説明

情報保護機能を持ったサーマルプリンタ用紙

【課題】 ガス、水道、電力等の使用量を検針しその結果をお知らせ票または振込票として携帯プリンタにて現地でサーマルプリンタ出力した帳票が高保存・高印字品質を保ちつつ印字内容の情報保護ができるサーマルプリンタ用紙の実現が求められている。
【解決手段】本発明は、検針結果を現場でサーマルプリンタを使用して印字して、検針結果のお知らせ票や郵便振替専用払込書を作成するためのサーマルプリンタ用紙の上層の全面に情報保護紙を、サーマルプリンタ印字による走行に支障がない貼り合せ層強度で剥離可能な構成で貼り合わせ、印字した後、感熱紙と情報保護紙の貼り合せ層の間で剥すことが可能である構成としたサーマルプリンタ用紙を実現することにより問題を解決したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハンディターミナルのサーマルプリンタ等を使用して、検針結果等の機密保護を要する情報のプリントを行うための情報保護機能を持ったプリンタ用紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近ガス、水道、電力等メータの検針票作成にサーマルプリンタを使用したハンディターミナルが使用されるようになった。このハンディターミナルを使用してガス、水道、電力等の使用量を検針しその結果をお知らせ票として現場でサーマルプリンタ出力し、ポストに配布するサービスが近年普及してきている。このサービスは検針作業と同時に各ユーザーへの帳票発行ができるという点で検針結果の通知と料金請求の事務手続の面でコストが削減されるメリットあるが、郵便物のぞき見事件や検針作業者による不正使用の心配などの問題があることも事実である。こういったのぞき見事件や、最近の個人情報保護の要求に対応するために、電力・ガス・水道などの発行責任企業は検針員にせっかくの現地で検針したデータを発行責任企業のホストコンピューターまで持ち帰らせ個人情報保護用の圧着はがきなどに印字して郵送したり、現地でサーマルプリンタ出力した振込票をわざわざ封筒に入れさせるなど手間のかかる作業をしてから、ポストに配布する例も多くなり、コストの面や作業の面での不便さを感じずにはいられない状況である。
また、電力・ガス・水道などの各種検針作業における帳票の作成は、屋外検針用に求められる保存性を有し、特に振込票に関しては郵便振替サービスのOCR文字読取適性・バーコード読取適性のある感熱紙でなければならないため印字に高品質が求められている。
このため、ガス、水道、電力等の検針票や郵便振替専用払込書等の情報のプリントには、高保存・高印字品質を保ちつつ印字内容の情報保護とランニングコストの両面を満足できるような帳票を作成することが要求されている。
【0003】
【特許文献1】特願平5−205547特開 号公報,
【特許文献2】特願平11−347014特開 号公報,
【特許文献3】特願平11−371036特開 号公報
【特許文献4】特願2001−380633特開 号公報
【特許文献5】特願2002−339476特開 号公報
【特許文献6】特願平9−68179
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガス、水道、電力等の使用量を検針しその結果をお知らせ票または振込票として携帯プリンタにて現地でサーマルプリンタ出力した帳票が高保存・高印字品質を保ちつつ印字内容の情報保護ができるサーマルプリンタ用紙の実現が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ガス、水道、電力等の使用量を検針しその結果を現場でサーマルプリンタを使用して印字して、検針結果のお知らせ票や郵便振替専用払込書を作成するためのサーマルプリンタ用紙の上層の全面に情報保護紙を、サーマルプリンタ印字による走行に支障がない貼り合せ層強度で剥離可能な構成で貼り合わせ、印字した後、感熱紙と情報保護紙の貼り合せ層の間で剥すことが可能である構成としたサーマルプリンタ用紙を実現することにより問題を解決したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の情報保護機能を持ったサーマルプリンタ用紙を使用することにより、 電力・ガス・水道などの各種検針作業の際に、検針した結果をお知らせ票または振込票として携帯プリンタにて現地でサーマルプリンタ出力した帳票が高保存・高印字品質を保ちつつ印字内容の情報保護が可能になるために効率の良い付加価値の高い検針業務を行なうことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
