。 フローがスタートすると、まず、ステップS142においてメニューの選択により会議表示モードに設定されているかどうかチェックされる。会議表示モードとは、交換した紙の名刺を相手の着席位置に対応して机上に並べるのを模し、受信した肩書きおよび氏名を相手の着席位置に対応して表示部14にレイアウトするモードである。
【0051】
ステップS142において会議表示モードの設定が検出されるとステップS144に進み、最新の名刺交換モード期間内において交換した名刺情報を記憶部12から読出す。具体的には図2のステップS8における名刺交換モード選択操作および図4の名刺交換モード終了の操作のそれぞれ最新のものの操作時刻を検出し、その間に受信した全名刺情報を読み出す。これは、一つの会議冒頭において名刺交換を終わって着席している相手側全メンバーの名刺情報に対応する。 紙の名刺の場合、既知の人物同士では名刺交換を行わない場合が多いので、その人物の名刺を机上に並べることはできないが、本実施例の場合、握手をしていれば既知の人物であっても改めて名刺情報が自動交換され、これが携帯電話に一時記憶されるので、会議の都度、相手側全員の名刺情報を表示部14に表示することができ、人の記憶力の補助となる。
【0052】
次いで、ステップS146に進み、表示オートオフ機能を禁止する。通常の計帯電話の表示においては、会議表示モードにおける表示以外の表示において所定時間操作がないと自動的に表示をオフする機能が設けられている。しかしながら、会議表示モードにおいては長時間携帯電話の操作をしないまま表示部14に相手の名刺情報一覧を表示することが予想される。そこでステップS146では、オートオフ機能を禁止し、通常の携帯電話の機能におけるようにオートオフ機能が勝手に働いて、会議途中で自動的に名刺情報一覧表示がオフとなってしまうのを防止する。
【0053】
次にステップS148において、相手側が着席した配置が第1携帯近距離通信部20の情報に基づいて自動検知かのうかどうかがチェックされる。これは、複数の携帯電話間の電波強度情報を交換することによる三角測距による。 ステップS148で席は位置が自動検出可能な場合はステップS150に進み、受信した名刺情報から相手側出席者の肩書きおよび氏名を検出した着席配置に対応して自動レイアウトし、表示部14に一覧表示してステップS152に移行する。
【0054】
一方、ステップS148において、席は位置の自動検出が不可能と判断されたときはステップS154に移行して、受信した名刺情報から相手側出席者の肩書きおよび氏名を受信順情報付きで表示部14に一覧表示する。この受信順情報は、図4のステップS84を通じて記憶されたものである。 そして、ステップS156に進み、受信順情報と記憶力に基づく顔の特徴などにより手動で席順のレイアウト変更操作があったかどうかチェックする。これは、紙の名刺を受取った場合これを机上に並べることに該当する。ステップS156で手動レイアウト変更操作が検出されるとステップS158に進み、変更後のレイアウトに従って相手側出席者の肩書きおよび氏名を表示部14に一覧表示してステップS152に移行する。一方、ステップS156で手動操作が検出されなければ直接ステップS152に移行する。
【0055】
ステップS152では、表示部14の一覧表示の中から特定の個人を選択する操作があったかどうかをチェックする。そしてこの操作があればステップS160に進み、被選択者に関する全ての名刺履歴情報を所定時間(例えば10秒)だけ表示部14に拡大表示する。そしてこの所定時間が経過すれば自動的に拡大表示を終了して一覧表示に戻るとともに、ステップS162に進む。なお、ステップS160からステップS162への移行は、このような所定時間経過による自動移行の他、手動操作による移行としてもよい。 一方、ステップS152で個人選択操作が検出されない場合は、直接ステップS162に移行する。
【0056】
ステップS162では、会議表示モードを終了する操作があったかどうかを検出しており、検出がなければステップS152に戻る。以下、会議表示モード終了操作が検出されない限りステップS152、ステップS160およびステップS162が繰り返され、名刺情報の一覧表示が継続されるとともに、随時そのうちの特定個人の詳細履歴を確認することができる。 一方、ステップS162で会議表示モード終了操作が検出されたときはステップS164に進み、図5のステップS128で行われた受信名刺情報の一時記憶を消去してステップS166に至る。 また、ステップS142で会議表示モードの設定が検出されなかったときは、直接ステップS166に至る。
【0057】
ステップS166では、通常表示モードが設定されたかどうかのチェックが行われ、設定が検出されたときはステップS168に進んで名刺情報の検索表示処理に入る。このステップS168では、記憶部12に保存された名刺情報のデータベースを元に、第1携帯制御部6の制御下にある電話操作部8および表示部14のGUIによっては、検索条件の設定及び検索の実行が可能である。また、検索結果は、表示部14に表示される。 ステップS168中における終了手順に従って名刺情報検索表示処理が終了すると名刺表示モードのフローは終了する。また、ステップS166において通常表示モードの設定が検出されないときは直ちにフローが終了する。
【0058】
上記の第1実施例は携帯電話としたが、本発明の実施にこれに限られるものではない。例えば、上記に説明した名刺情報交換に関する諸機能を、携帯電話に換えて携帯情報端末(PDA)や携帯音楽プレーヤーなどの他の携帯機器に組み込んでもよい。また、上記名刺情報交換に関する諸機能を腕時計に組み込むことも可能である。さらに、紙の名刺を入れるための名刺入れに上記名刺情報交換に関する諸機能を組み込むことも可能である。 なお、上記名刺情報交換に関する諸機能は一つの機器に組み込む場合だけでなく、複数の機器に分けて組み込むことも可能である。例えば、図1の変調/復調部28、送受信電極32、これらを制御するために必要最小限の構成および微弱電波通信機能とともに腕時計に組込み、他の機能をこのような腕時計と微弱電波通信機能を通じて通信可能なパソコンやカバンなどの必ずしも人体に近接せずに携帯される装置や用具に分け持たせるよう構成してもよい。さらに、上記のような腕時計と微弱電波通信により通信可能な機能は、必ずしも携帯機器に分け持たせる場合に限らず、会議室の設備として固定的に設けてもよい。
【0059】