サーマルプリンタ用紙を使用するハンディターミナルでは、検針結果を知らせるお知らせ票のプリントと同時に、郵便振替専用払込書を添付した使用料金の請求書の異なったパターンのプリントを選択的に行なえるようにしている。
このために、ハンディターミナルには検針結果のプリントだけでなく、郵便振替専用払込書を添付した使用料金の請求書の異なったパターンをプリントするためのプログラムのフォーマットがあらかじめ準備されており、ハンディターミナルの使用者の選択により、又はあらかじめ、セットされた利用者のデータに基ずいて、必要なフォーマットが選択され、選択されたフォーマットの中に検針結果のデータが挿入された形でプリントされる。
【0008】
図4は、ガス、水道、電力等の使用量を検針しその結果の使用量の料金を郵便振替専用払込書としてプリントした一例を示す説明図である。
図4において、(a)はプリントされた郵便振替専用払込書の全体を、(b)は郵便振替専用払込書の第2票目のプリントを、(c)は郵便振替専用払込書の第2票目のプリントを示す。
図4の(a)において、P1は郵便振替専用払込書の第1票目のプリントされる領域、P2は郵便振替専用払込書の第2票目のプリントされる領域である。領域P1と領域P2により一枚の郵便振替専用払込書のプリントパターンが形成される。40は、プリント済みの郵便振替専用払込書を切り離し易くするために、プリントパターンの一枚ごとの境目に入れられているミシン目である。mは、プリント済みの郵便振替専用払込書の第1票目のデータのプリントされる領域P1と第2票目のデータのプリントされる領域P2の部分を切り離し易くするために、領域P1と領域P2の間に入れられているミシン目である。
【0009】
領域P1の郵便振替専用払込書は、図4の(b)に示すような口座番号欄、金額欄、加入者名欄よりなる第1票の振込取扱票である。
又、領域P2は図4の(c)に示すような振込票兼受領書よりなる第2票の振込票である。
ハンディターミナルには検針結果のプリントや郵便振替専用払込書を添付した使用料金の請求書等の異なったパターンをプリントするためのプログラムのフォーマットがあらかじめ準備されており、ハンディターミナルの使用者の選択により必要なフォーマットが選択されフォーマットの中に検針結果のデータが挿入された形でプリントされる。
このようなハンディターミナルを使用した検針作業は、検針作業と同時に各ユーザーへの帳票発行ができるという点でメリットあるが、口座番号、金額、加入者名等の個人情報がプリントされるためにプリントされた帳票がのぞき見されたり検針作業者による不正使用される事件の発生の心配などがある。
また、電力・ガス・水道などの各種検針作業における帳票の作成は、屋外検針用に求められる保存性を有し、特に振込票に関しては郵便振替サービスのOCR文字読取適性・バーコード読取適性のある感熱紙でなければならないため印字に高品質が求められている。
【0010】
図1は本発明のサーマルプリンタ用紙のプリントパターンの一部分の構成の一例を示す説明図である。図1において、(a)は情報保護紙が貼り合わせられた状態の本発明のサーマルプリンタ用紙の構成の一例を示す説明図で(b)は情報保護紙を剥がした状態の本発明のサーマルプリンタ用紙の構成の一例を示す説明図である。
図1の(a)(b)において、10はサーマルプリント用紙、20は隠蔽性を持った情報保護紙である。サーマルプリント用紙10と情報保護紙20とは、図1の(a)に示すように、サーマルプリント用紙10の印字面11の上に情報保護紙20が貼り合わせられている。
サーマルプリント用紙10とその上に貼り合わされた隠蔽性を持った情報保護紙20には、図4に示した従来のサーマルプリント用紙と同様に、プリント済みの帳票を切り離し易くするためのプリントパターンの一枚ごとの境目にミシン目40が入れられている。
【0011】
図1の(a)に示すように、サーマルプリント用紙10と情報保護紙20とは印字による走行に支障がないような貼り合せ層強度で貼り合わされており、印字した後、図1の(b)に示すように、感熱紙10と情報保護紙20の貼り合せ層の間で剥すことが可能である構成で貼り合せられている。
隠蔽性を持った情報保護紙20は感熱紙10への熱の伝わりが十分得られるように厚み20〜50μの薄いものに限定される。
感熱紙10は情報保護紙20の上からプリンタヘットの加熱が行われるので、情報保護紙20に厚み20〜50μのものを使用すれば高感度のものを使用することにより、通常の目視で文字判読できる印字品質のプリントを行うことが可能であることが確認されている。
【0012】
又、感熱紙10に感熱多重複写シートなどに使用される感熱記録層の熱可融性物質が50−150℃程度の高感度のものを使用することにより、より高品質の印字品質が実現できる。
隠蔽性を持った情報保護紙20は、色紙のように紙に染料を混ぜたものや紙に印刷インキで印刷を施したものを利用することにより隠蔽性を持たせることが出来る。染料を混ぜる方式やインキを印刷する方式については限定されるものではなく、隠蔽性をもたすことができるものであれば良い。一般的に隠蔽するための色相は黒色が望ましい。感熱紙の発色濃度より高い濃度が得られる染料又は印刷インキであることが望ましい。
尚、情報保護紙20は隠蔽性を持った紙又はフィルムのどちらかを選択することが可能である。
【0013】
図2は本発明のサーマルプリンタ用紙のプリントパターンの一部分の他の実施例を示す説明図である。図2において、(a)は情報保護紙が貼り合わせられた状態の本発明のサーマルプリンタ用紙の構成の一例を示す説明図で(b)は情報保護紙を剥がした状態の本発明のサーマルプリンタ用紙の構成の一例を示す説明図である。
図2の(a)(b)において、10は図1と同様のサーマルプリント用紙、30は隠蔽性を持った情報保護紙である。
図2の実施例のサーマルプリンタ用紙の情報保護紙30は、より光学読取適性が必要な高細度印字がプリントされる部分31.32については窓抜き加工されている。
サーマルプリント用紙10と情報保護紙30とは、図1の実施例と同様に印字による走行に支障がないような貼り合せ層強度で貼り合わされており、印字した後、図2の(b)に示すように、感熱紙10と情報保護紙30の貼り合せ層の間で剥すことが可能である構成で貼り合せられている。
サーマルプリント用紙10とその上に貼り合わされた隠蔽性を持った情報保護紙30には、図4に示した従来のサーマルプリント用紙と同様に、プリント済みの帳票を切り離し易くするためのプリントパターンの一枚ごとの境目にミシン目40が入れられている。
図2の実施例のサーマルプリンタ用紙では、窓抜き加工されてた部分31.32には、感熱紙にダイレクトにサーマルプリンタ印字することによって光学読取が可能な印字品質のプリント形成できる。
尚、窓抜き部分31.32の加工には、全面貼りされた情報保護紙の一部を抜き取り窓抜き加工とすることも可能である。
【0014】
図3は、図1および図2に示した構成の本発明のサーマルプリンタ用紙に対して行った各種の試験の結果を示したものである。
試験1:印字鮮明度テスト・・・大崎データテック製プリンタSP650にて印字後、
情報保護紙を剥した後に感熱紙の印字が目視にて印字鮮明度であるかを確認。
試験2:OCR文字読取テスト・・・大崎データテック製プリンタSP650にて印字後、情報保護紙を剥した後に感熱紙のOCR文字が東芝製OCR機V1035にて読取できるかを確認。
試験3:バーコード読取テスト・・・大崎データテック製プリンタSP650にて印字後、情報保護紙を剥した後に感熱紙のバーコードがパナソニック製ZE−84ハンドリーダにて読取できるかを確認。
試験4:セキュリティ性確認・・・大崎データテック製プリンタSP650にて印字後、秘密にしておきたい情報が隠れていることを目視にて確認。

【0015】
図3に示された各種の試験より明らかなように、図1および図2に示した構成の本発明のサーマルプリンタ用紙は、試験1の印字鮮明度テストでは、感熱紙の印字が目視にて印字鮮明度であるかを確認されている。又、試験4のセキュリティ性確認では、共に秘密にしておきたい情報が隠ていることを目視にて確認確認されている。
この試験結果は、図1および図2に示した構成の本発明のサーマルプリンタ用紙は、目視による場合は感熱紙の印字が鮮明によむことが出来、セキュリティ性確認では、共に秘密にしておきたい情報を隠くすセキュリティ性を持っていることが確認されている。