また、上記の第1実施例では、図2のステップS21における対応機種検出処理の詳細として図3に第1携帯近距離通信部20を利用した機能を示したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、握手をした時点で人体通信により通信を試み、対応機種であることを示すコードなどの応答があれば相手機種が対応可能と判断するように構成することも可能である。この場合、一回の握手で、相手が応答可能であるかどうかの検知とこれに引続く名刺情報の交換まで一気に行うことも可能である。 また、上記に換えて、一回目の握手ではまず相手が対応可能かどうかの確認のみが人体通信で行われるよう構成することも可能である。この場合は、一回目の握手で相手が対応可能であることを確認した上で、図2の名刺交換モードの選択を行い、あとは二回目の握手をして図4と同様の名刺情報交換を行う。
【0060】
図7は、図2のステップS23におけるペア登録管理処理の詳細を示すフローチャートである。図2のステップS22においてペアリングまたはペア登録があることが検出されると図7のペア登録管理処理がスタートする。フローがスタートすると、まずステップS172で未登録の名刺交換ペアがあるかどうかがチェックされ、該当があればステップS174に進む。ステップS172において未登録名刺交換ペアがある場合とは、図3のステップS36からステップS40におけるペアリングにより生ペアが生じたものの、ステップS52における登録がないままにこれが残存し、ステップS58にお居て検出された終了操作によって対応機種検出処理終了に至った場合である。
【0061】
ステップS174では、ステップS172で検出された未登録名刺交換ペアについて、それが図3のステップS36からステップS40におけるペアリングの原因となった図2のステップS20の検出後、所定時間(例えば15分)が経過したものであるかどうかチェックする。そして、所定時間が経過したものであればステップS178に移行し、該当する未登録の名刺交換ペアを解消してステップS180に進む。これは、対応携帯電話が検出された後にペア登録がないまま所定時間が経過した場合、名刺交換の意図がないものと判断し、以後の混乱や意図しない情報漏洩を防止するため、名刺交換ペアを解消するものである。
【0062】
一方、ステップS174のチェックにおいて、でまだ所定時間が経過していなかったものであったときはステップS176に進む。ステップS176では、ステップS172で検出された未登録名刺交換ペアについて、それが図3のステップS58の機能により対応機種検出処理が終了した結果残存しているものであるかどうかチェックする。そして、該当すればステップS178に進み、未登録の名刺交換ペアを解消してステップS180に進む。これは、ステップS174における所定時間が経過していなくても、未登録名刺交換ペアを残してステップS58において対応機種検出処理終了操作が検出されたときは、これらについてもはや
名刺交換を行う意図がないものと判断し、以後の混乱や意図しない情報漏洩を防止するため、名刺交換ペアを解消するものである。以上のようにして、未登録交換ペアが残存して意図しない名刺交換が生じてしまうことが防止される。なお、ステップS172において未登録名刺交換ペアが検知されなかったときは、ステップS174からステップS178の処理は必要ないので、直接ステップS180に移行する。
【0063】
上記において、もしステップS58で検出された対応機種検出処理終了操作が以後の未登録ペアとの名刺交換を意図している状況で行われていたとしても、ステップS176からステップS178に進むことで未登録名刺交換ペアを一旦解消することに問題はない。名刺交換を意図する相手が近辺に居る限り、図2のフローの繰り返しによって再度ステップS20およびステップS21に至れば再度ペアリングが行われるからである。また、図2から明らかなように、ステップS22における検出はステップS21の対応機種検出処理の終了後に行われるので、通常はステップS176が機能してステップS178に至る。ステップS174が機能するのは、名刺交換モード設定の手動操作検出に基づく割込みで図4のフローがスタートすることになった結果、図3のステップS58を経ずに対応機種検出処理が強制終了されて未登録名刺交換ペアが残存してしまった場合である。なお、ステップS174はその他、予期されないあらゆる未登録名刺交換ペアの残存事態に対応できる。
【0064】
ステップS180では名刺交換が行われていない登録ペアの有無がチェックされる。このような登録ペアがあったときはステップS182に進み、名刺交換モードが設定済みかどうかチェックする。設定済みでなければ、ステップS184に進み、該当ペアの登録後所定時間(例えば10秒)経過したかどうかチェックする。そして所定時間が経過していなければステップS186に進む。一方、ステップS182において名刺交換モードが設定されていた場合は直接ステップS186に至る。ステップS186では、名刺交換モードの設定後所定時間(例えば3分)が経過したかどうかのチェックを行う。そして所定時間の経過がなければステップS188に進む。なお、ステップS186のチェックは基本的にはステップS182から直接ステップS186に至った場合に対するものであり、ステップS184経由でステップS186に至った場合は、名刺交換モード未設定なのでステップS186のチェック結果は必ず所定時間未経過となりステップS188に至る。
【0065】
ステップS188では、登録ペアがある状態で図4のステップS100における名刺交換モード終了操作が行われたかどうかチェックする。ステップS188で登録ペアが残存するにもかかわらず名刺交換モードを終了させる操作があったことが検知されると、ステップS190に進み、該当する登録ペアを保存するかまたは抹消するか等の処分を決める処理を行う。その詳細は後述する。
【0066】
一方、ステップS184またはステップS186において所定時間が経過した場合も、もはや名刺交換の意図がないものと考えられるのでステップS190に進む。ステップS190の該当登録ペア保存・抹消処理が終了するとステップS192に進む。また、ステップS188で名刺交換モード終了操作が検出されなかったときも、ステップS192に移行する。なお、ステップS180で登録ペアが検出されなかったときは、直接ステップS192に至る。以上、ステップS172からステップS190までは、未登録名刺交換ペアまたは名刺未交換の登録ペアが不用意に残存することにより意図しない名刺情報の漏洩が起こることを防止するため、これらのペアの処分を行うためのものである。
【0067】
一方、ステップS192からステップS196は、他人との接触によって名刺情報が流出することを許可する名刺交換モードの設定が放置されることによって意図しない名刺情報の漏洩が起こることを防止するためのものである。まず、ステップS192は、名刺交換モード設定済みであるにもかかわらず名刺未交換情愛の登録ペアが存在しないような状態であるかどうかチェックする。そして該当すればステップS194に進み、名刺交換モード設定後所定時間(例えば15分)が経過したかどうかチェックする。そして経過していればステップS196に進んで名刺交換モードを自動的に解除してステップS198に至る。これは、ステップS192のような不合理な状態が所定時間以上続いたときは名刺交換モード終了の操作忘れがあったもの考え、名刺交換モードが継続して意図しない名刺情報流出に繋がるのを防止するためである。なお、ステップS192において、名刺交換モード設定済みであるにもかかわらず名刺未交換情愛の登録ペアが存在しないような状態であるとの検出がなかった場合、またはステップS194において所定時間の経過が検出されなかった場合は、直接ステップS198に至る。
【0068】
ステップS198では、図2のステップS18におけるスキンシップモード処理の対象となるスキンシップペアの有無をチェックする。そしてこのようなペアがあればステップS200に進み、スキンシップペア管理処理に入る。この処理は、スキンシップペア間で想定される人体通信において、メール情報を交換の際のセキュリティを楽曲の再生情報共有の際のセキュリティよりも厳しくしたり、スキンシップペアの設定が放置されて予期しない他人の接触によりプライバシーが侵害されるのを防止したりするための管理処理である。スキンシップベア管理処理が終了すると図7のペア管理処理は終了する。また、ステップS198においてスキンシップペアが検出されなかったときは直ちにペア管理処理を終了する。
【0069】
図8は、図7のステップS190における該当登録ペア保存・抹消処理の詳細を示すフローチャートである。まず、ステップS212では、該当する登録ペアの相手のIDが既存名刺IDと一致するかどうかチェックする。これは過去名刺交換を行っている相手かどうかの確認を意味する。そして既存名刺IDとの一致がなければステップS214に進み、該当する登録ペアを抹消してフローを終了する。一方、ステップS212で既存名刺IDとの一致が検出されればステップS216に進み、名刺交換の最新日時から所定日時(例えば6ヶ月)が経過したものかどうかチェックする。そして所定日時以上経過した古いものであったときはステップS214に進み、該当する登録ペアを抹消してフローを終了する。
【0070】
ステップS216で所定日時が経過していないものであることが確認された場合は、ステップS218に進み、該当する登録ペアを上書き保存してステップS220に進む。これは、名刺交換をした相手であってその情報が比較的新しい場合は、その相手との名刺情報が流れてもセキュリティー上のリスクが少なく、登録を維持するのが適当だからである。なお、内容に異動があればステップS218で登録のメンテナンスもできる。ステップS218によってリスクの少ない相手との登録ペアの保存を継続することは、名刺交換モードの設定だけで速やかにその相手との次回の名刺情報交換ができる点でも意味がある。
【0071】
ステップS220では、登録ペアの相手との間で所定期間(例えば最近一年間)内に複数回名刺情報を受領したかどうかのチェックを行う。そして該当すればステップS222に進む。ステップS222に該当する場合とは、まず、最新の名刺情報受領が過去6ヶ月以内であることがステップS216で確認され、且つその前回の名刺情報受領も過去一年間以内であるということなので、最近頻繁に会うビジネス関係にある相手であることを意味する。従ってこの場合はステップS222に進み、握手IDによる名刺情報交換割込みを可能にしてフローを終了する。また、ステップS220で所定期間内の複数回情報受領が確認できない場合は直ちにフローを終了する。
【0072】
ステップS222の具体的な機能は、握手によるID交換によってステップS220の条件を満足する相手であることがわかったときに直ちに図5のフローの実行に入るための割込みを可能にするものである。従って、ステップS222により割込みが許可された相手であれば、名刺交換モードの選択をしなくても、ただ握手をするだけで図5のフローから図4のステップS78以降のフローの実行が行われる。この場合、頻繁に会う相手なので、実際には図4のフローの実行において、ステップS88からステップS90を経て直接ステップS94に進み、単に面会の日時だけがIDファイル履歴に蓄積されていく場合が多いことが予測される。
【0073】
図9は、本発明の実施の形態に係る情報交換装置の第2実施例を示すブロック図である。第2実施例は図1の第1実施例の構成に、さらにヘッドフォンブロック202が追加されたものである。従って、図9における第1携帯電話1の構成は図1と同様なのでそれぞれの構成に同一番号を付し、後述する変調/復調部28以外については説明を省略する。また、図9における第2携帯電話101の構成も図1と同様なので、冗長を避けるため、変調/復調部128および送受信電極132以外は図示を省略するとともに説明も省略する。
【0074】
図1で説明したように、人体34(右手部分以外は不図示)は第1携帯電話1の持ち主であり、送受信電極32との間の容量結合30により復調/変調部28からの送信信号が印加される。図1では、人体34の左手(不図示)によって第1携帯電話1が持たれることにより、左手と送信電極32との間に容量結合30が生じる場合を説明したが、第1携帯電話1が衣服のポケット等に入っていて人体34の皮膚に近接している場合には、感度を適切に設定することにより衣服を介して送受信電極32と人体34の皮膚との間に信号授受のための容量結合30を生ぜしめることもできる。
【0075】
図9の第2実施例では、第1携帯制御部6から楽曲信号が出力され、これが変調/復調部28で変調された後、上記のような容量結合30によって送信信号として人体34に印加されるとともに、この楽曲信号がヘッドフォンブロック202によって鑑賞される。ヘッドフォンブロック202は人体34と同一人物の頭部204に装着されるワイヤレスヘッドフォンとなっており、人体34に印加された楽曲信号が人体34の皮膚を伝わって頭部204に到達すると、これが受信電極206と頭部204との容量結合208を介して受信電極206に受信される。
【0076】
受信電極206で受信された楽曲信号は、バッファ209を介し、制御部210によって制御される復調部211の判定部212に入力される。制御部210は判定部を復調部211全体の機能を制御するとともに、判定部212による判定に必要なデータ等ための記憶部を持っている。判定部212は、受信した変調信号が受信に適合したものかどうかを判定するためのものであるがその詳細は後述する。判定部212により受信に適合していると判定された楽曲信号は復調部211によって復調され、デジタルシグナルプロセッサ214に送られる。
【0077】