一方、図1に示した構成の本発明のサーマルプリンタ用紙は、試験2のOCR文字読取テストでは、一部読取不可であったが、図2に示した構成の本発明のサーマルプリンタ用紙は判読可であり、OCR文字読取を行う帳票のプリントには図2に示した構成の本発明のサーマルプリンタ用紙を使用することが必要であることを示している。
【0016】
更に、図1に示した構成の本発明のサーマルプリンタ用紙は、試験3のバーコード読取テストでは、読取不可であったが、図2に示した構成の本発明のサーマルプリンタ用紙は読取可であり、バーコードのプリントを行う帳票のプリントには図2に示した構成の本発明のサーマルプリンタ用紙を使用することが必要であることを示している。
以上の説明より明らかなように、本発明の情報保護機能を持ったサーマルプリンタ用紙は、OCRでの読取り可能な高印字品質を保ちつつ印字内容の情報保護が可能となった。これにより、郵送や封筒が不要になり、コスト面もより満足できるような帳票の形成できるようになった
お知らせ票と共に、郵便振替専用払込書に振込に必要なデータのプリントされた振込用紙の組み合わされたプリントフォーマットを発行することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、電力、ガス、水道、などの各種の検針作業の結果をお知らせ票または振込み票として携帯プリンタで現場でプリントを行っている業務で利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のサーマルプリンタ用紙のプリントパターンの一部分の構成の一例を示す説明図である。
【図2】本発明のサーマルプリンタ用紙のプリントパターンの一部分の他の実施例を示す説明図である。
【図3】図1および図2に示した構成の本発明のサーマルプリンタ用紙に対して行った各種の試験の結果を示したものである。
【図4】ガス、水道、電力等の使用量を検針しその結果の使用量の料金を郵便振替専用払込書としてプリントした一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
10・・・サーマルプリント用紙
20・・・隠蔽性を持った情報保護紙
11・・・サーマルプリント用紙10の印字面
30・・・窓抜き加工された情報保護紙
31.32・・・高細度印字がプリントされる窓抜き加工部分
40.m・・・ミシン目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンディターミナルのサーマルプリンタ等を使用して、検針結果等の機密保護を要する情報のプリントを現場で行うためのサーマルプリンタ用紙の上層の全面に厚み20〜50μの隠蔽性を持った情報保護紙を、サーマルプリンタ印字による走行に支障がない貼り合せ層強度で貼り合わせ、感熱紙と情報保護紙の貼り合せ層の間で剥すことが可能で、プリントパターンの一枚ごとの境目にミシン目が入れられた構成を持ったことを特徴とするサーマルプリンタ用紙。
【請求項2】
ガス、水道、電力等の使用量を検針しその結果を現場でサーマルプリンタを使用して印字して、検針結果のお知らせ票や郵便振替専用払込書を作成するためのサーマルプリンタ用紙の上層に、光学読取適性が必要な高細度印字が行われる部分を窓抜き加工された厚み20〜50μの隠蔽性を持った情報保護紙を、サーマルプリンタ印字による走行に支障がない貼り合せ層強度で貼り合わせ、感熱紙と情報保護紙の貼り合せ層の間で剥すことが可能で、プリントパターンの一枚ごとの境目にミシン目が入れられた構成を持ったことを特徴とするサーマルプリンタ用紙。
【請求項3】
情報保護紙は隠蔽性をもたせるため、色紙のように紙に染料を混ぜたものや紙に印刷インキで印刷を施したものを利用する。一般的に隠蔽するための色相は黒色が望ましい。感熱紙の発色濃度より高い濃度が得られる染料又は印刷インキであることを特徴とするサーマルプリンタ用紙。
【請求項4】
情報保護紙は紙又はフィルムのどちらかを選択できることを特徴とするサーマルプリンタ用紙。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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