デジタルシグナルプロセッサ214は、操作部216の手動操作に基づく出力音量の調節などの信号処理を行うものであり、処理後のデジタル楽曲信号をDAコンバータ218に出力する。DAコンバータ218からのアナログ楽曲出力はヘッドフォンアンプ220によって増幅された後、左右両耳用にそれぞれ設けられたヘッドフォン222からステレオの楽曲として頭部204の両耳に出力される。
【0078】
ヘッドフォンブロック202は第1携帯電話1とは独立しているので、電池により給電される電源部224を専用に備えている。なお、ヘッドフォンブロック202は、小型化することにより、左右の耳用の一対の独立したイヤホンブロックとして構成することもできる。その場合は、左右のイヤホンブロックがそれぞれヘッドフォンブロック202と同様の構成を持つことになる。
【0079】
次に、図9における、第1携帯電話1の変調/復調部28、第2携帯電話101の変調/復調部128およびヘッドフォンブロック202の復調部211の構成の詳細について説
明する。第1携帯電話1の変調/復調部28および第2携帯電話101の変調/復調部128はそれぞれ設定/判定部50および150を備えている。一方、ヘッドフォンブロック202の復調部211は上記のように判定部212を備えている。これらは協働して、特定のヘッドフォンブロックに楽曲を出力するとともに、予期しない音信号がヘッドフォンブロックに混入することを防止する。構第1携帯電話1の変調/復調部28、第2携帯電話101の変調/復調部128これらは同様の構成なので、以下、主に設定/判定部50と判定部212に基づいて説明を行う。
【0080】
まず、第1携帯制御部6から楽曲信号が出力され、これが変調/復調部28に入力されると、設定/判定部50においてチャンネル設定、ヘッダ設定および暗号設定が行われ、これらの設定に基づいて楽曲信号の変調が行われ、容量結合30によって送信信号として人体34に印加される。設定/判定部50における設定は、特定のヘッドフォンブロックに楽曲を出力するとともに、予期しない音信号がヘッドフォンブロックに混入することを防止するためのもので、それぞれ、チャンネルが一致しないか、ヘッダ部が一致しないか、または暗号の復号ができない相手に送信信号が人体通信を通じて漏洩するのを防止する。
【0081】
人体34に印加された楽曲信号は人体34の皮膚を伝わって頭部204に到達し、受信電極206によって受信されてバッファ209を介して判定部212に入力される。判定部212は楽曲信号のチャンネル、ヘッダ部を判定するとともに暗号部の復号を行う。このようにして、チャンネルとヘッダ部が一致し、かつ暗号の復号が可能であった楽曲信号のみが復調部211からデジタルシグナルプロセッサ214に出力される。これによって、第1携帯電話1から真正に出力された楽曲信号のみがヘッドフォンから流れることになり、予期しない他人との接触により他人が聞いている楽曲がヘッドフォン222に混入するような事態が防止される。
【0082】
ここで、バッファ209の機能について補足する。第1携帯電話1の変調/復調部28は、設定/判定部50によって設定されるヘッダ部を送信すべき単位デジタル信号(パケット)に付加するとともに、これを所定回数(例えば5回)繰り返して送受信電極32に出力し、これらがバッファ209に保持されることになる。判定部212はバッファ209に保持される同一の所定個(例えば5個)の単位デジタル信号を一つずつ読み出して判定する。そして、チャンネルとヘッダ部が一致している場合は、所定個の単位デジタル信号を相互処理して誤り訂正などを行い、デジタルシグナルプロセッサ214に出力する。なお、誤り訂正を行わずに、チャンネルとヘッダ部が一致した最先の単位デジタル信号を速やかにデジタルシグナルプロセッサ214に出力し、あとの同一の単位デジタル信号を破棄するよう構成してもよい。
【0083】
上記のように構成すれば、チャンネルが偶然または悪意により一致する未知の信号が予期しない他人との接触により受信電極206に混線し、これが単位デジタル信号のヘッダ部受信タイミングに重なるような事態に対応できる。つまり、このような場合、第1携帯電話1からの真正の送信信号であるにもかかわらずその単位デジタル信号のヘッダ部を正しいものとして認識できないが、同一の所定個の単位デジタル信号のうちの他タイミングで受信したヘッダ部を正しいと認識できればこの単位デジタル信号を採用してデジタルシグナルプロセッサ214に出力することができる。上記の構成は、暗号化された同一の所定個の単位デジタル信号のデータ部のいずれかに未知の信号が重なって復号できない場合にも有用である。つまり、他のタイミングで受信した同一データを復号することができれば、これをデジタルシグナルプロセッサ214に出力することができる。
【0084】
なお、設定/判定部50によるチャンネル設定、ヘッダ設定および暗号設定は、送信信号の種類に応じそのいずれかを省略してもよい。また、その設定についても送信信号の種類に応じて管理のしかたが異なるようにしてもよい。送信信号の種類としては、上記のような楽曲の送信の他、電子メールの送信などがあるが、これらの扱い方および設定の管理の詳細は後述する。
【0085】
以上は、第1携帯電話1から出力される楽曲を自身の体34を通じて自身の頭部204に装着されたヘッドフォンブロック202で鑑賞する場合であるが、例えば恋人の人体134の手を握ることにより、恋人の所有する第2携帯電話101から出力される楽曲を、自身のヘッドフォンブロック202で共有して鑑賞することも可能である。またこの逆に、自身の第1携帯電話1から出力される楽曲を恋人の人体134の手を握ることにより、恋人の頭部に装着された同様のヘッドフォンブロックにより共有して鑑賞させることも可能である。このような恋人同士の楽曲の共有にあたっては、互いにチャンネル設定、ヘッダ設定および暗号設定を共通にする。なお、このような楽曲の共有の場合は、自身は第1携帯電話1のような音源機器を持たず、ヘッドフォンブロック202だけを持つこと、またはその逆も可能である。さらに、人体通信による情報共有は、手を握る場合だけでなく寄り添って椅子に座るような形態によって生じる容量結合によっても可能である。
【0086】
図10は、図2のステップS18におけるスキンシップモード処理の詳細を示すフローチャートであり、図9の構成をベースとしたものである。スキンシップモード処理は、前述のように、互いに手を繋いだり寄り添ったりするスキンシップ状態において人体通信によりメール情報を交換したり、楽曲の再生情報を共有したりすることができるモードである。フローがスタートすると、ステップS232でスキンシップモードが音楽モードかどうかチェックされる。そして音楽モードであればステップS234に進み、自分の携帯電話である第1携帯電話1から出力される音源を共有するための設定操作があったかどうかがチェックされる。
【0087】
自音源設定操作があればステップS236で音楽を共有しようとしている相手と自分が音楽スキンシップベアとして登録されているかどうかチェックする。そして登録がなければステップS238に進む。 ステップS238では、相手の音源を受信するチャンネルが登録済みかどうかチェックし、登録済みであればステップS240でそのチャンネルを自動的に除外する。そして、テップS242において、除外したチャンネル以外のチャンネルの中から、自分の音源を送信するためのチャンネルを自動選択して設定する。なお、ステップS238で相手音源受信チャンネルが登録済みである旨の検出がなければ除外するチャンネルを考慮することなく直接ステップS242に進む。
【0088】
ステップS242で設定された自音源送信チャンネルは、ステップS244で相手の携帯電話である第2携帯電話101に伝達されるとともに、ステップS246において自分の携帯電話である第1携帯電話1の記憶部12に登録される。なお、ステップS244におけるチャンネルの伝達は、第1携帯近距離通信部20から行われるが、これに換えて相手の手を握ることによる人体通信によってもよい。
【0089】
以上のようにして自音源を相手に供給するためのチャンネルを設定し、これを相手に伝えたうえでステップS248の音楽再生処理に入る。その詳細は後述する。一方、ステップS236で音楽スキンシップペアが登録されていることが検出された場合は、既に自音源を送信するチャンネルが設定済みであるとともにこれが相手に伝達済みなので、直接ステップS248の音楽再生処理に入る。
【0090】
音楽再生処理が終了するとステップS250に進み、スキンシップモードがメールモードであるかどうかのチェックが行われる。一方ステップS232において音楽モードであることが検出されなかったときは直接ステップS250に移行する。なお図10のフローはステップS232からステップS250に至る場合が通例であるが、音楽モードに続いてメールモードに入ることを可能とするためにステップS248の後にステップS250が置かれている。ステップS250でメールモードであることが検出されるとステップS252に進み、メールモード処理を実行し、その終了をもってフローを終了する。ステップS252のメールモード処理の詳細は後述する。
【0091】
一方、ステップS234で自音源設定操作が検出されなかった場合は、音楽モードであって相手から出力される音源を共有する場合に該当するのでステップS254に移行する。ステップS254では、相手の音源を受信するためのチャンネルが記憶部12に登録されているかどうかチェックする。登録がなければステップS256に進み、音源を受信するためのチャンネルを相手の携帯電話から受領する。このような相手からのチャンネルの受領は、第1携帯近距離通信部20にて行われるが、これに換えて相手の手を握ることによる人体通信によってもよい。
【0092】
ステップS256において相手音源受信チャンネルが受領されるとステップS258に進み、受信したチャンネルを記憶部12に登録するとともに、ステップS260において相手音源受信チャンネルを自分のヘッドフォンであるヘッドフォンブロック202に通知する。通知された受信チャンネルは制御部210の記憶部に記憶される。相手の音源を共有する場合は、以上の処理を経てステップS250に至る。以後は自音源を共有する場合と同様である。
【0093】
図11は、図10のステップS248における音楽再生処理の詳細を示すフローチャートであり、図9の構成をベースとしたものである。フローがスタートすると、ステップS252で音源信号が記憶部12から取り出される。取り出された音源信号は、ステップS264で単位デジタル信号に分割され、そのうちの時間的に最優先の単位デジタル信号がステップS266で自動的に選択される。次いで、ステップS268で自分および相手のヘッドフォンに音源を送信するチャンネルを通知する、これは、図10のステップS260と同様の機能をもつが、単位デジタル信号の送信毎に音源チャンネルをヘッドフォンに通知することにより、楽曲の再生途中から音源共有に参加したヘッドフォンも音源の送信チャンネルの情報を得ることができる。
【0094】
次にステップS270で簡易送信モードに設定されているかどうかのチェックが行われ、簡易送信モードでなければステップS272に進んで単位デジタル信号に送信用のヘッダ部を付与する指示が行われる。さらに、ステップS274でヘッダ部が付与された単位デジタル信号をADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)エンコードする指示が行われる。これは、信号の圧縮とともにその暗号化の意味を持つ。以上の処理の後、ステップS276で単位デジタル信号の変調が指示され、ステップS278でその送信が指示される。送信が終了するとステップS280で送信が所定回目(例えば5回目)であるかどうかがチェックされ、所定回目に達していなければステップS278に戻る。以下、ステップS280で送信が所定回目に達したことが検出されるまで、ステップS278における送信が繰り返される。
【0095】
ステップS280で送信が所定回目に達したことが検出されると、フローはステップS282に進み、ステップS278およびステップS280によって所定回送信した単位デジタル信号が楽曲の最後のものであるかどうかがチェックされる。そして、最後のものでなければステップS266に戻り、送信済みのものを除いて最優先となる単位デジタル信号の選択が行われる。以下、ステップS282において最後の単位デジタル信号の所定回送信終了が検出されるまで、ステップS266からステップS282が繰り返される。
【0096】
一方、ステップS270において、簡易送信モードの設定が検出されると、ステップS284に移行し、ステップS266で選択された単位デジタル信号をそのまま変調するよう指示するとともに、ステップS286でこれを送信する指示を行う。そして、ステップS282で送信した
単位デジタル信号が楽曲の最後のものであるかどうかがチェックされる。最後のものでなければステップS266に戻り、送信済みのものを除いて最優先となる単位デジタル信号の選択が行われる。以下、同様にして、ステップS282において最後の単位デジタル信号の所定回送信終了が検出されるまで、ステップS266からステップS270、ステップS284、ステップS286およびステップS282が繰り返される。
【0097】
上記の簡易送信モードは、人体通信で送られてくる楽曲信号を送信チャンネル合わせだけで共有鑑賞できるよう構成され、ヘッダ部のチェックや暗号復号の機能のない簡易型のヘッドフォンブロックに対応できるようにするためである。このように、人体通信によって送受信する信号のセキュリティは、信号送信の目的に応じ変更することができる。この変更は、楽曲とメールなど、送信されるコンテンツに応じて行うこともできる。以上のような、構成により、チャンネルの一致しない信号や、さらにセキュリティを高めた場合のヘッダ部の一致しない信号や暗号の復号ができない信号は、それらセキュリティの程度に応じて予期しない相手に漏洩することがない。また、予期しない音信号がヘッドフォンブロックに混入することも防止される。
【0098】
図12は、図10のステップS252におけるメールモード処理の詳細を示すフローチャートであり、図9の構成をベースとしたものである。フローがスタートすると、ステップS292で送信用のメールが作成済身かどうかのチェックが行われる。メールが作成済みであればステップS294に進み、作成済みのメールを暗号化して送信メールを自動作成してステップS296に移行する。一方、ステップS292で送信メールが作成済みであることが検出されなかった場合は直接ステップS296に移行する。ステップS296では、自分の体が自分以外の人体と接触しているか否かを検出する。検出がなければステップS292に戻り、以下、ステップS292からステップS296を繰り返して接触検出を待つ。
【0099】
なお、ステップS296の接触検出は接触状態の有無を検出できる機能にも基づいており、接触の開始だけでなく接触の解除も検出できる。ステップS296からステップS298への移行は接触の開始の検出による。ステップS296で接触検出があればステップS298に移行する。この場合、ステップS294によって暗号化送信メールが作成されている場合といない場合が存在するが、それらへの対処はそれぞれ後述する。
【0100】
ステップS298では、人体通信を開始するための情報を交換する。そして、交換情報に基づき、ステップS300で接触相手のアドレスが登録済みであるかどうかチェックする。この登録の管理については後述する。ステップS300において接触相手のアドレスが登録済みであることが検出されたときはステップS302に進み、暗号化送信メールがステップS294で作成されたかどうかチェックする。そして送信用の暗号化メールがあればステップS304に進み、暗号化送信メールを人体通信用に変調するとともにこれを送信する指示を行ってステップS306に移行する。一方、ステップS302で送信用の暗号化メールが検出されなかった場合は、直接ステップS306に移行する。
【0101】
ステップ306では、人体通信による自分の体の外からの暗号化メールの受信を試みるとともに暗号化メールがあればこれを復調する処理を指示する。次いでステップS308で復調された暗号化メールがあるかどうかチェックする。そして該当メールがあればステップS310に進んで暗号の復号を行ってステップS312に移行する。一方、ステップS308において暗号化メール検出されなかったときは、直接ステップS312に移行する。また、ステップS300において接触相手のアドレスの登録が確認できなかったときも、直接ステップS312に移行する。
【0102】
ステップ312では、ステップS296における接触検出機能によって接触の解除が検出されてから所定時間(例えば10分)経過したかどうかをチェックする。そして所定維持間の経過がなければステップS292に戻り以下ステップS292からステップS312を繰り返す。なお、この繰り返しの中でステップS296において新たな接触状態の開始が検出されたときにはステップS312における経過時間のカウントはリセットされ、次の接触状態の解除からカウントが新たにスタートする。一方、ステップS312で所定時間の経過が検知されるとフローは終了する。以上によって、例えば恋人同士が手を握り合うたびに自動的にメール交換のトリガーがかかり、人体通信によるメールのやりとりが可能となる。また、所定時間(例えば10分)手を握らなければ図12のフローが終了し、スキンシップモードが自動的に解除される。
【0103】
図13は、図7のステップS200におけるスキンシップペア管理処理の詳細を示すフローチャートであり、図9の構成をベースとしたものである。フローがスタートするとステップS322で音楽スキンシップペアのIDが検出されるかどうかチェックする。そして検出があればステップS324に進み、そのペアにおいて音源を送受信するためのチャンネルが相互に登録済みかどうかチェックする。IDが検出されたペアにおいて音源を送受信するためのチャンネルが相互に登録済であるということは、そのペアに関する限り、登録チャンネルを用いれば混信することなく、相互の音源を共有できることを意味する。
【0104】
ステップS324において、特定のペア内で音源を送受信するためのチャンネルが相互に登録済であることが検出されるとステップS326に進み、そのようなペアのうち優先スキンシップペアとしてIDが登録されているものがあるかどうかチェックし、該当すればステップS328に進む。なお、音源を送受信するためのチャンネルが相互に登録済であるスキンシップペアのIDが一つしか検出されないときは、これが優先スキンシップペアとして登録されているものとしてステップS328に進む。ステップS328では、現在設定されているチャンネルが優先スキンシップペアのものとして登録済みのチャンネルに一致するかどうかチェックされる。そして、不一致があるとステップS330に進み、その不一致が発生してから所定時間(例えば1日)が経過しているかどうかチェックする。
【0105】
ステップS330において、所定時間の経過が検出されるとステップS332に進み、現在設定されているチャンネルを優先スキンシップペアのものとして登録済のチャンネルに自動復帰させてステップS334に移行する。一方、ステップS322からステップS326およびステップS330のうちのいずれか一つでも該当しない場合およびステップSに該当する場合は、いずれも直接ステップS334に移行する。以上により、優先スキンシップペアとしてIDおよび音源送受信チャンネルが登録されているときは、現在設定されているチャンネルを勝手に変更する上で支障がない条件化で、自動的に登録済みチャンネルへの自動復帰が行われる。つまり、恋人同士など新密度の高いスキンシップペアについては、チャンネル変更を行って放置した場合でも、その都度これを登録チャンネルに戻す必要がない。
【0106】
ステップS334では、音源を多人数(3人以上)で共有する場合のチャンネル自動調整を求める操作があったかどうかをチェックする。そして操作が検出されるとステップS336に進み調整結果によって決まるチャンネルに、送受信チャンネルを自動変更してステップS338に移行する。一方、ステップS334に該当しなければ直接ステップS338に移行する。
【0107】
次に、上記のステップS322からステップS336までの機能を友人グループのA、B、C、Dがおり、このうちAとBおよびCとDはそれぞれ恋人同士で、それぞれ優先スキンシップペアとしての登録を行っている場合を具体例として説明する。なお、優先スキンシップペアのAとBにおいて、AからBへの送信のためには第1チャンネル、BからAへの送信のためには第2チャンネルを登録しており、一方、優先スキンシップペアのCとDにおいては、CからDへは第1チャンネル、DからCへは第2チャンネルを登録しているものとする。
【0108】
このような場合、各スキンシップペアがペア内で音源を共有している場合は問題ないが、例えば友人グループのA、B、C、D全員がAの音源を共有する場合を考えると、AからB、AからC、AからDのいずれにも同一のチャンネルを使用することになる。これは、B、C、Dからの音源をグループ内でそれぞれ共有する場合も同様である。ステップS334の操作はこのような場合に行われるものであり、これによってステップS336に進むと、A、B、C、D相互の近距離通信によりチャンネルの自動調整が行われ、例えば、Aの音源からの送信には第1チャンネル、Bの音源からの送信には第2チャンネル、Cの音源からの送信には第3チャンネル、Dの音源からの送信には第4チャンネルがそれぞれ割当てられて自動的に変更される。これによってA、B、C、Dは第1から第4のチャンネルの一つを受信チャンネルとして任意に選択さすることにより所望の音源を共有できる。なお、このグループ内音源共有機能は、人体通信だけでなく、近距離通信など他の通信においても活用できる。
【0109】
以上のようなステップS336の変更機能が働くと、例えばCの送信チャンネルは第1チャンネルから第3チャンネルに、Dの送信チャンネルは第2チャンネルから第4チャンネルに変更されることになる。ステップS332に機能は、このように、優先スキンシップペアにおいて登録された音源送受信チャンネルが変更された場合に、これを登録済みチャンネルに自動復帰させるものである。これによって、例えばA、B、C、Dによるグループ旅行で音源の共有を楽しんだあと、帰宅後の翌日には、旅行中チャンネルが自動変更されてしまった優先スキンシップペアのCとDについても、ペア内の音源送受信チャンネルが登録済みのものに自動復帰することになる。
【0110】
ステップS338では、メールスキンシップペアのIDが検出されるかどうかチェックする。そして検出があればステップS340に進み、接触相手のメールアドレスについての人体通信用の登録が有効かどうかチェックする。そして登録が有効であればステップS342に進み、登録アドレスが図12のステップS296によって検知される接触解除後、所定時間(例えば10分)経過したかどうかがチェックされる。ステップS342において所定時間経過が検知されるとステップS344に進み、接触相手のメールアドレスについての人体通信用の登録を無効化する。なお、この無効化は図12におけるステップS300で検知される人体通信のためのアドレス登録に限って行われるものであり、無効化によってステップS302からステップS310における人体通信によるメール交換を行わないようにするためのものである。つまり、接触検知をトリガーとして人体通信によるメール交換を行うためのアドレス登録を無効にするだけであって、通常のメール送信用のアドレス登録を無効にするものではない。
【0111】
一方、ステップS338においてメールスキンシップペアのIDを検出しないとき、ステップS340において接触相手アドレスの有効な登録がないときは、直ちにフローを終了する。また、ステップS344において所定時間が経過していないときは、接触相手アドレスの登録を維持したまま直ちにフローを終了する。
【0112】
図14は、図9のヘッドフォンブロック202における制御部210の機能のフローチャートであり、受信電極に何らかの信号が受信されることによりフローがスタートする。フローがスタートすると、まずステップS352で、設定チャンネルでの受信かどうかが判定部212で判定され、設定チャンネルでの受信であればステップS354に進んで復調を行う。次いで、ステップS356に進み、簡易送信モードでの受信かどうかがチェックされる。ステップS356において簡易通信モードによる受信でない旨の確認が行われるとステップS358に進み、所
定時間カウントのリセットスタートを行ってステップS360に移行する。ステップS358においてカウントが開始される所定時間は、図11のステップS278およびステップS280において同一の単位デジタル信号を所定回繰り返し送信するのに要する時間を充分含む時間巾に設定される。
【0113】
遅くともこの段階では受信した信号が単位デジタル信号であることがわかっているので、ステップS60では、そのヘッダ部が予め得ていた参照データと一致するかどうかチェックされる。そしてヘッダ部の一致があった場合には、ステップS362においてADPCMデコードを行う。このデコードにあたっては予め得ていた所定のコーディング規則が用いられる。ついでステップS364でデコードが可能であったかどうかがチェックされる。もし受信した単位デジタル信号が所定のコーディング規則に則っていない場合にはデコードが不可能となるので、ADPCMエンコードには暗号化の意義あり、ADPCMデコードは暗号を復号する意義がある。
【0114】
ステップS364でデコードが可能であったときはステップS366に進み、デコードした単位デジタル信号を蓄積してステップS368に移行する。一方、ステップS360でヘッダ部の一致が検出できないか、またはステップS364でデコードが不可能だった場合は、直接ステップS368に至り、受信した単位デジタル信号は破棄される。
【0115】
ステップS368で所定時間の経過が検知されないときはステップS360に戻り、以下、ステップS368で所定時間の経過が検知されるまではステップS360からステップS368が繰り返される。これによって、所定時間の間、ヘッダ部が一致し且つデコードが可能であった単位デジタル信号がステップS366で蓄積されることになり、正常に通信が行われている場合には、繰り返し送信された同一の単位デジタル信号のデコードデータが蓄積データの中に予定数含まれている。ステップS368で所定時間が経過したときはステップS370に進む。ステップS370では蓄積されたデコードデータのうちの同一と見なされる複数の単位デジタル信号データに基づき誤り訂正処理が行われ、再生用の単位デジタル信号を得てステップS372に移行する。一方、ステップS356で簡易送信モードでの受信であることが検知されると受信されたデータをそのまま再生用の単位デジタル信号として直接ステップS372に移行する。
【0116】
ステップS372では、デジタルシグナルプロセッサ214、ADコンバータ218およびヘッドフォンアンプ220による処理が指示され、これにより再生用のアナログ出力信号がヘッドフォン222に出力される。次にフローはステップS374に進み、単位デジタル信号の受信が継続しているかどうかのチェックが行われる。そして受信が継続していればステップS352に戻り、以下ステップS374において受信の継続が検知されなくなるまでステップS352からステップS374が繰り返される。なお、上記のような繰り返しによってステップ358に至るたびに所定時間カウントのリセットスタートが行われ、次の一団の同一の単位デジタル信号の処理に入る。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報交換システムの第1実施例を示すブロック図である。
【図2】図1の第1実施例における携帯制御部の機能の基本フローチャートである。
【図3】図2のステップS21の詳細を示すフローチャートである。
【図4】図2のステップS10の詳細を示すフローチャートである。
【図5】図4のステップS76の詳細を示すフローチャートである。
【図6】図2のステップS14の詳細を示すフローチャートである。
【図7】図2のステップS23の詳細を示すフローチャートである。
【図8】図7のステップS190の詳細を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係る情報交換装置の第2実施例を示すブロック図である。
【図10】図2のステップS18の詳細を示すフローチャートである。
【図11】図10のステップS248の詳細を示すフローチャートである。
【図12】図10のステップS252の詳細を示すフローチャートである。
【図13】図7のステップS200の詳細を示すフローチャートである。
【図14】図9の2実施例のヘッドフォンブロックの制御部の機能のフローチャートである。
【符号の説明】
【0118】
1、101 情報交換装置12、112 コンテンツ保持部12、112 登録部28、128 変調部6、106 制御部12、112 記憶部1、101 携帯電話20、120、32、132 伝達部202 情報再生装置6、106 設定部6、106 復帰実行部32、6、132、106 検出部6、106 送信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツ保持部と、特定の相手を登録する登録部と、前記コンテンツ保持部が保持するコンテンツを狭帯域の送信信号に変調する変調部と、前記登録部に登録された相手との関係で前記変調部が変調する送信信号の帯域を調整する制御部と、前記制御部によって調整された送信信号の帯域を記憶する記憶部とを有することを特徴とする情報交換装置。
【請求項2】
前記変調部は、人体に印加して人体に流すための送信信号を出力するよう変調を行うことを特徴とする請求項1記載の情報交換装置。
【請求項3】
携帯電話として構成されることを特徴とする請求項1または2記載の情報交換装置。
【請求項4】
前記制御部によって調整された送信信号の帯域を前記登録部に登録されている特定の相手に伝達する伝達部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の情報交換装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記登録部に登録されている特定の相手から伝達される帯域を避けて送信信号の帯域を調整することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の情報交換装置。
【請求項6】
前記制御部によって調整された送信信号の帯域をコンテンツ再生用の情報再生装置に伝達する伝達部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の情報交換装置。
【請求項7】
前記伝達部は、制御部によって調整された送信信号の帯域を情報交換装置保持者と同一人物に装着される情報再生装置に伝達することを特徴とする請求項6記載の情報交換装置。
【請求項8】
前記伝達部は、制御部によって調整された送信信号の帯域を情報再生装置に繰り返し伝達することを特徴とする請求項6または7記載の情報交換装置。
【請求項9】
前記制御部が調整した帯域とは異なった帯域を設定する設定部と、前記設定部が設定した帯域から前記記憶部が記憶する帯域に復帰させる復帰実行部とを有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の情報交換装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記登録部に登録された相手を含む3人以上の関係において前記変調部が変調する送信信号の帯域を調整することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の情報交換装置。
【請求項11】
コンテンツ保持部、前記コンテンツ保持部が保持するコンテンツを所定帯域の送信信号に変調する変調部、前記変調部が変調する送信信号の帯域を調整する制御部および前記制御部により調整された帯域を外部に伝達する伝達部を持つ情報交換装置と、前記伝達部によって伝達された帯域を記憶する記憶部、前記記憶部が記憶する帯域の送信信号をコンテンツに復調する復調部および前記復調部が復調するコンテンツを再生する再生部を持つ情報再生装置とを有することを特徴とする情報交換システム
【請求項12】
前記変調部は、人体に印加して人体に流すための送信信号を出力するよう変調を行うとともに前記復調部は人体を流れる送信信号を復調することを特徴とする請求項11記載の情報交換装置。
【請求項13】
コンテンツ保持部と、特定の相手を登録する登録部と、前記コンテンツ保持部が保持するコンテンツを人体に印加して人体に流すための送信信号に変調する変調部と、他の人体との接触状態を検出する検出部と、前記検出部の検出に基づきコンテンツの送信を開始する送信制御部とを有することを特徴とする情報交換装置。
【請求項14】
前記送信制御部は、前記検出部による接触状態の検出が所定時間ないと次に接触状態を検出してもコンテンツの送信を開始しないことを特徴とする請求項13記載の情報交換装置。
【請求項15】
携帯電話として構成されることを特徴とする請求項13または14記載の情報交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−182569(P2009−182569A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18720(P2008−18720)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】